説明

酵素又は微生物をポリビニールアルコールゲルに固定した形状の生体触媒の工業生産法、その使用及びその生産装置

ポリビニールアルコールゲルに固定化した固定化酵素又は微生物形状の生物活性材料を有する生体触媒の工業生産法と、遊離の天然又は前処理(凝集)した酵素触媒、又は産生微生物、又はそれらの一部とポリビニールアルコールゲルの混合物により形成した生物活性材料をその工業生産に用い、この混合物を生物活性材料の限度を考慮して温度80℃乃至15℃の乾燥空気流中で、体積対表面積の幾何比を7mm−1より大きくゲル化成形し、その結果このように調合した生体触媒を培養又は保存でき、所定バイオテクノロジープロセスでより高い生産性、より高い生産酵素安定性、長期間の繰り返し使用、又はこの生体触媒の容易な分離の結果プロセス制御の規定を可能にすることを保証する条件のバイオテクノロジープロセスで使用するという事実に基づくその使用。工業生産装置で、生物活性材料の限度により生物担体の体積と表面積を最適化でき、連続コンベヤーベルト(1)が通る乾燥通路(2)前方に備えたキャスティング機械装置(17)からなり、この装置は圧力調整槽(15)とコンプレッサー(16)に連結した二横列のキャスティングニードルインジェクターを有する少なくとも一つのキャスティングヘッド(17)と、コンベヤーベルト(1)と、乾燥空気供給源(4)の乾燥システムを備え、乾燥空気は換気装置を用いて内蔵熱素子(5)付き送風システム(6)に吹き込み、その通風システム(6)は上乾燥通路(2)、更には下最終乾燥通路(3)と再膨潤槽(7)に入り、その間に機械的拭き取りと高圧洗浄に基づいて設計した拭き取り回収装置(9)を取り付け、一体化した高圧ポンプ(10)と、冷却付き回収容器(8)に入る低圧ポンプ(11)と、更にはパイプラインにより洗浄槽(12)と連結した低圧ポンプ(14)に連結した噴流による連続コンベヤーベルト(1)の最終洗浄用の洗浄ボックス(13)に入る低圧ポンプ(11)とパイプラインで連結する工業生産装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリビニールアルコールゲルに固定した固定化酵素又は微生物形状の生物活性材料を有する生体触媒の工業的生産法、その使用、及び生物活性材料の限度に従い又生物担体体積と面積を最適化でき、連続コンベヤーベルトが通る乾燥通路の前方に配置のキャスティング機械装置を含むその工業生産装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニールアルコール担体又はポリウレタン担体を用いる微少細菌のカプセル封入は現場で周知である。ポリビニールアルコールゲル(以後の本文では“PVA−ゲル”と呼ぶ)に配置の微生物、酵素、胞子及び/又は細胞形状の生物活性材料を有する生体触媒の生産法は、チェコ特許第249179号に開示されている。PVA−ゲルは、生物活性材料用のゲル担体として化学触媒又は生物触媒の生産に非常に適する。本法に従って製造したゲル本体は、以前に知られたゲル体に比べて、特に耐摩耗性と引っ張り強度に関してより高い機械的安定性を与える。上述の機械的物性の改良により、ゲル体が反応性と動的に適切なレンズ型形状に生産できる。それ故生成ゲル体は、以前に周知のものに比べ数ヶ月以上、高回転数の攪拌下でも頑丈で摩耗に耐える。大きな直径と低い高さで特徴付けられるレンズ形状により、物理活性、化学活性又は生物活性な材料は表面真下に常に位置し、その反応性で動的に有用な配置を与える。生物活性材料の担体としてPVA−ゲルを利用するバイオテクノロジー手段は、現場で周知である。
【0003】
上述の担体を排水からの脱窒素プロセスに利用することは周知である。この利用は、例えば欧州特許第0758680号(多孔性セルロース誘導体)、WO09508513号(ポリビニールアルコール、蛭石、ポリウレタン)、及び中国特許第1076488号(ポリビニールアルコール)に記載された。記載の担体は、しばしば前もって種々な方法で、特に細菌硝化(例えばペガサス(商品名PEGASUS)又はペガズル(商品名PEGAZUR)プロセスを参照)により濃縮するか、又は純粋な硝化細菌又は脱窒細菌を直接固定して濃縮した活性化汚泥の固定化に(通常)用いられている。文献を参照すると担体の非常に重要な特性は、反応装置容積、より正確には現在処理中の排水体積に対する比表面積の程度である。即ちこのパラメーターは、反応装置に配置した所定比表面積を有する担体量(又はより正確には重量又は体積による)により特に影響されるので、反応装置の大きさとこの反応装置中の排水保持時間に直接関係する。例えばポリエチレングリコール(PEG)担体に固定化した幾何寸法S/V=3と2の錠剤形状の細菌を用いる窒素汚染除去プロセスにより、担体中の活性化汚泥の湿潤バイオマス含量が2重量/体積%で、一日当たり0.34kg/m乃至1.14kg/mの脱窒素速度が得られる(ティ角野(T. Sumino)、エッチ中村(H. Nakamura)、エヌ森(N. Mori)、ワイ川口(Y. Kawaguchi)、ポリエチレングリコールプレポリマーによる細菌硝化の固定化(Immobilization of Nitrifying Bacteria by Polyethylene Glycol Prepolymer)、ジャーナルオブファーメンテイションアンドバイオエンジニアリング(Journal of Fermentation and Bioengineering)、73巻(1号)、37−42頁、1992年)。
【0004】
しかしその体積、より正確にはその形状と寸法に対する担体の比(幾何的)表面積の程度は、特に経済的理由により同質のパラメーターである。形状が球又は円筒状のいずれかに近似され、底直径(d)と高さ(h)がほぼ同一値である担体が、今なお固定化細胞による下水の脱窒素に用いられる。排水からの脱窒素用担体寸法の最小値は1mmである。通常用いる担体の大きさは3mmで、担体の体積対表面積比(S/V)は約2mm−1乃至6mm−1である。レンズ形又は帯形担体を用いる場合、固定化細胞を飲料水、産業用水及び排水から窒素化合物を除去するのに用いて、同程度かより高い強いプロセスでも現行プロセスに比べ使用生体触媒は少なくできる。
【0005】
バイオテクノロジープロセスでのゲル担体の別の代替え使用は、乳酸産生法においてである。この酸は広く使用され、中でも特に食品工業、製薬工業及び化学工業で用いられる。乳酸は多数の微生物で産生するが、主として糸状真菌と糸状細菌による。糸状真菌の内ではリゾプスアリズス(Rhizopsus arrhizuz)又はリゾプスオリゼ(oryzae)は良い乳酸産生菌である。その議論の余地のない利点は、細菌に比べて+L酸だけを産生するという事実である。しかし発酵形式は好気的である(高度減菌空気の生成が必要)。糸状真菌の好気的形式は、乳酸カルシウム塩の直接産生の場合には有利であるが、炭酸カルシウムの場合にはその間に非効率な中和(弱い攪拌)の結果、発酵の延長と収率低下が起こりうる(マッティ、エム(Mattey, M.)、クリティカルレビューインバイオテクノロジー(Critical Reviews in Biotechnology)、12巻、87―132頁、1992年)。
【0006】
細菌発酵の利点は、それが嫌気性形式、それ故培養装置の簡単化ができ低無菌性の必要性が低いことである。ショ糖基質(グルコース、ショ糖、ラクトース)を温度30℃乃至40℃でその産生菌の性質に従い異なる+L酸、−D酸及びDL酸の形の乳酸に転換するラクトバチルス(Bactobacillus)属細菌が工業生産に主に用いられる。
【0007】
ゲル担体へカプセル封入する微生物の固定化は、完全発酵培地でバイオマス増殖なしに反応装置中のバイオマスを濃縮できる方法の一つである。本法は細胞を天然ゲル又は合成ゲルカプセルに封入することからなる。その細胞は担体細孔より大きい必要があり、その結果細胞の放出は起こらないが、同時に基質と産物のカプセル封入細胞への自由拡散を保証する。
【0008】
異なる担体への乳酸菌の固定化は現在周知である。中でも担体としては天然ゲルのカラギーナン、ペクチン酸、アルギン酸(ノートン、エス等(Norton, S. et al.)、エンザイムミクロビアルテクノロジー(Enzyme Microbial Technol.)、16巻、457−466頁、1994年;リヒター、ケイ等(Richter, K. et al.)、アクタバイオテクノロジー(Acta Biotechnol.)、11巻、229−341頁、1991年;ヤン、ジェイ等(Yan, J. et al.)、ケミカルバイオケミカルエンジニアリング(Chem. Biochem. Eng.)、Q15巻(2号)、59−63頁、2001年)及び合成担体のポリアクリルアミド(ツリ、エイ等(Tuli, A. et al.)、エンザイムミクロビアルテクノロジー(Enzyme Microbial Technol.)、7巻、164−168頁、1985年)がある。固定化物は、通常関連ゲルを硬化溶液に摘下して直径3mm乃至5mmの球形状に生成する。しかしこの方法の不利な点は、固定化物の球型形状により球内部への拡散に限界を生ずることである。ゲルの全体積が使用されず、その結果微生物は球表面の真下でしか増殖しない。
【0009】
固定化の別の適法は乳酸菌のポリビニールアルコールゲルへのカプセル封入である。これは他の担体に比べて多くの利点がある。第一にこれは安価で、微生物に無毒であり、殆ど生分解性でなく、優れた物理的機械的物性を有し、微生物に対する副作用がなく、且つ長期の安定性を示す(ドイツ特許第19827552.8号)。更に上述の発明に従う方法による細胞の固定化は、基質の架橋が乾燥空気流中で起こることにより、現在使用の凍結(ドイツ特許第4327923号)又はホウ酸システムでの硬化(米国特許第5290693号)による架橋の手順を置換できるので、増殖性微生物(固定化後の高い微生物生存度と、固定化手順後の高い微生物生存率を保証する)と考えられる。更に固定化物のレンズ型形状により、微生物増殖と乳酸産生のために最適な担体全体積負荷を保証する。本法で生成した固定化物はバッチ、半連続、及び連続の発酵操作形式で繰り返し使用できる。
【0010】
グルコースや他の糖類を発酵プロセスでエタノールに転換できる酵母の出芽酵母(Sacchromyces cerevisiae)又は他の酵母微生物は、伝統的にエタノール産生に用いられることは通常知られている。この発酵はビールやワイン生産の基礎であるが、又工業目的、食料目的及び燃料目的用エタノール生産の土台である。最近エタノール産生菌として細菌を用いる技術への関心の高まりが指摘されている。ザイモモナスモビリス(Zymomoas mobilis)はエタノールの細菌産生菌の一つである。これはグラム陰性通性嫌気性微生物である。これは酵母に比べて幾つかの利点がある。より速いバイオマスの増殖(しかし通常より遅いバイオマスの産生)、基質利用と産物創生のより速い比速度、酸素供給監視の不必要性と、より少ない副代謝物の産生。これは通常嫌気性微生物で起こるエントナー−ドゥドロッフ(Entner-Doudoroff)経路によりグルコースと果糖に代謝する。この代謝経路で、グルコース1モルがエタノール2モル、炭酸ガス2モルとアデノシン三リン酸(ATP)1モルに転換される。この代謝経路はバイオマスに変わるグルコース量を最小にし、このようにしてエタノール産生を増加する。実勢収率(gアルコール/gグルコース)は細菌で0.49に上昇し、酵母で通常0.44である。
【0011】
ザイモモナスモビリス(Zymomoas mobilis)遊離細胞の助けによる発酵は、バッチ、半連続、及び連続の操作形式でも起こる(ロジャース、ピーエル(Rogers P.L.)、トライブ、ディイー(Tribe D.E.)、米国特許第4403034号;ロジャース、ピーエル等(Rogers P.L. et al.)、米国特許第4443543号;ザルツブラン、ダブリュ等(Salzbrunn W. et al.)、米国特許第4876196号;ビュウロック、ジェイディ(Bulock J.D.)、英国特許第2075053号)。
【0012】
今日まで研究の興味は、微生物生産性の向上と、種々の革新、例えば細胞のリサイクル、凝集微生物の使用などによる発酵装置配置の修正に焦点を合わしてきた(アルクリ、イージェイ等(Arcuri E.J., et al.)、米国特許第4413058号;ロジャース、ピーエル等(Rogers P.L. et al.)、米国特許第4443544号)。
【0013】
発酵産物(エタノール)が液体培地に集まり、蒸留によりほぼ全てが単離される。産物単離に際して使用配置と技術に関わりなく、沈降、遠心分離、ろ過などによりバイオマス含量を大幅に減少することが好ましい。不溶性含量の上昇は必要な蒸留エネルギーを増加し、技術的問題(蒸留装置の汚染、発泡など)を生じ、維持管理の必要性を増し、又産物の品質にも影響する。一方ではエタノール産生で最大効率を得る必要がある。エタノール産生速度は発酵槽のバイオマス量に正比例する。これは一定条件では、バイオマス含量の増加により所定量のエタノール産生に必要な時間の短縮が起こることを意味する。完全発酵培地でバイオマスの増殖なしに反応装置内のバイオマスを濃縮できる方法の一つは、微生物をゲル担体へカプセル封入する固定化である。本法は細胞の天然又は合成ゲルカプセルへのカプセル封入に基づく。細胞の大きさは、担体の細孔の大きさより大きい必要があるので細胞の放出は起こらず、同時に基質と産物のカプセル封入細胞への自由拡散が保証された。
【0014】
