説明

配線基板、電子機器及びその製造方法

【課題】信頼性の高い電子機器及びその製造方法、並びに、信頼性の高い電子機器を効率よく製造することが可能な配線基板を提供する。
【解決手段】電子機器は、ベース基板10と、ベース基板10の表面に形成された、複数の電気的接続部14を含む配線パターン12と、を有する配線基板100と、複数の導電部32を有し、複数の導電部32が複数の電気的接続部14と対向して電気的に接続されてなる電子部品30と、配線基板100を部分的に覆う樹脂部と、ベース基板10よりも吸湿性の低い材料で形成された、ベース基板10の表面における配線パターン12及び樹脂部からの露出部をすべて覆う被覆部50とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、電子機器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、電子機器には配線基板が含まれる。電子機器の信頼性を高めるためには、配線基板に使用されるベース基板の含水量を低く維持することが重要である。特に、電子機器が湿度の高い環境下で長時間にわたって利用される場合には、電子機器を、ベース基板が水分を吸収しにくい構造とすることが好ましい。
【特許文献1】特開2002−201449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、電気的な信頼性の高い電子機器及びその製造方法、並びに、信頼性の高い電子機器を製造することが可能な配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)本発明に係る電子機器は、
ベース基板と、前記ベース基板の表面に形成された、複数の電気的接続部を含む配線パターンと、を有する配線基板と、
複数の導電部を有し、前記複数の導電部が前記複数の電気的接続部と対向して電気的に接続されてなる電子部品と、
前記配線基板を部分的に覆う樹脂部と、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料で形成された、前記ベース基板の表面における前記配線パターン及び前記樹脂部からの露出部をすべて覆う被覆部と、
を含む。
【0005】
本発明によると、ベース基板の表面に、被覆部が形成されてなる。そして、被覆部は、ベース基板よりも吸湿性の低い材料で形成される。ここで、吸湿性とは、物質が周りの空気中から水分を吸収しようとする性質を言う。すなわち、吸湿性の低い材料は、空気中から水分を吸収しにくい材料であるといえる。そのため、本発明によると、ベース基板が、空気中の水分を吸収することを防止することができる。すなわち、本発明によると、ベース基板の含水量を低く維持することが可能な、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
【0006】
(2)この電子機器において、
前記樹脂部は、前記複数の導電部と前記複数の電気的接続部とを封止する封止部を含み、
前記被覆部は、前記封止部を覆うように形成されていてもよい。
【0007】
これによると、さらに信頼性の高い電子機器を提供することができる。
【0008】
なお、被覆部は、封止部よりも吸湿性の低い材料で形成してもよい。
【0009】
(3)本発明に係る電子機器は、
ベース基板と、前記ベース基板の表面に形成された、複数の電気的接続部を含む配線パターンと、を有する配線基板と、
複数の導電部を有し、前記複数の導電部が前記複数の電気的接続部と対向して電気的に接続されてなる電子部品と、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料で形成された、前記ベース基板の表面における前記配線パターンからの露出部をすべて覆う被覆部と、
を含む。
【0010】
本発明によると、配線基板の絶縁信頼性が高い電子機器を提供することができる。
【0011】
(4)この電子機器において、
前記導電部と前記電気的接続部とを封止する封止部をさらに含んでいてもよい。
【0012】
(5)この電子機器において、
前記被覆部は、前記導電部と前記電気的接続部とを封止するように形成されていてもよい。
【0013】
(6)本発明に係る配線基板は、
ベース基板と、
前記ベース基板の表面に形成された配線パターンと、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料で形成された、前記ベース基板の表面における前記配線パターンからの露出部をすべて覆う被覆部と、
を含む。
【0014】
本発明によると、信頼性の高い電子機器を、効率よく製造することが可能な配線基板を提供することができる。
【0015】
(7)本発明に係る配線基板は、
ベース基板と、
前記ベース基板の表面に形成された配線パターンと、
前記ベース基板及び前記配線パターンを部分的に覆う樹脂層と、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料で形成された、前記ベース基板の表面における前記配線パターン及び前記樹脂層からの露出部をすべて覆う被覆部と、
