説明

配向された高分子物品及び方法

少なくとも1つの表面上にミクロ構造体を有する、配向された高分子フィルム又は繊維などの延伸された物品、及びこのような物品を作製するためのプロセスが開示される。繊維を作製する方法は、第1の表面及び第2の表面を有し、長手方向寸法を有する本体を有する高分子フィルムを形成する工程を含む。フィルムはまた、本体の長手方向寸法に実質的に平行な方向で、本体の第1表面上に配置される複数の伸長するミクロ構造体も含み、伸長するミクロ構造体は、実質的に平行である。本体の長手方向寸法と実質的に平行な方向に高分子フィルムを延伸する工程、及び延伸された高分子フィルムを、本体の長手方向寸法に沿ってフィブリル化して1つ以上の繊維を提供する(各繊維は、その上に少なくとも1つのミクロ構造体を有する)工程を更に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造化表面を有する配向された高分子フィルム及び繊維などの延伸物品、並びにこのような物品を作製及び使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造化表面を有する物品及びこうした物品を供給するためのプロセスは既知である。光学物品の場合については、例えば、特許文献1、及び特許文献2並びに特許文献3を参照のこと。これらの参考文献に開示された構造化表面は、マイクロプリズム(例えば、マイクロキューブ)及びレンズを包含する。典型的に、これらの構造体は、例えばエンボス加工、押出成形又は切削により、好適なポリマー表面上に作り出される。
【0003】
これらの物品の製造は、多くの場合、所望の構造化表面のネガティブ版を有するツールがポリマー樹脂と接触する工程を含む。樹脂との接触は、ツールの空洞を満たすのに十分な時間と条件で維持され、後に樹脂はツールから取り除かれる。得られた構造化表面は、ツールのネガティブ表面の複製である。
【0004】
構造化表面を有する複屈折物品も既知である。例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、及び特許文献11、並びに特許文献12及び特許文献13を参照のこと。
【0005】
延伸フィルムを製造するためのプロセスも既知である。こうしたプロセスは、典型的にフィルムの機械的性質及び物理的性質を改善するため使用される。これらのプロセスとしては、2軸延伸技術及び1軸延伸技術が挙げられる。例えば、特許文献14、特許文献15;特許文献16;特許文献17;特許文献18;特許文献19;特許文献20;特許文献21;特許文献22;特許文献23、及び特許文献24を参照のこと。また特許文献25;特許文献26;特許文献27;特許文献28、及び特許文献29を参照のこと。また、特許文献30;特許文献31;特許文献32;特許文献33及び特許文献34を参照のこと。フィルムを延伸するためのプロセスを開示する更に他の日本特許公開公報(Japanese Unexamined Applications)には、特許文献35;特許文献36;特許文献37;及び特許文献38が挙げられる。また特許文献39も参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,096,247号
【特許文献2】米国特許第6,808,658号
【特許文献3】米国特許公開出願第2002/0154406 A1号
【特許文献4】米国特許第3,213,753号
【特許文献5】米国特許第4,446,305号
【特許文献6】米国特許第4,520,189号
【特許文献7】米国特許第4,521,588号
【特許文献8】米国特許第4,525,413号
【特許文献9】米国特許第4,799,131号
【特許文献10】米国特許第5,056,030号
【特許文献11】米国特許第5,175,030号
【特許文献12】PCT国際公開特許WO 2003/0058383 A1
【特許文献13】PCT国際公開特許WO 2004/062904 A1
【特許文献14】PCT国際特許WO 00/29197
【特許文献15】米国特許第2,618,012号
【特許文献16】米国特許第2,988,772号
【特許文献17】米国特許第3,502,766号
【特許文献18】米国特許第3,807,004号
【特許文献19】米国特許第3,890,421号
【特許文献20】米国特許第4,330,499号
【特許文献21】米国特許第4,434,128号
【特許文献22】米国特許第4,349,500号
【特許文献23】米国特許第4,525,317号
【特許文献24】米国特許第4,853,602号
【特許文献25】米国特許第4,862,564号
【特許文献26】米国特許第5,826,314号
【特許文献27】米国特許第5,882,774号
【特許文献28】米国特許第5,962,114号
【特許文献29】米国特許第5,965,247号
【特許文献30】日本特許公開公報平5−11114号公報
【特許文献31】日本特許公開公報平5−288931号公報
【特許文献32】日本特許公開公報平5−288932号公報
【特許文献33】日本特許公開公報平6−27321号公報
【特許文献34】日本特許公開公報平6−34815号公報
【特許文献35】日本特許公開公報平5−241021号公報
【特許文献36】日本特許公開公報平6−51116号公報
【特許文献37】日本特許公開公報平6−51119号公報
【特許文献38】日本特許公開公報平5−11113号公報
【特許文献39】PCT国際公開特許WO 2002/096622 A1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、第1の表面及び第2の表面を有し、並びに長手方向寸法を有する本体を有する、高分子フィルムの形成を含む、繊維を作製する方法を含む。フィルムは、本体の第一表面上で、本体の長手方向寸法と実質的に平行に配置される、複数の伸長するミクロ構造体を含み、ミクロ構造体は互いに実質的に平行である。方法はまた、高分子フィルムを、本体の長手方向寸法と実質的に平行な方向に延伸する工程、及び延伸した高分子フィルムを、ほぼ長手方向に配置された分離線に沿って分離し、繊維要素の1つ以上がその上に少なくとも1つのミクロ構造体を有する、複数の別個の繊維要素を画定する工程も含む。
【0008】
別の態様では、本発明は、第1の表面及び第2の表面を有し、並びに長手方向寸法を有する、本体を有する高分子フィルムを形成する工程を含む、繊維を作製する方法を含む。フィルムは、本体の第一表面上で、本体の長手方向寸法と実質的に平行に配置される、複数の伸長するミクロ構造体を含み、ミクロ構造体は実質的に互いに平行である。方法は、高分子フィルムを、本体の長手方向寸法と実質的に平行な方向に延伸する工程、及び、延伸した高分子フィルムを、本体の長手方向寸法に沿ってフィブリル化して、各繊維がその上に少なくとも1つのミクロ構造体を有する、1つ以上の繊維を提供する工程を更に含む。
【0009】
一実施形態では、本発明は、第1の表面及び第2の表面、第1厚さ、並びに長手方向寸法を有する本体を含む、高分子フィルムである。フィルムはまた、本体の第一表面上で、本体の長手方向寸法と実質的に平行に配置される、複数の伸長するミクロ構造体を含み、ここで伸長するミクロ構造体は、第2の厚さを有する。フィルムは、本体の長手方向寸法に少なくとも1.5の延伸比を有し、本体の第1厚さとミクロ構造体の第2の厚さとの比率は、多くても2である。
【0010】
更に別の実施形態では、本発明は、第1の表面及び第2の表面、並びに長手方向寸法を有する繊維本体を含む高分子繊維である。繊維はまた、繊維本体の第1表面上に、繊維本体の長手方向寸法と実質的に平行な方向で配置される、伸長するミクロ構造体も含み、ここでいかなる複数のミクロ構造体も実質的に平行である。
【0011】
この「課題を解決するための手段」は、本発明の各開示された実施形態又は全ての実施を記載することを意図するものではない。他の多くの新たな利点、特徴、及び関係は、続く説明で明らかになるだろう。続く図及び説明は、例示的な実施形態を、より具体的に実証する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明により更に完全な理解が可能である。
【図1】本発明で有用な前駆体フィルムの断面図。
【図2】本発明の一実施形態のフィルムの断面図
【図3A】本発明のフィルムのいくつかの代替的な実施形態の断面図。
【図3B】本発明のフィルムのいくつかの代替的な実施形態の断面図。
【図3C】本発明のフィルムのいくつかの代替的な実施形態の断面図。
【図3D】本発明のフィルムのいくつかの代替的な実施形態の断面図。
【図4A】形状保持パラメータ(SRP)の計算方法を確認するのに有用な図。
【図4B】形状保持パラメータ(SRP)の計算方法を確認するのに有用な図。
【図4C】形状保持パラメータ(SRP)の計算方法を確認するのに有用な図。
【図4D】形状保持パラメータ(SRP)の計算方法を確認するのに有用な図。
【図5A】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5B】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5C】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5D】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5E】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5F】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5G】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5H】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5I】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5J】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5K】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5L】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5M】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5N】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5O】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5P】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5Q】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5R】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5S】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5T】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5U】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5V】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図5W】本発明で有用な幾何学的形体のいくつかの別外形の断面図。
【図6】本発明によるプロセスの略図。
【図7】延伸プロセス前後両方の構造体表面フィルムの斜視図であり、延伸後のフィルムは1軸配向されている。
【図8】本明細書による、フィルムを1軸延伸する方法の模式図であり、機械方向(MD)、垂直、即ち厚さ方向(ND)、横方向(TD)を示す座標軸も例示。
【図9】変化断面寸法の構造化表面を有する物品の端面図。
【図10】伸長するミクロ構造体を示す、本発明のフィルム物品の等角概略図。
【図11】本発明による、一実施形態のフィルム物品の断面図。
【図12】複数の繊維に分離した後の、図11の繊維物品の断面図。
【図13】本発明の繊維物品の一実施形態の断面図。
【図14】本発明の繊維物品の配列の等角概略図。
【図15】本発明の繊維物品の、複数の重ね合わせられる配列の等角分解概略図。
【図16】本発明の繊維物品の一実施形態の断面図。
【図17】本発明によるプロセスの略図。
【図18】実施例8で開示される、本発明のフィルムの形成に使用される微細溝ツールの表面の一部の表示。
【図19】実施例8で開示される、本発明のフィルム物品にわたって撮影した側面部分の写真。
【図20】本発明のフィルムのフィブリル化に使用するための水流交絡装置の略図。
【図21】実施例9による、本発明のフィルムの表面の写真。
【図22】実施例10で開示される、本発明のフィルムを形成するために使用される微細溝ツールの表面の一部を例示。
【図23】実施例10に開示される、本発明のフィルム物品にわたって撮影される側面部分の写真。
【0013】
本発明は、様々な修正及び代替の形態が可能である。本発明の特徴は、ただ一例としてのみ図面に示されている。本発明は、発明を記載した特定の実施形態に限定するものではない。むしろ本発明の趣旨及び範囲内にあるすべての修正、等価なもの、及び代替するものを網羅するものである。
【0014】
用語解説
本明細書で使用するとき、次の用語及び語句は、次の意味を有する。
「断面形状」及びその明らかな変形物は、第2の面内軸及び第3の軸により画定された幾何学的形体の周辺部の形状を意味する。幾何学的形体の断面形状は、物理的寸法及び欠落の存在、又は形体の不規則性に依存しない。
「延伸比」及びその明らかな変形物は、延伸後延伸方向に沿って分離された2点間の距離と、延伸前の対応する点の間の距離との比を意味する。
「幾何学的形体」、「形体」、及びその明らかな変形物は、構造化表面上の所定の形状又は形状類を意味する。
「伸長する」とは、フィルム又は繊維本体の長さ配向に沿って延びることを意味する。
「ミクロ」は、接頭語として用いられ、それが修飾する用語は、1mm以下の高さを有する断面輪郭を有する。一実施形態では、断面輪郭は、0.5mm以下の高さを有する。別の実施形態では、断面輪郭は0.05mm以下の高さを有する。
その明らかな変形物を包含する「1軸延伸」は、物品の相対する縁部を把持し、その物品を一方向にのみ物理的に延伸する動作を意味する。1軸延伸は、例えば、瞬間的又は比較的極めて少ない2軸延伸をフィルムの部分に誘起し得る剪断効果に起因する、フィルムび均一な延伸における、僅かな不完全性を包含することを意図する。
「構造体表面」とは、その上に幾何学的形体の少なくとも1つを有する表面を意味する。
「構造化表面」とは、所望の幾何学的形体又は複数の幾何学的形体を表面に付与するいずれかの技術により作り出された表面を意味する。
「エレクトレット」とは、準恒久的な帯電を呈する物質を意味する。
「金属表面」及びその明らかな変形物は、半金属をもまた含有してもよい金属又は金属合金でコーティング又は形成された表面を意味する。「金属」は、一般に延性、展延性、光沢、及び熱並びに電気の伝導性によって特性づけられ、ヒドロキシルラジカルと塩基を形成し、酸の水素原子を置換し塩を形成できる鉄、金、アルミニウムなどの元素を示す。「半金属」は、金属の性質の一部分を有し、及び/又は金属と合金を形成する(例えば、半導体)非金属元素を指し、金属及び/又は半金属ドーパントを含有する非金属元素もまた包含する。
「真の1軸配向」及びその明らかな変形物は、第2の面内軸及び第3の軸に沿って測定される方位感受性特性(orientation sensitive properties)は実質的に同等であり、第1面内軸に沿った方位感受性特性とは実質的に異なる1軸配向の状態(以下参照)を意味する。
実際の物理システムは、一般的に、第2の面内軸及び第3の軸に沿って、正確に、及び厳密に一致する特性を有さない。用語「真の1軸配向」は、本明細書において使用するとき、これらの軸に沿って測定されるフィルムの方位感受性特性が、ほんの僅かな量によってのみ異なる配向の状態を指す。許容可能な変化の程度は、意図される使用に応じて異なるものと理解される。多くの場合、1軸配向の正確さよりも、このようなフィルムの均一性がより重要である。この状態は、長く、薄く、円筒形の繊維が、その繊維軸に沿って延伸される場合に生じることがあるために、この技術分野において「繊維対称」と称されることがある。
「真の1軸延伸」及びその明らかな変形物は、第2の面内軸及び第3の軸に沿った延伸比が互いに実質的に同一であるが、第1面内軸に沿った延伸比から実質的に異なるような方法で1軸延伸(上記参照)を提供する行為を意味する。
「1軸配向」は、その明らかな変形物を含め、物品が、第1面内軸、即ち1軸延伸方向に実質的に平行な軸に沿って測定される物品の方位感受性特性が、第2の面内軸及び第3の軸に沿って測定されるものと異なる配向の状態を有することを意味する。1軸配向の存在を決定するために、様々な特性が測定されることがあるが、別のものが特定されない限り、結晶配向及びモルホロジーが本発明における関心の特性である。このような特性の代表的な例としては、様々な波長における、屈折率、熱的及び吸湿性の膨張、微小歪み異方性機械的圧縮比、耐引裂性、耐クリープ性、収縮、屈折指数、及び吸収係数が挙げられる。
積層フィルムの場合、「1軸」又は「真に1軸」は、特に指定されていない限りフィルムの個々の層に適用されることが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、構造化フィルム及び繊維を配向する方法、及びこれらによって作製される物品を対象とする。本明細書で開示される多くの実施形態は、このような配向された物品及び関係する方法の光学的特性を対象とする。しかしながら、本発明は、本明細書で開示される多くの代替的実施形態で説明されるように、光学的用途を超えた、重要な有用性を有する。
【0016】
本発明は、構造化表面を有するフィルム、これらから作製される物品、及びこれらを製造するための新しい方法を提供する。構造化表面は、望ましい断面形状を有する、幾何学的形体の少なくとも1つを有する。本発明の物品の一実施形態は、構造化表面を有するフィルムを含む。本発明の1つの態様は、その厚さを通じて1軸配向を有する物品を含む。構造化表面は、複数の幾何学的形体を含む。1つ、又は複数の幾何学的形体は、伸長する。1つ、又は複数の幾何学的形体は、物品の第1面内軸に、実質的に整列している。発明の物品は、構造化表面を上部に有するランド、又は本体部分を含む。物品は、単一の層、又は複数の別個の層を含んでもよい。本発明の物品は、対向する側面に、構造化表面を有してもよい。層は、異なる分子材料を含んでもよい。物品は、正又は負の複屈折、エレクトレット、結晶性、親水性、疎水性、ミクロ孔質であってよく、及び/又は他の望ましい特性を有してよい。
【0017】
本発明の物品の一実施形態は、
(a)(i)第1の表面と第2の表面、(ii)互いに直交する第1の面内軸と第2の面内軸、並びに高分子フィルムの厚さ方向において、第1の面内軸と第2の面内軸と互いに直交する第3の軸を有する高分子本体と、
(b)高分子本体の第1の表面上に配置され、高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に、伸長する幾何学的形体とを含み、
ここでフィルムは、少なくとも0.1の形状保持パラメータ(SRP)を有する、1軸配向された、構造化表面の高分子フィルムを含む、本発明の物品の実施形態。
【0018】
本発明は、
(a)(i)第1の表面と第2の表面、(ii)互いに直交する第1の及面内軸と第2の面内軸、並びに高分子フィルムの厚さ方向において、第1の面内軸と第2の面内軸とに、互いに直交する第3の軸を有する高分子本体と、
(b)高分子本体の第1の表面上に配置される伸長する幾何学的形体を含み、この線状幾何学的形体が高分子フィルムの第1の面内軸と実質的に平行な方向で本体上に配置される、表面部分と、を含む1軸配向された、構造化表面物品のロールを提供する。
【0019】
本発明の別の態様では、上述されたロールは、第1の面内軸に沿って1軸配向される高分子フィルムを含む。また別の態様では、上述のロールは、ロールの個々のラップの間の緩衝層を更に含む。緩衝層は、構造化表面が、製造、保存、及び輸送中に損傷及び/又は変形するのを防ぐのを、助ける。
