説明

酸性組成物を含むキットおよびヒドロキシアルキル尿素をベースにした組成物

【課題】本発明は、酸性組成物を含むキット、およびヒドロキシアルキル尿素をベースにした組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、(1)生理学的に許容できる酸性媒体と、少なくとも1種のスキンケア剤および/または頭皮ケア剤とを含む組成物A;および(2)組成物Aとは別個に実装され、生理学的に許容できる塩基性媒体と、少なくとも1種の、下記式(I)(式中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子、C-Cアルキル基、または場合により1個〜5個のヒドロキシル基を含むC-Cヒドロキシアルキル基を表し、R1〜R4基の少なくとも1個はヒドロキシアルキル基を表す)のヒドロキシアルキル尿素、ならびにその塩、溶媒和物および異性体とを含む組成物Bを含む、スキンケアおよび/または頭皮ケアのキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
−生理学的に許容できる酸性媒体と、少なくとも1種のスキンケア剤および/または頭皮ケア剤とを含む組成物A;および
−組成物Aとは別個に実装され、生理学的に許容できる塩基性媒体と、少なくとも1種の、式(I):
【化1】

(式中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子、C-Cアルキル基、または場合により1個〜5個のヒドロキシル基を含むC-Cヒドロキシアルキル基を表し、R1〜R4基の少なくとも1個はヒドロキシアルキル基を表す)
のヒドロキシアルキル尿素、ならびにその塩、溶媒和物および異性体とを含む組成物B
を含む、スキンケアおよび/または頭皮ケアのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願第1535607号は、式(I)のヒドロキシアルキル尿素の、化粧品組成物中における保湿性を目的とした使用を開示している。
【化2】

【0003】
これらの化合物は、これらを含有する組成物に、軽く、脂っぽくない化粧品の感触をもたらし、その適用を容易にする。
【0004】
これらの化合物は、乾燥した皮膚、および/または、処置、例えば、脂漏性皮膚の治療、座瘡の治療、または脱色処理など、特に、酸性の性質の活性剤を皮膚に適用することを含む処置の後に乾燥したおよび/または傷ついた領域を有する皮膚に対するケアに特に有利である。
【特許文献1】欧州特許出願第1535607号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本出願人は、これらの化合物の安定性が、そのpHによって変化することを見出した。実際に、多くの試験により、これらの化合物が、7以上のpHを有する塩基性媒体中では安定であるが、6以下、特に5以下のpHを有する酸性媒体中では不安定であることが明らかになった。これらの酸性媒体中では、このpHは時間と共に変化し、2週間後に、本出願人らは、1pH単位以上高まり、35〜45℃での粘度が実質的に低下することを確認した。
【0006】
したがって、pHおよび粘度におけるこれらの変化により、ヒドロキシアルキル尿素を、7以上の塩基性pHで製剤することが必要となる。このpHは;
−第一に、反対に酸性pHで安定な特定の活性剤(例えば、脱色剤、脂漏性皮膚ケア剤、痩身剤など)、または製剤のタイプに適合せず、
−さらに、第二に、特に保存剤の含量を増加させることを通じて微生物に対して強化された保存システムを必要とし、このことは、特に、敏感な皮膚および/または繊細な皮膚および/または傷ついた皮膚を有する個人の症状において皮膚不快感(例えば、刺すような感じ、発赤、および発熱)を引き起こす可能性がある。
【0007】
したがって、その保湿性を目的として、式(I)のヒドロキシアルキル尿素を、酸性の性質を有するスキンケア剤および/または頭皮ケア剤と組み合わせた、スキンケアおよび/または頭皮ケアに対する要求がなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願人は、驚くべきことに、
−生理学的に許容できる酸性媒体と、少なくとも1種のスキンケア剤および/または頭皮ケア剤とを含む組成物A;および
−組成物Aとは別個に実装され、生理学的に許容できる塩基性媒体と、少なくとも1種の、式(I):
【化3】

(式中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子、C-Cアルキル基、または場合により1個〜5個のヒドロキシル基を含むC-Cヒドロキシアルキル基を表し、R1〜R4基の少なくとも1個はヒドロキシアルキル基を表す)
のヒドロキシアルキル尿素、ならびにその塩、溶媒和物および異性体とを含む組成物B
を含むキットがこの要求を満たすことを見出した。
【0009】
本発明のキットは、特に、単一のpHを有する同じ組成物中では適合させることができない、酸性の性質のケア剤と塩基性のpHで安定な式(I)のヒドロキシアルキル尿素との両方を、同時にまたは連続的に皮膚に適用することを可能にする。
【0010】
さらに、このキットは、皮膚上で混合されたときに4〜6.5の範囲のpH、特に、生理的なpH(pH5.5)に近いpHをその混合物にもたらし、したがって、皮膚の生理状態を尊重する、組成物Aおよび組成物Bを皮膚に適用することを可能にする。
【0011】
このキットは、したがって、あらゆるタイプの皮膚のケアに好適であり、敏感な皮膚、繊細な皮膚(例えば、乳児の皮膚)、および/または傷ついた皮膚〔例えば、髭剃り、酸性の処置(例えば、座瘡の治療、脱色処理、または脂漏性皮膚のケア処置など)を受けた皮膚〕のケアに有利である。
【0012】
このキットは、したがって、組成物A中に存在するケア剤の優れた効果を、組成物B中に存在するヒドロキシアルキル尿素の保湿性と組み合わせることができる。
【0013】
別の利点として、本発明のキットは、皮膚に適用される保存剤を低減することも可能にする。具体的には、酸性pHにおいて組成物Aを保護するための保存剤の量が最低限であるため、組成物Aおよび組成物Bを皮膚に適用した後で、ヒドロキシアルキル尿素をpH7以上で含有する通常の組成物より保存剤の量が低い混合物を得ることを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
したがって、本発明は、
−生理学的に許容できる酸性媒体と、少なくとも1種のスキンケア剤および/または頭皮ケア剤とを含む組成物A;および
−組成物Aとは別個に実装され、生理学的に許容できる塩基性媒体と、少なくとも1種の、式(I):
【化4】

(式中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子、C-Cアルキル基、または場合により1個〜5個のヒドロキシル基を含むC-Cヒドロキシアルキル基を表し、R1〜R4基の少なくとも1個はヒドロキシアルキル基を表す)
のヒドロキシアルキル尿素、ならびにその塩、溶媒和物および異性体とを含む組成物B
を含む、スキンケアおよび/または頭皮ケアのキットに関する。
【0015】
用語「スキンケア剤および/または頭皮ケア剤」は、皮膚および/または頭皮の美的な外観および/または快適さを高めるための薬剤を意味する。特に、この薬剤は、目に見える異常(色素異常症、色素沈着過剰など)および/または触知できる異常(しわ、皮下脂肪、面皰、座瘡瘢痕など)を軽減すること、および/または皮膚をより健康に、より脂っぽくなく、および/またはより乾燥が少ない状態にすることを目的とすることができる。
【0016】
1つの特定の態様では、組成物A中に存在する上述のスキンケア剤は、自己日焼け剤または酵素以外である。
【0017】
本発明の別の特定の態様では、上述のスキンケア剤は、組成物A中に、組成物の総重量に対して0.0001重量%〜90重量%の範囲の含量で存在する。
【0018】
本発明において、用語「生理学的に許容できる媒体」は、例えば皮膚等(頭皮、爪、粘膜、眼、および毛または身体の皮の他の全ての部分を含む)の、いずれのケラチン物質とも適合する媒体を意味する。
【0019】
本発明の媒体は、水性媒体、すなわち、組成物の総重量に対して少なくとも5重量%、好ましくは30重量%〜99.4重量%の範囲、さらにより好ましくは30重量%〜95重量%の範囲の量の水を含む媒体であることが好ましい。
【0020】
本発明において、用語「酸性媒体」は、媒体、特にpHが6より低い水性媒体、特に、pHが5.5以下、実際には1〜5.5の範囲から選択される水性媒体を意味する。
【0021】
特に、pHの範囲が1〜5.5、好ましくは3〜5.5,より好ましくは4〜5.5である酸性媒体が用いられる。
【0022】
1つの特定の態様では、本発明のキットは、pHが5以下である酸性媒体によって特徴づけられる。
【0023】
本発明において、用語「塩基性媒体」は、7以上のpHを有する媒体、特に水性媒体を意味する。
【0024】
[塩基性pHの組成物B]
組成物B中に存在するヒドロキシアルキル尿素は、一般式(I):
【化5】

(式中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子、C-Cアルキル基、または場合により1個〜5個のヒドロキシル基を含むC-Cヒドロキシアルキル基を表し、R1〜R4基の少なくとも1個はヒドロキシアルキル基を表す)
に相当するヒドロキシアルキル尿素、ならびにその塩、溶媒和物および異性体から選択される。
【0025】
式(I)において、アルキル基として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、およびtert-ブチル基を特に挙げることができる。
