説明

選別装置

【課題】比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物にキズをつけることなく、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置を提供する。
【解決手段】対象物を所定要件に応じて選別すべく構成された選別装置1であって、対象物を切り離しながら搬送させる切離搬送手段20を備え、切離搬送手段20が、略平行に配設された複数のコンベアを用いて構成されており、対向する前記コンベアが、異なる速度にて駆動していることを特徴とする。また、対向する前記コンベアは、進行方向断面V字状に配設されると共に、進行方向に千鳥状に配設されており、対向する前記コンベアのうち、より下流側に終点を有する一方のコンベアの駆動速度が、他方のコンベアの駆動速度よりも高速に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別装置に関するものである。具体的には、例えば、不規則に供給されるジャガイモ等の農作物にキズをつけることなく、その大きさ等に応じて効率的に選別可能な、選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ジャガイモ等の農作物を生産する生産者あるいは生産組合等においては、農作物の収穫時期に、収穫、選別、出荷という作業を行っている。この中で「選別」作業については、大規模な生産者や生産組合では、種々の選別装置等を用いて選別作業を行うところもあるが、個々の小規模な生産者の大半(以下、「一般の生産者」という。)は、コスト等の観点から選別装置等を有していないため、通常は手作業での選別を行っている。
【0003】
一般の生産者は、収穫時期には収穫作業に長時間を要するため、手作業での選別および出荷については、夜遅くまで行っているのが実情である。また、手作業の選別を行うと、その生産者の個別能力等によって選別規格にばらつきが発生する場合もある。したがって、近年においては、一般の生産者における選別作業の効率化を実現可能な、選別装置の開発が望まれている。
【0004】
従来技術にかかる選別装置としては、種々の装置が知られており、これらの従来技術にかかる選別装置は、一般に、不規則に供給された農作物等を切り離しながら搬送する「切離搬送手段」、農作物等を安定した整列状態で搬送する「安定整列搬送手段」、および農作物等を所定要件に応じて仕分け搬送する「仕分搬送手段」等を用いて構成されている。
【0005】
【特許文献1】実公昭61−27856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術にかかる選別装置は、上述したように、「切離搬送手段」、「安定整列搬送手段」、および「仕分搬送手段」等を用いて構成されており、これらの各構成要素は、農作物等を搬送するために、コンベア等の駆動手段を有している。また、従来技術においては、不規則に供給された農作物等を切り離すための手段として、振動板を用いたり、搬送通路を狭めたりしている。
【0007】
このように構成された従来技術にかかる選別装置においては、振動板を用いた構成とすることによって、農作物同士が擦れあい、農作物にキズがつくおそれがある。また、搬送通路を狭めた構成とすることによっても、農作物が搬送通路に接触して、農作物にキズがつくおそれがある。さらに、他の搬送手段あるいはその前後の構成において、農作物を高い位置から落下させたり、農作物を上方から押さえつけたりする構成が採用されている技術もあるが、このような構成であっても、農作物にキズがつくおそれがある。
【0008】
つまり、従来技術にかかる選別装置においては、農作物にキズをつけることなく適切に搬送することが困難であるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来技術にかかる問題を解決するためになされたものであって、コスト低減を図るために比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物にキズをつけることなく、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一態様にかかる選別装置は、上記課題を解決するためになされたものであり、対象物を所定要件に応じて選別すべく構成された選別装置であって、前記対象物を切り離しながら搬送させる切離搬送手段を備え、前記切離搬送手段が、略平行に配設された複数のコンベアを用いて構成されており、対向する前記コンベアが、異なる速度にて駆動していることを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、前記切離搬送手段が、略平行に配設された複数のコンベアを用いて構成され、対向する前記コンベアが、異なる速度にて駆動しているため、前記切離搬送手段に供給された前記対象物は、対向する前記コンベアの速度差によって、適切に切り離される。より具体的には、多数の前記対象物が前記切離搬送手段に供給されても、対向する前記コンベアに速度差が存在することによって、前記切離搬送手段上にて前記対象物が回転しながら搬送されることとなり、前記対象物の重なり等がなくなる。つまり、このような構成によれば、前記対象物にキズをつけることなく、前記対象物の切り離しを適切に行うことができる。
したがって、前記切離搬送手段を備えた選別装置によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物にキズをつけることなく、適切な切り離し処理を行い、その後、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置を得ることができる。
【0012】
また、本発明の第二態様にかかる選別装置は、第一態様の構成にて、対向する前記コンベアが、進行方向断面V字状に配設されると共に、進行方向に千鳥状に配設されており、対向する前記コンベアのうち、より下流側に終点を有する一方のコンベアの駆動速度が、他方のコンベアの駆動速度よりも高速に設定されている構成であることが好ましい。つまり、本発明にかかる選別装置においては、前記切離搬送手段を構成する対向する前記コンベアが、始点および終点の少なくとも一方が異なる位置に設定されており、これらの前記コンベアの速度が、進行方向下流側に設けられているもの程(終点が下流側に設けられているもの程)、段々と高速になるように構成されている。
【0013】
このような構成によれば、より高速な前記コンベアの方に沿って前記対象物が回転し、その高速な前記コンベアが左右交互に(千鳥状に)配設されているため、前記対象物が一方に偏ることはなく、一個一個切り離されながら適切に搬送される。