【0020】
本発明のまた別の態様では、物品は、第1の面内軸に沿った第1の屈折率(n)、第2の面内軸に沿った第2の屈折率(n)、第3の面内軸に沿った第3の屈折率(n)を有する。本発明においては、n≠は、n及びn即ち、nはn及びnより大きくてもよく、又は、n及びnより小さくてもよい。一実施形態において、n及びnは互いに実質的に等しい。本発明のフィルムの相対複屈折は、一実施形態では、0.3以下である。
【0021】
本発明はまた、多相フィルムを含んでもよい。この実施形態においては、フィルムは、多成分相分離系、あるいは成分の1つがもう一方に溶解して、連続的なマトリックス又は2層連続マトリックスの多孔性構造、又は非常に微細な粒子を作る系を含んでよい。
【0022】
本発明はまた、ミクロ構造化表面、又は第2の表面のいずれかにわたる、追加の層を組み込んでもよい。このような表面のいずれか一方、又は両方の上に追加の層を組み込んでもよい。追加の層は、延伸の前、又は後に加えられることができる。延伸の前に追加の層が加えられた場合、これは延伸が可能であるべきである。このような層の例としては、反射防止層、屈折率整合層、及び保護層が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
追加の層が使用された場合、真に1軸の延伸が特に有用である。この場合、例えば、横断方向に加えられた圧力は、最小化され、層間の接着の要素は、それほど重要ではない。
【0024】
別の態様では、本発明は、第1の直交する面内軸と第2の直交する面内軸、並びにフィルムの厚さ方向の、第3の相互に直交する軸の座標系に関して画定される所定の特性を有するミクロ構造体フィルムのロールを含む。例えば、幾何学的形体は、ロールの巻き方向(即ち、機械方向(MD)に沿って)に整列されることができ、又はロールの巻き方向に対して横(即ち、横断方向(TD)に沿って)に位置合わせされてもよい。あるいは、幾何学的形体は、MD又はTD方向に対して所望の角度に位置合わせされてもよい。
【0025】
本発明は、構造化表面フィルムを、作製する方法を更に含んでもよい。1つの態様として、本発明の方法は、
(a)(i)所望の幾何学的形態を含む第1の表面、及び第2の表面、並びに(ii)互いに直交する第1の面内軸と第2の面内軸、及び高分子フィルムの厚さ方向において、第1の面内軸と第2の面内軸に対して互いに直交する第3の軸を有する高分子フィルムを提供する工程、
(b)高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に高分子フィルムを延伸する工程、を含み、
ここで、工程(b)以前の幾何学的形体の断面形状は、工程(b)以後も、実質的に維持される。
【0026】
別の態様では、本発明は、
(a)(i)第1の構造化表面、及び第2の表面、並びに(ii)互いに直交する第1の面内軸と第2の面内軸、及び高分子フィルムの厚さ方向において、第1の面内軸と第2の面内軸と、互いに直交する第3の軸を有する高分子フィルムを準備する工程(ここで、第1の構造化表面は、その上に、第1の面内軸と実質的に平行な方向の幾何学的形体を有する)、並びに、続いて、
(b)高分子フィルムを、高分子フィルムの面内軸に実質的に平行な方向に1軸的に配向する工程、を含む、構造化表面フィルムを作製する方法を含む。
【0027】
更に別の態様では、本発明は、
(a)所望の構造化表面のネガティブ版を含むツールを提供する工程、
(b)ツールを樹脂に接触させ、所望の表面を作製する工程(所望の構造体表面は、幾何学的形体を含む)、
(c)所望により、樹脂を凝固させて、(i)所望の構造化表面、及び対向する表面と、(ii)互いに直交する第1の面内軸と第2の面内軸、及び高分子フィルムの厚さ方向において、第1の面内軸と第2の面内軸とに、互いに直交する第3の軸を有するフィルムを形成する工程、
(d)フィルムをツールから取り外す工程、
(e)高分子フィルムを、高分子フィルムの第1の面内軸と実質的に平行な方向に延伸する工程、を含む、構造化表面フィルムを作製する方法を含む。
【0028】
本発明における別の実施形態は、複数の伸長する幾何学的ミクロ形体を有する、所望のミクロ構造体表面フィルムを作製する方法を含む。
(a)所望のミクロ構造体表面のネガティブ版を含むツールを提供する工程と、
(b)マスターツール及び第2の表面の間に形成される隙間に溶融高分子樹脂を提供する工程と、
(c)隙間に所望のミクロ構造表面を有する高分子フィルムを形成する工程、であって、フィルムは、(i)互いに直交する第1の面内軸と第2の面内軸、及び高分子フィルムの厚さ方向において、第1の面内軸と第2の面内軸と、互いに直交する第3の軸を有するフィルム、(ii)第1の面内軸に実質的に平行な方向に配置される、伸長するミクロ形体を有する、所望のミクロ構造体表面、を有する工程と、
(d)工程(c)の高分子フィルムをツールから取り除く工程と、
(e)第1の面内軸と実質的に平行な方向に高分子フィルムを延伸する工程と、を含む方法。
【0029】
本発明の方法の一実施形態では、物品は、延伸の前の第1の配向状態、及び延伸の後の、第1の配向状態と異なる第2の配向状態とを有する。別の実施形態では、延伸は、より小さな物理的横断面を提供する(即ち、より小さな幾何学的形体)。
【0030】
本発明の方法は、延伸された高分子フィルムを提供し、例えば、延伸の後に複屈折のフィルムを生成し、第1の面内軸に沿って第1の屈折率(n)、第2の面内軸に沿って第2の屈折率(n)、第3の軸に沿って第3の屈折率(n)を有する。
【0031】
本発明の別の実施形態では、方法は、フィルムの、第2の又は第3の面内軸の双方向における実質的に同じ比例寸法変化を生じる。第2の及び第3の面内軸方向におけるこれらの比例寸法変化は、フィルムの延伸又は延伸の履歴に亘って実質的に一定である。
【0032】
別の実施形態では、本発明は、ツールのネガティブ表面を複製するために広範な種類のポリマーを使用することのできる方法を提供する。本発明は、
(a)所望の構造化表面のネガティブ表面を含むツールを提供する工程、
(b)ツールのネガティブ表面を、フッ素性化学物質ベンゾトリアゾールを含む組成物に接触させ、コーティングされたネガティブ表面を提供する工程、
(c)コーティングされたネガティブ表面を樹脂に接触させ、樹脂に、所望の構造化表面を生成する工程(所望の構造化表面は、幾何学的形体を含む)、
(d)ツールから樹脂を取り除く工程、を含む、所望の構造化表面を有する高分子物品を有する作製方法を提供する。
【0033】
本発明のプロセスにより、物品上に提供された構造化表面は、ツールのネガティブ表面の複製を含む。本物品の構造化表面は、所望の断面形状を有する幾何学的形体の少なくとも1つを有する。本発明の一実施形態は、構造化表面を有するフィルムを作製する工程を含む。本発明の方法は、配向されていない、又は、フィルムなどのように配向された物品を作製するために使用されてもよい。配向された物品は、1軸的に、又は2軸的に配向されてよい。本発明のプロセスによって作製された、複製された構造化表面は、複数の幾何学的形体を含んでよい。幾何学的形体、又は形体は伸長する。1つ、又は複数の形体は、物品の第1の面内軸と整列してもよい。あるいは、これらは、物品上に、第1の面内軸と所望の角度で配置されてもよい。方法は、単一の層、又は複数の別個の層を含む物品を作製するために使用されてもよい。層は、異なる高分子材料を含んでもよい。物品は、正、又は負の複屈折、エレクトレット、結晶質、親水性、疎水性、ミクロ孔質、及び/又は他の所望の特性を有している。更に、発明の方法は、対向する両側上に構造化表面を有する物品を作製するために使用されてもよい。
【0034】
発明のプロセスで複製される物品上の1つ、又は複数の幾何学的形体、及び/又は複製は、伸長する性質であり、角柱形、矩形、凸型、凹型、複合体、又はレンズ状の幾何学的形体のいずれかであってよい。1つ、又は複数の幾何学的形体は、ミクロ形体であり、第1の面内軸に沿って連続、又は不連続であってよい。それは、より詳しく以下で論じられるように、多様な断面の輪郭を有してもよい。幾何学的形体は、複製された表面上で、繰り返しであっても又は繰り返しでなくてもよい。複製された表面は、同じ断面形状を有する複数の幾何学的形体を含んでもよい。あるいはそれは、異なる断面形状を有する複数の幾何学的形体を有してもよい。
【0035】
本発明の別の態様では、本発明のいかなる方法によって製造されるフィルムも、延伸の後にフィブリル化され、2つ以上の、構造化表面を有する1軸的に配向された繊維を提供する。繊維は、個々の繊維として、又は長さに沿って互いに結合された2つ以上の繊維として作られてもよい。一実施形態では、1つ以上の繊維は、構造化表面の、任意の部分を含まなくてもよい(即ち、その上に幾何学的形体を有さない)。
【0036】
本発明の物品及びフィルムは、一般的に、本体部分、及び表面構造部分を含む。図1は、第1の配向状態を有する前駆体フィルムの端面図を表し、一方、図2は、第2の配向状態を有する生じた本発明のフィルムの一実施形態の端面図を表し、図3A〜3Dは、本発明のいくつかの別の実施形態の端面図を表す。
【0037】
前駆体フィルム9は、初期厚さ(Z)を有する本体又はランド部分11と、高さ(P)を有する表面部分13とを備える。ここでは、表面部分13は、直角角柱として示された一連の平行な幾何学的形体15を含む。各々の幾何学的形体15は、基底幅(BW)とピーク間隔(PS)を有する。前駆体フィルムは、P+Zの和に等しい厚さ合計Tを有する。
【0038】
図2について具体的に説明すると、本発明のフィルム10は、厚さ(Z’)を有する本体又はランド部分12と、高さ(P’)を有する表面部分14を含む。表面部分14は、角柱を含む一連の平行な幾何学的形体16を含む。各々の幾何学的形体16は、基底幅(BW’)とピーク間隔(PS’)を有する。本発明のフィルムは、P’+Z’の合計と等しい総厚さT’を有する。
【0039】
前駆体フィルムと本発明のフィルムとの間の寸法関係は、T’<T、P’<P、Z’<Z、通常BW’<BW、及びPS’<PSである。
【0040】
本体又はランド部分11及び12は、下部表面17及び19と表面部分15及び16の最も低い点との間に物品の部分を含む。ある場合には、これは、物品の幅(W、W’)にわたって一定寸法であってよい。他の場合には、変化するランド厚さを有する幾何学的形体の存在により、この寸法は変わり得る。図9を参照されたい。図9において、ランド厚さは、Z”で表わされる。
【0041】
前駆体フィルム9及び本発明のフィルム10は、各々厚さ方向に第1の面内軸線18、第2の面内軸線20、及び第3の軸線22を有する。第1の面内軸線は、本明細書で後で記載するように延伸方向と実質的に平行である。図1及び2において、この軸線は、フィルム9及び10の末端部に対して垂直である。これらの3つの軸は、互いに対して相互に直交する。
【0042】
本発明のフィルム又は物品の少なくとも1つの幾何学的形体の断面形状は、その前駆体の幾何学的形体の断面形状と実質的に似ている。入射光線の均一な再分散が望まれる光学装置を作製する際、この形状を厳守することは、特に重要である。形体の初期断面形状が、平面であっても曲面であっても、このことは当てはまる。物品及びプロセスの形状保持は、形状保持パラメータ(SRP)を計算することにより決定される。
【0043】
所定の形体ごとのSRPは、以下の様に決定される。延伸前の幾何学的形体を有するフィルムの断面から映像を取得する。断面平面は、第2の面内軸線20と第3の軸線22により画定された平面であり、フィルムが延伸される方向と直交する。存在する構造的形体の代表的な例の1つを選択し、形体と呼ぶ。本体部分11及び表面部分13の接点で、線が映像に重ねられる。これが形体基準(FB)である。次に、その基準上の形体の面積が計算される。これが未延伸形体面積(UFA)である。
【0044】
更に、延伸後のフィルムの断面から映像を取得する。断面平面は、第2の面内軸線と第3の軸線により画定された平面である。フィルムが、実験室のフィルム延伸機器等上の不連続又は「バッチ」プロセスにより延伸されている場合、延伸前にフィルム試験片を調べたときに選択したものと同じ形体を選択することは可能である。フィルムが、連続のフィルム作製ラインで延伸されている場合、このフィルム作製の当事者には理解されるように、形体は、未延伸ウェブ上で選択した個所に類似した延伸フィルムウェブ上の適切な個所から選択されるべきである。形体基準(FB)が、再度定められ、それから延伸フィルム形体の面積が計算される。これが延伸形体面積(SFA)である。
【0045】
次に、UFA/SFA比が計算される。これが映像比(IR)である。次に、延伸フィルムの形体の映像は、未延伸フィルムの形体の映像と同じ面積を有するように比例して拡大される。これは、IRの平方根要因により映像を各高さ及び幅寸法に拡大することにより行われる。次に、延伸フィルムの形体の拡大映像が、それらの形体基準が一致するように未延伸フィルムの形体の映像の上に重ねられる。それから、それらが重なり合う領域を最大化する個所が見つかるまでそれらの共通の基準に沿って、重ねられた映像は相互に変換される。当業者には、理解されるように、この、並びにすべての前述と後述の数学的及び数値操作は、適切に記載されたコードを用いたコンピュータで簡単に行うことができる。
【0046】
この最適に重ねられた条件で重ねられた映像の両方により共有された面積が、共通面積(CA)である。次に、CA/UFA比を計算する。この比率が、共通面積比(CAR)である。完全な形状を保持する延伸では、CARが、1である。完全な形状保持からの全ての偏位に関しては、CARが、1未満の正数である。
【0047】
任意の特定のフィルムに関しては、CARは、少なくとも形体の形状に、延伸比に、及び延伸操作が真に1軸配向延伸に近接する度合いに依存する量だけ1から異なる。その他の因子が、含まれてもよい。完全な形状保持からの偏位の度合いを定量化するためには、別のパラメータである形状保持パラメータ(SRP)を開発する必要がある。SRPは、測定値で、構造化表面を有するフィルムが、完全形状保持の一極点から、他の極点である典型的な工業的実用性を特徴とする基準点までの連続体上のどこに落ちるかを比例して示す。本発明者らは、同じ形体の形状及び延伸比に関して、基準点として、連続的なモードで効率的に操作される理想的なフィルムテンター(横方向配向機)の性能を選択している。フィルムの構造化表面上の形体の長軸は、延伸方向であるクロスウェブ方向と平行であると考えられる。例えば、延伸時の密度変化等のフィルム材それ自体が非理想的であるように、端部効果及び全ての他の非理想的なプロセスが、無視される。そして、この理想的なテンターの場合、フィルムに付与された全ての横方向の延伸は、同じ比率でのフィルムの収縮により、厚さ寸法にのみ適合される。仮定的なテンターが理想であるので、機械又はダウンウェブ方向へのフィルムの収縮は全くない。
【0048】
理想的に延伸するフィルムでは、映像比は、延伸比と同じである。映像比が、延伸比と異なる場合、これは、例えば、ポアソン比、密度変化(例えば、延伸時の結晶化による)、及び局部延伸比と公称理想延伸比の間の偏差のせいで、系の非理想的な性質を示す。
【0049】
以下は、図4A〜4Dを参照にして記載する。計算は、この技術分野において当業者に周知のアルゴリズムを使用し、コンピュータで容易に行うことができる。計算は、CARを計算するため既に使用された未延伸フィルムの形体の実験的に得られた映像を用いて始める。図4Aに示した形体は、直角三角形の形体である。直角三角形は、本明細書で詳述される方法論として実例目的だけのために図4Aに示され、左右対称の有無に関わらず、直線状(角柱状)の面又は湾曲した(レンズ状)面を有しているかに関わらず、一般にいかなる特徴の形状にも適用できる。また、その方法論は、一般に「上反り」形体、又はS型形体、フック型形体若しくは「茸キャップ」形体等の複雑な形状を有する形体に適用できる。
【0050】
図4Aの映像は、このフィルムを作製するのに使用した延伸比の因数により高さ寸法だけ収縮することで、計算上、図4Bの映像に変換される。これにより、この形体の形状及び延伸比に関して、「理想的なテンター」のフィルム表面形体に何が起こっているのかをシミュレートする。そして、延伸比の平方根の因数によって映像を各高さ及び幅寸法に拡大することにより、映像は、図4Bの映像から図4Cの映像に変換される。したがって、図4Cの映像は、図4Aの映像と同じ面積を有する。次に、図4Aと図4Cの映像は、重なる面積が最大になる位置が見つかるまでそれらの共通の基準に沿って重ねられ、変換される。これを、図4Dに示す。この図の共通の領域(本来の形体の映像と計算上の処理がされた形体の映像の両方に共通の網目状の影をつけた領域)が計算され、この面積と図4Aの映像面積の比率が計算される。この値が、所与の形体の形状及び延伸比に関する理想的テンターの共通面積比(CARIT)である。CARITは、使用された未延伸形体の形状と延伸比双方との強い関数であるので、この計算が、各フィルム試験片について、独自に行われなければならないことが理解されるであろう。
【0051】
最終的にSRPは、下式を使用して計算される。
SRP=(CAR−CARIT)/(1−CARIT)
【0052】
完全な形状保持の場合、SRPは、1である。「理想的な」テンター上で延伸された仮定的なフィルムの場合、CARはCARITに等しく、SRPは、ゼロである。したがって、SRPは、測定値で、構造化表面を有するフィルムが、完全形状保持の一極点から、他の極点である典型的な工業的実用性を特徴とする基準点までの連続体上のどこに落ちるかを比例して示す。1.00に非常に近いSRPを有するフィルムは、非常に高い形状保持度を示す。0.00に非常に近いSRPを有するフィルムは、使用された形体の形状及び延伸比に関して低い形状保持度を示す。本発明のいくつかの実施形態においては、フィルムは、少なくとも0.1のSRPを有する。
【0053】
標準のフィルムテンター上で又は他の手段で作製されたフィルムは、上述のように、起こり得る多くの非理想的性に起因して、ゼロ未満のSRP値を有する場合が十分にあることを当業者は理解するであろう。「理想的なテンター」は、結果として生じ得る、予想される最悪の形状保持を表すことを意味するものではない。むしろ、それは、通常の規模の別のフィルムと比較するのに有用な基準点である。
【0054】
本発明の一実施形態において、構造化表面を有するフィルムは、約0.1〜1.00のSRP値を有する。本発明の他の実施形態において、構造化表面を有するフィルムは、約0.5〜1.00のSRP値を有する。本発明の他の実施形態において、構造化表面を有するフィルムは、約0.7〜1.00のSRP値を有する。本発明の他の実施形態において、構造化表面を有するフィルムは、約0.9〜1.00のSRP値を有する。
【0055】
本発明の方法は、1軸配向を有するフィルムを作製するために使用することができる。1軸配向は、第1の面内軸線(n)に沿ったフィルムの屈折率、第2の面内軸線(n)に沿った屈折率、及び第3の軸線(n)に沿った屈折率の差を決定することにより測定され得る。本発明の1軸配向フィルムは、n≠n及びn≠nを有する。一実施形態では、本発明のフィルムは、真に1軸配向である。即ち、n及びnは、実質的に互いに等しく、nとのそれらの差に比例する。
【0056】
1実施形態においては、本発明の方法は、0.3以下の相対的複屈折を有するフィルムを提供するために使用されてもよい。別の実施形態では、相対複屈折は0.2未満であり、及び更に別の実施形態では、それは0.1未満である。相対複屈折は、下式により決定される絶対値である。
│n−n│/│n−(n+n)/2│
【0057】
相対複屈折は、可視又は近赤外線スペクトルのいずれかで測定され得る。任意の所定の測定では、同じ波長が使用されるべきである。どちらか一方のスペクトルの任意部分における相対複屈折0.3が、この試験に適合するために満足のいくものである。
【0058】
本発明の方法は、角柱状の少なくとも1つ、又はレンズ状の幾何学的形体を含むフィルムを作製するために使用することができる。幾何学的形体は、フィルムの第1の面内軸にほぼ平行な伸長構造であってよい。図2に示されるように、構造表面は、一連の角柱16を含む。しかしながら、その他の幾何学的形体及びそれらの組み合わせが使用されてもよい。例えば、図3Aは、幾何学的形体が、頂上を有する必要がなく、またそれらの基底で相互に接触する必要もない。図3Aに示されるように、形体は頂上を有さず、形体頂部幅(TW’)を有してよい。形体が基底に触れない場合、近接する形体は、形体分離部(FS’)又は本体の分離間隔(図3A参照)によって横方向に離間される。