【0026】
本発明の1つの特定の態様では、Rはヒドロキシアルキル基であり、R、R、およびRは、互いに独立に、水素原子またはC-Cアルキル基である。
【0027】
式(I)の好ましい化合物は、ヒドロキシアルキル基を1個だけ含む化合物、すなわち、Rがヒドロキシアルキル基であり、R、R、およびRが、互いに独立に、水素原子またはC-Cアルキル基である化合物である。
【0028】
がヒドロキシアルキル基であり、R、R、およびRがそれぞれ水素原子である式(I)の化合物が、特により好ましい。
【0029】
ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシ基を1個だけ含むヒドロキシアルキル基、特に、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、およびヒドロキシヘキシルが好ましい。ヒドロキシエチル基が好ましい。
【0030】
1つの好ましい態様では、組成物B中に存在する式(I)の化合物は、N-(2-ヒドロキシエチル)尿素;N-(2-ヒドロキシプロピル)尿素;N-(3-ヒドロキシプロピル)尿素;N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)尿素;N-(2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)尿素;N-メチル-N-(1,3,4,5,6-ペンタヒドロキシ-2-ヘキシル)尿素;N-メチル-N'-(1-ヒドロキシ-2-メチル-2-プロピル)尿素;N-(1-ヒドロキシ-2-メチル-2-プロピル)尿素;N-(1,3-ジヒドロキシ-2-プロピル)尿素;N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]尿素;N-エチル-N'-(2-ヒドロキシエチル)尿素;N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)尿素;N,N'-ビス-(2-ヒドロキシエチル)尿素;N,N-ビス-(2-ヒドロキシプロピル)尿素;N,N'-ビス-(2-ヒドロキシプロピル)尿素;N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-N'-プロピル尿素;N,N-ビス-(2-ヒドロキシプロピル)-N'-(2-ヒドロキシエチル)尿素;N-tert-ブチル-N'-(2-ヒドロキシエチル)-N'-(2-ヒドロキシプロピル)尿素;N-(1,3-ジヒドロキシ-2-プロピル)-N'-(2-ヒドロキシエチル)尿素;N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-N',N'-ジメチル尿素;N,N,N',N'-テトラキス-(2-ヒドロキシエチル)尿素;およびN',N'-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-N',N'-ビス-(2-ヒドロキシプロピル)尿素から選択される。
【0031】
組成物B中に特に好適に用いることができる化合物は、N-(2-ヒドロキシエチル)尿素であり、本明細書において以下に「ヒドロキシエチル尿素」と呼ぶ。
【0032】
式(I)のヒドロキシアルキル尿素は、独国特許出願第2703185号の記載に従って調製することができる。これらの中で、ヒドロキシエチル尿素は、ナショナル・スターチ社(National Starch)から商品名ヒドロバンス(Hydrovance、登録商標)で、水中に50重量%入った混合物の形態で商業的にも入手可能である。
【0033】
塩としては、無機酸の塩、例えば硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、またはホウ酸の塩を挙げることができる。また、有機酸の塩を挙げることもでき、この有機酸の塩は、カルボン酸基、スルホン酸基、またはホスホン酸基を1個以上含んでいてもよい。これらは、直鎖状、分枝状、もしくは環状の脂肪族酸、または芳香族酸であってよい。これらの酸は、例えばヒドロキシル基の形態で、OおよびNから選択される1個以上のヘテロ原子をさらに含んでいてもよい。特に、プロピオン酸、酢酸、テレフタル酸、クエン酸、および酒石酸を挙げることができる。
【0034】
用語「溶媒和物」は、前記式(I)の化合物と、1個以上の水分子または有機溶媒分子との化学量論的混合物を意味し、これは、式(I)の化合物の合成に由来するような混合物である。
【0035】
ヒドロキシアルキル尿素は、組成物B中に、所望の保湿効果を得るために有効な含量で存在することが好ましい。
【0036】
特に、ヒドロキシアルキル尿素は、組成物の総重量に対して0.01%〜50%の範囲の含量、より好ましくは組成物の総重量に対して0.1重量%〜20重量%、さらに好ましくは組成物の総重量に対して0.1重量%〜10重量%の範囲の含量で用いられる。
【0037】
[酸性pHの組成物A]
組成物A中に存在するスキンケア剤および/または頭皮ケア剤は、上述により定義した酸性媒体中で安定である。すなわち、これらの有効性は、酸性pHにおいて実質的に不変である。
【0038】
一方、塩基性pHの媒体中では、前記ケア剤は不安定化され、かつ/あるいは、その(生物学的な)有効性が時間がたつと失われる。
【0039】
本発明において特に好適に使用されるこの酸性の性質の薬剤は、一般に有機酸であるが、他のケア剤も好適に使用することができ、当業者であれば、これらの酸性pHでの安定性および皮膚に対する所望する効果に応じてこれらをどのように選択するかを理解することができる。
【0040】
特に、組成物Aに存在するケア剤は、とりわけ、有機酸、脱色剤、落屑剤、抗菌剤、鎮静剤および/または抗炎症剤、皮脂調節剤、瘢痕形成剤、収斂剤、および減量剤、ならびにこれらの混合物から選択することができる。
【0041】
第一の実施態様では、ケア剤は、有機酸である。ケア剤は、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、α−ケト酸およびβ−ケト酸、これらの誘導体、ならびにこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0042】
特に、組成物Aに存在する有機酸は、アスコルビン酸、コウジ酸、コーヒー酸、サリチル酸およびこれらの誘導体、クエン酸、乳酸、メチル乳酸、グルクロン酸、グリコール酸、ピルビン酸、2-ヒドロキシブタン酸、2-ヒドロキシペンタン酸、2-ヒドロキシヘキサン酸、2-ヒドロキシヘプタン酸、2-ヒドロキシオクタン酸、2-ヒドロキシノナン酸、2-ヒドロキシデカン酸、2-ヒドロキシウンデカン酸、2-ヒドロキシドデカン酸、2-ヒドロキシテトラデカン酸、2-ヒドロキシヘキサデカン酸、2-ヒドロキシオクタデカン酸、2-ヒドロキシテトラコサン酸、2-ヒドロキシエイコサン酸、マンデル酸、安息香酸、フェニル乳酸、グルコン酸、ガラクツロン酸、アロイリチン酸、リボン酸、タルトロン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、レチノイン酸およびその誘導体、ベンゼン-1,4-ビス(3-メチリデン-10-カンファースルホン酸)、ウロカニン酸、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、α-(2-オキソ-3-ボルニリデン)-4-トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホン酸、酸を含有する植物抽出物(特に果実抽出物)、キサントゲン酸誘導体、β-グリシルレチン酸およびアジア酸、ならびにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0043】
他のスキンケア剤および/または頭皮ケア剤も、本発明に用いるのに適している。酸性pHの組成物Aに用いることができる薬剤の例を以下にリストし、所望する皮膚のケアのタイプに応じて分類する。当業者であれば、これらの薬剤を同じケアにおいて組み合わせて、皮膚の外観および/または快適さを高めることを目的とした相補的な効果を得ることができることが理解されよう。
【0044】
本発明の成分は、特に、脂漏性皮膚のケア、老化した皮膚のケア、乾燥した皮膚のケア、皮膚の脱色を目的としたケア、または色素沈着過剰部分および/または皮膚の病変(例えば座瘡瘢痕)の軽減、身体の痩身ケア、敏感な皮膚、繊細な皮膚(例えば乳児の皮膚)、または傷ついた皮膚(髭剃り等)のケア、身体または顔の洗浄ケアなどを構成することができる。
【0045】
[脱色ケア]
本発明の組成物に用いることができる脱色剤としては、特に、アスコルビン酸(ビタミンC)およびその誘導体、特にビタミンCG、ビタミンCP、3-OエチルビタミンC、コウジ酸、トラネキサム酸およびその誘導体、ゲンチシン酸およびその誘導体、二酸、リポ酸、エラグ酸、ならびにリノール酸およびその誘導体を挙げることができる。
【0046】
アスコルビン酸およびその誘導体またはコウジ酸およびその誘導体が、脱色剤として好ましく用いられる。
【0047】
[脂漏性皮膚のケア]
特に知られている脂漏性皮膚のケア剤には、落屑剤、抗菌剤、鎮静剤、抗炎症剤、皮脂調節剤、および抗酸化剤、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0048】
好ましくは、本発明の組成物Aは、ケア剤として、皮脂調節剤、すなわち皮脂腺の活動を調節する能力がある薬剤を含む。
【0049】
1つの特定の態様では、組成物Aは、任意で、抗菌剤も含むことができる。
【0050】
より好ましくは、組成物Aは、落屑剤も含むことができる。
【0051】
