説明

重合体微粒子、重合体微粒子の製造方法、および導電性微粒子

【課題】コア粒子の表面に薄い被膜を有する重合体微粒子であって、平均粒子径が小さく、被膜が平滑であり、被膜の厚みが均一であり、被膜の被覆率が高く、粒度分布の揃った重合体微粒子を提供する。また、そのような重合体微粒子の製造方法を提供する。さらに、そのような重合体微粒子を用いた導電性微粒子を提供する。
【解決手段】本発明の重合体微粒子は、Si原子を含むコア粒子Pの表面に金属原子Mを含むポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子であって、該コア粒子Pの表面に該ポリメタロキサン被膜が−Si−O−M−を含む構造によって結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体微粒子、重合体微粒子の製造方法、および導電性微粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子の表面を改質する方法として、(1)表面にコーティングを行うコーティング法、(2)機械的作用を利用するメカノケミカル法、(3)化学反応を利用する化学的表面改質方法、などが知られている。
【0003】
しかし、平均粒子径の小さい微粒子の粒子表面に薄い被膜を効率的に形成する方法は知られていない。
【0004】
コーティング法は、比較的大きな粒子を対象とする表面改質方法である。このため、コーティング法によって微粒子の粒子表面に薄い被膜を効率的に形成し難いという問題がある。
【0005】
メカノケミカル法は、平均粒子径の小さい微粒子を対象とすることができる。しかし、機械的作用を利用するため、形成する被膜が平滑でないという問題や、薄い被膜を形成し難いという問題や、高い被覆率を有する被膜は形成し難いという問題がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0006】
化学的表面改質方法は、平均粒子径の小さい微粒子を対象とすることができ、薄い被膜を形成できる場合がある。しかし、高い被覆率を有する被膜は形成し難いという問題や、均一な厚みの被膜を形成し難いという問題、粒度分布の揃った微粒子を形成し難いという問題がある(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開昭62−83029号公報
【特許文献2】特開平5−170924号公報
【特許文献3】特開2004−307837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、コア粒子の表面に薄い被膜を有する重合体微粒子であって、平均粒子径が小さく、被膜が平滑であり、被膜の厚みが均一であり、被膜の被覆率が高く、粒度分布の揃った重合体微粒子を提供することにある。また、そのような重合体微粒子の製造方法を提供することにある。さらに、そのような重合体微粒子を用いた導電性微粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の重合体微粒子は、Si原子を含むコア粒子Pの表面に金属原子Mを含むポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子であって、該コア粒子Pの表面に該ポリメタロキサン被膜が−Si−O−M−を含む構造によって結合されている。
好ましい実施形態においては、上記ポリメタロキサン被膜が、金属原子Siを含むポリシロキサン被膜である。
好ましい実施形態においては、上記重合体微粒子の平均粒子径が0.5〜100μmである。
好ましい実施形態においては、上記ポリメタロキサン被膜の被覆率が100%である。
好ましい実施形態においては、上記ポリメタロキサン被膜の厚みが1〜500nmであり、該厚みが上記コア粒子Pの表面上で実質的に均一である。
本発明の別の局面によれば重合体微粒子の製造方法が提供される。本発明の製造方法は、Si原子を含むコア粒子Pの表面に金属原子Mを含むポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子の製造方法であって、表面に−Si−OH基を有するコア粒子前駆体P´が分散された溶媒に、加水分解可能な有機金属化合物またはその少なくとも一部が加水分解された縮合物を添加して、加水分解反応および/または縮合反応を行う。
好ましい実施形態においては、上記ポリメタロキサン被膜が、金属原子Siを含むポリシロキサン被膜である。
好ましい実施形態においては、上記加水分解可能な有機金属化合物が、一般式MXnで表される金属アルコキシド(ただし、Mは原子価数nの金属原子であり、Xはアルコキシ基である)である。
好ましい実施形態においては、上記加水分解可能な有機金属化合物が、一般式RpSiYqで表される有機ケイ素化合物(ただし、Rは置換基を有していても良い炭化水素基であり、Yは−OH基、−OR基、ハロゲン原子、水素原子のいずれかであり、Rはアルキル基、アシル基、アリール基、アラルキル基であり、pおよびqはp+q=4を満たす整数である)である。
本発明の別の局面によれば導電性微粒子が提供される。本発明の導電性微粒子は、本発明の重合体微粒子と金属層を含む。
好ましい実施形態においては、上記金属層が、無電解めっき法により形成された層である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コア粒子の表面に薄い被膜を有する重合体微粒子であって、平均粒子径が小さく、被膜が平滑であり、被膜の厚みが均一であり、被膜の被覆率が高く、粒度分布の揃った重合体微粒子を提供することができる。また、そのような重合体微粒子の製造方法を提供することができる。さらに、そのような重合体微粒子を用いた導電性微粒子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔重合体微粒子の製造方法〕
本発明の重合体微粒子の製造方法は、Si原子を含むコア粒子Pの表面に金属原子Mを含むポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子の製造方法であって、表面に−Si−OH基を有するコア粒子前駆体P´が分散された有機溶媒に、加水分解可能な有機金属化合物またはその少なくとも一部が加水分解された縮合物を添加して、加水分解反応および/または縮合反応を行う。
【0011】
表面に−Si−OH基を有するコア粒子前駆体P´は、任意の適切な方法によって製造し得る。コア粒子前駆体P´は、好ましくは、Si−OH基または加水分解によりSi−OH基を形成し得る基を有し、重合性不飽和結合を有するケイ素化合物および/またはポリシロキサン化合物を重合することにより得ることができる。
ここで、上述の加水分解によりSi−OH基を形成し得る基としては、OR基(R:アルキル基、アシル基、アリール基、アラルキル基)、ハロゲン原子、水素原子が好ましく、OR基におけるRがアルキル基であるアルコキシ基がより好ましい。すなわち、後述するRrSiZsで表される化合物または該化合物の加水分解縮合物からなるポリシロキサン化合物の存在下で重合することが好ましい形態である。
また、上述の製法において、該ケイ素化合物またはポリシロキサンが重合性不飽和結合を有するため、単独で重合することによっても、あるいは、重合性不飽和結合を有するモノマーの共存下で重合することによっても、コア粒子前駆体P´を得ることができる。
上述の製法において、重合の形態としては、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、ゾルゲル重合法、ゾルゲルシード重合法、分散重合法、析出重合法が挙げられる。例えば、ゾルゲルシード重合で行うと、最終的に得られる重合体微粒子の粒子径の変動係数(CV値)を小さくすることが可能となり、各種基板間の隙間を均一にする隙間保持材としての用途に用いた場合、隙間距離を均一に保つといった有利な効果を発揮することができる。
表面に−Si−OH基を有するコア粒子前駆体P´を製造する方法としては、具体的には、例えば、下記の(方法1)〜(方法4)が挙げられる。なお、表面に−Si−OH基を有するコア粒子前駆体P´を製造するにあたって、表面にアルコキシシリル基を有するコア粒子前駆体P´´がまず得られる場合には、ポリメタロキサン被覆を行うための反応に先立って、任意の適切な方法によって、アルコキシシリル基を−Si−OH基に変換することが好ましい。
【0012】
(方法1)RrSiZsで表される化合物(ただし、Rは重合性不飽和結合を含む基を有する炭化水素基)および/またはその少なくとも一部が加水分解された縮合物と重合性モノマーとの混合物を重合する方法。
方法1の好ましい具体的な重合形態としては、懸濁重合法、分散重合法、析出重合法が挙げられる。
【0013】
(方法2)RrSiZsで表される化合物(ただし、Rは重合性不飽和結合を含む基を有する炭化水素基)を含水有機溶媒中で加水分解縮合し、ポリシロキサン粒子とした後に、重合性モノマーを吸収させてから、重合する方法。
方法2の好ましい具体的な重合形態としては、ゾルゲルシード重合法が挙げられる。
【0014】
(方法3)RrSiZsで表される化合物(ただし、Rは重合性不飽和結合を含む基を有する炭化水素基)を含水有機溶媒中で加水分解縮合し、重合性ポリシロキサン粒子とした後に、重合する方法。
方法3の好ましい具体的な重合形態としては、ゾルゲル重合法が挙げられる。
【0015】
(方法4)RrSiZsで表される化合物(ただし、Rは重合性不飽和結合を含む基を有する炭化水素基)の加水分解縮合物(すなわち、重合性ポリシロキサン)を水性媒体中で重合する方法。
方法4の好ましい具体的な重合形態としては、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、析出重合法が挙げられる。
【0016】
上記(方法1)および(方法2)において、上記Rは、重合性不飽和結合を含む基を有する炭化水素基である。上記重合性不飽和結合を含む基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロキシ基が挙げられる。上記炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。
【0017】
上記(方法3)および(方法4)において、上記Rは、重合性不飽和結合を含む基を有する炭化水素基である。上記重合性不飽和結合を含む基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロキシ基が挙げられる。上記炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。
【0018】
上記(方法1)〜(方法4)において、上記Zは−OH基、−OR基、ハロゲン原子、水素原子のいずれかであり、上記Rはアルキル基、アシル基、アリール基、アラルキル基である。上記Zとしては、好ましくは、−OH基、−OR基でRが炭素数1〜4のアルキル基の基、−OR基でRがアセチル基の基が挙げられる。
【0019】
上記(方法1)〜(方法4)において、上記rおよびsは、r+s=4を満たす整数であり、好ましくは、rが1〜3の整数であり、より好ましくはrが1または2である。
【0020】