図3Bは、幾何学的形体は、曲線的なピーク、及び湾曲的な面を有してもよいことを示している。図3Cは、幾何学的形体のピークが、平坦であってよいことを示す。
図3Dは、フィルムの対向する表面の両方が、構造化表面を有してよいことを示す。
図5A〜5Wは、構造化表面を提供するため使用され得るその他の断面形状を示す。これらの図は、幾何学的形体が、凹部、(図5A〜5I及び5T参照)又は突起部(図5J〜5S及び5U〜5W参照)を含んでもよいことを、更に示している。凹部を含む形体の場合、凹部間の隆起領域は、図3C示すような凸部型形体であると考えてよい。
さまざまな形体の実施形態が、所望の結果が得られるよう、任意の方法の組み合わせが可能である。例えば、水平表面は、放射状又は平坦なピークを有する形体を分離してもよい。その上、湾曲した面は、これらの形体のいずれの上に使用されてもよい。
【0059】
図から分かるように、形体はいかなる所望の幾何学的形状を有してもよいが、いくつかの実施形態では、これらは伸長する。一方、又は両方の表面はまた、伸長しない要素も含んでよい。それらは、フィルムのZ軸線を基準として対称又は非対称であってよい。更には、構造化表面は、単一の形体、所望の模様での複数個の同じ形体、又は所望の模様の配列された2つ以上の組み合わせを含むことも可能である。更に、形体の高さ及び/又は幅のような寸法は、構造化表面にわたって同じであってもよい。あるいは、それらは形体間で変化してもよい。
【0060】
図2に示されるミクロ構造の幾何学的形体は、直角の角柱を含むか、これに近似するかのいずかである。本明細書において使用するとき、直角の角材は、約70°〜約120°の頂角を有してよく、よりふさわしくは約80°〜100°、最もふさわしくは約90°である。直角の角柱が示されているが、他の角度の構成の角柱もまた想到される。更に、ミクロ構造体の面は、平坦な又はおおむね平坦な表面である。
【0061】
他の実施形態において、ミクロ構造の幾何学的形体は、鋸歯状角柱を含む。本明細書で使用するとき、鋸歯状角柱は、ランド又は本体に対して約90°の角度を形成する垂直又はおおよそ垂直の側面を有する。図5J参照。1つの有用な実施形態において、鋸歯状角柱は、ランド又は本体から2°〜15°傾斜した角度を有してよい。
【0062】
幾何学的形体が、第1の面内軸線に沿って連続又は不連続のどちらであり得ることも本発明の範囲内である。
【0063】
特定の実施形態のフィルムのさまざまな実施形態は、図2及び3Aで設定したような以下の寸法関係を含む。
【0064】
本発明の方法は、一般にフィルムを延伸及び続いて1軸延伸することにより伸長され得る構造化表面高分子フィルムを供給する工程を含む。構造化表面は、フィルムの形成と同時に設けられるか、又はフィルムが形成された後第1の表面に付与されるかのどちらでもよい。その方法は、図6及び7に関連して更に説明される。
【0065】
図6は、本発明に係る方法の略図である。この方法では、フィルムの所望の構造化表面のネガティブ版を含むツール24が提供され、ダイ28の開口部(図示していない)を通って駆動ロール26A及び26Bにより進められる。ダイ28は、溶融トレインの排出点を含み、ここでは、ペレット、粉末等の形態の乾燥高分子樹脂を受け取るためのフィードホッパ32を有する押出成形機30を備える。融解樹脂は、ダイ28からツール24上へと出る。間隙33が、ダイ28とツール24との間に提供される。溶融樹脂は、ツール24に接触し、硬化し、ポリマーフィルム34を形成する。次に、フィルム24の前端部は、ストリッパーロール36でツール24から剥取られ、1軸延伸装置38へ誘導される。更に、延伸したフィルムは、ステーション40で連続ロールに巻きつけられることも可能である。
【0066】
尚、フィルム34は、ロールに巻きつけられ、又はシートに切断され、及び装置38で延伸されるまで積み重ねられる。尚、フィルム34は、連続ロールに巻きつけられるよりはむしろ延伸された後でシートに切断され得る。
【0067】
フィルム34は、所望により1軸延伸される前に事前調整(不図示)されてよい。更に、フィルム34は、延伸された後、後調整(不図示)されてよい。
【0068】
フィルムに構造化表面を付与するため、さまざまな技術が使用され得る。これらには、バッチ及び連続技術が挙げられる。それらには、所望の構造化表面のネガティブ版である表面を有するツールを備え、高分子フィルムの表面の少なくとも1つを、一時的に及び所望の構造化表面のポジティブ版を高分子フィルムに作るのに十分な条件下で、ツールに接触させ、並びに構造化表面を有する高分子フィルムをツールから取り外すことが含まれ得る。典型的には、ツールのネガティブ表面は、金属表面を含む。
【0069】
ダイ28及びツール24は、互いに垂直配列で示されているが、水平又はその他の配列もまた使用されてもよい。特別な配列に関係なく、ダイ28は、間隙33で溶融樹脂をツール24に提供する。
【0070】
ダイ28は、ツール24に向かってそれが移動できる方式で設置される。これにより、間隙33を所望の間隔に調節できる。当業者には理解されるように、間隙33の大きさは、溶融樹脂の組成物、所望の本体厚さ、その粘度、その粘弾性反応、及びツールを溶融樹脂で本質的に完全に満たすのに必要な圧力の因子である。
【0071】
溶融樹脂は、任意に適用された真空、圧力、温度、超音波振動、又は機械的手段によりツール24の空洞を実質的に満たすような粘度を有する。樹脂が、ツール24の空洞を実質的に充填するとき、フィルムの結果として生じる構造化表面が複製されると言われている。
【0072】
ツールのネガティブ表面が、フィルムの幅方向に(即ち、横方向(TD)に対して)、又はフィルムの長さに沿って(即ち、機械方向(MD)に沿って)形体を作るため位置づけされ得る。TD又はMDの完全なアライメントは必要ない。したがって、ツールは、完全なアライメントから僅かにはずれた角度であってよい。典型的には、このアライメントのずれは、約20°以下である。
【0073】
樹脂が、熱可塑性樹脂の場合、それは典型的には、固体としてフィードホッパ32に供給される。十分なエネルギーが押出成形機30に供給され、固体樹脂を溶融塊に変換する。典型的に、ツールは、それを加熱駆動ロール26Aの上に通過させることにより加熱される。駆動ロール26Aは、例えば高温の油をそれに通して循環させることにより、又はそれを誘導加熱することにより加熱されてもよい。本明細書において開示されるいくつかの光学的用途では、ツール24の温度は、典型的に樹脂軟化点以下の20℃から樹脂の分解温度までである。他の用途では、ツールの温度は、低粘度及び、厳密な構造の必要性の低さのために、樹脂の軟化点より低く維持される。
【0074】
部分的に重合された樹脂を包含する重合可能な樹脂の場合、樹脂は、ダイ28に送り込むディスペンサーに直接注入されるか又はポンプ移送されてもよい。樹脂が反応性樹脂の場合、本発明の方法は、樹脂を硬化する1つ以上の追加の工程を含んでもよい。例えば、紫外線、赤外線、電子ビーム照射、可視光線等のような光化学放射線等の好適な放射エネルギー源に、樹脂を硬化するのに十分な時間暴露することにより樹脂を硬化し、それをツール24から取り外してよい。
【0075】
溶融樹脂は、更なる処理に備えてフィルムを硬化するために、多様な方法で冷却されることができる。これらの方法としては、押し出された樹脂へ水を撒布することと、ツールの非構造化表面を冷却ロールと接触することと、又はフィルムに空気を直接衝突させることとが挙げられる。
【0076】
前述では、フィルムと構造化表面の同時形成に注目した。本発明に有用な他の技術としては、ツールを作製されたフィルムの第1の表面に接触させることを含む。フィルムの中に所望の構造化表面を作り出すためにフィルムの表面が十分に軟化するまで、圧力、熱、又は圧力及び熱が、フィルム/ツールの組み合わせに適用される。この技術を使用し、フィルムの表面は、ツールの空洞を実質的に完全に満たすのに十分なほど軟化する。続いて、フィルムが冷却され、ツールから取り外される。
【0077】
更に他の技術では、作製されたフィルムが、ダイヤモンドバイト等により機械処理され、その上に所望の構造化表面を作ってよい。
【0078】
前に記載されたように、ツールは、所望の構造化表面のネガティブ版(即ち、ネガティブ表面)を含む。したがって、それは、所定のパターンの中に凸部及び凹部(又は空洞)を含む。ツールのネガティブ表面は、第1の又は第2の面内軸に関するいずれかのアライメントにおいて構造化表面上に幾何学的形体を作り出すために、樹脂と接触することができる。したがって、例えば図1の幾何学的形体は、物品の、縦若しくは長さ方向、又は横断若しくは幅方向に位置合わせしてもよい。
【0079】
典型的には、離型剤がツールに適用されて、樹脂のツールからの除去を高める。例えば、油類、ワックス類、及びシリコーン類などの有機材料が、離型剤として使用され、表面に剥離特性を提供する。これらの離型剤の不利点は、これらが通常、十分な剥離特性を提供するために、表面に頻繁に再適用される必要があるということである。ポリテトラフルオロエチレンから作製されたもの等の高分子剥離コーティングは、油類、ワックス類、シリコーン類、及び他の一時コーティングのいくつかの欠点に対応し、多くの場合、より耐久性がある。しかしながら、典型的には、高分子剥離コーティングは、非耐久性処理よりも厚いコーティングが必要であり、厚さの差異に影響を受けることがあり、適用の困難さを伴うことがある。
【0080】
加えて、ある種のポリマーは、ツールから確実にまたきれいに分離しないことが見出された。その結果として、このようなポリマーを有するツールのネガティブ表面を複製するのは困難である。
【0081】
複製工程の一実施形態では、ツールの空洞は、樹脂により少なくとも50%充填される。別の実施形態では、空洞は、樹脂により少なくとも75%充填される。また別の実施形態では、空洞は、樹脂により少なくとも90%充填される。更に別の実施形態では、空洞は、樹脂により少なくとも95%充填される。更に別の実施形態では、空洞は、樹脂により少なくとも98%充填される。
【0082】
ネガティブへの十分な忠実度は、空洞が樹脂により少なくとも50%充填されるとき、多くの適用について実現される場合がある。しかしながら、ネガティブへのより良い忠実度は、空洞が樹脂により少なくとも90%充填されるときに実現される。ネガティブへの最良の忠実度は、空洞が樹脂により少なくとも98%充填されるときに実現される。
【0083】
所望の構造化表面を作り出すために使用されたツールは、ネガティブ表面上に、フルオロケミカルベンゾトリアゾールを含むコーティングを有する。一実施形態では、フッ素性化学物質ベンゾトリアゾールは、ツール上に、実質的に連続的な単層フィルムを形成する。分子形態「実質的に連続的な単層フィルム」は、個々の分子が、それらの分子構造が許す限り密集してぎっしり詰まることを意味する。本発明の分子のトリアゾール基が、ツールの金属/半金属表面の利用可能領域に結合するという意味で、及び側枝のフルオロカーボンの尾が、外部境界面に実質的に向かって位置合わせされるという意味で、フィルムは自己組織化すると考えられている。
【0084】
単層フィルムの有効性及び表面上に単層フィルムが形成される程度は一般に、化合物とツールの特定の金属又は半金属表面との間の結合の強さ、及びフィルムコーティングされた表面が使用される条件に依存する。例えば、いくつかの金属又は半金属表面は高度に頑強な単層フィルムを必要とする場合があるが、他のこうした表面は、はるかにより低い結合強度を有する単層フィルムを必要とする。有用な金属又は半金属表面は、本発明の化合物との結合を形成するいずれかの表面を包含し、一実施形態では、単層又は実質的に連続的な単層フィルムを形成する。この単層フィルムを形成するための好適な表面の例には、銅、ニッケル、クロム、亜鉛、銀、ゲルマニウム、及びそれらの合金を含むものが挙げられる。
【0085】
単層又は実質的に連続的な単層フィルムは、全表面をコーティングするために十分な量のフルオロケミカルベンゾトリアゾールで、表面に接触することにより形成されてもよい。化合物を、適切な溶媒、表面に適用された組成物の中に溶解して、乾燥してもよい。好適な溶媒には、エチルアセテート、2−プロパノール、アセテート、2プロパノール、アセトン、水、及びそれらの混合物が挙げられる。あるいは、フルオロケミカルベンゾトリアゾールを、表面上に蒸気相から付着してもよい。いずれかの過剰の化合物は、基材を溶媒ですすぐことにより、及び/又は処理された基材の使用を通じて取り除くことが可能である。
【0086】
フルオロケミカルベンゾトリアゾールは、金属及び半金属表面に化学的に結合するのが見出されたばかりではなく、例えば、それらの表面に対して剥離及び/又は腐食防止特性をもまた提供する。これらの化合物は、金属又は半金属表面(例えばマスターツール)に結合し得る先端基、及び剥離される材料と極性及び/又は官能性が好適に異なる尾部分を有する特徴がある。これらの化合物は、単層又は実質的に単層である、耐久性のある自己組織化フィルムを形成する。フルオロケミカルベンゾトリアゾールとしては、次の式を有するものが挙げられる:
【0087】
【化1】

【0088】
式中、Rは、C2n+−(CH−であり、nは1〜22の整数であり、mは0、又は1〜6の整数であり、;Xは、−CO−、−SO−、−CONH−、−O−、−S−、共有結合、−SONR−、又はNR−であり、Rは、H又はC〜Cアルキレンであり、Yは、−CH−であり、Zは0又は1であり、R’は、Xが−S−、又はO−、mは0、及びZが0、nが≧7のとき、H、低級アルキル又はR−X−Y−であり、Xが共有結合のとき、m又はzは少なくとも1である。一実施形態では、n+mは整数8〜20に等しい。
【0089】
離型剤として使用するためのフルオロケミカルベンゾトリアゾール組成物の特に有用な部類は、次の式を有する1つ以上の化合物を含む:
【0090】
【化2】

【0091】
(式中、Rは、C2n+1−(CH−であり、nは、1〜22であり、mは、0又は1〜6の整数であり、Xは−CO−、−SO−、−S−、−O−、−CONH−、共有結合、−SONR−、又はNR−であり、Rは、H又はC〜Cアルキレンであり、qは、0又は1であり、yは、C−Cアルキレンであり、zは、0又は1であり、及びR’は、H、低級アルキル又はR−X−Yである)を有する1つ以上の化合物が含まれる。このような材料は、例えば、米国特許第6,376,065号に記載されている。
【0092】
この方法は、所望により延伸の前にオーブン又はその他の装置を設ける等の事前調整工程を含んでよい。予備調整工程は、予備加熱領域及びヒートソーク領域を包含してもよい。また、延伸比は、収縮を制御するため、その最大値から減少させ得る。これは、「トーイン(toe in)」としてこの技術分野において周知である。
【0093】
また、この方法は、後調整工程を含んでよい。例えば、フィルムは、最初にヒートセットされ、続いて急冷されてもよい。
【0094】
1軸延伸は、従来のテンター又は長さ配向機で行われる。フィルム加工技術の一般的な記載は、「フィルム加工」(トシタカ・カナイ(Toshitaka Kanai)及びグレゴリー・カンベル(Gregory Campbell)編集、1999年)の第1、2、3及び6章で見つけることができる。「高分子フィルムの科学と技術(The Science and Technology of Polymer Films)」(オービル・ジェイ・スウィーティング(Orville J. Sweeting)編集、1968年、第1巻、365〜391及び471〜429頁)も参照のこと。また、1軸延伸は、引張り試験機のつかみ具間等の種々のバッチ機器で実現され得る。
【0095】
1軸延伸方法としては、異なる速度で回転するローラー間での従来の「長さ配向」、テンターでの従来の架橋ウェブ延伸、PCT国際公開特許WO 2002/096622 A1に開示されたもの等の放物線経路テンターでの延伸、及び引張り試験機のつかみ具間での延伸、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
理想的な弾性材の場合、3個の互いに直交する延伸比のうち2個が同一であれば1軸配向がもたらされる。延伸時に密度の有意な変化を受けない材料の場合、2つの実質的に同一延伸比の各々は、第3の直交延伸比の逆数(reciprocal)の平方根と実質的に等しい。
【0097】
1軸配向されたとはいえ、従来のテンターで延伸されたフィルムは、例えそのフィルムが1軸延伸されていたとしても真には1軸配向されていない、というのは、フィルムが、テンターを通って走行する方向の軸線に沿っては自由に接触できないが、厚さ方向には自由に接触できるからである。PCT国際公開特許WO 2002/096622 A1で開示されたもの等の放物線経路テンターで延伸されたフィルムは、1軸延伸され、かつ、真に1軸配向される。というのは、放物線経路は、テンターを通って走行する軸線に沿ってフィルムが適切な量収縮するのを可能にするからである。放物線経路テンター以外の方法も真の1軸配向を提供でき、その概念は、使用する方法により限定されることを意味しない。
【0098】
また、真の1軸配向は、延伸の全履歴を通して1軸条件下でフィルムを延伸するこれらの方法に限定されない。一実施形態では、1軸延伸からの偏位は、延伸工程のさまざまな部分全体を通して一定の許容誤差内に維持されるのが好ましい。しかしながら、延伸プロセス初期での1軸性からの偏位が、後の延伸プロセスで補償され、結果として生じるフィルムに真の1軸性をもたらすプロセスも本発明の範囲に含まれる。
【0099】
本明細書において、フィルム端部を把持するテンター延伸装置の把持手段が走行した経路、したがって、フィルムがテンターを通って走行するときにフィルム端部が辿った経路は、境界軌道と呼ばれる。三次元で実質的に平面でない境界軌道を提供することは、本発明の範囲内にある。フィルムは、単一ユークリッド平面内に位置しない面外境界軌道を使用し、面外に延伸されてよい。
【0100】
真の1軸性を必要としなくても、放物線経路テンタープロセスを使用するとき、フィルムは、面内で延伸される。一実施形態では、TD、主延伸方向、に沿って延伸された直線は、延伸後、実質的に直線で残る。従来のフィルムのテンター処理では、通常、それは事実ではないが、そのように延伸された線は、実質的に湾曲又は「弓」の形を取る。
【0101】
中心平面を介して鏡像を形成する境界軌道は、対称であってよいが、対称である必要はない。中心平面は、フィルム走行の初期方向の軌道を通過し、境界軌道間の初期中心点を通過する平面であり、並びに延伸装置にフィードされる未延伸フィルムの表面に垂直な軌道である。
【0102】
他のフィルム延伸プロセスのように、放物線経路幅出は、フィルムの均一空間延伸が、延伸プロセス全体にわたって維持されるような条件選択に役立つ。フィルムの良好な空間均一性は、未延伸フィルム又はウェブのクロスウェブ及びダウンウェブ厚さ分布の注意深い制御と延伸全般にわたるウェブに対する温度分布の注意深い制御により多くの高分子系で達成できる。多くの高分子系は、特に不均一さに対して敏感で、キャリパー及び温度の均一性が不適切な場合、不均一なので延伸することになる。例えば、ポリプロピレンは、1軸延伸中「小じわ延伸(line stretch)」の傾向がある。また、特定のポリエステル類、特にポリエチレンナフタレート(naphthalate)は、非常に敏感である。
【0103】
どの延伸技術が用いられても、幾何学的形体の形状保持が所望される場合、延伸は、実質的に第1の面内軸線と平行に行われなければならない。延伸が第1の面内軸線とより平行になればなるほど実現される形状保持もよりよくなることが分かった。平行からの偏位が、正確に20°以下の場合、良好な形状保持が実現され得る。平行からの偏位が、正確に10°以下の場合、よりよい形状保持が実現される。偏位が、平行から5°以下の場合、更によりよい形状保持が実現される。
【0104】
また、放物線延伸行程は、延伸行程のさまざまな部分全般にわたって1軸延伸からの偏位を一定の許容誤差内に維持できる。更に、延伸の初期部分で面外フィルムの部分を変形するが、延伸の最後の部分で面内フィルムに戻しながらこれらの条件が維持されてよい。
【0105】
