説明

遠心式薄膜乾燥機

【課題】給液用配管表面における廃液の乾燥固化に伴う閉塞を抑制することができる遠心式薄膜乾燥機を提供する。
【解決手段】処理液を加熱する伝熱面を備えた中空状の伝熱胴11と、伝熱胴11内に処理液を導入する処理液入口16と、伝熱胴11の軸心位置に配置された回転軸と、回転軸に放射状に設けられ、濃縮および乾燥により伝熱面に生成される処理液の粉体を掻き落とすブレードとを備え、処理液入口16には、その表面に撥水性皮膜41が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃液処理設備などに適用する遠心式薄膜乾燥機に係り、特に凝結物による給液配管の閉塞を好適に抑制する遠心式薄膜乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
廃液処理設備においては、廃液物量の減容を測ることが主要目的の一つとされている。特に、敷地内の廃棄物貯蔵スペースが問題となる原子力発電プラントにおいては、乾燥機を用いることにより発生する濃縮廃液の水分を蒸発させて得られた残さ固形分の粉体化が行われる。この粉体化された濃縮廃液は、セメントと混合されて固化されたり、プラスチックと混合されて固化されたり、造粒、ペレット化された後センメントやプラスチックで固化されたりして廃棄される。
【0003】
また、原子炉の復水や廃水を浄化する粒状イオン交換樹脂や粉末イオン交換樹脂、ろ過助剤などの小粒径の固体廃棄物は、脱水や乾燥処理後、セメントおよびプラスチックと混合されて固化処理されて廃棄される。
【0004】
廃液の乾燥処理は、体積を1/10程度に減少できるため、廃棄物の減容という観点から非常に有用な単位操作である。従来、これらの乾燥処理には遠心式薄膜乾燥機が多く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この遠心式薄膜乾燥機は、主に廃液の水分を蒸発・乾燥させる伝熱面を供えた縦長円筒状の伝熱胴、および固形化して伝熱面に付着した廃液を掻き落とす回転ブレードを備えた回転シャフトを備える。また、伝熱胴上部には、廃液を給液するための給液用配管が設けられる。廃液は、給液用配管から遠心式薄膜乾燥機内に供給された後、所定温度に過熱された伝熱面に触れ、水分の蒸発・乾燥が進行するに連れて固形化される。回転ブレードは、伝熱面上で固形化した廃液を掻き取ることで粉体化して剥離させ、下方に落下させる。粉体化された廃液は、最終的には機体下方に設けられた排出口より排出される。
【0006】
従来、この遠心式薄膜乾燥機の伝熱胴内面に発生する汚泥のスケーリングを防ぎ、伝熱効率の低下を回避する技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭64−30601号公報
【特許文献2】特開平11−248353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
廃液は給液用配管を経由して遠心式薄膜乾燥機内に供給される。この給液用配管は、伝熱胴上部に設けられているため、廃液を乾燥固化するための伝熱面からの熱により温度が上昇してしまう。このため、廃液が伝熱胴内へ供給される前に、給液用配管の内部で廃液が乾燥固化し、給液用配管が閉塞する可能性があるという課題があった。
【0009】
この課題に対し、廃液に添加物を添加するなどして改質を行い、給液用配管内面に対する廃液の付着を抑制することが考えられる。また、給液配管の形状を工夫して、廃液が乾燥固化しにくい構造とすることも考えられる。
【0010】
しかし、現段階では廃液の改質や給液用配管の形状変更では十分な効果が得られず、現実的な解決方法が得られないという実状があった。