細菌属ザイモモナス(Zymomoas)の種々担体への固定化は現在周知である。中でもこれらは天然ゲルのカラギーナンとアルギン酸(チータム、ピーエスジェイ(Cheetham P.S.J.)、米国特許第4393136号;チバタ、アイ(Chibata, I.)、米国特許第4350765号;菊田、エム(Kikuta M.)、米国特許第5990191号;山田、ティ等(Yamada, T. et al.)、米国特許第4680263号)と、合成担体のポリアクリルアミド(山田、ティ等(Yamada, T. et al.)、米国特許第4680263号;チータム、ピーエスジェイ(Cheetham P.S.J.)、米国特許第4393136号)である。固定化物は、大抵は関連ゲルを硬化溶液に摘下して直径3mm乃至5mmの球形状に生成する。しかしこの方法の不利な点は、固定化物の球型形状により球内部の拡散に限界を生ずることである。ゲル全体積が細胞負荷に使用されず、その結果微生物は担体球表面の直下だけでしか増殖せず、基質全体積を負荷しない。
【0015】
適切な固定化法は、細菌ザイモモナスモビリス(Zymomoas mobilis)のポリビニールアルコールゲルへのカプセル封入である。この方法は他の担体に比べ多くの利点がある。第一に安価で、微生物に無毒であり、殆ど生分解性でなく、優れた物理的機械的物性を有し、微生物に対す副作用がなく、且つ長期安定性を示す(ドイツ特許第19827552.8号)。更に上述の発明に従う方法による細胞の固定化は、基質の架橋が乾燥空気流中で起こることにより、現在使用の凍結(ドイツ特許第4327923号)又はホウ酸システムでの硬化(米国特許第5290693号)による架橋の手順を置換できるので、生産性の高い微生物(固定化後の高い微生物生存度と、固定化手順後の高い微生物生存率を保証する)と考えられる。更に固定化物のレンズ型形状により、微生物増殖とエタノール産生のために担体全体積の最適利用を保証する。本法で生成した固定化物はバッチ、半連続及び連続の発酵形式で繰り返し使用できる。
【0016】
球型形状の固定化物を用いて、10重量%のグルコース培地を有するカラギーナンに固定化したザイモモナスモビリス(Zymomoas mobilis)の助けで、固定化物直径4mmの固定化物20mlで充満した500mlバッチ反応装置中、温度30℃で、エタノールは1時間当たりゲル1ml当たりエタノール77mg(mgエタノール/mlゲル/時間)が産生した(チバタ、アイ(Chibata, I.)、米国特許第4350765号)。産生菌をアルギン酸ナトリウムに固定し、固定化物中の湿潤細胞重量が20%ww/v(ww−湿潤細胞重量で、乾燥細胞重量の1/5に相当)を含む場合、同一条件下の生産性は、バッチシステムで1時間当たり湿潤細胞重量1g当たりエタノール0.49g(gエタノール/gww/時間)であり、再計算後98mgエタノール/mlゲル/時間に相当し、連続形式では0.47gエタノール/gww/時間であり、桁再計算後94mgエタノール/mlゲル/時間に相当する(チータム、ピーエスジェイ(Cheetham P.S.J.)、米国特許第4393136号)。
【0017】
バイオテクノロジープロセスでのゲル担体の代替え使用は、固定化酵素インベルターゼの助けによるショ糖からのグルコースと果糖の産生法においてである。ショ糖は主に甜菜やサトウキビに存在する貯蔵二糖類である。これは食品工業で又発酵プロセスの基質として用いられる。これは単糖のグルコースと果糖からなる。ショ糖は加水分解を用いて、例えば酵素インベルターゼを用いる酵素加水分解によりこれら単糖類を与える。その使用により、グルコースと果糖(転化糖)混合物の創生をもたらし、非加水分解ショ糖に比べ結晶による濁度生成の減少、甘味の増加、及び発酵プロセスの有用性のような多くの利点をもたらす。
【0018】
工業的実施では、リサイクルできないインベルターゼの酵素調合物をショ糖の加水分解に用いる。これがこの酵素がグルコース−果糖シロップ生産での最大経済的項目となる理由である。本酵素の適切な固定化法により複数回使用ができ、更に全生産プロセスを連続化でき、これによりその有効性を著しく増す。最もよく用いられる技術は架橋である。最もしばしば用いられる架橋剤は、ポリアミド(ソウ、エム等(Sou M. et al.)、特開昭58−086085号公報;ロールバック、アールピー等(Rohrbach R.P. et al.)、米国特許第426842号)、グルタルアルデヒド(リー、ディエム等(Lee D.M. et al.)、米国特許第4749653号)、結合していないカルボキシル基を有するポリマー(マウズ、オー(Mauz O.)、米国特許第4767620号)、エポキシ基を有するポリマー(マウズ、オー(Mauz O.)、米国特許第4931476号)、光架橋ビチューメンへの固定化(国弘、アイ(Kunihiro, I.)、特開昭55−023941号公報)、及びグルタルアルデヒドの助けによるガラス球への固定化のような架橋剤の助けによる種々の基質への埋め込み(トシユキ、ワイ等(Toshiyuki Y. et al.)、特開昭58−179494号公報)である。他法はグルタルアルデヒドの助けによるシリカゲル粒子へのインベルターゼの共有結合(チボー、ピーエイ(Thibault P.A.)、EP0231668)、ジスルフィド結合の助けによる有機担体と無機担体への共有結合(コルミール、アールエイ等(Cormier R.A. et al.)、米国特許第4176006号)、有機シランの助けによる共有結合(ホー、ジーエッチ等(Ho G.H. et al.)、米国特許第4384045号)、ジアルデヒドの助けによるセルロース及びリグニン材料への共有結合(モンサン、ピー(Monsan P.)、米国特許第4405715号)、及びジアルキルアミノアルキルセルロースとの共有結合(ラピンス、シーエッチジェイ等(Lapins Ch.D. et al.)、米国特許第4933284号)である。インベルターゼは又吸収により固定化された。例えば獣骨からの材料に(フィンドレイ、シーエッチジェイ(Findlay Ch.J.)、米国特許第5037749号)。他法は高転化酵素活性を有する細胞可溶化液のアルギン酸ゲル(尾花、エッチ等(Obana H. et al.)、特開昭57−163484号公報;チャン、エッチエヌ等(Chang H.N. et al.)、米国特許第5766907号)、又はポリウレタンポリマー(ハルトゲン、エフジェイ等(Hartdegen F.J. et al.)、米国特許第4098645号)へのカプセル封入である。例えばポリエチレンイミン処理した棉へ酵素吸着後グルタルアルデヒドにより架橋するような組み合わせ技法(山崎、エッチ等(Yamazaki H. et al.)、中国特許第1203187号)も又実用性がある。
【0019】
ポリビニールアルコールゲル(PVA)の使用は非常によい代替え物と思われる。インベルターゼはPVAゲルで覆われた固体中心を有する担体にうまく固定化された(山本、エッチ等(Yamamoto H. et al.)、特開2005−042037号公報)。ポリチレングリコールを混合した光架橋PVAは、又共有結合とインベルターゼ封入に用いられた(市村、ケイ(Ichimura K.)、特開昭58−152483;末広、ティ等(Suehiro T. et al.)、特許登録第1252285号;泉田、エッチ等(Izumida H. et al.)、特許登録第1071491号)。PVA基質は又ホウ酸で架橋してインベルターゼをゲルにカプセル封入するか(グオーチェン、シーエッチ等(Guocheng Ch. Et al.)、中国特許第1076488号)、又は乾燥(石村、エフ等(Ishimura F. et al.)、米国特許第4727030号)により架橋できる。他法は又架橋(堤、エス等(Tsutsumi S. et al.)、特許登録第2046288号)か、又は酢酸ビニルの添加(森谷、ティ等(Moriya T. et al.)、特開昭56−113290号公報)、ビニルアミン(森谷、ティ等(Moriya T. et al.)、特開昭56−113292号公報)、又はアミノアセタール化PVA(山内、エイ等(Yamauchi A. et al.)、米国特許第4307151号)の添加と組み合わして用いる。
【0020】
バイオテクノロジープロセスでのゲル担体の代替え使用は、固定化グルコアミラーゼ酵素の助けによるデンプンからのグルコース産生法においてである。植物の栄養貯蔵物質であるデンプンは、食品工業と又発酵工業でグルコースの主供給源の一つである。デンプンはアミラーゼとアミロペクチンという二つの形の分子を含む。例えばトウモロコシ中のアミラーゼは全デンプンの10%に相当する。これはα−1,4−グルコシド結合で連結した最大1000個までのグルコース単位を含む。残り90%はアミロペクチンに相当し、α−1,4−グリコシド結合とは別にα−1,6−グリコシド結合が又含まれる。その鎖中のグルコース単位の数は最大10000個までである。
【0021】
発酵プロセスに用いるデンプン原料の前処理プロセスは二段階からなる。第一段階では、細胞内酵素のα−アミラーゼの助けでデンプンの液化が起こり、高温でα−1,4−グルコシド結合をランダムに解離する。この反応により異なる鎖長を有するデキストリンと低オリゴ糖の形成が起こる。
【0022】
第二段階では、デキストリンとオリゴ糖は細胞外酵素のグルコアミラーゼにより非還元末端からグルコース単位に解離する。グルコアミラーゼはα−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合の両者を解離する。しかしα−1,6−グルコシド結合は遙かに遅い速度で加水分解する。この加水分解速度は又鎖長に依存する。
【0023】
工業的な実施では、デンプン1トン当たり、リサイクルできないグルコアミラーゼ酵素調合物1l乃至1.2lが用いられる。この酵素の適切な固定化により、複数回使用が全プロセスの連続化の可能性も含めて可能になるであろう。ポリアミン(シモン等(Symon et al.)、米国特許第4415663号;ランテロ等(Lantero et al.)、米国特許第5472861号;ドゥフィリッピ(DeFilippi)、米国特許第4343901号;ロールバック等(Rohrbach et al.)、米国特許第4268423号)、グルタルアルデヒド(リー等(Lee et al.)、米国特許第4749653号;西村等(Nishimura et al.)、米国特許第4888285号;ロールバー等(Rorvah et al.)、韓国特許第8601229号)、アクリル化剤又はアリ−ル化剤(ボロス等(Boross et al.)、米国特許第4794083号;セレメネブ等(Selemenev et al.)、ロシア特許第2204600号)のような薬剤の架橋により、酵素の無機基質又は有機基質への強固な固定を用いて、この酵素の固定化が顕著に改善された。吸着法(アブドゥラー等(Abdullah et al.)、米国特許第4226937号;熊倉等(Kumakura et al.)、特開昭61−060700号公報;モタイ等(Motai et al.)、特開昭59−232092号公報;セレメネブ等(Selemenev et al.)、ロシア特許第2181770号;木村等(Kimura et al.)、特開昭63−056297号公報)、及び又固定化グルコアミラーゼを有する膜反応装置(トーマス等(Thomas et al.)、米国特許第5130237号)の使用は適切なように思われる。生体物質をゲル構造にカプセル封入し、主として微生物固定化に用いられるカプセル封入は、グルコアミラーゼ固定化では全く存在しない。しかしより大きな構造への架橋化無しでは、この酵素は基質の細孔から容易に洗い流される。
【0024】
バイオテクノロジープロセスでのゲル担体の代替え使用は、ラクトース溶液加水分解の方法と、固定化β−ガラクトシダーゼの助けによるラクトース溶液からのD−ガラクトース、D−グルコース及びガラクトオリゴ糖の産生においてである。
【0025】
二糖ラクトースは大部分の哺乳類の乳腺で合成される。これは乳清の抽出により雌ウシのミルク(ラクトース含量4.5乃至5重量%を有する)から商業的に生産される(バルドリック、バンフォード(Baldrick and Bamford)、1997年)。ミルク及び乳製品に存在するラクトースは重要な栄養項目を表す。これはビフィズス菌の増殖を支え、ガラクトリピッド及びガラクトオリゴ糖産生に必要なガラクトース供給源であり、カルシウムの吸収をたすけるなどである(マルドナード等(Maldonado et al.)、1998年)。これは低溶解度を有し、18重量%を越える濃度で結晶化する。ラクトース結晶はコンデンスミルクとアイスクリームのような乳製品の生産で不快な砂のようなテクスチャ(ザドウ(Zadow)、1992年)を生ずるので、これは問題のように思われる。ラクトースの加水分解がこれら産物にとって非常に望ましい理由はこれによる。更にラクトースの加水分解は、ドライミルク製品の吸湿性をかなり減少させ、甘味を増加させ、且つメイラード反応のプロセスを低下する(クルダ等(Cruda et al.)、2001年;ザドウ(Zadow)、1992年;ローゼンバーグ等(Rosenberg et al.)、1995年)。
【0026】
