説明

道路鋲

【課題】従来の太陽電池式の発光式道路鋲装置は、昼間でも薄暗い道路や交差点、トンネル内では、太陽光が届かず十分に光電変換できないため、その光エネルギーを発光式道路鋲装置として利用することはできなかった。また、昼間の太陽エネルギーを電気エネルギーとして蓄えるため、必ず大容量の蓄電池やコンデンサが必要であり、電子回路部品点数も多くなり装置が大掛かりであり高価であった。
【解決手段】本発明の発光式道路鋲は、道路やその周辺に設置され視線誘導や外側線の表示等を行う光を出射する光出射面を備えた道路鋲であって、該道路鋲が走行車両が点灯するヘッドライトやフォグランプ等の光を受けて、光電変換する電子回路とその電気エネルギーにより該走行車両に向けて発光する発光素子を有する構成にした発光式道路鋲を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の外側線やセンターライン、交差点中央、中央分離帯、縁石等、種々の場所に設置される発光式道路鋲に関するものである。特に昼間でも薄暗い見通しの悪い道路やトンネル内のセンターラインや縁石等に関する。
【背景技術】
【0002】
道路に設置され夜間などの暗闇において注意を促す道路鋲について、例えば特許文献1や特許文献2に示すように、昼間の間に太陽光を大容量の蓄電池やコンデンサで蓄電し、夜間に発光ダイオード等を点滅させるように考えた発光式道路鋲装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平07−034423号公報
【特許文献2】特開平09−003839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1や特許文献2等で開示されている上述の発光式道路鋲装置においては、昼間の太陽エネルギーを電気エネルギーとして蓄えるため、必ず大容量の蓄電池やコンデンサが必要であり、電子回路部品点数も多くなり装置が大掛かりとなり高価であった。
【0005】
また、これらの装置は、昼間でも薄暗い道路や交差点、トンネル内では、太陽光が届かず十分に光電変換できないため、その光エネルギーを発光式道路鋲装置として利用することはできなかった。
【0006】
更には、これらの装置は、単に運転者や同乗者等に注意を喚起するだけで、例えばその地域の交通情報や道路情報など、必要な情報を走行車両に向かって通信できる手段を有していない。
【0007】
そこで本発明の目的は上記の問題点を解消し、走行車両からのライトを光電変換してその電気エネルギーで発光させる簡単で安価な構造の道路鋲を提供するものである。更には、光電変換した電気エネルギーを用い、電波や超音波を送受信できる構造の道路鋲を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、道路やその周辺に設置され視線誘導や外側線の表示等を行う光を出射する光出射面を備えた道路鋲であって、該道路鋲が走行車両が点灯するヘッドライトやフォグランプ等の光を受けて光電変換できる素子を含む電子回路とその電気エネルギーにより該走行車両に向けて発光する発光手段を有する構成にしたことを特徴とする発光式道路鋲に関する。
【0009】
第2の発明は、第1の発明記載の発光手段が発光ダイオードやレーザダイオードの発光素子であり、該発光素子の発光を変調して光通信できることを特徴とする発光式道路鋲に関する。
【0010】
第3の発明は、光電変換した電力によって電波或いは超音波を送受信できる電子回路を有することを特徴とする第1の発明記載の発光式道路鋲に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、蓄電池やコンデンサを不要或いは小容量のもので十分に対応可能とした、安価・シンプルな発光式道路鋲装置であり、昼間でも薄暗い道路やトンネル内でも外部から電気を供給する必要が無く、また工事も不要で簡単に設置可能である。
【0012】
更に本発明は、発光素子を発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)にすることにより容易に光変調をかけることで光通信が可能にすることができ、また電波或いは超音波による無線通信も可能となることから交通情報や道路情報などの必要な情報を走行車両に通信可能になる。また、該光変調した信号や電波、超音波の信号を該発光式道路鋲の近隣に設置した最新情報を表示できる標識に送信することにより、必要な最新の交通情報や道路情報等を、走行車両が走行中の必要な時だけ表示させるトリガーとして利用することも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の発光式道路鋲の動作について図1にもとづき実施例を説明する。それぞれ、1は道路鋲、2は光電変換素子としての太陽電池、3は発光素子としてのLEDである。尚、図1は、交差点の中央に設置するため、4方向に太陽電池とLEDが付けているが、道路端やセンターライン用、T路路、5差路等、その道路事情によって必要とする方向に付けて良い。また、この形状に限る必要は無く、走行車両のヘッドライトやフォグランプ等からの光を光電変換し、直ちに該走行車両の運転手や同乗者に注意を喚起するために発光できる構造であれば良い。
【0014】
