説明

選択的11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型阻害剤としての縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体

本発明は、酵素11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11−β−HSD−1)の選択的な阻害剤としての、式(I)〜(IV)による縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体、ならびにメタボリックシンドローム、糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、緑内障、骨粗鬆症/認知障害、不安症、鬱病、免疫障害、高血圧ならびに他の疾患および状態の処置および/または予防のためのそのような化合物の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、酵素11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD−1)の選択的阻害剤としての縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体、ならびにメタボリックシンドローム、糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、緑内障、骨粗鬆症、認知障害、不安症、鬱病、免疫障害、高血圧ならびに他の疾患および状態の処置および/または予防のためのそのような化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)は、ステロイドホルモン類をそれらの不活性な代謝物に変換することによって、ステロイドホルモン受容体の占有率および活性化を調節する。最近の概説について、Nobel et al., Eur. J. Biochem. 2001, 268: 4113-4125を参照。
【0003】
多数の群のHSDが存在する。11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β−HSD)は、活性な糖質コルチコイド(例えばコルチゾールおよびコルチコステロン)とそれらの不活性な形態(例えばコルチゾンおよび11−デヒドロコルチコステロン)との相互変換を触媒する。アイソフォームである11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD1)は、肝臓、脂肪組織、脳、肺および他の糖質コルチコイド組織において広く発現され、一方アイソフォーム2(11β−HSD2)の発現は、鉱質コルチコイド受容体、例えば腎臓、腸および胎盤を発現する組織に限定される。次に、11β−HSD2の阻害は、重大な副作用、例えば高血圧と関連する。
【0004】
過剰のコルチゾールは、糖尿病、肥満、脂質異常症、インスリン抵抗性および高血圧を含む多数の障害と関連する。11β−HSD1阻害剤の投与により、標的組織におけるコルチゾールおよび他の11β−ヒドロキシステロイドのレベルが低下し、それにより過剰量のコルチゾールおよび他の11β−ヒドロキシステロイドの効果が低下する。したがって、11β−HSD1は、糖質コルチコイド作用の低減によって寛解され得る多数の障害と関連する治療の潜在的な標的である。したがって、11β−HSD1の阻害を用いて、異常に高いレベルのコルチゾールおよび他の11β−ヒドロキシステロイドによって媒介される疾患、例えば糖尿病、肥満、高血圧または異脂肪血症を予防、処置または制御することができる。脳における11β−HSD1活性の阻害もまた、例えばコルチゾールレベルを低下させるために、不安症、鬱病、認知障害または年齢に関連する認知機能障害を処置または低減するために有用であり得る(Seckl, et al., Endocrinology, 2001, 142:1371-1376)。
【0005】
コルチゾールは、重要であり、十分認識されている抗炎症性ホルモンであり、それはまた、肝臓においてインスリンの作用に対するアンタゴニストとして作用し、それによりインスリン感受性が低下し、肝臓における増大した糖新生および上昇したグルコースのレベルがもたらされる。すでに耐糖能異常を有する患者は、異常に高いレベルのコルチゾールの存在下で2型糖尿病を発症する可能性がより高い(Long et al., J. Exp. Med. 1936, 63:465-490;Houssay, Endocrinology 1942, 30:884-892)。さらに、11β−HSD1が、局所的な糖質コルチコイドの効果および肝臓におけるグルコース産生の調節において重要な役割を果たすことが、十分実証されている(Jamieson et al., J. Endocrinol. 2000, 165:685-692)。Walker, et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 1995, 80:3155-3159において、非特異的11β−HSD1阻害剤であるカルベノキソロンの投与が、ヒトにおいて肝臓のインスリン感受性の改善をもたらすことが報告された。
【0006】
さらに、糖尿病の処置における11β−HSD1の作用の仮定された機構は、マウスおよびラットにおいて行われた種々の実験によって支持されている。これらの研究により、肝臓のグルコース産生における2種の重要な酵素であるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)およびグルコース−6−ホスファターゼ(G6Pase)のmRNAレベルおよび活性が、11β−HSD1阻害剤の投与により低下したことが示された。さらに、血中グルコースレベルおよび肝臓のグルコース産生が、11β−HSD1ノックアウトマウスにおいて低下することが示された。また、このマウスノックアウトモデルを用いて集められた追加のデータにより、PEPCKおよびG6Paseの基底レベルが糖質コルチコイドに非依存的に調節されるため、11β−HSD1の阻害は低血糖症を引き起こさないことが確認された(Kotelevtsev et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94:14924-14929)。
【0007】
したがって、11β−HSD1阻害剤の治療有効量の投与は、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病(NIDDM、2型真性糖尿病)の症状を処置、制御および寛解させることに有効であり、11β−HSD1阻害剤の治療有効量の習慣的な投与により、特にヒトにおいて糖尿病の発症が遅延するかまたは予防される。
高いレベルのコルチゾールの効果はまた、クッシング症候群を有する患者において観察され、それは血流中の高レベルのコルチゾールにより特徴づけられる代謝疾患である。クッシング症候群を有する患者は、しばしばNIDDMを発症する。
【0008】
過度のレベルのコルチゾールは、おそらく増大した肝臓糖新生により肥満と関連していた。腹部の肥満は、耐糖能障害、糖尿病、高インスリン血症、高トリグリセリド血症ならびにメタボリックシンドロームの他の要因、例えば高血圧、VLDLの上昇およびHDLの低下と緊密に関連する(Montague et al., Diabetes, 2000, 49:883-888)。肥満の対象において、脂肪組織における11β−HSD−1活性は顕著に増大し、体重と正の相関を有する。また、前脂肪細胞(間質細胞)における11β−HSD1の阻害により、脂肪細胞への分化の速度の低下がもたらされることが報告されている。これにより、大網脂肪蓄積の拡大の低下(場合によっては減少)がもたらされることが予測され、これにより中心性肥満の減少がもたらされ得る(Bujalska et al., Lancet 1997, 349:1210-1213)。
【0009】
したがって、11β−HSD1阻害剤の有効量の投与は、肥満の処置または制御において有用である。11β−HSD1阻害剤での長期の処置はまた、特に患者が11β−HSD1阻害剤を食事の制御および運動と組み合わせて用いる場合には、肥満の発症を遅延させるかまたは予防することに有用である。
インスリン抵抗性を低下させ、血清グルコースを正常濃度に維持することにより、本発明の化合物はまた、メタボリックシンドローム、肥満、反応性低血糖および糖尿病性脂質異常症を含む2型糖尿病およびインスリン抵抗性に伴う状態の処置および予防において有用性を有する。
【0010】
成熟脂肪細胞における11β−HSD1の阻害は、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI1)の分泌を減弱することが予測され、これは、Halleux et al., J;Clin. Endocrinol. Metab. 1999, 84:4097-4105において報告されているように、非依存的な心臓血管危険因子である。さらに、糖質コルチコイド活性と特定の心臓血管危険因子との間に相関関係が存在することが示されている。これにより、糖質コルチコイド効果の低下が特定の心臓血管疾患の処置または予防において有益であることが示唆される(Walker et al., Hypertension 1998, 31:891-895;およびFraser et al., Hypertension 1999, 33:1364 1368)。
【0011】
高血圧および脂質異常症が、アテローム性動脈硬化症の発症の原因となり、11β−HSD1活性の阻害およびコルチゾールの量の減少は、高血圧を処置または制御するにあたり有益であるため、本発明の11β−HSD1阻害剤の治療有効量の投与はまた、アテローム性動脈硬化症を処置するか、発症を制御もしくは遅延させるか、または予防するにあたり特に有益であり得る。
【0012】
11β−HSD1はまた、食欲制御のプロセスにおいて関与しており、したがって体重関連障害においてさらなる役割を果たすと考えられる。副腎摘除術が絶食の効果を減弱して、食物摂取および視床下部ニューロペプチドYの発現を共に増加させることが知られている。これにより、糖質コルチコイドが食物摂取の増進において役割を果たすこと、および脳における11β−HSD1の阻害が満腹感を増加させ、したがって食物摂取の減少をもたらし得ることが示唆される(Woods et al., Science 1998, 280:1378-1383)。
【0013】
11β−HSD1の調節と関連する他の可能な治療効果は、種々の膵臓栄養物(aliment)に関するものである。マウスの膵β細胞における11β−HSD1の阻害により、グルコースで刺激されたインスリン分泌が増加することが報告されている(Davani et al., J. Biol. Chem. 2000, 275:34841-34844)。このことは、糖質コルチコイドがインビボで膵臓インスリン放出の減少の原因であることが先に見出されたという先行発見に続く(Billaudel et al., Horm. Metab. Res. 1979, 11:555-560)。したがって、11β−HSD1の阻害により、糖尿病の処置において、肝臓および脂肪減少に対して予測される効果以外の、他の有益な効果が得られることが示唆される。
【0014】
脳における過剰レベルのコルチゾールはまた、ニューロトキシンの増強を介してニューロンの損失または機能不全をもたらし得る。11β−HSD1阻害剤の有効量の投与は、加齢と関連する認知障害およびニューロン機能不全の低減、寛解、制御または予防をもたらす。認知障害は、加齢および脳における過剰レベルのコルチゾールと関連づけられている(J. R. Seckl and B. R. Walker, Endocrinology, 2001, 142:1371-1376およびこの中で引用されている参考文献を参照)。11β−HSD1はまた、脳における糖質コルチコイド活性を調節し、したがって神経毒性の原因となる(Rajan et al., Neuroscience 1996, 16:65-70;Seckl et al., Necroendocrinol. 2000, 18:49-99)。ストレスおよび/または糖質コルチコイドは、認識機能に影響を及ぼすことが知られており(de Quervain et al., Nature 1998, 394:787-790)、未公開の結果により、非特異的な11β−HSD1阻害剤で処置されたラットにおいて、有意な記憶の改善が示される。
【0015】
これらの報告は、脳における糖質コルチコイドの公知の効果に加えて、脳における11β−HSD1の阻害が、不安症、鬱病および関連する状態に対する正の治療効果を有し得ることを示唆する(Tronche et al., Nature Genetics 1999, 23:99-103)。11β−HSD1は、海馬細胞において11−デヒドロコルチコステロンをコルチコステロンに再活性化し、キナーゼ神経毒性を増強し、年齢に関連した学習障害をもたらし得る。したがって、11β−HSD1の選択的阻害剤は、加齢に伴う海馬の機能低下に対して保護すると考えられている(Yau et al., Proc.Natl. Acad. Sci. USA 2001, 98:4716-4721)。したがって、ヒト脳における11β−HSD1の阻害は、ニューロンの機能に対する有害な糖質コルチコイドにより媒介された効果、例えば認知障害、鬱病および食欲増加に対して保護することが仮定されている。
【0016】
さらに、糖質コルチコイドが免疫系を抑制するという一般的な認識に基づいて、11β−HSD1は、免疫調節において役割を果たすと考えられている。免疫系とHPA(視床下部−下垂体−副腎皮質)系との間に動的相互作用が存在すること(Rook, Baillier’s Clin. Endocrinol. Metab. 2000, 13:576-581)、および糖質コルチコイドが細胞媒介性応答と体液性応答との間のバランスを補助することが知られている。
【0017】
ストレスによって誘発され得る糖質コルチコイド活性の増大は、体液性応答と関連し、したがって11β−HSD1の阻害の結果、応答が細胞ベースの反応の方向に移動し得る。特定の疾患状態、例えば結核、ハンセン病および乾癬において、および過度のストレスの条件下においても、高い糖質コルチコイド活性により、実際には細胞ベースの応答が患者にとってより有益であり得る場合に、免疫応答が体液性応答に移動する。一方、11β−HSD1活性の阻害および糖質コルチコイドレベルの付随する低下により、免疫応答が細胞ベースの応答の方向に移動する(D. Mason, Immunology Today, 1991, 12:57-60およびG.A.Vt. Rook, Baillier’s Clin. Endocrinol. Metab., 1999, 13:576-581)。したがって、11β−HSD1阻害の代替的な有用性は、免疫化(immunization)に関連する一時的な免疫応答を増強して、細胞ベースの応答が得られることを確実にすることである。
【0018】
最近の報告は、糖質コルチコイド標的受容体およびHSDのレベルが、緑内障に対する感受性と関連していることを示唆する(J. Stokes et al., Invest. Ophthalmol. 2000, 41:1629-1638)。さらに、11β−HSD1の阻害と眼内圧の低下との間の関連が、最近報告された(Walker et al., poster P3-698 at the Endocrine society meeting June 12-15, 1999, San Diego)。非特異的な11β−HSD1阻害剤であるカルベノキソロンの投与の結果、正常な患者において眼内圧が20%低下することが示された。
【0019】
眼において、11β−HSD1は、角膜上皮、角膜の非着色上皮(眼房水の産生の部位)、毛様体筋ならびに虹彩の括約筋および散大筋の基底細胞においてのみ発現される。対照的に、遠位のイソ酵素である11−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型(「11β−HSD2」)は、非着色毛様体上皮および角膜内皮において高度に発現される。ドレナージの部位である線維柱帯網においては、HSDは見出されていない。したがって、11β−HSD1は、眼房水の産生において役割を果たすことが示唆され、11β−HSD1活性の阻害は、緑内障の処置において眼内圧を低下させるにあたり有用である。
【0020】
糖質コルチコイドはまた、骨格の発達および機能において必須の役割を果たすが、過剰に存在する場合にはそのような発達および機能に対して有害である。C. H. Kim et al., J. Endocrinol. 1999, 162:371 379において報告されているように、糖質コルチコイドによって誘導される骨減少は、部分的には骨芽細胞増殖およびコラーゲン合成の抑制に由来する。骨の小結節形成に対する糖質コルチコイドの有害な効果が、非特異的11β−HSD1阻害剤であるカルベノキソロンの投与により緩和され得ることが報告されている(C. G. Bellows et al., Bone 1998, 23:119-125)。さらなる報告は、11β−HSD1がおそらく破骨細胞における活性糖質コルチコイドのレベルの増加をもたらす原因であり、したがって、骨吸収を増大させることを示唆する(M. S. Cooper et al., Bone 2000, 27:375-381)。このデータは、11β−HSD1の阻害が、1または2以上の平行して作用し得る機構を介して、骨粗鬆症に対する有益な効果を有し得ることを示唆する。
【0021】
11β−HSD1阻害剤は、例えばWO 04/10629、WO 03/065983、WO 04/089896、WO 04/089380、WO 04/065351、WO 04/033427またはWO 04/041264から知られている。最近の概説について、M. Wamil and J.R.Seckl (Drug Discovery Today; June 2007, page 504-520)およびC.D.Boyle, T.J.Kowalski and L.Zhang (Annual reports in medicinal chemistry; 2006, 41, 127-140)を参照。しかし、縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体は、活性11−β−HSD−1阻害剤として開示されていない。
【0022】
US 4,088,652には、アシルアザビシクロヘキサンが記載されている。DE 27 40 562には、光学的に活性なアザビシクロヘキサンが記載されている。BE 893,707には、アザビシクロヘキサンが記載されている。US 4,435,419は、アザビシクロヘキサンを用いた鬱病の処置に関する。WO 2005/080382は、置換されたアザビシクロヘキサンの調製を対象とする。WO 2006/096810には、置換されたアザビシクロヘキサンの調製方法が開示されている。WO 2006/116157には、とりわけ糖尿病を処置するのに有用な複素環式化合物が開示されている。WO 2007/016155には、置換されたアザビシクロヘキサンが記載されている。
【0023】
WO 2007/022933は、ドーパミンD3レセプターモジュレーターとしてのトリアゾール誘導体の調製に関する。WO 2007/022935は、置換されたアザビシクロヘキサンの調製を対象とする。WO 2007/022980には、アザビシクロヘキサン誘導体を身体表現性障害の処置において用いることが開示されている。WO 2008/013856には、置換されたアザビシクロヘキサンの調製方法が記載されている。WO 2008/055068は、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤としての三環式ヒドロキサム酸の調製に関する。WO 2008/074716は、セロトニン、ドーパミンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害剤としてのアザ二環式(azabicyclic)化合物を対象とする。しかし、これらの刊行物の開示には、本発明の縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体も、開示された化合物の11−β−HSD−1阻害剤としての使用も包含されていない。
【0024】
本出願におけるすべての参考文献の引用は、該参考文献が本出願に対する先行技術であるという承認ではない。
【発明の概要】
【0025】
発明の説明
本発明は、11−β−HSD−1阻害剤として作用する新規な縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体を提供する目的を有する。
【0026】
本発明の目的は、驚くべきことに、1つの観点において、式(I)または式(II)
【化1】

