説明

酸化触媒

酸化触媒は、10-100重量%の少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分、5-90重量%のゼオライト、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-80重量%の選択的に安定化したセリアを含む押出しソリッド本体を含み、少なくとも1つの貴金属と少なくとも1つの非貴金属を選択的に含み、(i)前記少なくとも1つの貴金属の大部分は、前記押出しソリッド本体の表面に位置、(ii)前記少なくとも1つの貴金属は、前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容、(iii)前記少なくとも1つの金属が前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、前記押出しソリッド本体の表面には更に高い濃度で存在、(iv)少なくとも1つの金属が前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、前記押出しソリッド本体表面上の1つ以上のコーティング層に収容、及び(v)少なくとも1つの金属が前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在、前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で存在、及び前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定型発生源と移動型(即ち、車両(自動車))分野の内燃機関から出る排気ガスの処理に用いるために、押出しソリッド本体(extruded solid body)を含む酸化触媒に関する。
【0002】
米国自動車技術者協会(SAE:Society of Automotive Engineers)の技術論文2007-01-0658「排気ガス制御用新たな概念のハニカム基材の基礎研究及び可能な応用」は、γ-アルミナ、無機繊維及び全体大きさブロック内に接着性で結合されている(不特定)バインディング物質の多数の押し出されたセグメントを含む触媒作用担体上に散開した白金触媒を含むディーゼル酸化触媒(DOC)を開示している。前記白金は、1リットル当り1.0〜2.7で一般的な含浸法により前記触媒作用担体に用いられる。
【0003】
EP1739066は、多重貫通ホールを備える多重ハニカムユニットと、前記貫通ホールが開放されない前記ハニカムユニットのそれぞれの閉鎖された外部表面を通じてハニカムユニットを互いに連結させる封止層を含むハニカム構造を開示している。前記ハニカムユニットは、少なくとも1つの無機物粒子(inorganic particles)、無機繊維及び/又はウィスカーを含む。前記無機物粒子の例としては、アルミナ、チタニア、シリカ及びジルコニアが挙げられ、前記無機繊維の例としては、シリカアルミナ繊維が挙げられ、前記無機物バインダの例としては、シリカゾル、アルミナゾル、セピオライト及びアタパルジャイトが挙げられる。触媒成分は、ハニカム構造上に収容され得る。前記触媒成分は、白金、パラジウム及びロジウムを含む不活性金属、カリウム及びナトリウムのようなアルカリ金属、バリウムのようなアルカリ土金属及び酸化物の中から選択される少なくとも1つの形態を含むことができる。前記ハニカム構造は、触媒コンバータ(例えば、車両排気ガスの転換のための三元触媒又はNO貯蔵触媒)として使用され得る。
【0004】
本発明者らは、内燃機関排気ガスの排気ガス後処理の分野で特に応用される押出しソリッド本体と少なくとも1つの金属を備える酸化触媒を開発した。このような排気ガスは、固定型発生源に起因することもあり得るが、特に乗用車、トラック及びバスのような移動型発生源の排気ガスを処理するために使用する目的で開発された。
【0005】
本発明の一側面によれば、本発明は10-100重量%の少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分、5-90重量%のゼオライト、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-80重量%の選択的に安定化したセリアを含む押出しソリッド本体を含み、少なくとも1つの貴金属と少なくとも1つの非貴金属を選択的に含み、(i)前記少なくとも1つの貴金属の大部分は、前記押出しソリッド本体の表面に位置、(ii)前記少なくとも1つの貴金属は、前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容、(iii)前記少なくとも1つの金属が前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、前記押出しソリッド本体の表面には更に高い濃度で存在、(iv)少なくとも1つの金属が前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、前記押出しソリッド本体表面上の1つ以上のコーティング層に収容、及び(v)少なくとも1つの金属が前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在、前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で存在、及び前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容される酸化触媒を提供する。
【0006】
本発明に係る長所は、触媒コーティングで頻繁に用いられる触媒成分を除去することによって、コーティングの数を、例えば2つの層から1つの層に減少させたり、単一層が完全に除去され得、触媒金属は前記押出しソリッド本体に支持され得る。それにより、排気システムにおける背圧が減少し、エンジンの効率を増加させるようになる。
【0007】
また、コーティングされていない触媒の可能性を提供することによって、前記押出しソリッド本体は、更に高いセル密度、増加した強度及び減少したセル壁の厚さに製造され得、これはライトオフ性能を改善させることができ、物質移動(mass transfer)を通して活性度を増加させることができる。
【0008】
押出しソリッド本体内で不活性基材モノリス上のコーティングに対する活性成分の量が増加することもあり得る。このように増加した触媒密度によって長期間の耐久力と触媒性能を改善させ、これは自己診断装置(On-Board Diagnostics)において重要である。
【0009】
自動車における「自己診断装置(OBD)」は、適切な電子管理システムに連結されたセンサネットワークを備える車両システムの自己診断及び能力報告を説明する一般用語である。初期のOBDシステムでは、問題が検出された際に問題の根本的な情報を提供せず、単に故障指示灯を灯すものであった。より最近のOBDシステムは、標準化されたデジタルポートを用い、標準化された診断問題コードと車両システムの迅速な問題の確認及び解決を可能にするリアルタイムデータの選択を提供できる。
【0010】
現在のOBDは、排気ガスが義務基準を超える排気システムの故障又は低下の場合に、ドライバが認知しなければならないことを要求している。従って、例えば、ユーロ(Euro)4に対するOBDは、以下のように制限する:ディーゼル乗用車(70/156/EECで定義されたカテゴリM車両)用98/69/ECは、一酸化炭素(CO)-3.2g/km、炭化水素(HC)-0.4g/km、窒素酸化物(NO)-1.2g/km、及び粒子性物質(PM)0.18g/km。
【0011】
それ以上の車両排気ガス法律(特に、米国と欧州で)は、診断機能において更に高い感度を要求し、排気ガス法律を満たす排気システム後処理触媒の能力を連続的にモニタリングするようにする。例えば、現在提案されたOBDは、ユーロ5に対して以下のように制限する。ディーゼル乗用車用715/2007/ECは、CO-1.9g/km、非メタン炭化水素(NMHC)-0.25g/km、NO-0.54g/km、PM-0.05g/kmである。
【0012】
米国で、ガソリン/ディーゼルエンジンの触媒モニタリングのためのOBDII法律(Title 13, California Code Regulations, Section 1968.2, Malfunction and Diagnostic System Requirements for 2004 and Subsequent Model-Year Passenger Cars, Light-Duty Trucks and Medium-Duty Vehicle and Engines)は、触媒システムのモニタリングされた部分のNMHC転換効率のための平均FTP(Federal Test Procedure)が50%以下に低下する故障信号を必要とする。
【0013】
本発明に係る押出しソリッド本体は、均一化された大きさと第1端部から第2端部まで延びる平行なチャネルを備えるハニカム形態の一体構造を一般に含む。一般に、前記チャネルは第1及び第2端部の両方で開放され、いわゆる「フロースルー(flow-through)」構造である。前記チャネルを限定するチャネル壁は、多孔性である。一般に、外部「スキン(skin)」は、前記押出しソリッド本体の前記チャネルを取り囲む。前記押出しソリッド本体は、好ましい断面(例えば、円形、正四角形又は楕円)で形成され得る。多数のチャネルで個別チャネルは、正四角形、三角形、六角形、円形などであり得る。第1の上流側端部でのチャネルは例えば、適切なセラミックセメントで閉鎖され得、前記チャネルは第1の上流側端部で閉鎖されず、第2の下流側端部で閉鎖され得るため、いわゆるウォールフローフィルタを形成することもできる。一般に、第1の上流側端部で閉鎖されたチャネルの配列は、チェッカーボード(chequer board)と類似しているため、閉鎖され開放された下流側チャネル端部の類似する配列を有する。
