説明

遺伝子スクリーン

本発明者等は、通常結腸で見出される細胞の、通常、非癌性から癌性表現型への形質転換の開始及び/又は促進に関連した、炭素供給源利用に応答して調節された発現を示す遺伝子の同定方法、診断アッセイにおける及び化学療法薬の開発用のターゲットとしてのこれらの遺伝子の使用、並びに上記アッセイにより同定される作用物質について記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素供給源利用に応答して調節された発現を示す遺伝子の同定に関するスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
結腸直腸癌は、大腸及び直腸で起こる癌である。結腸は、事実上4つの区分:上行結腸、横行結腸、下行結腸及びS状結腸に分割することができる。ほとんどの結腸直腸癌は、S状結腸で生じて、数年間増殖することができる「ポリープ」から発達した後、癌性となる。ポリープの切除が疾患の進行を阻止するための非常に有効な手段であるため、これらの前癌性増殖の初期の検出は明らかに望ましい。
【0003】
様々なタイプの結腸直腸癌が存在する。このタイプのほとんどの癌は腺癌であり、結腸及び直腸の内側を覆う上皮細胞で発症する悪性の増殖である。結腸及び直腸の他の癌としては、消化管間質腫瘍及びリンパ腫が挙げられる。幾つかの例では、患者は、無症候性であることがあり、このため、前癌性ポリープが形成している患者を同定するためにスクリーニングが行われることが重要である。しかしながら、患者によっては、症状を示す場合があり、症状としては、直腸出血、下痢、便秘、腹部疼痛及び全身虚弱が挙げられる。
【0004】
上述のように、手術による前癌性ポリープの切除が、発症する前に任意の疾患を有効に治癒することができるため、正規のスクリーニングは、これらの疾患を制御する極めて有効な方法である。現在では、診断試験としては、医師が結腸及び直腸を検査するのを可能にする結腸鏡検査の使用、腸及び直腸野からの任意の出血に関して検査するための血便分析(しかし、この試験は、それ自体では癌性病変に関する直接的な診断ではない)、及び結腸鏡検査に類似するが、下腸野のみを対象とするS状結腸鏡検査が挙げられる。通常、結腸直腸癌の家族歴を有する患者は、5年程度毎に結腸鏡検査を、及び約40歳から1年毎を基本に血性便検査を行うことが期待されうる。
【0005】
結腸直腸癌の治療は通常、ポリープ及び/又は悪性の増殖を切除するための侵襲性手術を伴う。癌がポリープ段階を越えて発症した場合、より広範囲にわたる手術が必要とされ、腸及び周辺リンパ節の一部の切除をもたらすことがある。癌が広範囲にわたる手術を必要とする状況では、腸を手術から回復させるのに少なくともある期間、結腸造瘻が必要とされる場合がある。直腸領域における手術は、より複雑であり、疾患がどれほど進行しているかに大いに依存する。場合によっては、手術は、性機能及び尿機能を制御する神経を損傷することがある。進行性段階では、結腸直腸癌の転移性病変は、切除を必要とする場合があり、約15%の場合で、病変は肝臓に見られ、これは、肝臓の大部分の除去を必要とする。ポリープ及び/又は癌性の増殖の外科的切除は、患者にとって良好な予後をもたらす。場合によっては、手術に続いて、手術中に検出されない任意の癌細胞を除去するために、化学療法(結腸癌に関して)並びに化学療法及び放射線療法(直腸癌)の行程が行われる。結腸直腸癌を治療するのに通常使用される化学療法剤としては、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン及びカペシタビンが挙げられる。
【0006】
前癌性である細胞の初期検出は、これらの細胞を切除するための手術が多くの場合で患者にとって非常に良好な予後をもたらすため、非常に望ましいことは明らかである。癌の初期指標として癌マーカーの検出を利用する診断試験は、当該技術分野で既知である。
【0007】
例えば、欧州特許出願公開1355149号明細書は、患者が結腸直腸癌の発症の影響を受けやすいかどうか、又は実際に悪性の増殖がすでに発症されているかどうかの表示として「フィンガープリント」発現プロファイルを提供するための、結腸直腸サンプルからの遺伝子発現プロファイルについて記載している。欧州特許出願公開1355149号明細書における開示は、広い意味で形質転換及び非形質転換組織遺伝子発現を比較するためのマイクロアレイの使用に関する。
【0008】
国際公開第02/059609号パンフレットもまた、乳癌及び結腸直腸癌における発現プロファイルを利用する遺伝子スクリーンについて記載している。比較は、患者における「正常」サンプルと「異常」サンプルとの間で行われ、サンプル間で過剰発現されるか、又は抑止される特定の遺伝子の指標として、これらのサンプルにおける遺伝子発現の全体像を提供する。欧州特許出願公開1355149号明細書及び国際公開第02/059609号パンフレットはともに、診断ツールとして、又は新たな化学療法剤の開発用のターゲットとして使用することができるターゲット遺伝子に関するスクリーニングに対するショットガンアプローチをとる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、炭素供給源に応答して発現が変更されることができる遺伝子に関してターゲットとされるスクリーンを提供する。本発明は、これら各々の細胞タイプによる炭素供給源利用に部分的に起因した癌細胞と正常細胞との間の代謝状態の差の結果としての正常組織と罹患組織との間の発現プロファイルの差を利用する。結腸及び直腸の内側を覆う上皮細胞は、解糖によるエネルギー変換用の炭素供給源として酪酸塩を代謝する。腫瘍細胞により利用される主要な炭素供給源はグルコースである。したがって、これらの細胞タイプ間の発現プロファイルは、炭素供給源代謝の差に起因して異なる。
【0010】
本発明者等は、疾患の初期診断に関して、及び新規化学療法剤の開発用のターゲットとして利用できる結腸直腸癌の多数の潜在的マーカーを同定した。さらに、このアッセイは、腸の機能不全に起因する状態(例えば、大腸炎、潰瘍性大腸炎、空置大腸炎(diversion colitis)、クローン病及び過敏性腸症候群)に対して広範囲な利用可能性を有する。さらに、アッセイは、ファイバー(fibre)消費に関して、及び結腸微生物叢機能性(特定の線維の発酵の有効性)に関するアッセイとしてスクリーニングツールを提供する。
【0011】
本発明の一つの態様によれば、単離された第1の細胞サンプル中で変更された発現を示す核酸分子に関してスクリーニングする方法であって、上記第1のサンプルと第2の参照細胞サンプルとの間の遺伝子発現プロファイルを比較すること(ここで上記第1の細胞サンプルは、炭素供給源酪酸塩又は酪酸塩が得られる関連炭素供給源の存在下で、直接的に又は間接的に増殖させる)、及び上記発現プロファイルを、酪酸塩又は上記関連炭素供給源の存在下では増殖させていない上記第2の参照細胞サンプル中の発現プロファイルと比較することを含む、核酸分子に関してスクリーニングする方法が提供される。
【0012】
本発明のさらなる様態によれば、単離された生物学的サンプル中で変更された発現を示す核酸分子に関してスクリーニングする方法であって、以下の:
i)a)結腸の少なくとも1つの領域に由来する第1の細胞サンプル、細胞増殖培地及び炭素供給源(上記炭素供給源は、酪酸塩である)を含む細胞増殖調製物、及び