式中:
Aは、アリールまたはヘテロアリールであり、これは、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよく;
、Rは、互いに独立してH、Z、アリール、フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルアルキルであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合したWと共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
【0027】
、Rは、互いに独立してHまたはZであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合した炭素原子と共にC=Oを形成してもよく、任意に、RおよびRはまた、それらが結合した炭素原子と共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
、Rは、互いに独立してHまたはZであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合した炭素原子と共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
【0028】
は、HまたはZであり;
、Rは、任意に、それらが結合した炭素原子およびそれらの間の結合と共に、C〜Cシクロアルキル環を形成してもよく、それは、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよく;
、Rは、任意に、それらが結合した炭素原子およびそれらの間の結合と共に、C〜Cシクロアルキル環を形成してもよく、それは、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよく;
【0029】
Wは、(C)であり;
Xは、不在であるかまたは−O−、−S−、−S(O)−もしくは−S(O)−であり;
Yは、アルコキシアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール、フェニルまたはヘテロアリールであり、それは、任意に、独立してZ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキルオキシカルボニル、C〜CアルキルカルボニルまたはRNC〜Cアルキルオキシで単置換、二置換または三置換されていてもよく;
【0030】
Zは、ヒドロキシ、−SH、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、ハロアルキル、アルキル、シクロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、NR、アジド、ニトロ、グアニジノ、アミジノ、ホスホノ、オキソ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、SFであり;
、Rは、互いに独立してH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;
nは、0または1であり;
ただしnが0である場合には、Xは不在ではない;
による縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体ならびにそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物を提供することによって解決された。
【0031】
好ましい態様において、式(III)または式(IV)
【化2】

