説明

部品実装システム及び部品実装方法

【課題】電極部に対する部品の装着状態の不良に対してオペレータが迅速な対策をとることができるようにした部品実装システム及び部品実装方法を提供することを目的とする。
【解決手段】装着ヘッド34を断続的に移動させることにより、装着ヘッド34が備える複数の吸着ノズルNのそれぞれに吸着させた各部品Bを基板2上の各電極部Dに予め定めた順序で装着させた後、各電極部Dに装着した部品Bを撮像し、得られた画像に基づいて各電極部Dに対する部品Bの装着状態の良否判定を行う。そして、電極部Dに対する装着状態が不良な部品Bがあった場合には、装着ヘッド34上の移動軌跡を吸着ノズルNの回転方向の変化の履歴と併せてディスプレイ54に視覚表示するとともに、その移動軌跡のうち、装着状態が不良な部品Bを電極部Dに装着する直前の装着ヘッド34の移動に相当する部分(L5)を他の部分(L1等)と視覚的に識別できる状態で示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の電極部に部品を装着して実装基板の生産を行う部品実装システム及び部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板の電極部に部品を装着して実装基板の生産を行う部品実装システムは、半田等のペーストが印刷された基板の電極部に部品(電子部品)を装着する部品装着部のほか、部品装着部により装着された部品の電極部に対する装着状態の良否判定を行う検査部を備えている。部品装着部は、複数の吸着ノズルのそれぞれに部品を吸着する装着ヘッドと、装着ヘッドを移動させるヘッド移動ロボットと、ヘッド移動ロボットを作動させて装着ヘッドを断続的に移動させることにより、装着ヘッドが備える複数の吸着ノズルのそれぞれに吸着された各部品を基板上の各電極部に予め定めた順序で装着させる装着制御手段を備えて成り、検査部は、装着ヘッドによって基板上の各電極部に装着された部品を撮像するカメラ等の撮像手段と、撮像手段により撮像された各部品の画像に基づいて、基板上の各電極部に対する部品の装着状態の良否判定を行う判定手段を備えて成る。このような部品実装システムでは、部品装着部において基板の電極上に装着された部品の装着状態が不良であった場合にはこれが検査部において発見されるので、オペレータは必要な対策を講じて部品の装着状態が改善されるようにすることができる。
【0003】
ここで、部品の装着状態が不良となる原因としては種々のことが考えられるが、そのうちのひとつとして、装着ヘッドが部品を電極部に装着するごとに移動するとき、その移動に際してのヘッド移動ロボットによる装着ヘッドの駆動パターン(装着ヘッドの移動の開始から停止までの駆動パターン)がヘッド移動ロボットの加振力となり、その加振力の周期がヘッド移動ロボットの固有周期に近接して共振したために装着ヘッドに残留振動が生じたような場合が挙げられる(例えば、特許文献1)。このような装着ヘッドの残留振動が生じた場合には、オペレータは、ヘッド移動ロボットにより装着ヘッドの駆動パターンを変更するなどして、ヘッド移動ロボットに共振が生じないようにする対策をとることができる。
【0004】
また、他の原因として、電極部の配置状態に応じて吸着ノズルを回転させて部品を装着させる場合において、その吸着ノズルの回転速度が速過ぎたために吸着ノズルに対して部品が位置ずれを起こしてしまうことも考えられ、このような場合にはオペレータは吸着ノズルの回転速度を小さくするなどの対策を講じることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−181395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来では、電極部に対する装着状態の不良な部品があることが検出された場合に、その装着状態の不良の原因として装着ヘッドの共振現象や吸着ノズルの回転の速度の大きさが考えられ、装着状態の不良な部品を装着する直前の装着ヘッドの移動に関わる装着ヘッドの駆動パターンを変更すればヘッド移動ロボットの共振を回避でき、或いは吸着ノズルの回転速度を遅くすれば吸着ノズルに対する部品の位置ずれが発生することを回避できることをオペレータが分かっていたとしても、オペレータは装着状態の不良な部品がどのような順序で装着されたかをすぐには分からないのが通常であり、したがって装着ヘッドの移動軌跡のうちどの部分の駆動パターン(装着ヘッドの駆動パターン)の変更を検討すればよいか、或いは吸着ノズルのどの回転の回転速度を遅くすればよいかをすぐには把握することができないことから、迅速な対応をとることが難しいという問