説明

重水素化カテコールおよびベンゾ[d][1,3]ジオキソールおよびその誘導体の合成

薬物性能における改善が、特定の認可された医薬品の活性薬剤の特定の部位に重水を組み込むことによって達成され得ることが報告された。例としては、パロキセチンおよびタダラフィルが挙げられる。上記の薬物は全て、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基を含む。パロキセチンおよびタダラフィル中の上記ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基のメチレンジオキシ炭素は、重水素組み込みが、改善された薬物性能を提供すると報告された位置のうちの1つである。本発明は、d2−ベンゾ[d][1,3]ジオキソールの合成のための便利かつ効率的なプロセスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願)
本願は、2007年9月13日に出願された米国仮特許出願第60/993,565号の利益を主張する。米国仮特許出願第60/993,565号の全ての教示が、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
薬物性能における改善が、特定の認可された医薬品の活性薬剤の特定の部位に重水を組み込むことによって達成され得ることが報告された。例としては、パロキセチン(特許文献1および特許文献2を参照のこと)およびタダラフィル(特許文献3を参照のこと)が挙げられる。上記の薬物は全て、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基を含む。パロキセチンおよびタダラフィル中の上記ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基のメチレンジオキシ炭素は、重水素組み込みが、改善された薬物性能を提供すると報告された位置のうちの1つである。ベンゾ[d][1,3]ジオキソールおよびd−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール(すなわち、上記メチレンジオキシ炭素において2個の重水素を有するベンゾ[d][1,3]ジオキソール)の構造は、以下に示される:
【0003】
【化1】

しかし、部位特異的重水素組み込みは、適切な商業的合成を開発するにおいて別のレベルの複雑性を加える。具体的には、上記重水素を組み込む板目に使用される反応は、経済的でありかつ高い化学的収率および同位体収率の両方を生じる試薬を使用するべきである。パロキセチン、タダラフィルおよび天然生成物であるベルベリンの完全な合成は、代表的には、合成中間体としてベンゾ[d][1,3]ジオキソール誘導体を利用する。ベンゾ[d][1,3]ジオキソール誘導体は、代表的には、1,2−カテコールと、ジハロメタン(CHXY、ここでXおよびYは、同じもしくは異なるハライドである)とを反応させる工程:
【0004】
【化2】

によって作製される。重水素化ジハロメタン(CDXY)を使用して、d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソールを調製することは、上記ベンゾ[d][1,3]ジオキソール生成物への重水素の低い組み込みを生じる。すなわち、代表的には、各標識部位においてわずか約94%の重水素組み込みしか生じない:
【0005】
【化3】

上記低い同位体収率は、d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基を含む、パロキセチン、タダラフィルおよびベルベリンの重水素化アナログの商業的合成に決して望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2007/016431号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0112031号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0191381号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
いまや、重水素化ジハロメタンと、重水素化フェノール基を含むカテコールとを反応させることは、得られるd−ベンゾ[d][1,3]ジオキソールの同位体収率を99.0%超へと高めることが見いだされた(実施例1〜7を参照のこと)。この発見に基づくと、安価な試薬を使用して、d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソールを高い同位体収率および化学的収率において調製するための新規な2工程の方法が、本明細書で開示される。
【0008】
−ベンゾ[d][1,3]ジオキソールを調製するためのプロセスの第1の工程は、構造式(I)によって表されるカテコールと、重水素カチオン(本明細書において「D」ともいわれる)の供給源とを反応させて、少なくとも75%の重水素の同位体富化を有し、以下の構造式(II):
【0009】
【化4】

によって表される重水素化カテコールを形成する工程を包含する。
【0010】
上記プロセスの第2の工程は、構造式(II)によって表される上記重水素化カテコールと、ジハロジ重水素メタンとを反応させて、構造式(III):
【0011】
【化5】

