説明

部品包装用トレー及びその製造方法

【課題】多段に積み重ねた場合の積み重ね荷重を安定性よく支えることができ、かつ輸送途中の衝撃や振動によって収納された部品がトレーに強く当接した場合の緩衝効果にすぐれる部品包装用トレーを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂の発泡シートより成形され、少なくとも1つの収納凹部3を有し、収納凹部3に部品bを収納した状態で多段に積み重ねることができる包装用トレー1で、積み重ねのためのスタック部5を有するものにおいて、スタック部の少なくとも上面部5aと下面部5bを、収納凹部3の部分に対し0.1(g/cc)以上の密度差をつけて高密度に成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として電子部品等の各種部品を収納して保管、運搬するための部品包装用トレー及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、IC部品等の電子部品、液晶表示パネル(LCD)、携帯情報端末装置(PDA)、液晶盤等の各種部品の保管、運搬に使用する部品包装用トレーとしては、熱可塑性樹脂シートから真空成形等の熱成形手段により成形されてなるもので、少なくとも1つの部品を収納する収納凹部を有し、該収納凹部に前記の電子部品等の部品を収納した状態で多段に積み重ねるようになっている。通常、前記の積み重ね状態で段ボール箱等の梱包材に収納されて搬送される。そのため、前記の包装用トレーには、該トレーの一部に積み重ねのための凹部や凸部等からなるスタック部が形成され、積み重ね時の荷重を前記スタック部で受け、上下のトレー間に所定の間隔を保有するようになっている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、この種の部品包装用トレーにおいて、部品を収納する収納凹部を含むトレー本体の外周縁から連続して下方向きに折曲延成された外壁部に、内方に凸をなすスタック部を形成して、このスタック部で積み重ね荷重を受けることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、段重ねして使用する部品用トレーにおいて、トレー本体の外縁の周囲に鍔部を設け、該鍔部に縦溝付の重ね突出部(スタック部)を形成して、積み重ね時の荷重を前記重ね突出部で受支するものが開示されている。
【0005】
ところで、前記構造の包装用トレーにおいて、電子部品等を収納した状態で多段に積み重ねて梱包して搬送する際、下段ほど積み重ね荷重による負荷が大きくなり、また、外部荷重の影響も受け易く、その結果、下段のトレーに収納された部品に外圧が加わったりして部品にダメージを与える虞がある。特に、前記包装用トレーのシート材料が非発泡シートである場合には、搬送途中の衝撃や振動により部品がトレーに強く当接することによって、部品に打痕状の損傷を与えることがあった。そのため、特に緩衝性が要求される部品を収納して搬送する場合には、別に柔軟な発泡シートや緩衝材を用いて保護する必要もあり、それだけ包装作業が面倒で作業性が低下することになっていた。
【0006】
また、前記のように多段に積み重ね使用される包装用トレーとして、特許文献3のように、非発泡シートに較べて緩衝性のある熱可塑性樹脂の発泡シートを用いたものも出現している。
【0007】
この発泡シートよりなるトレーの場合は、非発泡の素材に比して緩衝性が良く、収納された部品が当接した場合の緩衝効果には優れているものの、積み重ね荷重が大きくなったり、輸送中に大きな振動や衝撃等が加わると、積み重ね方向の変形等が生じる虞があり、これが部品の収納状態やトレーの積み重ね状態の安定性に影響し、トレーの積み重ね姿勢に歪みが生じたり、積み重ね高さが変化することもあった。仮に、前記の積み重ね姿勢の歪みや積み重ね高さの変化が生じると、隙間が生じ、梱包材に安定性よく収納できない等の不具合が生じることになる。
【特許文献1】特開平10−329886号公報
【特許文献2】特開2003−276790号公報
【特許文献3】特開2003−155091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなしたものであり、電子部品等の包装対象の部品を収納した状態で多段に積み重ねた場合の積み重ね荷重を安定性よく支えることができる積み重ね強度を保有し、しかも、輸送途中の衝撃や振動によって収納された部品がトレーに強く当接した場合に、部品に打痕状等の損傷を与える虞のない緩衝効果を併せ持つ部品包装用トレーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の部品包装用トレーは、熱可塑性樹脂の発泡シートより成形され、少なくとも1つの収納凹部を有し、該収納凹部に部品を収納した状態で多段に積み重ねることができる包装用トレーであって、上下一方に凸状をなす積み重ねのためのスタック部を有するものにおいて、前記スタック部は、少なくとも上面部と下面部が、前記収納凹部の部分より高密度に成形されてなることを特徴とする。
