説明

配線板

【課題】絶縁性コア基板に薄い導体パターンと厚い導体パターンを段差ができることなく重ねて配置することができるとともに、薄い導体パターンと厚い導体パターンとを電気的に接続することができる配線板を提供する。
【解決手段】第二の導体パターン52,53に凹部85,86、貫通孔80,81が形成され、凹部85,86の絶縁性コア基板30側の開口部と貫通孔80,81の絶縁性コア基板30側の開口部とは互いに繋がるように形成されている。第一の導体パターン41,42が凹部85,86の開口部に延設され、はんだ90,91により第一の導体パターン41,42と第二の導体パターン52,53とが電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配線板に関する技術として、支持体上に配線を重ねて配置する技術がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−91716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パターニングした銅板を絶縁性コア基板に接着して基板を構成する場合、絶縁性コア基板に薄い銅板と厚い銅板を重ねると、表面に段差ができ、積層プレス時にうまく銅板表面の面押しができない課題がある。
【0005】
本発明の目的は、絶縁性コア基板に薄い導体パターンと厚い導体パターンを段差ができることなく重ねて配置することができるとともに、薄い導体パターンと厚い導体パターンとを電気的に接続することができる配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、パターニングされた第一の導体パターンと、パターニングされた第二の導体パターンとが絶縁性コア基板における同一面に接着された配線板であって、前記第一の導体パターンは前記第二の導体パターンに比べて厚さが薄く、かつ、電流経路の断面積が前記第二の導体パターンにおける電流経路の断面積よりも小さく、前記第二の導体パターンに前記絶縁性コア基板側が開口する凹部が形成されるとともに前記絶縁性コア基板側と前記絶縁性コア基板と反対側とが開口する貫通孔が形成され、前記凹部の前記絶縁性コア基板側の開口部と前記貫通孔の前記絶縁性コア基板側の開口部とは互いに繋がるように形成され、前記第一の導体パターンが前記絶縁性コア基板における前記凹部の前記絶縁性コア基板側の開口部に延設されるとともに、前記貫通孔の絶縁性コア基板と反対側の開口部から充填された導電材により前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとが電気的に接続されてなることを要旨とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、第一の導体パターンが絶縁性コア基板における凹部の絶縁性コア基板側の開口部に延設される。このとき、厚い第二の導体パターンの表面に段差ができない。また、貫通孔の絶縁性コア基板と反対側の開口部から充填された導電材により第一の導体パターンと第二の導体パターンとを電気的に接続することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、パターニングされた第一の導体パターンと、パターニングされた第二の導体パターンとが絶縁性コア基板における同一面に接着された配線板であって、前記第一の導体パターンは前記第二の導体パターンに比べて厚さが薄く、かつ、電流経路の断面積が前記第二の導体パターンにおける電流経路の断面積よりも小さく、前記第一の導体パターンは屈曲部が形成され、前記絶縁性コア基板に前記屈曲部が入り込む凹部が形成されるとともに、前記凹部の開口部に延設された前記第二の導体パターンにおける前記凹部の開口部に対応する所に前記絶縁性コア基板側と前記絶縁性コア基板と反対側とが開口する貫通孔が形成され、前記貫通孔の絶縁性コア基板と反対側の開口部から充填された導電材により前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとが電気的に接続されてなることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、絶縁性コア基板に屈曲部が入り込む凹部が形成され、凹部の開口部に延設された第二の導体パターンにおける凹部の開口部に対応する所に絶縁性コア基板側と絶縁性コア基板と反対側とが開口する貫通孔が形成されている。厚い第二の導体パターンの表面に段差ができない。