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、電極部に対する部品の装着状態の不良に対してオペレータが迅速な対策をとることができるようにした部品実装システム及び部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の部品実装システムは、部品を吸着する複数の吸着ノズルを備えた装着ヘッドと、装着ヘッドを移動させるヘッド移動ロボットと、ヘッド移動ロボットを作動させて装着ヘッドを断続的に移動させることにより、装着ヘッドが備える複数の吸着ノズルのそれぞれに吸着させた各部品を基板上の各電極部に予め定めた順序で装着させる装着制御手段と、装着ヘッドにより基板上の各電極部に装着された部品を撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像された基板上の各部品の画像に基づいて、各電極部に対する部品の装着状態の良否判定を行う判定手段と、判定手段により電極部に対する装着状態が不良であると判定された部品があった場合に、基板上の各電極部への部品の装着が行われた際の装着ヘッドの移動軌跡を吸着ノズルの回転方向の変化の履歴と併せてディスプレイに視覚表示するとともに、その装着ヘッドの移動軌跡のうち、判定手段により電極部に対する装着状態が不良であると判定された部品が電極部に装着される直前の装着ヘッドの移動に相当する部分を他の部分と視覚的に識別できる状態で示す移動軌跡表示手段とを備えた。
【0009】
請求項2に記載の部品実装システムは、請求項1に記載の部品実装システムであって、判定手段により電極部に対する装着状態が不良であると判定された部品があった場合に、ヘッド移動ロボットが装着ヘッドを断続移動させるごとに装着ヘッドに与える装着ヘッドの駆動パターンがヘッド移動ロボットに残留振動を発生させ得るものとなっていたがどうかの判断を行う判断手段を備え、移動軌跡表示手段は、判定手段により電極部に対する装着状態が不良であると判定された部品があった場合に、ディスプレイに視覚表示する装着ヘッドの移動軌跡のうち、判断手段によって、ヘッド移動ロボットに残留振動を発生させ得るものとなっていたと判断された駆動パターンによる装着ヘッドの移動に相当する部分を他の部分と視覚的に識別できる状態で示す。
【0010】
請求項3に記載の部品実装方法は、装着ヘッドが備える複数の吸着ノズルのそれぞれに部品を吸着させる工程と、装着ヘッドを移動させるヘッド移動ロボットを作動させて装着ヘッドを断続的に移動させることにより、装着ヘッドが備える複数の吸着ノズルのそれぞれに吸着させた各部品を基板上の各電極部に予め定めた順序で装着させる工程と、装着ヘッドにより基板上の各電極部に装着した部品を撮像する工程と、撮像した基板上の各部品の画像に基づいて、各電極部に対する部品の装着状態の良否判定を行う工程と、電極部に対する装着状態が不良であると判定した部品があった場合に、基板上の各電極部への部品の装着を行った際の装着ヘッド上の移動軌跡を吸着ノズルの回転方向の変化の履歴と併せてディスプレイに視覚表示するとともに、その装着ヘッドの移動軌跡のうち、電極部に対する装着状態が不良であると判定した部品を電極部に装着する直前の装着ヘッドの移動に相当する部分を他の部分と視覚的に識別できる状態で示す工程とを含む。
【0011】
請求項4に記載の部品実装方法は、請求項3に記載の部品実装方法であって、電極部に対する装着状態が不良であると判定した部品があった場合に、ヘッド移動ロボットが装着ヘッドを断続的に移動させるごとに装着ヘッドに与える装着ヘッドの駆動パターンがヘッド移動ロボットに残留振動を発生させ得るものとなっていたかどうかの判断を行い、ディスプレイに視覚表示する装着ヘッドの移動軌跡のうち、ヘッド移動ロボットに残留振動を発生させ得るものとなっていたと判断した駆動パターンによる装着ヘッドの移動に相当する部分を他の部分と視覚的に識別できる状態で示す工程とを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、撮像手段により撮像した基板上の部品の画像に基づいて、電極部に対する装着状態が不良な部品を発見した場合には、基板上の各電極部への部品の装着が行われた際の装着ヘッドの移動軌跡を吸着ノズルの回転方向の変化の履歴と併せてディスプレイに視覚表示するとともに、その装着ヘッドの移動軌跡のうち、電極部に対する装着状態が不良な部品が電極部に装着される直前の装着ヘッドの移動に相当する部分を他の部分と視覚的に識別できる状態で示すようになっており、オペレータは装着ヘッドの移動軌跡のうち、ヘッド移動ロボットによる装着ヘッドの駆動パターンの変更を検討すべき部分をすぐに把握することができ、また、吸着ノズルの回転によって吸着ノズルに対する部品の位置ずれが発生した可能性を検討すべき部分もすぐに把握することができるので、電極部に対する部品の装着状態の不良に対してオペレータは迅速な対応をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態における部品実装システムの構成図