したがって、このような構成によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物にキズをつけることなく、適切な切り離し処理を行い、その後、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置を得ることができる。
【0014】
さらに、本発明の第三態様にかかる選別装置は、第一態様または第二態様の構成にて、対象物を所定要件に応じて選別すべく構成された選別装置であって、集合状態にある前記対象物を下方位置から上方位置に搬送させる傾斜搬送手段と、前記対象物を切り離しながら搬送させる切離搬送手段とを備え、前記傾斜搬送手段が、無端状に形成された傾斜状コンベアと、前記傾斜状コンベアに設けられた可動桟部とを用いて構成されており、前記可動桟部が、前記傾斜状コンベアが上方移動する際には前記傾斜状コンベアに略垂直に起立した状態で移動し、前記傾斜状コンベアが下方移動する際には前記傾斜状コンベアに平伏した状態で移動すべく構成されている。
【0015】
このような構成によれば、上述した前記切離搬送手段による効果を有する選別装置を得ることができる。また、このような構成によれば、前記傾斜搬送手段が、無端状に形成された傾斜状コンベアと可動桟部とを用いて構成されており、前記可動桟部が、前記傾斜状コンベアが上方移動する際には前記傾斜状コンベアに略垂直に起立した状態で移動し、前記傾斜状コンベアが下方移動する際には前記傾斜状コンベアに平伏した状態で移動するため、前記対象物をキズつけることなく下方位置から上方位置に搬送可能であると共に、前記対象物が前記傾斜状コンベアから離間する際にも、前記対象物にキズをつけることがない。より具体的には、前記傾斜状コンベアが上方移動する場合には、前記可動桟部は自動的に起立状態となるため、多数の前記対象物をキズつけることなく上方位置に搬送することができる。また、前記傾斜状コンベアが下方移動する場合には、前記可動桟部は自動的に平伏状態となるため、前記対象物の巻き込みや噛み込み等をなくし、前記対象物をキズつけることなく前記傾斜搬送手段から離間させることができる。
したがって、このような構成によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物にキズをつけることなく、下方位置から上方位置への適切な搬送処理および適切な切り離し処理を行い、その後、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置を得ることができる。
【0016】
また、本発明の第四態様にかかる選別装置は、第三態様の構成にて、前記傾斜状コンベアが、複数の単位ローラ部を連接して構成され、前記可動桟部が、所定間隔を有して前記単位ローラ部に回動自在に取り付けられ、前記傾斜状コンベアの下方位置に桟支持部が設けられており、前記桟支持部に当接して前記可動桟部が回動することによって、前記可動桟部が、起立状態あるいは平伏状態となるべく構成されている。
【0017】
このような構成によれば、上方移動する際には前記傾斜状コンベアに略垂直に起立した状態で移動し、前記傾斜状コンベアが下方移動する際には前記傾斜状コンベアに平伏した状態で移動する前記可動桟部を有する傾斜搬送手段を、比較的簡単な構成に基づき実現することが可能となる。したがって、このような構成によれば、上述した第三態様における全ての効果を有する選別装置を得ることができる。
【0018】
さらに、本発明の第五態様にかかる選別装置は、第一態様から第四態様のいずれかの構成にて、対象物を所定要件に応じて選別すべく構成された選別装置であって、集合状態にある前記対象物を下方位置から上方位置に搬送させる傾斜搬送手段と、前記対象物を切り離しながら搬送させる切離搬送手段と、前記対象物を安定した整列状態で搬送させる安定整列搬送手段とを備え、前記安定整列搬送手段が、無端状に形成されたチェーン部と、前記チェーン部に着脱自在に設けられた弾性押さえ手段とを用いて構成されており、前記弾性押さえ手段が、前記対象物を押さえた状態で前記対象物と略同様の速度にて駆動すべく構成されている。
【0019】
このような構成によれば、上述した前記切離搬送手段による効果を有する選別装置を得ることができる。また、場合によって、上述した前記傾斜搬送手段による効果をも有する選別装置を得ることができる。さらに、このような構成によれば、前記安定整列搬送手段が、無端状に形成されたチェーン部と弾性押さえ手段とを用いて構成され、前記弾性押さえ手段が、前記対象物を押さえた状態で前記対象物と略同様の速度にて駆動すべく構成されているため、前記対象物にキズをつけることなく、前記対象物を安定した状態で整列搬送することが可能となる。より具体的には、この構成によれば、前記弾性押さえ手段にて前記対象物を押さえると共に、前記弾性押さえ手段は、前記対象物の搬送速度と略同様の速度にて駆動すべく構成されているため、前記対象物に対して余計な負荷がかからず、摩擦等の影響も最小限に抑えることができる。
したがって、このような構成によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物にキズをつけることなく、下方位置から上方位置への適切な搬送処理、適切な切り離し処理、および安定した整列搬送処理を行い、その後、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置を得ることができる。
【0020】
また、本発明の第六態様にかかる選別装置は、上記課題を解決するためになされたものであり、対象物を所定要件に応じて選別すべく構成された選別装置であって、集合状態にある前記対象物を下方位置から上方位置に搬送させる傾斜搬送手段と、前記対象物を切り離しながら搬送させる切離搬送手段と、前記対象物を安定した整列状態で搬送させる安定整列搬送手段と、前記対象物の画像情報に基づき、前記対象物毎に前記所定要件に関する判定処理を行う対象物判定手段と、前記対象物判定手段における判定処理結果に基づき、前記対象物を所定箇所に仕分け搬送する仕分搬送手段とを備え、前記傾斜搬送手段が、無端状に形成された傾斜状コンベアと、前記傾斜状コンベアに設けられた可動桟部とを用いて構成されており、前記可動桟部が、前記傾斜状コンベアが上方移動する際には前記傾斜状コンベアに略垂直に起立した状態で移動し、前記傾斜状コンベアが下方移動する際には前記傾斜状コンベアに平伏した状態で移動すべく構成されており、前記切離搬送手段が、略平行に配設された複数のコンベアを用いて構成され、対向する前記コンベアが、始点および終点の少なくとも一方が異なる位置に設定されており、対向する前記コンベアが、進行方向断面V字状に配設されると共に、進行方向に千鳥状に配設されており、対向する前記コンベアのうち、より下流側に終点を有する一方のコンベアの駆動速度が、他方のコンベアの駆動速度よりも高速に設定されており、前記安定整列搬送手段が、無端状に形成されたチェーン部と、前記チェーン部に着脱自在に設けられた弾性押さえ手段とを用いて構成されており、前記弾性押さえ手段が、前記対象物を押さえた状態で前記対象物と略同様の速度にて駆動していることを特徴としている。このような構成によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物にキズをつけることなく、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、比較的簡単な構成に基づき、対象物(農作物、果実等)にキズをつけることなく、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