また、貫通孔の絶縁性コア基板と反対側の開口部から充填された導電材により第一の導体パターンと第二の導体パターンとを電気的に接続することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、パターニングされた第一の導体パターンを有する配線基板と、パターニングされた第二の導体パターンとが絶縁性コア基板における同一面に接着された配線板であって、前記配線基板は前記第二の導体パターンに比べて厚さが薄く、かつ、電流経路の断面積が前記第二の導体パターンにおける電流経路の断面積よりも小さく、前記第二の導体パターンに前記絶縁性コア基板側が開口する凹部が形成されるとともに前記絶縁性コア基板側と前記絶縁性コア基板と反対側とが開口する貫通孔が形成され、前記凹部の前記絶縁性コア基板側の開口部と前記貫通孔の前記絶縁性コア基板側の開口部とは互いに繋がるように形成され、前記第一の導体パターンが前記絶縁性コア基板における前記凹部の前記絶縁性コア基板側の開口部に延設されるとともに、前記貫通孔の絶縁性コア基板と反対側の開口部から充填された導電材により前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとが電気的に接続されてなることを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、第一の導体パターンが絶縁性コア基板における凹部の絶縁性コア基板側の開口部に延設される。このとき、厚い第二の導体パターンの表面に段差ができない。また、貫通孔の絶縁性コア基板と反対側の開口部から充填された導電材により第一の導体パターンと第二の導体パターンとを電気的に接続することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、パターニングされた第一の導体パターンを有するフレキシブル配線基板と、パターニングされた第二の導体パターンとが絶縁性コア基板における同一面に接着された配線板であって、前記フレキシブル配線基板は前記第二の導体パターンに比べて厚さが薄く、かつ、電流経路の断面積が前記第二の導体パターンにおける電流経路の断面積よりも小さく、前記フレキシブル配線基板は屈曲部が形成され、前記絶縁性コア基板に前記屈曲部が入り込む凹部が形成されるとともに、前記凹部の開口部に延設された前記第二の導体パターンにおける前記凹部の開口部に対応する所に前記絶縁性コア基板側と前記絶縁性コア基板と反対側とが開口する貫通孔が形成され、前記貫通孔の絶縁性コア基板と反対側の開口部から充填された導電材により前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとが電気的に接続されてなることを要旨とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、絶縁性コア基板に屈曲部が入り込む凹部が形成され、凹部の開口部に延設された第二の導体パターンにおける凹部の開口部に対応する所に絶縁性コア基板側と絶縁性コア基板と反対側とが開口する貫通孔が形成されている。厚い第二の導体パターンの表面に段差ができない。また、貫通孔の絶縁性コア基板と反対側の開口部から充填された導電材により第一の導体パターンと第二の導体パターンとを電気的に接続することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線板において、前記絶縁性コア基板における前記第一の導体パターンと第二の導体パターンを配した面とは反対面に、パターニングした裏面用金属板を接着してなることを要旨とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、両面基板とすることができる。
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の配線板において、前記裏面用金属板による導体パターンにてトランスの一次側コイルを構成するとともに、前記第二の導体パターンにて前記トランスの二次側コイルを構成してなることを要旨とする。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、基板の両面にコイルを有するトランスを構成することができる。
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の配線板において、前記第一の導体パターンにて前記トランスの二次側コイルの通電電流または電圧の検出用ラインを構成したことを要旨とする。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、容易にトランスの二次側コイルの通電電流または電圧を検出する構造を構築することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、絶縁性コア基板に薄い導体パターンと厚い導体パターンを段差ができることなく重ねて配置することができるとともに、薄い導体パターンと厚い導体パターンとを電気的に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は第1の実施形態における電子機器の平面図、(b)は電子機器の正面図。