トンネル内走行時や夜間走行時は、必ずヘッドライトを点灯して走行することが義務付けられている。また、人気が無い鬱蒼と草木が生い茂った山間部や多霧区間の道路等においては、昼間でも危険防止のためヘッドライトやフォグランプを点灯して走行することが多い。
【0015】
上記記載の道路に設置した本発明の発光式道路鋲の太陽電池2に、走行車両のヘッドライトやフォグランプが当たれば、その光エネルギーを電気エネルギーに変換し、赤色等のLED3を直ちに発光させ、走行車両の運転手や同乗者に注意を喚起させる。該車両が移動しライトが本発明の発光式道路鋲に照射しなくなった場合は、注意を喚起する必要が無いので直ちに消灯する。また、車両が走行していない場合も、注意喚起は不要なため本発明の発光式道路鋲装置は稼動せず消灯したままである。
【0016】
また、あらかじめ本発明の発光式道路鋲装置に付加したICや磁気式記憶装置等に近隣の固定の道路情報(急カーブ注意、下り坂注意等)を記憶させておくことで、光通信機能を有する走行車両に本発明の発光式道路鋲装置から変調をかけた光信号でこの情報を送信することにより、該走行車両は道路情報を受信することも可能になる(図示せず)。
【0017】
更には、電波や超音波の無線通信機能を有する走行車両に、本発明の発光式道路鋲装置から電波や超音波によるこれら固定の道路情報を送信することで、該走行車両は道路情報を受信することも可能になる(図示せず)。
【0018】
また、走行車両のヘッドライトやフォグランプ等の光を受けて得た電気エネルギーにより、光信号や電波、超音波を該発光式道路鋲の近隣に設置した最新情報を表示できる標識に送信することにより、必要な最新の交通情報(事故や渋滞)や道路情報(工事中)等を、走行車両が走行中の必要な時だけ表示させるトリガーとして利用することも可能になる(図示せず)。
【0019】
本発明の発光式道路鋲装置は、大容量の蓄電池やコンデンサを有しないため、光電変換エネルギーが供給されなくなった場合、直ちに消灯するが、太陽電池の近年の発電効率向上により、わずかな光でも光電変換することができるため、運転手や同乗者に注意の喚起が必要な間は、十分に発光させることができる。また、本発明の発光式道路鋲は、発光素子3の周囲に反射板を設けて、目的の方向に効率よく光を照射さても良い。また、注意喚起を向上させるために、発光を点滅させても良い。更には、電波や超音波の送受信も少電力ですむ為、該光電変換エネルギーだけで十分に利用可能である。
【0020】
本発明の構成部品は、光電変換素子としての太陽電池2と発光素子としてのLED3の他、必要な抵抗や平滑コンデンサ、電波或いは超音波送受信回路、IC等の電子部品も本発明の発光式道路鋲内に収めることができ、道路の必要箇所に接着剤等で貼付けることができるため据付工事は不要になる。また、外部からの電源供給も不要なため電気工事も不要である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
常夜灯や防犯灯など、また必要時だけ電気制御したい制御機器等で利用されている太陽電池を利用しているもの全てに適用可能である。
【0022】
本発明の発光式道路鋲の発光素子をLEDやLDにすることで容易に光変調による光通信を行うことが可能になり、近隣のお店のPRや災害発生時の避難情報、緊急情報等を走行車両に向け情報発信を行うことができる。また、電波或いは超音波による無線通信にすることで、光通信と同様に近隣のお店のPRや災害発生時の避難情報、緊急情報等を走行車両に向け情報発信を行うことができる。
【0023】
また、上記記載の光や電波、超音波による信号を本発明の発光式道路鋲の近隣の標識に送信することにより、最新の近隣のお店のPRや災害発生時の避難情報、緊急情報等を表示させるトリガーとして利用することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)本発明の発光式道路鋲の概略上面図である。(b)本発明の発光式道路鋲の概略側面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 小型容器本体
2 太陽電池パネル
3 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路やその周辺に設置され視線誘導や外側線の表示等を行う光を出射する光出射面を備えた道路鋲であって、該道路鋲が走行車両が点灯するヘッドライトやフォグランプ等の光を受けて光電変換できる素子を含む電子回路とその電気エネルギーにより該走行車両或いはその周辺に向けて発光する発光手段を有する構成にしたことを特徴とする発光式道路鋲。
【請求項2】
請求項1記載の発光手段が発光ダイオードやレーザダイオードの発光素子であり、該発光素子の発光を変調させて光通信できることを特徴とする発光式道路鋲。
【請求項3】
光電変換した電力によって電波或いは超音波を送受信できる電子回路を有することを特徴とする請求項1記載の発光式道路鋲。

【図1】
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【公開番号】特開2009−97182(P2009−97182A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267898(P2007−267898)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(590003331)
【出願人】(301061919)
【Fターム(参考)】