説明

道路用標示体

【課題】多様な施工目的に対応して設置可能な道路用標示体を提供する。
【解決手段】車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部を少なくとも2個立設させ、この柱状の標識部の上部の間にビーム状の標識部を架設させた柵体から道路用標示体を構成させ、前記柵体は前記ビーム状の標識部が連なるように複数並設させ、この各柵体の間にカバー材をまたがらせて取り付ける。複数並設させた前記各柵体の間にカバー材を取り付けるので、施工場所や目的に対応した配置に各柵体を並設させた後にカバー材を取りつけて、より施工場所に適した形状に道路用標示体を構成させることができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線のセンターライン標示、車線誘導標示或いは交通規制誘導標示等を目的として、路面に固定して用いる道路用標示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公園や公共施設,その他人々が往来する商業施設の入口や駐車場などにおいて車両の進入を阻止,誘導するため、あるいは歩道沿いに設置して歩道への車両の乗り入れや駐停車を防ぐ目的で設置される道路用標示体については、種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1において、走行車線と対向車線との間に道路方向に沿って合成樹脂からなる柱状体が適宜間隔をあけて立設され、該柱状体間に合成樹脂からなる柵ビームが取付けられた歩行者横断防止柵であって、前記柵ビームは、その両端部が合成樹脂からなる取付部材により柱状体に係止されて、柱状体間に取付けられると共に、前記柵ビームは、柱状体間で互いに連結された2個以上の柵ビームユニットからなる連結体で形成されたことを特徴とする歩行者横断防止柵、の構成が本件出願人を出願人の一人として出願されて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3823179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、柱状体間に取付けられる柵ビームを、柱状体間で互いに連結された2個以上の柵ビームユニットからなる連結体で形成しているが、施工場所や目的によっては、柵ビームを単体で形成させるのが好ましい場合もあり、またカーブや曲がり角などの道路形状などに合わせて施工するなど、種々の状況に応じた柵体の形成が望まれる。
【0006】
そこで本発明は、多様な施工目的に対応して設置可能な道路用標示体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路用標示体は、車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部が少なくとも2個立設され、該柱状の標識部の上部の間にビーム状の標識部が架設された柵体から構成される道路用標示体であって、
前記柵体は前記ビーム状の標識部が連なるように複数並設され、
該各柵体の間にはその上部にカバー材をまたがらせて取り付けたことを特徴としている。
【0008】
本発明に係る道路用標示体によれば、前記ビーム状の標識部が連なるように前記柵体を複数並設させ、この各柵体の間の、その上部にカバー材をまたがらせて取り付けるので、各柵体の間の隙間を歩行者などが横切ることをカバー材によって抑制できる。
また、立設させた柱状の標識部の上部の間にビーム状の標識部を架設させた各柵体の上部にまたがらせて前記カバー材を取り付けるので、ビーム状の標識部とカバー材とが一体的に視認され、各柵体から構成される道路用標示体の見た目の剛性感を高める。
また、複数並設させた前記各柵体の間にカバー材を取り付けるので、施工場所や目的に対応した配置に各柵体を並設させた後にカバー材を取りつけて、より施工場所に適した形状に道路用標示体を構成させることができる。
【0009】
また、前記カバー材を柔軟性を有する材料で形成すれば、並設させた各柵体の配列が少々曲がっていても、これに合わせてカバー材を変形させて取り付けることが出来るので、施工場所や目的に対応した配置の道路用標示体をより容易に構成させることができ、好ましい。
また、前記カバー材を柔軟性を有する材料で形成すれば、道路用標示体に車両などが接触しても、柱状の標識部のポールやカバー材が撓み、変形して加えられた力を逃がすので、道路用標示体が破壊されにくいものとなされ、好ましい。
【0010】