β−ガラクトシダーゼはミルク中のラクトースの加水分解だけでなく、又乳清処理でも重要である。乳清はチーズ、コテッジチーズ、及びカゼイン生産時に乳業副産物として非常に大量に生じる。チーズ生産時には、一億五千万トンの乳清が世界で毎年生じ(平均してチーズ1kg当たり乳清10l)、世界全体のチーズ生産は常に増加してきた。乳清は今なお大規模に処理できず、経済環境問題を意味する(ノバリン等(Novalin et al.)、2005年)。更にその取り扱いは多くの制限を伴い、環境に自由には放出できない。生じた廃棄物の半分は乳清蛋白濃縮物(WPC)の生産に用いるが、主として家畜の給餌用である(ルドルホーバ(Rudolfova)、クルダ(Curda)、2005年)。乳清は又エタノール生成の原料として使用できる。この事実を考慮すると、これは将来の発酵プロセスの魅力的な基質であるかも知れない(コーテ等(Cote et al.)、2004年)。例えばエタノール産生時にラクトースに用いるクリベロマイセス(Kluyveromyces)酵母の使用が可能である。ラクトースの加水分解により基質としてより高濃度の炭素源を有する濃縮乳清が使用でき、その結果発酵収率をかなり増加する(ローゼンバーグ等(Rosenberg et al.)、1995年)。幾つかの場合には、増殖性微生物は存在グルコースだけを利用し、残留ガラクトースはその後単離、精製、又は化学修飾できるよう発酵プロセスが実施できる(ローゼンバーグ(Rosenberg)、2000年)。
【0027】
食品工業でのβ−ガラクトシダーゼの他の重要な使用は、ガラクトオリゴ糖(GOS)の創成である。これはβ−ガラクトシダーゼのグルコシド転移活性により、ラクトース加水分解時に同時に形成する。β−ガラクトシダーゼのグルコシド転移活性は1950年代に最初に記載された(アロンソン(Aronson)、1952年)。最初に発表された研究はGOSの好ましい効果を監視し、その産生の最適法の探索に焦点が合わされた(マホーニー(Mahoney)、1998年)。
【0028】
GOSは、ヒト消化管での生菌培養物の増殖、より正確には活動を選択的に刺激する非消化性食物成分である所謂プロビオティクスの一群に属する。そのβ配置により、GOSはβグリコシド結合を選択的に加水分解する唾液酵素と消化液酵素による加水分解に耐性である(佐古等(Sako)、1999年)。GOSは大腸に入り多くの重要なプロセスに加わる。ビフィズス菌促進ミクロフローラにより、GOSは短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、乳酸及び酪酸)と気体に代謝する(ジョンソン等(Johnson)、1993年)。最初の酸類は腸蠕動を刺激し、pHを低下してカルシウムと鉄の吸収を助ける。GOSは又その健康への有益な効果が認められているビフィズス菌成長因子として知られている。更にビフィズス菌は選択的にガラクトオリゴ糖を利用して、消化管での好ましくない微生物の増殖を抑制する(ペニシン(Pennisin)、1997年)。GOSは又口腔マイクロフローラ(ストレプトコッカスミュータンス(Streptococcus mutants))を利用しないときには口腔の健康に有益なので、齲歯形成を防止する(ジラジー(Szilagyi)、1999年)。
【0029】
各々のβ−ガラクトシダーゼにより産生GOSの全量と構造は異なる。例えばビフィドバクテリウム属の異なる株からβ−ガラクトシダーゼを単離後、それに続いて30%ラクトース溶液からGOS合成に使用後、産生量には明白な差があった。ビフィドバクテリウムアングラータム(Bifidobacterium angulatum)の場合、溶液中に存在する全糖類の43.8%を形成するが、ビフィドバクテリウムシュードロンガム(Bifidobacterium psuedolongum)の場合には26.8%に過ぎない(ラビュー等(Rabiu et al.)、2001年)。構造に関しては、二つの単糖単位の新規形成のグルコシド結合(ガラクトース−ガラクトース、ガラクトース−グルコース)の型は、ビフィドバクテリウムビフィダム(Bifidobacterium bifidum)の場合ではバチルススルクランス(Bacillus circulans)の場合のβ(1−4)(モザファール等(Mozaffar et al.)、1984年)やストレプトコッカスサーモフィルス(Streptococcus thermohilus)でのβ(1−6)(松本(Matsumoto)、1990年)とは反対にβ(1−3)である(ドゥモルティール等(Dumortier et al.)、1994年)。
【0030】
酵素β−ガラクトシダーゼは以下の方法で固定化された。封入(マンマレヤ(Mammarella)、ルビオロ(Rubiolo)、2005年;ロドリゲス−ノガレス(Rodriguez-Nogales)、デルガディヨ(Delgadillo)、2005年)、架橋(サンガー(Sungur)、アクブラット(Akbulut)、1994年)、吸着(カルピオ等(Caripio et al.)、2000年)、共有結合(フー等(Hu et al.)、1993年;フィンドレイ(Findlay)、1991年、ディセリオ等(DiSerio et al.)、2003年)、膜封入(ノバリン等(Novalin et al.)、2005年)、又はこれら方法の組み合わせ(1.2.1部により詳しく説明する)。
【0031】
β−ガラクトシダーゼ固定化プロセスは、固定化後酵素活性の損失のようなある不都合と関連する。固定化後のβ−ガラクトシダーゼ活性の低下は5%乃至90%の範囲であり、用いた固定化法に依存する。この不都合は固定化物再使用の可能性により償われる。繰り返し使用時に酵素活性と固定化物の安定性を保つ能力は、固定化物の工業規模の適応で決定的なパラメーターである(田中(Tanaka)、川本(Kawamoto)、1999年)。
【0032】
ポリアクリルアミドとポリビニールアルコールゲルがしばしば封入法に用いられる。PVA基質は又糸状真菌から単離のβ−ガラクトシダーゼのカプセル封入に用いられ、これによりその温度安定性が増加した。この酵素は50℃、24時間後にその以前の活性の70%を、60℃ではその以前の活性の5%を保持した(バッツァローバ等(Batsalova et al.)、1987年)。カーレ(Khare)、グプタ(Gupta)(1988年)は、架橋とそれに続くポリアクリルアミドゲルへのカプセル封入の二つの方法の組み合わせを用いて、大腸菌(E. coli)からβ−ガラクトシダーゼを固定した。同一手順だが、架橋剤としてジメチルアジポイミデートと、酵素阻止物質のウシ血清アルブミン、システイン及びラクトースを用いて、その活性は以前の固定化剤活性の190%と評価された。好熱細菌サーマスアクアティクス(Thermus aquaticus)から異なる方法によるβ−ガラクトシダーゼ固定化を比較すると、架橋とそれに続くアガロース顆粒への封入は、高酵素活性という利益を持つ高濃度酵素の固定化に好ましいプロセスであることが示された(バーガー等(Berger et al.)、1995年)。固定化プロセスにより異なる反応条件で酵素の安定性が増加した。コウジカビ(A. oryzae)からβ−ガラクトシダーゼの多孔性PVA凍結ゲルへの封入により、酵素、pH値及びイオン強度の耐温度性が増加した(ロッシ等(Rossi et al.)、1999年)。
【0033】
吸着は技術的要求が厳しくない固定化法である。疎水性木綿繊維は、例えば担体として働き、担体上の酵素は以前の活性の50%を保つ(シャーマ(Sharma)、山崎(Yamazaki)、1984年)。バッケン等(Bakken)はコウジカビ(A. oryzae)からのβ−ガラクトシダーゼを膜形式でポリ塩化ビニルとシリカゲルに吸着し、軸向き流通反応装置でミルク中のラクトース加水分解に用いた(1990年)。骨粉に吸着固定化したβ−ガラクトシダーゼはその以前の活性の83%保ったが、4回のバッチ加水分解でその固定化物は活性を徐々に失った。4回目の加水分解後、固定化物の活性は初期活性の24%にしか過ぎなかった(カルピオ等(Carpio et al.)、2000年)。この実験により僅かな脱着が起こるこの固定化法の不都合が示された。この影響は適切な架橋剤の添加により除かれた(ズゾドゥラック(Sczcidrak)、2000年)。
【0034】
ピートテー等(Piettaa)(1989年)は共有結合を用いてコウジカビ(A. oryzae)から単離のβ−ガラクトシダーゼを二つの異なる担体に固定した。第一の物はゼオライトであるが、少量の酵素しか結合しないので使いやすくなかった。これに反して、ナイロン6粉末は大量の酵素と共有結合し安定な複合体を生じた。ピーターズ(Peters)、レーム(Rehm)(2006年)はβ−ガラクトシダーゼを共有結合によりポリヒドロキシアルカノエート顆粒に固定した。得られた固定化物は異なる条件下で長期間の保存に安定で、担体と固定化酵素間での強い結合の証拠を与える。
【0035】
二個の反応性官能基を有するグルタルアルデヒドは、β−ガラクトシダーゼ固定化で最もよく使われる架橋剤である(グイサン等(Guisan et al.)、1997年:ズゾドゥラック(Szczodrak)、2000年;ゾー(Zhou)、チェン(Chen)、2001年)。しかし架橋固定化法は、特に吸着又は封入のような他の方法(上述と、パネサール(Panesar et al.)等、印刷中)との組み合わせで用いる。例えば封入法を用いて、アルギン酸とゼラチンからなる繊維形状に固定したコウジカビ(A. oryzae)からのβ−ガラクトシダーゼは、次いでグルタルアルデヒドで架橋し酵素が洗い流されるのを防いだ(タンリセブン(Tanriseven)、ドーガン(Dogan)、2002年)。この形の架橋は又コバルト−アルギン酸ゲルへのβ−ガラクトシダーゼの固定化に用いられた。しかしラクトース加水分解時にコバルトが放出するため、食品工業でこの固定化物の使用は不可能になった(アテス(Ates)、メーメトグル(Mehmetoglu)、1997年)。
【0036】
固定化酵素の活性と安定性は、pH値、温度及びイオン強度に影響される(ロイ(Roy)、グプタ(Gupta)、2003年)。遊離酵素に比べ固定化酵素は、大部分の公表研究で記載されているように最適pH幅が広く、温度範囲も広い。固定化β−ガラクトシダーゼがより低いpH値とより高い温度で安定性がより高いことは、ラクトース加水分解で利点になり、更にそのpH値を下げ、その温度を上げて汚染の危険を減ずる。一方pH最適条件のシフトと安定性の増加は、これらの条件下ではpHが5.5乃至6.0の間隔内の甘味乳清のラクトース加水分解で有利になる(ズゾドゥラック(Szczodrak)、2000年)。
【0037】
異なる微生物供給源からのβ−ガラクトシダーゼも、又連続と同様にバッチ操作形式でガラクトオリゴ糖産生の目的で固定できる(チョークカイサワスディー等(Chockchaisawasdee et al.)、2005年)。遊離酵素に比べ、固定化酵素はより低いGOS濃度を生じた。この低下は固定化システム内の酵素への基質アクセスが制限されることで起こった(マホーニー(Mahoney)、1998年)。出現GOSの濃度と構造は、初期基質濃度と酵素起源に相当程度依存した。初期ラクトース濃度の14%から23%への増加により、GOSの産生は二倍になった(フォーダ(Foda)、ロペズ−ライバ(Lopez-Leiva)、2000年;チョークカイサワスディー等(Chockchaisawasdee et al.)、2005年)。
【0038】
シン等(Shin et al.)(1998年)は、ブレアシングラリスATTC24193(Bullera singularis ATTC 24193)から単離の酵素をキチン顆粒に固定した。彼らはこのように固定化した酵素をGOS産生に用いた。実験は15日間継続し、その間に全糖類(初期基質濃度は100g/lであった)中にGOS55重量%と、体積生産能4.4g/l/hを記録した。オリゴ糖産生で固定化β−ガラクトシダーゼ使用の他例は、又アルベイラック(Albayrak)、ヤング(Yang)(2002年)の研究に記載されている。彼らは木綿繊維に固定したコウジカビ(A. oryzae)からの酵素を用いて、全糖類(基質濃度400g/lを有する)の最大産生が26重量%、体積生産能が106g/l/hに達した。フォーダ(Foda)、ロペズ−ライバ(Lopez-Leiva)(2000年)は、GOS生成のために固定化β−ガラクトシダーゼによる膜流通反応装置を試験した。彼らは限外濾過処理した初期ラクトース濃度20重量%を有する乳清を用いて最高の産生(31重量%)に達した。乳清はラクトースの豊富な供給源である。そのGOS産生での使用は非常に魅力的に思われる。
【0039】
