説明

酸化シリコンのエッチング装置、そのエッチング方法、及びそのエッチングプログラム

【課題】酸化シリコンのエッチング処理、特に、複数の被処理基板のエッチング処理における被処理基板内のエッチング速度の均一性及び被処理基板間のエッチング速度の均一性の向上を図る。
【解決手段】本発明の1つの酸化シリコンのエッチング装置100は、酸化シリコンを有する複数枚の被処理基板20を所定の間隔を設けて各基板面が対向するように配置する基板支持部15と、その酸化シリコンと反応するフッ化水素を含むエッチングガスを、前述の基板面に沿って略水平方向に流れるように導入するガス導入部12と、そのエッチングガスと酸化シリコンとの反応によって生成された反応生成物とを排出する排出部16と、を備えるプロセスチャンバーを有している。その上で、前述の間隔は、10.8mm以上22.2mm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化シリコンのエッチング装置、そのエッチング方法、及びそのエッチングプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコンやその他の材料を用いたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスが適用される技術分野は日進月歩で拡大しており、近年では、その技術がマイクロタービンやセンサーのみならず情報通信分野や医療分野へも適用されている。このMEMS技術を支える主要な要素技術の一つが、シリコンに代表される各種の材料を用いた微細構造体を形成するためのエッチング技術、特に酸化シリコンのエッチング技術であり、この要素技術の進歩はMEMS技術の発展に欠かせない。
【0003】
従来から、酸化シリコンをエッチングすることにより、各種の微細構造を形成するための要素技術が開発されてきた。代表的には、フッ化水素(HF)を用いた酸化シリコンのエッチング技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−521258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特に量産段階においては、複数の被処理基板を一度にエッチング処理する必要があるため、その基板内の、あるいはそれらの基板間のエッチング速度の均一性を向上させることが厳しく要求されることになる。したがって、量産段階においては、単にエッチング速度を向上させることによって生産効率を向上させるという着眼点のみならず、被処理基板の全体を如何に均一にエッチングするかという技術課題を乗り越える必要がある。しかしながら、上述のフッ化水素を用いた酸化シリコンのエッチングのプロセス制御は非常に難しく、その基板内の、あるいはそれらの基板間のエッチング速度の均一性の向上を実現することは容易ではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被処理基板が備える酸化シリコンのエッチング処理、特に、複数の被処理基板のエッチング処理における被処理基板内のエッチング速度の均一性及び被処理基板間のエッチング速度の均一性の向上に大いに貢献するものである。従って、本発明は、特に量産技術として広く活用され得る。
【0007】
発明者らは、複数の被処理基板が備える酸化シリコンをガス状のフッ化水素を用いてエッチングする際、いかなるパラメータがエッチング速度を制御するか、換言すれば、支配するかについて鋭意検討と分析を重ねた。その結果、発明者らは、複数の被処理基板をエッチングガスによってエッチングする場合、そのガスの流れと反応生成物の流れを適正化させるための工夫を行うことにより、エッチング速度の均一性が向上することを見出した。本発明は、そのような知見に基づいて創出された。
【0008】
本発明の1つの酸化シリコンのエッチング装置は、酸化シリコンを有する複数枚の被処理基板を所定の間隔を設けて各基板面が対向するように配置する基板支持部と、その酸化シリコンと反応するフッ化水素を含むエッチングガスを、前述の基板面に沿って略水平方向に流れるように導入するガス導入部と、そのエッチングガスと前述の酸化シリコンとの反応によって生成された反応生成物を排出する排出部と、を備えるプロセスチャンバーを有している。その上で、前述の間隔は、10.8mm以上22.2mm以下である。
【0009】