b)結腸の対応する領域に由来する第2の細胞サンプル、細胞増殖培地及び酪酸塩ではない炭素供給源を含む細胞増殖調製物
を提供する工程、
ii)上記第1の細胞サンプル及び上記第2の細胞サンプルから核酸を抽出する工程、及び
iii)上記生物学的サンプル中の遺伝子発現プロファイルを、上記第2の細胞サンプル中の遺伝子発現プロファイルと比較する工程
を含む、核酸分子に関してスクリーニングする方法が提供される。
【0013】
本発明の好ましい方法では、上記第1の細胞サンプル及び上記第2の細胞サンプルは、上行結腸に由来する。
【0014】
本発明の代替的な好ましい方法では、上記第1の細胞サンプル及び上記第2の細胞サンプルは、横行結腸に由来する。
【0015】
本発明のさらに好ましい方法では、上記第1の細胞サンプル及び上記第2の細胞サンプルは、下行結腸に由来する。
【0016】
本発明のさらにまた好ましい方法では、上記第1の細胞サンプル及び上記第2の細胞サンプルは、結腸のS字領域に由来する。好ましくは、上記細胞サンプルは、結腸の直腸領域に由来する。
【0017】
本発明のさらに好ましい方法では、上記第1の細胞サンプル及び上記第2の細胞サンプルは、上皮細胞を含む。
【0018】
本発明の好ましい方法では、上記酪酸ではない炭素供給源は、グルコースである。
【0019】
本発明のさらにまた好ましい方法は、上記変更された発現を示す核酸分子は、表1に示される核酸配列、又は表1に提示される配列にハイブリダイズする核酸分子により表されるような群から選択される。好ましくは、上記核酸分子は、厳密なハイブリット形成条件下でハイブリダイズする。
【0020】
本発明のさらなる様態によれば、動物における結腸直腸癌の発症及び/又は進行に関連する少なくとも1つの核酸分子の検出方法であって、以下の:
i)試験されるべき少なくとも1つの細胞を含む生物学的サンプルを提供する工程、
ii)上記サンプルを、以下の:
a)表1に示されるような核酸分子により表されるような核酸分子、及び
b)(a)で定義されるような核酸分子にハイブリダイズする核酸分子、
c)(a)及び(b)で表される核酸分子に対して、遺伝コードの結果として縮重している核酸分子
から成る群から選択される核酸分子により表されるような少なくとも1つの核酸分子と結合するリガンドと接触させる工程、及び
iii)上記サンプル中の少なくとも1つの核酸分子の存在を検出する工程
を含む、少なくとも1つの核酸分子の検出方法が提供される。
【0021】
本発明の好ましい方法では、上記動物はヒトである。
【0022】
本発明のさらに好ましい方法では、上記結腸直腸癌は腺癌である。
【0023】
本発明の好ましい方法では、上記リガンドは、結腸直腸癌を示す上記核酸分子にアニーリングするように適合させた核酸分子である。
【0024】
本明細書中で開示されるような核酸分子を検出するように適合することができる多数の核酸ベースのアッセイ系が利用可能であることは当業者に明らかであろう。例えば、定量的ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ、in situハイブリッド形成、ノーザンブロット。
【0025】
本発明のさらなる様態によれば、動物における結腸直腸癌の発症及び/又は進行に関連する少なくとも1つのポリペプチドの検出方法であって、以下の:
i)試験されるべき少なくとも1つの細胞を含む生物学的サンプルを提供する工程、
ii)上記サンプルを、表1に示される核酸配列により表されるような核酸分子によりコードされる少なくとも1つのポリペプチド、或いは少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失又は置換により変化するアミノ酸配列を含む変異ポリペプチドと特異的に結合する少なくとも1つのリガンドと接触させる工程、
iii)上記サンプル中の少なくとも1つのポリペプチドの存在を検出する工程
を含む、少なくとも1つのポリペプチドの検出方法が提供される。
【0026】
本発明の好ましい方法では、上記動物はヒトである。
【0027】
本発明のさらに好ましい実施の形態では、上記リガンドは、抗体、好ましくはモノクローナル抗体、又は少なくともそれらの有効な結合部分である。
【0028】
生物学的サンプル中でポリペプチドの存在を検出するために抗体を利用する方法は、当該技術分野で既知であり、ELISA、ウェスタンブロット及び免疫蛍光が挙げられる。
【0029】
本発明のさらなる様態によれば、表1に示されるような核酸配列により表されるような核酸分子(複数可)によりコードされる少なくとも1つのポリペプチド又はそれらの変異配列の、上記ポリペプチドの活性を調節する作用物質のスクリーニング用のターゲットとしての使用が提供される。
【0030】
本発明のさらに別の様態によれば、結腸直腸癌の発症及び/又は進行に関連する少なくとも1つの遺伝子の活性を調節する作用物質に関してスクリーニングする方法であって、以下の:
i)少なくとも1つのポリペプチドであって、ポリペプチドは、表1に示されるような核酸配列により表されるような核酸分子によりコードされる、ポリペプチド、或いは表1に示されるアミノ酸配列により表されるような少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失又は置換により変化するアミノ酸配列を含む変異ポリペプチド、及び試験されるべき少なくとも1つの作用物質を含む調製物を形成する工程、及び
ii)上記ポリペプチドの活性に関して、上記作用物質の活性を確定する工程
を含む、作用物質に関してスクリーニングする方法が提供される。
【0031】
本発明の好ましい方法では、上記ポリペプチドは、上記核酸分子により形質転換又はトランスフェクトされる細胞により発現される。好ましくは、上記核酸分子は、上記核酸分子の組換え発現用に適合させたベクターの一部である。好ましくは、上記ベクターに、上記核酸分子の発現が調節されるのを可能にするプロモーターが提供される。
【0032】
本発明の好ましい方法では、上記細胞は、結腸から得られ、好ましくは上記細胞は、上記結腸の内側を覆う上皮細胞である。
【0033】
本発明のさらに好ましい方法では、上記作用物質は、抗体であり、好ましくはモノクローナル抗体又は修飾モノクローナル抗体、或いはそれらの少なくとも有効な結合部分である。
【0034】
免疫グロブリンとしても既知の抗体は、通常外来分子(抗原)に対して特異性を有するタンパク質分子である。免疫グロブリン(Ig)は、一方の対が軽(L)(低分子量)鎖(κ又はλ)であり、且つ一方が重(H)鎖(γ、α、μ、δ及びε)であるポリペプチド鎖の2つの対から構成される構造的に関連したタンパク質の種類である(4つすべてが、ジスルフィド結合により一緒に連結されている)。H鎖及びL鎖はともに、抗原の結合に寄与し、且つ、あるIg分子から別のIg分子へと非常に可変性である領域を有する。さらに、H鎖及びL鎖は、非可変性、すなわち定常である領域を含有する。
【0035】
L鎖は、2つのドメインから構成される。カルボキシ末端ドメインは、所定のタイプのL鎖の間で本質的に同一であり、「定常」(C)領域と称される。アミノ末端ドメインは、L鎖間で変化し、抗体の結合部位に寄与する。その可変性のため、アミノ末端ドメインは、「可変」(V)領域と称される。
【0036】