【0010】
この部品包装用トレーによれば、収納される部品に対する緩衝効果のある発泡シートを素材とするものでありながら、積み重ね強度を高めることができ、部品を収納したトレーを多段に積み重ねた場合にも、スタック部の座屈による変形を抑制でき、積み重ね荷重を充分にかつ安定性よく支えることができる。
【0011】
前記の部品包装用トレーにおいて、前記スタック部の上面部及び下面部の密度と、前記収納凹部の部分の密度とは、0.1(g/cc)以上の密度差を有するものが好ましい。すなわち、前記スタック部の上面部及び下面部と前記収納凹部の部分との密度差が小さい場合、収納凹部の部分での部品に対する緩衝効果と、スタック部の座屈抑制の効果との両立を図るのが難しく、一方の効果が充分に得られる密度に設定した場合に、他方の効果が充分に得られない場合がある。したがって、前記のように密度差をもたせておくのがよく、0.2(g/cc)前後の密度差を有するものとするのが特に好ましい。
【0012】
前記部品包装用トレーにおいて、前記収納凹部の部分の密度が0.30〜0.55(g/cc)であり、前記スタック部の少なくとも上面部及び下面部の密度が前記収納凹部の部分より高密度に成形されてなるものが好ましい。すなわち、前記収納凹部の部分の密度が前記範囲より大きいと、緩衝性が低下し、部品当接時の緩衝保護の効果が充分に得られず、また、前記収納凹部の部分の密度が前記範囲より小さくなると、収納凹部の保形強度が低下し部品収納状態が不安定になる上、スタック部の密度を高く成形するのが難しくなり、好ましいものではない。実施上、前記スタック部の少なくとも上面部及び下面部の密度は0.55〜0.80(g/cc)の範囲にあるものが好ましく、前記範囲より小さいと、座屈抑制の効果が低下し、充分な積み重ね強度が得られないことになる。
【0013】
前記スタック部は、前記収納凹部を含む主板部より下方に凸状をなし、積み重ね時に下段トレーのスタック部の上面部に上段トレーのスタック部の下面部が着座するように設けられてなるものよりなる。
【0014】
前記各発明の部品包装用トレーの製造方法としては、熱可塑性樹脂の発泡シートから成形する際、前記スタック部の少なくとも上面部及び下面部を、それぞれ収納凹部の部分より圧縮量を大きくして、収納凹部の部分の密度より高密度に成形するのがよい。これにより、発泡シートからの成形により、前記のようにスタック部の少なくとも上面部及び下面部と前記収納凹部の部分とに密度差を付けることができる。また、前記圧縮量を調整することにより前記密度及び密度差を容易に設定できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の部品包装用トレーによれば、発泡シートを素材とするものでありながら、充分な積み重ね強度を保持でき、電子部品等の包装対象の部品を収納した状態で多段に積み重ねた場合の積み重ね荷重を安定性よく支えることができる。しかも、発泡シートを素材とするものであるため、輸送途中の衝撃や振動によって収納された部品がトレーに強く当接した場合にも、部品に打痕状等の損傷を与える虞のない優れた緩衝効果を併有し、収納部品の保護を良好に成し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施例にかかる部品包装用トレーの平面図、図2は同包装用トレーの正面図、図3は同包装用トレーの側面図、図4は図1のA−A線の断面図、図5及び図6はそれぞれ図1のB−B線及びC−C線の拡大断面図である。
【0018】
本発明の部品包装用トレー1は、熱可塑性樹脂の発泡シートを素材として、真空成形等の熱成形手段により一体に成形されてなり、平坦な主板部2の内方に電子部品等の収納対象の部品bに対応した収納凹部3が縦横に複数並列して形成され、さらに、前記収納凹部3に前記部品bを収納した状態でトレー1を多段に積み重ねるためのスタック部5が所要の個所に形成されてなる。
【0019】