この酸化シリコンのエッチング装置によれば、未だ詳細なメカニズムは分からないが、各被処理基板の間隔の適正化が図られると考えられる。その結果、各基板面に沿って流れるように導入されるエッチングガスの流れと、それらの基板からの反応生成物の流れとが、エッチング速度の均一性の観点で結果として適正に制御されることになる。加えて、上述の範囲の間隔であれば、一度に処理しうる一定の被処理基板枚数を確保することが可能となるとともに、装置全体としてコンパクトさを維持することができる。
【0010】
なお、上述の酸化シリコンのエッチング装置の発明に適用される被処理基板における酸化シリコンの表面積には特に限定されない。但し、被処理基板の少なくとも一方の面が有する上述の酸化シリコンが占める表面積が、その一方の面の総面積に対して30%以下である場合は、特に上述の酸化シリコンのエッチング装置の発明の顕著な効果が奏され得る。
【0011】
また、本発明の1つの酸化シリコンのエッチング方法は、プロセスチャンバー内に、酸化シリコンを有する複数枚の被処理基板を10.8mm以上22.2mm以下の間隔を設けて各基板面が対向するように配置した後、その酸化シリコンと反応するフッ化水素を含むエッチングガスを前述の基板面に沿って略水平方向に流れるように導入する方法である。
【0012】
この酸化シリコンのエッチング方法によれば、未だ詳細なメカニズムは分からないが、各被処理基板の間隔の適正化が図られると考えられる。その結果、各基板面に沿って流れるように導入されるエッチングガスの流れと、それらの基板からの反応生成物の流れとが、エッチング速度の均一性の観点で結果として適正に制御されることになる。
【0013】
また、本発明の1つの酸化シリコンのエッチングプログラムは、プロセスチャンバー内に、酸化シリコンを有する複数枚の被処理基板を10.8mm以上22.2mm以下の間隔を設けて各基板面が対向するように配置する配置ステップと、その酸化シリコンと反応するフッ化水素を含むエッチングガスを前述の基板面に沿って略水平方向に流れるように導入するガス導入ステップとを有する。
【0014】
この酸化シリコンのエッチングプログラムによれば、未だ詳細なメカニズムは分からないが、各被処理基板の間隔の適正化が図られると考えられる。その結果、各基板面に沿って流れるように導入されるエッチングガスの流れと、それらの基板からの反応生成物の流れとが、エッチング速度の均一性の観点で結果として適正に制御されることになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の1つの酸化シリコンのエッチング装置によれば、未だ詳細なメカニズムは分からないが、各被処理基板の間隔の適正化が図られると考えられる。その結果、各基板面に沿って流れるように導入されるエッチングガスの流れと、それらの基板からの反応生成物の流れとがエッチング速度の均一性の観点で結果として適正に制御されることになる。加えて、上述の範囲の間隔であれば、一度に処理しうる一定の被処理基板枚数を確保することが可能となるとともに、装置全体としてコンパクトさを維持することができる。
【0016】
また、本発明の1つの1つの酸化シリコンのエッチング方法又は酸化シリコンのエッチングプログラムによれば、未だ詳細なメカニズムは分からないが、各被処理基板の間隔の適正化が図られると考えられる。その結果、各基板面に沿って流れるように導入されるエッチングガスの流れと、それらの基板からの反応生成物の流れとがエッチング速度の均一性の観点で結果として適正に制御されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の1つの実施形態における酸化シリコンのエッチング装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1における領域Aの拡大図である。
【図3】本発明の1つの実施形態における、距離dが5.1mmである場合の、主としてウェハー面内の酸化シリコンのエッチング速度均一性(%)とチャンバー内の圧力との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の1つの実施形態における、距離dが10.8mmである場合の、主としてウェハー面内の酸化シリコンのエッチング速度均一性(%)とチャンバー内の圧力との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の1つの実施形態における、距離dと、酸化シリコンのエッチング速度の全測定点における均一性(%)との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の1つの実施形態における酸化シリコンのエッチングのフローチャートである。