【0014】
EP1739066に開示されたハニカム構造は、ハニカム構造が共に固まった個別ハニカムユニットの組立体を含むため、単一の一体の押出物として用いられるにはあまりにも低い熱衝撃パラメータ(TSP:Thermal Shock Parameter)を有するということは明確である。商業的に利用可能なシリコンカーバイドハニカムでも確認できるこのような構造は、前記押出物質の相対的に高い熱膨張係数(CTE)の結果として熱衝撃による重大な触媒基材の故障を避けるように設計される。しかしながら、個別のハニカムユニットからのハニカム構造の製造は複雑、かつ、困難であり、時間と費用が多くかかり、単一の押出しに比べて可能な物理的損傷モード(例えば、セメント結合)の数が増加する。TSPとCTEについてのより詳細な説明は、“Catalytic Air Pollution Control-Commercial Technology”(Second Edition, R.M. Heck et al., John Wiley&Sons, Inc., New York, 2002 Chapters 7(フロースルーモノリスに対して)and 9(ウォールフローフィルタに対して))にある。
【0015】
これにより、本発明者らは、本発明に係る触媒の前記押出しソリッド本体が、固定型又は移動型排気ガス発生源からの排気ガスを処理するために用いられるとき、前記押出しソリッド本体で半径方向の亀裂とリング亀裂を避けるのに十分な軸方向TSPと半径方向TSPを有すると主張する。このように、前記押出しソリッド本体は、単一の一体の押出物から形成され得る。特に、大きな断面を有する押出しソリッド本体に対して、共に結合するために前記押出しソリッド本体のセグメントを押し出す必要がある。しかしながら、これはこのような大きな断面の押出物を加工するにおける困難又は押出物ダイ工具の大きさにおける制限のためである。しかしながら、個別的に見ると、固定型又は移動型排気ガス発生源からの排気ガスを処理するために用いられるとき、全体触媒の各セグメントは、軸方向TSPと半径方向TSPが個別の押出しソリッド本体セグメントで半径方向の亀裂及びリング亀裂を避けるのに十分な機能的な制限を満足させる。一実施例において、半径方向TSPは750℃で>0.4(例えば、>0.5、>0.6、>0.7、>0.8、>0.9又は>1.0)である。800℃で、半径方向TSPは、好ましくは>0.4であり、1000℃で好ましくは>0.8である。
【0016】
ウォールフローフィルタのCTEは、ワンピースの押出物から形成されるために、好ましくは20×10-7/℃である。
【0017】
一実施例において、前記少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分は、コーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択されることができる。
【0018】
スピネルはMgAlであり得るか、前記MgはCo、Zr、Zn又はMnからなる群よりの金属により部分的に置換され得る。MgAlにおいてAlに対するMgOの含有量は、0.8〜2.5であり得、好ましくは、<1.0の値を有する。
【0019】
前記アルミナバインダ/マトリックス成分は、好ましくはγアルミナであるが、他の遷移アルミナ(即ち、αアルミナ、βアルミナ、χアルミナ、ηアルミナ、ρアルミナ、κアルミナ、θアルミナ、δアルミナ、ランタンβアルミナ及びこのような遷移アルミナの2つ以上の混合物)であり得る。
【0020】
前記アルミナは、前記アルミナの熱安定性を増加させるために、少なくとも1つの非アルミニウム成分でドーピングされることが好ましい。適切なドーパントは、シリコン、ジルコニウム、バリウム、ランタナイド及びこれらのうち2つ以上の混合物を含む。適切なランタナイドドーパントは、La、Ce、Nd、Pr、Gd及びこれらのうち2つ以上の混合物を含む。
【0021】
シリカソースは、シリカ、シリカゾル、石英、溶融シリカ又は無定形のシリカ、珪酸ナトリウム、無定形のアルミノ珪酸塩、アルコキシシラン、シリコン樹脂バインダ(例えば、メチルフェニルシリコン樹脂)、クレー、タルク又はこれらのうち2つ以上の混合物を含むことができる。
【0022】
このリストで、前記シリカは、長石、ムライト、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア(thoria)、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニア、ターナリー(ternary)シリカ-アルミナ-ジルコニア、ターナリーシリカ-アルミナ-マグネシア、ターナリー-シリカ-マグネシア-ジルコニア、ターナリーシリカ-アルミナ-トリア及びこれらのうち2つ以上の混合物のようなSiOであり得る。これとは異なり、前記シリカは、押出混合物に付加されたTMOS(TetraMethyl Ortho Silicate)から得られる。
【0023】
適切なクレーは、フラー土、セピオライト、ヘクトライト、スメクタイト、カオリン及びこれらのうち2つ以上の混合物を含み、前記カオリンは、サブベントナイト、アナウキサイト、ハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト及びこれらのうち2つ以上の混合物から選択されることができる。前記スメクタイトは、モンモリロナイト、ノントロナイト、蛭石、サポナイト及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択されることができる。前記フラー土は、モンモリロナイト又はパリゴルスカイト(アタパルジャイト)であり得る。
【0024】
無機繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホウ素繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維、炭化珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維及びセラミック繊維からなる群より選択される。
【0025】
本発明で用いるための適切なモレキュラーシーブは、自動車エンジンのコールド-スタートにつながる燃焼されていない炭化水素を吸着し、周辺温度以上で(例えば、結合されている貴金属-基盤酸化触媒成分が例えばCO及びHC酸化又はNO還元に対する好ましいライト-オフ温度に到達したとき)吸着した炭化水素を脱着できる能力を有する。このようなモレキュラーシーブは、一般に最大孔隙開口の構造として、しばしば「小孔隙(small pore)」モレキュラーシーブと呼ばれる8-リング孔隙開口構造を有さない。好ましいモレキュラーシーブは、中孔隙(最大10-リング孔隙開口構造)、大孔隙(最大12-リング孔隙開口構造)又はメソ孔隙以上(>12-リング孔隙開口構造)モレキュラーシーブである。
【0026】
前記各ゼオライトモレキュラーシーブ又は前記各非ゼオライトモレキュラーシーブは、次のフレームワーク形態のコードから選択されることができる:国際ゼオライト協会の構造委員会により定義されたABW、AEL、AET、AFG、AFI、AFO、AFR、AFS、AFY、AHT、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATV、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CFI、CGF、CGS、-CHI、-CLO、CON、CZP、DAC、DFO、DOH、DON、EMT、EON、ETR、EUO、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIU、GME、GON、HEU、IFR、IMF、ITH、ITR、IWS、IWV、IWW、JBW、JRY、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTF、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MFI、MFS、MOR、MOZ、MRE、MSE、MOS、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、OBW、OFF、OSI、OSO、-PAR、PON、-RON、RRO、RSN、RTE、RUT、RWR、RWY、SAO、SAS、SBE、SBS、SBT、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、SGT、SOD、SOF、SOS、SSF、SSY、STF、STI、STO、STT、STW、-SVR、SZR、TER、TOL、TON、TUN、UOS、UOZ、USI、UTL、VET、VFI、VSV、WEI又は-WEN及びこれらのうち2つ以上の混合物。
【0027】
好ましいゼオライト及び非ゼオライトモレキュラーシーブは、BEA、FAU、FER、MFI、MFS、MOR、STI、SZR及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される。
【0028】
