説明

選択はんだ付け装置および選択はんだ付け方法

【課題】目的とする被はんだ付け部や被はんだ付け領域またその近傍領域のみを溶融はんだの接触供給直前に加熱することができようにすることで、被はんだ付け部の熱ストレスを緩和させ、また被はんだ付け部のはんだ濡れ性を高め、さらにフラックスの前置的活性化を可能にし、高品質のはんだ付け実装を可能にすること。
【解決手段】予め決められた所定の領域を加熱するヒータであって前記被はんだ付けワークの板面形状よりも外形が小さいヒータをノズル先端位置の近傍に設けておき、相対位置調節手段により先ず前記ノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークを接触させずに前記予め決められた所定の領域を前記ヒータで加熱し、続いて前記ノズル上の溶融はんだと前記板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域とを接触させて選択された領域の被はんだ付け部のみのはんだ付けを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が搭載されたプリント配線板のような板状の被はんだ付けワークにおいて、予め決めた所定の領域のみに溶融はんだを供給してはんだ付けを行う選択はんだ付け装置および選択はんだ付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板に搭載した電子部品のはんだ付けを行う場合において、リフローはんだ付けを行うことができない耐熱性の低い電子部品のはんだ付け作業や、リフローはんだ付けを行うことができないリード端子型の電子部品のはんだ付け作業に、リフローはんだ付け方法とは異なる選択はんだ付け方法が用いられる。例えば、リード端子型コネクタやリード端子型トランス等々が選択はんだ付け方法によってはんだ付けされる場合が多く、リフローはんだ付けが完了して他の一切の電子部品のはんだ付けが完了した後に、これらの選択はんだ付け作業が行われる。
【0003】
この選択はんだ付け方法は、被はんだ付け部の大きさ(面積,寸法)に合わせて例えば横断面形状が円形であり小径のノズル体のノズル口(吹き口)から溶融はんだを噴流させたり、または溶融はんだをノズル体のノズル口(吹き口)から噴流させることなく盛り上がらせた状態にしておいて、前述したようなプリント配線板に搭載されたコネクタのリード端子とプリント配線板のはんだ付けランドとから形成される被はんだ付け部に接触させ、この被はんだ付け部に溶融はんだを供給してはんだ付けを行う方法である。
【0004】
そして、例えばコネクタのように多数の被はんだ付け部が隣接かつ連続して列状に存在し被はんだ付け領域を形成するような場合は、ノズル上の溶融はんだと被はんだ付け部とを接触させた状態を保ちながら隣接する被はんだ付け部へ連続移動すなわちトレースさせ、このトレースによって列状に並ぶ被はんだ付け部群に溶融はんだを供給して連続した選択はんだ付けを行う。
【0005】
このプリント配線板の被はんだ付け部とノズル体のノズル口上のはんだとの相対位置調節を行う相対位置調節手段としては、例えば3軸ロボット(X−Y−Zロボット,X−Y−Zステージ)以上のロボットが用いられ、前記のノズルを固定しプリント配線板を移動させて前記のトレースを行う方法とプリント配線板は固定しておいてノズルを移動させて前記のトレースを行う方法とがある。なお、ノズルはこのノズルに溶融はんだを供給するポンプと溶融はんだを収容したはんだ槽とに一体に設けられる場合が一般的である。
【0006】
特許文献1には、「工業用ロボット」を使用してプリント配線板の3次元空間座標上の位置および姿勢を任意に制御し、ノズル上の溶融はんだにプリント配線板の被はんだ付け部(被はんだ付け領域)を接触・トレースさせ、本願で言う選択はんだ付けである「部分はんだ付け」を行う技術が開示されている。
【0007】
特許文献2には、「ろう付け槽移動機構」によりノズル側を移動させ、「ワーク(部品実装基板)」の「個々の実装部品に局所的に」溶融はんだを供給して本願で言う選択はんだ付けを行う技術が開示されている。
【0008】
特許文献3には、「局所はんだ付け装置」の「はんだ噴流口」の周囲に「プリント基板全体を予備加熱・保温できる加熱機構」すなわち「プリヒータ3」を設けた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−192340号公報
【特許文献2】特開平10−156527号公報
【特許文献3】特開平9−283911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献3の「加熱機構」の技術では、「プリント基板」全体を加熱するために、加熱を望まない電子部品や既にリフローはんだ付けが完了している被はんだ付け部を加熱してしまい、電子部品や当該はんだ付け部に熱ストレスを与えて電子部品ひいてはこの「プリント基板」が搭載される電子装置の信頼性を低下させる問題がある。
すなわち、「局所はんだ付け装置」が対象とする目的の被はんだ付け部や領域のみに熱量を供給しさらにその加熱熱量を調節することはできない。
【0011】
本発明の目的は、目的とする被はんだ付け部や被はんだ付け領域またその近傍領域のみを溶融はんだの接触供給直前に加熱することができようにすることで、被はんだ付け部の熱ストレスを緩和させ、また被はんだ付け部のはんだ濡れ性を高め、さらにフラックスの前置的活性化を可能にし、高品質のはんだ付け実装を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、プリント配線板の予め決められた被はんだ付け部やその領域のみに溶融はんだを供給するためのノズルの近傍位置に、この被はんだ付け部やその領域のみを加熱することができるヒータを設けたところに特徴がある。また、その加熱方法に特徴がある。
【0013】
(1)本発明の選択はんだ付け装置は、板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域にのみ溶融はんだを接触させてはんだ付けを行う選択はんだ付け装置であって、ノズル口を有するノズルと、前記ノズルに溶融はんだを供給して前記板状の被はんだ付けワークに接触させる溶融はんだを前記ノズル口上に供給する供給手段と、前記ノズルと前記板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域との相対位置を調節する相対位置調節手段と、を有し、前記予め決められた所定の領域を加熱するヒータであって前記被はんだ付けワークの板面形状よりも外形が小さいヒータを前記ノズル先端位置の近傍に設けたことを特徴とする。
【0014】
(2)また、本発明は、前記(1)の選択はんだ付け装置において、ノズル先端位置の近傍に設けるヒータが瞬時点灯可能なヒータであることを特徴とする。
【0015】
(3)また、本発明は、前記(1)(2)における選択はんだ付け装置において、ヒータの形状は、ヒータがノズル近傍を周回する形状で設けられていることを特徴とする。
【0016】
(4)さらに、本発明は、前記(1)(2)(3)における選択はんだ付け装置において、前記ヒータを設ける態様は、ノズル先端位置の近傍には複数のヒータまたは独立に発熱量が調節可能な複数の加熱部分からなるヒータが設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の選択はんだ付け方法は次のように行うことを特徴とする。