【0011】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、給液用配管表面における廃液の乾燥固化に伴う閉塞を抑制することができる遠心式薄膜乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る遠心式薄膜乾燥機は、処理液を加熱する伝熱面を備えた中空状の伝熱胴と、前記伝熱胴内に前記処理液を導入する処理液入口と、前記伝熱胴の軸心位置に配置された回転軸と、前記回転軸に放射状に設けられ、濃縮および乾燥により前記伝熱面に生成される前記処理液の粉体を掻き落とすブレードとを備え、前記処理液入口には、その表面に撥水性皮膜が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る遠心式薄膜乾燥機によれば、給液用配管表面における廃液の乾燥固化に伴う閉塞を抑制し、乾燥効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態における遠心式薄膜乾燥機の全体的な構成を示す部分縦断面図。
【図2】図1の遠心式薄膜乾燥機の領域IIの拡大図。
【図3】純水に対する接触角の定義を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明に係る遠心式薄膜乾燥機を原子力発電プラントの稼働中に生成された放射性廃液を薄膜状に乾燥させ、粉体化させる乾燥処理を行う場合に用いられる例を適用して説明する。なお、この遠心式薄膜乾燥機は、原子力発電プラント以外の産業廃棄物処理施設などのプラント施設から発生する各種廃液処理についても適用することができる。
【0016】
図1は、本実施形態における遠心式薄膜乾燥機の全体的な構成を示す部分縦断面図である。
【0017】
遠心式薄膜乾燥機1は、中空状の円筒形を有する伝熱胴11を備える。また、伝熱胴11の外側には、加熱ジャケット12が設けられる。この加熱ジャケット12には、外部に突出した加熱蒸気入口13が上部位置に、外部に突出した蒸発ドレン排出口14が下部位置に設けられる。
【0018】
伝熱胴11の内表面は、所定温度に加熱される伝熱面15として機能する。伝熱面15は、加熱蒸気入口13から供給された加熱蒸気が供給されることにより、所定温度(例えば約170度)に加熱される。
【0019】
伝熱胴11には、廃液入口16および蒸発蒸気出口17が上部位置に設けられる。廃液入口16は、廃液を伝熱胴11の内部に導入するための給液口としての配管である。蒸発蒸気出口17は、放射性廃液(廃液)の一部である蒸発した蒸気を排出させる排出口としての配管である。また、伝熱胴11には、廃液乾燥粉体排出口18が下端位置に設けられる。この廃液乾燥粉体排出口18は、円錐コーン状で構成され、廃液の乾燥によって生じる廃液乾燥粉体を排出するための排出口である。
【0020】
伝熱胴11の中空部には、回転シャフト19が配置される。回転シャフト19は、図示上下方向に伸びた軸状に構成され、伝熱胴11の軸心位置に配置される。回転シャフト19は、図示しない駆動モータによって回転自在に構成される。
【0021】
回転シャフト19には、回転ブレード20および分散環21が設けられる。
【0022】
回転ブレード20は、回転ブレード取付座22を介して回動自在に取り付けられる。また、回転ブレード20は、回転シャフト19の軸方向および周方向に放射状に整列されて配置される。回転ブレード20の先端部は、それぞれ伝熱胴11内面の伝熱面15に対してわずかな間隙をあけて対向配置される。分散環21は、廃液入口16に対して外周面を対向させて配置され、回転シャフト19と一体回転可能に設けられる。分散環21は、廃液入口16から供給される廃液を円環状の外周面で反射させ、伝熱面15に遠心方向に分散させるようになっている。
【0023】
図2は、図1の遠心式薄膜乾燥機1の領域IIの拡大図である。
【0024】
遠心式薄膜乾燥機1の廃液入口16は、廃液入口管台31およびこの廃液入口管台31に内挿される内挿管としての伸長管32で構成される。廃液入口管台31は、伝熱胴11に対して溶接などにより接合されて一体形成される。廃液入口管台31は、伝熱胴11から外部に向かって突出した先端部に入口管台フランジ部31aを備える。この入口管台フランジ部31aには、廃液を供給するための外部配管33の外部配管フランジ部33aが、ボルト35およびナット36により着脱可能に連結される。
【0025】
伸長管32は、両端部が開口し、外部配管33側から供給された廃液を伝熱胴11側に供給するための構成を有する。また、伸長管32は、外部配管33側に開口した端部32bに伸長管フランジ部32aを有する。この伸長管フランジ部32aは、入口管台フランジ部31aと外部配管フランジ部33aとの接合面部に狭持固定される。狭持固定された伸長管フランジ部32aは、廃液入口管台31内に液密かつ強固に固定される。