前記柱状の標識部の上端に前記ビーム状の標識部と結合するジョイント部を固定させ、前記カバー材を隣り合う各ジョイント部間に架設させれば、各柵体のジョイント部間の隙間にカバー材が取り付けられ、各ビーム状の標識部がより一体的に構成されるように視認されるようになされるので、好ましい。
【0011】
また、前記ビーム状の標識部のビーム端部を前記ジョイント部に挿入させて結合させ、
前記カバー材には固定ボルトの雄ねじ部を外側から貫通して挿入させ、
この固定ボルトの雄ねじ部が前記ジョイント部と前記ビーム状の標識部のビーム端部とを貫通してビーム状の標識部に内装させたナットに螺結して、前記ビーム状の標識部と前記ジョイントと前記カバー材とをそれぞれ固定させれば、前記カバー材が前記ビーム状の標識部と前記ジョイントとに強固に固定され、容易に外れないものとなされ、好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の道路用標示体によれば、多様な施工目的に対応して設置が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る道路用標示体の実施の一形態を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
【図2】図1の道路用標示体のカバー材を取り外した状態を示す図である。
【図3】図1の道路用標示体の柵体を各部材に分解した状態を示す分解図である。
【図4】柱状の標識部1Aの断面を示す図1のA−A断面図である。
【図5】図3の柱状の標識部1Aのジョイント4A付近を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
【図6】図3の柱状の標識部とビーム状の標識部との固定に用いるクリップナットの実施の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は底面図である。
【図7】補強筒の形状を示す(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
【図8】図7の補強筒に図6のクリップナットを取り付けた状況を示す(イ)は側面図であり、(ロ)は正面図である。
【図9】図3の柱状の標識部とビーム状の標識部及び補強筒との固定の状況を示すクリップナット付近の要部の断面図であり、イ)は補強筒挿入前のジョイントの状況を示し、(ロ)は補強筒挿入後の状況を示し、(ハ)は更にビーム状の標識部挿入後の状況を示し、(ニ)は固定ボルトで固定させた状況を示す。
【図10】図1のカバー材を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図であり、(ニ)は底面図である。
【図11】図10のA−A断面図である。
【図12】図3の柱状の標識部1Bのジョイント4B付近を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
【図13】補強筒の形状を示す(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
【図14】図13の補強筒に図6のクリップナットを取り付けた状況を示す(イ)は側面図であり、(ロ)は正面図である。
【図15】図1の柱状の標識部とビーム状の標識部、補強筒、及びカバー材との固定の状況を示すクリップナット付近の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
まず最初に、図1〜3によって、本発明に係る道路用標示体の全体的な構成について説明する。
本実施形態の道路用標示体は、2個の柵体10を並設させ、これらの間にカバー材3を架設させて道路用標示体を構成させている。
【0015】
図面において、1は柱状の標識部である。柱状の標識部1は、ベース2の上方にポール11を突設させて構成されている。
本実施形態の柱状の標識部1は、ポール11をベース2の上方から着脱自在に立設できるように構成させている。
尚、各柵体10を構成する2本の柱状の標識部1について、カバー材3を取り付ける柱状の標識部1を1B、道路用標示体の端に位置してカバー材3を取り付けない柱状の標識部1を1Aとしている。
【0016】
本実施形態のベース2はその底面を路面に当接させて設置固定されるが、路面に設置固定させる方法として、ベース2の底面に接着剤を塗布して路面へ接着固定させる方法を用いることができる。また、ベース2の設置固定方法はこれに限るものではなく、ベース部2の底面から雄ねじ部分を下方に突出させてアンカーボルトを取り付け、路面に埋設固定させたアンカーナットに螺結させて固定させてもよいし、他の固定方法を用いてもよい。
【0017】