(5)ノズルに溶融はんだを供給してこのノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域とを前記ノズルと前記板状の被はんだ付けワークとの相対位置を調節する相対位置調節手段により接触させて選択された領域の被はんだ付け部のみのはんだ付けを行う選択はんだ付け方法において、次のようにヒータを設けておいてはんだ付けを行うことを特徴とする。
すなわち、前記予め決められた所定の領域を加熱するヒータであって前記被はんだ付けワークの板面形状よりも外形が小さいヒータを前記ノズル先端位置の近傍に設けておき、前記相対位置調節手段により先ず前記ノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークを接触させずに前記予め決められた所定の領域を前記ヒータで加熱し、続いて前記ノズル上の溶融はんだと前記板状の被はんだ付けワークの予め決めた所定の領域とを接触させてはんだ付けを行うことを特徴とする。
【0018】
(6)また、本発明の選択はんだ付け方法は、ノズルに溶融はんだを供給してこのノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域とを前記ノズルと前記板状の被はんだ付けワークとの相対位置を調節する相対位置調節手段により接触させて選択された領域の被はんだ付け部のみのはんだ付けを行う選択はんだ付け方法において、次のようにはんだ付け工程を編制してはんだ付けを行うことを特徴とする。
すなわち、前記の選択された領域の被はんだ付け部のみのはんだ付けを行う選択はんだ付け工程が複数連続して設けられ、それぞれの工程には前記予め決められた所定の領域を加熱するヒータであって前記被はんだ付けワークの板面形状よりも外形が小さいヒータを前記ノズル先端位置の近傍に設けておく。そして、前記予め決められた所定の領域を複数の領域に分けて前記複数の選択はんだ付け工程で分担してはんだ付け行う場合に、前段の選択はんだ付け工程において前記相対位置調節手段により前記ノズル上の溶融はんだと前記板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域とを接触させてはんだ付けを行った後に、後段の選択はんだ付け工程がはんだ付けを行う領域を前記相対位置調節手段により前記ノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークを接触させずに前記ヒータで加熱し、続いて後段の選択はんだ付け工程へ前記板状の被はんだ付けワークを移送させてこの後段に割り当てられた前記領域とノズル上の溶融はんだとを接触させてはんだ付けを行うことを特徴とする。
【0019】
(7)さらに、前記(6)の選択はんだ付け方法において、前段の選択はんだ付け工程による後段の選択はんだ付け領域の加熱が熱容量の相対的に大きい被はんだ付け部のみに限定して行われることを特徴とする。
【0020】
(8)また、本発明の選択はんだ付け方法は、ノズルに溶融はんだを供給してこのノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域とを前記ノズルと前記板状の被はんだ付けワークとの相対位置を調節する相対位置調節手段により接触させて選択された領域の被はんだ付け部のみのはんだ付けを行う選択はんだ付け方法において、次のように被はんだ付けワークを加熱してはんだ付けを行うことを特徴とする。
すなわち、前記予め決められた所定の領域を加熱するヒータであって前記被はんだ付けワークの板面形状よりも外形が小さいヒータを前記ノズル先端位置の近傍に設けておき、前記相対位置調節手段により先ず前記ノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークを接触させずにかつ前記被はんだ付け部が存在する板面側の全面を走行させて加熱し、続いて前記ノズル上の溶融はんだと前記板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域とを接触させてはんだ付けを行うことを特徴とする。
【0021】
(9)前記(5)ないし(8)の選択はんだ付け方法において、ノズル先端位置の近傍に設けられるヒータが複数のヒータまたは独立に発熱量が調節可能な複数の加熱部分からなるヒータから成るものであり、つぎのようにはんだ付けを行うことを特徴とする。
すなわち、前記ヒータにより被はんだ付けワークを加熱するに際して、前記被はんだ付けワークと前記ノズルとの相対位置を連続して変移させ前記被はんだ付けワークから見て前記ノズルを前記被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域に沿って移動させる場合は、この移動方向の前方側のヒータまたはヒータの加熱部分のみを加熱作動させることを特徴とする。
【0022】
(10)前記(5)ないし(9)の選択はんだ付け方法において、ノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域とを接触させながら移動させて所定の領域にはんだを供給する場合に、前記接触の深さまたは移動の速度の少なくとも何れか一方を可変させながら前記移動を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、被はんだ付けワークの予め決められた所定の被はんだ付け部や被はんだ付け領域さらにはその極近傍領域を含めて、溶融はんだを接触させてそれを供給する直前に加熱することができるので、他の電子部品や既にリフローはんだ付け等によりはんだ付けが完了した領域を加熱することなく選択はんだ付けを行うことができる。
【0024】
また、熱容量の大きい電子部品の被はんだ付け部すなわち熱容量が大きい被はんだ付け部にノズルひいてはヒータを移動させ、そこでの加熱時間を長くする等して重点的に熱量を供給して加熱してから溶融はんだを接触させることができるので、熱容量の大きい電子部品のはんだ濡れ性が良好となり、熱ストレスも緩和され品質の良いはんだ付けを行うことが可能になる。
【0025】
さらには、複数の選択はんだ付け工程を縦列に連続して設けてはんだ付け作業を各工程に分担させる場合においては、前工程で選択はんだ付け作業が完了した後にこの前工程において後段で選択はんだ付けが行われる被はんだ付け部や被はんだ付け領域を加熱させ、続いて後段へ被はんだ付けワークを移送して直ちに当該工程が受け持つ被はんだ付け部や被はんだ付け領域のはんだ付け作業を行うことができるので、加熱温度の低下が無い選択はんだ付けを行うことができる。したがって、はんだ濡れ性等が優れた品質の良いはんだ付けを行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に用いるはんだ供給装置を示す図であって、(a)はそれを正面方向から見た断面を示す図、(b)はノズル体部分の断面図である。
【図2】本発明に用いるはんだ供給装置を示す図であって、(a)はそれを横方向から見た断面を示す図、(b)はそれを上から見た平面図である。
【図3】ノズル体とその周囲に配置されたヒータとを上方から見た図である。
【図4】本発明の選択はんだ付け装置の構成例を示す図である。