【図7】本発明の1つの実施形態におけるエッチング速度の均一性を算出するための測定箇所の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
つぎに、本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。尚、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしもスケール通りに示されていない。また、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略され得る。また、特に言及がない限り、以下の各種ガスの流量は、標準状態の流量を示す。
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態の酸化シリコンのエッチング装置100(以下、単にエッチング装置100ともいう)の装置構成の一例を示す断面図である。また、図2は、図1における領域Aの拡大図である。なお、本実施形態における被処理基板20は、下地となる単結晶シリコン基板(6インチウェハー,厚み625μm)上の表面上及び/又は裏面上に所定の酸化シリコンの層又は膜(以下、総称して「酸化シリコン層」といい、点状及び島状の酸化シリコン層を含む。)が形成された基板であるが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、下地となる基板が多結晶シリコン基板やアモルファスシリコン基板であっても本実施形態は適用され得る。同様に、下地となる基板がアルミニウム基板に代表される金属製の基板、アルミナ(Al)基板に代表されるセラミック基板、ガラス基板、樹脂基板、又はそれらの幾つかの材質の層を積層した多層基板であっても、それらがエッチング対象となる酸化シリコン層を備えていれば、本実施形態は適用され得る。
【0020】
まず、図1に示す酸化シリコンのエッチング装置100の構成及びそのエッチングプロセスについて説明する。エッチング対象となる被処理基板(以下、単に「基板」又は「ウェハー」ともいう。)20は、チャンバーの一部を構成する蓋部10aとチャンバー本体10bとによって構成されるチャンバー10内に設けられた基板支持部15上に載置される。ここで、チャンバー10については、シール材11によって蓋部10aとチャンバー本体10bとが密閉状態にされ得る。なお、図1では、図面を簡略化するために4枚の被処理基板20が載置されているが、一度に処理し得る被処理基板20の枚数はこの数に限定されない。
【0021】
被処理基板20がチャンバー10内に載置された後、チャンバー10内のガス(主に空気)がポンプ18によって排気される。その後、エッチングガスのボンベ(図示しない)から送られてきたエッチングガスが、ガス流量制御器12aによって流量が調整され、ガス導入部12を介してチャンバー10内に導入される。なお、本実施形態のエッチングガスは、フッ化水素(HF)ガス375sccm(375mL/min.)、エタノール(COH)ガス272sccm(272mL/min.)、及び窒素(N)ガス900sccm(900mL/min.)の混合ガスである。また、チャンバー10の温度は約50℃であった。
【0022】
導入されたエッチングガスが導入用拡散板14aを通過することにより、ガスの流れを表す図1の矢印(F)が示すように、エッチングガスは被処理基板20の表面又は裏面に沿って略水平方向に流れることになる。その後、エッチングガスが基板20,・・・,20の表面上に形成されている酸化シリコンと反応することにより、反応生成物の1つである水分(水及び/又は水蒸気、以下同じ。)が生成される。さらにその後、未反応のエッチングガスと反応生成物とが、排気用拡散板14bを通過した後、ポンプ18によって吸気されている排出部16へと送られる。なお、本実施形態では、エッチングガスを被処理基板20の表面又は裏面に沿って略水平方向に流れるようにするために導入用拡散板14aを用いたが、そのガスの流れを制御する手法は導入用拡散板14aに限定されず、他の公知の手法も適宜採用できる。
【0023】