延伸の履歴全般にわたって保持された真に1軸の横方向延伸において、瞬間機械方向延伸比(MDDR)は、密度変化を補正した横方向延伸比(TDDR)の逆数の平方根とおおよそ等しい。上記のようにフィルムは、単一ユークリッド平面内に位置しない面外境界軌道を使用し、面外に延伸されてよい。本発明のこの実施形態に関係のある要求を満足する境界軌道は、特別ではなく、無数にあるために、実質的に1軸延伸の履歴は、面外境界軌道を使用し保持されてよい。
【0106】
延伸の後、フィルムは、ヒートセットされ、必要に応じて、冷却されることが可能である。
【0107】
図7を参照すると、未延伸構造体表面フィルム34は、T、W及びLの寸法を有し、各々フィルムの厚さ、幅及び長さを表す。フィルム34が、ラムダ(λ)の因子により延伸された後、延伸されたフィルム35は、T’、W’及びL’の寸法を有し、各々フィルムの延伸された厚さ、延伸された幅及び延伸された長さを表す。この延伸が、延伸されたフィルム35に1軸特性を付与する。
【0108】
第1の面内軸線、第2の面内軸線及び第3の軸線に沿った延伸比の関係は、繊維対称、したがって、延伸されたフィルムの1軸配向の指標である。本発明において、フィルムは、第1の面内軸線に沿った少なくとも1.1の最少延伸比を有する。一実施形態では、第1の面内軸に沿った延伸比は、少なくとも1.5である。本発明の別の実施形態では、延伸比は、少なくとも1.7である。別の実施形態では、少なくとも3である。より高い延伸比も有用である。例えば、延伸比3〜10以上が、本発明において有用である。
【0109】
第2の面内軸線と第3の軸線に沿った延伸比は、典型的に実質上本発明において同じである。この実質的な同一性は、非常に好都合なことに、これら延伸比相互の相対比として表わされる。2つの延伸比が等しくない場合、相対比は、これらの軸線の1つに沿ったより大きい延伸比とその他の軸線に沿ったより小さい延伸比との比率となる。一実施形態では、相対比は、1.4未満である。2つの比率が等しい場合、相対比は、1となる。
【0110】
第1の面内方向に沿った延伸比λを有する真に1軸延伸の場合、プロセスが、第2の面内軸線で実質的に同じ比例寸法変化をすると、第3の軸線に沿ったフィルムの厚さ方向で厚さと幅は、同じ比例寸法変化だけ減少している。本発明の場合、これは、近似的にKT/λ0.5及びKW/λ0.5(式中、Kは、延伸時の密度変化を説明するスケールファクタを表す)で表わされてよい。理想的な場合、Kは、1である。延伸時、密度が減少する場合、Kは、1を超える。延伸時、密度が増加する場合、Kは、1未満となる。
【0111】
本発明において、フィルムの最終厚さT’と初期厚さTの比率は、NDSR延伸比(NDSR)として定義される。MDSRは、延伸後のフィルム部分の長さをその部分の初期長さで割ったものとして定義されてよい。説明目的だけのために、図8のY’/Yを参照のこと。TDSRは、延伸後のフィルム部分の幅をその部分の初期幅で割ったものとして定義されてよい。説明目的だけのために、図8のX’/Xを参照のこと。
【0112】
第1の面内方向は、例えば長さ配向の場合MD、例えば放物線テンターの場合TDに一致してよい。他の実施例において、連続的なウェブよりはむしろシートが、いわゆるバッチ幅出プロセスのテンターに送り込まれる。このプロセスが、米国特許第6,609,795号に記載されている。この場合、第1の面内方向又は軸線は、TDと一致する。
【0113】
本発明は、一般に、1軸特性が望まれる数多くの別の構造化表面フィルム、材料及びプロセスに適用できる。本発明のプロセスは、特に、ミクロ構造化表面を有する高分子フィルムの製造に便利であると思われ、フィルムに使用される材料の粘弾性特性は、もしあるとすれば、加工中、フィルムを延伸するときに材料に誘起される分子配向の量を制御するために利用される。改善点としては、1つ以上の改善された光学性能、向上された寸法安定性、高められた引張特性、エレクトレット(electete)特性及びよりよい加工性等が挙げられる。
【0114】
一般に、本発明に使用されるポリマーは、結晶性、半結晶性、液晶、又は非晶質ポリマー若しくはコポリマーであってよい。高分子技術において、一般にポリマーは、典型的には完全に結晶性でなく、したがって、本発明の文脈において、結晶性又は半結晶性ポリマーは、非晶質でないこれらのポリマーを指し、通常、結晶性、部分結晶性、半結晶性等と呼ばれるこれらの物質全てを含むという認識を理解すべきである。時として硬質棒状ポリマーとも呼ばれる液晶ポリマーは、この技術分野において三次元結晶秩序とは異なる長距離秩序の形状を有するものと理解されるべきである。
【0115】
本発明は、溶融加工又は硬化のいずれかでフィルム形状にできる任意のポリマーが使用されてよいことを意図している。これらには、ホモポリマー類、コポリマー類、及び以下の族からポリマーに更に加工され得るオリゴマー類が挙げられるが、これらに限定されない。これらには、ポリエステル類(例えば、ポリアルキレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンジベンゾエート、ポリアルキレンナフタレート類(例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びその異性体類(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−及び2,3−PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)及びその異性体類)及び液晶ポリエステル類);ポリアリーレート類;ポリカーボネート類(例えば、ビスフェノールAのポリカーボネート);ポリアミド類(例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、及びポリアミド612、芳香族ポリアミド類並びにポリフタルアミド類);ポリエーテルーアミド類;ポリアミドーイミド類;ポリイミド類(例えば、熱可塑性樹脂ポリイミド類及びポリアクリルイミド類);ポリエーテルイミド類;ポリオレフィン類又はポリアルキレンポリマー類(例えば、ポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリブチレン類、ポリイソブチレン、及びポリ(4−メチル)ペンテン);サーリン(Surlyn)(商標)等のアイオノマー類(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のE.I.デュポンドヌムール社(E. I.du Pont de Nemours & Co.)から入手できる)ポリビニルアセテート;ポリビニルアルコール及びエチレン−ビニルアルコールコポリマー;ポリメタクリレート(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、及びポリメチルメタクリレート);ポリアクリレート(例えば、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、及びポリブチルアクリレート);ポリアクリロニトリル;フルオロポリマー(例えば、ペルフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、フッ化エチレン−プロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン−コ−トリフルオロエチレン、ポリ(エチレン−アルト(alt)−クロロトリフルオロエチレン)、及びTHV(商標)(3M社(3M Co.));塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデン及びポリ塩化ビニル);ポリアリールエーテルケトン(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」));脂肪族ポリケトン(例えば、エチレン及び/又はプロピレンと二酸化炭素とのコポリマー及びターポリマー);いずれかの立体規則性のポリスチレン(例えば、アタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン及びシンジオタクチックポリスチレン)並びにいずれかの立体規則性の環状又は鎖置換ポリスチレン(例えば、シンジオタクチックポリ−α−メチルスチレン、及びシンジオタクチックポリジクロロスチレン);これらスチレン物質(styrenics)のいずれかのコポリマー及びブレンド(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー);ビニルナフタレン;ポリエーテル(例えば、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)、ポリエチレンオキシド及びポリオキシメチレン);セルロース物質(cellulosics)(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、及びセルロースニトレート);硫黄含有ポリマー(例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、及びポリエーテルスルホン);シリコーン樹脂;エポキシ樹脂;エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びネオプレン)、ナイロン、及びポリウレタンである。2つ以上のポリマー若しくはコポリマーのブレンド又は合金もまた使用されてもよい。
【0116】
上に記載されたように、いくつかのポリマー、特にポリエステルを使用して表面を複製するのは困難である。一般的にこれらは、複製の工程で、ツールに頑強に付着する。結果として、複製された表面に損傷を生じずに、それらをツールから取り外すことは困難である。本発明に有用である半結晶性の熱可塑性ポリマーの例には、半結晶性ポリエステルが挙げられる。これらの材料には、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートが挙げられる。本発明において、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートを含むポリマーが、多くの所望の性状を有することが見出されている。
【0117】
ポリエステルに使用するための好適なモノマー及びコモノマーは、ジオール又はジカルボン酸又はエステルの種類のものであってもよい。ジカルボン酸コモノマーには、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、すべての異性体のナフタレンジカルボン酸(2,6−、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,4−、2,5−、2,8−)、4,4’−ビフェニルジカルボン酸及びその異性体のようなジ安息香酸、トランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸及びその異性体、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸及びその異性体、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸及びその異性体、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸及びその異性体、2−クロロテレフタル酸及び2,5−ジクロロテレフタル酸のようなハロゲン化芳香族ジカルボン酸、三級ブチルイソフタル酸及びスルホン化イソフタル酸ナトリウムのようなその他の置換芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びその異性体並びに2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸及びその異性体のようなシクロアルカンジカルボン酸、二環式又は多環式ジカルボン酸(例えば、様々な異性体のノルボルナン及びノルボルネンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、及びビシクロ−オクタンジカルボン酸)、アルカンジカルボン酸(例えば、セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、及びドデカンジカルボン酸)、並びに縮合環芳香族炭化水素のいずれかの異性体のジカルボン酸(例えば、インデン、アンスラセン、フェナントレン(pheneanthrene)、ベンゾナフテン、フルオレンなど)が挙げられるがこれらに限定されない。その他の脂肪族、芳香族、シクロアルカン又はシクロアルケンジカルボン酸が使用されてもよい。あるいは、ジメチルテレフタレートのようなこれらのジカルボン酸モノマーのいずれかのエステルが、ジカルボン酸それ自体に代わって又はそれと組み合わせて使用されてもよい。
【0118】
好適なジオールコモノマーには、直鎖若しくは分枝鎖アルカンジオール又はグリコール(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコールのようなプロパンジオール、テトラメチレングリコールのようなブタンジオール、ネオペンチルグリコールのようなペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及び高級ジオール)、エーテルグリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びポリエチレングリコール)、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエートのような鎖状エステルジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びその異性体並びに1,4−シクロヘキサンジオール及びその異性体のようなシクロアルカングリコール、二環式又は多環式ジオール(例えば、様々な異性体のトリシクロデカンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルネンジメタノール、及びビシクロ−オクタンジメタノール)、芳香族グリコール(例えば、1,4−ベンゼンジメタノール及びその異性体、1,4−ベンゼンジオール及びその異性体、ビスフェノールAのようなビスフェノール、2,2’−ジヒドロキシビフェニル及びその異性体、4,4’−ジヒドロキシメチルビフェニル及びその異性体、並びに1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン及びその異性体)、並びにこれらのジオールの低級アルキルエーテル又はジエーテル、例えばジメチル若しくはジエチルジオールが挙げられるが、これらに限定されない。その他の脂肪族、芳香族、シクロアルキル及びシクロアルケニルジオールが使用されてもよい。
【0119】
分枝状構造をポリエステル分子に付与するのに役立ち得るトリ官能性又は多官能性コモノマーもまた使用され得る。それらは、カルボン酸、エステル、ヒドロキシ、又はエーテルの種類のいずれかであってもよい。例としては、トリメリット酸及びそのエステル、トリメチロールプロパン、並びにペンタエリスリトールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0120】
また、コモノマーとして好適であるのは、パラヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、及びその異性体のようなヒドロキシカルボン酸を包含する混合官能性のモノマー、並びに5−ヒドロキシイソフタル酸などのような混合官能性のトリ官能性又は多官能性のコモノマーである。
【0121】
好適なポリエステルコポリマーには、PENのコポリマー(例えば(a)テレフタル酸又はそのエステル、(b)イソフタル酸又はそのエステル、(c)フタル酸又はそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、及び/又は(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)との、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、及び/又は2,3−ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル)、並びにポリアルキレンテレフタレートのコポリマー((a)ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル、(b)イソフタル酸又はそのエステル、(c)フタル酸又はそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタンジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、及び/又は(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのテレフタル酸又はそのエステルのコポリマー)が挙げられる。記載されたコポリエステルはまたペレットのブレンドであってもよく、その場合少なくとも1つの構成成分は、ポリエステルの1つに基づくポリマーであり、他の構成成分又は構成成分類は、ホモポリマー又はコポリマーのいずれかである他のポリエステル又はポリカーボネートである。
【0122】
本発明のフィルムは、相の連続高分子マトリックス又は二相連続マトリックス中に、材料を分離する、高分子粒子、油、又は他の不和合相を含む分散相を包含してもよい。本発明の別の実施形態において、分散相が、多層フィルムの1つ以上の層に存在してもよい。使用した高分子粒子のレベルは、本発明にとって重要ではなく、最終物品が意図する目的を達成するように選択される。高分子粒子のレベル及びタイプに影響を及ぼし得る要因としては、粒子のアスペクト比、マトリックス中での粒子の寸法アライメント、粒子の体積分率、構造化表面フィルムの厚さ等が挙げられる。典型的に、高分子粒子は、上述した同じポリマーから選択される。
【0123】
本発明に従って作製されたフィルムは、タイヤコード、強化材、濾過媒体、テープ裏材、皮膚用清拭布などの拭布、医療用包帯、救急絆、マイクロ流体フィルム、薄膜、ぼかしフィルタ、偏光子、反射偏光子、二色偏光子、位置合わせされた反射/二色偏光子、吸収偏光子、リターダー(z軸リターダーを包含する)、回折格子、偏光ビームスプリッタ、輝度向上フィルム、及び偏光回折格子を包含する多種多様な製品について有用である可能性がある。フィルムは、特別な要素自体を含有してもよいし、又はそれらは別の要素、例えばタイヤ、工業用ベルト、ホース、包帯、救急絆、フェースマスク、呼吸器、フィルタ、接着テープ、拭布、薄膜、フロント及びリアプロジェクションシステムのためのビームスプリッタ、又はディスプレイ若しくはマイクロディスプレイに使用される輝度向上フィルムの構成要素として使用され得る。
【0124】
本発明の概念は、細化された高分子構造(フィルム、フィラメント、単層又は多層)、及びこのような構造を得る方法に関し、より具体的には、高度に秩序化された、複製された形態を含む、高分子構造が、形体及び下部の基材が、制御された、協調的な方法で、キャスト又は押し出された形状から変形する程度まで延伸されるような方法に関する。この概念の高分子(熱可塑性、又は延伸性)構造(固体、又はミクロ孔質)は、一実施形態では、表面の少なくとも一部を覆う、連続的な(表面に沿った少なくとも1方向において途切れていない)複製された形体(形体間の、いくらかの幾何学的拘束へと複製された)によって特徴付けられる。この概念の構造は、フィルムを細化することによって形成され(キャスト又は輪郭を押出成形された)、構造の主軸に沿って少なくとも表面の一部に複製された形体を有する。細化は、形体及びキャスト又は押し出された形状の基底を協調的に伸長し、複製された表面を有するフィルム又はフィラメントを製造する。この概念による細化された構造は、幾何学的組織及び下層構造の、独特で有益な組み合わせと共に製造することができる。例として、高度に分子的に配向された(及び結晶化された)フィルムは、ゴム強化、濾過、又は光管理などの用途に有益な微細な表面形状と共に製造されることができる。これらの材料は、フィブリル化工程を通じて更に処理され、濾過のためのミクロ構造表面繊維構造を形成する。配座特性及び構造特性の独特な組み合わせの更なる実施例は、相の分離可能な材料から作製されるミクロ複製フィルムである。この構造の細化されたフィルムは、ミクロ孔質であり、ミクロ複製表面形状を有する。このような材料は、液体濾過、又は防水衣料に用途を見出すことができる。複製された表面形体を備える細化されたフィラメントは、繊維の適用範囲(拡張された表面積)が所望の、カーペット及びパーソナルケアの用途に用途を見出すことができる。
