説明

遠隔制御スイッチ

【課題】 表示装置に指の汚れが付着することを確実に回避させ得るとともに、使い勝手の優れた遠隔制御スイッチを提供する。
【解決手段】 選択操作を行える遠隔タッチパット4をナビゲーション本体2と別体で設け、入力パネル11によってタッチ入力を行うことにより当該ナビゲーション本体2を遠隔操作できるようにしたので、ユーザに対してモニタ6に指を直接触れさせることなく、入力パネル11を介してあたかもタッチパネル5と同じような操作感覚を与えることができ、かくして、モニタ6に指の汚れが付着することを確実に回避し得るとともに、使い勝手に優れた操作を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠隔制御スイッチに関し、例えば車内に搭載されるナビゲーションシステムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーションシステムは、液晶ディスプレイでなるモニタにタッチパネルを設け、当該モニタに対して各種機能に対応した複数の設定スイッチ(スイッチ画像)を羅列表示し、ユーザの指によりタッチパネル上で所望の設定スイッチが押圧操作されると、設定スイッチに該当する処理を実行し、地図画像を拡大表示するなどの所定の処理結果をモニタに表示するようになされている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−33275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、かかる構成のタッチパネルを用いたナビゲーションシステムでは、タッチパネル上で設定スイッチを選択して確定するたびにモニタに指を接触させる必要があるため、当該モニタに指紋などの汚れが付着し、これら付着した汚れなどによりモニタが視認し難くなり使い勝手が悪いという問題点があった。
【0004】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、表示装置に指の汚れが付着することを確実に回避させ得るとともに、使い勝手の優れた遠隔制御スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するため本発明において、請求項1記載の発明では、画像を表示する表示装置と、前記表示装置の画像表示を制御する制御手段と、複数のスイッチが平面上に配置された入力パネルとを備える遠隔制御電子機器に用いる遠隔制御スイッチであって、前記入力パネルは前記表示装置と別体で構成され、前記表示装置の画面座標と前記入力パネルの各スイッチ座標とを略一致させるとともに、前記制御手段によって前記表示装置に前記各スイッチに対応するスイッチ画像を表示させるようにした。
【0006】
また、請求項2記載の発明では、前記入力パネルは上下2層からなるスイッチでなり、上層に前記スイッチ画像の選択機能を有し、下層は前記選択機能を確定する確定機能を有するようにした。
【0007】
さらに、請求項3記載の発明では、前記入力パネルによって、前記表示装置における表示画面上の前記スイッチ画像を複数選択した際に、前記複数選択したスイッチ画像を強調表示するようにした。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、表示装置の表示画面に指を直接触れさせることなく、入力パネルを介してあたかもタッチパネルのような操作感覚を与えることができ、かくして、表示装置に指の汚れが付着することを確実に回避させ得るとともに、使い勝手の優れた遠隔制御スイッチを実現することができる。
【0009】
また、請求項2記載の発明によれば、スイッチ画像を選択できるだけでなく、選択したスイッチ画像を確定して、当該スイッチ画像に対応する所定の処理を容易に実行でき、かくして一段と操作性を向上させ得る。
【0010】
さらに、請求項3記載の発明によれば、表示画面上にスイッチ画像が密集し、複数のスイッチ画像を同時に選択してしまった場合であっても、複数選択したスイッチ画像を強調表示することにより、ユーザに対し入力パネルを介して所望するスイッチ画像だけを容易に選択させ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0012】
(1)ナビゲーションシステムの全体構成
図1において、1は全体として遠隔制御電子機器としての車載用のナビゲーションシステムを示し、このナビゲーションシステム1は、ナビゲーション本体2と、当該ナビゲーション本体2にケーブル3を介して電気的に接続された遠隔タッチパット4とで構成されている。
【0013】