特に好ましいゼオライト又は非ゼオライトモレキュラーシーブは、BEA、FER、MFI、STI及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される。特に好ましいゼオライトモレキュラーシーブは、ZSM-5、ベータ、フェリエライト、SSZ-13及びこれらのうち2つ以上の混合物である。
【0029】
たとえ自然のゼオライトモレキュラーシーブが本発明で使用され得ても、10以上(改善された熱安定性のために例えば、15〜150、20〜60又は25〜40)のシリカ-アルミナ比を有する合成アルミノ珪酸塩ゼオライトモレキュラーシーブが好ましい。
【0030】
他の実施例において、ゼオライトモレキュラーシーブ又は非ゼオライトモレキュラーシーブは、1つ以上の置換されるフレームワーク金属を含む同形体(isomorph)である。このような実施例において、前記各置換されるフレームワーク金属は、As、B、Be、Ce、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Li、Mg、Mn、Zn及びZrからなる群より選択されることができる。また、好ましい同形体のゼオライト又は非ゼオライトモレキュラーシーブは、BEA、FER、MFI、STI及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択され得、特に好ましくは、フレームワークでFeを含むBEAである。1つ以上の置換されるフレームワーク金属を含有するこのような同形体を製造する過程は、最終製品においてフレームワーク内で単独で又はイオン置換されて存在し得る。
【0031】
1つ以上の置換されるフレーム金属を含有する同形体でシリカ-アルミナ比は、>25(例えば、30〜100又は40〜70)であり得る。対照的に、前記同形体は、>20(例えば、30〜200又は50〜100)のシリカ-フレームワーク金属比を有することができる。
【0032】
好適な実施例において、前記非ゼオライトモレキュラーシーブは、AlPOsを含むリン酸アルミニウム、MeAlPOs、SAPOs又はMeAPSOsである。
【0033】
前記リン酸アルミニウムのシリカ-アルミナ比は、一般に同一のフレームワーク形態のコードを共有するアルミノ珪酸塩ゼオライトよりも遥かに低い。一般に、リン酸アルミニウムのシリカ-アルミナ比は<1.0であるが、<0.5又は<0.3であり得る。
【0034】
セリア成分は、セリアの熱安定性を増加させるために、少なくとも1つの非セリウム成分で選択的に安定化され得る。好ましいセリア安定化剤は、ジルコニウム、ランタナイド及びこれらのうち2つ以上の混合物を含む。ランタナイド安定化剤は、La、Nd、Pr、Gd及びこれらのうち2つ以上の混合物を含む。CeO:ZrO重量比は、80:20又は20:80の間であり得る。商業的に利用可能な物質は、30重量%のCeO、63重量%のZrO、5重量%のNd、2重量%のLa、及び40重量%のCeO、50重量%のZrO、4重量%のLa、4重量%のNd及び2重量%のYを含む。
【0035】
大体に、前記少なくとも1つの金属は、以下のように存在し得る。特徴(iii)、(iv)及び(v)において、(a)前記押出しソリッド本体の全体に渡って(即ち、前記少なくとも1つの金属が押出物構造内に存在)、(b)前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で存在、及び/又は(c)前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容、(a)、(b)及び(c)で互いに異なる位置のそれぞれに存在する少なくとも1つの金属と異なる。従って、本発明によれば、前記少なくとも1つの金属は、(b)、(c)、(a)プラス(b)、(a)プラス(c)又は(a)プラス(b)プラス(c)の位置に存在し得る。前記少なくとも1つの金属が(a)と(b)、(a)と(c)又は(a)、(b)と(c)に存在する場合、各位置で前記少なくとも1つの金属は同一であるか、異なり得る。
【0036】
前記少なくとも1つの金属が位置(a)に存在する場合に(即ち、前記押出しソリッド本体の全体に渡って)、前記少なくとも1つの金属は、ゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物と共に結合され得る。「結合されるもの」の例は、前記ゼオライトモレキュラーシーブ成分、前記非ゼオライトモレキュラーシーブ成分又はこれらのうち少なくとも1つを含む混合物とのイオン交換を含む。2つ以上のモレキュラーシーブの混合物で1つのモレキュラーシーブと結合されている前記少なくとも1つの金属を備えることも可能である。例えば、第1モレキュラーシーブは銅とイオン交換され、乾燥し、焼成された後、追加の金属結合なしに他のモレキュラーシーブと混合され得る。
【0037】
発明者らは、ゼオライト(例えば、βゼオライト)を遷移金属(例えば、鉄)とイオン交換することで、添付された実施例で確認されるように、前記酸化触媒の熱的耐久性が改善され得、活性度も改善され得る。
【0038】
これとは異なり、混合物内の2つのモレキュラーシーブの1つは、例えばイオン交換のような方法で第1の少なくとも1つの金属と結合された後、第2の少なくとも1つの金属が前記押出物構造に加えられ得る。
【0039】
前記各モレキュラーシーブ成分と結合されるのに適した少なくとも1つの金属は、遷移金属、ランタナイド又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より個別的に選択され得る。適切な遷移金属は、IB族金属、IVB族金属、VB族金属、VIIB族金属及びVIII族金属を含む。好ましくは、前記少なくとも1つの遷移金属は、Fe、Cu、Ce、Hf、La、Mn及びVとこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される。前記ランタナイド金属は、La、Pr、Ce及びこれらのうち2つ以上の混合物であり得る。
【0040】
前記各モレキュラーシーブ成分と結合されている前記少なくとも1つの金属の全体金属成分は、0.1〜20重量%(例えば、1〜9重量%)である。
【0041】
前記少なくとも1つの金属は、以下のように存在し、遷移金属、ランタナイド又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択されることができる:前記モレキュラーシーブとの結合なしに前記押出しソリッド本体の全体に渡って、前記押出しソリッド本体の表面に位置する前記少なくとも1つの金属の大部分に、前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に、又は前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で。
【0042】
本発明で用いるための触媒金属を支持するための適切なコーティングは、1つ以上のアルミナ(Al)(特に、γ-アルミナ)、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、セリア(CeO)、ジルコニア(ZrO)、バナジア(V)、ランタン(La)及びゼオライトを含む。前記セリアとアルミナは、前記押出しソリッド本体で用いられる安定化剤と同一のものを用いて選択的に安定化され得る。前記押出しソリッド本体でモレキュラーシーブの存在に加え、1つ以上のコーティング層でモレキュラーシーブ(ゼオライト)の存在は、押出しソリッド本体に存在するモレキュラーシーブを除いて1つ以上のコーティング層でモレキュラーシーブを備えていない酸化触媒に比べて、改善された炭化水素転換率を示す(実施例3B参照)。従って、1つ以上のコーティング層にモレキュラーシーブが存在することが好ましい。適切な触媒金属は、1つ以上の貴金属を含む(Au、Ag及びPt、PdとRhを含む白金族金属)。
【0043】
少なくとも1つの金属は、前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で位置させるための技術は、含浸法を含むが、濃縮含浸法(即ち、増粘剤で濃縮された含浸媒体)が好ましい。乾燥方法は、前記押出しソリッド本体の表面で金属を濃縮するために使用されることもできる。例えば、金属が表面で濃縮される、いわゆる「エッグシェル」技術は、含浸された押出しソリッド本体を相対的に徐々に乾燥させ、金属が表面に蒸着されて得られる。塩とpH条件の特別な選択は、直接金属蒸着に例えば、前記押出しソリッド本体の等電点を決定した後、前記金属塩のカチオン又はアニオンと前記押出しソリッド本体間の静電気の引力により利得を得る正確なpHと金属塩の組み合わせを用いることによって、使用され得る。
【0044】
適切な遷移金属は、IB族金属及びVIII族金属を含む。好ましくは、前記遷移金属はPt、Pd、Au、Ag、Ir、Ru、Rh、Os及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される。適切なランタナイド金属は、La、Pr又はCe又はこれらのうち2つ以上の混合物であり得る。
【0045】
前記各モレキュラーシーブ成分と結合されない前記押出しソリッド本体の全体に渡る、前記押出しソリッド本体の表面に位置、及び/又は前記押出しソリッド表面に更に高く濃縮された全体金属成分は、0.1〜20重量%(例えば、1〜9重量%)であり得る。
【0046】
前記押出しソリッド本体の全体金属成分(即ち、前記各モレキュラーシーブと結合されているあらゆる金属を含む)は、0.1〜25重量%(例えば、1〜15重量%)であり得る。
【0047】
少なくとも1つの金属を含む前記押出しソリッド本体の表面の1つ以上のコーティング層を含む前記触媒の全体金属成分は、0.1〜30重量%(例えば、1〜25重量%)であり得る。
【0048】