上述の条件において、本願発明者らは、ポンプ18の排気能力及び/又は上述の排出部16近傍に設けられた圧力制御器17(例えば、開閉するバルブの開度)を調整することにより、チャンバー10内の圧力と各基板20,・・・,20間の距離(図2におけるウェハー間の隙間の距離d,以下、「距離d」ともいう。)とを変化させた。具体的には、距離dについては、5.1mm、10.8mm、16.5mm、及び22.2mmの4種類の距離dの場合のエッチング速度均一性が測定された。また、チャンバー10内の圧力については、10kPa、16kPa、20kPa、23kPa、及び26.7kPaの5種類の圧力の場合のエッチング速度均一性が測定された。なお、本実施形態における測定はウェハー面上のほぼ全面域に渡り一様に測定され、その測定箇所数は、図7に示すような49箇所である。具体的には、図7の座標軸の中心に被処理基板の中心が来るようにしたときに、その中心点に加えて、同心円上に、8点、16点、及び24点について測定が行われた。また、本実施形態において、前述の測定箇所に基づく均一性(%)の算出式は、以下の通りである。
【数1】

なお、上記数式において、平均値とは、ウェハー面内であれば、ある1つウェハーの面内の測定箇所全てのエッチング速度の平均値であり、「全測定点」であれば、同時に処理した複数のウェハーにおける測定箇所の全てエッチング速度の平均値である。また最大値及び最小値は、それぞれ、算出の対象となる1つ又は複数のウェハーの測定箇所全てのエッチング速度のうちの最大値と最小値である。
【0024】
図3は、上述の条件において、距離dが5.1mmである場合の、主としてウェハー面内の酸化シリコンのエッチング速度均一性(%)とチャンバー10内の圧力との関係を示すグラフである。また、図4は、上述の条件において、距離dが10.8mmである場合の、主としてウェハー面内の酸化シリコンのエッチング速度均一性(%)とチャンバー10内の圧力との関係を示すグラフである。なお、本実施形態では、測定対象となる被処理基板20は、基板支持部15において支持される幾つかの被処理基板20のうち、上段に載置されたもの、中段に載置されたもの、及び下段に載置されたものが各1枚抽出された。また、図3及び図4では、参考データとして、測定した計3枚の被処理基板20における測定点の全てに関するエッチング速度均一性(%)のチャンバー10内圧力依存性も示されている。
【0025】
図3に示すように、各基板20,・・・,20間の距離dが5.1mmの場合は、酸化シリコンのエッチング速度の分布がチャンバー10内の圧力によって大きく変動することが明らかとなった。特に、圧力の上昇に伴って、基板支持部15における中段と下段に配置された被処理基板20のウェハー面内の酸化シリコンのエッチング速度均一性は非常に悪いことが分かった。その結果、測定した計3枚の被処理基板20における測定点の全てに関するエッチング速度均一性も悪くなった。
【0026】
一方、図4に示すように、距離dが10.8mmの場合は、どの載置位置の被処理基板20も、少なくとも23kPa以下の圧力におけるウェハー面内のエッチング速度均一性が7%以下であることが分かった。より正確には、16kPaの圧力における上段の被処理基板20の結果(6.6%)と23kPaの圧力における下段の被処理基板20の結果(5.6%)とを除いて、全てその均一性が5%未満であることが確認された。その結果、測定した計3枚の被処理基板20における測定点の全てに関するエッチング速度均一性もエッチング処理を行う上で好ましい数値範囲に収まることが分かった。
【0027】
上述と同様に、距離dが16.5mm又は22.2mmの場合についても、ウェハー面内のエッチング速度均一性のチャンバー10内圧力依存性が調べられた。その結果、距離dが10.8mm以上になれば、どの載置位置の被処理基板20についても、チャンバー10内の圧力が少なくとも23kPa以下であれば、ウェハー面内のエッチング速度均一性がエッチング処理を行う上で好ましい数値範囲に収まる。
【0028】