を含む。
【0016】
本発明によると、信頼性の高い電子機器を、効率よく製造することが可能な配線基板を提供することができる。
【0017】
(8)この配線基板において、
前記配線パターンは、前記ベース基板の表面に形成された複数の電気的接続部を含み、
前記被覆部は、前記電気的接続部を露出させるように形成されていてもよい。
【0018】
(9)本発明に係る電子機器の製造方法は、
ベース基板と、前記ベース基板の表面に形成された、複数の電気的接続部を含む配線パターンと、を有する配線基板を用意する工程と、
複数の導電部を有する電子部品を用意する工程と、
前記複数の電気的接続部と前記複数の導電部とを対向させて電気的に接続する工程と、
前記電気的接続部と前記導電部とを封止する封止部を形成する工程と、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料を利用して、前記ベース基板の表面における前記配線パターン及び前記封止部からの露出部をすべて覆う被覆部を形成する工程と、
を含む。
【0019】
本発明によると、信頼性の高い電子機器を製造することができる。
【0020】
(10)本発明に係る電子機器の製造方法は、
ベース基板と、前記ベース基板の表面に形成された、複数の電気的接続部を含む配線パターンと、前記複数の電気的接続部を露出させるように形成された、前記配線パターンを部分的に覆うレジスト層と、を有する配線基板を用意する工程と、
複数の導電部を有する電子部品を用意する工程と、
前記複数の電気的接続部と前記複数の導電部とを対向させて電気的に接続する工程と、
前記電気的接続部と前記導電部とを封止する封止部を形成する工程と、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料を利用して、前記ベース基板の表面における前記配線パターン、前記レジスト層及び前記封止部からの露出部をすべて覆う被覆部を形成する工程と、
を含む。
【0021】
本発明によると、信頼性の高い電子機器を製造することができる。
【0022】
(11)この電子機器の製造方法において、
前記被覆部を、前記封止部を覆うように形成してもよい。
【0023】
これによると、さらに信頼性の高い電子機器を製造することができる。
【0024】
なお、被覆部は、封止部よりも吸湿性の低い材料で形成してもよい。
【0025】
(12)本発明に係る電子機器の製造方法は、
ベース基板と、前記ベース基板の表面に形成された、複数の電気的接続部を含む配線パターンと、を有する配線基板を用意する工程と、
複数の導電部を有する電子部品を用意する工程と、
前記複数の電気的接続部と前記複数の導電部とを対向させて電気的に接続する工程と、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料を利用して、前記ベース基板の表面における前記配線パターンからの露出部をすべて覆う被覆部を形成する工程と、
を含む。
【0026】
本発明によると、配線基板の絶縁信頼性の高い電子機器を製造することができる。
【0027】
(13)本発明に係る電子機器の製造方法は、
ベース基板と、前記ベース基板の表面に形成された、複数の電気的接続部を含む配線パターンと、前記複数の電気的接続部を露出させるように形成された、前記配線パターンを部分的に覆うレジスト層と、を有する配線基板を用意する工程と、
複数の導電部を有する電子部品を用意する工程と、
前記複数の電気的接続部と前記複数の導電部とを対向させて電気的に接続する工程と、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料を利用して、前記ベース基板の表面における前記配線パターン及び前記レジスト層からの露出部をすべて覆う被覆部を形成する工程と、
を含む。
【0028】
本発明によると、配線基板の絶縁信頼性の高い電子機器を製造することができる。
【0029】
(14)この電子機器の製造方法において、
前記被覆部を、前記電気的接続部と前記導電部とを封止するように形成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。また、本発明は、以下の内容を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1(A)〜図4は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る電子機器の製造方法について説明するための図である。
【0032】
本実施の形態に係る電子機器の製造方法は、図1(A)〜図1(C)に示す配線基板100を用意することを含む。なお、図1(A)は、配線基板100の上視図である。また、図1(B)及び図1(C)は、図1(A)のIB−IB線断面図及びIC−IC線断面図である。以下、配線基板100の構成について説明する。
【0033】
