説明

部品の実装方法

【課題】半導体チップの一面と半導体チップの一面よりも平坦度が劣るパッケージの接合面とを対向させ、これら両部材を、複数個の接合部材を介して接合する部品の実装方法において、パッケージの接合面の高さばらつきが大きいものであっても、複数個の接合部材を一括して適切に配置できるようする。
【解決手段】シート部材31と、複数個の開口部51を有する第1の型50と、第1の型50への組み付け時に各開口部51を貫通する複数個の突出部61を有する第2の型60とを用意し、第1の型50の上にシート部材31を載せ、第2の型60を第1の型50に組み付けて突出部61を開口部51に貫通させることにより開口部51の部分にてシート部材31を打ち抜き、突出部61の先端部によって、打ち抜かれた部分30を接合部材30としてパッケージ20の接合面21に押し付けて貼り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品と、一面が該部品の一面よりも平坦度に劣る基材とを用意し、これら部品の一面と基材の一面とを対向させ、当該一面間を接合部材を介して接合してなる部品の実装方法に関し、特に、部品の一面と基材の一面との間に設けられる接合部材の配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の半導体装置としては、たとえば、部品としての半導体チップの一面と基材としてのセラミックよりなるパッケージの一面とを対向させるとともに、これら半導体チップとパッケージとを、両部材の間に介在する複数個の接合部材を介して接合してなるものが提案されている(たとえば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
ここで、接合部材としては、導電性接着剤やバンプなどよりなるものが採用されている。そして、従来では、パッケージの一面上に、複数個の接合部材を1箇所ずつ塗布により配置し、その後、接合部材を介して半導体チップをパッケージ上に搭載して接合を行っていた。
【特許文献1】特開平8−307043号公報
【特許文献2】特開平9−181120号公報
【特許文献3】特開平11−8270号公報
【特許文献4】特開2000−208675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のように、複数個の接合部材を1個ずつ塗布して配置する方法では、接合部材の配置に時間がかかってしまい、好ましくない。ここで、本発明者は、従来の一般的な金属マスクを用いた印刷法により、複数個の接合部材を一括して配置することを考えた。
【0005】
図10は、本発明者の試作品を示すものであり、従来の印刷法に基づいて接合した半導体チップ10とパッケージ20との接合部の部分断面図である。図10に示されるように、パッケージ20の一面21には、複数個のパッケージ電極22が設けられ、半導体チップ10の一面11には、複数個のチップ電極12が設けられている。
【0006】
そして、これらパッケージ20の一面21と半導体チップ10の一面11とが対向して配置され、各一面11、21におけるパッケージ電極22とチップ電極12とが位置あわせされている。そして、これら両電極12、22の間は、導電性接着剤よりなる接合部材J30により接続されている。
【0007】
ここで、半導体チップ10の一面11は非常に平坦であるものの、パッケージ20はセラミックの焼成体で形成されるため、焼成による収縮ばらつきなどによって、パッケージ20の一面21の高さばらつきTは、非常に大きいものとなる。つまり、パッケージ20の接合面である一面21の平坦度は、半導体チップ10の一面11の平坦度よりも劣るものである。
【0008】
具体的には、パッケージ20の一面21における高さばらつきTは、当該一面21の最も高い部位と最も低い部位との差として、15μm以上であった。この程度の高さばらつきTは、一般的な表面形状測定方法を用いて本発明者が検討したところ、通常のセラミックパッケージにおいて典型的な大きさである。
【0009】
このような高さばらつきTの大きなパッケージ20の一面21に、従来の印刷法によって接合部材30を配置した場合、図10に示されるように、パッケージ20の一面21において低い位置に存在するパッケージ電極22とこれに対向するチップ電極12との間では、接合部材30の高さが不足して接触がなされず、電気的な接合がなされない場合が起こりうる。
【0010】
また、パッケージは、箱形など種々の形状を採るものであり、従来の印刷法では、硬い板状のマスクをパッケージの一面側の形状に合わせて配置することが難しいという問題も生じる。こうしたことから、従来では、1箇所ごとに接合部材を配置し、各接合部材の高さを接合に十分な程度に制御していた。
【0011】
なお、上記したような問題は、上述したセラミックよりなるパッケージに半導体チップをフリップチップ接合してなる実装方法に限られるものではなく、部品の一面よりも当該部品が搭載・接合される基材の接合面の方が、平坦度が劣るものであれば、共通して発生すると考えられる。
【0012】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、部品の一面と部品の一面よりも平坦度が劣る基材の一面とを対向させ、これら両部材を、当該両部材の間に介在する複数個の接合部材を介して接合する部品の実装方法において、基材の接合面の高さばらつきが大きいものであっても、複数個の接合部材を一括して適切に配置できるようすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、接合部材(30)の素材であるシート状をなすシート部材(31)と、複数個の接合部材(30)と同じ配置パターンに形成された複数個の開口部(51)を有する第1の型(50)と、第1の型(50)に組み付けられたときに各開口部(51)を貫通する複数個の突出部(61)を有する第2の型(60)とを用意し、
各開口部(51)を覆うように第1の型(50)の上にシート部材(31)を載せるとともに、シート部材(31)の上方から、第2の型(60)を第1の型(50)に組み付けて突出部(61)を開口部(51)に貫通させることにより、開口部(51)の部分にてシート部材(31)を打ち抜き、突出部(61)の先端部によって、シート部材(31)の打ち抜かれた部分(30)を基材(20)の一面(21)に押し付けて貼り付け、しかる後、貼り付けられたシート部材の部分(30)を介して、基材(20)の一面(21)上に部品(10)を搭載することを、第1の特徴とする。
【0014】