ポリビニールアルコール担体に基づく生体触媒で、製品でもある固定化物調合に用いる周知のキャスティング装置があり、通常レンズ型形状又は小さいベルトに製造される。ポリビニールアルコールゲルとバイオマスの混合物を、正確で前もって規定した用量で摘下キャスティング機械装置を用いて、連続コンベヤーベルトに塗布し、生産プロセス中に乾燥と物理的ゲル化により接着性の塊に変える。現在ポリビニールアルコール担体に基づく固定化物生産用キャスティング装置は、連続コンベヤーベルト(例えばポリエチレン製)が通える乾燥通路前方に配置したキャスティング機械装置からなる。キャスティングヘッドとして周知のキャスティング機械装置は、直径が0.1mm乃至2.00mmで変化する一横列のキャスティングニードルインジェクターを取り付け、電磁石の助けで異なる振動数と異なるパルス長で振動し、ポリビニールアルコールゲルとバイオマスの混合物を連続コンベヤーベルトに移動するか又は注ぐ。キャスティング装置は更に乾燥通路上部に配置の再膨潤区域を含み、低圧噴霧ジェットシステムを形成して乾燥製品を濡らす(再膨潤)。更にキャスティング装置は回収部を備え、ステンレススチールワイパー上に配置したジェット噴霧により洗い流すステンレススチール板製の圧力ワイパーを含み、ベルトの駆動シリンダー上のキャスティング装置の搬送枠に取り付ける。連続大気除湿又は連続凍結を用いて乾燥媒体源として外気又は除湿空気を用い、乾燥通路に入る前に加熱素子により暖め、ポリビニールアルコール担体に基づいて生成した固定化物を乾燥してゲル化を確実にする。このように配置したキャスティング装置は、特にポリビニールアルコール担体に基づく固定化物をコンベヤーベルトから除去するのが困難なために、長期間の経済的生産は不可能である。機械的ステンレススチールワイパーが拭き取りに、次いで回収に用いられる。ワイパーはコンベヤーベルト表面、即ち弾性に基づいてしっかりと押し付け、それに続いて塊をワイパーで拭き取り回収容器に落ちる。ベルトからのこの製品の機械的除去は、特に大きなクラスター、ポリビニールアルコール担体の凝集物の形成と、低活性又はゼロ活性製品の当然な生成を考慮すると、完全からはほど遠い。更なる不都合は、又キャスティング装置の連続コンベヤーベルトの少なからぬ機械的摩耗である。更にキャスティング装置の再膨潤部での塩溶液の使用により、塩が連続ベルト表面にくっつき、その結果キャスティング装置のコンベヤーベルトの表面張力が変わるため製品形状が変化する。この変化は、コンベヤーベルトから固定化物を除去し引き離す際、損傷と大きなクラスター又は凝集物の形成が大抵の場合に避けられないことを意味する。
【0040】
【特許文献1】チェコ特許第249179号
【特許文献2】欧州特許第0758680号
【特許文献3】WO09508513号
【特許文献4】中国特許第1076488号
【特許文献5】ドイツ特許第19827552.8号
【特許文献6】ドイツ特許第4327923号
【特許文献7】米国特許第5290693号
【特許文献8】米国特許第4403034号
【特許文献9】米国特許第4443543号
【特許文献10】米国特許第4876196号
【特許文献11】英国特許第2075053号
【特許文献12】米国特許第4413058号
【特許文献13】米国特許第4443544号
【特許文献14】米国特許第4393136号
【特許文献15】米国特許第4350765号
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【特許文献17】米国特許第4680263号
【特許文献18】特開昭58−086085号公報
【特許文献19】米国特許第426842号
【特許文献20】米国特許第4749653号
【特許文献21】ドイツ特許第4327923
【特許文献22】米国特許第5290693
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【特許文献25】特開昭55−023941号公報
【特許文献26】特開昭58−179494号公報
【特許文献27】欧州特許第0231668号
【特許文献28】米国特許第4176006号
【特許文献29】米国特許第4384045号
【特許文献30】米国特許第4405715号
【特許文献31】米国特許第4933284号
【特許文献32】米国特許第5037749号
【特許文献33】特開昭57−163484号公報
【特許文献34】米国特許第5766907号
【特許文献35】米国特許第4098645号
【特許文献36】中国特許第1203187号
【特許文献37】特開2005−042037号公報
【特許文献38】特開58−152483号公報
【特許文献39】特許登録第1252285号
【特許文献40】特許登録第1071491号
【特許文献41】米国特許第4727030号
【特許文献42】特許登録第2046288号
【特許文献43】特開昭56−113290号公報
【特許文献44】米国特許第4307151号
【特許文献45】米国特許第4415663号
【特許文献46】米国特許第5472861号
【特許文献47】米国特許第4343901号
【特許文献48】米国特許第4268423号
【特許文献49】米国特許第4888285号
【特許文献50】韓国特許第8601229号
【特許文献51】米国特許第4794083号
【特許文献52】ロシア特許第2204600号
【特許文献53】米国特許第4226937号
【特許文献54】特開昭61−060700号公報
【特許文献55】特開昭59−232092号公報
【特許文献56】ロシア特許第2181770号
【特許文献57】特開昭63−056297号公報
【特許文献58】米国特許第5130237号
【非特許文献1】ティ角野(T. Sumino)、エッチ中村(H. Nakamura)、エヌ森(N. Mori)、ワイ川口(Y. Kawaguchi)、ポリエチレングリコールプレポリマーによる細菌硝化の固定化(Immobilization of Nitrifying Bacteria by Polyethylene Glycol Prepolymer)、ジャーナルオブファーメンテイションアンドバイオエンジニアリング(Journal of Fermentation and Bioengineering)、73巻(1号)、37−42頁、1992年
【非特許文献2】マッティ、エム(Mattey, M.)、クリティカルレビューインバイオテクノロジー(Critical Reviews in Biotechnology)、12巻、87―132頁、1992年
【非特許文献3】ノートン、エス等(Norton, S. et al.)、エンザイムミクロビアルテクノロジー(Enzyme Microbial Technol.)、16巻、457−466頁、1994年
【非特許文献4】リヒター、ケイ等(Richter, K. et al.)、アクタバイオテクノロジー(Acta Biotechnol.)、11巻、229−341頁、1991年
【非特許文献5】ヤン、ジェイ等(Yan, J. et al.)、ケミカルバイオケミカルエンジニアリング(Chem. Biochem. Eng.)、Q15巻(2号)、59−63頁、2001年
【非特許文献6】ツリ、エイ等(Tuli, A. et al.)、エンザイムミクロビアルテクノロジー(Enzyme Microbial Technol.)、7巻、164−168頁、1985年
【非特許文献7】バルドリック、バンフォード(Baldrick and Bamford)、1997年
【非特許文献8】マルドナード等(Maldonado et al.)、1998年
【非特許文献9】ザドウ(Zadow)、1992年
【非特許文献10】クルダ等(Cruda et al.)、2001年
【非特許文献11】ローゼンバーグ等(Rosenberg et al.)、1995年
【非特許文献12】ノバリン等(Novalin et al.)、2005年
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【非特許文献14】コーテ等(Cote et al.)、2004年
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【非特許文献19】ジョンソン等(Johnson)、1993年
【非特許文献20】ペニシン(Pennisin)、1997年
【非特許文献21】ジラジー(Szilagyi)、1999年
【非特許文献22】ラビュー等(Rabiu et al.)、2001年
【非特許文献23】モザファール等(Mozaffar et al.)、1984年
【非特許文献24】松本(Matsumoto)、1990年
【非特許文献25】ドゥモルティール等(Dumortier et al.)、1994年
【非特許文献26】マンマレヤ(Mammarella)、ルビオロ(Rubiolo)、2005年
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【非特許文献28】サンガー(Sungur)、アクブラット(Akbulut)、1994年
【非特許文献29】カルピオ等(Caripio et al.)、2000年
【非特許文献30】フー等(Hu et al.)、1993年
【非特許文献31】フィンドレイ(Findlay)、1991年
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【非特許文献37】ロッシ等(Rossi et al.)、1999年
【非特許文献38】シャーマ(Sharma)、山崎(Yamazaki)、1984年
【非特許文献39】バッケン等(Bakken)、1990年
【非特許文献40】カルピオ等(Carpio et al.)、2000年
【非特許文献41】ズゾドゥラック(Sczcidrak)、2000年
【非特許文献42】ピートテー等(Piettaa)(1989年
【非特許文献43】ピーターズ(Peters)、レーム(Rehm)(2006年)
【非特許文献44】グイサン等(Guisan et al.)、1997年
【非特許文献45】ゾー(Zhou)、チェン(Chen)、2001年
【非特許文献46】パネサール(Panesar et al.)等、印刷中
【非特許文献47】タンリセブン(Tanriseven)、ドーガン(Dogan)、2002年
【非特許文献48】アテス(Ates)、メーメトグル(Mehmetoglu)、1997年
【非特許文献49】ロイ(Roy)、グプタ(Gupta)、2003年
【非特許文献50】チョークカイサワスディー等(Chockchaisawasdee et al.)、2005年
【非特許文献51】フォーダ(Foda)、ロペズ−ライバ(Lopez-Leiva)、2000年
【非特許文献52】シン等(Shin et al.)(1998年)
【非特許文献53】アルベイラック(Albayrak)、ヤング(Yang)、2002年
【発明の開示】
【0041】
上述の欠陥が、ポリビニールアルコールゲルに固定した固定化酵素又は微生物の形状の生物活性材料を有する生体触媒の工業生産法と、遊離の自然又は前処理(凝集)酵素触媒、又は増殖性微生物、又はその一部とポリビニールアルコールゲルを含む混合物からなる生物活性材料を工業生産に用い、その後混合物を生物活性材料の限度を考慮して温度80℃乃至15℃の乾燥空気流中で、体積対表面積の幾何比を7mm−1より大きく保って成形ゲル化し、その結果生成生体触媒を培養し、その後所定バイオテクノロジープロセスにたいして、より高い生産性、より高い生産酵素安定性、長期間の繰り返し使用又は後続の生体触媒の容易な分離プロセスによる規定が可能な制御を維持する条件でバイオテクノロジープロセスで使用する事実に基づくその使用により除かれる。
【0042】
固定化細胞による技術上の主な利点は以下の通りである。生体触媒の繰り返し使用とプロセスの連続化により、高濃度の固定バイオマスをシステムで保持する可能性と関連する所定プロセスの運転費用の少なからぬ削減と、バイオマスの分離と産物単離でのより低い費用。プロセスを連続化した場合、担体基質からのバイオマスの流失は起こらず、非生産的な増殖段階は低減し、収率の増加とより速い反応速度が得られる。本発明に従うバイオテクノロジープロセスの制御法により必要な反応体積と反応時間が減少し、操作費用と投資の低減を意味する利点がもたらされる。
【0043】
レンズ型形状担体、より正確には円筒形の担体で、その高さが底半径より4倍乃至、最高20倍まで、又は小さなベルト型、より正確にはブロック型で、その次元の一つが他の二つの次元より4倍乃至最高20倍より小さく、その結果担体の体積対表面積(幾何)比(S/V)が7mm−1より大きい担体を用いることは、固定化細胞を用いて飲料水、工業用水及び排水から窒素ガスの形で窒素化合物を除去する現行プロセスの強化に望ましい。
【0044】
飲料水、工業用水及び排水から窒素汚染の除去を予定した生体触媒の調合に有用なのは、硝化脱窒細菌をポリビニールアルコールゲルにカプセル封入後、ポリビニールアルコール担体と細菌細胞の混合物を温度80℃乃至15℃で乾燥し、レンズ型形状又は小さなベルト型にゲル化成形することにより、この生体触媒の体積対表面積比が最低7.0mm−1にした後に、適切な硫酸ナトリウム溶液で固定化物を硬化することである。次いでこの固定化物を、含窒素基質にアンモニア性窒素10mg/l乃至1000mg/l、硝酸性窒素10mg/l乃至1500mg/l含有の水性栄養媒体中で、温度20℃乃至35℃、pH値6.0乃至9.5で培養する。
【0045】
生体触媒含有の硝化細菌は、生体触媒含有脱窒細菌とは別に調合する。両方の生体触媒を含有するバイオマスの培養は、硝化脱窒に指定された工業装置で直接実施できる。
【0046】
硝化細菌の純粋な混合培養物(ニトロソモナスヨーロピア(Nitrosomonas europeae)とニトロバクターヴィノグラドスキー(Nitrobacter winogradskiy))は、カプセル封入の助けでPVA基質との固定化物調合に用いる。使用の無機栄養細菌(緩徐成長生命体)は、ニトロソモナスヨーロピア(Nitrosomonas europeae)細菌の場合にはアンモニア(アンモニア性窒素)酸化による窒素から、ニトロバクターヴィノグラドスキー(Nitrobacter winogradskiy))の場合には亜硝酸(亜硝酸性窒素)酸化による窒素から生存エネルギーを得る。脱窒細菌(パラコッカスデニトリフィカンス(Paraccocus denitrificans))は、酸素の代わりに硝酸塩の窒素(硝酸性窒素)を電子受容体に用いて、カプセル封入の助けでPVA基質との固定化物調合に用いる。この脱窒細菌は有機栄養細菌で、その増殖に有機炭素が必要である。使用培養溶液と、実際の工業排水は全く有機物を含まないので、アルコール類、糖類などの有機炭素を、好ましくはメタノールを安価で比較的バイオマスを僅かしか産生しないため添加する必要がある。