前記少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分の成分は、>15重量%、>20重量%、>30重量%、>35重量%、>40重量%、>45重量%、>50重量%、>55重量%、>60重量%、>65重量%、>70重量%、>75重量%、>80重量%、>85重量%又は>90重量%であり得る。
【0049】
前記スピネルの成分は、>10重量%、>15重量%、>20重量%、>30重量%、>35重量%、>40重量%、>45重量%、>50重量%、>55重量%、>60重量%、>65重量%又は>70重量%であり得る。
【0050】
前記モレキュラーシーブの全体成分は、>10重量%、>15重量%、>20重量%、>30重量%、>35重量%、>40重量%、>45重量%、>50重量%、>55重量%、>60重量%、>65重量%、>70重量%、>75重量%、>80重量%、又は>85重量%であり得る
【0051】
前記選択的に安定化したセリアの成分は、>5重量%、>10重量%、>15重量%、>20重量%、>30重量%、>35重量%、>40重量%、>45重量%、>50重量%、>55重量%、>60重量%、>65重量%又は>70重量%であり得る。
【0052】
前記無機繊維の成分は、>5重量%、>10重量%、>15重量%又は>20重量%であり得る。
【0053】
好適な実施例において、前記押出しソリッド本体は、基本的に以下のようになされる:10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、それぞれが1つ以上の金属を選択的に含む、50-90重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-25重量%の無機繊維。
【0054】
他の実施例は、基本的に次のような構成の押出しソリッド本体を用いることができる:10-37重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、選択的にトッピングされたアルミナ、スピネル、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、それぞれが1つ以上の金属を選択的に含む、60-88重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-20重量%の無機繊維、又は:15-30重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、選択的にドーピングされたアルミナ、スピネル、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、2-20重量%のシリカソース、それぞれが1つ以上の金属を選択的に含む、50-81重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び2-10重量%の無機繊維。
【0055】
ディーゼル酸化触媒で用いるのに適した他の実施例において、前記押出しソリッド本体は、基本的に以下のように構成され得る:10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、選択的にドーピングされたアルミナ、スピネル、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、それぞれが1つ以上の金属を選択的に含む、5-50重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、20-80重量%の選択的に安定化したセリア、及び0-25重量%の無機繊維。好適な実施例は、ゼオライトと無機繊維を含む。
【0056】
本発明によってNOトラップ触媒として用いるために開発された押出しソリッド本体で、本発明者らは69重量%のCeO、及び23重量%のγ-Al及び8重量%のガラス繊維の構成を有する押出しソリッド本体は強度が低いことを見つけた。強度の向上のための提案は、「グリーン」押出しソリッド本体の焼成(calcinations)中に表面損傷を低減させるためのCeO物質を事前-焼成する段階、アルミナ成分を50%+まで増加させる段階、アルミナ(例えば、商業的に利用可能なPuralTMからDisperalTMまで)及び/又は選択的に安定化したセリアの粒子サイズを変更する段階、機械的な安定性を増加させるために不活性バインダ(例えば、クレー)を添加する段階、他のアルミナ(例えば、アルミナゾル)を用いる段階、他のバインダシステム(例えば、TiOゾル、CeOゾル、酢酸セリウム、酢酸ジルコニウム)をテストする段階、pH最適化段階、表面改善剤(例えば、アルミニウム塩又は他の有機界面活性剤)を添加する段階を含む。事前テストで、本発明者らは、シリカの存在がNOトラップの性能に影響を及ぼすということを発見した。研究は続けられ、このような選択は更に調べられるだろう。しかしながら、一実施例においてシリカソースの成分は減少するか、完全に除去される。
【0057】
本発明に係る更に特定された例において:
(i)ディーゼル酸化触媒がフロースルー構造で基本的に以下のように構成された押出しソリッド本体を含む:15-70重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、チタニア、ジルコニア、チタニア−ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、0-20重量%のシリカソース、それぞれが1つ以上の金属を含有する50-81重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-20重量%の無機繊維。押出しソリッド触媒本体は、支持されたPt、Pd、Au、PtとPd、PdとAuを含む第1の内部層、及び支持されたPt、Pd、Au、PtとPd、PdとAuを含む第2の外部層でコーティングされ、前記内部層と前記外部層に存在する金属は同一であり、前記内部層の金属含有量は前記外部層と異なり、
(ii)触媒媒煙フィルタは、ウォールフロー構造で基本的に以下のように構成された押出しソリッド本体を含む:15-70重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、チタニア、ジルコニア、チタニア−ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、0-20重量%のシリカソース、それぞれが1つ以上の金属を含有する5-50重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、20-80重量%の選択的に安定化したセリア、及び0-20重量%の無機繊維。押出しソリッド触媒本体は、支持された少なくとも1つの貴金属及び2つ以上の貴金属の組み合わせを含む1つ以上の層でコーティングされる。
【0058】
他の側面によれば、本発明は、本発明に係る酸化触媒を製造する工程を提供するが、前記工程は次の過程を含む:次の粉末の出発物質を混合してソリッド押出し本体を形成する段階:少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分又はこれの1つ以上の前駆体、少なくとも1つの金属に結合されるゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、選択的に安定化したセリア、及び選択的な少なくとも1つの金属化合物、選択的な無機繊維、選択的に添加された有機補助剤、少なくとも1つの金属の金属塩を選択的に含有する酸又はアルカリ水溶液でプラスチック化合物内に混合物を形成するように、混合及び/又は混練を通じて処理する段階、前記混合物は触媒本体に押し出し、前記触媒本体を乾燥させ、ソリッド押出し本体を形成するために焼成する段階、前記ソリッド押出し本体が10-100重量%の少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分、及び5-90重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-80重量%の選択的に安定化したセリア、及び少なくとも1つの金属を選択的に含有するように前記出発物質の比率を選択し、前記ソリッド押出し本体の表面を少なくとも1つの貴金属で含浸及び/又は少なくとも1つの貴金属を含む少なくとも1つのコーティング層で前記ソリッド押出し本体の表面をコーティングする段階。
【0059】
一般に、例えばEP1837063に開示されたように、ウォールフローフィルタを形成する押出し基材モノリスでチャネルの端部を浸透できないように防ぐためにセメントが用いられる。
【0060】
一般に、押出しソリッド本体の製造において、バインダ、有機増粘化合物及び混合を通じて前記物質を均質なペーストに転換するために液体がバインダ/マトリックス成分又はその前駆体及びモレキュラーシーブ、選択的に安定化したセリア、選択的な無機繊維及び選択的に少なくとも1つの金属化合物に添加され、前記混合物は混合又は混練装置又は押出器で圧縮される。前記混合物は、バインダ、可塑剤、界面活性剤、潤滑剤、分散剤のような有機添加剤を含み、工程で濡れ性を向上させ、均一なバッチを生成する。結果プラスチック物質は、特に押出プレス又は押出ダイを備える押出器を用いて成形され、結果成形物は乾燥し、焼成される。前記有機添加剤は、押出しソリッド本体の焼成過程で燃焼してしまう。
【0061】
