説明

配線基板用コネクタ

【課題】端子が大きく変形しても半田部分に大きな応力が生じないようにするとともに寸法誤差や位置ずれを吸収できる。
【解決手段】相手方配線基板のコネクタ及び端子を収容するボックス状のコネクタ7を配設した可動ハウジング3と、この可動ハウジング3を変位可能に取り付けた固定ハウジング1と、この固定ハウジング1に固定された配線基板2と、この配線基板2に半田付けされ固定ハウジング1内に位置して前記可動ハウジング3内のコネクタ7に機械的に接合された端子6とを備えた配線基板用コネクタにおいて、前記配線基板2に半田付けされた端子6を板状に形成し、この端子6の表裏面から見てジグザグ状の弾性変形部60を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の配線基板用コネクタとしては、一方の配線基板にポスト受け用のコネクタを複数設け、他方の配線基板にポストを持つコネクタを複数設け、ポストをポスト受けに嵌合して両コネクタを接続することにより、両配線基板を電気的機械的に接合したものが知られている。
【0003】
上述した従来例では、両コネクタの取付位置が正確ではなく、誤差があると、ポストの位置とポストを挿入する孔の位置が合わず、両コネクタの接続が困難となり、基板同士を電気的機械的に接合することができないという不都合が生じていた。
【0004】
複数のコネクタ同士の寸法誤差を吸収するとともに、用いるコネクタ自体の背が高くなって実装上問題を生じさせることのないように背が高くならないように工夫したものが開発された。例えば、図8ないし図10に示すように、ポスト14…を挿入する挿入孔10…を横2列に複数個穿設したハウジング11を両側方向に移動自在に収納した枠状の外殻体12と、ハウジング11の浮き防止と外殻体12のプリント基板への固定のための金具13とを備え、ハウジング11の各挿入孔10は独立した角孔であって夫々の挿入孔10にはコンタクト15の接触ばね片15aをハウジング11の下面側から上方向に向けて挿入してあり、挿入孔10の上面開口よりポスト14が挿入されたときに接触ばね片15aが、それに並行する内壁面方向にポスト14を弾接して電気的に接続するようになっているものが知られている。前記コンタクト15は、金属ばね材を折り曲げ形成されたもので、接触ばね片15aの下端の両側に設けた突起15eを挿入孔10の内壁に圧接することにより接触ばね片15aを挿入孔10に圧入固定し、更に接触ばね片15aの下端より外側方へ延長した延長片を更にハウジング11の外側壁面に並行するように逆U字状に折り曲げて、逆U字状ばね片15bを形成し、この逆U字状ばね片15bの外側辺の下端部を、外殻体12の両側内側壁下部に各コンタクト15に対応して設けた溝16に圧入固定している。この際、逆U字状ばね片15bの外側辺の下端部両側に突設した突起15cが溝16の両側内壁面に圧接することになる。
【0005】
また、前述したコンタクト15は更に逆U字状ばね片15bの外側辺の下端を外側方へ延長してその延長片で、プリント基板のパターンにリフロー半田により固定接続するための端子13dを構成している。外殻体12の両端外面に設けた金具13は両側脚の下端に設けた固定片13aによりプリント基板に対してリフロー半田で固定され、また、中央片より外殻体12を貫通させて外殻体12内に突出させた突片をハウジング11の両端外面下部に突設した凸部の上方に位置させ、ハウジング11の上方への動きを規制するようになっている。
【0006】
上述のように構成された従来例のコネクタは各コンタクト15の端子15d及び金具13の固定片13aをリフロー半田でプリント基板のパターンに半田付けすることにより、プリント基板に実装される。別のプリント基板に設けたコネクタのポスト14を接合するに際してコネクタの取付けピッチに誤差があった場合には、ハウジング11をコンタクト15の逆U字状ばね片15bを撓ませながら側方に移動させて誤差を吸収し、ポスト14の位置とハウジング11の挿入孔10との位置を合わせ、スムーズな挿入接合ができるようになっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−163125号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の従来例は、逆U字状ばね片15bを弾性変形させることでハウジング11が左右に移動し、基板同士の誤差吸収を図っているものであるが、コンタクト15をハウジング11に組み付けるときに、コンタクト15の変形が生じ易く、コンタクト15の端子15d(半田部分)に大きな応力が作用するおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は、コンタクト(端子)が大きく変形しても半田部分に直接大きな応力が生じないようにするとともに、簡易な構成でも両配線基板に設けた両コネクタの寸法誤差や基板同士の位置ずれを吸収できる配線基板用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明は、相手方配線基板のコネクタ及び端子を収容するボックス状のコネクタを配設した可動ハウジングと、この可動ハウジングを変位可能に取り付けた固定ハウジングと、この固定ハウジングに固定された配線基板と、この配線基板に半田付けされ固定ハウジング内に位置して前記可動ハウジング内のコネクタに機械的に接合された端子とを備えた配線基板用コネクタにおいて、前記配線基板に半田付けされた端子を板状に形成し、この端子の表裏面から見てジグザグ状の弾性変形部を形成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、相手方配線基板のコネクタ及び端子を収容するボックス状のコネクタを配設した可動ハウジングと、この可動ハウジングを変位可能に取り付けた固定ハウジングと、この固定ハウジングに固定された配線基板と、この配線基板に半田付けされ固定ハウジング内に位置して前記可動ハウジング内のコネクタに機械的に接合された端子とを備えた配線基板用コネクタにおいて、前記配線基板に半田付けされた端子を板状に形成し、この端子の表裏面から見てジグザグ状の弾性変形部を形成したので、端子が大きく変形しても、すなわちU字状と逆U字状の各部分が撓んでも、その基板固定部分に直接大きな応力が生じない。そのため、端子の半田が剥離するおそれはなくなった。また、上述したような簡易な構成ではあるが、配線基板の位置ずれを吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照にして説明する。
【0012】
図1及び図2において、従来の外殻体12に相当する固定ハウジング1を配線基板2に固定し、この固定ハウジング1に可動ハウジング3を変位可能に取り付けてある。なお、図1及び図2の例は、自動車の内装パネルに組み付けられるハーネスに備えたジャンクションボックス(電気接続箱)と電子ユニットとの接合を示す。
【0013】
可動ハウジング3の固定ハウジング1への取り付けは、可動ハウジング3の可動方向の両端に設けた係合片4を図3に示す固定ハウジング1の係合部5に係合させて図っている。また、配線基板2に端子6を半田付けして固定するとともに、これら端子6は固定ハウジング1内から可動ハウジング3内へ配設されている。
【0014】
前記配線基板2に半田付けされた複数の端子6は、図4及び図5に示すように、可動ハウジング3内に位置するボックス状のコネクタ7と機械的に接合され(あるいは一体成型され)、図示しない相手方の端子とコネクタがこのコネクタ7に電気的機械的に接続する。前記端子6は、板状の金属ばね材(好適にはMSP1)を打ち抜いて形成したものであり、先端部の接合部6a、コ字状の折曲部6b、延長部6c、固定部6d、基部6eを備えている。前記接合部6aから折曲部6bまでのジグザグ状の部分は、この板状の端子6の表裏面方向、すなわち可動ハウジング3の可動方向に変形可能な弾性変形部60となる。コネクタ7に接続される図示しない相手方コネクタと端子との接合位置に寸法誤差が生じていた場合、端子6の弾性変形部60が図5において表裏方向に弾性変形して取付位置の誤差を吸収することができる。
【0015】
図6及び図7は、図4及び図5に示す端子6及びボックス状のコネクタ7の可動ハウジング3内の配設状態を示す断面であり、固定部6dは固定ハウジング1との固定を図り、この固定部6dよりも上部の端子6とコネクタ7は可動ハウジング3内に埋設され、コネクタ7の上端開口に相手方のコネクタ及び端子が挿入され、電気的接続が図られる。このとき、相手方とコネクタ7との位置がずれていても、端子6の弾性変形部60も変形し、可動ハウジング3が可動して接続を可能にする。図6からも明らかなように、端子6は、可動ハウジング3内の複数のコネクタ6間を隔てる隔壁(符号なし)の延長線上に位置させてあるので、可動ハウジング3の小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の好適な実施形態を示す正面図。
【図2】側面図。
【図3】可動ハウジングの固定ハウジングへの取付部詳細断面図。
【図4】コネクタと端子の正面図。
【図5】コネクタと端子の側面図。
【図6】側断面図。
【図7】正断面図。
【図8】従来例を示す断面図。
【図9】従来例の斜視図。
【図10】コンタクトの斜視図。
【符号の説明】
【0017】
1 固定ハウジング
2 配線基板
3 可動ハウジング
6 端子
7 コネクタ
60 弾性変形部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方配線基板のコネクタ及び端子を収容するボックス状のコネクタを配設した可動ハウジングと、この可動ハウジングを変位可能に取り付けた固定ハウジングと、この固定ハウジングに固定された配線基板と、この配線基板に半田付けされ固定ハウジング内に位置して前記可動ハウジング内のコネクタに機械的に接合された端子とを備えた配線基板用コネクタにおいて、
前記配線基板に半田付けされた端子を板状に形成し、この端子の表裏面から見てジグザグ状の弾性変形部を形成したことを特徴とする配線基板用コネクタ。
【請求項2】
前記可動ハウジング内に複数配設されたコネクタ間を隔てる隔壁の延長線上に端子を配置したことを特徴とする請求項1に記載の配線基板用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−305531(P2007−305531A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135362(P2006−135362)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】