それによれば、複数個の接合部材(30)となるシート部材(31)の打ち抜かれた部分(30)を、それぞれ、突出部(61)の先端部によって基材(20)の一面(21)に押し付けるようにしているため、この押し付けによって複数個の接合部材(30)を変形させ、これら接合部材(30)の高さを制御することができる。よって、基材(20)の接合面(21)の高さばらつきが大きいものであっても、複数個の接合部材(30)を一括して適切に配置することができる。
【0015】
ここで、上記第1の特徴を有する実装方法においては、複数個の接合部材(30)が配置されるべき部位に開口部(51)が位置するように、基材(20)の一面(21)上に第1の型(50)を配置した後、この状態で上記のシート打ち抜き工程とシート貼り付け工程を連続して行うようにしてもよい。
【0016】
それによれば、シート部材(31)の打ち抜きと、打ち抜かれた部分(30)の基材(20)の一面(21)への貼り付けとを連続して行うことができ、工程の簡略化が可能となる。
【0017】
また、上記第1の特徴を有する実装方法においては、部品(10)として、第1の部品(10a)と第2の部品(10b)とを備えるものであり、第1の部品(10a)、第2の部品(10b)のそれぞれが接合される基材(20)の一面(21a、21b)は、互いに高さが異なるものである場合に、第2の型(60)として、互いの高さが異なる基材(20)の一面(21a、21b)のうち高い方については短く、低い方については長くなるように、複数個の突出部(61)の長さを変えたものを、用いてもよい。
【0018】
それによれば、高さの違う基材(20)の一面(21a、21b)に別々の部品(10a、10b)を搭載する場合であっても、当該高さの違う一面(21a、21b)間で一括して複数個の接合部材(30)を配置することができる。
【0019】
また、上記第1の特徴を有する実装方法においては、シート貼り付け工程を、シート部材(31)の打ち抜かれた部分(30)を軟化させた状態にて行うようにすれば、当該打ち抜かれた部分(30)が、基材(20)の一面(21)に押し付けられるときに変形しやすくなり、高さ制御が容易になるとともに当該一面(21)に貼り付きやすくなるため、好ましい。
【0020】
この場合、打ち抜かれた部分(30)の軟化は、第2の型(60)および基材(20)のどちらか一方のみ、または、両方を当該軟化温度以上に加熱することにより行うことができる。
【0021】
また、本発明は、複数個の接合部材(30)と同じ配置パターンに形成された複数個の突出部(71)を一面側に有する型部材(70)を用意し、この型部材(70)における各突出部(71)の先端部に接合部材(30)を取り付けた後、基材(20)の一面(21)と型部材(70)の一面とを対向させた状態で、基材(20)の一面(21)上に型部材(70)を配置し、続いて、突出部(71)の先端部によって、接合部材(30)を基材(20)の一面(21)に押し付けて貼り付け、しかる後、部品(10)の一面(11)を基材(20)の一面(21)に対向させつつ、接合部材(30)を介して、基材(20)の一面(21)上に部品(10)を搭載することを、第2の特徴とする。
【0022】
それによれば、複数個の接合部材(30)のそれぞれを、型部材(70)の突出部(71)の先端部によって基材(20)の一面(21)に押し付けるようにしているため、この押し付けによって複数個の接合部材(30)が変形し、その高さを制御することができる。よって、基材(20)の接合面(21)の高さばらつきが大きいものであっても、複数個の接合部材(30)を一括して適切に配置することができる。
【0023】
ここで、この第2の特徴を有する実装方法においては、部品(10)として、第1の部品(10a)と第2の部品(10b)とを備えるものであり、第1の部品(10a)、第2の部品(10b)のそれぞれが接合される基材(20)の一面(21a、21b)は、互いに高さが異なるものである場合に、型部材(70)としては、互いの高さが異なる前記基材(20)の一面(21a、21b)のうち高い方については短く、低い方については長くなるように、複数個の突出部(71)の長さを変えたものを、用いるようにしてもよい。
【0024】
それによれば、高さの違う基材(20)の一面(21a、21b)に別々の部品(10a、10b)を搭載する場合であっても、当該高さの違う一面(21a、21b)間で一括して複数個の接合部材(30)を配置することができる。
【0025】
また、上記第2の特徴を有する実装方法においては、接合部材(30)として、シート状をなすシート部材(31)を切り取ったものを用い、この接合部材(30)を型部材(70)における各突出部(71)の先端部に貼り付けることにより取り付けるようにしてもよい。
【0026】
それによれば、塗布する場合に比べて、各接合部材(30)の型部材(70)への取り付けが容易になり、作業効率の向上が図れるとともに、各接合部材(30)の形状を安定して形作ることが可能になる。
【0027】
また、本発明は、複数個の接合部材(30)と同じ配置パターンに形成された複数個の開口部(81)を有するマスク部材(80)を用意し、複数個の接合部材(30)が配置されるべき部位に開口部(81)が位置するように、基材(20)の一面(21)上にマスク部材(80)を配置するとともに、このマスク部材(80)を基材(20)の一面(21)に押し付けて、マスク部材(80)が当該一面(21)の起伏形状を承継するように変形させ、この状態で接合部材(30)を、開口部(81)を介して印刷することを、第3の特徴とする。
【0028】
それによれば、基材(20)の接合面(21)の高さばらつきが大きいものであっても、複数個の接合部材(30)を一括して適切に配置することができる。
【0029】
この第3の特徴を有する実装方法においては、マスク部材(80)として、基材(20)への押し付け時に開口部(81)が狙いの開口面積となるように、開口部(81)の開口面積を当該狙いの開口面積よりも大きめにしたものを用いることが好ましい。それによれば、精度のよい接合部材(30)の配置が可能となる。
【0030】
また、上記各実装方法においては、基材(20)の一面(21)に存在する高さばらつきは、当該一面(21)における最も高い部位と最も低い部位との差として15μm以上のものを採用できる。また、部品としては半導体チップ(10)、基材としてはセラミックよりなるパッケージ(20)を採用できる。
【0031】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0033】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る部品の実装構造としての半導体装置S1の全体の概略断面構成を示す図であり、図2は、図1中の半導体装置S1の概略上面図であり、当該半導体装置S1において蓋26を取り外した状態を示している。