さらに、上述の組成物Aの有効性および/または認容性を高めるために、鎮静剤または抗炎症剤、抗酸化剤、瘢痕形成剤および収斂剤、ならびにこれらの混合物も添加することができる。
【0052】
本発明の組成物Aに用いることができる皮脂調節剤としては、以下のものを挙げることができる:
− レチノイン酸およびその誘導体;
− 亜鉛塩、例えば、グルコン酸亜鉛、ピロリドンカルボン酸亜鉛(すなわちピドール酸亜鉛)、乳酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、カルボン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、システイン酸亜鉛等;
− 銅塩、特に、ピドール酸銅;
− セバシン酸、特に、ポリアクリル酸ナトリウムゲルの形態、Sebosoftの名称でSederma社から販売されているもの;
− ウンデシレン酸鎖上にグラフト化されたグリシン、例えば、SEPPIC社により名称Lipacide UG ORの名称で販売されている製品等;
− オレアノール酸と、ノルジヒドログアイアレチン酸とのの混合物、例えば、AC. Netの名称でSederma社からゲルの形態で販売されているもの;
− フタルイミドペルオキシヘキサン酸;
− 10-ヒドロキシデカン酸、ならびに特に、10-ヒドロキシデカン酸、セバシン酸、および1,10-デカンジオールの混合物、例えば、Acnacidol(登録商標)BGの名称でVincience社から販売されている製品;
− アルミニウム塩、中でも、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムクロロハイドレックス、アルミニウムクロロハイドレックスPEG、アルミニウムクロロハイドレックスPG、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムジクロロハイドレックスPEG、アルミニウムジクロロハイドレックスPG、アルミニウムセスキクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレックスPEG、アルミニウムセスキクロロハイドレックスPG、ミョウバン塩、硫酸アルミニウム、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレートを挙げることができる。さらにより具体的には、アルミニウムクロロハイドレートであって、Microdty Alminium Chlorohydrateの名称でReheis社から販売されているものまたはAloxicoll PF 40の名称でGuilini Chemie社から販売されているものを挙げることができる。アルミニウムとジルコニムとの塩の例には、Reach AZP-908-SUFの名称でReheis社から販売されている塩が含まれ、「活性化された」アルミニウム塩には、例えば、Reach 103の名称でReheis社から販売されている製品またはWestchlor 200の名称でWestwood社から販売されているものが含まれる。
【0053】
本発明において、用語「抗菌剤」は、脂漏性皮膚の特定の叢(例えば、P.acne)に対して効果を有する薬剤を意味する。これらの効果は、殺菌性または抗菌性のいずれの付着(微生物の付着の抑制および/または低減)であってもよく、あるいは細菌のバイオフィルムに作用してその増殖を抑制するものであってもよい。
【0054】
本発明の組成物Aに用いることができる抗菌剤としては、特に、シトロン酸、スペリン酸、10-ヒドロキシ-2-デカン酸(例えば、Vincience 社からのAcnacidol P)、アゼライン酸、Uniqema社からのArlatone dioic acid、フタルイミドペルオキシヘキサン酸(Chemron社からのEureco HC);エラグ酸;ウンデシレン酸およびその塩、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フィチン酸、リポ酸、アゼライン酸およびその塩、アラキドン酸、オクタノイルグリシン(SEPPIC社からのLipacide C8G(登録商標))、ならびにサリチル酸およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0055】
用語「落屑剤」は、外葉状化(exofoliation)によって落屑に直接作用するか、酵素類〔コルネオデスモソーム、グリコシダーゼ、角質層キモトリプシン酵素(SCCE)、またはさらに他の(トリプシン様、キモトリプシン様の)プロテアーゼ類を含む〕に作用する能力がある任意の化合物を意味する。
【0056】
本発明の組成物に用いられる落屑剤としては、以下のものが挙げられる:
− β-ヒドロキシ酸、特に、サリチル酸およびその誘導体(5-n-オクタノイルサリチル酸を含む);α-ヒドロキシ酸、例えば、グリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、またはマンデル酸;ゲンチシン酸およびその誘導体;桂皮酸;ジャスモン酸およびその誘導体(欧州特許出願第1333022号および同第1333021号に記載のもの);
− (N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸(HERPS);2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸(プロシステイン);グリシンタイプのα-アミノ酸誘導体(欧州特許第0852949号に記載されたもの、およびBASF社によりTrilon Mの商標名で販売されているメチルグリシン二酢酸ナトリウム);(3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンチル)酢酸。
【0057】
好ましい落屑剤には、β-ヒドロキシ酸(例えば、5-n-オクタノイルサリチル酸等);グリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、またはマンデル酸;(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸(HERPS);およびこれらの混合物が含まれる。
【0058】
本発明の組成物Aに用いることができる具体的な鎮静剤として:カフェインおよびその誘導体、β-グリシルレチン酸およびその塩またはその誘導体(グリシルレチン酸ステアリル、3-ステアリロイルオキシグリシルレチン酸、グリシルレチン酸モノグルクロナイド)およびこれらを含有する植物(例えば、甘草)、オレアノール酸およびその塩、ウルソル酸およびその塩;ボスウェリア酸およびその塩;ベツリン酸およびその塩;ミント(特にミントの葉)の抽出物(例えば、Silab社からのCalmiskin)、バラの抽出物(例えば、Herbasol rose extract、またはPentapharm社からのStimu-tex AS)を挙げることができる。
【0059】
ミントの抽出物(特にミントの葉)からの抽出物(例えば、Silab社からのCalmiskin)、バラの抽出物(例えば、Herbasol rose extract、Pentapharm社からのStimu-tex AS)、またはβ-グリシルレチン酸およびその塩またはその誘導体を用いることが好ましい。
【0060】
本発明の組成物Aに用いることができる具体的な抗炎症剤として、アゼライン酸を挙げることができる。
【0061】
本発明の組成物Aに用いることができる瘢痕形成剤として、特定のアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、アルギニン、またはセリン);アラントイン;キシメニン酸およびその塩(例えば、Indena社からのキシメニン酸、およびCosmetochem社からのHerbasol leon)を挙げることができる。
【0062】
好ましい瘢痕形成剤は、ヒドロキシプロリン、アルギニン、セリン、およびアラントインである。
【0063】
本発明の組成物Aに用いることができる収斂剤(皮脂腺の毛包の拡張と闘うための薬剤)として、アルミニウム塩、ミョウバン塩、およびHamamelisの抽出物、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0064】
用いることができるミョウバン塩は、特に以下のものから選択することができる:
− 構造:KAl(SO4)2・12H2O のカリウムミョウバン
− 構造:NH4Al(SO4)2・12H2O のアンモニウムミョウバン
− 構造:NaAl(SO4)2・12H2O のナトリウムミョウバン
− 構造:Al2 (SO4)3・nH2O(nは0〜27)の硫酸アルミニウム塩。
【0065】
ミョウバン塩は、粉末または結晶の形態、あるいは溶解された形態であってよい。特にカリウムミョウバンが用いられ、好ましくは組成物Aの総重量に対して0.1重量%〜3重量%の範囲、優先的には組成物Aの総重量に対して1重量%〜2重量%の範囲の含量で用いられる。
【0066】
好ましい収斂剤は、ミョウバン塩およびHamamelisの抽出物である。
【0067】
[痩身ケア]
本発明の組成物Aに用いることができる痩身剤としては、カフェイン、ニコチン酸およびその誘導体、より具体的には、α-トコフェリルニコチン酸およびニコチン酸ヘキシル等(この点について、特に欧州特許出願第371844号明細書を参照)を挙げることができる。
【0068】
