説明

部品の実装装置及び実装方法

【課題】基板の一側部と他側部に部品を熱圧着する際、タクトタイムの短縮を図ることができる熱圧着装置を提供することにある。
【解決手段】上面に上記基板を保持して駆動可能に設けられたステージ2と、ステージに保持された基板の少なくとも2つの辺に対して異方性導電部材34を同時に熱圧着する複数の熱圧着機構11,12とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基板の側部にたとえばテープ状の異方性導電部材などの部品を熱圧着する部品の熱圧着装置及び熱圧着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、液晶ディスプレイパネルやプラズマディスプレイパネルに代表されるフラットパネルディスプレイなどの製造工程においては、ガラス製の基板の側部上面に設けられた端子部に、第1の部品としてのTCP(Tape Carrier Package)を、μm単位の直径の金属粒子を含有する熱硬化性の樹脂によってテープ状に形成された第2の部品としての異方性導電部材を介して貼着する工程がある。
【0003】
上記TCPを上記基板の側部上面の端子部に貼着する前に、基板の側部上面には所定の長さに切断された上記異方性導電部材が貼着される。異方性導電部材は剥離テープに貼着された状態で供給リールに巻装されている。
【0004】
基板の側部上面にTCPを異方性導電部材によって貼着する場合、まず、剥離テープとともに供給リールから繰り出された異方性導電部材を所定長さに切断する。このときの異方性導電部材の切断長さは、上記基板の側部上面に設けられた端子部に対応する長さに設定される。
【0005】
ついで、所定長さに切断された異方性導電部材は、その切断された部分が基板の端子部が設けられた一側部の上面に対向するよう上記供給リールから上記剥離テープとともに引き出されて位置決めされる。上記基板は水平方向に駆動されるステージに載置されていて、端子部が設けられた一側部がバックアップツール上に対向位置するよう位置決めされる。
【0006】
ついで、異方性導電部材の切断された部分を、上記バックアップツールの上方に上下駆動可能に配置されたヒータを有する加圧ツールによって加圧加熱して貼着する。つまり、異方性導電部材は基板の一側部上面に仮圧着される。仮圧着された異方性導電部材には上記TCPが仮圧着された後、本圧着される。
【0007】
特許文献1には、異方性導電部材を所定の長さに切断し、その切断された部分を基板の側部上面に圧着するテープ部材貼着装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−51517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記基板に対してTCPを貼着する場合、フラットパネルディスプレイの品種によっては基板の一側部だけでなく、複数の側部、たとえば2つもしくはそれ以上の側部に対して貼着することが要求されることがある。
【0010】
そのような場合、従来は複数の熱圧着装置を一列に配置し、最初の熱圧着装置で上記基板の一側部に異方性導電部材を仮圧着し、ついで基板を回転させてつぎの熱圧着装置で他の側部に異方性導電部材を熱圧着するということが順次行なわれていた。
【0011】
基板の複数の側部に異方性導電部材を貼着した後、TCPを仮圧着したり、本圧着する場合も、基板の各側部に対し、基板を回転させながら一列に配置された複数の熱圧着装置で順次行うようにしていた。
【0012】
そのため、基板の複数の側部に異方性導電部材やTCPなどの部品を熱圧着するためには複数の熱圧着装置を一列に配置しなければならないから、製造ラインが長くなるということがあったり、基板の複数の側部に対して部品を順次熱圧着するため、部品が圧着される側部の数に応じてタクトタイムが長くなるということがあった。
【0013】
この発明は、基板の複数の側部に部品を同時に熱圧着することで、製造ラインを短くすることができるとともに、熱圧着に要するタクトタイムを短縮できるようにした部品の熱圧着装置及び熱圧着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、基板に部品を熱圧着する部品の熱圧着装置であって、
上面に上記基板を保持して駆動可能に設けられたステージと、
このステージに保持された上記基板の少なくとも2つの辺に対して上記部品を同時に熱圧着する複数の熱圧着機構と
