説明

都市及び近郊集落の廃棄物処理方法、中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システム、ならびにこれに用いる分散型廃棄物処理装置

【課題】 人口数千人程度の地域コミュニティー単位における廃棄物処理を促進して、ごみ焼却施設の処理対象人口が10万人程度と大きい場合と比較して、廃棄物処理コスト総額の大幅な減額が可能な都市及び近郊集落の廃棄物処理方法を提供すること。
【解決手段】 担当する地域内の生成廃棄物量に応じて配置される分散型廃棄物処理装置120を用いた廃棄物処理システムであって、分散型廃棄物処理装置120の容量は前記所定戸数又は居住人数に応じて定められ、少なくとも週休日を除く週日については、1日1回以上の頻度で前記所定居住エリア内の廃棄物収集をし、前記所定居住エリア内の廃棄物収集は、汎用小型トラックを用いることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人口数千人程度の集落から人口数十万ないし数百万人程度の地方公共団体における廃棄物処理量の減量や、廃棄物処理コストの大幅な減額に用いて好適な、分散型廃棄物処理装置を用いた都市及び近郊集落の廃棄物処理方法に関する。また、本発明は中高層又は超高層の居住戸数が数百戸ないし数千戸程度の集合住宅や団地、中高層又は超高層のオフィス系ビルに用いて好適な、中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システムに関する。
【0002】
また本発明は、上記都市及び近郊集落の廃棄物処理方法、並びに、中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システムに用いて好適な分散型廃棄物処理装置に関する。当該分散型廃棄物処理装置は、家庭から排出される一般廃棄物、自動車や家庭用電化製品の廃棄やリサイクルに伴って生じるゴム系廃棄物やプラスチック廃棄物を処理するのに好適な有機廃棄物資源化装置の一類型である。
【背景技術】
【0003】
家庭から排出される一般廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)第6条や地方自治法第228条等の法規制によって、地方自治体が廃棄物処理を担当している。また、循環型社会形成推進法の精神に基づいて、自動車や家庭用電化製品等のリサイクル規制が賦課されている産業廃棄物においては、廃掃法第3条・容器包装リサイクル法・家電リサイクル法・自動車リサイクル法などによって定められる責任者が、リサイクルに必要とされる設備負担を行っている。しかし、全ての産業廃棄物がリサイクルできるものではなく、一定割合で最終処分を必要とする廃棄物が発生している。このような廃棄物において、収集されてから最終処分に至るまでの中間処理として、焼却処理が一般的に行われている。特に近年においては、最終処分場の廃棄物収容容量との関係で、産廃処分場やごみ処理場等において、廃棄物の減量処理が緊急性の高い課題となっている。
【0004】
ところで、日本における現在の一般廃棄物の排出及び処理状況は、例えば環境省の報道発表資料として公表されており、平成15年度の一人一日あたりのごみ排出量が1106グラム、ごみ排出量総量5161万トン、平成15年度末日のごみ焼却施設の状況は1396施設、一施設当りの処理能力が139トン/日とされ、余熱利用を行う施設数は995施設となっている。このような処理対象人口10万人程度のごみ焼却施設の運営は、地方公共団体の広域事業処理組合などによって行われている。
【0005】
典型的なごみ焼却施設は、例えば含水率の低い低質ごみに適する装置が特許文献1に開示されており、ダイオキシン排出量を削減した廃棄物焼却システムが特許文献2に開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−249262号公報
【特許文献2】特開2004−91367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、仮にごみ焼却施設を新設する場合には、当該設置地区の住民の承諾を得ることが困難になっており、住民の反対運動が生じることも少なくない。そこで、住民への便益として、余熱利用を行う施設(例えば温水プール)を併設することが行われている。このような便益施設の併設は、ごみ焼却施設の設置コストに含まれるため、地方公共団体にとって財政的に大きな負担となっている。また、廃棄物の焼却は、当該廃棄物を焼却炉内で燃焼させることによって実施されるが、燃焼に伴う炭化水素や、窒素酸化物、ダイオキシン類等の有害物質の発生や、焼却に伴う悪臭の発生が、大きな環境問題となっている。そして、廃プラスチック類等を含む産業廃棄物をダイオキシン類の発生を抑える程度の高温で焼却する際には、焼却炉内が著しく高温化することから、耐熱性に優れた特別な素材や構造からなる焼却炉が必要とされるのであり、焼却炉設備のために数十億円程度の多大な建設コストが発生すると共に、年間数億円程度の保守作業が定期的に必要になるという問題があった。このようなゴミ焼却施設の運営コストは、地方公共団体の財政負担によって賄われているため、財政負担の軽減が求められていた。
【0008】
また、上述のようにごみ焼却施設の処理対象人口が10万人程度と大きいため、ごみを効率的に収集する必要が生じ、その収集には廃棄物運搬用特別装備車両が用いられている。このような廃棄物運搬用特別装備車両は、汎用トラック(例えば積載量4トン車)に特別装備を設けているため、車両価格が汎用トラック車体価格として数倍の例えば800万円〜1000万円となっている。このような、廃棄物運搬用特別装備車両の購入価格は、当然廃棄物処理の運営コストに反映される。また、廃棄物の収集時刻が、例えば午前6時から午後2時までの時間帯に限られていているため、廃棄物運搬車の利用効率が低く、そして例えば一日一回の廃棄物運搬車によるごみ焼却施設への搬入を前提として収集ルートが定められる。そこで、各家庭にとっては週に1〜3回の巡回収集が行われているにすぎない。このようなごみの滞留は、ごみの腐敗をもたらし、悪臭を発生するため、廃棄物運搬用特別装備車両に防臭対策を行う必要があった。
【0009】
しかし、本発明者は、そもそもこのような現在の状況を招来したのは、ごみ焼却施設の処理対象人口が10万人程度と大きいことと、これを前提としてごみの収集システムが構築されていることに原因があるのではないかと着想した。すなわち、本発明者の提案にかかる一施設当りの処理能力が1〜10トン/日程度の分散型廃棄物処理装置を前提に、ごみの収集システムを再構築すると、上述の廃棄物運搬用特別装備車両そのものを用いる必要がなくなり、ゴミ焼却施設の運営コストも大幅に低下するのではないかと着想した。また、分散型廃棄物処理装置を用いたごみ収集システムによれば、地域コミュニティー単位でも廃棄物処理が可能となり、国土交通省の提唱する地方公共団体よりも小規模の地域コミュニティー単位の地域政策にも適応したものとなる。
【0010】