【0047】
レンズ型形状の固定化物は、微生物増殖のためにゲル担体全体積(細胞負荷)の最適利用を保つことにより、微生物と酵素の酵素増殖物性の最適利用が保たれ、ポリビニールアルコール(PVA)固定化物を用いるバイオテクノロジープロセスの比生産性増加が見られるのは有用である。このように調合した生体触媒は、バッチ、半連続及び連続の発酵操作形式で繰り返し使用できる。
【0048】
糖類基質からエタノール産生を予定した生体触媒の調合に有用なのは、嫌気性細菌ザイモモナスモビリス(Zymomonas mobilis)をポリビニールアルコールゲルにカプセル封入後、ポリビニールアルコール担体と細菌ザイモモナスモ(Zymomonas)細胞の混合物を温度80℃乃至15℃で乾燥しゲル化成形後、この固定化物を糖類基質2重量%乃至25重量%含有の水性栄養媒体中で、温度20℃乃至40℃、pH値3.5乃至7.0、エタノール1重量%乃至15重量%存在下に培養することである。このプロセスで固定化細胞を液体部から分離し、産生完了後エタノール産生に繰り返し使用するのは又有用である。このように調合した生体触媒は、バッチ、半連続及び連続の発酵操作形式で繰り返し使用できる。
【0049】
糖類基質から乳酸産生を予定した生体触媒の調合に有用なのは、好熱性有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans)をポリビニールアルコールゲルにカプセル封入後、ポリビニールアルコール担体と有胞子性乳酸菌細菌(Bacillus coagulans)細胞の混合物を温度80℃乃至15℃で乾燥し、固定化物の体積対表面積比が7.0mm−1より大きくゲル化成形後、この固定化細胞を糖類基質2重量%乃至14重量%含有の水性培養媒体中で、温度30℃乃至60℃、pH値5.0乃至7.5、乳酸又はその塩1重量%乃至12重量%の範囲で存在下に培養することである。固定化細胞を液体部から分離し、産生完了後乳酸産生のために繰り返し使用するのは又有用である。このように調合した生体触媒は、バッチ、半連続及び連続の発酵操作形式で繰り返し使用できる。
【0050】
有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans)CCM4318株を乳酸産生の生産性向上に用いるのは有用である。この細胞株自身は乳酸産生で高生産性の特徴を有し、生体触媒の体積対用面積比が最低7.0mm−1に保ちながらその生体触媒の限度を考慮すると、この乳酸産生の生産性はより一層高い。
【0051】
糖類溶液から転化糖産生を予定した生体触媒の調合に有用なのは、酵素インベルターゼをポリビニールアルコールゲルにカプセル封入後、ポリビニールアルコール担体と酵素の混合物を温度80℃乃至15℃で乾燥し、固定化物の体積対表面積比が最低7.0mm−1にゲル化成形後、このように調合した酵素を温度20℃乃至50℃、pH値3.5乃至7.0で、糖類基質2重量%乃至50重量%含有の糖類溶液の加水分解に用いることである。
【0052】
加水分解完了後固定化インベルターゼを液体部から分離し、転化ショ糖産生に繰り返し使用し、固定化インベルターゼを用いてショ糖加水分解を、バッチ、半連続及び連続形式で実施するのは有用である。
【0053】
ポリビニールアルコールゲル(PVA)へのインベルターゼの固定化に関する本法は、乾燥空気流中温度80℃乃至15℃でゲルを乾燥することに基づくが、ゲルとインベルターゼ官能基間に相互作用が起こる。固定化物のレンズ型形状により、固定化物の体積対表面積比が最低7.0mm−1の場合、ゲル全体積の最適使用とインベルターゼの高い比活性度の達成が保証される。このように固定化した酵素は基質から流失せず、バッチ、半連続及び連続操作形式で使用できる。
【0054】
多糖類からD−グルコース生成を予定した生体触媒の調合に有用なのは、グルコアミラーゼ酵素をポリビニールアルコールゲルにカプセル封入後、ポリビニールアルコール担体と酵素の混合物を温度80℃乃至15℃で乾燥し、固定化物の体積対表面積比が最低7.0mm−1にゲル化成形後、このように調合した酵素を温度20℃乃至45℃、pH値3.5乃至7で、糖類基質2重量%乃至40重量%含有のデンプンの部分的加水分解で生成した多糖類の加水分解に使用することである。
【0055】
ゲル官能基とグルコアミラーゼ間で相互作用が起こる場合、グルコアミラーゼの流失を防ぐために、温度80℃乃至15℃の空気流中の乾燥プロセスでポリビニールアルコールゲル(PVA)への酵素固定化を実施するのは有用である。本法による固定化酵素は基質から流失せず、バッチ、半連続及び連続形式で使用できる。このように調合したグルコース含有の糖類基質は、発酵食品工業で使用できる。
【0056】
加水分解完了後、固定化グルコアミラーゼは液体部から分離し、グルコース産生に繰り返し使用するのは又有用である。
【0057】
固定化グルコアミラーゼを用いる加水分解は、バッチ、バッチ供給及び連続操作形式で実施するのは又有用である。
【0058】
固定化グルコアミラーゼを、エタノールの発酵産生プロセスでデンプン基質の糖化に用いるのは又有用である。
【0059】
固定化グルコアミラーゼを、乳酸の発酵産生プロセスでデンプン基質の糖化に用いるのは又有用である。
【0060】
ラクトース溶液の加水分解、ラクトース溶液からのD−ガラクトース、D−グルコース及びガラクトオリゴ糖の産生を予定する生体触媒の調合に有用なのは、酵素β−ガラクトシダーゼをポリビニールアルコールゲルに封入後、ポリビニールアルコール担体と酵素の混合物を温度80℃乃至15℃で乾燥し、固定化物の体積対表面積比が最低7.0mm−1にゲル化成形後、このように調合した酵素を温度20℃乃至60℃、pH値3.0乃至7.0で、糖類基質2重量%乃至50重量%含有のラクトース溶液の加水分解に使用することである。
【0061】
加水分解終了後この固定化β−ガラクトシダーゼを液体部から分離し、D−ガラクトース、D−グルコース及びガラクトオリゴ糖産生に繰り返し使用し、固定化β−ガラクトシダーゼを用いてラクトースの加水分解をバッチ、バッチ供給及び連続操作形式で実施するのは又有用である。
【0062】
固定化生体触媒産生用の装置は工業生産装置であり、生物活性材料の限度により生体担体の体積と表面積を最適化し、連続コンベヤーベルトが通る乾燥通路前方に取り付けた滴下キャスティング機械装置を含み、この装置は圧力調整槽とコンプレッサーに連結した二横列のキャスティングニードルインジェクターを有する少なくとも1つのキャスティングヘッドと、コンベヤーベルトと、乾燥空気の供給源である乾燥システムを備え、ベンチレーターを用いて上乾燥流路、更には下最終乾燥通路と再膨潤槽を通る内蔵加熱素子を有する送風システムに乾燥空気を吹き込み、下最終乾燥通路と再膨潤槽の間に機械的拭き取りと高圧洗浄に基づいて設計した拭き取り回収装置を取り付け、冷却付き回収容器、更には洗浄槽とパイプラインで連結した低圧ポンプと連結した噴流による連続コンベヤーベルトの最終洗浄用の洗浄ボックスにいたる一体化した高圧ポンプと低圧ポンプとパイプラインで連結する。
【0063】
本発明に従うこの装置は完全に新規な工業用キャスティング装置組み立て品を形成し、電磁石を用いて異なる振動数とパルス長で振動する直径が0.1mm乃至2.00mmの二横列のキャスティングニードルインジェクターを備えた一つ又は二つのキャスティングヘッドと、駆動制御部付きのコンベヤーベルト、向流乾燥付き乾燥通路、再膨潤槽、独立の回収用低圧洗浄システム、及びキャスティング装置下部の向流乾燥付き下乾燥通路からなる。回収容器の塩水溶液を用いて高圧ノズルに加圧水を送る高圧ポンプを含む独立の高圧洗浄システムがこの装置の一部であることは又有用である。このようにしてコンベヤーベルトから塊の機械的拭き取り効率が増強される。
【0064】
本修正の装置、即ちこの形式の回収洗浄装置により、ポリビニールアルコール担体に基づく経済的な固定化物の工業生産が中断されることなく確保できることは又重要である。
【0065】
拭き取り可能な回収装置がエラー無しで機能するのに有用なのは、キャスティング装置の一部である拭き取り可能回収装置が側枠で形成され、角度45度乃至80度で洗浄する機械的ポリマーワイパーをバネ圧機構と、枠に固定した支持用ステンレススチールパイプ分配システム上に固定し、高圧噴流システムを用いた洗浄を有するステンレススチール加圧機械装置上に配置し、コンベヤーベルトの内側と外側を洗浄するために、機械的ポリマーワイパー背後にバネ機構で固定したポリマーブラシを有する下ワイパーと上ワイパーがあり、この枠からはみ出た場所で産物からコンベヤーベルトを最終洗浄するために、更に下ワイパーと上ワイパーが備わる場合である。拭き取り可能な回収装置の設計機構により、連続コンベヤーベルト内面が平坦でなく、波形又は凸凹である場合でも、その反対側を又清掃することは又利点である。
【0066】
本発明に従うこの装置は、他の接着性材料の生産でコンベヤーベルトから他の接着性材料を拭き取るために又利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
ポリビニールアルコールゲルに固定化した硝化細胞と脱窒細胞を用いて、排水から窒素を除去するプロセスにおける上述の担体生産法と使用法を以下の例で説明する。
【実施例1】
【0068】
固定化物−硝化細菌(ニトロソモナスヨーロピア(Nitrosomonas europeae)とニトロバクターヴィノグラドスキー(Nitrobacter winogradskiy))の純粋混合培養液をPVA−ヒドロゲルにカプセル封入して硝化用生体触媒を調合した。
【0069】
固定化物−脱窒細菌(パラコッカスデニトリフィカンス(Paraccocus denitrificans))をカプセル封入して脱窒用生体触媒を調合した。
【0070】
固定化はこのような方法で行った。ポリビニールアルコール(PVA)100g、ポリエチレングリコール(PEG)60g及び蒸留水790g含有のPVA溶液を調合した。生成細胞濃度がゲル1dm当たり細胞0.60gになるようにバイオマスの均一な懸濁液をこのように調合した溶液に加えた。このように調合した細胞混合物のPVA溶液を硬いプレート上に摘下後、温度80℃乃至15℃の乾燥空気流中で架橋成形した。次いで体積対表面積が最低7mm−1の固定化物を、硫酸ナトリウム(0.01モル/l)と塩化アンモニウム(0.1モル/l)溶液に60分間移した。この固定化物を培養、又はろ過後貯蔵媒体に温度4℃で保存した。
【0071】
硝化微生物の場合には、バッチ培養を窒素基質のアンモニア性窒素含量が50mg/lから500mg/lに徐々に増加する水性培養媒体で行い、その間pH7.0、溶解酸素濃度1.5mg/lより高くで細胞培養を行った。
【0072】
脱窒微生物の場合には、窒素基質含量が硝酸性窒素200mg/lと他の栄養物を有する水性培養媒体で、温度20℃乃至35℃、pH7.8で、炭素基質としてメタノール存在下にバッチ培養を行った。両生体触媒中のバイオマス含量は、培養後PVA1000ml当たりバイオマス乾物約60mg乃至80mgであった。
【0073】
次いで調合固定化物を繰り返しバッチ発酵に付した。アンモニア性窒素約800mg/lと、カプセル封入硝化細菌を有する生体触媒2000g含有の合成排水(WW)含有量15lの硝化(アンモニア除去による窒素)を、有効容積17lの反応装置内で4時間後に終了し、1時間x生体触媒1kg当たりアンモニア性窒素約1500mgの硝化速度で、それぞれWWmx1日当たりアンモニア性窒素約4.8kgと、生体触媒mx1日当たりアンモニア性窒素36kgが得られた。
【0074】
硝酸性窒素800mg/lの濃度を有する合成排水含有量15lのカプセル封入脱窒細菌を有する生体触媒800gによる脱窒(硝酸塩除去での窒素)を、有効容積15.8lの反応装置中で炭素基質としてメタノール存在下に3時間で終了し、1時間x生体触媒1kg当たり硝酸性窒素約2000mgの脱窒速度で、それぞれWWmx1日当たり硝酸性窒素約6kgと、生体触媒mx1日当たり硝酸性窒素45kgを与えた。
【実施例2】
【0075】
アンモニア性窒素200mg/l乃至1000mg/lの高窒素汚染濃度で二クロム酸の酸化値がゼロの実排水で、実際に硝化脱窒を連続調整して窒素汚染の除去に実施例1で上述したように調合培養した固定化物を用いた。
【0076】
攪拌硝化反応装置の有効容積は17l、攪拌脱窒反応装置の有効容積は3.8lの連続モデル装置を用いて同時の硝化脱窒を試験した。アンモニア性窒素含有量約1600mg/lを有する実際の工業排水の流速は1日当たり35lであった。
【0077】
カプセル封入硝化細菌を有する生体触媒2000gを硝化反応装置に加えた。カプセル封入脱窒細菌を有する生体触媒800gを脱窒反応装置に加えた。
【0078】
数週間の実験で、平均硝化速度は1時間x生体触媒1kg当たりアンモニア性窒素約1000mg、硝化効率が95%で、炭素基質としてメタノール存在下での平均脱窒速度は1時間x生体触媒1kg当たり硝酸性窒素約1600mgが得られた。窒素汚染除去速度はWWx1日当たり約1.5kg/mであった。
【実施例3】