【0026】
伸長管32は、廃液入口管台31よりも小さい所定径を有する配管である。伸長管32は、廃液入口管台31に着脱自在となっている。伸長管32の径は、伸長管32を通流する廃液の性状、流量を含む特性に対応して設定される。このため、伸長管32は、遠心式薄膜乾燥機1で取り扱う廃液に応じて、適切な形状を有する配管に取替え自在に構成される。伸長管32を取替え可能とすることで、遠心式薄膜乾燥機1内には廃液の特性に応じた廃液の供給を可能とし、乾燥効率をより高めることができる。また、廃液入口管台31の内径は、廃液に対応した各種の外径を有する伸長管32が収容可能なように設定され、例えば従来の廃液入口管台31の内径よりも大径とされる。
【0027】
伸長管32の内表面には撥水性を有する材料により皮膜41が形成される。皮膜41は、膜厚が1μm以上100μm以下とするのが好ましい。皮膜41の膜厚を1μm以上とすることで、皮膜41により伸長管32表面を均一に覆うことができ、伸長管32表面の部分的な露出に伴う撥水性の急激な低下を抑制することができる。また、皮膜41の膜厚を100μm以下とすることで、伸長管32表面に対する皮膜41の密着強度を維持し、皮膜41のき裂の発生に伴う耐酸化性の低下や、皮膜41の剥離の発生を抑制することができる。
【0028】
皮膜41を構成する材料は、少なくともフッ素樹脂を含むことが好ましい。フッ素樹脂は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン―ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン―パーフルオロアルキルビニールエーテル共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン―エチレン共重合体)などを適用することができる。特に耐熱性や撥水性の観点から、皮膜41を構成するフッ素樹脂材料にはPTFEが好適である。
【0029】
また、皮膜41を構成する材料は、フッ素樹脂に加えて金属粉末が混合された混合体からなる材料であるのが好ましい。金属粉末には、例えばニッケル金属粉末を適用するのが好ましい。ニッケル金属粉末は、耐食性、耐熱性に加え、フッ素樹脂との相互作用の点で皮膜41の材料に適しているためである。
【0030】
皮膜41は、金属粉末を20体積%以上80体積%以下含み、残部をフッ素樹脂で構成することが好ましい。皮膜41の混合体材料における金属粉末の割合を20体積%以上とすることで、対磨耗特性や寸法安定性を十分に得ることができる。また、皮膜41の材料における金属粉末の割合を80体積%以下とすることで、撥水性の低下および皮膜41の密着強度の低下を抑制し、剥がれなどの現象を防止して実用的な皮膜41を形成することができる。
【0031】
さらに、伸長管32の皮膜41は、純水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。ここで、図3は、純水に対する接触角の定義を説明するための図である。接触角は、液滴の接線と皮膜表面とのなす角度θで定義される。具体的には、接触角は以下の式により定義される値である。なお、上記式におけるhは液滴の高さ、2rは図3中における皮膜表面に接する液滴の辺の長さを表わす。
[数1]
θ=2tan−1(h/r)
【0032】
皮膜41の純水に対する接触角を90度以上としたのは、乾燥固化した廃液の固形分の付着抑制効果を得るのに好適な値であるためである。
【0033】
次に、本実施形態における遠心式薄膜乾燥機1の乾燥処理運転時における作用について説明する。
【0034】
原子力発電プラントの稼動中に生成され、図示しない廃液貯蔵タンクに貯蔵された放射性廃液は、廃液入口16から一定流量で伝熱胴11内部に供給される。このとき、回転シャフト19は図示しない駆動モータによって回転している。また、伝熱胴11は、加熱ジャケット12への蒸気供給により例えば170度に加熱されている。
【0035】