【図2】電子機器の下面図。
【図3】(a)は図1(a)のA−A線での電子機器の縦断面図、(b)は図1(a)のB−B線での電子機器の縦断面図。
【図4】(a)は製造工程を説明するための電子機器の平面図、(b)は製造工程を説明するための電子機器の正面図。
【図5】(a)は図4(a)のA−A線での電子機器の縦断面図、(a)は図4(a)のB−B線での電子機器の縦断面図。
【図6】(a)は製造工程を説明するための電子機器の平面図、(b)は製造工程を説明するための電子機器の正面図。
【図7】(a)は図6(a)のA−A線での電子機器の縦断面図、(a)は図6(a)のB−B線での電子機器の縦断面図。
【図8】(a)は第2の実施形態における電子機器の平面図、(b)は(a)のA−A線での電子機器の縦断面図。
【図9】(a)は製造工程を説明するための電子機器の平面図、(b)は(a)のA−A線での電子機器の縦断面図。
【図10】(a)は製造工程を説明するための電子機器の平面図、(b)は(a)のA−A線での電子機器の縦断面図。
【図11】(a)は製造工程を説明するための電子機器の平面図、(b)は(a)のA−A線での電子機器の縦断面図。
【図12】(a)は別例の電子機器の平面図、(b)は電子機器の正面図。
【図13】(a)は別例の電子機器の下面図、(b)は図12(a)のA−A線での電子機器の縦断面図、(c)は図12(a)のB−B線での電子機器の縦断面図。
【図14】(a)は別例の電子機器の平面図、(b)は(a)のA−A線での電子機器の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1,2,3に示すように、電子機器10は、配線板20を備えている。配線板20は、絶縁性コア基板30と、絶縁性コア基板30の一方の面(上面)に接着シート70にて接着された薄い銅板40と、絶縁性コア基板30の一方の面(上面)に接着シート70にて接着された厚い銅板50と、絶縁性コア基板30の他方の面(下面)に接着シート71にて接着された厚い銅板60を備えている。
【0021】
つまり、配線板20は、絶縁性コア基板30における同一面にパターニングした薄い金属板としての銅板40と、パターニングした厚い金属板としての銅板50が接着されている。また、絶縁性コア基板30における薄い銅板40と厚い銅板50が接着された面(上面)とは反対面(下面)に、パターニングした裏面用金属板としての厚い銅板60が接着されている。
【0022】
薄い銅板40の厚さは例えば100μm程度であり、厚い銅板50の厚さは例えば400μm程度である。また、厚い銅板60の厚さは例えば400μm程度である。厚い銅板50,60には大電流を流すことができ、薄い銅板40には小電流を流すことができる。
【0023】
絶縁性コア基板30に対し薄い銅板40と厚い銅板50と厚い銅板60は各々プレスにより接着されている。
図2に示すように、厚い銅板60による導体パターン61が円環状に形成され、この厚い銅板60による導体パターン61にてトランスの一次側コイルが構成されている。同様に、図1(a)に示すように、厚い銅板50による導体パターン51は円環状に形成され、この銅板50による導体パターン51にてトランスの二次側コイルが構成されている。絶縁性コア基板30の両面において同一の位置に環状の導体パターン61(一次側コイル)と環状の導体パターン51(二次側コイル)とが配置されている。
【0024】
また、図1(a)に示すように、厚い銅板50による導体パターン52が長方形状に形成され、この銅板50による導体パターン52にてトランスの二次側コイルの一端から延びる配線が構成されている。同様に、厚い銅板50による導体パターン53が長方形状に形成され、この銅板50による導体パターン53にてトランスの二次側コイルの他端から延びる配線が構成されている。
【0025】
なお、図1において符号55は厚い銅板50による他の導体パターンである。
図1(a)に示すように、銅板50による導体パターン52(トランスの二次側コイルの一端から延びる配線)から薄い銅板40による導体パターン41が延びている。また、銅板50による導体パターン53(トランスの二次側コイルの他端から延びる配線)から薄い銅板40による導体パターン42が延びている。この薄い銅板40による導体パターン41,42にてトランスの二次側コイルの通電電流または電圧の検出用ラインが構成されている。
【0026】
このようにして、配線板20は、パターニングされた第一の導体パターン41,42と、パターニングされた第二の導体パターン51,52,53とが絶縁性コア基板30における同一面に接着されている。また、第一の導体パターン41,42は第二の導体パターン51,52,53に比べて厚さが薄く、かつ、電流経路の断面積が第二の導体パターン51,52,53における電流経路の断面積よりも小さい。
