説明

部品内蔵基板の製造方法

【課題】アルミニウム化成箔シートに電解コンデンサ部と配線パターンをコンデンサの電気特性を劣化させずに分離独立に形成することができる部品内蔵基板の製造方法を提供する。
【解決手段】アルミ化成箔シート上に固体電解コンデンサ22を形成する前に、予めアルミ化成箔の片面をレーザー装置や金型等の乾式機械工にて分離分割用溝3を形成し、更に同一面に保護用絶縁材料4をシートの補強材を兼ねて形成した後に、固体電解コンデンサ22を形成し、次に裏面表面からアルミ化成箔を溝3の底部が露出するまで削り、固体電解コンデンサ22と配線パターン21を電気的に分離独立させてアルミ化成箔シート上に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板の任意の場所にコンデンサを内蔵したものであって、部品内蔵基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に用いられるLSIは高速化・低電圧化が進んでいる。LSIが高速動作すると電源電圧の変動が起きやすくなり、配線の抵抗や寄生インダクタンス等の影響で電圧降下が生じ、半導体が誤動作しやすくなる。そのため、一般的にLSIの電源とグランド間には安定した電源の供給と半導体からの高周波ノイズの除去を目的とし、コンデンサが接続されている。
【0003】
また、電子機器の多機能化により、LSIにおいては複数の電源を必要とするものが増加している。例えば、ディジタル回路とアナログ回路とが混載されるようになっている。このようなLSIは、ディジタル回路用電源とアナログ回路用電源を分離し、回路ごとに複数の電源を外部から供給することによって、アナログ回路がディジタル回路から受けるノイズの影響を低減している。このようなLSIの変化に伴い、LSIを実装する回路基板の設計も電源層を電圧の異なる複数の電源に分離されたレイアウトが行われている。そのため、プリント回路基板の電源およびグランド層も配線層と同様に複雑な形状が形成できることが求められている。
【0004】
このような背景から、現在では電子機器の軽薄短小化の要求に伴い、プリント回路基板にコンデンサを内蔵した構造のものも開発されている(特許文献1参照)。この特許では、アルミニウム等の金属板からなるコア基材をドリル等を用いて加工し、アルミ板が陽極となり、アルミ板表面に形成された表面酸化物(アルミナ)を誘電体とし、陰極となる導体層との間にコンデンサを形成・内蔵する印刷配線板の提案がなされている。しかし、前記提案において、上述した導体層とアルミ板の間にコンデンサを形成する方法では、陽極となるアルミ板を分割できないためアルミ板全体が同じ電位となる。そのため、一つの電源とGND間のみにしかコンデンサを形成できず、複数の電源を有するLSIに対応できないという課題があり、アルミ板をフォトリソ工程でウエットエッチングにより、コンデンサ部を電気的に分割する方法も検討されている。ここで従来工法としてアルミ板として、高容量を得ることが可能なアルミ化成箔を使用した固体電解コンデンサのフォトリソ工程の課題点について、図8を用いて説明する。図8の(a)〜(e)は片面にアルミ化成箔をフォトレジスト材料を用いたウエットプロセスであるフォトエッチング工程の断面図である。アルミ化成箔は、アルミ金属箔に電気化学的に粗面化し、表面積を数百倍以上にし、その表面に誘電体となるアルミ酸化膜を電気化学的に緻密な膜を生成したもので、図8の(a)のようにアルミ金属箔のプレート2部と多孔質部1を形成した部分に分けられる。次に図8の(b)のようにアルミ化成箔の多孔質部1上にフォトレジスト81を形成した状態である。次に図8の(c)の様に所望のコンデンサ形状と配線パターンを任意の位置に形成するために設計されフォトマスクを利用して、フォトレジスト81を露光してフォトレジストパターン82を形成する。次に、図8の(d)の様に、アルミ化成箔を市販の混酸エッチング液等を用いて、アルミ化成箔を所望のパターンにウエットエッチングする。次に図8の(e)の様にフォトレジストパターン82をDEMSOやNMP等の有機溶剤にて除去することで、所望のパターン形状に溝83の加工ができる。図8の(a)〜(e)では、アルミ化成箔からエッチングをしたが、同様にプレート2部から前記溝83と同じ位置にフォトエッチングすることで分割は可能である。但し、両面にエッチングするとアルミ化成箔のシート状からパターンニングされた部分で個片化脱落してしまうので、片面をエッチングした後には、エッチング面に個片化脱落防止用支持シートなどの個片化したものが固定できるものを貼り付ける必要がある。前記のウエットエッチング工程の課題点について述べる。図8の(b)において、フォトリソレジスト81はアルミ化成箔の多孔質部1のポーラスな層に十分に充填される必要があるが、図8の(e)の工程でフォトレジスト81を除去する必要があり、アルミ化成箔の多孔質部1に浸透したフォトレジスト81は非常に除去しにくいため、フォトレジスト81の多孔質部1に残渣となる。また、フォトレジスト81を除去しやすいアルカリ材料を添加した有機溶剤を使用するとフォトレジスト81の残渣は除去し易いがアルミ化成箔の多孔質部1の表面酸化物である薄いアルミナ誘電体にダメージを与えて、絶縁抵抗劣化などの電気特性を劣化する可能性があり、これらの問題を解決するには非常に時間と労力を要する懸念がある。
