遠心分離器及び遠心分離方法
遠心力により分離された物質の層を正確かつ容易に区分して回収できる遠心分離器、具体的には、内部に物質を受容し、物質が遠心力により上側に移動するように案内する受容部と受容部の上側を覆う回転体カバーとを備えて回転する回転体と、受容部と連通するように回転体カバーに結合して受容部の上側に移動した物質を受容する容器とを備える遠心分離器を提供する。遠心分離器による物質の分離層の形成後、所定の速度に回転速度を減速させて回転を続ける間にそれぞれの分離層に作用する遠心力の大きさの差を利用して、相対的に小さな遠心力が作用する物質の層は受容部に流下させ、相対的に大きい遠心力が作用する物質の層は容器内に保持する方法で、所望の物質の層のみを正確に区分して回収できる遠心分離方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の具体的な成分によって、回転中に加えられる遠心力の大きさが異なるという点を利用して回転速度を調節することによって、大きい遠心力が作用する流体と、相対的に小さな遠心力が作用する流体とを互いに分離する遠心分離器及び遠心分離方法に関する。本発明の遠心分離器及び遠心分離方法によれば、遠心力により物質を分離し、分離された物質の層を正確でかつ容易に区分して回収できる。
【背景技術】
【0002】
本発明に関する遠心分離器と遠心分離方法は、重力に対して勾配を形成する傾斜面から下方に移動できるあらゆる物質、すなわち、液体、粉末、ゼリー、液体と固体との混合物、コロイド、球形に近い固体のように、液体と固体いずれにも適用できる。
【0003】
遠心分離器は、物体が回転する時に発生する遠心力を利用して物質を分離する装置である。遠心分離器は、遠心分離をする試料の量、回転速度、ローターなどによっていろいろな形態に区分できる。
【0004】
生命工学では、液体と混合されている細胞または液体より高い比重及び付着力を持つ物質を比重により分離するための目的で遠心分離器が使われる。最近には、成体幹細胞の研究が活性化するにつれて多量の成体組織(脂肪、骨髄など)から少量の幹細胞を分離するための遠心分離技術についての研究が進んでいる。
【0005】
生命工学に使われる遠心分離器は、人体細胞を破壊せずに分離せねばならないため、一般的な物質を分離するのに必要な遠心力より弱い遠心力を利用する。細胞の遠心分離に許容される遠心力は100Gが最大であり、一般的にはこれより低い。ここで‘G’は、重力定数(gravitational constant)を意味するものであって、通例的に遠心分離器では遠心力が重力と同じ力で作用するので、‘G’の単位を使用して遠心力を表現する。
【0006】
生命工学実験室で遠心分離器を使用して血液のような複合的流体(微細な固形成分またはゼリーのような半固形成分を含む液体であって、高分子以上の包括的概念;以下‘流体’と称する)を含む物質を遠心分離すれば、流体は比重により複数の層に分けられる。
【0007】
細胞が遠心分離器により分離された場合、分離された流体の各層は試験管内に積層されるため、視覚的には容易に区分できるが、これを物理的に分離する作業は容易ではない。一般的に遠心分離器により分離された流体の層を分ける作業は手作業で行なわれる。しかし、遠心分離された流体の層を分ける作業には相当な手間がかかるだけではなく、分離された物質の損失が発生するので、分離された物質の純度を保証できないという問題点があった。
【0008】
細胞の真上層の液体はほぼ水の成分であるが、試験管を徐々に傾けつつ上層の液体を分離しようとすれば、最下層の細胞も共に流動するため、遠心分離により分離された細胞が流失してしまうという問題がある。
【0009】
遠心力が作用しない状態では、細胞間の凝集力または付着力が水の性質とあまり差がないために、上層の液体のみを分離する作業の約50%以上が失敗する。分離作業が成功する場合にも最上層の一部細胞が流失される恐れがある。もし、細胞間をさらに密着させるための目的で遠心力を増大させるならば、細胞は破壊される恐れもある。
【0010】
このような問題点のため、現在作業者はピペットを利用して上層を除去しているが、除去しようとする液体の成分の一部がチューブに残るため、少なくとも7回ないし8回の希釈工程を経る洗浄を実施せねばならないという難しさがあった。
【0011】
一例として、脂肪組織から幹細胞を分離する時には、多量の組織をコラーゲンのような溶解剤で溶解させて極少量の幹細胞を区分する作業と、分離された物質を洗浄する洗浄作業とが行われる。ここで洗浄作業は、分離された物質を人体に再び使用するために、物質に含まれた不要な薬物やその他の成分を除去するための工程である。ところが、洗浄作業には長時間がかかるだけではなく、細胞を損失させてしまうという問題点がある。すなわち、洗浄作業を行う時には分離された物質に多くの操作を施さねばならないが、これによって細胞が空気に露出される時間が長くなって細胞が汚れる危険性も増加する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、遠心力により物質を分離し、分離された物質の層を正確かつ容易に区分して回収できる遠心分離器及び遠心分離方法を提供するところにある。
【0013】
本発明の他の目的は、別途の区分作業や洗浄作業を実施しなくても、遠心分離により分離された物質の層から幹細胞を正確に区分して回収できる遠心分離器及び遠心分離方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、流体の具体的な成分によって、回転時に作用する遠心力の大きさが異なるという点を利用して回転速度を調節することによって、大きい遠心力が作用する流体と相対的に小さな遠心力が作用する流体とを互いに分離する遠心分離方法及び遠心分離器を提供する。
【0015】
本発明に関する遠心分離器及び遠心分離方法は、人体から採取した血液、脂肪のような複合的流体(微細な固形成分またはゼリーのような半固形成分を含む液体であって、高分子以上の包括的概念;以下‘流体’と称する)のような物質を遠心分離するためのものである。さらに具体的には、本発明によれば、人体から採取した脂肪などの複合的流体に少量で含まれた幹細胞が遠心分離され、遠心力の作用により移動した幹細胞が分離可能に装着された容器に蓄積されるので、別途の分離作業や洗浄作業を実施しなくても、幹細胞が正確に区分されて回収されうる。
【0016】
本発明に関する遠心分離器と遠心分離方法とは、重力に対して勾配を形成する傾斜面から下方に移動できるあらゆる物質、すなわち、液体、粉末、ゼリー、液体と固体との混合物、コロイド、球形に近い固体のように液体と固体いずれにも適用できる。
【0017】
本発明に関する遠心分離器は、内部に物質を受容し、物質が遠心力により上側に移動するように案内する受容部と受容部の上側を覆う回転体カバーとを備えて回転する回転体と、受容部と連通するように回転体カバーに結合して受容部の上側に移動した物質を受容する容器と、を備える。
【0018】
本発明において、受容部は、受容された物質が遠心力により上側に向かって流れるように、上側から下側へ行くほど断面が狭くなる形状になる垂直案内部を備えることができる。
【0019】
本発明において、受容部は、垂直案内部の上端から上側に向かって傾いて外側に延長する水平案内部をさらに備え、水平案内部は、垂直案内部から上側に移動した物質が、遠心力の作用により内壁に沿って移動して収斂するように水平断面上で遠心力が最大に作用する少なくとも一つの収斂部を持つ。
【0020】
本発明に関する、上部へ行くほど断面が広くなる形状の受容部を持つ遠心分離器を利用すれば、遠心分離時に遠心力の作用により物質が受容部の底部から上側に移動して、容器の開口部の反対側の容器の底部から遠心力を受ける大きさの順に分離層が形成される。
【0021】
層状分離が終結した後、回転速度を低めて回転体の回転を続ければ、それぞれの分離層を構成する成分の流体力学的性質によってそれぞれの層に作用する重力と遠心力との大きさが変わる。一部分離層には重力の大きさが相対的に大きく作用するので、受容部の底部に流下し、遠心力の大きさが相対的に大きく作用する分離層は容器にそのまま残る。
【0022】
これにより、本発明は人体から採取した脂肪組織などの複合的流体内の幹細胞が、脂肪組織液に含まれたその他の成分に比べて流体抵抗の大きい物質であり、同じ回転速度で他の物質に比べて相対的に大きい遠心力を受ける特性に鑑みて、別途の分離作業や洗浄作業を実施しなくても、遠心分離器内で幹細胞の分離層のみを正確に区分して回収できる遠心分離器及びこれを利用した遠心分離方法を提供する。
【0023】
本発明において、前記水平案内部の水平断面は、外側に向かって膨らんで形成される二つの円弧が結合された形状でありうる。
【0024】
本発明において、垂直案内部は、上側から下側へ行くほどその断面が狭くなる円錘状になる。
【0025】
本発明において、前記垂直案内部の内壁は、内側に向かって膨らんで湾曲形成される。
【0026】
本発明において、前記受容部の表面は、受容された物質が移動する時の表面抵抗を減らすためにコーティングされている。
【0027】
本発明において、回転体カバーは、受容部と連通して回転体カバーの上側に開口される栓部を備え、容器は、栓部に回転自在に結合され、容器の開口部が栓部に接して受容部と連通する結合状態と、開口部が栓部から分離される解除状態との間で容器が回転する。
【0028】
本発明において、栓部は、回転体カバーの前記収斂部に対応する位置に設置される。
【0029】
本発明において、栓部は、容器の中心軸の回転体の回転軸に対する角度が90°以上180°未満の一定の角度に保持されるように容器を支持する。
【0030】
本発明において、栓部は、容器に対して磁力を作用して容器を前記結合状態で支持する支持部を備える。回転体の回転速度が減速することによって遠心分離された物質の一部が受容部に流れた後、支持部が逆の磁力を作用させるか、または磁力を解除して容器を解除状態に転換し、重力と遠心力との作用により容器が下側に向かって回転して、容器の中心軸の回転体の回転軸に対する角度が90°未満になる。
【0031】
本発明において、栓部と容器との間には、結合片と、外部信号により作動して結合片に結合することによって容器を結合状態で支持するロッキング装置が設置される。回転体の回転速度が減速することによって遠心分離された物質の一部が受容部に流れた後、ロッキング装置の結合片に対する結合を解除することによって容器を解除状態に転換し、重力と遠心力との作用により容器が下側に向かって回転して、容器の中心軸の回転体の回転軸に対する角度が90°未満になる。
【0032】
本発明において、容器は、ピボット軸を介して栓部に回転自在に結合され、ピボット軸は、外部信号により作動する強制動力手段により駆動される。
【0033】
本発明において、遠心分離器は、回転体の外側を包むケースをさらに備え、ケースの内側には第1磁性体が設置され、回転体の外側には第2磁性体が設置され、回転体が回転する間に回転体と前記ケースとは、第1磁性体と第2磁性体との反撥力により互いに一定の間隔を保持する。
【0034】
本発明に関する遠心分離器は、回転体の上側を覆うようにケースに結合されるケースカバーと、外部からケースカバーと回転体カバーとを貫通して回転体の受容部の内部に連結され、受容部に受容された物質を外部に排出するか、外部の物質を受容部に注入する注入管とをさらに備える。
【0035】
本発明による遠心分離器は、遠心分離に求められる最大の速度、すなわち、第1速度で一定の時間回転して物質を分離層に遠心分離した後、第1速度より低い第2速度に減速して再び一定時間回転を続けるように作動される。これらの第2速度の大きさは、分離対象物質の物性、特に、流体抵抗の大きさによって決定される。減速された回転速度、すなわち、第2速度で回転体が回転を続ければ、容器の内部と回転体受容部とにわたって形成された分離層のうち一部の分離層は、重力より大きい遠心力の作用を受けて容器の内部に保持されるが、その他の分離層は重力より小さな遠心力の作用を受けて受容部の底部に流下してしまう。このように、本発明は、遠心分離しようとする分離層に合せて第2速度を調整することによって、一部の分離層が受容部の底部に流下する臨界点を決定できる。
【0036】
本発明に関する遠心分離方法は、物質が遠心力により上側に移動するように案内する受容部と、受容部の上側を覆う回転体カバーと、回転体カバーに分離可能に結合されて受容部と連通する容器と、を備える回転体を利用する遠心分離方法であって、(a)受容部の内部に物質を提供するステップと、(b)物質が受容部の上側に移動して容器に流れ込むように回転体を第1速度で回転させて物質を遠心分離するステップと、(c)遠心分離された物質の一部の層が受容部に流下するように回転体の回転速度を第1速度より低い第2速度に減速させるステップと、(d)容器の開口部が上側に向かうように容器と回転体カバーとの結合を解除するステップと、(e)回転体を停止させるステップと、を含む。
【0037】
本発明において、(c)ステップは、回転体の回転速度を第2速度に減速させた後、回転体カバーを貫通して回転体の受容部の内部に連結される注入管を通じて受容部に受容された物質を外部に排出するステップをさらに含む。
【0038】
本発明において、受容部に受容された物質を外部に排出するステップ後に、注入管を通じて洗浄液を受容部の内部に注入し、(b)ステップ及び(c)ステップを繰り返すステップをさらに含む。
【0039】
本発明において、第2速度は、遠心分離により分離された最外郭層の物質は容器に付着させ、残りの層の物質は重力の作用により受容部に流下させる遠心力を形成する速度に設定される。