【0027】
図1(a)および図3(b)に示すように、厚い銅板50による導体パターン52には円形の貫通孔80が形成されている。また、図1(a)および図3(a)に示すように、厚い銅板50による導体パターン52には凹部85が形成され、凹部85は導体パターン52の一側面から貫通孔80に繋がるように直線的に延びている。凹部85は絶縁性コア基板30側が開口するように形成されている。このように、第二の導体パターン52に絶縁性コア基板30側が開口する凹部85が形成されるとともに絶縁性コア基板30側と絶縁性コア基板30と反対側とが開口する貫通孔80が形成され、凹部85の絶縁性コア基板30側の開口部と貫通孔80の絶縁性コア基板30側の開口部とは互いに繋がるように形成されている。
【0028】
そして、凹部85の開口部および貫通孔80の絶縁性コア基板30側の開口部に、薄い銅板40による導体パターン41がそれぞれ延設されている。つまり、第一の導体パターン41が絶縁性コア基板30における凹部85の絶縁性コア基板30側の開口部を通して貫通孔80の絶縁性コア基板30側の開口部に達するように延設されている。また、図1(a)および図3(b)に示すように、貫通孔80には導電材としてのはんだ90が充填され、はんだ90により薄い銅板40による導体パターン41と厚い銅板50による導体パターン52とが電気的に接続されている。つまり、貫通孔80の絶縁性コア基板30と反対側の開口部から充填された導電材としてのはんだ90により第一の導体パターン41と第二の導体パターン52とが電気的に接続されている。
【0029】
同様に、厚い銅板50による導体パターン53には円形の貫通孔81が形成されている。また、厚い銅板50による導体パターン53には凹部86が形成され、凹部86は導体パターン53の一側面から貫通孔81に繋がるように直線的に延びている。凹部86は絶縁性コア基板30側が開口するように形成されている。このように、第二の導体パターン53に絶縁性コア基板30側が開口する凹部86が形成されるとともに絶縁性コア基板30側と絶縁性コア基板30と反対側とが開口する貫通孔81が形成され、凹部86の絶縁性コア基板30側の開口部と貫通孔81の絶縁性コア基板30側の開口部とは互いに繋がるように形成されている。
【0030】
そして、凹部86の開口部および貫通孔81の絶縁性コア基板30側の開口部に、薄い銅板40による導体パターン42がそれぞれ延設されている。つまり、第一の導体パターン42が絶縁性コア基板30における凹部86の絶縁性コア基板30側の開口部を通して貫通孔81の絶縁性コア基板30側の開口部に達するように延設されている。また、貫通孔81には導電材としてのはんだ91が充填され、はんだ91により薄い銅板40による導体パターン42と厚い銅板50による導体パターン53とが電気的に接続されている。つまり、貫通孔81の絶縁性コア基板30と反対側の開口部から充填された導電材としてのはんだ91により第一の導体パターン42と第二の導体パターン53とが電気的に接続されている。
【0031】
このようにして、大電流用の厚い銅板50による導体パターン52,53と小電流用の薄い銅板40による導体パターン41,42が接続されている。
なお、図1(a)および図3(a)に示すように、厚い銅板50による導体パターン52には凹部87が形成され、凹部87は導体パターン52の一側面から他側面に繋がるように直線的に延びている。凹部87は絶縁性コア基板30側が開口するように形成されている。そして、凹部87の開口部に、薄い銅板40による導体パターン42が非接触状態で延設されている。
【0032】
凹部85,86,87は、厚い銅板50のプレス加工により形成することが可能である。凹部85,86,87の深さは薄い銅板40の厚さよりも大きくなっている。
次に、このように構成した配線板の作用について説明する。
【0033】
まず、製造工程について説明する。
図4,5に示すように、絶縁性コア基板30の上面に接着シート70により薄い銅板40を第1回目のプレスによって接着する。この薄い銅板40はパターニングされている。
【0034】
引き続き、図6,7に示すように、絶縁性コア基板30の上面に接着シート70により厚い銅板50を第2回目のプレスによって接着する。このとき、厚い銅板50はパターニングされているとともに、導体パターン52,53には貫通孔80,81および凹部85,86,87が形成されている。そして、貫通孔80の開口部および凹部85の開口部に薄い銅板40による導体パターン41が位置するとともに、貫通孔81の開口部および凹部86,87の開口部に薄い銅板40による導体パターン42が位置する状態で、厚い銅板50を絶縁性コア基板30の上面に接着する。
【0035】