配線基板100は、図1(A)〜図1(C)に示すように、ベース基板10を有する。ベース基板10の材料や構造は特に限定されず、既に公知となっているいずれかの基板を利用してもよい。ベース基板10として、例えば、ポリイミド樹脂からなるフレキシブル基板を使用してもよい。あるいは、ベース基板10として、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板を使用してもよい。
【0034】
配線基板100は、図1(A)〜図1(C)に示すように、ベース基板10上に形成された配線パターン12を有する。すなわち、配線パターン12は、ベース基板10の表面に形成されていてもよい。配線パターン12の材料も、特に限定されるものではない。例えば、配線パターン12は、銅(Cu)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、チタンタングステン(Ti−W)のうちのいずれかを積層して形成されていてもよい。
【0035】
配線パターン12は、図1(A)〜図1(C)に示すように、複数の電気的接続部14を有する。電気的接続部14は、配線パターン12のうち、他の部材との電気的な接続に利用される部分であってもよい。電気的接続部14は、ベース基板10の表面に形成されていてもよい。
【0036】
なお、配線基板100は、ベース基板10の内部に形成された他の配線を含んでいてもよい(図示せず)。
【0037】
配線基板100は、図1(A)及び図1(B)に示すように、レジスト層16を有する。レジスト層16は、配線パターン12を部分的に覆うように形成されてなる。レジスト層16は、電気的接続部14を露出させるように形成されていてもよい。レジスト層16の材料は特に限定されず、既に公知となっているいずれかの材料を利用してもよい。例えば、レジスト層16は、ベース基板10よりも吸湿性の低い材料で形成してもよい。ただし、本実施の形態の方法は、レジスト層16を有しない配線基板を利用してもよい。
【0038】
本実施の形態に係る電子機器の製造方法は、電子部品30を用意することを含む(図2(A)〜図2(C)及び図4参照参照)。電子部品30は、複数の導電部32を有する。導電部32は、電子部品30のうち、外部との電気的な接続に利用される部分である。電子部品30は、例えば、電気光学パネル(液晶パネル・エレクトロルミネッセンスパネル等)であってもよい。電子部品30は、ガラス基板34を有していてもよく、このとき、導電部32はガラス基板34上に形成されていてもよい。例えば、導電部32は、ガラス基板34上に形成された配線パターンの一部であってもよい。なお、導電部32の材料は特に限定されるものではないが、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、Cr、Alなどの金属膜、金属化合物膜又はそれらの複合膜によって形成されていてもよい。ただし、電子部品はこれに限られるものではない。例えば、電子部品30として、半導体チップを利用してもよい。
【0039】
本実施の形態に係る電子機器の製造方法は、複数の電気的接続部14と複数の導電部32とを対向させて電気的に接続することを含む。本実施の形態に係る電子機器の製造方法は、また、電気的接続部14と導電部32とを封止する封止部45を形成することを含んでいてもよい。以下、図2(A)〜図2(C)を参照して、これらの工程について説明する。
【0040】
はじめに、図2(A)に示すように、電子部品30と配線基板100とを、樹脂材料40を介して対向させる。例えば、配線基板100上に樹脂材料40を配置し、さらにその上方に電子部品30を配置してもよい。このとき、電気的接続部14と導電部32とが対向するように、配線基板100及び電子部品30を位置合わせしてもよい。樹脂材料40は、フィルム状で用意してもよく、ペースト状で用意してもよい。樹脂材料40の内部には、導電性の微粒子42が分散されていてもよい。すなわち、樹脂材料40は、異方性導電材料であってもよい。
【0041】
そして、図2(B)に示すように、配線基板100と電子部品30とを近接させて、電気的接続部14と導電部32とを対向させて電気的に接続させる。このとき、図2(B)に示すように、電気的接続部14と導電部32とは、間に導電性の微粒子42を介在させて電気的に接続してもよい。あるいは、電気的接続部14と導電部32とは、接触させて電気的に接続してもよい(図示せず)。
【0042】
その後、図2(C)に示すように、樹脂材料40を硬化させて、封止部45を形成する。例えば、樹脂材料40が熱硬化性の材料である場合には、樹脂材料40を加熱して硬化させて、封止部45を形成してもよい。封止部45は、電気的接続部14と導電部32とを封止する役割を果たすものであってもよい。また、封止部45によって、配線基板100と電子部品30とを接着してもよい。
【0043】
本実施の形態に係る電子機器の製造方法は、図3(A)及び図3(B)に示すように、被覆部50を形成することを含む。ここで、図3(B)は、図3(A)のIIIB−IIIB線断面図である。
【0044】