【0079】
アンモニア性窒素200mg/l乃至1000mg/lの高窒素汚染含有量で二クロム酸の酸化値の高い(>1000mg/l)実排水で、硝化脱窒を連続調整して窒素汚染の除去に実施例1で上述したように調合培養した固定化物を用いた。
【0080】
このように調合の固定化物をバッチ発酵に付した。カプセル封入硝化細菌を有する生体触媒2000gによるアンモニア性窒素含量約800mg/lの合成排水(WW)15lの硝化(アンモニア除去での窒素)を、有効容積17lの反応装置中で12時間後に終了し、硝化速度1時間x生体触媒1kg当たりアンモニア性窒素約500mgで、それぞれWWmx1日当たりアンモニア性窒素約1.6kgと、生体触媒mx1日当たりアンモニア性窒素12kgが得られた。
【0081】
硝酸性窒素800mg/lの濃度を有する合成排水含有量15lと、カプセル封入脱窒細菌を有する生体触媒800gを、有効容積15.8lの反応装置中で炭素基質としてメタノール存在下に脱窒(硝酸塩除去による窒素)して6時間で終了し、脱窒速度1時間x生体触媒1kg当たり硝酸性窒素約1000mgで、それぞれWWmx1日当たり硝酸性窒素約3kgと、生体触媒mx1日当たり硝酸性窒素22.5kgが得られた。
【0082】
ポリビニールアルコールゲルに固定化した有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans)細胞を用いて、糖類基質から乳酸を産生する上述の担体生産法と使用法を以下の例で説明する。
【実施例4】
【0083】
有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans)CCM4318胞子懸濁液は、その保存培養液0.2cmをペトリ皿(直径9cm)の減菌済み炭酸カルシウム(3時間、160℃)を有するMRS寒天表面上に播種して調合した。実験室用恒温装置で温度50℃、72時間インキュベートした。次いで胞子形成した培養液を減菌蒸留水5cmで覆い、エルレンマイアーフラスコに移した。次いで得られた懸濁液を温度70℃で25分間インキュベート後、ポリビニールアルコール(PVA)ゲルへの固定化に用いた。
【0084】
ポリビニールアルコール(PVA)100g、ポリエチレングリコール(PEG)60g及び蒸留水790g含有のPVA溶液を調合した。最終細胞濃度はゲル1dm当たり細胞(乾物)0.67gになるように、バイオマスの均一な懸濁液50mlをこのように調合した溶液に加えた。このように調合した細胞混合物のPVA溶液を硬いプレート上に摘下後、温度勾配80℃乃至15℃の乾燥空気流中で架橋成形した。次いで体積対表面積が最低7mm−1の固定化物を、硫酸ナトリウム溶液(0.1モル/l)に60分間移した。この固定化物をバッチ発酵に用いるか、又はろ過後温度4℃で減菌水道水中に保存した。
【0085】
産生培地2.6lを有する5lの実験室用発酵槽で、バイオマス増殖を繰り返しのバッチ発酵により実施した。産生培地は蒸留水1l中に、ショ糖60g、酵母抽出物10g、リン酸一水素アンモニウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.2g、硫酸マンガン4水和物0.05g、硫酸第1鉄7水和物0.01gを含有する。この産生培地を短時間煮沸し、温度60℃に冷却後、湿潤固定化物400gを加えた。温度を1時間かけて徐々に45℃に下げ、pHが同時に6.9から5.0に下がった後、26%アンモニア水溶液を加えて以下の発酵時に5.8に維持した。バッチ形式で発酵を実施し、連続に攪拌した(200rpm)。糖類基質消費後、固定化物を発酵培地から分離し新規の発酵に用いた。以下の条件下に同様な方法で一連の9回のバッチ発酵を実施した。2回目の転換から5回目の転換までは温度50℃、pH6.0で、6回目の転換から10回目の転換までは温度52℃、pH値6.3で行った。発酵の全持続時間は、繰り返し発酵で48時間(第1転換)から12時間(第10転換)に短縮して、乳酸収率91%から93%になった。PVAゲル中のバイオマス濃度は10回目の転換後、固化物1g当たり細胞0.065gに増加した。
【実施例5】
【0086】
培地組成、固定化物調合、及びバッチ発酵は実施例4で上述したものと類似で、ショ糖の代わりにグルコースを産生培地に用いただけである(60g/l)。発酵14時間後、第10回目の転換で乳酸55.2g/lとグルコース1.2g/lが生じた。
【実施例6】
【0087】
実施例4で上述のように調合した湿潤固定化物350gを6lの発酵槽に移し、蒸留水1l中に、ショ糖60g、酵母抽出物5.0g、リン酸一水素アンモニウム0.8g、硫酸マグネシウム7水和物0.2g、硫酸マンガン4水和物0.05g、硫酸第1鉄7水和物0.01gを含有する産生培地2dmを加えた。バッチ式で温度52℃で一定に攪拌し(200回転/分)、アンモニア水溶液(26%)を加えてpH値を6.3に保持して発酵を実施した。ショ糖含有量140g/lと同じ組成の産生培地2lを、ショ糖濃度を20g/dmに下げた後に発酵槽内の濃度が15g/l乃至30g/lの範囲に維持できる速度で、徐々に一括処理した。培地中の乳酸含有量は15時間後93.5g/dmで、残留糖は2.6g/lであった。
【実施例7】
【0088】
培地組成と固定化物の調合は実施例5に上述の物と同じであった。固定化物350gを10回目の転換後、6lの発酵槽に移し、蒸留水1l中に、グルコース60g、酵母抽出物5.0g、リン酸一水素アンモニウム0.8g、硫酸マグネシウム7水和物0.2g、硫酸マンガン4水和物0.05g、硫酸第1鉄7水和物0.01gを含有する産生培地2.5dmを加えた。温度52℃で一定に攪拌し(200rpm)、pH値を6.3に維持して発酵した。グルコース濃度が20g/dmに減少後産生培地を徐々に一括処理し、同一組成の発酵培地を反応装置中の残留ショ糖濃度を15g/l乃至30g/lの範囲に維持し、残量グルコース濃度を10g/dm乃至15g/dmに、実際の乳酸濃度を40g/dm乃至48g/dmの範囲に維持するように取り除いた。発酵を40日間連続で実施し、このプロセスで装置の平均体積生産能は1立方メートルx1時間当たり乳酸13.5乃至17.0gの範囲であった。
【0089】
ポリビニールアルコールゲルに固定化したザイモモナスモビリス(Zymomonas mobilis)細胞を用いた糖類基質からのエタノール産生プロセスにおける上述の担体生産法と使用法を以下の例で説明する。
【実施例8】
【0090】
250mlの培養フラスコ(温度121℃で20分間減菌)中に培養媒体100mlを調合した。この培養媒体は、蒸留水1l中に酵母抽出物5g、硫酸アンモニウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.5g、リン酸二水素カリウム1g、グルコース100gを含有した(pHは5乃至5.5)。次いで調合培地をザイモモナスモビリス(Zymomonas mobilis)CCM2770培養液で播種し、固体培養媒体上で増殖し温度30℃で24乃至48時間静的に培養した。このように調合したバイオマスを接種材料(10体積%)として用い、250mlの培養フラスコ中の上述組成の培養液100mlに入れた。温度30℃で静的培養12時間後に、この微生物を再度培養媒体(5体積%)に移した。バイオマス乾物の値が1.2g/dmになるまで温度30℃で培養を実施し、培地を僅かに攪拌するのは有効であった。培養終了後、バイオマスを遠心分離(5500回転/分、25分)により分離し、固定化に使用した。
【0091】
ポリビニールアルコール(PVA)100g、ポリエチレングリコール(PEG)60g及び蒸留水790g含有のPVA溶液を調合した。均一なバイオマス懸濁液50mlを、生成細胞濃度がゲル1dm当たり0.56gになるようにこのように調合した溶液に加えた。このように調合した細胞混合物のPVA溶液を硬いプレート上に摘下後、温度勾配80℃乃至15℃の乾燥空気流中で架橋成形した。次いで体積対表面積が最低7mm−1の固定化物を、硫酸ナトリウム溶液(0.1モル/l)に30分乃至60分間移した。
【0092】
固定化物中の細胞バイオマスは、6dmの実験室用発酵槽で毎回発酵プロセスの殺菌培養媒体3dmで増殖した。次いで23体積%の固定化物の培養媒体を一定に攪拌しながら(80回転/分)バッチ式に培養することで培養媒体のpHは6.5に調節され、温度25℃で自然にpH=4.0に低下した。流体相を除去し、新鮮な培地を固定化物に加え、このプロセスをもう一度繰り返した。次いで流体相を除去し、新鮮な培地を固定化物に加え、pH値を6.5に調節した(1M苛性ソーダ溶液により)。次いで一定に攪拌しながら(80rpm)pH値を自然発酵によりpH=5に下げた後、グルコースが枯渇するまで発酵を実施した。流体相を除去し、新鮮な培地を固定化物に加え、このプロセスを6回繰り返した。このように調合した固定化物中の細胞乾物は、ゲル1dm当たり細胞65.8gに増加した。
【0093】
グルコース含有量150g/dmを有し、pH=5.5の殺菌産生培地2.2dmを、このように調合した固定化細胞(湿潤生体触媒450g)に加えた。発酵が一定に攪拌した(80rpm)5lのバイオリアクターで生じ、30℃で苛性ソーダ(2モル/dm)を加えてpHを5.0に維持した。発酵11時間後、この培地はエタノール73.8g/dmを含有したが、残留グルコース濃度は1.8g/dmであった。PVA担体に固定化したザイモモナスモビリス(Zymomonas mobilis)によるエタノールの比生産能は、1時間当たりゲル1ml当たりエタノール202mgに達した。
【実施例9】
【0094】
実施例8に上述したように調合した湿潤固定化物450gを、グルコース含有量200g/dmを有する産生培地2.2dmに加えた(pH=5.0)。一定に攪拌しながら(80rpm、)バッチ式で発酵が生じ、温度30℃で苛性ソーダ溶液(2モル/dm)を加えてpHを5.0に保持した。このように6回発酵を実施した。各転換後、13時間後の培地中のエタノール含有量は、最低94.0g/dm乃至98.0g/dmであり、残留グルコースは3g/dm乃至8g/dmであった(即ち理論収率の94%乃至98%)。
【実施例10】
【0095】
実施例9に上述したように調合増殖した固定化物を用いた。グルコース濃度150g/dmを有する産生培地1050ml(発酵培地体積の30%で形成した固定化物)を固定化物450gに加えた。一定に攪拌しながら(80rpm、)バッチ式で発酵が生じ、温度30℃で苛性ソーダ溶液(2モル/dm)を加えてpHを5.0に保持した。グルコース濃度320g/dmを有する培養媒体1500mlを、グルコース濃度の値が20g/dmに低下後、発酵槽中の残留グルコース濃度が15g/dm乃至30g/dmに維持する速度で徐々に一括処理した。20時間後、培地中のエタノール含有量は113.5g/dm、即ち理論収率の91%であり、残留グルコースは4.6g/dmであった。
【実施例11】
【0096】
実施例8に上述したように調合増殖したザイモモナスモビリス(Zymomonas mobilis)CCM2770固定化物を用いた。湿潤固定化物450gをグルコース150g/dmを有する培養媒体2.2dmに移し、pHを5.0に調整した。発酵がpH=5.0、温度30℃で生じた。発酵槽中のグルコース含有量の値が10g/dm乃至20g/dmに低下後、グルコース含有量50g/dmを有する培養媒体を連続処理し、発酵槽中の残留グルコース濃度が17g/dm乃至30g/dmの範囲で、エタノールの実濃度が58g/dm乃至65g/dmの範囲の希釈率で発酵培地を除去した。発酵を50日間連続で実施し、装置の容積生産能は1時間当たり1立方メートル当たりエタノール30gであり、エタノールの比生産能が1時間当たりゲル1ml当たりエタノール140mgに相当する。
【実施例12】
【0097】
実施例8と同じ手順でザイモモナスモビリス亜種ポマシ(Zymomonas mobilis subsp. pomacii)CCM2771を産生微生物として用いた。発酵15時間後に培地はエタノール68.3g/dmを含み、残留グルコース濃度は6.8g/dmであった。
【0098】
ポリビニールアルコールゲルにカプセル封入したインベルターゼを用いて、ショ糖溶液から転化糖を生成する上述の担体生産法と使用法を以下の例で説明する。
【実施例13】
【0099】
ポリビニールアルコール(PVA)100g、ポリエチレングリコール(PEG)60g及び蒸留水790g含有のPVA溶液を調合した。酵素調合のインベルターゼ(シグマ社(Sigma))(酵素濃度、100g/l)50mlをこの調合溶液に加えた。このように調合した酵素混合物のPVA溶液を硬いプレート上に摘下後、温度勾配80℃乃至15℃の乾燥空気流中で架橋成形した。次いで体積対表面積が最低7mm−1の固定化物を、硫酸ナトリウム溶液(0.1モル/l)に10分乃至120分間移した。調合固定化物は温度4℃で10mmの酢酸緩衝溶液(pH=4.5)中に保存できる。
【0100】
このように調合した固定化酵素は、pH4.5の10mm酢酸緩衝溶液に溶解したショ糖の加水分解に使用できる。固定化インベルターゼ120gをショ糖溶液(100g/l)1000mlに加えた。温度30℃でバッチ式に一定に攪拌して(80rpm)加水分解を実施した。ショ糖は加水分解50分後にグルコースと果糖に完全に加水分解した。
【実施例14】
【0101】
実施例13に上述のように調合した湿潤固定化物120gを、濃度450g/lのショ糖溶液1000ml(pH=4.5、10mm酢酸緩衝溶液)に温度30℃で加えた。連続に攪拌してバッチ式で加水分解が生じた。360分後のこのような残留ショ糖濃度は10.1g/lであった。