【0034】
[実装構造等]
この半導体装置S1は、大きくは、部品としての半導体チップ10と基材としてのパッケージ20とを接合部材30を介して電気的に接続するとともに、半導体チップ10をパッケージ20に収納したものである。
【0035】
ここで、半導体チップ10は、通常の半導体プロセスにより形成されたシリコン半導体チップなどよりなる板状のものであり、具体的には、回路チップや、加速度や角速度などを検出するセンサチップなどとして構成されたものである。この半導体チップ10の一面11には、アルミニウム(Al)や金(Au)などよりなるチップ電極12が複数個設けられている。
【0036】
なお、接合部材30は、これら複数個のチップ電極12とこれに対向するパッケージ電極22との間に介在し、これら両電極12、22を電気的に接続している。これらパッケージ電極22および接合部材30の詳細については後述する。
【0037】
ここで、図2では、接合部材30は破線円にて示し、これによって接続された両電極12、22は省略してあるが、実際には、当該両電極12、22の位置は、図2に示される接合部材30の位置に対応している。
【0038】
また、パッケージ20はセラミックを焼成してなるものである。ここでは、パッケージ20は、アルミナなどのセラミック層が複数積層された積層基板として構成されており、半導体チップ10を収納する空間となる開口部25を有するものである。このような積層基板は、セラミックのグリーンシートに、導電ペーストを印刷して配線パターンを形成した後、これらを積層して焼成することにより作製される。
【0039】
このパッケージ20においては、図1および図2に示されるように、接合面21が備えられている。このパッケージ20の接合面21は、半導体チップ10が搭載される面であって半導体チップ10と電気的な接合を行う面である。ここでは、パッケージ20の開口部25の側面に段差が設けられており、この段差部分の面21が接合面21として構成されている。
【0040】
そして、この接合面21には、複数個のパッケージ電極22が設けられている。このパッケージ電極22は、パッケージ20内部に位置するスルーホールとして構成された内層配線23を介して、パッケージ20の裏面(図1中の下面)側に位置する裏面電極24と電気的に接続されている。
【0041】
なお、これらパッケージ電極22および裏面電極24は、パッケージ20における表層の電極であって金などよりなるものであり、一方、内層配線23は、たとえばタングステンにニッケル金メッキを施したものよりなる。このようなパッケージ20における各電極や配線22〜24は、上記した積層基板の作製工程において通常の手法により形成することが可能である。
【0042】
そして、図1および図2に示されるように、本実施形態の半導体装置S1においては、半導体チップ10の一面11とパッケージ20の接合面21とが対向して配置されており、個々のチップ電極12とパッケージ電極22とが一致するように位置合わせされた状態となっている。このような状態で、半導体チップ10がパッケージ20の開口部25内に搭載されている。
【0043】
そして、上述したが、互いに対向する個々のチップ電極12とパッケージ電極22との間には、それぞれ接合部材30が介在しており、この接合部材30により両電極12、22同士が電気的に接続されている。また、この接合部材30により、半導体チップ10は接合面21上に固定され支持されている。
【0044】
ここで、図3は、これらチップ電極12とパッケージ電極22との接合部材30を介した接合部の拡大断面図である。
【0045】
本実施形態では、パッケージ20を、セラミックを焼成してなるものとしているがゆえに、焼成前に比べてパッケージ20に収縮が発生する。そして、このとき、収縮ばらつき、特に、内層配線23などの異種材料が混在することによる収縮の差などに起因するばらつきが発生する。
【0046】
それゆえ、本実施形態においても、上述したように、パッケージ20の接合面21には、高さばらつきTが存在する。図3では、接合面21に位置する複数個のパッケージ電極22のうち最も高い位置にあるパッケージ電極22aと、最も低い位置にあるパッケージ電極22bとが示されている。
【0047】
つまり、図3では、パッケージ20の接合面21における最も高い部位と最も低い部位との差として、当該接合面21における最大の高さばらつきTが示されており、この最大の高さばらつきTは、この種のセラミックパッケージの典型的な値として通常15μm以上になる。
【0048】
一方、半導体チップ10の一面11の高さばらつきは、このパッケージ20の接合面21よりも1桁以上小さい。この高さばらつきは、一般的な表面形状測定方法により計測可能なものであり、高さばらつきが大きいものは平坦度に劣り、高さばらつきが小さいものは平坦度に優れるといえる。つまり、パッケージ20の接合面21は、これに対向する半導体チップ10の一面11よりも平坦度に劣るものである。
【0049】
接合部材30は、本実施形態では、導電性を有するシートを採用している。このようなシートは、エポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂に銀や銅などの導電性のフィラーを介在させシート状に成形したものであり、加熱により硬化して電気的・機械的な接合を行うものである。また、このようなシートよりなる接合部材30は、100℃以下で軟化するものが好ましい。
【0050】
そして、この接合部材30によりパッケージ20の接合面21に存在する高さばらつきTが吸収され、複数個の接合部材30のすべてにおいて、半導体チップ10の一面11とパッケージ20の接合面21とが適切に接合されている。
【0051】
つまり、本実施形態では、複数個のパッケージ電極22のうち最も高い位置にあるパッケージ電極22aと最も低い位置にあるパッケージ電極22bを含めて、すべてのパッケージ電極22が、それぞれに対向するチップ電極12に対して接合部材30を介して接触し、電気的に接続されている。
【0052】
また、図1に示されるように、パッケージ20の開口部25には、蓋26が取り付けられている。この蓋26は、溶接やロウ付けなどにより形成された接合部26aを介してパッケージ20に固定されている。この蓋26は、金属、樹脂、セラミックなど何でもよく、そして、この蓋26によってパッケージ20の内部が封止され、半導体チップ10は外部から保護されている。
【0053】