すなわち、本発明は上記課題を解決するもので、人口数千人程度の地域コミュニティー単位における廃棄物処理を促進して、ごみ焼却施設の処理対象人口が10万人程度と大きい場合と比較して、廃棄物処理コスト総額の大幅な減額が可能な都市及び近郊集落の廃棄物処理方法を提供することを目的とする。また本発明は、中高層又は超高層の居住戸数が数百戸ないし数千戸程度の集合住宅や団地、中高層又は超高層のオフィス系ビルに用いて好適な、中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システムを提供することを目的とする。さらに、上記都市及び近郊集落の廃棄物処理方法、並びに、中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システムに用いて好適な分散型廃棄物処理装置に関する。当該分散型廃棄物処理装置は、家庭から排出される一般廃棄物、自動車や家庭用電化製品の廃棄やリサイクルに伴って生じるゴム系廃棄物やプラスチック廃棄物を処理するのに好適な有機廃棄物資源化装置の一類型である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明の都市及び近郊集落の廃棄物処理方法は、例えば図1に示すように、担当する地域内の生成廃棄物量に応じて配置される分散型廃棄物処理装置120を用いた廃棄物処理方法であって、分散型廃棄物処理装置120の容量は前記所定戸数又は居住人数に応じて定められ、少なくとも週休日を除く週日については、1日1回以上の頻度で前記所定居住エリア内の廃棄物収集をし、前記所定居住エリア内の廃棄物収集は、汎用小型トラックを用いることを特徴とする。
【0012】
本発明の都市及び近郊集落の廃棄物処理方法によれば、分散型廃棄物処理装置の処理容量は、配置される所定居住エリアの戸数又は居住人数を考慮して、生成廃棄物量に応じて定められる。典型的には、分散型廃棄物処理装置の配置される所定居住エリアの戸数は、人口数千人程度の地域コミュニティー単位にするとよい。廃棄物収集頻度は、少なくとも週休日を除く週日については、1日1回以上の頻度で前記所定居住エリア内の廃棄物収集を行うことで、生活系廃棄物の腐敗などによる悪臭が発生することを未然に防止する。廃棄物収集頻度を高めることで、廃棄物からの悪臭発生が少ないことから、汎用小型トラックを用いて所定居住エリア内の廃棄物収集が可能となる。なお、この場合、汎用小型トラックに積載される廃棄物は未圧縮状態の蓋然性が高く、未圧縮状態廃棄物の比重は軽いのが通常である。そこで、積載可能重量の範囲内で、収集された廃棄物の収集作業が円滑に行えるように、汎用小型トラックの荷台に廃棄物積載枠を設けるとよい。
【0013】
好ましくは、都市及び近郊集落の廃棄物処理方法において、さらに、前記収集される廃棄物について、前記分散型廃棄物処理装置の処理に適合する廃棄物と不適合の廃棄物に分別し、前記分散型廃棄物処理装置の処理に適合する廃棄物を、前記所定居住エリア内の廃棄物収集として収集し、若しくは前記分散型廃棄物処理装置で廃棄物処理するとよい。特に、分散型廃棄物処理装置として、例えば本発明の有機廃棄物資源化装置のように、当該有機廃棄物を低温熱分解温度で熱分解する装置を用いる場合には、処理対象となる廃棄物の熱エネルギーが適切な範囲にある必要がある。つまり、廃棄物の熱分解途中で生成する熱エネルギーが、有機廃棄物資源化装置の炉内温度を適切な熱分解温度に維持できる熱エネルギーを有すると共に、熱分解反応の速度が高まって燃焼反応に移行することを確実に抑制する必要がある。そこで、分散型廃棄物処理装置の処理反応状態を維持するのに適正な含有物であるかを事前に検査する投入廃棄物品質検査機器を設けて、作業員により分別作業を行ってもよく、また分別作業ロボットにより分別処理を行ってもよい。例えば、生活系廃棄物のうち水分含有率の高いものは熱エネルギーに乏しいため、事前の脱水処理や乾燥処理などの水分率調整作業が必要になることを、投入廃棄物品質検査機器により判断することが可能となる。
【0014】
上記課題を解決する本発明の中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システムは、例えば図2に示すように、中高層又は超高層の集合住宅や、中高層又は超高層のオフィス系ビルの各棟又は隣接棟毎に配置される分散型廃棄物処理装置220を用いた廃棄物処理システムであって、分散型廃棄物処理装置220の容量は、前記集合住宅の生成廃棄物量やオフィス系ビルの生成廃棄物量に応じて定められ、中高層又は超高層ビル210に設けられたダストシュート215を介して、各階より投下される廃棄物を前記分散型廃棄物処理装置に導くことを特徴とする。
【0015】
本発明の中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システムによれば、分散型廃棄物処理装置の処理容量は中高層又は超高層の集合住宅や、中高層又は超高層のオフィス系ビルの生成廃棄物量に応じて定められるので、分散型廃棄物処理装置が各棟又は隣接棟毎に設置される。そして、各階より投下される廃棄物が、前記中高層又は超高層ビルに設けられたダストシュートを介して分散型廃棄物処理装置に導かれるので、廃棄物の減容処理が前記中高層又は超高層ビルの各棟又は隣接棟毎に行われる。そこで、焼却処理などの最終処理工場に運搬する廃棄物の生成量が減少して、地方公共団体の運営する清掃工場の処理負荷が少なくなる。
【0016】
好ましくは前記中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システムにおいて、さらに、前記ダストシュートより投下される廃棄物について、前記分散型廃棄物処理装置の処理に適合する廃棄物と不適合の廃棄物に分別する廃棄物分別手段を有し、前記廃棄物分別手段で適合するとして分別された廃棄物を、前記分散型廃棄物処理装置で廃棄物処理する構成とするとよい。分散型廃棄物処理装置として、例えば本発明の有機廃棄物資源化装置のように、当該有機廃棄物を低温熱分解温度で熱分解する装置を用いる場合には、処理対象となる廃棄物の熱エネルギーが適切な範囲にある必要がある。つまり、廃棄物の熱分解途中で生成する熱エネルギーが、有機廃棄物資源化装置の炉内温度を適切な熱分解温度に維持できる程度の熱エネルギーを有しており、かつ熱分解反応の速度が高まって燃焼反応に移行することを確実に抑制する必要がある。そこで、分散型廃棄物処理装置の処理反応状態を維持するのに適正な廃棄物か否かを分別する廃棄物分別手段を設けてもよい。例えば、中高層又は超高層の集合住宅では、生活系廃棄物が含まれる可能性があるが、生活系廃棄物のうち水分含有率の高いものは熱エネルギーに乏しいため、事前の脱水処理や乾燥処理などの水分率調整作業が必要になることを、廃棄物分別手段により分別される。また、オフィス系ビルでは、プラスチックのうち塩素化合物のような有害成分を排出させる成分や、重金属を含有する廃棄物に関しては、廃棄物分別手段により事前に排除するのが望ましい。さらに、廃棄物分別手段によって、中高層又は超高層の集合住宅や、中高層又は超高層のオフィス系ビルでは、分散型廃棄物処理装置での火災発生や悪臭発生を、高い信頼性をもって確実に阻止できる。
【0017】
上記課題を解決する本発明の分散型廃棄物処理装置は、例えば図3に示すように、有機廃棄物が投入される投入口11、当該有機廃棄物が低温熱分解温度で熱分解される熱分解室19、熱分解室19で熱分解された当該有機廃棄物の灰分を取出す灰分排出口23、熱分解室19で熱分解された当該有機廃棄物の熱分解ガスを排出する熱分解ガス出口26、熱分解室19に洗浄済みガスを供給するガス供給口25、熱分解ガス出口26から排出される熱分解ガスを気液分離する気液分離器30を有する低温ガス化分解装置10と、気液分離器30で分離された分離ガスに、ガス処理水を噴霧する水分噴霧塔(50a、50b)と、気液分離器30で分離された分離液体を貯える熱分解液タンク35と、水分噴霧塔(50a、50b)で噴霧されたガス処理水を貯える貯液タンク60と、貯液タンク60に貯えられた液体をガス処理水として水分噴霧塔(50a、50b)に供給する液体循環部(70、41)と、水分噴霧塔(50a、50b)でガス処理水の噴霧された洗浄済みガスを、熱分解室19に供給するガス循環部80とを備える。