式中:
、Rは、互いに独立してH、Z、アリール、フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルアルキルであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合したWと共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
【0032】
、Rは、互いに独立してHまたはZであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合した炭素原子と共にC=Oを形成してもより、任意に、RおよびRはまた、それらが結合した炭素原子と共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
、Rは、互いに独立してHまたはZであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合した炭素原子と共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
【0033】
は、HまたはZであり;
、Rは、任意に、それらが結合した炭素原子およびそれらの間の結合と共に、C〜Cシクロアルキル環を形成してもよく、それは、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよく;
、Rは、任意に、それらが結合した炭素原子およびそれらの間の結合と共に、C〜Cシクロアルキル環を形成してもよく、それは、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよく;
【0034】
Wは、(C)であり;
Xは、不在であるかまたは−O−、−S−、−S(O)−もしくは−S(O)−であり;
Yは、アルコキシアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール、フェニルまたはヘテロアリールであり、それは、任意に、独立してZ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキルオキシカルボニル、C〜CアルキルカルボニルまたはRNC〜Cアルキルオキシで単置換、二置換または三置換されていてもよく;
【0035】
Zは、ヒドロキシ、−SH、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、ハロアルキル、アルキル、シクロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、NR、アジド、ニトロ、グアニジノ、アミジノ、ホスホノ、オキソ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、SFであり;
、Rは、互いに独立してH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;
【0036】
10は、互いに独立してHまたはZから選択される、ピリド環上の1つ、2つまたは3つの置換基を表し;
11は、HまたはZであり;
12は、HまたはZであり;
nは、0または1であり;
ただしnが0である場合には、Xは不在ではない;
による縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体ならびにそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物を、提供する。
【0037】
好ましい態様において、式(III)または式(IV)による縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体、ここで
、Rは、互いに独立してH、Z、アリール、フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルアルキルであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合したWと共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよい;
、Rは、互いに独立してHまたはZである;
、Rは、互いに独立してHまたはZである;
は、HまたはZである;
【0038】
Wは、(C)である;
Xは、不在であるかまたは−O−、−S−、−S(O)−もしくは−S(O)−である;
Yは、アルコキシアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール、フェニルまたはヘテロアリールであり、それは、任意に、独立してZ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキルオキシカルボニル、C〜CアルキルカルボニルまたはRNC〜Cアルキルオキシで単置換、二置換または三置換されていてもよい;
【0039】
Zは、ヒドロキシ、−SH、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、ハロアルキル、アルキル、シクロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、NR、アジド、ニトロ、グアニジノ、アミジノ、ホスホノ、オキソ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、SFである;
、Rは、互いに独立してH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである;
10は、互いに独立してHまたはZから選択される、ピリド環上の1つ、2つまたは3つの置換基を表す;
11は、HまたはZである;
12は、HまたはZである;
nは、0または1である;
ただしnが0である場合には、Xは不在ではない;
ならびにそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体であり、すべての比率でのそれらの混合物を、提供する
【0040】
好ましい態様において、式(III)または式(IV)、ここで
、Rは、互いに独立してH、Z、アリール、フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルアルキルであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合したWと共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよい;
、Rは、互いに独立してHまたはZである;
、Rは、互いに独立してHまたはZである;
は、HまたはZである;
【0041】
Wは、(C)である;
Xは、不在である;
Yは、アルコキシアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール、フェニルまたはヘテロアリールであり、それは、任意に、独立してZ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキルオキシカルボニル、C〜CアルキルカルボニルまたはRNC〜Cアルキルオキシで単置換、二置換または三置換されていてもよい;
【0042】
Zは、ヒドロキシ、−SH、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、ハロアルキル、アルキル、シクロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、NR、アジド、ニトロ、グアニジノ、アミジノ、ホスホノ、オキソ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、SFである;
、Rは、互いに独立してH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである;
10は、互いに独立してHまたはZから選択される、ピリド環上の1つ、2つまたは3つの置換基を表す;
11は、HまたはZである;
12は、HまたはZである;
nは、1である;
で表される縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体ならびにそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体であり、すべての比率でのそれらの混合物を、提供する。
【0043】
好ましい態様において、式(III)または式(IV)、ここで
、Rは、互いに独立してH、Z、アリール、フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルアルキルであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合したWと共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
、Rは、互いに独立してHまたはZであり;
、Rは、互いに独立してHまたはZであり;
は、HまたはZであり;
【0044】
Wは、(C)であり;
Xは、不在であり;
Yは、アルコキシアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール、フェニルまたはヘテロアリールであり、それは、任意に、独立してZ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキルオキシカルボニル、C〜CアルキルカルボニルまたはRNC〜Cアルキルオキシで単置換、二置換または三置換されていてもよく;
【0045】
Zは、ヒドロキシ、−SH、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、ハロアルキル、アルキル、シクロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、NR、アジド、ニトロ、グアニジノ、アミジノ、ホスホノ、オキソ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、SFであり;
、Rは、互いに独立してH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;
10は、互いに独立してHまたはZから選択される、ピリド環上の1つ、2つまたは3つの置換基を表し;
11は、HまたはZであり;
12は、Hであり;
nは、1である;
で表される縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体ならびにそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体であり、すべての比率でのそれらの混合物を、提供する。
【0046】
好ましい態様において、a)3−(3−{[1−(4−フルオロフェニル)シクロプロピル]カルボニル}−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン;
b)3−(2−{[1−(4−フルオロフェニル)シクロプロピル]カルボニル}−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン;
c)3−(2−{[1−(4−クロロフェニル)シクロプロピル]カルボニル}−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン;
d)(2,2−ジメチル−1−p−トリル−シクロプロピル)−[5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル]−メタノン;
からなる群から選択される上記の式および上記の好ましい態様による縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体ならびにそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体であり、すべての比率でのそれらの混合物を、提供する。
【0047】
本明細書中に開示した式および化合物a)〜d)の好ましい小集団/態様を含む、上記の一般的に、または明確に開示した縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体をすべて、以下で(本)発明の化合物と呼ぶ。
化合物、特に本発明による化合物を定義するために本明細書中で用いる命名法は、一般的に化学化合物および特に有機化合物についてのIUPAC組織の規則に基づく。
本発明の上記の化合物の説明のために示した用語は常に、明細書において、または特許請求の範囲において他に示さない限り以下の意味を有する:
【0048】
用語「非置換」は、対応するラジカル、基または部分が置換基を有しないことを意味する。
用語「置換」は、対応するラジカル、基または部分が1つまたは2つ以上の置換基を有することを意味する。ラジカルが複数の置換基を有し、種々の置換基の選択が特定される場合には、当該置換基は、互いに独立して選択され、同一であることは必要ではない。
【0049】
本発明の目的のための用語「アルキル」または「A」、ならびに接頭辞「アルク」を有する他の基は、非環式の飽和の、または不飽和の炭化水素ラジカルをいい、それは、分枝状または直鎖状であり得、好ましくは1〜8個の炭素原子を有し、即ちC〜Cアルカニル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルキニルである。アルケニルは、少なくとも1つのC−C二重結合を有し、アルキニルは、少なくとも1つのC−C三重結合を有する。アルキニルは、さらにまた少なくとも1つのC−C二重結合を有していてもよい。
【0050】
好適なアルキルラジカルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、ネオ−ペンチル、tert−ペンチル、2−または3−メチル−ペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−イコサニル、n−ドコシニル、エチレニル(ビニル)、プロペニル(−CHCH=CH;−CH=CH−CH、−C(=CH)−CH)、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、オクタジエニル、オクタデセニル、オクタデカ−9−エニル、イコセニル、イコサ−11−エニル、(Z)−イコサ−11−エニル、ドコシニル(docosnyl)、ドコサ−13−エニル、(Z)−ドコサ−13−エニル、エチニル、プロピニル(−CH−C≡CH、−C≡C−CH)、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニルである。特に好ましくは、C1〜4アルキルである。C1〜4アルキルラジカルは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチルである。
【0051】
本発明の目的のための用語「シクロアルキル」は、1〜3個の環を有し、3〜20個、好ましくは3〜12個、最も好ましくは3〜8個の炭素原子を含む、飽和の、および部分的に不飽和の非芳香族環状炭化水素基/ラジカルをいう。シクロアルキルラジカルはまた、二環式または多環式系の一部であり得、ここで、例えば、シクロアルキルラジカルは、本明細書中で定義されたようにアリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルラジカルに、任意の可能なおよび所望の環部分(1または2以上)によって縮合している。一般式で表される化合物への結合は、シクロアルキルラジカルの任意の可能な環部分を介してもたらされることができる。好適なシクロアルキルラジカルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロヘキセニル、シクロペンテニルおよびシクロオクタジエニルである。特に好ましくは、C〜CシクロアルキルおよびC〜Cシクロアルキルである。C〜Cシクロアルキルラジカルは、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルである。
【0052】
本発明の目的のための用語「ヘテロシクリル」は、炭素原子および同一であるかまたは異なる1個、2個、3個、4個または5個のヘテロ原子、特に窒素、酸素および/または硫黄を含む、3〜20個、好ましくは5個または6〜14個の環原子の単環式または多環式系をいう。環状系は、飽和、単不飽和または多不飽和であり得るが、芳香族ではない場合がある。少なくとも2つの環からなる環状系の場合において、環は縮合しているかまたはスピロもしくは他の方法で結合し得る。そのような「ヘテロシクリル」ラジカルは、任意の環部分を介して結合することができる。
【0053】
用語「ヘテロシクリル」はまた、複素環が二環式または多環式の飽和の、部分的に不飽和の、および/または芳香族の系の一部である系を含み、例えばここで、複素環は、本明細書中で定義されるような「アリール」、「シクロアルキル」、「ヘテロアリール」または「ヘテロシクリル」基に、ヘテロシクリルラジカルの任意の所望のおよび可能な環部分を介して縮合している。一般式で表される化合物への結合は、ヘテロシクリルラジカルの任意の可能な環部分を介してもたらされることができる。好適な「ヘテロシクリル」ラジカルの例は、ピロリジニル、チアピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサピペラジニル、オキサピペリジニル、オキサジアゾリル、テトラヒドロフリル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロピラニル、インドリニル、インドリニルメチル、イミダゾリジニル、2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタニルである。
【0054】
本発明の目的のための用語「アリール」は、3〜14個、好ましくは5〜14個、より好ましくは6〜10個の炭素原子を有する単環式または多環式の芳香族炭化水素系をいう。用語「アリール」はまた、芳香族環が二環式または多環式の飽和の、部分的に不飽和の、および/または芳香族の系の一部である系を含み、例えばここで、芳香族環は、本明細書中で定義されるような「アリール」、「シクロアルキル」、「ヘテロアリール」または「ヘテロシクリル」基に、アリールラジカルの任意の所望のおよび可能な環部分を介して縮合している。一般式で表される化合物への結合は、アリールラジカルの任意の可能な環部分を介してもたらされることができる。好適な「アリール」ラジカルの例は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチルおよびアントラセニル、しかし同様にインダニル、インデニルまたは1,2,3,4−テトラヒドロナフチルである。最も好ましいアリールは、フェニルである。
【0055】
本発明の目的のための用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1個、適切な場合にはまた2個、3個、4個または5個のヘテロ原子、好ましくは窒素、酸素および/または硫黄を含み、ここでヘテロ原子が同一であるかまたは異なる、3〜15員環、好ましくは5〜14員環、より好ましくは5員環、6員環または7員環の単環式または多環式の芳香族炭化水素ラジカルをいう。窒素原子の数は、好ましくは0、1、2または3であり、酸素および硫黄原子の数は、独立して0または1である。用語「ヘテロアリール」はまた、芳香族環が二環式または多環式の飽和の、部分的に不飽和のおよび/または芳香族の系の一部である系を含み、例えばここで、芳香族環は、本明細書中で定義されるように「アリール」、「シクロアルキル」、「ヘテロアリール」または「ヘテロシクリル」基に、ヘテロアリールラジカルの任意の所望のおよび可能な環部分を介して縮合している。一般式で表される化合物への結合は、ヘテロアリールラジカルの任意の可能な環部分を介してもたらされることができる。
【0056】
好適な「ヘテロアリール」の例は、アクリジニル、ベンズジオキシニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、フラニル、フラザニル、フリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンジルフラニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアジニル、トリアゾリルである。
【0057】
本発明の目的のために、用語「アルキル−シクロアルキル」、「シクロアルキルアルキル」、「アルキル−ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリルアルキル」、「アルキル−アリール」、「アリールアルキル」、「アルキル−ヘテロアリール」および「ヘテロアリールアルキル」は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールが、各々、上記で定義した通りであり、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールラジカルが、一般式で表される化合物に、アルキルラジカル、好ましくはC〜Cアルキルラジカル、より好ましくはC〜Cアルキルラジカルを介して結合していることを意味する。
【0058】
本発明の目的のための用語「アルキルオキシ」または「アルコキシ」は、酸素原子に結合した上記の定義によるアルキルラジカルをいう。一般式で表される化合物への結合は、酸素原子を介してである。例は、メトキシ、エトキシおよびn−プロピルオキシ、プロポキシ、イソプロポキシである。好ましくは、示した数の炭素原子を有する「C〜Cアルキルオキシ」である。
【0059】
本発明の目的のための用語「シクロアルキルオキシ」または「シクロアルコキシ」は、酸素原子に結合した上記の定義によるシクロアルキルラジカルをいう。一般式で表される化合物への結合は、酸素原子を介してである。例は、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシである。好ましくは、示した数の炭素原子を有する「C〜Cシクロアルキルオキシ」である。
【0060】
本発明の目的のための用語「ヘテロシクリルオキシ」は、酸素原子に結合した上記の定義によるヘテロシクリルラジカルをいう。一般式で表される化合物への結合は、酸素原子を介してである。例は、ピロリジニルオキシ、チアピロリジニルオキシ、ピペリジニルオキシ、ピペラジニルオキシである。
【0061】
本発明の目的のための用語「アリールオキシ」は、酸素原子に結合した上記の定義によるアリールラジカルをいう。一般式で表される化合物への結合は、酸素原子を介してである。例は、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ、1−ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ、インダニルオキシである。好ましくは、フェニルオキシである。
【0062】
本発明の目的のための用語「ヘテロアリールオキシ」は、酸素原子に結合した上記の定義によるヘテロアリールラジカルをいう。一般式で表される化合物への結合は、酸素原子を介してである。例は、ピロリルオキシ、チエニルオキシ、フリルオキシ、イミダゾリルオキシ、チアゾリルオキシである。
【0063】
本発明の目的のための用語「カルボニル」または「カルボニル部分」は、−C(O)−基をいう。
本発明の目的のための用語「アルキルカルボニル」は、「アルキル−C(O)−」基をいい、ここでアルキルは、本明細書中で定義した通りである。
本発明の目的のための用語「アルコキシカルボニル」または「アルキルオキシカルボニル」は、「アルキル−O−C(O)−」基をいい、ここでアルキルは、本明細書中で定義した通りである。
【0064】
本発明の目的のための用語「アルコキシアルキル」は、「アルキル−O−アルキル」基をいい、ここでアルキルは、本明細書中で定義した通りである。
本発明の目的のための用語「ハロアルキル」は、本明細書中で定義したように少なくとも1個のハロゲンを有する少なくとも1つの炭素原子置換基を含む、本明細書中で定義したアルキル基をいう。
【0065】
本発明の目的のための用語「ハロゲン」、「ハロゲン原子」、「ハロゲン置換基」または「Hal」は、1個または適切な場合には複数個のフッ素(F、フルオロ)、臭素(Br、ブロモ)、塩素(Cl、クロロ)またはヨウ素(I、ヨード)原子をいう。名称「ジハロゲン」、「トリハロゲン」および「パーハロゲン」は、それぞれ2つ、3つおよび4つの置換基をいい、ここで各々の置換基を、独立してフッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択することができる。「ハロゲン」は、好ましくはフッ素、塩素または臭素原子を意味する。ハロゲンがアルキル(ハロアルキル)またはアルコキシ基(例えばCFおよびCFO)上で置換されている場合には、フッ素が最も好ましい。
用語「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」は、OH基を意味する。
【0066】
本発明の目的のための医薬組成物における用語「組成物」とは、活性成分(1種または2種以上)、および担体を構成する不活性成分(1種または2種以上)、ならびに任意の2種もしくは3種以上の成分の組み合わせ、錯化もしくは凝集から、あるいは1種もしくは2種以上の成分の解離から、あるいは他のタイプの反応または1種もしくは2種以上の成分の相互作用から直接的に、または間接的に生成する任意の生成物を含む生成物を包含することを意図する。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と薬学的に許容し得る担体とを混合することによって製造されるすべての組成物を包含する。
【0067】
用語、化合物「の投与」および化合物「を投与する」とは、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを、個人の必要に対して提供することを意味するものと理解するべきである。
【0068】
本明細書中で用いる用語「有効量」は、例えば研究者または医師によって求められている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を惹起する、薬物または薬剤のすべての量をいう。さらに、用語「治療有効量」とは、そのような量を施与されていない対応する対象と比較して、疾患、障害もしくは副作用の処置の改善された処置、治癒、予防もしくは寛解、または疾患もしくは障害の進行の速度の低下をもたらすすべての量を意味する。該用語はまた、その範囲内に、正常な生理学的機能を増強するのに有効な量を包含する。
【0069】
本発明の化合物のすべての立体異性体は、混合物において、または純粋な、もしくは実質的に純粋な形態において意図される。本発明の化合物は、炭素原子のすべてにおいて非対称中心を有することができる。したがって、それらは、それらのラセミ化合物の形態で、純粋な鏡像異性体および/またはジアステレオマーの形態で、またはこれらの鏡像異性体および/またはジアステレオマーの混合物の形態で存在することができる。混合物は、任意の所望される混合比の立体異性体を有し得る。
【0070】
したがって、例えば、1つまたは2つ以上のキラリティーの中心を有し、ラセミ化合物として、またはジアステレオマー混合物として存在する本発明の化合物を、それらの光学的に純粋な異性体、即ち鏡像異性体またはジアステレオマーに、自体公知の方法によって分別することができる。本発明の化合物の分離を、キラルな、またはキラルでない相におけるカラム分離によって、あるいは任意に光学的に活性な溶媒からの、または光学的に活性な酸もしくは塩基を用いた再結晶によって、あるいは光学的に活性な試薬、例えば光学的に活性なアルコールでの誘導体化およびその後のラジカルの除去によって行うことができる。
【0071】
本発明の化合物は、「純粋な」EもしくはZ異性体としてのそれらの二重結合異性体の形態で、またはこれらの二重結合異性体の混合物の形態で存在し得る。
可能な場合には、本発明の化合物は、互変異性体、例えばケト−エノール互変異性体の形態であり得る。
【0072】
同様に、本発明の化合物が、任意の所望のプロドラッグ、例えばエステル、炭酸塩、カルバミン酸塩、尿素、アミドまたはリン酸塩の形態であることが可能であり、この場合において、実際に生物学的に活性な形態は、代謝によってのみ放出される。インビボで変換されて生物活性剤(即ち本発明の化合物)を提供することができるすべての化合物は、本発明の範囲および精神内のプロドラッグである。
【0073】
プロドラッグの種々の形態は、当該分野において十分知られており、例えば以下に記載されている:
(i) Wermuth CG et al., Chapter 31: 671-696, The Practice of Medicinal Chemistry, Academic Press 1996;
(ii) Bundgaard H, Design of Prodrugs, Elsevier 1985;および
(iii) Bundgaard H, Chapter 5: 131-191, A Textbook of Drug Design and Development, Harwood Academic Publishers 1991.
前記参考文献は、参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0074】
さらに、化学物質が身体中で、適切な場合には−より明らかな形態でもいくつかの状況においては所望の生物学的影響を同様に惹起し得る代謝物に変換されることが、知られている。
任意の本発明の化合物から代謝によってインビボで変換された任意の生物学的に活性な化合物は、本発明の範囲および精神内の代謝物である。
【0075】
本発明の化合物を、それらが十分に塩基性の基、例えば第二アミンまたは第三アミンを有する場合には、無機酸および有機酸とで塩に変換することができる。本発明の化合物の薬学的に許容し得る塩は、好ましくは塩酸、臭化水素酸、ヨード酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、炭酸、ギ酸、酢酸、スルホ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、ラセミ酸、リンゴ酸、エンボン酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、タウロコール酸、グルタル酸、ステアリン酸、グルタミン酸またはアスパラギン酸と、形成される。
【0076】
生成する塩は、とりわけ、塩酸塩、塩化物、臭化水素酸塩、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、トシル酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、スルホ酢酸塩、トリフラート、シュウ酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、エンボン酸塩、マンデル酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、グルタル酸塩、ステアリン酸塩、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩である。本発明の化合物から生成する塩の化学量論比は、さらに1の整数倍であっても非整数倍であってもよい。
【0077】
本発明の化合物を、それらが十分に酸性の基、例えばカルボキシ、スルホン酸、リン酸またはフェノール基を含む場合には、無機塩基および有機塩基でそれらの生理学的に耐容される塩に変換することができる。好適な無機塩基の例は、アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムであり、有機塩基には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、t−ブチルアミン、t−オクチルアミン、デヒドロアビエチルアミン(dehydroabietylamine)、シクロヘキシルアミン、ジベンジルエチレン−ジアミンおよびリジンがある。本発明の化合物から生成する塩の化学量論比は、さらに1の整数倍または非整数倍であることができる。
【0078】
本発明の化合物が、例えば溶媒からの、または水溶液からの結晶化によって得ることができる、それらの溶媒和物および特に水和物の形態であることが、同様に可能である。さらに、1種、2種、3種または任意の数の溶媒和物または水分子が、本発明の化合物と組み合わされて、溶媒和物および水和物を生成することが、可能である。
用語「溶媒和物」によって、水和物、アルコラートまたは結晶化の他の溶媒和物が意味される。
【0079】
化学物質が、多形相または変態と呼ばれる種々の秩序状態において存在する固体を生成することが知られている。多形物質の種々の変態は、それらの物理的特性において大幅に異なり得る。本発明の化合物は、種々の多形相において存在することができ、特定の変態は、さらに準安定であり得る。化合物のすべてのこれらの多形相は、本発明に属すると見なされるべきである。
【0080】
本発明の化合物を、以下のスキーム1による一般的方法によって調製することができる。すべての調製の方法において、すべての出発物質は、知られているかまたは既知の出発物質から容易に調製され得る。
スキーム1
【化3】