【0125】
一実施形態では、本発明に従って作製される高分子フィルムは、延伸の前に形成され、第1の表面、及び第2の表面を有する本体を有し、1つ以上の伸長するミクロ構造体をその少なくとも1つの表面上に有する。このようなフィルムは、例えば、本体又はランド部分111、第1の表面部分113、第2の表面部分119、第1の表面部分113上に配置される伸長するマイクロ構造体115と共に、フィルム109として図10に例示されている。形体は、実質的に平行であり、フィルム本体の長手寸法Lに実質的に平行に延び、フィルムの長さに沿って連続的であってよく(例えば、図10の形体115のように)、又はフィルムの長さに沿って不連続であってよい(即ち、例えば図10の形体115bのようにフィルムの長さ全体に沿って延びていない)。横断面においては、各形体は、延伸前の形状(例えば、三角形、多角形など)及び第1の厚さを有し、本体は第1の厚さを有する。近接する形体は、本体に結合するとき、接触していてよい(例えば、図2参照)、又は形体の少なくともいくらかは、本体の分離間隔によって横方向に離間していてもよい(例えば、図3Aの形体分離FS’参照)一実施形態では、例えば、その上に切れ目141を有する形体115a(図10)のように、少なくともミクロ構造体の1つがその上で切れ目を有し、又は、その上に切れ目142及び143をそれぞれ有する形体115b及び115cのように、その上に複数の切れ目を有してもよい。形体上の切れ目は、形体の表面上のあらゆる幾何学状の変化をも含み、例えば切れ目141及び143のような浅いくぼみ、又は、切れ目142のような、形体の全体的な厚さを通じて本体まで延びる切れ目を含む。切れ目は、形体に沿って長手方向に延び、形体を完全に横断して横方向に延びてもよく、又はくぼみ若しくは溝のように、形体の内部に部分的にのみ延びてもよい。加えて、切れ目は、形体から、段差や隆起などの、突起部を構成してもよい。
【0126】
フィルムは、本体の長手方向寸法に実質的に平行な方向に延伸され、これは、上部の本体及びミクロ構造体を伸長する。したがって、本体は、第2の厚さを想定し、これはその第1の厚さと同様か、又は小さい(即ち、Z’<Z)。形体の厚さも、同様に延伸により減少してもよい(即ち、P’<P)。一実施形態では、延伸後の本体の厚さと形体の厚さとの比率(即ち、形体厚さで除した本体厚さ)は、2〜1の範囲であってよく、別の実施形態では、1〜0.5であってよく、更に別の実施形態では、本体の厚さと形体の厚さとの比率は、約0.10程の低さであってよい。したがって、図19の代表的な、延伸された発明のフィルムに例示されるように、本体の厚さは形体の厚さと比べ、比較的に薄くてもよい。本体は、更なる処理又は操作において、フィルム構造中で形体が互いの接合を維持するのに十分なだけの材料を提供してもよい。このように、伸長するミクロ構造体は、比較的薄く、可撓性の本体又はランドによって、互いに接合される。
【0127】
この形態では、延伸されたフィルムは、本体及びミクロ構造体の両方を含め、その全体を通じて配向された。換言すれば、それぞれのミクロ構造体のモルホロジーは、本体と同じであり、双方は、同じ方法で延伸されて、伸長するミクロ構造体を有する少なくとも1つの表面を備える本体を有する、分子的に配向された高分子フィルムを画定する。本発明の一実施形態では、フィルムは、少なくとも1.1である、長手寸法における最小延伸比を有する。一実施形態では、この延伸比は、少なくとも1.5である。別の実施形態においては、この延伸比は、少なくとも1.7である。また別の実施形態では、これは少なくとも3である。より高い延伸比も有用である。例えば、本発明においては、3〜20、又はそれ以上の延伸比が有用である。
【0128】
一実施形態では、フィルムは結晶質(非晶質でない)であり、均質である。延伸されたフィルムは、本体の長手方向寸法に関し、不均等な物理的特性を呈する。例えば、長手寸法における、配向されたフィルムのヤング率は、横方向寸法における、又は本体の厚さ寸法におけるヤング率と、大きく異なる(即ち、より高い)。同様に、長手方向寸法における、フィルムの引張り強度は、横方向の寸法、又は本体の厚さ寸法におけるフィルムの引張り強度と、大きく異なる(即ち、より高い)。このような独特の不均等な特性及びモルホロジーは、本発明のミクロ構造化された、配向されたフィルムにおいて達成可能であるが、ミクロ構造体を既に延伸されたフィルム上に機械加工することによっては達成できない。これは、機械加工プロセスが、フィルム材料のモルホロジーを変化させる熱を生じるためである。高分子フィルムの配向された結晶構造は、フィルム材料の機械加工プロセスに伴う摩擦によって生じる熱的効果(即ち、熱)に晒されることによって変化する。したがって、本発明は、少なくとも一方の側に伸長するミクロ構造体を有する、分子的に配向された高分子フィルムを、単純で効果的な方法で作るプロセスを提供する。フィルムは、キャスト、延伸、続いて機械加工されるよりも、むしろ、キャスト続いて延伸されてよい。したがって、機械加工工程の排除は、全体を通じて比較的均一なモルホロジーを有する配向されたフィルムの形成を可能にするだけではなく、これは経済的でもある。
【0129】
延伸されたフィルムは、その伸長点を越えて伸長し、内部の結晶質分子を配向する。しかしながら、延伸されたフィルムが、後にガラス転移状態より高い(しかし融点よりも低い)温度まで加熱されると、長手方向に配向された結晶質のアライメントは壊れ、不規則なパターンへと戻る。これは、フィルムの、長手方向寸法における縮小を生じる。
【0130】
この形態では、上述のように、発明のフィルムは、タイヤコードなどの用途のための補強材料として使用されてよい。車両のタイヤのために、コード類材料(例えば、「スチールベルトラジアル」の中の補強スチールベルトなど)がもたらされ、タイヤゴムを補強し、追加の強度及び耐久性を完成したタイヤにもたらす。本発明の分子的に配向された高分子フィルムは、同様にこのコード類の用途を果たすことができるが、そのミクロ構造体がフィルム本体による向きに配向、及び維持されるので、したがってフィルム本体の長手方向寸法において比較的に強い、結合された繊維及びコードの配列(即ち、ミクロ構造体)を提供する。フィルムは、輪状の強度をもたらすように形成されるタイヤの軸の周りに、1つ、又は所望の多さの層で環状に配向されてよい。層は、層状フィルムの長手方向寸法が実質的に平行になるように、又は異なるように、位置合わせされてもよい。例えば、別の実施形態では、1つ以上のこのようなフィルムが、交互の配向(例えば、フィルムの本体の長手方向軸がタイヤの軸に平行で、タイヤの軸から放射状に広がっている、又はタイヤの軸の周りに弧状である)に位置合わせされてもよい。加えて、フィルムの層は離間しているか、又は係合し、それによって第1の層上の形体又は構造の少なくともいくらかが、第1の層に重なる第2の層の本体の第2の表面に係合していてもよい。加えて、この比較的に薄い本体は、補強コードフィルムに成形される際に、タイヤの内部での正確な配置のために、伸長する形体を処理する手段を提供するので、補強されたタイヤの製造プロセスを単純化する。コード類の用途に使用されうる平坦なフィルムとは対照的に、本発明のフィルムの形体及び本体の比較的高表面積はまた、タイヤの組み立て中における、ゴムのフィルムへのよりよい接着も可能にする。この特性は、ミクロ構造体内の切れ目により接着する形体の表面積を更に作られるため、更に高められる。更に、高分子材料は、前のコード類材料よりも重量が軽く、同時に同等のコード強度をもたらしてもよい。
【0131】
別の形態では、上述のように、本発明のフィルムは、テープ裏材など、他の用途のための補強材料として使用されてもよい。フィルムの本体の長手方向寸法が、テープのための裏材の上のテープストリップの長さに、ほぼ平行になるように配置する(又はテープ裏材そのものとして機能する)と、本発明のフィルムはテープに対し、長手方向の補強をもたらす。一実施形態では、接着剤が、例えば感圧性接着剤などの本体の少なくとも1つの表面上に配置される。
【0132】
別の形態では、上述のように、本発明のフィルムは、多層フィルムから形成されてもよく、このフィルムの中で構成成分の1つが、別の構成成分中に存在することにより多孔質の構造を作ってもよい。例えば、キャスト又は成形されて本体の一方の側上にミクロ構造体を有する初期フィルムは、内部に鉱油を有する高密度ポリエチレン(HDPE)であってよい。このフィルムの延伸に際し、鉱油を保持するHDPE内の間隔は伸長され、油のあった場所は空隙となる。加えて、延伸されたフィルムは、更に処理されて、内部の鉱油の多くを(周知の技術により)取り除かれてよい。したがって延伸は、長手方向寸法に配向された微小空洞を形成し、延伸されたフィルムは、例えば、蒸気透過性であるが液体透過性でない、ミクロ孔質の膜材料となる。鉱油の除去により、フィルムは更に多孔質となる。フィルムが横方向に更に延伸された場合(即ち、したがって2軸配向である場合)、空洞、又は空隙は、また更に容積を増し、フィルムの多孔性は更に増加する。(少なくとも1つの表面上にミクロ構造体を有する)ミクロ孔質のフィルム材料は単一のミクロ孔質フィルム材料として使用することができ、又は、同様のフィルム材料層上に積み重ねて、マイクロ流体多孔質フィルムの積み重ね配列を達成してもよい。伸長するミクロ構造体は、したがって、フィルムの層の本体を離間させることによって、フィルム層間の流体流路を画定するのに役立つ。積み重ねたフィルム層は、ほぼ平行なこれらの本体の長手方向寸法に位置合わせされてもよく、又は異なる方向(例えば、垂直)に位置合わせされてもよい。上述されるように、分離間隔が、近接する伸長するミクロ構造体間に提供されてもよい。このような分離間隔は、近接する形体間により大きな流体流路を形成することにより、ミクロ孔質膜として使用されたときの発明のフィルムの流体流容量、又は分岐能力を更に高めることがある。切れ目141、142、又は143などのミクロ構造体上の切れ目により、流体の流れが、形体を横切ること、したがって近接する流路(例えば、図10のフィルム109上に示される、通路144、145、146、及び147など)の間を横切ることが可能になる。また、ミクロ構造体上に切れ目を提供することにより、形体(及び、切れ目がその上に配置される、任意のミクロ孔質フィルム、又は繊維)の表面積を増加させる。
【0133】
別の形態では、上述のように、本発明のフィルムは、延伸の後にフィブリル化され、濾過媒体の形成などの用途に有用な、1つ以上の長手方向に配向された繊維を提供してもよい。そうするために、伸長するミクロ構造体を接続する本体は、ほぼ長手方向に配置される分離線に沿って分離され、1つ以上のミクロ構造体をその上に含む、分離された本体の各部分を有する(しかし、一実施形態では、形体をその上に有さない、選択された本体の部分があってもよい)。比較的薄い本体は、フィブリル化の下で、自ら分離することがあるが、フィルムを形成するプロセスは、また、フィルム上の長手方向分離線を画定する工程を含んでよい。これらの分離線は、このとき、フィブリル化中に、分離して繊維を形成する場所を画定する。上述されるように、繊維は、ミクロ構造体を1つだけ含んでもよく、又はいくつかのミクロ構造体を含んでもよい(本体の接続部分は、いくつかのミクロ構造体の間に留まり、これらを結合する)。例えば、図11に見られるように、本体又はランド部分112、第1の表面部分114、第2の表面部分117、及び第1の表面部分114の上に配置される伸長するミクロ構造体116を有する延伸されたフィルム110は、フィルム110の本体112上に形成される分離線121を有してもよい。いくつかの場合においては、隣接する形体116は、分離間隔123をその間に有してもよい。分離線は、隣接する形体の間にあってもよく(例えば、分離線121aなど)又は分離線121bなどのように、分離間隔の中に配置されてもよく、したがって分離間隔121bの各側上のミクロ構造体から横方向に離間される。分離線121は、フィブリル化中に延伸フィルム110を繊維又は繊維要素125(図12参照)に分割するのに使用するために、本体112の中に画定されてもよい(例えば、本体の切り込みの入った線、又は弱化セグメントなど)。この場合、フィブリル化は、長手方向に配向されたフィルムを、相互接続された繊維の網状組織に分割するプロセスであり、この技術分野で既知のフィブリル化プロセスによって達成されてもよい。
【0134】
本発明のフィルムのフィブリル化は、ほぼ均一なモルホロジーを有する、複数の配向された、結晶性の、均質の高分子繊維をもたらす。この繊維上の形体は、この繊維が形成される延伸フィルム上の形体と、同じ特性を有することがある。例えば、この繊維上の形体では、形体厚さと本体厚さとが高い関連性を持ち、これは配向されたフィルムを機械加工して形体を作ることでは獲得不可能である。
【0135】
例えば、図13に見られるように、このように形成される各繊維125は、繊維本体又はランド部分212、第1の表面部分214、第2の表面部分217、及び繊維本体212の第1の表面部分214上に配置される、1つ以上の伸長するミクロ構造体216を有してもよい。各繊維本体212は、(これを形成するフィルム110のように)長手方向寸法を有し、形体216は同様に、繊維本体212の長手方向寸法と実質的に平行な方向に配置され、これらは実質的に平行である。繊維は、横方向に切断され、次に共に混合され、いかなる所望の形状(例えば、濾過パッド、濾過シリンダー、濾過コーンなど)及び密度の、混合繊維の濾過層も形成することができる。あるいは、繊維は、例えば図14において繊維125の配列127により概略的に例示されるように、配列内の繊維の繊維本体が実質的に平行であるような配列に維持されてもよい。この構成では、繊維125の配列127はまた、濾過、あるいは、上記のタイヤコード、又はテープ裏材などの補強能力に使用されてもよい。また上述されたフィルムのように、繊維の配列は、例えば図15において繊維127a、127b、及び127cの重なり合う配列によって概略的に例示されるように、層として働き、層は互いに重なってよい。重なり合う層、又は配列は係合してもよく、又は離間されてもよく、このような配列の繊維の長手方向寸法は、実質的に平行に位置合わせされてもよく、又は異なる方向に配置されてもよい。
【0136】
加えて、繊維は濾過能力を更に助けるため、電位を帯びていてもよい。そうするために、高分子フィルムは電界に暴露され(例えば、フィルムにコロナワイヤーを通過させることによって)、フィルムをエレクトレットとする。フィルムの暴露工程は、延伸工程に先行してもよく、又はフィルムが延伸された後に行われてもよい。電界効果を高めるために、フィルム上で、少なくとも1つのミクロ構造体が成形される。したがって、フィルムが繊維に分離されるとき、各繊維はエレクトレットであり、一実施形態では、電界効果を高めるために、繊維上の少なくとも1つのミクロ構造体が形成される。例えば図16に例示されるように、繊維125は、繊維本体212の周囲に電位の切れ目を作る多数の端部又は点250(側面図内)を有する繊維本体212を有する。繊維125上の、これらの集中的な帯電領域(即ち、端部250)は、微粒子物質を繊維に引き付けることによって濾過の関連で繊維を更に助けることができる。したがって、濾過目的のために、繊維上のこのような端部は多いほどよい。本発明のフィルムは、繊維に分割されたとき、ミクロ構造体をその上に有し、任意の所望の数の端部を備える繊維の作製を可能にする。加えて、ミクロ構造体上の表面の切れ目の形成は、ミクロ構造体の伸長する長さに沿った追加の縁部を画定し、次に、繊維本体に沿った追加の電位の切れ目を作る。これは、より多くの繊維に対する電位場効果の誘引を作り出すだけでなく、また濾過目的のためのその表面積を増加する。このような繊維の濾過層の結果は、高度に効果的な濾過媒体である。上述のように、延伸したフィルム自体が、電荷の適用によって、エレクトレットとされてよい。したがって、フィルムが流体流の目的、又は濾過の関係で使用されるとき、これはまた、粒子をこれに引き寄せてこれらの粒子を捕集することができる。
【0137】
一実施形態では、本発明の高分子フィルムを形成する場合(フィルムとして使用するか、又はフィルムから繊維を形成するために使用する)、少なくとも1つのほぼ横方向に配置される分離線がフィルム本体の長手方向寸法を横切って画定されてもよい。例えば、このような横方向の分離線は、図10のフィルム109を横切る線255によって例示される。このような分離線255は、例えば、フィルム又は繊維を(延伸後)繊維要素セグメントに分離するのに使用するための、線255に沿った本体及び/又はミクロ構造体の切り込みの入った線又は弱化セグメントとされる。繊維においては、このようなセグメントの分離は、別個の処理工程を構成してもよく、又はフィブリル化と同時に行ってもよい。あるいは、フィルム(例えば、テープ)は、その長手方向寸法に沿った複数の横方向の分離線を有してもよいが、例えば、用途がテープの所望の長さを決定するときまでテープセグメントに分離されない。このとき、横方向分離線は、選択されたテープセグメントを切り取るのを容易にする。
【0138】
本明細書で述べた他の特性に加え、発明のフィルム(及びこれから形成される繊維)は、微粒子(microparticlate)材料を含むミクロ孔質フィルム(又は繊維)として形成されてもよい。本発明において有益な微粒子材料(これは材料の1つ、又は材料の組み合わせであることができる)は、水性及び有機媒体中において、非膨張性であり、水又は溶出溶媒中において実質的に不溶性である。20℃で微粒子が混合されている、100gの水性媒体又は溶出溶媒には、1.0g以下の微粒子は融解しない。微粒子材料は、有機化合物、ポリマー、又はシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、及び他のセラミックスなどの無機酸化物、又はイオン交換若しくはキレート化粒子であることができる。本発明の目的のために好適な粒子は、不溶性の、非膨張性の収着剤でコーティングされることができる粒子、又はその表面(外側及び/又は内側)が誘導体化され、その上に不溶性の、非膨張性の収着剤のコーティングを提供することができる粒子を含む。フィルム内のこのような粒子は、米国特許第4,810,381号に開示されている。
【0139】
加えて、他の添加剤(例えば、触媒(例えば、酸化の触媒活性のナノ金粒子、炭素繊維又は粒子、又は色素物質)がフィルムに加えられて、所望の特性を有するフィルム、又はフィルムによって作られる繊維を提供する。加えて、これらから形成されるフィルム及び繊維は、吸着性又は吸収性であってよい。
【0140】
以上の記載において、要素の位置は、時として「第1の」、「第2の」、「第3の」、「上部」及び「下部」の用語により記載されている。これらの用語は、図面に例示されたもののように本発明の様々な要素の記載を単に簡単化するために使用されている。それらは、本発明の要素の有用な配向について、いずれかの制限を定めるものとして理解されるべきではない。
【0141】
それ故に、本発明は、上記の特定の実施例に限定されるものと考えられるべきではなく、むしろ請求項で記載されたように本発明のすべての態様を網羅すると理解されるべきである。様々な修正、等価なもの、並びに本発明が適用されてもよい多くの構造体が、本明細書を検討すれば、本発明が対象とするこの技術分野の技術者には容易に明らかになるであろう。本特許請求の範囲は、そのような修正及び装置を網羅しようと意図するものである。
【実施例】
【0142】
(実施例1)
テネシー州キングズポート(Kingsport)のイーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Company)から入手可能である、0.74の固有粘度(I.V.)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)がこの実施例において使用された。
【0143】
PETペレットは、残留水分を取り除くために乾燥され、窒素パージ下で押出成形機のホッパーの押し出し型材の中に装填された。PETは、押出成形機及び連続する溶融トレイン内で232℃〜282℃の上昇温度プロフィールにより282℃に設定されたダイまで押し出された。溶融トレインの圧力は連続して監視され、平均が、最終監視位置で溶融トレインに沿って、ダイをツールの間近にもたらす前に取られたが、そのツールの上ではポリマーフィルムが形成され、同時にそのフィルムの第1の表面の構造化がツールに対して行われる。