【図5】本発明のはんだ付け方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の選択はんだ付け装置および選択はんだ付け方法を実際上どのように実施できるかを形態例を用いて説明する。
【0028】
(1)はんだ供給手段の構成例
図1、図2を用いて、本発明に適用されるはんだ供給装置の構成例について説明する。
図1、図2は、プリント配線板へ溶融はんだを供給するはんだ供給装置を説明する図で、図1(a)は、はんだ供給装置の図2(b)で示される平面図のY−Y方向の断面を示す図、図1(b)はノズル体部分の縦断面を示す図でありノズル口上に溢流しないはんだ頭が形成された状態を示す図である。図2(a)は、はんだ供給装置の図2(b)で示される平面図のX−X方向の断面を示す図、図2(b)は、はんだ供給装置を上から見た平面図である。なお、これらの図において温度制御装置や窒素ガス供給装置はシンボル図で描いてある。
【0029】
以下、その具体的構成例を図1、図2を用いて説明する。
すなわち、はんだ槽1内にはヒータ16により加熱されて溶融状態のはんだ13が収容されていて、この溶融はんだ13をポンプ25によりノズル体5へ供給してノズル口6から溶融はんだを溢流・噴流させてはんだ波頭7をノズル上に形成したり、または、溶融はんだをノズル口6から溢流させずに盛り上がった状態のはんだ頭8を形成する。なお、溶融はんだ13の温度は、温度センサ14の温度検出結果を温度制御装置15が参照し、これがヒータ16に供給する電力を調節することにより予め決めた所定の温度に維持される。
なお、29はポンプ25のケーシング、30はポンプ25の吸い込み口、4はポンプ25から送給される溶融はんだの流れを安定化すると共にその溶融はんだをノズル体5へ導くチャンバ体、である。
【0030】
ここで、溶融はんだをノズル口6から溢流・噴流させるのか、それともノズル口6に溶融はんだが盛り上がった状態を形成するのかは、ポンプによる溶融はんだの送給圧力の調節により可能である。また、ポンプの種類としては、遠心力型の回転ポンプやスパイラル羽根を用いた回転ポンプ、さらには誘導型電磁ポンプ等々がある。
【0031】
そして、送給圧力の調節は回転ポンプにあっては回転速度、誘導型電磁ポンプにあっては駆動周波数や駆動電圧(ひいては駆動電流)によって調節され制御される。なお、図1(a)の例では、回転ポンプをモータにより回転駆動する例を示しており、モータ軸23に設けたプーリ24とポンプ軸26に設けたプーリ27とにベルト28を掛け渡して伝動する例を示していて、モータ22の回転速度はインバータ等の速度制御装置21により制御する仕組みである。
【0032】
ノズル体5の形状はパイプ状で、通常は内径数mm〜10数mm程度のパイプが用いられる。ノズルの横断面形状としては円形のものが使用される場合が多いが、円形に限らず、他の形状、例えば、楕円形であったり四角形であったり多角形や不定形の場合もある。
【0033】
そして、はんだ槽1にはその液面13aを覆うカバー体2が設けられ、さらにこのカバー体2と連結される態様でノズル体5の周囲をホーン状に覆う窒素ガスガイド3が設けられている。さらに、窒素ガス供給手段17(窒素ガスポンベ,窒素ガス発生装置)から供給される窒素ガス20を、流量調節弁18と流量計19を介して前記カバー体2と溶融はんだ液面13aとが形成する空間へ供給し、窒素ガスガイド3によってノズル体5のノズル口6方向へ窒素ガス20の流れを形成し、はんだ槽1内の溶融はんだ液面13aとノズル体5のノズル口6に形成されるはんだ波頭7やはんだ頭8の周囲に低酸素濃度の不活性ガス雰囲気を形成し、溶融はんだの酸化を防止すると共に溶融はんだの流動性を良好に保っている。
【0034】
一方で、窒素ガスガイド3の上方側であって、ノズル体5の先端位置近傍には平面形状がリング状の反射板10が設けられ、この反射板10の上にリング状のヒータ12が数箇所のヒータガイド11に支持されて空中保持され、ノズル体5を周回するように設けられている。ヒータ12はどのようなヒータでも使用可能であるが、ハロゲンヒータやカーボンヒータ等のように電力供給後に数秒で通常加熱状態に到達する瞬時点灯ヒータが適している。もちろん、シースヒータやセラミックヒータ等でも使用可能である。その他に、瞬時に高温熱風を発生させることが可能な電熱線(ニクロム線等)と送風ファンとから成る熱風ヒータも使用可能である。
【0035】
そして、このヒータ12には温度制御装置31などの供給電力調節手段が設けられ、ヒータ12に供給する電力ひいては発熱量の調節が可能に構成されている。また、ヒータ表面に温度センサ32を設けてその表面温度が予め決めた所定の温度に維持されるように構成されている。
【0036】
ここで、図1(a)ではノズル体5のノズル口6から溶融はんだが溢流して噴流波が形成されてはんだ波頭7を形成した例を示し、図1(b)ではノズル口6からは溶融はんだが溢流することはなく、溶融はんだが盛り上がった状態を維持するはんだ頭8を形成した例を示している。
【0037】
このように構成することにより、ノズル体5のノズル口6に形成されるはんだ波頭7やはんだ頭8をプリント配線板上で移動させながら複数の被はんだ付け部すなわち被はんだ付け領域を連続して選択はんだ付けを行う場合に、溶融はんだが被はんだ付け部に接触する直前に該被はんだ付け部をヒータによって加熱することができるようになり、濡れ性の良好なはんだ付けを行うことができるようになると共にプリント配線板や電子部品に対する熱ストレスを緩和することができるようになる。
【0038】
しかも、被はんだ付け部や被はんだ付け領域以外の不必要な部位や領域の加熱が殆ど発生せず、選択はんだ付けを行う電子部品以外の電子部品やリフローはんだ付け等によりはんだ付けが既に完了している部分を不必要に加熱することがなくなり、選択はんだ付けによって発生するプリント配線板の信頼性低下を最小化することができるようになる。
【0039】
図3は、ヒータ12を複数の部分に分割してノズル体5の先端近傍位置に周回するように設けた例を示す平面図である。すなわち、図3の例では、4つのヒータ12a〜12dでノズル体5の先端近傍部分を囲むように構成している。そして、各ヒータには温度制御装置31a〜31dなどの供給電力調節手段がそれぞれ設けられ、それぞれ独立してヒータの点灯/非点灯と供給電力ひいては発熱量を調節することができるように構成されている。32a〜32dは温度センサである。
【0040】
なお、図3の例では4本のヒータを使用しているが、1本のヒータ内に4つの発熱線が設けられ、それぞれからリード線や端子が設けられているヒータすなわち1本のヒータに4つの独立した発熱部分を有するヒータであっても良い。さらには、ヒータは4つに分割されたものに限らず、任意の複数、例えば、2本に分割されたもの、3本に分割されたもの、5本以上に分割されたものであっても良い。
【0041】
このようにノズル体5の近傍に設けられるヒータを分割して設けることにより、点灯(発熱)させるヒータを選択することでノズル口6から見てどの方向の領域を加熱するかを選択することが可能になる。すなわち、無駄な加熱電力消費が無くなると共に、加熱を行いたくない電子部品やリフローはんだ付けが完了する等したはんだ付け部(既にはんだ付けが完了している部位)を不必要に加熱することが無くなり、それらの信頼性を損なうことが無くなる。
【0042】