[実装方法等]
次に、図4を参照して本実施形態の半導体装置S1における半導体チップ10のパッケージ20への実装方法について述べる。図4(a)〜(d)は、上記図3に対応した断面にて本実施形態の実装方法を示す工程図である。
【0054】
つまり、図4においても、パッケージ20の接合面21に位置するパッケージ電極22のうち最も高い位置にあるパッケージ電極22aと、最も低い位置にあるパッケージ電極22bとが示され、高さばらつきTとして最大値が示されている。
【0055】
本実施形態の実装方法では、まず、上記図1および図2に示したような一面11に複数個のチップ電極12を有する部品としての半導体チップ10と、セラミックを焼成してなり接合面21に複数個のパッケージ電極22を有する基材としてのパッケージ20とを用意する。
【0056】
また、図4(a)に示されるように、本実施形態のシート状の接合部材30の素材として、シート状をなすシート部材31を用意する。このシート部材31は、後述する型50、60により打ち抜かれることで、この打ち抜かれた部分30が接合部材30となるものである。
【0057】
したがって、シート部材31は、上記した接合部材30と同様の導電性の樹脂シートよりなるものである。また、このシート部材31の厚さとしては、接合面21における最大の高さばらつきTと、接合性を確保するのに必要な高さとを、足し合わせた寸法が最低限必要な厚さである。
【0058】
また、図4(a)、(b)に示されるように、複数個の開口部51を有する第1の型50と、第1の型50に組み合わされたときに各開口部51を貫通する複数個の突出部61を有する第2の型60とを用意する。
【0059】
ここで、第1の型50において、開口部51は、パッケージ20の接合面21における複数個の接合部材30と同じ配置パターンに形成された貫通穴である。具体的に、この開口部51の配置パターンは、上記図2に示される接合部材30の配置パターンと同様のものである。
【0060】
このような第1の型50および第2の型60としては、たとえば、第1の型50が開口部51を有する金属製板状をなすものであり、第2の型60は、一面のうち各開口部51に対向する位置に突出部61が設けられた金属製板状のものにできる。そして、これら両型50、60の組み合わせ時には、各突出部61がこれに対応する各開口部51を貫通するものである。
【0061】
このような型50、60を用いて、本実装方法では、まず、各開口部51を覆うように第1の型50の上にシート部材31を載せる(図4(a)参照)。そして、図4(b)に示されるように、シート部材31の上方から、第2の型60を第1の型50に組み付けて突出部61を開口部51に貫通させる。それにより、開口部51の部分にてシート部材31を打ち抜く(シート打ち抜き工程)。
【0062】
このとき、第2の型60の突出部61の長さは、第1の型50の開口部51の深さ(第1の型50の板厚)よりも大きいため、突出部61により打ち抜かれて当該突出部61の先端部に貼り付いているシート部材31の部分30は、第1の型50の上に残っているシート部材31とは、完全に切り離された状態となり、接合部材30として構成されることになる。
【0063】
次に、この図4(c)に示されるシート部材31を打ち抜いた状態にある両型50、60を、パッケージ20の接合面21の上に配置する。そして、突出部61の先端部によって、打ち抜かれた部分30すなわち接合部材30を、パッケージ20の接合面21のパッケージ電極22に押し付けて貼り付ける(シート貼り付け工程)。
【0064】
なお、このシート貼り付け工程は、シート部材31の打ち抜かれた部分30を軟化させた状態にて行うことが好ましい。具体的には、この打ち抜かれた部分30の軟化は、第2の型60もしくはパッケージ20、またはこれらの両方を、ヒータなどによって当該軟化温度以上に加熱することにより行う。
【0065】
その後は、型50、60を、打ち抜かれたシート部材30すなわち接合部材30から剥がし、パッケージ20上から取り除く。それにより、図4(d)に示されるように、パッケージ20の接合面21に、複数個の接合部材30が配置された状態となる。
【0066】
次に、半導体チップ10の一面をパッケージ20の接合面21に対向させつつ、当該接合面21に貼り付けられたシート部材の部分30すなわち接合部材30を介して、当該接合面21上に半導体チップ10を搭載する(搭載工程)。
【0067】
その後、接合部材30の加熱による硬化を行う。この加熱条件は、一般的な熱硬化性樹脂よりなる接合部材における条件と同様である。こうして、複数個の接合部材30を介して半導体チップ10の一面11とパッケージ20の接合面21とが接合され、上記実装構造が完成する。その後は、上記蓋26の取付などを行うことで、本実施形態の半導体装置S1ができあがる。
【0068】
ところで、上記実装方法によれば、複数個の接合部材30すなわちシート部材31の打ち抜かれた部分30を、それぞれ、第2の型60の突出部61の先端部によってパッケージ20の接合面21に押し付けるようにしている。
【0069】
そのため、上記したように、パッケージ20の接合面21に大きな高さばらつきTが存在していても、接合面21の全体において接合部材30が適切に貼り付く。また、この押し付けの度合(強弱)を制御することによって複数個の接合部材30の変形度合を制御すれば、これら接合部材30の高さを制御することができる。
【0070】
また、第2の型60のすべての突出部61の先端面の水平度を、実質的に水平面に近いものとなるようにすれば、図4(d)に示されるように、各接合部材30の上面の高さを実質的に同一に揃えることができる。各接合部材30の上面は、高さばらつきが比較的少なく平坦な半導体チップ10の一面11と接合される面であるため、当該上面の高さを揃えることが重要である。
【0071】
よって、本実施形態によれば、パッケージ20の接合面21の高さばらつきTが大きいものであっても、当該接合面21上に、複数個の接合部材30を一括して適切に配置することができる。
【0072】
特に、上述したように、この種のセラミックよりなるパッケージ20では、接合面21に存在する高さばらつきTは、当該接合面21における最も高い部位と最も低い部位との差として15μm以上のものが通常であり、この高さばらつきTが15μmよりも大きくなるにつれて、本実施形態の有効性が増していく。
【0073】
また、上記したが、本実施形態の実装方法において、シート貼り付け工程を、シート部材31の打ち抜かれた部分30を軟化させた状態にて行うようにすれば、当該打ち抜かれた部分30が、パッケージ20の接合面21に押し付けられるときに変形しやすくなる。その結果、各接合部材30の高さ制御が容易になる。また、軟化することにより接合部材30がパッケージ20の接合面21に貼り付きやすくなる。