【0040】
本発明において、第2速度は、1Gないし80Gの遠心力を物質に作用させる速度に設定される。
【発明の効果】
【0041】
本発明の遠心分離器及び遠心分離方法は、遠心力により物質を分離し、分離された物質の層を正確かつ容易に区分して回収できる。
【0042】
また本発明の遠心分離器及び遠心分離方法は、遠心力の作用により受容部から上側に移動した幹細胞が容器に集まるので、別途の区分作業や洗浄作業を実施しなくても幹細胞を正確に区分して回収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、添付図面の実施形態を通じて、本発明に関する遠心分離器の構成と作用を詳細に説明する。
【0044】
図1は、本発明の一実施形態に関する遠心分離器の斜視図であり、図2は、図1に示した遠心分離器の上部を示す一部斜視図であり、図3は、図1に示した遠心分離器の側面断面図である。
【0045】
図1ないし図3に示した実施形態に関する遠心分離器は、物質を遠心分離により分離できるだけではなく、遠心分離された物質の層のうち一部層、例えば、幹細胞のみを正確かつ容易に区分して回収できる。遠心分離器は、回転軸Oを中心に回転する回転体10と、回転体10に結合される容器40とを備える。
【0046】
遠心分離器の回転体10は、その内側に遠心分離の対象になる物質を受容し、回転軸Oを中心に回転する。物質は、回転体10の内側に形成される受容部20に受容される。受容部20は、物質が遠心力により回転体10の上側に移動するように案内する役割を行う。回転体10は、受容部20の上側を覆う回転体カバー30を備える。
【0047】
回転体カバー30は、受容部20の上側に結合され、回転体10が回転する間に受容部20を密閉して物質のフローを案内する機能を行う。したがって、回転体カバー30は、受容部20の上側開口に対応する形状になる。回転体カバー30には容器40が結合される。容器40の開口部は、回転体カバー30を通じて前述した受容部20と連通する。したがって、遠心力の作用により、受容部20の上側に移動した物質は容器40の内部に流れ込む。
【0048】
回転体10の上面の回転体カバー30の周囲には複数のクリップ35が装着される。クリップ35は、回転体カバー30を回転体10側に加圧することによって、回転体カバー30を回転体10に密着結合させる機能を行う。
【0049】
受容部20に受容される物質には、人体から採取した血液のような流体が使われる。回転体10の回転により遠心分離されれば、流体は脂肪や、遊離脂肪や、水や、幹細胞などのいろいろな層に分離され、受容部20から最も外郭に移動して層を形成する幹細胞は容器40に流れ込む。
【0050】
遠心分離器は、回転体10の外側を包むケース50をさらに備える。ケース50の内側には第1磁性体56が設置され、回転体10の外側には第2磁性体26が設置される。第1磁性体56は、ケース50の内側円周に沿って延びるリング状になり、第2磁性体26も、第1磁性体56に対応するように回転体10の外側円周に沿って延びるリング状になる。第1磁性体56と第2磁性体26とは、互いに対向する面が同じ極性を持つ永久磁石で形成されて互いに反撥力を作用させうる。
【0051】
これらの第1及び第2磁性体56、26の構成によれば、回転体10が高速で回転しても、第1磁性体56と第2磁性体26とが互いに反撥力を作用させるので、回転体10とケース50とが互いに一定の間隔を保持できる。したがって、回転体10は搖動せずに安定した回転運動を続けることができる。
【0052】
ケース50内には回転体10が受容され、ケース50にケースカバー60が結合されて回転体10の上側を覆う。
【0053】
ケースカバー60には注入管61が設置される。注入管61は、ケースカバー60と回転体カバー30とを貫通して回転体10の内側に挿入されうる。注入管61は受容部20に連結される。図示されていないが、注入管61は望遠鏡のような形態になって、その長さが回転体10に向かう方向に伸縮できる。そして、注入管61は、ケースカバー60の上側に結合されたホース62と連結される。したがって、注入管61は、回転体10の内側に挿入されて外部の物質を回転体10の内側に注入するか、回転体10の内側の物質を外部に排出できる。
【0054】
回転体10が回転する間には、注入管61と回転体カバー30との間に干渉があってはならず、受容部20内の物質が上側に流出されてはならない。このような目的で、注入管61は、回転体カバー30の中央に形成された貫通孔に設置された軸受38を通過して受容部20の内側に挿入されうる。また回転体カバー30の中央に形成された貫通孔には、リング状のシーリング(図示せず)が設置されることもある。
【0055】
したがって、軸受38は、回転体10が回転する間に注入管61と回転体カバー30との間に干渉が発生しないように注入管61を支持すると共に、受容部20を密閉する機能を行う。
【0056】
回転体10を回転させるために多様な方法を使用できるが、本実施形態の回転体10は駆動モータ51により回転する。回転体10は、駆動モータ51の駆動軸52に結合されるので、駆動軸52を中心とする回転運動をする。
【0057】
図4は、図1に示した遠心分離器の回転体を示す斜視図であり、図5は、図4に示した回転体の回転体カバーを示す平面図である。図6は、図1に示した遠心分離器での回転体内の分離状況を示す側面断面図である。
【0058】
受容部20は、その内部に受容された物質が遠心力により上側に向かって流れるように、上側から下側へ行くほど断面が狭くなる形状になる垂直案内部21を備える。また受容部20は、垂直案内部21の上端から上側に向かって傾いて外側に延長する水平案内部25を備える。
【0059】
垂直案内部21は、回転体10が回転する時に物質が遠心力により上側に移動するように案内する機能を行う。垂直案内部21は、上側から下側へ行くほど断面が狭くなる形状になるので、垂直案内部21の内壁は、重力方向に対して勾配を形成する(以下、垂直案内部21の内壁により形成される傾斜面を‘重力傾斜面’と称する)。
【0060】
重力傾斜面は、回転体10が回転して物質に遠心力が作用する時、物質のフローが上側に向かうように案内する機能を行う。すなわち、回転体10が回転して流体に作用する遠心力が増大すれば、流体が重力にまさって重力傾斜面に沿って上側に流れることができる。
【0061】
本実施形態では、垂直案内部21の垂直方向の断面が逆三角形になって、重力傾斜面が三角形の斜辺により直線で形成される。しかし、本発明の遠心分離器での垂直案内部21はこのような形状に限定されず、内側に向かって湾曲するか、外側に向かって膨らんで湾曲する湾曲面で形成されることもある。
【0062】
本実施形態の垂直案内部21は、下側に向かってその断面が狭くなる円錘状になる。したがって、垂直案内部21の水平断面の形態は円形になる。このように垂直案内部21に円錘形状を適用するのは、回転体10が高速で回転する時に回転軸を中心にした重さの不均衡により左右に搖動することを最大限防止するためである。しかし、本発明の遠心分離器で垂直案内部21の形状は、水平断面が円形をなす円錘状に限定されるものではなく、下側に向かってその断面が狭くなる形状ならばいずれも適用できる。
【0063】
水平案内部25は、垂直案内部21から上側に向かって延長形成され、受容部20の上端での物質の水平方向のフローを案内する機能を行う。水平案内部25は、遠心力が最大に形成される水平断面上の地点に少なくとも一つの収斂部27を備えることができる。
【0064】
本実施形態の水平案内部25の上端の水平断面は、円の中心が内側に向かう二つの円弧、すなわち、外側に膨らんで形成される二つの円弧が結合された形態になりうる。したがって、二つの円弧が出合う地点の両側端部に収斂部27が形成される。収斂部27は、受容部20の中心から外側に最も遠く位置するため、遠心力が最大に形成される地点に該当する。
【0065】
回転体10が回転すれば、垂直案内部21内の物質に遠心力が作用するので、物質は重力傾斜面に沿って上側に移動する。物質は、垂直案内部21の上端を通過して水平案内部25に達する。水平案内部25での物質のフローは、遠心力の作用により水平案内部25の内壁に沿って移動して収斂部27に集まる。このように水平案内部25の水平断面形状の内側傾斜面は、物質の水平方向のフローを誘導する機能を行うので、以下では、これを‘遠心力傾斜面24’と称する。
【0066】
物質が移動する時の受容部20の内壁面により発生する表面抵抗を最小化するために、受容部20の表面はテフロンのようなフッ素樹脂によりコーティングされうる。したがって、受容部20内に受容された物質に遠心力が作用すれば、物質が重力傾斜面と遠心力傾斜面とにより案内されることによって、受容部20の上側に円滑に移動できる。
【0067】
図7は、本発明の一実施形態に関する遠心分離器で容器の装着状態を示す一部斜視図であり、図8は、図7に示した容器が回転した状態を示す一部斜視図である。
【0068】
回転体カバー30の上側には、容器40を支持する栓部31が設置される。栓部31は、回転体カバー30の収斂部27に対応する位置に設置される。栓部31は、受容部20と連通して回転体カバー30の上側に開口される排出口32を備える。したがって、栓部31に容器40が結合されれば、容器40は栓部31を通じて受容部20と連通する。
【0069】
容器40は、ピボット軸41により栓部31に回転自在に結合する。栓部31は容器40を支持して、容器40の中心軸Pの回転軸Oに対する角度θを所定角度に保持させることができる。容器40の中心軸Pの回転軸Oに対する角度θは、90°以上180°未満の範囲内で定められる。図3では、便宜上回転角度θを回転軸Oの上側から容器40の中心軸Pまでの角度で表示したが、前述した説明と一致させるためには、容器40が下方に向かって中心軸Pが回転軸Oと平行になる状態を0°と基準にして回転角度θが定められる。
【0070】
容器40は栓部31に回転自在に結合するが、同時に栓部31から分離可能に結合されうる。容器40は、栓部31から分離できるため、遠心分離が完了した後に容器40を回転体カバー30から分離する簡単な操作だけで幹細胞を回収できる。
【0071】
容器40が栓部31により支持される時には、容器40の開口部42と栓部31の排出口32とが互いに接する状態に維持されるので、受容部20の物質が容器40に流れ込みうる状態である(このような状態を‘結合状態’と称する)。
【0072】
栓部31と容器40との間には、容器40を栓部31に固定された状態で支持する支持部33が設置される。支持部33は電磁石で形成されて、容器40に取り付けられた金属材質または永久磁石材質の固定ピン43に磁力を作用させることによって、容器40を結合状態で支持できる。
【0073】
支持部33が磁力を作用させることを止めれば、容器40と回転体カバー30との結合が解除されて、容器40が重力の作用によりピボット軸41を中心に回転して、下側に向かう‘解除状態’にその位置が変更できる。このような作動状態を変形して、支持部33をして永久磁石材質の固定ピン43に逆になる極性の磁力を作用させて、容器40を‘解除状態’に回転させることもできる。‘解除状態’では容器40の開口部が上側に向かうので、容器40の内部の物質が流れない。
【0074】
前述した構成で形成される遠心分離器の作動を説明すれば、次の通りである。
【0075】
遠心分離を実施する対象になる物質を回転体10の受容部20に注入する。ケースカバー60は、ケース50の上側に開閉可能に結合されるので、ケースカバー60を上側に回転させて開放し、回転体カバー30を受容部20の上側から分離させた後に受容部20に人体から採取した物質を注入する。これらの方法の代りに、ホース62に連結された注入管61を利用して受容部20に物質を注入することもある。
【0076】
受容部20に物質が注入されれば、回転体カバー30を受容部20の上側に覆ってクリップ35を利用して回転体カバー30で受容部20を密閉させた後、遠心分離器を作動させる。
【0077】
遠心分離器が作動する時には容器40が結合状態に維持されねばならない。容器40を回転体10に対して上側に回転させることによって、容器40の開口部42を栓部31の排出口32に接させる。そして支持部33を作動させる。支持部33は、容器40に装着された固定ピン43に磁力を作用させるので、容器40は、回転体10が回転して遠心分離が進む間にも結合状態で安定的に維持されうる。
【0078】
ケースカバー60を開閉する時には、ケースカバー60に設置された注入管61の長さを縮小させることができる。注入管61は、回転体カバー30の中心に設置された軸受38を貫通して受容部20の内側に挿入されるが、ケースカバー60を開閉する間に軸受38と注入管61とが互いに干渉しないようにするために、注入管61の長さを縮小させることができる。
【0079】
回転体10が回転する間に、受容部20内の物質が上側に流出してはならない。このような目的で、注入管61と軸受38との間にリング状のシーリング(図示せず)が設置されることもある。
【0080】
駆動モータ51が作動して回転体10が回転運動を始めれば、受容部20の内部にある物質に遠心力が作用する。受容部20の下側には、上側から下側へ行くほど断面が狭くなる形になって、その内側に重力傾斜面を持つ垂直案内部21が形成される。したがって、遠心力の大きさが増大するにつれて、物質は垂直案内部21により案内されて重力にまさって上側に移動する。
【0081】