Ig分子のH鎖には、幾つかの種類、すなわちα、μ、σ、α及びγ(それらのそれぞれに、幾つかのサブクラスが存在する)が存在する。2つの同一のH鎖及びL鎖の1つ又はそれ以上のユニットから構成される構築Ig分子は、それが保有するH鎖にその名称を由来する。したがって、5つのIgアイソタイプ:IgA、IgM、IgD、IgE及びIgG(H鎖の「定常」領域の差に基づいて4つのサブクラス、すなわちIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を有する)が存在する。抗体構造及びそれらの様々な機能に関するさらなる詳細は、Using Antibodies: A laboratory manual, Cold Spring Harbour Laboratory Pressに見出すことができる。
【0037】
本発明の好ましい方法では、上記フラグメントは、Fabフラグメントである。
【0038】
本発明のさらに好ましい方法では、上記抗体は、F(ab’)、Fv及びFdフラグメント、及びCDR3領域を含む抗体から成る群から選択される。
【0039】
好ましくは、上記フラグメントは、単鎖抗体可変領域(scFV’s)又はドメイン抗体である。ハイブリドーマが特異的なモノクローナル抗体に関して存在する場合、RT PCRにより上記ハイブリドーマから抽出されるmRNAからscFV’sを単離することは、当業者の十分知識内である。あるいは、ファージディプレイスクリーニングは、scFV’sを発現するクローンを同定するために行うことができる。ドメイン抗体は、抗体の最小結合部分(およそ13kDa)である。この技術の例は、米国特許6,248,516号明細書、米国特許6,291,158号明細書、米国特許6,127,197号明細書及び欧州特許出願公開0368684号明細書に開示されており、それらはすべて、参照されて本明細書の一部とする。
【0040】
修飾抗体又は変異抗体及び参照抗体は、任意の組合せで存在することができる1つ又はそれ以上の置換、付加、欠失、切断によりアミノ酸配列が異なることがある。好ましい変異体には、保存的アミノ酸置換により参照ポリペプチドと異なるものが存在する。このような置換は、所定のアミノ酸を類似の特徴を有する別のアミノ酸で置換するものである。アミノ酸の以下の非限定的リストは、保存的置き換え(類似している)とみなされる:a)アラニン、セリン及びスレオニン、b)グルタミン酸及びアスパラギン酸、c)アスパラギン及びグルタミン、d)アルギニン及びリシン、e)イソロイシン、ロイシン、メチオニン及びバリン、並びにf)フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン。増強された生物学的活性を示す変異体が最も非常に好ましい。
【0041】
好ましくは、上記抗体は、ヒト化又はキメラ抗体である。
【0042】
キメラ抗体は、ヒト抗体の不変すなわち定常領域とともに抗体の可変領域を含有するように組換え方法により生産される。
【0043】
ヒト化抗体は、抗体の相補性決定領域(CDR)を、ヒト抗体の定常(C)領域及び可変(V)領域由来のフレームワーク領域の両方と組み合わせるように組換え方法により生産される。
【0044】
キメラ抗体は、マウス又はラット抗体のV領域すべてをヒト抗体C領域と組み合わせる組換え抗体である。ヒト化抗体は、げっ歯類抗体V領域由来の相補性決定領域を、ヒト抗体V領域由来のフレームワーク領域と融合する組換えハイブリッド抗体である。ヒト抗体由来のC領域もまた使用される。相補性決定領域(CDR)は、V領域の変化の大部分が制限される、抗体の重鎖及び軽鎖の両方のN末端ドメイン内の領域である。この領域は、抗体分子の表面でループを形成する。このループは、抗体と抗原との間に結合表面を提供する。
【0045】
非ヒト動物由来の抗体は、外来抗体に対する免疫応答及び循環(circulation)からのその除去を誘起する。キメラ抗体及びヒト化抗体は、ヒト被験体へ注入されると、組換えハイブリッド抗体内のげっ歯類(すなわち、外来)抗体の量が低減されている一方で、ヒト抗体領域は免疫応答を誘発しないため、抗原性が低減されている。これにより、抗体のより弱い免疫応答及びクリアランスの減少がもたらされる。これは、ヒト疾患の治療で治療用抗体を使用する場合に明らかに望ましい。ヒト化抗体は、より少ない「外来」抗体領域を有するように設計され、したがって、キメラ抗体よりも免疫原性が低いと考えられる。
【0046】
本発明の代替的な好ましい方法では、上記作用物質は、ポリペプチド又はペプチドである。好ましくは、上記ポリペプチド又はペプチドは修飾される。
【0047】
本発明の好ましい方法では、上記ペプチドは、少なくとも6アミノ酸残基長である。好ましくは、上記ペプチド/ポリペプチドの長さは、少なくとも7アミノ酸残基長、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20アミノ酸残基長から成る群から選択される。あるいは、上記ペプチド/ポリペプチドの長さは、少なくとも20アミノ酸残基長、30、40、50、60、70、80、90又は100アミノ酸残基長である。
【0048】
ペプチド作用物質のアミノ酸配列に対する修飾が、そのターゲット配列に関してペプチドの結合及び/又は安定性を増強することができることは、当業者に明らかであろう。さらに、ペプチドに対する修飾はまた、ペプチドのin vivo安定性を増大することができ、それによりターゲットポリペプチドの活性を阻害するのに必要なペプチドの有効量を低減させる。これは、in vivoで起こり得る望ましくない副作用を有利に低減する。あるいは、又は好ましくは、上記修飾は、組換え又は合成形態のペプチドの生産における修飾アミノ酸の使用を包含する。修飾アミノ酸としては、例として4−ヒドロキシプロリン、5−ヒドロキシリシン、N−アセチルリシン、N−メチルリシン、N,N−ジメチルリシン、N,N,N−トリメチルリシン、シクロヘキシルアラニン、D−アミノ酸、オルニチンが挙げられる(これらに限定されない)ことが、当業者に明らかであろう。他の修飾としては、ハロ(例えば、F、Br、I)、ヒドロキシ又はC〜Cアルコキシから選択される1個、2個又は3個の置換基により任意に置換されるC、C又はCアルキルR基を有するアミノ酸が挙げられる。修飾としてはまた、例えば、アセチル化及びアミド化が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本発明の好ましい実施の形態では、上記ペプチド配列は、アセチル化される。好ましくは、上記アセチル化は、上記ペプチドのアミノ末端に対するものである。
【0050】
本発明のさらに好ましい実施の形態では、上記ペプチド配列は、アミド化される。好ましくは、上記アミド化は、上記ペプチドのカルボキシル末端に対するものである。
【0051】
また、ペプチドが、環化により修飾することができることは、当業者に明らかであろう。環化は、当該技術分野で既知である(Scott et al Chem Biol (2001), 8:801-815; Gellerman et al J. Peputide Res (2001), 57:277-291; Dutta et al J. Peptide Res (2000), 8:398-412; Ngoka and Gross J Amer Soc Mass Spec (1999), 10:360-363を参照)。