前記少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分は、コーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択され得る。アルミナ前駆体は、アルミニウム水酸化物又はベーマイトが使用され得る。アルミニウム酸化物が用いられる場合に、前記アルミニウム酸化物との結合を確実にするために、水溶性金属塩の水溶液をアルミニウム酸化物又はアルミニウム酸化物の前駆体基材に他の出発物質を添加する前に添加することが有利である。
【0062】
実施例において、前記シリカソースは、シリカ、シリカゾル、石英、溶融又は無定形シリカ、珪酸ナトリウム、無定形アルミノ珪酸塩、アルコキシシラン、シリコン樹脂バインダ、クレー、タルク、又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択されることができる。
【0063】
特定の実施例において、前記シリカソースは、シリコン樹脂バインダであり、前記シリコン樹脂バインダ用ソルベントは、イソプロピルアルコール又は二塩基性エステルである。
【0064】
本発明に係る工程の一実施例は、選択的にドーピングされたアルミナ又はその前駆体を溶液と混合する第1の混合段階と、前記ゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物と無機繊維を混合する追加の混合段階とを含む。
【0065】
本発明に係る工程で用いるための前記有機補助剤は、セルロース誘導体、有機可塑剤、潤滑剤及び水溶性樹脂からなる群より選択された1つ以上であり得る。適切なセルロース誘導体の例は、メチルセルロース(methylcellulose)、エチルセルロース(ethylcellulose)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)、エチルヒドロキシエチルセルロース(ethylhydroxyethylcellulose)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethylcellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropylcellulose)、メチルヒドロキシエチルセルロース(methylhydorxyethylcellulose)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(methylhydroxypropylcellulose)及びこれらのうち2つ以上の組み合わせからなる群より選択されたセルロースエーテルを含む。セルロース誘導体は、最終製品の孔隙率を増加させ、ソリッド触媒本体の触媒活性に長所を提供する。初期に前記セルロースは、前記水性サスペンションで膨張するが、結局のところ、焼成過程で除去される。
【0066】
本発明の工程で用いるための前記有機可塑剤は、ポリビニールアルコール、ポリビニールブチラール(butyral)、イオノマー(ionomer)、アクリル、コポリエチレン/アクリル酸(copolyethylene/acrylic acid)、ポリウレタン、熱可塑性弾性重合体(elastomer)、相対的に低い分子量のポリエステル、亜麻仁油(linseed oil)、リシノール酸塩(ricinoleate)及びこれらのうち2つ以上の組み合わせからなる群より選択される。
【0067】
前記水溶性樹脂は、ポリアクリレート(polyacrylate)であり得る。
【0068】
本発明に係る工程で用いるための前記潤滑剤は、グリコール、ステアリン酸(stearic acid)、ステアリン酸ナトリウム(stearate)、グリセリン及びグリコールからなる群の少なくとも1つから選択される。
【0069】
前記押出物の組成によって、前記pHは酸性であるか、アルカリ性であり得る。前記工程が酸性水溶液を用いる場合、前記溶液の前記pH-値は3〜4であり得る。好ましくは、酢酸が前記溶液を酸性化するために用いられる。
【0070】
前記工程がアルカリ性水溶液を用いる場合、前記溶液のpH-値は8〜9であり得る。アンモニアがアルカリ側でpHを調節するために使用され得る。
【0071】
他の側面によれば、本発明は、固定型発生源又は車両の内燃機関から発生する排気ガスを処理する方法を提供するが、前記方法は、前記排気ガスを本発明に係る三元触媒と接触させる段階を含む。排気ガスが触媒と接触する温度は、>100℃(例えば、>150℃、>175℃、>200℃、>225℃、>250℃、>275℃、又は>300℃)であることが好ましい。好ましくは、排気ガスが触媒と接触する温度は、<600℃(例えば、<550℃、<525℃又は<500℃)である。
【0072】
他の側面によれば、本発明に係る酸化触媒を含む内燃機関用排気システムに提供される。前記内燃機関は、圧縮点火エンジン又はポジティブ点火エンジンであり得る。ポジティブ点火エンジンは、一般にガソリン燃料の提供を受けるが、メタノール及び/又はエタノールと混合されたガソリン燃料、LPG又はCNGを含む他の燃料が使用されることもあり得る。圧縮点火エンジンは、ディーゼル燃料、ディーゼル燃料とバイオディーゼルの混合又はフィッシャー-トラフシュー誘導燃料(Fischer-Tropsch derived fuel)、バイオディーゼル又は天然ガスの提供を受ける。現代式圧縮点火エンジンは、DCCS(Dilution Controlled Combustion System)として知られたものを含む(例えば、トヨタのスモークレスリッチ燃焼概念(smoke-less rich combustion concept))、HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)エンジンからの排気ガスが処理されることもできる。特に、実質的に燃焼用のあらゆる燃料が燃焼開始前に燃焼室に注入される現代式エンジンが処理され得る。
【0073】
本発明の他の側面によれば、内燃機関(選択的に前記で定義されたもの)と本発明に係る排気システムを含む車両が提供される。
【0074】
本発明を更に十分に理解できるように、次の実施例が添付された図面と共に参照されて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、実施例3Aと3Bに係る650℃エイジングされたディーゼル酸化触媒の%炭化水素転換率の活性と類似にエイジングされた実施例5Aと5Bに係る比較ディーゼル酸化触媒と実施例6で説明されたテスト手順で比較したグラフである。
【図2】図2は、実施例6で説明されたテスト手順で実施例3Aと3Bの温度800℃エイジングされたディーゼル酸化触媒と類似にエイジングされた実施例5Aと5Bのディーゼル酸化触媒を温度に対して示す%炭化水素転換率の活性を比較したグラフである。
【図3】図3は、実施例3Aと3Bに係る650℃エイジングされたディーゼル酸化触媒の温度に対する%炭化水素転換率の活性をベアコーディエライトフロースルー基材と比較したグラフである。
【図4】図4は、温度に対して実施例3C、5C及び5Dで一酸化炭素転換率の活性と全体の炭化水素(THC)転換率の活性を比較したグラフである。
【図5】図2は、フロースルー構造で用いられる参照製品に対して多様な孔隙変更剤を用いて製造された多様なV/WO-TiOフィルタ物質の孔隙体積と孔隙率を比較したグラフである。
【図6】図6は、V/WO-TiO基準と商業的に利用可能な壁流動フィルタ基材に対して多様な孔隙変更剤での孔隙半径に対する孔隙体積を示すグラフである。
【0076】
実施例1:H-βゼオライトを含む押出しゼオライトモノリス基材
押出しゼオライトモノリス基材がUS7,507,684に開示されものと類似の方法で製造された。水素形態の商業的に利用可能な粉末βゼオライトがガラス繊維、カオリンフィラー及び粉末合成ベーマイト(Pural SB)と混合され、5-6のpH値を有する水溶液で処理され、セルロース(CMC-QP10000H)、可塑剤Zusoplast(Zschimmer&Schwarz GmbH&Co KGのブランド名)と有機補助剤PEOアルコックス(ポリエチレン酸化物)の混合物により成形可能であり、流動可能なスリップに製造される。前記出発物質の量的比率は、最終ソリッド触媒本体の活性物質が69重量%のゼオライト、23重量%のγ-Al及び5重量%のガラス繊維及び3重量%のカオリンを含むように選択される。前記成形可能な混合物は、400cpsiのセル密度を有する1”直径×3”長さのフロースルーハニカム触媒本体(即ち、連続したチャネルと円形の断面を有する)内に押し出される。次に、前記触媒本体は、WO2009/080155(全体内容が参照としてここに含まれる)に説明された方法により1時間2mbarで冷却乾燥し、ソリッド触媒本体を形成するために、580℃の温度で焼成される。
【0077】
実施例2:Fe-βゼオライトを含む押出しゼオライトモノリス基材
水素形態の商業的に利用可能な粉末βゼオライトが鉄水酸化物、ガラス繊維、低アルカリクレーフィラー及び粉末合成ベーマイト(Pural SB)と混合され、5-6のpH値を有する水溶液で処理されて成形可能であり、流動可能なスリップに製造された。前記混合物が適宜焼成されたとき、セルロースが全体無機ソリッド成分100%に対して8重量%で添加された。前記出発物質の量的比率は、最終ソリッド触媒本体の活性物質が55重量%のゼオライト、25重量%のクレー、7重量%のγ-Al、8重量%のガラス繊維及び5重量%の鉄及び鉄化合物を含むように選択される。前記成形可能な混合物は、400cpsiのセル密度を有する1”直径×3”長さのフロースルーハニカム触媒本体(即ち、連続したチャネルと円形の断面を有する)内に押し出される。次に、前記触媒本体は、WO2009/080155(全体内容が参照としてここに含まれる)に説明された方法により1時間2mbarで冷却乾燥し、ソリッド触媒本体を形成するために、580℃の温度で2010年8月21日に出願されたPCT特許出願番号PCT/EP2010/005140(全体内容が参照としてここに含まれる)に記載された方法により還元的に焼成される。説明された方法を利用することで、前記混合物内に注入された鉄の少なくとも一部がゼオライトとイオン交換されることが確認される。