【0023】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1の概略斜視図を示したものである。また、図2は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1の概略側面図(一部断面図)を示したものである。さらに、図3は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1を構成する傾斜搬送手段10の概略側面図(一部断面図)を示したものである。また、図4は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1を構成する切離搬送手段20の概略図を示したものであり、図4(a)は切離搬送手段20の概略斜視図、図4(b)は切離搬送手段20の概略上面図、図4(c)は図4(b)におけるA−A断面図,B−B断面図,C−C断面図を示したものである。さらに、図5は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1を構成する安定整列搬送手段30の概略図を示したものであり、図5(a)は安定整列搬送手段30の概略斜視図、図5(b)は安定整列搬送手段30の概略側面図を示したものである。また、図6は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1を構成するハンド搬送手段60の概略側面図を示したものであり、図6(a)は搬送時におけるハンド搬送手段60の概略側面図、図6(b)は仕分時におけるハンド搬送手段60の概略側面図を示したものである。ここで、図1および図2等における矢印Xは、ジャガイモの搬送方向(供給方向)を示している。
【0024】
図1および図2に示すように、本実施形態にかかる選別装置1は、傾斜搬送手段10、切離搬送手段20、安定整列搬送手段30、対象物判定手段40、仕分手段50、およびハンド搬送手段60等を用いて構成されている。ここで、仕分手段50およびハンド搬送手段60が、本発明の「仕分搬送手段」に相当する。また、本実施形態においては、選別装置1にて選別される「対象物」がジャガイモである場合について説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態にかかる選別装置1は、多数のジャガイモを収容可能な傾斜搬送手段10、傾斜搬送手段10から供給されるジャガイモを切り離しながら搬送させる切離搬送手段20、切離搬送手段20から供給されるジャガイモを安定した整列状態で搬送させる安定整列搬送手段30、安定整列搬送手段30から供給されるジャガイモを搬送させるハンド搬送手段60、ハンド搬送手段60上のジャガイモの大きさを判定する対象物判定手段40、および対象物判定手段40における判定処理結果に基づき、ハンド搬送手段60上のジャガイモの仕分処理を行う仕分手段50等を用いて構成されている。
【0026】
本実施形態にかかる選別装置1を構成する傾斜搬送手段10は、図3に示すように構成されている。この図3に示すように、傾斜搬送手段10は、傾斜搬送筺体部100、この傾斜搬送筺体部100の上方位置に設けられた対象物投入部101、および傾斜搬送筺体部100内部に設けられた傾斜状コンベア110等を用いて構成されている。
【0027】
対象投入部101には、傾斜状コンベア110に連通したコンベア連通開口部102が設けられており、対象投入部101に投入されたジャガイモは、このコンベア連通開口部102を介して、傾斜状コンベア110に供給されることとなる。
【0028】
傾斜搬送筺体部100内部には、図3における右下方位置に下方回転ローラ部118が設けられ、左上方位置に上方回転ローラ部119が設けられている。本実施形態においては、これらの回転ローラ部118,119間に、単位ローラ部111を連結して構成された無端状の傾斜状コンベア110が配設されている。
【0029】
傾斜状コンベア110を構成する単位ローラ部111には、所定間隔を有して可動桟部112が回動自在に設けられている。可動桟部112は、短辺部112aと長辺部112bとを用いて構成されている。この可動桟部112は、周囲の部材との当接状態に応じて、単位ローラ部111を中心として回動自在となるように、単位ローラ部111に取り付けられている。
【0030】
また、傾斜搬送筺体部100内部における傾斜状コンベア110の下方位置には、第一桟支持部113(本発明の「桟支持部」に相当)および第二桟支持部114(本発明の「桟支持部」に相当)が設けられている。より具体的には、本実施形態にかかる傾斜状コンベア110は、図3において、反時計方向に回転駆動しており、この反時計方向に回転駆動している傾斜状コンベア110の上方移動する(図3における矢印X1方向に移動する)部分の下方位置に第一桟支持部113が設けられており、傾斜状コンベア110の下方移動する(図3における矢印X2方向に移動する)部分の下方位置に第二桟支持部114が設けられている。第一桟支持部113の下方位置には、可動桟部112の短辺部112aと当接する短辺当接部113aが設けられている。第二桟支持部114の下方位置には、可動桟部112の長辺部112bと当接する下部長辺当接部114aが設けられ、第二桟支持部114の上方位置には、可動桟部112の長辺部112bと当接する上部長辺当接部114bが設けられている。
【0031】
傾斜搬送手段10には、切離搬送手段20との連結部分に、連結搬送部115が設けられており、対象物投入部101に投入されたジャガイモは、コンベア連通開口部102を介して傾斜コンベア110に供給され、傾斜コンベア110にて搬送されたジャガイモは、この連結搬送部115を介して切離搬送手段20に供給される。
【0032】
傾斜状コンベア110を構成する単位ローラ部111に取り付けられた可動桟部112は、可動桟部112の短辺部112aと第一桟支持部113の短辺当接部113aとが当接することによって、傾斜状コンベア110に対して略垂直に起立した状態となる。可動桟部112の起立状態は、第一桟支持部113と可動桟部112の短辺部112aとの当接状態が継続する限り継続する。次いで、本実施形態においては、可動桟部112の長辺部112bと第二桟支持部114の上部長辺当接部114bとが当接することによって、可動桟部112が、傾斜状コンベア110に平伏した状態となる。可動桟部112の平伏状態は、第二桟支持部114と可動桟部112の長辺部112bとの当接状態が継続する限り継続する。第二桟支持部114と可動桟部112の長辺部112bとの当接状態は、第二桟支持部114の下部長辺当接部114aにて終了し、この後、可動桟部112は、その自重にて長辺部112bが垂下した状態となる。