【0052】
本発明のさらに好ましい方法では、上記作用物質は、核酸分子である。好ましくは、上記核酸分子は、アプタマー又は修飾アプタマーである。本発明の代替的な好ましい方法では、上記核酸は、干渉RNA(RNAi)分子である。あるいは、上記核酸分子は、アンチセンス核酸分子である。
【0053】
核酸は、線状配列構造、並びに部分的に線状配列、またこれらの分子が位置する環境により確定される三次元構造の両方を有する。従来の治療用分子は、小分子、例えばペプチド、ポリペプチド又は抗体であり、ターゲット分子と結合して、アゴニスト又はアンタゴニスト効果を生じる。核酸分子はまた、治療的有用性を有し得る必須の結合特性を有する作用物質を提供することに関して潜在能力を有することは明白である。これらの核酸分子は通常、アプタマーと称される。アプタマーは、ターゲット分子に対する結合ドメインを含む小さくて、通常安定化させた核酸分子である。アプタマーを同定するためのスクリーニング方法は、米国特許第5,270,163号(参照されて本明細書の一部とする。)に記載されている。アプタマーは通常、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド又は修飾オリゴデオキシヌクレオチド若しくはオリゴリボヌクレオチドであり得るオリゴヌクレオチドである。
【0054】
「修飾」という用語は、共有結合的に修飾された塩基及び/又は糖を有するヌクレオチドを含有する。例えば、修飾ヌクレオチドは、3’位のヒドロキシル基又は5’位のリン酸基以外の低分子量有機基と共有結合した糖を有するヌクレオチドを含む。このような修飾ヌクレオチドとしてはまた、2’−O−メチル−、2−O−アルキル、2−O−アリル、2’−S−アルキル、2’−S−アリル、2'−フルオロ−、2’−ハロ又は2’−アジドリボースのような2’置換糖類、炭素環式糖類似体であるaアノマー糖類、アラビノース、キシロース又はリキソースのようなエピマー糖類、ピラノース糖類、フラノース糖類及びセドヘプツロースが挙げられる。
【0055】
修飾ヌクレオチドは当該技術において既知であり、例として、これに限定されないが、アルキル化プリン及び/又はピリミジン、アシル化プリン及び/又はピリミジン、又は他の複素環が挙げられる。これらのピリミジンやプリンの種類は、当該技術において既知であり、プソイドイソシトシン、N4,N4−エタノシトシン、8−ヒドロキシ−N6−メチルアデニン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6−イソペンチル−アデニン、1−メチルアデニン、1−メチルプソイドウラシル、1−メチルグアニン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルケオシン、5−メトキシカルボニルメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、プソイドウラシル、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、ケオシン、2−チオシトシン、5−プロピルウラシル、5−プロピルシトシン、5−エチルウラシル、5−エチルシトシン、5−ブチルウラシル、5−ペンチルウラシル、5−ペンチルシトシン、及び2,6,−ジアミノプリン、メチルプソイドウラシル、1−メチルグアニン、1−メチルシトシンが挙げられる。
【0056】
本発明のアプタマーは、従来のリン酸ジエステル結合したヌクレオチド、及び、当該技術において既知の標準固相又は液相合成技術を利用して合成される。ヌクレオチド間の結合には、代替的な結合分子を利用してもよい。例えば、式P(O)S(チオアート)、P(S)S(ジチオアート)、P(O)NR’2、P(O)R’、P(O)OR6、CO又はCONR’2の結合基は、−O−又は−S−を介して隣接したヌクレオチドと結合している。式中、RはH(若しくはは塩)又はC1〜12のアルキル及びR6はC1〜9のアルキルである。目的のポリペプチドとのアプタマーの結合は、容易に試験可能である。
【0057】
代替的な核酸分子は、いわゆるRNAi分子である。遺伝子機能を特異的に切除する最近の技術は、干渉RNA(RNAi)とも称される二重鎖RNAの細胞への導入によるものであり、RNAi分子中に含まれる配列に相補的なmRNAの破壊をもたらす。RNAi分子は、二重鎖RNA分子を形成するために互いにアニーリングされるRNAの2つの相補鎖(センス鎖及びアンチセンス鎖)を含む。RNAi分子は通常、切除されるべき遺伝子のエキソン又はコード配列に由来する。最近の研究により、コード配列に由来する100〜1000bpの範囲のRNAi分子が、遺伝子発現の有効な阻害剤であることが示唆されている。驚くべきことに、遺伝子発現を阻止するのに、RNAiのほんの数個の分子が必要とされ、メカニズムが触媒作用であることを意味する。ほとんどのRNAiが細胞の細胞質で検出可能でないため、作用部位は、核であるようであり、RNAiが、mRNA合成又はプロセシング中にその効果を発揮することを示している。
【0058】
本発明の好ましい方法では、核酸分子又はその一部を含むカセットであって、上記分子は、以下の:
i)表1に示される核酸配列により表される核酸分子、
ii)上記(i)における配列にハイブリダイズし、且つ結腸細胞の形質転換を開始又は促進するポリペプチドをコードする核酸分子、或いは
iii)上記(i)及び(ii)で定義される配列に対して、遺伝コードのため縮重している核酸分子
から成る群から選択されるカセットが提供される。上記カセットは、センス及びアンチセンス核酸分子がともに、上記カセットから転写されるように適合されている。
【0059】
本発明の好ましい方法では、上記カセットは、上記核酸分子のセンス及びアンチセンス鎖の両方を転写するように適合された少なくとも2つのプロモーターが提供される。
【0060】
本発明のさらに好ましい方法では、上記カセットは、核酸分子を含み、上記分子は、第2の部分に連結される第1の部分を含み、上記第1の部分及び上記第2の部分は、それらの配列の少なくとも一部にわたって相補的であり、さらに上記核酸分子の転写は、上記第1の部分及び上記第2の部分の相補的塩基対形成により二重鎖領域を形成するRNA分子を生じる。
【0061】
本発明の好ましい実施の形態によれば、上記第一部分と上記第二部分は少なくとも一つのヌクレオチド塩基で連結している。
【0062】
本発明の好ましい実施の形態によれば、上記第一部分と上記第二部分は2、3、4、5、6、7、8、9個のヌクレオチド塩基又は少なくとも10個のヌクレオチド塩基で連結している。
【0063】
本発明のさらに好ましい実施の形態によれば、RNAi分子の長さは100bp〜1,000bpの間である。より好ましくは、RNAiの長さは100bp、200bp、300bp、400bp、500bp、600bp、700bp、800bp、900bp又は1,000bpから選択される。さらに好ましくは、上記RNAiは少なくとも1,000bpである。
【0064】
本発明の好ましい代替的な方法によれば、RNAi分子は15bpから25bpの間であり、上記分子は21bpであることが好ましい。上記カセットはベクターの一部であることが好ましい。
【0065】
本発明のさらなる態様によれば、本発明における方法で同定され、医薬品として使用される抗体が提供される。
【0066】