【0018】
本発明の分散型廃棄物処理装置によれば、低温ガス化分解装置10において、有機廃棄物は投入口11に投入され、熱分解室19にて有機廃棄物が低温熱分解温度で熱分解される。灰分排出口23では、有機廃棄物の灰分が取出される。有機廃棄物の熱分解ガスは熱分解ガス出口26に排出され、気液分離器30で気液分離されると共に、ガス供給口25から熱分解室19に洗浄済みガスが供給される。水分噴霧塔では、気液分離器30で分離された分離ガスに、ガス処理水が噴霧される。熱分解液タンク35には、気液分離器30で分離された分離液体が貯えられる。貯液タンク60には、水分噴霧塔で噴霧されたガス処理水が貯えられる。液体循環部は、貯液タンク60に貯えられた液体をガス処理水として水分噴霧塔に供給する。ガス循環部では、水分噴霧塔でガス処理水の噴霧された洗浄済みガスを、熱分解室19に供給することで、熱分解ガスに代わる洗浄済みガスを帰還する。気液分離器30を設けると、熱分解ガスのうち沸点の低い液体成分が、早期に熱分解液タンク35に送られると共に、熱分解ガスのうち沸点の高い気体成分が水分噴霧塔に送られる。
【0019】
本発明の分散型廃棄物処理装置において、好ましくは、低温熱分解温度は、熱分解室19内で熱分解する有機廃棄物温度として大略200℃〜300℃の範囲内であり、水分噴霧塔は耐腐蝕性プラスチック材料で構成されるとよい。低温ガス化分解装置10の炉内温度は大略300℃以下と、比較的低温熱分解温度に維持されている。水分噴霧塔には、熱分解ガスが供給されるが、ガス処理水が噴霧されているため蒸気温度程度である。そこで、金属に比較して耐熱性に劣るが耐食性と加工性に優れた耐腐蝕性プラスチック材料を用いることが出来る。好ましくは、熱分解室19には、当該有機廃棄物を低温熱分解温度で熱分解するための火床が形成される構造とするとよい。低温熱分解温度で熱分解するため、ダイオキシンのような有毒物質が生成する温度(例えば700℃)に到達せず、環境負荷が小さくてすむ。火床には、例えば保熱性材料20やヒーターを用いると良い。水分噴霧塔(50a、50b)は、塩化ビニール樹脂、ガラス繊維強化プラスチック、又はジシクロペンタジエン樹脂の少なくとも1種類を含む構造とするとよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の都市及び近郊集落の廃棄物処理方法によれば、人口数千人程度の地域コミュニティー単位で分散型廃棄物処理装置を設置して、分散型廃棄物処理装置を使用して廃棄物処理量の減量が行えるために、地域コミュニティー内部での廃棄物処理が、住民自治のもと地域住民の合意を得て推進される。また、地域コミュニティー単位で分散型廃棄物処理装置を設置し、かつ廃棄物収集頻度は、少なくとも週休日を除く週日については、1日1回以上の頻度で前記所定居住エリア内の廃棄物収集を行うことで、生活系廃棄物の腐敗などによる悪臭が発生することを未然に防止でき、分散型廃棄物処理装置の設置される現地周辺の住民の合意が得やすくなる。ごみ焼却施設の処理対象人口が10万人程度と大きい場合と比較して、分散型廃棄物処理装置の場合は、収集地域範囲が限定されるため、汎用小型トラックを用いて所定居住エリア内の廃棄物収集が可能となる。この結果、ごみ焼却施設の処理対象人口が10万人程度と大きい場合と比較して、ごみ焼却施設とごみ収集効率の両面から設備投資が少なくて済み、廃棄物処理コストが減額される。
【0021】
本発明の中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システムによれば、中高層又は超高層の居住戸数が数百戸ないし数千戸程度の集合住宅や団地、中高層又は超高層のオフィス系ビルの各棟又は隣接棟毎に配置される分散型廃棄物処理装置を用いて、廃棄物処理システムで構築される。そこで、例えば住居系の中高層又は超高層ビルのように、生活系廃棄物が排出される場合でも、生活系廃棄物の腐敗などによる悪臭が発生することを未然に防止でき、分散型廃棄物処理装置の設置される中高層又は超高層ビル住民の合意が得やすくなる。また、中高層又は超高層のオフィス系ビルでは、事業所系ごみのうち紙やプラスチックのように熱分解処理に適する廃棄物については、分散型廃棄物処理装置を用いて、減容処理できるので、事業所系ごみのごみ焼却施設や最終処分場への運搬・排出処理が少なくて済み、オフィス系ビル入居事業者の廃棄物処理コストが減額される。
【0022】
本発明の分散型廃棄物処理装置によれば、有機廃棄物が低温熱分解温度で熱分解されるので、ダイオキシンのような有害物質が生成しない。また、有機廃棄物の熱分解ガスのうち、ガス成分はガス循環部により低温ガス化分解装置10に帰還しているので、装置外に分離ガスが漏洩することがない。また、有機廃棄物の熱分解ガスのうち、液体成分は貯液タンク60に貯えられ、ガス処理水として水分噴霧塔に循環利用されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面によって本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る都市及び近郊集落の廃棄物処理方法を説明する構成図である。ここでは、第一種住居専用地域のような、街路を用いて碁盤の目状に区画された低層戸建住宅地域を廃棄物の収集区域とする場合を示している。図において、街路100は、碁盤の目状に配置されており、第一種住居専用地域区域内では片道1車線で歩道つきである。低層戸建110は、平屋建てまたは二階建ての木造住宅であり、各住居の居住者数は核家族を前提とした2〜4名が平均的な数値である。分散型廃棄物処理装置120は、例えば敷地100m程度の空き地に設置されるもので、地域内公園や公民館の一角に設置することができる。分散型廃棄物処理装置120の処理対象人員は、例えば第一種住居専用地域に居住する者1000名程度から、隣接する地域まで含んだ5000人程度まで拡大することができる。
【0025】
このような分散型廃棄物処理装置120を用いた、本発明の都市及び近郊集落の廃棄物処理方法は、例えば次のように運営する。まず、分散型廃棄物処理装置120の容量は、担当する地域の処理対象人員の標準生成廃棄物量を用いて概括的な値を定めることができる。例えば、環境省によると平成15年度の一人一日あたりのごみ排出量が1106グラムであるから、処理対象人員3000名であれば、一日あたりの分散型廃棄物処理装置120の処理能力が3.3[トン/日]となる。そして、週休日を除く週日については、1日1回以上の頻度で担当エリア内の廃棄物収集をする。例えば、担当する地域の居住人口密度が、第一種住居専用地域区域内としては平均的な値である30[人/ha]とすると、担当エリアの広さは100haとなる。この担当エリアを、積載量1トン程度の汎用小型トラックで収集する。小型トラックの積載量は、軽自動車の規格を充足する300kg程度でもよく、また量産性が高く普通自動車運転免許証でも運転可能な2トン程度であってもよい。好ましくは、収集頻度を同一収集場所について1日2〜3回程度に増やすと、一般廃棄物の場合でも腐敗が進行せず、悪臭生成の恐れが小さくなり、地域コミュニティーの住民の生活環境の維持にも寄与する。