図の場合、前記収納凹部3には、底部31の周縁部に収納される部品bの周縁部を受ける凸部32が形成され、また、四周の側壁33のうちの所要の個所の内面に、収納される部品bが妄りに浮き上がらないように保持するための凸面部34が形成され、さらに、前記収納凹部3の一側部には指掛け部となる張り出し凹部35が形成されている。また、前記主板部3の外周縁には、下向きに折曲延成されて下方に拡開状をなす傾斜した外壁部6が設けられ、該外壁部6の下端にフランジ縁6aが形成されている。前記外壁部6は、後述する積み重ねの際に、下段トレーの外壁部の上部外側に、上段トレーの外壁部の6の下部が余裕をもって嵌合するように形成されている。
【0020】
前記スタック部5は、前記収納凹部3を含む主板部2より上下一方、例えば下方に凸状をなして、図8のように多段に積み重ねた状態において、図5及び図6の拡大図において鎖線で示すように、下段のトレー1のスタック部5の上面部5aに、上段のトレー1のスタック部5の下面部5bが対接し着座するように設けられている。
【0021】
図示する実施例の場合は、前記のスタック部5として、前記主板部3の外周縁から下向きに折曲延成された外壁部6において、周方向の所要間隔毎に、前記主板部2から下方に連続して内側に凸状をなすように凹設された平面略半円形の凹部15と、前記主板部2における前記収納凹部3以外の平坦部分に所要の間隔をおいて下方に凸状をなすように形成された平面略円形の凹部25とが形成されている。図5は前記半円形の凹部15によるスタック部5の部分を通る破断線による断面を、図6は前記円形の凹部25を通る破断線による断面を示し、さらに図7は前記の円形の凹部25によるスタック部5での積み重ね状態の簡略化して示している。
【0022】
前記半円形の凹部15及び円形の凹部25による各スタック部5は、それぞれ側壁部5cが前記主板部2に対して略垂直に形成されるとともに、該側壁部5cの内周に縦方向の補強用リブ5dが形成されており、積み重ねの際には、上下トレーのスタック部5,5の上面部5aと下面部5bが、少なくとも前記側壁部5cの厚み分上下に対接して着座するようになっている。前記スタック部5としては、前記凹部15によるスタック部5、あるいは前記凹部25によるスタック部のみよりなる場合もある。
【0023】
そして、本発明の場合、前記のスタック部5における少なくとも上面部5aと下面部5bが、前記収納凹部3の部分をより高密度になるように成形されている。特には、該ストック部5の上面部5a及び下面部5bの密度と、前記収納凹部3の部分の密度とは、0.1(g/cc)以上の密度差、より好ましくは0.2以上の密度差を有するように成形されている。
【0024】
すなわち、前記収納凹部3の部分の密度は、材質等によっても異なるが、例えばポリオレフィン系樹脂の発泡シートにより成形される場合、収納される部品bに対して当接したときの緩衝性や保形性等を考慮して、通常、0.30〜0.55(g/cc)の範囲、より好ましくは0.32〜0.52(g/cc)に設定される。この場合において、前記スタック部5の少なくとも上面部5a及び下面部5bは、基本的に、非発泡シートの密度より低い範囲で、前記した密度差を有するように前記収納凹部3の部分より高密度に成形される。なお、前記収納凹部3の部分の厚みtについては、保形強度等の点から1.0〜2.5mm、より好ましくは1.3〜2.2mmの範囲のものが好適に用いられるが、これに限定されるものではない。
【0025】
前記ストック部5の前記上面部5a及び下面部5bの密度については、後述するように素材の発泡シートの材質及び厚みや密度等によっても異なるが、例えば、厚み2.2mm、密度0.3(g/cc)のポリオレフィン系樹脂の発泡シートを用いる場合、0.55〜0.80(g/cc)の密度、特に好ましくは0.58〜0.75(g/cc)の密度範囲に設定される。また、前記上面部5aの厚みt1及び下面部5bの厚みt2については、0.3〜1.3mm、より好ましくは0.5〜1.0mmの範囲に設定されるが、これに限定されるものではない。
【0026】
また、前記ストック部5の側壁部5cについては、前記同様の発泡シートを用いて成形した場合に通常得られる密度とし、例えば、前記のように密度0.3(g/cc)の発泡シートを用いる場合、その密度は0.2〜0.5(g/cc)の範囲、特には0.22〜0.45(g/cc)の範囲になるように成形される。もちろん、この側壁部5cの密度を収納凹部3の部分より高密度に成形して実施することも可能である。
【0027】
前記のように、スタック部5の上面部5a及び下面部5bと、収納凹部3の部分等の多の領域とに密度差をつける手段としては、素材の熱可塑性樹脂発泡シートからの成形を利用して、前記スタック部5の少なくとも上面部5a及び下面部5bの部分において前記収納凹部3の部分より圧縮量を大きくして成形することにより、スタック部5の上面部5a及び下面部5bの密度を、前記収納凹部3の部分の密度より高密度に成形することができる。