【0074】
なお、上記実装方法では、上記図4(b)に示される状態、すなわち型50、60によって打ち抜かれた状態のシート部材31を型50、60とともに、パッケージ20の接合面21上に配置して、シート貼り付け工程を行っている。つまり、シート打ち抜き工程とシート貼り付け工程とを別々の場所にて行っている。
【0075】
それに対して、あらかじめ、パッケージ20の接合面21において複数個の接合部材30が配置されるべき部位に開口部51が位置するように、パッケージ20の接合面21上に第1の型50を、配置した後に、上記のシート打ち抜き工程、シート貼り付け工程を連続して行ってもよい。
【0076】
つまり、本実施形態では、シート部材31を載せた第1の型50を、パッケージ20の接合面21においてパッケージ電極22と第1の型50の開口部51とが一致するように、パッケージ20の上に配置し、この状態で、第2の型60による上記打ち抜き、上記貼り付けを行ってもよい。
【0077】
それによれば、シート部材31の打ち抜きと打ち抜かれた部分30すなわち接合部材30のパッケージ20の接合面21への貼り付けとを連続して行うことができ、工程の簡略化が可能となる。
【0078】
さらに、本実施形態では、上記実装方法において、図4(b)に示される状態から、打ち抜かれた接合部材30とともに第2の型60を、第1の型50から、いったん外し、突出部60の先端部に接合部材30が貼り付いた状態の第2の型60のみを、パッケージ20の接合面21上に配置した後、当該接合面21に対して接合部材30を押しつけるようにしてもよい。
【0079】
(第2実施形態)
図5(a)、(b)、(c)は、本発明の第2実施形態に係る半導体チップ10の基材20への実装方法を示す概略断面図である。本実施形態は、上記第1実施形態と同様に、シート部材31、第1および第2の型50、60を用いた実装方法を採用し、その一部を変形したものである。ここでは、相違点を中心に述べる。
【0080】
本実施形態では、図5(c)に示されるように、半導体チップ10は、第1の半導体チップ10aと第2の半導体チップ10bとを備えるものである。また、基材20は、接合面21として、高さの異なる第1の接合面21aと第2の接合面21bとを備えるものである。
【0081】
そして、第1の半導体チップ10aは、その一面11を比較的高い第1の接合面21aに対向させ、第2の半導体チップ10bは、その一面11を比較的低い第2の接合面21bに対向させ、それぞれ接合部材30を介して接合されるものである。
【0082】
ここで、基材20は、第1の接合面21aを構成する部分と第2の接合面21bを構成する部分との間に段差などを有することで両接合面21a、21bの高低差を実現する一体成形品であってもよいが、それぞれの接合面21a、21bを構成する部分が別々の部品であってもよい。
【0083】
この場合、本実施形態の基材20は、厚さや高さなどが異なる複数個の部品の集合体として構成される。具体的には、パッケージと回路基板との集合体を基板20として構成してもよく、この場合、パッケージの接合面と回路基板の接合面との高さを、互いに異なるものにできる。
【0084】
さらに、第1の接合面21a、第2の接合面21bのそれぞれ1つの面については、当該1つの面内にて上記第1実施形態に示したような高さばらつきが存在するものであり、各接合面21a、21bに対する高さばらつきの対策については、本実施形態においても、上記第1実施形態にて述べた方法を採用する。
【0085】
ここで、本実施形態では、各接合面21a、21bの高さは、上記高さばらつき以上に大きいものであり、このように高さが大きく異なる2種類の接合面21a、21bに、それぞれ、別々の半導体チップ10a、10bを、接合部材30を介して接合する実装方法を提供するものである。
【0086】
すなわち、本実施形態の実装方法では、図5に示されるように、第2の型60の複数個の突出部61を、互いの高さが異なる基材20の接合面21a、21bのうち高い方の第1の接合面21aに対応するものについては短くし、低い方の第2の接合面21bに対応するものについては長くしている。
【0087】
そして、本実装方法では、このような突出部61の長さを異ならせた第2の型60を用いて、上記第1実施形態と同様に、シート打ち抜き工程(図5(a)参照)、シート貼り付け工程(図5(b)参照)を行う。
【0088】
その後は、基材20における各接合面21a、21bに、それぞれ半導体チップ10a、10bを、接合部材30を介して搭載し、接合部材30の硬化を行う。こうして、図5(c)に示されるような本実施形態の実装構造ができあがる。
【0089】
本実施形態の実装方法によれば、互いの高さの違う基材20の2つの接合面21a、21bに別々の部品10a、10bを搭載する場合であっても、各接合面21a、21b間で一括して複数個の接合部材30を配置することができる。
【0090】
また、各接合面21a、21bの1つ1つをみたときの実装については上記第1実施形態と同様の効果が得られる。このことについて、さらに述べておくと、上記高い方の接合面21aに対して複数個の接合部材30を配置する場合、第2の型60の突出部61のうち当該高い方の接合面21aに対応する複数個の突出部61の長さは、上記第1実施形態と同様に実質的に同一のものとする。
【0091】
また、上記低い方の接合面21bに対して複数個の接合部材30を配置する場合、第2の型60の突出部61のうち当該低い方の接合面21bに対応する複数個の突出部61の長さは、上記第1実施形態と同様に実質的に同一のものであって且つ上記高い方の接合面21aに対応する複数個の突出部61の長さよりも長いものとする。
【0092】
このような第2の型60を用いることにより、各接合面21a、21bにおけるそれぞれの高さばらつきに対処した接合部材30の配置を可能としつつ、互いに高さの異なる接合面21aと21bとの間にて接合部材30を一括して配置することができる。
【0093】
(第3実施形態)
図6(a)、(b)、(c)は、本発明の第3実施形態に係る半導体チップ10のパッケージ20への実装方法を示す概略断面図である。本実施形態は、上記第1実施形態と同様に、高さばらつきを有するパッケージ10の接合面21上に、接合部材30を介して、半導体チップ10を接合する実装方法を提供するものである。
【0094】