【特許文献1】特開2004−31641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記アルミ板のコンデンサ部の電気的独立分割する方法として、ウエットエッチングプロセスを用いてパターンニングした場合、前記プロセスに使用される溶液によって、コンデンサの電気特性に影響するアルミ板の表面に形成された酸化アルミニウム膜に悪影響する懸念があり、コンデンサ特性の劣化を防ぐにはコンデンサ部分に当たるアルミ化成箔の多孔質部を保護する工程が必要になる等の課題が生じる。
【0006】
本発明は、このような課題のもとで考え出されたものであって、アルミ化成箔を所望の任意の場所・形状にコンデンサと配線パターンに分割する手段として、コンデンサの形成前後でコンデンサ部に特性劣化の可能性のある溶液を使ったプロセスを使用しない切断プロセス及びアルミ化成箔を分離分割した時に分割されたものが個片脱落しないようにプロセスの最初から最後までシート状で搬送できる状態で製造できるプロセスを両立させることでアルミ化成箔を用いたコンデンサおよび配線パターンを所望のサイズで任意の場所に形成できると同時に電気的に良好な特性を有するコンデンサを内蔵した部品内蔵基板を形成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、アルミ化成箔をレーザーや金型等の乾式加工設備を用いて所望のコンデンサ用分割パターンを完全に切断せずに予め溝加工することで、シート状態でハンドリングできるようにし、アルミ化成箔の溝加工した面に所望のコンデンサを形成する部分と配線パターンの電気的取出し部分を除く部分と溝部分に保護用絶縁樹脂材料を充填し、溝部に充填された保護用絶縁樹脂材料はアルミ化成箔シートの分割脱落防止の為に補強となり、アルミ化成箔の溝加工面とは逆面をバフ研磨機等の装置で徐々に削り、前記乾式加工設備による加工溝に充填した樹脂が露出して、アルミ化成箔の分割した部分同士が電気的に分離するまで削る。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明の部品内蔵基板は、アルミニウム箔を乾式の溝加工とバフ研磨により、片面ずつ分割加工することで、ウエットエッチング工程等のアルミ化成箔のコンデンサ特性を劣化させる溶液を使用せずに、また、電気的分割されたコンデンサや配線パターンを任意の位置・形状に形成でき、また良好な特性をもつコンデンサを内蔵したプリント回路基板が容易に製造できるという効果を得るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1、7、8に記載の発明について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態1におけるアルミ化成箔シートを用いてのコンデンサ部と配線部を分離形成したコンデンサ内蔵シートの製造工程である。
【0011】
図1の(a)においてアルミ化成箔は多孔質部1とプレート部2により構成される。前記アルミ化成箔の構成は、前記プレート部2の両側が多孔質部1のものでも良い。前記アルミ化成箔の多孔質部1は、アルミニウム板(一般的な厚みは40μm以上150μm以内のもの)を電気化学的にエッチングすることで、アルミニウム表面の表面積が数百倍程度まで増加する粗化部を形成する。また、アルミ化成箔は更に電気化学的にアルミニウム表面に誘電体となる緻密な酸化膜層を形成する。前記アルミ化成箔の多孔質部1のコンデンサ部になる部分のプレート部2を陽極として、アルミニウムとその表面の誘電体となる緻密な酸化膜と後述する図1の(d)の導電性高分子材料5を陰極部として高容量且つ良好な電気特性を持つコンデンサが形成される。
【0012】
次に図1の(b)において、アルミ化成箔の多孔質部1の面から、所望のコンデンサパターン及び配線パターンを形成できるように分割部に溝3を形成する。前記溝3の深さは、アルミ化成箔の多孔質部1の総厚みとプレート部2の厚みの一部を残した部分までとする。アルミ化成箔は溝3を加工する方法として、前記アルミ化成箔の多孔質部1に形成される誘電体膜に欠損や変形等の機械的なダメージや表面の汚れや変質させる化学的なダメージを与えないことが重要である。また、加工時に使用する水溶性防錆用材料等の残渣により悪影響のないようにする必要がある。そこで、アルミ化成箔を加工する工法として、レーザー加工と金型加工の様な乾式の加工方法で行うことが望ましい。また、ビットを回転しながら、溝加工が可能な研削機や円盤状の砥石を回転させて研磨しながら溝加工できるダイシング装置等に使用される冷却洗浄水は純水であることが望ましい。また、フォトレジストを用いたアルミ材料の混酸によるエッチングも可能であるが、エッチング液やフォトレジスト材料除去材料等でコンデンサ部であるアルミ化成箔の多孔質部1に形成された誘電体膜のダメージを回避する材料選定に多大な時間がかかる懸念がある。
【0013】