組成物A中に存在する好ましいケア剤としては、アスコルビン酸およびその誘導体、コウジ酸、亜鉛塩、銅塩、5-n-オクタノイルサリチル酸、(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸、グルクロン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸またはマンデル酸、ミョウバン塩、Hamamelisの抽出物、バラの抽出物、ミントの抽出物、β-グリシルレチン酸、アラントイン、セリン、アルギニン、ヒドロキシプロリン、カフェイン、またはニコチン酸、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0069】
スキンケア剤および/または頭皮ケア剤は、通常、本発明の組成物A中に、所望する効果、特に所望する、脱色効果、脂漏性皮膚に対抗する効果、および/または痩身効果のために有効な量で存在する。
【0070】
一例として、スキンケア剤および/または頭皮ケア剤は、組成物A中に、組成物Aの総重量に対して0.001重量%〜90重量%、好ましくは組成物Aの総重量に対して0.01重量%〜30重量%、さらに好ましくは組成物Aの総重量に対して0.05重量%〜10重量%、なお好ましくは組成物Aの総重量に対して0.1重量%〜1重量%の範囲の含量で存在する。
【0071】
組成物Aは、標準的な化粧品補助剤(例えば、以下の製剤の節で記載する薬剤等)も含むことができる。特に、組成物Aは、酸性pHで安定なゲル化剤、酸性媒体中での製剤に好適な毛包標的剤を含むことができる。
【0072】
これらの毛包標的剤は、特に脂漏性皮膚のケアに有利である。
【0073】
親水性または脂溶性のゲル化剤としては、特に、カルボポール、Luvigel、Hostacerin AMPS、Simulgel、Sepigel、キサンタンガム、グアーガム、セルロースガム、およびアルギン酸塩、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。ヘクトライトをあげることもできる。
【0074】
毛包標的剤としては、構成ポリマー多孔性粒子を挙げることができる。これらの粒子は、10μm以下の平均容積径を有することが好ましい。具体的には、このような粒子は、機械的な力をかけることによって、皮脂腺の毛包に入ることができる。この機械的な力は、通常、マッサージに由来し、このマッサージは、それが発揮する押し出し効果に加えて、毛包にポンプ効果を生じる。その後、これらの粒子は徐々に毛包管内に到達し、そこでは、それらが皮脂を吸収することができ、適切な場合にはそれらが含有する活性剤を放出することができる。その後、この粒子の抗生物質は、皮脂の流れおよび/または毛の成長によって排出され、これにより、この物質に対して起こりうる身体の副作用がいずれも回避され得る。
【0075】
具体的には、0.1〜50μm、特に0.1〜20μm、最も好ましくは0.5〜10μmの範囲の数平均径を有していてよい多孔性粒子、特に球状の粒子を用いることができる。
用いることができる好ましい多孔性粒子には、ポリアミド粒子、特にナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12、またはナイロン6−12のポリアミド粒子(例えば、Atofina社からのOrgasolの総称で販売されているポリアミド粒子)が含まれる。
【0076】
毛包を標的にすることを可能にするこのカプセル化システムは、脂漏性皮膚の処置を意図した組成物に特に有利である。
【0077】
本発明の特定の態様では、本発明の酸性pHの組成物A中に存在するケア剤の効果を強化および/または補完するために、本発明の塩基性pHの組成物Bは、塩基性pHで安定であることが知られている少なくとも1種の追加のケア剤をさらに含んでいてよい。
【0078】
本発明において、用語「塩基性pHで安定な」は、pH7で長期に亘って実質的に一定の(生物学的な)有効性を有する薬剤をいう。一方、非常に酸性の媒体中では、この活性剤はその有効性を喪失する。
【0079】
当業者であれば、追加的な化粧品的および/または皮膚科学的なケア剤のリストから、本発明の塩基性pHの組成物Bに好適なケア剤をどのように選択するかを理解することができる。
【0080】
これらの追加的な薬剤は、特に、脱色剤、抗菌剤、制汗剤、金属キレート剤、加水分解されたタンパク質、抗酸化剤、ビタミン類、抗炎症剤、抗刺激剤または鎮静剤、保湿剤、植物抽出物、バリア機能を改善する薬剤、マット化剤、研磨フィラーまたは剥離剤、落屑剤、皮脂調節剤、瘢痕形成剤、収斂剤、賦形剤、光学光沢剤、蛍光剤、老化防止剤、および痩身剤、ならびにこれらの混合物から選択することができる。
【0081】
保湿剤または湿潤剤としては、特に、グリセロールおよびその誘導体、キシリトール、キトサンおよびその誘導体、コラーゲン、プランクトン、およびImperata cylindraの抽出物〔Sederma社からMoist 24(登録商標)の名で販売されているもの〕を挙げることができる。
【0082】
バリア機能を改善する薬剤には、特に、セラミドおよびその誘導体、スフィンゴイドをベースにした化合物、グリコスフィンゴ脂質、リン脂質、コレステロールおよびその誘導体、フィトステロール、必須脂肪酸、ジアシルグリセロール、4-クロマノンおよびクロモン誘導体、石油ゼリー、ラノリン、シアバター、カカオバター、およびラノリンを挙げることができる。
【0083】
脱色剤としては、これらに限られないが、特に、α-およびβ-アルブチン、ルシノールおよびその誘導体、レゾルシノールおよびその誘導体、D-パントテンスルホン酸カルシウム、ビタミンB3、セラミドおよびその相同体、植物抽出物〔例えば、カモミール、ベアベリー、アロエ族(A. vera、ferox、またはbardensis)、マルベリーまたはタツナミソウ〕を挙げることができる。
【0084】
マット化剤としては、特に、米デンプンまたはコーンスターチ、カオリナイト、シリカ、タルク、パンプキンシードの抽出物、セルロースのマイクロビーズ、植物繊維、合成繊維、特にポリアミド、膨張したアクリル系共重合体マイクロスフェア、ポリアミド粉末、シリカ粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末、シリコーン樹脂粉末、アクリル酸共重合体粉末、ワックス粉末、ポリエチレン粉末、シリコーン樹脂でコーティングされたエラストマー系架橋オルガノポリシロキサン粉末、タルク/二酸化チタン/アルミナ/シリカ複合粉、無定形の混合ケイ酸塩粉末、アクリル系重合体粉末、およびケイ酸塩粒子、とくに混合珪酸塩粒子、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0085】
皮脂調節剤または抗脂漏剤としては、特に以下のものを挙げることができる:
− シナモンの抽出物、茶の抽出物、およびオクタノグリシンの混合物、例えば、SEPPIC社からのSepicontrol A5 TEA等;
− カプリロイルグリシン、サルコシン、およびCinnamomum zeylanicumの抽出物の混合物、特に、SEPPIC社からの商標名Sepicontrol A5(登録商標);
− アルニカモンタナ種(Arnica montana)、アカナイキ(Cinchona succirubra)、チョウジ(Eugenia caryophyllata)、ホップ(Humulus lupulus)、セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)、セイヨウハッカ(Mentha piperita)、マンネンロウ(Rosmarinus officinalis)、サルビヤ(Salvia officinalis)、およびタチジャコウソウ(Thymus vulgaris)の植物抽出物(いずれもMaruzen社によって販売されている);
− ヨーロッパシモツケ(Spiraera ulmaria)の抽出物、例えば、Sirab社からSebonormine(登録商標)の名称で販売されている製品等;
− 藻類Laminaria saccharinaの抽出物、例えば、Biotechmarine社からPhlorogine(登録商標)の名称で販売されている製品等;
− サトウキビの抽出物、Sabinsa社からPolicasonol(登録商標)の名称で販売されている製品等;
− オランダワレモコウ(Sanguisorba officinalis/Poterium officinale)の根、生姜Zingiberofficinalis)の根茎、およびシナモンの木(Cinnamomum cassia)の樹皮の抽出物の混合物、例えば、Solabia社からSebustop(登録商標)の名称で販売されている製品等;
− 亜麻仁の抽出物、例えば、Lucas Meyer社からLinumine(登録商標)の名称で販売されている製品等;
− Phellodendronの抽出物、例えば、Maruzen社からPhellodendron extract BGの名称で販売されている製品、またはIchimaru Pharcos社からOubaku liquid Bの名称で販売されている製品等;
− アルガンオイル、ノコギリヤシ(Serenoa serrulata)の抽出物、およびゴマの種子の抽出物の混合物、例えば、Pentapharm社からRegu SEB(登録商標)の名称で販売されている製品等;
− Willowherbの抽出物、Terimnalia chebulaの抽出物、ナスタチウム(nasturtium)の抽出物、および生物学的に利用可能な亜鉛の混合物、例えば、Green Tech社からSeborilys(登録商標)の名称で販売されている製品等;
− Pygeum afrianumの抽出物、例えば、Euromed社からPygeum afrianum sterolic lipid extractの名称で販売されている製品等;
− Serenoa serrulataの抽出物、例えば、Active International社からViapure Sabalの名称で販売されている製品、またはEuromed社から販売されている製品等;
