説明

部分洗い用液体洗浄剤組成物

【課題】 綿などの親水性繊維に付着した汚れに加え、ポリエステルなどの疎水性繊維に付着した落ちにくい疎水性汚れに対しても良好な洗浄力を発揮し、また保存後の洗浄力低下が少ない部分洗い用液体洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】 塗布容器に収容された、部分洗い用液体洗浄剤組成物であって、該組成物が、
(A)ノニオン性界面活性剤;
(B)(b1)アルキレンテレフタレート単位及び/又はアルキレンイソフタレート単位と、オキシアルキレン単位及び/又は(b2)ポリオキシアルキレン単位とを有する水溶性ポリマー;及び
(C)有機酸あるいはその塩
を含有し、25℃での該組成物のpHが5〜8であることを特徴とする前記部分洗い用液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮脂汚れ及び油汚れなどの疎水性汚れ、特にポリエステルなどの疎水性繊維に付着した汚れの洗浄力に優れる部分洗い用液体洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体洗浄剤組成物は、衣類に付着した汚れに直接塗布できるため、落ちにくい部分的な皮脂汚れや油汚れを効果的に除去することが可能であるという利点がある。特に、落ちにくい汚れに対して塗布型容器を用いて液体洗浄剤を塗布し、刷掃する方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、これらの洗浄剤は綿など親水性の繊維に付着した汚れの洗浄力に優れているが、ポリエステルなどの疎水性繊維や、各種加工や加工剤の影響により疎水性が強まった繊維に付着した疎水性の汚れの洗浄力は充分ではなかった。
一方、この様に、落ちにくい疎水性繊維に付着した疎水性汚れを落とす手段として、例えば、ソイルリースポリマー(SR剤)と呼ばれる添加剤が挙げられ、過去に検討されてきた(例えば下記特許文献3〜5参照)。しかし、これらの洗浄力は塗布洗浄に比べて低い傾向がある。また、このような水溶性高分子と、油性汚れに対して優れた洗浄性能を示すノニオン性界面活性剤と容器を組み合わせた部分洗い用液体洗浄剤組成物(例えば、特許文献7:特開2001−181692号公報参照)が開示されているが保存により洗浄性能が低下してしまう問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開平9−279180号公報
【特許文献2】特開平11−61196号公報
【特許文献3】特開平7−166192号公報
【特許文献4】特開2000−239365号公報
【特許文献5】特開平9−169996号公報
【特許文献6】特開2001−181692号公報
【特許文献7】特開2001−181692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、剤を容器で塗布し直接汚れに作用させることにより、綿などの親水性繊維に付着した汚れに加え、ポリエステルなどの疎水性繊維に付着した落ちにくい疎水性汚れに対しても良好な洗浄力を発揮し、また保存後の洗浄力低下が少ない部分洗い用液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、塗布容器に収容された、部分洗い用液体洗浄剤組成物であって、該組成物が、
(A)ノニオン性界面活性剤;
(B)(b1)アルキレンテレフタレート単位及び/又はアルキレンイソフタレート単位と、オキシアルキレン単位及び/又は(b2)ポリオキシアルキレン単位とを有する水溶性ポリマー;及び
(C)有機酸あるいはその塩
を含有し、25℃での該組成物のpHが5〜8であることを特徴とする前記部分洗い用液体洗浄剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、綿などの親水性繊維に付着した汚れに加え、ポリエステルなどの疎水性繊維に付着した皮脂汚れや油性汚れ等の落ちにくい疎水性汚れに対しても優れた洗浄力を発揮し、また保存後の洗浄力低下が少ない部分洗い用液体洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(1)部分洗い用液体洗浄剤組成物
本発明の(A)成分としては、特に限定なく使用することができるが、下記一般式(1)で表されるノニオン性界面活性剤が好ましい。これらを1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
R−O−(CH2CH2O)n−H (1)
上記一般式(1)中の、Rは炭素数10〜18、好ましくは12〜16の直鎖、分岐鎖又は環状アルキル基又はアルケニル基である。この中でも洗浄力の点から、炭素数12〜15の直鎖アルキル基が好ましい。
nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、2〜10の数である。組成の安定性の点から、下限は2が好ましく、より好ましくは3であり、塗布洗浄力の点から上限は10が好ましく、より好ましくは8である。
【0008】
エチレンオキサイドの付加モル分布を示すナロー率は、香気、組成安定性の面から55%以上が好ましく、65%以上がより好ましい。
なお、本明細書においてナロー率(%)とは、ノニオン性界面活性剤の合計質量に対する、平均付加モル数±2の範囲にあるノニオン界面活性剤の合計質量を表す。ナロー率は、高速液体クロマトグラフィーを用いることで測定することができる。ナロー率の高いノニオン性界面活性剤は、例えばエチレンオキサイドを付加したナロー率の低い反応生成物から、蒸留等により必要分子量範囲のものを分取することにより得ることができる。具体的には例えば、特公平6−15038号公報記載の方法を用いれば、ナロー率の高いノニオン性界面活性剤を容易に得ることができる。
また、本発明で使用できるノニオン界面活性剤は、水分と未反応原料を含んでいてもよい。この場合、ノニオン界面活性剤含有率(%)は、ノニオン界面活性剤、水分及び未反応原料との合計重量を基準として、65%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましく、80%以上であるのが特に好ましい。
(A)成分としては、上記一般式(1)において、Rが炭素数12〜14のアルキル基であり、nが5〜6の数を示し、ナロー率が65%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上であるノニオン界面活性剤が特に好ましい。
(A)成分の具体例としては、原料アルコールとしてNeodol23あるいはC12,14アルコールなどを用い、特開2000−61304号公報の実施例1の触媒を用い、エチレンオキサイドを平均5〜6モル付加したものが挙げられる。
(A)成分の配合量は、本発明の部分洗い用液体洗浄剤組成物中に下限としては10質量%が好ましく、より好ましくは15質量%であり、上限としては40質量%が好ましく、より好ましくは30質量%である。(A)成分がこの範囲内にあると、疎水性汚れの塗布洗浄力に優れるので好ましい。
【0009】
本発明の(B)成分を構成する(b1)単位及び(b2)単位は以下の通りである。
(b1)単位
アルキレンテレフタレート単位は、下記一般式で表されるものである。




【0010】
【化1】

【0011】
式中、Rは低級アルキレン基であるが、例えば炭素数4以下、特に2〜4であることが好ましい。
アルキレンテレフタレート単位としては、具体的には、エチレンテレフタレート単位、n-プロピレンテレフタレート単位、イソプロピレンテレフタレート単位、n-ブチレンテレフタレート単位、イソブチレンテレフタレート単位、sec−ブチレンテレフタレート単位、tert−ブチレンテレフタレート単位等から1種または2種以上を用いることができ、中でもn-プロピレンテレフタレート単位が好ましい。
【0012】
アルキレンイソフタレート単位は、下記一般式で表されるものである。
【0013】
【化2】

【0014】
式中、Rは低級アルキレン基であるが、例えば炭素数4以下、特に2〜4であることが好ましい。
アルキレンイソフタレート単位としては、具体的には、エチレンイソフタレート単位、プロピレンイソフタレート単位、n-ブチレンイソフタレート単位、sec−ブチレンテレフタレート単位、tert−ブチレンイソフタレート単位、及びこれらの混合物が挙げられ、中でもプロピレンイソフタレート単位が好ましい。
なお、アルキレンテレフタレート単位とアルキレンイソフタレート単位とは通常混合物で得られる。
(B)成分中、(b1)単位から選ばれるものは、1種または2種以上含まれても良い。
【0015】
(b2)単位
オキシアルキレン単位とポリオキシアルキレン単位は、ともに一般式−(R'O)m−で表すことができる。式中、R'は低級アルキレン基であり、その炭素数は例えば4以下であることが好ましい。mは1以上の整数である。
すなわち、オキシアルキレン単位はmが1の場合であり、ポリオキシアルキレン単位はmが2以上の場合である。
オキシアルキレン単位及び/又はポリオキシアルキレン単位としては、mが1以上(mは、好ましくは5〜150、さらに好ましくは10〜100)のオキシアルキレン単位又はポリオキシアルキレン単位が好ましく、例えばオキシエチレン単位又はポリオキシエチレン単位;オキシプロピレン単位又はポリオキシプロピレン単位;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位等が挙げられるが、オキシエチレン単位又はポリオキシエチレン単位が好ましい。
(B)成分中、(b2)単位から選ばれるものは1種または2種以上含まれていてもよい。
【0016】
(b1)単位と(b2)単位とが、ランダムまたはブロックで重合している高分子化合物であることが好ましく、特にブロックで重合しているものが好ましい。
(B)成分は、これら必須の(b1)単位、(b2)単位以外の単位(例えば重合開始剤、重合停止剤等に由来する単位や、その他共重合可能な単位)を含んでいてもよいが、これら必須の単位によって、80モル%以上、好ましくは90モル%以上が形成されていることが好ましい。
(B)成分として好適なものの、具体的な構造を下記一般式で示す。なお、以下の一般式はテレフタレートであるがイソフタレートとの混合物でも良い。
【0017】
【化3】

【0018】
当該一般式において、A及びBはそれぞれ独立して、水素原子もしくはメチル基であるが、共にメチル基であるのが好ましい。
1は、炭素数2〜4のアルキレン基である。
2は、メチル基及び/または水素原子であるが、好ましくはメチル基が良い。
Xは、0〜10,好ましくは0.5〜5、特に好ましくは0.5〜2.5である。
yは、1〜100、好ましくは1〜80、より好ましくは1〜50、さらに好ましくは10〜50、特に好ましくは20〜30である。
X:yが、1:5〜1:20であるのが好ましく、1:8〜1:18であるのがより好ましい。
X,yがこのような範囲であると、ソイルリリース性能が十分に発揮され、かつ水に対する溶解性が向上するので好ましい。
なお、上記一般式において、Xの部分構造のうち、下記の構造のものが含まれても良い。
【0019】
【化4】

【0020】
式中、R2及びXは上で定義したのと同じである。
【0021】
(B)成分は、洗浄効果の点から重量平均分子量が好ましくは500以上のもの、より好ましくは800以上のもの、特に好ましくは1000以上のものが好ましい。一方水への溶解分散性の面から重量平均分子量の上限値は好ましくは8000以下、加えて保存中の性能維持の点からより好ましくは5000以下、特に4000以下が好ましい。
ここで重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)で溶媒をTHF(テトラヒドロフラン)で測定したとき、PEG(ポリエチレングリコール)を較正曲線に用い換算することにより測定することができる。
本発明で用いることのできる(B)成分の水溶性ポリマーは、40℃において、1000gの水に10gの高分子を添加、スターラー(太さ8mm、長さ50mm、1リットルビーカー)で200rpmにおいて12時間攪拌後に溶解している。
【0022】
(B)成分は、市販品を使用することもできるし、各種の文献、教科書及び特許等に開示の方法により合成することもできる。
市販品としては、商品名TexCareSRN−100(ドイツ、Clariant GmbH社製、重量平均分子量 3000)(以下、SRN−100と略記する。)、商品名TexCareSRN−300(ドイツ、ClariantGmbH社製、重量平均分子量 7000)(以下、SRN−300と略記する。)として市販されているものが挙げられる。特に好ましいのはTexCareSRN−100(ドイツ、Clariant GmbH社製)である。その理由は、水への溶解性が高く、保存後の洗浄性能の低下が少ないからである。
文献等に開示の方法としては、例えば、Journalof Polymer Science,第3巻,609〜630ページ(1948年)、Journal ofPolymer Science,第8巻,1〜22ページ(1951年)、特開昭61−218699号公報記載の方法を用いてもよく、それ以外の方法を用いて製造してもよい。
【0023】
(B)成分は、部分洗い用液体洗浄剤組成物中に好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.2〜2質量%の範囲で用いることが好ましい。この範囲外では性能が十分に発現しないか、コストの問題で好ましくない場合がある。
【0024】
本発明の(C)成分の有機酸としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、乳酸、安息香酸、サリチル酸、エチル安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸又はこれらの塩等が挙げられる。塩を形成する金属としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ土類金属があげられる。これらの中で、特に、組成物のpH安定化効果及び組成の保存安定性などの点からクエン酸、安息香酸又はそれらの塩が好ましい。