によって表されるd−ベンゾ[d][1,3]ジオキソールを形成する工程を包含する。
【0012】
上記重水素化カテコールおよびd−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール中の環Aは、1個以上の基で置換されるが、ただし、上記置換基は、上記D供給源とも、存在する場合には塩基とも、上記ジハロジ重水素メタンとも、顕著な反応を受けない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、試験化合物Aとタモキシフェンとの間の薬物−薬物相互作用の可能性を示す。
【図2A】図2Aおよび2Bは、パロキセチンと比較して、試験化合物AのCYP2D6の不活性化を示す。
【図2B】図2Aおよび2Bは、パロキセチンと比較して、試験化合物AのCYP2D6の不活性化を示す。
【図3】図3は、パロキセチンについてのkINACT曲線を提供する。
【図4】図4は、ラット肝臓ミクロソームにおけるパロキセチンおよび試験化合物Aの代謝的安定性を示す。
【図5】図5は、ヒト肝臓ミクロソームにおけるパロキセチンおよび試験化合物Aの代謝的安定性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
の供給源は、構造式(I)によって示される上記カテコールを、構造式(II)によって表される上記重水素化カテコールに変換する場合に利用される。この反応は、本明細書中以降、「重水素/プロトン交換反応」といわれる。
【0015】
重水素カチオンの供給源は、交換可能なD、代表的には、約17未満のpKを有し、プロトン(H)の代わりにDを与える化合物である。適切な例としては、i)溶媒(例えば、DO);ii)重水素化アルコール性溶媒(ROD、ここでRは、例えば、C−C直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基である)(例えば、CHODおよびCHCHOD);ならびにiii)酸(例えば、DCl、DSO、DNOおよび重水素化スルホン酸(例えば、CHSOD))が挙げられる。DO、CHODおよびDClは、最も一般に使用されている。
【0016】
上記Dの供給源は、高いpK(例えば、DOおよびCHOD)を有する場合、上記供給源は、上記溶媒として、一般に使用される。他の試薬は、上記反応速度を増大するために添加され得る。一例において、上記他の試薬は、重水素カチオンの供給源および強酸の両方(例えば、DCl、DSO、DNOおよび重水素化スルホン酸(例えば、CHSOD))である。あるいは、上記他の試薬は、フェノール性基を脱プロトン化し得る塩基である;同位体希釈を妨げるために、上記塩基中の潜在的に交換可能なプロトンは、好ましくは、重水素で置換される。適切な塩基の例としては、NaH、MOD、X(OD)、MORおよびX(OR)が挙げられ、ここでMは、一価カチオン(例えば、Li、NaもしくはK)であり;Xは、二価カチオン(例えば、Mg+2およびCa+2)であり;Rは、C−C直鎖もしくは分枝鎖のアルキルである。必要に応じて、DOもしくはCHODと混和性の非プロトン性溶媒は、共溶媒として添加される。例としては、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルおよびジオキサンが挙げられる。
【0017】
上記重水素/プロトン交換反応は、一般に、室温と還流との間の温度で、2〜48時間にわたって行われ;より一般には、室温において約24時間にわたって行われる。
【0018】
上記Dの供給源および上記出発カテコールは、段階的もしくは1工程のいずれかで、任意の他の所望の試薬と一緒に合わされて、反応混合物を形成し、それによって、上記出発カテコールおよび上記D供給源を反応させる。上記反応の完了後に、上記重水素化カテコール生成物は単離されるか、または上記D供給源から分離される。得られた組成物は、上記重水素化カテコールを含み、実質的には上記D供給源を含まない。すなわち、上記単離された組成物の10重量%未満、好ましくは、5重量%未満、より好ましくは、2重量%未満、およびさらにより好ましくは、1重量%未満が、D供給源である。上記重水素化カテコールは、上記D供給源から、任意の適切な手段(上記D供給源が液体もしくは溶媒である場合に、真空でのエバポレーションによるものを含む)によって分離され得る。上記組成物中の得られた重水素化カテコールは、望ましい場合、任意の適切な手段(結晶化もしくはクロマトグラフィーが挙げられる)によってさらに精製され得る。上記組成物の純度は、代表的には、少なくとも90重量%、95重量%、98重量%もしくは99重量%の重水素化カテコールである。
【0019】
上記重水素化カテコールと上記重水素化ジハロジ重水素メタンとの間の上記反応は、本明細書において「アルキル化反応」といわれる。上記アルキル化反応は、少なくとも75%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、さらにより好ましくは、少なくとも90%およびさらにより好ましくは、少なくとも95%の重水素同位体富化を有する構造式(II)によって表される重水素化カテコール出発物質を利用する。これらレベルに対応する重水素富化は、上記重水素/プロトン交換反応を使用して得られ得る(実施例2を参照のこと)。上記%重水素同位体富化は、重水素で標識されていると示されている位置に存在する重水素の実際のモル数を、それらの位置で存在し得る重水素の理論的最大モル数で除算したものとして定義される。例えば、構造式(III)によって示される上記ベンゾ[d][1,3]ジオキソールにおいて、理論的には、ベンゾ[d][1,3]ジオキソールの1モルごとに2モルの重水素が存在する。85%の重水素富化は、ベンゾ[d][1,3]ジオキソールの1モルごとに1.7モルの重水素が存在することを意味する。同位体富化は、H NMR分析によって慣用的に決定される。
【0020】
ジハロジ重水素メタンは、CDXYによって表され、ここでXおよびYは、ハライドであり、そして同じであってもよいし、異なっていてもよい。例としては、CDCl、CDBr、CDもしくはBrCDClが挙げられる。CDClおよびCDBrは、より一般に使用される;そしてCDClは、最も一般に使用される。上記反応は、代表的には、極性非プロトン性溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ヘキサメチルホスホルアミドもしくはN,N−ジメチルプロピレン尿素)中で行われる。一実施形態において、N−メチルピロリドンおよびジメチルホルムアミドが使用される;別の実施形態において、ジメチルホルムアミドが使用される;そして別の実施形態において、N−メチルピロリドンとDOとの混合物が使用される。カテコールに対して5〜20容積の溶媒が一般に使用される;代表的には、10〜20容積が使用される。
【0021】
代表的には、上記アルキル化反応は、塩基の存在下で行われる。例としては、カーボネート塩基(例えば、KCOおよびCsCO)、アルコキシド塩基(例えば、NaOCHおよびカリウムtert−ブトキシド)、水素化物塩基(例えば、NaH)およびフルオリド塩基(例えば、KFおよびCsF)が挙げられる。上記カテコールに対して2〜4当量の塩基が、代表的には、使用され、より一般には、2.0〜2.2当量が使用される。
【0022】
上記アルキル化反応は、一般には、室温〜130℃の間の温度において1〜24時間にわたって行われる。より一般には、上記温度は、90〜110℃の間で1〜4時間の間である;および最も一般には、上記温度は、110℃で約1.5時間である。
【0023】
本明細書で開示される重水素化ベンゾ[d][1,3]ジオキソール中の上記重水素同位体富化は、代表的には、99.0%より大きく、より一般には、99.5%より大きく、さらにより一般には、99.9%より大きい。
【0024】
具体的な実施形態において、使用される上記重水素化カテコール出発物質および上記アルキル化反応において形成される上記重水素化ベンゾ[d][1,3]ジオキソールは、それぞれ、構造式(IV)および構造式(V)によって表される。上記重水素化カテコール出発物質は、少なくとも75%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、さらにより好ましくは、少なくとも90%およびさらにより好ましくは、少なくとも95%の重水素同位体富化を有する:
【0025】
【化6】