【0026】
この場合、汎用小型トラックに積載される廃棄物は未圧縮状態の蓋然性が高く、未圧縮状態廃棄物の比重は軽いのが通常である。そこで、積載可能重量の範囲内で、収集された廃棄物の収集作業が円滑に行えるように、汎用小型トラックの荷台に廃棄物積載枠を設けるとよい。例えば、未圧縮状態の廃棄物比重が0.4[トン/m]の場合には、廃棄物積載枠を付設して、1.5[m]運搬できるとすると、各収集経路での廃棄物積載量は0.6トンとなる。そこで、週日のごみ排出量3.3[トン/日]を収集するには、一日6回程度、分散型廃棄物処理装置120に担当エリア内で排出された廃棄物を収集すればよい。一台の廃棄物収集車の担当エリアの広さは100ha程度になるので、走行距離は一日15km〜20km程度で足りる。なお、週休日を設けると家庭内で廃棄物が堆積して腐敗が進行するため、悪臭の発生や休日明けの収集日の廃棄物収集負荷が増大する。そこで、廃棄物収集車を用いた作業担当者の労働事情が許容するならば、二交代制度を導入して二チームで収集にあたり、廃棄物収集の休日を設けないことが望ましい。廃棄物収集に休日を設けないと、分散型廃棄物処理装置120に継続的に廃棄物が供給されるので、例えば熱分解反応を用いる場合には原料の供給が平準化されて好ましい。
【0027】
また、分散型廃棄物処理装置120として、例えば図3以下で説明する有機廃棄物資源化装置のように、当該有機廃棄物を低温熱分解温度で熱分解する装置を用いる場合には、処理対象となる廃棄物の熱エネルギーが過度に低カロリーでもなく、また過度に高カロリーでもない中庸カロリーであることが望ましい。廃棄物の熱分解途中で生成する熱エネルギーが、有機廃棄物資源化装置の炉内温度を適切な熱分解温度に維持できる熱エネルギーを有すると共に、熱分解反応の速度が高まって燃焼反応に移行することを確実に抑制する必要がある。
【0028】
そこで、処理対象となる廃棄物について、分散型廃棄物処理装置の処理反応状態を維持するのに適正な含有物であるかを事前に検査する投入廃棄物品質検査機器や、さらに廃棄物が分散型廃棄物処理装置に適合するか否かによって分別処理を行う作業ロボットを設けてもよい。例えば、生活系廃棄物のうち水分含有率の高いものや陶器・ガラス類は熱エネルギーに乏しいため、事前の脱水処理・乾燥処理などの水分率調整作業や除去作業が必要になることを、投入廃棄物品質検査機器により判断し、あるいは作業ロボットにより分別する。投入廃棄物品質検査機器には、水分率計や熱カロリー分析装置を用いることができる。また、作業ロボットに代えて、廃棄物収集車の担当者に、廃棄物の類型に応じた熱エネルギーの判別表を所持させ、廃棄物の熱エネルギーが過度に低カロリーな場合や、過度に高カロリーの場合は、収集対象から除外するとよい。また、担当の地域コミュニティー住民に、分散型廃棄物処理装置120での処理に適した廃棄物形状を周知徹底し、廃棄物の熱エネルギーが過度に低カロリーな場合や、過度に高カロリーの場合は、別途地方公共団体による廃棄物収集によるべきことを依頼するとよい。
【0029】
例えば、廃掃法2条4項では産業廃棄物について定義があり、比較的カロリーの高い産業廃棄物として廃油、廃プラスチック類、木くず、繊維くず、ゴムくずがある。また、水分含有率が15〜20%以下と比較的乾燥している場合には高カロリーとなるが、水分含有率が70〜80%以上の湿潤状態となると低カロリーになるものとして、汚泥、紙くず、動植物性残渣、動物系固形不要物、動物の糞尿、動物の死体がある。水分含有率によらず低カロリーのものとして、燃殻、廃酸、廃アルカリ、金属くず、ガラス・コンクリートくず及び陶器くず、鉱さい、がれき類、ばいじん類がある。有機廃棄物を低温熱分解温度で熱分解する装置を用いる場合には、処理対象として産業廃棄物を考慮する場合には、木くず、繊維くず、乾燥状態の汚泥、乾燥状態の紙くず等が好ましい。廃プラスチック類やゴムくずの場合には、熱分解生成物が再度固化して管路の閉塞を招くおそれのある物質も混入する可能性があることから、比較的性状が熱分解処理に適する廃プラスチック類として、塩化物を含有しないポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等が好ましい。
【0030】
図2は、本発明に係る中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システムを説明する構成図である。図において、街路200は、碁盤の目状に配置されており、高度利用地域のように中高層又は超高層ビルの建設が予定された地域内の幹線道路で、典型的には片道2車線で歩道つきである。中高層ビルは、エレベータ利用が予定される5階建てないし12階建て程度のビルで、建物高さが50m以下であるため航空法の規制が及ばない。超高層ビルは、近年の耐震構造設計の発達によって築造が可能となった40階ないし60階建ての様な、建物高さが50m以上のビルである。中高層又は超高層ビル210は、住居系の集合住宅やオフィス系ビルとして利用されるもので、最上階から地下階までを貫通するダストシュート215が設けられている。
【0031】
分散型廃棄物処理装置220は、例えばダストシュート215の地下排出口の近傍であって、廃棄物運搬用特別装備車両230が乗り付けることのできる、広さ100m程度の空間に設置されるもので、例えば電力系統の集中管理室、通信回線の集中管理室、上下水道の集中管理室等と併設することができる。分散型廃棄物処理装置220の処理容量は、中高層又は超高層ビル内の集合住宅の生成廃棄物量やオフィス系ビルの生成廃棄物量に応じて定められ、中高層又は超高層ビルの各棟毎に分散型廃棄物処理装置220を設置することもでき、また隣接棟毎に共通して分散型廃棄物処理装置220を配置することもできる。
【0032】
廃棄物運搬用特別装備車両230は、分散型廃棄物処理装置220で減容処理された廃棄物を、ごみ焼却施設240に運搬する。分散型廃棄物処理装置220によって、中高層又は超高層の集合住宅や、中高層又は超高層のオフィス系ビルで生成される廃棄物に対する減容処理が、中高層又は超高層ビルの各棟又は隣接棟毎に行われる。そこで、廃棄物運搬用特別装備車両230によって焼却処理などの最終処理工場に運搬する廃棄物の生成量が減少して、地方公共団体の運営するごみ焼却施設240の処理負荷が少なくなる。
【0033】
なお、分散型廃棄物処理装置220は、集合住宅やオフィス系ビル等の中高層又は超高層ビル210に収容される関係で、分散型廃棄物処理装置220での火災発生や悪臭発生を、高い信頼性をもって確実に阻止する必要がある。分散型廃棄物処理装置220として、例えば図3以下で説明する有機廃棄物資源化装置のように、当該有機廃棄物を低温熱分解温度で熱分解する装置を用いる場合には、処理対象となる廃棄物の熱エネルギーが過度に低カロリーでもなく、また過度に高カロリーでもない中庸カロリーであることが望ましい。廃棄物の熱分解途中で生成する熱エネルギーが、有機廃棄物資源化装置の炉内温度を適切な熱分解温度に維持できる程度の熱エネルギーを有しており、かつ熱分解反応の速度が高まって燃焼反応に移行することを確実に抑制する必要がある。
【0034】
