説明

配線基板の接続構造及び接続方法

【課題】被接続体と配線基板の接続強度をより向上させる。
【解決手段】プリンタの圧電アクチュエータの入力接点とCOFの基板側接点は、金属材料と熱硬化性樹脂とを含む導電性樹脂からなる導通部により電気的に接続されている。そして、圧電アクチュエータとCOFは、導通部に加えて、補強部62により機械的に接続されている。この補強部62は、COF50において、導通部とは異なる位置であり、且つ、ソルダーレジスト54の表面と可撓性の基板52の表面とにまたがる位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の接続構造及び接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アクチュエータやセンサなどの電気接点を備えた被接続体に対して、配線基板を接続して、この配線基板を介して被接続体へ信号の送受信や電力供給などを行うものが知られている。このような被接続体と配線基板の接続構造として、例えば、特許文献1には、インクジェットヘッドの圧電アクチュエータ(被接続体)に対するFPC(配線基板)の接続において、圧電アクチュエータとFPCの電気接点を導通させるハンダ(導通部)で電気的に接続するとともに、導通用のハンダとは異なる位置に、圧電アクチュエータとFPCを機械的に接続する補強用のハンダ(補強部)を設けている。
【0003】
また、種々の理由を考慮して、ハンダではない材料を用いた被接続体と配線基板の接続構造として、例えば、特許文献2には、導電性粒子と熱硬化性の絶縁性接着剤を含む導電性樹脂を、フレキシブルプリント基板の配線端子(基板側接点)と被接続体であるプラズマディスプレイパネルの電極(電気接点)との間に設けて、フレキシブルプリント基板を加熱しながらプラズマディスプレイパネルに向かって加圧することによって、この導電性樹脂を硬化させて両者を電気的及び機械的に接続する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−231913号公報(図10)
【特許文献2】特開2005−197001号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の接続構造のように、被接続体と配線基板とを、被接続体の電気接点と配線基板の基板側接点との導通を図る導電性樹脂で接続しているだけでは、ハンダの場合に比べて、被接続体と配線基板の接続強度は不十分であり、被接続体からの配線基板の剥離やずれが生じやすい。
【0006】
そこで、特許文献2に記載されているような、被接続体と配線基板を接点間の導通に用いる導電性樹脂で接続している構造において、被接続体と配線基板の接続強度を向上させようとすると、接点間の導通に用いる導通部である導電性樹脂と同じ材料を用いて、補強部として導電性樹脂を配置するのが一般的である。
【0007】
ところで、配線基板は、可撓性基板の上に配線や基板側接点が形成され、基板側接点が露出されるとともに、配線が保護用のソルダーレジストなどの被覆膜で覆われている。このとき、補強部が被覆膜の表面または可撓性基板の表面に重なるように配置されるのが一般的であるが、これでは被接続体と配線基板の接続強度が十分に得られないことが分かった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、被接続体との接続強度をより向上させた配線基板の接続構造及び製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の配線基板の接続構造は、電気接点を備えた被接続体に配線基板を接続する配線基板の接続構造であって、前記配線基板は、前記被接続体と対向する面に基板側接点が設けられた絶縁性樹脂からなる可撓性基板と、前記可撓性基板の前記被接続体と対向する面を、前記基板側接点及び一部領域を除いて覆う被覆膜と、を有しており、前記被接続体の前記電気接点と前記配線基板の前記基板側接点は、金属材料と熱硬化性樹脂とを含む導電性樹脂からなる導通部を介して電気的に接続されており、前記被接続体と前記配線基板の間には、前記導通部に加えて、前記導通部と同じ前記導電性樹脂からなり、前記被接続体と前記配線基板を機械的に接続する補強部が設けられており、前記補強部は、前記配線基板の、前記導通部とは異なる位置であり、且つ、前記被覆膜の表面と前記可撓性基板の前記一部領域の表面とにまたがる位置に配置されている。
【0010】
本発明の配線基板の接続構造によると、補強部を配線基板の被覆膜の表面と可撓性基板の表面とにまたがる位置に配置しているため、補強部が配線基板の被覆膜の表面、または、可撓性基板の表面にだけ重なって配置されている場合に比べて、被接続体と配線基板の接続強度をより向上させて、被接続体からの配線基板のずれや剥離を防止することができる。
【0011】
また、前記被接続体は、圧電層を含む圧電アクチュエータであることが好ましい。仮に、導電性樹脂からなる導通部と補強部の、被接続体と配線基板に対する密着性を高めて、被接続体と配線基板の接続強度を向上させようとしたときには、両者の接続の際に加圧を大きくすることが考えられるが、これでは圧電層が破壊されやすい。そこで、被接続体と配線基板の接続強度を向上させるために、両者を接続する際の加圧を大きくすることが困難な場合においても、補強部を配線基板の被覆膜の表面と可撓性基板の表面にまたがる位置に配置することで、被接続体と配線基板の接続強度を向上させることができる。