【図2】本発明の一実施の形態における部品実装システムを構成する部品装着機の要部斜視図
【図3】本発明の一実施の形態における部品装着機が備える装着ヘッドの(a)斜視図(b)平面図
【図4】本発明の一実施の形態における基板の平面図
【図5】(a)〜(h)本発明の一実施の形態における部品装着機により基板上の電極部に部品を装着する手順の一例を示す図
【図6】本発明の一実施の形態における部品実装システムを構成する検査機の要部斜視図
【図7】本発明の一実施の形態における検査機が備えるディスプレイに表示される画像の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に示す部品実装システム1は、基板2上に設けられた多数の電極部Dに部品Bを装着して実装基板の生産を行うものであり、印刷機11、部品装着機12及び検査機13が上流工程側からこの順で配置された構成となっている。これら印刷機11、部品装着機12及び検査機13はそれぞれホストコンピュータ14を介して相互に繋がっており、互いにデータのやりとりを行うことができるようになっている。
【0015】
印刷機11は、上流工程側(部品実装システム1の外部)から送られてきた基板2を基板搬送路21(図1)によって搬入して位置決めし、その位置決めした基板2の上面に基板2上の各電極部Dに対応して設けられた多数の開口を有したマスク(図示せず)を接触させ、マスク上にペーストを供給したうえで、マスク上でスキージ(図示せず)を摺動させることによって基板2の電極部D上にペーストを転写させる。
【0016】
図2において、部品装着機12は基板保持部31、部品Bの供給を行う部品供給部32、図示しない複数のアクチュエータを含むXYロボットから成るヘッド移動ロボット33によって基板保持部31の上方を移動自在に設けられた装着ヘッド34、装着ヘッド34に取り付けられた基板カメラ35、基板保持部31と部品供給部32との間に設けられた部品カメラ36及びこれら各部の作動制御を行う装着機制御装置37(図1も参照)を備えている。
【0017】
図2及び図3(a),(b)において、装着ヘッド34には、部品供給部32より供給される部品Bを吸着する下方に延びた複数(ここでは8つ)の吸着ノズルN(N1,N2,・・・,N8)が備えられている。各吸着ノズルNは装着ヘッド34に対して昇降自在であるとともに、上下軸回りに回転自在になっている。
【0018】
図2及び図3(a)において、基板カメラ35は撮像視野を下方に向けた状態で設けられており、部品カメラ36は撮像視野を上方に向けた状態で設けられている。
【0019】
図2において、基板保持部31は、基板2をX軸方向に搬送する一対のコンベア31a(図1も参照)、コンベア31aによって所定の位置(図2に示す位置)まで搬送された基板2を下方から支持する下受け部31b及び下受け部31bにより支持された基板2の両側部が下方から当接される一対の基板端部当接部材31cを備えている。一対のコンベア31aによる基板2の搬送動作及び下受け部31bの昇降動作は、装着機制御装置37が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送保持機構41の作動制御を行うことによってなされる。
【0020】
図2において、部品供給部32は例えばテープフィーダから成り、基板2に装着される部品Bを部品供給口32aに供給する。部品供給部32による部品Bの供給動作は、装着機制御装置37が図示しないアクチュエータ等から成る部品供給機構42の作動制御を行うことによってなされる。
【0021】
図2において、装着ヘッド34の移動動作は装着機制御装置37が前述のヘッド移動ロボット33の作動制御を行うことによってなされる。また、装着ヘッド34による吸着ノズルNを介した部品Bの吸着動作は装着機制御装置37が図示しないアクチュエータ等から成る吸着機構43の作動制御を行うことによってなされ、各吸着ノズルNの装着ヘッド34に対する昇降及び回転動作は装着機制御装置37が図示しないアクチュエータ等から成る吸着ノズル駆動機構44の作動制御を行うことによってなされる。装着機制御装置37は、部品Bを吸着させた吸着ノズルNを装着ヘッド34に対して上下軸回りに回転させることにより、電極部Dの配置に応じた任意の回転角度で部品Bを基板2上に装着させることができる。