【0033】
本実施形態にかかる選別装置1を構成する切離搬送手段20は、図4に示すように構成されている。ここで、図4は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1を構成する切離搬送手段20の概略図を示したものであり、図4(a)は切離搬送手段20の概略斜視図、図4(b)は切離搬送手段20の概略上面図、図4(c)は図4(b)におけるA−A断面図,B−B断面図,C−C断面図を示したものである。ここで、図4(b)における矢印Xはジャガイモの搬送方向を示している。
【0034】
この図4に示すように、本実施形態にかかる切離搬送手段20は、コンベア載置台200と、このコンベア載置台20上に設けられた複数の切離コンベア(第一切離コンベア201、第二切離コンベア202、第三切離コンベア203、第四切離コンベア204、第五切離コンベア205)等とを用いて構成されている。ここで使用される切離コンベア201,202,203,204,205は、例えば、特殊スポンジベルト(ジャージーベルト)を用いて構成されている。
【0035】
本実施形態にかかる切離搬送手段20は、略平行に配設された複数の切離コンベア201,202,203,204,205(本発明の「コンベア」に相当)を用いて構成されており、対向する切離コンベア(第一切離コンベア201と第二切離コンベア202、第二切離コンベアと第三切離コンベア203、第三切離コンベア203と第四切離コンベア204、第四切離コンベア204と第五切離コンベア205)が、異なる速度にて駆動すべく構成されている。
【0036】
また、本実施形態にかかる切離搬送手段20は、図4(a)および図4(c)に示すように、対向する切離コンベア201,202,203,204,205が、進行方向断面V字状に配設されている。さらに、本実施形態にかかる切離搬送手段20を構成する切離コンベア201,202,203,204,205は、図4に示すように、進行方向に千鳥状に配設されており、対向する切離コンベア201,202,203,204,205のうち、より下流側に終点を有する一方の切離コンベアの駆動速度が、他方の切離コンベアの駆動速度よりも高速に設定されている。
【0037】
より具体的には、本実施形態にかかる切離搬送手段20を構成する第一切離コンベア201および第二切離コンベア202の傾斜角度θは、コンベア載置台200に対して同一の角度(例えば、50°)に設定されている。また、第三切離コンベア203の傾斜角度θは、第一切離コンベア201および第二切離コンベア202の傾斜角度θよりも小さな角度(例えば、40°)に設定されている(換言すれば、対象物の接触面が緩やかになる角度に設定されている)。さらに、第四切離コンベア204の傾斜角度θは、第三切離コンベア203の傾斜角度θよりも小さな角度(例えば、30°)に設定されており、第五切離コンベア205の傾斜角度θは、第四切離コンベア204と同一の角度(例えば、30°)に設定されている。すなわち、本実施形態にかかる切離コンベア201,202,203,204,205の傾斜角度は、「θ>θ>θ」の関係を有するように設定されている。
【0038】
また、本実施形態にかかる切離コンベア201,202,203,204,205の駆動速度は、より下流側に終点を有する切離コンベアの駆動速度の方がより高速となるように設定されている。つまり、本実施形態にかかる切離コンベア201,202,203,204,205の駆動速度は、「第一切離コンベア201(例えば、18m/min)<第二切離コンベア202(例えば、21m/min)<第三切離コンベア203(例えば、24m/min)<第四切離コンベア204(例えば、31m/min)<第五切離コンベア205(例えば、35m/min)」の関係を有するように設定されている。
【0039】
本実施形態にかかる選別装置1を構成する安定整列搬送手段30は、図5に示すように構成されている。ここで、図5は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1を構成する安定整列搬送手段30の概略図を示したものであり、図5(a)は安定整列搬送手段30の概略斜視図、図5(b)は安定整列搬送手段30の概略側面図を示したものである。
【0040】
この図5に示すように、本実施形態にかかる安定整列搬送手段30は、第一上方回転ローラ部301、第二上方回転ローラ部302、これらの回転ローラ部301,302に無端状に形成されたブラシ支持チェーン部303(本発明の「チェーン部」に相当)、およびブラシ支持チェーン部303に着脱自在に設けられたチャンネルブラシ304(本発明の「弾性押さえ手段」に相当)等を用いて構成されている。ここでは、毛丈の長いチャンネルブラシ304をブラシ支持チェーン部303(アタッチメントチェーン)にゴンドラ状(暖簾状)に取り付けて、安定整列搬送手段30が構成されている。
【0041】
また、本実施形態にかかる安定整列搬送手段30は、切離搬送手段20から供給されるジャガイモを受け取る無端状の搬送コンベア313を有し、この搬送コンベア313は、第一下方回転ローラ部311および第二下方回転ローラ部312に無端状に構成されている。さらに、本実施形態においては、ジャガイモを搬送する搬送コンベア313と、ジャガイモを上方から押さえるブラシ支持チェーン部303とが、略同様の速度にて駆動すべく構成されている。
【0042】
本実施形態においては、切離搬送手段20から供給されたジャガイモが搬送コンベア313にて搬送される。その際、ジャガイモに対しては、上方から安定整列搬送手段30(を構成するチャンネルブラシ304)による規制が働き、搬送されるジャガイモが転がったりすることがなく、その姿勢も安定することとなって、整列状態で適切に搬送処理が行われることとなる。
【0043】
本実施形態にかかる選別装置1を構成するハンド搬送手段60は、図1等に示すように構成されている。より具体的には、本実施形態にかかるハンド搬送手段60は、無端状に構成されたハンド搬送ベルト601、このハンド搬送ベルト601に設けられた多数のハンド支持部610、およびこのハンド支持部610にて各々支持されているハンド部620等を用いて構成されている。
【0044】
本実施形態においては、安定整列搬送手段30を介して供給されたジャガイモが、ハンド搬送手段60にて搬送される。そして、このハンド搬送手段60にて、ジャガイモが、対象物判定手段40および仕分手段50に搬送されることとなる。
【0045】