本実施形態において遠心式薄膜乾燥機1に供給される放射性廃液は、例えば、ホウ酸廃液を水酸化ナトリウムで中和して生成したホウ酸ナトリウム系水溶液である。なお、本実施形態における遠心式薄膜乾燥機1に供給される放射性廃液は、ホウ酸ナトリウムを主成分とする廃液に限らず、他の溶解性および不溶解性を持った成分を主成分とするものであっても適用可能である。
【0036】
伝熱胴11内部に導かれた放射性廃液は、回転シャフト19の上部位置であって、廃液入口16の近傍に設けられた分散環21に付着し、遠心力によって伝熱面15に分散される。
【0037】
伝熱面15に飛散した放射性廃液は、重力によって伝熱面15を流下する。このため、伝熱面15には、放射性廃液の薄膜が形成される。薄膜状に形成された放射性廃液は、加熱蒸気入口13から供給され、伝熱胴11の外側に設けられた加熱ジャケット12を流れる蒸気によって加熱される。放射性廃液は、揮発成分の蒸発により濃縮されながら重力によってさらに流下する。
【0038】
放射性廃液由来の蒸発蒸気は、蒸発蒸気出口17から排出され、図示しない蒸発蒸気処理装置によって処理される。また、蒸発蒸気により発生するドレンは、蒸発ドレン排出口14から排出される。
【0039】
回転シャフト19に取り付けられた回転ブレード20の先端部は、伝熱胴11とわずかな間隙(例えば0.5mm程度)を有して回転する。伝熱胴11に薄膜状に付着した放射性廃液は、回転ブレード20の先端部により掻き落とされて乾燥粉体となり、遠心式薄膜乾燥機1内を降下して廃液乾燥粉体排出口18から排出される。
【0040】
ここで、遠心式薄膜乾燥機においては、蒸気により加熱された伝熱胴の温度上昇に伴い、廃液入口を構成する給液用配管までもが温度上昇される。また、廃液が伝熱胴に供給される前に、廃液が給液用配管の熱により配管内で乾燥固化してしまうという現象が発生する。これに伴い、給液用配管内部は乾燥固化した廃液により閉塞され、十分な流量の廃液を伝熱胴内部に供給することができない。ひいては、遠心式薄膜乾燥機の乾燥効率の低下につながる。
【0041】
これに対し、本実施形態における遠心式薄膜乾燥機1は、上述した問題点の発生を防止するため、廃液入口16を構成する廃液入口管台31に内挿された伸長管32の内表面に皮膜処理を施し、供給された放射性廃棄物が給液用配管内に凝結物として付着することを好適に抑制し、廃液を効率よく伝熱胴11内部へ供給することができる。
【0042】
ここで、廃液入口16として廃液入口管台31に内挿された伸長管32の内表面に皮膜処理を施したことによる廃液の付着抑制効果を確認するため、フッ素樹脂としてのPTFEと金属粉末としてのニッケル金属粉末の混合体からなる材料を下記表1の割合および膜厚を用いて伸長管32の内表面に皮膜処理を施して試験を行った。なお、各実施例および比較例においては、廃液としてホウ酸ナトリウム系水溶液を用いた。また、各実施例および比較例においては、遠心式薄膜乾燥機1は8時間の連続運転を行った。
【表1】

【0043】
この結果、比較例1〜4に示す混合体の体積比および膜厚を用いた遠心式薄膜乾燥機1の伸長管32においては、廃液の乾燥固化による閉塞が見られた。これに対し、実施例1〜5に示す混合体の体積比および膜厚を用いた遠心式薄膜乾燥機1の伸長管32においては、廃液の乾燥固化による閉塞は見られず、良好な乾燥処理を行うことができた。
【0044】
すなわち、皮膜41の混合体材料は、ニッケル金属粉末(金属粉末)を20体積%以上80体積%以下含み、残部をPTFE(フッ素樹脂)で構成することが好ましい。さらに、皮膜41は、膜厚が1μm以上100μm以下とするのが好ましい。上述のように皮膜41を構成することで、供給用配管内の乾燥固化を好適に抑制することができた。
【0045】
この遠心式薄膜乾燥機1によれば、遠心式薄膜乾燥機1に廃液を供給する廃液入口16を構成する給液用配管内表面に撥水性の皮膜を形成することにより、廃液入口16の温度上昇に伴う廃液の乾燥固化を好適に抑制することができる。このため、遠心式薄膜乾燥機1は、乾燥効率を低下させることなく、好適に廃液の乾燥処理を行うことができる。
【0046】
また、配管に対する皮膜41の形成により閉塞を抑制することができ、廃液の改質や給液用配管の形状変更などに比べて簡便に効率よく効果を得ることができる。