− オオバコ、Berberis aquifoliumの抽出物、およびサリチル酸ナトリウムの混合物、例えば、Rahn社からSeboclear(登録商標)の名称で販売されている製品等;
− クローブの抽出物、例えば、Maruzen社からClove extract powderの名称で販売されている製品等;
− アルガンオイル、例えば、Laboratoires Serobiologiques社からLipofructyl(登録商標)の名称で販売されている製品等;
− 乳酸タンパク質の濾液、例えば、Sederma社からNormaseb(登録商標)の名称で販売されている製品等;
− コンブ(alga laimnaria)の抽出物、例えば、Biotechmarine社からLainarghane(登録商標)の名称で販売されている製品等;
− 藻類Laminaria digitataからのオリゴサッカライド、例えば、Codif社からPhycosaccharide ACの名称で販売されている製品等;
− スルホン化されたシェール油、例えば、Ichithyol社からIchithyol Paleの名称で販売されている製品等;
− シモツケ(Spiraea ulmaria)の抽出物、例えば、Libiol社からCytobiol Ulmaireの名称で販売されている製品等;
− こんにゃくの塊茎から抽出され、アルキルスルホネート鎖で修飾された、グルコマンナン、例えば、Arch Cheimical社からBiopol Betaの名称で販売されている製品等;
− Sofora angustifoliaの抽出物、例えば、Bioland社からSophora powderまたはSophora extractの名称で販売されている製品等;
− Cinchona succirubraの樹皮の抽出物、例えば、Alban Muller社からRed Bark HSの名称で販売されている製品等;
− Quillaja saponariaの抽出物、例えば、Alban Muller社からPanama wood HSの名称で販売されている製品等;
− クエン酸トリ(C12〜C13)アルキル(Sasol社からCosmacol(登録商標)ECTの名称で販売されているもの);クエン酸トリ(C14〜C15)アルキル(Sasol社からCosmacol(登録商標)ECIの名称で販売されているもの);
− 特定のPPAR-γ活性化剤、例えば、特許協力条約による出願第2005/053632号に記載された薬剤;
− Silybum属の植物の抽出物;
− サポゲニンまたはサポゲニンを含む植物抽出物、特にジオスゲニンに富むDioscorea植物の抽出物;
− サムファイア;
− オイゲノールおよびオイゲニルグルコシドを含有するチョウジ(Eugenia caryophyllata)の抽出物、ならびにこれらの混合物。
【0086】
落屑剤としては、特に、オリゴフコース、Sophora japonicaの抽出物;レスベラトロル、蜂蜜;糖誘導体、例えば、O-オクタノイル-6-D-マルトースおよびN-アセチルグルコサミンを挙げることができる。
【0087】
鎮静剤または抗刺激剤としては、特に、ビタミンE、B5、およびB3、デキストラン硫酸、Paeonia suffruticosaおよび/またはPaeonia lactifloraの抽出物、Codif社からのフィコサッカライド、Laminaria saccharinaの抽出物、Centella asiaticaの抽出物、カノーラ油、カモミールの抽出物、アラントイン、オメガ-3-不飽和油(例えば、ジャコウバラ油)、ブラックカラント油、Ecchium油または魚油、美容の葉油(beuty-leaf oil)、プランクトンの抽出物、カプリロイルグリシン、SEPPIC社からのSeppicalm VG(登録商標)(Nymphea albaおよびナトリウムパルミトイルプロリン)、Pygeumの抽出物、Boswellia serrataの抽出物、Centipeda cunnighamiの抽出物、Helianthus annusの抽出物(特にSilab社からのHelioxine)、Linum usitatissimumの抽出物(例えばSilab社からのSensiline)、トコトリエノール、Cola nitidaの抽出物、ピペロナール、クローブの抽出物、アロエベラEpilobium angustifoliumの抽出物、Bacopa monieraの抽出物、フィトステロール、ヤグルマ草水、ローズウォーター、デキストラン(例えば、Vincience社からのMondulene(登録商標)など)、ミント(特にミントの葉)の抽出物(例えば、Silab社からのCalmiskin)、アニシード誘導物、糸状菌(例えば、欧州特許第761204号に記載されたVitreoscilla filiformis)、バラの抽出物(例えば、Pentapharm社からのHerbasol rose extract、Stimu-tex AS)、アルカリ土類金属塩(特にストロンチウム)、およびナイアシンアミド、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0088】
抗酸化剤としては、特に、トコフェロールおよびそれらの誘導体、特に酢酸トコフェロール;BHTおよびBHAを挙げることができる。
【0089】
さらに、ポリフェノール、エピガロカテキンおよびこれらを含む天然の抽出物、アントシアン、ローズマリーの抽出物、オリーブの葉の抽出物、緑茶、レスベラトロルおよびその誘導体、ピクノゲノール、エルゴチネイン、N-アセチルシステイン、ビオチン、キレート剤、イデベノン、植物抽出物(例えば、Provital社からのPronalen Bioprotect TM)、フリーラジカル捕捉剤(例えば、ビタミンE、コエンザイムQ10、ビオフラボノイド、SOD、フィタントリオール、リグナン、メラトニン、ピドレート、およびグルタチオン)を挙げることができる。
【0090】
収斂剤としては、特に、タツナミソウの抽出物、シモツケの抽出物、ヨーロッパシモツケの抽出物、リンドウの抽出物、およびゴボウの抽出物、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0091】
老化防止剤としては、特に、以下のものを挙げることができる:
− 表皮の巨大分子(例えば、フィラグリンおよびケラチンなど)を刺激する活性剤として、特に、ルピナスの抽出物(Silab社からの商標名Structurine(登録商標)で販売されているもの);海辺の木Fagus sylvaticaの芽の抽出物(Gattefosse社から商標名Gatuline(登録商標)RCで販売されているもの);動物性プランクトンSalina の抽出物(Seporga社から商標名GP4G(登録商標)で販売されているもの);Procyte社からの銅トリペプチド;Voandzeia substerraneaのペプチド抽出物(例えば、Laboratoires Serobiologiques社から商標名Filladyn LS 9397で販売されている製品);
− 皮膚の収斂緩和剤として、特に、グルコン酸マンガンおよび他の塩、クエン酸アルベリンおよびそれらの塩、グリシン、Iris pallidaの抽出物、ヘキサペプチド(Lipotec社からのArgerilne R)またはサポゲニン(例えば、欧州特許第1484052号に記載された自然薯およびカルボニルアミン)。
【0092】
痩身剤(脂肪分解剤)としては、特に、テオフィリンおよびその誘導体、テオブロミン、アセフィリン、アミノフィリン、クロロエチルテオフィリン、ジプロフィリン、ジニプロフィリン(diniprophylline)、エタミフィリンおよびその誘導体、エトフィリン、およびプロキシフィリン;茶、コーヒー、ガラナ、マテ、コーラ(Cola nitida)の抽出物、および、特に、8%〜10%のカフェインを含有するガラナ果実(Paulina sorbilis)の乾燥抽出物;つる性ツタ(Hedera helix)、アルニカ(Arnica monntana L)、ローズマリー(Rosemarinus officinalis N)、マリーゴールド(Calendula officinalis)、セージ(Salvia officinalis L)、朝鮮人参(Panax ginseng)、セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)、ナギイカダ(Ruscus aculeatus L)、シモツケ(Filipendula ulmaria L)、クミスクチン(Orthosiphon stamincus Benth)、カバノキ(Betula alba)、セクロピア、およびアルガンの木の抽出物、イチョウの抽出物、つくしの抽出物、エスシンの抽出物、ソウジュツの抽出物、Chrysanthellum indicumの抽出物、ジオスゲニンに富むDioiscorea plantの抽出物またはジオスゲニンもしくはヘコゲニンおよびこれらの混合物、Ballotaの抽出物、Guioa、Davallia、Terminalia、Barringtonia、Trema、もしくはAntirobiaの抽出物を挙げることができる。
【0093】
本発明の組成物Bに用いる追加的な活性剤および/または成分は、組成物の総重量に対して、0.0001重量%〜20重量%、好ましくは0.01重量%〜10重量%、さらに好ましくは0.01重量%〜1重量%であってよい。
当業者であれば、上述したリストから、本発明の組成物Bの塩基性媒体に特に好適であり、ヒドロキシアルキル尿素の性質に影響を及ぼさない追加的な薬剤をどのように選択するかを理解することができる。
【0094】