各Rは、独立して、ハロ;−OR;OR’;−CHO;−COOR;−COOR’;C(O)R’;−CN;−OC(O)NH;−OC(O)NHR’;−OC(O)N(R’);−CR=C(R;−C≡CR;もしくはRによって表される1個以上の基で必要に応じて置換されたアリール基である。
【0026】
各Rは、独立して、−HもしくはR’によって表される基である。
【0027】
各Rは、独立して、ハロ;アルキル、−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ;−CHO;−COOR;−COOR”;C(O)R”;−NO;ハロアルキル;−CN;NHR;−NRR”;−N(R”);−NHC(O)R”;−NHC(O)NH;−NHC(O)NHR”;−NHC(O)N(R”);−OC(O)NH;−OC(O)NHR”;−OC(O)N(R”);−NHC(O)H;−NHC(O)R”;−NHC(O)OR”;−S(O)R”;−S(O)R”;−SONH;−SONHR”;−SON(R”);−NHSONH;−NHSONHR”;−NHSON(R”);および−NHSOから選択される。
【0028】
R’は、アルキルもしくはアリールであり、その各々は、必要に応じてかつ独立して、ハロ;−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ;−CHO;−COOR;−COOR”;C(O)R”;−NO;アルキル;ハロアルキル;−CN;−NHR;−NRR”;−N(R”);−NHC(O)R”;−NHC(O)NH;−NHC(O)NHR”; −NHC(O)N(R”);−OC(O)NH;−OC(O)NHR”;−OC(O)N(R”);−NHC(O)H;−NHC(O)R”;−NHC(O)OR”;−S(O)R”;−S(O)R”;−SONH;−SONHR”;−SON(R”);−NHSONH;−NHSONHR”;−NHSON(R”);および−NHSOから選択される1個以上の基で置換される。
【0029】
R”はアルキルである。
【0030】
は、フェノール保護基である。
【0031】
は、カルボン酸保護基である。
【0032】
は、アミン保護基である。
【0033】
好ましくは、構造式(IV)および(V)に関して:
nは1である。
【0034】
は、ハロ;−OR;−OR’;−CHO;−COOR;−COOR’;C(O)R’;−CN;−CH=CHR;−C≡CH;−C≡CR;もしくはRによって表される1個以上の基で必要に応じて置換されたフェニル基である。
【0035】
各Rは、独立して、ハロ;アルキル;−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ;−CHO;−COOR;−COOR”;C(O)R”;−NO;ハロアルキル;および−CNから選択される。
【0036】
R’は、アルキル;もしくはハロで必要に応じて置換されたフェニル基;−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ;−CHO;−COOR;−COOR”;C(O)R”;−NO;アルキル;ハロアルキル;または−CNであり;そして
上記変数の残りは、上記で定義されるとおりである。
【0037】
別の実施形態において、上記アルキル化反応において使用される上記重水素化カテコール出発物質は、構造式(IVa)もしくは(IVb)によって表され、上記アルキル化反応において形成される上記重水素化ベンゾ[d][1,3]ジオキソールは、それぞれ、構造式(Va)もしくは(Vb)によって表される。上記重水素化カテコール出発物質は、少なくとも75%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、さらにより好ましくは、少なくとも90%およびさらにより好ましくは、少なくとも95%の重水素同位体富化を有する。
【0038】
【化7】

【0039】
【化8】

構造式(IVb)および(Vb)におけるRは、フェノール保護基である。
【0040】
別の具体的な実施形態において、上記カテコール出発物質および上記重水素/プロトン交換反応における上記重水素化カテコール生成物は、それぞれ、構造式(VI)および構造式(VII)によって表される。
【0041】
【化9】

は、ハロ;−OR;アルコキシ;−CHO;−COOR;−COOR’;C(O)R’;−CN;−CH=CHR;−C≡CH;−C≡CR;もしくはRによって表される1個以上の基で必要に応じて置換されたフェニル基であり;
は、−HもしくはR’によって表される基であり;
各Rは、独立して、ハロ;アルキル;−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ;−CHO;−COOR;−COOR”;C(O)R”;−NO;ハロアルキル;および−CNから選択され;
R’は、アルキル;もしくはハロで必要に応じて置換されたフェニル基;−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ;−CHO;−COOR;−COOR”;C(O)R”;−NO;ハロアルキル;または−CNであり;
は、フェノール保護基であり;そして
は、カルボン酸保護基である。
【0042】
別の実施形態において、カテコール出発物質および上記重水素/プロトン交換反応における上記重水素化カテコール生成物は、それぞれ、構造式(VIII)および構造式(IX)によって表される:
【0043】
【化10】

ここでRは、フェノールに対する保護基である。
【0044】
別の実施形態において、カテコール出発物質および上記重水素/プロトン交換反応における上記重水素化カテコール生成物は、それぞれ、構造式(X)および構造式(XI)によって表される。
【0045】
【化11】

構造式(VII)、(IX)もしくは(XI)によって表される上記重水素化カテコールは、上記Dの供給源から分離され、それによって、10%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、およびさらにより好ましくは、1%未満の重量でD供給源を含む組成物を生じる。重量による上記組成物の純度は、少なくとも90%、好ましくは、95%、より好ましくは、98%およびさらにより好ましくは、99%の重水素化カテコールであり、上記重水素化カテコールは、少なくとも75%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、さらにより好ましくは、少なくとも90%およびさらにより好ましくは、少なくとも95%の同位体富化を有する。
【0046】
本発明の別の実施形態は、構造式(VII)、(IX)もしくは(XI)によって表される重水素化カテコールを含む組成物である。この組成物は、重量で、10%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、およびさらにより好ましくは、1%未満のD供給源を含み;そして/または少なくとも90重量%、好ましくは、95重量%、より好ましくは、98重量%およびさらにより好ましくは、99重量%の純度の重水素化カテコールを有する。上記重水素化カテコールは、少なくとも75%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、さらにより好ましくは、少なくとも90%およびさらにより好ましくは、少なくとも95%の同位体富化を有する。
【0047】
本発明の別の実施形態は、構造式(XII):
【0048】
【化12】

によって表される重水素化ベンゾ[d][1,3]ジオキソールである。
【0049】
構造式(XII)によって表される化合物の同位体富化は、少なくとも99.0%;より一般には、99.5%より大きく、そしてさらにより一般には、99.9%より大きい;
nは、1、2もしくは3であり;
各Rは、独立して、フルオロ;クロロ;ヨード;−OR;アルコキシ;−CHO;−COOR;−COOR’;C(O)R’;−CN;−OC(O)NH;−OC(O)NHR’;−OC(O)N(R’);−CR=C(R;−C≡CR;もしくはRによって表される1個以上の基で必要に応じて置換されたアリール基であり;
各Rは、−HもしくはR’によって表される基であり;
によって表される各基は、独立して、ハロ;アルキル;−OR;OR’;−CHO;−COOR;−COOR”;C(O)R”;−NO;ハロアルキル;−CN;−NHR;−NRR”;−N(R”);−NHC(O)R”;−NHC(O)NH;−NHC(O)NHR”;−NHC(O)N(R”);−OC(O)NH;−OC(O)NHR”;−OC(O)N(R”);−NHC(O)H;−NHC(O)R”;−NHC(O)OR”; −S(O)R”;−S(O)R”;−SONH;−SONHR”;−SON(R”);−NHSONH;−NHSONHR”;−NHSON(R”);もしくは−NHSOであり;
R’は、アルキルもしくはアリールであり、各々必要に応じてかつ独立して、ハロ;−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ;−CHO;−COOR;−COOR”;C(O)R”;−NO;アルキル;ハロアルキル;−CN;−NHR;−NRR”;−N(R”);−NHC(O)R”;−NHC(O)NH;−NHC(O)NHR”;−NHC(O)N(R”);−OC(O)NH;−OC(O)NHR”; −OC(O)N(R”);−NHC(O)H;−NHC(O)R”;−NHC(O)OR”;−S(O)R”;−S(O)R”;−SONH;−SONHR”;−SON(R”);−NHSONH;−NHSONHR”;−NHSON(R”);もしくは−NHSOで置換され;
R”はアルキルであり;
は、−Hもしくはフェノール保護基であり;
は、−Hもしくはカルボン酸保護基であり;そして
は、−Hもしくはアミン保護基である。
【0050】
代替の実施形態において、構造式(XII)によって表される化合物の同位体富化は、少なくとも96%(例えば、少なくとも97%および少なくとも98%)であり、上記構造的変数の全ては、上記のとおりである。
【0051】
本発明の別の実施形態は、構造式(XIIa):
【0052】
【化13】