ここで、アルミ化成箔の溝3の加工方法として、レーザー装置について述べる。YAGレーザーを使用する場合、Qスイッチ式のパルス波で、周波数は低めで、1パルスの出力を上げて、溝深さに対して、2回以上の複数回で同一部分に照射することにより、溝深さは調整しやすくなる。特に、マーカー用YAGレーザーや彫刻用YAGレーザー使用のものが、良好な溝形状を得ることが出来る。エキシマレーザーにおいては、RIMと呼ばれるレーザー溝周辺に発生するレーザー除去物の体積盛り上り部が見られずに非常に綺麗な溝加工が可能であるが、加工時間が大きい。また、炭酸ガスレーザー装置では、アルミニウムの吸収効率がYAGレーザーに比べ低い。
【0014】
また、アルミ化成箔の溝3の加工方法として、金型を使用する方法について説明する。金型に使用する刃の角度は、鋭利な方がテーパーの少ない溝が形成できるが、アルミ化成箔の表面は酸化アルミの硬質膜であり、刃こぼれしやすく、刃の選定では、刃の材質及び刃の角度は刃こぼれのしにくい角度に調整する必要がある。
【0015】
前記アルミ化成箔のプレート部2の溝部を除く厚みは、後工程の取り扱いで、アルミ化成箔の溝部3で分割個片化して脱落しない程度の厚みである。アルミ化成箔の多孔質部1の厚みは一般的に10μm以上50μm以下である。プレート部2は10μm以上で50μm以下である。コンデンサのESR等の電気特性により、プレート部2の溝3の深さの割合は、10μm以上が望ましい。
【0016】
次に図1の(c)において、前記溝加工したアルミ化成箔の溝3及びコンデンサ形成部以外に保護用絶縁材料4を形成する。保護用絶縁材料は、ペースト化したものをスクリーン印刷機やディスペンサやインクジェット等のウエットプロセスを用いる。本発明では、スクリーン印刷法にて、保護用絶縁材料4を形成した。尚、スクリーン印刷をした保護用絶縁材料4はアルミ化成箔の多孔質部1の微小な孔から浸透して、誘電体表面を全てコーティングして、多孔質部1に空洞がないことが望ましい。スクリーン印刷用ペースト粘度は、ペーストの浸透性を上げる為に、一般的に使用されるものに比べて低粘度である120Pa・s(B型粘度計10rpm)以下で、アルミ化成箔の多孔質部1のビア窓印刷時のペーストにじみ幅が50μm以上にならない程度の範囲が望ましい。また、スクリーンメッシュはコンデンサの任意形状のサイズやパターン精度により、120メッシュ以上400メッシュ以下のものを用いるが、高メッシュになるとペーストの印刷量が少なくなるために多数回繰り返し印刷する必要がある。
【0017】
図1の(d)において、アルミ化成箔の多孔質部1上に、次にアルミ化成箔のコンデンサ形成部に導電性高分子材料5を形成する。
【0018】
アルミ化成箔に形成する固体電解コンデンサは、アルミ化成箔のアルミニウム部分が陽極とし、アルミニウムの酸化皮膜からなる誘電体膜を介して、その表面に導電性高分子材料5からなる固体電解質層を陰極として形成している。この固体電解質層はポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等の機能性高分子層を化学重合や電解重合によって形成したり、硝酸マンガン溶液を含浸させて熱分解したりすることによって二酸化マンガン層を形成することで得ることができる。
【0019】
また、図1の(e)において、固体電解質層となる導電性高分子5上に陰極の電気的取り出し部として、カーボンペースト6をスクリーン印刷やディスペンサやインクジェット等の塗布機にて、前記導電性高分子材料5を覆うように形成する。
【0020】
更に図1の(f)において、Agペースト等の導電ペースト7をカーボンペースト6をスクリーン印刷やディスペンサやインクジェット等の塗布機にて、形成する。この構造により、コンデンサ部からの電極取り出しを容易にしている。
【0021】
次に、図1の(g)において、前記アルミ化成箔の溝3の加工面の裏面から、表面を徐々に除去して、溝3に充填された保護用絶縁層の溝3底部までアルミ化成箔の表面を取り除き、前記アルミ化成箔の所望のコンデンサ部や配線パターンに分離分割して、電気的絶縁性を確保する。前記アルミ化成箔の表面層を除去する方法として、ロール式バフ研磨装置、ロータリー研磨や平行研磨機等の機械的研磨及びアルミ化成箔の混酸エッチング液による化学エッチングも可能である。しかし、ロータリー式バフ研磨機は、混酸溶液を用いた化学エッチングより、使用する研磨粉洗浄液として純水が使用できること及び、ワークサイズ500mm□程度の研磨実験では、4軸式ロータリー式バフ研磨機を用いることで、研磨粗さ200#〜300#と300〜400#等の2本のバフ研磨ローラー軸を使用すれば、化学エッチングよりも2〜5倍程度の高速で研磨することで有利である。特にアルミ化成箔に形成したコンデンサ部の電気特性に影響する伸びや変形等の機械的な負荷を与えないことが望ましい。
【0022】
次に図1の(h)において、前記アルミ化成箔のプレート部2の表面を除去した面のアルミ化プレート部2の露出部に電気的取り出し用接続部との接続を容易にするために、アルミニウムと電気的接続性の良好なニッケルめっきや導電性材料をペースト化したものをスクリーン印刷、ディスペンサーやインクジェット装置により金属膜8を形成する。また、低温で形成できる金属ナノ粒子を含有する導電性ペーストを使用しても良い。また、アルミニウムの電気的接続性の良好な銅と亜鉛などで構成される合金を溶射によって形成しても良い。