を具備したことを特徴とする部品の熱圧着装置にある。
【0015】
上記基板の対向する一対の側部に上記部品を熱圧着する一対の熱圧着機構を有し、この熱圧着機構は、上記基板の側部下面を支持するバックアップツールと、このバックアップツールによって支持された上記基板の側部上面に上記部品を熱圧着する加圧ツールを備えていて、
少なくとも一方の熱圧着機構の加圧ツールは、上記基板の側部の長手方向に沿って駆動可能に設けられていることが好ましい。
【0016】
上記部品は粘着性を有するテープ状の異方性導電部材であって、上記基板の一側部と他側部の長さ方向の異なる領域に上記異方性導電部材が熱圧着されることが好ましい。
【0017】
上記基板の3つの側部に上記部品を熱圧着する3つの熱圧着機構を備えていることが好ましい。
【0018】
上記基板の第1の側部の長手方向の一端部及びこの第1の側部の一端に隣接する第2の側部にそれぞれ上記部品を熱圧着する第1の熱圧着機構と第2の熱圧着機構を有する第1の圧着ステージと、
上記基板の上記第1の側部の長手方向の他端部及びこの第1の側部の他端に隣接しかつ上記第2の側部に対向する第3の側部にそれぞれ上記部品を熱圧着する第3の熱圧着機構と第4の熱圧着機構を有する第2の圧着ステージと
を備えていることが好ましい。
【0019】
この発明は、基板に部品を熱圧着する部品の熱圧着装方法であって、
駆動可能に設けられたステージに上記基板を供給する工程と、
上記ステージに供給された基板の少なくとも2つの側部に上記部品を同時に熱圧着する工程と
を具備したことを特徴とする部品の熱圧着方法にある。
【0020】
上記基板の対向する一対の側部の一方と他方の長手方向の異なる領域に上記部品をそれぞれ熱圧着することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、ステージに保持された基板の対向する両側部に部品を同時に熱圧着することで、複数の装置を一列に配置せずにすむから、ライン長を短くすることができ、しかも1つの部品を熱圧着する時間で2つの部品を熱圧着できるから、タクトタイムを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す熱圧着装置の概略的構成を示す側面図。
【図2】第1の熱圧着装置を示す正面図。
【図3】基板の一側部と他側部との異なる領域に異方性導電部材を圧着するときの説明図。
【図4】この発明の第2の実施の形態を示す熱圧着装置の概略的構成を示す配置図。
【図5】(a)〜(c)は第2の実施の形態の熱圧着装置によって貼着される異方性導電部材の異なるパターンを示す説明図。
【図6】この発明の第3の実施の形態を示す熱圧着装置の概略的構成を示す配置図。
【図7】(a),(b)は第3の実施の形態の熱圧着装置によって貼着される異方性導電部材の異なるパターンを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1乃至図3はこの発明の第1の実施の形態を示し、図1に示すこの発明の熱圧着装置はベース1を備えている。このベース1の矢印Xで示す幅方向の中央部にはステージ2が上記X方向と交差するY方向に沿って移動可能に設けられている。このステージ2はY可動体4を有する。このY可動体4はベース1の上面にY方向に沿って設けられた一対のYガイドレール4aによってY方向に移動可能に設けられている。
【0025】
上記ベース1のY方向に沿う一端にはY駆動源3が設けられ、このY駆動源3によって上記Y可動体4はY方向に沿って駆動されるようになっている。このY可動体4にはθ可動体5を介して載置体6が設けられている。上記Y可動体4にはθ駆動源7が設けられ、このθ駆動源7によって上記載置体6がθ可動体5とともに水平面と直交する軸線を中心とする回転方向である、θ方向に駆動されるようになっている。
【0026】
上記載置体6の上面にはフラットパネルディスプレイなどの基板Wが図示しないロボットなどによって供給される。載置体6には図示しない吸着手段が設けられ、この上面に供給された基板Wは吸着保持されるようになっている。
【0027】
上記載置体6は上記基板Wよりも小さな矩形状に形成されている。それによって、載置部6に吸着保持された基板Wはその周辺部、少なくとも上記X方向に沿う両側部を上記載置体6から外方に突出させて保持される。
【0028】