被覆部50は、ベース基板10よりも吸湿性の低い材料で形成する。例えば、ベース基板10がポリイミド基板である場合には、被覆部50はアクリル系の材料や、シリコーン樹脂で形成してもよい。また、被覆部50は、ベース基板10の表面における配線パターン12、レジスト層16及び封止部45からの露出部をすべて覆うように形成する。被覆部50は、ベース基板10の電子部品30と対向する面とは反対側の面をすべて覆うように形成してもよい。また、被覆部50は、ベース基板10の側面をすべて覆うように形成してもよい。なお、配線基板としてレジスト層を有しない基板を利用する場合には、被覆部を、ベース基板10の表面における配線パターン12及び封止部45からの露出部をすべて覆うように形成してもよい。
【0045】
なお、被覆部50は、図3(A)に示すように、封止部45を覆うように形成してもよい。このとき、被覆部50は、封止部45よりも吸湿性の低い材料で形成してもよい。また、被覆部50は、レジスト層16を(部分的に)覆うように形成してもよい。このとき、被覆部50は、レジスト層16よりも吸湿性の低い材料で形成してもよい。ただし、被覆部50は、レジスト層16を覆わないように形成してもよい。
【0046】
被覆部50を形成する方法は特に限定されないが、例えば、封止部45を形成した後に、配線基板100を溶液に浸してベース基板10の表面に溶液を付着させることを含んでいてもよい。そして、溶液を硬化させることによって被覆部50を形成してもよい。
【0047】
なお、被覆部50は、配線パターン12を部分的に露出させるように形成してもよい。配線パターン12における被覆部50からの露出部を指して、露出部18と称してもよい。露出部18は、例えば、電子機器をマザーボード等に実装するための外部端子としての役割を果たす部分であってもよい。なお、被覆部50は、図3(B)に示すように、露出部18の周辺で、配線パターン12よりも薄くなるように形成してもよい。すなわち、露出部18は、被覆部50から突出していてもよい。なお、被覆部50は、配線パターン12をすべて覆うように材料を設けた後に、その一部を除去することによって形成してもよい。
【0048】
以上の工程によって、図4に示す電子機器1を製造してもよい。電子機器1は、配線基板100を含む。配線基板100は、ベース基板10と、ベース基板10の表面に形成された、配線パターン12を有する。配線パターン12は、複数の電気的接続部14を含む。電子機器1は、電子部品30を含む。電子部品30は、複数の導電部32を有する。導電部32は、電気的接続部14と対向して電気的に接続されてなる。電子機器1は、レジスト層16と封止部45とを含む。レジスト層16及び封止部45は、配線パターン12を部分的に覆うように形成されてなる。レジスト層16及び封止部45をあわせて、樹脂部と称してもよい。なお、電子機器は、レジスト層及び封止部のいずれか一方のみを有していてもよく、このとき、当該一方のみを指して樹脂部と称してもよい。電子機器1は、被覆部50を含む。被覆部50は、ベース基板10よりも吸湿性の低い材料で形成されてなる。被覆部50は、ベース基板10の表面における配線パターン12及び樹脂部(レジスト層16及び封止部45)からの露出部をすべて覆うように形成されてなる。被覆部50は、封止部45を覆うように形成されていてもよい。このとき、被覆部50は、封止部45よりも吸湿性の低い材料で形成してもよい。
【0049】
本実施の形態に係る電子機器の製造方法によると、信頼性の高い電子機器を提供することができる。以下、その理由について説明する。
【0050】
ベース基板に配線が形成されたタイプの配線基板が知られている。そして、このタイプの配線基板を含んだ電子機器が知られている。電子機器(あるいは配線基板)の信頼性を保つためには、配線間の電気的なショートの発生を防止することが重要である。そして、ベース基板が水分を含んでいる場合には、当該水分の影響により、隣り合う配線間で絶縁抵抗が低下するおそれがある。そのため、配線間の電気的なショートの発生を防止するためには、ベース基板の含水率を低く維持することが重要である。これを踏まえて、電子機器(あるいは配線基板)の製造段階では、ベース基板に含まれる水分の量を少なくするための工夫がなされることがあった。
【0051】
しかし、電子機器の動作環境は様々である。例えば、電子機器を湿度の高い環境下で長時間利用すれば、ベース基板が水分を含むおそれがある。そして、これが原因で、電子機器(配線基板)の電気的な信頼性を低下させることが考えられる。すなわち、電子機器の信頼性を高めるためには、ベース基板への水分の浸入を防止することが重要である。特に、ベース基板は表面積が広いため、湿度の高い環境下で電子機器の信頼性を維持するためには、ベース基板の表面からの水分の浸入を防止することが重要になる。
【0052】
ところで、電子機器1では、ベース基板10の表面のうち、配線パターン12、レジスト層16及び封止部45からの露出部は、すべて、被覆部50によって覆われる。そして、被覆部50は、ベース基板10よりも吸湿性の低い材料で形成される。そのため、電子機器1によると、ベース基板10が水分を含むことを防止することができる。すなわち、本実施の形態に係る電子機器の製造方法によると、ベース基板10の材料を制限することなく、絶縁信頼性の高い電子機器を製造することができる。