【0144】
ツールは、キャストフィルム上に形成される構造化表面のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、繰り返す及び連続する一連の三角プリズムを含んだ。三角形は、鋸歯様のパターンを形成した。個々のプリズムの基底頂点は、それらの隣接する近隣の構造体で共有されていた。プリズムは、鋳造又は機械方向(MD)に沿って配列された。ツールの構造化表面は、次式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾール(benotriazole)によりコーティングされた。
【0145】
【化3】

【0146】
米国特許第6,376,065号に開示されるように、Rは、C17であり、Rは−(CH−である。ツールは、鋳造(MD)方向に沿ってツール表面の連続動作を提供する温度管理された回転缶の上に取りつけられた。ツールの測定された表面温度は、平均して92℃であった。
【0147】
それを通って溶融ポリマーが溶融トレインを出るダイ開口部が、ツールとダイとの間に最終スロットを形成する回転ベルトツールの間近にもたらされた。溶融トレインに沿った最終監視位置での圧力は、ダイ及びツールがより接近するに従って増加した。この最終圧力と前に記録された圧力との差は、スロット圧力低下と呼ばれる。この実施例ではスロット圧力低下は、溶融ポリマーをツールのネガティブにより形成された構造化空洞の中に動かすために十分な圧力を提供する7.37×10Pa(1070psi)であった。それによって形成され、かつ構造化フィルムは、ツールの回転によりスロットから運搬され、追加の空冷により急冷され、ツールから外され、及びロールに巻かれた。構造体の高さを包含して、キャストフィルムの総厚さ(T)は、約510ミクロンであった。
【0148】
キャスト及び巻かれたポリマーフィルムは、ツール構造を厳密に複製した。断面を見るために顕微鏡を使用すると、プリズム状構造体がフィルムの表面上に、およそ85°の頂角、三角形の脚部の1つについてフィルムのランドの水平面から20°の傾斜、及び相対する脚部について垂直から15°の傾きを有して認められた。測定された輪郭は、直定規とやや丸い頂点とで、予期されたほとんど90度の直角三角形を示した。ポリマーフィルムの表面上の複製されたプリズムは44ミクロンの基底幅(BW)と19ミクロンの高さ(P)を有するように測定された。ピーク間隔(PS)は、基底幅(BW)とおよそ同じであった。ツールもまた不完全であり、公称の大きさからの僅かな偏位が存在しうる。
【0149】
構造化キャストフィルムは、10:7のアスペクト比(溝:溝に垂直に沿って)を有するシートに切断され、プレナムにおいて測定されたとき、約100℃に予備加熱され、バッチテンタープロセスを使用してプリズムの連続長さ方向に沿って、ほとんど真に1軸方法で6.4の公称延伸比に延伸され、及び6.3の延伸比に直ちに緩和された。即ち、個々のシートは、従来の連続的な動作フィルムテンターに送り込まれた。6.4から6.3への緩和は、最終フィルムの収縮を抑制するために、延伸温度で達成された。構造化表面は、適度にまっすぐな断面縁部(適度に平坦な小面)及びおよそ同様の形状を有するプリズム形状を維持した。延伸後、基底幅(BW’)が、顕微鏡使用による断面生成により、16.5ミクロンであると測定され、延伸後のピークの高さ(P’)が5.0ミクロンであると測定された。構造化高さを包含するフィルムの最終厚さ(T’)は、180ミクロンであると測定された。ニュージャージ州ピスカタウェイ(Piscataway)のメトリコン(Metricon)から入手できるメトリコン(Metricon)プリズムカップラー(Prism Coupler)を使用して、延伸フィルムの裏側において632.8nmの波長で屈折率が測定された。第1の面内(プリズムに沿う)、第2の面内(プリズムを横断する)に沿った、及び厚さ方向における屈折率は、それぞれ1.672、1.549、及び1.547であると測定された。したがってこの延伸材料の断面平面における相対複屈折は、0.016であった。
【0150】
(実施例2)
テネシー州キングズポート(Kingsport)のイーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Company)から入手可能である、0.74の固有粘度(I.V.)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)がこの実施例において使用された。
【0151】
PETペレットは、残留水分を取り除くために乾燥され、窒素パージ下で押出成形機のホッパーの中に装填された。PETは、押出成形機及び連続する溶融トレイン内で282℃の平坦な温度プロフィールにより約282℃に設定されたダイまで押し出された。溶融トレインの圧力は連続して監視され、平均が、最終監視位置で溶融トレインに沿って、ダイをツールの間近にもたらす前に取られたが、そのツールの上ではポリマーフィルムが形成され、同時にそのフィルムの第1の表面の構造化がツールに対して行われる。
【0152】
ツールは、キャストフィルム上の構造化表面の、所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、繰り返す及び連続する一連の二等辺直角三角形のプリズムを含み、これは50ミクロンの基底幅(BW)及びほとんど25ミクロンの高さ(P)を有した。個々のプリズムの基底頂点は、それらの隣接する近隣の構造体で共有されていた。プリズムは、鋳造(MD)方向に沿って配列された。ツールの構造化表面は、次式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾール(benezotriazole)でコーティングされた。
【0153】
【化4】

【0154】
式中、RはC及びRは−(CH−である。ツールは、鋳造(MD)方向に沿ってツール表面の連続動作を提供する温度管理された回転缶の上に取りつけられた。ツールの測定された表面温度は、平均して98℃であった。
【0155】
それを通って溶融ポリマーが溶融トレインを出るダイ開口部が、ツールとダイとの間に最終スロットを形成する回転ベルトツールの間近にもたらされた。溶融トレインに沿った最終監視位置での圧力は、ダイ及びツールがより接近するに従って増加した。この最終圧力と前に記録された圧力との差は、スロット圧力低下と呼ばれる。この実施例ではスロット圧力低下は、溶融ポリマーをツールのネガティブにより形成された構造化空洞の中に動かすために十分な圧力を提供する7.92×10Pa(1150psi)であった。それによって形成され、かつ構造化フィルムは、ツールの回転によりスロットから運搬され、追加の空冷により急冷され、ツールから外され、及びロールに巻かれた。構造体の高さを包含して、キャストフィルムの総厚さ(T)は、約600ミクロンであった。
【0156】
キャスト及び巻かれたポリマーフィルムは、ツール構造を厳密に複製した。接触形状測定装置(例えば、60°2ミクロン半径の針を有するKLA−テンコール(KLA-Tencor)P−10)を使用すると、はっきりとした、適度に鋭いプリズム状の構造がフィルムの表面上に認められた。測定された輪郭は、直定規とやや丸い頂点とで、予期されたほとんど90度の直角三角形を示した。ポリマーフィルムの表面上の複製されたプリズムは50ミクロンの基底幅(BW)と23.4ミクロンの高さ(P)を有するように測定された。ピーク間隔(PS)は、基底幅(BW)とおよそ同じであった。形状測定装置は、針のプローブの形状及び大きさのために解像度が約1ミクロンに制限され、実際の頂点はかなり高いことがある。ツールもまた不完全であり、公称の大きさからの僅かな偏位が存在しうる。輪郭を測定された断面積の、算出された理想的な断面積に対する割合は、99%を占めると算出された。
【0157】
構造化フィルムは、実施例1と同様の方法で延伸されることができる。
【0158】
(実施例3)
0.56の固有粘度(I.V.)を有するポリエチレンナフタレート(PEN)が、反応槽で作製された。
【0159】
PENペレットは、残留水分を取り除くために乾燥され、窒素パージ下で押出成形機のホッパーの中に装填された。PENは、押出成形機及び連続する溶融トレイン内で288℃の平坦な温度プロフィールにより288℃に設定されたダイまで押し出された。溶融トレインの圧力は連続して監視され、平均が、最終監視位置で溶融トレインに沿って、ダイをツールの間近にもたらす前に取られたが、そのツールの上ではポリマーフィルムが形成され、同時にそのフィルムの第1の表面の構造化がツールに対して行われる。
【0160】
ツールは、キャストフィルム上の構造化表面の、所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、繰り返す及び連続する一連の二等辺直角三角形のプリズムを含み、これは50ミクロンの基底幅(BW)及びほとんど25ミクロンの高さ(P)を有した。個々のプリズムの基底頂点は、それらの隣接する近隣の構造体で共有されていた。プリズムは、鋳造(MD)方向に沿って配列された。ツールの構造化表面は、次式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールによりコーティングされた。
【0161】
【化5】

【0162】
式中、RはC17及びRは−(CH−である。ツールは、鋳造(MD)方向に沿ってツール表面の連続動作を提供する温度管理された回転缶の上に取りつけられた。ツールの測定された表面温度は、平均して144℃であった。
【0163】
それを通って溶融ポリマーが溶融トレインを出るダイ開口部が、ツールとダイとの間に最終スロットを形成する回転ベルトツールの間近にもたらされた。溶融トレインに沿った最終監視位置での圧力は、ダイ及びツールがより接近するに従って増加した。この最終圧力と前に記録された圧力との差は、スロット圧力低下と呼ばれる。この実施例ではスロット圧力低下は、溶融ポリマーをツールのネガティブにより形成された構造化空洞の中に動かすために十分な圧力を提供する5.51×10Pa(800psi)であった。それによって形成され、かつ構造化されたフィルムは、ツールの回転によりスロットから運搬され、追加の空冷により急冷され、ツールから外され、及びロールに巻かれた。構造体の高さを包含して、キャストフィルムの総厚さ(T)は、約600ミクロンであった。
【0164】
キャスト及び巻かれたポリマーフィルムは、ツール構造を厳密に複製した。接触形状測定装置(例えば、60°2ミクロン半径の針を有するKLA−テンコール(KLA-Tencor)P−10)を使用すると、はっきりとした、適度に鋭いプリズム状の構造がフィルムの表面上に認められた。測定された輪郭は、直定規とやや丸い頂点とで、予期されたほとんど90度の直角三角形を示した。ポリマーフィルムの表面上の複製されたプリズムは50ミクロンの基底幅(BW)と23.3ミクロンの高さ(P)を有するように測定された。ピーク間隔(PS)は、基底幅(BW)とおよそ同じであった。形状測定装置は、針のプローブの形状及び大きさのために解像度が約1ミクロンに制限され、実際の頂点はかなり高いことがある。ツールもまた不完全であり、公称の大きさからの僅かな偏位が存在しうる。実際に占める程度を、より特徴付けるため、即ちツールで複製の正確性を特徴付けるために、形状測定装置の断面は、三角形に適合された。測定された輪郭からデータを使用し、端部は、基底部から測定して5から15ミクロンの間の高さの、断面の脚に沿った直線に適合される。理想的な頂点の高さ24.6ミクロンが算出された。輪郭を測定された断面積の、算出された理想的な断面積に対する割合は、98.0%を占めると算出された。
【0165】
バッチテンタープロセスを使用し、角柱の連続した長手方向に沿って、構造化キャストフィルムをほとんど正確な1軸方法で延伸した。フィルムは、プレナム内で測定して公称165℃まで予備加熱され、この温度で25秒間に亘り、均一な速度(端部の分離)で、最終的な延伸比約6まで延伸された。構造化表面は、適度にまっすぐな断面縁部(適度に平坦な小面)及びおよそ同様の形状を有するプリズム形状を維持した。
表1は、キャストフィルムの中心からの様々な距離での延伸の効果を示している。
【0166】
【表1】

【0167】
(実施例4)
0.56の固有粘度を有するポリエチレンナフタレート(PEN)が反応槽で作製された。
【0168】
PENペレットは、残留水分を取り除くために乾燥され、窒素パージ下で押出成形機のホッパーの中に装填された。PENは、押出成形機及び連続する溶融トレイン内で288℃の平坦な温度プロファイルにより約288℃に設定されたダイまで押し出された。溶融トレインの圧力は連続して監視され、平均が、最終監視位置で溶融トレインに沿って、ダイをツールの間近にもたらす前に取られたが、そのツールの上ではポリマーフィルムが形成され、同時にそのフィルムの第1の表面の構造化がツールに対して行われる。
【0169】
ツールは、キャストフィルム上の構造化表面の、所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、繰り返す及び連続する一連の二等辺直角三角形のプリズムを含み、これは50ミクロンの基底幅(BW)及びほとんど25ミクロンの高さ(P)を有した。個々のプリズムの基底頂点は、それらの隣接する近隣の構造体で共有されていた。プリズムは、鋳造(MD)方向に沿って位置合わせされた。ツールの構造化表面は、次式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールによりコーティングされた。
【0170】
【化6】

【0171】
米国特許第6,376,065号に開示されるように、Rは、C17であり、Rは−(CH−である。ツールは、鋳造(MD)方向に沿ってツール表面の連続動作を提供する温度管理された回転缶の上に取りつけられた。ツールの測定された表面温度は、平均して153℃であった。
【0172】
溶融ポリマーが溶融トレインを出るのに通るダイ開口部が、ツールとダイとの間に最終スロットを形成する回転ベルトツールの間近にもたらされた。溶融トレインに沿った最終監視位置での圧力は、ダイ及びツールがより接近するに従って増加した。この最終圧力と前に記録された圧力との差は、スロット圧力低下と呼ばれる。この実施例ではスロット圧力低下は、溶融ポリマーをツールのネガティブにより形成された構造化空洞の中に動かすために十分な圧力を提供する4.13×10Pa(600psi)であった。それによって形成され、かつ構造化されたフィルムは、ツールの回転によりスロットから運搬され、追加の空冷により急冷され、ツールから外され、及びロールに巻かれた。構造体の高さを包含して、キャストフィルムの総厚さ(T)は、約600ミクロンであった。
【0173】
キャスト及び巻かれたポリマーフィルムは、ツール構造を厳密に複製した。接触形状測定装置(例えば、60°2ミクロン半径の針を有するKLA−テンコール(KLA-Tencor)P−10)を使用すると、はっきりとした、適度に鋭いプリズム状の構造がフィルムの表面上に認められた。測定された輪郭は、直定規とやや丸い頂点とで、予期されたほとんど90度の直角三角形を示した。ポリマーフィルムの表面上の複製されたプリズムはミクロンの基底幅(BW)と23.5ミクロンの高さ(P)を有するように測定された。ピーク間隔(PS)は、基底幅(BW)とおよそ同じであった。形状測定装置は、針のプローブの形状及び大きさのために解像度が約1ミクロンに制限され、実際の頂点はかなり高いことがある。ツールもまた不完全であり、公称の大きさからの僅かな偏位が存在しうる。実際に占める程度を、より特徴付けるため、例えばツールで複製の正確性を特徴付けるために、形状測定装置の断面は、三角形に適合された。測定された輪郭からデータを使用し、端部は、基底部から測定して5から15ミクロンの間の高さの、断面の脚に沿った直線に適合される。頂角91.1°を含む、理想的な頂点の高さ24.6ミクロンが算出された。輪郭を測定された断面積の、算出された理想的な断面積に対する割合は、98.0%を占めると算出された。
【0174】
バッチテンタープロセスを使用し、角柱の連続した長手方向に沿って、構造化キャストフィルムをほとんど正確な1軸方法で延伸した。フィルムは、公称158℃まで予備加熱され、この温度で90秒間に亘り、均一な速度(端部の分離)で、最終的な延伸比約6まで延伸された。構造化表面は、適度にまっすぐな断面縁部(適度に平坦な小面)及びおよそ同様の形状を有するプリズム形状を維持した。
【0175】
キャストフィルム上で使用されたのと同じ形状測定装置が、延伸フィルムを測定するために使用された。延伸後、基底幅(BW’)が、顕微鏡使用による断面生成により、22ミクロンであると測定され、延伸後のピークの高さ(P’)が8.5ミクロンであると測定された。フィルムの最終的な厚さ(T’)は、構造の高さを含め、約220ミクロンと算出された。ニュージャージ州ピスカタウェイ(Piscataway)のメトリコン(Metricon)から入手できるメトリコン(Metricon)プリズムカップラー(Prism Coupler)を使用して、延伸フィルムの裏側において632.8nmの波長で屈折率が測定された。第1の面内(プリズムに沿う)、第2の面内(プリズムを横断する)に沿った、及び厚さ方向における屈折率は、それぞれ1.790、1.577、及び1.554であると測定された。したがって、この延伸材料の断面平面における相対複屈折は、0.10であった。
【0176】
形状測定装置のデータを使用すると、見かけの断面積は、延伸又は配向の際の密度変化によって修正されない、6.4の延伸比という測定された推定値をもたらす。延伸比の値6.4と、形状測定装置のデータを使用し、形状保持パラメータは、0.94と算出された。
【0177】
(実施例5)
カルボキシレート(テレフタレート及びナフタレート)部分(サブユニット)比率によって測定した場合に、40モル%のポリエチレンテレフタレート(PET)及び60モル%ポリエチレンナフタレート特性を含むコポリマー(いわゆる40/60coPEN)が、反応槽で作製された。固有粘度(I.V.)は約0.5であった。
【0178】
40/60coPEN樹脂ペレットは、残留水分を取り除くために乾燥され、窒素パージ下で押出成形機のホッパーの中に装填された。40/60coPENは、押出成形機及び連続する溶融トレイン内で285℃〜277℃の下降温度特性により288℃に設定されたダイまで押し出された。溶融トレインの圧力は連続して監視され、平均が、最終監視位置で溶融トレインに沿って、ダイをツールの間近にもたらす前に取られたが、そのツールの上ではポリマーフィルムが形成され、同時にそのフィルムの第1の表面の構造化がツールに対して行われる。
【0179】
ツールは、キャストフィルム上の構造化表面の、所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、繰り返す及び連続する一連の二等辺直角三角形のプリズムを含み、これは50ミクロンの基底幅(BW)及びほとんど25ミクロンの高さ(P)を有した。個々のプリズムの基底頂点は、それらの隣接する近隣の構造体で共有されていた。プリズムは、鋳造(MD)方向に沿って位置合わせされた。ツールの構造化表面は、次式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールによりコーティングされた。
【0180】
【化7】

【0181】
米国特許第6,376,065号に開示されるように、Rは、Cであり、Rは−(CH−である。ツールは、鋳造(MD)方向に沿ってツール表面の連続動作を提供する温度管理された回転缶の上に取りつけられた。ツールの測定された表面温度は、平均して102℃であった。
【0182】
溶融ポリマーが溶融トレインを出るのに通るダイ開口部が、ツールとダイとの間に最終スロットを形成する回転ベルトツールの間近にもたらされた。溶融トレインに沿った最終監視位置での圧力は、ダイ及びツールがより接近するに従って増加した。この最終圧力と前に記録された圧力との差は、スロット圧力低下と呼ばれる。この実施例ではスロット圧力低下は、溶融ポリマーをツールのネガティブにより形成された構造化空洞の中に動かすために十分な圧力を提供する4.23×10Pa(614psi)であった。それによって形成され、かつ構造化されたフィルムは、ツールの回転によりスロットから運搬され、追加の空冷により急冷され、ツールから外され、及びロールに巻かれた。構造体の高さを包含して、キャストフィルムの総厚さ(T)は、約560ミクロンであった。