図示はしないが、例えば図3に示す4つのヒータのうち1つのヒータのみを設け、このヒータをノズル体の周囲を回動するように設け、ノズル体の周囲近傍の自在位置にヒータを位置させてプリント配線板を加熱することもできる。このヒータの回動は、回転エンコーダ付きのリング状の回転トレイにヒータを設け、これをモータで回転駆動することにより実現できる。ヒータ位置の制御は、回転トレイに設けた回転エンコーダ(アブソリュート型)の出力を参照してモータのサーボ制御(回転位置のフィードバック制御)により実現することができる。
【0043】
(2)選択はんだ付け装置の工程編制
(1)で説明したはんだ供給装置を用いた選択はんだ付け装置の構成例について説明する。図4は、(1)で説明したはんだ供給装置を用いた選択はんだ付け装置の構成例を説明する図で、制御系はシンボル図で描いてある。なお、ここでは、選択はんだ付け工程が2つの場合について説明しているが、選択はんだ付け工程は2つに限るものではなく、1つだけでもよいし、また、必要に応じて3つ以上設けることもできる。
【0044】
図4において、左側からフラックス塗布工程、予備加熱工程、第1の選択はんだ付け工程、第2の選択はんだ付け工程、から構成されている。すなわち、本構成例では、選択はんだ付け工程を2つの工程に分割して設け、それぞれの工程において選択はんだ付けを行う被はんだ付け部や被はんだ付け領域の作業分担を行っている。なお、本発明においては、予備加熱工程は必ずしも必要な工程ではない。
【0045】
そして、各工程にはフリーフロー型のコンベア301a〜301dを設けてあり、このフリーフローコンベアを4連に設けることで搬入口305から搬入されたプリント配線板307が順次に前記各工程に搬送・移送されて選択はんだ付けが行われ、搬出口306から搬出される。また、フリーフローコンベア上を搬送・移送されるプリント配線板の位置は各ストッパd1〜d4(303a~303d)で規制され、センサSe1〜Se4(304a〜304d)でプリント配線板307の有無が検出される。
すなわち、フリーフローコンベアはプリント配線板307を搬送・移送すると共に、フラックス塗布作業や選択はんだ付けを行う際には、プリント配線板307を所定の空間座標上に固定する役目を有する。
【0046】
他方、2機のはんだ供給装置すなわち第1のはんだ供給装置317aと第2のはんだ供給装置317bはそれぞれプリント配線板との相対位置を調節する相対位置調節手段として用いられる3軸ロボット(X―Y−ZロボットあるいはX−Y−Zステージ)(318a、318b)に設けられ、はんだ供給装置317のノズル体のノズル口316の位置ひいてははんだ波頭314やはんだ頭の位置を3次元空間座標上の任意の位置に配置し移動させるよう構成される。
【0047】
すなわち、フリーフローコンベアで搬送され位置固定されているプリント配線板の任意の被はんだ付け部やはんだ付け領域にはんだ波頭やはんだ頭を接触させ,さらにこの接触状態を維持したままはんだ波頭やはんだ頭をプリント配線板上で移動させ、隣接して並ぶ多数の被はんだ付け部すなわち被はんだ付け領域に連続して溶融はんだを供給して選択はんだ付けを行うことができる。
【0048】
フラックス塗布工程は、フラックス射出ノズル309をプリント配線板との相対位置を平面的に調節する相対位置調節手段として用いられるX−Yロボット(X−Yステージ)等の2軸ロボット310に設けてあり、フラックス射出ノズル309とプリント配線板307との相対距離を予め決めた所定の値(例えば20mm程度)に維持したまま、プリント配線板307上の任意の座標位置にフラックス射出ノズル309が対向して位置することができるよう構成してある。
【0049】
そして、フラックス射出ノズル309にはフラックス供給装置308が設けてあり、フラックス射出ノズル309が予め決められた所定の座標に位置した時、すなわちプリント配線板307の被はんだ付け部に対向して位置した時にフラックスを供給し、フラックス射出ノズル309からフラックスを射出して被はんだ付け部に塗布する仕組みである。また、フラックスを射出しながらフラックス射出ノズル309をプリント配線板307に対向した状態で移動させ、隣接して並ぶ多数の被はんだ付け部すなわち被はんだ付け領域に連続してフラックスを供給して選択フラックス塗布を行うことができる。
【0050】
予備加熱工程には温度制御装置313によって制御されたヒータ311を設けてあり、プリント配線板の全面(図の下方側の面)を一括加熱する構成である。ヒータ311は赤外線ヒータや熱風ヒータさらにはそれらを併用したヒータが用いられ、また、ヒータの温度を検出する温度センサ312が設けられている。そして、温度制御装置313によって赤外線ヒータの表面温度や熱風温度を調節し制御することができるように構成してある。
【0051】
先にも説明したが、既にリフローはんだ付けが完了したプリント配線板にコネクタ等リード端子型電子部品の選択はんだ付けを行う場合に、リフローはんだ付けが行われた電子部品やリフローはんだ付けが完了したはんだ付け部を加熱するとそれらに熱ストレスを与えることになり、プリント配線板ひいてはこのプリント配線板が搭載される電子装置の信頼性を低下させる。
【0052】
一方で、はんだ供給装置のノズル体近傍位置に加熱装置を有する本発明においては、図4に例示する予備加熱工程は必ずしも必要ではない。また、予備加熱工程で予備加熱を行う場合においても、この工程における予備加熱温度が例えば70℃を越えないようなソフト予備加熱を行って、熱ストレスによる信頼性の低下を最小限にとどめるようにする。
【0053】
制御装置320は、コンピュータシステムで構成され、入出力ポートを介して外部機器との通信を行って外部機器の状態を認識すると共に外部機器の作動を制御する。この場合において、コンベアモータM1〜M4(302a〜302d)やストッパd1〜d4(303a〜303d)等の電力機器は、インバータや電力駆動回路等からなる駆動装置を介して駆動される。なお、液晶表示パネルやキーボード等のマンマシンインターフエースを介してコンピュータシステムに命令を与えコンピュータシステムからの返答を得る。
【0054】
図4においては、はんだ付け工程の3軸ロボット318a,bやフラックス塗布工程の2軸ロボット310との通信と制御、各フリーフローコンベア301a〜dの各ストッパd1〜d4(303a〜d)の固定/開放の制御やセンサSe1〜Se4(304a〜d)によるプリント配線板307の有無検出、各フリーフローコンベアのモータ302a〜dの運転/停止の制御、各はんだ供給装置317a,bのノズル体の先端近傍位置に設けたプリント配線板加熱用ヒータ315a,bの点灯/消灯制御や発熱量制御(加熱量制御)、フラックス供給装置308のフラックス供給/停止の制御(単位時間当たり流量制御を含む)、図示はしていないが溶融はんだ供給ポンプの回転速度制御(ひいては溶融はんだのノズル体への供給圧力の制御)、等々がコンピュータシステムで制御される。
なお、コンピュータシステムの入出力ポートの仕様は規格化されているので、例えばPCIポートを利用した各種I/Oポート、LANポートやUSBポート等を介してデータやソフトウェアの入出力を行うことができる。
【0055】
図5は、プリント配線板の選択はんだ付けを行う領域をモデル化して示した図で、区間a−b、区間c−d、区間e−f、区間g−h、区間i−j、は各被はんだ付け領域を示し、そして図5(a)においては区間a−bに複数の○印が列状に並んでいるが、この○印402は1つの被はんだ付け部を示している。そして、被はんだ付け部である○印と○印との間部分を含めて被はんだ付け領域401を形成している。なお、図5において示す区間e−f、の●印のe点(e座標)には熱容量の大きい電子部品が搭載されていることを示している。