受容部20の上側には、垂直案内部21から上側に延びる水平案内部25が形成される。水平案内部25は、その水平断面上で遠心力が最大に形成される収斂部27を持って、水平案内部25の内面は収斂部27に連結されて物質の水平方向のフローを案内する遠心力傾斜面24を形成する。したがって、水平案内部25に移動した物質は遠心力の作用により遠心力傾斜面24に沿って案内されて収斂部27に収斂する。
【0082】
図6を参照すれば、回転体10が遠心分離を行える第1速度(rpm;revolution per minute)で回転すれば、受容部20の内部にある物質に遠心力が作用して、物質が受容部20の最外郭に移動しつつ遠心分離されることが分かる。遠心分離されて物質が比重によって複数の層に分離されれば、比重が大きくて流体抵抗の大きい物質からなる層は回転軸の中心から遠く位置し、比重が小さくて流体抵抗の小さな物質からなる層は回転軸の中心に近く位置する。ここで流体抵抗とは、流体の付着力、凝集力、粘性などにより複合的に形成される、流れまいとする流体の性質をいう。
【0083】
受容部20の内部の物質は、遊離脂肪74、脂肪73、水72、幹細胞71のようないろいろな層に分離され、比重の最も大きい幹細胞層71が受容部20及び回転体カバー30の最外郭に位置する。したがって、幹細胞層71は、栓部31の排出口32と容器40の開口部42とを経由して容器40の内部に流れ込む。幹細胞層71は最外郭の流体層を形成するが、それ自体の付着力と遠心力との作用により容器40の端部壁面に向かって圧縮されて粘着する状態になる。
【0084】
遠心分離が進んだ後に分離された物質の一部層を外部に排出する作業が行われうる。この作業は、回転体10が回転する速度を第2速度に減速させることによって行われる。遠心分離された一部の層を重力の作用により下側に向かって流すと同時に、幹細胞71を容器40の内部に保持させるように、回転体10の回転速度を予め定められた臨界速度である第2速度に減速させる。一実施形態として脂肪組織から幹細胞を分離する場合、容器中心軸の回転体の回転軸に対する角度を140°とする場合、幹細胞だけを容器内に残し、残りの流体を流下させるために23G(RCF)の遠心力を作用させれば十分である。したがって、この時の第2速度は400rpmに設定できる。
【0085】
幹細胞71を除外した内側の流体層は、遊離脂肪74、脂肪73、水72のように比重が小さくて流体抵抗の小さな物質であるため、回転体10の速度が一定速度以下に減速すれば、これら流体層は、重力の作用により回転体10の受容部20に沿って下側に移動する。この状態でこれら流体層にも遠心力が作用するが、流体抵抗が小さいので遠心力と流体抵抗による力とが重力より小さくて、これら流体層は受容部20に沿って下側に移動できる。
【0086】
容器40の内部に収得しようとする物質である幹細胞71のみ残れば、容器40の開口部42が上側に向かうように支持部33の作動を解除して、容器40と回転体カバー30との結合を解除した後、回転体10を停止させる。支持部33が磁力を作用させることを止めれば、容器40が重力の作用によってピボット軸41を中心に回転して下側に向かう解除状態にその位置を変更させる。容器40が解除状態に転換されれば、駆動モータ51を停止させて回転体10を停止させる。
【0087】
回転体10を停止させる前または後に、受容部20に流下した物質を外部に排出することもできる。回転体10が停止した後に下側に向かう解除状態に置かれている容器40を遠心分離器から分離する。前述したように容器40の内部には幹細胞71が含まれているので、幹細胞71を分離するために別途の分離作業や希釈作業を実施する必要なく幹細胞71を容易に回収できる。
【0088】
容器40の内部の幹細胞71の量が少ない場合、水72や脂肪73などの物質が容器40の内部に流れ込みうるが、容器40の内部に存在する比重が小さくて流体抵抗の小さな物質も、回転体10の速度が減速するにつれて回転体10の下側に移動する。しかし、水72や脂肪73のように回転体10の下側に移動せねばならない物質が幹細胞72の層に粘着して下側に移動しない場合がありうるが、この時には次のような方法で洗浄を実施せねばならない。
【0089】
洗浄を実施するためには、回転体10の下側に移動した流体層を注入管61を通じて外部に排出し、注入管61を通じて回転体10の受容部20の内部に洗浄液を注入する。洗浄液を注入した後に回転体10を第1速度に増速して回転させれば、前述したような遠心分離過程が再び反復される。遠心分離が完了すれば、回転体10を第2速度に減速させることによって、水72や脂肪72のような物質の層を下側に移動させる。
【0090】
前述した過程を通じて容器40の内部に収得しようとする物質、例えば、幹細胞71のみ残れば、容器40の開口部42が上側に向かうように容器と回転体カバー30との結合を解除した後、回転体10を停止させる。回転体10を停止させる前または後に、受容部20に流下した物質を外部に排出することもできる。
【0091】
受容部20内の物質の分離がいずれも完了して幹細胞層71が容器40の内部に集まって幹細胞以外の物質が流下すれば、支持部33の作動を解除する。支持部33が磁力を作用させることを止めれば、容器40が重力の作用によりピボット軸41を中心に回転して、下側に向かう解除状態にその位置が変更されうる。容器が解除状態になれば、駆動モータ51を停止させて回転体10を停止させる。
【0092】
容器40が下側に向かう解除状態に置かれれば、前述したように、容器40の内部に幹細胞が含まれているので、幹細胞を分離するために、別途の分離作業や希釈作業を実施する必要なく幹細胞を容易に回収できる。
【0093】
容器40は、回転体カバー30に回転かつ分離自在に結合されうる。このような構成を通じて、遠心分離が完了した後に下側に回転して、解除状態に置かれた容器40を回転体カバー30から分離する簡単な操作だけで幹細胞を容易に回収できる。
【0094】
図9ないし図13は、本発明の他の実施形態に関する遠心分離器の水平案内部の水平断面を示す断面図である。
【0095】
前述した本発明の一実施形態の水平案内部の水平断面は、二つの円弧が結合された形であるが、水平案内部の水平断面はこれに限定されるものではなく、星型、ダイアモンド型のように収斂部を持ついろいろな形態に変形されることもある。
【0096】
図9ないし図13に示した実施形態において、水平案内部はその水平断面上でそれぞれ遠心力が最大に形成される地点に収斂部27b、27c、27d、27e、27fを持つ。水平案内部での物質のフローは、遠心力の作用により水平案内部の内壁に沿って形成されるので、物質は、収斂部27b、27c、27d、27e、27fに集まる。
【0097】
受容部の上側を覆う回転体カバーは、このような水平案内部の形態に対応する形態になり、容器は、回転体カバーの収斂部に対応する位置に結合されうる。
【0098】
本発明に関する遠心分離器は、重力に対して勾配を形成する傾斜面から下方に移動できるあらゆる物質、すなわち、液体、粉末、ゼリー、液体と固体との混合物、コロイド、球形に近い固体のように、液体と固体いずれにも適用できる。
【0099】
これら物質は、少量の場合にも容器40と受容部20との内壁面に接触して流れるため、摩擦力の作用を受ける。回転体10が回転する状態では、容器40と受容部20との内部にある物質に遠心力が作用するが、容器40と受容部20との内壁面が傾いて重力に対して傾斜面を形成しているので、容器40と受容部20との内部にある物質に重力と遠心力とが共に作用する。回転体10の速度が減少して遠心力が重力より小さくなれば、物質は、重力の作用により傾斜面に沿って下方に流れうる条件に置かれるが、下方に向かう物質のフローに抵抗が作用するため、物質の種類によって下方に向かって流れる時点が異なる。
【0100】
摩擦力が作用しない理想的な状況を仮定すれば、物質に作用する重力と遠心力とが同一な場合には、物質が流れずに現在の状態に維持される平衡点になる。しかし、実際には、流体に対する抵抗の摩擦力が作用するので、これを考慮せねばならない。
【0101】
図14は、本発明の一実施形態に関する遠心分離器で、遠心力が作用しないと仮定した時に容器内で作用する力を示す概略図である。
【0102】
図14には、容器が水平面に対してαの角度を形成するように固定されて重力に対する傾斜面Asを形成した状態が概略的に示し、ここでは、遠心分離器が回転しなくて遠心力が作用しない状態を仮定した。この時、物質には重力Gのみ作用するが、重力Gの傾斜面As方向の成分Gsが、物質を傾斜面に沿って下方に流す作用をする。そして、物質と容器の傾斜面Asとの間に作用する流体抵抗の摩擦力Fsは、物質のフロー方向の逆方向に形成されることによって、下方に向かう物質のフローを妨害する。
【0103】
図15Aは、図14に示した力が変化された状態を示した概略図であって、遠心力が作用する状態を示す。
【0104】
回転体が回転すれば、物質に遠心力が作用する。遠心力Cは水平に作用するので、傾斜面上の力Csが物質を上方に流す作用をする。物質は、遠心力Cと重力Gとの合力Tの作用により傾斜面Asに向かって加圧される。図示された遠心力Cの大きさは重力Gより大きく形成されるが、これによって、物質に作用する合力Tの傾斜面上の力Tsが物質を上側に向かって押し上げ、傾斜面上の力Tsが摩擦力Fsより大きければ、物質は傾斜面Asに沿って上側に向かって移動する。
【0105】
物質が下方に流れるためには、回転体の速度がさらに減少して遠心力Cが小さくなるか、傾斜面Asがさらに傾くことによって重力の傾斜面上の力Gsがさらに大きくならねばならない。本発明に関する遠心分離器で、容器は、回転体に対して角度が固定されているので、傾斜面がさらに傾くことはできず、受容部の傾斜面も固定されている。したがって、回転速度を変化させねばならない。
【0106】
図15Bは、図14に示した力が変化された状態を示す概略図であって、遠心力が減少した状態を示す。
【0107】
図15Bに示した状態では、回転体の速度が減少して遠心力Cが小さくなり、これによって遠心力の傾斜面上の力Csが小さくなった。したがって、重力Gと遠心力Cとの合力Tの傾斜面上の力Tsが、物質を下方に向かって流すように作用する。回転体の速度が減少して遠心力Cが重力Gより小さくなれば、物質は傾斜面に沿って下方に流れることができるが、物質と容器の内壁面との間に作用する流体抵抗の摩擦力Fsが下方に向かう物質のフローを妨害する。すなわち、遠心力Cの傾斜面上の力と摩擦力Fsとの合力が、重力の傾斜面上の力Gsに逆に作用する。したがって、傾斜面上の力Tsが、抵抗として作用する摩擦力Fsより大きければ、物質は下方に移動できる。
【0108】
このように物質が下方に向かって移動するフローには2側面の変数が作用する。
【0109】
第1に、比重に関連した側面の変数である重力と遠心力とがある。回転体が同じ回転数、すなわち、同じ回転速度で回転する場合にも、回転半径が大きい位置にあるほど遠心力が大きくなる。したがって、回転体の回転速度を減速させつつ物質のフローを観察すれば、回転軸に近い位置から流れる。比重の大きい物質であるほど回転半径が大きい方向に位置するので、回転体が減速するうちに回転半径の小さな方向に位置する物質よりは回転半径の大きい方向に位置する物質の方が流れる時点が遅くなる。したがって、比重の大きい物質を収得するのがさらに容易である。また重力と遠心力とにより物質が上方に向かって移動するように生成される力を上昇力といい、このような上昇力の大きさによって物質が傾斜面の上方及び下方に移動する。
【0110】
第2に、流体抵抗による抗フロー性側面の変数である摩擦力がある。傾斜面で複合的な流体のフローを妨害する力は多様な変数により決定される。代表的な変数として、液体の場合に粘度と凝集力(表面張力)とを例として挙げることができ、固体の場合、移動性、摩擦力などの力があり、半固体(ゲル)や混合物には付着性がある。これらの力は摩擦力と同じ形態の力であると説明できる。このようなあらゆる力の合力を抗フロー性や抗流下性という用語で表現できる。
【0111】
本発明の遠心分離器によれば、比重の差と抗フロー性とがいずれも大きい物質をそうでない物質から容易に分離できる。特別に、細胞を分離する場合、収得しようとする物質である細胞は、比重の差と抗フロー性という2つの条件をいずれも満たす物質であるため、容易に分離できる長所がある。
【0112】
図16は、本発明の他の実施形態に関する容器の支持構造を示す側面図であり、図17は、図16に示した容器の結合状態が解除された状態を示す側面図であり、図18は、図16に示した容器が解除状態に変換された状態を示す側面図である。
【0113】
図16に示した実施形態に関する遠心分離器では、栓部31が外部信号により作動するロッキング装置33bを備える。ロッキング装置33bは、信号ライン33aを通じて外部信号を入力されて作動する。ロッキング装置33bは、信号を入力されれば、容器40方向に突出して、容器40に設置された結合片43bに結合される。ロッキング装置33bが結合片43bに結合されれば、容器40の開口部が栓部31の排出口に結合された結合状態が維持されうる。
【0114】
遠心分離が完了して回転体が停止すれば、ロッキング装置33bが外部信号により作動することによって、結合片43bからはずれる。これを通じて容器40は、栓部31から自由な状態になるので、容器40自体の重さによりピボット軸41を中心に下側に向かって回転して解除状態に転換される。
【0115】
本実施形態で、ロッキング装置33bは栓部31に設置され、結合片43bは容器40に設置されたが、本発明はこれに限定されず、ロッキング装置33bと結合片43bとが設置される位置は互いに変わることもある。
【0116】
図19は、本発明のさらに他の実施形態に関する容器の支持構造を示す斜視図である。
【0117】