によって表される重水素化ベンゾ[d][1,3]ジオキソールである。
【0053】
構造式(XIIa)によって表される化合物の同位体富化は、少なくとも99.0%;より一般には、99.5%より大きく、さらにより一般には、99.9%より大きい;
は、フルオロ;クロロ;ヨード;−OR;アルコキシ;−CHO;−COOR;−COOR’;C(O)R’;−CH=CHR;−C≡CH;−C≡CR;もしくはRによって表される1個以上の基で必要に応じて置換されたフェニル基であり;
各Rは、独立して、ハロ;アルキル;−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ;−CHO;−COOR;−COOR”;C(O)R”;−NO;ハロアルキル;および−CNから選択され;
R’は、アルキル基;もしくはハロで必要に応じて置換されたフェニル基;−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ;−CHO;−COOR;−COOR”;C(O)R”;−NO;アルキル;ハロアルキル;または−CNであり;そして
上記変数の残りは、構造式(XII)について上記に記載されるとおりである。
【0054】
別の実施形態において、上記重水素化ベンゾ[d][1,3]ジオキソールは、構造式(XIII):
【0055】
【化14】

によって表され、
は、−CHOもしくは−ORであり;Rは、−Hもしくはフェノール保護基である。
【0056】
代替の実施形態において、構造式(XIIa)および(XIII)によって表される化合物の同位体富化は、少なくとも96%(例えば、少なくとも97%および少なくとも98%)であり、上記構造的変数の全ては、上記で記載されるとおりである。
【0057】
開示される方法によって調整される2個の特に有用なd−ベンゾ[d][1,3]ジオキソールの構造は、以下に示される:
【0058】
【化15】

構造式(XIV)によって表されるd−ベンゾ[d][1,3]ジオキソールは、重水素化タダラフィル(XIX、R=H、R=CD)および重水素化ベルベリン(XXI、X=Cl)(スキーム3を参照のこと)の調製において使用され;構造式(XV)によって表される上記d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソールは、重水素化パロキセチンXVII(スキーム1を参照のこと)およびXVIII(スキーム7を参照のこと)の調製において使用される。適切な実験条件の詳細は、以下のとおりである。
【0059】
本発明の別の実施形態は、重水素化パロキセチン、重水素化タダラフィル、または上記重水素化パロキセチンもしくは上記重水素化タダラフィルの薬学的に受容可能な塩である。上記重水素化パロキセチン、重水素化タダラフィル、または上記重水素化パロキセチンもしくは上記重水素化タダラフィルの薬学的に受容可能な塩は、構造式(XVI):
【0060】
【化16】

によって表されるベンゾ[d][1,3]ジオキソール基を含む。
【0061】
構造式(XVI)(および上記ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基を有する他の構造式)において、上記重水素を有する炭素は、メチレンジオキシ炭素といわれる。重水素での構造式(XVI)によって表される上記ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基の同位体富化は、少なくとも99.0%、代表的には、少なくとも99.5%およびより代表的には、少なくとも99.9%である。重水素での構造式(XVI)によって表されるベンゾ[d][1,3]ジオキソール基の99.0% 同位体富化は、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基1モルあたり、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基中に合計で少なくとも0.990×2モルの重水素原子の代わりに、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール1モルあたり、重水素を有するとして示された各部位において少なくとも0.990モルの重水素が存在することを意味する。
【0062】
言い換えると、構造式(XVI)によって表される上記ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基の重水素での99% 同位体富化は、上記構造中の各々示された重水素原子に関して、上記構造によって表される化合物の分子のうちの少なくとも99.0%が、その重水素原子が存在することを意味する。
【0063】
本発明の重水素化パロキセチンおよび重水素化タダラフィルの例は、構造式(XVII)〜(XIX):
【0064】
【化17】

によって表され、Rは、HもしくはDであり、Rは、−CHもしくは−CDである。構造式(XVII)および(XVIII)によって表される重水素化パロキセチン、ならびに構造式(XI)によって表される重水素化タダラフィルの薬学的に受容可能な塩がまた、含まれる。
【0065】
代替の実施形態において、構造式(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)、(XVIII)、(XIX)、(XX)および(XXI)によって表される化合物の同位体富化は、少なくとも96%(例えば、少なくとも97%および少なくとも98%)であり、上記構造的変数の全ては、上記所定の構造式について上記で記載されるとおりである。
【0066】
特定のセットの実施形態において、構造式II、III、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VII、IX、XI、XII、XIIa、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX、XX、およびXXIにおいて重水素として指定されないいかなる原子も、その天然の同位体量において存在する。
【0067】
上記ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基の範囲外である構造式(XVII)〜(XIX)に示される表示部位に重水素を組み込むための合成の詳細は、WO 2007/016431、US2007/0112031およびUS2007/0191381(その教示全体は、本明細書に参考として援用される)に提供される。
【0068】
本発明の別の実施形態は、重水素化ベルベリンである。上記重水素化ベルベリンは、構造式(XX):
【0069】
【化18】

によって表されるベンゾ[d][1,3]ジオキソール基を含む。
重水素での構造式(XX)によって表される上記ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基の上記同位体富化は、少なくとも99.0%、代表的には、少なくとも99.5%、およびより代表的には、少なくとも99.9%である。重水素での構造式(XX)によって表されるベンゾ[d][1,3]ジオキソール基の上記99.0% 同位体富化は、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基1モルあたり、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基において合計で少なくとも0.990×2モルの重水素原子の代わりに、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール1モルあたり、重水素を有するとして示された各々の部位において少なくとも0.990モルの重水素が存在することを意味する。
【0070】
本発明の重水素化ベルベリンの例は、構造式(XXI):
【0071】
【化19】