【0081】
他の観点において、本発明の目的は、驚くべきことに、本発明の化合物の調製方法であって、以下の段階:
a)式Vで表され、式中R10およびR11が本明細書中で定義した通りであるアザインドールを、塩基性媒体中で、式VIで表され、式中R、R、R、R、Rが本明細書中で定義した通りであるケトンと反応させて、式VIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が本明細書中で定義した通りであるオレフィンを得る段階、
【0082】
b)段階a)の式VIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が本明細書中で定義した通りであるオレフィンをシクロプロパン化し、続いてBoc脱保護し、式VIIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が本明細書中で定義した通りであるシクロプロパンピロリジノ−アザインドールを得る段階、
c)段階b)の式VIIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が本明細書中で定義した通りであるシクロプロパンピロリジノ−アザインドールを、式IXで表され、式中R、R、XおよびYが本明細書中で定義した通りである活性化されたカルボン酸と反応させて、式XIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11、XおよびYが本明細書中で定義した通りである化合物を得る段階
を含む前記方法を提供することによって解決された。
【化4】

【0083】
他の観点において、本発明の目的は、驚くべきことに、本発明の化合物の調製方法であって、以下の段階:
a)式Vで表され、式中R10およびR11が本明細書中で定義した通りであるアザインドールを、塩基性媒体中で、式VIで表され、式中R、R、R、R、Rが本明細書中で定義した通りであるケトンと反応させて、式XIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が本明細書中で定義した通りであるオレフィンを得る段階、
【0084】
b)段階a)の式XIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が本明細書中で定義した通りであるオレフィンをシクロプロパン化し、続いてBoc脱保護し、式XIIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が本明細書中で定義した通りであるシクロプロパンピロリジノ−アザインドールを得る段階、
c)段階b)の式XIIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が本明細書中で定義した通りであるシクロプロパンピロリジノ−アザインドールを、式IXで表され、式中R、R、XおよびYが本明細書中で定義した通りである活性化されたカルボン酸と反応させて、式XIVで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11、XおよびYが本明細書中で定義した通りである化合物を得る段階
を含む前記方法を提供することによって解決された。
【化5】