【0022】
図2において、基板カメラ35による撮像動作と部品カメラ36による撮像動作は装着機制御装置37によって制御され、基板カメラ35の撮像動作によって得られた画像データと部品カメラ36の撮像動作によって得られた画像データは装着機制御装置37に送信されて画像認識処理がなされる。
【0023】
図2において、部品装着機12によって基板2(印刷機11によって各電極部DにペーストPtが印刷された基板2)に対して部品Bを装着する場合には、装着機制御装置37は、部品装着機12の上流工程側の印刷機11から送られてきた基板2をコンベア31aによって搬入し、上記所定の作業位置に静止させて基板2の位置決めを行う。装着機制御装置37は、基板2の位置決めを行ったら、下受け部31bを上昇させて基板2を下方から支持した状態で押し上げ、一対の基板端部当接部材31cに基板2の両端部を当接させて基板2を保持する。
【0024】
装着機制御装置37は、一対の基板端部当接部材31cに基板2の両端部を当接させて基板2を保持したら、装着ヘッド34を移動させて基板カメラ35を基板2の上方に位置させ、基板カメラ35に基板2上の一対の基板マーク2mを撮像させる。そして、得られた一対の基板マーク2mの位置を予め設定された基準の位置と比較することによって、基板2の基準の位置からの位置ずれを求める。
【0025】
装着機制御装置37は、基板2の基準の位置からの位置ずれを求めたら、基板2上の各電極部Dに部品Bを装着する以下の部品装着工程を実行する。
【0026】
部品装着工程では、装着機制御装置37は、部品供給部32の作動制御を行って部品供給口32aに部品Bを供給させるとともに、装着ヘッド34を部品供給部32の上方に位置させることによって装着ヘッド34の8つの吸着ノズルNのそれぞれに部品Bを吸着させた後、装着ヘッド34を移動させて吸着ノズルNに吸着された部品Bが部品カメラ36の上方を通過するようにする。そして、部品カメラ36によって部品Bの撮像を行わせ、吸着ノズルNに対する部品Bの姿勢(吸着ノズルNに対する部品Bの位置ずれ)を把握したうえで、装着ヘッド34を基板2の上方に位置させて、吸着ノズルNに吸着させた部品Bを基板2上の電極部D上に装着する。
【0027】
ここで装着機制御装置37は、部品Bを基板2に装着するときは、基板カメラ35による基板マーク2mの撮像によって得られた基板2の位置ずれと、部品カメラ36による部品Bの撮像によって得られた吸着ノズルNに対する部品Bの位置ずれ(吸着ずれ)がキャンセルされるように吸着ノズルNの位置補正(回転補正を含む)を行うようにする。
【0028】
上記部品装着工程においては、どの部品供給部32から供給される部品Bをどの吸着ノズルNにより吸着して基板2上のどの電極部Dにどのような角度(上下軸回りの回転角度)で装着させるかが部品Bの装着順序のデータとともに装着機制御装置37の図示しない記憶部に記憶された実装プログラムに記録されており、装着機制御装置37はその実装プログラムに記録された内容にしたがって装着ヘッド34の作動制御を行う。
【0029】
例えば、図4に示すように、基板2上に8つの電極部D(P1,P2,・・・,P8)が設けられており、これら8つの電極部Dに、装着ヘッド34が備える8つの吸着ノズルN(N1,N2,・・・,N8)に吸着させた8つの部品B(B1,B2,・・・,B8)を(1)「電極部D1に吸着ノズルN2に吸着させた部品B2を装着」→(2)「電極部D2に吸着ノズルN4に吸着させた部品B4を装着」→(3)「電極部D3に吸着ノズルN1に吸着させた部品B1を装着」→(4)「電極部D4に吸着ノズルN5に吸着させた部品B5を装着」→(5)「電極部D5に吸着ノズルN6に吸着させた部品B6を装着」→(6)「電極部D6に吸着ノズルN3に吸着させた部品B3を装着」→(7)「電極部D7に吸着ノズルN8に吸着させた部品B8を装着」→(8)「電極部D8に吸着ノズルN7に吸着させた部品B7を装着」という順序で装着するようになっている場合には、装着機制御装置37は装着ヘッド34を図5(a)→図5(b)→図5(c)→・・・→図5(h)のように移動させて部品Bの装着を行う。
【0030】
このとき、装着ヘッド34の代表位置(例えば中心位置)GはG1→G2→・・・→G8と移動し、装着ヘッド34の代表位置GはG1〜G2,G2〜G3,・・・,G7〜G8の間をこの順で断続的に移動することになる。このときの装着ヘッド34の移動動作は、部品Bの基板2上での部品装着位置(電極部Dの位置)と各吸着ノズルNとの相対位置に基づいて、装着ヘッド34の移動に要する時間ができるだけ短くなるように考慮して決定される。なお、装着機制御装置37は、部品Bを電極部Dに装着させる過程で部品Bを回転させる必要があるときには、必要な角度(この角度は実装プログラムに記録されている)だけ吸着ノズルNを回転させたうえで部品Bを装着するようにする。