図19に示した実施形態に関する遠心分離器では、容器40がピボット軸41を介して栓部31に回転自在に結合し、ピボット軸41には強制動力手段が結合する。本実施形態の強制動力手段としては回転モータ41bが使われたが、それ以外にも、容器40のピボット軸41を回転させる動力を発生させうる多様な変形例が可能である。回転モータ41bは、外部信号により作動してピボット軸41を駆動することによって容器40を回転させることができる。
【0118】
遠心分離が進む間には、回転モータ41bが容器40を栓部31の方向に回転させる駆動力を作用することによって、容器40の開口部42が栓部31の排出口32に接する結合状態を維持させることができる。そして遠心分離が完了した場合、回転モータ41bが逆方向に駆動して容器40を下側に回転させることができる。
【0119】
図20は、本発明の一実施形態に関する遠心分離方法のフローチャートである。
【0120】
本発明に関する遠心分離方法は、物質が遠心力により上側に移動するように案内する受容部と、受容部の上側を覆う回転体カバーと、回転体カバーに分離可能に結合して受容部と連通する容器とを備える回転体を利用する遠心分離方法である。
【0121】
遠心分離方法は、受容部の内部に物質を提供するステップ(S100)と、物質が受容部の上側に移動して容器に流れ込むように回転体を第1速度で回転させて物質を遠心分離するステップ(S110)と、遠心分離された物質の一部層が受容部に流下するように回転体の回転速度を第1速度より低い第2速度に減速させるステップ(S120)と、容器の開口部が上側に向かうように回転体カバーとの結合を解除するステップ(S130)と、回転体を停止させるステップ(S140)とを含む。遠心分離方法は、回転体を停止させるステップ(S140)以後に、容器を回収するステップ(S150)をさらに含むことができる。
【0122】
ステップS120で回転体が回転する速度である第2速度は、遠心分離により分離された物質の層のうち外郭に存在する一部の層は容器に付着させ、残りの層は重力の作用により受容部に流下させる遠心力を形成する速度に設定できる。
【0123】
また第2速度は、1Gないし80Gの遠心力を物質に作用させる速度に設定できる。このような範囲の第2速度は実験的に定められたものであり、水、脂肪のような物質は受容部に流下させ、幹細胞のみ容器に残すように調整された数値である。
【0124】
図21は、本発明の他の実施形態に関する遠心分離方法のフローチャートである。
【0125】
本発明の他の実施形態に関する遠心分離方法も、物質が遠心力により上側に移動するように案内する受容部と、受容部の上側を覆う回転体カバーと、回転体カバーに分離可能に結合して受容部と連通する容器とを備える回転体を利用する遠心分離方法である。
【0126】
図21に示した実施形態は、前述した実施形態から変形されて受容部の底部に受容された物質を外部に排出するステップ(S120a)と、洗浄液を受容部の内部に注入してS110ないしS120aのステップを繰り返すステップ(S120b)とをさらに含む。
【0127】
遠心分離方法は、受容部の内部に物質を提供するステップ(S100)と、物質が受容部の上側に移動して容器に流れ込むように回転体を第1速度で回転させて物質を遠心分離するステップ(S110)と、遠心分離された物質の一部層が受容部に流下するように回転体の回転速度を第1速度より低い第2速度に減速させるステップ(S120)と、回転体カバーを貫通して受容部の内部に連結される注入管を通じて受容部の底部に受容された物質を外部に排出するステップ(S120a)と、注入管を通じて洗浄液を受容部の内部に注入した後、S110ないしS120aのステップを反復的に行うステップ(S120b)と、物質の分離が完了して洗浄液を注入しない場合に容器の開口部が上側に向かうように回転体カバーとの結合を解除するステップ(S130)と、回転体を停止させるステップ(S140)とを含む。遠心分離方法は、回転体を停止させるステップ(S140)以後に容器を回収するステップ(S150)をさらに含むことができる。
【0128】
このように洗浄液を注入してS110ないしS120aのステップを繰り返すのは、受容部に流下されるべき物質の層の一部が遠心分離により別途に回収されねばならない物質の層に混ざっている場合に、遠心分離を再び実施して不要な物質の層を受容部に流下させるためである。
【0129】
本発明は、前述した実施形態を参考までに説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲により定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、流体の具体的な成分によって回転中に加えられる遠心力の大きさが異なるという点を利用して回転速度を調節することによって、大きい遠心力が作用する流体と相対的に小さな大きさの遠心力が作用する流体とを互いに分離する遠心分離器及び遠心分離方法関連の技術分野に適用できる。本発明の遠心分離器及び遠心分離方法によれば、遠心力により物質を分離し、分離された物質の層を正確でかつ容易に区分して回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の一実施形態に関する遠心分離器の斜視図である。
【図2】図1に示した遠心分離器の上部を示す一部斜視図である。
【図3】図1に示した遠心分離器の側面断面図である。
【図4】図1に示した遠心分離器の回転体を示す斜視図である。
【図5】図4に示した回転体の回転体カバーを示す平面図である。
【図6】図1に示した遠心分離器で回転体内の分離状況を示す側面断面図である。
【図7】図1に示した遠心分離器で容器の装着状態を示す一部斜視図である。
【図8】図7に示した容器が回転した状態を示す一部斜視図である。
【図9】本発明の他の実施形態に関する遠心分離器の水平案内部の水平断面を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に関する遠心分離器の水平案内部の水平断面を示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に関する遠心分離器の水平案内部の水平断面を示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に関する遠心分離器の水平案内部の水平断面を示す断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態に関する遠心分離器の水平案内部の水平断面を示す断面図である。
【図14】本発明の一実施形態に関する遠心分離器で、遠心力が作用しないと仮定した時に容器内で作用する力を示す概略図である。
【図15A】図14に示した力が変化された状態を示す概略図である。
【図15B】図14に示した力が変化された状態を示す概略図である。
【図16】本発明の他の実施形態に関する容器の支持構造を示す側面図である。
【図17】図16に示した容器の結合状態が解除された状態を示す側面図である。
【図18】図16に示した容器が解除状態に変換された状態を示す側面図である。
【図19】本発明のさらに他の実施形態に関する容器の支持構造を示す斜視図である。
【図20】本発明の一実施形態に関する遠心分離方法のフローチャートである。
【図21】本発明の他の実施形態に関する遠心分離方法のフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の具体的な成分によって、回転中に加えられる遠心力の大きさが異なるという点を利用して回転速度を調節することによって、大きい遠心力が作用する流体と、相対的に小さな遠心力が作用する流体とを互いに分離する遠心分離器及び遠心分離方法に関する。本発明の遠心分離器及び遠心分離方法によれば、遠心力により物質を分離し、分離された物質の層を正確でかつ容易に区分して回収できる。
【背景技術】
【0002】
本発明に関する遠心分離器と遠心分離方法は、重力に対して勾配を形成する傾斜面から下方に移動できるあらゆる物質、すなわち、液体、粉末、ゼリー、液体と固体との混合物、コロイド、球形に近い固体のように、液体と固体いずれにも適用できる。
【0003】
遠心分離器は、物体が回転する時に発生する遠心力を利用して物質を分離する装置である。遠心分離器は、遠心分離をする試料の量、回転速度、ローターなどによっていろいろな形態に区分できる。
【0004】
生命工学では、液体と混合されている細胞または液体より高い比重及び付着力を持つ物質を比重により分離するための目的で遠心分離器が使われる。最近には、成体幹細胞の研究が活性化するにつれて多量の成体組織(脂肪、骨髄など)から少量の幹細胞を分離するための遠心分離技術についての研究が進んでいる。
【0005】
生命工学に使われる遠心分離器は、人体細胞を破壊せずに分離せねばならないため、一般的な物質を分離するのに必要な遠心力より弱い遠心力を利用する。細胞の遠心分離に許容される遠心力は100Gが最大であり、一般的にはこれより低い。ここで‘G’は、重力定数(gravitational constant)を意味するものであって、通例的に遠心分離器では遠心力が重力と同じ力で作用するので、‘G’の単位を使用して遠心力を表現する。
【0006】
生命工学実験室で遠心分離器を使用して血液のような複合的流体(微細な固形成分またはゼリーのような半固形成分を含む液体であって、高分子以上の包括的概念;以下‘流体’と称する)を含む物質を遠心分離すれば、流体は比重により複数の層に分けられる。
【0007】
細胞が遠心分離器により分離された場合、分離された流体の各層は試験管内に積層されるため、視覚的には容易に区分できるが、これを物理的に分離する作業は容易ではない。一般的に遠心分離器により分離された流体の層を分ける作業は手作業で行なわれる。しかし、遠心分離された流体の層を分ける作業には相当な手間がかかるだけではなく、分離された物質の損失が発生するので、分離された物質の純度を保証できないという問題点があった。
【0008】
細胞の真上層の液体はほぼ水の成分であるが、試験管を徐々に傾けつつ上層の液体を分離しようとすれば、最下層の細胞も共に流動するため、遠心分離により分離された細胞が流失してしまうという問題がある。
【0009】
遠心力が作用しない状態では、細胞間の凝集力または付着力が水の性質とあまり差がないために、上層の液体のみを分離する作業の約50%以上が失敗する。分離作業が成功する場合にも最上層の一部細胞が流失される恐れがある。もし、細胞間をさらに密着させるための目的で遠心力を増大させるならば、細胞は破壊される恐れもある。
【0010】
このような問題点のため、現在作業者はピペットを利用して上層を除去しているが、除去しようとする液体の成分の一部がチューブに残るため、少なくとも7回ないし8回の希釈工程を経る洗浄を実施せねばならないという難しさがあった。
【0011】
一例として、脂肪組織から幹細胞を分離する時には、多量の組織をコラーゲンのような溶解剤で溶解させて極少量の幹細胞を区分する作業と、分離された物質を洗浄する洗浄作業とが行われる。ここで洗浄作業は、分離された物質を人体に再び使用するために、物質に含まれた不要な薬物やその他の成分を除去するための工程である。ところが、洗浄作業には長時間がかかるだけではなく、細胞を損失させてしまうという問題点がある。すなわち、洗浄作業を行う時には分離された物質に多くの操作を施さねばならないが、これによって細胞が空気に露出される時間が長くなって細胞が汚れる危険性も増加する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、遠心力により物質を分離し、分離された物質の層を正確かつ容易に区分して回収できる遠心分離器及び遠心分離方法を提供するところにある。
【0013】
本発明の他の目的は、別途の区分作業や洗浄作業を実施しなくても、遠心分離により分離された物質の層から幹細胞を正確に区分して回収できる遠心分離器及び遠心分離方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、流体の具体的な成分によって、回転時に作用する遠心力の大きさが異なるという点を利用して回転速度を調節することによって、大きい遠心力が作用する流体と相対的に小さな遠心力が作用する流体とを互いに分離する遠心分離方法及び遠心分離器を提供する。
【0015】
本発明に関する遠心分離器及び遠心分離方法は、人体から採取した血液、脂肪のような複合的流体(微細な固形成分またはゼリーのような半固形成分を含む液体であって、高分子以上の包括的概念;以下‘流体’と称する)のような物質を遠心分離するためのものである。さらに具体的には、本発明によれば、人体から採取した脂肪などの複合的流体に少量で含まれた幹細胞が遠心分離され、遠心力の作用により移動した幹細胞が分離可能に装着された容器に蓄積されるので、別途の分離作業や洗浄作業を実施しなくても、幹細胞が正確に区分されて回収されうる。
【0016】
本発明に関する遠心分離器と遠心分離方法とは、重力に対して勾配を形成する傾斜面から下方に移動できるあらゆる物質、すなわち、液体、粉末、ゼリー、液体と固体との混合物、コロイド、球形に近い固体のように液体と固体いずれにも適用できる。
【0017】
本発明に関する遠心分離器は、内部に物質を受容し、物質が遠心力により上側に移動するように案内する受容部と受容部の上側を覆う回転体カバーとを備えて回転する回転体と、受容部と連通するように回転体カバーに結合して受容部の上側に移動した物質を受容する容器と、を備える。
【0018】