【0085】
好ましい態様において、本明細書中に開示した方法であって、さらに以下の段階:
d)本明細書中で定義した残基X、Y、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11および/またはR12を他の残基X、Y、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11および/またはR12に、例えばアルキル基を導入することによって変換する段階、および/または
e)段階c)および/または段階d)から得られた化合物を単離し、かつ/またはそれを酸もしくは塩基で処理して、その対応する塩を得る段階
を含む、前記方法を提供する。
【0086】
すべての粗生成物を、それぞれメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、シクロヘキサンまたは石油エーテルを含む溶媒混合物を用いる標準的なクロマトグラフィーに供した。
製造プロセスのさらに詳細な説明については、例および以下の好ましい条件の一般的な説明をも参照されたい。
本発明の化合物の生理学的に許容し得る塩をまた、酸または塩基との記載した反応によって得られた本発明の化合物を単離および/または処理することにより得ることができる。
【0087】
本発明の化合物およびまたそれらの調製のための出発物質を、例において記載する方法によって、または文献(例えばHouben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgart;Organic Reactions, John Wiley&Sons, Inc., New Yorkなどの標準的な著作物)に記載されるようなそれ自体公知の方法によって、正確には前述の反応に適する周知の反応条件の下で調製する。また、ここで、自体公知であるが本明細書中では一層詳細には述べない変法を用いることができる。
【0088】
クレームされている方法のための出発物質をまた、所望により反応混合物からそれらを単離せず、代わりに直ちにそれらをさらに本発明の化合物に変換することにより、in situで生成してもよい。他方、該反応を段階的に行うことが可能である。
【0089】
好ましくは、化合物の反応を、好ましくはそれぞれの反応条件下で不活性である好適な溶媒の存在下で行う。好適な溶媒の例は、炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロメタン、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテルまたはエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム(diglyme));ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)もしくはN−メチルピロリジノン(NMP);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);ニトロ化合物類、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、あるいは上記の溶媒の混合物または水との混合物である。極性溶媒が一般的に好ましい。好適な極性溶媒の例は、塩素化炭化水素類、アルコール類、グリコールエーテル類、ニトリル類、アミド類およびスルホキシドまたはそれらの混合物である。より好ましくは、アミド類、特にジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0090】
上記の通り、反応温度は、反応段階および用いる条件に依存して約−100℃〜300℃である。
反応時間は、一般的に、それぞれの化合物の反応性およびそれぞれの反応条件に依存して数分〜数日の範囲内である。好適な反応時間は、当該分野において公知の方法、例えば反応のモニタリングにより容易に決定可能である。上記で与えられる反応温度に基づいて、好適な反応時間は、一般的に10分〜48時間の範囲内にある。
【0091】
本発明の化合物の塩基を、酸を用いて、例えば好ましくは不活性溶媒、例えばエタノール中での当量の塩基および酸の反応、続いて蒸発により、関連する酸付加塩に変換することができる。この反応のための好適な酸は、特に、生理学的に許容し得る塩を生じるものである。したがって、無機酸、例えば硫酸、亜硫酸、ジチオン酸、硝酸、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、リン酸、例えばオルトリン酸、スルファミン酸、さらに有機酸、特に脂肪族、脂環式、脂肪芳香族(araliphatic)、芳香族または複素環式の一塩基または多塩基のカルボン酸、スルホン酸または硫酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、メタンもしくはエタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリメトキシ安息香酸、アダマンタンカルボン酸、p−トルエンスルホン酸、グリコール酸、エンボン酸、クロロフェノキシ酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、グリオキシル酸、パルミチン酸、パラクロロフェノキシイソ酪酸、シクロヘキサンカルボン酸、グルコース1−リン酸、ナフタレンモノ−および−ジスルホン酸またはラウリル硫酸を用いることが可能である。
【0092】
生理学的に許容し得ない酸、例えばピクリン酸との塩を用いて、本発明の化合物を単離および/または精製することができる。
他方、本発明の化合物を、対応する金属塩、特にアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩に、または対応するアンモニウム塩に、塩基(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム)を用いて変換することができる。好適な塩は、さらに、置換アンモニウム塩、例えばジメチル、ジエチルおよびジイソプロピルアンモニウム塩、モノエタノール、ジエタノールおよびジイソプロパノールアンモニウム塩、シクロヘキシルおよびジシクロヘキシルアンモニウム塩、ジベンジルエチレンジアンモニウム塩、さらに例えばアルギニンまたはリジンとの塩である。
【0093】
所望により、本発明の化合物の遊離塩基を、他の酸性の基が分子中に存在しない限り、強塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムでの処理によって、それらの塩から遊離させることができる。本発明の化合物が遊離の酸基を有する場合には、塩形成を、塩基での処理によって同様に達成することができる。好適な塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物または第一アミン、第二アミンもしくは第三アミンの形態の有機塩基である。
【0094】
本明細書中に記載した各反応段階に続いて、任意に1または2以上の精製操作(working up)の手順および/または単離の手順を行うことができる。好適なそのような手順は、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的な著作物から当該分野において公知である。そのような手順の例には、以下のものが含まれるがこれらに限定されない:溶媒の蒸発、蒸留、結晶化、分別結晶化、抽出の手順、洗浄の手順、温浸(digesting)の手順、濾過の手順、クロマトグラフィー、HPLCによるクロマトグラフィーおよび乾燥の手順、特に真空および/または高温における乾燥の手順。
【0095】
本発明の化合物は、驚くべきことに、11−β−HSD−1酵素の強度の、かつ/または選択的な阻害によって特徴づけられる。
それらの驚くほど強度の、かつ/または選択的な酵素阻害のために、本発明の化合物を、従来技術の他のより強力でないかまたは選択的でない阻害剤と比較して低い用量にて有利に投与することができ、同時に尚同等の、またはさらには優れた所望される生物学的効果を達成する。さらに、そのような用量の低減により、有利にはより少ない医薬的副作用がもたらされるか、またはさらには医薬的副作用はもたらされない場合がある。さらに、本発明の化合物の高い阻害選択性は、結果的に適用される用量とは無関係に単独で所望されない副作用の低減となり得る。
【0096】
本発明の化合物は、11−β−HSD−1酵素の選択的な阻害剤である。したがって、本発明は、本発明の化合物の、コルチゾンのコルチゾールへの変換に関与する11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1のレダクターゼ活性を阻害するための使用に関する。
【0097】
11−β−HSD−1阻害剤である本発明の化合物は、一般的に約500nMより低い、および好ましくは約100nMより低い阻害定数IC50を有する。一般的に、本発明の化合物のIC50比率11−β−HSD−2対11−β−HSD−1は、少なくとも約2またはそれ以上、および好ましくは約10であるかまたはそれより大きい。尚より好ましくは、約20またはそれより大きい11−β−HSD−2対11−β−HSD−1についてのIC50比率を有する化合物である。例えば、本発明の化合物は、理想的には約1000nMより大きい、および好ましくは5000nMより大きい11−β−HSD−2に対する阻害定数IC50を示す。
【0098】
本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することによる、哺乳類患者、特にヒトにおけるコルチゾールおよび/または他の副腎皮質ステロイドの過剰の、または制御されてない量によって発生し、媒介され、かつ/または伝播される、本明細書中に記載した生理学的および/または病態生理学的状態を処置、制御、寛解、防止し、発症を遅延させ、または発症する危険性を低減するための、11−β−HSD−1阻害剤の使用を含む。11−β−HSD−1酵素の阻害により、通常は不活性であるコルチゾンのコルチゾールへの変換が制限され、コルチゾールは、過剰量で存在する場合には本明細書中に記載した生理学的および病態生理学的状態の徴候を発生するかまたはそれに寄与し得る。
【0099】
本発明の目的は、驚くべきことに、他の観点において11−β−HSD−1阻害剤としての本発明の化合物の使用を提供することによって解決された。
用語「阻害すること、阻害および/または遅延」は、本発明の目的のために以下のようをいうことを意図する:「部分的に、または完全に阻害すること、阻害および/または遅延」。この場合において、そのような阻害すること、阻害および/または遅延を、通常の計測、測定方法によって計測し、測定することは、平均的な当業者の専門知識内である。したがって、部分的に阻害すること、阻害および/または遅延を、例えば完全に阻害すること、阻害および/または遅延と関連させて計測し、測定することができる。
【0100】
本発明の目的は、驚くべきことに、他の観点において本発明の少なくとも1種の化合物を含む医薬を提供することによって解決された。
本発明の目的は、驚くべきことに、他の観点において、高いコルチゾールレベルによって発生し、媒介され、かつ/または伝播される生理学的および/または病態生理学的状態の処置および/または予防において用いるための本発明の少なくとも1種の化合物を含む医薬を提供することによって解決された。前述の状態を処置および/または予防するための医薬を調製するための対応する使用を、包含することを意図する。
【0101】
本発明の目的は、驚くべきことに、他の観点において、メタボリックシンドローム、糖尿病、特に非インスリン依存性真性糖尿病、糖尿病前症、インスリン抵抗性、低い耐糖能、高血糖、肥満および体重関連の障害、脂質障害、例えば脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベルまたは高LDLレベル、緑内障、骨粗鬆症、ニューロン機能に対する糖質コルチコイドによって媒介される影響、例えば認識障害、不安症または鬱病、神経変性疾患、免疫不全、例えば結核、ハンセン病または乾癬、高血圧、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、心血管疾患、膵炎、網膜症、神経障害および腎症からなる群から選択される生理学的および/または病態生理学的状態の処置および/または予防において用いるための、本発明の少なくとも1種の化合物を含む医薬を提供することによって解決された。前述の状態を処置および/または予防するための医薬を調製するための対応する使用を、包含することを意図する。
【0102】
本発明の他の観点において:高血糖、耐糖能の低下、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、膵炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、腎障害、神経障害、メタボリックシンドローム、高血圧ならびにインスリン抵抗性が構成要素である他の状態および障害からなる群から選択される状態を、そのような処置を必要とする哺乳類患者において処置する方法を開示し、それは、患者に、少なくとも1種の本発明の化合物を、上記状態を処置するのに有効な量で投与することを含む。
【0103】
本発明の他の観点において、高血糖、耐糖能の低下、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、膵炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、腎障害、神経障害、メタボリックシンドローム、高血圧ならびにインスリン抵抗性が構成要素である他の状態および障害からなる群から選択される状態の発症を、そのような処置を必要とする哺乳類患者において遅延させる方法を開示し、それは、患者に、少なくとも1種の本発明の化合物を、上記状態の発症を遅延させるのに有効な量で投与することを含む。
【0104】
本発明の他の観点において、そのような処置が必要な哺乳類患者における、高血糖、低い耐糖能、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、膵炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、腎障害、神経障害、メタボリックシンドローム、高血圧ならびにインスリン抵抗性が構成要素である他の状態および障害からなる群から選択される状態が発症する危険性を低減する方法であって、本発明の少なくとも1種の化合物を患者に、前記状態が発症する危険性を低減するのに有効な量で投与することを含む、前記方法を開示する。
【0105】
本発明の化合物を、本発明の化合物または他の物質が有用性を有する疾患または状態の処置、予防、抑制または寛解において、1種または2種以上の他の活性物質(成分、薬物)と組み合わせて用いてもよい。典型的には、薬物の組み合わせは、いずれかの薬物単独より安全もしくは有効であるか、または該組み合わせは、個々の薬物の相加的特性に基づいて予測されるよりも安全もしくは有効である。そのような他の薬物(1種または2種以上)を、本発明の化合物と同時にまたは連続して、一般的に用いられる経路および量で投与することができる。本発明の化合物を1種または2種以上の他の薬物と同時に用いる場合には、そのような他の薬物(1種または2種以上)および本発明の化合物を含む併用製品が好ましい。しかし、併用療法はまた、本発明の化合物および1種または2種以上の他の薬物を異なる重複するスケジュールで投与する治療を含む。他の活性成分と組み合わせて用いる場合には、本発明の化合物または他の活性成分または両方を、各々を単独で用いる場合より低い用量で有効に用いることができることを企図する。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて1種または2種以上の他の活性成分を含むものを包含する。
【0106】
本発明の化合物と組み合わせて、別個に投与されるかまたは同一の医薬組成物中で投与することができる他の活性物質の例は、以下のものを含むがこれらに限定されない:ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤;PPARγアゴニスト、例えばグリタゾン類(例えばトログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン(englitazone)、MCC−555、ロシグリタゾンなど)などおよびPPARα/γデュアルアゴニスト、例えばKRP−297を含む他のPPARリガンド、ならびにPPARαアゴニスト、例えばゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラートおよびベザフィブラート、ならびにビグアナイド類、例えばメトホルミンおよびフェンホルミンを含む、インスリン感作剤;インスリンまたはインスリン模倣薬;スルホニル尿素および他のインスリン分泌促進物質、例えばトルブタミド、グリピジド、メグリチニド(meglitinide)および関連物質;α−グルコシダーゼ阻害剤、例えばアカルボース;グルカゴン受容体アンタゴニスト、例えばWO 98/04528、WO 99/01423、WO 00/39088およびWO 00/69810に開示されているもの;
【0107】
GLP−1、GLP−1類似体、およびGLP−1受容体アゴニスト、例えばWO 00/42026およびWO 00/59887に開示されているもの;GIP、GIP模倣薬、例えばWO 00/58360に開示されているもの、およびGIP受容体アゴニスト;PACAP、PACAP模倣薬、およびPACAP受容体3アゴニスト、例えばWO 01/23420に開示されているもの;コレステロール低下剤、例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン(itavastatin)、ロスバスタチンおよび他の記載されているもの)、胆汁酸捕捉剤(コレスチラミン、コレスチポール、および架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体類)、ニコチニルアルコール、ニコチン酸またはそれらの塩、コレステロール吸収の阻害剤、例えばエゼチミブおよびベータ−シトステロール、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばアバシミブ(avasimibe)、および抗酸化剤、例えばプロブコール;PPARδアゴニスト、例えばWO97/28149に開示されているもの;
【0108】
抗肥満化合物、例えばフェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY1またはY5アンタゴニスト類、CB1受容体インバースアゴニスト類およびアンタゴニスト類、アドレナリン性受容体アゴニスト類、メラノコルチン受容体アゴニスト類、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト類、グレリンアンタゴニスト類、およびメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト類;回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;糖質コルチコイド以外の炎症状態において用いるために意図される薬剤、例えばアスピリン、非ステロイド性抗炎症薬、アザルフィジンおよび選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤;タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)阻害剤;アンギオテンシン系またはレニン系に対して作用するものを含む降圧剤、例えばアンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、またはレニン阻害剤、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン;ならびにコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)の阻害剤。
【0109】
上記の組み合わせは、構造式Iで表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物と、1種または2種以上の他の活性化合物とを含む。非限定的例は、本発明の化合物と、ビグアナイド、スルホニル尿素、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、PPARアゴニスト、PTP−1B阻害剤、DP−IV阻害剤および抗肥満化合物から選択される2種または3種以上の活性化合物との組み合わせを含む。
【0110】
本発明の化合物と併用することができる抗肥満化合物は、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、神経ペプチドY1またはY5アンタゴニスト、カンナビノイドCB 1受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニストおよびメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストを含む。構造式Iで表される化合物と併用することができる抗肥満化合物の概説のために、S. Chaki et al., "Recent advances in feeding suppressing agents: potential therapeutic strategy for the treatment of obesity," Expert Opin. Ther. Patents, 11: 1677-1692 (2001) and D. Spanswick and K. Lee, "Emerging antiobesity drugs," Expert Opin. Emerging Drugs, 8: 217- 237 (2003)を参照。
【0111】
本発明の化合物と併用することができる神経ペプチドY5アンタゴニストは、US 6,335,345およびWO 01/14376に開示されているもの;ならびにGW59884A;GW569180A;LY366377;およびCOP−71683Aとして識別されている特定の化合物を含む。
【0112】
式Iで表される化合物と併用することができるカンナビノイドCB 1受容体アンタゴニストは、WO 03/007887;US 5,624,941に開示されているもの、例えばリモナバン;WO 02/076949に開示されているもの、例えばSLV−319;US 6,028,084;WO 98/41519;WO 00/10968;WO 99/02499;US 5,532,237;およびUS 5,292,736に開示されているものを含む。
【0113】
本発明の化合物と併用することができるメラノコルチン受容体アゴニストは、WO 03/009847;WO 02/068388;WO 99/64002;WO 00/74679;WO 01/70708;およびWO 01/70337に開示されているもの;ならびにJ.D. Speake et al., "Recent advances in the development of melanocortin-4 receptor agonists, Expert Opin. Ther. Patents, 12: 1631-1638 (2002) に開示されているものを含む。
【0114】
本発明の他の観点において、高血糖、耐糖能の低下、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、膵炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、腎障害、神経障害、メタボリックシンドローム、高血圧、ならびにインスリン抵抗性が構成要素である他の状態および障害からなる群から選択される状態を、そのような処置を必要とする哺乳類患者において処置する方法を開示し、これは、本発明の少なくとも1種の化合物および以下からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の有効量を患者に投与することを含む:ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤;PPARγアゴニスト、PPARαアゴニストおよびPPARα/γデュアルアゴニストならびにビグアナイド類からなる群から選択されるインスリン感作剤;
【0115】
インスリンおよびインスリン模倣薬;スルホニル尿素および他のインスリン分泌促進物質;α−グルコシダーゼ阻害剤;グルカゴン受容体アンタゴニスト;GLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニスト;GIP、GIP模倣薬およびGIP受容体アゴニスト;PACAP、PACAP模倣薬およびPACAP受容体3アゴニスト;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、捕捉剤、ニコチニルアルコール、ニコチン酸およびその塩、コレステロール吸収の阻害剤、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、ならびに抗酸化剤からなる群から選択されるコレステロール低下剤;PPARδアゴニスト;抗肥満化合物;回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;糖質コルチコイドを除く抗炎症剤;タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)阻害剤;
【0116】
ならびにアンギオテンシン系またはレニン系に対して作用するものを含む降圧剤、例えばアンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニストまたはレニン阻害剤、例えばカプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン;前記化合物を、前記状態を処置するために有効な量で患者に投与する。構造式Iで表される化合物と併用することができるジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤は、以下に開示されているものを含む:WO 03/004498、WO 03/004496;EP 1 258 476;WO 02/083128;WO 02/062764;WO 03/00025;WO 03/002530;WO 03/002531;WO 03/002553;WO 03/002593;WO 03/000180;およびWO 03/000181。具体的なDP−IV阻害剤化合物には、イソロイシンチアゾリジド(thiazolidide);NVP−DPP728;P32/98;およびLAF 237が含まれる。