【0012】
さらに、前記補強部は、複数のバンプが密集して配置されたバンプ群で構成されていることが好ましい。仮に、1つのバンプ群に属する複数のバンプの総和と同じ、1つの体積の大きなバンプを補強部にすると、被接続体と配線基板の間において、加圧により押しつぶされるバンプの広がり方を制御するのは困難であり、広がってほしくない方向に広がるおそれがある。例えば、補強部が導通部に向かって広がってしまい、導通部とショートしてしまうと、導通部の抵抗値が大きくなってしまうことなどが懸念される。そこで、複数のバンプから構成されるバンプ群を補強部とすることで、それぞれのバンプの配置を決めるだけで、補強部の形状を容易に制御することができる。
【0013】
加えて、前記配線基板は、前記被接続体と接続された領域から所定の一方向に引き出されており、1つの前記バンプ群に属する前記複数のバンプは、前記配線基板の、前記基板側接点よりも前記一方向側において、前記配線基板と平行で且つ前記一方向と直交する幅方向に並べて配置されていることが好ましい。これによると、配線基板の引き出された部分に被接続体から離れる方向の力が加わったときに、最も力を受ける配線基板の一方向と直交する幅方向に沿った部分において、補強部を構成する複数のバンプが幅方向に並んでおり、接続強度をその部分において向上させることができ、被接続体からの配線基板の剥離を一層防止することができる。
【0014】
また、前記配線基板は、前記被接続体と接続された領域から所定の一方向に引き出されており、前記補強部は、前記配線基板の、前記基板側接点よりも前記一方向側に配置されており、前記配線基板と平行で且つ前記一方向と直交する幅方向に長尺な形状を有していてもよい。これによると、配線基板の引き出された部分に被接続体から離れる方向の力が加わったときに、最も力を受ける配線基板の一方向と直交する幅方向に沿った部分において、補強部が幅方向に長尺な形状で配置されており、接続強度をその部分において向上させることができ、被接続体からの配線基板の剥離を一層防止することができる。
【0015】
前記配線基板は、前記被接続体と接続された領域から所定の一方向に引き出されており、前記補強部は、引き出される方向に向かって、前記配線基板の、前記可撓性基板の表面、前記被覆膜の表面の順にまたがる位置に配置されていることが好ましい。これによると、被接続体からの配線基板の剥離をより一層防止することができる。
【0016】
本発明の配線基板の接続方法は、電気接点を備えた被接続体に、前記被接続体と対向する面に基板側接点が設けられた絶縁性樹脂からなる可撓性基板と、前記可撓性基板の前記被接続体と対向する面を、前記基板側接点及び一部領域を除いて覆う被覆膜とを有する配線基板に接続する配線基板の接続方法であって、前記被接続体の前記電気接点の上、または、前記配線基板の前記基板側接点の上に、金属材料と熱硬化性樹脂とを含む導電性樹脂を付着させる第1付着工程と、前記配線基板との接続姿勢において、前記被接続体の、前記配線基板における前記被覆膜の表面と前記可撓性基板の前記一部領域の表面とにまたがる領域と対向する領域、または、前記配線基板の、前記被覆膜の表面と前記可撓性基板の前記一部領域の表面とにまたがる領域に、前記導電性樹脂を付着させる第2付着工程と、前記第1付着工程及び前記第2付着工程の後に、前記被接続体の前記電気接点と前記配線基板の前記基板側接点が対向するように位置合わせして、前記被接続体と前記配線基板を互いに加熱しながら押し付けて、前記被接続体と前記配線基板を接着する接着工程と、を備えており、前記接着工程において、前記第1付着工程で付着させた前記導電性樹脂は、前記電気接点と前記基板側接点を電気的に接続しており、前記第2付着工程で付着させた前記導電性樹脂は、前記被接続体と前記配線基板の機械的な接続を補強している。
【0017】
本発明の配線基板の接続方法によると、補強部を配線基板の被覆膜の表面と可撓性基板の表面とにまたがる位置に配置しているため、補強部を配線基板の被覆膜の表面、または、可撓性基板の表面にだけ配置している場合に比べて、被接続体と配線基板の接続強度をより向上させて、被接続体からの配線基板のずれや剥離を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
補強部を配線基板の被覆膜の表面と可撓性基板の表面とにまたがる位置に配置することで、補強部が配線基板の被覆膜の表面、または、可撓性基板の表面にだけ重なって配置されている場合に比べて、被接続体と配線基板の接続強度をより向上させて、被接続体からの配線基板のずれや剥離を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係るプリンタの概略平面図である。
【図2】インクジェットヘッドの平面図である。
【図3】COFの平面図である。
【図4】図2及び図3の部分拡大図であり、(a)は図2のP1部の拡大図であり、(b)は図3のP2部の拡大図である。
【図5】図4(a)のA−A線断面図である。
【図6】図4(b)のB−B線断面図である。
【図7】圧電アクチュエータとCOFの接続強度について説明する写真であり、(a)は比較例1におけるCOFと圧電アクチュエータの補強部を含む縦断面図であり、(b)は比較例1におけるCOF側の剥離面であり、(c)は比較例2におけるCOFと圧電アクチュエータの補強部を含む縦断面図であり、(d)は比較例2におけるCOF側の剥離面であり、(e)は実施例におけるCOF側の剥離面である。