本発明において、受容部は、受容された物質が遠心力により上側に向かって流れるように、上側から下側へ行くほど断面が狭くなる形状になる垂直案内部を備えることができる。
【0019】
本発明において、受容部は、垂直案内部の上端から上側に向かって傾いて外側に延長する水平案内部をさらに備え、水平案内部は、垂直案内部から上側に移動した物質が、遠心力の作用により内壁に沿って移動して収斂するように水平断面上で遠心力が最大に作用する少なくとも一つの収斂部を持つ。
【0020】
本発明に関する、上部へ行くほど断面が広くなる形状の受容部を持つ遠心分離器を利用すれば、遠心分離時に遠心力の作用により物質が受容部の底部から上側に移動して、容器の開口部の反対側の容器の底部から遠心力を受ける大きさの順に分離層が形成される。
【0021】
層状分離が終結した後、回転速度を低めて回転体の回転を続ければ、それぞれの分離層を構成する成分の流体力学的性質によってそれぞれの層に作用する重力と遠心力との大きさが変わる。一部分離層には重力の大きさが相対的に大きく作用するので、受容部の底部に流下し、遠心力の大きさが相対的に大きく作用する分離層は容器にそのまま残る。
【0022】
これにより、本発明は人体から採取した脂肪組織などの複合的流体内の幹細胞が、脂肪組織液に含まれたその他の成分に比べて流体抵抗の大きい物質であり、同じ回転速度で他の物質に比べて相対的に大きい遠心力を受ける特性に鑑みて、別途の分離作業や洗浄作業を実施しなくても、遠心分離器内で幹細胞の分離層のみを正確に区分して回収できる遠心分離器及びこれを利用した遠心分離方法を提供する。
【0023】
本発明において、前記水平案内部の水平断面は、外側に向かって膨らんで形成される二つの円弧が結合された形状でありうる。
【0024】
本発明において、垂直案内部は、上側から下側へ行くほどその断面が狭くなる円錘状になる。
【0025】
本発明において、前記垂直案内部の内壁は、内側に向かって膨らんで湾曲形成される。
【0026】
本発明において、前記受容部の表面は、受容された物質が移動する時の表面抵抗を減らすためにコーティングされている。
【0027】
本発明において、回転体カバーは、受容部と連通して回転体カバーの上側に開口される栓部を備え、容器は、栓部に回転自在に結合され、容器の開口部が栓部に接して受容部と連通する結合状態と、開口部が栓部から分離される解除状態との間で容器が回転する。
【0028】
本発明において、栓部は、回転体カバーの前記収斂部に対応する位置に設置される。
【0029】
本発明において、栓部は、容器の中心軸の回転体の回転軸に対する角度が90°以上180°未満の一定の角度に保持されるように容器を支持する。
【0030】
本発明において、栓部は、容器に対して磁力を作用して容器を前記結合状態で支持する支持部を備える。回転体の回転速度が減速することによって遠心分離された物質の一部が受容部に流れた後、支持部が逆の磁力を作用させるか、または磁力を解除して容器を解除状態に転換し、重力と遠心力との作用により容器が下側に向かって回転して、容器の中心軸の回転体の回転軸に対する角度が90°未満になる。
【0031】
本発明において、栓部と容器との間には、結合片と、外部信号により作動して結合片に結合することによって容器を結合状態で支持するロッキング装置が設置される。回転体の回転速度が減速することによって遠心分離された物質の一部が受容部に流れた後、ロッキング装置の結合片に対する結合を解除することによって容器を解除状態に転換し、重力と遠心力との作用により容器が下側に向かって回転して、容器の中心軸の回転体の回転軸に対する角度が90°未満になる。
【0032】
本発明において、容器は、ピボット軸を介して栓部に回転自在に結合され、ピボット軸は、外部信号により作動する強制動力手段により駆動される。
【0033】
本発明において、遠心分離器は、回転体の外側を包むケースをさらに備え、ケースの内側には第1磁性体が設置され、回転体の外側には第2磁性体が設置され、回転体が回転する間に回転体と前記ケースとは、第1磁性体と第2磁性体との反撥力により互いに一定の間隔を保持する。
【0034】
本発明に関する遠心分離器は、回転体の上側を覆うようにケースに結合されるケースカバーと、外部からケースカバーと回転体カバーとを貫通して回転体の受容部の内部に連結され、受容部に受容された物質を外部に排出するか、外部の物質を受容部に注入する注入管とをさらに備える。
【0035】
本発明による遠心分離器は、遠心分離に求められる最大の速度、すなわち、第1速度で一定の時間回転して物質を分離層に遠心分離した後、第1速度より低い第2速度に減速して再び一定時間回転を続けるように作動される。これらの第2速度の大きさは、分離対象物質の物性、特に、流体抵抗の大きさによって決定される。減速された回転速度、すなわち、第2速度で回転体が回転を続ければ、容器の内部と回転体受容部とにわたって形成された分離層のうち一部の分離層は、重力より大きい遠心力の作用を受けて容器の内部に保持されるが、その他の分離層は重力より小さな遠心力の作用を受けて受容部の底部に流下してしまう。このように、本発明は、遠心分離しようとする分離層に合せて第2速度を調整することによって、一部の分離層が受容部の底部に流下する臨界点を決定できる。
【0036】
本発明に関する遠心分離方法は、物質が遠心力により上側に移動するように案内する受容部と、受容部の上側を覆う回転体カバーと、回転体カバーに分離可能に結合されて受容部と連通する容器と、を備える回転体を利用する遠心分離方法であって、(a)受容部の内部に物質を提供するステップと、(b)物質が受容部の上側に移動して容器に流れ込むように回転体を第1速度で回転させて物質を遠心分離するステップと、(c)遠心分離された物質の一部の層が受容部に流下するように回転体の回転速度を第1速度より低い第2速度に減速させるステップと、(d)容器の開口部が上側に向かうように容器と回転体カバーとの結合を解除するステップと、(e)回転体を停止させるステップと、を含む。
【0037】
本発明において、(c)ステップは、回転体の回転速度を第2速度に減速させた後、回転体カバーを貫通して回転体の受容部の内部に連結される注入管を通じて受容部に受容された物質を外部に排出するステップをさらに含む。
【0038】
本発明において、受容部に受容された物質を外部に排出するステップ後に、注入管を通じて洗浄液を受容部の内部に注入し、(b)ステップ及び(c)ステップを繰り返すステップをさらに含む。
【0039】
本発明において、第2速度は、遠心分離により分離された最外郭層の物質は容器に付着させ、残りの層の物質は重力の作用により受容部に流下させる遠心力を形成する速度に設定される。
【0040】
本発明において、第2速度は、1Gないし80Gの遠心力を物質に作用させる速度に設定される。
【発明の効果】
【0041】
本発明の遠心分離器及び遠心分離方法は、遠心力により物質を分離し、分離された物質の層を正確かつ容易に区分して回収できる。
【0042】
また本発明の遠心分離器及び遠心分離方法は、遠心力の作用により受容部から上側に移動した幹細胞が容器に集まるので、別途の区分作業や洗浄作業を実施しなくても幹細胞を正確に区分して回収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、添付図面の実施形態を通じて、本発明に関する遠心分離器の構成と作用を詳細に説明する。
【0044】
図1は、本発明の一実施形態に関する遠心分離器の斜視図であり、図2は、図1に示した遠心分離器の上部を示す一部斜視図であり、図3は、図1に示した遠心分離器の側面断面図である。
【0045】
図1ないし図3に示した実施形態に関する遠心分離器は、物質を遠心分離により分離できるだけではなく、遠心分離された物質の層のうち一部層、例えば、幹細胞のみを正確かつ容易に区分して回収できる。遠心分離器は、回転軸Oを中心に回転する回転体10と、回転体10に結合される容器40とを備える。
【0046】
遠心分離器の回転体10は、その内側に遠心分離の対象になる物質を受容し、回転軸Oを中心に回転する。物質は、回転体10の内側に形成される受容部20に受容される。受容部20は、物質が遠心力により回転体10の上側に移動するように案内する役割を行う。回転体10は、受容部20の上側を覆う回転体カバー30を備える。
【0047】
回転体カバー30は、受容部20の上側に結合され、回転体10が回転する間に受容部20を密閉して物質のフローを案内する機能を行う。したがって、回転体カバー30は、受容部20の上側開口に対応する形状になる。回転体カバー30には容器40が結合される。容器40の開口部は、回転体カバー30を通じて前述した受容部20と連通する。したがって、遠心力の作用により、受容部20の上側に移動した物質は容器40の内部に流れ込む。
【0048】
回転体10の上面の回転体カバー30の周囲には複数のクリップ35が装着される。クリップ35は、回転体カバー30を回転体10側に加圧することによって、回転体カバー30を回転体10に密着結合させる機能を行う。
【0049】
受容部20に受容される物質には、人体から採取した血液のような流体が使われる。回転体10の回転により遠心分離されれば、流体は脂肪や、遊離脂肪や、水や、幹細胞などのいろいろな層に分離され、受容部20から最も外郭に移動して層を形成する幹細胞は容器40に流れ込む。
【0050】
遠心分離器は、回転体10の外側を包むケース50をさらに備える。ケース50の内側には第1磁性体56が設置され、回転体10の外側には第2磁性体26が設置される。第1磁性体56は、ケース50の内側円周に沿って延びるリング状になり、第2磁性体26も、第1磁性体56に対応するように回転体10の外側円周に沿って延びるリング状になる。第1磁性体56と第2磁性体26とは、互いに対向する面が同じ極性を持つ永久磁石で形成されて互いに反撥力を作用させうる。
【0051】
これらの第1及び第2磁性体56、26の構成によれば、回転体10が高速で回転しても、第1磁性体56と第2磁性体26とが互いに反撥力を作用させるので、回転体10とケース50とが互いに一定の間隔を保持できる。したがって、回転体10は搖動せずに安定した回転運動を続けることができる。
【0052】
ケース50内には回転体10が受容され、ケース50にケースカバー60が結合されて回転体10の上側を覆う。
【0053】
ケースカバー60には注入管61が設置される。注入管61は、ケースカバー60と回転体カバー30とを貫通して回転体10の内側に挿入されうる。注入管61は受容部20に連結される。図示されていないが、注入管61は望遠鏡のような形態になって、その長さが回転体10に向かう方向に伸縮できる。そして、注入管61は、ケースカバー60の上側に結合されたホース62と連結される。したがって、注入管61は、回転体10の内側に挿入されて外部の物質を回転体10の内側に注入するか、回転体10の内側の物質を外部に排出できる。
【0054】
回転体10が回転する間には、注入管61と回転体カバー30との間に干渉があってはならず、受容部20内の物質が上側に流出されてはならない。このような目的で、注入管61は、回転体カバー30の中央に形成された貫通孔に設置された軸受38を通過して受容部20の内側に挿入されうる。また回転体カバー30の中央に形成された貫通孔には、リング状のシーリング(図示せず)が設置されることもある。
【0055】
したがって、軸受38は、回転体10が回転する間に注入管61と回転体カバー30との間に干渉が発生しないように注入管61を支持すると共に、受容部20を密閉する機能を行う。
【0056】
回転体10を回転させるために多様な方法を使用できるが、本実施形態の回転体10は駆動モータ51により回転する。回転体10は、駆動モータ51の駆動軸52に結合されるので、駆動軸52を中心とする回転運動をする。
【0057】
図4は、図1に示した遠心分離器の回転体を示す斜視図であり、図5は、図4に示した回転体の回転体カバーを示す平面図である。図6は、図1に示した遠心分離器での回転体内の分離状況を示す側面断面図である。
【0058】
受容部20は、その内部に受容された物質が遠心力により上側に向かって流れるように、上側から下側へ行くほど断面が狭くなる形状になる垂直案内部21を備える。また受容部20は、垂直案内部21の上端から上側に向かって傾いて外側に延長する水平案内部25を備える。
【0059】
垂直案内部21は、回転体10が回転する時に物質が遠心力により上側に移動するように案内する機能を行う。垂直案内部21は、上側から下側へ行くほど断面が狭くなる形状になるので、垂直案内部21の内壁は、重力方向に対して勾配を形成する(以下、垂直案内部21の内壁により形成される傾斜面を‘重力傾斜面’と称する)。
【0060】
重力傾斜面は、回転体10が回転して物質に遠心力が作用する時、物質のフローが上側に向かうように案内する機能を行う。すなわち、回転体10が回転して流体に作用する遠心力が増大すれば、流体が重力にまさって重力傾斜面に沿って上側に流れることができる。
【0061】
本実施形態では、垂直案内部21の垂直方向の断面が逆三角形になって、重力傾斜面が三角形の斜辺により直線で形成される。しかし、本発明の遠心分離器での垂直案内部21はこのような形状に限定されず、内側に向かって湾曲するか、外側に向かって膨らんで湾曲する湾曲面で形成されることもある。
【0062】
本実施形態の垂直案内部21は、下側に向かってその断面が狭くなる円錘状になる。したがって、垂直案内部21の水平断面の形態は円形になる。このように垂直案内部21に円錘形状を適用するのは、回転体10が高速で回転する時に回転軸を中心にした重さの不均衡により左右に搖動することを最大限防止するためである。しかし、本発明の遠心分離器で垂直案内部21の形状は、水平断面が円形をなす円錘状に限定されるものではなく、下側に向かってその断面が狭くなる形状ならばいずれも適用できる。