上記(方法1)および(方法2)において、上記重合性モノマーとしては、重合性不飽和結合を有するモノマーであれば任意の適切なモノマーを採用し得る。例えば、スチレン、ジビニルベンゼンが挙げられる。
【0021】
上記(方法1)〜(方法4)において、上記重合の形態としては、任意の適切な重合形態を採用し得る。例えば、懸濁重合、シード重合、分散重合、ゾルゲルシード重合が挙げられる。好ましくは、懸濁重合、ゾルゲルシード重合であり、より好ましくはゾルゲルシード重合である。ゾルゲルシード重合で行うと、最終的に得られる重合体微粒子の粒子径の変動係数(CV値)を小さくすることが可能となり、導電性微粒子の原料として用いた際に粒子径の均一な導電性微粒子が得られ、該導電性微粒子を用いた電極間の電気的接続を行う場合には、接続信頼性が高くなるといった有利な効果を発揮することができる。
【0022】
本発明の重合体微粒子の製造方法においては、表面に−Si−OH基を有するコア粒子前駆体P´を1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0023】
表面に−Si−OH基を有するコア粒子前駆体P´は、より具体的には、有機無機複合粒子であってもよい。本発明にいう有機無機複合粒子とは、無機質成分である無機質骨格と有機質成分であるビニル系重合体とを必須としてなる複合体粒子であって、無機質骨格は、(メタ)アクリロキシ基を有するシリコン化合物を必須とする無機化合物原料を加水分解・縮合してなるポリシロキサン骨格構造からなる骨格、すなわち、(メタ)アクリロキシ基を有するポリシロキサン骨格構造からなり、この無機質骨格を構成するポリシロキサン骨格構造中にビニル系重合体が含まれてなる粒子、つまり、該ポリシロキサン骨格間にビニル系重合体が存在している粒子である。
【0024】
本発明にいう有機無機複合粒子は、有機質成分のほとんどが無機質粒子の表面に被覆されてなる粒子や、有機質成分が無機質粒子の表面でグラフトされてなる粒子や、有機質部分と無機質部分とを有する重合性単量体を重合させてなる粒子、とは形態上異なる。本発明にいう有機無機複合粒子は、上述のような構成形態であることにより、硬度、破壊強度等の各種機械的特性に優れ、所望の粒子径および粒度分布にコントロールされた粒子となり得る。なお、有機無機複合粒子を得るにあたり、上記無機質骨格からなる粒子状物(無機質粒子)を製造することが好ましい。
【0025】
上記無機質粒子の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、粉砕状、俵状、まゆ状、金平糖状等の、任意の適切な粒子形状が採用され得る。
【0026】
上記無機質粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.5〜50μm、最も好ましくは1〜30μmである。上記無機質粒子の平均粒子径が上記範囲内である場合は、後述する重合性モノマーの吸収が効率よく進行するといった有利な効果を発揮することができる。
【0027】
上記無機質粒子の粒度分布のシャープさは、変動係数(CV値)で示し得る。上記変動係数(CV値)は、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。上記変動係数(CV値)が上記範囲内である場合は、後述する重合性モノマーの吸収が効率よく行えるといった有利な効果を発揮することができる。
【0028】
上述した好ましい有機無機複合粒子の製造方法であるゾルゲルシード重合法(方法2の好ましい形態)に関して以下に説明する。
上記無機質粒子である(メタ)アクリロキシ基を有するポリシロキサン粒子は、例えば、以下に示す縮合工程を含む方法により得られることが好ましい。上記縮合工程とは、(メタ)アクリロキシ基を有する加水分解性シリコン化合物を必須とする加水分解性シリコン化合物群を用いて加水分解および縮合する工程であり、この縮合工程では、触媒としてアンモニア等の塩基性触媒を用いてもよい。
【0029】
上記加水分解性シリコン化合物群には、下記一般式(1)で示される(メタ)アクリロキシ基を有する加水分解性シリコン化合物(以下、シリコン化合物(1)と称することがある。)を必須成分として用い、必要に応じて、下記一般式(2)で示されるシリコン化合物(以下、シリコン化合物(2)と称することがある。)を併用してもよい。また、上記シリコン化合物(1)、(2)の誘導体を上記シリコン化合物(1)と併用してもよい。
【化1】

(ここで、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の有機基を示し、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、および炭素数2〜5のアシル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す。Rは、炭素数1〜5のアルキル基およびフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の基を示す。hは1または2であり、iは0または1である。)
【化2】

(ここで、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、エポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、および炭素数6〜20のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示し、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、および炭素数2〜5のアシル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す。jは1〜3の整数である。)
【0030】
シリコン化合物(1)としては、具体的には、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン(または、γ−トリメトキシシリルプロピル−β−メタクリロキシエチルエーテルともいう)、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0031】
シリコン化合物(2)としては、具体的には、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラアセトキシシラン等の上記一般式(2)でn=0の4官能性シラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等の上記一般式(2)でn=1の3官能性シラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジフェニルジシランジオール等の上記一般式(2)でn=2の2官能性シラン;等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0032】
シリコン化合物(1)および(2)の誘導体としては、具体的には、例えば、シリコン化合物(1)および(2)が含有するOR基またはOR基に関してその少なくとも1つがβ−ジカルボニル基および/または他のキレート化合物を形成し得る基で置換された化合物と、シリコン化合物(1)および(2)および/またはそのキレート化合物を部分的に加水分解・縮合して得られた低縮合物と、からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましい。
【0033】
上記無機質粒子(ポリシロキサン粒子)は、上記シリコン化合物群を、水を含む溶媒中で加水分解させ縮合させて得られる。加水分解および縮合については、一括、分割、連続等、任意の適切な方法を採用し得る。加水分解および縮合をさせるにあたり、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の触媒を用いてもよい。また、溶媒中には、水や触媒以外に有機溶剤が存在していてもよい。
【0034】
上記有機溶剤としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;イソオクタン、シクロヘキサン等の(シクロ)パラフィン類;ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;などが好ましく挙げられる。これらは、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0035】
上記加水分解および縮合は、例えば、上記シリコン化合物群および有機溶剤等を、水を含む溶媒に添加し、好ましくは0〜100℃、より好ましくは0〜70℃の温度範囲で、好ましくは30分〜100時間攪拌することによって行われる。また、上述のようにして得られた粒子を、種粒子として予め合成系に仕込んでおき、そこに上記シリコン化合物群を添加して上記種粒子を成長させることにより、無機質粒子を得ることもできる。このようにして、上記シリコン化合物群を、水を含む溶媒中で、任意の適切な条件下で、加水分解および縮合させることにより、粒子が析出しスラリーが生成する。析出した粒子は、上述の(メタ)アクリロキシ基を有するシリコン化合物(1)を必須成分として用いて得られるものであるため、(メタ)アクリロキシ基を有するポリシロキサン粒子が得られる。
【0036】
上記加水分解および縮合を行うにあたっての任意の適切な条件は、例えば、得られたスラリーにおいて、シリコン化合物(1)およびシリコン化合物(2)の濃度が20重量%以下、水濃度が50%以上、触媒濃度が10重量%以下となるような条件が好ましい。
【0037】
上記加水分解および縮合を行うにあたっての任意の適切な条件は、より好ましくは、水濃度が50〜99.99重量%、触媒濃度が0.01〜10重量%、有機溶剤濃度が0〜90重量%、上記シリコン化合物群の濃度が0.1〜30重量%、上記シリコン化合物群の添加時間が0.001〜500時間、反応温度が0〜100℃である。また、上記種粒子の濃度は、0〜10重量%に設定することが好ましい。
【0038】
上記無機質粒子は、上述のように上記シリコン化合物群を原料無機化合物として得られるものであるため、この無機化合物中のケイ素原子に由来する無機質部分(ポリシロキサン骨格)を含んでなり、(メタ)アクリロキシ基などの有機基を有するものである。
【0039】
上記無機質粒子は、該粒子中に、つまり、該粒子を構成するポリシロキサン骨格間に、後述する重合性モノマーを容易に吸収し、かつ、保持しておくことのできる粒子である。これは、無機質粒子が有している(メタ)アクリロキシ基が重合性モノマー等の有機化合物との相溶性に非常に優れているからであり、また、上記無機質粒子が重合性モノマーを吸収するのに好適な架橋度となっているからであるともいえる。この重合性モノマーが最終的に有機質成分であるビニル系重合体となる。
【0040】