【図8】圧電アクチュエータとCOFとを接続する工程について説明する図であり、(a)は付着工程であり、(b)は接着工程であり、(c)は完成時である。
【図9】変形例1における図4(b)相当の図である。
【図10】変形例2における図4(b)相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。本実施形態は、記録用紙に対してインクを噴射するインクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタに本発明を適用した一例である。
【0021】
まず、本実施形態のプリンタの概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。図1に示すように、プリンタ1は、所定の走査方向(図1の左右方向)に沿って往復移動可能に構成されたキャリッジ2と、このキャリッジ2に搭載されたインクジェットヘッド3と、記録用紙Pを走査方向と直交する紙送り方向に搬送する搬送機構4などを備えている。
【0022】
キャリッジ2は、走査方向に平行に延びる2本のガイド軸17に沿って往復移動可能に構成されている。また、キャリッジ2には、無端ベルト18が連結されており、キャリッジ駆動モータ19によって無端ベルト18が走行駆動されたときに、キャリッジ2は、無端ベルト18の走行にともなって走査方向に移動するようになっている。
【0023】
このキャリッジ2には、インクジェットヘッド3が搭載されている。インクジェットヘッド3は、その下面(図1の紙面向こう側の面)に複数のノズル35(図5参照)を備えている。このインクジェットヘッド3は、搬送機構4により図1の下方(紙送り方向)に搬送される記録用紙Pに対して、図示しないインクカートリッジから供給されたインクを複数のノズル35から噴射するように構成されている。
【0024】
搬送機構4は、インクジェットヘッド3よりも搬送方向上流側に配置された給紙ローラ12と、インクジェットヘッド3よりも搬送方向下流側に配置された排紙ローラ13と、を有している。給紙ローラ12と排紙ローラ13は、それぞれ、給紙モータ10と排紙モータ11により回転駆動される。そして、この搬送機構4は、給紙ローラ12により、記録用紙Pを図1の上方からインクジェットヘッド3へ搬送するとともに、排紙ローラ13により、インクジェットヘッド3によって画像や文字などが記録された記録用紙Pを図1の下方へ排出する。
【0025】
次に、インクジェットヘッド3について説明する。図2は、COF側から見たインクジェットヘッドの平面図である。図3は、インクジェットヘッド側から見たCOFの平面図である。図4は、図2及び図3の部分拡大図であり、(a)は図2のP1部の拡大図であり、(b)は図3のP2部の拡大図である。図5は、図4(a)のA−A線断面図である。なお、図2に示すインクジェットヘッドの平面図では、圧電アクチュエータ31の上方に配置されるCOF50を2点鎖線で示している。また、図3においては、ドライバICと基板側接点を接続する配線の図示を省略している。さらに、図4(a)においては、個別電極をハッチングで示し、図4(b)においては、ソルダーレジストをハッチングで示している。
【0026】
図2〜図5に示すように、インクジェットヘッド3は、インク流路が形成された流路ユニット30と、流路ユニット30のインク流路内のインクに噴射圧力を付与する圧電アクチュエータ31(被接続体)と、圧電アクチュエータ31の上面を覆う配線基板50(Chip On Film:COF)とを有している。
【0027】
流路ユニット30には、図示しない4つのインクカートリッジにそれぞれ接続される4つのインク供給口32と、各インク供給口32に接続され、図2の上下方向(紙送り方向)に沿って延びるマニホールド33と、各マニホールド33に連通した複数の圧力室34と、複数の圧力室34にそれぞれ連通する複数のノズル35が形成されている。
【0028】
複数の圧力室34が紙送り方向に延在するマニホールド33に沿って配列されることで、1つの圧力室列8が構成されている。さらに、走査方向に関して隣接する2つの圧力室列8によって1つの圧力室群7が構成され、流路ユニット30には、走査方向に並んだ合計5つの圧力室群7が設けられている。なお、5つの圧力室群7のうち、図2中右側に位置する2つの圧力室群7は、インク供給口32からブラックインクが供給される、ブラック用の圧力室群7である。また、図2中左側に位置する3つの圧力室群7は、3つのインク供給口32からそれぞれ3色のカラーインク(イエロー、マゼンタ、シアン)が供給される、カラー用の圧力室群7である。
【0029】
複数の圧力室34にそれぞれ連通する複数のノズル35は、流路ユニット30の下面に貫通している。また、これら複数のノズル35も、複数の圧力室34と同様に配列されており、図2中右側には、2つの圧力室群7にそれぞれ対応した、ブラックインクを噴射する2つのノズル群が配置され、図2中左側には、3つの圧力室群7にそれぞれ対応した、3色のカラーインク用を噴射する3つのノズル群が配置されている。
【0030】
圧電アクチュエータ31は、複数の圧力室34を覆うように流路ユニット30に接合された振動板40と、振動板40の上面に配置された圧電層41と、圧電層41の上面に複数の圧力室34と対応して設けられた複数の個別電極42と、複数の個別電極42の端部に形成された複数の入力接点43(電気接点)とを有している。
