説明

配線基板

【課題】電子部品の配置を正確に行うことができると共に、配線基板と電子部品の隙間を無くすことができる配線基板を提供する。
【解決手段】ホールIC12が配線基板10上に配され、ホールIC12の3本のリード端子14,16,18が複数のパッド20,22,24に半田で接続され、ホールIC12の外形に沿って、かつ、これを囲うように線状の模様が配線基板10上にシルクスクリーン印刷されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ等に使用され電子部品を配線接続するための配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近のモールドモータは、その駆動回路を設けた配線基板を、固定子と共にモールド樹脂でモールド成形してケーシング内部に内蔵しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−96905公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の配線基板200の一例を図4に示す。この配線基板200は、上記のようにモールドモータに埋設されるものであり、配線基板200の上には、電子部品202の種類や配置が判別できるように、シルクスクリーン印刷により模様204が施されている。
【0004】
しかしながら、この配線基板200上の模様204は、電子部品202の下にもシルクスクリーン印刷されてしまうため、電子部品202とパッド206の高さがシルクスクリーン印刷の厚みの分だけ大きくなる。そのため、この配線基板200をモールドモータにモールド樹脂によって埋設するときに、この厚みの分だけ電子部品202が配線基板200より浮き上がり、この浮き上がった隙間からモールド成形時にモールド樹脂が入り込み、さらに電子部品202を配線基板200から浮き上がらせて、電子部品202のリード端子208が折れてしまうという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、電子部品の配置を正確に行うことができると共に、配線基板と電子部品の隙間を無くすことができる配線基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、電子部品が配線基板上に配され、前記電子部品の複数のリード端子が前記配線基板上にある複数のパッドに固定、かつ、電気的にそれぞれ接続される配線基板において、前記電子部品の外形に沿って、前記電子部品を囲う線状の模様が、前記配線基板上に印刷されていることを特徴とする配線基板である。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記電子部品の底面が前記配線基板上に密着していることを特徴とする請求項1記載の配線基板である。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記印刷がシルクスクリーン印刷であり、前記模様が前記複数のパッドの間にも印刷されていることを特徴とする請求項1記載の配線基板である。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記電子部品がホール素子、または、ホールICであることを特徴とする請求項1記載の配線基板である。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記配線基板がモールドモータに埋設されていることを特徴とする請求項1記載の配線基板である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明の配線基板であると、電子部品の外形に沿って、電子部品を囲う線状の模様が配線基板上に印刷されているため、電子部品の種類及び配置を正確に認識することができる。また、電子部品の底面側には印刷が施されていないため、電子部品と配線基板の隙間を無くすことができる。
【0012】
請求項2に係る発明の配線基板であると、電子部品の底面が配線基板上に密着していることにより、電子部品を安定して取り付けることができ、リード端子が折れたりすることがない。
【0013】
請求項3に係る発明の配線基板であると、印刷がシルクスクリーン印刷であり、模様が複数のパッドの間にも印刷されているため、リード端子をパッドに半田によって接続する場合に、この半田がシルクスクリーン印刷により、隣接するパッドに流れることがなく、パッド間が短絡することがない。
【0014】
請求項4に係る発明の配線基板であると、電子部品が位置精度を要求されるホールIC、または、ホール素子であっても、正確に配線基板に取り付けることができる。
【0015】
請求項5に係る発明の配線基板であると、配線基板がモールドモータに埋設され、モールド樹脂によって成形されても、配線基板と電子部品の間の隙間が無いため、モールド樹脂がこの間に侵入し、電子部品を浮き上がらせて電子部品のリード端子を折ったりすることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態の配線基板10について図1〜図3に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態の配線基板10が取り付けられるモールドモータ100は、三相のブラシレスDCモータであり、配線基板10には、ブラシレスDCモータの駆動回路を構成するホールIC12などの電子素子が設けられている。
【0018】
(1)モールドモータ100の構造
まず、図3に基づいてモールドモータ100の構造について説明する。
【0019】
モールドモータ100の固定子112は、固定子鉄心114にプレモールドを施して絶縁層116が形成され、この絶縁層116を介してスロットに固定子巻線118が巻回されている。
【0020】
固定子112の反出力側から突出した絶縁層116には、ドーナツ状の配線基板10が取付けられている。
【0021】
配線基板10と固定子112とを、金型内部に収納しモールド樹脂によって一体に成形しモータフレーム122を形成する。このモータフレーム122を形成するときに、反出力側のブラケット124も同時にモールド樹脂によって一体に成形する。
【0022】
モータフレーム122の内部に設けられた空洞部に回転子126をベアリング128,130によって回転自在に支持する。回転軸132の反出力側にベアリング128が取付けられ、ブラケット124に固定されている。回転軸132の出力側にはベアリング130が取付けられ、ブラケット136によって固定されている。ブラケット136は、回転子126をモータフレーム122の空洞部に収納した後に、モータフレーム122の縁部に嵌合する。
【0023】
(2)配線基板10の構造
