説明

遠隔ダウンロードシステム及び遠隔ダウンロード方法

【課題】ダウンロードデータを所定のサイズ内に区切って複数のフレーム化データにして送信することにより、受信する側のメモリ容量を小さくでき、ユーザに提供するサービスへの影響を低減させ、ダウンロードデータのフレーム構成を簡単にすることができる遠隔ダウンロードシステム及び方法を提供する。
【解決手段】局側装置2から宅側装置3へ遠隔ダウンロードが実行でき、ダウンロードデータをフレーム化して送信するため、受信する側のメモリ容量を小さくすることができ、内部メモリ17の容量が小さいデバイスについても実現できる。ダウンロードデータを送信していない間は、主信号への影響を与えないため、サービスへの影響を極力小さくできる。フレーム化データにデータ長やバージョン情報等の情報を含ませる必要がないので、フレーム構成が簡単になる。ダウンロードの成否をCRC値によって判定するので、判定の処理を簡易化・迅速化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔ダウンロードシステム及び遠隔ダウンロード方法に関し、特に、局側装置から伝送路を介して遠隔地にある宅側装置に対してダウンロードするための遠隔ダウンロードシステム及び遠隔ダウンロード方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、メディアコンバータ装置やPON(Passive Optical Network)装置等のように伝送路を介して局側装置と宅側装置に分かれているシステムでは、宅側装置にCPU(Central Processing Unit)等の演算装置が搭載されていない場合は、FPGA(Flexible Programmable Gate Array)データ等の更新作業時において、保守者が遠隔地になる宅側装置の収容されている建物まで出向き、更新作業もしくは装置の交換を行う必要があり、作業効率が悪いという問題があった。
【0003】
また、CPUが搭載されている装置においても、更新途中に電源断が発生し正常に更新作業が終了しないまま再起動が行われた場合には、二度と起動できないという問題も発生した。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、複数の加入者側通信装置と、これらの加入者側通信装置と通信網を介して通信する局側通信装置と、局側通信装置のオペレーションシステムとから成る通信システムであって、オペレーションシステムからの命令により、局側通信装置は各加入者側通信装置宛ての任意の情報チャネル領域あるいは制御チャネル領域に書込み制御信号、及び書込みデータを挿入し、各加入者側通信装置は、書込み制御信号に含まれた宛先アドレスを見て、その信号が自装置宛ての場合、該当PLD用のメモリへ書込みを行い、各加入者側通信装置のハードウェア変更を行う通信システムが提案されている。この通信システムでは、PLDとしてFPGAが用いられており、局側通信装置から加入者側通信装置に送信されるパケットは、ヘッダ、宛先アドレス、データタイプ、バージョン情報、データ長、書込みデータ、パケットの送信誤り検出用のフレームチェックコード等によって構成され、フレーム化されている(以下、この技術を従来例1という)。
【0005】
また、特許文献2には、FPGAにコンフィギュレーションをするFPGAコンフィギュレーション制御装置において、データ格納面表示フラグの領域並びにデータを格納する第1及び第2面を有するメモリと、データ格納面表示フラグが示すワーキング面に書き換えデータを格納するデータ書き換え部と、データ格納面表示フラグが示すワーキング面に格納された書き換えデータに基づきFPGAにコンフィギュレーションを行う第1コンフィギュレーション部と、コンフィギュレーションが失敗したならば、格納面表示フラグが示すワーキング面とは異なるプロテクト面に格納されたデータに基づきFPGAにコンフィギュレーションを行う第2コンフィギュレーション部とを具備して構成するFPGAコンフィギュレーション制御装置が提案されている。この装置によれば、書き換えデータによるFPGAコンフィギュレーションが失敗してもプロテクト面のデータによりFPGAコンフィギュレーションを行うことができる(以下、この技術を従来例2という)。
【特許文献1】特開2000−307721号公報