【0023】
次に図1の(i)において、金属膜8上に金めっき等の腐蝕防止材料により別の金属膜9を形成する。金属膜8が変質等の問題がない場合は、金属膜9は不要である。
【0024】
以上の工程により、アルミ化成箔により、所望のコンデンサ及び配線パターンを分離分割したシート状のものを形成できる。
【0025】
本発明において、図2を用いて、前記アルミ化成箔を用いた固体電解コンデンサ内蔵シートの構造及び使用される材料について説明する。前記アルミ化成箔は、アルミ金属箔の表面を片面または両面に酸などによって電気化学的エッチングすることによって多孔質部を形成することができる。前記アルミ化成箔は、アルミ金属箔の表面の多孔質部1を形成した多孔質部1とエッチングされていないプレート部2を有するものである。アルミ化成箔には、薄いアルミ酸化物の層を形成し、更に多孔質部を形成することによって、固体電解コンデンサとして機能する面積を拡大し、大きな静電容量が得られる。
【0026】
前記アルミ化成箔の溝3により、図2の配線パターン21と固体電解コンデンサ22の様に所望の構成で形成できる。
【0027】
次に保護用絶縁層4は、樹脂絶縁材料または無機絶縁材料を用いる。樹脂絶縁材料はエポキシ樹脂やフェノール樹脂、ポリイミド樹脂を用いる。無機絶縁材料では、アルミ化成箔の耐熱性から酸化雰囲気では、約600℃以下のピーク温度で、窒素雰囲気焼成では800℃以下のピーク温度で焼成できる材料が用いられる。
【0028】
保護用絶縁層4として、樹脂絶縁材料において、フィラと絶縁性樹脂の混合物を用いた場合、フィラ及び絶縁性樹脂を選択することによって、保護用絶縁層4の弾性率、熱膨張係数、熱伝導度、誘電率などを容易に制御することができる。たとえばフィラとしてアルミナ、マグネシア、窒化ホウ素、窒化アルミ、窒化珪素、ポリテトラフルオロエチレン及び、シリカなどを用いることができる、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミを用いることにより、従来のガラス−エポキシ基板より熱伝導度の高い基板が製作可能となり、複合配線基板の放熱特性を向上させることができる。また、アルミナはコストが安いという利点もある。シリカを用いた場合、誘電率が低い保護用絶縁層4が得られ、比重も軽いため、携帯電話などの高周波用途として好ましい。窒化珪素やポリテトラフルオロエチレン、例えば“テフロン(登録商標)”(デュポン社)を用いても誘電率の低い電気絶縁層を形成できる。また、窒化ホウ素を用いることにより熱膨張係数を低減できる。弾性率は、フィラ含有量により調整することができ、これにより、回路基板の反りを制御することができる。
【0029】
保護用絶縁材料4はさらに、分散剤、カップリング剤を含んでいてもよい。分散剤によって、絶縁性樹脂中のフィラを均一性よく分散させることができる。カップリング剤によって、絶縁性樹脂とフィラとの接着強度を高くすることができるため、電気絶縁性基材の絶縁性を向上できる。
【0030】
また、保護用絶縁層4の厚みを制御することによって固体アルミ電解コンデンサ22の形状を安定・制御させることができる。固体電解コンデンサ22を厚み精度よく形成することで、基板に内蔵しやすくなる。
【0031】
次にアルミ化成箔の固体電解コンデンサ22を形成するために導電性高分子5について説明する。アルミ化成箔に形成する固体電解コンデンサ22は、アルミ化成箔のアルミニウム部分が陽極とし、アルミニウムの酸化皮膜からなる誘電体膜を介して、その表面に導電性高分子5からなる固体電解質層を陰極として形成している。この固体電解質層はポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等の機能性高分子層を化学重合や電解重合によって形成したり、硝酸マンガン溶液を含浸させて熱分解したりすることによって二酸化マンガン層を形成することで得ることができる。高い誘電率を持つので固体電解コンデンサ22として有利である。また、固体電解質層となる導電性高分子5上に陰極の電気的取り出し部として、カーボンペースト6を形成して、Agペースト等の導電ペースト7を形成する。この構造により、コンデンサからの電極取り出しを容易にしている。また、固体電解コンデンサ22の陽極部分の電気的取り出し部として、金属膜8は、アルミニウムと接続性の良好なニッケルめっきなどのめっきやアルミ電極接続用の導電性ペーストを用いる。また、金属膜8にニッケルめっきなどの大気中で酸化し易く電気的取出しが困難なものは、金めっき等で金属膜9を形成すると、コンデンサの電気的特性が安定する。
【0032】
以上のようにアルミ化成箔シートの所望の形状の独立した固体電解コンデンサ22や配線パターン21を形成する工法として、ウエットエッチング工程を使用しない機械的な加工工法を用いることで、アルミ化成箔シート上に良好な電気特性を有する固体電解コンデンサ22と配線パターン21を内蔵したシートを容易に形成できる。また、前記分離独立したコンデンサ内蔵シートを多連コンデンサ部品として使用できるとともに、本発明のプリント回路基板に内蔵することが可能となる。又本実施の形態はアルミ化成箔について述べたが、タンタル箔を用いたタンタルコンデンサについても同様な方法により同様な効果を得ることができる。