上記重合性モノマーとしては、分子内に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を含有する化合物であればよい。具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体類;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、等のポリエチレングリコール成分を有する単量体類;(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等のアルキル(メタ)アクリレート類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ペンタンフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロアミル(メタ)アクリレート等のフッ素原子含有(メタ)アクリレート類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルマン、α−クロロスチレン、0−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;等が挙げられる。
【0041】
上記重合性モノマーは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0042】
上記無機質粒子に上記重合性モノマーを吸収させる際に、例えば、あらかじめ上記重合性モノマーを乳化分散させエマルションを生成させておく場合には、安定なエマルションとするため、疎水性の重合性モノマーを好適に用いることができる。
重合性モノマーを吸収させる際には、上述の乳化分散させてなるエマルション中に、ラジカル重合開始剤を含有させておくことが好ましい。該重合開始剤の量は、通常、重合性モノマー総量に対して、0.01〜10重量%が好ましい。該重合開始剤は、従来公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。
【0043】
得られるコア粒子前駆体P´における機械的特性に関する効果を容易に調節するようにするため、架橋性モノマーを用いても良い。上記架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジアリルフタレートおよびその異性体、トリアリルイソシアヌレートおよびその誘導体、等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上述した重合性モノマー、好ましくは乳化分散させてなるエマルションを無機質粒子(ポリシロキサン粒子)が分散してなるスラリーと混合し、好ましくは、0.1〜5時間撹拌することにより、無機質粒子に重合性モノマーが吸収されてなる複合粒子前駆体が形成される。吸収時における温度は、吸収過程において重合性モノマーの重合が開始し難い点から、50℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、10〜40℃がさらに好ましい。
上述の複合粒子前駆体が分散したスラリーを、重合可能な温度、好ましくは50℃以上に加熱保持することにより、本発明におけるコア粒子前駆体P´として好ましい有機無機複合粒子が分散してなるスラリーが得られる。上記重合温度は、用いる重合開始剤にもよるが、通常、60〜100℃で行われることが好ましい。また、加熱保持時間は、通常、0.1〜10時間であることが好ましい。
【0044】
上述した有機無機複合粒子の製造方法において、重合性不飽和結合を有するシリコン化合物を必須成分として加水分解・縮合して得られたポリシロキサン粒子を同様に得た後、重合性モノマーを吸収させることなく、ラジカル重合することによっても、有機無機複合粒子を得ることができる(方法3の好ましい形態)。具体的には、上記重合性ポリシロキサン粒子からなるスラリーを、好ましくはラジカル重合開始剤の共存下で、加熱することにより達成される。あるいは、重合性ポリシロキサン粒子をスラリーから単離し、気相中で加熱することによっても達成することができる。
【0045】
本発明におけるコア粒子前駆体P´として好ましい有機無機複合粒子は、また、Si−OH基または加水分解によりSi−OH基を形成し得る基を有して重合性不飽和結合を有するケイ素化合物および/またはポリシロキサン化合物を、重合性モノマーと混合した重合性単量体組成物を、水性媒体に懸濁し、加熱する方法(懸濁重合法)によっても得ることができる(方法1の好ましい形態)。Si−OH基または加水分解によりSi−OH基を形成し得る基を有して重合性不飽和結合を有するケイ素化合物としては、上記RrSiZsで表される化合物(ただし、Rは重合性不飽和結合を含む基を有する炭化水素基)を用いることが好ましい。重合性不飽和結合を有するポリシロキサン化合物としては、上記化合物を加水分解・縮合してなる縮合物を用いることが好ましい。中でも、前述の、重合性単量体組成物の安定な液滴からなる懸濁物を得て、凝集のない有機無機複合粒子を得るためには、Zがアルコキシ基であるRrSiZsで表される化合物(ただし、Rは重合性不飽和結合を含む基を有する炭化水素基)を用いることが好ましい。また、重合性単量体組成物には、重合開始剤を、該組成物100重量%に対して、0.01〜10重量%含有させることが好ましい。懸濁重合法としては、従来公知の方法を採用し得る。重合のための加熱温度は、用いる重合開始剤にもよるが、通常、60〜100℃が好ましい。加熱保持時間は、通常、0.1〜10時間が好ましい。
上述の懸濁重合法で得られた有機無機複合粒子の場合、特に、ケイ素化合物としてZがアルコキシ基であるRrSiZsで表される化合物(ただし、Rは重合性不飽和結合を含む基を有する炭化水素基)を用いた場合には、得られる粒子においてアルコキシ基の状態が残存しているため、アルコキシシリル基をSi−OH基に変換する処理を行うことが好ましい。この処理により、ポリメタロキサン被膜の形成反応において、粒子表面に選択的に、ポリメタロキサンの形成反応が起こり、均一性に優れる被膜形成が行われるため好ましい。
懸濁重合法で得られる粒子は、通常、粒度分布がブロードであるため、分級することにより粒度分布の揃った粒子とすることが好ましい。
アルコキシシリル基をSi−OH基に変換する処理は、例えば、塩基性または酸性の水性媒体中に粒子を浸漬することにより達成できる。好ましくは、さらに加熱処理を行う。例えば、懸濁重合後の有機無機複合粒子のスラリーに、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩、アンモニア、アミンなどを添加し、塩基性に調整した後、過熱する方法などを採用し得る。加熱温度、加熱時間にもよるが、経済的な温度、時間で該処理を行うためには、塩基性に調整する際、水性媒体のpHが9以上となるようにすることが好ましく、10以上となるようにすることがより好ましく、10〜11.8となるようにすることがさらに好ましい。酸性に調整する際には、水性媒体のpHが5以下となるようにすることが好ましく、4.5以下となるようにすることがより好ましく、2〜4.5となるようにすることがさらに好ましい。重合体粒子の機械的な強度特性を損なわずに、アルコキシ基からSi−OH基への変換反応のみを行うためには、塩基性下で行うことが好ましく、pH調整に用いる化合物を除去しやすい点から、アンモニアを用いて塩基性に調整することが好ましい。加熱温度は、工業的に安価に行うためには、10〜100℃が好ましい。加熱保持時間は、工業的に安価に行うためには、0.1〜10時間が好ましい。また、撹拌下で行うことが好ましい。なお、アルコキシシリル基をSi−OH基に変換する処理は、懸濁重合法により得られる粒子のみに行うとは限らず、前述した他の方法によって得られる粒子にも採用し得る。
【0046】
上記有機無機複合粒子は、無機質骨格構造中にビニル系重合体が含まれてなる粒子である。上記有機無機複合粒子の平均粒子径は、上述のように無機質粒子の骨格構造中にビニル系重合体が含まれ複合化された状態での平均粒子径のことであり、具体的には、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは0.5〜100μm、さらにより好ましくは1〜50μmである。上記平均粒子径が上記範囲内である場合は、無機質粒子由来の無機成分とビニル系重合体由来の有機成分の比率を幅広く変化させることが可能であり、例えば、同一の平均粒子径であっても、粒子の硬度、破壊強度などの機械的特性を様々に変化させるといった有利な効果を発揮し得る。
上記有機無機複合粒子は、上記無機質粒子の構造中に含むビニル系重合体の量を調節することにより、所望の粒子径にすることができる。上記有機無機複合粒子の粒度分布のシャープさは、粒子径の変動係数(CV値)で示すこととし、具体的には、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。上記変動係数(CV値)が上記範囲内である場合は、例えば、導電性微粒子の原料として用いた際に粒子径の均一な導電性微粒子が得られ、該導電性微粒子を用いた電極間の電気的接続を行う場合には、接続信頼性が高くなるといった有利な効果を発揮することができる。
上記有機無機複合粒子において、無機質骨格の有する(メタ)アクリロキシ基は、すべて単独で存在している形態であっても良いし、少なくとも1つが他の反応基および/または重合体と結合していても良い。上記結合している形態としては、例えば、ビニル系重合体と結合している形態、無機質骨格中の少なくとも1つの他の反応基と反応して結合または重合している形態、該形態でビニル系重合体と結合している形態、等が挙げられる。なかでも、ビニル系重合体と結合している形態の場合は、ビニル系重合体が無機質骨格の構造中にさらにしっかりと固定され、有機質成分であるビニル系重合体と無機質成分との構成比率、および、所望の粒子径や粒度分布のシャープさを、より確実に保持し、長期間安定した機械的特性を有することが可能である。同様に、上記結合により、重合体粒子の形状がより真球状に近くなり得る。
【0047】
上記有機無機複合粒子の硬度は、例えば、10%圧縮弾性率が、好ましくは1000N/mm以上、より好ましくは2000N/mm以上、さらに好ましくは3000N/mm以上である。
【0048】
上記有機無機複合粒子の破壊強度は、例えば、好ましくは1mN以上、より好ましくは3mN以上、さらに好ましくは5mN以上である。
【0049】
上記有機無機複合粒子において、無機質骨格に由来するポリシロキサン骨格を構成するSiOの量は、例えば、好ましくは0.1〜80重量%、より好ましくは0.5〜70重量%、さらに好ましくは1.0〜60重量%である。
【0050】
上記有機無機複合粒子が(メタ)アクリロキシ基を有するポリシロキサン骨格からなる無機質骨格からなる3次元網目状の構造中にビニル系重合体が含まれてなる粒子であることを確認するには種々の方法が適用できるが、例えば、得られた粒子をトルエン等の有機溶剤で加熱抽出し、加熱抽出前後で粒子の粒子径および重量が変化しないことでビニル系重合体が無機質骨格で形成される3次元網目状構造内部(構造中)に取り込まれて存在していることを確認する方法、または、得られた粒子を切断し、その断面を観察することで無機質骨格で形成される3次元網目状構造内部(構造中)にビニル系重合体が含まれてなることを確認する方法などが挙げられる。
【0051】
上記有機無機複合粒子の形状は、特に限定されるわけではなく、具体的には、例えば、球状、針状、板状、鱗片状、紛砕状、偏状、まゆ状、こんぺい糖状などの形状を挙げることができる。