【0117】
本発明の他の観点において、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および脂質異常症からなる群から選択される状態を、そのような処置を必要とする哺乳類患者において処置する方法を開示し、それは、本発明の少なくとも1種の化合物の治療有効量およびHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を患者に投与することを含む。
【0118】
さらに特に、本発明の他の観点において、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および脂質異常症からなる群から選択される状態を、そのような処置を必要とする哺乳類患者において処置する方法を開示し、ここでHMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、スタチンである。
【0119】
さらにより特に、本発明の他の観点において、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HALレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および脂質異常症からなる群から選択される状態を、そのような処置を必要とする哺乳類患者において処置する方法を開示し、ここでHMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチンおよびロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンである。
【0120】
本発明の他の観点において、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および脂質異常症からなる群から選択される状態、ならびにそのような状態の続発症を発症する危険性を低下させる方法を開示し、それは、本発明の少なくとも1種の化合物およびHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の治療有効量を、そのような処置を必要とする哺乳類患者に投与することを含む。
【0121】
本発明の他の観点において、そのような処置を必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるかまたはそれが発症する危険性を低下させるための方法を開示し、それは、本発明の化合物およびHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の有効量を前記患者に投与することを含む。
さらに特に、そのような処置を必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるかまたはそれが発症する危険性を低下させるための方法を開示し、ここでHMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、スタチンである。
【0122】
さらにより特に、そのような処置を必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるかまたはそれが発症する危険性を低下させるための方法を開示し、ここでHMG−CoAレダクターゼ阻害剤は:ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチンおよびロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンである。
さらにより特に、そのような処置を必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるかまたはそれが発症する危険性を低下させるための方法を開示し、ここでスタチンは、シンバスタチンである。
【0123】
本発明の他の観点において、そのような処置を必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるかまたはそれが発症する危険性を低下させるための方法を開示し、ここでHMG−CoAレダクターゼ阻害剤はスタチンであり、この方法は、コレステロール吸収阻害剤を投与することをさらに含む。
さらに特に、本発明の他の観点において、そのような処置を必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるかまたはそれが発症する危険性を低下させるための方法を開示し、ここでHMG−CoAレダクターゼ阻害剤はスタチンであり、コレステロール吸収阻害剤はエゼチミブである。
【0124】
本発明の他の観点において、上記の観点および態様による医薬を提供し、ここでそのような医薬中に、少なくとも1種の追加の薬理学的に活性な物質(薬物、成分)を含む。
好ましい態様において、該少なくとも1種の薬理学的に活性な物質は、本明細書中に記載した物質である。
【0125】
本発明の他の観点において、上記の観点および態様による医薬を提供し、ここで当該医薬を、少なくとも1種の追加の薬理学的に活性な物質での処置の前および/または間および/または後に適用する。
好ましい態様において、該少なくとも1種の薬理学的に活性な物質は、本明細書中に記載した物質である。
【0126】
本発明の他の観点において、少なくとも1種の本発明の化合物の治療有効量を含む医薬組成物を提供する。
好ましい態様において、医薬組成物は、生理学的に許容し得る賦形剤、助剤、アジュバント、希釈剤、担体および/または本発明の化合物以外の追加の薬学的に活性な物質からなる群から選択される少なくとも1種の追加の化合物を含む。
【0127】
本発明の他の観点において、医薬組成物を開示し、それは、本発明の少なくとも1種の化合物、以下のもの:DP−IV阻害剤;PPARαアゴニスト、PPARγアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニストおよびビグアナイド類からなる群から選択されるインスリンI感作剤;インスリンおよびインスリン模倣薬;スルホニル尿素および他のインスリン分泌促進物質;oc−グルコシダーゼ阻害剤;グルカゴン受容体アンタゴニスト;GLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニスト;GIP、GIP模倣薬およびGIP受容体アゴニスト;PACAP、PACAP模倣薬およびPACAP受容体3アゴニスト;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、捕捉剤、ニコチニルアルコール、ニコチン酸およびそれらの塩、コレステロール吸収の阻害剤、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤および抗酸化剤からなる群から選択されるコレステロール低下剤;PPARδアゴニスト;抗肥満化合物;回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;糖質コルチコイド以外の抗炎症剤;タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)阻害剤;ならびにアンギオテンシン系またはレニン系に対して作用するものを含む降圧剤、例えばアンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニストまたはレニン阻害剤、例えばカプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン;コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)の阻害剤からなる群から選択される化合物;ならびに薬学的に許容し得る担体を含む。
【0128】
本発明のさらなる態様は、前記医薬組成物の製造方法であって、本発明の1種または2種以上の化合物、ならびに固体、液体または半液体の賦形剤、助剤、アジュバント、希釈剤、担体および本発明の化合物以外の医薬活性剤からなる群から選択される1種または2種以上の化合物を、好適な投与形態に変換することを特徴とする、前記方法である。
【0129】
本発明の他の観点において、治療有効量の本明細書中に記載した本発明の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬組成物、ならびに治療有効量の少なくとも1種の本発明の化合物以外の追加の薬理学的に活性な物質を含むキットを、提供する。
【0130】
本発明の医薬組成物を、それらの意図される目的を達成する任意の手段により投与することができる。例えば、投与は、経口、非経口、局所的、経腸、静脈内、筋肉内、吸入、鼻腔内、関節内、脊髄内、経気管、経眼、皮下、腹腔内、経皮的、または頬側経路によるものであってもよい。代替的に、または同時に、投与は経口経路によるものであってもよい。投与される投与量は、レシピエントの年齢、健康および体重、存在する場合には併用する処置の種類、処置の頻度、ならびに所望の効果の性質に依存する。非経口投与が好ましい。経口投与が特に好ましい。
【0131】
好適な投与形態には、以下のものが含まれるがこれらに限定されない。カプセル剤、錠剤、ペレット、糖衣錠、半流動物、散剤、顆粒、坐剤、軟膏、クリーム、ローション、吸入剤、注射、パップ剤(cataplasm)、ゲル、テープ剤、点眼剤、溶液、シロップ、エアロゾル、懸濁液、乳液。それらを、例えば以下に記載するように、当該分野において公知の方法により製造することができる。
【0132】
錠剤:活性成分(1種または2種以上)と助剤とを混合し、この混合物を錠剤に圧縮し(直接圧縮法)、任意に圧縮前に混合物の一部を顆粒化する。
カプセル剤:活性成分(1種または2種以上)と助剤とを混合して、流動性を有する粉末を得、任意に粉末を顆粒化し、粉末/顆粒を開放したカプセル中に充填し、カプセルをキャップする。
【0133】
半流動物(軟膏、ゲル、クリーム):活性成分(1種または2種以上)を水性または脂質の担体中に溶解/分散する;その後、水相/脂肪相と相補的な脂肪相/水相とを混合し、均質化する(クリームのみ)。
坐剤(直腸および膣用):活性成分(1種または2種以上)を、熱により液化させた担体材料(直腸:担体材料は通常ワックスである;膣用:担体は通常ゲル化剤の加熱した溶液である)中に溶解/分散し、前記混合物を坐剤型中に流し入れ(cast)、焼鈍し、型から坐剤を取り出す。
エアロゾル:活性剤(1種または2種以上)を噴霧剤中に分散/溶解し、前記混合物をアトマイザー中に詰める。
【0134】
一般的に、医薬組成物および/または医薬製剤を製造するための非化学的経路は、1種または2種以上の本発明の化合物を、そのような処置を必要とする患者に投与するのに適する投与形態に変換する、当該分野において公知の好適な機械的手段における加工工程を含む。通常、本発明による1種または2種以上の化合物のそのような投与形態への変換は、担体、賦形剤、助剤および本発明の化合物以外の医薬活性成分からなる群から選択される1種または2種以上の化合物の添加を含む。好適な加工工程には、以下のものが含まれるがこれらに限定されない:それぞれの活性および非活性成分の配合、製粉、混合、顆粒化、溶解、分散、均質化、成型および/または圧縮。前記加工工程を行うための機械的手段は、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版から、当該分野において公知である。このことに関して、活性成分は、好ましくは少なくとも1種の本発明による化合物、および有益な薬学的特性を示す本発明による化合物以外の1種または2種以上のさらなる化合物、好ましくは本明細書中に開示した本発明の化合物以外の当該医薬活性剤である。
【0135】
経口での使用に特に適するのは、錠剤、ピル、被覆錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒、シロップ、ジュースまたはドロップであり、直腸での使用に適するのは坐剤であり、非経口での使用に適するのは溶液、好ましくは油ベースの溶液または水溶液、さらに懸濁液、乳液または移植片であり、局所的使用に適するのは、軟膏、クリームまたは散剤である。また、本発明の化合物を凍結乾燥してもよく、得られた凍結乾燥物を、例えば注射製剤を調製するために用いる。示した製剤は、滅菌されていてもよく、かつ/または助剤、例えば潤滑剤、保存剤、安定剤および/または湿潤剤、乳化剤、浸透圧を調節するための塩、緩衝化物質、染料、フレーバーおよび/または複数種のさらなる活性成分、例えば1種または2種以上のビタミン類を含んでいてもよい。
【0136】
好適な賦形剤は、有機または無機物質であり、それは、経腸(例えば経口)、非経口または局所的投与に適し、本発明の化合物と反応せず、例えば、水、植物油、ベンジルアルコール、アルキレングリコール、ポリエチレングリコール、三酢酸グリセロール、ゼラチン、炭水化物、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトールまたはデンプン(トウモロコシデンプン、コムギデンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン)、セルロース調製物および/またはリン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウムもしくはリン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはワセリンである。
【0137】
所望により、崩壊剤、例えば前述のデンプンおよびまたカルボキシメチル−デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天もしくはアルギン酸またはその塩、例えばアルキン酸ナトリウムを加えてもよい。助剤には、限定されずに以下のものが含まれる:流動調節剤および潤滑剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸またはその塩、例えばステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコール。糖衣錠のコアは、好適なコーティングを備え、それは、所望により胃液に対して耐性である。この目的のために、濃縮糖類溶液を用いてもよく、それは、任意にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ウルシ溶液および好適な有機溶媒もしくは溶媒混合物を含んでいてもよい。胃液に対して耐性のコーティングを製造するために、または長期の作用の利点をもたらす投与形態を提供するために、錠剤、糖衣錠またはピルは、内部投与成分(inner dosage component)および外部投与成分(outer dosage component)を含むことができ、後者は、前者を覆うエンベロープの形態である。
【0138】
2種の成分を、腸溶層により分離することができ、それは、胃内での分解に耐える作用を奏し、内部成分が完全な状態で十二指腸中に通過するかまたは放出を遅延させることを可能にする。種々の材料を、そのような腸溶層またはコーティングのために用いることができ、多数のポリマー酸およびポリマー酸と、シェラック、アセチルアルコール、好適なセルロース調製物、例えばフタル酸アセチルセルロース、酢酸セルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶液などの材料との混合物が含まれるそのような材料を用いる。例えば識別のため、または活性化合物の用量の組み合わせを特徴づけるために、着色料または顔料を錠剤または糖衣錠のコーティングに加えてもよい。
【0139】
好適な担体物質は、有機または無機物質であり、それは、経腸(例えば経口)または非経口投与または局所適用に適し、新規な化合物と反応せず、例えば水、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、炭水化物、例えばラクトースまたはデンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルクおよびワセリンである。特に、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、シロップ、懸濁液、ドロップまたは坐剤を、経腸投与のために用い、溶液、好ましくは油性溶液または水溶液、さらには懸濁液、エマルジョンまたは移植片を、非経口投与のために用い、軟膏、クリームまたは散剤を、局所的適用のために用いる。また、本発明の化合物を凍結乾燥することができ、得られた凍結乾燥物を、例えば注射製剤を製造するために用いることができる。
【0140】
示した処方物は、滅菌されていてもよく、かつ/または賦形剤、例えば潤滑剤、保存剤、安定剤および/または湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝化物質、着色料、香味料および/または芳香剤を含むことができる。これらはまた、所望により1種または2種以上のさらなる活性成分、例えば1種または2種以上のビタミン類を含むことができる。
【0141】
経口で用いることができる他の医薬製剤には、ゼラチン製の押し込み式(push-fit)カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトール製の軟性の密封カプセルが含まれる。押し込み式カプセルは、活性成分を顆粒の形態で含むことができ、それを充填剤、例えばラクトース、結合剤、例えばデンプンおよび/または潤滑剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、および任意に安定剤と混合してもよい。軟性のカプセルにおいて、活性化合物は、好ましくは好適な液体、例えば油脂または液体パラフィン中に溶解または懸濁されている。さらに、安定剤を加えてもよい。
【0142】
本発明の新規な組成物を経口で投与するために包含させることができる液体形態には、水溶液、好適に風味付けされたシロップ、水性または油性の懸濁液、および食用油、例えば綿実油、胡麻油、ココナッツ油またはピーナッツ油で風味付けされたエマルジョン、ならびにエリキシル剤および同様の薬学的ビヒクルが含まれる。水性懸濁液に適する分散剤または懸濁剤には、合成および天然ゴム、例えばトラガカント、アラビアゴム、アルギン酸、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンが含まれる。
【0143】
非経口投与に適する処方物には、水溶性形態にある活性化合物の水溶液、例えば水溶性の塩およびアルカリ性溶液が含まれる。さらに、適切な油性注射用懸濁液としての活性化合物の懸濁液を投与してもよい。好適な親油性溶媒またはビヒクルには、油脂、例えば胡麻油、または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドもしくはポリエチレングリコール−400(該化合物はPEG−400に可溶である)が含まれる。
【0144】
水性の注射用懸濁液は、懸濁液の粘性を高める物質を含んでいてもよく、これには、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランが含まれ、任意に該懸濁液はまた、安定剤を含んでいてもよい。
吸入用スプレー剤として投与するために、活性成分が噴霧用ガスまたは噴霧用ガス混合物(例えばCOもしくはクロロフルオロカーボン)に溶解または懸濁されているスプレーを用いることが可能である。活性成分を、ここで微粒子化した形態において有利に用い、この場合において、1種または2種以上のさらなる生理学的に許容し得る溶媒、例えばエタノールが存在してもよい。吸入用溶液を、慣用の吸入器の補助により投与することができる。
【0145】
直腸で用いることができる可能な医薬製剤には、例えば、活性化合物の1種または2種以上と坐剤用基剤との組み合わせからなる坐剤が含まれる。好適な坐剤用基剤は、例えば天然もしくは合成のトリグリセリド、またはパラフィン炭化水素である。さらに、活性化合物と基剤との組み合わせからなるゼラチンの直腸用カプセルを用いることも可能である。可能な基剤の材料には、例えば液体トリグリセリド、ポリエチレングリコールまたはパラフィン炭化水素が含まれる。
【0146】
医薬において用いるために、本発明の化合物は、薬学的に許容し得る塩の形態にある。しかし、他の塩は、本発明による化合物またはそれらの薬学的に許容し得る塩の製造において有用であり得る。本発明の化合物の好適な薬学的に許容し得る塩には、酸付加塩が含まれ、それを、例えば、本発明の化合物の溶液と、薬学的に許容し得る酸、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸の溶液とを混合することにより形成することができる。さらに、本発明の化合物が酸性部分を担持する場合には、その好適な薬学的に許容し得る塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩;および好適な有機塩基と共に生成する塩、例えば第四級アンモニウム塩が含まれ得る。
【0147】
医薬製剤を、ヒトにおける医薬および獣医薬として用いることができる。本明細書中で用いる用語「有効量」とは、例えば研究者または医師によって求められている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を惹起する、薬物または薬剤の量を意味する。さらに、用語「治療有効量」とは、そのような量を施与されていない対応する対象と比較して、疾患、障害もしくは副作用の処置の改善された処置、治癒、予防もしくは寛解、または疾患もしくは障害の進行の速度の低下をもたらすすべての量を意味する。該用語はまた、その範囲内に、正常な生理学的機能を増強するのに有効な量を包含する。1種または2種以上の本発明による化合物の前記治療有効量は、当業者に公知であるか、または当該分野において公知の標準的な方法により容易に決定することができる。
【0148】
本発明の化合物および追加の活性物質を、一般的に市販の製剤と同様にして投与する。通常、治療的に有効である好適な用量は、用量単位あたり0.0005mg〜1000mg、好ましくは0.005mg〜500mg、特に0.5mg〜100mgの範囲内にある。日用量は、好ましくは約0.001mg/体重1kg〜10mg/体重1kgである。
【0149】
当業者は、用量レベルが、特定の化合物、症状の重篤度および副作用に対する対象の感受性の関数として変化し得ることを容易に理解する。特定の化合物の一部は、他のものより強力である。所与の化合物についての好ましい投与量は、当業者によって多様な手段により容易に決定可能である。好ましい手段は、所与の化合物の生理学的効力を測定することである。
【0150】
本発明の目的について、すべての哺乳類種を包含すると見なす。好ましい態様において、そのような哺乳動物は、「霊長類、ヒト、齧歯動物、ウマ科動物、ウシ属動物、イヌ科動物、ネコ科動物、家畜、畜牛、家畜類、ペット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマ、ポニー、ロバ、ケッテイ、ラバ、ノウサギ、ウサギ、ネコ、イヌ、テンジクネズミ、ハムスター、ラット、マウス」からなる群から選択される。より好ましくは、そのような哺乳動物は、ヒトである。動物モデルは、実験的調査のために関心が持たれており、ヒト疾患を処置するためのモデルを提供する。
【0151】
しかし、個々の患者のための具体的な用量は、多数の要因に依存し、例えば用いる特定の化合物の効力、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、摂食の種類、投与の時間および経路、排出速度、投与の種類および投与されるべき投与形態、医薬の組み合わせならびに治療が関係する特定の障害の重篤度に依存する。個々の患者のための具体的な治療有効用量を、例えば治療的処置を助言するかまたは行う医師または内科医により、常習的な実験により容易に決定することができる。
【0152】
多くの障害の場合において、対象となる化合物での処置に対する特定の細胞の感受性を、インビトロ試験により決定することができる。典型的には、活性剤が関連する反応を示すことができるために十分な期間、通常約1時間〜1週間にわたり、細胞の培養物を、対象となる化合物と多様な濃度にて組み合わせる。インビトロ試験のために、生検試料からの培養細胞を用いてもよい。
さらなる詳細な説明がなくとも、当業者は、上記の説明を最も広い範囲で用いることができると推測する。したがって、好ましい態様は、単に説明的な開示としてみなされるべきであり、絶対にいかなる方法によっても限定的ではない。
【0153】
本明細書中、すべての温度を℃で示す。以下の例において、「慣用の精製操作」とは、所要に応じて溶媒を除去し、水を所要に応じて加え、pHを、所要に応じて最終生成物の構成に依存して2〜10に調整し、混合物を酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を飽和NaHCO溶液で、所望により水および飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させ、生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィー、分取HPLCおよび/または結晶化により精製することを意味する。精製した化合物を、所望により凍結乾燥する。
質量分析(MS): ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)
【0154】
略語および頭字語のリスト:
AcOH:酢酸、anh:無水物、atm:気圧、BOC:tert−ブトキシカルボニル、CDI:1,1’−カルボニルジイミダゾール、conc:濃縮、d:日、dec:分解、DMAC:NN−ジメチルアセトアミド、DMPU:1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(IH)−ピリミジノン、DMF:NN−ジメチルホルムアミド、DMSO:ジメチルスルホキシド、DPPA:ジフェニルホスホリルアジド、EDCI:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド、EtOAc:酢酸エチル、EtOH:エタノール(100%)、EtO:ジエチルエーテル、EtN:トリエチルアミン、h:時間、MeOH:メタノール、pet.ether:石油エーテル(沸騰範囲30〜60℃)、temp.:温度、THF:テトラヒドロフラン、TFA:トリフルオロAcOH、Tf:トリフルオロメタンスルホニル。
【0155】
すべての引用文献の内容を、それらの全体において参照によって本明細書中に導入する。しかし、本発明を、それに限定されずに以下の例によってさらに詳細に説明する。
【0156】