熱容量の大きい電子部品とは、リード端子の太さが太い電子部品やパワートランジスタのようなリード端子も形状も大きい電子部品,金属製の電子部品(放熱板や金具),等々があり、その他にプリント配線板に形成されている被はんだ付けランドの形状が大きい場合、いわゆる電源パターンのようなベタパターンのような層に繋がっているランド,等々である。
【0056】
そして、図5(a)において区間c−d、区間e−f、区間g−h、区間i−jで直線で示す被はんだ付け領域や、図5(b)において区間a−b、区間c−d、区間e−f、区間g−h、区間i−j、で示す被はんだ付け領域は、図5(a)の区間a−bと同様に複数の被はんだ付け部が列状に並んでいるのだが、これを省略して示している。なお、図5(c)は例えば区間a−b、においてコネクタ404が搭載されている状態を説明するための縦断面図で、403はプリント配線板307に設けられているランド、405はコネクタ404のリード端子、402はランド403とリード端子405とから形成される被はんだ付け部、401は被はんだ付け部402が列状に並んで形成されている被はんだ付け領域を示している。
【0057】
これら被はんだ付け部である区間a−b、区間c−d、区間e−f、区間g−h、区間i−j、のプリント配線板307上における各座標値を求めるには、プリント配線板307の板面を2次元画像スキャナで画像データ化し、この画像データ上において区間a−b、区間c−d、区間e−f、区間g−h、区間i−j、を指定して各座標値を求める方法と、プリント配線板のCAD設計データから得られるガーバーデータを利用して各座標値を求める方法とがある。
すなわち、図4に示す制御装置320に区間a−b、区間c−d、区間e−f、区間g−h、区間i−j、の各座標値を与え、各区間においてはんだ波頭やはんだ頭を接触させて移動させる方向や速度さらには接触深さを指示することで、各区間すなわち各被はんだ付け領域の選択はんだ付けを行うことができる。
【0058】
なお、はんだ供給装置317a,bのノズル口316a,bとフリーフローコンベアで搬送されるプリント配線板307の板面との距離は、当該の選択はんだ付け装置で決まる予め決めた所定の値に設定されているので、区間a−b、区間c−d、区間e−f、区間g−h、区間i−j、の2次元座標値を与えるだけで、当該区間である被はんだ付け部の選択はんだ付けを行うことができる。また、はんだ波頭やはんだ頭の接触深さを制御することもできる。
なお、接触深さとは、はんだ波頭やはんだ頭の頂点の3次元空間座標がプリント配線板の厚さ方向の3次元空間座標内にどの程度入り込むかを表すものである。
【0059】
(3)選択はんだ付け方法の例
プリント配線板の被はんだ付け部への選択フラックス塗布とプリント配線板の全体の加熱(予備加熱)は、先の(2)で説明したように行われる。一方で、先の(2)で説明したように本発明では予備加熱工程が必ずしも必要ではないという特徴も有する。すなわち、本発明でははんだ付け工程でプリント配線板の被はんだ付け部ひいては被はんだ付け領域の選択加熱ひいては選択予備加熱が可能であるからである。
このような本発明の作用と効果の1つを理解した上で、はんだ付け工程で行われる選択はんだ付けがどのように行われるかを説明する。
【0060】
(3−1)基本的な選択はんだ付け方法
先ず、図4において、第1のはんだ供給装置317aが設けられた工程を第1の選択はんだ付け工程と呼称し、第2のはんだ供給装置317bが設けられた工程を第2の選択はんだ付け工程と呼称することにする。
そして、第1の選択はんだ付け工程では区間a−b、区間c−d、の被はんだ付け領域の選択はんだ付けを実行させ、第2の選択はんだ付け工程では区間e−f、区間g−h、区間i−j、の被はんだ付け領域の選択はんだ付けを実行させる。第1の選択はんだ付け工程では2つの被はんだ付け領域、第2の選択はんだ付け工程では3つの被はんだ付け領域の選択はんだ付けを実行する。
【0061】
区間a−b、区間c−d、の総長は区間e−f、区間g−h、区間i−j、の総長よりもやや短いが、両工程間の総長の相違はそれほどには大きくなく、したがって両工程の作業時間すなわち選択はんだ付け時間に大きな相違を生じることがなく、先の区間分担による工程バランスはこのプリント配線板においては最良の条件にある。なお、区間a−b、区間c−d、が相互に近い位置にあり、区間e−f、区間g−h、区間i−j、も相互に近い位置にあり、被はんだ付け領域間の移行時間すなわちノズル口の移動に要する時間も最小であり無駄が無い。
【0062】
フラックス塗布工程での選択フラックス塗布が完了し、続いて予備加熱工程でのプリント配線板のソフト予備加熱(先に説明したように、本発明では予備加熱工程は必ずしも必要ではない)が完了すると、フリーフローコンベア301b,cによって第1の選択はんだ付け工程にプリント配線板307が移送され所定の座標に固定される。
【0063】
第1の選択はんだ付け工程では、ノズル口316aが区間a−b、の座標aから座標bへ移動し、すなわちはんだ波頭やはんだ頭が被はんだ付け部に接触した状態で座標aから座標bへ移動し、区間a−bの被はんだ付け領域の選択はんだ付けが行われる。
そして、この選択はんだ付けに際しては、ノズル口316aが他の座標から移動して来て座標aに到達した時点でノズル体の先端近傍位置に設けたヒータ315aを点灯開始させる。
【0064】
続いてノズル体ひいてはノズル口316aをプリント配線板307の板面に接近(以降は上昇と言う)させ、ノズル口316a上のはんだ波頭314aやはんだ頭を座標aの被はんだ付け部に接触させかつこの接触深さを維持しながら座標aから座標bへノズル口316aを移動させる。このとき、ノズル口上のはんだ波頭やはんだ頭と被はんだ付け部との接触深さは、例えば、供給されたはんだが所定のランド部と他のランド部とにまたがるはんだブリッジを形成することのないような接触深さとする。
続いて、座標bにおいてノズル口316aをプリント配線板307の板面から遠ざけ(以降は降下と言う)させ、ノズル口上のはんだ波頭314aやはんだ頭を被はんだ付け部から離脱させる。また、このノズル口316aの降下に合わせてヒータ315aを消灯する。
【0065】
したがって、選択はんだ付けの開始と共に被はんだ付け部の加熱が行われ、直後に被はんだ付け部に溶融はんだが供給されてはんだ付けが行われ、はんだ付けが完了すると被はんだ付け部の加熱は直ちに終了する。
【0066】
このように、被はんだ付け部は直前の予備加熱を受けながら溶融はんだが供給されて選択はんだ付けが行われ、被はんだ付け部のフラックスの前置的活性化と被はんだ付け部の溶融はんだ接触前の温度上昇(予備加熱)が行われ、はんだ濡れ性に優れ、熱ストレスも少ないはんだ付けが可能になる。しかも、プリント配線板の不必要な領域の加熱が少なく、無駄にヒータ電力が使用されることもない。
【0067】
そして、以上のようにして区間a−b、の選択はんだ付けが完了すると、ノズル口316aを降下させたまま座標cへ移動し、同様に区間c−d、の選択はんだ付けを開始する。