上記有機無機複合粒子は、好ましくは、ポリシロキサン骨格を構成するケイ素原子の少なくとも1つがSi−OH基を有することを特徴とする。
【0052】
以下、ポリメタロキサン被膜を形成する方法について説明する。
加水分解可能な有機金属化合物としては、任意の適切な加水分解可能な有機金属化合物を採用し得る。具体的には、例えば、一般式MXnで表される金属アルコキシド(ただし、Mは原子価数nの金属原子であり、Xはアルコキシ基である)、一般式RpSiYqで表される有機ケイ素化合物(ただし、Rは置換基を有していても良い炭化水素基であり、Yは−OH基、−OR基、ハロゲン原子、水素原子のいずれかであり、Rはアルキル基、アシル基、アセチル基、アリール基、アラルキル基であり、pおよびqはp+q=4を満たす整数である)が好ましく挙げられる。
【0053】
上記金属アルコキシドMXnにおいて、Mは原子価数nの金属原子であり、好ましくは、Si、Ti、Ar、Alである。
【0054】
上記金属アルコキシドMXnにおいて、Xはアルコキシ基であり、好ましくは、炭素数1〜10のアルコキシ基、より好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基である。
【0055】
上記有機ケイ素化合物RpSiYqにおいて、Rは置換基を有していても良い炭化水素基であり、好ましくは、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルケニル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基である。
【0056】
上記有機ケイ素化合物RpSiYqにおいて、Yは−OH基、−OR基、ハロゲン原子、水素原子のいずれかであり、Rはアルキル基、アシル基、アセチル基、アリール基、アラルキル基である。上記Yは、好ましくは、−OH基、−OR基でRが炭素数1〜4のアルキル基の基、−OR基でRがアセチル基の基であり、より好ましくは、−OH基、−OR基でRがメチル基の基(メトキシ基)、−OR基でRがエチル基の基(エトキシ基)である。
【0057】
上記有機ケイ素化合物RpSiYqにおいて、pおよびqは、p+q=4を満たす整数であり、好ましくは、pが0〜3の整数であり、より好ましくはpが0〜2の整数であり、さらに好ましくはpが0である。
【0058】
上記有機ケイ素化合物RpSiYqにおいて、p=0の化合物とp=1または2の化合物との混合物を用いることも好ましい。この場合、p=0の化合物とp=1または2の化合物との比率は、モル比で、好ましくは10:0〜1:9、より好ましくは10:0〜5:5、さらに好ましくは10:0〜8:2である。
【0059】
本発明の重合体微粒子の製造方法においては、上記加水分解可能な有機金属化合物を1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。例えば、上記金属アルコキシドMXnを1種のみ用いても良いし、上記金属アルコキシドMXnを2種以上併用しても良いし、上記有機ケイ素化合物RpSiYqを1種のみ用いても良いし、上記有機ケイ素化合物RpSiYqを2種以上併用しても良いし、上記金属アルコキシドMXnの1種以上と上記有機ケイ素化合物RpSiYqの1種以上を併用しても良い。特に、本発明の重合体微粒子の屈折率などを調整したり、本発明の重合体微粒子の金属との密着力を調整したりする上で、上記金属アルコキシドMXnの1種以上と上記有機ケイ素化合物RpSiYqの1種以上を併用することは好ましい形態である。
【0060】
本発明の重合体微粒子の製造方法においては、表面に−Si−OH基を有するコア粒子前駆体P´が分散された溶媒に、加水分解可能な有機金属化合物またはその少なくとも一部が加水分解された縮合物を添加して、加水分解反応および/または縮合反応を行う。
【0061】
上記加水分解反応および縮合反応については、一括、分割、連続等、任意の適切な方法を採用し得る。加水分解反応および縮合反応をさせるにあたり、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の触媒を用いてもよい。
【0062】
上記溶媒としては、具体的には、例えば、水;メタノール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;イソオクタン、シクロヘキサン等の(シクロ)パラフィン類;ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;などが好ましく挙げられる。これらは、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0063】
上記加水分解反応および縮合反応は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜70℃の温度範囲で、好ましくは30分〜100時間攪拌することによって行われる。
【0064】
上記加水分解および縮合を行うにあたっての任意の適切な条件は、より好ましくは、触媒濃度が0.01〜10重量%、水濃度が0.5〜50重量%、水以外の溶媒濃度が1〜90重量%、コア粒子前駆体P´の濃度が0.1〜30重量%、加水分解可能な有機金属化合物またはその少なくとも一部が加水分解された縮合物の添加時間が0.001〜500時間、反応温度が0〜100℃である。
【0065】
〔重合体微粒子〕
好ましくは上記製造方法により、本発明の重合体微粒子が得られる。本発明の重合体微粒子は、Si原子を含むコア粒子Pの表面に金属原子Mを含むポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子であって、該コア粒子Pの表面に該ポリメタロキサン被膜が−Si−O−M−を含む構造によって結合されている。
【0066】
本発明の重合体微粒子において、上記ポリメタロキサン被膜は、任意の適切なメタロキサン結合の繰り返しからなる骨格から構成される。好ましくは、金属原子Siを含むポリシロキサン被膜である。
【0067】
上記ポリシロキサン被膜は、一般式RtYuSiOvで表される被膜である。
【0068】
上記ポリシロキサン被膜RtYuSiOvにおいて、Rは置換基を有していても良い炭化水素基であり、好ましくは、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルケニル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基である。
【0069】
上記ポリシロキサン被膜RtYuSiOvにおいて、Yは−OH基、−OR基、ハロゲン原子、水素原子のいずれかであり、Rはアルキル基、アシル基、アセチル基、アリール基、アラルキル基である。上記Yは、好ましくは、−OH基、−OR基でRが炭素数1〜4のアルキル基の基、−OR基でRがアセチル基の基であり、より好ましくは、−OH基、−OR基でRがメチル基の基(メトキシ基)、−OR基でRがエチル基の基(エトキシ基)である。
【0070】
上記ポリシロキサン被膜RtYuSiOvにおいて、t、u、vは、v=(4−t−u)/2を満たす数である。
【0071】
上記ポリシロキサン被膜RtYuSiOvにおいて、tは、好ましくは0≦t<3であり、より好ましくは0≦t≦2、さらに好ましくは0≦t≦1、特に好ましくは0≦t≦0.5である。
【0072】
上記ポリシロキサン被膜RtYuSiOvにおいて、uは、好ましくは0≦u<3であり、より好ましくは0<u≦2.5、さらに好ましくは0≦u≦2、特に好ましくは0≦u≦1.5である。
【0073】
本発明の重合体微粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5〜100μm、より好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは2〜20μmである。本発明の重合体微粒子の平均粒子径が上記範囲を外れると、本発明の効果が十分に発現できないおそれがある。
【0074】
本発明の重合体微粒子においては、粒子径の変動係数(CV値)が、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。上記変動係数(CV値)が上記範囲内である場合は、例えば、導電性微粒子の原料として用いた際に粒子径の均一な導電性微粒子が得られ、該導電性微粒子を用いた電極間の電気的接続を行う場合には、接続信頼性が高くなるといった有利な効果を発揮することができる。
【0075】
本発明の重合体微粒子においては、上記ポリメタロキサン被膜の被覆率(本発明の重合体微粒子の全表面中におけるコア粒子Pの外表面が露出していない部分の割合)が、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは100%である。上記ポリメタロキサン被膜の被覆率が上記範囲を外れると、本発明の効果が十分に発現できないおそれがある。
【0076】
本発明の重合体微粒子においては、上記ポリメタロキサン被膜の厚みが、好ましくは1〜500nmであり、より好ましくは5〜400nmであり、さらに好ましくは10〜300nmである。上記ポリメタロキサン被膜の厚みが上記範囲を外れると、本発明の効果が十分に発現できないおそれがある。また、上記ポリメタロキサン被膜の厚みが小さすぎると、ポリメタロキサン被膜の化学的安定性が低下するおそれがあり、表面硬度も十分に確保できないおそれがある。また、上記ポリメタロキサン被膜の厚みが大きすぎると、加熱や冷却時のコア粒子Pとの熱膨張係数の差に基づく割れやクラックや剥離が生じるおそれがある。
【0077】
本発明の重合体微粒子においては、上記ポリメタロキサン被膜の厚みが前記コア粒子Pの表面上で実質的に均一であることが好ましい。上記ポリメタロキサン被膜の厚みが前記コア粒子Pの表面上で実質的に均一であることにより、本発明の効果を十分に発現することが可能となる。ここで、上記「実質的に均一である」とは、前記コア粒子Pの表面上における任意の部分の上記ポリメタロキサン被膜の厚みの振れが、好ましくは±20%以内、より好ましくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、最も好ましくは±3%以内であることを意味する。
【0078】
〔導電性微粒子〕
本発明の導電性微粒子は、本発明の重合体微粒子と金属層を含む。好ましくは、本発明の導電性微粒子は、本発明の重合体微粒子と金属めっき層を含む。
【0079】
従来の金属めっきされた導電性微粒子は、基材粒子と金属めっき層との間の密着性が悪く、そのため、基材粒子を多孔質化させたり、エッチングにより基材粒子の表面に凹凸を発生させたりして、アンカー効果をもたせる等の必要がある。しかし、基材粒子を多孔質化させたり、エッチングにより基材粒子の表面に凹凸を発生させたりすると、基材粒子の強度が著しく低下し、電極端子に圧着する際に、基材粒子が破壊したり、圧縮変形したまま回復しない等の問題があり、導通が不安定になることがある。また、電極端子に圧着する際に、金属めっき層が割れたり、剥離したりして、導通不良が発生し、接続信頼性が低下するという問題がある。
【0080】