本発明の組成物は、一般的に皮膚への局所適用に適したものであり、通常、生理学的に許容できる媒体、すなわち皮膚と適合性のある媒体を含有する。この媒体は、化粧品的に許容できる媒体、すなわち、好ましい色、香り、および感触を有し、消費者がこの組成物の使用をやめようと思うような許容できない程の不快感(刺すような感じ、突張り感、赤み)を生じない媒体である。
【0095】
本発明の組成物は、局所適用に適切な任意の形態、特に水性ゲルの形態、エマルションの形態〔水相に脂肪相(油相とも称される)を分散させることによって得られるエマルション(O/W)、またはその逆(W/O)のエマルション、または多相エマルション(例えば、W/O/W、O/W/O、もしくはO/O/W)の形態〕であってよい。これらは多かれ少なかれ流動的であってよく、白色もしくは有色のクリーム、ポマード、ミルク、ローション、漿液、ペースト、パウダーまたは固形チューブの外観を有するものであってよい。さらに、これらは、任意で、エアゾールとして包装することができ、ムースまたはスプレーの形態にすることができる。これらの組成物は通常の方法で調製される。
【0096】
本発明の特定の実施態様において、本発明の組成物はエマルションの形態であってよく、この場合には、少なくとも1つの油相を含む。エマルションの油相の割合は、組成物の総重量に対して1重量%〜80重量%、好ましくは2重量%〜50重量%、さらに好ましくは2重量%〜40重量%の範囲であってよい。エマルションの形態の組成物に用いる油相の脂肪物質、特に、油ならびに乳化剤および共乳化剤(存在する場合)は、化粧品または皮膚科学において従来から使用されているものから選択することができる。乳化剤および共乳化剤は、これらが存在する場合には、組成物の全重量に対して通常0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.3重量%〜20重量%、さらに好ましくは0.5重量%〜15重量%の範囲の割合である。エマルションは、乳化剤および/または共乳化剤に加えて、またはこれらの代わりに、脂質小胞体をさらに含有していてよい。
【0097】
エマルジョンは、一般に、単独または混合物として使用される両性、陰イオン性、陽イオン性、および非イオン性の乳化剤から選択される少なくとも1種の乳化剤を含有する。この乳化剤は、得られるエマルション(W/OまたはO/Wエマルション)の連続相に応じて、適切な方法にて選択される。エマルションが多相エマルションである場合、通常、一次エマルション中の乳化剤と、この一次エマルションが導入される外相中の乳化剤とを含有する。
【0098】
W/Oエマルションの調製に用いることができる乳化剤の例としては、ソルビタン、グリセロール、または糖類のアルキルエステルまたはエーテル;ならびに、シリコーン界面活性剤、例えば、ジメチコーンコポリオール(例えば、Dow Corning社からDC5225CおよびDC3225Cの名称で販売されている、シクロメチコーンとジメチコーンコポリオールとの混合物等)、アルキルジメチコーンコポリオール(例えば、Dow Corning社から「ダウ・コーニング5200フォーミュレーション・エイド」の名称で販売されているラウリルメチコーンコポリオール、Goldschmidt社からAbil EM 90(登録商標)の名称で販売されているセチルジメチコーンコポリオール、および、Goldschmidt社からAbil WE 09(登録商標)の名称で販売されているイソステアリン酸ポリグリセリル-4/セチルジメチコーンコポリオール/ラウリン酸ヘキシルの混合物等)を挙げることができる。さらにここに、1種以上の共乳化剤を添加してもよい。この共乳化剤は、有利には、ポリオールの分枝状鎖脂肪酸エステル(特にグリセロールおよび/またはソルビタンの分枝状鎖脂肪酸エステル)、例えば、イソステアリン酸ポリグリセリル(例えば、Goldschmidt社からIsolan GI 34の名称で販売されている製品等)、イソステアリン酸ソルビタン(例えば、ICI社から Arlacel 987の名称で販売されている製品等)、およびイソステアリン酸ソルビタングリセリル(例えば、ICI社からArlacel 986の名称で販売されている製品等)、ならびにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0099】
O/Wエマルションの調製に用いることができる乳化剤の例としては、非イオン性乳化剤〔例えば、オキシアルキレン化(特にポリオキシエチレン化)されたポリオールの脂肪酸エステル等(例えば、ステアリン酸ポリエチレングリコール、例えばステアリン酸PEG-100、ステアリン酸PEG-50、およびステアリン酸PEG-40等)〕;例えば20〜100のEOを含有するオキシアルキレン化されたソルビタンの脂肪酸エステル(例えばUniqema社からTween 20またはTween 60の商品名で販売されているもの);オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)された脂肪アルキルエーテル;アルコキシル化されたかまたはアルコキシル化されていない糖エステル(例えば、ステアリン酸スクロース、例えばセスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース等);ソルビタンエステル(例えばUniqema社からSpan 40の名称で販売されているパルミチン酸ソルビタン等);二酸と脂肪アルコールとのエステル(例えば、酒石酸ジミリスチル等);これらの乳化剤の混合物〔例えばUniqema社からArlacel 165の名称で、またSEPPIC社からSimulsol 165の名称で販売されているステアリン酸グリセリルとステアリン酸PEG-100の混合物(CTFA名:ステアリン酸グリセリル/ステアリン酸PEG-100);または、酒石酸ジミリスチル、セテアリルアルコール、パレス-7、およびPEG-25ラウレス-25の混合物(Sasol社からCosmacol PSEの名称で販売されているもの)(CTFA名;酒石酸ジミリスチル/セテアリルアルコール/12-15パレス7/PPG25 ラウレス25)を挙げることができる。
【0100】
これらの乳化剤に、共乳化剤、例えば8個〜26個の炭素原子を有する脂肪アルコール〔例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびこれらの混合物 (セテアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、またはオレイルアルコール〕、または脂肪酸を添加してもよい。
【0101】
乳化界面活性剤を含有しないエマルション、または組成物(A)または(B)の総重量に対して0.5%未満の乳化界面活性剤を含有するエマルションは、エマルションを安定化させるのに適切な化合物、例えば両親媒性ポリマーまたは電解質を用いることによっても調製することができる。
【0102】
本発明の組成物がエマルションの形態である場合、組成物は少なくとも1種の油相を含み、この油相は、少なくとも1種の油、特に化粧品用油を含有する。用語「油」は、室温(25℃)で液状の脂肪物質を意味する。
【0103】
本発明の組成物に用いることができる油としては、例えば、動物由来の炭化水素ベースの油(例えば、ペルヒドロスクワレン(またはスクワラン)等);植物由来の炭化水素ベースの油(例えば、カプリル/カプリン酸トリグリセリド等)(例えば、Stearineries Dubois社から販売されている油またはDynamit Nobel社からMiglyol 810、812および818の名称で販売されている油)、または植物由来の代替油(例えば、ヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、マロー油、グレープシード油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララオイル、コリアンダー油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、およびシアバター油等);合成油;シリコーン油〔例えば、周囲温度で液状又はペースト状であって、直鎖状もしくは環状のシリコーン鎖を有する揮発性または非揮発性のポリメチルシロキサン(PDMS)〕;フルオロ油(例えば、部分的に炭化水素ベースの、かつ/あるいは部分的にシリコーンベースの、フルオロ油等)(例えば、日本国特許公開第2295912号公報に記載されているもの);エーテル〔例えば、ジカプリリルエーテル(CTFA名:ジカプリリルエーテル)〕;安息香酸C12-C15脂肪アルキル(Finetex社のFinsolv TN);安息香酸アリールアルキルの誘導体(例えば、2-フェニルエチルベンゾエート(ISP社からのX-Tend 226));およびアミド油(例えば、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル(Ajinomoto社からのEldew SL-205)、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0104】
本発明の組成物は、親水性有機溶媒、脂質親和性有機溶媒、両親媒性溶媒、またはこれらの混合物からなる群から選択することができる1種以上の有機溶媒をさらに含有していてよい。
【0105】
親水性有機溶媒の例としては、1個〜8個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状の一価アルコール(例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、またはイソブタノール等);6個〜80個のエチレンオキシドを有するポリエチレングリコール;ポリオール(例えば、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、またはソルビトール等);アルキル基が1個〜5個の炭素原子を有する、モノアルキルイソソルビドまたはジアルキルイソソルビド(例えば、ジメチルイソソルビド);グリコールエーテル(例えば、ジエチレングリコールのモノメチルエーテルまたはモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールエーテル、例えばジプロピレングリコールメチルエーテル)を挙げることができる。