すなわち、ノズル口316aが座標cに到達した時点でノズル体の先端近傍位置に設けたヒータ315aを点灯開始させる。続いてノズル体ひいてはノズル口316aを上昇させてプリント配線板307の板面に接近させ、ノズル口上のはんだ波頭314aやはんだ頭を座標cの被はんだ付け部に接触させかつこの接触深さを維持しながら座標cから座標dへノズル口316aを移動させる。続いて、座標dにおいてノズル口316aを降下させてプリント配線板307の板面から遠ざけ、ノズル口上のはんだ波頭314aやはんだ頭を被はんだ付け部から離脱させる。また、このノズル口316aの降下に合わせてヒータ315aを消灯する。
【0068】
以上で第1の選択はんだ付け工程の作業が完了し、プリント配線板307はフリーフローコンベア301c,dによって第2の選択はんだ付け工程へ移送され所定の座標に固定される。そして、第2の選択はんだ付け工程においても、同様にして区間e−f、区間g−h、区間i−j、の被はんだ付け部が順次に選択的にはんだ付けが行われる。
【0069】
なお、第1の選択はんだ付け工程と第2の選択はんだ付け工程とは独立して選択はんだ付け作業を行うことができるので、第1の選択はんだ付け工程で選択はんだ付け作業が完了して第2の選択はんだ付け工程へプリント配線板を移送した後は、第1の選択はんだ付け工程には前段の予備加熱工程から次のプリント配線板が移送される。すなわち、第1の選択はんだ付け工程と第2の選択はんだ付け工程とは同時併行して選択はんだ付け作業を実行することができる。
このことは、フラックス塗布工程,予備加熱工程(本発明では必ずしも必要な工程では無い),第1の選択はんだ付け工程,第2の選択はんだ付け工程,の各工程に対して同様の事項であり、各工程が同時に協業して一連の作業を同時併行に行うことができる。
他方で、予備加熱工程で加熱されたプリント配線板307の温度は、第1の選択はんだ付け工程のはんだ付け作業中に低下する。そして第2の選択はんだ付け工程に至るまでの温度低下はさらに大きくなる。しかし、本発明においては、ノズル体の先端近傍位置に設けたヒータ315によって加熱を行いながらはんだ付けを行うので、この低下を補償したはんだ付け作業を行うことができる。
【0070】
以上の説明においては、各々の区間a−b、区間c−d、区間e−f、区間g−h、区間i−j、の被はんだ付け領域にはんだ波頭やはんだ頭を接触させる深さは一定に維持したが、各々の区間a−b、区間c−d、区間e−f、区間g−h、区間i−j、内をはんだ波頭やはんだ頭が移動する際に部分的にノズル口を上昇させ、はんだ波頭やはんだ頭を接触させる深さを深めても良い。また、逆に浅くしても良い。
はんだ波頭やはんだ頭の接触深さを深めることでスルーホールにおける溶融はんだのフローアップを促進することができる。また、逆に、接触深さを浅くすることで溶融はんだとの接触面積が小さくなり、隣接部品への接触を確実に防止することができ、またはんだブリッジの発生等を防ぐことができる。
【0071】
次に、以上の説明においては説明していなかった、各々の区間a−b、区間c−d、区間e−f、区間g−h、区間i−j、の被はんだ付け領域にはんだ波頭やはんだ頭を接触させ各座標間(例えば座標aから座標b)を移動させる際の移動速度について説明する。
【0072】
コネクタ等のように被はんだ付け部位の形状や熱容量も等しくそれら被はんだ付け部が整然と並んで被はんだ付け領域を構成しているような場合は、各座標間(例えば座標aから座標b)を移動させる際の移動速度を予め決めた所定の一定速度に維持することが通常である。
【0073】
しかし、各座標間(例えば座標aから座標b)内に熱容量の大きい被はんだ付け部位(熱容量の大きい電子部品のリード端子や面積の大きいランドパターンがプリント配線板に形成されている部位等)が部分的に存在するような場合は、当該部位の座標近傍において前記の移動速度を遅くすると良い。
これにより当該の被はんだ付け部位へはんだ波頭やはんだ頭から供給される熱量が多くなって必要な温度上昇が得られ、溶融はんだの濡れ不足等の発生を防ぎ、良好なはんだ濡れの品質の良いはんだ付けを行うことができるようになる。また、スルーホールが在る場合には溶融はんだのフローアップが良好となる。
このことは、電子部品が異なれば各被はんだ付け部位の熱容量も異なってくるので、このような場合は各区間a−b、区間c−d、区間e−f、区間g−h、区間i−j、ごとに最適な移動速度を設定すれば良い。
【0074】
(3−2)熱容量の大きい被はんだ付け部位や被はんだ付け部の選択はんだ付け方法
部分的に熱容量の大きい被はんだ付け部位を有する場合の選択はんだ付け方法について説明する。
先にも説明したように、図5において区間e−f、の座標eは熱容量の大きい被はんだ付け部位である(●で示す部位)。例えば、コネクタにおいて特定のリード端子が太径の仕様になっているような場合である。
このような被はんだ付け部や被はんだ付け領域のはんだ付けにおいて良好なはんだ濡れを得るためには、はんだ波頭やはんだ頭を接触させる前に該部に十分な熱量を供給して予備加熱温度を確実に上昇させ、また先にも説明したように、はんだ波頭やはんだ頭から十分な熱量供給を行う必要がある。
【0075】
そこで、このような場合は、第2の選択はんだ付け工程においてノズル口を座標eの下方に位置させて停止状態を保持し、ノズル体の先端近傍位置に設けたヒータによって十分な熱量を座標eの被はんだ付け部位に供給してからノズル口を上昇させ、そのはんだ波頭やはんだ頭を接触させると良い。また、はんだ波頭やはんだ頭が区間e−fの被はんだ付け領域に接触しないようにしてノズル口を座標eから座標fへ移動させ、ノズル体の先端近傍位置に設けたヒータによって区間e−fの被はんだ付け領域の選択的な予備加熱を行い、その後にノズル口を座標eの下方に移動・位置させて選択はんだ付けを開始させても良い。
【0076】
一方、別の方法(手順)として、第1の選択はんだ付け工程において区間a−b、区間c−d、の選択はんだ付けが完了した後に、そのノズル口を区間e−f、の座標eの下方に移動させ、そのノズル体の先端近傍位置に設けたヒータによって予備加熱を行わせる。そして、予め決めた所定の時間にわたって座標eの被はんだ付け部位の加熱が十部に行われたら、第1の選択はんだ付け工程から第2の選択はんだ付け工程へプリント配線板を移送し、第2の選択はんだ付け工程で直ちに選択はんだ付け作業を開始させる。
すなわち、第2のはんだ供給装置のノズル体のノズル口316bを区間e−f、の座標eの下方に移動させ、ノズル口316bを上昇させてそのはんだ波頭314bやはんだ頭を接触させる。もちろん、ノズル口316bがeの下方に位置した時点でそのノズル体の近傍に設けたヒータ315bの点灯を開始する。
続いて、はんだ波頭314bやはんだ頭が被はんだ付け部に接触状態を維持し座標eから座標fへ移動させ、fにおいてノズル口316bを降下させヒータ315bを消灯し区間e−f、の選択はんだ付けを完了させる。
また、第1の選択はんだ付け工程において区間a−b、区間c−d、の選択はんだ付けが完了した後に、そのはんだ波頭やはんだ頭が区間e−fの被はんだ付け領域に接触しないようにしてノズル口を座標eから座標fへ移動させ、ノズル体の先端近傍位置に設けたヒータによって区間e−fの被はんだ付け領域の選択的な予備加熱を行い、続いて第1の選択はんだ付け工程から第2の選択はんだ付け工程へプリント配線板を移送し、第2の選択はんだ付け工程で直ちに選択はんだ付け作業を開始させても良い。
【0077】