図1は、配線基板10にホールIC12を取り付けた斜視図であり、図2はその平面図である。このホールIC12は、モールドモータの回転子の位置を検出するためのものであり、配線基板10に3個取り付けられ、その取り付け位置は回転子132の永久磁石の位置を正確に検出できる位置に取り付けられる。
【0024】
配線基板10の上には、ホールIC12を接続するために、パッド20,22,24が設けられている。パッド20,22,24は、ホールIC12の3本のリード端子14,16,18を半田によって固定及び電気的に接続するためのものである。これらパッド20,22,24は、リード端子14,16,18の位置に対応するように設けられ、詳しくは、パッド22,24が並列して設けられ、パッド20が前記パッド22,24と相対向する位置に設けられ、3個のパッド20,22,24としては三角状に配置されている。
【0025】
この3個のパッド20,22,24を囲むように線状の第1の模様26がシルクスクリーン印刷されている。この第1の模様26は、長方形状に印刷されている。
【0026】
この第1の模様26の内部であって、前記ホールIC12の平面形状の外形に沿って、前記ホールIC12を囲むように線状の第2の模様28がシルクスクリーン印刷されている。この第2の模様28は、パッド20の部分を除いてコ字状に印刷されている。
【0027】
さらに、パッド22,24の間にも第1の模様26から連続して第3の模様30がシルクスクリーン印刷されている。
【0028】
なお、シルクスクリーン印刷とは、エポキシ樹脂を主材料としたシルクインクで印刷することであり、配線基板10に対し模様が明確に識別できるために、第1の模様26と第2の模様28と第3の模様30の色は、赤色、青色、緑色、黄色、白色などによって印刷を行う。
【0029】
上記のように配線基板10の上に第1の模様26と第2の模様28と第3の模様30が印刷されていることにより、次のような効果がある。
【0030】
第1の模様26によって、ホールIC12を配置する大まかな位置が判別できると共に、パッド20,22,24にリード端子14,16,18を半田により取り付ける場合に、この半田が第1の模様26以外の部分に流れ出て、他の部品と短絡することがない。
【0031】
第2の模様28は、ホールIC12の取り付ける位置を示しており、この第2の模様28に沿って図2に示すようにホールIC12を取り付けることによって正確に配線基板10にホールIC12を位置決めすることができる。特に、ホールIC12は、モールドモータ100の回転子132の位置検出するためにその位置精度が非常に重要であり、この第2の模様28に沿って取り付けることによりこの位置精度を保持することができる。また、第2の模様28はコ字状に印刷され、ホールIC12の底面にはシルクスクリーン印刷されていない。そのため、ホールIC12を配線基板10の上に密着して取り付けることができる。そのため、モールド樹脂によって配線基板10を埋設する場合に、モールド樹脂がホールIC12と配線基板10の間に侵入しホールIC12を浮き上がらせてリード端子14,16,18を折ったりすることがない。
【0032】
第3の模様30は、パッド22,24が隣接して配され、この第3の模様30によって半田が流れることがなくパッド22,24が短絡することがない。
【0033】
(変更例)
本発明は上記実施形態に限らずその主旨を逸脱しない限り種々に変更することができる。
【0034】
上記実施形態では、ホールIC12を配線基板10に取り付ける構造について示したが、電子部品はホールICに限らず、ホール素子や抵抗素子、コンデンサ素子、トランジスタ、FET等の電子部品でも同様に応用することができる。特に、その取り付け位置精度が要求される電子部品に好適である。
【0035】
上記実施形態では、配線基板10に印刷される模様は、第1の模様26,第2の模様28,第3の模様30で説明したが、この模様の形状はこの実施形態のものに限らず、電子部品の外形に沿って電子部品を囲う線状の模様であればこの模様に限らない。
【0036】
上記実施形態では、モールドモータに埋設される配線基板10について説明したが、このモールドモータ100の中に埋設される配線基板10以外でも本実施形態の構造を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、電子部品の取り付け位置精度が要求される配線基板に好適であり、例えば、モールドモータのホール素子やホールICの取り付けられた配線基板に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態を示すホールICと配線基板の斜視図である。
【図2】同じく配線基板とホールICの平面図である。
【図3】モールドモータの縦断面図である。
【図4】従来の配線基板とホールICの平面図である。
【符号の説明】
【0039】
10 配線基板
12 ホールIC
14,16,18 リード端子
20,22,24 パッド
26 第1の模様
28 第2の模様
30 第3の模様
100 モールドモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が配線基板上に配され、前記電子部品の複数のリード端子が前記配線基板上にある複数のパッドに固定、かつ、電気的にそれぞれ接続される配線基板において、
前記電子部品の外形に沿って、前記電子部品を囲う線状の模様が、前記配線基板上に印刷されている
ことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記電子部品の底面が前記配線基板上に密着している
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記印刷がシルクスクリーン印刷であり、
前記模様が前記複数のパッドの間にも印刷されている
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項4】
前記電子部品がホール素子、または、ホールICである
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項5】
前記配線基板がモールドモータに埋設されている
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−80243(P2006−80243A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261627(P2004−261627)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(398061810)日本電産シバウラ株式会社 (197)
【Fターム(参考)】