これらの(C)成分となる有機酸の含有量は、液体洗浄剤組成物全量中に0.5〜5質量%、好ましくは1〜3%含有する事が好ましい。この有機酸の量が0.5質量%未満であると、洗浄力低下の原因となる保存時のpHの低下防止効果が低下し、また5質量%を越えると析出することがあるので好ましくない。
【0025】
本発明の部分洗い用液体洗浄剤組成物には、(A)成分以外のノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合することができる。ノニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜18のアルキル基を有し、グルコースユニットの平均付加モル数1〜10のアルキルポリグルコシド、炭素数8〜18のアルキル基を有し、グリセリンユニットの平均付加モル数1〜3のアルキルグリセリルエーテル、炭素数10〜20の脂肪酸ジエタノールアミド、炭素数10〜18のアルキル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数1〜30のメトキシポリオキシエチレンアルカノエート等が挙げられる。
これらの(A)成分以外のノニオン性界面活性剤の配合量は、部分洗い用液体洗浄剤組成物中0〜10質量%の範囲が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜16のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有するアルキル硫酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有するα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有するα−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数1〜10のポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩等が挙げられる。
これらのアニオン性界面活性剤の配合量は、部分洗い用液体洗浄剤組成物中0〜10質量%の範囲が好ましい。
両性界面活性剤としては、炭素数10〜16のアルキル基を有するアルキルアミンオキサイド、炭素数10〜14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン等が挙げられる。
これらの両性界面活性剤の配合量は、部分洗い用液体洗浄剤組成物中0〜10質量%の範囲が好ましい。
【0026】
本発明の部分洗い用液体洗浄剤組成物には、必要に応じてその他任意成分(D)を配合することができる。
具体的にはハイドロトロープ剤として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール系溶剤、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸又はその塩やエタノール等のアルコール等が挙げられる。この中でも質量平均分子量400〜5000のポリエチレングリコール、パラトルエンスルホン酸及びその塩、エタノールが好ましい。粘度調整、組成安定性向上剤として下記一般式で表されるアクリル酸及び/又はメタクリル酸と、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルとを共重合させた化合物が好ましい。なお、共重合体はランダムでもブロック共重合体でもよい。
【0027】
【化5】

【0028】
(式中、A及びBは独立に、水素原子又はメチル基であり、Mは水素原子、Na、K等のアルカリ金属、アンモニウム又はジエタノールアミン等のアルカノールアミンであり、R1は炭素数1〜12、好ましくは1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基、又はベンジル基であり、a及びbは独立に任意の整数である。aとbは、モル比a/b=1/9〜9/1の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくはモル比a/b=2/8〜6/4の範囲である。)
【0029】
さらに、再汚染防止を目的として、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース等の再汚染防止剤を0〜2質量%、洗浄力向上を目的として、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ等の酵素を0〜1質量%、酵素安定化を目的として、ホウ酸、硼砂、蟻酸又はその塩、塩化カルシウム・炭酸カルシウム・硫酸カルシウム等のカルシウム塩類、又は安息香酸又はその塩0〜3質量%、風合い向上を目的として、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーンを0〜5質量%、白色衣料の白度向上を目的として、ジスチリルビフェニル型等の蛍光剤を0〜1質量%、液体洗浄剤組成物の着色を目的として、酸性染料等の色素を0.00001〜0.001質量%、香気安定化を目的として、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤を0.0001〜0.5質量%、防腐性を目的として、ケーソンCG/ICP等の抗菌剤を0〜0.05質量%配合することができる。また、芳香のための香料としては、特開2002−146399号公報記載の、香料成分、溶剤及び安定化剤を含有する香料組成物等が挙げられ、本発明の部分洗い用液体洗浄剤組成物中に0.01〜1質量%配合することができる。
【0030】
pH調整剤として、硫酸、水酸化ナトリウム等の無機酸及び無機塩基を配合することができる。本発明の液体洗浄剤組成物のpHは、疎水性汚れの塗布洗浄力、保存後の洗浄力維持の観点から5〜8であり、好ましくは6〜8、より好ましくは7〜8である。
本発明において、pHの測定は、ガラス電極を用い、緩衝液として3.33mol/LKClを用い、PS11瓶にサンプルを入れ恒温槽において25℃に調整してから行なう。
本発明の部分洗い用液体洗浄組成物は、使用性の観点から、PS11瓶にサンプルを入れ、ブルックフィールド型粘度計を用い、No.2ローターで60rpmで測定される粘度(25℃)が10mPa・s〜300mPa・sであるのが好ましく、30mPa・s〜200mPa・sであるのが好ましい。
本発明の特に好ましい態様は、
前記(A)成分が、一般式(1)において、Rが炭素数12〜14のアルキル基であり、nが5〜6の数を示し、ナロー率が65%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上であるノニオン界面活性剤であり、
前記(B)成分が、上記一般式において、X:yが1:5〜1:20、より好ましくは1:8〜1:18である水溶性ポリマーであり、
前記(C)成分が、クエン酸、安息香酸又はそれらのナトリウムであり、
25℃での該組成物のpHが7〜8である部分洗い用液体洗浄剤組成物を、
以下の説明するような容器に収容してなる組成物である。