【0031】
このように本実施の形態において、装着機制御装置37は、ヘッド移動ロボット33を作動させて装着ヘッド34を断続的に移動させることにより、装着ヘッド34が備える複数の吸着ノズルNのそれぞれに吸着させた各部品Bを基板2上の各電極部Dに予め定めた順序で装着させる装着制御手段として機能する。
【0032】
装着機制御装置37は、基板2に対する部品Bの装着が終了したら、コンベア31aを作動させて基板2を部品装着機12から搬出する。
【0033】
図6において、検査機13は、基板2をX軸方向に搬送する一対のコンベア51(図1も参照)、XYロボットから成る検査カメラ移動ロボット52によって一対のコンベア51の上方を移動自在に設けられた検査カメラ53、ディスプレイ54及びこれら各部の作動制御を行う検査機制御装置55(図1も参照)を備えている。検査カメラ53は撮像視野を下方に向け、水平面内方向に移動自在に設けられている。
【0034】
図6において、一対のコンベア51による基板2の搬送動作は、検査機制御装置55が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送機構56の作動制御を行うことによってなされる。
【0035】
図6において、検査カメラ53の移動動作は検査機制御装置55が前述の検査カメラ移動ロボット52の作動制御を行うことによってなされる。検査カメラ53による撮像動作は検査機制御装置55によって制御され、検査カメラ53の撮像動作によって得られた画像データは検査機制御装置55に送信されて画像認識処理がなされる。
【0036】
検査機13によって基板2(ペーストPtが印刷された各電極部Dに部品Bの装着がなされた基板2)の検査を行う場合には、検査機制御装置55は、部品装着機12から送られてきた基板2をコンベア51によって搬入し、所定の作業位置(図6に示す位置)に静止させて基板2の位置決めを行う。検査機制御装置55は、基板2を位置決めしたら、検査カメラ53を基板2の上方に移動させ、検査カメラ53に基板2上の一対の基板マーク2mを撮像させる。そして、得られた一対の基板マーク2mの位置を予め設定された基準の位置と比較することによって、基板2の基準の位置からの位置ずれを求める。
【0037】
検査機制御装置55は、基板2上の基準の位置からの位置ずれを求めたら、基板2上の各電極部Dに部品Bが正常に装着されているか否かの検査を行う以下の検査工程を実行する。
【0038】
検査工程では、検査機制御装置55は、ホストコンピュータ14を介して装着機制御装置37より実装プログラムの送信を受け(図1参照)、部品装着機12によって基板2上の各電極部Dに装着された部品Bの位置を検査カメラ53によって撮像する。そして検査機制御装置55は、得られた各部品Bの位置の撮像画像の画像認識を行うことによって(すなわち、検査カメラ53により撮像された基板2の画像に基づいて)、基板2の各電極部Dにおける部品Bの装着状態の良否判定を行う。この電極部Dにおける部品Bの装着状態の良否判定は、具体的には、各部品Bが一定の基準の範囲を超えて電極部D若しくは実装プログラムで指定された部品装着位置から位置ずれを起こしているか否か等に基づいて行う。
【0039】
検査機制御装置55は、上記判定において、電極部Dに対する装着状態が不良であると判定した部品Bがあった場合には、基板2の各電極部Dへの部品Bの装着を行った際の装着ヘッド34の移動軌跡を吸着ノズルNの回転方向の変化の履歴と併せてディスプレイ54に視覚表示するとともに、その装着ヘッド34の移動軌跡のうち、電極部Dに対する装着状態が不良であると判定した部品B(以下、装着状態不良部品と称する)が電極部Dに装着される直前の装着ヘッド34の移動に相当する部分を他の部分と視覚的に識別できる状態で示す。これにより部品実装システム1の操作を行うオペレータOP(図1)は、装着ヘッド34の移動軌跡のうち、装着状態不良部品が電極部Dに装着される直前の装着ヘッド34の移動に相当する部分、すなわちヘッド移動ロボットによる装着ヘッドの駆動パターン(具体的には、ヘッド移動ロボット33のアクチュエータの駆動パターン)の変更を検討すべき部分を他の部分と容易に識別して把握することができる。
【0040】