また、絶縁性コア基板30の下面に接着シート71により厚い銅板60を第2回目のプレスによって同時に接着する。この厚い銅板60はパターニングされている。
そして、図1,3に示すように、貫通孔80,81に導電材としてのはんだ90,91を充填する。はんだ90により薄い銅板40による導体パターン41と厚い銅板50による導体パターン52とが電気的に接続されるとともに、はんだ91により、薄い銅板40による導体パターン42と厚い銅板50による導体パターン53とが電気的に接続される。
【0036】
はんだ90,91の形成(貫通孔80,81内への充填)は、直接はんだを貫通孔80,81内に滴下してもよいし、あるいは、はんだペーストを印刷にて貫通孔80,81内に配置しておきリフローしてもよい。
【0037】
このようにして、厚い銅板50による二次側コイル用のパターン(導体パターン52,53)において厚い銅板50に凹部85,86,87を形成し、この凹部85,86,87の内部を薄い銅板40による二次電流または電圧の検出用導体パターン(導体パターン41,42)をくぐらせる。これにより、表面の段差を無くすことができる。
【0038】
つまり、厚い銅板50による導体パターン52,53における凹部85,86,87の開口部において薄い銅板40による導体パターン41,42が延設される。よって、絶縁性コア基板30に薄い銅板40による導体パターン41,42と厚い銅板50による導体パターン52,53が配置されるとき、厚い導体パターン52,53の表面に段差ができない。
【0039】
よって、厚みの異なる2種類の銅板40,50を段差が付かないようにして重ね合わせて、絶縁性コア基板30の片面に銅板40,50をプレスにて接着することができる。
また、厚い銅板50による導体パターン52,53おける貫通孔80,81の開口部において薄い銅板40による導体パターン41,42が延設され、貫通孔80,81に充填された、はんだ90,91により、薄い銅板40による導体パターン41,42と厚い銅板50による導体パターン52,53とが電気的に接続される。
【0040】
以上のごとく本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第二の導体パターン52,53に絶縁性コア基板30側が開口する凹部85,86が形成されるとともに絶縁性コア基板30側と絶縁性コア基板30と反対側とが開口する貫通孔80,81が形成されている。また、凹部85,86の絶縁性コア基板30側の開口部と貫通孔80,81の絶縁性コア基板30側の開口部とは互いに繋がるように形成されている。そして、第一の導体パターン41,42が絶縁性コア基板30における凹部85,86の絶縁性コア基板30側の開口部に延設されている。また、貫通孔80,81の絶縁性コア基板30と反対側の開口部から充填された導電材としてのはんだ90,91により第一の導体パターン41,42と第二の導体パターン52,53とが電気的に接続されている。
【0041】
これにより、絶縁性コア基板30に薄い導体パターン41,42と厚い導体パターン52,53を段差ができることなく重ねて配置することができる。よって、プレス時に表面の面押しを行うことができる。また、薄い導体パターン41,42と厚い導体パターン52,53とを電気的に接続することができる。
【0042】
つまり、従来、パターニングした銅板を絶縁性コア基板に接着して基板(配線板)を構成する場合、絶縁性コア基板に薄い銅板と厚い銅板を重ねると、表面に段差ができ、積層プレス時にうまく銅板表面の面押しができない。これに対し本実施形態では、第1回目のプレスにより薄い銅板40を接着し、第2回目のプレスで厚い銅板50,60を接着することができるとともに、電気的接続をとることができる。
【0043】
なお、第一の導体パターン41,42が絶縁性コア基板30における凹部85,86の絶縁性コア基板30側の開口部を通して貫通孔80,81の絶縁性コア基板30側の開口部に達するように延設されていた。これに代わり、第一の導体パターン41,42が絶縁性コア基板30における凹部85,86の絶縁性コア基板30側の開口部に延設されているが、貫通孔80,81の絶縁性コア基板30側の開口部に達していない構成としてもよい。要は、第一の導体パターン41,42が絶縁性コア基板30における凹部85,86の絶縁性コア基板30側の開口部に延設され、貫通孔80,81の絶縁性コア基板30と反対側の開口部から充填されたはんだ90,91により第一の導体パターン41,42と第二の導体パターン52,53とが電気的に接続されていればよい。
【0044】
(2)絶縁性コア基板30における第一の導体パターン41,42と第二の導体パターン52,53を配した面とは反対面に、パターニングした裏面用金属板としての厚い銅板60を接着したので、両面基板とすることができる。
【0045】