【0033】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項2に記載の発明について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1の説明図である図1の符号は同じである。
【0034】
図3は、本実施の形態1におけるアルミ化成箔の状態であり、両面酸エッチングにより、プレート部2の両面に多孔質部1を形成したものである。アルミ化成箔の溝3の深さは、後工程のハンドリング時に分割個片化して、脱落しない厚み分のプレート部2の厚みは、溝3とは逆面の多孔質部1に補強されている為に深くできるために、後工程の裏面からの表面除去工程で除去後のアルミ化成箔のプレート部2の厚みを厚くでき、アルミ化成箔の固体電解コンデンサの形成後の電気特性であるESRを下げる効果がある。以上の発明により、請求項1のコンデンサ内蔵シートの電気特性を容易に向上させることが可能である。
【0035】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項3に記載の発明について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1〜3と同一の構造については、同一番号を付与してその説明を省略する。
【0036】
図4は、本実施の形態1におけるプリント回路基板の製造工程の断面図である。図4は、図1の製造工程の(b)に当たる部分に代わる工程であり、図4の(b)、(c)で示す。図4の(a)は、本実施の形態1と同様であり、アルミ化成箔の状態であり、少なくとも片面に両面酸エッチングにより、プレート部2の両面に多孔質部1を形成したものである。多孔質部1はコンデンサを形成する片面のみに形成したものでも良い。次に図4の(b)において、前記多孔質部1とプレート部2を備えたアルミ化成箔に予め後工程のハンドリング時の搬送負荷で次工程の溝加工後のアルミ化成箔のシート状からの分割脱落をしないようにサポートを目的として、前記アルミ化成箔の固体電解コンデンサ形成面とは逆面に耐熱性基材41を貼り付けたものである。耐熱性基材41は、後工程の熱履歴に対して、耐える材質のものを使用する。次に図4の(c)において、アルミ化成箔の溝3の深さは、前記アルミ化成箔のコンデンサ形成面の多孔質部1の厚み及びコンデンサの電気特性に必要なプレート部2の厚みを残した部分を最小溝深さとして、最大の溝深さはアルミ化成箔を分割できるまで可能である。また、後工程のハンドリングにシートの分割脱落のない範囲内で耐熱性基材41の一部まで溝加工しても良い。本実施の形態では、後工程のハンドリング時に分割個片化して、脱落しないように耐熱性基材41をアルミ化成箔に予め固定することにより、実施の形態1に示す図1の(c)工程で、保護用絶縁材料4で溝加工面から、形成することで、前記保護用絶縁材料4を前記アルミ化成箔の分割脱落防止効果を持たすことにより、耐熱性基材41は不要となり、前記アルミ化成箔から取り外すことが可能となる。この方法により、前記アルミ化成箔の溝加工時に、前記アルミ化成箔を実施の形態1、2に比べて、アルミ化成箔の厚みと同程度まで溝の深さに加工できる為、後工程の裏面からの表面除去工程で除去後のアルミ化成箔のプレート部2の厚みを厚くでき、アルミ化成箔の固体電解コンデンサの形成後の電気特性であるESRを下げる効果がある。また、前記アルミ化成箔の厚み分以上に溝加工された場合は、実施の形態1の(g)におけるコンデンサ形成面のアルミ化成箔の裏面研磨を省略することが可能である。
【0037】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4を用いて、本発明の特に請求項4に記載の発明について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1〜3と同一の構造については、同一番号を付与してその説明を省略する。図5は、本実施の形態1におけるプリント回路基板の断面図である。図5の(a)、(b)は、実施の形態1の図1の(c)〜(f)の工程において、前記アルミ化成箔で形成されたコンデンサ部及び配線パターンに電気取り出し用電極を形成する方法を示す。
【0038】
図5の(a)において、実施の形態1に示す図1の(c)の保護用樹脂材料4の形成工程時に、電気取り出し用電極を形成する部分に予めコンデンサ用取り出し口として保護材料用ビア穴51と配線パターン用取り出し口として保護材料用ビア穴52を設ける。次に、図5の(b)の様に、それぞれのビア穴に導電性接着剤53、導電性接着剤54を形成する。導電性接着剤は、導電性ペーストを使用する以外にめっきによって形成しても良い。
【0039】
(実施の形態5)
以下、実施の形態5を用いて、本発明の特に請求項5に記載の発明について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1〜4と同一の構造については、同一番号を付与してその説明を省略する。図6は、本実施の形態1におけるプリント回路基板の断面図である。図6の(a)、(b)は、実施の形態5の図5の(a)、(b)の工程に相当するもので、前記アルミ化成箔で形成されたコンデンサ部及び配線パターンに電気取り出し用電極を形成する方法において、予めアルミ化成箔の取り出し電極を形成する部分に穴加工して、電気的接続性を向上させたものである。