【0053】
なお、本方法では、被覆部50を、封止部45よりも吸湿性の低い材料で、封止部45を覆うように形成してもよい。これによると、封止部45への水分の浸入を防止することができるため、さらに信頼性の高い電子機器を提供することができる。
【0054】
(変形例)
以下、本実施の形態の変形例に係る電子機器の製造方法を説明する。
【0055】
本実施の形態に係る電子機器の製造方法は、図5に示す、配線基板101を用意することを含む。配線基板101は、ベース基板10と、配線パターン12とを有する。配線基板101は、レジスト層を有していない配線基板であってもよい。ただし、本変形例は、レジスト層を有する配線基板に適用してもよい。
【0056】
本実施の形態に係る電子機器の製造方法は、図6(A)及び図6(B)に示すように、配線パターン12の電気的接続部14と、電子部品30の導電部32とを対向させて電気的に接続することを含む。本工程では、図6(A)及び図6(B)に示すように、電気的接続部14と導電部32とを接触させて電気的に接続してもよい。なお、図6(B)は、図6(A)のVIB−VIB線断面の一部拡大図である。
【0057】
本実施の形態に係る電子機器の製造方法は、図7(A)及び図7(B)に示すように、被覆部54を形成することを含む。被覆部54は、ベース基板10よりも吸湿性の低い材料で形成する。被覆部54は、ベース基板10の表面における配線パターン12からの露出部を、すべて覆うように形成する。なお、本実施の形態に係る電子機器の製造方法では、図7(A)及び図7(B)に示すように、被覆部54を、電気的接続部14と導電部32とを封止するように形成してもよい。
【0058】
以上の工程によって、電子機器を形成してもよい。この電子機器は、配線基板101を含む。配線基板101は、ベース基板10と配線パターン12とを有する。この電子機器は、電子部品30を含む。電子部品30は、導電部32を有する。導電部32は、電気的接続部14と対向して電気的に接続されてなる。この電子機器は、ベース基板10よりも吸湿性の低い材料で形成された、ベース基板10の表面における配線パターン12からの露出部をすべて覆う被覆部54を含む。被覆部54は、電気的接続部14と導電部32とを封止するように形成されていてもよい。
【0059】
これによっても、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
【0060】
(第2の実施の形態)
以下、本発明を適用した第2の実施の形態に係る電子機器の製造方法について説明する。図8(A)〜図9は、本実施の形態に係る電子機器の製造方法を説明するための図である。
【0061】
本実施の形態に係る電子機器の製造方法は、図8(A)〜図8(C)に示す、配線基板102を用意することを含む。配線基板102は、ベース基板10及び配線パターン12を有する。配線パターン12は、ベース基板10の表面に形成されてなる。また、配線基板102は、被覆部55を含む。被覆部55は、ベース基板10よりも吸湿性の低い材料で形成されてなる。被覆部55は、ベース基板10の表面における配線パターン12からの露出部をすべて覆うように形成されてなる。なお、被覆部55は、図8(A)及び図8(B)に示すように、配線パターン12(配線パターン12の上端面)を部分的に覆うように形成されていてもよい。このとき、被覆部55は、配線パターン12の電気的接続部14(電気的接続部14の上端面)を露出させるように形成されていてもよい。なお、配線基板102では、図8(C)に示すように、電気的接続部14の周辺領域で、被覆部55は、電気的接続部14(配線パターン12)と同じ厚みをなしていてもよい。
【0062】
本実施の形態に係る電子機器の製造方法は、図9に示すように、電気的接続部14と導電部32とを対向させて電気的に接続することを含む。そして、本実施の形態に係る電子機器の製造方法は、図9に示すように、電気的接続部14と導電部32とを封止する封止部46を形成することを含んでいてもよい。
【0063】
以上の工程によって、電子機器を製造してもよい。この電子機器は、配線基板102を含む。配線基板102は、ベース基板10と配線パターン12とを有する。配線基板103は、被覆部55を含む。被覆部55は、ベース基板10における配線パターン12からの露出部をすべて覆うように形成されてなる。被覆部55は、配線パターン12の電気的接続部14を露出させるように形成されていてもよい。この電子機器は、電子部品30を含んでいてもよい。電子部品30の導電部32は、配線パターン12の電気的接続部14と対向して電気的に接続されてなる。そして、この電子機器は、電気的接続部14と導電部32とを封止する封止部46を含んでいてもよい。
【0064】
本実施の形態に係る電子機器の製造方法によると、予め被覆部55が形成された配線基板を利用して、電子機器を製造する。そのため、被覆部を形成する工程が不要になるため、信頼性の高い電子機器を効率よく製造することができる。