によって表され、ここでXは、薬学的に受容可能なアニオンである。
【0072】
本発明の重水素化化合物が、上記ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基(例えば、構造式(XXI)におけるメトキシ基)以外の位置において重水素を有すると示されている場合、上記示された部位に存在する各重水素に対する上記同位体富化は、少なくとも15%、少なくとも22.5%、少なくとも30%、少なくとも37.5%、少なくとも45%、少なくとも52.5%、少なくとも60%の重水素、少なくとも67.5%、少なくとも75%、少なくとも82.5%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99.0%、もしくは少なくとも99.5%である。重水素化の部位として示された部位に存在する各重水素の同位体富化は、他の重水素化部位とは無関係であることが理解される。
【0073】
本明細書で開示される重水素化パロキセチンおよび重水素化タダラフィル化合物の薬学的に受容可能な塩は、本発明に含まれる。これら開示される化合物は、塩基性アミン基を有し、従って、薬学的に受容可能な酸と薬学的に受容可能な塩を形成し得る。本発明の化合物の適切な薬学的に受容可能な酸付加塩としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸)の塩および有機酸(例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸、および酒石酸)の塩が挙げられる。四級アンモニウム基を有する化合物(例えば、ベルベリン)はまた、対アニオン(例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酢酸イオン、過塩素酸イオンなど)もしくは上記酸のうちのいずれか1つのアニオンを含む。このような塩の他の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩[例えば、(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩もしくはこれらの混合物(ラセミ混合物を含む)]、コハク酸塩、安息香酸塩、およびグルタミン酸のと唸アミノ酸との塩が挙げられる。
【0074】
用語「アルキル」とは、本明細書において使用される場合、1〜10個の炭素原子、より代表的には、1〜6個を有する飽和の直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素;または3〜8個の炭素原子を有する飽和の環式炭化水素を意味する。
【0075】
用語「アリール基」とは、炭素環原子のみ(代表的には、6〜14個)を有する炭素環式芳香族環を意味し、単環式芳香族環系(例えば、フェニル)および縮合多環式芳香族環系(ここで2個以上の炭素環式芳香族環が、互いに縮合される)が挙げられる。例としては、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシルが挙げられる。
【0076】
構造式(I)および(II)中の環Aは、そこに記載される反応を妨害しない置換基を含む。具体的には、上記アルキル化反応において使用される塩基と反応するように十分酸性である置換基は、適切な保護基で望ましくは誘導体化される。このタイプの置換基の例としては、カルボン酸、スルホン酸、アルコールおよびフェノールが挙げられる。さらには、上記ジハロジ重水素メタンと反応し得るように十分に求核性である置換基はまた、適切な保護基で望ましくは誘導体化される。このタイプの置換基の例としては、一級アミンおよび二級アミン、フェノールならびにアルコールが挙げられる。
【0077】
「保護基」および上記フェノール基を保護しかつ脱保護するための反応および条件は、当該分野で周知であり、例えば、Greene and Wuts,「Protective Groups in Organic Synthesis」,John Wiley & Sons(2007),第2章およびそこに引用される参考文献において開示される。
【0078】
適切な保護基は、上記フェノール基をエーテルとして保護し、このような保護基の例としては、以下が挙げられる:メチル、メトキシメチルメチル、メチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル、ベンジルオキシメチル、p−メトキシベンジルオキシメチル、[3,4−ジメトキシベンジル)オキシ]メチル、p−ニトロベンジルオキシメチル、o−ニトロベンジルオキシメチル、[(R)−1−(2−ニトロフェニル)エトキシ]メチル、(4−メトキシフェノキシ)メチル、グアヤコールメチル、[(p−フェニルフェニル)オキシ]メチル、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2−シアノエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、メトキシ(menthoxy)メチル、o−ビス(2−アセトキシエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、フッ素系(fluorous)テトラヒドロピラニル、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、S,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル、1−(2−フルオロフェニル)−4−メトキシピペリジン−4−イル、1−(4−クロロフェニル)−4−メトキシピペリジン−4−イル、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ(octahyrdo)−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、2−ヒドロキシエチル、2−ブロモエチル、1−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、1−メチル−1−フェノキシエチル、2,2,2−トリクロロエチル、1,1,−ジアニシル−2,2,2,−トリクロロエチル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニルイソプロピル、1−(2−シアノエトキシ)エチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(ベンジルチオ)エチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、シクロヘキシル、1−メチル−1’−シクロプロピルメチル、アリル、プレニル、シンナミル、2−フェンアリル、プロパルギル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、p−ニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、ベンジル、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2,6−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、ペンタジエニルニトロベンジル、ペンタジエニルニトロピペロニル、ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、2,6−ジフルオロベンジル、p−シアノベンジル、フッ素系ベンジル、4−フッ素系アルコキシベンジル、トリメチルシリルキシリル、p−フェニルベンジル、2−フェニル−2−プロピル(クミル)、p−アシルアミノベンジル、p−アジドベンジル、4−アジド−3−クロロベンジル、2−トリフルオロメチルベンジルおよび4−トリフルオロメチルベンジル、p−(メチルスルフィニル)ベンジル、p−シルエタニル(siletanyl)ベンジル、4−アセトキシベンジル、4−(2−トリメチルシリル)エトキシメトキシベンジル、2−ナフチルメチル、2−ピコリルおよび4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリル N−オキシド、2−キノリニルメチル、6−メトキシ−2−(4−メチルフェニル(pheny))−4−キノリンメチル、1−ピレニルメチル、ジフェニルメチル、4−メトキシジフェニルメチル、4−フェニルジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、トリス(4−t−ブチルフェニル)メチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモフェナシルオキシ)フェニルジフェニルメチル、4,4’,4”−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4”トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、4,4’−ジメトキシ−3”−[N−(イミダゾリルメチル)トリチル、4,4’−ジメトキシ−3”−[N−(イミダゾリルエチル)カルバモイル]トリチル、ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル、4−(17−テトラベンゾ[a,c,g,i]フルオレニルメチル)−4,4”−ジメトキシトリチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−フェニルチオキサンチル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル、4,5−ビス(エトキシカルボニル−[1,3]−ジオキソラン−2−イル、ベンゾイソチアゾリル S,S−ジオキシド(oxido)、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル(siyl)、ジエチルイソプロピルシリル、ジメチルテキシル(thexyl)シリル、2−ノルボルニルジメチルシリル(sily)、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、ジ−t−ブチルメチルシリル、ビス(t−ブチル)−1−ピレニルメトキシシリル、トリス(トリメチルシリル)シリル、sisyl、(2−ヒドロキシスチリル)ジメチルシリル、(2−ヒドロキシスチリル)ジイソプロピルシリル、t−ブチルメトキシフェニルシリル、t−ブトキシジフェニルシリルおよび1,1,3,3−テトライソプロピル−3−[2−(トリフェニルメトキシ)エトキシ]ジシロキサン−1−イル。
【0079】