(3)銅板60による導体パターン61にてトランスの一次側コイルを構成するとともに、第二の導体パターン51にてトランスの二次側コイルを構成した。これにより、基板の両面にコイルを有するトランスを構成することができる。
【0046】
(4)第一の導体パターン41,42にてトランスの二次側コイルの通電電流または電圧の検出用ラインを構成した。これにより、容易にトランスの二次側コイルの通電電流または電圧を検出する構造を構築することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0047】
図1,2,3では絶縁性コア基板30の上面は平坦であったが、本実施形態の配線板100においては図8に示すように、絶縁性コア基板110の上面には四角形状の凹部111が形成されている。
【0048】
配線板100は、パターニングされた第一の導体パターン121と、パターニングされた第二の導体パターン131とが絶縁性コア基板110における同一面に接着されている。薄い金属板としての薄い銅板120による導体パターン121は一定の幅を保ちつつ直線的に延びている。また、厚い金属板としての厚い銅板130による導体パターン131も一定の幅を保ちつつ直線的に延びている。
【0049】
第一の導体パターン121は、第二の導体パターン131に比べて厚さが薄く、かつ、電流経路の断面積が第二の導体パターン131における電流経路の断面積よりも小さい。また、第一の導体パターン121には、屈曲部121aが形成されている。
【0050】
絶縁性コア基板110に屈曲部121aが入り込む凹部111が形成されている。凹部111の深さは薄い銅板120の厚さよりも大きくなっている。
凹部111の開口部に延設された第二の導体パターン131における凹部111の開口部に対応する所に絶縁性コア基板110側と絶縁性コア基板110と反対側とが開口する貫通孔140が形成されている。
【0051】
そして、凹部111の形成箇所において、薄い導体パターン121と厚い導体パターン131とを交差させるとともに、導体パターン121と導体パターン131とを電気的に接続している。つまり、貫通孔140の絶縁性コア基板110と反対側の開口部から充填された導電材としてのはんだ150により第一の導体パターン121と第二の導体パターン131とが電気的に接続されている。
【0052】
図8において、配線板100は、絶縁性コア基板110における上面(同一面)にパターニングした薄い銅板120とパターニングした厚い銅板130が接着シート160により接着されている。絶縁性コア基板110に対し薄い銅板120と厚い銅板130はプレスにより接着されている。
【0053】
次に、配線板の製造方法を説明する。
まず、製造工程について説明する。
図9に示すように、上面に凹部111を形成した絶縁性コア基板110を用意する。そして、図10に示すように、絶縁性コア基板110の上面に接着シート160により薄い銅板120を第1回目のプレスによって接着する。薄い銅板120には導体パターン121が形成されており、凹部111に導体パターン121が入り込むようにして薄い銅板120を絶縁性コア基板110の上面に接着する。
【0054】
引き続き、図11に示すように、絶縁性コア基板110の上面に厚い銅板130を接着シート160により第2回目のプレスによって接着する。このとき、厚い銅板130はパターニングされているとともに貫通孔140が形成されている。凹部111の開口部に厚い銅板130による導体パターン131が延設されるとともに貫通孔140が位置するように厚い銅板130を絶縁性コア基板110の上面に接着する。
【0055】
図8に示すように、貫通孔140に導電材としてのはんだ150を充填する。はんだ150により薄い銅板120による導体パターン121と厚い銅板130による導体パターン131とが電気的に接続される。
【0056】
このようにして、絶縁性コア基板110に形成された凹部111に薄い銅板120による導体パターン121が入り込み、絶縁性コア基板110に薄い銅板120による導体パターン121と厚い銅板130による導体パターン131が重ねて配置される。このとき、厚い銅板130による導体パターン131の表面に段差ができずにプレス時に表面の面押しを行うことができる。また、凹部111の開口部に延設された厚い銅板130による導体パターン131に形成された貫通孔140に充填された導電材としてのはんだ150により薄い銅板120による導体パターン121と厚い銅板130による導体パターン131とが電気的に接続される。
【0057】
その結果、絶縁性コア基板110に薄い導体パターン121と厚い導体パターン131を段差ができることなく重ねて配置することができるとともに、薄い導体パターン121と厚い導体パターン131とを電気的に接続することができる。