【特許文献2】特開2005−191872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来例1では、送信されるデータのサイズが大きい場合には、受信する側のメモリ容量を大きくしなければならず、FPGAのような内部メモリ容量の小さいデバイスの場合には外部メモリを必要とするという課題があった。
【0007】
また、ダウンロードデータの送信時間が長くなると、主信号データの送信が遅延する等ユーザに提供するサービスに悪影響を及ぼすという課題があった。
【0008】
さらに、局側通信装置から加入者側通信装置に送信される個々のパケットのフレームにデータ長やバージョン情報等の情報を含ませているため、フレーム構成が複雑になるという課題があった。
【0009】
従来例2では、遠隔に位置する上位装置から送られてくるコンフィギュレーションデータが所定のサイズに区切ってフレーム化されている点について何ら開示されておらず、それを示唆する記載もない。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ダウンロードデータを所定のサイズ内に区切って複数のフレーム化データにして送信することにより、受信する側のメモリ容量を小さくすることができ、ユーザに提供するサービスへの影響を低減させ、かつダウンロードデータのフレーム構成を簡単にすることができる遠隔ダウンロードシステム及び遠隔ダウンロード方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の遠隔ダウンロードシステムは、局側装置から伝送路を介して宅側装置にダウンロードデータをダウンロードする遠隔ダウンロードシステムにおいて、 前記局側装置は、前記ダウンロードデータを格納する第1の記憶手段と、前記ダウンロードデータのデータサイズ及びCRC値を演算する演算手段と、前記ダウンロードデータを所定のサイズ内に区切って複数のフレーム化データを作成するフレーム化手段と、前記宅側装置との間で前記伝送路を介してデータの送受信を行う第1のデータ送受信手段とを有し、
前記宅側装置は、前記局側装置との間で前記伝送路を介してデータの送受信を行う第2のデータ送受信手段と、前記局側装置から送信されたデータが前記ダウンロードデータをフレーム化したフレーム化データであるか否かを判定するフレーム判定手段と、前記ダウンロードデータのデータサイズ及びCRC値を設定する設定手段と、前記フレーム化データを一時的に格納する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段から読み出されたフレーム化データを書き込み、全ダウンロードデータを格納する第3の記憶手段と、前記第3の記憶手段へのダウンロードデータの格納が成功したか否かを判定するダウンロード成否判定手段とを有し、
前記局側装置は、前記演算手段によって前記ダウンロードデータのデータサイズ及びCRC値を演算し、演算されたデータを前記第1のデータ送受信手段によって前記宅側装置に送信し、
前記宅側装置は、前記第2のデータ送受信手段によって前記演算されたデータサイズ及びCRC値のデータを受信し、前記設定手段によって前記データサイズ及びCRC値を設定し、
前記局側装置は、前記フレーム化手段によって前記ダウンロードデータを前記宅側装置の第2の記憶手段に格納可能なサイズ内に区切って複数のフレーム化データに作成し、前記フレーム化データを前記第1のデータ送受信手段によって前記宅側装置に送信し、
前記宅側装置は、前記判定手段によって前記第2のデータ送受信手段により受信されたデータが前記フレーム化データであるか否かを判定し、前記フレーム化データであると判定された場合には、前記フレーム化データを前記第2の記憶手段に一時的に格納させ、前記第2の記憶手段から読み出したフレーム化データを前記第3の記憶手段に書き込み、前記第3の記憶手段に書き込まれたダウンロードデータのデータサイズと前記設定手段によって設定されたデータサイズとが一致した場合には、前記ダウンロード成否判定手段によって前記第3の記憶手段に書き込まれたダウンロードデータを読み出し、前記読み出されたダウンロードデータのCRC値と前記設定手段によって設定されたCRC値とを比較し、両者が一致した場合には、ダウンロードデータの格納が成功したものと判定し、一致しなかった場合には、失敗したものと判定し、その判定結果を前記第2のデータ送受信手段によって前記局側装置に送信する、
ことを特徴とするものである。
【0012】