あるいは、適切な保護基は、エステルとして(例えば、例えば、ホルメート、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリクロロアセトアミデート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、フェニルアセテート、p−フェニルアセテート、ジフェニルアセテート、3−フェニルプロピオネート、ビスフッ素系(bisfluorous)鎖タイププロパノイル(Bfp−OR)、4−ペンタノエート、4−オキソペンタノエート(レブリネート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、5−[3−ビス(4−メトキシフェニル)ヒドロキシメチルフェノキシ]レブリネート、ピバロエート、1−アダマントエート、クロトネート、4−メトキシクロトネート、ベンゾエート、p−フェニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート(メシトエート(mesitoate))、4−ブロモベンゾエート、2,5−ジフルオロベンゾエート、p−ニトロベンゾエート、ピコリネート、ニコチネート、2−(アジドメチル)ベンゾエート、4−アジドブチレート、(2−アジドメチル)フェニルアセテート、2−{[(トリチルチオ)オキシ]メチル}ベンゾエート、2−{[(4−メトキシトリチルチオ)オキシ]メチル}ベンゾエート,2−{[メチル(トリチルチオ)アミノ]メチル}ベンゾエート、2{{[4−メトキシトリチル)チオ]メチルアミノ}−メチル}ベンゾエート、2−(アリルオキシ)フェニルアセテート、2−(プレニルオキシメチル)ベンゾエート、6−(レブリニルオキシメチル)−3−メトキシ−2−および4−ニトロベンゾエート、4−ベンジルオキシブチレート、4−トリアルキルシロキシブチレート(butrate)、4−アセトキシ−2,2−ジメチルブチレート、2,2−ジメチル−4−ペンタノエート、2−ヨードベンゾエート、4−ニトロ−4−メチルペンタノエート、o−(ジブロモメチル)ベンゾエート、2−ホルミルベンゼンスルホネート、4−メチルチオメトキシ)ブチレート、2−メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート、2−(クロロアセトキシメチル)ベンゾエート、2[(2−クロロアセトキシ)エチル]ベンゾエート、2−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ベンゾエート、2−[2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル]ベンゾエート、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセテート、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、イソブチレート、モノスクシノエート、(E)−2−メチル−2−ブテノエートtigloate)、o−(メトキシカルボニル)ベンゾエート、p−ベンゾエート、α−ナフトエート、ニトレート、アルキルN,N,N’,N’−テトラメチルホスホロジアミデート、2−クロロベンゾエート)、スルホネート、スルフェネートおよびスルフィネートとして(例えば、スルフェート、アリルスルホネート、エタンスルホネート(メシレート)、ベンジルスルホネート、トシレート、2−[(4−ニトロフェニル)エチル]スルホネート、2−トリフルオロメチルスルホネート、4−モノメトキシトリチルスルフェネート、アルキル2,4−ジニトロフェニルスルフェネート、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−3−オン−1−スルフィネート、ボレート、ジメチルホスフィノチオイル)、カーボネートとして(例えば、アルキルメチルカーボネート、メトキシメチルカーボネート、9−フルオレニルメチルカーボネート、エチルカーボネート、ブロモエチルカーボネート、2−(メチルチオメトキシ)エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−[ジメチル(2−ナフチルメチル)シリル]エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、2−(トリフェニルホスホニオ(phosphonio))エチルカーボネート、cis−[4−[[(−メトキシトリチル)スルフェニル]オキシ]テトラヒドロフラン−3−イル]オキシカーボネート、イソブチルカーボネート、t−ブチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネート、シンナミルカーボネート、プロパルギルカーボネート、p−クロロフェニルカーボネート、p−ニトロフェニルカーボネート、4−エトキシl−1−ナフチルカーボネート、6−ブロモ−7−ヒドロキシクマリン−4−イルメチルカーボネート、ベンジルカーボネート、o−ニトロベンジルカーボネート、p−ニトロベンジルカーボネート、p−メトキシベンジルカーボネート、3,4−ジメトキシベンジルカーボネート、アントラキノン−2−イルメチルカーボネート、2−ダンシルエチルカーボネート、2−(4−ニトロフェニル)エチル、2−(2,4−ニトロフェニル)エチル、2−(2−ニトロフェニル)プロピル、2−(3,4−メチレンジオキシ−6−ニトロフェニルプロピル、2−シアノ−1−フェニルエチルカーボネート、2−(2−ピリジル)アミノ−1−フェニルエチルカーボネート、2−[N−メチル−N−(2−ピリジル)]アミノ−1−フェニルエチルカーボネート、フェナシルカーボネート、3’,5’−ジメトキシベンゾインカーボネート、メチルジチオカーボネート、S−ベンジルチオカーボネート)、およびカルバメートとして(例えば、ジメチルチオカルバメート、N−フェニルカルバメート、およびN−メチル−N−(o−ニトロフェニル)カルバメート)、上記フェノール基を保護する。
【0080】
アミノ基に適した保護基の例としては、カルバメート(例えば、メチル、エチル、9−フルオレニルメチル、9−(2−スルホ)フルオレニルメチル、9−(2,7−ジブロモ)フルオレニルメチル、17−テトラベンゾ[a,c,g,i]fluoernylthメチル、2−クロロ−3−インデニルメチル、ベンゾ[f]インデン−3−イルメチル−2,7−ジ−t−ブチル−[9−(10,10−ジオキソ−10,10,10,10−テトラヒドロチオキサンチル)]メチル、1,1−ジオキソベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−フェニルエチル、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル、2−クロロエチル、1,1−ジメチル−2−ハロエチル、1,1−ジメチル−2−dibroメチル、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチル、1−メチル−1−(4−ビフェニルイル)エチル、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチル、t−ブチル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、ビニル、アリル、1−イソプロピルアリル、シンナミル、4−ニトロシンナミル、ベンジル、p−メトキシベンジル、p−ニトロベンジル、p−ブロモベンジル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、m−ニトロフェニル、3,5−ジメトキシベンジル、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル、α−メチルニトロピペロニル、o−ニトロベンジル、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジル、およびフェニル(o−ニトロフェニル)メチル)、アミド(例えば、n−ホルミル、n−アセチル、n−クロロアセチル、n−トリクロロアセチル、n−トリフルオロアセチル、n−フェニルアセチル、およびn−3−フェニルプロピオニル)、N−アルキルおよびN−アリールアミン(例えば、n−メチル、n−t−ブチル、n−アリル、n−ベンジル、n−4−メトキシベンジル、n−2,4−ジメトキシベンジル、およびn−2−ヒドロキシベンジル)が挙げられる。
【0081】
カルボン酸基に適した保護基の例としては、以下が挙げられる:9−フルオレニルメチル、メトキシメチル、メチルチオメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、メトキシエトキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、ベンジルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、フェニルアセトキシメチル、トリイソプロピルシリルメチル、シアノメチル、アセトール、p−ブロモフェナシル、α−メチルフェナシル、p−メトキシフェナシル、デシル、カルボキサミドメチル、p−アゾベンゼンカルボキサミドメチル、N−フタルイミドメチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−ハロエチル、ω−クロロアルキル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−メチルチオエチル、1,3−ジチアニル−2−メチル、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2−(p−トルエンスルホニル)エチル、2−2’−ピリジル)エチル、2−(p−メトキシフェニル)エチル、2−(ジフェニルホスフィノ)エチル、1−メチル−1−フェニルエチル、2−(4−アセチル−2−ニトロフェニル)エチル、2−シアノエチル、t−ブチル、3−メチル−3−ペンチル、ジシクロプロピルメチル、2,4−ジメチル−3−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、メタリル(methallyl)、2−メチルブト−3−エン−2−イル、3−メチルブト−2−(プレニル)、3−ブテン−1−イル、4−(トリメチルシリル)−2−ブテン−1−イル、シンナミル、α−メチルシンナミル、プロプ−2−イニル(プロパルギル)、フェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェニル、p−(メチルチオ)フェニル、ペンタフルオロフェニル(pheynyl)、ベンジル、トリフェニルメチル、ジフェニルメチル、ビス(o−ニトロフェニル)メチル、9−アントリルメチル、2−(9,10−ジオキソ)アントリルメチル、5−ジベンゾスベリル、1−ピレニルメチル、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチル、2,4,6−トリメチルベンジル、p−ブロモベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−メトキシベンジル、2,6−ジメトキシベンジル、4−(メチルスルフィニル)ベンジル、4−スルホベンジル、4−アジドメトキシベンジル、4−{N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]アミノ}ベンジル、ピペロニル、4−ピコリル、p−ベンジル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、i−プロピルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジ−t−ブチルメチルシリルおよびトリイソプロピルシリル。
【0082】
本明細書において示される構造式は、重水素で付加される部位として特定の原子を明示する(例えば、構造式(II)中のフェノール性の基)が、他の位置を明示しない。大部分の一般的な実施形態において、特定の位置が同位体付加されるか否かに関して、構造式に記載がない場合、上記特定の位置における安定な同位体は、天然の量で存在するか、または代わりに上記特定の位置が天然に存在する安定な1個以上の同位体で同位体付加されているかのいずれかであることが理解されるべきである。より具体的な実施形態において、上記安定な同位体は、同位体富化の潜在的な部位として明示されていない化合物中の全ての位置(本明細書において「明示されていない原子」という)において天然の量で存在する。
【0083】
本発明は、具体的に示されかつその例示的な実施形態を参照しながら記載されてきたが、形態および詳細における種々の変化が、添付の特許請求の範囲によって包含される発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることは、当業者によって理解される。
【0084】
(ジ重水素ベンゾ[d][1,3]ジオキソールを使用する例示的合成)
−パロキセチン、d−およびd−タダラフィル、ならびにd−ベルベリンの調製を概説する以下のスキームは、ジ重水素ベンゾ[d][1,3]ジオキソール中間体XIVおよびXVが使用され得る例として示される。
【0085】
(D−パロキセチン合成)
中間体XVを使用する、(3S,4R)−3−((2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルオキシ)メチル−d)−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジンヒドロクロリドとしても公知のd−パロキセチン(XVII)の合成は、以下のスキーム1に概説される。上記合成手順の詳細が提供され、これは、d−パロキセチンの実際の調製に基づき、この調製は、高度に同位体富化された中間体XVの利益なしに行われた。当業者は、同じ手順を、本発明の中間体XVを使用して行って、メチレンジオキシ炭素位置の高い同位体富化を有するd−パロキセチンを提供し得ることを認識する。
【0086】
スキーム1
【0087】
【化20】