【0031】
そして、この圧電アクチュエータ31は、後述するCOF50のドライバIC51から個別電極42に所定の駆動信号が供給されたときに、圧電層41に生じる圧電歪みを利用して、振動板40に撓み変形を生じさせるようになっている。この振動板40の撓み変形により圧力室34の容積が変動することで、圧力室34内のインクに圧力が付与され、圧力室34に連通するノズル35からインクが噴射される。複数の入力接点43は、複数のノズル35に対応して紙送り方向に所定間隔をあけて並べて配置されているとともに、この列が走査方向に並べて配置されている。
【0032】
次に、COF50について説明する。図2、図5に示すように、COF50は、複数の個別電極42が配置された圧電アクチュエータ31の上面に接続されており、紙送り方向に沿ってインク供給口32とは反対側に引き出されて、上方に折り曲げられている。また、COF50の引き出された側の先端部近傍にはドライバIC51が配置されている。
【0033】
また、図3及び図4(b)に示すように、COF50は、基板52と、基板52の一方の面に形成された複数の基板側接点53と、基板52の基板側接点53が形成された面に実装されたドライバIC51と、基板52の基板側接点53が形成された面を覆うソルダーレジスト54(被覆膜)とを有している。
【0034】
基板52は、ポリイミドフィルムからなる矩形状の絶縁性基板であり、可撓性を有している。複数の基板側接点53は、銅箔などの金属箔からなり、圧電アクチュエータ31の上面に接続されたときに、基板52の圧電アクチュエータ31と対向する下面52a(図3の紙面手前の面)に形成されており、圧電アクチュエータ31に設けられた複数の入力接点43と対向するように、基板52の長手方向に所定間隔をあけて並べて配置されているとともに、この列が幅方向に並べて配置されている。そして、複数の基板側接点53は、基板52に形成された複数の配線56(図4(b)参照)によってドライバIC51とそれぞれ接続されている。
【0035】
ドライバIC51は、複数の配線56を介して複数の個別電極42のそれぞれに対して駆動信号を供給するものである。ドライバIC51が供給する駆動信号は、電源電位とグランド電位の電位の切り替えによって生成されたパルス信号であり、このパルス信号の波形によってノズル35から噴射される液滴径や噴射タイミングが異なる。
【0036】
ソルダーレジスト54は、絶縁性樹脂からなり、ドライバIC51の実装される領域52b、幅方向の両端に配置された1列の基板側接点53を囲む領域52c、及び、この両端の2列の基板側接点53を除く残りの基板側接点53を走査方向に関して近接する2列の基板側接点53ごとに囲む領域52dを除いて、基板52の下面52aを覆っている。すなわち、ドライバIC51、複数の基板側接点53、及び、複数の基板側接点53の周囲における基板52の下面52aが、ソルダーレジスト54から露出している。
【0037】
次に、COF50と圧電アクチュエータ31との接続構造について説明する。図6は、図4(b)のB−B線断面図である。なお、図6においては、COF50単体の断面図ではなく、COF50に圧電アクチュエータ31が接続されているときの断面図としている。また、圧電アクチュエータ31の振動板40の図示を省略し、COF50と圧電アクチュエータ31の上下関係を逆にして図示している。COF50は、複数の基板側接点53と圧電アクチュエータ31の複数の入力接点43が対向して、基板側接点53と入力接点43をそれぞれ導通(電気的に接続)させながら機械的に接続する複数の導通部60(図5参照)と、圧電アクチュエータ31との接続強度を向上させるための複数の補強部62(図6参照)で、圧電アクチュエータ31に機械的に接続されている。なお、以下の説明においては、機械的に接続することを単に「接続する」と表現する。
【0038】
複数の導通部60は、金属材料と熱硬化性樹脂とを含む導電性樹脂からなり、基板52の複数の基板側接点53と圧電アクチュエータ31の複数の入力接点43との間に設けられて、両者を導通させるとともに、接続している。
【0039】
複数の補強部62は、複数の導通部60と同じ導電性樹脂からなり、基板52と圧電アクチュエータ31の間の、複数の導通部60よりもドライバIC51側(COF50の引き出されている側)において、走査方向に1列に並んで設けられている。そして、各補強部62は、平面視で走査方向に長尺な楕円状をしており、COF50側の接着面50aを見ると、基板側接点53の列を囲む領域52c、52d内の基板52の表面とソルダーレジスト54の表面とにまたがる位置に配置されている。導通部60と補強部62は、ペースト状の導電性樹脂を基板52または圧電アクチュエータ31の所定の位置に塗布して、COF50を圧電アクチュエータ31に向かって加熱しながら加圧することで、導電性樹脂を硬化させて形成される。
【0040】
ところで、COF50は、圧電アクチュエータ31から離れる方向(上方)に折り曲げられて使用されるため、圧電アクチュエータ31から離れる方向の力に抗って、圧電アクチュエータ31から剥離しないように、圧電アクチュエータ31とCOF50の接続強度を向上させる必要がある。
【0041】