【0058】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・図1,2に代わり、図12,13に示す構成としてもよい。図12において、配線基板200を用いており、配線基板200は、図13(b),(c)に示すように、絶縁フィルム200aの上に銅パターン200bを接着して構成している。配線基板200は、パターニングされた第一の導体パターン201,202を有する配線基板200と、パターニングされた第二の導体パターン51,52,53とが絶縁性コア基板30における同一面に接着されている。配線基板200は、第二の導体パターン51,52,53に比べて厚さが薄く、かつ、電流経路の断面積が第二の導体パターン51,52,53における電流経路の断面積よりも小さい。また、第二の導体パターン51,52,53に絶縁性コア基板30側が開口する凹部85,86が形成されるとともに絶縁性コア基板30側と絶縁性コア基板30と反対側とが開口する貫通孔80,81が形成されている。凹部85,86の絶縁性コア基板30側の開口部と貫通孔80,81の絶縁性コア基板30側の開口部とは互いに繋がるように形成されている。第一の導体パターン201,202が絶縁性コア基板30における凹部85,86の絶縁性コア基板30側の開口部を通して貫通孔80,81の絶縁性コア基板30側の開口部に達するように延設されている。広義には、第一の導体パターン201,202が絶縁性コア基板30における凹部85,86の絶縁性コア基板30側の開口部に延設されている。このとき、厚い第二の導体パターン51,52,53の表面に段差ができない。貫通孔80,81の絶縁性コア基板30と反対側の開口部から充填された導電材としてのはんだ90,91により第一の導体パターン201,202と第二の導体パターン52,53とが電気的に接続されている。
【0059】
このように、絶縁性コア基板30に薄い導体パターン201,202と厚い導体パターン52,53を段差ができることなく重ねて配置することができるとともに、薄い導体パターン201,202と厚い導体パターン52,53とを電気的に接続することができる。
【0060】
・図8に代わり図14に示すように構成してもよい。図14に示すように、フレキシブル配線基板300を用いており、フレキシブル配線基板300は、絶縁フィルム300aの上に銅パターン300bを接着して構成している。配線板100は、パターニングされた第一の導体パターン301を有するフレキシブル配線基板300と、パターニングされた第二の導体パターン131とが絶縁性コア基板110における同一面に接着されている。フレキシブル配線基板300は、第二の導体パターン131に比べて厚さが薄く、かつ、電流経路の断面積が第二の導体パターン131における電流経路の断面積よりも小さい。フレキシブル配線基板300には、屈曲部310が形成されている。絶縁性コア基板110に屈曲部310が入り込む凹部111が形成されている。この凹部111の開口部に延設された第二の導体パターン131における凹部111の開口部に対応する所に絶縁性コア基板110側と絶縁性コア基板110と反対側とが開口する貫通孔140が形成されている。厚い第二の導体パターン131の表面に段差ができない。貫通孔140の絶縁性コア基板110と反対側の開口部から充填された導電材としてのはんだ150により第一の導体パターン301と第二の導体パターン131とが電気的に接続されている。
【0061】
このように、絶縁性コア基板110に薄い導体パターン301と厚い導体パターン131を段差ができることなく重ねて配置することができるとともに、薄い導体パターン301と厚い導体パターン131とを電気的に接続することができる。
【0062】
・金属板として銅板(40,50,60,120,130等)を用いたが、金属板としてアルミ板等の他の金属板を用いてもよい。
・導電材として、はんだ(90,91,150)を用いたが、これに限ることなく他の低融点金属を用いてもよい。
【符号の説明】
【0063】
20…配線板、30…絶縁性コア基板、41…導体パターン、42…導体パターン、51…導体パターン、52…導体パターン、53…導体パターン、80…貫通孔、81…貫通孔、85…凹部、86…凹部、90…はんだ、91…はんだ、100…配線板、110…絶縁性コア基板、111…凹部、121…導体パターン、121a…屈曲部、130…厚い銅板、131…導体パターン、140…貫通孔、150…はんだ、200…配線基板、201…導体パターン、202…導体パターン、300…フレキシブル配線基板、301…導体パターン、310…屈曲部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターニングされた第一の導体パターンと、パターニングされた第二の導体パターンとが絶縁性コア基板における同一面に接着された配線板であって、
前記第一の導体パターンは前記第二の導体パターンに比べて厚さが薄く、かつ、電流経路の断面積が前記第二の導体パターンにおける電流経路の断面積よりも小さく、