【0106】
両親媒性有機溶媒としては、ポリプロピレングリコール(PPG)誘導体(例えば、ポリプロピレングリコールの脂肪酸エステル等)、PPGと脂肪アルコールとの誘導体(例えば、PPG-23オレイルエーテル、およびオレイン酸PPG-36)を挙げることができる。
【0107】
脂質親和性有機溶媒としては、脂肪エステル(例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、または安息香酸アルキル等)を挙げることができる。
【0108】
また本発明の組成物は、柔軟剤、湿潤剤、乳白剤、安定化剤、エモリエント、シリコーン類、消泡剤、香料、保存剤、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、双性イオン性、または両性イオン性の界面活性剤、フィラー、ポリマー、噴霧剤、酸性化剤もしくは塩基性化剤、または化粧品および/または皮膚科学において通常使用される任意の他の成分から選択される、標準的な化粧品用補助剤をさらに含有してもよい。
【0109】
親水性増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー〔例えば、カルボポール(カーボマー)、および Pemulen社の製品(アクリレート/アクリル酸C10-C30アルキル共重合体)等〕;セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース等);多糖類、特にガム類(例えば、キサンタンガム等);ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0110】
脂質親和性増粘剤としては、変性クレー(例えば、ヘクトライト等)およびその誘導体、例えばBentoneの名称で販売されている製品を挙げることができる。
【0111】
当業者であれば、化粧品用補助剤およびそれらの含量をどのようにして選択するかを、本発明の組成物のpH(酸性または塩基性)に応じて理解することができる。
【0112】
[化粧用キット]
本発明を実施するために用いられる組成物AおよびBは、2つの分離した容器のいずれかから形成された2つの区画に別個に実装されているかまたは単一の装置に実装されている。
【0113】
用語「単一の装置」は、その装置によって2つの区画が堅固に取り付けられた装置を意味する。このような装置は、2つの区画を単一の物品、特に熱可塑性材料でできた物品として成形する方法によって得ることができる。この装置は、任意の形態のキットから、接着、溶着、または他のカチャッと締め付けることによって得られるものであってもよい。
【0114】
第一の実施態様では、この2つの容器は、互いに独立にいる。このような容器は、さまざまな形であってよい。これらは、特に、チューブ、フラスコ、またはボトルであってよい。
【0115】
1方の容器および/または他方の容器は、その上に手動で作動するポンプを備えていてよく、このポンプ上には、このポンプを作動させ、少なくとも1個の分配オリフィスを介して組成物を分配するためのプッシュボタンが装着されている。
【0116】
あるいは、1方の容器および/または他方の容器は、特に噴霧剤によって、具体的には噴射ガスによって、加圧される。この場合には、容器は、バルブを備えていて、このバルブ上に、製品を分配するための、ノズルまたは任意の他の拡散手段を備えたプッシュボタンが装着されている。
【0117】
この噴射剤は、分配または分離されるべき組成物と、特に容器の内側にスライドすることができるピストンを介して、またはその内部に組成物を入れたポケットの柔軟な壁を介して混合されることができる。
【0118】
容器は、プラスチック、ガラス、または金属などのさまざまな材料でできていてよい。
【0119】
1つの好ましい実施態様では、2つの組成物は、単一の装置の内部に収容される。
【0120】
図1に示す実施態様では、実装装置は、熱可塑性材料を成型することによって得られた構成要素5の内部に形成され、隣り合って配置された2つの区画51および52からなる。各区画51および52は、開口部を画定する首部53を有している。容器のそれぞれの首部の内側には、ポンプ41、42が装着されている。これらのポンプは、空気取り入れ口を有していても有していなくてもよい。
【0121】
装着中に、2つの区画51、52を画定する構成要素5は、ハウジング要素10の内側に配置される。
【0122】
各ポンプ41、42のためのポンプストーク21a、22aは、プッシュボタン3の表面35上に軸方向に加えられた圧力に応じて2つのポンプを同時に作動させることができるように形成された、単一のプッシュボタン3中に設けられた対応する導管の内部に強制的にはめ込まれている。
【0123】
それぞれのポンプに連結されたプッシュボタンの導管は、プッシュボタン3の外側の面で互いに接近して配置された、2つのオリフィス31aおよび32aに出てくる。ポンプ41および42の作動に応じて、2つの組成物は、使用者の指の上または適用パッドもしくは脱脂綿上のどちらかに、別個に外に出る。次いで、この2つの組成物の混合が、処置される面への適用の間に行われる。
【0124】
別の実施態様(図示せず)では、2つの区画は、加圧されていて、プッシュバルブまたは前後に動くバルブが装着されている。この2つのバルブは、好ましくは、ポンプの実施形態に関して記載されたタイプのものと同様のプッシュボタンで作動することができる。
【0125】
あるいはまた、2つの区画は、チューブの内部に形成された2つの同心円状の区画から形成されていて、その上に、空気の取り入れ口がなく、1つまたは2つの分配オリフィスを有するプッシュボタンを備えたポンプが装着されている。チューブの中には、組成物が容器から引き出された時にポンプの方向に上昇するピストンがある。このような分配の形態は、特に、練り歯磨きを分配するために用いられる。
【0126】
さらに他の装置が本発明の実施のために使用されてもよく、その本質的な特徴は、これらの装置が、2つの組成物を分離して実装し、別個にまたは混合物として分配することを可能にすることにある。
【0127】
さらなる例として、2つの組成物は、同じ柔軟な小袋の内部に形成された2つの区画に実装され、この2つの区画は、破断帯によって隔てられている。この破断帯は、使用時には、特に、小袋の特定の位置に与える圧力によって破壊することができる。
【0128】
したがって、本発明は、特にキットに関し、このキットの中には組成物AおよびBが、2個の別個の容器から形成された区画に実装される。
【0129】
1つの特定の態様では、組成物AおよびBは、図1に示すように、単一の装置(1)によって区切られた2つの区画(51,52)に実装される。
【0130】
特に、これらの各区画はポンプ(41、42)を備えている。このポンプは手動で作動することが好ましく、組成物AおよびBを別個にまたは混合物として分配するための少なくとも1つの作動および分配手段(3)に連結している。
【0131】
1つの好ましい態様では、この作動および分配手段(3)は、2つのポンプに共通している。
【0132】
1つの別の態様では、各区画は、(特に噴霧剤によって)加圧されていて、組成物AおよびBを別個にまたは混合物として分配するための少なくとも1つの作動および分配手段(3)に連結されたバルブが装着されている。
【0133】
特に、作動および分配手段は、2つのバルブに共通している。
【0134】
本発明はさらに、皮膚または頭皮に、上述した組成物Aおよび組成物Bを、同時に、相次いで、または時間をかけて順次適用する工程を含む、スキンケアおよび/または頭皮ケア方法に関する。
【0135】
適用は、同時に行われることが好ましい。
【0136】
1つの特定の態様では、本発明の方法は、脂漏性皮膚のケアを目的とする。
【0137】
別の態様では、本発明の方法は、乾燥した皮膚、敏感な皮膚、繊細な皮膚(例えば、乳児の皮膚)および/または傷ついた皮膚(例えば、髭剃り、座瘡の処置等)のケアを目的とする。
【0138】
本発明を、以下の実施例を参照しながら説明する。これらの実施例は非制限的な例示である。これらの実施例では、特に指定しない限り、量を重量%で表す。
【実施例】
【0139】
〔実施例:収斂および保湿の二重のケア〕
[ミョウバン結晶を含有するpH3.5(酸性)の収斂剤組成物A]
ミョウバンナトリウム 1.5%
ポリアクリロイルジメチル酒石酸アンモニウム(Clariant社からのHostacerin AMPS(登録商標)) 2.0%
揮発性シリコーン 6.0%
溶媒 4.0%
ステアリン酸 1.0%
乳化剤 3.0%
保存剤 0.4%
水 100%とするための残量
【0140】
[ヒドロキシアルキル尿素を含有するpH7(塩基性)の保湿組成物B]
N-(2-ヒドロキシエチル)尿素 5.0%
ポリアクリロイルジメチル酒石酸アンモニウム(Clariant社からのHostacerin AMPS(登録商標)) 0.5%
揮発性シリコーン 5.0%
シリコーン重合体(Takemoto社からのNLK506(登録商標)) 3.0%
グリセロール 3.0%
乳化剤 1.5%
保存剤 0.2%
水 100%とするための残量
【0141】