【0063】
水平案内部25は、垂直案内部21から上側に向かって延長形成され、受容部20の上端での物質の水平方向のフローを案内する機能を行う。水平案内部25は、遠心力が最大に形成される水平断面上の地点に少なくとも一つの収斂部27を備えることができる。
【0064】
本実施形態の水平案内部25の上端の水平断面は、円の中心が内側に向かう二つの円弧、すなわち、外側に膨らんで形成される二つの円弧が結合された形態になりうる。したがって、二つの円弧が出合う地点の両側端部に収斂部27が形成される。収斂部27は、受容部20の中心から外側に最も遠く位置するため、遠心力が最大に形成される地点に該当する。
【0065】
回転体10が回転すれば、垂直案内部21内の物質に遠心力が作用するので、物質は重力傾斜面に沿って上側に移動する。物質は、垂直案内部21の上端を通過して水平案内部25に達する。水平案内部25での物質のフローは、遠心力の作用により水平案内部25の内壁に沿って移動して収斂部27に集まる。このように水平案内部25の水平断面形状の内側傾斜面は、物質の水平方向のフローを誘導する機能を行うので、以下では、これを‘遠心力傾斜面24’と称する。
【0066】
物質が移動する時の受容部20の内壁面により発生する表面抵抗を最小化するために、受容部20の表面はテフロンのようなフッ素樹脂によりコーティングされうる。したがって、受容部20内に受容された物質に遠心力が作用すれば、物質が重力傾斜面と遠心力傾斜面とにより案内されることによって、受容部20の上側に円滑に移動できる。
【0067】
図7は、本発明の一実施形態に関する遠心分離器で容器の装着状態を示す一部斜視図であり、図8は、図7に示した容器が回転した状態を示す一部斜視図である。
【0068】
回転体カバー30の上側には、容器40を支持する栓部31が設置される。栓部31は、回転体カバー30の収斂部27に対応する位置に設置される。栓部31は、受容部20と連通して回転体カバー30の上側に開口される排出口32を備える。したがって、栓部31に容器40が結合されれば、容器40は栓部31を通じて受容部20と連通する。
【0069】
容器40は、ピボット軸41により栓部31に回転自在に結合する。栓部31は容器40を支持して、容器40の中心軸Pの回転軸Oに対する角度θを所定角度に保持させることができる。容器40の中心軸Pの回転軸Oに対する角度θは、90°以上180°未満の範囲内で定められる。図3では、便宜上回転角度θを回転軸Oの上側から容器40の中心軸Pまでの角度で表示したが、前述した説明と一致させるためには、容器40が下方に向かって中心軸Pが回転軸Oと平行になる状態を0°と基準にして回転角度θが定められる。
【0070】
容器40は栓部31に回転自在に結合するが、同時に栓部31から分離可能に結合されうる。容器40は、栓部31から分離できるため、遠心分離が完了した後に容器40を回転体カバー30から分離する簡単な操作だけで幹細胞を回収できる。
【0071】
容器40が栓部31により支持される時には、容器40の開口部42と栓部31の排出口32とが互いに接する状態に維持されるので、受容部20の物質が容器40に流れ込みうる状態である(このような状態を‘結合状態’と称する)。
【0072】
栓部31と容器40との間には、容器40を栓部31に固定された状態で支持する支持部33が設置される。支持部33は電磁石で形成されて、容器40に取り付けられた金属材質または永久磁石材質の固定ピン43に磁力を作用させることによって、容器40を結合状態で支持できる。
【0073】
支持部33が磁力を作用させることを止めれば、容器40と回転体カバー30との結合が解除されて、容器40が重力の作用によりピボット軸41を中心に回転して、下側に向かう‘解除状態’にその位置が変更できる。このような作動状態を変形して、支持部33をして永久磁石材質の固定ピン43に逆になる極性の磁力を作用させて、容器40を‘解除状態’に回転させることもできる。‘解除状態’では容器40の開口部が上側に向かうので、容器40の内部の物質が流れない。
【0074】
前述した構成で形成される遠心分離器の作動を説明すれば、次の通りである。
【0075】
遠心分離を実施する対象になる物質を回転体10の受容部20に注入する。ケースカバー60は、ケース50の上側に開閉可能に結合されるので、ケースカバー60を上側に回転させて開放し、回転体カバー30を受容部20の上側から分離させた後に受容部20に人体から採取した物質を注入する。これらの方法の代りに、ホース62に連結された注入管61を利用して受容部20に物質を注入することもある。
【0076】
受容部20に物質が注入されれば、回転体カバー30を受容部20の上側に覆ってクリップ35を利用して回転体カバー30で受容部20を密閉させた後、遠心分離器を作動させる。
【0077】
遠心分離器が作動する時には容器40が結合状態に維持されねばならない。容器40を回転体10に対して上側に回転させることによって、容器40の開口部42を栓部31の排出口32に接させる。そして支持部33を作動させる。支持部33は、容器40に装着された固定ピン43に磁力を作用させるので、容器40は、回転体10が回転して遠心分離が進む間にも結合状態で安定的に維持されうる。
【0078】
ケースカバー60を開閉する時には、ケースカバー60に設置された注入管61の長さを縮小させることができる。注入管61は、回転体カバー30の中心に設置された軸受38を貫通して受容部20の内側に挿入されるが、ケースカバー60を開閉する間に軸受38と注入管61とが互いに干渉しないようにするために、注入管61の長さを縮小させることができる。
【0079】
回転体10が回転する間に、受容部20内の物質が上側に流出してはならない。このような目的で、注入管61と軸受38との間にリング状のシーリング(図示せず)が設置されることもある。
【0080】
駆動モータ51が作動して回転体10が回転運動を始めれば、受容部20の内部にある物質に遠心力が作用する。受容部20の下側には、上側から下側へ行くほど断面が狭くなる形になって、その内側に重力傾斜面を持つ垂直案内部21が形成される。したがって、遠心力の大きさが増大するにつれて、物質は垂直案内部21により案内されて重力にまさって上側に移動する。
【0081】
受容部20の上側には、垂直案内部21から上側に延びる水平案内部25が形成される。水平案内部25は、その水平断面上で遠心力が最大に形成される収斂部27を持って、水平案内部25の内面は収斂部27に連結されて物質の水平方向のフローを案内する遠心力傾斜面24を形成する。したがって、水平案内部25に移動した物質は遠心力の作用により遠心力傾斜面24に沿って案内されて収斂部27に収斂する。
【0082】
図6を参照すれば、回転体10が遠心分離を行える第1速度(rpm;revolution per minute)で回転すれば、受容部20の内部にある物質に遠心力が作用して、物質が受容部20の最外郭に移動しつつ遠心分離されることが分かる。遠心分離されて物質が比重によって複数の層に分離されれば、比重が大きくて流体抵抗の大きい物質からなる層は回転軸の中心から遠く位置し、比重が小さくて流体抵抗の小さな物質からなる層は回転軸の中心に近く位置する。ここで流体抵抗とは、流体の付着力、凝集力、粘性などにより複合的に形成される、流れまいとする流体の性質をいう。
【0083】
受容部20の内部の物質は、遊離脂肪74、脂肪73、水72、幹細胞71のようないろいろな層に分離され、比重の最も大きい幹細胞層71が受容部20及び回転体カバー30の最外郭に位置する。したがって、幹細胞層71は、栓部31の排出口32と容器40の開口部42とを経由して容器40の内部に流れ込む。幹細胞層71は最外郭の流体層を形成するが、それ自体の付着力と遠心力との作用により容器40の端部壁面に向かって圧縮されて粘着する状態になる。
【0084】
遠心分離が進んだ後に分離された物質の一部層を外部に排出する作業が行われうる。この作業は、回転体10が回転する速度を第2速度に減速させることによって行われる。遠心分離された一部の層を重力の作用により下側に向かって流すと同時に、幹細胞71を容器40の内部に保持させるように、回転体10の回転速度を予め定められた臨界速度である第2速度に減速させる。一実施形態として脂肪組織から幹細胞を分離する場合、容器中心軸の回転体の回転軸に対する角度を140°とする場合、幹細胞だけを容器内に残し、残りの流体を流下させるために23G(RCF)の遠心力を作用させれば十分である。したがって、この時の第2速度は400rpmに設定できる。
【0085】
幹細胞71を除外した内側の流体層は、遊離脂肪74、脂肪73、水72のように比重が小さくて流体抵抗の小さな物質であるため、回転体10の速度が一定速度以下に減速すれば、これら流体層は、重力の作用により回転体10の受容部20に沿って下側に移動する。この状態でこれら流体層にも遠心力が作用するが、流体抵抗が小さいので遠心力と流体抵抗による力とが重力より小さくて、これら流体層は受容部20に沿って下側に移動できる。
【0086】
容器40の内部に収得しようとする物質である幹細胞71のみ残れば、容器40の開口部42が上側に向かうように支持部33の作動を解除して、容器40と回転体カバー30との結合を解除した後、回転体10を停止させる。支持部33が磁力を作用させることを止めれば、容器40が重力の作用によってピボット軸41を中心に回転して下側に向かう解除状態にその位置を変更させる。容器40が解除状態に転換されれば、駆動モータ51を停止させて回転体10を停止させる。
【0087】
回転体10を停止させる前または後に、受容部20に流下した物質を外部に排出することもできる。回転体10が停止した後に下側に向かう解除状態に置かれている容器40を遠心分離器から分離する。前述したように容器40の内部には幹細胞71が含まれているので、幹細胞71を分離するために別途の分離作業や希釈作業を実施する必要なく幹細胞71を容易に回収できる。
【0088】
容器40の内部の幹細胞71の量が少ない場合、水72や脂肪73などの物質が容器40の内部に流れ込みうるが、容器40の内部に存在する比重が小さくて流体抵抗の小さな物質も、回転体10の速度が減速するにつれて回転体10の下側に移動する。しかし、水72や脂肪73のように回転体10の下側に移動せねばならない物質が幹細胞72の層に粘着して下側に移動しない場合がありうるが、この時には次のような方法で洗浄を実施せねばならない。
【0089】
洗浄を実施するためには、回転体10の下側に移動した流体層を注入管61を通じて外部に排出し、注入管61を通じて回転体10の受容部20の内部に洗浄液を注入する。洗浄液を注入した後に回転体10を第1速度に増速して回転させれば、前述したような遠心分離過程が再び反復される。遠心分離が完了すれば、回転体10を第2速度に減速させることによって、水72や脂肪72のような物質の層を下側に移動させる。
【0090】
前述した過程を通じて容器40の内部に収得しようとする物質、例えば、幹細胞71のみ残れば、容器40の開口部42が上側に向かうように容器と回転体カバー30との結合を解除した後、回転体10を停止させる。回転体10を停止させる前または後に、受容部20に流下した物質を外部に排出することもできる。
【0091】
受容部20内の物質の分離がいずれも完了して幹細胞層71が容器40の内部に集まって幹細胞以外の物質が流下すれば、支持部33の作動を解除する。支持部33が磁力を作用させることを止めれば、容器40が重力の作用によりピボット軸41を中心に回転して、下側に向かう解除状態にその位置が変更されうる。容器が解除状態になれば、駆動モータ51を停止させて回転体10を停止させる。
【0092】
容器40が下側に向かう解除状態に置かれれば、前述したように、容器40の内部に幹細胞が含まれているので、幹細胞を分離するために、別途の分離作業や希釈作業を実施する必要なく幹細胞を容易に回収できる。
【0093】
容器40は、回転体カバー30に回転かつ分離自在に結合されうる。このような構成を通じて、遠心分離が完了した後に下側に回転して、解除状態に置かれた容器40を回転体カバー30から分離する簡単な操作だけで幹細胞を容易に回収できる。
【0094】
図9ないし図13は、本発明の他の実施形態に関する遠心分離器の水平案内部の水平断面を示す断面図である。
【0095】
前述した本発明の一実施形態の水平案内部の水平断面は、二つの円弧が結合された形であるが、水平案内部の水平断面はこれに限定されるものではなく、星型、ダイアモンド型のように収斂部を持ついろいろな形態に変形されることもある。
【0096】
図9ないし図13に示した実施形態において、水平案内部はその水平断面上でそれぞれ遠心力が最大に形成される地点に収斂部27b、27c、27d、27e、27fを持つ。水平案内部での物質のフローは、遠心力の作用により水平案内部の内壁に沿って形成されるので、物質は、収斂部27b、27c、27d、27e、27fに集まる。
【0097】
受容部の上側を覆う回転体カバーは、このような水平案内部の形態に対応する形態になり、容器は、回転体カバーの収斂部に対応する位置に結合されうる。
【0098】
本発明に関する遠心分離器は、重力に対して勾配を形成する傾斜面から下方に移動できるあらゆる物質、すなわち、液体、粉末、ゼリー、液体と固体との混合物、コロイド、球形に近い固体のように、液体と固体いずれにも適用できる。
【0099】