本実施形態の実装方法では、上記第1実施形態と同様に、部品としての半導体チップ10と、基材としてのパッケージ20とを用意する。また、図6に示されるように、パッケージ20の接合面21における複数個の接合部材30と同じ配置パターンに形成された複数個の突出部71を一面側に有する型部材70を用意する。この型部材70は、たとえば、上記第1実施形態における第2の型60と同様のものにできる。
【0095】
そして、図6(a)に示されるように、この型部材70における各突出部71の先端部に接合部材30を取り付ける。接合部材30としては、上記第1実施形態に述べたシート部材31を切り取ったものを用いる。そして、これを各突出部71の先端部に貼り付けることにより、接合部材30の取り付けを行うようにすればよい。
【0096】
また、本実施形態では、接合部材30として、上記したシート部材31を切り取ったものを用いる代わりに、導電性接着剤などの熱硬化可能な導電性ペーストを用い、これを、印刷やディスペンサ、ディッピングなどで塗布することにより、型部材70の各突出部71の先端部に取り付けてもよい。
【0097】
このようにして、接合部材30の取付を行った後、図6(b)に示されるように、パッケージ20の接合面21と型部材70の一面とを対向させた状態で、パッケージ20の接合面21上に型部材70を配置し、続いて、型部材70の突出部71の先端部によって、接合部材30をパッケージ20の接合面21に押し付けて貼り付ける。
【0098】
この接合部材30の貼り付けの際には、上記第1実施形態と同様に、接合部材30の軟化を行ってもよい。その後は、型部材70を接合部材30から剥がし、パッケージ20上から取り除くことにより、図6(c)に示されるように、パッケージ20の接合面21に、複数個の接合部材30が配置された状態となる。
【0099】
続いて、本実装方法では、図6では示さないが、半導体チップ10の一面11をパッケージ20の接合面21に対向させつつ、接合部材30を介して、パッケージ20の接合面21上に半導体チップ10を搭載する。
【0100】
その後、上記第1実施形態と同様に、接合部材30の硬化を行うことで、本実施形態の実装構造が完成する。本実施形態の実装構造については、上記図3に示されるものと同様である。さらに、その後、上記蓋26の取付などを行うことで、本実施形態においても、上記図1に示されるのと同様の半導体装置ができあがる。
【0101】
本実施形態によれば、複数個の接合部材30を、型部材70の突出部71の先端部によってパッケージ20の接合面21に押し付けるようにしているため、接合面21に大きな高さばらつきTが存在していても、接合面21の全体において接合部材30が適切に貼り付く。
【0102】
また、この押し付けの度合(強弱)を制御することによって各接合部材30の高さを制御できることや、型部材70のすべての突出部71の先端面の水平度により各接合部材30の上面の高さを同一に揃えられることについては、上記第1実施形態と同様である。したがって、本実施形態によっても、高さばらつきTが大きい接合面21であっても、複数個の接合部材30を一括して適切に配置することができる。
【0103】
また、本実施形態の実装方法では、特に、接合部材30として、上記シート部材31を切り取ったものを用い、これを各突出部71の先端部に貼り付けることにより、接合部材30の取り付けを行うようにしている。そのため、接合部材30を各突出部71に塗布して取り付ける場合に比べて、各接合部材30の型部材70への取り付けが容易になり、作業効率の向上を図ることができるとともに、各接合部材30の形状を安定して形作ることが可能になる。
【0104】
(第4実施形態)
図7(a)、(b)、(c)は、本発明の第4実施形態に係る半導体チップ10の基材20への実装方法を示す概略断面図である。本実施形態は、上記第3実施形態と同様に、型部材70を用いた実装方法を採用し、その一部を変形したものである。ここでは、相違点を中心に述べる。
【0105】
本実施形態では、上記第2実施形態と同様に、半導体チップ10として、第1の半導体チップ10aと第2の半導体チップ10bとを備えるものであり、これら両半導体チップ10a、10bのそれぞれが接合される基材20の接合面21は、互いに高さが異なる第1の接合面21aと、第2の接合面21bとよりなる。そして、このような条件において、上記第3実施形態に示される実装方法を適用するものである。
【0106】
すなわち、本実施形態の実装方法では、図7に示されるように、型部材70の複数個の突出部71を、互いの高さが異なる基材20の接合面21a、21bのうち高い方の第1の接合面21aに対応するものについては短くし、低い方の第2の接合面21bに対応するものについては長くしている。
【0107】
そして、本実装方法では、このような突出部71の長さを異ならせた型部材70を用いて、上記第3実施形態と同様に、接合部材30の突出部71への取り付け(図7(a)参照)、接合部材30の貼り付け(図7(b)参照)を行い、各接合面21a、21bに複数個の接合部材30をそれぞれ配置する。
【0108】
その後は、基材20における各接合面21a、21bに、それぞれ半導体チップ10a、10bを、接合部材30を介して搭載し、接合部材30の硬化を行う。こうして、図7(c)に示されるような本実施形態の実装構造ができあがる。
【0109】
本実施形態の実装方法によれば、上記した第3実施形態の実装方法を用いて、互いの高さの違う基材20の2つの接合面21a、21bに別々の部品10a、10bを搭載する場合であっても、各接合面21a、21b間で一括して複数個の接合部材30を配置することができる。
【0110】
また、各接合面21a、21bの1つ1つをみたときの実装については上記第1実施形態と同様の効果が得られる。本実施形態におけるこの場合の具体的な方法については、上記第3実施形態に述べた方法を同様である。
【0111】
(第5実施形態)
図8(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の第5実施形態に係る半導体チップ10のパッケージ20への実装方法を示す概略断面図である。
【0112】
本実施形態は、上記第1実施形態と同様に、高さばらつきを有するパッケージ10の接合面21上に、接合部材30を介して、半導体チップ10を接合する実装方法を提供するものである。本実施形態は、主として、図8に示されるマスク部材80を用いてパッケージ20の接合面21上へ接合部材30を印刷して配置する方法である。
【0113】
図8に示されるように、用意するマスク部材80は、パッケージ20の接合面21における複数個の接合部材30と同じ配置パターンに形成された複数個の開口部81を有する。ここで、このマスク部材80は、パッケージ20よりも低弾性な材料、たとえばシリコーン樹脂やゴムなどの材料よりなるものである。