そこで、処理対象となる廃棄物について、分散型廃棄物処理装置220の処理反応状態を維持するのに適正な含有物であるかを事前に検査する投入廃棄物品質検査機器や、さらに廃棄物が分散型廃棄物処理装置に適合するか否かによって分別処理を行う作業ロボットを設けてもよい。例えば、生活系廃棄物のうち水分含有率の高いものや陶器・ガラス類は熱エネルギーに乏しいため、事前の脱水処理・乾燥処理などの水分率調整作業や除去作業が必要になることを、投入廃棄物品質検査機器により判断し、あるいは作業ロボットにより分別する。また、オフィス系ビルでは、プラスチックのうち塩素化合物のような有害成分を排出させる成分や、重金属を含有する廃棄物に関しては、投入廃棄物品質検査機器や作業ロボット若しくは作業員・利用者により事前に排除するのが望ましい。
【0035】
図3は、都市及び近郊集落の廃棄物処理方法や中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システムに用いて好適な、分散型廃棄物処理装置の一類型としての有機廃棄物資源化装置の全体構成を説明する構成図である。図において、有機廃棄物資源化装置1は、低温ガス化分解装置10、ガス洗浄装置2、並びに両者を接続する管路としての給水系統70、ガス循環系統80を備えている。低温ガス化分解装置10側には、気液分離器30を設置している。また、ガス洗浄装置2側には水分噴霧塔50a、50bと貯液タンク60が設けてある。
【0036】
低温ガス化分解装置10は、有機廃棄物が投入される投入口11、耐熱性材料よりなる側壁12、地面に設置する為の基部13を有する円筒状又は箱状の容器で、有機廃棄物の単位時間処理能力に応じた容積を有している。投入口11は、低温ガス化分解装置10の蓋部分に設けることによって、ストックヤード14に有機廃棄物を投入する作業を容易にするものである。ストックヤード14は、投入口11側に設けられた第1層開閉蓋15と、熱分解室19側に設けられた第2層開閉蓋16を有している。第1層開閉蓋15と第2層開閉蓋16は、水平方向(矢印A、B方向)に開閉動作を行うものである。第2層開閉蓋16を閉じた状態では、第2層開閉蓋16がストックヤード仕切板17として作用する。ストックヤード仕切板17は、低温ガス化分解装置10内部に水平状態で収容された仕切板で、上側にストックヤード14が形成され、下側には熱分解室19が形成されている。熱分解室19の定常運転時の内部温度は最高で200℃〜300℃程度であるが、有機廃棄物に着火して焼却炉のような状態で燃焼する場合にも損壊しないように、投入口11、側壁12、ストックヤード仕切板17には耐熱性鋼板等の耐熱性材料を用いると良い。また、側壁12には耐火煉瓦を用いることも出来る。
【0037】
火床保持部18は、低温ガス化分解装置10内部に水平状態で収容された仕切板で、上側に保熱性材料20と、熱分解中の炉内有機廃棄物21を保持し、下側には洗浄済みガスが通風するガス通風部24が形成されている。保熱性材料20は、低温熱分解温度(200℃〜300℃)程度に温度が維持されるもので、ゼオライト鉱石のような一定の粒子形状を有するものである。ゼオライト鉱石は、例えば粒子形状として数cm〜十数cm程度の大きさを有し、重量として数グラム〜数十グラム程度であり、好ましくは有機廃棄物の熱分解を促進する触媒作用を有するものを用いると良い。火床保持部18は、保熱性材料20と炉内有機廃棄物21がガス通風部24に落下しないように保持する程度の網状体、又は一定形状の開口部が多数形成されている。
【0038】
熱分解室19は、保熱性材料20、炉内有機廃棄物21並びにストックヤード14から供給される有機廃棄物が低温熱分解温度で熱分解する空間で、火床保持部18とストックヤード仕切板17の中間に形成される。熱分解室19に対する酸素の供給は、ガス供給口25から供給される洗浄済みガスに限定される為、有機廃棄物の完全な酸化反応に必要とされる酸素量に比較して、極端な酸素欠乏状態にある。そこで、有機廃棄物は一酸化炭素や炭素鎖が一部分解された低級炭化水素化合物に熱分解されて、熱分解ガス出口26より有機廃棄物の熱分解ガスとして排出される。
【0039】
灰堆積層22は、火床保持部18の下側に形成されるもので、灰堆積層22と火床保持部18との間に位置するガス通風部24を洗浄済みガスが通風する。灰堆積層22には、熱分解室19で熱分解された炉内有機廃棄物21の灰分や、熱分解に伴って微粒子化した保熱性材料20が堆積する。この灰分の成分を熱分析したところ、石膏が主成分であることが判明した。詳細は、後で説明する。
【0040】
灰分排出口23は、灰堆積層22に堆積した炉内有機廃棄物21の灰分と熱分解に伴って微粒子化した保熱性材料20を取出す開口部である。ガス供給口25は、洗浄ガス循環管路84から供給される洗浄済みガスが供給されるものである。熱分解ガス出口26は、ストックヤード仕切板17近傍の熱分解室19に位置する側壁12に設けられたもので、有機廃棄物の熱分解ガスを気液分離器30に供給する。
【0041】
気液分離器30は、熱分解ガス出口26から排出される熱分解ガスを気液分離する筒状の施設で、熱分解ガスの気流が直接当るコーン状の衝止板31を有している。衝止板31にて熱分解ガスが比重に応じてガス成分と液体・微粒子成分とに分離される。分離ガス排出口32は、気液分離器30の頂部に設けられたもので、熱分解ガスから液体や微粒子成分が除去された分離ガスを水分噴霧塔50aに送る。気液分離器底部33には、熱分解ガスから比重で分離された液体や微粒子成分が溜まる。分離液体排出口34は、気液分離器30の底に設けられたもので、熱分解ガスから比重で分離された液体や微粒子成分を熱分解液タンク35に送る。なお、熱分解液タンク35に貯蔵された液体は、凝縮した液化炭化水素や水分の混合物と考えられ、塵埃などの微粒子成分を含んだ状態となっている。
【0042】
水分噴霧塔50a、50bは、気液分離器30で分離された分離ガスに、ガス処理水を噴霧するもので、ここでは大略同一形状の水分噴霧塔が2系列直列に設けられているものを図示している。なお、水分噴霧塔は3系列以上直列に設けることによって、分離ガスの洗浄を確実に行う構成としてもよく、また分離ガスの多寡に応じた処理能力の為に並列に増設しても良い。水分噴霧塔50a、50bは、塔内でガス処理水が噴霧される関係で、内部温度が蒸気温度である100℃乃至それより低い温度である。そこで、構造材料として塩化ビニール樹脂、ガラス繊維強化プラスチック、又はジシクロペンタジエン樹脂等の耐腐蝕性プラスチック材料を用いることが出来る。耐腐蝕性プラスチック材料を用いると、分離ガスに塩素ガスや亜硫酸ガスのような腐蝕性ガスが含まれていても、腐食することがなく耐久性が高くなる。
【0043】
まず、上流の水分噴霧塔50aにおいて、分離ガス導入路51aは、一端が分離ガス排出口32と接続され、他端がガス処理水排出路56a側に開口したもので、気液分離器30から供給される分離ガスを水分噴霧塔50a内部に導く。ガス処理水噴霧口52aは、一端がガス処理水供給管路73と接続され、他端が塔内上部53a側に開口したもので、ガス処理水を分離ガスに噴霧する噴霧口を有する。ガス処理水噴霧口52aの噴霧口は、塔内上部53aと塔内下部55aにて霧状にガス処理水を噴霧し、ガス処理水排出路56a経由で塔内下部55aに流入する分離ガスと向流形式で気液交換を効率的に行い、分離ガスに含まれる水溶性成分をガス処理水中に溶し込む。
【0044】