例えば、装着機制御装置37が実装プログラムに従って前掲の図5(a),図5(b),・・・,図5(h)に示したような手順で装着ヘッド34により基板2上の電極部D1〜D8に部品B1〜B8を装着した場合、検査機制御装置55は装着機制御装置37から実装プログラムを受け取り、装着ヘッド34の代表位置Gの移動軌跡(G1→G2→・・・→G8)を図7のように示したうえで、装着状態不良部品(部品B6であるとする)が電極部Dに装着される直前の装着ヘッド34の移動に相当する部分の直線(L5)の太さを他の部分の直線(L1,L2,L3,L4,L6,L7)の太さよりも太く(或いは他の部分の直線と識別可能な色で)表すようにする。
【0041】
このように、本実施の形態において、検査機13が備える検査カメラ53は、部品装着機12の装着ヘッド34により基板2上の各電極部Dに装着された部品Bを撮像する撮像手段として機能し、検査機制御装置55は、検査カメラ53により撮像された基板2上の各部品Bの画像に基づいて、各電極部Dに対する部品Bの装着状態の良否判定を行う判定手段として機能する。
【0042】
また、検査機制御装置55は、判定手段としての自身(検査機制御装置55)により電極部Dに対する装着状態が不良であると判定された部品Bがあった場合に、基板2上の各電極部Dへの部品Bの装着が行われた際の装着ヘッド34の移動軌跡を吸着ノズルの回転方向の変化の履歴と併せてディスプレイ54に視覚表示するとともに、その装着ヘッド34の移動軌跡のうち、判定手段としての自身(検査機制御装置55)により電極部Dに対する装着状態が不良であると判定された部品Bが電極部Dに装着される直前の装着ヘッド34の移動に相当する部分を他の部分と視覚的に識別できる状態で示す移動軌跡表示手段として機能する。
【0043】
図7は、検査機制御装置55が、電極部D6に対する部品B6の装着状態が不良であったと判断した場合に、装着ヘッド34の代表位置GのG5〜G6の間の移動を示す部分の直線の太さを他の部分の直線の太さよりも太く示した例を示している。また、図7では、吸着ノズルNの回転方向の変化の履歴として、部品供給部32から部品Bを吸着した時点(図3(b)参照)での吸着ノズルNの回転角度を基準角度(0°)とし、吸着ノズルNを基準角度から回転させた状態で電極部Dに部品Bを装着したときには、吸着ノズルNの回転方向を基準角度からの回転角度とともに示すようにしている。なお、図7の例では、吸着ノズルNの回転方向の順逆を符号「+」及び「−」で示している。
【0044】
ここで、オペレータOPは、検査機13のディスプレイ54に装着状態不良部品が電極部Dに装着される直前の装着ヘッド34の移動を示す部分が他の部分と視覚的に識別できる状態で示されたときには、その部分の装着ヘッド34の移動に関する装着ヘッド34の駆動パターン(ヘッド移動ロボット33のアクチュエータの駆動パターンであり、例えば、アクチュエータの動作開始速度や動作停止速度などの組み合わせ)を実装プログラムにおいて変更し、或いは、その部品Bの基板2への装着時における装着ヘッド34の移動速度を低速にするなどの対策をとって部品Bの装着状態不良を改善する。
【0045】
また、オペレータOPは、基板2上の各電極部Dへの部品Bの装着が行われた際の装着ヘッド34の移動軌跡とともに示される吸着ノズルNの回転方向の変化の履歴を参照することにより、吸着ノズルNの回転速度が速過ぎたために吸着ノズルNに対して部品Bがずれてしまったケースが予測される場合には、吸着ノズルNの回転速度が小さくなるように実装プログラムを書き換えることによって吸着ノズルNに対する部品Bのずれを解消する対策をとることもできる。
【0046】
なお、本実施の形態では、前述のように、吸着ノズルNの回転方向の変化を、装着状態不良部品を電極部Dに装着した直前のものについてだけ示すのではなく、装着ヘッド34による最初の部品Bの装着時からの吸着ノズルNの回転方向の変化の全て(すなわち履歴)を示しているので、装着ヘッド34が備える複数(ここでは8つの)の吸着ノズルNを個々には回転制御できず、ひとつのモータによって全ての吸着ノズルNが同方向に同角度だけ同時に回転される構成になっており、電極部Dに装着される直前だけなく、それ以前においても吸着ノズルNが回転させられている場合においても、吸着ノズルの回転動作に起因して部品Bの装着ずれが生じたかどうかを十分に検討することができる。
【0047】
検査機制御装置55は、基板2に対する印刷検査が終了したら、コンベア51を作動させて基板2を検査機13から部品実装システム1の外部に搬出する。
【0048】
部品実装システム1により基板2上の各電極部Dに部品Bを装着する手順は上記の通りであり、次いで、部品実装システム1による部品実装方法について説明する。
【0049】