しかしながら、圧電アクチュエータ31の圧電層41は圧力がかかりすぎると破壊されやすい。また、導通部60となる導電性樹脂に圧力がかかりすぎると、入力接点43から個別電極42にこの導電性樹脂がはみ出しやすくなる。そして、導電性樹脂が個別電極42まではみ出すと、この個別電極42と重なる圧電層41部分と対向し、撓み変形する振動板40の変形を阻害することになり、ノズル35からのインクの噴射特性が低下してしまう。上述したような問題が生じないように、COF50と圧電アクチュエータ31の接続時に加圧を大きくするのは困難である。
【0042】
そこで、本実施形態においては、圧電アクチュエータ31とCOF50は、複数の導通部60で接続されているのに加えて、さらに、接続補強を目的とした複数の補強部62で接続されている。そして、複数の補強部62は、接続強度をより向上させるために、基板52の表面とソルダーレジスト54の表面とにまたがる位置においてCOF50に接着されている。
【0043】
仮に、補強部62が、COF50の基板52の表面にだけ接着しているときには(これを、以下、比較例1とする)、補強部62自身の強度は比較的強い。そして、COF50を圧電アクチュエータ31の圧電層41から剥離すると、基板52と補強部62の接着面で剥離し、いわゆる界面破壊が生じる。
【0044】
また、補強部62が、COF50のソルダーレジスト54の表面にだけ接着しているときには(これを、以下、比較例2とする)、補強部62内のクラック部分が多く、補強部62自身の強度は弱い。これは、比較例2で補強部62が接着しているソルダーレジスト54が、比較例1で補強部62が接着している基板52よりも硬いことが理由として考えられる。
【0045】
詳述すると、比較例1では、基板52と圧電層41をペースト状の導電性樹脂で接着してから硬化させると、導電性樹脂の硬化時の熱収縮に基板52が追従して、導電性樹脂に引っ張られて圧電層41に近づく方向に若干撓むため、導電性樹脂が硬化して形成された補強部62内のクラック部分は存在しない。一方、比較例2では、ソルダーレジスト54と圧電層41をペースト状の導電性樹脂で接着してから硬化させると、ソルダーレジスト54が硬いために、導電性樹脂の硬化時の熱収縮に追従せずに、熱収縮を阻害することになり、導電性樹脂が硬化して形成された補強部62内のクラック部分が多くなる。したがって、COF50を圧電アクチュエータ31の圧電層41から剥離すると、クラック部分を起点にして破壊が生じる。
【0046】
一方、図6に示すように、本実施形態の実施例として、補強部62が、基板52の表面とソルダーレジスト54の表面とにまたがる位置に接着されている場合において、COF50と圧電層41をペースト状の導電性樹脂で接着してから硬化させると、導電性樹脂の硬化時の熱収縮に、基板52の導電性樹脂と接着されている部分が追従して、導電性樹脂に引っ張られて圧電層41に近づく方向に若干撓む。すると、基板52と圧電層41の間の導電性樹脂に加えて、ソルダーレジスト54と圧電層41の間の導電性樹脂も、この撓みの影響を受けて、熱収縮することが可能となり、導電性樹脂が硬化して形成された補強部62にクラック部分は存在しない。
【0047】
そして、COF50を圧電アクチュエータ31の圧電層41から剥離すると、基板52の表面に補強部62が接着されている部分においては、基板52と補強部62の接着面で剥離し、且つ、ソルダーレジスト54の表面に補強部62が接着されている部分においては、ソルダーレジスト54と補強部62の接着面で剥離せずに、ソルダーレジスト54が破壊されて剥離し、いわゆる基材破壊が生じる。
【0048】
また、比較例1と比較例2を比べると、比較例1のようなポリイミドフィルムからなる絶縁性の基板52と導電性樹脂の接着よりも、比較例2のような絶縁性樹脂からなるソルダーレジスト54と導電性樹脂の接着の方が、化学結合が強く、両者の接着強度が強い。したがって、本実施例は、比較例1と比べて、接着強度の強い接着面を有し、且つ、比較例2の場合と比べて、補強部62自体の強度が向上している。これにより、実施例が、比較例1及び比較例2に比べて、接着強度が強いことがわかる。
【0049】
次に、COF50に対する補強部62の接着位置の違いによる圧電アクチュエータ31とCOF50の接続強度の違いを検証した結果について説明する。図7は、圧電アクチュエータとCOFの接続強度について説明する写真であり、(a)は比較例1におけるCOFと圧電アクチュエータの補強部を含む縦断面図であり、(b)は比較例1におけるCOF側の剥離面であり、(c)は比較例2におけるCOFと圧電アクチュエータの補強部を含む縦断面図であり、(d)は比較例2におけるCOF側の剥離面であり、(e)は実施例におけるCOF側の剥離面である。
【0050】
ここでは、基板52は、厚み38μmのポリイミドフィルム(デュポン社製 カプトンEN−C)からなる矩形状の絶縁性基板を使用している。また、ソルダーレジスト54は、ポリイミド系の絶縁性樹脂(日立化成工業社製 SN−9000)を使用している。そして、導通部60や補強部62となる導電性樹脂は、金属材料であるAgが約8割を占め、残りを熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を使用している。
【0051】
上述したように、補強部62が、COF50側において、基板52の表面とソルダーレジスト54の表面とにまたがる位置に接着されているものを実施例、基板52の表面にだけ接着されているものを比較例1、ソルダーレジスト54の表面にだけ接着されているものを比較例2として、圧電アクチュエータ31からCOF50を剥離したときの、COF50側の剥離面の状態を比較する。
【0052】