塔外排出管54aは、一端が塔内上部53aと塔内下部55aの接合部と接続され、他端が下流のガス処理水排出路56bと接続されている。ガス処理水との気液交換の完了した分離ガスは、塔外排出管54a経由で下流の分離ガス導入路51bに送られる。分離ガスとの気液交換が完了したガス処理水は、ガス処理水排出路56aを経由して、ガス処理水管路41を経て、貯液タンク60に貯えられる。
【0045】
下流の水分噴霧塔50bにおいて、ガス処理水噴霧口52b、塔内上部53b、塔内下部55b、ガス処理水排出路56bは、其々ガス処理水噴霧口52a、塔内上部53a、塔内下部55a、ガス処理水排出路56aと同様の構造と機能を有している。分離ガス導入路51bは、一端が塔外排出管54aと接続され、他端がガス処理水排出路56bで開口したもので、上流の水分噴霧塔50aから送られる分離ガスを水分噴霧塔50b内部に導く。ガス処理水噴霧口52bの噴霧口は、塔内上部53bと塔内下部55bにて霧状にガス処理水を噴霧し、ガス処理水排出路56b経由で塔内下部55bに流入する分離ガスと向流形式で気液交換を効率的に行い、分離ガスに含まれる水溶性成分をガス処理水中に溶し込む。塔外排出管54bは、一端が塔内下部55bと接続され、他端が洗浄ガス循環縦管82と接続されている。
【0046】
貯液タンク60は、水分噴霧塔50a、50bで噴霧されたガス処理水を貯えるものである。貯液タンク60に対するガス処理水の輸送は、ガス処理水管路41を用いている。即ち、ガス処理水管路41は、ガス洗浄装置2の筐体内部に収容されたもので、ガス処理水排出路56a、56bと接続されており、水分噴霧塔50a、50bで噴霧されたガス処理水を輸送する。ガス処理水管路41は、ガス処理水排出路56a、56bと接続された水平管路と、水平管路と貯液タンク60とを接続する縦管とから構成されている。水平管路は、満水状態で用いられることは稀で、通常はガス処理水の上部には分離ガスが通過する構造となっている。
【0047】
貯液タンク60では、比重の重い水分を主成分とする重比重液体層61と、各種液化炭化水素を主成分とする軽比重液体層62に分離する。貯液タンク60の上部は蓋部64で覆われており、軽比重液体層62と蓋部64との間にガス滞留室63が形成されている。ガス滞留室63は、ガス処理水管路41から重比重液体層61をへて送りこまれた洗浄済みガスが滞留していると共に、洗浄ガス循環縦管81の他端が接続されている。油分排出管65は、軽比重液体層62の比重の軽い油分について廃油タンク66に送るものである。貯液タンク60に貯蔵された分離液体とガス処理水の混合液体は、水分と油分を含む為、油分については廃油タンク66に分離して貯える。
【0048】
貯液タンク60には、気泡生成装置(67、68)が設けられており、分離液体とガス処理水の混合液体に対して気泡を吹込むバブリング処理を行うことで、比重による分離を促進している。即ち、気泡生成装置は、空気を吹込むブロワーポンプ67と、貯液タンク60の底部に噴出し口を有するバブリング管68を有している。ブロワーポンプ67により吸込まれた空気は、バブリング管68によって噴出し口より噴出して、分離液体とガス処理水の混合液体に対して比重による分離を促進している。なお、熱分解液タンク35についても、貯液タンク60と同様に比重の重い水分を主成分とする重比重液体層と、各種液化炭化水素を主成分とする軽比重液体層に分離すると考えられるので、気泡生成装置をもちいて比重による分離を促進すると良い。
【0049】
液体循環部としての給水系統70は、貯液タンク60に貯えられた重比重液体層61の水分をガス処理水として水分噴霧塔50a、50bに供給するもので、ラインポンプ71、ガス処理水供給管路72、73を有している。液体循環部のうち、水分噴霧塔50a、50bからの回収管路は、分離液管路40とガス処理水管路41となっている。ラインポンプ71は、貯液タンク60に貯えられた液体のうち、比重の重い水分をガス処理水として利用できるように、貯液タンク60の底に比較的近い位置に液体吸込み口74を有している。液体吸込み口74では、貯液タンク60に沈殿している塵埃や固形分が吸込まれないように、適宜のフィルターが設置してある。
【0050】
洗浄ガス循環系統80は、水分噴霧塔50a、50bにてガス処理水の噴霧された洗浄済みガス(未反応ガス)を、低温ガス化分解装置10に帰還するもので、洗浄ガス循環縦管81、82、洗浄ガス循環横管83、洗浄ガス循環管路84とを備える。洗浄ガス循環横管83は、最下流段に位置する水分噴霧塔50bの近傍に設けられた洗浄ガス循環縦管82と、低温ガス化分解装置10の近傍に設けられた洗浄ガス循環管路84との間を連結する管路で、概ね水平方向に位置している。洗浄ガス循環横管83は、低温ガス化分解装置10とガス洗浄装置筐体2の設置状態に応じて適宜に配置できる。洗浄ガス循環縦管81は、一端がガス滞留室63と接続され、他端が洗浄ガス循環縦管82の端部と接続されている。塔外排出管54bは、洗浄ガス循環縦管81、82の接続部に接続されている。
【0051】
フィルター86は、洗浄ガス循環横管83に装着されるもので、洗浄ガス循環系統80を流れる洗浄済みガス(未反応ガス)に含まれる塵埃を除去して、洗浄ガス循環系統80が塵埃で閉塞する事態を防止する。ブロワー87は、洗浄ガス循環横管83に装着される送風機で、洗浄ガス循環系統80から洗浄ガス循環管路84のガス供給口25近傍に、洗浄済みガス(未反応ガス)が流れ込むのに必要な気流を生成する。ミストトラップ88は、洗浄ガス循環横管83に装着されるもので、洗浄ガス循環系統80を流れる洗浄済みガス(未反応ガス)に含まれる水分を除去して、洗浄ガス循環系統80内で水分が凝縮することを防止する。なお、フィルター86、ブロワー87、ミストトラップ88は、洗浄ガス循環横管83に代えて、洗浄ガス循環縦管82に装着しても良い。
【0052】
永久磁石ユニット85は、通気通路に設置されるもので、通気通路として洗浄ガス循環管路84のガス供給口25近傍が用いられる。永久磁石ユニット85は、通気通路を挟んで略対向するように配設された少なくとも一対の永久磁石を有する。永久磁石ユニット85が装着されていると、ガス供給口25からの洗浄済みガス吸入量が20〜50%程度増大することが経験的に知られている。永久磁石ユニット75は、ガス処理水供給管路72に装着されるもので、装着によりガス処理水供給管路72の管路抵抗が減少して、水分噴霧塔50a、50bにおける液体循環が効率的に行える。永久磁石ユニット75、85の磁場の強さは、フェライト等の永久磁石として通常用いられる値であり、例えば0.1テスラ〜数テスラの範囲である。永久磁石ユニット75、85の着磁方向は、N極又はS極の一方が通気通路や給水管路72を挟んで対向するようにするのが良いが、通気通路や給水管路72の流れ方向に沿ってN極とS極が着磁されていてもよい。
【0053】
このように構成された有機廃棄物資源化装置の動作を説明する。図4は、本発明の有機廃棄物資源化装置において、原材料から生成される固体成分、水分、油分の生成過程の概略を説明する図である。まず、低温ガス化分解炉としての低温ガス化分解装置10に、予め無機物を除外した一般廃棄物、産業廃棄物を原材料として投入する。
【0054】
図4と図3を参照して、具体的に説明する。有機廃棄物をストックヤード14に投入するときは、第2層開閉蓋16を閉じると共に第1層開閉蓋15を開いて、投入口11を開口させる。有機廃棄物の投入が完了すると、第1層開閉蓋15を閉じて投入口11を閉鎖して、低温ガス化分解装置10の熱分解ガスが外部環境に漏れることを防止する。そして、第2層開閉蓋16を開いて、ストックヤード14に貯えられた有機廃棄物を熱分解室19に落下させる。ストックヤード14では、下側の熱分解室19からの熱分解ガスに含まれる熱エネルギーによって、有機廃棄物が暖められる。