【0040】
図6の(a)において、実施の形態1に示す図1の(b)または(c)のどちらかの工程時に、電気取り出し用電極を形成する部分に予めコンデンサ用取り出し口として配線パターン用取り出し口とに保護材料4の形成において、保護用ビア穴61、ビア穴62を形成とそれぞれの位置に穴あけ加工として、貫通孔63、64を形成する。次に、図6の(b)の様に、それぞれのビア穴に導電性接着剤65、導電性接着剤66を形成する。導電性接着剤は、導電性ペーストを使用する以外にめっきによって形成しても良い。
【0041】
(実施の形態6)
以下、実施の形態6を用いて、本発明の特に請求項6に記載の発明について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1〜5と同一の構造については、同一番号を付与してその説明を省略する。図7は、本実施の形態1におけるプリント回路基板の断面図である。図7は、実施の形態1〜5のアルミ化成箔シートに所望の分割独立した固体電解コンデンサ部22と配線パターン21及び電気的接続部を備えたシートを用いたプリント回路基板の製造方法に関するものである。
【0042】
図7において回路基板は電気絶縁性基材71と、電気絶縁性基材71に形成された複数の配線パターン74からなり、少なくとも一層は多孔質部1とプレート部2からなるアルミニウム化成箔からなる配線層21と、アルミ化成箔からなる配線層21の一部に形成した固体アルミ電解コンデンサ22と、電気絶縁性基材71に形成され固体アルミ電解コンデンサ22と配線パターン21間および配線パターン76間を電気的に接続するビア73からなる。図7を用いて、本発明の製造方法を説明する。
【0043】
図7の(a)は、電気絶縁性基材71を示している。
【0044】
次に図7の(b)の様に、電気絶縁性基材71にレーザー、パンチング装置や金型により貫通孔72を形成する。貫通孔72の形成において、レーザー加工の光源には、炭酸ガスレーザーやYAGレーザー、エキシマレーザーが用いられる。レーザー加工では、小径の貫通穴を短時間で形成することができ、生産性に優れた加工を実現できる。また図7のビア73においてはインナービアを例に挙げているが、スルーホールによって層間接続を行ってもよい。例えば、貫通孔を形成後、金、銀、銅またはニッケルなどを用いためっきによって形成されたスルーホールでもよい。貫通孔の形成は、パンチ加工、ドリル加工を用いてもよく、ドリル加工やパンチング加工を用いる場合、汎用性のある既存の設備での形成が可能である。
【0045】
次に図7の(c)の様に前記貫通孔72に導電性ペーストを用いてビア73、77を未硬化の状態で形成する。
【0046】
次に図7の(d)の様に前記ビア73を形成した電気絶縁性基材71に配線層74となるCuなどの金属箔を電気絶縁性基材71の未硬化状態で仮接合ができる条件で加熱加圧工程にて仮積層する。
【0047】
次に図7の(e)の様に、実施の形態1〜5を用いて形成したアルミ化成箔シート上に所望のパターンサイズに任意の場所に形成した固体電解コンデンサ22と配線パターン21を備えたシートを準備する。
【0048】
次に図7の(f)の様に図7の(d)で形成したビア73と配線層74を備えた電気絶縁性基材71と図7の(e)で準備した固体電解コンデンサ22と配線パターン21を内蔵したシートを加熱加圧工程にて積層一体化して、本硬化させることで電気的接続も行う。固体電解コンデンサ22の陰極側の電気取り出し部である導体ペースト7と電気絶縁性基材71のビア73との接続は前記本硬化時に接続を行う。また、アルミ化成箔シート側の配線パターン21の電気取り出し部である導電性接着剤54の接続も、前記本硬化時に接続を行う。
【0049】
次に図7の(g)において、前記一体化した固体電解コンデンサ22を内蔵するアルミ化成箔シートと電気絶縁性基材71の配線層74をフォトリソ工程にて、配線パターン76を形成する。
【0050】
次に図7の(h)において、前記固体電解コンデンサ22を内蔵したアルミ化成箔シートと電気絶縁性基材71とを一体化したものに、更に図7の(a)〜(d)までに形成したビア77と配線層74を形成した電気絶縁性基材71を片面または両面に加熱加圧工程にて積層一体化して、本硬化させることで電気的接続も行う。固体電解コンデンサ22の陽極側の電気取り出し部である金属膜9と電気絶縁性基材71のビア77との接続は前記本硬化時に接続を行う。また、アルミ化成箔シート側の配線パターン21の電気取り出し部である金属膜9の接続も、前記本硬化時に接続を行う。
【0051】
次に図7の(i)の様に、前記片面または両面に一体化形成された電気絶縁性基材71の上に形成された配線層74をフォトリソ工程により、所望の配線パターン78やランドパターン79を形成できる。
【0052】
以上の製造方法により、アルミ化成箔を形成した電気特性の良好な固体電解コンデンサ22や配線層パターン21を内蔵したプリント回路基板が容易に形成できる。