【0065】
(変形例)
本実施の形態に係る電子機器の製造方法は、図10(A)〜図10(D)に示す、配線基板103を用意することを含む。配線基板103は、ベース基板10と配線パターン12とを有する。配線基板103は、図10(A)及び図10(B)に示すように、配線パターン12を部分的に覆うレジスト層16を含む。レジスト層16は、配線パターン12の電気的接続部14を露出させるように形成されていてもよい。レジスト層16を、樹脂部と称してもよい。配線基板103は、被覆部57を含む。被覆部57は、ベース基板10よりも吸湿性の低い材料で形成されてなる。被覆部57は、図10(C)及び図10(D)に示すように、ベース基板10の表面における配線パターン12及びレジスト層16からの露出部をすべて覆うように形成されていてもよい。被覆部57は、また、電気的接続部14(電気的接続部14の上端面)を露出させるように形成されていてもよい。なお、被覆部57は、図10(C)に示すように、電気的接続部14周辺で、電気的接続部14(配線パターン12)よりも厚みが薄くなるように形成されていてもよい。すなわち、電気的接続部14(電気的接続部14の上端面)は、被覆部57から突出していてもよい。
【0066】
配線基板103を利用した場合でも、信頼性の高い電子機器を、効率よく製造することができる。
【0067】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1(A)〜図1(C)は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る電子機器の製造方法を説明するための図である。
【図2】図2(A)〜図2(C)は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る電子機器の製造方法を説明するための図である。
【図3】図3(A)及び図3(B)は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る電子機器の製造方法を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る電子機器の製造方法を説明するための図である。
【図5】図5は、本発明を適用した第1の実施の形態の変形例に係る電子機器の製造方法を説明するための図である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、本発明を適用した第1の実施の形態の変形例に係る電子機器の製造方法を説明するための図である。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、本発明を適用した第1の実施の形態の変形例に係る電子機器の製造方法を説明するための図である。
【図8】図8(A)〜図8(C)は、本発明を適用した第2の実施の形態に係る電子機器の製造方法を説明するための図である。
【図9】図9は、本発明を適用した第2の実施の形態に係る電子機器の製造方法を説明するための図である。
【図10】図10(A)〜図10(D)は、本発明を適用した第2の実施の形態の変形例に係る電子機器の製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0069】
1…電子機器、 10…ベース基板、 12…配線パターン、 14…電気的接続部、 16…レジスト層、 18…露出部、 30…電子部品、 32…導電部、 34…ガラス基板、 40…樹脂材料、 42…微粒子、 45…封止部、 46…封止部、 50…被覆部、 54…被覆部、 55…被覆部、 57…被覆部、 100…配線基板、 101…配線基板、 102…配線基板、 103…配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、前記ベース基板の表面に形成された、複数の電気的接続部を含む配線パターンと、を有する配線基板と、
複数の導電部を有し、前記複数の導電部が前記複数の電気的接続部と対向して電気的に接続されてなる電子部品と、
前記配線基板を部分的に覆う樹脂部と、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料で形成された、前記ベース基板の表面における前記配線パターン及び前記樹脂部からの露出部をすべて覆う被覆部と、
を含む電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器において、
前記樹脂部は、前記複数の導電部と前記複数の電気的接続部とを封止する封止部を含み、
前記被覆部は、前記封止部を覆うように形成されてなる電子機器。
【請求項3】
ベース基板と、前記ベース基板の表面に形成された、複数の電気的接続部を含む配線パターンと、を有する配線基板と、