ここで、図6は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1を構成するハンド搬送手段60の概略側面図を示したものであり、図6(a)は搬送時におけるハンド搬送手段60の概略側面図、図6(b)は仕分時におけるハンド搬送手段60の概略側面図を示したものである。また、この図6には、仕分手段50を構成する仕分スイッチ部510も記載されている。
【0046】
図6に示すように、本実施形態にかかるハンド搬送手段60は、ハンド搬送ベルト601、ハンド支持部610、およびハンド部620等を用いて構成されている。ハンド支持部610には、ハンド部620とハンドロック部611とが設けられており、ハンド部620は、ジャガイモ等を載置して搬送可能なハンド本体部621と、ハンド支持部610にハンド部620を取り付けるハンド取付部622とを用いて構成されている。ハンドロック部611は、第一ヒンジ部611cを介してハンド支持部610に取り付けられており、ハンド部620を成すハンド取付部622は、第二ヒンジ部622cを介してハンド支持部610に取り付けられている。
【0047】
ジャガイモ等の搬送処理を行う場合には、図6(a)に示すように、ハンドロック部611を成す第一係合部611aと、ハンド取付部622を成す第二係合部622aとを係合状態として、ハンド本体部621を略水平状態に保持する。一方、ジャガイモ等の仕分処理を行う場合には、図6(b)に示すように、仕分スイッチ部510(を成すスイッチ側当接部511)によりハンドロック部611のハンド側当接部611bをたたいて、ハンドロック部611を成す第一係合部611aと、ハンド取付部622を成す第二係合部622aとの係合状態を解除する。このように、第一係合部611aと第二係合部622aとの係合状態を解除すれば、ハンド部620は自重および搬送中のジャガイモの重みによって、図6(b)に示すように傾くため、仕分スイッチ部510のタイミングに応じて、ジャガイモ等を適切に仕分処理することができる。
【0048】
本実施形態にかかる選別装置1を構成する対象物判定手段40については、その詳細な構成は省略するが、本実施形態にて用いられる対象物判定手段40は、カメラによって得られたジャガイモ(対象物)の画像によって、その大きさを判定する機能を有すると共に、ジャガイモ(対象物)の隣接状態を判定する機能を有する。すなわち、本実施形態にかかる対象物判定手段40は、隣接状態に起因する誤判定を防止しつつ、ジャガイモの大きさを瞬時に判定し、その判定処理情報を仕分手段50(を構成する仕分スイッチ部510)に伝達すべく構成されている。
【0049】
本実施形態にかかる選別装置1を構成する仕分手段50は、図1および図6に示すように、三つの仕分スイッチ部510、これらの各スイッチ部510に対応して設けられた仕分傾斜部(第一仕分傾斜部501、第二仕分傾斜部501、第三仕分傾斜部503)等を用いて構成されている。
【0050】
上述したように、本実施形態にかかる仕分スイッチ部510には、対象物判定手段40にて得られた判定処理結果が電気的に伝達される。つまり、ハンド搬送手段60にて搬送されているジャガイモの大きさ等に関する判定処理情報が仕分スイッチ部510に伝達され、そのジャガイモが適切な箇所に搬送されてきたときに、三つのうちのいずれかの仕分スイッチ部510(を成すスイッチ側当接部511)がハンドロック部611(を成すハンド側当接部611b)をたたき、いずれかの仕分傾斜部(第一仕分傾斜部501、第二仕分傾斜部501、第三仕分傾斜部503)を経て、あらかじめ配置された仕分箱B1,B2,B3のいずれかに仕分けられることとなる。
【0051】
本実施形態にかかる選別装置1は、以上のように構成されており、この構成に基づき、次のように機能する。
【0052】
本実施形態にかかる選別装置1においては、まず、対象物となるジャガイモを傾斜搬送手段10の対象物投入部101に投入する。対象物投入部101に投入されたジャガイモは、コンベア連通開口部102を介して傾斜状コンベア110に乗り移る。傾斜状コンベア110が回転駆動すると、それに伴いジャガイモも搬送され、傾斜状コンベア110が上方移動する際には、可動桟部112が起立状態となるため、より多くのジャガイモが下方位置から上方位置に搬送されることとなる。上方位置まで搬送されたジャガイモは、連結搬送部115を介して、切離搬送手段20に供給されることとなる。ここで、可動桟部112は、下方移動する際には、平伏状態となるため、ジャガイモを切離搬送手段20に供給する際においても、このような構成によれば、ジャガイモの巻き込みや噛み込みを起こすことがない。
【0053】
このような構成によれば、平行移動と傾斜移動とを一つの傾斜状コンベア110にて行うため、ジャガイモの巻き込みや噛み込みを効果的に解消することができる。また、傾斜に差し掛かるときに、一定間隔に設けられた可動桟部112が起立した状態で傾斜を上る構成であるため、ジャガイモの量が多くなってもキズをつける可能性が低い。さらに、可動桟部112は、傾斜を上りきった後に平伏状態となる構成であるため、桟の高さ分のスペースが不要となり、ジャガイモの巻き込みや噛み込みの発生を防ぐことができる。
【0054】
次いで、切離搬送手段20に供給されたジャガイモは、対向する切離コンベア201,202,203,204,205の速度差および傾斜角度差に基づき、回転しながら重なりや偏りが解消される。つまり、本実施形態においては、ジャガイモにキズをつけることなく、個々のジャガイモの切り離し処理が迅速に行われることとなる。また、本実施形態においては、切離搬送手段20を構成する切離コンベア201,202,203,204,205が、進行方向断面V字状に配設されているため、切り離し処理と共に整列処理も行われることとなる。ここで、切離整列処理が行われたジャガイモは、次に、安定整列搬送手段30に供給されることとなる。
【0055】
本実施形態にかかる切離コンベア201,202,203,204,205は、特殊スポンジベルト(ジャージーベルト)を用いて構成されているため、効果的に衝撃を吸収し、ジャガイモを傷める可能性を低減することができる。また、ジャガイモに振動や衝撃を与えることなく、切離整列処理を行うことが可能であるため、ジャガイモに対して皮剥けやキズをつけることがなくなる。
【0056】
次いで、安定整列搬送手段30に供給されたジャガイモは、上方からチャンネルブラシ304による規制を受けながら、搬送コンベア313を経て、ハンド部620へ供給される。
【0057】
本実施形態においては、毛丈の長いチャンネルブラシ304(弾性押さえ手段)を暖簾状に設けているため、ジャガイモをチャンネルブラシ304で跳ね上げることがない。また、このような構成であれば、大小さまざまなジャガイモが連続で供給されてきても、確実に安定姿勢を保持することが可能である。さらに、このような構成であれば、チャンネルブラシ304の磨耗が殆どない。
【0058】