本実施形態のビーム状の標識部5は中空の円筒形状に形成されており、その端部をポール11の上端に取り付けられたジョイント4に取り付けられて柱状の標識部1に固定される。ビーム状の標識部5は、その両端をそれぞれ並設して設置された2本の柱状の標識部1に架け渡されて固定されて柵体10を形成し、各柱状の標識部1の間を人が通過することを防止している。
また、並設させた柵体10の間にカバー材3を架け渡して取り付けて一個の道路用標示体を形成させ、各柵体10の間を人が通行することを防止している。
【0018】
ビーム状の標識部5の外側面には、光の再帰反射性を備えた反射シートが巻回されて全周に亘って貼り付けられた反射部53が設けられており、これによって正面からの視認性を向上させるとともに、トラックのように車高の高い車両の運転手によって斜め上方から視認される場合でも、視認性を高いものとすることができる。
【0019】
図4は柱状の標識部1Aの断面を示す図1のA−A断面図である。
柱状の標識部1Aのポール11は円筒形の中空柱状体に形成されており、その上端を塞ぐようにジョイント4が融着によって固定され、ポール部11の下端を塞ぐように補強用部材12が固定されている。
尚、ジョイント4には4Aと4Bとがあり、柱状の標識部1Aにはジョイント4Aが固定され、柱状の標識部1Bにはジョイント4Bが固定されている。本実施形態の柱状の標識部1Aと1Bとは、ジョイント4Aと4Bの形状のみが異なっている。
【0020】
ポール11は補強用部材12が固定された下端部分をベース2の上面に設けた円形のくぼみ21に挿入させて、着脱可能に固定できるように構成されている。具体的には、ベース2に設けられた前記のくぼみ21に挿入された後、ベース2の外側面からポール11の下端部分に向けて固定ねじN1の雄ねじを挿入させて、ポール11を貫通させて補強用部材12に螺入させ、ベース2とポール11とを固定させている。上記のように固定させることで、前記の固定ねじN1を取り外せば、ポール11とベース2との固定を解除でき、ポール11とベース2とを着脱自在に固定できる。本実施形態では補強用部材12が螺入された固定ねじN1の雄ねじ部分と強固に結合できるように、補強用部材12を硬質の樹脂材料で形成させている。また、補強用部材12を硬質の樹脂材料で形成させることで、ポール11の下端部分の変形が抑制され、道路用標示体が外力を受けてもポール11とベース2との固定が容易に外れなくなる。
ポール11とベース2との固定方法は上記の方法に限るものではなく、ポール11の下端とベース2のくぼみ21とにそれぞれ係合可能な係合部と係止部とを設け、これらの係合によって着脱可能に固定させてもよいし、ポール11とベース2とは別に形成させた固定部材をポール11とベース2とに架け渡して取り付けることでこれらを固定させてもよいし、他の方法を用いて固定させても良い。
【0021】
柱状の標識部1A、1Bは、車両などに踏み倒された後に元の状態に復元する可撓性を有するように、ポール11を熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができる。
また図1、2に示すように、ポール11の外側面には、光の再帰反射性を備えた反射シートが巻回されて全周に亘って貼り付けられた反射部13が設けられており、正面や側方からの視認性を高いものとすることができる。
【0022】
本実施形態のジョイント4A、4Bは、円筒形をアールを付けて90度の角度に曲げたようなエルボ状のL字型に形成されており、その両端において、下方向を向いた端部に下方結合部41を、水平方向を向いた端部に水平結合部42をそれぞれ形成されている。
下方結合部41は、下方に向いたジョイント4A、4Bの外周面が縮径して突出するように形成されており、円筒形のポール11の中空部分に上方から挿入可能に形成されている。下方結合部41の外周面はポール11の内周面に当接するように形成され、下方結合部41とポール11とは融着によって強固に固着されている。
ジョイント4A、4Bは、車両などが接触する等して変形しても元の状態に復元するように弾性を有する材料で形成するのが好ましく、本実施形態では熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができ、他の材料を用いてもよい。
【0023】
ジョイント4A、4Bの水平結合部42には、ジョイント4A、4Bの外周面を形成する円筒形状の壁部43と、その内側に壁部43より小さな筒形に形成された内壁部44が形成されている。具体的には、壁部43と内壁部44とはそれぞれの筒形状の中心が同じ位置となるように設けられており、ジョイント4が90度の角度に曲がる曲部45の付近において、壁部43の内周面の一部が径の内側へ縮径するように変形するとともに水平方向に突出して内壁部44が形成されている。