【0183】
キャスト及び巻かれたポリマーフィルムは、ツール構造を厳密に複製した。接触形状測定装置(例えば、60°2ミクロン半径の針を有するKLA−テンコール(KLA-Tencor)P−10)を使用すると、はっきりとした、適度に鋭いプリズム状の構造がフィルムの表面上に認められた。測定された輪郭は、直定規とやや丸い頂点とで、予期されたほとんど90度の直角三角形を示した。ポリマーフィルムの表面上の複製されたプリズムは49.9ミクロンの基底幅(BW)と23.5ミクロンの高さ(P)を有するように測定された。ピーク間隔(PS)は、基底幅(BW)とおよそ同じであった。形状測定装置は、針プローブの形状及び大きさのために解像度が約1ミクロンに制限され、実際の頂点はかなり高いことがある。ツールもまた不完全であり、公称の大きさからの僅かな偏位が存在しうる。実際に占める程度を、より特徴付けるため、例えばツールで複製の正確性を特徴付けるために、形状測定装置の断面は、三角形に適合された。測定された輪郭からデータを使用し、端部は、基底部から測定して5から15ミクロンの間の高さの、断面の脚に沿った直線に適合される。頂角91.1°を含む、理想的な頂点の高さ24.6ミクロンが算出された。輪郭を測定された断面積の、算出された理想的な断面積に対する割合は、98.0%を占めると算出された。
【0184】
構造化キャストフィルムは、プリズムの連続的な長さ方向に沿って、ほとんど真に1軸方法で延伸された。実験室用延伸機を使用した。フィルムは、60秒間、103℃まで予備加熱され、この温度で20秒間に亘り、均一な速度(端部の分離)で、最終的な延伸比約6まで延伸された。構造化表面は、適度にまっすぐな断面縁部(適度に平坦な小面)及びおよそ同様の形状を有するプリズム形状を維持した。ニュージャージ州ピスカタウェイ(Piscataway)のメトリコン(Metricon)から入手できるメトリコン(Metricon)プリズムカップラー(Prism Coupler)を使用して、延伸フィルムの裏側において632.8nmの波長で屈折率が測定された。第1の面内(プリズムに沿う)、第2の面内(プリズムを横断する)に沿った、及び厚さ方向における屈折率は、それぞれ1.758、1.553、及び1.551であると測定された。したがってこの延伸材料の断面平面における相対複屈折は、0.0097であった。
【0185】
(実施例6)
米国特許出願第2004/0227994 A1号の実施例1〜4に記載された手順により作製された多層光学フィルムをキャストし、保護ポリプロピレン表面薄層を取り除いた。使用した低屈折率ポリマーは、共PETであった。
【0186】
多層光学フィルムをシートに切断し、オーブンで60℃で2時間以上乾燥した。圧盤を115℃まで加熱した。フィルムを厚紙シート、クロムメッキ黄銅プレート(約3mm厚)、剥離ライナー、ニッケルミクロ構造化ツール、多層光学フィルム、クロムメッキ黄銅プレート(約3mm厚)、及び厚紙シートの順番で層構成に積み重ねた。構成体を圧盤の間に定置し、閉じた。1.38×10Pa(20psi)の圧力を60秒維持した。
【0187】
ニッケルミクロ構造化ツールの構造化表面は、頂点角度90°、基底幅(BW)10ミクロン及び高さ(P)約5ミクロンを有する、繰り返し及び連続一連の三角形角柱を備えていた。個々のプリズムの基底頂点は、それらの隣接する近隣の構造体で共有されていた。
【0188】
エンボス加工したシートをアスペクト比10:7に(溝の横断方向に沿って)切断した。バッチテンタープロセスを使用し、角柱の連続した長手方向に沿って、構造化多層光学フィルムをほとんど正確な1軸性の方法で延伸した。依然として延伸温度でテンター内にあるフィルムをほとんど100℃まで予め熱し、延伸比約6で約20秒延伸し、次に延伸を約10%だけ減少させ、フィルムの収縮を制御した。構造化高さを含むフィルム(T’)の最終厚さを測定したところ150ミクロンであった。ニュージャージ州ピスカタウェイ(Piscataway)のメトリコン(Metricon)から入手できるメトリコン(Metricon)プリズムカップラー(Prism Coupler)を使用して、延伸フィルムの裏側において632.8nmの波長で屈折率が測定された。第1の面内(角柱に沿って)、第2の面内(角柱に対して)に沿った、及び厚さ方向における屈折率を測定したところ、各々1.699、1.537及び1.534であった。したがって、この延伸材料の断面平面における複屈折は、0.018であった。
【0189】
(実施例7)
配向された、ミクロ複製された構造は、次のように作製された。4分間に亘り、125℃で圧縮成形することにより、0.025cm(0.010インチ)の厚さのキャストPEN(ポリエーテルナフタレート(naphalate))に、125ミクロンの間隔で90°の角柱型の溝をエンボス加工した。ツール構造化フィルムは氷水中で急冷された。フィルムを除去及び乾燥後、フィルムは128℃で長軸に沿って1軸的に5倍に延伸された。これは結果として5%の横方向の収縮をもたらし、およそ62ミクロンの最終間隔を生じた。屈折率は、配向された軸に沿って1.84、横方向に1.53と測定された。メトリコンプリズムカップラー(Metricon Prism Coupler)を使用し、632.8nmの波長において、フィルムの平坦な裏側で、屈折率が測定された。
【0190】
続いて、1.593の等方性屈折率を有する紫外線硬化性アクリレート樹脂を使用し、配向されたミクロ構造化フィルムの一片を、構造化表面がスライドに面するように顕微鏡のガラススライドにつけた。アクリレート樹脂は、紫外線チャンバを通すマルチパスによって硬化され、樹脂の十分な硬化を確実にするために、各面について3回行う。
【0191】
ヘリウム−ネオンレーザービームを、配向された構造化フィルムの上に載せたスライドに通過させた。HeNeレーザーを、グラントムソン偏光子(Glan Thompson Polarizer)を通過させることに均一な直線偏光に偏光した。常光線(o−光線)は僅かな角度のみ分離して構造を通過し、ゼロ次発散の半角はおよそ2°であることが見出された。グラントムソンの直後、レーザービームを、直交する偏光(e−光線)に90°回転させるために、次に2分の1波長版を挿入した。ゼロ次ビームは、およそ8°の発散半角、又はo−光線の4倍の発散を示した。
【0192】
(実施例8)
本発明によるフィルタは、微小溝ツール上にメルトキャストされ、長さ方向に配向され、フィブリル化され、エレクトレットを帯電した高分子フィルムから作製された。フィルムは、エクソン社(Exxon Co)(テキサス州ヒューストン(Houston/TX)の現エクソンモービルケミカル社(ExxonMobil Chemical Co.))から入手可能な400メルト・インデックスのポリプロピレンホモポリマー樹脂3505型を使用した標準的な押出成形技術を使用した、図17に表される連続的なプロセスによって、キャスト及び長さ方向に配向された。およそ188℃の融解樹脂が、押出成形機50から、微小孔パターンロール又はツール52及びゴムニップロール54の間に形成されるニップに供給された。微小孔ツール52の温度は、およそ52℃に維持され、協調するゴムニップロール54はおよそ27℃に維持された。ツール52及びゴムニップロール54の間のニップの力は、29N/cmに維持された。フィルムのパスは、加熱されたロール55及び56、延伸領域57、並びにゴムニップロール58及び連携する駆動ロール59を越えて続いた。延伸比、ツール及び最終巻取りロール(駆動ロール59)の面速度に基づくフィルムの伸長量は、4対1であった。微小孔ツール52は、その表面上に、連続的な、周辺に整列した「V」型の溝を有し、図18に示されるような特徴を備えた。ツール上の溝は、ツールの面を横切って互いに隣接し、165μmの深さを有し、ピーク間隔は120μm、溝を形成する角度は40°であった。製造されたフィルムは、22.1g/mの坪量と、81μmの総厚さを有した。フィルムの表面上の形体はの高さは、およそ50μmであった。図19は、上述の通りに作製された延伸されたフィルムのサンプルの例示的な写真である。
【0193】
第1の押出成形工程で形成されたフィルムは、この場合、英国、コベントリー(Coventry)のCELインターナショナル社(CEL International LTD.)のヒドロレース350(Hydrolace 350)装置によって代表される水流交絡装置60(図20)を使用してフィブリル化される。水流交絡装置は、繊維ウェブに衝突し、絡ませる、噴射する高圧の水を使用する装置である。この用途において、水流交絡装置は、フィルムの形体を、個々のストランド又はストランドの塊に分離するために使用された。フィブリル化の前に、2つの長さのフィルムが層化され、互いの頂部の上に配置され、水流交絡装置を通過し、これらのミクロ構造体は、水流交絡装置の機械方向に位置合わせされた。図20に示されるように、2つのフィルム層が、接着テープによって端部で共に固定され、2.54cm上部で、穿孔コンベヤードラム68、70に向いている、一連の6つのジェットストリップ(jet-strips)62、63、64、65、66、67の下部を通過する。水流交絡装置60のコンベヤーの速度は、5m/分に維持された。各ジェットストリップは、15.75.孔/cmの、均等に離間したジェットホールを有し、各孔は、120ミクロンの直径を有した。第1のジェットストリップ62は、5メガパスカル(MPa)の水圧で動作し、同時にジェットストリップ63、64、65、66、及び67として示される、第2のから6のジェットストリップはそれぞれ、7.5MPa、10MPa、5MPa、7.5MPa、及び10MPaで動作した。水流交絡装置を通過した後、フィルムセグメントは、エレクトレットを付与される前に風乾させた。
【0194】
フィブリル化されたフィルム層の端部が、接着テープによって固定され、フィルムは、DCコロナ放電装置を使用してエレクトレットに帯電した。米国特許番号第3,998,916号(ヴァン・テュルンハウト(van Turnhout))に一般的に記載される方法で、高電圧場に晒されることにより、フィルムはエレクトレットに帯電した。フィルムは、アルミニウム接地面に接触して配置され、次に、電気的に正の25kVDCコロナ供給源の下を、空気中で、約1.77メートル/分の速度で2回通過し、同時に接地面への電流を、約0.017mA/cmコロナ供給源長さに維持した。コロナ供給源から、接地面までの距離は約4cmであった。エレクトレットに帯電したフィルムは、フィブリルの濾過床を形成し、濾過性能を試験された。
【0195】
帯電したフィルムは、エレクトレットに帯電したフィブリル化したフィルムを5〜6センチ長のセグメントに切断し、手で混合して2.67グラムのフィブリルの塊にすることによってフィブリルの底床に形成される。フィブリルの塊は、次に、直径11.4cm、深さ0.6cmの円筒形の濾過床の形状に、手で形成された。この繊維床は、試験装置内に配置され、国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health(NIOSH))基準にその概要が説明され、米国連邦規制基準(United States Code of Federal Regulations)42CFR84に説明される通りに、粒子負荷に晒され、粒子捕捉性能、及び圧力低下を評価される。初期粒子透過は、ミネソタ州セントポール(St Paul)のTSI社(TSI Inc.)からの8127型自動濾過試験機を使用し、103mg/mの濃度の0.3マイクロメートルの直径のジオクチルフタレート(DOP)(4つのオリフィス及び207kPaエアゾール圧力、50L/分の希釈空気を有し、上部に中和装置を有するTSI No.212噴霧器、を用いて発生させる)を濾過床を通じて42.5L/分(毎秒6.9センチメートルの面速度)の割合で送り込むことによって決定された。試料は、読み取り値が安定するまで、30秒間に亘ってDOPエアゾールに晒された。粒子透過は47%で測定され、圧力低下は丁度1.95Pa(0.2mmHO)であった。以下の式を用い、DOP透過及び圧力低下を使用して、DOP透過の自然対数(ln)からフィルタ品質係数Qを算出した。
【0196】
【数1】

【0197】
試験されたウェブの品質係数は3.8であった;有効なフィルタを表すために、2より高い品質係数が許容される。
【0198】
(実施例9)
本発明によるフィルムが製造された。フィルムは、線状の形体によってエンボス加工され、次に形体を伸長し、フィルムをミクロ孔質にさせる、両方のために2軸的に延伸された、相の分離されたフィルムを含む。米国特許第4,539,256号(Shipman(シップマン))に一般的に記載される方法で形成される、ミクロ孔質の前駆体(非延伸)フィルムが、ホモポリマーポリプロピレン、及び鉱油の溶融混合物組成物を使用して作製された。非延伸の相分離フィルムは、46:54の鉱油(8E−5m/s(80センチストークス)粘度)及びポリプロピレン(0.8メルトフローインデックス)の混合から製造された。2層のフィルムは、574kPaの水圧で155℃まで、30秒間加熱された水圧プレスの微小孔ツールによってエンボス加工された。ツールは、12.7cm×30.5cmのプレートの表面の1つの長さに沿って走る、互いに隣接する線状の溝を有した。マスターツールの溝は、92.9μmの深さを有し、ピーク間隔は、67.8μmであり、溝を形成する角度は45°であった。溝は、垂直から17.5°傾けられた。エンボス加工されたフィルムは次に、小さな幅出し枠に配置され、その1.5倍の幅(形体に対して垂直)、及びその2倍の幅(形体に対して平行)に延伸された。図21に明らかであるように、結果として生じるミクロ構造−ミクロ孔質フィルムは、形体を含め、フィルム全体を通じてミクロ孔質の構造を有することが微視的に観測された。この種類のフィルムは、ミクロ孔質フィルム中の全形体を有することが有益となる、濾過、燃料電池、又は衣類の用途に使用できることがある。
【0199】
(実施例10)
結晶化度法
Bruker GADDS Microdiffractometer(ウィスコンシン州マディソン(Madison)のブルカー・エイエックスエス社(Bruker AXS)から入手可能)と、CuKα放射線源と、散乱放射線のHiStar 2D位置敏感検出器の記録とを使用することによる検索測定(survey scan)の形式で収集した透過の幾何学データを使用して、結晶度を求めた。長さ方向寸法が回折計の垂直面に位置するように、試料を配置した。その回折計は、300ミクロンの開口部と黒鉛入射ビームモノクロメーターとを使用するピンホールコリメーションを取り付けたものであった。検出器を0度(2θ)で中心に置き、試料の傾斜は用いなかった。試料から検出器までの6cmの距離でデータを15分間に亘って集めた。50kV及び100mAのX線発生器設定を用いた。結晶性の値は、結晶化度パーセントとして示された。二次元データを半径方向に合計して、通常の一次元回折パターンを作製した。結果として得られたパターンに、プログラムORIGIN(マサチューセッツ州ノーシントン(Northhampton)のオリジンラブ社(Origin Lab Co.))を使用したプロファイルフィッティングを行って、非晶質及び結晶性高分子散乱の成分を分離した。プロファイルフィッティングに対し、放物線状の背景モデル及びガウスピーク形状モデルが使用された。10〜35度(2θ)の散乱角の範囲内で、背景を超える非晶質散乱と結晶性散乱との合計に対する、背景を超える結晶性散乱の比率として、結晶化度を評価した。
【0200】
(実施例10b)
本発明のミクロ構造及び延伸フィルムは、微小溝マスターツール上にメルトキャストされたポリマー、及び配向された長さによって作製される。ミクロ複製されたフィルムは、ポリマーをニップへと押し出されることによって製造され、一方の表面が金属ツールから形成され、他方の面が平坦なシリコーンゴムベルト表面から形成される。フィルムは、米国テキサス州ヒューストン(Houston)のトータル・ペトロケミカルズ(Total Petrochemicals)の9.0メルト・インデックスのポリプロピレンホモポリマー樹脂3576X型を用いた標準的な押出成形技術を使用した連続的なプロセスでキャストされた。およそ229℃の温度の融解樹脂が、微小孔マスターツール及びゴムベルトの間に形成されるニップに送達される。微小孔キャスティングロールはおよそ60℃に維持され、協調的なゴムベルトは、表面温度が171〜177℃に維持された。キャスティングロール及びゴムベルトの間のニップ圧力は、80.8N/cmに維持された。微小溝付きマスターツールは、その表面に配置される、連続的に周囲に位置合わせされる「V」型の溝を有し、そのような形体が図22に示される。マスターツール上の溝は、66μmの深さを有する、より大きな形体を有し、ピーク間隔は236μm、溝を形成する角度は54°であった。より小さな形体は、39μmの深さを有し、ピーク間隔52μm、溝を形成する角度は54°であった。製造されたフィルムは、60.7g/mの坪量、及び106μmの総厚さを有した。近接する形体間の分離感覚は13μmであった。図23に示されるフィルムの表面上の形体は、マスターツールの形状に従い、より大きな形体は49μmの高さを有し、小さな形体は30μmを有し、ランド厚さは57μmであった。
【0201】
ドイツ国ジーグスドルフ(Siegsdorf)のブルックナー・セルヴテク・(Brueckner ServTec)から入手可能な、カロ(Karo)IV実験室用延伸機を使用して、フィルム試料が1軸延伸された。フィルム試料は100mm×100mmの正方形に切断され、ミクロ構造体の軸に沿って延伸された。温度を150℃に平衡化した後、フィルム試料は、3.5m/分の速さで、元の5倍の長さに延伸され、延伸率は5:1となった。試料は次に、結晶化度の程度を決定するために、X線結晶学解析(x-ray crystallography analysis)に晒され、結果は表1に示される。
【0202】
比較例10b
延伸され、構造化されたフィルムが、実施例1bで説明された通りに製造され試験されたが、ただしミクロ構造体は、これが延伸された後にフィルムに適用された。実施例10bに記載されるものと同様の材料を使用し、比較例のフィルムは、平滑な金属キャスティングロール及び平滑なゴムロールの間で薄い融解シートを押出成形することによって製造された。およそ294℃の温度の融解樹脂が、平滑な金属ロール、及び平滑なゴムロールの間に形成されるニップに送達された。金属キャスティングロールは、22℃の温度に維持され、同時に協調的なゴムロールは14℃の水を使用して冷却された。ゴムロールの表面温度は測定されなかったが、冷却水の温度よりかなり高かった。キャスティングロール及びゴムベルトの間のニップ圧力は、169N/cmに維持された。得られたフィルムは、70μmの公称厚さ、及び59g/mの坪量を有した。フィルムの試料は、実施例10bで説明された通りに取られ、延伸された。延伸された試料は、次に、一方の面を、ダイヤモンドチップツールを使用して微細加工された。実施例10bで製造された延伸されたフィルムと同様の、全体構造及び延伸方向への配向を有する形体が、フィルムへと切断された。フィルムを加工するため、切片は精密回転ドラム上に載せられ、ドラムは、表面で、31.7m/分の速度で回転し、ダイヤモンドチップはフィルムに接触した。90°の、先端の鋭いダイヤモンドツールがフィルムに移動し、12〜15μmの深さである隣接する通路を製造した。ニューモ・プレシジョン・プロダクツ社(Pneumo Precision Products Inc.)のモデルSS−156加工機が、フィルムを加工するために使用された(ニューモ・プレシジョン・プロダクツ社(Pneumo Precision Products Inc.)は、テーラーホブソン(前ランクテーラーホブソン/ランクニューモ)のニューマ超微細機械加工部門となり、以降ニューハンプシャー州キーン(Keene)のプレシテック(Precitech)に合併された)。試料は次に、結晶化度の度合いを決定するためにX線結晶学解析に晒され、結果は表1に示された。
【0203】
【表2】

【0204】
結果:結晶化指数によって例示されるように、両方のフィルムは、同等の度合いで延伸され、同様のミクロ構造体を有していたにも関わらず、本発明のフィルムは、比較用のフィルムよりも望ましく高い結晶化レベルを維持した。結果は、ミクロ構造体の結晶質モルホロジーが、発明のフィルムでは維持されたが、比較用のフィルムでは失われ、延伸の後にミクロ構造体が、フィルムに形成されたことを意味する。より高い度合いの結晶化度が、所望の機械的特性及び光学的特性を生じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を製造する方法であって、