前記宅側装置のフレーム判定手段は、フレーム内のType値に基づいてフレーム化データであるか否かを判定してもよい。
【0013】
前記宅側装置は、前記第2の記憶手段から読み出したフレーム化データを前記第3の記憶手段に書き込んだ後、前記ライト完了通知を前記第2のデータ送受信手段によって前記局側装置に送信し、前記局側装置は、前記第1のデータ送受信装置によって前記ライト完了通知を受信した場合、次のフレーム化データを前記宅側装置に送信し、全ダウンロードデータの送信が完了するまで、上記の動作を繰り返してもよい。
【0014】
前記宅側装置は、前記設定手段によって前記データサイズ及びCRC値を設定した後、前記第3の記憶手段のイレース処理を行い、イレースが完了すると、イレース完了通知を前記第2のデータ送受信手段によって前記局側装置に送信してもよい。
【0015】
前記第3の記憶手段は、FPGAのコンフィグレーションデータを格納してもよい。
【0016】
前記第3の記憶手段は、第1面と第2面とに分割され、一方の面を起動面、他方の面を予備面としていてもよい。
【0017】
ダウンロードを実施する際に、更新される面が選択されてもよい。
【0018】
ダウンロードを実施する毎に、更新される面が交互に選択されてもよい。
【0019】
本発明の遠隔ダウンロード方法は、局側装置から伝送路を介して宅側装置にダウンロードデータをダウンロードする遠隔ダウンロード方法において、
前記局側装置は、前記ダウンロードデータを格納する第1の記憶手段と、前記ダウンロードデータのデータサイズ及びCRC値を演算する演算手段と、前記ダウンロードデータを所定のサイズ内に区切って複数のフレーム化データにするフレーム化手段と、前記宅側装置との間で前記伝送路を介してデータの送受信を行う第1のデータ送受信手段とを有し、
前記宅側装置は、前記局側装置との間で前記伝送路を介してデータの送受信を行う第2のデータ送受信手段と、前記局側装置から送信されたデータが前記ダウンロードデータをフレーム化したフレーム化データであるか否かを判定するフレーム判定手段と、前記ダウンロードデータのデータサイズ及びCRC値を設定する設定手段と、前記フレーム化データを一時的に格納する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段から読み出したフレーム化データを書き込み、全ダウンロードデータを格納する第3の記憶手段と、前記第3の記憶手段へのダウンロードデータの格納が成功したか否かを判定するダウンロード成否判定手段とを有し、
前記局側装置の前記演算手段によって前記ダウンロードデータのデータサイズ及びCRC値を演算し、演算されたデータを前記第1のデータ送受信手段によって前記宅側装置に送信するステップと、
前記宅側装置の前記第2のデータ送受信手段によって前記演算されたデータサイズ及びCRC値のデータを受信し、前記設定手段によって前記データサイズ及びCRC値を設定するステップと、
前記局側装置の前記フレーム化手段によって前記ダウンロードデータを前記宅側装置の第2の記憶手段に格納可能なサイズ内に区切って複数のフレーム化データを作成し、前記フレーム化データを前記第1のデータ送受信手段によって前記宅側装置に送信するステップと、
前記宅側装置の前記判定手段によって前記第2のデータ送受信手段により受信されたデータが前記フレーム化データであるか否かを判定し、前記フレーム化データであると判定された場合には、前記フレーム化データを前記第2の記憶手段に一時的に格納させ、前記第2の記憶手段から読み出したフレーム化データを前記第3の記憶手段に書き込み、前記第3の記憶手段に書き込まれたダウンロードデータのデータサイズと前記設定手段によって設定されたデータサイズとが一致した場合には、前記ダウンロード成否判定手段によって前記第3の記憶手段に書き込まれたダウンロードデータを読み出し、前記読み出されたダウンロードデータのCRC値と前記設定手段によって設定されたCRC値とを比較し、両者が一致した場合には、ダウンロードデータの格納が成功したものと判定し、一致しなかった場合には、失敗したものと判定し、その判定結果を前記第2のデータ送受信手段によって前記局側装置に送信するステップと、
を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、次のような効果を奏する。
【0021】