【0047】
なお、本実施形態における遠心式薄膜乾燥機1は、廃液入口16の給液用配管(廃液入口管台31)内側に廃液の特性に応じて取り替え可能な伸長管32を内挿することで二重の配管を構成し、この伸長管32の内表面に皮膜41を形成する例を説明した。しかし、皮膜41が形成される配管は伸長管32に限らず、伸長管32を有しない単管で構成された給液用配管の場合にはその給液用配管の内表面に皮膜を形成してもよい。
【0048】
また、上記伸長管32を内挿する場合において、伸長管32の内表面に限らず、伸長管32の外表面、廃液入口管台31の内表面に皮膜41を形成することによって、伸長管32から回り込んだ廃液の廃液入口管台31への付着、堆積を防止することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 遠心式薄膜乾燥機
11 伝熱胴
12 加熱ジャケット
13 加熱蒸気入口
14 蒸発ドレン排出口
15 伝熱面
16 廃液入口
17 蒸発蒸気出口
18 廃液乾燥粉体排出口
19 回転シャフト
20 回転ブレード
21 分散環
22 回転ブレード取付座
31 廃液入口管台
31a 入口管台フランジ部
32 伸長管
32a 伸長管フランジ部
32b 端部
33 外部配管
33a 外部配管フランジ部
35 ボルト
36 ナット
41 皮膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を加熱する伝熱面を備えた中空状の伝熱胴と、
前記伝熱胴内に前記処理液を導入する処理液入口と、
前記伝熱胴の軸心位置に配置された回転軸と、
前記回転軸に放射状に設けられ、濃縮および乾燥により前記伝熱面に生成される前記処理液の粉体を掻き落とすブレードとを備え、
前記処理液入口には、その表面に撥水性皮膜が形成されていることを特徴とする遠心式薄膜乾燥機。
【請求項2】
前記処理液入口は、前記伝熱胴と一体形成された管台と、前記管台に対して着脱可能に内挿された内挿管であり、
前記撥水性皮膜は、前記内挿管の内表面に形成された請求項1記載の遠心式薄膜乾燥機。
【請求項3】
前記処理液入口は、前記伝熱胴と一体形成された管台と、前記管台に対して着脱可能に内挿された内挿管であり、
前記撥水性皮膜は、前記内挿管の内表面、外表面および前記管台の内表面に形成された請求項1記載の遠心式薄膜乾燥機。
【請求項4】
前記撥水性皮膜は、純水に対する接触角が90度以上である請求項1〜3のいずれか一項記載の遠心式薄膜乾燥機。
【請求項5】
前記撥水性皮膜は、少なくともフッ素樹脂を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の遠心式薄膜乾燥機。
【請求項6】
前記フッ素樹脂は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)である請求項5記載の遠心式薄膜乾燥機。
【請求項7】
前記撥水性皮膜は、さらに金属粉末を含む請求項5記載の遠心式薄膜乾燥機。
【請求項8】
前記撥水性皮膜は、20体積%以上80体積%以下を前記金属粉末で構成され、残部をフッ素樹脂で構成された請求項7記載の遠心式薄膜乾燥機。
【請求項9】
前記金属粉末は、ニッケル金属粉末である請求項7または8記載の遠心式薄膜乾燥機。
【請求項10】
前記撥水性皮膜は、1μm以上100μm以下の膜厚を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の遠心式薄膜乾燥機。
【請求項11】
前記処理液は、原子力発電プラントで発生する放射性廃液である請求項1〜10のいずれか一項に記載の遠心式薄膜乾燥機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−33241(P2011−33241A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178273(P2009−178273)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(395009938)東芝アイテック株式会社 (82)
【Fターム(参考)】