本発明の導電性微粒子は、基材粒子が均一に形成されたポリメタロキサン層を有するために、異方導電材料に好適な硬さ/軟らかさが制御され、金属層の密着性に優れる。このため、使用時に破壊され難い導電性微粒子となり得る。
【0081】
上記金属層に用いる金属としては、任意の適切な金属を採用し得る。例えば、金、銀、銅、白金、鉄、鉛、アルミニウム、クロム、パラジウム、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、スズ、コバルト、インジウムなどの金属や、ニッケル−リン、ニッケル−ホウ素などの合金が挙げられる。
【0082】
上記金属層は、好ましくは、任意の適切なめっき法で形成することができる(例えば、特開2003−208813号公報、特開2005−325382号公報、特開2007−184278号公報参照)。具体的には、例えば、無電解めっき法;置換めっき法;金属微粉を単独またはバインダーに混ぜて得られるペーストを基材粒子(本発明の重合体微粒子)にコーティングする方法;真空蒸着、イオンプレーティング、イオンスパッタリング等の物理的蒸着法;などが挙げられる。
【0083】
本発明においては、上記めっき法の中でも、無電解めっき法が好ましい。大掛かりな装置を必要とせず、導電膜の厚みが制御された導電性金属膜を形成することができるからである。
【0084】
通常、無電解めっき法は、(1)親水化工程(エッチング)、(2)触媒化工程、(3)無電解めっき工程、の3工程からなる。本発明の重合体微粒子は、表面にポリメタロキサン被膜を有するため、親水化工程(エッチング)を行わずに、無電解めっきを行うことが可能となる。
【0085】
上記親水化工程(エッチング)は、基材粒子の表面に微小な凹凸を形成して、金属めっき層の密着を良くするために行われる。上記親水化工程(エッチング)は、例えば、クロム酸、硫酸−クロム酸混液、過マンガン酸溶液等の酸化剤;塩酸、硫酸等の強酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強アルカリ溶液;などを用いて、基材粒子の表面に微小な凹凸を形成する。
【0086】
上記触媒化工程は、基材粒子の表面に無電解めっき工程の起点となり得る触媒層を形成するために行われる。触媒層を形成する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、無電解めっき用として市販されている触媒化試薬などを用いて行うことができる。このような市販されている触媒化試薬としては、例えば、ピンクシューマー(日本カニゼン株式会社製)、レッドシューマー(日本カニゼン株式会社製)などが挙げられる。触媒層を形成する方法としては、具体的には、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとからなる溶液に基材粒子を浸漬した後、硫酸、塩酸等の強酸や水酸化ナトリウム等の強アルカリ溶液で活性化してパラジウムを基材粒子表面に析出させる方法;硫酸パラジウム溶液に基材粒子を浸漬した後、ジメチルアミンボラン等の還元剤を含む溶液で活性化してパラジウムを基材粒子表面に析出させる方法;などが挙げられる。
【0087】
上記無電解めっき工程においては、好ましくは、基材粒子を水性媒体に十分に分散させ、水性スラリーを調製する。ここで、基材粒子は水性媒体に十分に分散させておくことが好ましい。基材粒子が凝集した状態で金属めっき層が形成すると、未処理面が露出するおそれがある。基材粒子の分散は、任意の適切な分散方法を採用し得る。例えば、通常撹拌、高速撹拌、コロイドミルやホモジナイザーのようなせん断分散装置を用いた分散、などが挙げられる。分散の際に、超音波照射を併用しても良い。また、分散の際に、界面活性剤などの分散剤を用いても良い。次いで、金属塩、還元剤、錯化剤などを含んだ無電解めっき浴に、上記分散処理した基材粒子スラリーを添加し、無電解めっきを行う。
【0088】
上記金属塩としては、例えば、ニッケル塩を用いる場合、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。
【0089】
上記還元剤としては、次亜燐酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ヒドラジンなどが挙げられる。
【0090】
上記錯化剤としては、例えば、クエン酸、ヒドロキシ酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、またはそれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩などのカルボン酸塩、グリシンなどのアミノ酸、エチレンジアミン、アルキルアミンなどのアミン酸、アンモニウム化合物、EDTA、ピロリン酸(塩)などが挙げられる。上記錯化剤は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0091】
上記無電解めっき法におけるめっき浴のpHは、好ましくは4〜14である。
【0092】
無電解めっき法においては、基材粒子のスラリーを添加すると、速やかに反応が始まり、水素ガスの発生を伴う。無電解めっき法における、無電解めっき工程の終了は、その水素ガスの発生が完全に認められなくなった時点をもって終了とする。
【0093】
本発明の導電性微粒子は、基材粒子(本発明の重合体微粒子)が均一に形成されたポリメタロキサン層を有するため、エッチング等の表面化学処理を行うことなく基材粒子と金属層との間に強固の密着性を有する。このため、圧縮強度や圧縮後の変形回復性能等の各種物性に優れ、圧着処理を行っても導電性微粒子の破壊や永久変形を来すことなく導通性を維持することができる。
【0094】
本発明の導電性微粒子において、基材粒子(本発明の重合体微粒子)と金属層との間に強固の密着性が発現される理由としては、基材粒子(本発明の重合体微粒子)の表面にポリメタロキサン層が均一に形成されているため、メタロキサン結合を表面に有するので、基材粒子(本発明の重合体微粒子)と金属層との界面において配位力やイオン力等による様々な結合力が生じるためと推察される。
【0095】
本発明の導電性微粒子は、異方性導電材料の構成材料として好適である。上記異方性導電材料とは、さまざまな形態により相対向する基板同士や電極端子同士を電気的に接続するものである。
【0096】
上記異方性導電材料を用いて電極同士を電気的に接続する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、絶縁性のバインダー樹脂中に本発明の導電性微粒子を分散させて異方性導電接着剤を作製したうえで、この異方性導電接着剤により接続する方法;絶縁性のバインダー樹脂と本発明の導電性微粒子とを別々に使用して接続する方法;等が挙げられる。
【0097】
上記バインダー樹脂としては、任意の適切なバインダー樹脂を採用し得る。例えば、アクリレート樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等の熱可塑性樹脂;グリシジル基を有するモノマーやオリゴマー及びイソシアネート等の硬化剤との反応により得られる硬化性樹脂組成物等の光や熱による硬化性樹脂組成物;等が挙げられる。
【0098】
上記異方性導電接着剤としては、任意の適切な異方性導電接着剤を採用し得る。例えば、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、異方性導電インク等が挙げられる。上記異方性導電フィルムは、例えば、異方性導電接着剤に溶媒を加えて溶液状にし、この溶液を離型フィルム上に流し込んだ後、溶媒を蒸発させて異方性導電接着剤を被膜状にすることにより得られる。得られた異方性導電フィルムは、例えば、接着すべき電極上に配置され、配置された異方性導電膜上に対向電極を重ね合わせ、加熱圧縮することにより電極間の接続に使用される。
【0099】
上記異方性導電ペーストは、例えば、異方性導電接着剤をペースト状にすることにより得られる。得られた異方性導電ペーストは、例えば、適当なディスペンサーに入れられ、接続すべき電極上に所望の厚さに塗工され、塗工された異方性導電ペースト上に対向電極を重ね合わせ、加熱するとともに加圧して樹脂を硬化させることにより、電極間の接続に使用される。
【0100】
上記異方性導電インクは、例えば、異方性導電接着剤に溶媒を加えて印刷に適した粘度にすることにより得られる。得られた異方性導電インクは、例えば、接着すべき電極上にスクリーン印刷し、その溶媒を蒸発させた後、印刷された異方性導電インクの上に対向電極を重ね合わせ、加熱圧縮することにより電極間の接続に使用される。
【0101】
上記異方性導電材料におけるフィルム膜厚、塗工膜厚及び印刷膜厚は、含有する導電性微粒子の平均粒子径と接続すべき電極の仕様とから計算し、接続すべき電極間に導電性微粒子が挟持され、接続すべき電極が形成された接合基板同士の空隙がバインダー樹脂層により充分に満たされるよう設定することが好ましい。
【0102】
本発明の導電性微粒子を用いた異方性導電材料は、高い導電性を示すばかりでなく、加重圧縮した際にも金属層が剥離、破壊されず、相対向する電極基板間の電気的な接続を確保することができる。また、経時安定性にも優れるので、長期間の使用においてもメッキ割れ等による導電性の低下を来すことなく、電極基板間の電気的な接続を堅持し信頼性の向上を図ることができる。
【実施例】
【0103】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。また、「重量%」を「wt%」と記すことがある。なお、各種評価は下記のように行った。
【0104】
<導電性微粒子のめっき割れの評価>
導電性微粒子について、走査電子顕微鏡(SEM、HITACHI社製、S−3500N)により、測定倍率1000倍で導電性微粒子の表面を観察し、金属めっき層の割れが観察個数の0.1%を超えた場合は「×(不良)」、金属めっき層の割れが観察個数の0.1%以下の場合は「○(良)」として評価した。なお、観察個数は10000個とした。
【0105】
<導電性微粒子のめっき欠陥の評価>
導電性微粒子について、走査電子顕微鏡(SEM、HITACHI社製、S−3500N)により、測定倍率1000倍で導電性微粒子の表面を観察し、一部にでも金属めっき層が被覆されていない部分が存在する場合は「×(不良)」、金属めっき層が被覆されていない部分が存在しない場合は「○(良)」として評価した。なお、観察個数は10000個とした。
【0106】
<異方性導電材料の評価>
導電性微粒子1gをエポキシ樹脂(三井化学製、ストラクトボンド(登録商標)、XN−5A)100gに混ぜて分散させ、導電性接着ペーストを作製した。その後、このペースト0.1mgを、内面にITO透明電極膜が形成された2枚のガラス基板で挟み、プレス機により、13.7MPaの圧力をかけつつ、150℃で30分間熱圧着して、試験片を作製した。作製した試験片に対してPCT試験を行い、PCT試験前後の電極間の抵抗値およびその変化(抵抗値上昇率)を測定した。
【0107】
〔実施例1〕:コア粒子の表面にポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子(1)