(1)ダウンロードデータをフレーム化して送信するため、受信する側のメモリ容量を小さくすることができ、FPGAのような内部メモリ容量が小さいデバイスについても実現することができる。
【0022】
(2)外部メモリアクセス中等、ダウンロードデータを送信していない間は、主信号への影響を与えないため、サービスへの影響を極力小さくしてダウンロード作業を実施することができる。
【0023】
(3)フレーム化データにデータ長やバージョン情報等の情報を含ませる必要がないので、フレーム構成が簡単になる。
【0024】
(4)ダウンロードの成否をCRC値によって判定するので、判定の処理を簡易化・迅速化できる。
【0025】
(5)局側装置から宅側装置へ遠隔ダウンロードが実行できることにより、保守者が宅側装置の収容されている建物まで出向き、更新作業もしくは装置の交換を行う必要がなくなり、保守運用性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態例に係る遠隔ダウンロードシステムの構成を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、本発明の実施形態例に係る遠隔ダウンロードシステムAは、光ファイバ等の伝送路1を介して、局舎等に置かれる局側装置2とユーザの建物内に置かれる宅側装置3とに分かれている。
【0028】
局側装置2は、宅側装置3との間でデータを送受信し通信を行う回線モジュール4と、回線モジュール4の制御や装置監視等を行う制御モジュール5とから構成されている。
【0029】
制御モジュール5は、CPU6と、装置の設定情報やダウンロードデータを保存しているDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の外部メモリ7から構成されている。
【0030】
回線モジュール4は、光信号と電気信号を変換するO/E・E/O変換モジュール8と、制御モジュール5とのインタフェースを備え、宅側装置3との間でデータの送受信を行う第1のデータ送受信部9とから構成されている。
【0031】
宅側装置3は、光信号と電気信号を変換するO/E・E/O変換モジュール10と、局側装置2との間でデータの送受信を行う第2のデータ送受信部11と、FPGAのコンフィグレーションデータを保存するFRAM(Ferroelectric Random Access Memory)等の不揮発性の外部メモリ12と、起動時にFPGAへコンフィグレーションデータを展開するCPLD(Complex Programmable Logic Device)等で実現されたフラッシュローダー13と、サービスを利用しているユーザによって使用される主信号データの送受信を行う主信号インタフェース部14とから構成されている。
【0032】
第2のデータ送受信部11は、局側装置2から送信されたデータがダウンロードデータをフレーム化したフレーム化データであるか否かを判定するフレーム判定部15と、ダウンロードデータのデータサイズ及びCRC(Cyclic Redundancy Check)値を設定するレジスタ16と、フレーム化データを一時的に格納する内部メモリ17と、内部メモリ17とフラッシュローダー13との間に設けられたメモリアクセス部18とを有する。
【0033】
フレーム判定部15は、主信号データとダウンロードデータのフレーム化データとの判定を行う。フレーム判定部15によって主信号データであると判定された場合は、主信号インタフェース部14へ送信し、フレーム化データであると判定された場合は、内部メモリ17に書き込みを行う。主信号データとフレーム化データとの判別は、例えばフレーム内のType値によって行われる。
【0034】
図2はフレーム化データの構成例を示す説明図である。
【0035】
図2に示すように、フレーム化データは、例えば宛先アドレス(DA)、送信先アドレス(SA)、データのタイプ値(Type)、区切られたダウンロードデータ、送信誤り検出用のフレームチェックソース(FCS)から構成されている。
【0036】
ここでType値は、局側装置2と宅側装置3で同じ値を使用する必要があり、IP(0x0800)やVLAN Tag(0x8100)等のような勧告等で定義され一般的に使用される値を避けて設定する必要がある。
【0037】
メモリアクセス部18は外部メモリ12のライト、リードアクセスを実施するインタフェースであり、さらにデータサイズやCRCの演算を行う。
【0038】