このナビゲーションシステム1は、ナビゲーション本体2が車内のフロントコンソール(図示せず)に装着され、ナビゲーション本体2の筐体正面にタッチパネル5付きのモニタ6からなるディスプレイ部7が設けられているとともに、このディスプレイ部7の周囲に電源ボタンなどの各種操作ボタンが配置された操作部8が設けられている。
【0014】
ナビゲーション本体2は、この操作部8が押下操作されることにより所定の処理を実行し、横長でほぼ長方形状のモニタ6にその処理結果を表示するようになされている。
【0015】
また、図2に示すように、ナビゲーション本体2は、複数(この場合、例えば3つ)の設定スイッチSW1、SW2及びSW3を地図画像などに重ねてモニタ6に表示し得る。
【0016】
ここで、モニタ6には、横方向(X1方向)と縦方向(Y1方向)とを2次元平面座標で表せるようにX1座標及びY1座標が対応つけられている。そして、モニタ6には、所定の2次元座標情報が予め対応付けられた各設定スイッチSW1、SW2及びSW3が、この2次元座標情報を基にそれぞれ表示画面10の所定位置に羅列表示される。
【0017】
これにより、ナビゲーション本体2は、各種動作命令を与えるための設定スイッチSW1、SW2及びSW3のうち、ユーザが所望する設定スイッチSW1がタッチパネル5を介して押圧されると、タッチパネル5によりX1座標及びY1座標とからなる2次元座標データを検出し、この2次元座標データを基に押圧された設定スイッチSW1を認識して、当該設定スイッチSW1に該当する所定の処理を実行し得る。
【0018】
かかる構成に加えてナビゲーションシステム1では、例えば遠隔タッチパット4が図示しない運転席と助手席との間のセンタコンソール上に配置され、前席に乗車した搭乗者が片手の指先で遠隔タッチパット4に対して各種タッチ入力を行えるようになされている。
【0019】
すなわち、遠隔操作装置として機能する遠隔タッチパット4は、各種タッチ入力によって与えられる操作命令に基づく処理をナビゲーション本体2に実行させ、地図画像の拡大などユーザ所望の処理結果をモニタ6に表示させ得るようになされている。
【0020】
この遠隔タッチパット4には、ナビゲーション本体2のモニタ6とほぼ同一のアスペクト比でなり、当該モニタ6よりも小さく選定された小型の入力パネル11が設けられている。
【0021】
この入力パネル11は、上層に選択機能を有するXY座標検出操作部12が配置されているとともに、下層に確定機能を有するZ座標検出操作部13が配置され、上下2層で構成されている。
【0022】
XY座標検出操作部12は、既存のタッチパネルと同様の構成を有し、入力パネル11にユーザの指が接触したことを検出するための複数のスイッチ(図示せず)が平面上に配置された構成でなる。
【0023】
このXY座標検出操作部12が備える複数のスイッチ(図示せず)は、入力パネル11の横方向(X2方向)を示すX2座標及び縦方向(Y2方向)を示すY2座標によって、それぞれスイッチ座標として2次元平面座標が対応付けられている。
【0024】
そして、XY座標検出操作部12は、図3(A)に示すように、入力パネル11に指Fを接触させ滑らせて操作する選択操作が行われると、この選択操作が行われた入力パネル11上の位置をスイッチ座標(2次元平面座標)により検出し得るように構成されている。
【0025】
かくしてXY座標検出操作部12は、ユーザの指が接触した入力パネル11上の位置を、X2座標及びY2座標の2次元平面座標を用いて表すようになされている。
【0026】
ここで、入力パネル11におけるX2方向のX2座標及びY2方向のY2座標の2次元平面座標は、図2に示したように、それぞれモニタ6上のX1方向のX1座標及びY1方向のY1座標の2次元平面座標で表される画面座標とそれぞれ一致するように対応付けられており、入力パネル11上で検出したスイッチ座標をモニタ6上で示すことができる。
【0027】
Z座標検出操作部13は、図3(A)及び(B)に示すように、粉状体15が混合された透明のフィルム層16を介してXY座標検出操作部12の下側に配置されており、XY座標検出操作部12を介して上方からZ方向に所定以上の押圧力が加わると、当該フィルム層16を介してこの押圧力を検出し得るようになされている。
【0028】
因みに、Z座標検出操作部13は、図3(B)に示したように、ユーザの指Fで入力パネル11に対して与えられたZ方向の押圧力が、主に粉状体15を介して伝わることにより、押圧力がフィルム層16に分散することなくこの粉状体15に集中させ得、かくして押圧力を正確に検出し得るようになされている。
【0029】
このようにZ座標検出操作部13は、入力パネル11に対し所定以上の押圧力を与える押圧操作のみを検出し得る。