【0078】
実施例3:実施例1の押出しゼオライトモノリス基材上の2層のディーゼル酸化触媒
実施例1によって製造された400cpsi押出しβゼオライト1インチ×3インチフロースルーサンプルがPtとPd/γ-アルミナウォッシュコートの混合物(実施例3A)を含む第1層、又はPtとPd/γ-アルミナとH-βゼオライトの混合物(実施例3B)を含む第1層で(WO99/47260の技術によって)ウォッシュコートされた。結果が乾燥し、600℃で焼成された。前記第1層を覆うPt/γ-アルミナの第2ウォッシュコート層が実施例3Aと3Bのそれぞれに塗布され、コーティングされた結果部分が乾燥し、600℃で焼成された。貴金属の存在比は、105g in-3の貴金属含有量全体において2Pt:Pdであった。
【0079】
分離された400cpsi 5”×6”基材モノリスが実施例7でのエンジンテストに対して実施例3Bに説明されたように、2層の触媒でコーティングされた。5”×6”触媒は、5%HOで50時間800℃でエイジングされ、実施例3Cに設計された。
【0080】
実施例4:実施例2の押出しゼオライトモノリス基材上の2層のディーゼル酸化触媒
実施例2の400cpsi押出し5重量%のイオン-交換Fe-βゼオライト1”×3”フロースルーサンプルが実施例3Aで説明されたように、2層の触媒でコーティングされた。このサンプルは、650℃で64時間5%HOで酸素エイジングされた。
【0081】
比較実施例5:コーディエライトモノリス基材上の2層のディーゼル酸化触媒
実施例3A及び3Bと同一の2層の触媒が押出しゼオライトモノリス基材の代りに、商業的に利用可能な400cpsiコーディエライト基材モノリスを用いて製造され、1”×3”コアがこれらから分離された(比較実施例5A及び5Bのそれぞれ)。
【0082】
分離400cpsi 5”×6”基材モノリスは、実施例7でエンジンテストのために、実施例3Aと3Bに説明されたように、2層の触媒でコーティングされた。5”×6”触媒は、800℃で50時間5%HOでエイジングされ、それぞれ5Cと5Dに設計された。
【0083】
比較実施例6:ディーゼル酸化触媒の実験室テスト
実施例3A及び3Bのサンプルと比較実施例4A及び4Bの1”×3”サンプルのそれぞれが、650℃で64時間5%HOで(結果が図1に示される)、又は800℃で50時間5%HOで(結果が図2に示される)エイジングされた。
【0084】
各サンプルは次のような人工のレギュラー希薄条件を用いて実験室SCAT(Synthetic Catalyst Activity Test)リングでテストされた。排気量(SV:Swept Volume)=60K、C1022=100ppm Cl、CO=200ppm、NO=200ppm、O=12%、CO=5%、HO=5%in N、温度は1分当りに40℃で120℃から400℃まで上昇。
【0085】
図1及び図2から実施例3Aと3Bの両方とも比較実施例5Aと5Bより低温(例えば、120-240℃)で顕著に改善された炭化水素転換率の活性を示すことが確認され得る。また、実施例3Aと3Bの間で前記押出し基材に追加で前記内部、第1層にH-βゼオライトを含有する実施例3Bが内部ウォッシュコート層にH-βゼオライトがない実施例3Aよりも更によい性能を示すことが確認され得る。
【0086】
図3から、実施例4の触媒が実施例3Aの触媒よりも更に高い炭化水素転換率の活性を有することが確認され得る。発明者らは、Feイオン交換されたベータを含有する前記押出しソリッド本体を含む触媒が押出しソリッド本体よりも更に効果的なエイジングされた活性度を維持すると結論付け、前記βゼオライトは金属で被覆されない(H-β)。
【0087】
実施例7:ディーゼル酸化触媒エンジンテスト
実施例3Cと実施例5Cと5Dの触媒は、エンジン動力計と共に設置されたベンチ-マウント2007認証6.4リットルの小型/中型ディーゼルエンジンの排気システムに設置され、順にテストされた。エンジンは150℃の触媒入口温度(100K/hr排気量で)を作るのに十分な速度とトルク比で作動した。トルクは、触媒入口温度を1分当りに15℃ずつ全体入口温度が350℃まで増加するのに十分な線形で増加した(140K/hr排気量で)。
【0088】
前記触媒に対するCO%転換率と全体炭化水素(THC)%転換率がテストコースを超えて決定され、添付された図4で温度によって示され、これからそのウォッシュコートの下層にゼオライトを含む実施例5Dの触媒が初期に150℃で相応なTHC転換率を示すが、275℃以上で実施例5Cと同一に回復する前に200℃で実施例5CのTHC転換率以下に低下することが確認される。発明者らは、実施例5Cを越える実施例5Dの初期THC転換率は、低温でのHC吸着に起因するものと理解する。しかしながら、本発明に係る実施例3CのTHC転換率が前記押出し基材本体にゼオライトを含まない実施例5C又は5Dよりも優れていることが確認される。
【0089】
本発明に係る実施例3CのCO転換率は、実施例5Cの場合と大体に類似し、低温で若干優れた光活性度(light of activity)が観測される。
【0090】
実施例8:押出しゼオライトモノリス基材
実施例1で他の押出しゼオライトモノリス基材がUS7,507,684に開示された方法と類似の方法により製造された。水素形態(Tosoh)の商業的に利用可能な粉末βゼオライトがガラス繊維(Vetrotex 4、5mm(Saint-Gobain))、低アルカリクレーフィラー及び粉末合成ベーマイト(Pural SB)と混合され、5-6のpH値を有する水溶液で処理され、8重量%のセルロース(全体無機ソリッド成分に基づく)(CVP-M-5280(Dow Wolff Cellulosics))により成形可能であり、流動可能なスリップに製造される。前記出発物質の量的比率は、最終ソリッド触媒本体の活性物質が60重量%のゼオライト、25重量%のクレー、7重量%のγ-Al及び8重量%のガラス繊維を含むように選択される。前記成形可能な混合物は、適切なセル密度を有するフロースルーハニカム触媒本体(即ち、連続したチャネルと円形の断面を有する)内に押し出される。次に、前記触媒本体は、WO2009/080155(全体内容が参照としてここに含まれる)に説明された方法により1時間2mbarで冷却乾燥し、ソリッド触媒本体を形成するために、580℃の温度で焼成される。
【0091】
実施例9:押出しV/WO-TiOフィルタ
混練可能なペーストを製造するために、表1に記載された成分A、B、FとSを水と混合することで、参照押出しV/WO-TiOソリッド本体が実施例1及び5と類似に用意された。添加剤H(孔隙変更剤)が追加され、前記物質は孔隙変更剤を分散させるために、10分間混練された。結果組成物は、実施例1、2及び7で説明されたように押し出され、乾燥し、焼成された。最終的に焼成された製品に存在する無機ソリッド量の百分率は100%である。焼成過程で燃焼により除去される添加剤(HとS)の量は、100%無機ソリッド成分に対して重量%で提供される。
【表1】

A1=TiW(98、9%、MC 10/Cristal)
A2=V from AMV(78%V、GFE)
B1=ベントナイト(90%、ACE/Mizuka)
B2=カオリン(97、9%、TK0177/Thiele)
B3=SiO(100%、Tixosil/Novus)
F1=ガラス繊維(Vetrotex 4、5mm/Saint Cobain)
H1=セルロース(QP10000H/Nordmann)
H2=PEO(Alkox/Alroko)
H3=Zusoplast(Zschimmer & Schwarz)
S1=MEA(Imhoff & Stahl)
S2=NH
S3=C(fauth)
【0092】
次の孔隙変更剤が表1の押出し添加剤H1、H2及びH3の代りに用いられ、表1の方法による無機ソリッドの全体重量に対する量が表された。
【表2】

【0093】
孔隙率と孔隙体積と孔隙半径は、例えばMIP(Mercury Intrusion Porosimetry)を利用して測定され得る。
【0094】
孔隙体積と孔隙率を含む表2の結果は、図3にも示されている。このような結果から参照の前記孔隙率と孔隙体積は、適切な孔隙変更剤の選択により増加され得るため、このような孔隙変更剤を用いて製造された押出しソリッド本体は、ウォールフローフィルタの製造に使用され得る。
【0095】
このような結果は、孔隙率、孔隙体積など前記ソリッド押出し本体の活性成分に独立した性質を増加させるのに包括的である。即ち、たとえこのような実施例6の孔隙率と孔隙体積などを増加させることがV/WO-TiO活性物質を用いて説明されていても、このような実施例6で開示された孔隙率と孔隙体積などを増加させる原理は、あらゆる活性物質(例えば、三元触媒を含むガソリン媒煙フィルタで用いるための押出しソリッド本体)の押出物に適用され得るが、これは前記孔隙変更剤が焼成過程で燃焼し、後で無機ソリッドとして活性物質とフィルタなどを残すためである。
【0096】
図6は、他の参照の孔隙体積を、表2に記載された他の孔隙変更剤を用いて製造されたV/WO-TiO物質と比較するが、商業的に利用可能な壁流動フィルタ(NGK)とも比較される。グラフから、孔隙変更剤を含めることによって、参照押出しソリッド本体の孔隙率と孔隙体積が改善され、物質が商業的に利用可能なウォールフローフィルタのそれに接近する性質を有することが確認される。