【0114】
そして、このようなマスク部材80を、複数個の接合部材30が配置されるべき部位に開口部81が位置するように、具体的には、接合面21上のパッケージ電極22と開口部81とが一致するように、接合面21上に配置する。
【0115】
このとき、図8(b)に示されるように、マスク部材80を、パッケージ20の接合面21に押し付けて、マスク部材80が当該接合面21の起伏形状を承継するように変形させる。具体的には、マスク部材80における接合面21と対向する面が変形する。このことは、マスク部材80を、上述したような低弾性材料により構成されたものとすることにより可能である。
【0116】
それにより、マスク部材80の全体を、パッケージ20の接合面21に密着させ、図8(b)および(c)に示されるように、この状態で、熱硬化可能なペースト状の接合部材30を、開口部81を介して印刷する。この印刷は、通常のスクリーン印刷と同様に、スキージKを用いて行うことができる。
【0117】
こうして、図8(d)に示されるように、パッケージ20の接合面21に、複数個の接合部材30が配置された状態となる。続いて、図示しないが、半導体チップ10の一面11をパッケージ20の接合面21に対向させつつ、接合部材30を介して、パッケージ20の接合面21上に半導体チップ10を搭載する。
【0118】
その後は、上記第1実施形態と同様に、接合部材30の硬化を行うことで、上記同様の実装構造が完成する。さらに、その後、上記蓋26の取付などを行うことで、本実施形態においても、上記図1に示されるのと同様の半導体装置ができあがる。
【0119】
ところで、従来の印刷法ではマスクは、硬い板状のものであり、高さばらつきが存在するパッケージの接合面の低い部位では高い部位に比べて、マスクと接合面とが大きく離れてしまい、適切な供給ができなかった。
【0120】
それに対して、本実施形態の実装方法によれば、マスク部材80における接合面21と対向する面全体が接合面21の高さばらつきによる起伏形状を承継するため、高さばらつきが大きいパッケージ20の接合面21であっても、複数個の接合部材30を一括して適切に配置することができる。
【0121】
ここで、本実装方法では、マスク部材80をパッケージ20の接合面21に押しつけて変形させたときに、開口部81の開口面積が変形前よりも小さくなる。この変形後の開口部81の様子は、図8(a)において破線にて示している。
【0122】
その対策として、本実施形態では、マスク部材80として、パッケージ20への押し付け時に開口部81が狙いの開口面積となるように、開口部81の開口面積を当該狙いの開口面積よりも大きめにしたものを用いることが好ましい。それにより、精度のよい接合部材30の配置が可能となる。
【0123】
ここで、本実施形態において、マスク部材80による印刷に用いるスキージKは、通常のスクリーン印刷などに用いられるものと同様のものであってもよいが、特に、好適なスキージKについて、図9(a)、(b)を参照して述べておく。図9において、(a)は当該スキージKを用いた印刷工程を示す概略断面図であり、(b)は同じ印刷工程を示す概略平面図である。
【0124】
図9に示されるように、マスク部材80を、パッケージ20の接合面21上に配置し、その上に接合部材30をディスペンサなどによって供給する。そして、この接合部材30をスキージKを用いて広げることにより、マスク部材80の開口部81を介して、接合面21に接合部材30を配設する。
【0125】
図9に示されるように、マスク部材80の中央に設けられた回転軸K1に対して、複数本のスキージKが固定されている。この回転軸K1はモータなどにより軸回りに回転するようになっている。このとき、回転軸K1の回転によりスキージKが回転し、接合部材30は、このスキージKの回転方向に沿ってマスク部材80上に塗り広げられる。こうして、マスク部材80によるスクリーン印刷が行われる。
【0126】
この図9に示される方法によれば、マスク部材80の面積が狭いものであっても、スキージKの移動スペースを極力抑えつつ、接合部材30の効率的な供給が可能となる。
【0127】
(他の実施形態)
なお、部品および基材としては、部品の一面よりも基材の一面の方が、平坦度が劣るものであればよく、上記した半導体チップ10とパッケージ20とに限定されるものではない。たとえば、回路基板を基材とし、種々の表面実装部品を部品として、導電性接着剤または導電性接着シートを介した接合を行うものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の第1実施形態に係る部品の実装構造としての半導体装置の全体概略断面図である。
【図2】図1中の半導体装置の概略上面図である。
【図3】図1に示される半導体装置における両電極間の接合部の拡大断面図である。
【図4】第1実施形態の実装方法を示す工程図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る実装方法を示す概略断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る実装方法を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る実装方法を示す概略断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る実装方法を示す概略断面図である。
【図9】第5実施形態に係る印刷方法の例を示す図である。
【図10】本発明者の試作品を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0129】
10…部品としての半導体チップ、10a…第1の半導体チップ、
10b…第2の半導体チップ、11…半導体チップの一面、
20…基材としてのパッケージ、21…基材の接合面、21a…第1の接合面、
21b…第2の接合面、30…接合部材、打ち抜かれた部分、31…シート部材、
50…第1の型、51…第1の型の開口部、60…第2の型、
61…第2の型の突出部、70…型部材、71…型部材の突出部、
80…マスク部材、81…マスク部材の開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(10)の一面(11)と前記部品(10)の一面(11)よりも平坦度が劣る基材(20)の一面(21)とを対向させるとともに、これら両部材(10、20)を、当該両部材(10、20)の間に介在する複数個の接合部材(30)を介して接合する部品の実装方法において、
