説明

部品内蔵モジュール

【課題】放熱用の金属ブロックからの放熱効果を損なうことなく、高密度配線が可能な部品内蔵モジュールを提供する。
【解決手段】部品内蔵モジュールは、ビアホール2a、2b、2cを備えた基板1と、基板上に配置された金属ブロック3であって、基板と接する面の反対の面から基板と接する面まで貫通し、かつビアホールと接合している貫通孔4a、4bと、その貫通孔に充填された樹脂と、さらにその樹脂の中に形成されたビアホール13a、13bとを備えた金属ブロックと、基板上に配置され、金属ブロックが埋設された第1の樹脂層8と、第1の樹脂層の上に配置され、金属ブロックに形成されたビアホールあるいは金属ブロックと金属バンプ19a、19b、19cによって接続された発熱部品17と、第1の樹脂層の上に配置され、発熱部品が埋設された第2の樹脂層20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品内蔵モジュールに関し、特に、放熱手段として金属ブロックを用いた部品内蔵モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の部品内蔵モジュールとしては、例えば、特許文献1に記載の電力増幅モジュールが知られている。以下に、図4を参照しながら、特許文献1に記載の電力増幅モジュールについて説明する。図4は電力増幅モジュールの内部構造を示す断面図である。
【0003】
基板101は、第1の誘電体基板111、第2の誘電体基板112及び第3の誘電体基板113が積層され構成されている。第1〜第3の誘電体基板111〜113のそれぞれには、切り抜き部107が形成されており、各切り抜き部107が同一位置で重なった状態で積層されている。この切り抜き部107の内部には放熱用の金属ブロック105が配置されており、この金属ブロック105の表面には、半導体チップ103がダイボンド実装されている。この半導体チップ103はボンディングワイヤー118により、基板1の表面上に形成された配線ランド119上に接続されている。また、半導体チップ103は封止用樹脂120により、封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−68615号公報
【発明の概要】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような構成の部品内蔵モジュールは、放熱用の金属ブロックが導電体であるため、その金属ブロック内に配線形成ができないと考えられていた。また、このような金属ブロックの表面には他の回路部品の配置もできない。したがって、配線形成や他の回路部品の配置は、金属ブロックの周囲にせざるを得ない。そのため、基板サイズが大きくなるという問題があった。
【0007】
また、金属ブロック配置用の基板の切り抜き部を形成するためには、複雑な工程が必要となる。またこの切り抜き部には他の部品は搭載不可能なため、この搭載不可能エリアを小さくするために、切り抜き部と金属ブロックの間の空間を狭くする必要があり、高精度な加工・実装技術が求められる。
【0008】
本発明は、これらの状況を鑑み、放熱用の金属ブロック内に、貫通孔を設け、この貫通孔内に充填された樹脂の中にビアホールを形成することで、金属ブロックからの放熱効果を損なうことなく、高密度配線が可能な部品内蔵モジュールを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る部品内蔵モジュールは、ビアホールを備えた基板と、前記基板上に配置された金属ブロックであって、前記基板と接する面の反対の面から前記基板と接する面まで貫通し、かつ前記ビアホールと接合している貫通孔と、その貫通孔に充填された樹脂と、さらにその樹脂の中に形成されたビアホールとを備えた金属ブロックと、前記基板上に配置され、前記金属ブロックが埋設された第1の樹脂層と、前記第1の樹脂層の上に配置され、前記金属ブロックに形成されたビアホールあるいは前記金属ブロックと金属バンプによって接続された発熱部品と、前記第1の樹脂層の上に配置され、前記発熱部品が埋設された第2の樹脂層と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
なお、発熱部品とは、たとえばパワーアンプなどのように、発熱するため、放熱が必要になる部品をいう。
【0011】
したがって、発熱部品から発生した熱を金属ブロックから放熱させることができると同時に、金属ブロック内部を回路として利用することができる。そのため、金属ブロックからの放熱効果を維持しつつ、モジュールの高密度配線が可能となり、モジュールの小型化が実現できる。さらに、金属ブロック内部を回路として利用することで、ノイズに影響の大きい端子を他の信号線と干渉させることなく外部に引き出すことが可能である。この場合にはノイズの低減が実現できる。
【0012】
また、発熱部品や金属ブロックは樹脂で覆われているため、金属ブロックからの放熱のみならず、樹脂層からの放熱も可能である。