【0055】
一般廃棄物、産業廃棄物は、木材、紙、プラスチック、ゴムなどの炭素化合物を含んでいる為、洗浄済みガスに僅かに含まれる酸素による酸化に伴って、酸化エネルギーを発生する。また、洗浄済みガスは永久磁石ユニット85によって生成する磁場を通過する際に、磁気作用によって活性化されると考えられている。この磁気活性化処理により、低温ガス化分解炉における一般廃棄物、産業廃棄物の熱分解が促進され、例えば熱分解速度として数十%程度促進される。
【0056】
低温ガス化分解装置10では、原材料を燃焼として比較して各段に低温度の200℃〜300℃で熱分解させるもので、併せて熱分解生成物と洗浄済みガスとを反応させて、一酸化炭素を含む煙と水蒸気を生成する。この生成された煙と水蒸気は、気液分離器30によって、気液分離される。そして、気液分離器30にて熱分解ガスが比重に応じてガス成分と液体・微粒子成分とに分離され、熱分解ガスから液体や微粒子成分が除去された分離ガスを分離ガス排出口32経由で水分噴霧塔50aに送る。気液分離器底部33には、熱分解ガスから比重で分離された液体や微粒子成分が溜まるので、熱分解液タンク35に蓄える。熱分解液タンク35にて低温ガス化分解装置10で生成した熱分解液を分別処理し、下流のガス洗浄装置筐体2に送らないことによって、ガス洗浄装置筐体2側の貯液タンク60での負荷を軽減している。
【0057】
熱分解ガスから液体や微粒子成分が除去された分離ガスは、ガス洗浄装置筐体2としての水分噴霧塔50に送られ、シャワーリング処理(ガス処理水を分離ガスに噴霧すること)が行われる。そして、比重分離装置としての貯液タンク60において、水分噴霧塔50で噴霧されたガス処理水が貯えられる。比重分離装置では、ガス処理水をバブリング処理する。貯液タンク60で生成する分離ガスは、低温ガス化分解装置10に帰還されるが、その際に永久磁石ユニット85による磁化処理を受ける。水分噴霧塔50a、50bにてガス処理水の噴霧された洗浄済みガスは、低温ガス化分解装置10で熱分解されなかった未反応成分を含む未反応ガスを含んでおり、洗浄ガス循環系統80により低温ガス化分解装置10に帰還される。
【0058】
貯液タンク60で比重分離された液体は、油分と水分に分離する。水分に関しては、ガス処理水として水分噴霧塔50に帰還されるが、配管の途中で永久磁石ユニット75により磁化処理される。ガス処理水に対する磁化処理も、液体循環部を構成する配管中の流体抵抗を減少させると考えられている。貯液タンク60の水分は、COD(生物化学的酸素要求量)が高く、廃水処理が必要である。廃水処理では、例えば活性汚泥を用いる。活性汚泥とは、細菌類や菌類を主な構成生物とし、原生動物や小型の後生生物を従属生物群とした微生物の集まりのことで、活性汚泥は水中の有機物を取り込み(吸着)分解しながら呼吸・増殖を続ける。活性汚泥にはお互いに引き付けあって沈む性質(凝集性・沈降性)があるので、この性質を利用して活性汚泥を分離し、きれいな処理水を得る。この分離した活性汚泥は、有機廃棄物としてストックヤード14に投入して熱分解処理できる。
【0059】
熱分解液タンク35や貯液タンク60で分離される液体のうち、油分については燃料や原料としての利用が可能であり、水分に関しては低温ガス化分解炉で分解した際に含まれる塩素や亜硫酸ガス等の酸性成分を含有しているので、木酢液の一般的な用途である防腐剤・防虫剤・活力剤としての利用が可能である。また、水分に含まれる酸性成分を中和する為、石灰石のようなアルカリ材料が用いられるが、その際に生成する塩の利用が可能である。更に、低温ガス化分解装置10で排出される灰分は、石膏を主成分とするものであり、コンクリート硬化剤や土壌改良剤としての利用が考えられる。
【0060】
図5は、熱分解容器から排出された灰分に対して、昇温過程における重量の減少経過を示す図で、熱重量/示差熱分析装置(TG/DTA)を用いて分析したものである。試料である灰分は25℃から900℃まで、昇温速度10[℃/分]で昇温させた。まず、100℃付近で5%程度の重量減少が観測された。試料に含まれる水分が蒸発したものと考えられる。続いて、100℃〜340℃付近までの区間は、目立った重量減少は観測されなかった。これは、低温ガス化分解炉としての低温ガス化分解装置10において、300℃程度の比較的低温での熱分解が行われている関係で、低温ガス化分解装置10にて大部分が試料から離脱していることが考えられる。次に、340℃〜570℃付近までの区間は、7%程度の重量減少が観測された。この区間での重量減少割合が大きいことから、試料に含まれる未分離の炭素成分や他の低沸点温度材料が、試料から分離したものと考えられる。570℃〜900℃付近までの区間は、さらに7%程度の重量減少が観測された。このうち、570℃〜650℃付近までの区間は、比較的重量減少率が少ないことから、試料に含まれる未分離の炭素成分等の揮発が完了したものと推測される。
【0061】
ここで、熱重量分析(TG)は、温度を変化させながら,または一定温度にした状態で生じる試料の重量変化を、試料の温度,または時間に対して、熱天秤により連続的に検出記録する手法で、固体,液体のあらゆる物質が測定対象となり、試料の付着水や結晶水の定量、灰分量など様々な目的に用いる。示差熱分析(DTA)と熱重量分析(TG)を組み合わせると、重量変化に伴う現象が吸熱又は発熱のいずれの反応であるか,またDTA曲線の変化が質量変化を伴うか否かの判別が可能となる。
【0062】
図6は、熱分解容器から排出された灰分の、無機成分の分析説明図である。灰分には、カルシューム(Ca)が約39%、鉄(Fe)が16%、硫黄(S)が12%、ケイ素(Si)が10%含まれている。さらに、カリウム(K)5%、アルミ(Al)4%、リン(P)3%、チタン(Ti)3%が含まれているが、鉛(pb)は0.6%、カドミウム(Cd)は0.04%含有するに過ぎない。
【0063】
また、図3の装置では、低温ガス化分解装置10は保熱性材料20と、熱分解中の炉内有機廃棄物21によって、内部温度が一定に維持できるような設計となっている。しかし、有機廃棄物に残飯のような低カロリー物質が多量に混入している場合には、保熱性材料20だけでは火種として不充分な場合がある。そこで、炉内温度計27を熱分解室19に設け、ヒーター28を火床保持部18や保熱性材料20の近傍に設置するとよい。ヒーター28は、低温熱分解温度である200℃〜300℃に維持するものであれば良いから、電熱を用いても良く、また内部に熱風や加熱液体媒体を通す伝熱管でもよい。温度調節計29は、炉内温度計27によって熱分解室19の温度が低下して熱分解が旨く進行しない程度に低下したとき、ヒーター28によって火床保持部18や保熱性材料20を加熱する。
【0064】
なお、上記の本発明の実施の形態においては、具体的な実施例を用いて本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、当業者にとって自明事項の範囲内で設計された態様も含むものである。例えば、低温ガス化分解装置10のストックヤード14の容量は、1日当りに処理すべき有機廃棄物の処理量に適した容積とする必要がある。この場合には、保熱性材料20と熱分解中の炉内有機廃棄物21は連続的に存在して、空隙が生じないように旨く圧縮したり、あるいは炉内有機廃棄物21がアーチ状のブリッジを形成しても崩れるように、適宜に保熱性材料20と熱分解中の炉内有機廃棄物21を混合する混合機能を設けるとよい。混合機能は、例えば回転式の羽根板を用いると良いが、他に適宜の方式も採用できる。