本発明の部分洗い用液体洗浄剤組成物は常法に基づいて調製することができ、その使用方法は、衣類の襟や袖口に直接塗ってもよいし、水に溶かして衣類を浸漬してもよい。また、塗布後に適宜放置してその後、アニオン性界面活性剤を含有する洗濯液とともに洗浄してもよい。特に洗濯前処理剤として用いるのが好ましい。
【0031】
本発明の部分洗い用液体洗浄剤組成物は、上記部分洗い用液体洗浄剤組成物を容器に充填してなるものである。この容器としては、高分子粒体を加熱燒結することにより製造された、平均孔径100〜500μmの高分子硬質多孔体からなる塗布部分を有する容器、又は刷掃部分として高分子化合物よりなるブラシを有する容器が好ましい。部分洗い用液体洗浄剤組成物を上記容器に充填することにより、塗布しやすいだけでなく、刷掃力が加わるため洗浄力が向上する。
【0032】
(2)容器の構造
(2・1)容器の全体構造
本発明の部分洗い用液体洗浄剤組成物に用いられる容器の実施形態について、添付図面を用いて具体的に説明する。本発明の容器は、以下に説明するものに限定されるものではない。本発明の部分洗い用液体洗浄剤組成物に用いられる容器の一実施形態の縦断面図を図1に示す。図1を参照すると、容器10は、部分洗い用液体洗浄剤組成物16を収容するための容器本体11と、容器本体11の上方に配置され、部分洗い用液体洗浄剤組成物16を塗布するための塗布部材12と、塗布部材12を保護するためのキャップ13とを備える。
【0033】
(2・2)容器本体
更に図1を参照すると、部分洗い用液体洗浄剤組成物16が容器本体11の内部に収容される。容器本体11は、部分洗い用液体洗浄剤組成物16を塗布時に使用者が容器を握って使用することから、容器の使用性に関わる部分である。容器本体11は、開口部11aと、底部11bと、胴部11cとを有する。容器本体11は開口部11aを上側に配置して、底部11bを下側に配置して、水平面上に静置することができるような形態に構成される。容器本体11の断面形状は、開口部11a付近がほぼ円形であり、開口部11aから下方にむかって位置Aにかけて次第に横方向に細長い楕円形になり、位置Aよりも下方の位置Bで、位置Aにおける形状よりも横方向の長さが短い楕円形であり、位置Bよりも下方の位置Cで、断面積が最も大きくなっている。位置Bにおいて、容器を握って塗布するときに人差し指があたるように構成される。位置Bにおける容器の外周長さは16cm程度であり、位置Bにおける容器の厚みは1mm程度である。図示していないが、容器本体11の側面には滑り止めとして、複数の凹条部が形成されるのが好ましい。
【0034】
例えば、図1に示すように、ほぼ平坦になった部分が底部11bに設けられる。或いは、底部11bに3個以上の突起部を設け、これらの突起により容器本体11を静置することができるように構成してもよい。或いは、底部11bに1mm〜3mm程度の深さの凹みを設けて、内圧がかかって容器本体11が多少膨らんでも倒れにくい構造にするのが好ましい。この構成により、容器10を静置したときに、容器10の安定性を確保することができ、使用者が部分洗い用液体洗浄剤組成物16を塗布するときの使用性も良好にすることができる。容器本体11の底部11bを胴部11cより大きく構成し、底部11bを下側にして容器本体11を確実に静置することができるようにするのが好ましい。開口部11aの先端面11eは、底部11bに接触する基準平面(水平面)11hと平行になるように形成することもできるし、或いは、基準平面(水平面)11hに対して傾斜するように形成することもできる。
【0035】
図1に示す実施形態では、開口部11aの先端の端面が、基準平面(水平面)11hに対して傾斜するように形成された構造を示す。開口部11aの形状は円筒状であるのが好ましい。容器本体11において、開口部11aから下方の外周部には雄ねじ部11dが設けられる。開口部11aの大きさは特に規定しないが、開口部11aの先端の内径は、2cm〜3.5cmの範囲であれば、容器の製造性や、容器の収容物の詰め替え性の点で好ましい。図1に示す実施形態では、容器本体11において、開口部11aの先端面11eの中心軸線11fと、容器本体11の底部11bを含む基準平面(水平面)11hとの間のなす角度αは直角でないけれども、開口部11aの先端面11eの中心軸線11fと、容器本体11の底部11bを含む基準平面(水平面)11hとの間のなす角度αは、ほぼ直角であってもよい。あるいは、角度αは直角よりも大きな角度であってもよい。具体的には、角度αは、90°以上であって150°以下であるのが好ましく、90°以上であって135°以下であるのが一層好ましい。
【0036】
容器本体11は、例えば、ブロー成形によって成形された合成樹脂製のものである。容器本体11を形成する合成樹脂材料としては、熱可塑性樹脂が適しており、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等から自由に選ぶことができる。これらの熱可塑性樹脂の中で、容器本体11を形成する合成樹脂材料として、密度0.91〜0.93g/cm3の低密度ポリエチレン(LDPE)、密度0.94〜0.97g/cm3の高密度ポリエチレン(HDPE)、又は、LDPEとHDPEの混合物が好ましい。容器本体11は、表面を完全に遮光してもよいが、容器本体11の表面の一部又は全部において、200nm〜700nmの範囲の光透過率を10%以上にしてもよい。例えば、容器本体11の表面の一部に透明帯状の目盛りを付けて、容器本体11全面において液面のレベルが確認できるように構成すると、使用者が部分洗い用液体洗浄剤組成物16の詰替え時期を目視で確認することができ、使用性の点で好ましい。
【0037】
容器本体11は、顔料を用いて着色を施してもよい。含金属顔料としてフタロシアニン系顔料、含チタン顔料、酸化クロム、コバルト、シリカ、アルミナ等を、一般顔料として、アゾ系顔料、アントラキノン顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料等、有機顔料を用いることができる。さらに、酸化防止剤や帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤等のような一般的な容器用添加剤を、容器本体11を形成する材料に添加することもできる。
【0038】
(2・3)塗布部材
更に図1を参照すると、塗布部材12が容器本体11の開口部11aから下方の部分の外周部に取付けられる。塗布部材12は取付部12aと、上部12bとを有する。塗布部材12の取付部12aの内面には雌ねじ部12dが設けられる。塗布部材12の雌ねじ部12dは容器本体11の雄ねじ部11dに、ねじ込まれる。或いは、塗布部材12に雌ねじ部12dを設けず、容器本体11に雄ねじ部11dを設けることなしに、塗布部材12を容器本体11の外周部に圧入するように構成することもできる。
【0039】