【0013】
さらには、金属ブロックは基板の平面に配置した後、樹脂で覆うため、製造が容易である。
【0014】
また本発明に係る部品内蔵モジュールにおいては、前記金属ブロックは、前記発熱部品と対向している面の面積が、前記発熱部品の前記金属ブロックに対向している面の面積より大きいことが好ましい。この場合には、基板の水平方向に熱を拡散させることができ、モジュールを実装するマザーボードとの接触面積も大きくできるため、放熱効果を増すことが可能となる。
【0015】
また本発明に係る部品内蔵モジュールは、前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層の間に配置されている配線層をさらに備えることが好ましい。この場合には、金属ブロック直上の領域に他の部品を搭載することが可能となる。その結果、モジュールの小型化が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、発熱部品から発生した熱を金属ブロックから放熱させることができると同時に、金属ブロック内部を回路として利用することができる。そのため、金属ブロックからの放熱効果を維持しつつ、モジュールの高密度配線が可能となり、モジュールの小型化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の部品内蔵モジュールの製造工程を示す断面図である。
【図2】図1に続く製造工程を示す断面図である。
【図3】図2に続く製造工程を示す断面図である。
【図4】従来の部品内蔵モジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施形態に係る部品内蔵モジュールについて、携帯電話等の送受信モジュールを例示して、図1〜図3を参照しながら説明する。
【0019】
図1〜図3は、本発明に係る部品内蔵モジュールの製造工程を示す断面図である。本発明の部品内蔵モジュールは次の様にして形成する。まず、樹脂またはセラミックスからなる基板1を用意する。この基板1にビアホール用の穴を形成し、導電ペーストを充填して、ビアホール2a、2b、2cを形成する。その後、基板1の上に印刷等で所定の配線パターン(図では省略)を形成する。(図1(a))。
【0020】
次に、Cuなどの熱伝導率が高く、比較的加工が容易な材質からなる金属ブロック3を用意する。この金属ブロック3は、後述の発熱部品17と対向している面の面積が、発熱部品17の金属ブロックと対向している面の面積よりも大きいものである。この金属ブロック3に、ドリルや打ち抜きなどの加工で、貫通孔4a及び4bを形成する。(図1(b))。
【0021】
次に、前記基板1の上に前記金属ブロック3を配置する。この金属ブロック3を配置する際、基板1に形成された前記ビアホール2aの上に金属ブロック3に形成された前記貫通孔4a、基板1に形成された前記ビアホール2bの上に金属ブロック3に形成された前記貫通孔4bがそれぞれ配置されるように位置を合わせる。なお、基板1に金属ブロック3を配置するにあたり、熱伝導性の高い接着剤またはシリコン樹脂で、基板1に金属ブロック3を接着する。その後、基板1の上に携帯電話等の送受信モジュールに用いるベースバンドIC5を配置する。このベースバンドIC5は、基板1に金属バンプ6ではんだ接合する。(図1(C))。
【0022】
次に、前記基板1の上に、前記金属ブロック3及び前記ベースバンドIC5を覆うように、ポリイミドやエポキシ系樹脂からなる未硬化(例えばBステージ)の樹脂層を載置する。この樹脂層を加熱・圧着し、硬化することにより、第1の樹脂層8を形成する。この際、金属ブロック3の前記貫通孔4a及び貫通孔4bにも樹脂が充填される。(図1(d))。
【0023】
次に、前記金属ブロック3に形成された前記貫通孔4a及び前記貫通孔4bに充填された樹脂の中に、レーザー等でビアホール用の穴9a及び9bを形成する。さらに、前記第1の樹脂層8には、前記ベースバンドIC5と金属ブロック3以外の所定の領域に、レーザー等でビアホール用の穴10を形成する。(図2(e))。
【0024】
次に、ビアホール用の穴12a、12b、12c及び12dが形成されたポリイミドやエポキシ系樹脂からなる未硬化(例えばBステージ)の樹脂層11を用意する。この樹脂層11を、前記第1の樹脂層8の上に配置する。樹脂層11を配置する際、前記金属ブロック3に形成された前記ビアホール用の穴9aの上に樹脂層11に形成されたビアホール用の穴12a、金属ブロック3に形成された前記ビアホール用の穴9bの上に樹脂層11に形成されたビアホール用の穴12bがそれぞれ配置されるように位置を合わせる。(図2(f))。
【0025】