【0024】
それぞれ筒状に形成された壁部43と内壁部44とは、その間に環状のビーム挿入溝部46が形成されるようにそれぞれの筒の大きさを異ならせて設けられている。本実施形態では、ビーム状の標識部5は円筒のパイプ形状に形成されており、その端部を前記のビーム挿入溝部46に挿入させて固定されるように形成されている。すなわち、ジョイント4A、4Bの水平方向に向く端部に形成された壁部43、内壁部44、ビーム挿入溝部46がビーム状の標識部5を固定するための水平結合部42として機能するように、壁部43はその内側にビーム状の標識部5の端部を挿入して収納可能に形成され、内壁部44はパイプ形状のビーム状の標識部5の内部に挿入可能な大きさに形成されている。
【0025】
6は補強筒である。
補強筒6は、柱状の標識部1Aに取り付けられる6Aと、柱状の標識部1Bに取り付けられる6Bとがある。
後記図7に示すように本実施形態の補強筒6は、中空の円筒形状に形成されており、図3に示すようにその長さがビーム状の標識部5よりも短く形成され、図4に示すようにその外径がビーム状の標識部5の内径よりも小さく形成されてその内側に内装可能に形成され、更にジョイント4の水平結合部42の内壁部44の内側に挿入可能に形成されている。
上記のように、ジョイント4とビーム状の標識部5との結合部分において、ビーム状の標識部5に補強筒6を内装させて設けることで、ビーム状の標識部5や柱状の標識部1A、1Bに車両などが接触する等してビーム状の標識部5が折れ曲がるなどの変形を起こした場合において、ジョイント4A、4B付近ではビーム状の標識部5の変形に伴いこれに内装された補強筒6A、6Bが変形し、その後補強筒6A、6Bがもとの形状に復元しようとしてビーム状の標識部5を内側から支持するので、ビーム状の標識部5の復元力に補強筒6A、6Bの復元力が加わり、より強力にビーム状の標識部5の変形が復元される。
【0026】
図5は図3の柱状の標識部1Aのジョイント4A付近を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
本実施形態において、ジョイント4Aに設けられた水平結合部42の内壁部44は、側面視からの断面形状が略正八角形の筒状に形成されており、それぞれ対向する4面をジョイント4の向きに対して真上、真下、水平横方向へ向けるように形成されている。そして、前記の面の間に形成された斜め方向に向かう4面において、ビーム挿入溝部46から内壁部44の内部へ至るように内壁部44を貫通する雄ねじ挿通孔44aが設けられている。
また、ジョイント4Aに設けられた水平結合部42の壁部43において、前記の雄ねじ挿通孔44aに対応する位置に、壁部43の外周面から内周面に至るボルト挿通孔43aが設けられている。
本実施形態では、後記図9に示されるようにジョイント4Aとビーム状の標識部5と補強筒6Aとを固定ボルト9によって固定するように設けており、前記の雄ねじ挿通孔44aは固定ボルト9の雄ねじ部91が挿通可能な大きさに形成され、前記のボルト挿通孔43aは固定ボルト9のボルト頭部92が挿通可能な大きさに形成されている。
【0027】
図12は図3の柱状の標識部1Bのジョイント4B付近を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。図12に示すように、ジョイント4Bには、側面視からの断面形状が略正八角形の筒状に形成された内壁部44の、真上へ向いた面において、ビーム挿入溝部46から内壁部44の内部へ至るように内壁部44を貫通する雄ねじ挿通孔44a’が設けられている。雄ねじ挿通孔44a’は雄ねじ挿通孔44aと同じ形状に形成されている。
また、ジョイント4Bに設けられた水平結合部42の壁部43において、前記の雄ねじ挿通孔44a’に対応する位置に、壁部43の外周面から内周面に至るカバー取付孔47が設けられている。
ジョイント4Bは、上記の雄ねじ挿通孔44a’及びカバー取付孔47が追加されて形成されている点のみがジョイント4Aと異なっている。
【0028】
図6は図3の柱状の標識部1A、1Bとビーム状の標識部5との固定に用いるクリップナット8の実施の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は底面図である。