本発明のさらなる態様によれば、本発明における方法で同定され、医薬品として使用されるポリペプチド及びペプチドが提供される。
【0067】
本発明のさらなる態様によれば、本発明における方法で同定され、医薬品として使用される核酸分子が提供される。
【0068】
本発明の好ましい実施の形態によれば、上記核酸分子はアプタマーである。
【0069】
本発明の好ましい代替的な実施の形態によれば、上記核酸分子は干渉RNAである。
【0070】
本発明のさらなる好ましい代替的な実施の形態によれば、上記核酸分子はアンチセンス核酸分子である。
【0071】
本発明の好ましい実施の形態によれば、上記医薬品は、希釈剤、キャリア又は賦形剤をさらに含む。
【0072】
投与される場合、本発明の治療用組成物は、医薬的に許容可能な調製物中で投与される。かかる調製物は、医薬的に許容可能な濃度の塩、緩衝剤、防腐剤、適合性キャリア、アジュバント及びサイトカイン等の補足免疫増強剤、並びに化学療法剤等の任意の他の治療用作用物質を日常的に含有し得る。
【0073】
本発明の治療薬は、注射を含む任意の従来の経路により、或いは時間をかけた漸次的な注入により投与することができる。投与は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋内、腔内、皮下又は経皮で行うことができる。抗体が治療上使用される場合、好ましい投与経路は、肺エアロゾルである。抗体を含有するエアロゾル送達系を調製するための技法は、当業者に既知である。概して、かかる系は、パラトープ結合能のような抗体の生物学的特性を著しく損なわない構成成分を利用すべきである(例えば、参照されて本明細書の一部となるSciarra and Cutie, 「Aerosols」, in Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, 1990, pp 1694-1712を参照)。当業者は、過度の実験を行わずに抗体エアロゾルを生産するための各種パラメータ及び条件を容易に確定することができる。本発明のアンチセンス調製物を使用する場合、緩慢な静脈内投与が好ましい。
【0074】
本発明の組成物は、有効量で投与される。「有効量」は、単独で、或いはさらなる用量と一緒に、望ましい応答をもたらす組成物の量である。癌のような特定の疾患を治療する場合、所望の応答とは、疾患の進行を阻害することである。これは、単に疾患の進行を一時的に遅らせるのみ伴いうるが、より好ましくは、疾患の進行を永久に停止させることを伴いうる。これは、日常的な方法によりモニタリングすることができ、或いは本明細書中で論述する本発明の診断方法に従ってモニタリングすることができる。
【0075】
かかる量は、当然のことながら、治療されるべき特定の状態、状態の重症度、年齢、健康状態、大きさ及び体重を含む個々の患者のパラメータ、治療の継続期間、併用療法(存在する場合)の性質、特定の投与経路並びに医師の知見及び専門知識内の同等の要因に依存する。これらの要因は、当業者に既知であり、単なる日常的な実験で対処することができる。個々の構成成分又はそれらの組合せの最大用量が使用されること、すなわち正しい医療的判断に従って最高の安全性用量が使用されることが一般的に好ましい。しかしながら、患者は、医学的根拠、心理学的根拠のため、或いは事実上任意の他の理由で、より低用量又は耐用量を要求し得ることが当業者には理解されよう。
【0076】
上述の方法で使用される医薬組成物は好ましくは、滅菌であり、患者への投与に適した重量又は容量の単位で望ましい応答を生じるための有効量を含有する。応答は、例えば、腫瘍の退行、疾患症状の減少、アポトーシスの調節等の組成物の生理学的効果を測定することにより確定することができる。
【0077】
被験体へ投与される医薬的作用物質の用量は、種々のパラメータに従って、特に使用される投与の様式及び被験体の状態に従って選択することができる。他の要因としては、望ましい治療期間が挙げられる。被験体における応答が、適用される初期用量で不十分である場合には、より高用量(又は異なるより局在化される送達経路で有効な高用量)が、患者の許容度が許す限り使用することができる。
【0078】
概して、医薬品の用量は、当該技術分野における任意の標準的な手順に従って、1ng〜約500mg、10ng〜100mgで配合及び投与される。核酸が使用される場合、一般的に1ng〜0.1mgの用量が、標準的な手順に従って配合及び投与される。組成物の投与に関する他のプロトコルは、当業者に既知であり、ここでは用量、注射のスケジュール、注射の部位、投与様式(例えば、腫瘍内)等が上述と異なる。例えば実験目的又は獣医用治療目的でのヒト以外の哺乳類への医薬組成物の投与は、上述するのと実質的に同条件下で実施される。被験体は、本明細書中で使用する場合、哺乳類、好ましくはヒトであり、ヒト以外の霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ又はげっ歯類を包含する。
【0079】
投与する場合、本発明の医薬調製物は、医薬的に許容可能な量で、及び医薬的に許容可能な組成で適用される。「医薬的に許容可能な」という用語は、有効成分の生物学的活性の有効性を妨害しない無毒性物質を意味する。かかる調製物は日常的に、塩、緩衝剤、防腐剤、適合性キャリア及び任意の他の治療用作用物質を含有する。薬剤で使用される場合、塩は、医薬的に許容可能であるべきであるが、医薬的に許容可能でない塩は、それらの医薬的に許容可能な塩を調製するのに利便性よく使用される場合があり、本発明の範囲から排除されない。かかる薬理学的且つ医薬的に許容可能な塩としては、以下の酸:塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸等から調製されるものが挙げられるが、これらに限定されない。また、医薬的に許容可能な塩は、ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩として調製することができる。
【0080】
医薬組成物は、望ましい場合、医薬的に許容可能なキャリアと組み合わせてもよい。「医薬的に許容可能なキャリア」という用語は、本明細書中で使用する場合、ヒトへの投与に適切な1つ又はそれ以上の適合性固体若しくは液体充填剤、希釈剤又は封入物質を意味する。「キャリア」という用語は、有効成分と組み合わせて、適用を促進する天然又は合成である有機又は無機成分を意味する。医薬組成物の構成成分はまた、本発明の分子と、及び互いに、所望の医薬的有効性を実質的に損なう相互作用が起こらない様式で混合することが可能である。
【0081】
医薬組成物が、塩中の酢酸、塩中のクエン酸、塩中のホウ酸及び塩中のリン酸を含む適切な緩衝剤を含有してもよい。
【0082】
医薬組成物はまた、任意に、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベン及びチメロサールのような適切な防腐剤を含有してもよい。
【0083】
医薬組成物は、単位投薬形態で便宜上、提供されてもよく、医薬の技術分野で既知の方法のいずれかにより調製され得る。方法はすべて、有効成分を1つ又はそれ以上の補助成分を構成するキャリアと会合させる工程を包含する。概して、組成物は、有効成分を液体キャリア、微細に分離した固体キャリア又はその両方と、一様且つ緊密に会合させること、続いて必要であれば、生成物を成形することにより調製される。