【0028】
すなわち、前記構成の部品包装用トレー1を、真空成形法により熱可塑性樹脂発泡シートから成形する場合、前記包装用トレー1の形状に対応したキャビティを形成できる上下一対の雌型と雄型とを用い、両型間に加熱軟化させた熱可塑性樹脂の発泡シートを介在させた状態で型締めするようにして、該発泡シートを雌型と雄型との間に挟み込むとともに、雌型の側から真空吸引しながら、雌型のキャビティ面に沿わせるように成形する。この際、前記スタック部5の上面部5a及び下面部5b等の密度を高くする部分と、それ以外の部分とで、前記両型による圧縮量に差をつけ、密度を高くする部分の圧縮量を大きくして成形する。これにより、圧縮量の大きい部分では他の部分に比して厚みはやや小さくなるが、密度は高くなる。この密度は両型による圧縮量を調整することにより任意に調整し設定できる。このようにして、前記上面部5a及び下面部5b等の必要部分の密度を高くすることができる。
【0029】
なお、前記のように高密度に成形するスタック部5の上面部5a及び下面部5bの範囲は、積み重ね時に上下段のトレー1,1のスタック部5,5同士が上下に対接する端縁部、すなわち前記側壁部5cの厚みに相当する端縁部を少なくとも含むものとする。例えば、上面部5aついては、前記側壁部5cの厚みに相当する端縁部より若干広い範囲を高密度に成形し、また下面部5bについては、その全体を高密度に成形することができる。
【0030】
本発明の包装用トレー1の構成素材は、熱成形が可能な熱可塑性樹脂の発泡シートであれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂の発泡体、ポリスチレン系樹脂の発泡体、ポリエステル系樹脂の発泡体を用いることができる。発泡倍率は2〜10倍のものが好ましく用いられるが、これに限られるものではない。
【0031】
また、素材の熱可塑性樹脂には、合成樹脂に一般に使用される添加剤、例えば可塑剤、顔料や染料等の着色剤、充填材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を配合することができる。また、素材の熱可塑性樹脂の発泡シート材に、熱可塑性樹脂の非発泡のシートやフィルムを積層してもよい。これらの積層シートも、前記熱可塑性樹脂の発泡シートと同様に、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂を用いることができ、添加剤についても前記同様に配合できる。
【0032】
前記の各素材を適宜選定して使用することにより、収納対象の部品とトレーとの接触による摺れ傷の発生防止の効果、トレー全体の強度、コスト、量産性、成形性、電気特性等を適宜要望に応じて設定できる。また、前記の素材を積層使用する場合、その組合せによりトレー強度、電気特性、成形性等更に向上できる。
【0033】
上記のように構成される部品包装用トレー1は、各収納凹部3に電子部品等の部品bを収納した状態で、図8のように多段に積み重ねて、段ボール箱等の梱包材(図示せず)に収容し梱包して搬送するのに使用する。前記トレー1は、図5及び図6の拡大図において鎖線で示すように、下段のトレー1のスタック部5の上面部5aに、上段のトレー1のスタック部5の下面部5bを対接させて着座させるようにして積み重ねる。
【0034】
この使用において、前記包装用トレー1は、積み重ねのためのスタック部5における少なくとも上面部5a及び下面部5bが、前記収納凹部3の部分に対して所定の密度差をもって高密度になるように成形されているため、収納される部品bに対する緩衝効果のある発泡シートを素材とするものであるにも拘わらず、積み重ね強度を高めることができ、部品bを収納したトレー1を多段に積み重ねた場合にも、スタック部5の座屈による変形を抑制でき、積み重ね荷重を充分にかつ安定性よく支えることができる。そのため、トレー1の変形防止効果に優れ、トレー1の積み重ね状態の安定性がよく、積み重ね姿勢に歪みが生じたり、積み重ね高さが変化することもなく、段ボール箱等の梱包材に、容易にかつ余分な隙間を生じさせることなく具合よく収納し梱包でき、また、収納された部品bを安定性よく保持できる。
【0035】
その一方、部品bが収納されている収納凹部3の部分は、前記スタック部5に比して低密度〔例えば、0.30〜0.55(g/cc)〕であって緩衝効果があり、仮に、輸送途中の衝撃や振動によって収納された部品bがトレー1に強く当接した場合にも、部品bに打痕状等の損傷を与える虞がなく、その保護を良好になし得る。そのため、収納された部品bに傷をつけるおそれなく輸送できる。
【0036】