【0053】
次に本発明に使用している材料について説明する。本発明において、電気絶縁性基材71は、絶縁性樹脂及びフィラと絶縁性樹脂の混合物等を用いることができる。また、ガラスクロス等の補強材があってもよい。絶縁性樹脂としては、熱硬化性樹脂や、熱可塑樹脂、光硬化性樹脂等を用いることができ、耐熱性の高いエポキシ樹脂やフェノール樹脂、イソシアネート樹脂を用いることにより、電気絶縁性基材71の耐熱性をあげることができる。また、誘電正接の低いフッ素樹脂例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE樹脂)、PPO(ポリフェニレンオキサイド)樹脂(PPE(ポリフェニレンエーテル)樹脂ともいう)、液晶ポリマーを含むもしくはそれらの樹脂を変性させた樹脂を用いることにより、電気絶縁性基材71の高周波特性が向上する。
【0054】
電気絶縁性基材71として、フィラと絶縁性樹脂の混合物を用いた場合、フィラ及び絶縁性樹脂を選択することによって、電気絶縁性基材71の弾性率、熱膨張係数、熱伝導度、誘電率などを容易に制御することができる。たとえばフィラとしてアルミナ、マグネシア、窒化ホウ素、窒化アルミ、窒化珪素、ポリテトラフルオロエチレン及び、シリカなどを用いることができる。アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミを用いることにより、従来のガラス−エポキシ基板より熱伝導度の高い基板が製作可能となり、複合配線基板の放熱特性を向上させることができる。また、アルミナはコストが安いという利点もある。シリカを用いた場合、誘電率が低い電気絶縁性基材71が得られ、比重も軽いため、携帯電話などの高周波用途として好ましい。窒化珪素やポリテトラフルオロエチレン、例えば“テフロン(登録商標)”(デュポン社)を用いても誘電率の低い電気絶縁層を形成できる。また、窒化ホウ素を用いることにより熱膨張係数を低減できる。弾性率は、フィラ含有量により調整することができ、これにより、回路基板の反りを制御することができる。
【0055】
電気絶縁性基材71はさらに、分散剤、カップリング剤を含んでいてもよい。分散剤によって、絶縁性樹脂中のフィラを均一性よく分散させることができる。カップリング剤によって、絶縁性樹脂とフィラとの接着強度を高くすることができるため、電気絶縁性基材の絶縁性を向上できる。
【0056】
また、電気絶縁性基材71の厚みを制御することによって固体アルミ電解コンデンサの形状を安定・制御させることができる。アルミ固体電解コンデンサ22を厚み精度よく形成することで、基板に内蔵しやすくなる。
【0057】
ビア73、77はAgなどの導電性ペーストで形成されている。ビア73と接続する電解コンデンサ22や配線パターン21の表面を金、銀、銅、ニッケル、半田、スズをめっき等により形成しておくことで、ビアとの接続抵抗が安定する。
【0058】
ビア73、77は、めっきによるフィルドビアを用いることができ、金、銀、銅、半田、ニッケル、スズから選ばれる一つ以上の材料から形成されることが好ましい。また、ビアホールにめっき層を形成し、さらに樹脂が充填されていてもよく、また、ビルドアップビアで形成されていても良い。
【0059】
また、配線層74はCuなどの導電性の良好な金属箔シートを使用する。配線層74をフォトリソして形成した配線パターン76、78は表面にめっき処理をする事により、耐食性や電気伝導性を向上させることができる。また、配線パターン76の電気絶縁性基材71との接触面を粗化することで、電気絶縁性基材71との接着性を向上させることができる。粗化の処理は、反応性ガスを用いたドライエッチング加工、サンドブラストによる機械加工、および電解エッチング加工が挙げられる。
【0060】
また、配線パターン76、78として導電性樹脂組成物を用いることにより、スクリーン印刷等による、配線パターンの製作が可能となる。更にリードフレームを用いることにより、電気抵抗の低い、厚みのある金属を使用できる。また、エッチングによる微細パターン化や打ち抜き加工等の簡易な製造法が使える。
【0061】
また、図7の(e)に示すアルミ化成箔シートに形成された所望の電解コンデンサ22と配線パターンを分離分割したシートについては、実施の形態1〜5に記載のものであり、説明を省略するが、この層と他の配線パターン76との電気的接続は、電気絶縁性基材71に形成された貫通孔72に充填されたビア73である。
【0062】
以上のように、本実施の形態によれば、アルミニウム箔を用いることで、基板に任意の位置・形状でコンデンサを形成することができ、基板の厚みを厚くすることなく大容量のコンデンサを内蔵した回路基板を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の回路基板は、大容量のコンデンサを回路基板の任意の位置・場所に形成することができ、ノイズ対策を有する回路基板として有用である。また、高速動作によるスイッチングノイズを発生するLSIや、複数の電源からなるLSIに対応したコンデンサ内蔵基板として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】(a)〜(i)は本発明の実施の形態1、2におけるコンデンサ及び配線パターン内蔵シートの製造方法を示す工程断面図