次に、図5は、チャンバー10内の圧力が20kPaにおける、上述の4種類の距離dの場合の、距離dと、酸化シリコンのエッチング速度の全測定点における均一性(%)との関係を示すグラフである。すなわち、上述の複数のウェハーを算出対象とする「全測定点」に関するエッチング速度均一性を示すグラフである。図5に示すように、距離dが16.5mmの場合が、全測定点のエッチング速度均一性が最も良く(約5.7%)、距離dが10.8mm又は22.2mmの場合もその均一性が8%以下に抑えられることが確認された。従って、各基板20,・・・,20間の距離dが、少なくとも、10.8mm以上22.2mm以下の範囲内であれば、エッチング処理を行う上で好ましい数値範囲に収まることになる。なお、距離dが、10.8mm以上22.2mm以下であれば、どの載置位置の被処理基板20も、ウェハー面内のエッチング速度均一性が2.3%以上3.2%以下の範囲であったことは特筆に値する。
【0029】
また、上述と同様に、チャンバー10内の圧力が10kPa、16kPa、23kPa、及び26.7kPaの場合についても調べられた。その結果、距離dが、少なくとも、10.8mm以上22.2mm以下の範囲内であれば、エッチング処理を行う上で好ましい数値範囲に収まる。特に、26.7kPaの場合を除けば、距離dが、少なくとも、10.8mm以上22.2mm以下の範囲内となることは、エッチング処理を行う上で非常に好ましい。
【0030】
さらに、本願発明者らの調査と分析によれば、本実施形態において酸化シリコンをエッチングすると、副生成物(反応生成物)として水分(水又は水蒸気)が発生するため、エッチング速度の不均一性を増大させる要因になり得る。従って、被処理基板20の少なくとも一方の面が有する酸化シリコンが占める表面積が、その一方の面の総面積に対して30%以下であれば、反応生成物としての水分量が抑えられるため、ウェハー面内、及び全測定点のエッチング速度均一性がエッチング処理を行う上で好ましい数値範囲に収まる。
【0031】
ところで、本実施形態のエッチング装置100は、図1に示すように、ガス導入部12(本実施形態において、より直接的にはガス流量制御器12a)、ポンプ18、チャンバー10に設けられた温度調節器(図示しない)、及び排出部16近傍に設けられた圧力制御器17を、制御部30によって制御している。具体的な制御の一例として、制御部30は、ガス導入部12におけるエッチングガスの導入量、ポンプ18における排気速度、排出部16近傍に設けられた圧力制御器17(バルブの開度)、及びチャンバー10の温度を制御する。
【0032】
また、上述のエッチング装置100が備える制御部30は、コンピュータ60に接続されている。コンピュータ60は、上述の酸化シリコンのエッチングプロセスを実行するためのエッチングプログラムにより、上述のプロセスを監視し、又は統合的に制御する。以下に、具体的な製造フローチャートを示しながら、酸化シリコンのエッチングプログラムを説明する。尚、本実施形態では、上述のエッチングプログラムがコンピュータ60内のハードディスクドライブ、又はコンピュータ60に設けられた光ディスクドライブ等に挿入される光ディスク等の公知の記録媒体に保存されているが、このエッチングプログラムの保存先はこれに限定されない。また、このエッチングプログラムは、ローカルエリアネットワークやインターネット回線等の公知の技術を介して上述の各プロセスを監視し、又は制御することもできる。
【0033】
図6は、本実施形態の酸化シリコンのエッチングのフローチャートである。
【0034】
図6に示すとおり、本実施形態の酸化シリコンのエッチングプログラムが実行されると、まず、ステップS101において、被処理基板20がチャンバー10内に搬送された後、チャンバー10内のガスが排気される。その後、ステップS102〜ステップS104において、チャンバー10内で各被処理基板20,・・・,20が備える酸化シリコンのエッチングが行われる。
【0035】
具体的には、まず、ステップS102において、ガス導入部12からチャンバー10内にエッチングガスの導入作業が実行される。加えて、ステップS103において、チャンバー10内の圧力が所望の圧力値になるように調整する作業が実行される。ここで、チャンバー10内の圧力は、ポンプ18の排気能力及び/又は上述の排出部16近傍に設けられた圧力制御器17(例えば、バルブの開度)を調整することにより行われる。また、ステップS102とステップS103とが実質的に同時に行われる場合も採用し得る好適な一態様である。
【0036】