(3S,4R)−3−((2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルオキシ)メチル−d)−4−(4−フルオロフェニル)−1−メチルピペリジン(3)の合成。5℃のトルエン中の((3S,4R)−4−(−4−フルオロフェニル)−1−メチルピペリジン−3−イル)メタノール−d(1)の溶液に、ジメチルエチルアミンを攪拌しながら添加し得る。窒素パージを取り付け得、上記混合物を、0℃へとさらに冷却し得る。トルエン中のベンゼンスルホニルクロリドの混合物を、70分間(分)にわたってゆっくりと添加し、その温度を約0℃で維持し得る。上記得られた混合物を、20分間攪拌し、その温度を10℃へと上昇させ得る。飽和ブラインおよび水酸化ナトリウム水溶液の混合物を、10分間にわたって添加し得、上記得られた混合物を、10℃において15分間にわたって攪拌し得る。その水相を分離し得、トルエンで抽出し得る。その合わせたトルエン相を、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ得、濾過し得、上記溶媒の約1/3を、真空下で除去し得る。中間体1aの溶液を、N,N’−ジメチルホルムアミドで希釈し得、上記得られた混合物を、50℃へと加温し得、XVの溶液およびN,N’−ジメチルホルムアミド中のナトリウムメトキシド(9.33g)を、20分間にわたって添加し得る。水を添加し得、上記混合物を、70℃へと加熱し得、次いで、室温において1時間にわたって攪拌し得る。50℃へと冷却した後、より多くの水を添加し得、攪拌を、15分間にわたって継続し得る。その水相を分離し得、トルエンで抽出し得る。その合わせたトルエン相を、2.5モル濃度の水酸化ナトリウム水溶液(2回)および水(1回)で洗浄する。次いで、上記得られたトルエン相を、無水硫酸マグネシウム(10.4g)で乾燥させ得、濾過し得る。トルエンを、減圧して蒸留することによって除去して、淡黄色固体として3を形成し得、これを、真空オーブン(40℃)中で一晩乾燥させ得る。
【0088】
(3S,4R)−フェニル−3−((2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソロ−5−イルオキシ)メチル−d)−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−1−カルボキシレート(4)の合成。乾燥トルエン中のメチルピペリジン(3)の溶液を、60〜65℃へと加熱し得、フェニルクロロホルメートを、攪拌しながら15分間にわたって添加し得る。上記得られた混合物を、1時間にわたって60〜65℃において攪拌し得、次いで、20℃へと冷却し得、10% 硫酸水溶液で洗浄し得る。その合わせた酸洗浄物を、トルエンで抽出し、その合わせた有機相を、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライトを通して濾過する。その濾液を、真空中で濃縮し得、続いて、プロパン−2−オールを添加し得;この濃度/再融解工程を、2回反復し得る。プロパン−2−オールで最後に融解した後、上記溶液を、0〜5℃へと2時間にわたってゆっくりと冷却し得、次いで、約1時間にわたってこの温度で攪拌して、上記生成物を結晶として提供し得る。上記結晶を濾過によって単離し、乾燥させて、生成物4を得る。
【0089】
(3S,4R)−3−((2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルオキシ)メチル−d)−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジンヒドロクロリド(XVII)の合成。3N KOH(0.37mL)中の4の懸濁物(0.8mmol)を、還流しながら4時間にわたって加熱し得る。上記混合物を冷却し得、水および塩化メチレン各々10mLの間で分配し得る。上記水性部分を分離し得、塩化メチレンで抽出し得、そしてその合わせた有機層を、50% ブラインで洗浄し得、MgSOで乾燥させ得、真空中で濃縮し得る。その残渣を、2mLのイソプロピルアルコール中にとり、ジオキサン中の4.2N 溶液として0.9mmolの無水HClで処理し得る。上記得られた固体を濾過し得、少量のイソプロピルアルコール、次いで、エーテルで洗浄し得、乾燥させて、所望の生成物XVIIを生成し得る。
【0090】
(重水素化タダラフィル合成)
中間体XIVを使用するd−もしくはd−タダラフィルの合成を、以下のスキーム2に概説されるように行われ得る。
【0091】
スキーム2
【0092】
【化21】