図7(a)に示すように、比較例1として、補強部162が、COF150の基板152の表面にだけ接着しているときには、補強部162自身の強度は比較的強い。そして、COF150を圧電アクチュエータ31の圧電層41から剥離すると、図7(b)に示すように、基板152と補強部162の接着面で剥離しており、いわゆる界面破壊が生じている。
【0053】
次に、図7(c)に示すように、比較例2として、補強部262が、COF250のソルダーレジスト254の表面にだけ接着しているときには、補強部262内のクラック部分(補強部262内の黒い線状の部分)が多く、補強部162自身の強度は弱いことがわかる。これは、上述したように、比較例2において補強部262が接着しているソルダーレジスト254は、比較例1において補強部162が接着している基板152よりも硬いことが理由として考えられる。そして、COF250を圧電アクチュエータ31の圧電層41から剥離すると、図7(d)に示すように、クラック部分を起点にして破壊が生じている。
【0054】
一方、図6に示すように、本実施形態の実施例として、補強部62が、基板52の表面とソルダーレジスト54の表面とにまたがる位置に接着されている場合において、COF50と圧電層41をペースト状の導電性樹脂で接着してから硬化させると、導電性樹脂が硬化して形成された補強部62にクラック部分は存在しない。
【0055】
そして、COF50を圧電アクチュエータ31の圧電層41から剥離すると、図7(e)に示すように、基板52の表面に補強部62が接着されている部分においては、基板52と補強部62の接着面で剥離し、且つ、ソルダーレジスト54の表面に補強部62が接着されている部分においては、ソルダーレジスト54と補強部62の接着面で剥離せずに、ソルダーレジスト54が破壊されて剥離しており、いわゆる基材破壊が生じている。この検証結果からも、実施例が、比較例1及び比較例2に比べて、接着強度が強いことがわかる。
【0056】
次に、圧電アクチュエータ31とCOF50の接続方法について説明する。図8は、圧電アクチュエータとCOFとを接続する工程について説明する図であり、(a)は付着工程であり、(b)は接着工程であり、(c)は完成時である。なお、図8において、圧電アクチュエータ31の振動板40の図示は省略し、圧電層41のみ図示している。また、この断面図は、走査方向に沿った導通部60の断面図、及び、走査方向に沿ったCOF50の基板52の表面とソルダーレジスト54の表面とにまたがった補強部62の断面図を図示可能に、一方向に沿った断面図ではなく、紙送り方向にずれた2本の走査方向に沿った断面図からなる。
【0057】
まず、図8(a)に示すように、圧電アクチュエータ31の圧電層41の表面における複数の入力接点43、及び、COF50と対向したときに、基板52の表面とソルダーレジスト54の表面とにまたがる領域と重なり合うようなマスク穴70aが形成されたマスク70を、圧電層41上に設置する。その後、マスク穴70aにペースト状の導電性樹脂71を堆積させた後、マスク70を圧電層41上から取り除く(第1、第2付着工程)。
【0058】
次に、図8(b)に示すように、COF50の長手方向が紙送り方向と平行となるように、圧電アクチュエータ31の圧電層41の上面にCOF50を対向させて配置する。このとき、COF50の複数の基板側接点53と圧電アクチュエータ31の複数の入力接点43が対向するように位置合わせする。すると、入力接点43上ではなく、圧電層41上に形成された導電性樹脂71は、基板52の表面とソルダーレジスト54の表面とにまたがる領域と対向する。
【0059】
そして、COF50を圧電層41と反対側から圧電層41に向かって図示しないヒータにて加熱しながら加圧する。すると、図8(c)に示すように、圧電アクチュエータ31の複数の入力接点43上の導電性樹脂71が、COF50の複数の基板側接点53と導通しながら接続され、硬化して導通部60となるとともに、圧電層41上の導電性樹脂が、COF50の基板52の表面とソルダーレジスト54の表面とにまたがる位置に接続され、硬化して補強部62となる(接着工程)。以上のようにして、COF50と圧電アクチュエータ31は接続される。
【0060】
本実施形態における圧電アクチュエータ31とCOF50の接続構造によると、補強部62をCOF50のソルダーレジスト54の表面と基板52の表面とにまたがる位置(実施例)に配置しているため、補強部62をCOF50の基板52の表面(比較例1)、または、ソルダーレジスト54の表面(比較例2)にだけ配置している場合に比べて、圧電アクチュエータ31とCOF50の接続強度をより向上させて、圧電アクチュエータ31からのCOF50のずれや剥離を防止することができる。
【0061】
また、COF50の引き出された部分に圧電アクチュエータ31から離れる方向の力が加わったときに、最も力を受けるCOF50の走査方向に沿った部分において、複数の補強部62が走査方向に並び、且つ、走査方向に長尺に押しつぶされているため、接続強度をその部分において局所的に向上させることができ、圧電アクチュエータ31からのCOF50の剥離を一層防止することができる。
【0062】