【0065】
また、都市及び近郊集落の廃棄物処理方法や中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システムに用いる分散型廃棄物処理装置の一類型として、図3に示す有機廃棄物資源化装置を用いて本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、当業者にとって自明事項の範囲内で設計された態様も含むものである。即ち、分散型廃棄物処理装置は、分散して発生する廃棄物を地域コミュニティー単位やオフィスビル単位で減容処理して、中間処理施設や最終処分場への運搬コストを低減することによって、全体として有機廃棄物の処理の最適化を図ろうとするものである。従って、分散型廃棄物処理装置としては、従来からある小型焼却炉を用いても差し支えない。小型焼却炉の場合には、燃料の供給や排気ガスからの大気汚染物質の除去のような、有機廃棄物資源化装置には存在しない附帯設備を設ける必要がある。
【0066】
さらに、図3に示す有機廃棄物資源化装置において、低温熱分解温度として有機廃棄物が継続的に熱分解されるように、熱分解室19の定常運転時の内部温度は最高で200℃〜300℃程度であると説明したが、これは有機廃棄物が乾草や木材チップのような乾燥した生物系多孔質有機質を前提としたものである。そこで、廃棄物処理の対象となる有機廃棄物が、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンのような廃プラスチック類やゴムくずの場合には、熱分解反応が継続的に行われるように、廃プラスチック類の溶融温度や各樹脂の熱分解温度を基準として、発火の恐れや配管閉塞が生じない程度の低温熱分解温度、例えば300℃〜350℃程度に定めてもよい。また、処理すべき有機廃棄物の種類に適合した低温熱分解温度を用いて、分散型廃棄物処理装置で処理する有機廃棄物の割合・種類に応じた低温熱分解温度を定めるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る都市及び近郊集落の廃棄物処理方法を説明する図である。
【図2】本発明に係る中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システムを説明する図である。
【図3】都市及び近郊集落の廃棄物処理方法や中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システムに用いて好適な、分散型廃棄物処理装置の一類型としての有機廃棄物資源化装置の全体構成を説明する構成図である。
【図4】本発明の有機廃棄物資源化装置において、原材料から生成される固体成分、水分、油分の生成過程の概略を説明する図である。
【図5】熱分解容器から排出された灰分に対して、昇温過程における重量の減少経過を示す図である。
【図6】熱分解容器から排出された灰分の、無機成分の分析説明図である。
【符号の説明】
【0068】
1 有機廃棄物資源化装置(分散型廃棄物処理装置)
2 ガス洗浄装置
10 熱分解容器(低温ガス化分解炉)
11 投入口
19 熱分解室
23 灰分排出口
25 ガス供給口
26 熱分解ガス出口
30 気液分離器
35 熱分解液タンク
50a、50b 水分噴霧塔(ガス洗浄装置)
60 貯液タンク
71、72、73 液体循環部
81、82、83、84 ガス循環部
100、200 街路
110 低層戸建
120、220 分散型廃棄物処理装置
210 中高層又は超高層ビル
215 ダストシュート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定居住エリアの生成廃棄物量に応じて配置される分散型廃棄物処理装置を用いた廃棄物処理方法であって、
前記分散型廃棄物処理装置の容量は前記所定戸数又は居住人数に応じて定められ、
少なくとも週休日を除く週日については、1日1回以上の頻度で前記所定居住エリア内の廃棄物収集をし、
前記所定居住エリア内の廃棄物収集は、汎用小型トラックを用いることを特徴とする都市及び近郊集落の廃棄物処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の都市及び近郊集落の廃棄物処理方法において、
さらに、前記収集される廃棄物について、前記分散型廃棄物処理装置の処理に適合する廃棄物と不適合の廃棄物に分別し、
前記分散型廃棄物処理装置の処理に適合する廃棄物を、前記所定居住エリア内の廃棄物収集として収集し、若しくは前記分散型廃棄物処理装置で廃棄物処理することを特徴とする都市及び近郊集落の廃棄物処理方法。
【請求項3】
中高層又は超高層の集合住宅や、中高層又は超高層のオフィス系ビルの各棟又は隣接棟毎に配置される分散型廃棄物処理装置を用いた廃棄物処理システムであって、
前記分散型廃棄物処理装置の容量は、前記集合住宅の生成廃棄物量やオフィス系ビルの生成廃棄物量に応じて定められ、
前記中高層又は超高層ビルに設けられたダストシュートを介して、各階より投下される廃棄物を前記分散型廃棄物処理装置に導くように構成されることを特徴とする中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システムにおいて、
さらに、前記ダストシュートより投下される廃棄物について、前記分散型廃棄物処理装置の処理に適合する廃棄物と不適合の廃棄物に分別する廃棄物分別手段を有し、
前記廃棄物分別手段で適合するとして分別された廃棄物を、前記分散型廃棄物処理装置で廃棄物処理することを特徴とする中高層又は超高層ビルの廃棄物処理システム。
【請求項5】
有機廃棄物が低温熱分解温度で熱分解される熱分解室、当該熱分解室で熱分解された当該有機廃棄物の熱分解ガスを排出する熱分解ガス出口、当該熱分解室に洗浄済みガスを供給するガス供給口、前記熱分解ガス出口から排出される熱分解ガスを気液分離する気液分離器を有する低温ガス化分解装置と、
前記気液分離器で分離された分離ガスに、ガス処理水を噴霧する水分噴霧塔と、
前記気液分離器で分離された分離液体を貯える手段と、
前記水分噴霧塔で噴霧されたガス処理水を貯える貯液タンクと、
前記貯液タンクに貯えられた液体をガス処理水として前記水分噴霧塔に供給する液体循環部と、
前記ガス処理水の噴霧された洗浄済みガスを、前記水分噴霧塔から前記熱分解室に供給するガス循環部と、
を備える分散型廃棄物処理装置。
【請求項6】
低温熱分解温度は、前記熱分解室内で熱分解する有機廃棄物温度として大略200℃〜300℃の範囲内であり、
前記水分噴霧塔は耐腐蝕性プラスチック材料で構成されることを特徴とする請求項5に記載の分散型廃棄物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−1498(P2008−1498A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−174663(P2006−174663)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(593154171)
【Fターム(参考)】