上記ステージ2の上記X方向に沿う一側と他側には第1の熱圧着機構11と第2の熱圧着機構12が設けられている。各熱圧着機構11,12はX可動体14を有する。このX可動体14は、図2に示すように上記ベース1上にX方向に沿って設けられた一対のXガイドレール15に沿って移動可能に設けられている。
【0029】
上記ベース1のX方向に沿う一端と他端とには、それぞれの熱圧着機構11,12のX可動体14をX方向に沿って駆動するX駆動源16が設けられている。上記X可動体14の上記ステージ2側の一側部上面にはY方向に沿って長いバックアップツール17が設けられている。
【0030】
上記X可動体14の他側部上面には支持体18がY方向に沿って設けられている。この支持体18の上端面には取付け板19が一端部を固定して水平に設けられている。上記支持体18の前面には一対のZガイド体21が垂直に設けられている。このZガイド体21にはZ可動体22が矢印で示すZ方向に移動可能に設けられている。このZ可動体22は上記取付け板19の他端部上面に設けられたZ駆動源23によってZ方向に駆動されるようになっている。
【0031】
第1の熱圧着機構11のZ可動体22の下端面には上記バックアップツール17に対向して加圧ツール24が設けられている。第2の熱圧着機構12の加圧ツール24は、上記Z駆動源23によってZ方向に駆動されるZ可動体22の下端面に、Y方向に沿って移動可能に設けられたY可動体25を介して設けられている。このY可動体25は上記Z可動体22の一端に設けられたY駆動源26によってY方向に駆動可能となっている。
【0032】
図2に示すように、上記加圧ツール24の矢印で示すY方向に沿う一側には供給リール30が設けられ、他側には巻き取りリール32が設けられている。供給リール30には剥離テープ33に貼着された部品としての異方性導電部材34が巻装されていて、供給リール30から繰り出された剥離テープ33は一対のガイドローラ35にガイドされて上記巻き取りリール32に巻き取られるようになっている。
【0033】
供給リール30から剥離テープ33とともに繰り出された異方性導電部材34は図示しないカッタによって所定の長さに切断されている。剥離テープ33が上記巻き取りリール32によって巻き取られて所定の長さに切断された異方性導電部材34が上記加圧ツール24の下方に位置決めされると、上記加圧ツール24がZ駆動源23によって下降方向に駆動される。
【0034】
それによって、所定の長さに切断された上記異方性導電部材34は、上記バックアップツール17上に位置決めされた上記基板WのX方向に沿う端部に加圧加熱される。つまり、異方性導電部材34は基板Wの幅方向の両側部に仮圧着される。
【0035】
なお、図2は第1の熱圧着機構11を示しているが、第2の熱圧着機構12も第1の熱圧着機構11と同様、加圧ツール24の下端側に供給リール30から繰り出されて巻き取りリール32に巻き取られる剥離テープ33に貼着された異方性導電部材34が供給位置決めされるようになっている。
【0036】
つぎに、上記構成の圧着装置によって基板Wの幅方向の両側部に異方性導電部材34を仮圧着する手順を説明する。
【0037】
まず、第1、第2の熱圧着機構11,12のX可動体14をステージ2から離れるX方向に退避させた状態で、基板Wを図示しないロボットによってステージ2の載置体6上に供給して吸着保持させる。載置体6に供給保持された基板WはX方向に沿う両側部が載置体6よりも外方に突出している。
【0038】
つぎに、基板Wを図示しないカメラで撮像し、X、Y方向の座標とθ方向の回転角度を認識し、その認識に基づいて載置体6をθ方向とY方向に駆動し、載置体6に保持された基板Wのθ方向とY方向の位置決めをする。
【0039】
つぎに、上記基板Wの位置認識に基づいて、第1、第2の熱圧着機構11,12のX可動体14をX方向に駆動し、それぞれのバックアップツール17と加圧ツール24をX方向に位置決めする。
【0040】
つまり、各バックアップツール17の上端を、基板WのX方向に位置する一端部と他端部との下面に対向するよう位置決めする。第1、第2の熱圧着機構11,12をX方向に位置決めしたならば、供給リール30は異方性導電部材34を繰り出し、その所定の長さに切断された部分を加圧ツール24の下端面に対向位置させる。
【0041】