また、圧電層41を含む圧電アクチュエータ31のように、加圧が困難な被接続体に対しても、補強部62をCOF50のソルダーレジスト54の表面と基板52の表面とにまたがる位置に配置することで、導電性樹脂の硬化時の熱収縮に基板52が追従して、導電性樹脂に引っ張られて圧電層41に近づく方向に若干撓む。それにともない、基板52と圧電層41の間の導電性樹脂に加えて、ソルダーレジスト54と圧電層41の間の導電性樹脂も、この撓みの影響を受けて、熱収縮することが可能となり、導電性樹脂が硬化して形成された補強部62のクラック部分が存在しなくなる。したがって、加圧が困難な圧電アクチュエータ31などの被接続体とCOF50の接続強度を向上させることができる。
【0063】
次に、本実施形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、上述した実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0064】
本実施形態においては、検証用のソルダーレジスト54として、ポリイミド系の絶縁性樹脂(日立化成工業社製 SN−9000)を例に挙げて説明したが、エポキシ系の絶縁性樹脂(例えば、アサヒ化学研究所製 CCR−232GF)やアクリル系の絶縁性樹脂(例えば、PSR)をソルダーレジストの材料としてもよい。このように、ソルダーレジストとして、エポキシ系の絶縁性樹脂やアクリル系の絶縁性樹脂を使用したとしても、化学結合が強い接着面を得ることができ、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0065】
また、本実施形態においては、基板52として、ポリイミドフィルムを用いていたが、ポリイミドフィルムに限らず、一般的なフィルム状の基板であれば、ソルダーレジスト54よりも可撓性を有しているのは、当然であり、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0066】
さらに、本実施形態においては、1つの補強部62は、走査方向に長尺に押しつぶされた1つのバンプ状の導電性樹脂からなっていたが、1つの補強部が、複数のバンプ状の導電性樹脂が密集して配置されたバンプ群で構成されていてもよい(変形例1)。図9は、変形例1における図4(b)相当の図である。例えば、図9に示すように、1つの補強部80は、複数のバンプ状の導電性樹脂81が密集して走査方向に並んで配置されたバンプ群82で構成されており、それぞれが接続時の加圧により押しつぶされて接続している。なお、補強部80は、導通を目的としていないため、複数の導電性樹脂81は互いに接続されていなくてもよい。上述した実施形態では、圧電アクチュエータ31とCOF50の間において、加圧により押しつぶされる補強部62の広がり方を制御するのは比較的困難であり、広がってほしくない方向に広がるおそれがある。例えば、補強部62が導通部60に向かって広がってしまい、導通部60とショートしてしまうと、導通部60の抵抗値が大きくなってしまうことなどが懸念される。そこで、上述した変形例のように、複数のバンプ状の導電性樹脂81から構成されるバンプ群82を補強部80とすることで、それぞれのバンプ状の導電性樹脂81の配置を決めるだけで、補強部80の形状を容易に制御することができる。
【0067】
また、本実施形態においては、補強部62は、COF50の引き出される方向と直交する方向(走査方向)に沿って、COF50の、ソルダーレジスト54の表面と基板52の表面にまたがる位置に配置されていた、すなわち、COF50との接着面の、補強部62の基板52の表面に接着されている部分と補強部62のソルダーレジスト54の表面に接着されている部分は、走査方向に並んで配置されてが、どのように配置されていてもよい(変形例2)。例えば、図10(a)に示すように、補強部162は、引き出される方向に向かって、COF150の、基板52の表面、ソルダーレジスト154の表面の順にまたがる位置に配置されていてもよい。そして、補強部162は、COF150の長手方向の折り曲げられる位置よりも基板側接点53側に配置されている。さらに、ソルダーレジスト154が、円弧状に形成されており、補強部162は、ソルダーレジスト154の円弧部分と基板52の表面にまたがった位置に配置されている。これにより、補強部162は、折り曲げ位置から離れて配置されているため、COF150を折り曲げた際に補強部162に加わる力を小さくして、圧電アクチュエータ31からの剥離を防止することができる。また、補強部162が円弧状のソルダーレジスト154にまたがっていることで、接続強度がより向上する。
【0068】
さらに、上述した図10(a)の形態の補強部162を、基板側接点53から離して配置してもよい。例えば、図10(b)に示すように、補強部262は、図10(a)に示す補強部162よりも最も近くに位置していた基板側接点53から離れるように右側にずれて配置されている。このように、補強部262をどの基板側接点53からもできるだけ離れた位置に配置することで、マイグレーションやショートの危険性を低減することができる。
【0069】
また、本実施形態においては、COF50との接着面の、補強部62の基板52の表面に接着されている部分と補強部62のソルダーレジスト54の表面に接着されている部分は、補強部62の長尺方向に並んで配置されていたが、どのように配置されていてもよい。例えば、補強部62のソルダーレジスト54の表面に接着されている部分を、補強部62の基板52の表面に接着されている部分が囲んでいてもよい。
【0070】
また、本実施形態においては、第1、第2付着工程において、COF50側ではなく、圧電アクチュエータ31側に導通部60や補強部62となる導電性樹脂71を付着させていたが、COF50側にこの導電性樹脂71を付着させてもよい。