次いで、ハンド部620に供給されたジャガイモは、対象物判定手段40にて、それぞれのジャガイモの大きさに関する判定処理が行われる。ここで得られた判定処理の結果は、仕分手段50に電気的に伝達され、この判定処理情報に基づき、ジャガイモが適切に仕分搬送される。
【0059】
本実施形態にかかる選別装置1は、以上のように構成され機能するため、次のような効果を得ることができる。
【0060】
上述したように、本実施形態にかかる選別装置1は、対象物を所定要件(例えば、大きさ)に応じて選別すべく構成された選別装置1であって、対象物(ジャガイモ)を切り離しながら搬送させる切離搬送手段20を備え、切離搬送手段20が、略平行に配設された複数の切離コンベア201,202,203,204,205を用いて構成されており、対向する切離コンベア201,202,203,204,205が、異なる速度にて駆動すべく構成されている。
【0061】
このような構成によれば、切離搬送手段20に供給されたジャガイモは、対向する切離コンベア201,202,203,204,205の速度差によって、適切に切り離される。より具体的には、多数のジャガイモが切離搬送手段20に供給されても、対向する切離コンベア201,202,203,204,205に速度差が存在することによって、切離搬送手段20上にてジャガイモが回転しながら搬送されることとなり、ジャガイモの重なり等がなくなる。つまり、このような構成によれば、ジャガイモにキズをつけることなく、ジャガイモの切り離しを適切に行うことができる。したがって、切離搬送手段20を備えた選別装置1によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物(ジャガイモ)にキズをつけることなく、適切な切り離し処理を行い、その後、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことができる。
【0062】
また、本実施形態にかかる選別装置1は、対向する切離コンベア201,202,203,204,205が、進行方向断面V字状に配設されると共に、進行方向に千鳥状に配設されており、対向する切離コンベア201,202,203,204,205のうち、より下流側に終点を有する一方のコンベアの駆動速度が、他方のコンベアの駆動速度よりも高速に設定されている。つまり、本実施形態にかかる選別装置1においては、切離搬送手段20を構成する対向する切離コンベア201,202,203,204,205が、始点および終点の少なくとも一方が異なる位置に設定されており、これらの切離コンベア201,202,203,204,205の速度が、進行方向下流側に設けられているもの程(終点が下流側に設けられているもの程)、段々と高速になるように構成されている。
【0063】
このような構成によれば、より高速な切離コンベア201,202,203,204,205の方に沿ってジャガイモが回転し、その高速な切離コンベア201,202,203,204,205が左右交互に(千鳥状に)配設されているため、ジャガイモが一方に偏ることはなく、一個一個切り離されながら適切に搬送される。したがって、このような構成によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物(ジャガイモ)にキズをつけることなく、適切な切り離し処理を行い、その後、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置1を得ることができる。
【0064】
さらに、本実施形態にかかる選別装置1は、対象物(ジャガイモ)を所定要件(例えば、大きさ)に応じて選別すべく構成された選別装置1であって、集合状態にあるジャガイモを下方位置から上方位置に搬送させる傾斜搬送手段10と、ジャガイモを切り離しながら搬送させる切離搬送手段20とを備え、傾斜搬送手段10が、無端状に形成された傾斜状コンベア110と、傾斜状コンベア110に設けられた可動桟部112とを用いて構成されており、可動桟部112が、傾斜状コンベア110が上方移動する際には傾斜状コンベア110に略垂直に起立した状態で移動し、傾斜状コンベア110が下方移動する際には傾斜状コンベア110に平伏した状態で移動すべく構成されている。
【0065】
このような構成によれば、傾斜状コンベア110が上方移動する場合には、可動桟部112は自動的に起立状態となるため、多数のジャガイモをキズつけることなく上方位置に搬送することができる。また、傾斜状コンベア110が下方移動する場合には、可動桟部112は自動的に平伏状態となるため、ジャガイモの巻き込みや噛み込み等をなくし、ジャガイモをキズつけることなく傾斜搬送手段10から離間させることができる。したがって、このような構成によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物(ジャガイモ)にキズをつけることなく、下方位置から上方位置への適切な搬送処理および適切な切り離し処理を行い、その後、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置1を得ることができる。
【0066】
また、本実施形態にかかる選別装置1は、傾斜状コンベア110が、複数の単位ローラ部111を連接して構成され、可動桟部112が、所定間隔を有して単位ローラ部111に回動自在に取り付けられ、傾斜状コンベア110の下方位置に桟支持部(第一桟支持部113、第二桟支持部114)が設けられており、桟支持部113,114に当接して可動桟部112が回動することによって、可動桟部112が、起立状態あるいは平伏状態となるべく構成されている。
【0067】
このような構成によれば、上方移動する際には傾斜状コンベア110に略垂直に起立した状態で移動し、傾斜状コンベア110が下方移動する際には傾斜状コンベア110に平伏した状態で移動する可動桟部112を有する傾斜搬送手段10を、比較的簡単な構成に基づき実現することが可能となる。
【0068】
さらに、本実施形態にかかる選別装置1は、対象物(ジャガイモ)を所定要件(例えば、大きさ)に応じて選別すべく構成された選別装置1であって、集合状態にあるジャガイモを下方位置から上方位置に搬送させる傾斜搬送手段10と、ジャガイモを切り離しながら搬送させる切離搬送手段20と、ジャガイモを安定した整列状態で搬送させる安定整列搬送手段30とを備え、安定整列搬送手段30が、無端状に形成されたブラシ支持チェーン部303と、ブラシ支持チェーン部303に着脱自在に設けられたチャンネルブラシ304とを用いて構成されており、チャンネルブラシ304が、ジャガイモを押さえた状態でジャガイモと略同様の速度にて駆動すべく構成されている。
【0069】