【0030】
(2)ナビゲーションシステムの回路構成
このようなナビゲーション本体2は、図4に示すように、ナビゲーションシステム1の各種機能を統括的に制御する制御部30に対して、操作部8と、OSD(On Screen Display)部31と、ディスプレイ部7のタッチパネル5と、ケーブル3を介して遠隔タッチパット4のXY座標検出操作部12及びZ座標検出操作部13とが接続されているとともに、OSD部31にディスプレイ部7のモニタ6が接続されている。
【0031】
因みに、この制御部30には、GPS(Global Positioning System)受信部(図示せず)が接続されており、当該GPS受信部によってGPS衛星から受信した衛星信号に基づいて経度及び緯度等を示す位置データを抽出して、このナビゲーションシステムを搭載した自車の現在位置を、地図画像とともにモニタ6に表示し得るようになされている。
【0032】
この場合、制御部30は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Processing)、基本プログラム及び遠隔タッチパット操作処理プログラム等の各種プログラムが予め格納されたROM(Read Only Memory)等で構成されており、各種操作命令に応じてROMに格納された各種プログラムを適宜RAMに読み出すことにより所定の処理を実行する。
【0033】
例えば、制御部30は、基本プログラムに従い、モニタ6に設けたタッチパネル5や操作部8を介して入力された操作命令に応じてOSD部31などの各回路部を制御することにより、地図の縮尺変更や経路探索等の各種処理を実行し、その処理結果をモニタ6に表示する。
【0034】
ここでOSD部31は、制御部30から供給される制御信号に基づき、各種動作(地図画像の縮尺変更や経路探索等)の設定時に使用する設定スイッチSW1、SW2及びSW3を画像表現するためのキャラクタ画像信号をモニタ6へ送出する。
【0035】
モニタ6は、OSD部31から供給される制御信号に基づき、各種設定スイッチSW1、SW2及びSW3を表すキャラクタ画像信号と、同じく制御部30からの画像信号(例えば地図画像をモニタ6に表示させるための画像信号等)とを重畳させるように動作し、これにより地図画像に各種設定スイッチSW1、SW2及びSW3(すなわち、スイッチ画像)を重ねて表示する(図2)。
【0036】
なお、これらスイッチ画像たる設定スイッチSW1、SW2及びSW3は、予め設定された所定の色(以下、これを標準色と呼ぶ)や文字態様などの表示態様(以下、これを標準態様と呼ぶ)でモニタ6に表示される。
【0037】
これにより、制御部30は、タッチパネル5上で所望の設定スイッチSW1、SW2又はSW3が押圧操作され選択確定されると、当該押圧操作された設定スイッチSW1、SW2又はSW3に該当する所定の処理を実行し、地図画像の拡大処理などの処理結果をモニタ6に表示する。
【0038】
これに加えて、制御部30は、ROMから読み出した遠隔タッチパット操作処理プログラムをRAM上に展開し、入力パネル11に指を接触させ滑らせて操作する選択操作(図3(A)))又は入力パネル11に対し指で所定以上の押圧力を与える押圧操作(図3(B))のいずれかのタッチ入力がされると、当該遠隔タッチパット操作処理プログラムに従って選択操作及び押圧操作に応じてモニタ6の表示処理を行うようになされている。
【0039】
すなわち、図3(A)に示したように、入力パネル11に対し選択操作が行われた場合、図2に示したように、XY座標検出操作部12は、ユーザの指Fが接触している接触範囲ER1の中心位置をX2座標及びY2座標の2次元平面座標(この場合(X2,Y2)=(a2,b2))により検出し、これをXY座標検出データD1として制御部30へ送出する(図4)。
【0040】
これにより制御部30は、XY座標検出データD1に基づいて、モニタ6上で対応する座標位置(この場合(X1,Y1)=(a1,b1))(以下、これを特定座標位置と呼ぶ)を特定し、当該特定座標位置を中心として所定の選択領域ER2を確定する。なお、この選択領域ER2はモニタ6上には表示されないものである。
【0041】
制御部30は、選択領域ER2を示す2次元座標情報と、設定スイッチSW1、SW2及びSW3の枠領域内を示す2次元座標情報とを比較し、選択領域ER2に重なる設定スイッチSW1、SW2又はSW3を特定する。
【0042】