図2および図3を参照すると、塗布部材12は、塗布部材本体21と、塗布部材本体21の上方に配置された塗布体22と、塗布体22を塗布部材本体21に固定するリング23とを備える。この構成により、塗布体22の形状を変えるだけで種々の用途に応じた塗布部材を容易に製造することができる。塗布部材本体21は、円筒状下部21aと、円筒状下部21aの上方に一体に設けられた円筒状上部21bと、円筒状上部21bの上端開口部を閉塞する仕切板21cと、仕切板21cの上面外周縁に一体に設けられた円形リング状ガード21dとを備える。容器本体11の雄ねじ部11d(図1参照)と着脱可能にねじ締めすることができる雌ねじ部21eが、円筒状下部21aの内周壁に形成される。後述するキャップ13の雌ねじ部(図示せず)と着脱可能にねじ締めすることができる雄ねじ部21fが、円筒状上部21bの外周壁に形成される。前述したように、塗布部材本体21は、容器本体11の開口部11aの下方の外周部に圧入するように構成することもできる。リング状凹陥部21hが、塗布部材本体21の円筒状上部21bの上端外周縁と、ガード21dの下端外周縁との間に形成される。リング状凹陥部21hはガード21d下に環状に形成される。
【0040】
複数の通液孔21gが、仕切板21cの外周縁近傍に周方向に沿って互いに等間隔に離間して形成される。図2に6個の通液孔21gを示すけれども、本発明において、通液孔21gの数や大きさに特に制限はない。通液孔21gの数は2個以上であるのが好ましい。通液孔21gの総面積は6mm2〜20mm2であるのが好ましく、9mm2〜20mm2となるように形成するのが特に好ましい。この構成により、部分洗い用液体洗浄剤組成物16を作業効率良く塗布対象物に塗布することができる。塗布体22は、部分洗い用液体洗浄剤組成物16を塗布対象物に塗り延ばす部分である。塗布体22は、高分子硬質多孔体、液流出孔を有する高分子硬質非多孔体のいずれで形成してもよいけれども、高分子硬質多孔体の塗布体を用いるのが好ましい。
【0041】
高分子硬質多孔体を用いた場合の塗布体22の構造を図2および図3に示す。高分子硬質多孔体で形成された塗布体22は、下方に位置した円柱状部22aと、円柱状部22aの上端に位置しかつ円形ドーム状を有して円柱状部22aと一体形成された塗布面部22bとを備える。リング状鍔部22cが、円柱状部22aの下端外周縁部に一体に設けられる。塗布面部22bの面積は0.1cm2〜30cm2であるのが好ましい。この構成により、部分洗い用液体洗浄剤組成物16を作業効率良く塗布対象物に塗布することができる。通液孔21gから塗布面部22bの最先端までの距離は5mm〜10mmであるのが好ましい。この構成により、部分洗い用液体洗浄剤組成物16が円柱状部22aから下方に流れるのを阻止することができる。
【0042】
高分子硬質多孔体は、例えば、高分子粒体を220〜260℃の温度で加熱燒結することにより製造するのが好ましく、230〜250℃の温度で加熱燒結することにより製造するのが一層好ましい。高分子粒体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリメタクリルレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリルアミド、ポリスルホン、ポリアクリル酸、ポリカーボネート等のポリマー種が挙げられる。これらの高分子粒体の中でも、ポリプロピレン及びポリエチレンが好ましい。部分洗い用液体洗浄剤組成物16は、高分子硬質多孔体の多孔連通路を流れて容器外に排出される。高分子粒体間に形成された高分子硬質多孔体の平均孔径は100μm〜500μmであるのが好ましく、150μm〜350μmであるのが一層好ましい。高分子硬質多孔体の平均孔径をこのような寸法にすることにより、容器本体11からの部分洗い用液体洗浄剤組成物16の流出性を望ましいものとすることができ、また、衣料等の被塗布体の汚れ部分に、ねらいどおりに塗布する塗布操作性を望ましいものとすることができる。なお、平均孔径は電子顕微鏡を用いて倍率100倍で観察し、高分子硬質多孔体の隙間10箇所の測定値の平均値で求めることができる。
【0043】
塗布面22bを、高分子硬質非多孔体で構成する場合、例えば、容器本体11に充填された部分洗い用液体洗浄剤組成物16を被塗布体に直接塗布するための塗布部上部に、前記容器の内部と外部とを連通する液流出孔を設ける。この液流出孔から流出した部分洗い用液体洗浄剤組成物16を、硬質塗布面により塗布することができる。硬質塗布面の直径は5mm〜30mmであるのが好ましく、15mm〜25mmであるのが一層好ましい。この構成により、部分洗い用液体洗浄剤組成物16を作業効率良く塗布対象物に塗布することができる。硬質塗布面を形成する材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリメタクリルレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリルアミド、ポリスルホン、ポリアクリル酸、ポリカーボネート等のポリマー種が挙げられる。この中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンが好ましい。
【0044】
塗布部材12のリング23は、リング下部23aと、リング下部23aの上に一体に設けられたリング上部23bと、リング下部23aの下端内周縁部に一体に設けられた環状の水平凸部23cと、リング下部23aとリング上部23bとの連絡部23dと、連絡部23dの下面に一体に設けられた環状の垂直凸部23eとを備える。環状の水平凸部23cは、塗布部材本体21のリング状凹陥部21hに着脱可能に嵌め込まれるように構成される。環状の垂直凸部23eは、リング23が塗布部材本体21に嵌着された際、ガード21dの内周面に当たるように構成される。リング23を塗布部材本体21に取り付けることにより、塗布体22を塗布部材本体21に固定することができるように構成される。塗布部材12の水平凸部23cをリング状凹陥部21hに嵌め込み、リング23を塗布部材本体21に固定することができるように構成される。
【0045】
塗布部材本体21、及び、リング23は、プラスチックを射出成形することにより形成することができる。ここで用いるプラスチックとしては、熱可塑性樹脂が適しており、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等から自由に選ぶことができる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、密度0.91〜0.93g/cm3の低密度ポリエチレン(LDPE)又は密度0.94〜0.97g/cm3の高密度ポリエチレン(HDPE)、もしくはLDPEとHDPEの混合物が好ましい。
【0046】
塗布部材本体21とリング23は、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。また、塗布部材本体21とリング23は、顔料を用いて着色を施してもよい。含金属顔料としてフタロシアニン系顔料、含チタン顔料、酸化クロム、コバルト、シリカ、アルミナ等を、一般顔料として、アゾ系顔料、アントラキノン顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料等、有機顔料を用いることができる。さらに、酸化防止剤や帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤等、一般的な容器用添加剤を塗布部材本体21を形成する材料、リング23を形成する材料に添加することもできる。