図3は外部メモリ12の構成例を示す説明図である。外部メモリ12は、例えば第2のデータ送受信部11のコンフィグレーションデータを保存するものであり、図3に示すように、外部メモリ12は♯0面、♯1面の2面に分割されており、それぞれにコンフィグレーションデータが格納されている。先頭アドレスに♯0面、♯1面のどちらからデータを読み出すかを指定した起動面指定情報が格納されており、コンフィグレーションを行う際の最初にこの情報をフラッシュローダー13がリードしてどちらからデータを読み出すかを判定する。
【0039】
図4は本発明の実施形態例に係る遠隔ダウンロードシステムAの動作及び遠隔ダウンロード方法を説明するためのシーケンス図である。
【0040】
まず、局側装置2のCPU6は、ダウンロードデータのデータサイズとCRC値を演算し、演算したデータを宅側装置3に送信し、宅側装置3のレジスタ16に設定する。
【0041】
次いで、レジスタ16に設定された契機で、宅側装置3では外部メモリ12のイレース処理が実行され、イレースが完了すると完了通知を局側装置2に通知する。
【0042】
次いで、イレース完了通知を受信した局側装置2は、ダウンロードデータを宅側装置3の内部メモリ17に格納できるサイズ内に区切ってフレーム化を行う。その際、例えばイーサフレームの場合は、イーサタイプ値に固有の値を使用する等して、ダウンロードデータであることが判別できるようにフレーム化を行う。
【0043】
次いで、局側装置2は、フレーム化データを宅側装置3に送信する。
【0044】
次いで、フレーム化データを受信した宅側装置3は、フレーム判定部15によってダウンロードデータのフレーム化データであると判定されると、一旦内部メモリ17に格納する。
【0045】
なお、フレーム判定部15によって主信号データであると判定されると、主信号インタフェース部14に送られる。
【0046】
次いで、内部メモリ17にフレーム化データが格納されると、メモリアクセス部18は内部メモリ17からデータを読み出し、そのデータは外部メモリ12に書き込んでいく。
【0047】
次いで、内部メモリ17の全データを外部メモリ12に書き込み後、局側装置2にライト完了通知を通知する。
【0048】
次いで、ライト完了通知を受信した局側装置2は、次のフレーム化したダウンロードデータを宅側装置3へ送信する。
【0049】
このフレームの送信は全ダウンロードデータの送信が完了するまで繰り返す。
【0050】
次いで、宅側装置3は、外部メモリ12に書き込む際にデータサイズをカウントしており、レジスタ16に設定されたダウンロードデータサイズが書き込んだデータサイズと一致した後、今度は外部メモリ12から全ダウンロードデータのリードを実施する。ダウンロードデータのリードを実施中にリードデータのCRC値を演算し、全データのリード後に演算したCRC値とレジスタ16に設定されたCRC値とを比較し、一致すればダウンロード成功(完了)、不一致であればダウンロード失敗と判定し、その判定結果を局側装置2に通知する。
【0051】
外部メモリ12においては、外部メモリ12の起動面指定情報を書き換えて♯0面起動に切替え、その後、外部メモリ12の♯1面のイレース処理を開始する。設定サイズ分の領域のイレース処理が完了すると、CPU6へイレースが完了したことを通知する。そして、局側装置2からフレーム化されたダウンロードデータを順次受信するため、ダウンロードデータであると判定されたフレームは一旦内部メモリ17に格納し、次に外部メモリ12の♯1面へライトすることになる。
【0052】
設定されたデータサイズ分のライトが完了すると、続けてライトした全ダウンロードデータを全てリードし、CRC値の計算を実行する。計算結果と設定されたCRC値とを比較し、一致した場合はダウンロード成功としてCPU6へ通知し、外部メモリ12の起動面指定情報を書き換えて♯1面起動へ切替える。不一致の場合はダウンロード失敗を局側装置2のCPU6へ通知して、起動面指定情報の書き換えを行わず(♯0面起動のまま)、第2のデータ送受信部11のダウンロード処理を完了する。
【0053】
ダウンロード作業は伝送路1を介して実行するため、伝送路1における損失によりダウンロードデータフレームの消失、ビット誤り等により失敗する場合が考えられる。この場合は、ダウンロード作業を正常に完了するまで再実行すれば問題ないが、ダウンロード作業中に局側装置2の電源断等が発生し、途中でダウンロード作業が終了してしまった場合に起動できないという問題が発生する。これを防ぐために、外部メモリ12を♯0面、♯1面の2面管理を行っている。♯1面を更新面、♯0面を予備面とすることで♯1面の更新時に途中終了した場合でも、♯0面は正常データが保存されているため、♯0面で起動しダウンロード作業を再実行することができる。