(コア粒子前駆体の作製)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、界面活性剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノールNF−08)を2部溶解したイオン交換水の水溶液150部を仕込んだ。そこへ、予め調製しておいたスチレン80部、ジビニルベンゼン10部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10部からなる単量体組成物、および、重合開始剤として2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V−65)2部を仕込み、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により5000rpmで5分間乳化分散させ、懸濁液を調製した。この懸濁液にイオン交換水250部を加え、窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持し、モノマーのラジカル重合を行った。ラジカル重合後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、精密分級を行い、窒素雰囲気下40℃で2時間真空乾燥し、コア粒子前駆体(1)を得た。コア粒子前駆体(1)の粒子径をコールターマルチナイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は4.83μm、変動係数(CV)は4.5%であった。
続いて、コア粒子前駆体(1)の表面に残ったアルコキシシリル基を加水分解して−Si−OH基とするため、得られたコア粒子前駆体(1)50部に25%アンモニア水5部、エタノール200部を加え、10分間超音波分散を行った後、室温で12時間撹拌した。次に、得られた懸濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでエタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下40℃で2時間真空乾燥し、コア粒子前駆体(1´)を得た。
(重合体微粒子の作製)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、乾燥したコア粒子前駆体(1´)30部、エタノール300部、25%アンモニア水6部、イオン交換水30部を加え、35℃で撹拌しながら、別途調製したテトラエトキシシラン30部、エタノール30部の混合液を、滴下ロートを用いて添加した。添加終了後、さらに10時間撹拌を行い、反応を終了させた。得られた懸濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下120℃で2時間真空乾燥し、コア粒子の表面にポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子(1)を得た。重合体微粒子(1)の粒子径をコールターマルチナイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は4.89μm、変動係数(CV)は4.5%であった。ポリメタロキサン被膜の厚みは0.03μmであった。
結果を表1、表2にまとめた。
【0108】
〔実施例2〕:コア粒子の表面にポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子(2)
(コア粒子前駆体の作製)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、界面活性剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノールNF−08)を2部溶解したイオン交換水の水溶液150部を仕込んだ。そこへ、予め調製しておいたスチレン60部、ジビニルベンゼン10部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン30部からなる単量体組成物、および、重合開始剤として2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V−65)2部を仕込み、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により5000rpmで5分間乳化分散させ、懸濁液を調製した。この懸濁液にイオン交換水250部を加え、窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持し、モノマーのラジカル重合を行った。ラジカル重合後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、精密分級を行い、窒素雰囲気下40℃で2時間真空乾燥し、コア粒子前駆体(2)を得た。コア粒子前駆体(2)の粒子径をコールターマルチナイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は3.63μm、変動係数(CV)は4.2%であった。
続いて、コア粒子前駆体(2)の表面に残ったアルコキシシリル基を加水分解して−Si−OH基とするため、得られたコア粒子前駆体(2)50部に25%アンモニア水5部、エタノール200部を加え、10分間超音波分散を行った後、室温で12時間撹拌した。次に、得られた懸濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでエタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下40℃で2時間真空乾燥し、コア粒子前駆体(2´)を得た。
(重合体微粒子の作製)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、乾燥したコア粒子前駆体(2´)30部、エタノール300部、25%アンモニア水6部、イオン交換水30部を加え、35℃で撹拌しながら、別途調製したテトラエトキシシラン30部、エタノール30部の混合液を、滴下ロートを用いて添加した。添加終了後、さらに10時間撹拌を行い、反応を終了させた。得られた懸濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下120℃で2時間真空乾燥し、コア粒子の表面にポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子(2)を得た。重合体微粒子(2)の粒子径をコールターマルチナイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は3.73μm、変動係数(CV)は4.2%であった。ポリメタロキサン被膜の厚みは0.05μmであった。
結果を表1、表2にまとめた。
【0109】
〔実施例3〕:コア粒子の表面にポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子(3)
(コア粒子前駆体の作製)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水400部、25%アンモニア水6部、メタノール180部を入れ、攪拌しながらこの溶液に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン50部を滴下口から添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解・縮合を行って、オルガノポリシロキサン粒子を調製した。次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノールNF−08)0.75部をイオン交換水175部で溶解した溶液に、スチレン110部、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート40部、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V−65)4部を溶解した溶液を加え、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により6000rpmで5分間乳化分散させてモノマーエマルションを調製した。反応開始から2時間後、モノマーエマルションをオルガノポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、さらに撹拌を行った。モノマーエマルション添加から2時間後、反応液をサンプリングして顕微鏡で観察を行ったところ、オルガノポリシロキサン粒子がモノマーを吸収して肥大化していることが確認された。次いで、反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持し、モノマーのラジカル重合を行った。ラジカル重合後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄し、さらに窒素雰囲気下80℃で12時間真空乾燥させて、コア粒子前駆体(3)を得た。コア粒子前駆体(3)の粒子径をコールターマルチナイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は3.52μm、変動係数(CV)は3.8%であった。
(重合体微粒子の作製)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、乾燥したコア粒子前駆体(3)30部、エタノール300部、25%アンモニア水6部、イオン交換水30部を加え、35℃で撹拌しながら、別途調製したテトラエトキシシラン30部、エタノール30部の混合液を、滴下ロートを用いて添加した。添加終了後、さらに10時間撹拌を行い、反応を終了させた。得られた懸濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下120℃で2時間真空乾燥し、コア粒子の表面にポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子(3)を得た。重合体微粒子(3)の粒子径をコールターマルチナイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は3.60μm、変動係数(CV)は3.8%であった。ポリメタロキサン被膜の厚みは0.04μmであった。
結果を表1、表2にまとめた。
また、得られた重合体微粒子(3)の電界放射型電子顕微鏡(日立製、FE−SEM、S−4800)による断面電子像を図1、図2、図3、図4に示す。図1は透過電子像、図3は図1のポリメタロキサン被膜部分を拡大した断面電子像、図2は反射電子像、図4は図2のポリメタロキサン被膜部分を拡大した断面電子像である。
【0110】
〔実施例4〕:コア粒子の表面にポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子(4)