【0084】
経口投与に適した組成物は、それぞれが既定量の活性化合物を含有するカプセル、錠剤、ロゼンジのような別個の単位として提供されてもよい。他の組成物としては、シロップ、エリキシル又はエマルジョン等の水性液体又は非水性液体中の懸濁液が挙げられる。
【0085】
非経口投与に適した組成物は、好ましくはレシピエントの血液と等張性である医薬的作用物質の滅菌水性又は非水性調製物を便宜上含む。この調製物は、適切な分散剤又は湿潤剤及び沈殿防止剤を使用した既知の方法に従って配合され得る。滅菌注射可能調製物はまた、1,3−ブタンジオール中の溶液のような無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤若しくは溶媒中の滅菌注射可能溶液又は懸濁液であってもよい。使用され得る許容可能なビヒクル及び溶媒には、水、リンガー溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液が存在する。さらに、滅菌不揮発性油は従来、溶媒又は懸濁化剤として使用される。この目的で、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の無刺激の不揮発性油を使用することができる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、注射可能物質の調製において使用され得る。経口、皮下、静脈内、筋内等の投与に適したキャリア配合物は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PAに見出すことができる。
【0086】
本発明の実施形態はここで、実施例によってのみ、並びに以下の図面及び表を参照して記載される。
【0087】
表1は、本発明によるスクリーニング方法により同定される核酸配列を示す。
表2は、表1で同定される核酸配列の発現データの概要を示す。
【実施例】
【0088】
材料及び方法
本発明者等は、炭素供給源としてグルコース又は酪酸塩のいずれかの存在下で増殖中の結腸細胞の発現プロファイルを比較した。HT29結腸癌腫細胞は、10%ウシ胎児血清、ペニシリン及びストレプトマイシンの存在下で、DMEM培地(Gibco)中で培養させた。細胞は、単独炭素供給源としてグルコースのみ中で、或いは単独外来性供給炭素供給源として酪酸塩中で培養した。多数の酪酸塩濃度中で増殖させたHT29細胞の実験的分析により、2mM酪酸塩がグルコースの非存在下での細胞培養に最適であることが明らかとなった。細胞は、多数の継代(通常4)でいずれかの培地中で培養した。RNAを各条件で増殖させた細胞から抽出して、Affymetrixヒト12kアレイをプローブするのに使用した。各条件で培養した細胞の発現プロファイルを比較して、2倍以上の発現が変更された遺伝子を表2に列挙する。
【0089】
この研究中で使用される材料
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
ヒト結腸癌腫株化細胞−HT29
HT29株化細胞は、44歳の白人女性から除去された結腸癌腫から樹立される。当該株化細胞は、起源が上皮であり、高三倍体(hypertriploid)である。それは、ヌードマウス中で腫瘍原性であることが知られており、in vitroで維持されると、癌胎児性抗原−CEA(Egan & Todd, 1972)及びトランスフォーミング成長因子−TGF−α及びTGF−β(Anzona et al. 1989)を合成する。HT29株化細胞は、アルギニンのヒスチジンアミノ酸への置換を引き起こすコドン273での点突然変異の結果としてp53タンパク質の変異体を構成的に過剰生産する。
【0094】
HT29結腸直腸腺癌細胞の培養
細胞は、T75組織培養フラスコ(Nunclon)中で、5%CO中で37℃にて培養した。細胞は、集密している場合、PBS中で2度洗浄すること、及び細胞が剥離されるまで、予め加温したトリプシン:EDTA(1:1)中で37℃にてインキュベートすることにより継代培養された。続いて、細胞を適切な増殖培地(グルコースDMEM又は酪酸塩DMEMのいずれか)中に再懸濁させた後、新たなT75組織培養フラスコ又は6ウェルプレートへ播種した。
【0095】
単独の外来性炭素供給源としての酪酸塩中でのHT29細胞増殖の最適化
HT29細胞を、血球計数器(改良型ノイバウエル)を活用して、1ウェル当たり0.5×10個の細胞の細胞密度(例えば、1ウェル当たり50,0000個の細胞)で、19個のウェル(6ウェルプレート)へ播種した。これらの細胞をT75−0.2mM酪酸塩(NaB)DMEMフラスコから採取して、同様にFCS及びペニシリン/ストレプトマイシン抗生物質を有する0.2mM NaB DMEM中で、72時間にわたって6ウェルプレートへ接着させた。細胞が6−ウェルプレートの表面へ接着した後、0.2mM NaB DMEMを取り除いて、各ウェルをPBSで二度洗浄して、微量の0.2mM DMEMをすべて切除した後、FCS及びペニシリン/ストレプトマイシン抗生物質を有する種々のNaB DMEMを、適切なウェルに三重で添加した。細胞計数は、様々な時点で行った。ウェル1つ当たりの適切な/所望のNaB濃度を維持するために、特定の培地を毎日交換した。使用される溶液/試薬はすべて、細胞に対する任意の寒冷ショックを回避するように、使用前に水浴中で予め加温した。
【0096】
TRIzol(登録商標)を使用したRNA抽出
総RNAは、TRIzol試薬を使用して、製造業者の推奨の通りにT75フラスコ中で集密するまで増殖させたHT29細胞から抽出した。細胞は、RNAの抽出に先立って、酪酸塩含有培地中で、或いはグルコース含有培地中で数回の継代で増殖させた。
【0097】
細胞は、培養表面10cm面積当たりTRIzol試薬1mlを使用してホモジナイズさせた。ホモジナイズさせたサンプルを、外気温で5分間インキュベートして、核タンパク質複合体の完全な解離を可能にした。クロロホルム200μlを各サンプルに添加した。チューブを手で15秒間激しく振とうして、外気温で3分間インキュベートした。サンプルを12,000gにて4℃で15分間遠心分離した。水相中のRNAを分離して、イソプロパノールで沈殿させた。RNAをすすいで、風乾させて、RNアーゼフリー水に再溶解させた。
【0098】
RNAは、Qiagen RNeasyカラムを使用してさらに精製した。カラムは、製造業者の推奨の通りに正確に使用した。RNAは、RNアーゼフリー水へ溶出させた。
【0099】
このようにして精製したRNAをアガロースゲルにより分析して、純度及び品質を確立した。ゲルは図2に示す。
【0100】
マイクロアレイ分析
マイクロアレイ分析は、ニューキャッスル・アポン・タイン大学(University of Newcastle-upon-Tyne)により商業サービスとして着手された。この研究では、2つの実験条件(酪酸塩+グルコース)からの2つのRNAサンプル(1×酪酸塩+1×グルコース)をマイクロアレイ分析のために、ニューキャッスル・アポン・タイン大学にあるthe Institute for Human Geneticsへ送った。これは、12k Affymetrixホモサピエンス遺伝子チップ上で実施された。マイクロアレイ上で2倍以上の発現が変更された遺伝子を表1に列挙する。
【0101】
【表4】