クリップナット8は、平板状のバネを、上板部81a、中板部81b、下板部81cを備えるようにコの字形状に曲げて形成されたクリップ部81と、クリップ部81の下板部81cの下面に固定されたナット82から構成されている。ナット82はその雌ねじ部84に固定ボルト9の雄ねじを螺入可能な大きさのものを用いている。また、クリップ部81の上板部81aおよび下板部81cには、ナット82の雌ねじ部分に対応する位置に、ナット82に螺入される雄ねじが挿通可能な大きさのクリップ部貫通孔83がそれぞれ形成されており、このクリップ部貫通孔83を挿通させてクリップ部81の上板部81aの上方からナット82に固定ボルト9の雄ねじを螺入可能に形成されている。
【0029】
図7は補強筒6Aの形状を示す(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図であり、図8は図7の補強筒6Aに図6のクリップナット8を取り付けた状況を示す(イ)は側面図であり、(ロ)は正面図である。
補強筒6Aは、円筒形状に形成された筒壁62から構成されており、その一方の端付近に前記筒壁62を貫通する円形の貫通孔61が形成されている。本実施形態では、貫通孔61は4箇所形成されており、具体的には各貫通孔61は補強筒6Aの端からそれぞれ等間隔に配置され、さらに各貫通孔は補強筒61の周方向においてもそれぞれ等間隔に配置されて形成されている。
【0030】
本実施形態の補強筒6Aには、図8に示すように図6に示すクリップナット8が取り付けられて、ジョイント4Aの水平結合部42へビーム状の標識部5を結合させるために用いられる。
クリップナット8は、クリップ部81で筒壁62を挟み、ナット82を補強筒6の中空部分に収納させて、補強筒6に4個取り付けられている。具体的には、クリップナット8のクリップ部貫通孔82及びナット82の雌ねじ部分が、補強筒6に設けた貫通穴61の位置に配置されるように取り付けられており、固定ボルト9の雄ねじ部91を補強筒6の外側から貫通孔61を挿通させて、クリップナット8のナット82へ螺結可能に形成させている。
【0031】
図13は補強筒6Bの形状を示す(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
補強筒6Bは、補強筒6Aの4箇所の貫通孔61に加えて、任意の2つの貫通孔61の中間にあたる筒壁62の位置に、貫通孔61と同じ形状の貫通孔61’が1箇所形成されている点のみが、補強筒6Aと異なっている。
【0032】
図14は図13の補強筒6Bに図6のクリップナット8を取り付けた状況を示す(イ)は側面図であり、(ロ)は正面図である。
補強筒6Bには、補強筒6Aの貫通孔61の位置と同様に、追加して形成された貫通孔61’の位置にもクリップナット8と同じ形状のクリップナット8’が取り付けられ、合計5個のクリップナット8、8’が取り付けられる。
【0033】
図9は図1の柱状の標識部1Aとビーム状の標識部5及び補強筒6Aとの固定の状況を示すクリップナット8付近の要部の断面図であり、イ)は補強筒6A挿入前のジョイント4Aの状況を示し、(ロ)は補強筒6A挿入後の状況を示し、(ハ)は更にビーム状の標識部5挿入後の状況を示し、(ニ)は固定ボルト9で固定させた状況を示している。
本実施形態では、まず最初に図9(ロ)に示すように、ジョイント4Aの内壁部44の内側に、クリップナット8を取り付けた補強筒6Aを挿入させる。
このとき、補強筒6Aの貫通孔61が、ジョイント4の内壁部44に設けた雄ねじ挿通孔44aの位置に配置されるように、補強筒6Aを挿入させる。
前記のように補強筒6Aを挿入させることで、補強筒6Aに合計4個づつ取り付けられたクリップナット8のクリップ部81が、前記図5に示すように略正八角形の筒状に形成された内壁部44の斜め方向に向かう4面の内側にそれぞれ当接されて、安定的に内壁部44の内側に取り付けられる。
【0034】
次に図9(ハ)に示すように、ビーム状の標識部5の端部を、ジョイント4Aのビーム挿入溝部46に挿入させる。ビーム状の標識部5の端であるビーム端部51の内、ジョイント4Aに差し込むビーム端部51Aには、その外側と中空部分とを貫通するビーム貫通孔52が4個形成されており、具体的にはビーム端部51Aをジョイント4Aのビーム挿入溝部46に挿入させたときに、内壁部44に設けた雄ねじ挿通孔44aと壁部43に設けたボルト挿通孔43aとの間にビーム貫通孔52が配置されるように形成されている。
【0035】
最後に、図9(ニ)に示すように、ジョイント4Aの壁部43の外側から固定ボルト9を差し込み、その雄ねじ部91をビーム貫通孔52、雄ねじ挿通孔44a、貫通孔61に挿通させて、クリップナット8のナット82に螺結させて、ジョイント4Aの水平結合部42にビーム状の標識部5と補強筒6Aとを固定させる。