(コア粒子前駆体の作製)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水400部、25%アンモニア水6部、メタノール180部を入れ、攪拌しながらこの溶液に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン50部を滴下口から添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解・縮合を行って、オルガノポリシロキサン粒子を調製した。次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノールNF−08)0.75部をイオン交換水175部で溶解した溶液に、スチレン110部、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート30部、ヒドロキシエチルメタクリレート10部、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V−65)4部を溶解した溶液を加え、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により6000rpmで5分間乳化分散させてモノマーエマルションを調製した。反応開始から2時間後、モノマーエマルションをオルガノポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、さらに撹拌を行った。モノマーエマルション添加から2時間後、反応液をサンプリングして顕微鏡で観察を行ったところ、オルガノポリシロキサン粒子がモノマーを吸収して肥大化していることが確認された。次いで、反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持し、モノマーのラジカル重合を行った。ラジカル重合後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄し、さらに窒素雰囲気下80℃で12時間真空乾燥させて、コア粒子前駆体(4)を得た。コア粒子前駆体(4)の粒子径をコールターマルチナイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は3.81μm、変動係数(CV)は3.5%であった。
(重合体微粒子の作製)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、乾燥したコア粒子前駆体(4)30部、エタノール300部、25%アンモニア水6部、イオン交換水30部を加え、35℃で撹拌しながら、別途調製したテトラエトキシシラン30部、エタノール30部の混合液を、滴下ロートを用いて添加した。添加終了後、さらに10時間撹拌を行い、反応を終了させた。得られた懸濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下120℃で2時間真空乾燥し、コア粒子の表面にポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子(4)を得た。重合体微粒子(4)の粒子径をコールターマルチナイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は3.93μm、変動係数(CV)は3.5%であった。ポリメタロキサン被膜の厚みは0.06μmであった。
結果を表1、表2にまとめた。
【0111】
〔実施例5〕:コア粒子の表面にポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子(5)
(コア粒子前駆体の作製)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水400部、25%アンモニア水20部、メタノール180部を入れ、攪拌しながらこの溶液に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン50部を滴下口から添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解・縮合を行って、オルガノポリシロキサン粒子を調製した。次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノールNF−08)0.75部をイオン交換水175部で溶解した溶液に、ジビニルベンゼン35部、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V−65)4部を溶解した溶液を加え、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により6000rpmで5分間乳化分散させてモノマーエマルションを調製した。反応開始から2時間後、モノマーエマルションをオルガノポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、さらに撹拌を行った。モノマーエマルション添加から2時間後、反応液をサンプリングして顕微鏡で観察を行ったところ、オルガノポリシロキサン粒子がモノマーを吸収して肥大化していることが確認された。次いで、反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持し、モノマーのラジカル重合を行った。ラジカル重合後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄し、さらに窒素雰囲気下80℃で12時間真空乾燥させて、コア粒子前駆体(5)を得た。コア粒子前駆体(5)の粒子径をコールターマルチナイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は3.15μm、変動係数(CV)は3.9%であった。
(重合体微粒子の作製)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、乾燥したコア粒子前駆体(5)30部、エタノール300部、25%アンモニア水6部、イオン交換水30部を加え、35℃で撹拌しながら、別途調製したテトラエトキシシラン30部、エタノール30部の混合液を、滴下ロートを用いて添加した。添加終了後、さらに10時間撹拌を行い、反応を終了させた。得られた懸濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下120℃で2時間真空乾燥し、コア粒子の表面にポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子(5)を得た。重合体微粒子(5)の粒子径をコールターマルチナイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は3.31μm、変動係数(CV)は3.9%であった。ポリメタロキサン被膜の厚みは0.08μmであった。
結果を表1、表2にまとめた。
【0112】
〔実施例6〕:コア粒子の表面にポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子(6)
(コア粒子前駆体の作製)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水400部、25%アンモニア水6部、メタノール180部を入れ、攪拌しながらこの溶液に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン50部を滴下口から添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解・縮合を行って、オルガノポリシロキサン粒子を調製した。次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノールNF−08)0.75部をイオン交換水175部で溶解した溶液に、スチレン110部、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート30部、ヒドロキシエチルメタクリレート10部、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V−65)4部を溶解した溶液を加え、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により6000rpmで5分間乳化分散させてモノマーエマルションを調製した。反応開始から2時間後、モノマーエマルションをオルガノポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、さらに撹拌を行った。モノマーエマルション添加から2時間後、反応液をサンプリングして顕微鏡で観察を行ったところ、オルガノポリシロキサン粒子がモノマーを吸収して肥大化していることが確認された。次いで、反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持し、モノマーのラジカル重合を行った。ラジカル重合後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄し、さらに窒素雰囲気下80℃で12時間真空乾燥させて、コア粒子前駆体(6)を得た。コア粒子前駆体(6)の粒子径をコールターマルチナイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は3.81μm、変動係数(CV)は3.5%であった。
(重合体微粒子の作製)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、乾燥したコア粒子前駆体(6)10部、エタノール300部、25%アンモニア水20部、イオン交換水30部を加え、35℃で撹拌しながら、別途調製したテトラエトキシシラン30部、エタノール30部の混合液を、滴下ロートを用いて添加した。添加終了後、さらに10時間撹拌を行い、反応を終了させた。得られた懸濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下120℃で2時間真空乾燥し、コア粒子の表面にポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子(6)を得た。重合体微粒子(6)の粒子径をコールターマルチナイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は4.21μm、変動係数(CV)は3.6%であった。ポリメタロキサン被膜の厚みは0.20μmであった。
結果を表1、表2にまとめた。
【0113】
〔比較例1〕:コア粒子の表面にポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子(C1)