このように、第1の選択はんだ付け工程でそのヒータ315aによって第2の選択はんだ付け工程が選択はんだ付けを行う被はんだ付け部や被はんだ付け領域を予備加熱しておいて、続いて第2の選択はんだ付け工程において直ちに選択はんだ付けを行わせることができる。その結果、はんだ濡れ性に優れた品質のよいはんだ付けを行うことができる。
これは、この例のように熱容量の大きい被はんだ付け部や被はんだ付け領域が存在する場合に極めて有効である。そして、第1の選択はんだ付け工程のヒータの機能と第2の選択はんだ付け工程との完全な協調作業である。
【0078】
しかも、先に説明したように、区間a−b、区間c−d、の総長は区間e−f、区間g−h、区間i−j、の総長よりもやや短い。したがって、第1の選択はんだ付け工程における選択はんだ付け作業時間が第2の選択はんだ付け工程の選択はんだ付け作業時間よりも通常は短くなり、その時間長の差を利用して第1の選択はんだ付け工程で第2の選択はんだ付け工程が選択はんだ付けを行う被はんだ付け部や被はんだ付け領域の予備加熱を行うことができる。
例えば、第1の選択はんだ付け工程のはんだ付け作業時間が23secであり、第2の選択はんだ付け工程のはんだ付け作業時間が30secであった場合には、その時間長の差である7secを、第1の選択はんだ付け工程による座標e(第2の選択はんだ付け工程が担当する被はんだ付け部や被はんだ付け領域)の予備加熱時間として割り当てることができる。その結果、両選択はんだ付け工程の作業時間に無駄が発生せず、熱容量の大きい被はんだ付け部位に十分な熱量を供給することもできる。そして、工程バランスも最良になる。
さらに、予備加熱工程から第1の選択はんだ付け工程へのプリント配線板307の搬送・移送中や、第1の選択はんだ付け工程から第2の選択はんだ付け工程へのプリント配線板307の搬送・移送中にその移送位置に同期させて、3軸ロボット318上のはんだ供給装置317ひいてはノズル体の先端位置近傍に設けられたヒータ315を移動させ、このプリント配線板307の搬送・移送中にその被はんだ付け領域である区間a−b、区間c−d、区間e−f、区間g−h、区間i−j、の予備加熱を行わせることもできる。
【0079】
(3−3)プリント配線板の全体の予備加熱を行う選択はんだ付け方法
本発明では別個の予備加熱装置を用いることなく、はんだ供給装置のノズル体の先端近傍位置に設けたヒータによって予備加熱を行わせることもできる。この方法について以下に説明する。
図5(b)は、プリント配線板の被はんだ付け面側(図4におけるプリント配線板の下方側の面)を、はんだ供給装置のノズル体の先端近傍位置に設けたヒータによって加熱する例を説明する図である。
【0080】
すなわち、ノズル体のノズル口ひいてははんだ波頭やはんだ頭がプリント配線板に接触しないようにして図5(b)の破線矢印に示すようにプリント配線板の全面(図4に示すプリント配線板の下方側の面)を往復走行させ、ノズル体の先端近傍位置に設けたヒータによってプリント配線板の全体を加熱する。すなわち予備加熱を行う。
続いて、ノズル口を例えば区間a−b、の座標aの下方位置へ移動させ、ノズル体の近傍に設けたヒータを点灯開始させる。続いてノズル体ひいてはノズル口を上昇させてプリント配線板の板面に接近させ、ノズル口上のはんだ波頭やはんだ頭を被はんだ付け部に接触させかつこの接触深さを維持しながら座標aから座標bへノズル口を移動させる。続いて、ノズル口を降下させてプリント配線板の板面から遠ざけ、ノズル口上のはんだ波頭やはんだ頭を被はんだ付け部から離脱させる。また、このノズル口の降下に合わせてヒータを消灯する。
すなわち、(第1または第2の)選択はんだ付け工程においてプリント配線板の全面予備加熱を行ってから、区間a−b、区間c−d、や区間e−f、区間g−h、区間i−j、の加熱と選択はんだ付けを行う方法である。
【0081】
この全面予備加熱後の選択はんだ付け作業は、同一の選択はんだ付け工程で行っても良いし、第1の選択はんだ付け工程で全面予備加熱を行ってから、続いて第2の選択はんだ付け工程で各区間の選択はんだ付け作業を行っても良い。すなわち、作業分担の組み合わせは自在である。
例えば、第1の選択はんだ付け工程では前段の予備加熱工程でプリント配線板の全体が加熱されたプリント配線板について部分的な加熱を行いながら選択はんだ付け作業を行うが、この作業中にプリント配線板の温度が低下する。そこで、第1の選択はんだ付け工程において選択はんだ付け作業が完了したら、先に説明したよう(図5(b)のように)第1の選択はんだ付け工程でプリント配線板の全体の加熱を行って、その完了後に直ちに第2の選択はんだ付け工程へプリント配線板を移送し、第1の選択はんだ付け工程で予備加熱が行われたプリント配線板の部分的な加熱を伴う選択はんだ付け作業を行うこともできる。
【0082】
(3−4)移動の前方のみを加熱する選択はんだ付け方法
予備加熱を行わせる他の方法について図3を用いて説明する。
図3のように、ノズル体の先端近傍位置に設けるヒータを複数の加熱部分からなるヒータで構成し、ノズル体ひいてはノズル口がプリント配線板上において移動する方向の前方側のヒータのみを点灯させることで、被はんだ付け部の選択加熱を一層厳密に行うことが可能になる。
図3の場合は、4つのヒータ12a〜dを設けて、例えば+X軸方向,−X軸方向,+Y軸方向,−Y軸方向,の4つの座標軸に対応させて設けている。したがって、ノズル口(または、そのはんだ波頭やはんだ頭)がプリント配線板の板面に沿って移動する際に、移動方向の前方方向側すなわちこれからはんだ付けが行われる側の被はんだ付け部や被はんだ付け領域を一層選択的に加熱することができるようになる。例えば、ノズル口が+X方向に移動する場合にはヒータ12bのみを点灯する。これによって、必要な加熱電力をさらに省電力化することが可能になる。
なお、X軸とY軸とに挟まれた例えば+X軸に対する角度45度方向へノズル口を移動させるような場合には、+X軸のヒータ12bと+Y軸のヒータ12aの両方を点灯させれば良い。
このノズル体の先端近傍の周囲に設ける複数のヒータの数を増やせば、ノズル口が移動する座標方向に細かく整合して点灯対応することができるが、各ヒータごとに温度制御装置などの供給電力調節手段を設ける必要がある。
【0083】
本発明の選択はんだ付け装置および選択はんだ付け方法は、プリント配線板の予め決められた領域にのみ溶融はんだを供給して選択はんだ付け作業を行うことが可能であり、電子装置のはんだ付け実装を基幹において支える技術である。
【符号の説明】
【0084】
1 はんだ槽
2 カバー体
3 窒素ガスガイド
4 チャンバ体
5 ノズル体
6 ノズル口
7 はんだ波頭
8 はんだ頭
10 反射板
11 ヒータガイド
12 ヒータ
13 溶融はんだ
13a 液面
14 温度センサ
15 温度制御装置
16 ヒータ
17 窒素ガス供給手段
18 流量調節弁
19 流量計
20 窒素ガス
21 速度制御装置
22 モータ
23 モータ軸
24 プーリ
25 ポンプ
26 ポンプ軸
27 プーリ
28 ベルト
29 ポンプケーシング
30 吸い込み口
31 温度制御装置
32 温度センサ
301a〜d フリーフローコンベア
302a〜d モータ
303a〜d ストッパ
304a〜d センサ
305 搬入口
306 搬出口
307 プリント配線板
308 フラックス供給装置
309 フラックス射出ノズル
310 2軸ロボット
311 ヒータ
312 温度センサ
313 温度制御装置
314a、b はんだ波頭
315a、b ヒータ