【0054】
フラッシュロードにおいては、コンフィグレーションを開始するとフラッシュローダー13は最初に起動面指定情報をリードする。起動面を指定するデータパターンは予め決定しておく(例えば、♯0面起動の場合は”0101010101”、♯1面起動の場合は”11001100”等)。
【0055】
リードデータが期待値と一致する場合は、その一致した起動面のデータを格納している領域からコンフィグレーションデータのリードを開始する。期待値と一致しない場合は、起動面指定情報のリードを3回までリトライし、全て不一致となった時に♯0面から起動する。こうすることで、起動面指定情報のデータが正しくない場合でも予備面である♯0面から起動することが可能となり、起動面指定情報のデータが壊れた場合においても起動することができる。
【0056】
本発明の実施形態例によれば、ダウンロードデータをフレーム化して送信するため、受信する側のメモリ容量を小さくすることができ、FPGAのような内部メモリ17の容量が小さいデバイスについても実現することができる。
【0057】
また、外部メモリ12のアクセス中等、ダウンロードデータを送信していない間は、主信号への影響を与えないため、サービスへの影響を極力小さくしてダウンロード作業を実施することができる。
【0058】
また、フレーム化データにデータ長やバージョン情報等の情報を含ませる必要がないので、フレーム構成が簡単になる。
【0059】
また、ダウンロードの成否をCRC値によって判定するので、判定の処理を簡易化・迅速化できる。
【0060】
また、局側装置2から宅側装置3へ遠隔ダウンロードが実行できることにより、保守者が宅側装置3の収容されている建物まで出向き、更新作業もしくは装置の交換を行う必要がなくなり、保守運用性を向上させることができる。
【0061】
さらに、コンフィグレーションデータを2面管理することにより、ダウンロードに失敗して起動しないという問題も発生しなくなり、信頼性を向上することができる。その結果、装置の保守運用コストを下げる効果がある。
【0062】
なお、本発明の実施形態例では、外部メモリ12を2面に分割して♯0面を予備面、♯1面を起動面としているが、反対に♯1面を予備面、♯0面を起動面として実現することも可能である。
【0063】
また、一方の面を起動面として固定せずに、ダウンロードを実施する際に更新する面を選択できるようにして実現することも可能である。このように構成することで、ダウンロードを複数回実施した場合でも予備面に残しておきたいコンフィグレーションデータを選択することができる。例えば、更新する面を固定してダウンロードを複数回実施すると予備面と起動面でコンフィグレーションデータの版数に大きな差が生じるが、更新する面を交互にしておけば常に1版前のデータを予備面に保存しておくことができる。
本発明は、上記実施の形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。
例えば、ダウンロードデータが内部メモリ17に格納できるデータサイズの場合には、複数に区切らないで、そのままフレーム化されてダウンロードされる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、局側装置2から伝送路1を介して遠隔地にある宅側装置3に対してダウンロードするために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態例に係る遠隔ダウンロードシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】フレーム化データの構成例を示す説明図である。
【図3】外部メモリの構成例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態例に係る遠隔ダウンロードシステムの動作及び遠隔ダウンロード方法を説明するためのシーケンス図である。
【符号の説明】
【0066】
A:遠隔ダウンロードシステム
1:伝送路
2:局側装置
3:宅側装置
4:回線モジュール
5:制御モジュール