【実施例15】
【0102】
実施例13に上述したように調合した湿潤固定化物120gを、濃度280g/lのショ糖溶液1000ml(pH=4.5、10mm酢酸緩衝溶液)に温度30℃で加えた。一定に攪拌してバッチ式で加水分解が生じた。360分後のこのような残留ショ糖濃度は1.8g/lであった。加水分解後流体相を除去し、固定化インベルターゼを上述の手順で繰り返しのバッチ加水分解に用いた。加水分解240分後の残留ショ糖濃度は、6回の転換後3g/lであった。
【実施例16】
【0103】
実施例13に上述したように調合した固定化物。湿潤固定化物25gを、pH=4.5(硫酸による調整)でショ糖濃度120g/lを有する糖蜜0.5lに移した。pH=4.5、30℃で、200rpmで攪拌して加水分解を実施した。濃度120g/lの糖蜜を発酵槽に連続処理し、発酵槽中のショ糖量の値が30g/l乃至40g/lに低下後、ショ糖濃度が30g/l乃至40g/lに達する(転換66%乃至75%)速度で加水分解培地を除去した。この固定化物の比活性度はこの形式では1時間当たり1グラム当たり0.35g(1時間当たり固定化物1グラム当たり評判のショ糖のグラム数)であった。
【実施例17】
【0104】
実施例13に上述したように調合した固定化物を用いた。湿潤固定化物25gを、pH=4.5でショ糖濃度120g/lを有する糖蜜0.5lに移した。pH=4.5、温度45℃で、200rpmで攪拌して加水分解が生じた。濃度120g/lの糖蜜を発酵槽で連続処理し、発酵槽中のショ糖量の値が30g/l乃至40g/lに低下後、ショ糖濃度が30g/l乃至40g/lに達する(転換66%乃至75%)速度で加水分解培地を除去した。この固定化物の比活性度は、500時間連続に実施するこの形式の加水分解では、1時間当たり1グラム当たり0.55g乃至0.60g(1時間当たり固定化物1グラム当たり評判のショ糖のグラム数)であった。
【0105】
ポリビニールアルコールゲルにカプセル封入したグルコアミラーゼを用いた、デンプン加水分解物からのグルコースの産生プロセスにおける上述の担体産生法と使用法を以下の例で説明する。
【実施例18】
【0106】
ポリビニールアルコール(PVA)100g、ポリエチレングリコール(PEG)60g及び蒸留水790g含有のPVA溶液を調合した。サンウルトラエル(商品名SUN Ultra L)(ノボザイム社(Novozymes))酵素調合液50mlをこの調合溶液に加えた。このように調合した酵素混合物のPVA溶液を硬いプレート上に摘下後、温度勾配80℃乃至15℃の乾燥空気流中で架橋成形した。次いで体積対表面積が最低7mm−1の固定化物を、硫酸ナトリウム溶液(0.1モル/l)に10分乃至120分間移した。調合固定化物は温度4℃で10mm酢酸緩衝溶液(pH=4.5)に溶解して30重量%のグルコース中に保存できる。
【0107】
このように調合した固定化酵素を用いてデンプン加水分解物、例えばpH=4.5の10mm酢酸緩衝溶液に溶解した麦芽糖モラセス(組成:多糖類33重量%、マルトトリオース20重量%、麦芽糖53重量%、グルコース4重量%)を加水分解した。固定化グルコアミラーゼ120gを糖類濃度100g/lを有するこのように調合した溶液1000mlに加えた。温度30℃で一定に攪拌して(200rpm)、バッチ式で加水分解を実施した。培地は加水分解60分後にグルコース70g/l乃至80g/lを含んでいた。
【実施例19】
【0108】
糖類濃度250g/lを有する麦芽糖培地5000ml(pH=4.5)を、実施例18に上述したように調合した湿潤固定化物200gに温度40℃で加えた。一定に攪拌してバッチ式で加水分解が起こった。このようにして6時間でグルコース180g/lが生じた。加水分解後流体相を除去し、固定化グルコアミラーゼを用いて上述の手順でバッチ加水分解を繰り返した。産生グルコース濃度は、6回目の転換後加水分解6時間で178g/lであった。
【実施例20】
【0109】
実施例18に上述したように調合した固定化物を用いた。湿潤固定化物25gを、pH=4.5で糖類濃度100g/lを有する麦芽糖モラセス0.5lに移した。pH=4.5、温度30℃で、200rpmで攪拌して加水分解が生じた。糖類濃度100g/lの麦芽糖モラセスを発酵槽で連続処理し、発酵槽中のグルコース濃度の値が55g/l乃至65g/lに増加後、グルコース濃度が50g/l乃至60g/lに達する(転換50%乃至60%)速度で加水分解培地を除去した。この固定化物の比活性度は、900時間の連続加水分解実施の形式で、1時間当たり1グラム当たり0.3g乃至0.4g(1時間当たり固定化物1グラム当たり産生グルコースのグラム数)であった。
【実施例21】
【0110】
実施例18に上述したように調合した固定化物を用いた。湿潤固定化物25gを、pH=4.5で糖類濃度100g/lを有する麦芽糖モラセス0.5lに移した。pH=4.5、温度45℃で、200rpmで攪拌して加水分解が生じた。糖類濃度100g/lの麦芽糖モラセスを発酵槽で連続処理し、発酵槽中のグルコース濃度の値が55g/l乃至65g/lに増加後、グルコース濃度が60g/l乃至70g/lに達する(転換60%乃至70%)速度で加水分解培地を除去した。この固定化物の比活性度は、1500時間の連続加水分解実施形式で、1時間当たり1グラム当たり0.55g乃至0.6g(1時間当たり固定化物1グラム当たり産生グルコースのグラム数)であった。
【実施例22】
【0111】
実施例18に上述したように調合した固定化物を用いた。糖類濃度195g/lの麦芽糖モラセス、酵母抽出物5g/l、硫酸アンモニウム1g/l、硫酸マグネシウム7水和物0.5g/l、リン酸二水素カリウム1g/lの全てを蒸留水に溶解した組成を有するpH=4.5の培地。固定化グルコアミラーゼを有する固定化剤50gをこのように調合した殺菌培地1lに加えた。次いで懸濁液を微生物の指数増殖期にある10体積%のザイモモナスモビリス(Zymomonas mobilis)接種材料で播種した。微生物を用いる新生グルコースとエタノール産生の同時利用が加水分解プロセスで起こった。このようにしてエタノールが13.5時間に70g/lで産生した。
【実施例23】
【0112】
実施例18に上述したように調合した固定化物を用いた。糖類含有量80gの麦芽糖モラセス、酵母抽出物10g、リン酸一水素アンモニウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.2g、硫酸マンガン4水和物0.05g、硫酸第一鉄7水和物0.01gの全てを蒸留水1lに溶解した組成を有するpH=6.0の培地を転換に用いた。固定化グルコアミラーゼを有する固定化剤50gをこのよう調合した殺菌培地1lに加えた。次いで懸濁液を5体積%の有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans)胞子懸濁液で播種した。微生物を用いる新生グルコースと乳酸産生の同時利用が加水分解プロセスで起こった。発酵24時間後培地に乳酸55.2g/lとグルコース1.2g/lを産生した。
【0113】
ポリビニールアルコールゲルにカプセル封入したβ−ガラクトシダーゼを用いた、ラクトース溶液の加水分解、D−ガラクトース、D−グルコース及びガラクトオリゴ糖生成における上述の担体生産法と使用法を以下の例で説明する。
【実施例24】
【0114】
ポリビニールアルコール(PVA)100g、ポリエチレングリコール(PEG)60g及び蒸留水790g含有のPVA溶液を調合した。ラクトザイム(商品名Lactozyme)(ノボザイム社(Novozymes))酵素調合液50mlをこの調合溶液に加えた。このように調合した酵素混合物のPVA溶液を硬いプレート上に摘下後、温度勾配80℃乃至15℃の乾燥空気流中で架橋成形した。次いで体積対表面積が最低7mm−1の固定化物をリン酸カリウム緩衝溶液(pH=6.5)に10分乃至120分間移した。調合固定化物はエタノールを5%乃至10%加えたリン酸緩衝溶液(pH=6.5)中、温度4℃で保存できる。
【0115】
このように調合した固定化酵素は初期活性900±100U/cmを有する。
【実施例25】
【0116】
実施例24に上述したように調合した固定化物を用いた。pH=6.5で2mm塩化マグネシウムを加えた0.1Mリン酸緩衝液中のラクトース溶液を加水分解に用いた。固定化β−ガラクトシダーゼ130gをラクトース濃度100g/lのこのように調合した溶液1000mlに加えた。一定の攪拌(200rpm)でバッチ式に温度30℃で加水分解が生じた。加水分解後流体相を除去し、固定化β−ガラクトシダーゼを上述の手順で繰り返しのバッチ加水分解に用いた。培地は加水分解210分後ラクトース13g/l乃至2g/lを含有した。
【実施例26】
【0117】
実施例24に上述したように調合した固定化物を用いた。pH=6.5で2mmの塩化マグネシウムを加えた0.1Mリン酸緩衝液中のラクトース溶液を加水分解に用いた。初期活性786U/cmを有する固定化β−ガラクトシダーゼ130gを、ラクトース濃度100g/lのこのように調合した溶液1000mlに加えた。連続攪拌(200回転/分)でバッチ式に温度30℃で加水分解が生じた。転換持続時間は一定であった。固定化剤の活性は25回のバッチ加水分解後5%乃至10%減じ、通常160時間継続した。
【0118】
上例で記載のポリビニールアルコール担体に基づく固定化物生産用のキャスティング装置の配置について、更なる本文で説明する。以下の説明はこの発明の原理の適用原理を説明するものに過ぎないことは明らかである。
【0119】
図面1に連続的工業生産に適合したポリビニールアルコール担体に基づく固定化物生産用のキャスティング装置の本構成バージョンを示す。この構成バーションは上乾燥通路2前方に配置の摘下キャスティング組み立て部を含み、上乾燥通路2は二横列のキャスティングインジェクターを備え、圧力調節槽15とコンプレッサー又は加圧空気容器16と連結した一つ又は複数の複列摘下キャスティングヘッド17で形成される。上乾燥通路2は、その内部に制御駆動部を有する連続コンベヤーベルト1が通り、乾燥空気供給源4である乾燥システムを備え、除湿空気が第1補助換気装置19を通して一体化した熱素子5を有する、数カ所で上乾燥通路2に通じる送風システム6に入る。連続コンベヤーベルト1は、上乾燥通路から離れた後、再膨潤槽7とキャスティング装置の反対の底側に位置する最終乾燥通路3を通りキャスティング装置の一方側に進み、パイプラインにより洗浄ボックス13から離れた後にコンベヤーベルトによる最終乾燥に用いる上乾燥通路から乾燥空気を送る第2補助換気装置20に導かれ、その反対側からは湿潤廃空気の産物18が外へ導かれる。機械的拭き取りと高圧洗浄の原理で設計した拭き取り可能な回収装置9は、一体化した高圧ポンプ10と低圧ポンプ11を有するパイプラインにより再膨潤回収用の塩溶液24を含み冷却を備えた回収容器8と、脱塩水含有の洗浄槽12とパイプラインで連結した低圧ポンプ14に連結した連続コンベヤーベルト1を噴流を用いて洗浄するための洗浄ボックス13と連結し、再膨潤用塩溶液24を有する再膨潤槽7と最終乾燥通路3の間で一体化する。
【0120】
ポリビニールアルコール担体に基づく固定化物生産用のこの装置の機能は以下の通りである。ポリビニールアルコールゲルと生体物質の混合物を、直径0.1乃至2.00mmの二横列のキャスティングニードルを備えた二つのキャスティングヘッド17で形成した摘下キャスティング組み立て部から、電磁石を用いて異なる振動数又はパルス長で振動して、上乾燥通路2を通る駆動制御部付きの連続コンベヤーベルト1上に移動するか又は注ぐ。摘下キャスティング用の混合物を、コンプレッサー又は加圧空気槽16と連結した圧力調整槽15で一括処理する。コンベヤーベルト1上の混合物の乾燥は、第1補助換気装置19と、上乾燥通路の温度勾配を制御し上乾燥通路2の各区域に導く空調送風パイプライン6に配置した熱素子5上を通る連続大気除湿器4から得られる水蒸気や水を含まない空気により確保される。次いで連続コンベヤーベルト1に付着残留した乾燥混合物は再膨潤用の塩溶液を有する再膨潤槽7を通った後、産物、即ちポリビニールアルコール担体に基づく固定化物は、この拭き取り可能な回収装置9から引き離される。本装置は高圧ポンプ10と噴流で形成した高圧水供給用システムを備え、このシステムは独立の回路に連結する。拭き取り可能なポリマーブレードと、高圧ポンプ10が供給する塩水溶液の噴流を用いてコンベヤーベルトから産物を引き離す。最後にコンベヤーベルト1は洗浄ボックス13と低圧ポンプ14に位置する噴流を用いて処理し、洗浄脱塩水は洗浄ボックス13から流れ落ちる洗浄槽12に回収する。コンベヤーベルト洗浄用の低圧水送出システムは独立の回路と連結する。次いで湿潤コンベヤーベルト1を、第2補助換気装置20を設置したパイプラインを通して上乾燥通路から乾燥空気を送風する下乾燥通路3で最後に乾燥し、湿潤廃空気は湿潤廃空気出口18を通して下乾燥通路3から追い出される。
【0121】
図面2に再膨潤槽の構成を示す。このバージョンの再膨潤槽7は、傾斜した底を有する槽21からなり、その最下部には出口弁22が産物と再膨潤用の溶液排出のために配置される。コンベヤーベルト1は二つの導テンションロール23で先導され、同時に槽21を通過するコンベヤーベルトの槽21を満たした再膨潤用の塩水溶液24への浸漬を指定する。
【0122】