ジョイント4Aの水平結合部42を構成する壁部43、内壁部44,ビーム挿入溝部46は、固定ボルト9がクリップナット8に螺結されたときに、固定ボルト9のボルト頭部92の上端が、ジョイント4Aのボルト挿通孔43aから突出させずに、ジョイント4Aの壁部43の外周面より内側に位置するように、固定ボルト9をジョイント4Aの内部に収納可能に形成されている。上記のようにジョイント4Aを形成させることで、道路用標示体に車両などが接触した際に、固定ボルト9のボルト頭部91が車両に接触して傷つけるなどの問題の発生を防止することができる。
【0036】
また上記のように、クリップナット8のナット82と固定ボルト9との螺結によって、ジョイント4Aにビーム状の標識部5と補強筒6Aとを固定することで、ジョイント4Aとビーム状の標識部5、補強筒6Aとの固定を着脱自在で、且つ強固なものとできる。
また上記のように、ジョイント4Aとビーム状の標識部5、補強筒6Aとの固定にクリップナット8を用いることで、固定ボルト9を螺結させる雌ねじ部を容易にジョイント4Aに設けることができると共に、柱状の標識部1Aやビーム状の標識部5等が破損などして交換するような場合には、クリップナット8を容易に取り外して分別し、再利用や再生利用などを行うことができる。
【0037】
図10は図1のカバー材3を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図であり、(ニ)は底面図であり、図11は図10のA−A断面図である。
カバー材3は均一な厚みの薄板を180°の角度で折り曲げたような、逆Uの字断面の形状に形成されており、アール部分を上方に向けて半円形に曲がっている曲部31と、この曲部31の両方の端からそれぞれ下方に延びるように平板部32が2箇所延設されて形成されている。
【0038】
カバー材3の曲部31の上部において、外側の上面と内側の下面とが共に下方に突出する円形形状のカバー凹部33が形成されている。カバー凹部33は、カバー材3の長手方向の両端付近にそれぞれ1箇所づつ合計2箇所形成されている。
また、カバー凹部33の円形に形成された上面と下面とはそれぞれ平面状に形成されており、カバー凹部33の中心には、その上面から下面に至る円形のカバー貫通孔34が形成されている。
カバー材3は、車両などが接触する等して変形しても元の状態に復元するように弾性を有する材料で形成するのが好ましく、本実施形態では熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができ、他の材料を用いてもよい。
【0039】
図15は図1の柱状の標識部1Bとビーム状の標識部5、補強筒6B、及びカバー材3との固定の状況を示すクリップナット8’付近の要部の断面図である。
柱状の標識部1Bのジョイント部4Bと、ビーム状の標識部5及び補強筒6Bとの固定において、クリップナット8と固定ボルト9との螺結による固定は、前記の図9に示した柱状の標識部1Aと同様である。
すなわち、ジョイント4Bの内壁部44の内側に、クリップナット8を取り付けた補強筒6Bを挿入させ、ビーム状の標識部5のビーム端部51Bを、ジョイント4Bのビーム挿入溝部46に挿入させ、ジョイント4Bの壁部43の外側から固定ボルト9を差し込み、その雄ねじ部91をビーム貫通孔52、雄ねじ挿通孔44a、貫通孔61に挿通させて、クリップナット8のナット82に螺結させて、ジョイント4Bの水平結合部42にビーム状の標識部5と補強筒6Bとを固定させる。
【0040】
本実施形態のジョイント4Bは、カバー取付孔47を、カバー材3のカバー凹部33の突出部分を収納可能に形成させている。
カバー材3の取り付けにおいて、まず最初に各平板部32の間にジョイント4Bを挟み、カバー凹部33をジョイント4Bのカバー取付孔47に収納させる。
次にカバー3の外側から固定ボルト9をカバー貫通孔34に差し込み、その雄ねじ部91をビーム状の標識部5のビーム端部51Bにあらかじめ形成させたビーム貫通孔52’、雄ねじ挿通孔44a’、貫通孔61’に挿通させて、クリップナット8’のナット82に螺結させて、ジョイント4Bの水平結合部42にビーム状の標識部5と補強筒6Bとを固定させる。
カバー材3を固定させる固定ボルト9が、ビーム状の標識部5のビーム端部51と補強筒6Bとに挿通されてジョイント4Bに固定されるため、カバー材3が柱状の標識部1Bに強固に固定される。
【0041】
カバー材3のカバー凹部33をジョイント4Bのカバー取付孔47に収納させて取り付けることで、道路用標示体に車両などが接触するなどして外部からの力が加えられたときに、カバー凹部33とカバー取付孔47との接触部分でその力が分散されて、カバー貫通孔34の縁にその力が集中しないので、カバー3の破壊が抑制される。
【0042】
カバー材3は、長手方向両端付近に合計2箇所形成させたカバー凹部33を、並設させた柵体10のジョイント4Bのカバー取付孔47にそれぞれ収納させ、各柱状の標識部1Bの上部の間にまたがって固定される。