例1−本発明の化合物の合成
本発明の化合物を、以下のスキーム1および以下の作業例の手順によって調製することができる。すべての調製方法において、すべての出発物質は、知られているかまたは既知の出発物質から容易に調製され得る。
【0157】
スキーム1
【化6】

【0158】
化合物1− 3−(3−{[1−(4−フルオロフェニル)シクロプロピル]カルボニル}−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
段階1:縮合
tert−ブチル3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボキシレート
7−アザインドール(2.6g、22.0mmol)をMeOH(120mL)および水(60mL)に溶解した溶液に、KOH(12.35g)を加え、混合物を75℃に加熱した。メタノール中のN−Boc−ピペリジン−3−オン(20.4g、110mmol)を滴加し、添加の完了に続いて、混合物を、75℃にて一晩撹拌した。反応混合物を減圧下において濃縮し、残留物を水中に吸収させ、酢酸エチルで抽出した。有機相を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して乾燥させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)によって精製して、tert−ブチル3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボキシレート(1g)およびtert−ブチル4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボキシレート(1g)を得た。
【0159】
tert−ブチル3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボキシレート
m/z=286[M+H]
1H NMR (300 MHz, d6-DMSO): 11.85 (s, 1H), 8.3 (m, 2H), 7.65 (m, 1H), 7.15 (m, 1H), 6.25 (m, 1H), 4.5 (s, 2H), 4.25 (s, 2H), 1.5-1.3 (m, 9H).
tert−ブチル4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボキシレート
m/z=286[M+H]
【0160】
段階2:シクロプロパン化
tert−ブチル1−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボキシレート
tert−ブチル3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボキシレート(700mg、2.5mmol)をDCM(20mL)に溶解した溶液に、0℃にて窒素雰囲気下で、ジエチル亜鉛(6.13mL、ヘキサンに溶解した1M溶液、6.1mmol)およびジヨードメタン(0.79mL、9.8mmol)を滴加した。混合物を室温に加温し、室温にて一晩撹拌した。次に、混合物を氷浴で冷却し、塩化アンモニウムの飽和水溶液で反応停止した。混合物をDCMで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下において濃縮した。残留物をジイソプロピルエーテル中で粉末にし、得られた沈殿物を濾過し、次にカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH 95:5)によって精製して、表題化合物を黄色固体として得た(100mg)。
【0161】
m/z=300[M+H]
1H NMR (300 MHz, d6-DMSO): 11.4 (s, 1H), 8.4 (m, 1H), 7.9 (m, 1H), 7.7 (d, 1H), 7.05 (m, 1H), 3.8 (m, 1H), 3.55 (m, 2H), 3.4 (m, 1H), 1.8 (m, 1H), 1.3-1.5 (m, 9H), 1.3-1.1 (m, 2H).
【0162】
段階3:脱保護
3−(3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩
ジオキサン(3ml)中のtert−ブチル1−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボキシレート(100mg、0.3mmol)に、1mLのHClをジオキサンに溶解した4M溶液を加えた。反応混合物を室温にて12h撹拌し、濃縮して乾燥させて、表題化合物を鈍黄色固体(60mg)として得、それを、以降の段階において直ちに用いた。
【0163】
段階4:アシル化
3−(3−{[1−(4−フルオロフェニル)シクロプロピル]カルボニル}−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
3−(3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩(60mg、0.3mmol)を、DCM(3ml)および数滴のDMFに溶解し、0℃に冷却した。次に、HOBt(38mg、0.33mmol)、EDCI(54mg、0.33mmol)を加え、続いてトリエチルアミン(106μL)および1−(4−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボン酸(46mg、0.3mmol)を加えた。混合物を、室温にて一晩撹拌した。揮発性物質を真空において除去し、残留物を、カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH 97:3)によって精製して、表題化合物を黄色固体(44mg)として得た。
【0164】
m/z=362[M+H]
1H NMR (300 MHz, d6-DMSO): 9.8 (s, 1H), 8.2 (m, 1H), 7.8 (dd, 1H), 7.3-6.9 (m, 6H), 4.2 (dd, 1H), 3.8 (dd, 1H), 3.6 (m, 1H), 3.4 (m, 1H), 1.7 (m, 1H), 1.5-1.1 (m, 6H).
【0165】
以下の化合物を、化合物1について記載したのと同様の方法で製造した:
化合物2− 3−(2−{[1−(4−クロロフェニル)シクロプロピル]カルボニル}−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【化7】

m/z=378[M+H]
【0166】
化合物3− (2,2−ジメチル−1−p−トリル−シクロプロピル)−[5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル]−メタノン
【化8】

m/z=386[M+H]
【0167】
化合物4− 3−(2−{[1−(4−フルオロフェニル)シクロプロピル]カルボニル}−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【化9】

m/z=362[M+H]
【0168】
例2− 11−β−HSD−1酵素の阻害アッセイ
ヒト組換え型11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11−β−HSD−1)酵素を、大腸菌中で発現させた。ラットおよびマウス肝ミクロソーム画分を、TEBUから購入した。
【0169】
11−β−HSD−1酵素アッセイを、96ウェルマイクロタイタープレート中で、30mMのHepes緩衝液、pH7,4を1mMのEDTA、基質混合物コルチゾン/NADPH(200nM/200μM)、G−6−P(1mM)および阻害剤と共に連続的希釈中に含む100μlの合計容積において行った。反応を、ラットおよびマウス肝臓からのミクロソーム画分(2,5g)として大腸菌からの10μlの11−β−HSD−1(3μg)を加えることによって開始した。混合に続いて、プレートを、37℃にて150分間振盪した。反応を、10μlの酸−18ベータグリチルレチン停止溶液で終了した。11−β−HSD−1調製物中のコルチゾールレベルの決定を、HTRF(Cis bio internationalからのHTRFコルチゾールアッセイ)によってモニタリングした。
【0170】
活性を、対照の%または酵素活性の50%を阻害するための濃度(IC50)で表す(表1)。
【0171】
表1
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)または式(II)
【化1】