部品実装システム1による部品実装方法では、先ず、印刷機11の制御装置22(図1)がスキージ等の作動制御を行って、基板2上の各電極部DにペーストPtを印刷する。そして、次に、装着機制御装置37が、装着ヘッド34が備える複数の吸着ノズルNのそれぞれに部品Bを吸着させた後(部品吸着工程)、装着ヘッド34を断続的に移動させることにより、装着ヘッド34が備える複数の吸着ノズルNのそれぞれに吸着させた各部品Bを基板2上の各電極部Dに予め定めた順序で装着させる(部品装着工程)。
【0050】
装着機制御装置37が基板2上の各電極部Dに部品Bを装着させたら、検査機制御装置55が、部品装着機12の装着ヘッド34により基板2上の各電極部Dに装着された部品Bを撮像する(撮像工程)。そして、検査機制御装置55は、撮像した基板2上の各部品Bの画像に基づいて、各電極部Dに対する部品Bの装着状態の良否判定を行ったうえで(良否判定工程)、電極部Dに対する装着状態が不良であると判定した部品があった場合に、基板2上の各電極部Dへの部品Bの装着を行った際の装着ヘッド34上の移動軌跡をディスプレイ54に視覚表示するとともに、その装着ヘッド34の移動軌跡のうち、電極部Dに対する装着状態が不良であると判定した部品Bを電極部Dに装着する直前の装着ヘッド34の移動に相当する部分を他の部分と視覚的に識別できる状態で示す(表示工程)。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態における部品実装システム1及び部品実装システム1による部品実装方法では、撮像手段である検査機13が備える検査カメラ53により撮像した基板2上の部品Bの画像に基づいて、電極部Dに対する装着状態が不良な部品Bを発見した場合には、基板2上の各電極部Dへの部品Bの装着が行われた際の装着ヘッド34の移動軌跡を吸着ノズルNの回転方向の変化の履歴と併せてディスプレイ54に視覚表示するとともに、その装着ヘッド34の移動軌跡のうち、電極部Dに対する装着状態が不良な部品Bが電極部Dに装着される直前の装着ヘッド34の移動に相当する部分を他の部分と視覚的に識別できる状態で示すようになっており、オペレータOPは装着ヘッド34の移動軌跡のうち、ヘッド移動ロボット33による装着ヘッド34の駆動パターンの変更を検討すべき部分をすぐに把握することができ、また、吸着ノズルNの回転によって吸着ノズルNに対する部品Bの位置ずれが発生した可能性を検討すべき部分もすぐに把握することができるので、電極部Dに対する部品Bの装着状態の不良に対してオペレータOPは迅速な対応をとることができる。
【0052】
なお、上述の装着ヘッド34の移動軌跡の表示は、検査機13が備えるディスプレイ54に限られず、部品実装システム1を構成する他の装置(例えば部品装着機12)が備えるディスプレイに表示させることも可能である。
【0053】
また、上述の構成に加え、判定手段である検査機制御装置55により電極部Dに対する装着状態が不良であると判定された部品Bがあった場合に、ヘッド移動ロボット33が装着ヘッド34を断続移動させるごとに装着ヘッド34に与える装着ヘッド34の駆動パターンがヘッド移動ロボット33に残留振動を発生させ得るものとなっていたがどうかの判断を行う判断手段(例えば、検査機制御装置55内に設けた図示しない判断部)を備え、移動軌跡表示手段としての検査機制御装置55は、上記判定手段により電極部Dに対する装着状態が不良であると判定された部品Bがあった場合に、ディスプレイ54に視覚表示する装着ヘッド34の移動軌跡のうち、判断手段によって、ヘッド移動ロボット33に残留振動を発生させ得るものとなっていたと判断された駆動パターンによる装着ヘッド34の移動に相当する部分を他の部分と視覚的に識別できる状態で示すようになっていてもよい。
【0054】
この場合、判断手段としての検査機制御装置55は、ヘッド移動ロボット33に残留振動を発生させ得るヘッド移動ロボット33による装着ヘッド34の移動時の装着ヘッド34の駆動パターン(特定駆動パターン)を予め記憶手段(例えば検査機制御装置55内に設けた図示しない記憶部)に記憶しておき、電極部Dに対する装着状態が不良であると判定した部品Bがあった場合に、装着ヘッド34の移動軌跡を構成する個々の移動経路における装着ヘッド34の駆動パターンを記憶手段に記憶した上記特定パターンと比較することによって上記判断を行う。
【0055】
このような構成であれば、ディスプレイ54に表示された、電極部Dに対する装着状態が不良であると判定された部品Bが電極部Dに装着される直前の装着ヘッド34の移動に相当する部分における装着ヘッド34の駆動パターンが、実際にヘッド移動ロボット33に残留振動を発生させる原因となり得るものであったのかどうかが明らかになるので、オペレータOPはより効果的に部品Bの装着状態の不良に対する対策をとることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