基板WをX、Y及びθ方向に対して位置決めし、異方性導電部材34を繰り出して位置決めしたならば、第1、第2の熱圧着機構11,12の加圧ツール24をZ駆動源23によって同時に下降方向に駆動する。それによって、基板WのX方向に沿う一端部と他端部との上面に、それぞれ所定長さに切断された異方性導電部材34が同時に加圧加熱されて仮圧着されることになる。
【0042】
このように、上記構成の熱圧着装置は、基板Wが保持されるステージ2のX方向に沿う一側と他側に、それぞれ第1の熱圧着機構11と、第2の熱圧着機構12が対向するよう配置し、かつこれら第1、第2の熱圧着機構11,12をステージ2に対して接離する方向に駆動可能とした。
【0043】
そのため、基板Wの一側部と他側部との両側部に、異方性導電部材34を同時に仮圧着することが可能となるから、異方性導電部材34の仮圧着に要するタクトタイムを短縮することができる。つまり、異方性導電部材34を基板Wの一側部と他側部とに順次仮圧着する場合に比べてタクトタイムを約半分に短縮することができる。
【0044】
しかも、第1の熱圧着機構11と第2の熱圧着機構12を、ステージ2を挟んで対向して配置したため、2つの熱圧着機構11,12を一列に配置する場合に比べて製造ラインを短くすることができる。
【0045】
基板Wの品種によっては、その一側部と他側部とにTCPを介して異なる長さの回路基板を実装する場合がある。その場合、基板Wの一側部と他側部の異なる領域に異方性導電部材34を仮圧着することが要求されることがある。すなわち、図3に示すように、基板Wの一側部にはAで示す領域に異方性導電部材34を仮圧着し、他側部には領域Aよりも狭い領域Bに異方性導電部材34を貼着することが要求されることがある。
【0046】
そのような場合、領域Aには第1の熱圧着装機構11によって異方性導電部材34を仮圧着し、領域Bには第2の熱圧着機構12によって異方性導電部材34を仮圧着する。そのとき、第2の熱圧着機構12のY可動体25をY駆動源26によってY方向に駆動し、このY可動体25に設けられた加圧ツール24の一端を領域Bの一端に一致するよう位置決めする。領域Bの一端は異方性導電部材34の送り方向の上流側である。つまり、供給リール30側である。
【0047】
そのため、加圧ツール24の一端を領域Bの一端に一致させ、他端が図3にLで示す長さだけ領域Bの他端よりもY方向に突出しても、その突出部分に対応する部分の異方性導電部材34は前の工程ですでに基板Wに仮圧着されている。したがって、加圧ツール24の領域Bから突出した部分によって異方性導電部材34が基板Wに加圧加熱されるということがない。
【0048】
つまり、領域Aよりも長さの短い領域Bに異方性導電部材34を仮圧着する場合、加圧ツール24の長さを、領域Bの長さに応じて変更しなくとも、その加圧ツール24をY方向に駆動して位置決めすることで、領域Bに応じた長さで異方性導電部材34を基板Wに仮圧着することができる。したがって、加圧ツール24の交換作業を行なわなくてすむことによっても生産性の向上を図ることが可能となる。
【0049】
上記一実施の形態では部品としての異方性導電部材を基板に仮圧着する場合について説明したが、異方性導電部材が仮圧着された基板に対して部品としてのTCPを仮圧着したり、仮圧着後に本圧着する場合、さらに本圧着されたTCPに回路基板(PWB)を圧着する場合であっても、この発明を適用することができる。
【0050】
さらに、基板に本圧着されたTCPに対し、部品としての回路基板を本圧着する場合もこの発明を適用することができる。すなわち、この発明は部品を加圧しながら加熱して基板に圧着する場合であれば、適用することが可能である。
【0051】
また、基板を載置体に供給するときにX可動体をX方向に退避させるようにしたが、X可動体がX方向に駆動可能であることで、基板のサイズが変更になった場合、その幅寸法に応じてX可動体をX方向に駆動して位置決めすれば、異なるサイズの基板に対して対応することができる。
【0052】
また、載置体はY可動体によってY方向に駆動可能に設けるようにしたが、Y方向だけでなく、X方向にも駆動可能な構成としても差し支えない。載置体をX方向に駆動できるようにすれば、たとえば基板の一辺だけに部品を熱圧着する場合、熱圧着機構を固定して載置体をX方向及びY方向に駆動して行うこともできる。
【0053】
また、加圧ツールを基板の側部に対して接離するX方向に駆動できる構成としたが、一定の大きさの基板に対してだけ異方性導電部材を貼着する場合には、加圧ツールをX方向に対して駆動させなくともよい。
【0054】