次に、前記金属ブロック3に形成された前記ビアホール用の穴9a及び9b、前記第1の樹脂層8に形成されたビアホール用の穴10、前記樹脂層11に形成された前記ビアホール用の穴12a、12b、12c及び12dに印刷等で導電ペーストを充填し、ビアホール13a、13b、15、14a、14b、14c及び14dを形成する。なお、ビアホール用の穴9a及び9b、10への導電ペーストの充填は、樹脂層11を第1の樹脂層8の上に配置する前に行っても良い。次に、樹脂層11を加熱・圧着し、硬化することにより、配線層16を形成する。その後、配線層16の上に、印刷等で配線パターン(図では省略)を形成する。なお、配線パターンの形成は、配線層16に銅箔シートを被せてエッチングする方法で形成しても良い。(図2(g))。
【0026】
次に、前記配線層16の上に発熱部品17と通信用RF−IC18を配置する。発熱部品17は、この携帯電話等の送受信モジュールにおいては送信段パワーアンプである。この発熱部品17は、入出力端子である金属バンプ19a、19b及びグランド電位である金属バンプ19cを有している。発熱部品17を金属バンプ19a、19b及び19cで配線層16にはんだ接合する。また、通信用RF−IC18は金属バンプ19dで配線層16にはんだ接合する。
【0027】
発熱部品17から発生した熱は、金属バンプ19cから配線層16に形成されたビアホール14cを通じて前記金属ブロック3に伝えられる。金属ブロック3に伝えられた熱は、前記基板1に形成されたビアホール2cを通じてマザーボードに放熱されたり、また基板の面方向にも放熱される。また、発熱部品17の1つの入出力端子である金属バンプ19aは、配線層16に形成されたビアホール14a、金属ブロック3に形成されたビアホール13a、基板1に形成されたビアホール2aを通じて外部の入出力端子と接続することが可能である。また、発熱部品17のもう1つの入出力端子である金属バンプ19bは、ビアホール14b、ビアホール13b、ビアホール2bを通じて外部の入出力端子と接続することが可能である。(図3(h))。
【0028】
次に、前記配線層16の上に、前記発熱部品17及び前記通信用RF−IC18を覆うように、ポリイミドやエポキシ系樹脂からなる未硬化(例えばBステージ)の樹脂層を載置する。この樹脂層を加熱・圧着し、硬化することにより、第2の樹脂層20を形成する。(図3(i))。
【0029】
このようにして、本実施形態の部品内蔵モジュールが構成される。
【0030】
なお、金属ブロック3の発熱部品17と対向している面の面積は、発熱部品17の金属ブロックと対向している面の面積より小さくても構わない。また、配線層16を省いて実施しても良い。
【符号の説明】
【0031】
1:基板
2a、2b、2c:ビアホール
3:金属ブロック
4a、4b:貫通孔
5:ベースバンドIC
6:金属バンプ
8:第1の樹脂層
9a、9b:ビアホール用の穴
10:ビアホール用の穴
11:樹脂層
12a、12b、12c、12d:ビアホール用の穴
13a、13b、13c:ビアホール
14a、14b、14c、14d:ビアホール
15:ビアホール
16:配線層
17:発熱部品
18:RF小〜中電力IC
19a、19b、19c、19d:金属バンプ
20:第2の樹脂層
101:基板
103:半導体チップ
107:切り抜き部
111:第1の誘電体基板
112:第2の誘電体基板
113:第3の誘電体基板
115:金属ブロック
118:ボンディングワイヤー
119:配線ランド
120:封使用樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビアホールを備えた基板と、
前記基板上に配置された金属ブロックであって、前記基板と接する面の反対の面から前記基板と接する面まで貫通し、かつ前記ビアホールと接合している貫通孔と、その貫通孔に充填された樹脂と、さらにその樹脂の中に形成されたビアホールとを備えた金属ブロックと、
前記基板上に配置され、前記金属ブロックが埋設された第1の樹脂層と、
前記第1の樹脂層の上に配置され、前記金属ブロックに形成されたビアホールあるいは前記金属ブロックと金属バンプによって接続された発熱部品と、
前記第1の樹脂層の上に配置され、前記発熱部品が埋設された第2の樹脂層と、
を備えた部品内蔵モジュール。
【請求項2】
前記金属ブロックは、前記発熱部品と対向している面の面積が、前記発熱部品の前記金属ブロックに対向している面の面積より大きいことを特徴とする請求項1に記載の部品内蔵モジュール。
【請求項3】
前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層の間に配置されている配線層をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の部品内蔵モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−134817(P2011−134817A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291630(P2009−291630)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】