組成物AおよびBを、当業者に公知な製剤技術にしたがって調製した後、上述の、図1に示した装置に別個に実装する。単一のプッシュボタン3に軸方向に圧力を加えると、2つのポンプが同時に作動し、2つの組成物AおよびBを、使用者の指の上、または適用パッドもしくは脱脂綿上に出すことができる。その後、2つの組成物の混合が、処置しようとする面への適用の間に起こる。
【0142】
皮膚への適用後に、良好な収斂効果および保湿効果が得られた。
【0143】
[N-(2-ヒドロキシエチル)尿素の存在下でのpHの不安定性を示す試験]
1) 5%のN-(2-ヒドロキシエチル)尿素を含有するpH6.4の組成物
N-(2-ヒドロキシエチル)尿素 5%
カフェイン 3%
トリエタノールアミン 0.6%
エスシン 0.2%
Ginkyo bilobaの抽出物 0.05%
ナギイカダ(bucher’s bloom)の抽出物 0.1%
シリカ 0.5%
サリチル酸 0.5%
ポリアクリロイルジメチル酒石酸アンモニウム(Clariant社からのHostacerin AMPS(登録商標)) 1.75%
揮発性シリコーン 10%
グリセロール 3%
乳化剤 3%
プロピレングリコール 6%
エタノール 15%
水 100%とするための適量
【0144】
時間0におけるpHは6.4であり、2週間の間に6.9にまで上昇する。このことは、N-(2-ヒドロキシエチル)尿素を含有する酸性pH(7未満のpH)の組成物のpHが不安定であることを示す。
【0145】
2)N-(2-ヒドロキシエチル)尿素を増加した量で含有する組成物
N-(2-ヒドロキシエチル)尿素 x%
EDTAのテトラナトリウム塩 0.1%
ココア抽出物 1%
油類 18.5%
アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチル酒石酸ナトリウム共重合体/イソヘキサデカン/ポリソルベート80(SEPPIC社からのSimulgel EG) 1%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.02%
カーボマー 0.5%
トリエタノールアミン 0.25%
ジビニルジメチコーン/ジメチコーン共重合体/C12〜13パレス−23/C12〜13パレス−3(Dow Corning社からのHMW2220) 0.5%
グリセロール 10%
乳化剤 2.5%
エタノール 3.5%
保存剤 0.75%
水 100%とするための適量
【0146】
【表1】

【0147】
2週間後のpHの変化は、Hydrovanceのパーセンテージが高いほどより大きいことがわかった。
【0148】
さらに、45℃で2週間経過後、20%のHydrovanceを含有する組成物のpHは5.3から6.2に上昇した。したがって、Hydrovanceの存在下で高いpH不安定性が観察された。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図1は、1つの好ましい実施態様における実装装置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−生理学的に許容できる酸性媒体と、少なくとも1種のスキンケア剤および/または頭皮ケア剤とを含む組成物A;および
−組成物Aとは別個に実装され、生理学的に許容できる塩基性媒体と、少なくとも1種の、式(I):
【化1】

(式中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子、C-Cアルキル基、または場合により1個〜5個のヒドロキシル基を含むC-Cヒドロキシアルキル基を表し、R1〜R4基の少なくとも1個はヒドロキシアルキル基を表す)
のヒドロキシアルキル尿素、ならびにその塩、溶媒和物および異性体とを含む組成物B
を含む、スキンケアおよび/または頭皮ケアのキット。
【請求項2】
前記スキンケア剤が、自己日焼け剤、酵素以外であることを特徴とする、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記スキンケア剤が、組成物A中に、前記組成物の総重量に対して0.0001重量%〜90重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1または2に記載のキット。
【請求項4】
前記酸性媒体のpHが、5以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のキット。
【請求項5】
がヒドロキシアルキル基であり、R、R、およびRが、互いに独立に、水素原子またはC-Cアルキル基であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のキット。
【請求項6】
前記式(I)の化合物が、N-(2-ヒドロキシエチル)尿素;N-(2-ヒドロキシプロピル)尿素;N-(3-ヒドロキシプロピル)尿素;N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)尿素;N-(2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)尿素;N-メチル-N-(1,3,4,5,6-ペンタヒドロキシ-2-ヘキシル)尿素;N-メチル-N'-(1-ヒドロキシ-2-メチル-2-プロピル)尿素;N-(1-ヒドロキシ-2-メチル-2-プロピル)尿素;N-(1,3-ジヒドロキシ-2-プロピル)尿素;N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]尿素;N-エチル-N'-(2-ヒドロキシエチル)尿素;N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)尿素;N,N'-ビス-(2-ヒドロキシエチル)尿素;N,N-ビス-(2-ヒドロキシプロピル)尿素;N,N'-ビス-(2-ヒドロキシプロピル)尿素;N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-N'-プロピル尿素;N,N-ビス-(2-ヒドロキシプロピル)-N'-(2-ヒドロキシエチル)尿素;N-tert-ブチル-N'-(2-ヒドロキシエチル)-N'-(2-ヒドロキシプロピル)尿素;N-(1,3-ジヒドロキシ-2-プロピル)-N'-(2-ヒドロキシエチル)尿素;N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-N',N'-ジメチル尿素;N,N,N',N'-テトラキス-(2-ヒドロキシエチル)尿素;およびN',N'-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-N',N'-ビス-(2-ヒドロキシプロピル)尿素から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のキット。
【請求項7】
前記ヒドロキシアルキル尿素が、N-(2-ヒドロキシエチル)尿素であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のキット。
【請求項8】
前記ヒドロキシアルキル尿素が、組成物B中に、前記組成物の総重量に対して0.01重量%〜50重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のキット。
【請求項9】
組成物A中に存在する前記ケア剤が、有機酸、脱色剤、落屑剤、抗菌剤、鎮静剤および/または抗炎症剤、皮脂調節剤、瘢痕形成剤、収斂剤、および痩身剤、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のキット。
【請求項10】
前記ケア剤が、生理学的に許容できる酸性媒体中に、組成物Aの総重量に対して0.001重量%〜90重量%、好ましくは組成物Aの総重量に対して0.01重量%〜30重量%、さらに好ましくは組成物Aの総重量に対して0.05重量%〜10重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のキット。
【請求項11】
組成物AおよびBが、2つの別個の容器で形成された2つの区画に実装されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のキット。
【請求項12】
組成物AおよびBが、単一の装置(1)によって区切られた2つの区画(51、52)に実装されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のキット。
【請求項13】
前記各区画が、組成物AおよびBを別個にまたは混合物として分配するための少なくとも1つの作動および分配手段(3)に連結した、好ましくは手動で作動するポンプ(41、42)を具備することを特徴とする、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記作動および分配手段(3)が前記2つのポンプに共通していることを特徴とする、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記各区画が、加圧、特に噴霧剤によって加圧されていて、組成物AおよびBを別個にまたは混合物として分配するための少なくとも1つの作動および分配手段に連結したバルブを具備することを特徴とする、請求項12に記載のキット。

【図1】
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【公開番号】特開2008−1702(P2008−1702A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−163102(P2007−163102)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】