【0071】
さらに、本実施形態では、補強部62は、機械的な接続だけを目的としていたが、例えば、GNDなどの導通用として使用されてもよい。
【0072】
以上説明した実施形態及びその変更形態は、インクジェットヘッドの圧電アクチュエータとCOFの接続構造及び接続方法に本発明を適用したものであるが、本発明の適用対象はこのような圧電アクチュエータへの接続構造には限られるものではない。例えば、液晶ディスプレイの液晶セルと液晶セルを駆動するドライバICが実装されたCOFの接続構造及び接続方法など、その用途にかかわらず、あらゆる被接続体と配線基板の接続構造や接続方法に本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 プリンタ
31 圧電アクチュエータ
43 入力接点
50 COF
52 基板
53 基板側接点
54 ソルダーレジスト
60 導通部
62 補強部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接点を備えた被接続体に配線基板を接続する配線基板の接続構造であって、
前記配線基板は、前記被接続体と対向する面に基板側接点が設けられた絶縁性樹脂からなる可撓性基板と、
前記可撓性基板の前記被接続体と対向する面を、前記基板側接点及び一部領域を除いて覆う被覆膜と、を有しており、
前記被接続体の前記電気接点と前記配線基板の前記基板側接点は、金属材料と熱硬化性樹脂とを含む導電性樹脂からなる導通部を介して電気的に接続されており、
前記被接続体と前記配線基板の間には、前記導通部に加えて、前記導通部と同じ前記導電性樹脂からなり、前記被接続体と前記配線基板を機械的に接続する補強部が設けられており、
前記補強部は、前記配線基板の、前記導通部とは異なる位置であり、且つ、前記被覆膜の表面と前記可撓性基板の前記一部領域の表面とにまたがる位置に配置されていることを特徴とする配線基板の接続構造。
【請求項2】
前記被接続体は、圧電層を含む圧電アクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載の配線基板の接続構造。
【請求項3】
前記補強部は、複数のバンプが密集して配置されたバンプ群で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板の接続構造。
【請求項4】
前記配線基板は、前記被接続体と接続された領域から所定の一方向に引き出されており、
1つの前記バンプ群に属する前記複数のバンプは、前記配線基板の、前記基板側接点よりも前記一方向側において、前記配線基板と平行で且つ前記一方向と直交する幅方向に並べて配置されていることを特徴とする請求項3に記載の配線基板の接続構造。
【請求項5】
前記配線基板は、前記被接続体と接続された領域から所定の一方向に引き出されており、
前記補強部は、前記配線基板の、前記基板側接点よりも前記一方向側に配置されており、前記配線基板と平行で且つ前記一方向と直交する幅方向に長尺な形状を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板の接続構造。
【請求項6】
前記配線基板は、前記被接続体と接続された領域から所定の一方向に引き出されており、
前記補強部は、引き出される方向に向かって、前記配線基板の、前記可撓性基板の表面、前記被覆膜の表面の順にまたがる位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の配線基板の接続構造。
【請求項7】
電気接点を備えた被接続体に、前記被接続体と対向する面に基板側接点が設けられた絶縁性樹脂からなる可撓性基板と、前記可撓性基板の前記被接続体と対向する面を、前記基板側接点及び一部領域を除いて覆う被覆膜とを有する配線基板に接続する配線基板の接続方法であって、
前記被接続体の前記電気接点の上、または、前記配線基板の前記基板側接点の上に、金属材料と熱硬化性樹脂とを含む導電性樹脂を付着させる第1付着工程と、
前記配線基板との接続姿勢において、前記被接続体の、前記配線基板における前記被覆膜の表面と前記可撓性基板の前記一部領域の表面とにまたがる領域と対向する領域、または、前記配線基板の、前記被覆膜の表面と前記可撓性基板の前記一部領域の表面とにまたがる領域に、前記導電性樹脂を付着させる第2付着工程と、
前記第1付着工程及び前記第2付着工程の後に、前記被接続体の前記電気接点と前記配線基板の前記基板側接点が対向するように位置合わせして、前記被接続体と前記配線基板を互いに加熱しながら押し付けて、前記被接続体と前記配線基板を接着する接着工程と、を備えており、
前記接着工程において、
前記第1付着工程で付着させた前記導電性樹脂は、前記電気接点と前記基板側接点を電気的に接続しており、
前記第2付着工程で付着させた前記導電性樹脂は、前記被接続体と前記配線基板の機械的な接続を補強していることを特徴とする配線基板の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−69548(P2012−69548A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210420(P2010−210420)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】