そして、所定時間、上記の条件を維持しつつエッチングステップが実行される(ステップS104)。酸化シリコンのエッチングが停止(ステップS105)した後、本実施形態のプログラムは、被処理基板20,・・・,20が取り出される状態にし(ステップS106)、その後、本実施形態のプログラムが終了する。なお、このとき、チャンバー10内の雰囲気が大気圧に回復した後にチャンバー内から直接基板20,・・・,20が取り出されても良いが、チャンバー10内が減圧された状態のままチャンバー10に接続し得るローダー/アンローダー(図示しない)を介して被処理基板20,・・・,20が取り出されてもよい。
【0037】
本実施形態の酸化シリコンのエッチングプログラムは、上述のとおり、エッチング処理における各条件等を統合的に制御する。本実施形態のエッチングプログラムが実行される結果、複数の被処理基板が備える酸化シリコンのエッチング処理における被処理基板内のエッチング速度の均一性及び被処理基板間のエッチング速度の均一性の向上が実現される。
【0038】
以上、述べたとおり、各実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0039】
10 チャンバー
10a 蓋部
10b チャンバー本体
11 シール材
12 ガス導入部
12a ガス流量制御器
14a 導入用拡散板
14b 排気用拡散板
15 基板支持部
16 排出部
17 圧力制御器
18 ポンプ
20 被処理基板(基板)
30 制御部
60 コンピュータ
100 エッチング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化シリコンを有する複数枚の被処理基板を所定の間隔を設けて各基板面が対向するように配置する基板支持部と、
前記酸化シリコンと反応するフッ化水素を含むエッチングガスを、前記基板面に沿って略水平方向に流れるように導入するガス導入部と、
前記エッチングガスと前記酸化シリコンとの反応によって生成された反応生成物を排出する排出部と、
を備えるプロセスチャンバーを有し、かつ、
前記間隔は、10.8mm以上22.2mm以下である、
酸化シリコンのエッチング装置。
【請求項2】
前記プロセスチャンバー内の圧力が、16kPa以上23kPa以下である、
請求項1に記載の酸化シリコンのエッチング装置。
【請求項3】
前記被処理基板の少なくとも一方の面が有する前記酸化シリコンが占める表面積が、前記一方の面の総面積に対して30%以下である、
請求項1又は請求項2に記載の酸化シリコンのエッチング装置。
【請求項4】
プロセスチャンバー内に、酸化シリコンを有する複数枚の被処理基板を10.8mm以上22.2mm以下の間隔を設けて各基板面が対向するように配置した後、
前記酸化シリコンと反応するフッ化水素を含むエッチングガスを前記基板面に沿って略水平方向に流れるように導入する、
酸化シリコンのエッチング方法。
【請求項5】
前記プロセスチャンバー内の圧力が16kPa以上23kPa以下となるように、前記酸化シリコンと反応するフッ化水素を含むエッチングガスを前記基板面に沿って流れるように導入する、
請求項4に記載の酸化シリコンのエッチング方法。
【請求項6】
プロセスチャンバー内に、酸化シリコンを有する複数枚の被処理基板を10.8mm以上22.2mm以下の間隔を設けて各基板面が対向するように配置する配置ステップと、
前記酸化シリコンと反応するフッ化水素を含むエッチングガスを前記基板面に沿って略水平方向に流れるように導入するガス導入ステップとを有する、
酸化シリコンのエッチングプログラム。
【請求項7】
前記ガス導入ステップは、前記プロセスチャンバー内の圧力が16kPa以上23kPa以下となるように導入するステップである、
請求項6に記載の酸化シリコンのエッチングプログラム。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のエッチングプログラムを記録した記録媒体。
【請求項9】
請求項6又は請求項7に記載のエッチングプログラムにより制御される制御部を備えた
酸化シリコンのエッチング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−248779(P2012−248779A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121254(P2011−121254)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(511265154)SPPテクノロジーズ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】