【0102】
【表5】

【0103】
【表6】

【0104】
【表7】

【0105】
【表8】

【0106】
【表9】

【0107】
【表10】

【0108】
【表11】

【0109】
【表12】

【0110】
【表13】

【0111】
【表14】

【0112】
【表15】

【0113】
【表16】

【0114】
【表17】

【0115】
【表18】

【0116】
【表19】

【0117】
【表20】

【0118】
【表21】

【0119】
【表22】

【0120】
【表23】

【0121】
【表24】

【0122】
【表25】

【0123】
【表26】

【0124】
【表27】

【0125】
【表28】

【0126】
【表29】

【0127】
【表30】

【0128】
【表31】

【0129】
【表32】

【0130】
【表33】

【0131】
【表34】

【0132】
【表35】

【0133】
【表36】

【0134】
【表37】

【0135】
【表38】

【0136】
【表39】

【0137】
【表40】

【0138】
【表41】

【0139】
【表42】

【0140】
【表43】

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【表44】

【0142】
【表45】

【0143】
【表46】

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【0147】
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【表53】

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【表73】

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【表210】

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【表211】

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【表212】

【0310】
【表213】

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【表214】

【0312】
【表215】

【0313】
【表216】

【0314】
【表217】

【0315】
【表218】

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【表219】

【0317】
【表220】

【0318】
【表221】

【0319】
【表222】

【0320】
【表223】

【0321】
【表224】

【0322】
【表225】

【0323】
【表226】

【0324】
【表227】

【図面の簡単な説明】
【0325】
【図1】単独の炭素供給源として酪酸塩中で増殖中の細胞の濃度応答を示す図である。これは、4つの独立した反復実験の概要である。レジェンドは、mMでの酪酸塩濃度を示す。
【図2】RNA調製物の純度及び品質を示す図である。28S及び18Sサンプルバンドは、密接しており、酪酸塩及びグルコースで増殖させた細胞から調製されるRNAに関して明確に分離される。DNA又は塩混入は、サンプル中でほとんど又は全く見られない。
【図3−1】遺伝子に関する情報である。
【図3−2】遺伝子に関する情報である。
【図3−3】遺伝子に関する情報である。
【図3−4】遺伝子に関する情報である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された第1の細胞サンプル中で変更された発現を示す核酸分子に関してスクリーニングする方法であって、該第1のサンプルと第2の参照細胞サンプルとの間で遺伝子発現プロファイルを比較すること(ここで該第1の細胞サンプルは、炭素供給源酪酸塩又は酪酸塩が得られる関連炭素供給源の存在下で、直接的に又は間接的に増殖させる)、及び該発現プロファイルを、酪酸塩又は該関連炭素供給源の存在下では増殖させていない該第2の参照細胞サンプル中の発現プロファイルと比較することを含む、核酸分子に関してスクリーニングする方法。
【請求項2】
前記核酸分子に関するスクリーンが、以下の:
i)a)結腸の少なくとも1つの領域に由来する第1の細胞サンプル、細胞増殖培地及び炭素供給源(ここで該炭素供給源が酪酸塩である)を含む細胞増殖調製物、及び
b)結腸の、対応する領域に由来する第2の細胞サンプル、細胞増殖培地及び酪酸塩ではない炭素供給源を含む細胞増殖調製物
を提供する工程、
ii)前記第1の細胞サンプル及び前記第2の細胞サンプルから核酸を抽出する工程、及び
iii)前記第1の細胞サンプル中の遺伝子発現プロファイルを、前記第2の細胞サンプル中の遺伝子発現プロファイルと比較する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の細胞サンプル及び前記第2の細胞サンプルが、上行結腸に由来する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の細胞サンプル及び前記第2の細胞サンプルが、横行結腸に由来する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の細胞サンプル及び前記第2の細胞サンプルが、下行結腸に由来する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の細胞サンプル及び前記第2の細胞サンプルが、前記結腸のS字領域に由来する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞サンプルが、前記結腸の直腸領域に由来する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の細胞サンプル及び前記第2の細胞サンプルが、上皮細胞を含む、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記酪酸ではない炭素供給源が、グルコースである、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記変更された発現を示す核酸分子が、表1に示される核酸配列、又は表1に提示される配列にハイブリダイズする核酸分子により表されるような群から選択される、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
動物における結腸直腸癌の発症及び/又は進行に関連する少なくとも1つの核酸分子の検出方法であって、以下の:
i)試験されるべき少なくとも1つの細胞を含む生物学的サンプルを提供する工程、
ii)前記サンプルを、以下の:
a)表1に示されるような核酸分子により表されるような核酸分子、
b)(a)で定義されるような核酸分子にハイブリダイズする核酸分子、及び
c)(a)及び(b)で表される核酸分子に対して、遺伝コードの結果として縮重している核酸分子
から成る群から選択される核酸分子により表されるような少なくとも1つの核酸分子と結合するリガンドと接触させる工程、及び
iii)前記サンプル中の少なくとも1つの核酸分子の存在を検出する工程
を含む、少なくとも1つの核酸分子の検出方法。
【請求項12】
前記結腸直腸癌が腺癌である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記リガンドが、結腸直腸癌を示す前記核酸分子にアニーリングするように適合させた核酸分子である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、ポリメラーゼ連鎖反応方法である、請求項13に記載の検出方法。
【請求項15】
動物における結腸直腸癌の発症及び/又は進行に関連する少なくとも1つのポリペプチドの検出方法であって、以下の:
i)試験されるべき少なくとも1つの細胞を含む生物学的サンプルを提供する工程、