図3に拭き取り可能な回収装置9の構成を示す。このバージョンの拭き取り可能な回収装置9は、機械的ポリマーワイパーをバネ圧組み立て部28を有するステンレススチール圧力組み立て部27に配置した側枠25からなる。このバネ圧組み立て部28は、バネ35の上にあるワッシャ付き推力制御ネジ34により形成される。拭き取り可能な回収装置9は、更に枠25に固定した支持用ステンレススチールパイプ分配システムに連結した高圧ノズル26により形成され、角度45度乃至80度で洗浄できる。ステンレススチールパイプ分配システム30は高さ調整能を備え、調整ネジ31により固定する。コンベヤーベルト1は上ワイパーと下ワイパー29の間を通りながら、上枠33上に固定したポリマーブラシ32付き上下ワイパー29をコンベヤーベルト内側洗浄のためにワイパー27後方のその内外側に堅固に配置する。コンベヤーベルトは枠25の出口点でコンベヤーベルト1の内外側を最終処理するための下ポリマーワイパーと上ポリマーワイパー29を備える。
【0123】
拭き取り回収装置9の機能は再膨潤槽7後方の生産ラインに整え、そこからコンベヤーベルト1がこの装置の下部分から、即ち反対方向に外へでる。装置の上部分でコンベヤーベルト1上に適応した産物が、今は垂直位に逆さまになることが明らかである。コンベヤーベルトからのその除去法は、機械的ワイパー27と又高圧ノズル26が協力してコンベヤーベルト1の外側に付着した産物に影響するという事実に基づく。コンベヤーベルト1上の産物は先ず高圧洗浄に導かれ、バネ圧機械装置28付き機械的ワイパー27に対し角度40度乃至80度で働き、コンベヤーベルト1に対する傾斜が又5度乃至15度の範囲で制御できる圧力ノズル26により送られた塩水溶液の加圧分配システムにより保証される。ポリマーブラシ付きで、コンベヤーベルト1の内側と外側を同時に最終処理する堅固に固定した下ワイパーと上ワイパー29は、ステンレススチール圧力組み立て部28上のバネ付き機械的ポリマーワイパー27の後ろに取り付ける。コンベヤーベルト1は、下ポリマーワイパーと上ポリマーワイパー29上の枠25から離れ、その両側を最後に処理する。
【0124】
図面4に洗浄ボックス13の構成を示す。このバージョンの洗浄ボックス13は、互いに連結した蓋43付き上部36と出口38付き下部37で形成され、その間をコンベヤーベルト1が通り、これら部分はキャスティング機械枠39と連結する。更に洗浄水供給管41と連結した上洗浄ノズル40は上部36に取り付け、供給管41に連結した下洗浄ノズル42を下部分37に同様に取り付ける。調節可能なポリマーワイパー44をコンベヤーベルトの水で拭き取るために上部36の両側に固定し、ワイパー45を下部37の両側に同様に固定する。洗浄ボックス13を上組み立て区分46と下組み立て区分47により、キャスティング機械枠39に固定する。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は固定化物の生産に使用でき、食品工業、製薬及び排水処理、特に窒素化合物を飲料水、上水及び廃水(排水、農業用水、都市上水、工業排水)から生物学的な除去で、そこに存在する種々の窒素化合物を硝化細菌と脱窒素細菌の生理活性により気体窒素に転換し、更には乳酸、エタノール、グルコース及びグルコース−果糖モラセスの生産プロセス、D−ガラクトースへのラクトースの加水分解、及びガラクトオリゴ糖産生への応用を意図する。これらの全ては、1時間当たり商品名レンチカッツ(LentiKats)の固定化物1kg乃至10kgの処理能力で、連続的工業生産を提供する装置を用いて生産される。
【0126】
食品工業、製薬用途及び排水処理を予定する固定化物生産用のこの装置は、連続生産で使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
この発明を図面を用いてより詳細に説明する。
【図1】図1はキャスティング機械の図式を示す。
【図2】図2は再膨潤槽の図式を示す。
【図3】図3は回収装置の部分断面を示す。
【図4】図4は洗浄ボックスの図式を示す。
【符号の説明】
【0128】
1 駆動制御部付きコンベヤーベルト
2 上乾燥通路
3 下乾燥通路
4 乾燥空気供給源−連続吸着型除湿器
5 空気パイプライン上の加熱素子
6 乾燥空気送風システム
7 生産用キャスティング装置下部の再膨潤槽
8 冷却付き回収容器
9 回収用高圧装置
10 高圧ポンプ
11 送り用低圧ポンプ
12 洗浄槽
13 洗浄ボックス
14 洗浄用低圧ポンプ
15 10リットル乃至12リットルの圧力調整槽
16 コンプレッサー
17 キャスティング用摘下ヘッド
18 湿潤廃空気用出口
19 第1換気装置
20 第2換気装置
21 槽
22 逃がしコック
23 テンションロール
24 再膨潤用塩溶液
25 側枠
26 ノズル
27 機械的ワイパー
28 圧力バネ機械装置
29 上ワイパー、下ワイパー
30 分配管
31 調節ネジ
32 ブラシ
33 上保護枠
34 推進制御ネジ
35 バネ
36 ボックス上部
37 ボックス下部
38 出口
39 キャスティング機械枠
40 上洗浄ノズル
41 供給管
42 低洗浄ノズル
43 蓋
44 調節可能なワイパー
45 ワイパー
46 上組み立て部
47 下組み立て部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニールアルコールゲルに固定化した固定化酵素又は微生物形状の生物活性材料を有する生体触媒の工業生産法とその使用であり、遊離の天然又は前処理(凝集)した酵素触媒、又は産生微生物又はそれらの一部と、ポリビニールアルコールゲルの混合物で形成した生物活性材料をその工業生産に用い、この生物活性材料の限界を考慮してこの混合物を温度範囲80℃乃至15℃の乾燥空気流で、生体触媒の体積対表面積幾何比を7mm−1より大きくゲル化成形し、その結果このように調合した生体触媒が培養又は貯蔵でき、次いで所定バイオテクノロジープロセスで、より高い生産性、より高い生産酵素安定性、長期間の繰り返し使用、又は生体触媒の容易な分離の結果プロセス制御の規定を可能にすることを保証する条件下のバイオテクノロジープロセスで使用する方法。
【請求項2】
工業生産した生体触媒が繰り返しのバッチ発酵、又は繰り返し供給バッチ発酵、又は連続発酵で繰り返し使用する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
排水から窒素汚染除去を予定する生体触媒の生産のために硝化微生物をポリビニールアルコールゲルにカプセル封入し、この生体触媒をレンズ型形状又は小さなベルト形状に成形し、その結果固定化物をアンモニア性窒素が50mg/l乃至500mg/lの窒素基質含量を有する水性栄養媒体で、pH7.0、温度20℃乃至35℃、溶解酸素濃度が1.5mg/lより高くで培養する請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
排水から窒素汚染除去を予定する生体触媒の生産のために脱窒微生物をポリビニールアルコールゲルにカプセル封入し、次いでこの生体触媒をレンティル豆形状又は帯形状に成形し、その結果固定化物を硝酸性窒素が50mg/l乃至500mg/lの窒素基質含量を有する水性栄養媒体で、pH7.8、温度20℃乃至35℃、脱窒微生物の場合炭素基質としてメタノール存在下に培養する請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項5】
糖類基質からのエタノール産生を予定する生体触媒の生産のためにザイモモナスモビリス(Zymomoas mobilis)嫌気性細菌をポリビニールアルコールゲルにカプセル封入し、次いでこの生体触媒をレンズ型形状又は小さなベルト形状に成形し、その結果固定化物を糖類基質含量が2重量%乃至25重量%を有する水性栄養媒体で、温度20℃乃至40℃、pH3.5乃至7.0、1重量%乃至15重量%のエタノール存在下で培養する請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項6】
糖類基質からの乳酸産生を予定する生体触媒の生産のために有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans)好熱性細菌をポリビニールアルコールゲルにカプセル封入し、次いでこの生体触媒をレンズ型形状又は小さなベルト形状に成形し、その結果固定化物を糖類基質含量が2重量%乃至14重量%を有する水性栄養媒体で、温度30℃乃至60℃、pH5.0乃至7.5、1重量%乃至12重量%の乳酸又はその塩存在下で培養する請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項7】
有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans)株CCM4318をこの生産に好んで用いる請求項5に記載の生産法。
【請求項8】
デンプンとセルロース基質の加水分解を予定する生体触媒の生産のために酵素グルコアミラーゼをポリビニールアルコールゲルにカプセル封入し、この生体触媒をレンティル豆形状又は帯形状に成形する請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項9】
ショ糖基質の加水分解を予定する生体触媒の生産のために酵素インベルターゼをポリビニールアルコールゲルにカプセル封入し、この生体触媒をレンズ型形状又は小さいベルト形状に成形する請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項10】
ラクトースの加水分解と、D−ガラクトース、D−グルコース及びガラクトオリゴ糖の産生を予定する生体触媒の生産のために酵素β−ガラクトシダーゼをポリビニールアルコールゲルにカプセル封入し、この生体触媒をレンズ型形状又は小さいベルト形状に成形する請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項11】
このように固定化した酵素を糖類基質含量が2重量%乃至50重量%のショ糖溶液の加水分解に、温度20℃乃至50℃、pH3.5乃至7.0で用いる請求項1、請求項2又は請求項9に記載の方法。
【請求項12】
請求項1、2又は8に記載のD−グルコース産生でのポリビニールアルコールゲルにカプセル封入したグルコアミラーゼの使用法で、このように固定化した酵素を糖類基質含量が2重量%乃至40重量%のデンプンの部分加水分解で生成した多糖類の加水分解に、温度20℃乃至45℃、pH3.5乃至7で用いる方法。
【請求項13】
固定化グルコアミラーゼをエタノール発酵産生でデンプン含有基質の糖化に用いる請求項12に記載の使用法。
【請求項14】
固定化グルコアミラーゼを乳酸発酵産生プロセスでデンプン含有基質の糖化に用いる請求項12に記載の使用法。
【請求項15】
請求項1、請求項2又は請求項10に記載のD−ガラクトース、D−グルコース及びガラクトオリゴ糖の産生でポリビニールアルコールゲルにカプセル封入したβ−ガラクトシダーゼの使用法で、このように固定化した酵素を糖類基質含量が2重量%乃至40重量%のラクトース溶液の加水分解に、温度20℃乃至60℃、pH3.5乃至7で用いる方法。
【請求項16】
工業生産装置で、請求項1に記載の生物活性材料の限度により生物担体の体積と表面積を最適化し、連続コンベヤーベルト(1)が通る乾燥通路(2)前方に備えたキャスティング機械装置(17)からなり、この装置は圧力調整槽(15)とコンプレッサー(16)に連結した二横列のキャスティングニードルインジェクターを有する少なくとも一つのキャスティングヘッド(17)と、コンベヤーベルト(1)と、乾燥空気供給源(4)の乾燥システムを備え、乾燥空気は換気装置を用いて内蔵熱素子(5)付き通風システム(6)に吹き込み、この通風システムは上乾燥通路(2)、更には下最終乾燥通路(3)及び再膨潤槽(7)に入り、その間に機械的拭き取りと高圧洗浄に基づいて設計した拭き取り回収装置(9)を取り付け、一体化した高圧ポンプ(10)と冷却付き回収容器(8)に入る低圧ポンプ(11)と、更にはパイプラインにより槽(12)と連結した低圧ポンプ(14)に連結した噴流による連続コンベヤーベルト(1)の最終洗浄用の洗浄ボックス(13)と連結する工業生産装置。
【請求項17】
回収装置(9)が枠(25)で形成され、その中にバネ圧機械装置(28)を有する機械的ワイパー(27)と、枠(25)に角度45度乃至80度で固定した高圧ノズル(26)が取り付けられ、コンベヤーベルト(1)内側洗浄用ブラシ付きの上ワイパー(29)をベルト内側で機械的ワイパー(27)に反対側に堅固に取り付け、そのコンベヤーベルト(1)が枠(25)出口点に最終洗浄用の下ワイパー(29)を備える請求項14に記載の工業生産装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−529335(P2009−529335A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558627(P2008−558627)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【国際出願番号】PCT/CZ2007/000015
【国際公開番号】WO2007/104268
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508257496)
【Fターム(参考)】