316a、b ノズル口
317a 第1のはんだ供給装置
317b 第2のはんだ供給装置
318a、b 3軸ロボット
320 制御装置
401 被はんだ付け領域
402 被はんだ付け部
403 ランド
404 コネクタ
405 リード端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域にのみ溶融はんだを接触させてはんだ付けを行う選択はんだ付け装置であって、
ノズル口を有するノズルと、
前記ノズルに溶融はんだを供給して前記板状の被はんだ付けワークに接触させる溶融はんだを前記ノズル口上に供給する供給手段と、
前記ノズルと前記板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域との相対位置を調節する相対位置調節手段と、を有し、
前記予め決められた所定の領域を加熱するヒータであって前記被はんだ付けワークの板面形状よりも外形が小さいヒータを前記ノズル先端位置の近傍に設けたこと、
を特徴とする選択はんだ付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載の選択はんだ付け装置において、前記ヒータが瞬時点灯可能なヒータであることを特徴とする選択はんだ付け装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の選択はんだ付け装置において、前記ヒータがノズルを周回する形状で設けられていることを特徴とする選択はんだ付け装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の選択はんだ付け装置において、前記ヒータとして、ノズル先端位置の近傍には複数のヒータまたは独立に発熱量が調節可能な複数の加熱部分からなるヒータが設けられていることを特徴とする選択はんだ付け装置。
【請求項5】
ノズルに溶融はんだを供給してこのノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域とを前記ノズルと前記板状の被はんだ付けワークとの相対位置を調節する相対位置調節手段により接触させて選択された領域の被はんだ付け部のみのはんだ付けを行う選択はんだ付け方法において、
前記予め決められた所定の領域を加熱するヒータであって前記被はんだ付けワークの板面形状よりも外形が小さいヒータを前記ノズル先端位置の近傍に設けておき、前記相対位置調節手段により先ず前記ノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークを接触させずに前記予め決められた所定の領域を前記ヒータで加熱し、続いて前記ノズル上の溶融はんだと前記板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域とを接触させてはんだ付けを行うこと
を特徴とする選択はんだ付け方法。
【請求項6】
ノズルに溶融はんだを供給してこのノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域とを前記ノズルと前記板状の被はんだ付けワークとの相対位置を調節する相対位置調節手段により接触させて選択された領域の被はんだ付け部のみのはんだ付けを行う選択はんだ付け方法において、
前記の選択された領域の被はんだ付け部のみのはんだ付けを行う選択はんだ付け工程が複数連続して設けられ、それぞれの工程には前記予め決められた所定の領域を加熱するヒータであって前記被はんだ付けワークの板面形状よりも外形が小さいヒータを前記ノズル先端位置の近傍に設けておき、
前記予め決められた所定の領域を複数の領域に分けて複数の選択はんだ付け工程で分担してはんだ付けを行う場合に、前段の選択はんだ付け工程において前記相対位置調節手段により前記ノズル上の溶融はんだと前記板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域とを接触させてはんだ付けを行った後に、後段の選択はんだ付け工程がはんだ付けを行う領域を前記相対位置調節手段により前記ノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークを接触させずに前記ヒータで加熱し、続いて後段の選択はんだ付け工程へ前記板状の被はんだ付けワークを搬送手段で移送させてこの後段に割り当てられた前記領域とノズル上の溶融はんだとを接触させてはんだ付けを行うこと、
を特徴とする選択はんだ付け方法。
【請求項7】
請求項6記載の選択はんだ付け方法において、前段の選択はんだ付け工程による後段のはんだ付け領域の加熱が熱容量の相対的に大きい被はんだ付け部のみに限定して行われることを特徴とする選択はんだ付け方法。
【請求項8】
ノズルに溶融はんだを供給してこのノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域とを前記ノズルと前記板状の被はんだ付けワークとの相対位置を調節する相対位置調節手段により接触させて選択された領域の被はんだ付け部のみのはんだ付けを行う選択はんだ付け方法において、
前記予め決められた所定の領域を加熱するヒータであって前記被はんだ付けワークの板面形状よりも外形が小さいヒータを前記ノズル先端位置の近傍に設けておき、前記相対位置調節手段により先ず前記ノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークを接触させずにかつ前記被はんだ付け部が存在する板面側の全面を走行させて加熱し、続いて前記ノズル上の溶融はんだと前記板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域とを接触させてはんだ付けを行うこと、
を特徴とする選択はんだ付け方法。
【請求項9】
請求項5ないし請求項8のいずれか1項に記載の選択はんだ付け方法において、ノズル先端位置の近傍に設けられるヒータが複数のヒータまたは独立に発熱量が調節可能な複数の加熱部分からなるヒータから成るものであり、
前記ヒータにより被はんだ付けワークを加熱するに際して、前記被はんだ付けワークと前記ノズルとの相対位置を連続して変移させ前記被はんだ付けワークから見て前記ノズルを前記被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域に沿って移動させる場合はこの移動方向の前方側のヒータまたはヒータの加熱部分のみを加熱作動させること、
を特徴とする選択はんだ付け方法。
【請求項10】
請求項5ないし請求項9のいずれか1項に記載のはんだ付け方法において、ノズル上の溶融はんだと板状の被はんだ付けワークの予め決められた所定の領域とを接触させながら移動させて所定の領域にはんだを供給する場合に、前記接触の深さまたは移動の速度の少なくとも何れか一方を可変させながら前記移動を行うことを特徴とする選択はんだ付け方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−146842(P2012−146842A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4617(P2011−4617)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(511011595)株式会社センスビー (1)
【Fターム(参考)】