【0047】
(2・4)塗布部材の別の実施形態
図4および図5を参照すると、刷掃部分として高分子化合物で構成されたブラシを有する塗布部材の別の実施形態を示す。以下の説明は、本発明の塗布部材の別の実施形態が、本発明の前述した実施形態と異なる点を主に述べる。したがって、以下に記載がない個所は、本発明の前述した実施形態についての説明をここに準用する。容器100は、部分洗い用液体洗浄剤組成物16を収容するための容器本体11と、容器本体11の上方に配置され、部分洗い用液体洗浄剤組成物16を塗布するための塗布部材101と、塗布部材101を保護するためのキャップ13とを備える。容器100は、開口部11aが傾斜した容器本体11に塗布部材101が着脱可能にねじ締めされている。キャップ13が塗布部材101を覆って塗布部材101に着脱可能にねじ締めされている。容器本体11の材質等については、本発明の前述した実施形態と同様である。
【0048】
塗布部材101は、ブラシの円筒状下部110と、円筒状下部110に一体形成された環状結合部111と、環状結合部111に一体形成された仕切板112とを備える。仕切板112は、塗布部材101の上端開口部を覆うように設けられる。雌ねじ部110aが、円筒状下部110の内周面に形成される。雌ねじ部110aは、容器本体11の雄ねじ部にねじ締めすることができるように構成される。ブラシの円筒状上部111aが環状結合部111の上面に設けられる。雄ねじ部111bが円筒状上部111aの外周面に形成される。雄ねじ部111bは、キャップ13の内周面に形成された雌ねじ部にねじ締めすることができるように構成される。仕切板112は、外周縁部より中心に向けて下向きに傾斜する形状で、すり鉢状に形成される。凹部113が仕切板112の中心部に設けられる。容器本体11内の部分洗い用液体洗浄剤組成物16を流出させるための穴状通液部114が凹部113に形成される。円筒状区画壁115が凹部113を囲むように一体に設けられる。多数のブラシ毛116が、区画壁115の上端縁部上と、区画壁115を取り囲むように仕切板112上に設けられる。これらのブラシ毛116は、先端部が同一水平高さになるように、そろえて植毛されるのが好ましい。穴状通液部114から流出する液は、区画壁115内の液溜め部115aに流入し、さらに、液溜め部115aからブラシ毛116間に供給されるようになっている。塗布部材101をこのような構造にすることにより、例えば、靴下等の繊維製品の黒ずみ汚れに対する洗浄力を良好なものとすることができる。
【0049】
この別の実施形態では、塗布部はブラシであるが、通液孔面積が0.1mm〜5mmの穴状通液部114が塗布部に一箇所以上設けられる。この構成では、穴状通液部114の総面積は0.1mm2〜7mm2であるのが好ましく、0.2mm2〜5mm2であるのが一層好ましい。図5に示す構造では、部分洗い用液体洗浄剤組成物16の排出経路は1つの経路であり、穴状通液部114の断面積S114が液排出部の総面積となる。洗浄液の粘度にもよるが、液排出部の総面積が0.1mm2より小さいと液の出が悪くなり、かなり強くスクイズしなくてはならなくなる。液排出部の総面積が7mm2を超えると、液が出過ぎてポイントに塗りにくくなる。なお、塗布部材101に液溜め部115aを設けてもよいし、或いは、液溜め部115aを設けなくてもよい。
【0050】
汚れの除去効果が高く、繊維への損傷を避けるために、ブラシ毛の根元太さは0.5mm〜2mmであるのが好ましく、0.8〜1.5mmの範囲にあるのが一層好ましい。ブラシの毛の長さは5mm〜15mmであるのが好ましく、8mm〜13mmの範囲内にあるのが一層好ましい。。ブラシ毛先端部のブラシ面の直径は10mm〜30mmであるのが好ましい。さらに、ブラシ毛116のブラシ先端形状及びブラシの硬さが重要である。ブラシの先端角度θ(図5参照)は10度〜60度の範囲内にあるのが好ましく、20度〜40度の範囲内にあるのが一層好ましい。このような構造にすることにより、汚れの除去効果を高くすることができ、繊維への損傷を避けることができる。ブラシ毛先端部の断面形状は円形であってもよいし、多角形であってもよいけれども、三角形であるのが好ましい。
【0051】
ブラシ116は、高分子化合物で形成されるのが好ましい。ブラシ116を形成する材料として用いることができる高分子化合物材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリメタクリルレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリルアミド、ポリスルホン、ポリアクリル酸、ポリカーボネート等のポリマー種が挙げられる。これらの高分子化合物の中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート及びポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0052】
(2・5)キャップ
キャップ13は、塗布部材12、101を被覆保護するために、容器本体11に取り付けられる。キャップ13の形状は特に規定しないが、キャップ13は、非使用時の液の蒸発防止の構造や、転倒したときの液漏れ防止の構造を有するものが好ましい。また、キャップ13は、遮光性があるものであってもよいし、光透過性があるものであってもよいけれども、塗布部材12、101を確認することができる程度の光透過性があるのが好ましい。
【0053】
非使用時の部分洗い用液体洗浄剤組成物の蒸発を防ぐ構造や、転倒したときの液漏れを防ぐ構造として、キャップを容器本体11に取り付けたときに、液排出口を塞ぐ位置に突起物を設けることができる。例えば、図1に示す実施形態では、キャップ13は、塗布体12の液排出口を塞ぐ位置に、円柱状の突起物を有する。図4に示す実施形態では、キャップ13は、ブラシ付き塗布部材101の中心にある液排出口を塞ぐ位置に、棒状の突起物を有する。
【0054】
キャップ13を形成する樹脂材料として、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンポリマー、ポリエチレンテレフタレート等から自由に選ぶことができる。これらの中でも、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。キャップ13は、顔料を用いて着色を施してもよい。含金属顔料としてフタロシアニン系顔料、含チタン顔料、酸化クロム、コバルト、シリカ、アルミナ等を、一般顔料として、アゾ系顔料、アントラキノン顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料等有機顔料を用いることができる。さらに、酸化防止剤や帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤等一般的な容器用添加剤を、キャップ13を形成する樹脂材料に添加することができる。
【0055】