前記第二の導体パターンに前記絶縁性コア基板側が開口する凹部が形成されるとともに前記絶縁性コア基板側と前記絶縁性コア基板と反対側とが開口する貫通孔が形成され、
前記凹部の前記絶縁性コア基板側の開口部と前記貫通孔の前記絶縁性コア基板側の開口部とは互いに繋がるように形成され、
前記第一の導体パターンが前記絶縁性コア基板における前記凹部の前記絶縁性コア基板側の開口部に延設されるとともに、前記貫通孔の絶縁性コア基板と反対側の開口部から充填された導電材により前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとが電気的に接続されてなることを特徴とする配線板。
【請求項2】
パターニングされた第一の導体パターンと、パターニングされた第二の導体パターンとが絶縁性コア基板における同一面に接着された配線板であって、
前記第一の導体パターンは前記第二の導体パターンに比べて厚さが薄く、かつ、電流経路の断面積が前記第二の導体パターンにおける電流経路の断面積よりも小さく、
前記第一の導体パターンは屈曲部が形成され、
前記絶縁性コア基板に前記屈曲部が入り込む凹部が形成されるとともに、前記凹部の開口部に延設された前記第二の導体パターンにおける前記凹部の開口部に対応する所に前記絶縁性コア基板側と前記絶縁性コア基板と反対側とが開口する貫通孔が形成され、
前記貫通孔の絶縁性コア基板と反対側の開口部から充填された導電材により前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとが電気的に接続されてなることを特徴とする配線板。
【請求項3】
パターニングされた第一の導体パターンを有する配線基板と、パターニングされた第二の導体パターンとが絶縁性コア基板における同一面に接着された配線板であって、
前記配線基板は前記第二の導体パターンに比べて厚さが薄く、かつ、電流経路の断面積が前記第二の導体パターンにおける電流経路の断面積よりも小さく、
前記第二の導体パターンに前記絶縁性コア基板側が開口する凹部が形成されるとともに前記絶縁性コア基板側と前記絶縁性コア基板と反対側とが開口する貫通孔が形成され、
前記凹部の前記絶縁性コア基板側の開口部と前記貫通孔の前記絶縁性コア基板側の開口部とは互いに繋がるように形成され、
前記第一の導体パターンが前記絶縁性コア基板における前記凹部の前記絶縁性コア基板側の開口部に延設されるとともに、前記貫通孔の絶縁性コア基板と反対側の開口部から充填された導電材により前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとが電気的に接続されてなることを特徴とする配線板。
【請求項4】
パターニングされた第一の導体パターンを有するフレキシブル配線基板と、パターニングされた第二の導体パターンとが絶縁性コア基板における同一面に接着された配線板であって、
前記フレキシブル配線基板は前記第二の導体パターンに比べて厚さが薄く、かつ、電流経路の断面積が前記第二の導体パターンにおける電流経路の断面積よりも小さく、
前記フレキシブル配線基板は屈曲部が形成され、
前記絶縁性コア基板に前記屈曲部が入り込む凹部が形成されるとともに、前記凹部の開口部に延設された前記第二の導体パターンにおける前記凹部の開口部に対応する所に前記絶縁性コア基板側と前記絶縁性コア基板と反対側とが開口する貫通孔が形成され、
前記貫通孔の絶縁性コア基板と反対側の開口部から充填された導電材により前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとが電気的に接続されてなることを特徴とする配線板。
【請求項5】
前記絶縁性コア基板における前記第一の導体パターンと第二の導体パターンを配した面とは反対面に、パターニングした裏面用金属板を接着してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線板。
【請求項6】
前記裏面用金属板による導体パターンにてトランスの一次側コイルを構成するとともに、前記第二の導体パターンにて前記トランスの二次側コイルを構成してなることを特徴とする請求項5に記載の配線板。
【請求項7】
前記第一の導体パターンにて前記トランスの二次側コイルの通電電流または電圧の検出用ラインを構成したことを特徴とする請求項6に記載の配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−16661(P2013−16661A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148715(P2011−148715)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】