そして、スイッチ画像としての設定スイッチSW1、SW2又はSW3のうち、例えば選択領域ER2に設定スイッチSW1が重なる場合、制御部30は、選択表示処理を実行して、設定スイッチSW1の枠領域内における文字(図示せず)や枠を標準色(例えば黒色)から赤色に変更し、選択領域ER2に重ならない他の設定スイッチSW2及びSW3(これらはすべて標準色である黒色)よりも目立たせて入力パネル11を介して選択したことをモニタ6上で表すようになされている。
【0043】
かくして制御部30は、入力パネル11を介して設定スイッチSW1が選択された状態においては、選択された設定スイッチSW1の表示色を標準色である黒色から赤色に変更してモニタ6上に表示することにより、現在入力パネル11を介して設定スイッチSW1が選択されていることを赤色でユーザに対して瞬時に認識させ得るようになされている。
【0044】
なお、上述した実施の形態においては、選択された設定スイッチSW1について、標準色である黒色から赤色に変更させて目立たせるるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、選択された設定スイッチSW1について、文字大きさを大きくしたり、或るいは輝度レベルを上げて明るくするなどして標準態様を種々の方法で表示変化させて目立たせるようにして良い。
【0045】
このように、制御部30は、XY座標検出操作部12からXY座標検出データD1を受け取るたびに、このXY座標検出データD1に基づいて対応する選択領域ER2をモニタ6上で特定し、この選択領域ER2に重なる設定スイッチSW1、SW2又はSW3をモニタ6上で赤色に変更し得るようになされている。
【0046】
かかる構成に加えて、図3(B)に示したように、ユーザの指Fが接触している接触範囲ER1(図2)の中心位置において、入力パネル11に対し押圧操作が行われた場合、Z座標検出操作部13は、Z座標検出データD2を生成し、これを制御部30へ送出する(図4)。
【0047】
制御部30は、Z座標検出操作部13からZ座標検出データD2を受け取ると、XY座標検出データD1を基にモニタ6上で現在選択されている設定スイッチSW1の選択を確定し、例えば設定スイッチSW1に対応させた下位階層の設定画面に移行するなど当該設定スイッチSW1に対応する所定の処理を実行する。
【0048】
例えば、経路探索を設定するための設定スイッチSW1が選択され確定した場合には、現在モニタ6に表示されている地図画像に替えて設定スイッチSW1に対応させた経路探索設定用画面(図示せず)を表示する。
【0049】
ところで、図5に示すように、スイッチ画像としての設定スイッチA〜X(この場合、例えばアルファベットを入力する際に使用するアルファべットスイッチ「A」〜「X」)が密集する表示画面34がモニタ6に表示されている場合には、XY座標検出データD1により特定される選択領域ER2に、例えば2つの設定スイッチB及びCが同時に重なることがある。
【0050】
この場合、制御部30は、同様に選択表示処理を実行し、選択領域ER2に重なる2つの設定スイッチB及びCを標準色である黒色から赤色に変更して2つの設定スイッチB及びCを選択するようになされている。
【0051】
かくして、制御部30は、選択領域ER2に重なった2つの設定スイッチB及びCを同時に赤色に変更し、選択領域ER2に重ならない他の設定スイッチC〜Xよりも目立たせて2つの設定スイッチB及びCが選択されていることをモニタ6上で表すようになされている。
【0052】
そして、制御部30は、この状態でZ座標検出操作部13からZ座標検出データD2を受け取ると、ズーム処理を実行し、モニタ6上に表示されている表示画面34の縮尺を変更して、現在選択している2つの設定スイッチB及びCを含む設定スイッチA〜C及びG〜Iの領域ER3を拡大した表示画面35をモニタ6に表示するようになされている。
【0053】
このようにして、制御部30は、2つの設定スイッチB及びCを選択して確定させるだけで、設定スイッチC〜Xが密集して表示されていた表示画面34の縮尺を変更し、選択領域ER2に1つの設定スイッチBのみが重なるような設定スイッチA〜C及びG〜Iの密集度が低い表示画面35をモニタ6に表示する。かくして表示画面34においては、ユーザに対し入力パネル11を介して1つの設定スイッチBのみを確実、かつ容易に選択させ得る。
【0054】
(3)遠隔タッチパット操作処理手順
次に、ナビゲーションシステム1における遠隔タッチパット操作処理を図6のフローチャートを用いて説明する。
【0055】
ナビゲーション本体2は電源が投入されると、地図画像に重ねて複数の設定スイッチSW1、SW2及びSW3をモニタ6に表示し、ルーチンRT1の開始ステップから入ってステップSP1に移る。ステップSP1においてナビゲーション本体2の制御部30は、入力パネル11に指Fを接触させ滑らせて操作する選択操作がされたか否かを判断する。