さらに、本発明の部分洗い用液体洗浄剤組成物は、使用する前に、詰め替えることを目的とした詰替容器に収容してもよい。詰替容器の形状は、袋状であってもよいし、ボトル状であってもよい。薄肉ボトルの場合、ボトル表面にリブ構造を有していてもよい。容器本体に簡易キャップを取り付けた詰替容器であってもよい。注ぎ口の形状は特に限定されない。詰替容器の樹脂材料としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンポリマー、ポリエチレンテレフタレート等から自由に選ぶことができる。
【0056】
袋状詰替容器は、公知の方法により製造できる多層積層構造を有する熱可塑性樹脂フィルムで構成されるのが好ましい。特にスタンディングパウチの場合、2層以上の積層素材がスタンディング性等の強度の点で適している。積層材質としては、直鎖状低密度ポリエチレン、延伸ポリプロピレン、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、延伸ナイロン、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。詰替容器の内側に直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、延伸ポリプロピレンを使用するのが好ましい。詰替容器の外側に延伸ナイロンや延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を使用するのが好ましい。2層の層構成の場合、詰替容器の内側に用いる樹脂として、上記の樹脂の中で直鎖状低密度ポリエチレンが特に好ましく、外側に用いる樹脂として、上記の樹脂の中で延伸ナイロン、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。3層の層構成の場合、詰替容器の最内層に用いる樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレンが特に好ましく、中間層に用いる樹脂として、延伸ポリプロピレン、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、延伸ナイロンが特に好ましく、最外層に用いる樹脂として、延伸ナイロン、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。また、フィルム層の層間にアルミ箔や着色層を挟み込んでもよい。薄肉ボトルの場合は、容積100ミリリットルあたり3g〜10gのポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂を使用するのが好ましい。
【0057】
詰替容器に使用する樹脂単層のガス透過性は、酸素透過率で10〜6000cm3/m2・24h・atmであるのが好ましく、二酸化炭素透過率で40〜20000cm3/m2・24h・atmであるのが好ましい(測定温度23℃、厚さ0.025mm換算)。多層構造にした場合、層全体の酸素透過率は5〜600cm3/m2・24h・atmであるのが好ましく、二酸化炭素透過率で10〜2000cm3/m2・24h・atmであるのが好ましい。
【0058】
詰替容器は、顔料を用いて着色を施してもよい。含金属顔料としてフタロシアニン系顔料、含チタン顔料、酸化クロム、コバルト、シリカ、アルミナ等を、一般顔料として、アゾ系顔料、アントラキノン顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料等有機顔料を用いることができる。さらに、酸化防止剤や帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤等一般的な容器用添加剤を詰替容器を形成する材料に添加することができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%を示し、表中の各成分の量は、香料組成物以外は純分としての配合量を示し、香料組成物は組成物としての配合量を示す。
[実施例1〜10,比較例1〜5]
表1〜表2に示す組成の部分洗い用液体洗浄剤組成物を常法に基づいて調製し、表中に示す容器に充填し、下記に示す評価方法により、モデル皮脂汚れ洗浄力、塗布操作性(塗布のしやすさ)。結果を表1〜2に併記する。
なお、表1〜表2に成分の詳細は、下記の通りである。
<(A)成分>
a−1:炭素数12〜13の1級アルコールエトキシレート〔エチレンオキサイドの平均付加モル数:5、ナロー率:86%、ノニオン性界面活性剤含有率:85%
a−1のノニオン界面活性剤の合成は、特開2000−61304号公報の評価方法Iに記載の方法に準じて行った。ここで、触媒として同公報の実施例1の触媒を用い、ラウリルアルコール400gの代わりにNeodol23(シェルケミカルズ(株)製)418gを用い、エチレンオキサイドの導入量を473gとして反応を行なった。反応終了後、得られた反応粗製物から触媒と助剤を濾別してa−1のノニオン界面活性剤を得た。
a−2:炭素数12、14の1級アルコールエトキシレート〔エチレンオキサイドの平均付加モル数:6、ナロー率:86%:ノニオン性界面活性剤含有率:85%
a−2のノニオン界面活性剤の合成は、C12,14アルコール(P&G(株)製)418g、エチレンオキサイドの導入量を568gとして反応を行った他はa−1の製造例と同様にして製造した。
a−3:炭素数12の直鎖1級アルコールエトキシレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数:5、ナロー率:42%、EMALEX705、日本エマルジョン(株)製)
なお、実施例における配合量は、ノニオン性界面活性剤の100%換算としての配合量である。
<(B)成分>
b−1:TexCareSRN−100
(ドイツ、Clariant GmbH社製、重量平均分子量 3000)
b−2:TexCareSRN−300
(ドイツ、ClariantGmbH社製、重量平均分子量 7000)
<(C)成分>
c−1:クエン酸3ナトリウム2水塩(扶桑化学工業(株)製)
c−2:安息香酸ナトリウム(株式会社伏見製薬所製)
<任意成分>
d−1:n−ドデシルジメチルアミンオキシド(ライオンアクゾ(株)製)
d−2:ポリエチレングリコール、PEG#1000(日本油脂(株)製)
d−3:95vol%合成エタノール(NEDO製)
d−4:パラトルエンスルホン酸(協和発酵工業(株)製)
d−5:Everlase 16L TYPE EX(Novozymes製)
d−6:レオアールMS−200(ライオン(株)製)
d−7:ケーソンCG(ローム・アンド・ハース社製)
香料組成物:特開2002−146399号公報記載の表11〜18記載の香料組成物A〜D
<容器>
容器1.燒結体部分を有する塗付容器
図1に示す容器。塗布部材が高分子粒体を加熱燒結することにより製造されたもの、塗布面が直径約17mmの高分子硬質多孔体(平均孔径200μm)であるもの。
(商品名:トッププレケアエリソデ用、ライオン(株)製)
容器2.ブラシ付き塗布容器