電極部に対する部品の装着状態の不良に対してオペレータが迅速な対策をとることができるようにした部品実装システム及び部品実装方法を提供する。
【符号の説明】
【0057】
1 部品実装システム
2 基板
33 ヘッド移動ロボット
34 装着ヘッド
37 装着機制御装置(装着制御手段)
53 検査カメラ(撮像手段)
54 ディスプレイ
55 検査機制御装置(判定手段、移動軌跡表示手段)
N 吸着ノズル
D 電極部
B 部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を吸着する複数の吸着ノズルを備えた装着ヘッドと、
装着ヘッドを移動させるヘッド移動ロボットと、
ヘッド移動ロボットを作動させて装着ヘッドを断続的に移動させることにより、装着ヘッドが備える複数の吸着ノズルのそれぞれに吸着させた各部品を基板上の各電極部に予め定めた順序で装着させる装着制御手段と、
装着ヘッドにより基板上の各電極部に装着された部品を撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された基板上の各部品の画像に基づいて、各電極部に対する部品の装着状態の良否判定を行う判定手段と、
判定手段により電極部に対する装着状態が不良であると判定された部品があった場合に、基板上の各電極部への部品の装着が行われた際の装着ヘッドの移動軌跡を吸着ノズルの回転方向の変化の履歴と併せてディスプレイに視覚表示するとともに、その装着ヘッドの移動軌跡のうち、判定手段により電極部に対する装着状態が不良であると判定された部品が電極部に装着される直前の装着ヘッドの移動に相当する部分を他の部分と視覚的に識別できる状態で示す移動軌跡表示手段とを備えたことを特徴とする部品実装システム。
【請求項2】
判定手段により電極部に対する装着状態が不良であると判定された部品があった場合に、ヘッド移動ロボットが装着ヘッドを断続移動させるごとに装着ヘッドに与える装着ヘッドの駆動パターンがヘッド移動ロボットに残留振動を発生させ得るものとなっていたがどうかの判断を行う判断手段を備え、
移動軌跡表示手段は、判定手段により電極部に対する装着状態が不良であると判定された部品があった場合に、ディスプレイに視覚表示する装着ヘッドの移動軌跡のうち、判断手段によって、ヘッド移動ロボットに残留振動を発生させ得るものとなっていたと判断された駆動パターンによる装着ヘッドの移動に相当する部分を他の部分と視覚的に識別できる状態で示すことを特徴とする請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
装着ヘッドが備える複数の吸着ノズルのそれぞれに部品を吸着させる工程と、
装着ヘッドを移動させるヘッド移動ロボットを作動させて装着ヘッドを断続的に移動させることにより、装着ヘッドが備える複数の吸着ノズルのそれぞれに吸着させた各部品を基板上の各電極部に予め定めた順序で装着させる工程と、
装着ヘッドにより基板上の各電極部に装着した部品を撮像する工程と、
撮像した基板上の各部品の画像に基づいて、各電極部に対する部品の装着状態の良否判定を行う工程と、
電極部に対する装着状態が不良であると判定した部品があった場合に、基板上の各電極部への部品の装着を行った際の装着ヘッド上の移動軌跡を吸着ノズルの回転方向の変化の履歴と併せてディスプレイに視覚表示するとともに、その装着ヘッドの移動軌跡のうち、電極部に対する装着状態が不良であると判定した部品を電極部に装着する直前の装着ヘッドの移動に相当する部分を他の部分と視覚的に識別できる状態で示す工程とを含むことを特徴とする部品実装方法。
【請求項4】
電極部に対する装着状態が不良であると判定した部品があった場合に、ヘッド移動ロボットが装着ヘッドを断続的に移動させるごとに装着ヘッドに与える装着ヘッドの駆動パターンがヘッド移動ロボットに残留振動を発生させ得るものとなっていたかどうかの判断を行い、ディスプレイに視覚表示する装着ヘッドの移動軌跡のうち、ヘッド移動ロボットに残留振動を発生させ得るものとなっていたと判断した駆動パターンによる装着ヘッドの移動に相当する部分を他の部分と視覚的に識別できる状態で示す工程とを含むことを特徴とする請求項3に記載の部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−4883(P2013−4883A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136905(P2011−136905)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】