ii)前記サンプルを、表1に示される核酸配列により表されるような核酸分子によりコードされる少なくとも1つのポリペプチド、或いは少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失又は置換により変化するアミノ酸配列を含む変異ポリペプチドと特異的に結合する少なくとも1つのリガンドと接触させる工程、及び
iii)前記サンプル中の少なくとも1つのポリペプチドの存在を検出する工程
を含む、少なくとも1つのポリペプチドの検出方法。
【請求項16】
前記動物がヒトである、請求項11ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記リガンドが抗体である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記抗体が、モノクローナル抗体、又は少なくともその有効な結合部分である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
表1に示されるような核酸配列により表されるような核酸分子(複数可)によりコードされる少なくとも1つのポリペプチド又はそれらの変異配列の、前記ポリペプチドの活性を調節する作用物質のスクリーニング用のターゲットとしての使用。
【請求項20】
結腸直腸癌の発症及び/又は進行に関連する少なくとも1つの遺伝子の活性を調節する作用物質に関してスクリーニングする方法であって、以下の:
i)少なくとも1つのポリペプチドであって、該ポリペプチドは、表1に示されるような核酸配列により表されるような核酸分子によりコードされるポリペプチド、或いは表1に示されるアミノ酸配列により表されるような少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失又は置換により変化するアミノ酸配列を含む変異ポリペプチド、及び試験されるべき少なくとも1つの作用物質を含む調製物を形成する工程、及び
ii)前記ポリペプチドの活性に関して、前記作用物質の活性を決定する工程
を含む、作用物質に関してスクリーニングする方法。
【請求項21】
前記ポリペプチドが、前記核酸分子で形質転換又はトランスフェクトされる細胞により発現される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記核酸分子が、前記核酸分子の組換え発現用に適合させたベクターの一部である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ベクターに、前記核酸分子の発現が調節されるのを可能にするプロモーターが提供される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞が、結腸に由来する、請求項21ないし23のいずれか1項に記載の作用物質に関してスクリーニングする方法。
【請求項25】
前記細胞が上皮細胞である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記作用物質が抗体である、請求項20ないし25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記抗体が、モノクローナル抗体又は修飾モノクローナル抗体、或いはそれらの少なくとも有効な結合部分である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記フラグメントがFabフラグメントである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記抗体が、F(ab’)フラグメント、Fabフラグメント、Fvフラグメント及びFdフラグメント、及びCDR3領域を含む抗体から成る群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記抗体がヒト化されている、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記抗体がキメラ抗体である、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記作用物質がポリペプチドである、請求項20ないし25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記作用物質がペプチドである、請求項20ないし25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記作用物質が核酸分子である、請求項20ないし25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記核酸分子がアプタマーである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記核酸が干渉(inhibitory)RNA分子である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記干渉RNAが、核酸分子又はその一部を含む転写カセットによりコードされ、前記分子が、以下の:
i)表1に示される核酸配列により表される核酸分子、
ii)上記(i)における配列にハイブリダイズし、且つ結腸細胞の形質転換を開始又は促進するポリペプチドをコードする核酸分子、或いは
iii)上記(i)及び(ii)で定義される配列に対して、遺伝コードのため縮重している核酸分子
から成る群から選択され、前記カセットが、センス及びアンチセンス核酸分子がともに、前記カセットから転写されるように適合されている、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記カセットに、前記核酸分子のセンス及びアンチセンス鎖の両方を転写するように適合された少なくとも2つのプロモーターが提供される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記カセットが、核酸分子を含み、前記分子が、第2の部分に連結される第1の部分を含み、前記第1の部分及び前記第2の部分が、それらの配列の少なくとも一部にわたって相補的であり、さらに前記核酸分子の転写が、前記第1の部分及び前記第2の部分の相補的塩基対形成により二重鎖領域を形成するRNA分子を生じる、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記核酸分子が、アンチセンス核酸分子である、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
医薬品としての使用のための請求項26ないし31のいずれか1項に記載の方法により同定される抗体又はそれらの有効な結合部分。
【請求項42】
医薬品としての使用のための請求項32に記載の方法により同定されるポリペプチド。
【請求項43】
医薬品としての使用のための請求項32に記載の方法により同定されるペプチド。
【請求項44】
医薬品としての使用のための請求項34に記載の方法により同定される核酸分子。
【請求項45】
前記核酸分子がアプタマーである、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
前記核酸分子が阻害RNAである、請求項44に記載の使用。
【請求項47】
前記ス核酸分子がアンチセンス核酸分子である、請求項44に記載の使用。
【請求項48】
前記医薬品が、希釈剤、キャリア又は賦形剤をさらに含む、請求項41ないし47のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【公表番号】特表2007−518398(P2007−518398A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542011(P2006−542011)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005078
【国際公開番号】WO2005/054507
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(500085769)ユニヴァーシティー オヴ シェフィールド (7)
【Fターム(参考)】