下記の表1は、上記したようにスタック部と収納凹部とに密度差を付けた本発明の実施例にかかる部品包装用トレー(実施例1)と、スタック部と収納凹部とに密度差を付けていないトレーであって、比較的密度の高いトレー(比較例)及び密度の低いトレー(比較例2)とについて、下記の通り収納部品の保護性能、トレー積み重ね強度の比較テストを行った結果を示している。
【0037】
〔収納部品の保護性能〕
最下部のトレーの各収納凹部(10個所)に液晶パネル(30g/個)を入れ、その上に前記同様に部品相当重量の模擬品(30g/個)を入れたトレーを5枚重ねて段ボール箱に梱包後、1mの高さより1回落下させた。試験は5回実施し、最下部のトレーに収納した液晶パネルの外観の傷の有無により評価を行った。
○:部品外観傷なし
×:部品外観傷あり
【0038】
〔トレー積み重ね強度〕
各トレーに部品相当重量の模擬品(30g/個)を入れたトレーを6枚を積み重ね、24時間静置した前後のトレー高さの変化を測定した。トレー高さは6枚積み重ねた状態で、トレーの4隅を測定し、その平均値をトレー高さとした。試験は5回実施し、その高さの平均値の変位状態の評価を行った。
○:高さ方向の変位が0.2mm以内
×:高さ方向の変位が0.3mm以上
【0039】
【表1】

【0040】
上記テストの結果、スタック部と収納凹部とに密度差を付けていない比較例1及び比較例2は、収納部品の保護性能及びトレー積み重ね強度のいずれか一方が低くなり、総合的には充分に満足できないのに対し、スタック部と収納凹部とに密度差を付けた実施例1のトレーは、収納部品の保護性能及びトレー積み重ね強度のいずれも良好で、両性能を両立でき、充分に満足できる高評価が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、IC部品等の電子部品、液晶表示パネル(LCD)、携帯情報端末装置(PDA)、液晶盤等の電子部品その他の各種部品の保管、運搬に使用する部品包装用トレーに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の部品包装用トレーの一実施例を示す平面図である。
【図2】同上の部品包装用トレーの正面図である。
【図3】同上の部品包装用トレーの側面図である。
【図4】図1のA−A線の一部を省略した拡大断面図である。
【図5】図1のB−B線の拡大断面図である。
【図6】図1のC−C線の拡大断面図である。
【図7】スタック部での積み重ね状態の説明図である。
【図8】同上の部品包装用トレーの積み重ね状態の断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…包装トレー、2…主板部、3…収納凹部、5…スタック部、5a…上面部、5b…下面部、5c…側壁部、6…外壁部、15…平面略半円形の凹部、25…平面略円形の凹部、31…底部、32…凸部、33…側壁、34…凸面部、35…張り出し凹部、b…収納対象の部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂の発泡シートより成形され、少なくとも1つの収納凹部を有し、該収納凹部に部品を収納した状態で多段に積み重ねることができる包装用トレーであって、上下一方に凸状をなす積み重ねのためのスタック部を有するものにおいて、
前記スタック部は、少なくとも上面部と下面部が、前記収納凹部の部分より高密度に成形されてなることを特徴とする部品包装用トレー。
【請求項2】
前記スタック部の上面部及び下面部の密度と、前記収納凹部の部分の密度とは0.1(g/cc)以上の密度差を有してなる請求項1に記載の部品包装用トレー。
【請求項3】
前記スタック部は、前記収納凹部を含む主板部より下方に凸状をなし、積み重ね時に下段トレーのスタック部の上面部に上段トレーのスタック部の下面部が着座するように設けられてなる請求項1または2に記載の部品包装用トレー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品包装用トレーを熱可塑性樹脂の発泡シートから成形する際、前記スタック部の少なくとも上面部及び下面部を、それぞれ収納凹部の部分より圧縮量を大きくして、収納凹部の部分の密度より高密度に成形することを特徴とする部品包装トレーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−240724(P2006−240724A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62718(P2005−62718)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】