式中:
Aは、アリールまたはヘテロアリールであり、これは、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよく;
、Rは、互いに独立してH、Z、アリール、フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルアルキルでり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合したWと共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
、Rは、互いに独立してHまたはZであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合した炭素原子と共にC=Oを形成してもよく、任意に、RおよびRはまた、それらが結合した炭素原子と共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
、Rは、互いに独立してHまたはZであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合した炭素原子と共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
は、HまたはZであり;
、Rは、任意に、それらが結合した炭素原子およびそれらの間の結合と共に、C〜Cシクロアルキル環を形成してもよく、それは、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよく;
、Rは、任意に、それらが結合した炭素原子およびそれらの間の結合と共に、C〜Cシクロアルキル環を形成してもよく、それは、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよく;
Wは、(C)であり;
Xは、不在であるかまたは−O−、−S−、−S(O)−もしくは−S(O)−であり;
Yは、アルコキシアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール、フェニルまたはヘテロアリールであり、それは、任意に、独立してZ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキルオキシカルボニル、C〜CアルキルカルボニルまたはRNC〜Cアルキルオキシで単置換、二置換または三置換されていてもよく;
Zは、ヒドロキシ、−SH、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、ハロアルキル、アルキル、シクロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、NR、アジド、ニトロ、グアニジノ、アミジノ、ホスホノ、オキソ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、SFであり;
、Rは、互いに独立してH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;
nは、0または1であり;
ただしnが0である場合には、Xは不在ではない;
による縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体またはそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体、またはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項2】
式(III)または式(IV)
【化2】

式中:
、Rは、互いに独立してH、Z、アリール、フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルアルキルでり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合したWと共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
、Rは、互いに独立してHまたはZであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合した炭素原子と共にC=Oを形成してもよく、任意に、RおよびRはまた、それらが結合した炭素原子と共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
、Rは、互いに独立してHまたはZであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合した炭素原子と共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
は、HまたはZであり;
、Rは、任意に、それらが結合した炭素原子およびそれらの間の結合と共に、C〜Cシクロアルキル環を形成してもよく、それは、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよく;
、Rは、任意に、それらが結合した炭素原子およびそれらの間の結合と共に、C〜Cシクロアルキル環を形成してもよく、それは、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよく;
Wは、(C)であり;
Xは、不在であるかまたは−O−、−S−、−S(O)−もしくは−S(O)−であり;
Yは、アルコキシアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール、フェニルまたはヘテロアリールであり、それは、任意に、独立してZ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキルオキシカルボニル、C〜CアルキルカルボニルまたはRNC〜Cアルキルオキシで単置換、二置換または三置換されていてもよく;
Zは、ヒドロキシ、−SH、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、ハロアルキル、アルキル、シクロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、NR、アジド、ニトロ、グアニジノ、アミジノ、ホスホノ、オキソ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、SFであり;
、Rは、互いに独立してH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;
10は、互いに独立してHまたはZから選択される、ピリド環上の1つ、2つまたは3つの置換基を表し;
11は、HまたはZであり;
12は、HまたはZであり;
nは、0または1であり;
ただしnが0である場合には、Xは不在ではない;
による縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体またはそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体、またはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項3】
式(III)または式(IV)、ここで
、Rは、互いに独立してH、Z、アリール、フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルアルキルであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合したWと共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
、Rは、互いに独立してHまたはZであり;
、Rは、互いに独立してHまたはZであり;
は、HまたはZであり;
Wは、(C)であり;
Xは、不在であるかまたは−O−、−S−、−S(O)−もしくは−S(O)−であり;
Yは、アルコキシアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール、フェニルまたはヘテロアリールであり、それは、任意に、独立してZ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキルオキシカルボニル、C〜CアルキルカルボニルまたはRNC〜Cアルキルオキシで単置換、二置換または三置換されていてもよく;
Zは、ヒドロキシ、−SH、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、ハロアルキル、アルキル、シクロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、NR、アジド、ニトロ、グアニジノ、アミジノ、ホスホノ、オキソ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、SFであり;
、Rは、互いに独立してH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;
10は、互いに独立してHまたはZから選択される、ピリド環上の1つ、2つまたは3つの置換基を表し;
11は、HまたはZであり;
12は、HまたはZであり;
nは、0または1であり;
ただしnが0である場合には、Xは不在ではない;
で表される、請求項2に記載の縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体またはそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体、またはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項4】
式(III)または式(IV)、ここで
、Rは、互いに独立してH、Z、アリール、フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルアルキルであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合したWと共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
、Rは、互いに独立してHまたはZであり;
、Rは、互いに独立してHまたはZであり;
は、HまたはZであり;
Wは、(C)であり;
Xは、不在であり;
Yは、アルコキシアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール、フェニルまたはヘテロアリールであり、それは、任意に、独立してZ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキルオキシカルボニル、C〜CアルキルカルボニルまたはRNC〜Cアルキルオキシで単置換、二置換または三置換されていてもよく;
Zは、ヒドロキシ、−SH、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、ハロアルキル、アルキル、シクロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、NR、アジド、ニトロ、グアニジノ、アミジノ、ホスホノ、オキソ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、SFであり;
、Rは、互いに独立してH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;
10は、互いに独立してHまたはZから選択される、ピリド環上の1つ、2つまたは3つの置換基を表し;
11は、HまたはZであり;
12は、HまたはZであり;
nは、1である;
で表される、請求項2に記載の縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体またはそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体、またはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項5】
式(III)または式(IV)、ここで
、Rは、互いに独立してH、Z、アリール、フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルアルキルであり、任意に、RおよびRはまた、それらが結合したWと共に、任意に1つまたは2つ以上の置換基Zで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル環を形成してもよく;
、Rは、互いに独立してHまたはZであり;
、Rは、互いに独立してHまたはZであり;
は、HまたはZであり;
Wは、(C)であり;
Xは、不在であり;
Yは、アルコキシアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール、フェニルまたはヘテロアリールであり、それは、任意に、独立してZ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキルオキシカルボニル、C〜CアルキルカルボニルまたはRNC〜Cアルキルオキシで単置換、二置換または三置換されていてもよく;
Zは、ヒドロキシ、−SH、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、ハロアルキル、アルキル、シクロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、NR、アジド、ニトロ、グアニジノ、アミジノ、ホスホノ、オキソ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、SFであり;
、Rは、互いに独立してH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;
10は、互いに独立してHまたはZから選択される、ピリド環上の1つ、2つまたは3つの置換基を表し;
11は、HまたはZであり;
12は、Hであり;
nは、1である;
で表される、請求項2に記載の縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体またはそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体、またはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項6】
a)3−(3−{[1−(4−フルオロフェニル)シクロプロピル]カルボニル}−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン;
b)3−(2−{[1−(4−フルオロフェニル)シクロプロピル]カルボニル}−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン;
c)3−(2−{[1−(4−クロロフェニル)シクロプロピル]カルボニル}−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン;
d)(2,2−ジメチル−1−p−トリル−シクロプロピル)−[5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル]−メタノン;
からなる群から選択された、縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体またはそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体、またはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体の調製方法であって、以下の段階:
a)式Vで表され、式中R10およびR11が請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りであるアザインドールを、塩基性媒体中で、式VIで表され、式中R、R、R、R、Rが請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りであるケトンと反応させて、式VIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りであるオレフィンを得る段階、
b)段階a)の式VIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りであるオレフィンをシクロプロパン化し、続いてBoc脱保護し、式VIIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りであるシクロプロパンピロリジノ−アザインドールを得る段階、
c)段階b)の式VIIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りであるシクロプロパンピロリジノ−アザインドールを、式IXで表され、式中R、R、XおよびYが請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りである活性化されたカルボン酸と反応させて、式XIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11、XおよびYが請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りである化合物を得る段階
を含む、前記方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体の調製方法であって、以下の段階:
a)式Vで表され、式中R10およびR11が請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りであるアザインドールを、塩基性媒体中で、式VIで表され、式中R、R、R、R、Rが請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りであるケトンと反応させて、式XIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りであるオレフィンを得る段階、
b)段階a)の式XIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りであるオレフィンをシクロプロパン化し、続いてBoc脱保護し、式XIIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りであるシクロプロパンピロリジノ−アザインドールを得る段階、
c)段階b)の式XIIIで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11が請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りであるシクロプロパンピロリジノ−アザインドールを、式IXで表され、式中R、R、XおよびYが請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りである活性化されたカルボン酸と反応させて、式XIVで表され、式中R、R、R、R、R、R10、R11、XおよびYが請求項1〜6のいずれか一項において定義した通りである化合物を得る段階
を含む、前記方法。
【請求項9】
さらに以下の段階:
d)請求項1〜6のいずれか一項において定義した残基X、Y、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11および/またはR12を他の残基X、Y、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11および/またはR12に、例えばアルキル基を導入することによって変換する段階、および/または
e)段階c)および/または段階d)から得られた化合物を単離し、かつ/またはそれを酸もしくは塩基で処理して、その対応する塩を得る段階
を含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体の、11−β−HSD−1阻害剤としての使用。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1種の縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体を含む、医薬。
【請求項12】
高いコルチゾールレベルによって発生し、媒介され、かつ/または伝播される生理学的および/または病態生理学的状態の処置および/または予防において用いるための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1種の縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体を含む医薬。
【請求項13】
メタボリックシンドローム、糖尿病、特にインスリン非依存性真性糖尿病、糖尿病前症、インスリン抵抗性、耐糖能の低下、高血糖、肥満および体重に関連する障害、脂質障害、例えば脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベルまたは高LDLレベル、緑内障、骨粗鬆症、糖質コルチコイド媒介性の神経機能に対する作用、例えば認知障害、不安症または鬱病、神経変性疾患、免疫障害、例えば結核、ハンセン病または乾癬、高血圧、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、心血管疾患、膵炎、網膜症、神経障害および腎障害からなる群から選択される生理学的および/または病態生理学的状態の処置および/または予防において用いるための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1種の縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体を含む医薬。
【請求項14】
そのような医薬中に、少なくとも1種の追加の薬理学的に活性な物質を含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項15】
医薬を、少なくとも1種の追加の薬理学的に活性な物質での処置の前および/または間および/または後に適用する、請求項11〜13のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項16】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の治療有効量の少なくとも1種の縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体を含む、医薬組成物。
【請求項17】
さらに、生理学的に許容し得る賦形剤、助剤、アジュバント、希釈剤、担体および/または請求項1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1種の縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体以外の追加の薬学的に活性な物質からなる群から選択される少なくとも1種の追加の化合物を含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
治療有効量の請求項1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1種の縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体および/または請求項16もしくは17に記載の少なくとも1種の医薬組成物、ならびに請求項1〜6のいずれか一項に記載の縮合ピロリジノ−シクロプロパン誘導体以外の治療有効量の少なくとも1種のさらなる薬理学的に活性な物質を含む、キット。

【公表番号】特表2012−501302(P2012−501302A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524221(P2011−524221)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005654
【国際公開番号】WO2010/022850
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】