カバー材3はその上部に半円形の曲部31が形成され、ジョイント4Bの水平結合部42を曲部31と各平板部32の内側に収納させて固定されるので、一見すると各柵体10のそれぞれのビーム状の標識部5とカバー材3とがあたかも一体となっているように視認され、歩行者に横断しようとする気持ちを失わせる。また、可撓性を有する道路用標示柱などについては、接触した車両に傷が生じにくいため、意図的に車両を接触させる運転手が存在するが、本実施形態の道路用標示体は、各柵体10のそれぞれのビーム状の標識部5とカバー材3とがあたかも一体となっているように視認されることで、見た目の剛性感が高められ、走行する車両の運転手に接触する意思を失わせる効果が期待できる。
【0043】
また、本実施形態の道路用標示体は、各柵体10のビーム状の標識部5が平面視で直線状に配置されるように各柵体10を並設させているが、これに限るものではない。一例として、各柵体10を、平面視における各ビーム状の標識部5の配置を直線状ではなく、それぞれ角度を設けて配置されるように各柵体10を並設させて、それぞれの柱状の標識部1Bをカバー材3で連結させてもよい。このように設けることで、道路のカーブや曲がり角等に沿って本発明の道路用標示体を設置することができる。
【0044】
そして、本実施形態のカバー材3は弾性を有する熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成させているので、各ビーム状の標識部5が直線状に配置されていなくても、その角度がある程度小さなものであれば、カバー材3を撓ませるなどして変形させ、それぞれの柱状の標識部1Bを取り付けることができる。また、カバー材3を弾性を有する熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成させることで、道路用標示体に車両などが接触するなどして外部から力が加えられた場合でも、カバー材3が変形した後もとの形状に戻るので、カバー材3が破壊されにくいものとなされる。
【符号の説明】
【0045】
1 柱状の標示部
11 ポール
12 補強用部材
13 反射部
2 ベース
3 カバー材
31 曲部
32 平板部
33 カバー凹部
34 カバー貫通孔
4 ジョイント
41 下方結合部
42 水平結合部
43 壁部
43a ボルト挿通孔
44 内壁部
44a 雄ねじ挿通孔
45 曲部
46 ビーム挿入溝部
47 カバー取付孔
5 ビーム状の標示部
51 ビーム端部
52 ビーム貫通孔
53 反射部
6 補強筒
61 貫通孔
62 筒壁
8 クリップナット
81 クリップ部
82 ナット
83 クリップ部貫通孔
84 雌ねじ部
9 固定ボルト
91 雄ねじ部
92 ボルト頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部が少なくとも2個立設され、該柱状の標識部の上部の間にビーム状の標識部が架設された柵体から構成される道路用標示体であって、
前記柵体は前記ビーム状の標識部が連なるように複数並設され、
該各柵体の間にはその上部にカバー材をまたがらせて取り付けたことを特徴とする道路用標示体。
【請求項2】
前記カバー材が、柔軟性を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の道路用標示体。
【請求項3】
前記柱状の標識部の上端には前記ビーム状の標識部と結合するジョイント部が固定され、前記カバー材は隣り合う各ジョイント部間に架設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の道路用標示体。
【請求項4】
前記ビーム状の標識部はビーム端部が前記ジョイント部に挿入されて結合されており、
前記カバー材には固定ボルトの雄ねじ部が外側から貫通して挿入され、
該固定ボルトの雄ねじ部は前記ジョイント部と前記ビーム状の標識部のビーム端部とを貫通してビーム状の標識部に内装されたナットに螺結されて、前記ビーム状の標識部と前記ジョイントと前記カバー材とをそれぞれ固定させていることを特徴とする請求項3に記載の道路用標示体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−153462(P2011−153462A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15664(P2010−15664)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】