このような構成によれば、安定整列搬送手段30が、無端状に形成されたブラシ支持チェーン部303とチャンネルブラシ304とを用いて構成され、チャンネルブラシ304が、ジャガイモを押さえた状態でジャガイモと略同様の速度にて駆動すべく構成されているため、ジャガイモにキズをつけることなく、ジャガイモを安定した状態で整列搬送することが可能となる。より具体的には、この構成によれば、チャンネルブラシ304にてジャガイモを押さえると共に、チャンネルブラシ304は、ジャガイモの搬送速度と略同様の速度にて駆動すべく構成されているため、ジャガイモに対して余計な負荷がかからず、摩擦等の影響も最小限に抑えることができる。したがって、このような構成によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物(ジャガイモ)にキズをつけることなく、下方位置から上方位置への適切な搬送処理、適切な切り離し処理、および安定した整列搬送処理を行い、その後、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置1を得ることができる。
【0070】
また、本実施形態にかかる選別装置1は、対象物(ジャガイモ)を所定要件(例えば、、大きさ)に応じて選別すべく構成された選別装置1であって、集合状態にあるジャガイモを下方位置から上方位置に搬送させる傾斜搬送手段10と、ジャガイモを切り離しながら搬送させる切離搬送手段20と、ジャガイモを安定した整列状態で搬送させる安定整列搬送手段30と、ジャガイモの画像情報に基づき、ジャガイモ毎に所定要件(大きさ)に関する判定処理を行う対象物判定手段40と、対象物判定手段40における判定処理結果に基づき、ジャガイモを所定箇所に仕分け搬送する仕分搬送手段(仕分手段50およびハンド搬送手段60)とを備え、傾斜搬送手段10が、無端状に形成された傾斜状コンベアと110、傾斜状コンベア110に設けられた可動桟部112とを用いて構成されており、可動桟部112が、傾斜状コンベア110が上方移動する際には傾斜状コンベア110に略垂直に起立した状態で移動し、傾斜状コンベア110が下方移動する際には傾斜状コンベア110に平伏した状態で移動すべく構成されており、切離搬送手段20が、略平行に配設された複数の切離コンベア201,202,203,204,205を用いて構成され、対向する切離コンベア201,202,203,204,205が、始点および終点の少なくとも一方が異なる位置に設定されており、対向する切離コンベア201,202,203,204,205が、進行方向断面V字状に配設されると共に、進行方向に千鳥状に配設されており、対向する切離コンベア201,202,203,204,205のうち、より下流側に終点を有する一方のコンベアの駆動速度が、他方のコンベアの駆動速度よりも高速に設定されており、安定整列搬送手段30が、無端状に形成されたブラシ支持チェーン部303と、ブラシ支持チェーン部303に着脱自在に設けられたチャンネルブラシ304とを用いて構成されており、チャンネルブラシ304が、ジャガイモを押さえた状態でジャガイモと略同様の速度にて駆動していることを特徴としている。
【0071】
このような構成によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物(ジャガイモ)にキズをつけることなく、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置1を得ることができる。
【0072】
<その他の実施形態>
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0073】
上記実施形態においては、選別装置にて選別される対象物がジャガイモである場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、当然のことながら、ジャガイモ以外の農作物を対象物とすることも可能である。
【0074】
また、上記実施形態においては、対象物が農作物(ジャガイモ)である場合に適用可能な選別装置を示し、対象物に対応した構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。したがって、例えば、対象物を農作物以外のものとした場合には、その対象物に応じた構成を有する選別装置としてもよい。具体的には、その対象物に応じて、各構成要素の大きさ、構成要素の組み合わせ等を適宜変更した、選別装置としてもよい。
【0075】
さらに、上記実施形態においては、安定整列搬送手段30が切離搬送手段20の下流側に設けられている構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、それぞれの搬送手段が適切に機能し得る構成であれば、適宜変更可能である。したがって、例えば、図7に示すような構成としてもよい。
【0076】
ここで、図7は、本発明の他の実施形態にかかる選別装置を構成する安定整列搬送手段90の概略側面図を示したものである。本実施形態は、安定整列搬送手段90以外の構成は、第一実施形態と同様であるため、ここでは、異なる構成について主に説明する。また、第一実施形態と同様の構成要素については、同様の符号を用いて説明を行う。
【0077】
この図7に示すように、本実施形態にかかる安定整列搬送手段90は、第一上方回転ローラ部901、第二上方回転ローラ部902、これらの回転ローラ部901,902に無端状に形成されたブラシ支持チェーン部903(本発明の「チェーン部」に相当)、およびブラシ支持チェーン部903に着脱自在に設けられたチャンネルブラシ904(本発明の「弾性押さえ手段」に相当)等を用いて構成されている。ここでは、毛丈の長いチャンネルブラシ904をブラシ支持チェーン部903(アタッチメントチェーン)にゴンドラ状(暖簾状)に取り付けて、安定整列搬送手段90が構成されている。
【0078】
本実施形態と第一実施形態との違いは、安定整列搬送手段90の設けられている位置である。本実施形態にかかる安定整列搬送手段90は、切離搬送手段20の上方位置にまで延長して、ブラシ支持チェーン部903が設けられている。つまり、本実施形態においては、切離搬送手段20上のジャガイモが、切離搬送手段20と安定整列搬送手段90とで挟み込まれた状態で搬送されることとなる。
【0079】
したがって、このような構成によれば、ジャガイモに対しては、早い段階で上方からの規制(安定整列搬送手段90(を構成するチャンネルブラシ904)による規制)が働き、搬送されるジャガイモが転がったりすることがなく、その姿勢もより安定することとなって、整列状態で適切に搬送処理が行われることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる選別装置の概略斜視図を示したものである。
【図2】本発明の第一実施形態にかかる選別装置の概略側面図を示したものである。
【図3】本発明の第一実施形態にかかる選別装置を構成する傾斜搬送手段の概略側面図を示したものである。
【図4】本発明の第一実施形態にかかる選別装置を構成する切離搬送手段の概略図を示したものであり、図4(a)は切離搬送手段の概略斜視図、図4(b)は切離搬送手段の概略上面図、図4(c)は図4(b)におけるA−A断面図,B−B断面図,C−C断面図を示したものである。