【0056】
ステップSP1で肯定結果が得られると、このことはユーザによって入力パネル11上で選択操作が行われたこと、すなわち、ユーザの指Fが接触している入力パネル11上の位置をXY座標検出操作部12によりXY座標検出データD1として検出したことを表しており、このとき制御部30は次のステップSP2へ移る。
【0057】
ステップSP2において制御部30は、XY座標検出操作部13から受け取ったXY座標検出データD1に基づいて、モニタ6上で選択領域ER2を特定し、当該選択領域ER2に重なる設定スイッチSW1の表示色を標準色の黒色から赤色に変更し、次のステップSP3へ移る。
【0058】
ステップSP3において制御部30は、入力パネル11に対し指Fで所定以上の押圧力を与える押圧操作がされたか否かを判断する。
【0059】
ステップSP3で否定結果が得られると、このことはユーザによって入力パネル11に押圧操作が未だ行われていないことを表しており、このとき制御部30は再びステップSP1に戻り上述した処理を繰り返す。
【0060】
これに対してステップSP3で肯定結果が得られると、このことはユーザによって入力パネル11に押圧操作が行われたこと、すなわち、ユーザの指Fが接触している入力パネル11上の位置でZ座標検出操作部13によりZ座標検出データD2を検出したことを表しており、このとき制御部30は次のステップSP4へ移る。
【0061】
ステップSP4において制御部30は、選択領域ER2に重なる設定スイッチSW1、SW2又はSW3が2つ以上あり、2つ以上の設定スイッチSW1、SW2及びSW3を同時に選択しているか否かを判断する。
【0062】
ステップSP4で否定結果が得られると、このことは設定スイッチSW1、SW2及びSW3のうち、例えば設定スイッチSW1だけを選択して確定したことを表しており、このとき制御部30は次のステップSP5へ移る。
【0063】
ステップSP5において制御部30は、確定した設定スイッチSW1に対応した所定の下位階層の設定画面(図示せず)をモニタ6に表示し、再び上述のステップSP1以降の処理を繰り返す。
【0064】
これに対してステップSP4で肯定結果が得られると、このことは図5に示すような各表示領域が小さな設定スイッチA〜Xが密集した表示画面34において、設定スイッチA〜Xにうち、例えば設定スイッチB及びCの2つが同時に選択され確定されたことを表しており、このとき制御部30は次のステップSP6へ移る。
【0065】
すなわち、図5に示すような表示領域が小さな設定スイッチA〜Xが密集して表示された表示画面34においては、入力パネル11のタッチ入力により特定される選択領域ER2と、2つの設定スイッチB及びCとが重なってしまう場合があり、ユーザにとって選択したくないスイッチCまで選択することもある。
【0066】
そこでステップSP6において制御部30は、ズーム処理を実行することにより、モニタ6に表示している表示画面34の縮尺を変更し、選択されている2つの設定スイッチB及びCを含んだ所定の領域ER3を拡大処理した表示画面35をモニタ6に表示し、再びステップSP1以降の処理を繰り返す。
【0067】
このようにして、制御部30は、選択領域ER2に1つの設定スイッチBのみが重なるように表示画面34の縮尺を変更することにより、ユーザが所望する1つの設定スイッチBのみを容易に選択させ得るようになされている。
【0068】
ところで上述したステップSP1において否定結果が得られると、このことはユーザによって入力パネル11上で選択操作が行われていないことを表しており、このとき制御部30は次のステップSP7へ移る。
【0069】
ステップSP7において制御部30は、現在モニタ6に表示されている設定スイッチSW1、SW2及びSW3のうちいずれかの表示色が標準色である黒色から赤色に変更されているか否かを判断する。ここで否定結果が得られると、このことは設定スイッチSW1、SW2及びSW3の全てが標準色であることを表しおり、このとき制御部30は再びステップSP1に戻って入力パネル11上で選択操作が行われるまで待ち受ける。
【0070】
これに対してステップSP7で肯定結果が得られると、このことはユーザによって入力パネル11上で選択操作が今まで行われていたため設定スイッチSW1、SW2及びSW3のいずれかの表示色が赤色に変更されていることを表しており、このとき制御部30は次のステップSP8へ移る。
【0071】
ステップSP8において制御部30は、例えば赤色に変更されている設定スイッチSW1を標準色である黒色に戻して再びステップSP1に戻ってユーザにより入力パネル11上で選択操作が行われるまで待ち受ける。