【図2】本発明の実施の形態1におけるコンデンサ及び配線パターン内蔵シートの断面図
【図3】(a)〜(b)は本発明の実施の形態2におけるコンデンサ及び配線パターン内蔵シートの製造方法断面図
【図4】(a)〜(c)は本発明の実施の形態3におけるコンデンサ及び配線パターン内蔵シートの製造方法断面図
【図5】(a)〜(b)は本発明の実施の形態4におけるコンデンサ及び配線パターン内蔵シートの製造方法工程断面図
【図6】(a)〜(b)は本発明の実施の形態5におけるコンデンサ及び配線パターン内蔵シートの製造方法工程断面図
【図7】(a)〜(i)は本発明の実施の形態1〜5のコンデンサ及び配線パターン内蔵シートを用いたプリント回路基板及びその製造方法を示す工程断面図
【図8】(a)〜(e)は従来のコンデンサ及び配線パターン内蔵シートの製造方法の課題点を示す工程断面図
【符号の説明】
【0065】
1 アルミ化成箔の多孔質部
2 アルミ化成箔のプレート部
3 溝
4 保護用絶縁材料
5 導電性高分子材料
6 炭素ペースト
7 導電性ペースト
8 金属膜
9 金属膜
21 配線用部分
22 コンデンサ形成部
41 耐熱性基材
51、52 ビア穴
53、54 導電性接着剤
61、62 ビア穴
63、64 貫通孔
65、66 導電性接着剤
71 電気絶縁性基材
72 貫通孔
73 ビア
74 配線層
75 導電性接着剤
76 配線パターン
77 ビア導体
78 配線パターン
81 フォトレジスト
82 フォトレジストパターン
83 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも片面に多孔質状態を形成したアルミ化成箔シート上に導電性高分子を用いたアルミ固体電解コンデンサを内蔵する部品内蔵基板において、前記部品内蔵基板内に任意の部分に独立した前記コンデンサ部を形成する場合に、前記アルミ化成箔シート上に任意の部分にコンデンサ部と配線パターンを形成する分離境界部に予め溝加工する第1工程と、前記溝加工されたアルミ化成箔にアルミ固体電解コンデンサ部や取り出し電極部等のアルミ化成箔シートの露出を必要とする部分を除く部分に絶縁材料で保護コートパターンを形成する第2工程と、前記アルミ化成箔シート上に保護コートパターンで区切られたコンデンサ部分に化学重合や電解重合又は固体電解コンデンサ部を形成する第3工程と、前記アルミ化成箔シートにおいて分割溝を形成した面とは逆面から、アルミ化成箔の表面を面方向に均一な厚みになるように徐々に除去して、前記分離境界部とした溝加工した底部まで浸透した保護コート材料が少なくとも露出し、分離した部分同士の電気的絶縁性を確保できるまで表面除去を行う第4工程と前記形成した固体電解コンデンサと配線パターンに外部回路に電気的接続を可能とする取出し電極を形成する第5工程とを有する製造工程を用いることで、アルミ化成箔シート上に所望のサイズに任意の場所に電気的に独立したコンデンサ部と配線パターンを形成したことを特徴とする部品内蔵基板の製造方法。
【請求項2】
前記アルミ化成箔として、両面多孔質部を形成したものを使用する請求項1に記載の部品内蔵基板の製造方法。
【請求項3】
前記アルミ化成箔として、固体電解コンデンサを形成する面の逆面に前記溝加工する前に耐熱基材を貼りつけたものを使用する請求項1に記載の部品内蔵基板の製造方法。
【請求項4】
前記アルミ化成箔シートに形成した固体電解コンデンサのアルミ化成箔の多孔質部に陽極電気取出し電極を形成する請求項1に記載の部品内蔵基板の製造方法。
【請求項5】
前記アルミ化成箔シートに形成した固体電解コンデンサのアルミ化成箔の多孔質部に陽極電気取出し電極を形成する部分に予め貫通孔を設けた請求項4に記載の部品内蔵基板の製造方法。
【請求項6】
前記請求項1〜5のいずれかひとつに記載のアルミ化成箔に所望の形状の固体電解コンデンサと配線パターンとを形成したシート及びプリント回路基板を構成するビアと配線パターンとを備えた電気絶縁性基材とを少なくともそれぞれ1層ずつを用いて積層一体化し、電気的接続を得ることにより、アルミ化成箔で形成した固体電解コンデンサを内蔵した部品内蔵基板の製造方法。
【請求項7】
前記請求項1の第1工程において、前記アルミ化成箔の溝加工する場合にレーザーの溝加工や金型のスリット加工の乾式加工方法を用いた請求項1または請求項6に記載の部品内蔵基板の製造方法。
【請求項8】
前記請求項1の第4工程の固体電解コンデンサ形成面とは逆面からアルミ化成箔の表面を徐々に除去する方法として、ストレートバフタイプのバフ研磨機を用いた請求項1または請求項6に記載の部品内蔵基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−171304(P2010−171304A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14006(P2009−14006)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】