(コア粒子前駆体の作製)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、界面活性剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノールNF−08)を2部溶解したイオン交換水の水溶液150部を仕込んだ。そこへ、予め調製しておいたスチレン90部、ジビニルベンゼン10部からなる単量体組成物、および、重合開始剤として2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V−65)2部を仕込み、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により5000rpmで5分間乳化分散させ、懸濁液を調製した。この懸濁液にイオン交換水250部を加え、窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持し、モノマーのラジカル重合を行った。ラジカル重合後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下40℃で2時間真空乾燥し、コア粒子前駆体(C1)を得た。コア粒子前駆体(C1)の粒子径をコールターマルチナイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は3.63μm、変動係数(CV)は29.5%であった。
(重合体微粒子の作製)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、乾燥したコア粒子前駆体(C1)30部、エタノール300部、25%アンモニア水6部、イオン交換水30部を加え、35℃で撹拌しながら、別途調製したテトラエトキシシラン30部、エタノール30部の混合液を、滴下ロートを用いて添加した。添加終了後、さらに10時間撹拌を行い、反応を終了させた。得られた懸濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下120℃で2時間真空乾燥し、コア粒子の表面にポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子(C1)を得た。重合体微粒子(C1)の粒子径をコールターマルチナイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は3.64μm、変動係数(CV)は29.5%であった。ポリメタロキサン被膜の厚みは0.005μmであった。
結果を表1、表2にまとめた。
【0114】
【表1】

【表2】

【0115】
〔実施例7〕:導電性微粒子(1)
ビーカーに「ピンクシューマー」(日本カニゼン株式会社製)50部とイオン交換水400部を入れ、混合して混合液を得た。別途、実施例1で得られた重合体微粒子(1)10部にイオン交換水50部を加えて超音波分散を行ったものを準備し、上記混合液に投入し、30℃で10分間撹拌した後、懸濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下100℃で2時間真空乾燥した。
次に、「レッドシューマー」(日本カニゼン株式会社製)100部とイオン交換水350部を入れ、混合して混合液を得た。別途、上記で得られた乾燥粒子10部にイオン交換水50部を加えて超音波分散を行ったものを準備し、上記混合液に投入し、30℃で10分間撹拌した後、懸濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下100℃で2時間真空乾燥した。
以上の操作により、重合体微粒子(1)の表面にパラジウムが吸着された。
上記で得られたパラジウム活性重合体微粒子をイオン交換水500部に添加し、超音波分散処理を30分間行い、粒子を十分に分散させて懸濁液を得た。この懸濁液を50℃で撹拌しながら、硫酸ニッケル6水和物50g/L、次亜リン酸ナトリウム1水和物20g/L、ジメチルアミンボラン2.5g/L、クエン酸50g/Lからなる無電解めっき液(pH=7.5)を徐々に懸濁液に添加して、無電解ニッケルめっきを行った。
めっき処理中の粒子を経時的にサンプリングして走査電子顕微鏡(SEM、HITACHI社製、「S−3500N」)による観察を行いながら、任意の10個の粒子径を測定し、めっき処理前の重合体微粒子(1)の粒子径測定結果との差からめっき厚みを算出し、めっき厚みが0.1μmになった時点で無電解めっき液の添加をやめた。得られた導電性微粒子を濾別し、イオン交換水で洗浄した後、さらにメタノールで洗浄し、その後、60℃で12時間真空乾燥を行い、導電性微粒子(1)を得た。
得られた導電性微粒子(1)について、めっき割れの評価、めっき欠陥の評価を行った。結果を表3にまとめた。
また、得られた導電性微粒子(1)について、異方性導電材料の評価を行った。結果を表4にまとめた。
【0116】
〔実施例8〕:導電性微粒子(2)
実施例1で得られた重合体微粒子(1)の代わりに、実施例2で得られた重合体微粒子(2)を用いた以外は、実施例6と同様に行い、導電性微粒子(2)を得た。
得られた導電性微粒子(2)について、めっき割れの評価、めっき欠陥の評価を行った。結果を表3にまとめた。
また、得られた導電性微粒子(2)について、異方性導電材料の評価を行った。結果を表4にまとめた。
【0117】
〔実施例9〕:導電性微粒子(3)
実施例1で得られた重合体微粒子(1)の代わりに、実施例3で得られた重合体微粒子(3)を用いた以外は、実施例6と同様に行い、導電性微粒子(3)を得た。
得られた導電性微粒子(3)について、めっき割れの評価、めっき欠陥の評価を行った。結果を表3にまとめた。
また、得られた導電性微粒子(3)について、異方性導電材料の評価を行った。結果を表4にまとめた。
【0118】
〔実施例10〕:導電性微粒子(4)
実施例1で得られた重合体微粒子(1)の代わりに、実施例4で得られた重合体微粒子(4)を用いた以外は、実施例6と同様に行い、導電性微粒子(4)を得た。
得られた導電性微粒子(4)について、めっき割れの評価、めっき欠陥の評価を行った。結果を表3にまとめた。
また、得られた導電性微粒子(4)について、異方性導電材料の評価を行った。結果を表4にまとめた。
【0119】
〔実施例11〕:導電性微粒子(5)
実施例1で得られた重合体微粒子(1)の代わりに、実施例5で得られた重合体微粒子(5)を用いた以外は、実施例6と同様に行い、導電性微粒子(5)を得た。
得られた導電性微粒子(5)について、めっき割れの評価、めっき欠陥の評価を行った。結果を表3にまとめた。
また、得られた導電性微粒子(5)について、異方性導電材料の評価を行った。結果を表4にまとめた。
【0120】
〔比較例2〕:導電性微粒子(C1)
実施例1で得られた重合体微粒子(1)の代わりに、比較例1で得られた重合体微粒子(C1)を用いた以外は、実施例6と同様に行い、導電性微粒子(C1)を得た。
得られた導電性微粒子(C1)について、めっき割れの評価、めっき欠陥の評価を行った。結果を表3にまとめた。
また、得られた導電性微粒子(C1)について、異方性導電材料の評価を行った。結果を表4にまとめた。
【0121】
〔比較例3〕:導電性微粒子(C2)
実施例1で得られた重合体微粒子(1)の代わりに、実施例1で得られたコア粒子前駆体(1)を用いた以外は、実施例6と同様に行い、導電性微粒子(C2)を得た。
得られた導電性微粒子(C2)について、めっき割れの評価、めっき欠陥の評価を行った。結果を表3にまとめた。
また、得られた導電性微粒子(C2)について、異方性導電材料の評価を行った。結果を表4にまとめた。
【0122】
〔比較例4〕:導電性微粒子(C3)
実施例1で得られた重合体微粒子(1)の代わりに、実施例3で得られたコア粒子前駆体(3)を用いた以外は、実施例6と同様に行い、導電性微粒子(C3)を得た。
得られた導電性微粒子(C3)について、めっき割れの評価、めっき欠陥の評価を行った。結果を表3にまとめた。
また、得られた導電性微粒子(C3)について、異方性導電材料の評価を行った。結果を表4にまとめた。
【0123】
【表3】

【0124】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明の重合体微粒子を含む本発明の導電性微粒子は、異方性導電材料の構成材料として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】重合体微粒子(3)の電界放射型電子顕微鏡による断面の透過電子像である。
【図2】重合体微粒子(3)の電界放射型電子顕微鏡による断面の反射電子像である。
【図3】図1の電子像におけるポリメタロキサン被膜部分を拡大した電子像である。
【図4】図2の電子像におけるポリメタロキサン被膜部分を拡大した電子像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si原子を含むコア粒子Pの表面に金属原子Mを含むポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子であって、
該コア粒子Pの表面に該ポリメタロキサン被膜が−Si−O−M−を含む構造によって結合されている、
重合体微粒子。
【請求項2】
前記ポリメタロキサン被膜が、金属原子Siを含むポリシロキサン被膜である、請求項1に記載の重合体微粒子。
【請求項3】
前記重合体微粒子の平均粒子径が0.5〜100μmである、請求項1または2に記載の重合体微粒子。
【請求項4】
前記ポリメタロキサン被膜の被覆率が100%である、請求項1から3までのいずれかに記載の重合体微粒子。
【請求項5】
前記ポリメタロキサン被膜の厚みが1〜500nmであり、該厚みが前記コア粒子Pの表面上で実質的に均一である、請求項1から4までのいずれかに記載の重合体微粒子。
【請求項6】
Si原子を含むコア粒子Pの表面に金属原子Mを含むポリメタロキサン被膜を有する重合体微粒子の製造方法であって、
表面に−Si−OH基を有するコア粒子前駆体P´が分散された溶媒に、加水分解可能な有機金属化合物またはその少なくとも一部が加水分解された縮合物を添加して、加水分解反応および/または縮合反応を行う、
重合体微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記ポリメタロキサン被膜が、金属原子Siを含むポリシロキサン被膜である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記加水分解可能な有機金属化合物が、一般式MXnで表される金属アルコキシド(ただし、Mは原子価数nの金属原子であり、Xはアルコキシ基である)である、請求項6または7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記加水分解可能な有機金属化合物が、一般式RpSiYqで表される有機ケイ素化合物(ただし、Rは置換基を有していても良い炭化水素基であり、Yは−OH基、−OR基、ハロゲン原子、水素原子のいずれかであり、Rはアルキル基、アシル基、アリール基、アラルキル基であり、pおよびqはp+q=4を満たす整数である)である、請求項6または7に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1から5までのいずれかに記載の重合体微粒子と金属層を含む、導電性微粒子。
【請求項11】
前記金属層が、無電解めっき法により形成された層である、請求項10に記載の導電性微粒子。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−83954(P2010−83954A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253057(P2008−253057)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】