6:CPU
7:外部メモリ
8:O/E・E/O変換モジュール
9:第1のデータ送受信部
10:O/E・E/O変換モジュール
11:第2のデータ送受信部
12:外部メモリ
13:フラッシュローダー
14:主信号インタフェース部
15:フレーム判定部
16:レジスタ
17:内部メモリ
18:メモリアクセス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局側装置から伝送路を介して宅側装置にダウンロードデータをダウンロードする遠隔ダウンロードシステムにおいて、
前記局側装置は、前記ダウンロードデータを格納する第1の記憶手段と、前記ダウンロードデータのデータサイズ及びCRC値を演算する演算手段と、前記ダウンロードデータを所定のサイズ内に区切って複数のフレーム化データを作成するフレーム化手段と、前記宅側装置との間で前記伝送路を介してデータの送受信を行う第1のデータ送受信手段とを有し、
前記宅側装置は、前記局側装置との間で前記伝送路を介してデータの送受信を行う第2のデータ送受信手段と、前記局側装置から送信されたデータが前記ダウンロードデータをフレーム化したフレーム化データであるか否かを判定するフレーム判定手段と、前記ダウンロードデータのデータサイズ及びCRC値を設定する設定手段と、前記フレーム化データを一時的に格納する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段から読み出されたフレーム化データを書き込み、全ダウンロードデータを格納する第3の記憶手段と、前記第3の記憶手段へのダウンロードデータの格納が成功したか否かを判定するダウンロード成否判定手段とを有し、
前記局側装置は、前記演算手段によって前記ダウンロードデータのデータサイズ及びCRC値を演算し、演算されたデータを前記第1のデータ送受信手段によって前記宅側装置に送信し、
前記宅側装置は、前記第2のデータ送受信手段によって前記演算されたデータサイズ及びCRC値のデータを受信し、前記設定手段によって前記データサイズ及びCRC値を設定し、
前記局側装置は、前記フレーム化手段によって前記ダウンロードデータを前記宅側装置の第2の記憶手段に格納可能なサイズ内に区切って複数のフレーム化データに作成し、前記フレーム化データを前記第1のデータ送受信手段によって前記宅側装置に送信し、
前記宅側装置は、前記判定手段によって前記第2のデータ送受信手段により受信されたデータが前記フレーム化データであるか否かを判定し、前記フレーム化データであると判定された場合には、前記フレーム化データを前記第2の記憶手段に一時的に格納させ、前記第2の記憶手段から読み出したフレーム化データを前記第3の記憶手段に書き込み、前記第3の記憶手段に書き込まれたダウンロードデータのデータサイズと前記設定手段によって設定されたデータサイズとが一致した場合には、前記ダウンロード成否判定手段によって前記第3の記憶手段に書き込まれたダウンロードデータを読み出し、前記読み出されたダウンロードデータのCRC値と前記設定手段によって設定されたCRC値とを比較し、両者が一致した場合には、ダウンロードデータの格納が成功したものと判定し、一致しなかった場合には、失敗したものと判定し、その判定結果を前記第2のデータ送受信手段によって前記局側装置に送信する、
ことを特徴とする遠隔ダウンロードシステム。
【請求項2】
前記宅側装置のフレーム判定手段は、フレーム内のType値に基づいてフレーム化データであるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の遠隔ダウンロードシステム。
【請求項3】
前記宅側装置は、前記第2の記憶手段から読み出したフレーム化データを前記第3の記憶手段に書き込んだ後、前記ライト完了通知を前記第2のデータ送受信手段によって前記局側装置に送信し、
前記局側装置は、前記第1のデータ送受信装置によって前記ライト完了通知を受信した場合、次のフレーム化データを前記宅側装置に送信し、
全ダウンロードデータの送信が完了するまで、上記の動作を繰り返す、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遠隔ダウンロードシステム。
【請求項4】
前記宅側装置は、前記設定手段によって前記データサイズ及びCRC値を設定した後、前記第3の記憶手段のイレース処理を行い、イレースが完了すると、イレース完了通知を前記第2のデータ送受信手段によって前記局側装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの項に記載の遠隔ダウンロードシステム。