【図5】本発明の第一実施形態にかかる選別装置を構成する安定整列搬送手段の概略図を示したものであり、図5(a)は安定整列搬送手段の概略斜視図、図5(b)は安定整列搬送手段の概略側面図を示したものである。
【図6】本発明の第一実施形態にかかる選別装置を構成するハンド搬送手段の概略側面図を示したものであり、図6(a)は搬送時におけるハンド搬送手段の概略側面図、図6(b)は仕分時におけるハンド搬送手段の概略側面図を示したものである。
【図7】本発明の他の実施形態にかかる選別装置を構成する安定整列搬送手段の概略側面図を示したものである。
【符号の説明】
【0081】
1…選別装置
10…傾斜搬送手段
20…切離搬送手段
30…安定整列搬送手段
40…対象物判定手段
50…仕分手段
60…ハンド搬送手段
90…安定整列搬送手段
100…傾斜搬送筺体部
101…対象物投入部
102…コンベア連通開口部
110…傾斜状コンベア
111…単位ローラ部
112…可動桟部
112a…短辺部
112b…長辺部
113…第一桟支持部
113a…短辺当接部
114…第二桟支持部
114a…下部長辺当接部
114b…上部長辺当接部
115…連結搬送部
118…下方回転ローラ部
119…上方回転ローラ部
200…コンベア載置台
201…第一切離コンベア
202…第二切離コンベア
203…第三切離コンベア
204…第四切離コンベア
205…第五切離コンベア
301…第一上方回転ローラ部
302…第二上方回転ローラ部
303…ブラシ支持チェーン部(チェーン部)
304…チャンネルブラシ(弾性押さえ手段)
311…第一下方回転ローラ部
312…第二下方回転ローラ部
313…搬送コンベア
501…第一仕分傾斜部
502…第二仕分傾斜部
503…第三仕分傾斜部
510…仕分スイッチ部
511…スイッチ側当接部
601…ハンド搬送ベルト
610…ハンド支持部
611…ハンドロック部
611a…第一係合部
611b…ハンド側当接部
611c…第一ヒンジ部
620…ハンド部
621…ハンド本体部
622…ハンド取付部
622a…第二係合部
622c…第二ヒンジ部
901…第一上方回転ローラ部
902…第二上方回転ローラ部
903…ブラシ支持チェーン部(チェーン部)
904…チャンネルブラシ(弾性押さえ手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を所定要件に応じて選別すべく構成された選別装置であって、
前記対象物を切り離しながら搬送させる切離搬送手段を備え、
前記切離搬送手段が、略平行に配設された複数のコンベアを用いて構成されており、対向する前記コンベアが、異なる速度にて駆動している
ことを特徴とする選別装置。
【請求項2】
対向する前記コンベアが、進行方向断面V字状に配設されると共に、進行方向に千鳥状に配設されており、対向する前記コンベアのうち、より下流側に終点を有する一方のコンベアの駆動速度が、他方のコンベアの駆動速度よりも高速に設定されている
請求項1に記載の選別装置。
【請求項3】
対象物を所定要件に応じて選別すべく構成された選別装置であって、
集合状態にある前記対象物を下方位置から上方位置に搬送させる傾斜搬送手段と、前記対象物を切り離しながら搬送させる切離搬送手段とを備え、
前記傾斜搬送手段が、無端状に形成された傾斜状コンベアと、前記傾斜状コンベアに設けられた可動桟部とを用いて構成されており、前記可動桟部が、前記傾斜状コンベアが上方移動する際には前記傾斜状コンベアに略垂直に起立した状態で移動し、前記傾斜状コンベアが下方移動する際には前記傾斜状コンベアに平伏した状態で移動すべく構成されている
請求項1または2に記載の選別装置。
【請求項4】
前記傾斜状コンベアが、複数の単位ローラ部を連接して構成され、前記可動桟部が、所定間隔を有して前記単位ローラ部に回動自在に取り付けられ、前記傾斜状コンベアの下方位置に桟支持部が設けられており、
前記桟支持部に当接して前記可動桟部が回動することによって、前記可動桟部が、起立状態あるいは平伏状態となる
請求項3に記載の選別装置。
【請求項5】
対象物を所定要件に応じて選別すべく構成された選別装置であって、
集合状態にある前記対象物を下方位置から上方位置に搬送させる傾斜搬送手段と、前記対象物を切り離しながら搬送させる切離搬送手段と、前記対象物を安定した整列状態で搬送させる安定整列搬送手段とを備え、
前記安定整列搬送手段が、無端状に形成されたチェーン部と、前記チェーン部に着脱自在に設けられた弾性押さえ手段とを用いて構成されており、前記弾性押さえ手段が、前記対象物を押さえた状態で前記対象物と略同様の速度にて駆動している
請求項1から4のいずれか1項に記載の選別装置。
【請求項6】
対象物を所定要件に応じて選別すべく構成された選別装置であって、
集合状態にある前記対象物を下方位置から上方位置に搬送させる傾斜搬送手段と、
前記対象物を切り離しながら搬送させる切離搬送手段と、
前記対象物を安定した整列状態で搬送させる安定整列搬送手段と、
前記対象物の画像情報に基づき、前記対象物毎に前記所定要件に関する判定処理を行う対象物判定手段と、
前記対象物判定手段における判定処理結果に基づき、前記対象物を所定箇所に仕分け搬送する仕分搬送手段とを備え、
前記傾斜搬送手段が、無端状に形成された傾斜状コンベアと、前記傾斜状コンベアに設けられた可動桟部とを用いて構成されており、前記可動桟部が、前記傾斜状コンベアが上方移動する際には前記傾斜状コンベアに略垂直に起立した状態で移動し、前記傾斜状コンベアが下方移動する際には前記傾斜状コンベアに平伏した状態で移動すべく構成されており、
前記切離搬送手段が、略平行に配設された複数のコンベアを用いて構成され、対向する前記コンベアが、始点および終点の少なくとも一方が異なる位置に設定されており、対向する前記コンベアが、進行方向断面V字状に配設されると共に、進行方向に千鳥状に配設されており、対向する前記コンベアのうち、より下流側に終点を有する一方のコンベアの駆動速度が、他方のコンベアの駆動速度よりも高速に設定されており、
前記安定整列搬送手段が、無端状に形成されたチェーン部と、前記チェーン部に着脱自在に設けられた弾性押さえ手段とを用いて構成されており、前記弾性押さえ手段が、前記対象物を押さえた状態で前記対象物と略同様の速度にて駆動している
ことを特徴とする選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−233581(P2009−233581A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83256(P2008−83256)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(598009924)
【出願人】(391018639)バブ日立工業株式会社 (38)
【Fターム(参考)】