図4に示す容器。塗布部材がブラシ毛の長さが10mmであってブラシ面が直径約25mmである刷掃部であるもの。
(商品名:トッププレケア泥用、ライオン(株)製)
容器3.硬質塗布面を持つ塗布容器
組成物を被洗物に直接塗布するための塗布部材が容器の口部に取り付けられた取り付け部と、前記容器の内部及び外部を連通する液流出孔を有する塗布部とを有し、前記液流出孔から流出した部分洗い用液体洗浄剤組成物を直径約20mmの硬質塗布面によって塗布することのできる塗布部を容器に設置したもの。(商品名:チャーミーグリーン、ライオン(株)製)
(1)モデル皮脂汚れ洗浄力の評価方法
・汚垢布の調整
疎水性汚れの一つとしてモデル皮脂汚れを選択した。モデル皮脂汚れはオレイン酸0.45g、トリオレイン0.25g、コレステロールオレート0.195g、スクワレン0.04g、流動パラフィン0.04g、コレステロール0.025gからなるモデル皮脂をエタノール/クロロホルム=1/1(体積比)の溶媒9gに溶かし、洗浄率のインジケータとしてオイルレッドを0.001g添加し、よく分散させ、その0.2mLをポリエステル布(ポリエステルファイユ、4cm×4cm)に滴下して1日自然乾燥し、作成した。
・洗浄方法
このモデル皮脂汚れに対し、各塗布容器を用いて、部分洗い用液体洗浄剤組成物を汚れ部分に0.8mL枚ずつ塗布し、5分間放置した。この布及び1kgの綿製未着用肌シャツを粉末洗剤トップ(ライオン(株)製)を洗液濃度が667ppmとなるように添加した水道水(15℃、4゜DH)30リットルを入れた二槽式洗濯機(三菱電気(株)製、CW−C30A)に投入し、10分間洗浄した。次いで、1分間脱水後、水道水(15℃、4゜DH)30リットル中で3分間濯ぎの工程を2回繰り返し、1分間脱水後、室内で自然乾燥させた。
(2)モデル皮脂汚れ洗浄力の評価方法
モデル皮脂汚れ洗浄力は、汚れ付着前の原布及び塗布洗浄前後のモデル皮脂汚れ布のZ値を測色色差計(日本電色社製:SE2000)を用いて測定し、下記式を用いて洗浄率を求め(表1,表2には10枚の洗浄率の平均値で評価した)、下記評価基準で評価した。
洗浄率(%)=
(洗浄後のZ値−洗浄前のZ値)/(原布のZ値−洗浄前のZ値)×100
<洗浄力評価基準>
◎:洗浄率75%以上
○:洗浄率65%以上〜75%未満
△:洗浄率55%以上〜65%未満
×:洗浄率55%未満
(3)保存後洗浄力の評価
表1〜表2に示す組成の部分洗い用液体洗浄剤組成物を調製し、PS11瓶に100mL充填し、室温で30日間保存後、上記のモデル皮脂汚れの洗浄力試験に用い保存後洗浄力とした。
































【0060】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態において、容器を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態において、塗布部材を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態において、塗布部材を示す縦断面図である。
【図4】本発明の別の実施形態において、容器を示す縦断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態において、塗布部材を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0062】
10 容器
11 容器本体
11a 口部
12 塗布部材
13 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布容器に収容された、部分洗い用液体洗浄剤組成物であって、該組成物が、
(A)ノニオン性界面活性剤;
(B)(b1)アルキレンテレフタレート単位及び/又はアルキレンイソフタレート単位と、オキシアルキレン単位及び/又は(b2)ポリオキシアルキレン単位とを有する水溶性ポリマー;及び
(C)有機酸あるいはその塩
を含有し、25℃での該組成物のpHが5〜8であることを特徴とする前記部分洗い用液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記(A)ノニオン界面活性剤が、下記一般式(1)で表され、ナロー率が55%以上であることを特徴とするである、請求項1記載の部分洗い用液体洗浄剤組成物:
R−O−(CH2CH2O)n−H (1)
(式中、Rは炭素数10〜18の直鎖、分岐鎖又は環状アルキル基又はアルケニル基であり、nはエチレンオキサイドの平均付加モル数であり、2〜10の数を示す。)
【請求項3】
前記(B)成分が、下記一般式で表される水溶性ポリマーであることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の部分洗い用液体洗浄剤組成物:
【化1】

(式中、A及びBはそれぞれ独立して、水素原子もしくはメチル基であり、
1は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、
2は、メチル基及び/または水素原子であり、
Xは0〜10の数であり、yは1〜100の数である。)
【請求項4】
前記(B)成分の重量平均分子量が500〜8000である請求項3に記載の部分洗い用液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記(C)成分がクエン酸、安息香酸又はその塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の部分洗い用液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
前記(A)成分が、請求項2記載の一般式(1)において、Rが炭素数12〜14のアルキル基であり、nが5〜6の数を示し、ナロー率が65%以上であるノニオン界面活性剤であり、
前記(B)成分が、請求項3記載の一般式において、X:yが1:5〜1:20である水溶性ポリマーであり、
前記(C)成分が、クエン酸、安息香酸又はそれらのナトリウムであり、
25℃での該組成物のpHが7〜8である請求項1〜5のいずれか1項に記載の部分洗い用液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
容器が、高分子粒体を加熱燒結することにより得られる平均孔径100〜500μmの高分子硬質多孔体からなる塗布面を有する容器、高分子樹脂からなり液流出孔を有する高分子硬質非多孔体からなる塗布面を有する容器、又は刷掃部分として高分子樹脂よりなるブラシを有する容器であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の部分洗い用液体洗浄剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−8937(P2006−8937A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191510(P2004−191510)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】