実施例10:押出し触媒媒煙フィルタ
【0097】
これは例示的な実施例である。触媒ウォールフローフィルタモノリス基材が以下のように製造され得る。適切な量のCeO-ZrO混合酸化物が、ガラス繊維、粉末合成ベーマイト(Pural SB)及びβゼオライトと混合され、3.5のpH値を有する水溶液で処理され、1.5重量%のセルロース(CMC-QP1000H)、1.0重量%の有機補助剤PEOアルコックス(ポリエチレン酸化物)及び孔隙変更剤Rettenmaier BC200とポリアクリロニトリル(PAN)繊維の混合物13重量%を含む成形可能であり、流動可能なスリップに製造される。前記出発物質の量的比率は、最終ソリッド触媒本体の活性物質が25重量%のCeO、15重量%のβゼオライト、52重量%のγ-Al及び8重量%のガラス繊維を含むように選択される。前記成形可能な混合物は、300cpsiのセル密度を備え、連続したチャネルと円形の断面を有するフロースルーハニカム触媒本体内に押し出される。次に、前記触媒本体は、WO2009/080155(全体内容が参照としてここに含まれる)に説明された方法により1時間2mbarで冷却乾燥し、ソリッド触媒本体を形成するために、580℃の温度で焼成される。結果製品は、一般に約10μmの平均孔隙サイズを有するようになる。
【0098】
多数のチャネルを含む前記押出しフロースルーモノリス基材は、ウォールフローフィルタ構造で製造され得、多数の第1チャネルが上流側端部に閉鎖され、上流側端部で閉鎖されない多数の第2チャネルは下流側端部で閉鎖され、前記第1及び第2チャネルの構造は、EP1837063(全体内容がここで参照として含まれる)による好ましいパターンで前記チャネルの端部で実質的にガス不浸透性プラグを挿入することで、水平、垂直に隣接するチャネルがチェッカーボードの形態で反対側端部で閉鎖される。このようなフィルタ構造は、SAE810114(全体内容がここで参照として含まれる)にも開示されている。前記焼成された製品は含浸された。前記焼成された押出しモノリス基材は、2011年1月4日に出願されたWO99/47260又はPCT/GB2011/050005に開示された方法によりPt-Rhを含むウォッシュコートでコーティングされ得る。後者の方法は、次のような段階を含む:(i)ハニカムモノリス基材を実質的に垂直に維持させる段階と、(ii)液体の予め設定された量を前記基材の下端で前記チャネルの開口端部を通じて前記基材内に供給する段階と、(iii)供給された液体を前記基材内で封止可能に維持させる段階と、(iv)前記収容された液体を含む前記基材をひっくり返す段階と、(v)前記基材のチャネルに沿って前記液体を吸い込むために前記基材の前記ひっくり返った下端で前記基材のチャネルの開口端部に真空を加える段階。
【0099】
疑問の余地を無くすために、ここで引用された文献の全体内容が参照としてここに含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出しソリッド本体を備えてなる酸化触媒であって、
前記押出しソリッド本体が、
10-100重量%の少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分、
5-90重量%のゼオライト、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び
0-80重量%の選択的に安定化したセリアを含んでなり、
前記触媒が、少なくとも1つの貴金属と少なくとも1つの非貴金属を選択的に含んでなり、
(i)前記少なくとも1つの貴金属の大部分が、前記押出しソリッド本体の表面に位置してなり、
(ii)前記少なくとも1つの貴金属が、前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容されてなり、
(iii)前記少なくとも1つの金属が、前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、前記押出しソリッド本体の表面には更に高い濃度で存在してなり、
(iv)少なくとも1つの金属が、前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、前記押出しソリッド本体表面上の1つ以上のコーティング層に収容されてなり、及び
(v)少なくとも1つの金属が、前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で存在し、及び前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容されてなる、酸化触媒。
【請求項2】
前記少なくとも1つの金属が、
(a)前記ソリッド本体全体に渡って、
(b)前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で、
(c)前記押出しソリッド本体の表面の1つ以上のコーティング層に収容され、のそれぞれによって存在してなり、
前記少なくとも1つの金属が、前記(iii)、前記(iv)及び前記(v)において、他の位置に存在する少なくとも1つの金属と異なる、請求項1に記載の酸化触媒。
【請求項3】
前記少なくとも1つの非貴金属が、ゼオライトモレキュラーシーブ成分、非ゼオライトモレキュラーシーブ成分又は前記ゼオライトモレキュラーシーブ成分と前記非ゼオライトモレキュラーシーブ成分の少なくとも1つと混合物として結合される、請求項1又は2に記載の酸化触媒。
【請求項4】
前記押出しソリッド本体が、前記ゼオライトモレキュラーシーブ成分、前記非ゼオライトモレキュラーシーブ成分又は前記ゼオライトモレキュラーシーブ成分と前記非ゼオライトモレキュラーシーブ成分のうちの少なくとも1つと混合物として結合される少なくとも1つの第1金属と、
前記ゼオライトモレキュラーシーブ成分、前記非ゼオライトモレキュラーシーブ成分のうちの少なくとも1つと混合物として結合される少なくとも1つの第2金属とを含んでなる、請求項3に記載の酸化触媒。
【請求項5】
前記ゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物で2つのモレキュラーシーブ成分と結合されている前記少なくとも1つの非貴金属が、Fe、Cu、Ce、Hf、La、Mn、V又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される、請求項3又は4に記載の酸化触媒。
【請求項6】
前記ゼオライトモレキュラーシーブ成分、非ゼオライトモレキュラーシーブ成分又は前記ゼオライトモレキュラーシーブ成分と前記非ゼオライトモレキュラーシーブ成分と結合されている少なくとも1つの金属の全体金属成分が、前記混合物で0.1〜20重量%である、請求項3〜5の何れか一項に記載の酸化触媒。
【請求項7】
前記少なくとも1つの金属が、
前記少なくとも1つの金属の大部分が前記押出しソリッド本体の表面に位置し、
前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に、又は前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で存在し、
VIII族遷移金属、IB族遷移金属、ランタナイド金属及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される、請求項1〜6の何れか一項に記載の酸化触媒。
【請求項8】
前記少なくとも1つの貴金属が、Pt、Pd、Au、Ag、Ir、Ru、Rh及びOsからなる群より選択される、請求項7に記載の酸化触媒。
【請求項9】
前記ランタナイド金属が、La、Pr及びCeから選択される、請求項7に記載の酸化触媒。
【請求項10】
前記押出しソリッド本体の表面に位置する少なくとも1つの金属の大部分で、前記押出しソリッド本体上の1つ以上のコーティング層で、又は前記押出しソリッド本体の表面上に更に高い濃度で存在する全体金属成分が、0.1〜30重量%である、請求項7、8又は9に記載の酸化触媒。
【請求項11】
10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、選択的にドーピングされたアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、
0-80重量%のスピネル、
それぞれが1つ以上の金属を選択的に含有する、5-90重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、
0-80重量%の選択可能な安定化したセリア、及び
0-25重量%の無機繊維を含んでなる、請求項1〜11の何れか一項に記載の酸化触媒。
【請求項12】
前記押出しソリッド本体が、基本的に、
10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、
それぞれが1つ以上の金属を選択的に含有する、50-90重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び
0-25重量%の無機繊維からなる、請求項11に記載の酸化触媒。
【請求項13】
前記押出しソリッド本体が、基本的に、
10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、選択的にドーピングされたアルミナ、スピネル、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、