複数の導電部を有し、前記複数の導電部が前記複数の電気的接続部と対向して電気的に接続されてなる電子部品と、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料で形成された、前記ベース基板の表面における前記配線パターンからの露出部をすべて覆う被覆部と、
を含む電子機器。
【請求項4】
請求項3記載の電子機器において、
前記導電部と前記電気的接続部とを封止する封止部をさらに含む電子機器。
【請求項5】
請求項1又は請求項3記載の電子機器において、
前記被覆部は、前記導電部と前記電気的接続部とを封止するように形成されてなる電子機器。
【請求項6】
ベース基板と、
前記ベース基板の表面に形成された配線パターンと、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料で形成された、前記ベース基板の表面における前記配線パターンからの露出部をすべて覆う被覆部と、
を含む配線基板。
【請求項7】
ベース基板と、
前記ベース基板の表面に形成された配線パターンと、
前記ベース基板及び前記配線パターンを部分的に覆う樹脂層と、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料で形成された、前記ベース基板の表面における前記配線パターン及び前記樹脂層からの露出部をすべて覆う被覆部と、
を含む配線基板。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載の配線基板において、
前記配線パターンは、前記ベース基板の表面に形成された複数の電気的接続部を含み、
前記被覆部は、前記電気的接続部を露出させるように形成されてなる配線基板。
【請求項9】
ベース基板と、前記ベース基板の表面に形成された、複数の電気的接続部を含む配線パターンと、を有する配線基板を用意する工程と、
複数の導電部を有する電子部品を用意する工程と、
前記複数の電気的接続部と前記複数の導電部とを対向させて電気的に接続する工程と、
前記電気的接続部と前記導電部とを封止する封止部を形成する工程と、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料を利用して、前記ベース基板の表面における前記配線パターン及び前記封止部からの露出部をすべて覆う被覆部を形成する工程と、
を含む電子機器の製造方法。
【請求項10】
ベース基板と、前記ベース基板の表面に形成された、複数の電気的接続部を含む配線パターンと、前記複数の電気的接続部を露出させるように形成された、前記配線パターンを部分的に覆うレジスト層と、を有する配線基板を用意する工程と、
複数の導電部を有する電子部品を用意する工程と、
前記複数の電気的接続部と前記複数の導電部とを対向させて電気的に接続する工程と、
前記電気的接続部と前記導電部とを封止する封止部を形成する工程と、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料を利用して、前記ベース基板の表面における前記配線パターン、前記レジスト層及び前記封止部からの露出部をすべて覆う被覆部を形成する工程と、
を含む電子機器の製造方法。
【請求項11】
請求項9又は請求項10記載の電子機器の製造方法において、
前記被覆部を、前記封止部を覆うように形成する電子機器の製造方法。
【請求項12】
ベース基板と、前記ベース基板の表面に形成された、複数の電気的接続部を含む配線パターンと、を有する配線基板を用意する工程と、
複数の導電部を有する電子部品を用意する工程と、
前記複数の電気的接続部と前記複数の導電部とを対向させて電気的に接続する工程と、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料を利用して、前記ベース基板の表面における前記配線パターンからの露出部をすべて覆う被覆部を形成する工程と、
を含む電子機器の製造方法。
【請求項13】
ベース基板と、前記ベース基板の表面に形成された、複数の電気的接続部を含む配線パターンと、前記複数の電気的接続部を露出させるように形成された、前記配線パターンを部分的に覆うレジスト層と、を有する配線基板を用意する工程と、
複数の導電部を有する電子部品を用意する工程と、
前記複数の電気的接続部と前記複数の導電部とを対向させて電気的に接続する工程と、
前記ベース基板よりも吸湿性の低い材料を利用して、前記ベース基板の表面における前記配線パターン及び前記レジスト層からの露出部をすべて覆う被覆部を形成する工程と、
を含む電子機器の製造方法。
【請求項14】
請求項12又は請求項13記載の電子機器の製造方法において、
前記被覆部を、前記電気的接続部と前記導電部とを封止するように形成する電子機器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−149767(P2007−149767A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338952(P2005−338952)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】