【請求項5】
前記第3の記憶手段は、FPGAのコンフィグレーションデータを格納することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つの項に記載の遠隔ダウンロードシステム。
【請求項6】
前記第3の記憶手段は、第1面と第2面とに分割され、一方の面を起動面、他方の面を予備面としていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つの項に記載の遠隔ダウンロードシステム。
【請求項7】
ダウンロードを実施する際に、更新される面が選択されることを特徴とする請求項6に記載の遠隔ダウンロードシステム。
【請求項8】
ダウンロードを実施する毎に、更新される面が交互に選択されることを特徴とする請求項7に記載の遠隔ダウンロードシステム。
【請求項9】
局側装置から伝送路を介して宅側装置にダウンロードデータをダウンロードする遠隔ダウンロード方法において、
前記局側装置は、前記ダウンロードデータを格納する第1の記憶手段と、前記ダウンロードデータのデータサイズ及びCRC値を演算する演算手段と、前記ダウンロードデータを所定のサイズ内に区切って複数のフレーム化データにするフレーム化手段と、前記宅側装置との間で前記伝送路を介してデータの送受信を行う第1のデータ送受信手段とを有し、
前記宅側装置は、前記局側装置との間で前記伝送路を介してデータの送受信を行う第2のデータ送受信手段と、前記局側装置から送信されたデータが前記ダウンロードデータをフレーム化したフレーム化データであるか否かを判定するフレーム判定手段と、前記ダウンロードデータのデータサイズ及びCRC値を設定する設定手段と、前記フレーム化データを一時的に格納する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段から読み出したフレーム化データを書き込み、全ダウンロードデータを格納する第3の記憶手段と、前記第3の記憶手段へのダウンロードデータの格納が成功したか否かを判定するダウンロード成否判定手段とを有し、
前記局側装置の前記演算手段によって前記ダウンロードデータのデータサイズ及びCRC値を演算し、演算されたデータを前記第1のデータ送受信手段によって前記宅側装置に送信するステップと、
前記宅側装置の前記第2のデータ送受信手段によって前記演算されたデータサイズ及びCRC値のデータを受信し、前記設定手段によって前記データサイズ及びCRC値を設定するステップと、
前記局側装置の前記フレーム化手段によって前記ダウンロードデータを前記宅側装置の第2の記憶手段に格納可能なサイズ内に区切って複数のフレーム化データを作成し、前記フレーム化データを前記第1のデータ送受信手段によって前記宅側装置に送信するステップと、
前記宅側装置の前記判定手段によって前記第2のデータ送受信手段により受信されたデータが前記フレーム化データであるか否かを判定し、前記フレーム化データであると判定された場合には、前記フレーム化データを前記第2の記憶手段に一時的に格納させ、前記第2の記憶手段から読み出したフレーム化データを前記第3の記憶手段に書き込み、前記第3の記憶手段に書き込まれたダウンロードデータのデータサイズと前記設定手段によって設定されたデータサイズとが一致した場合には、前記ダウンロード成否判定手段によって前記第3の記憶手段に書き込まれたダウンロードデータを読み出し、前記読み出されたダウンロードデータのCRC値と前記設定手段によって設定されたCRC値とを比較し、両者が一致した場合には、ダウンロードデータの格納が成功したものと判定し、一致しなかった場合には、失敗したものと判定し、その判定結果を前記第2のデータ送受信手段によって前記局側装置に送信するステップと、
を有することを特徴とする遠隔ダウンロード方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−252245(P2008−252245A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88015(P2007−88015)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】