それぞれが1つ以上の金属を選択的に含有する、5-50重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、
20-80重量%の選択的に安定化したセリア、及び
0-25重量%の無機繊維からなる、酸化触媒。
【請求項14】
フロースルー構造の押出しソリッド本体を備えてなり、
前記押出しソリッド本体が、基本的に、
15-70重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、
0-20重量%のシリカソース、
それぞれが1つ以上の金属を選択的に含有する、50-81重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び
0-20重量%の無機繊維からなり、
前記押出しソリッド触媒が、支持されたPt、Pd、Au、PtとPd、Pd及びAuを含む第1の内部層、支持されたPt、Pd、Au、PtとPd、Pd及びAuを含む第2の外部触媒層でコーティングされ、
前記内部層と前記外部層に存在する前記金属が同一である場合に、前記金属含有量が、前記内部層で前記外部層と異なる、請求項1〜11の何れか一項に記載の酸化触媒。
【請求項15】
請求項1〜11の何れか一項による触媒媒煙であって、
ウォールフローフィルタ構造の押出しソリッド本体を備えてなり、
前記押出しソリッド本体が、基本的に
15〜70重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、
0-20重量%のシリカソース、
それぞれが1つ以上の金属を選択的に含有する20-80重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、
20-80重量%の選択的に安定化したセリア、及び
0-20重量%の無機繊維からなり、
前記押出しソリッド触媒本体が、支持された少なくとも1つの貴金属及びこれらのうち2つ以上の貴金属の組み合わせを含む1つ以上の層でコーティングされてなる、触媒媒煙フィルタ。
【請求項16】
ウォールフローフィルタ形態を有してなる、請求項1〜15の何れか一項による触媒。
【請求項17】
前記ウォールフローフィルタの孔隙率が、30-80%である、請求項16に記載の触媒。
【請求項18】
前記少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分が、コーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される、請求項1〜17の何れか一項に記載の酸化触媒。
【請求項19】
前記スピネルが、MgAlであるか、
前記MgがCo、Zr、Zn又はMnからなる群よりの金属により部分的に置換される、請求項1〜18の何れか一項に記載の酸化触媒。
【請求項20】
前記シリカソースが、シリカ、シリカゾル、石英、溶融又は無定形シリカ、珪酸ナトリウム、無定形アルミノ珪酸塩、アルコキシシラン、シリコン樹脂バインダ、クレー、タルク又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される、請求項18又は19に記載の酸化触媒。
【請求項21】
前記クレーが、フラー土、セピオライト、ヘクトライト、スメクタイト、カオリン及びこれらのうち2つ以上の混合物から選択される、請求項20に記載の酸化触媒。
【請求項22】
前記無機繊維が、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホウ素繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維、炭化珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維及びセラミック繊維からなる群より選択される、請求項18〜21の何れか一項に記載の酸化触媒。
【請求項23】
前記ゼオライトモレキュラーシーブ又は非ゼオライトモレキュラーシーブが、下記フレームワーク形態のコード:
国際ゼオライト協会の構造委員会により定義されたABW、AEL、AET、AFG、AFI、AFO、AFR、AFS、AFY、AHT、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATV、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CFI、CGF、CGS、-CHI、-CLO、CON、CZP、DAC、DFO、DOH、DON、EMT、EON、ETR、EUO、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIU、GME、GON、HEU、IFR、IMF、ITH、ITR、IWS、IWV、IWW、JBW、JRY、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTF、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MFI、MFS、MOR、MOZ、MRE、MSE、MOS、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、OBW、OFF、OSI、OSO、-PAR、PON、-RON、RRO、RSN、RTE、RUT、RWR、RWY、SAO、SAS、SBE、SBS、SBT、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、SGT、SOD、SOF、SOS、SSF、SSY、STF、STI、STO、STT、STW、-SVR、SZR、TER、TOL、TON、TUN、UOS、UOZ、USI、UTL、VET、VFI、VSV、WEI又は-WEN及びこれらのうち2つ以上の混合物、から選択されてなる、請求項1〜22の何れか一項に記載のNO吸収剤触媒。
【請求項24】
前記ゼオライトモレキュラーシーブ又は前記非ゼオライトモレキュラーシーブが、フレームワーク形態のコードBEA、FER、MFI又はこれらのうち2つ以上の混合物を含んでなる、請求項23に記載の酸化触媒。
【請求項25】
前記ゼオライトモレキュラーシーブが、10以上のシリカ-アルミナ比を有するアルミナ珪酸塩である、請求項1〜24の何れか一項に記載の酸化触媒。
【請求項26】
前記ゼオライトモレキュラーシーブ又は前記非ゼオライトモレキュラーシーブが、1つ以上の置換フレームワーク金属を含有する同形体である、請求項23〜25の何れか一項に記載の酸化触媒。
【請求項27】
前記ゼオライトモレキュラーシーブ又は非ゼオライトモレキュラーシーブが、そのフレームワークにFeを含むBEAである、請求項26に記載の酸化触媒。
【請求項28】
前記非ゼオライトモレキュラーシーブが、リン酸アルミニウムである、請求項23に記載の酸化触媒。
【請求項29】
前記セリアが、前記セリアの熱安定性を増加させるために、少なくとも1つの非セリウム成分で安定化される、請求項1〜28の何れか一項に記載の酸化触媒。
【請求項30】
請求項1〜29の何れか一項による酸化触媒を製造する方法であって、
粉末の出発物質を混合してソリッド押出し本体を形成し、
前記粉末の出発物質が、少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分又はこれの1つ以上の前駆体、少なくとも1つの金属に結合されるゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、選択的に安定化したセリア、及び選択的な少なくとも1つの金属化合物、選択的な無機繊維、選択的に添加された有機補助剤であり、
少なくとも1つの金属の金属塩を選択的に含有する酸又はアルカリ水溶液でプラスチック化合物内に混合物を形成するように、混合及び/又は混練を通じて処理し、
前記混合物を触媒本体に押し出し、前記触媒本体を乾燥させ、ソリッド押出し本体を形成するために焼成し、
前記ソリッド押出し本体が、10-100重量%の少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分、及び5-90重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-80重量%の選択的に安定化したセリア、及び少なくとも1つの金属を選択的に含有するように前記出発物質の比率を選択し、
前記ソリッド押出し本体の表面を少なくとも1つの貴金属で含浸及び/又は少なくとも1つの貴金属を含む少なくとも1つのコーティング層で前記ソリッド押出し本体の表面をコーティングすることを含んでなる、製造方法。
【請求項31】
固定型発生源車両の内燃機関からの排気ガスを処理するための方法であって、
前記排気ガスを請求項1〜29の何れか一項による酸化触媒と接触させることを含んでなる、方法。
【請求項32】
請求項1〜29の何れか一項による酸化触媒を備えてなる、内燃機関用排気システム。
【請求項33】
内燃機関及び請求項32による排気システムを備えてなる、車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2013−517935(P2013−517935A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550520(P2012−550520)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050160
【国際公開番号】WO2011/092519
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】