図4と図5(a)〜(c)はこの発明の第2の実施の形態を示す。この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態と同様、ベース1上にはステージ2及び第1の熱圧着機構11と第2の熱圧着機構12が設けられ、さらに第3の熱圧着機構41が設けられている。
【0055】
上記第3の熱圧着機構41は、第1、第2の熱圧着機構11,12によって上記ステージ2の載置体6に保持された基板WのX方向に位置する一対の側部に図5(a)又は(b),(c)に示すように異方性導電部材34a又は34cを熱圧着するときに、基板WのY方向に位置する一方の側部に図5(a)に示すように異方性導電部材34b又は図5(b)に示す異方性導電部材34dを同時に熱圧着することができるように配置されている。すなわち、上記第3の熱圧着機構41は、X方向に所定の間隔で離間した上記第1、第2の熱圧着機構11,12のY方向に沿う一端側に配置されている。
【0056】
上記第1、第2の熱圧着機構11,12はX方向に駆動可能であり、第3の熱圧着機構41はY方向に駆動可能となっている。なお、載置体6はX、Y及びθ方向に駆動可能となっている。
【0057】
この第2の実施の形態では、たとえば図5(a)〜(c)に示す形態で基板Wの3つの側辺部に異方性導電部材34a,34bを同時に熱圧着することができる。すなわち、図5(a)は基板WのX方向に位置する一対の側辺部に、第1、第2の熱圧着機構11,12によってこの側辺部の長さに比べて短い異方性導電部材34aが熱圧着され、基板WのY方向に沿う一方の側辺部には上記第3の熱圧着機構41によって基板Wの長さにほぼ対応する長さの異方性導電部材34bが熱圧着される。
【0058】
この場合、第1乃至第3の熱圧着機構11,12,41には、各側辺部に熱圧着される異方性導電部材34a,34bに対応する長さの加圧ツール24が設けられる。
【0059】
図5(b)は基板WのX方向に位置する一対の側辺部に、この側辺部の長さに比べて十分に短い4つの異方性導電部材34cが熱圧着され、基板WのY方向に沿う一方の側辺部には図5(a)と同様、上記第3の熱圧着機構41によって基板Wの長さにほぼ対応する長さの異方性導電部材34bが熱圧着される。
【0060】
この場合、第1、第2の熱圧着機構11,12は、基板WのX方向に位置する側辺部に貼着される異方性導電部材34cに対応する長さの加圧ツール24が異方性導電部材34cの数に対応して複数設けられている。それによって、基板Wの3つの側辺部に対してそれぞれ異方性導電部材34b,34cを同時に熱圧着することができる。
【0061】
図5(c)は基板WのX方向に沿う一対の側辺部には、図5(b)の場合と同様、4つの異方性導電部材34cが熱圧着され、Y方向に位置する沿う辺部には2つの異方性導電部材34dが熱圧着される。
【0062】
この場合、第3の熱圧着機構41は、基板WのY方向に位置する側辺部に貼着される異方性導電部材34dに対応する長さの加圧ツール24が異方性導電部材34cの数に応じて2つ設けられている。それによって、基板Wの3つの側辺部に対してそれぞれ異方性導電部材34c,34dを同時に熱圧着することができる。
【0063】
図6と図7(a),(b)はこの発明の第3の実施の形態を示す。この第3の実施の形態は、図6に示すようにベース1に第1の圧着ポジション43と第2の圧着ポジション44がX方向に所定の間隔で離間して設けられている。
【0064】
第1、第2の圧着ポジション43,44にはそれぞれX、Y方向に駆動可能な第1の載置体6Aと第2の載置体6Bがそれぞれ設けられている。各載置体6A,6BはX、Y及びθ方向に駆動可能となっている。
【0065】
上記第1圧着ポジション43で後述するように異方性導電部材が熱圧着された基板Wは、第1の圧着ポジション43と第2の圧着ポジション44との中間に設けられた受け渡しステージ45によって第1の載置体6Aから第2の載置体6Bに受け渡される。
【0066】
上記第1の圧着ポジション43には、図7(a)に示すように、第1の載置体6Aに保持された基板WのX方向に位置する一方の側辺部に異方性導電部材34eを熱圧着する第1の熱圧着機構11Aと、Y方向に位置する一方の側辺部の一端部に異方性導電部材34fを熱圧着する第3の熱圧着機構41Aが設けられている。
【0067】