これら物質は、少量の場合にも容器40と受容部20との内壁面に接触して流れるため、摩擦力の作用を受ける。回転体10が回転する状態では、容器40と受容部20との内部にある物質に遠心力が作用するが、容器40と受容部20との内壁面が傾いて重力に対して傾斜面を形成しているので、容器40と受容部20との内部にある物質に重力と遠心力とが共に作用する。回転体10の速度が減少して遠心力が重力より小さくなれば、物質は、重力の作用により傾斜面に沿って下方に流れうる条件に置かれるが、下方に向かう物質のフローに抵抗が作用するため、物質の種類によって下方に向かって流れる時点が異なる。
【0100】
摩擦力が作用しない理想的な状況を仮定すれば、物質に作用する重力と遠心力とが同一な場合には、物質が流れずに現在の状態に維持される平衡点になる。しかし、実際には、流体に対する抵抗の摩擦力が作用するので、これを考慮せねばならない。
【0101】
図14は、本発明の一実施形態に関する遠心分離器で、遠心力が作用しないと仮定した時に容器内で作用する力を示す概略図である。
【0102】
図14には、容器が水平面に対してαの角度を形成するように固定されて重力に対する傾斜面Asを形成した状態が概略的に示し、ここでは、遠心分離器が回転しなくて遠心力が作用しない状態を仮定した。この時、物質には重力Gのみ作用するが、重力Gの傾斜面As方向の成分Gsが、物質を傾斜面に沿って下方に流す作用をする。そして、物質と容器の傾斜面Asとの間に作用する流体抵抗の摩擦力Fsは、物質のフロー方向の逆方向に形成されることによって、下方に向かう物質のフローを妨害する。
【0103】
図15Aは、図14に示した力が変化された状態を示した概略図であって、遠心力が作用する状態を示す。
【0104】
回転体が回転すれば、物質に遠心力が作用する。遠心力Cは水平に作用するので、傾斜面上の力Csが物質を上方に流す作用をする。物質は、遠心力Cと重力Gとの合力Tの作用により傾斜面Asに向かって加圧される。図示された遠心力Cの大きさは重力Gより大きく形成されるが、これによって、物質に作用する合力Tの傾斜面上の力Tsが物質を上側に向かって押し上げ、傾斜面上の力Tsが摩擦力Fsより大きければ、物質は傾斜面Asに沿って上側に向かって移動する。
【0105】
物質が下方に流れるためには、回転体の速度がさらに減少して遠心力Cが小さくなるか、傾斜面Asがさらに傾くことによって重力の傾斜面上の力Gsがさらに大きくならねばならない。本発明に関する遠心分離器で、容器は、回転体に対して角度が固定されているので、傾斜面がさらに傾くことはできず、受容部の傾斜面も固定されている。したがって、回転速度を変化させねばならない。
【0106】
図15Bは、図14に示した力が変化された状態を示す概略図であって、遠心力が減少した状態を示す。
【0107】
図15Bに示した状態では、回転体の速度が減少して遠心力Cが小さくなり、これによって遠心力の傾斜面上の力Csが小さくなった。したがって、重力Gと遠心力Cとの合力Tの傾斜面上の力Tsが、物質を下方に向かって流すように作用する。回転体の速度が減少して遠心力Cが重力Gより小さくなれば、物質は傾斜面に沿って下方に流れることができるが、物質と容器の内壁面との間に作用する流体抵抗の摩擦力Fsが下方に向かう物質のフローを妨害する。すなわち、遠心力Cの傾斜面上の力と摩擦力Fsとの合力が、重力の傾斜面上の力Gsに逆に作用する。したがって、傾斜面上の力Tsが、抵抗として作用する摩擦力Fsより大きければ、物質は下方に移動できる。
【0108】
このように物質が下方に向かって移動するフローには2側面の変数が作用する。
【0109】
第1に、比重に関連した側面の変数である重力と遠心力とがある。回転体が同じ回転数、すなわち、同じ回転速度で回転する場合にも、回転半径が大きい位置にあるほど遠心力が大きくなる。したがって、回転体の回転速度を減速させつつ物質のフローを観察すれば、回転軸に近い位置から流れる。比重の大きい物質であるほど回転半径が大きい方向に位置するので、回転体が減速するうちに回転半径の小さな方向に位置する物質よりは回転半径の大きい方向に位置する物質の方が流れる時点が遅くなる。したがって、比重の大きい物質を収得するのがさらに容易である。また重力と遠心力とにより物質が上方に向かって移動するように生成される力を上昇力といい、このような上昇力の大きさによって物質が傾斜面の上方及び下方に移動する。
【0110】
第2に、流体抵抗による抗フロー性側面の変数である摩擦力がある。傾斜面で複合的な流体のフローを妨害する力は多様な変数により決定される。代表的な変数として、液体の場合に粘度と凝集力(表面張力)とを例として挙げることができ、固体の場合、移動性、摩擦力などの力があり、半固体(ゲル)や混合物には付着性がある。これらの力は摩擦力と同じ形態の力であると説明できる。このようなあらゆる力の合力を抗フロー性や抗流下性という用語で表現できる。
【0111】
本発明の遠心分離器によれば、比重の差と抗フロー性とがいずれも大きい物質をそうでない物質から容易に分離できる。特別に、細胞を分離する場合、収得しようとする物質である細胞は、比重の差と抗フロー性という2つの条件をいずれも満たす物質であるため、容易に分離できる長所がある。
【0112】
図16は、本発明の他の実施形態に関する容器の支持構造を示す側面図であり、図17は、図16に示した容器の結合状態が解除された状態を示す側面図であり、図18は、図16に示した容器が解除状態に変換された状態を示す側面図である。
【0113】
図16に示した実施形態に関する遠心分離器では、栓部31が外部信号により作動するロッキング装置33bを備える。ロッキング装置33bは、信号ライン33aを通じて外部信号を入力されて作動する。ロッキング装置33bは、信号を入力されれば、容器40方向に突出して、容器40に設置された結合片43bに結合される。ロッキング装置33bが結合片43bに結合されれば、容器40の開口部が栓部31の排出口に結合された結合状態が維持されうる。
【0114】
遠心分離が完了して回転体が停止すれば、ロッキング装置33bが外部信号により作動することによって、結合片43bからはずれる。これを通じて容器40は、栓部31から自由な状態になるので、容器40自体の重さによりピボット軸41を中心に下側に向かって回転して解除状態に転換される。
【0115】
本実施形態で、ロッキング装置33bは栓部31に設置され、結合片43bは容器40に設置されたが、本発明はこれに限定されず、ロッキング装置33bと結合片43bとが設置される位置は互いに変わることもある。
【0116】
図19は、本発明のさらに他の実施形態に関する容器の支持構造を示す斜視図である。
【0117】
図19に示した実施形態に関する遠心分離器では、容器40がピボット軸41を介して栓部31に回転自在に結合し、ピボット軸41には強制動力手段が結合する。本実施形態の強制動力手段としては回転モータ41bが使われたが、それ以外にも、容器40のピボット軸41を回転させる動力を発生させうる多様な変形例が可能である。回転モータ41bは、外部信号により作動してピボット軸41を駆動することによって容器40を回転させることができる。
【0118】
遠心分離が進む間には、回転モータ41bが容器40を栓部31の方向に回転させる駆動力を作用することによって、容器40の開口部42が栓部31の排出口32に接する結合状態を維持させることができる。そして遠心分離が完了した場合、回転モータ41bが逆方向に駆動して容器40を下側に回転させることができる。
【0119】
図20は、本発明の一実施形態に関する遠心分離方法のフローチャートである。
【0120】
本発明に関する遠心分離方法は、物質が遠心力により上側に移動するように案内する受容部と、受容部の上側を覆う回転体カバーと、回転体カバーに分離可能に結合して受容部と連通する容器とを備える回転体を利用する遠心分離方法である。
【0121】
遠心分離方法は、受容部の内部に物質を提供するステップ(S100)と、物質が受容部の上側に移動して容器に流れ込むように回転体を第1速度で回転させて物質を遠心分離するステップ(S110)と、遠心分離された物質の一部層が受容部に流下するように回転体の回転速度を第1速度より低い第2速度に減速させるステップ(S120)と、容器の開口部が上側に向かうように回転体カバーとの結合を解除するステップ(S130)と、回転体を停止させるステップ(S140)とを含む。遠心分離方法は、回転体を停止させるステップ(S140)以後に、容器を回収するステップ(S150)をさらに含むことができる。
【0122】
ステップS120で回転体が回転する速度である第2速度は、遠心分離により分離された物質の層のうち外郭に存在する一部の層は容器に付着させ、残りの層は重力の作用により受容部に流下させる遠心力を形成する速度に設定できる。
【0123】
また第2速度は、1Gないし80Gの遠心力を物質に作用させる速度に設定できる。このような範囲の第2速度は実験的に定められたものであり、水、脂肪のような物質は受容部に流下させ、幹細胞のみ容器に残すように調整された数値である。
【0124】
図21は、本発明の他の実施形態に関する遠心分離方法のフローチャートである。
【0125】
本発明の他の実施形態に関する遠心分離方法も、物質が遠心力により上側に移動するように案内する受容部と、受容部の上側を覆う回転体カバーと、回転体カバーに分離可能に結合して受容部と連通する容器とを備える回転体を利用する遠心分離方法である。
【0126】
図21に示した実施形態は、前述した実施形態から変形されて受容部の底部に受容された物質を外部に排出するステップ(S120a)と、洗浄液を受容部の内部に注入してS110ないしS120aのステップを繰り返すステップ(S120b)とをさらに含む。
【0127】
遠心分離方法は、受容部の内部に物質を提供するステップ(S100)と、物質が受容部の上側に移動して容器に流れ込むように回転体を第1速度で回転させて物質を遠心分離するステップ(S110)と、遠心分離された物質の一部層が受容部に流下するように回転体の回転速度を第1速度より低い第2速度に減速させるステップ(S120)と、回転体カバーを貫通して受容部の内部に連結される注入管を通じて受容部の底部に受容された物質を外部に排出するステップ(S120a)と、注入管を通じて洗浄液を受容部の内部に注入した後、S110ないしS120aのステップを反復的に行うステップ(S120b)と、物質の分離が完了して洗浄液を注入しない場合に容器の開口部が上側に向かうように回転体カバーとの結合を解除するステップ(S130)と、回転体を停止させるステップ(S140)とを含む。遠心分離方法は、回転体を停止させるステップ(S140)以後に容器を回収するステップ(S150)をさらに含むことができる。
【0128】
このように洗浄液を注入してS110ないしS120aのステップを繰り返すのは、受容部に流下されるべき物質の層の一部が遠心分離により別途に回収されねばならない物質の層に混ざっている場合に、遠心分離を再び実施して不要な物質の層を受容部に流下させるためである。
【0129】
本発明は、前述した実施形態を参考までに説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲により定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、流体の具体的な成分によって回転中に加えられる遠心力の大きさが異なるという点を利用して回転速度を調節することによって、大きい遠心力が作用する流体と相対的に小さな大きさの遠心力が作用する流体とを互いに分離する遠心分離器及び遠心分離方法関連の技術分野に適用できる。本発明の遠心分離器及び遠心分離方法によれば、遠心力により物質を分離し、分離された物質の層を正確でかつ容易に区分して回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の一実施形態に関する遠心分離器の斜視図である。
【図2】図1に示した遠心分離器の上部を示す一部斜視図である。
【図3】図1に示した遠心分離器の側面断面図である。
【図4】図1に示した遠心分離器の回転体を示す斜視図である。
【図5】図4に示した回転体の回転体カバーを示す平面図である。
【図6】図1に示した遠心分離器で回転体内の分離状況を示す側面断面図である。
【図7】図1に示した遠心分離器で容器の装着状態を示す一部斜視図である。
【図8】図7に示した容器が回転した状態を示す一部斜視図である。
【図9】本発明の他の実施形態に関する遠心分離器の水平案内部の水平断面を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に関する遠心分離器の水平案内部の水平断面を示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に関する遠心分離器の水平案内部の水平断面を示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に関する遠心分離器の水平案内部の水平断面を示す断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態に関する遠心分離器の水平案内部の水平断面を示す断面図である。
【図14】本発明の一実施形態に関する遠心分離器で、遠心力が作用しないと仮定した時に容器内で作用する力を示す概略図である。
【図15A】図14に示した力が変化された状態を示す概略図である。
【図15B】図14に示した力が変化された状態を示す概略図である。
【図16】本発明の他の実施形態に関する容器の支持構造を示す側面図である。
【図17】図16に示した容器の結合状態が解除された状態を示す側面図である。