【0072】
(4)動作及び効果
以上の構成において、遠隔タッチパット4は、ナビゲーション本体2とは別体で構成されており、モニタ6に表示した設定スイッチSW1、SW2及びSW3のいずれかを選択する選択機能を備えている。
【0073】
従って、遠隔タッチパット4は、入力パネル11において選択操作を行うことにより当該ナビゲーション本体2を遠隔操作でき、かくしてモニタ6に指を直接触れさせることなく、ユーザに対して入力パネル11を介しあたかもタッチパネルと同じような操作感覚を与えることができる。
【0074】
また、遠隔タッチパット4は、X2座標及びY2座標の2次元平面座標を検出するとともに、Z座標検出操作部13によってZ方向への押圧力を検出する。
【0075】
そして、遠隔タッチパット4は、このZ座標検出操作部13で検出したZ座標検出データD2をナビゲーション本体2へ送出し、現在モニタ6上で選択されている設定スイッチSW1の選択を確定させ当該設定スイッチSW1に対応する所定の処理をナビゲーション本体2に実行させる。
【0076】
このように遠隔タッチパット4では、ユーザが片手の指F1本だけで、かつ当該指Fを入力パネル11から離すことなくユーザ所望の設定スイッチSW1、SW2又はSW3を容易に選択できるとともに、選択した設定スイッチSW1、SW2又はSW3を確定し対応する所定の処理を容易に実行させることができる。
【0077】
さらに、XY座標検出操作部12によって複数の設定スイッチB及びCが同時に選択され確定されると、モニタ6に現在表示されている表示画面34のうち、これら複数の設定スイッチB及びCを含んだ所定領域ER3を拡大し、選択した設定スイッチB及びCを強調表示した表示画面35をモニタ6に表示する。
【0078】
すなわち、遠隔タッチパット4は、XY座標検出操作部12によって複数の設定スイッチB及びCが同時に選択されると、当該選択された複数の設定スイッチB及びCを任意の大きさでモニタ6に拡大表示させる。
【0079】
これにより、設定スイッチB及びC同士の間隔が狭く入力パネル11のタッチ入力によって所望する1つの設定スイッチBだけを選択し難い場合でも、選択した2つの設定スイッチB及びCを含む所定領域ER3を拡大表示することにより設定スイッチB及びC同士の間隔を広げることができ、かくして入力パネル11のタッチ入力により所望する設定スイッチBだけを容易に選択させることができる。
【0080】
さらに加えて、制御部30は、選択した設定スイッチSW1の表示色を標準色の黒色から比較的目立つ赤色に変更して表示するとともに、選択した設定スイッチSW1に隣接する非選択の設定スイッチSW2及びSW3については表示色を標準色の黒色のままで表示する。
【0081】
すなわち、制御部30は、標準態様で表示された複数の設定スイッチSW1、SW2又はSW3の中から遠隔タッチパネル4のタッチ入力に対応して選択された任意の設定スイッチSW1を認識し、当該認識した設定スイッチSW1についてのみ表示態様を変化させて表示するとともに、認識していない非選択の設定スイッチSW2及びSW3については標準態様のまま表示させる。
【0082】
これにより、ナビゲーションシステム1では、選択した設定スイッチSW1を注視しているユーザに対して隣接する非選択の設定スイッチSW2及びSW3に視線を動かすことなく一目で認識させ、これに応じて入力パネル11上での指の位置がモニタ6上でどの位置に対応するのかを容易に、かつ瞬時に認識させることができる。
【0083】
以上、本実施形態によれば、選択操作を行える遠隔タッチパット4をナビゲーション本体2と別体で設け、入力パネル11によってタッチ入力を行うことにより当該ナビゲーション本体2を遠隔操作できるようにしたので、ユーザに対してモニタ6に指を直接触れさせることなく、入力パネル11を介してあたかもタッチパネル5と同じような操作感覚を与えることができ、かくして、モニタ6に指の汚れが付着することを確実に回避し得るとともに、使い勝手に優れた操作を行うことができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、設定スイッチSW1、SW2又はSW3を選択する選択機能を有するXY座標検出操作部12を備えるとともに、当該選択した設定スイッチSW1を確定する確定機能を有するZ座標検出操作部13を備えるようにしたことにより、設定スイッチSW1に対応する所定の処理を容易に実行させることができ、かくして一段と操作性を向上させ得る。
【0085】