上記第2の圧着ポジション44には、第1の圧着ポジション43で異方性導電部材34e,34fが貼着された基板WのX方向に位置する他方の側辺部に図7(b)に示すように異方性導電部材34gを熱圧着する第2の熱圧着機構12Aと、Y方向に位置する一方の側辺部の他端側に異方性導電部材34hを熱圧着する第3の熱圧着機構41Bが設けられている。
【0068】
このような構成によれば、第1の圧着ポジション43では図7(a)に示すように基板WのX方向に位置する一方の側辺部と、Y方向に位置する一方の側辺部の一端部とに、異方性導電部材34e,34fを同時に熱圧着することができる。
【0069】
ついで、第2の圧着ポジション44では図7(b)に示すように基板WのX方向に位置する他方の側辺部と、Y方向に位置する一方の側辺部の他端部とに、異方性導電部材34g,34hを同時に熱圧着することができる。
【0070】
したがって、このような構成であっても、基板Wの複数の側辺部に対して異方性導電部材を同時に熱圧着することで、生産性の向上や装置の小型化を図ること可能となる。
【0071】
なお、この第3の実施の形態において、第1の圧着ポジション43と第2の圧着ポジション44で行なう熱圧着を、1つのポジションで同時に行なうようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
2…ステージ、11…第1の熱圧着機構、12…第2の熱圧着機構、17…バックアップツール、24…加圧ツール、30…供給リール、32…巻き取りリール、34…異方性導電部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を熱圧着する部品の熱圧着装置であって、
上面に上記基板を保持して駆動可能に設けられたステージと、
このステージに保持された上記基板の少なくとも2つの辺に対して上記部品を同時に熱圧着する複数の熱圧着機構と
を具備したことを特徴とする部品の熱圧着装置。
【請求項2】
上記基板の対向する一対の側部に上記部品を熱圧着する一対の熱圧着機構を有し、この熱圧着機構は、上記基板の側部下面を支持するバックアップツールと、このバックアップツールによって支持された上記基板の側部上面に上記部品を熱圧着する加圧ツールを備えていて、
少なくとも一方の熱圧着機構の加圧ツールは、上記基板の側部の長手方向に沿って駆動可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の部品の熱圧着装置。
【請求項3】
上記部品は粘着性を有するテープ状の異方性導電部材であって、上記基板の一側部と他側部の長さ方向の異なる領域に上記異方性導電部材が熱圧着されることを特徴とする請求項2記載の部品の熱圧着装置。
【請求項4】
上記基板の3つの側部に上記部品を熱圧着する3つの熱圧着機構を備えていることを特徴とする請求項1記載の部品の熱圧着装置。
【請求項5】
上記基板の第1の側部の長手方向の一端部及びこの第1の側部の一端に隣接する第2の側部にそれぞれ上記部品を熱圧着する第1の熱圧着機構と第2の熱圧着機構を有する第1の圧着ステージと、
上記基板の上記第1の側部の長手方向の他端部及びこの第1の側部の他端に隣接しかつ上記第2の側部に対向する第3の側部にそれぞれ上記部品を熱圧着する第3の熱圧着機構と第4の熱圧着機構を有する第2の圧着ステージと
を備えていることを特徴とする請求項1記載の部品の熱圧着装置。
【請求項6】
基板に部品を熱圧着する部品の熱圧着装方法であって、
駆動可能に設けられたステージに上記基板を供給する工程と、
上記ステージに供給された基板の少なくとも2つの側部に上記部品を同時に熱圧着する工程と
を具備したことを特徴とする部品の熱圧着方法。
【請求項7】
上記基板の対向する一対の側部の一方と他方の長手方向の異なる領域に上記部品をそれぞれ熱圧着することを特徴とする請求項6記載の部品の熱圧着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−61240(P2011−61240A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275821(P2010−275821)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【分割の表示】特願2006−144611(P2006−144611)の分割
【原出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】