第1の表面及び第2の表面を有し、並びに長手方向寸法を有する本体と、
前記本体の前記第1の表面上に、前記本体の前記長手方向寸法に実質的に平行な方向で配置される複数の、実質的に互いに平行の、伸長するミクロ構造体と、を有する高分子フィルムを形成する工程と、
前記本体の前記長手方向寸法に実質的に平行な方向に前記高分子フィルムを延伸する工程と、
前記延伸された高分子フィルムをほぼ長手方向に配置される分離線に沿って分離して複数の別個の繊維要素であって、繊維要素の1つ以上が少なくとも1つのミクロ構造体を上部に有する繊維要素を画定する工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記高分子フィルムを電界に暴露する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記暴露工程が前記フィルムをエレクトレットにする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記形成工程が、
前記ミクロ構造体の少なくとも1つの形状を画定し、電界効果を高める工程を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記暴露工程が前記延伸工程に先行する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記延伸工程が前記暴露工程に先行する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記本体が第1の厚さを有し、前記ミクロ構造体が第2の厚さを有し、延伸後の、前記第1の厚さと前記第2の厚さとの比率が多くても2である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記形成工程が、前記高分子フィルム上の前記長手方向分離線を画定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記繊維要素を横方向に切断する工程と、
切断された繊維要素を混合する工程と、
混合した繊維要素の濾過層を形成する工程とを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのミクロ構造体が、前記本体の前記第1の表面に沿って連続的である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのミクロ構造体が、前記本体の前記第1の表面に沿って不連続である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも2つの近接するミクロ構造体が、前記本体の分離間隔によって横方向に離間している、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記分離線の少なくとも1つが、前記分離間隔の1つの内側で延び、前記分離間隔の各側上の前記ミクロ構造体から横方向に離間する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記繊維要素の少なくとも1つが、その上に複数のミクロ構造体を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのミクロ構造体が切れ目を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのミクロ構造体が複数の切れ目を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記形成工程が、
前記本体の前記長手方向寸法を横切る、少なくとも1つのほぼ横方向に配置される横方向の分離線を画定する工程と
各繊維要素を1以上の繊維要素セグメントに分離する工程とを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記フィルム分離工程及び繊維要素分離工程が同時に行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の別個の繊維要素を、実質的に平行な繊維要素アライメントを有する配列に維持する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
繊維要素の層化された配列を形成する方法であって、
請求項19の繊維要素の配列によって画定される第1の層を配置し、これによって前記第1の層の前記繊維要素の前記長手方向寸法を第1の方向に位置合わせさせる工程と、
前記第1の層を請求項19の繊維要素の別の配列によって画定される繊維要素の第2の層と重ね、これによって前記第2の層の前記繊維要素の長手方向寸法を第2の方向に位置合わせさせる工程とを含む、方法。
【請求項21】
前記第1の層の前記繊維要素上の前記ミクロ構造体の少なくともいくつかが、前記第2の層の前記繊維要素の前記本体の前記第2の表面に係合する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の方向と前記第2の方向とが異なる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の方向と前記第2の方向とが実質的に平行である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
繊維を製造する方法であって、
第1の表面及び第2の表面を有し、並びに長手方向寸法を有する本体と、
前記本体の前記第1の表面上に、前記本体の前記長手方向寸法に実質的に平行な方向で配置される複数の伸長する、実質的に互いに平行の、ミクロ構造体と、を有する高分子フィルムを形成する工程と、
前記本体の前記長手方向寸法に実質的に平行な方向に前記高分子フィルムを延伸する工程と、
前記本体の前記長手方向寸法に沿って前記延伸された高分子フィルムをフィブリル化して、1以上の繊維であって、各繊維が少なくとも1つのミクロ構造体を上部に有する繊維を提供する工程とを含む、方法。
【請求項25】
高分子フィルムを電界に暴露する工程を更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記暴露工程が前記フィルムをエレクトレットにする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記形成工程が、
電界効果を高めるために、前記ミクロ構造体の少なくとも1つの形状を画定する工程を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記暴露工程が前記フィブリル化工程に先行する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記フィブリル化工程が前記暴露工程に先行する、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記本体が第1の厚さを有し、前記ミクロ構造体が第2の厚さを有し、延伸後、前記第1の厚さと前記第2の厚さとの比率が多くても2である、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記フィブリル化工程が、前記延伸された高分子フィルムをほぼ長手方向分離線に沿って繊維に分離し、前記形成工程が、
前記高分子フィルム上に前記長手方向分離線を画定する工程を更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記繊維を横方向に切断する工程と、
前記切断した繊維を混合する工程と、
混合繊維の濾過層を形成する工程とを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つのミクロ構造体が前記本体の前記第1の表面に沿って連続的である、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1つのミクロ構造体が前記本体の前記第1の表面に沿って不連続である、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記フィブリル化工程が、前記延伸された高分子フィルムをほぼ長手方向の分離線に沿って繊維に分離し、少なくともいくつかの近接するミクロ構造体が前記本体の分離間隔によって横方向に離間されている、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記分離線の少なくとも1つが、前記分離間隔の1つの内側で延び、前記分離間隔の各側上の前記ミクロ構造体から横方向に離間する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記繊維の少なくとも1つが、その上に複数のミクロ構造体を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1つのミクロ構造体が切れ目を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つのミクロ構造体が複数の切れ目を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項40】
前記形成工程が、
前記本体の前記長手方向寸法を横切る、少なくとも1つのほぼ横方向に配置される横方向の分離線を画定する工程、及び
各繊維を1以上の繊維セグメントに分離する工程を更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項41】
前記フィルム分離工程及び前記繊維分離工程が同時に行われる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記繊維を実質的に平行な繊維アライメントを有する配列に維持する工程を更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項43】
繊維要素の層化された配列を形成する方法であって、
請求項42の繊維の配列によって画定される第1の層を配置し、これによって前記第1の層の前記繊維の前記長手方向寸法を第1の方向に位置合わせさせる工程と、
前記第1の層を、請求項42の繊維の別の配列によって画定される繊維の第2の層と重ね、これによって前記第2の層の前記繊維の前記長手方向寸法を第2の方向に位置合わせさせる工程とを含む、方法。
【請求項44】
前記第1の層の前記繊維上の前記ミクロ構造体の少なくともいくつかが、前記第2の層の前記繊維の前記本体の前記第2の表面に係合する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の方向と前記第2の方向とが異なる、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の方向と前記第2の方向とが実質的に平行である、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
第1の表面及び第2の表面、第1の厚さ及び長手方向寸法を有する本体と、
前記本体の前記第1の表面上に、前記本体の前記長手方向寸法に実質的に平行な方向で配置される複数の、実質的に互いに平行であり、第2の厚さを有する、伸長するミクロ構造体と、を有する高分子フィルムであり、
前記フィルムは前記本体の前記長手方向寸法に少なくとも1.5の延伸比を有し、
前記本体の前記第1の厚さと前記ミクロ構造体の前記第2の厚さとの比率は、多くても2である、高分子フィルム。
【請求項48】
前記ミクロ構造体の1つ以上が切れ目を有する、請求項47に記載のフィルム。
【請求項49】
前記ミクロ構造体の1つ以上が複数の切れ目を有する、請求項47に記載のフィルム。
【請求項50】
少なくとも1つのミクロ構造体が前記本体の前記第1の表面に沿って連続的である、請求項47に記載のフィルム。
【請求項51】
少なくとも1つのミクロ構造体が前記本体の前記第1の表面に沿って不連続である、請求項47に記載のフィルム。
【請求項52】
少なくとも2つの近接するミクロ構造体が前記本体の分離間隔によって横方向に離間している、請求項47に記載のフィルム。
【請求項53】
前記高分子フィルムがエレクトレットである、請求項47に記載のフィルム。
【請求項54】
前記ミクロ構造体の少なくとも1つが電界効果を高めるために成形される、請求項53に記載のフィルム。
【請求項55】
前記フィルムの前記本体の前記長手方向寸法が第1の方向に位置合わせされる、請求項47に記載の高分子フィルムによって画定される第1のフィルムと、
前記第1のフィルムに重なる関係に配列される第2の高分子フィルムであって、
第1の及び第2の表面、第1の厚さ及び長手方向寸法を有する本体と、
前記第2のフィルムの前記本体の前記第1の表面上に、前記第2のフィルムの前記本体の前記長手方向寸法に実質的に平行な方向で配置される複数の、実質的に互いに平行であり、第2の厚さを有する、伸長するミクロ構造体とを含む、第2の高分子フィルムと、を含むフィルム配列であって、
前記第2のフィルムが、前記第2のフィルムの前記本体の前記長手方向寸法に少なくとも1.5の延伸比を有し、
前記第2のフィルムの前記本体の前記第1の厚さと前記第2のフィルムの前記ミクロ構造体の前記第2の厚さとの比率は、少なくとも2である、フィルム配列。
【請求項56】
前記第1のフィルムの前記ミクロ構造体の少なくともいくつかが、前記第2のフィルムの前記本体の前記第2の表面に係合する、請求項55に記載のフィルム配列。
【請求項57】
前記第2のフィルムの前記本体の前記長手方向寸法が、前記第1の方向とは異なる第2の方向に位置合わせされる、請求項55に記載のフィルム配列。
【請求項58】
前記第2のフィルムの前記本体の前記長手方向寸法と、前記第1のフィルムの前記本体の前記長手方向寸法とが実質的に平行である、請求項55に記載のフィルム配列。
【請求項59】
前記本体の少なくとも1つの表面上に配置される接着剤を更に含む、請求項47に記載のフィルム。
【請求項60】
前記接着剤が感圧性接着剤である、請求項59に記載のフィルム。
【請求項61】
前記高分子フィルムがミクロ孔質である、請求項47に記載のフィルム。
【請求項62】
前記ミクロ孔質高分子フィルムが粒子を含有する、請求項61に記載のフィルム。
【請求項63】
前記本体の前記第1の厚さと前記ミクロ構造体の前記第2の厚さとの比率が多くても1である、請求項47に記載のフィルム。
【請求項64】
前記本体の前記第1の厚さと前記ミクロ構造体の前記第2の厚さとの比率が多くても0.5である、請求項47に記載のフィルム。
【請求項65】
前記本体の前記第1の厚さと前記ミクロ構造体の前記第2の厚さとの比率が多くても0.1である、請求項47に記載のフィルム。
【請求項66】
前記フィルムが吸着性である、請求項47に記載のフィルム。
【請求項67】
前記フィルムが吸収性である、請求項47に記載のフィルム。
【請求項68】
第1の表面及び第2の表面、並びに長手方向寸法を有する繊維本体と、
前記繊維本体の前記第1の表面上に、前記繊維本体の前記長手方向寸法に実質的に平行な方向で配置される1以上の伸長するミクロ構造体であって、あらゆる複数のミクロ構造体が実質的に平行であるミクロ構造体と、を含む高分子繊維。
【請求項69】
前記繊維が前記繊維本体の前記長手方向寸法に少なくとも1.5の延伸比を有する、請求項68に記載の繊維。
【請求項70】
前記繊維本体が第1の厚さを有し、前記ミクロ構造体が第2の厚さを有し、前記第1の厚さと前記第2の厚さとの比率が多くても2である、請求項68に記載の繊維。
【請求項71】
前記ミクロ構造体の1つ以上が切れ目を有する、請求項68に記載の繊維。
【請求項72】
前記ミクロ構造体の1つ以上が複数の切れ目を有する、請求項68に記載の繊維。
【請求項73】
少なくとも2つの近接するミクロ構造体が前記繊維本体の分離間隔によって横方向に離間している、請求項68に記載の繊維。
【請求項74】
前記高分子繊維がエレクトレットである、請求項68に記載の繊維。
【請求項75】
前記ミクロ構造体の少なくとも1つが電界効果を高めるために成形される、請求項68に記載の繊維。
【請求項76】
請求項68に記載の高分子繊維を複数含む繊維配列であって、前記配列中の前記繊維の前記繊維本体が実質的に平行である、繊維配列。
【請求項77】
繊維の第1の層が第1の方向に位置合わせされている請求項76の繊維配列によって画定され、繊維の第2の層が第2の方向に位置合わせされる請求項76に記載の繊維配列によって画定され、前記第2の層は前記第1の層に重なる、請求項76に記載の発明。
【請求項78】
前記第1の層の前記繊維上の前記ミクロ構造体の少なくともいくつかが、前記第2の層の前記繊維の前記繊維本体の前記第2の表面に係合する、請求項77に記載の発明。
【請求項79】
前記第1の方向と前記第2の方向とが異なる、請求項77に記載の発明。
【請求項80】
前記第1の方向と前記第2の方向とが実質的に平行である、請求項77に記載の発明。
【請求項81】
前記高分子繊維がミクロ孔質である、請求項68に記載の繊維。
【請求項82】
前記ミクロ孔質高分子繊維が粒子を含有する、請求項81に記載の繊維。
【請求項83】
前記繊維本体が第1の厚さを有し、前記ミクロ構造体は第2の厚さを有し、前記第1の厚さと前記第2の厚さとの比率が多くても1である、請求項68に記載の繊維。
【請求項84】
前記繊維本体が第1の厚さを有し、前記ミクロ構造体が第2の厚さを有し、前記第1の厚さと前記第2の厚さとの比率が多くても0.5である、請求項68に記載の繊維。
【請求項85】
前記繊維本体が第1の厚さを有し、前記ミクロ構造体が第2の厚さを有し、前記第1の厚さと前記第2の厚さとの比率が多くても0.1である、請求項68に記載の繊維。
【請求項86】
前記繊維が吸着性である、請求項68に記載の繊維。
【請求項87】
前記繊維は吸収性である、請求項68に記載の繊維。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図5K】
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【図5L】
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【図5M】
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【図5N】
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【図5O】
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【図5P】
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【図5Q】
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【図5R】
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【図5S】
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【図5T】
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【図5U】
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【図5V】
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【図5W】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2009−542932(P2009−542932A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518458(P2009−518458)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/071617
【国際公開番号】WO2008/002805
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】