前記接合部材(30)の素材であるシート状をなすシート部材(31)と、前記複数個の接合部材(30)と同じ配置パターンに形成された複数個の開口部(51)を有する第1の型(50)と、前記第1の型(50)に組み付けられたときに前記各開口部(51)を貫通する複数個の突出部(61)を有する第2の型(60)とを用意し、
前記各開口部(51)を覆うように第1の型(50)の上に前記シート部材(31)を載せるとともに、前記シート部材(31)の上方から、前記第2の型(60)を前記第1の型(50)に組み付けて前記突出部(61)を前記開口部(51)に貫通させることにより、前記開口部(51)の部分にて前記シート部材(31)を打ち抜くシート打ち抜き工程と、
前記突出部(61)の先端部によって、前記シート部材(31)の打ち抜かれた部分(30)を前記基材(20)の一面(21)に押し付けて貼り付けるシート貼り付け工程と、
しかる後、前記部品(10)の一面(11)を前記基材(20)の一面(21)に対向させつつ、前記貼り付けられたシート部材の部分(30)を介して、前記基材(20)の一面(21)上に前記部品(10)を搭載する搭載工程とを実行することを特徴とする部品の実装方法。
【請求項2】
前記複数個の接合部材(30)が配置されるべき部位に前記開口部(51)が位置するように、前記基材(20)の一面(21)上に前記第1の型(50)を配置した後、この状態で前記シート打ち抜き工程と前記シート貼り付け工程を連続して行うことを特徴とする請求項1に記載の部品の実装方法。
【請求項3】
前記部品(10)として、第1の部品(10a)と第2の部品(10b)とを備えるものであり、
前記第1の部品(10a)、前記第2の部品(10b)のそれぞれが接合される前記基材(20)の一面(21a、21b)は、互いに高さが異なるものであり、
前記第2の型(60)としては、前記互いの高さが異なる前記基材(20)の一面(21a、21b)のうち高い方については短く、低い方については長くなるように、前記複数個の突出部(61)の長さを変えたものを、用いることを特徴とする請求項1または2に記載の部品の実装方法。
【請求項4】
前記シート貼り付け工程は、前記シート部材(31)の打ち抜かれた部分(30)を軟化させた状態にて行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の部品の実装方法。
【請求項5】
前記打ち抜かれた部分(30)の軟化は、前記第2の型(60)および前記基材(20)の少なくとも一方を当該軟化温度以上に加熱することにより行うことを特徴とする請求項4に記載の部品の実装方法。
【請求項6】
部品(10)の一面(11)と前記部品(10)の一面(11)よりも平坦度が劣る基材(20)の一面(21)とを対向させるとともに、これら両部材(10、20)を、当該両部材(10、20)の間に介在する複数個の接合部材(30)を介して接合する部品の実装方法において、
前記複数個の接合部材(30)と同じ配置パターンに形成された複数個の突出部(71)を一面側に有する型部材(70)を用意し、
この型部材(70)における各突出部(71)の先端部に前記接合部材(30)を取り付けた後、
前記基材(20)の一面(21)と前記型部材(70)の一面とを対向させた状態で、前記基材(20)の一面(21)上に前記型部材(70)を配置し、続いて、前記突出部(71)の先端部によって、前記接合部材(30)を前記基材(20)の一面(21)に押し付けて貼り付け、
しかる後、前記部品(10)の一面(11)を前記基材(20)の一面(21)に対向させつつ、前記接合部材(30)を介して、前記基材(20)の一面(21)上に前記部品(10)を搭載することを特徴とする部品の実装方法。
【請求項7】
前記部品(10)として、第1の部品(10a)と第2の部品(10b)とを備えるものであり、
前記第1の部品(10a)、前記第2の部品(10b)のそれぞれが接合される前記基材(20)の一面(21a、21b)は、互いに高さが異なるものであり、
前記型部材(70)としては、前記互いの高さが異なる前記基材(20)の一面(21a、21b)のうち高い方については短く、低い方については長くなるように、前記複数個の突出部(71)の長さを変えたものを、用いることを特徴とする請求項6に記載の部品の実装方法。
【請求項8】
前記接合部材(30)として、シート状をなすシート部材(31)を切り取ったものを用い、
この接合部材(30)を前記型部材(70)における各突出部(71)の先端部に貼り付けることにより取り付けることを特徴とする請求項6または7に記載の部品の実装方法。
【請求項9】
部品(10)の一面(11)と前記部品(10)の一面(11)よりも平坦度が劣る基材(20)の一面(21)とを対向させるとともに、これら両部材(10、20)を、当該両部材(10、20)の間に介在する複数個の接合部材(30)を介して接合する部品の実装方法において、
前記複数個の接合部材(30)と同じ配置パターンに形成された複数個の開口部(81)を有するマスク部材(80)を用意し、
前記複数個の接合部材(30)が配置されるべき部位に前記開口部(81)が位置するように、前記基材(20)の一面(21)上に前記マスク部材(80)を配置するとともに、
このマスク部材(80)を前記基材(20)の一面(21)に押し付けて、前記マスク部材(80)が当該一面(21)の起伏形状を承継するように変形させ、この状態で前記接合部材(30)を、前記開口部(81)を介して印刷することを特徴とする部品の実装方法。
【請求項10】
前記マスク部材(80)として、前記基材(20)への押し付け時に前記開口部(81)が狙いの開口面積となるように、前記開口部(81)の開口面積を当該狙いの開口面積よりも大きめにしたものを用いることを特徴とする請求項9に記載の部品の実装方法。
【請求項11】
前記基材(20)の一面(21)に存在する高さばらつきは、当該一面(21)における最も高い部位と最も低い部位との差として15μm以上のものであることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の部品の実装方法。
【請求項12】
前記部品は半導体チップ(10)であり、前記基材はセラミックよりなるパッケージ(20)であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−53296(P2008−53296A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225495(P2006−225495)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】