さらに、本実施形態によれば、設定スイッチA〜Xが密集しているため、入力パネル11のタッチ入力によって2つの設定スイッチB及びCを同時に選択してしまった場合であっても、表示画面34の縮尺を変更し、選択した2つの設定スイッチB及びCを強調表示することにより、入力パネル11を介して所望する設定スイッチBだけを容易に選択させ得る。
【0086】
(5)他の実施の形態
なお、上述した実施の形態においては、遠隔制御電子機器として、ナビゲーションシステムに適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、車内のコンソールパネルに配置される車載用の空調装置や車載用のオーディオ装置など種々の遠隔制御電子機器に適用するようにしても良い。
【0087】
また、上述した実施の形態においては、スイッチ画像として、ナビゲーションシステム1の基本動作を行うための設定スイッチSW1、SW2及びSW3と、アルファベットを入力する際に使用するアルファべットスイッチ「A」〜「X」の設定スイッチA〜Xを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ナビゲーションシステム1の各種動作を行うためモニタ6に表示される種々のスイッチ画像を用いるようにしても良い。
【0088】
さらに、上述した実施の形態においては、2つの設定スイッチB及びCを同時に選択して確定したときにズーム処理を実行するようにした場合ついて述べたが、本発明はこれに限らず、2つ以上の複数であれば3つや4つなどこの他所定個数の設定スイッチA〜Xを同時に選択して確定したときにズーム処理を実行するようにしても良い。
【0089】
さらに、上述した実施の形態においては、強調表示として、選択されている2つの設定スイッチB及びCを含んだ所定の領域ER3を拡大処理して表示画面35をモニタ6に表示するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、選択された2つの設定スイッチB及びCのみをモニタ6に拡大処理してモニタ6に表示するようにしても良く、要は選択された複数の設定スイッチB及びCを任意の大きさでモニタ6に拡大表示させれば良い。
【0090】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明によるナビゲーションシステムの全体構成を示す正面図である。
【図2】本発明によるナビゲーションシステムの構成を示す構成概略図である。
【図3】入力パネルの構成を示す断面図である。
【図4】本発明によるナビゲーションシステムの回路構成を示すブロック図である。
【図5】ズーム処理が行われたときの表示画面の様子を示す概略図である。
【図6】遠隔タッチパット操作処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
1 ナビゲーションシステム(遠隔制御電子機器)
2 ナビゲーション本体(表示装置)
4 遠隔タッチパット(遠隔制御スイッチ)
7 ディスプレイ部
11 入力パネル
12 XY座標検出操作部
13 Z座標検出操作部
30 制御部
SW1、SW2及びSW3 設定スイッチ(スイッチ画像)
A〜X 設定スイッチ(スイッチ画像)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示装置と、前記表示装置の画像表示を制御する制御手段と、複数のスイッチが平面上に配置された入力パネルとを備える遠隔制御電子機器に用いる遠隔制御スイッチであって、前記入力パネルは前記表示装置と別体で構成され、前記表示装置の画面座標と前記入力パネルの各スイッチ座標とを略一致させるとともに、前記制御手段によって前記表示装置に前記各スイッチに対応するスイッチ画像を表示させることを特徴とする遠隔制御スイッチ。
【請求項2】
前記入力パネルは上下2層からなるスイッチでなり、上層に前記スイッチ画像の選択機能を有し、下層は前記選択機能を確定する確定機能を有することを特徴とする請求項1記載の遠隔制御スイッチ。
【請求項3】
前記入力パネルによって、前記表示装置における表示画面上の前記スイッチ画像を複数選択した際に、前記複数選択したスイッチ画像を強調表示することを特徴とする請求項1又は2記載の遠隔制御スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−134184(P2006−134184A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324254(P2004−324254)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】