【図18】図16に示した容器が解除状態に変換された状態を示す側面図である。
【図19】本発明のさらに他の実施形態に関する容器の支持構造を示す斜視図である。
【図20】本発明の一実施形態に関する遠心分離方法のフローチャートである。
【図21】本発明の他の実施形態に関する遠心分離方法のフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に物質を受容し、物質が遠心力により上側に移動するように案内する受容部と、前記受容部の上側を覆う回転体カバーを備えて回転する回転体と、
前記受容部と連通するように前記回転体カバーに結合して、前記受容部の上側に移動した物質を受容する容器と、を備える遠心分離器。
【請求項2】
前記受容部は、受容された物質が遠心力により上側に向かって流れるように上側から下側へ行くほど断面が狭くなる形状になる垂直案内部を備える請求項1に記載の遠心分離器。
【請求項3】
前記受容部は、前記垂直案内部の上端から上側に向かって傾いて外側に延長する水平案内部をさらに備え、
前記水平案内部は、前記垂直案内部から上側に移動した物質が、遠心力の作用により内壁に沿って移動して収斂するように水平断面上で遠心力が最大に作用する少なくとも一つの収斂部を持つ請求項2に記載の遠心分離器。
【請求項4】
前記水平案内部の水平断面は、外側に向かって膨らんで形成される二つの円弧が結合された形状である請求項3に記載の遠心分離器。
【請求項5】
前記垂直案内部は、上側から下側へ行くほどその断面が狭くなる円錘状になる請求項3に記載の遠心分離器。
【請求項6】
前記垂直案内部の内壁は、内側に向かって膨らんで湾曲形成される請求項3に記載の遠心分離器。
【請求項7】
前記受容部の表面は、受容された物質が移動する時の表面抵抗を減らすためにコーティングされている請求項3に記載の遠心分離器。
【請求項8】
前記回転体カバーは、前記受容部と連通して前記回転体カバーの上側に開口される栓部を備え、
前記容器は、前記栓部に回転自在に結合され、
前記容器の開口部が前記栓部に接して前記受容部と連通する結合状態と、前記開口部が前記栓部から分離される解除状態との間で前記容器が回転する請求項3に記載の遠心分離器。
【請求項9】
前記栓部は、前記回転体カバーの前記収斂部に対応する位置に設置される請求項8に記載の遠心分離器。
【請求項10】
前記栓部は、前記容器の中心軸の前記回転体の回転軸に対する角度が90°以上180°未満の一定の角度に保持されるように前記容器を支持する請求項9に記載の遠心分離器。
【請求項11】
前記栓部は、前記容器に対して磁力を作用させ、前記容器を前記結合状態で支持する支持部を備える請求項10に記載の遠心分離器。
【請求項12】
前記回転体の回転速度が減速することによって遠心分離された物質の一部が前記受容部に流れた後、前記支持部が逆の磁力を作用させるか、または磁力を解除して前記容器を前記解除状態に転換し、重力と遠心力との作用により前記容器が下側に向かって回転して、前記容器の中心軸の前記回転体の回転軸に対する角度が90°未満になる請求項11に記載の遠心分離器。
【請求項13】
前記栓部と前記容器との間には、結合片と、外部信号により作動して前記結合片に結合することによって前記容器を前記結合状態で支持するロッキング装置とが設置される請求項10に記載の遠心分離器。
【請求項14】
前記回転体の回転速度が減速することによって遠心分離された物質の一部が前記受容部に流れた後、前記ロッキング装置の前記結合片に対する結合を解除することによって前記容器を前記解除状態に転換し、重力と遠心力との作用により前記容器が下側に向かって回転して、前記容器の中心軸の前記回転体の回転軸に対する角度が90°未満になる請求項13に記載の遠心分離器。
【請求項15】
前記容器は、ピボット軸を介して前記栓部に回転自在に結合され、前記ピボット軸は、外部信号により作動する強制動力手段により駆動される請求項10に記載の遠心分離器。
【請求項16】
前記遠心分離器は、前記回転体の外側を包むケースをさらに備え、前記ケースの内側には第1磁性体が設置され、前記回転体の外側には第2磁性体が設置され、前記回転体が回転する間に前記回転体と前記ケースとは、前記第1磁性体と前記第2磁性体との反撥力により互いに一定の間隔を保持する請求項9に記載の遠心分離器。
【請求項17】
前記遠心分離器は、前記回転体の上側を覆うように前記ケースに結合されるケースカバーと、
外部から前記ケースカバーと前記回転体カバーとを貫通して前記回転体の前記受容部の内部に連結され、前記受容部に受容された物質を外部に排出するか、外部の物質を前記受容部に注入する注入管と、をさらに備える請求項16に記載の遠心分離器。
【請求項18】
物質が遠心力により上側に移動するように案内する受容部と、前記受容部の上側を覆う回転体カバーと、前記回転体カバーに分離可能に結合されて前記受容部と連通する容器と、を備える回転体を利用する遠心分離方法であって、
(a)前記受容部の内部に物質を提供するステップと、
(b)物質が前記受容部の上側に移動して前記容器に流れ込むように、前記回転体を第1速度で回転させて物質を遠心分離するステップと、
(c)遠心分離された物質の一部の層が前記受容部に流下するように、前記回転体の回転速度を第1速度より低い第2速度に減速させるステップと、
(d)前記容器の開口部が上側に向かうように前記容器と前記回転体カバーとの結合を解除するステップと、
(e)前記回転体を停止させるステップと、を含む遠心分離方法。
【請求項19】
前記(c)ステップは、前記回転体の回転速度を第2速度に減速させた後、前記回転体カバーを貫通して前記回転体の前記受容部の内部に連結される注入管を通じて前記受容部に受容された物質を外部に排出するステップをさらに含む請求項18に記載の遠心分離方法。
【請求項20】
前記受容部に受容された物質を外部に排出するステップ後に、前記注入管を通じて洗浄液を前記受容部の内部に注入し、前記(b)ステップないし(c)ステップを繰り返すステップをさらに含む請求項19に記載の遠心分離方法。
【請求項21】
前記第2速度は、遠心分離により分離された最外郭層の物質は前記容器に付着させ、残りの層の物質は重力の作用により受容部に流下させる遠心力を形成する速度に設定される請求項20に記載の遠心分離方法。
【請求項22】
前記第2速度は、1Gないし80Gの遠心力を物質に作用させる速度に設定される請求項20に記載の遠心分離方法。
【請求項1】
内部に物質を受容し、物質が遠心力により上側に移動するように案内する受容部と、前記受容部の上側を覆う回転体カバーを備えて回転する回転体と、
前記受容部と連通するように前記回転体カバーに結合して、前記受容部の上側に移動した物質を受容する容器と、を備える遠心分離器。
【請求項2】
前記受容部は、受容された物質が遠心力により上側に向かって流れるように上側から下側へ行くほど断面が狭くなる形状になる垂直案内部を備える請求項1に記載の遠心分離器。
【請求項3】
前記受容部は、前記垂直案内部の上端から上側に向かって傾いて外側に延長する水平案内部をさらに備え、
前記水平案内部は、前記垂直案内部から上側に移動した物質が、遠心力の作用により内壁に沿って移動して収斂するように水平断面上で遠心力が最大に作用する少なくとも一つの収斂部を持つ請求項2に記載の遠心分離器。
【請求項4】
前記水平案内部の水平断面は、外側に向かって膨らんで形成される二つの円弧が結合された形状である請求項3に記載の遠心分離器。
【請求項5】
前記垂直案内部は、上側から下側へ行くほどその断面が狭くなる円錘状になる請求項3に記載の遠心分離器。
【請求項6】
前記垂直案内部の内壁は、内側に向かって膨らんで湾曲形成される請求項3に記載の遠心分離器。
【請求項7】
前記受容部の表面は、受容された物質が移動する時の表面抵抗を減らすためにコーティングされている請求項3に記載の遠心分離器。
【請求項8】
前記回転体カバーは、前記受容部と連通して前記回転体カバーの上側に開口される栓部を備え、
前記容器は、前記栓部に回転自在に結合され、
前記容器の開口部が前記栓部に接して前記受容部と連通する結合状態と、前記開口部が前記栓部から分離される解除状態との間で前記容器が回転する請求項3に記載の遠心分離器。
【請求項9】
前記栓部は、前記回転体カバーの前記収斂部に対応する位置に設置される請求項8に記載の遠心分離器。
【請求項10】
前記栓部は、前記容器の中心軸の前記回転体の回転軸に対する角度が90°以上180°未満の一定の角度に保持されるように前記容器を支持する請求項9に記載の遠心分離器。
【請求項11】
前記栓部は、前記容器に対して磁力を作用させ、前記容器を前記結合状態で支持する支持部を備える請求項10に記載の遠心分離器。
【請求項12】
前記回転体の回転速度が減速することによって遠心分離された物質の一部が前記受容部に流れた後、前記支持部が逆の磁力を作用させるか、または磁力を解除して前記容器を前記解除状態に転換し、重力と遠心力との作用により前記容器が下側に向かって回転して、前記容器の中心軸の前記回転体の回転軸に対する角度が90°未満になる請求項11に記載の遠心分離器。
【請求項13】
前記栓部と前記容器との間には、結合片と、外部信号により作動して前記結合片に結合することによって前記容器を前記結合状態で支持するロッキング装置とが設置される請求項10に記載の遠心分離器。
【請求項14】
前記回転体の回転速度が減速することによって遠心分離された物質の一部が前記受容部に流れた後、前記ロッキング装置の前記結合片に対する結合を解除することによって前記容器を前記解除状態に転換し、重力と遠心力との作用により前記容器が下側に向かって回転して、前記容器の中心軸の前記回転体の回転軸に対する角度が90°未満になる請求項13に記載の遠心分離器。
【請求項15】
前記容器は、ピボット軸を介して前記栓部に回転自在に結合され、前記ピボット軸は、外部信号により作動する強制動力手段により駆動される請求項10に記載の遠心分離器。
【請求項16】
前記遠心分離器は、前記回転体の外側を包むケースをさらに備え、前記ケースの内側には第1磁性体が設置され、前記回転体の外側には第2磁性体が設置され、前記回転体が回転する間に前記回転体と前記ケースとは、前記第1磁性体と前記第2磁性体との反撥力により互いに一定の間隔を保持する請求項9に記載の遠心分離器。
【請求項17】
前記遠心分離器は、前記回転体の上側を覆うように前記ケースに結合されるケースカバーと、
外部から前記ケースカバーと前記回転体カバーとを貫通して前記回転体の前記受容部の内部に連結され、前記受容部に受容された物質を外部に排出するか、外部の物質を前記受容部に注入する注入管と、をさらに備える請求項16に記載の遠心分離器。
【請求項18】
物質が遠心力により上側に移動するように案内する受容部と、前記受容部の上側を覆う回転体カバーと、前記回転体カバーに分離可能に結合されて前記受容部と連通する容器と、を備える回転体を利用する遠心分離方法であって、
(a)前記受容部の内部に物質を提供するステップと、
(b)物質が前記受容部の上側に移動して前記容器に流れ込むように、前記回転体を第1速度で回転させて物質を遠心分離するステップと、
(c)遠心分離された物質の一部の層が前記受容部に流下するように、前記回転体の回転速度を第1速度より低い第2速度に減速させるステップと、
(d)前記容器の開口部が上側に向かうように前記容器と前記回転体カバーとの結合を解除するステップと、
(e)前記回転体を停止させるステップと、を含む遠心分離方法。
【請求項19】
前記(c)ステップは、前記回転体の回転速度を第2速度に減速させた後、前記回転体カバーを貫通して前記回転体の前記受容部の内部に連結される注入管を通じて前記受容部に受容された物質を外部に排出するステップをさらに含む請求項18に記載の遠心分離方法。
【請求項20】
前記受容部に受容された物質を外部に排出するステップ後に、前記注入管を通じて洗浄液を前記受容部の内部に注入し、前記(b)ステップないし(c)ステップを繰り返すステップをさらに含む請求項19に記載の遠心分離方法。
【請求項21】
前記第2速度は、遠心分離により分離された最外郭層の物質は前記容器に付着させ、残りの層の物質は重力の作用により受容部に流下させる遠心力を形成する速度に設定される請求項20に記載の遠心分離方法。
【請求項22】
前記第2速度は、1Gないし80Gの遠心力を物質に作用させる速度に設定される請求項20に記載の遠心分離方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2009−541050(P2009−541050A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517944(P2009−517944)
【出願日】平成19年1月3日(2007.1.3)
【国際出願番号】PCT/KR2007/000020
【国際公開番号】WO2008/001992
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(509004192)メディカン インク. (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月3日(2007.1.3)
【国際出願番号】PCT/KR2007/000020
【国際公開番号】WO2008/001992
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(509004192)メディカン インク. (1)
【Fターム(参考)】
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