(D−ベルベリン合成)
中間体XIVを使用する、5,6−ジヒドロ−9,10−(ジメトキシ−d)−ベンゾ[g]−(2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソロ[5,6−a]キノリジニウムクロリドとしても公知のd−ベルベリン(XXI,ここでX=Cl)の合成を、以下のスキーム3に概説される。合成手順の詳細が提供され、d−ベルベリンの実際の合成に基づき、これは、高度に同位体富化された中間体XIVの利益なしで行われた。当業者は、同じ手順を、本発明の中間体XIVを使用して行って、上記メチレンジオキシ炭素位置の高度の同位体富化を有するd−パロキセチンを提供し得ることを認識する。
【0093】
スキーム3
【0094】
【化22】

(E)−5−(2−ニトロビニル)−2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール(13)の合成。酢酸(500mL)中のXIV(85.4g,0.562mol,1.0当量)、ニトロメタン(91.0mL,1.68mol,3.0当量)および酢酸アンモニウム(108.2g,1.40mol,2.5当量)の混合物を、還流条件下で4時間にわたって攪拌し得る。室温へと冷却した後、上記混合物を、氷水(500mL)中に注ぎ得、ジクロロメタン(DCM)(3×1.4L)で抽出し得る。上記ジクロロメタン溶液を、水(2×1.4L)およびブライン(2×1.4L)で洗浄し得、乾燥し得(MgSO)、濾過し得、そして鍼灸中で濃縮して、褐色油状物として粗製生成物を生成し得、これを、カラムクロマトグラフィー(SiO;1:1 DCM/ヘキサン)によって生成して、13を入手し得る。
【0095】
2−(2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)エタンアミン(14)の合成。THF(1.28L)中の13(62.1g,0.318mol,1当量)の溶液を、EtO(1.9L)中のLiAlH(45.9g,1.21mol,3.8当量)の十分に攪拌した懸濁物に滴下し得る。上記混合物を加熱して、2時間にわたって還流し得、その後、その反応が完了するはずである。上記溶液を、アイスバス中で冷却し得、水(46mL)を滴下し、続いて、15% NaOH水溶液(46mL)およびより多くの水(138mL)を添加することによってクエンチし得る。上記混合物を、30分間にわたって攪拌し得、次いで、濾過し得、その有機溶媒を、真空中で除去し得る。その水性残渣を、DCM(3×900mL)で抽出し得、その合わせた有機物を、5% HCl水溶液(640mL)で抽出し得る。その酸性水層を、5% NHOH水溶液(640mL)でpH9へと塩基性にし得、DCM(3×900mL)で抽出し得、その合わせた有機物を、水(2×900mL)およびブライン(2×900mL)で抽出し得、乾燥させ得(MgSO)、濾過し得、真空中で濃縮して、14を与え得る。
【0096】
(Z)−2−(2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2,3−(ジメトキシ−d)−ベンジリデン)エタンアミン(16)の合成。無水DCM(600mL)中の上記アミン14(21.55g,0.129mol,1.0当量)、アルデヒド15(22.20g,0.129mol,1.0当量)および4Åモレキュラーシーブ(63.0g)の混合物を、上記反応が完了し得るまで、室温において16時間にわたって攪拌し得る。上記混合物を、セライト(100g)を通して濾過し得、上記DCMを真空中で除去して、粗製生成物16を与え得る。
【0097】
2−(2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2,3−(ジメトキシ−d)ベンジル)エタンアミン(17)の合成。メタノール(450mL)中の、イミン16(40.4g,0.126mol,1.0当量)および水素化ホウ素ナトリウム(7.15g,0.189mol,1.5当量)の混合物を、2時間にわたって攪拌しながら、還流下で加熱し得る。上記反応を、0℃および5℃(アイスバス)へと冷却し得、水(450mL)を添加し得る。上記混合物を、DCM(2×900mL)で抽出し得、その合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮して、生成物17を与え得る。
【0098】
上記遊離塩基(38.2g,0.118mol,1.0当量)を、メタノール(240mL)中に溶解し得、濃HCl(10mL)を、pH4が得られるまで添加し得る。上記溶媒を、真空中で除去して、褐色油状物を与え得、これを、攪拌しながら0℃へと冷却し得、冷EtO/MeOH(4:1,48mL)を添加し得る。上記混合物を30分間にわたって攪拌し得、濾過され得る個体の形成を生じ得る。さらに冷EtO/MeOH(4:1,48mL)をその濾液に添加し得、これを、20分間にわたって攪拌し得、さらなる固体の形成を生じ得る。上記固体を、濾過によって取り出し得、その合わせた固体を、冷EtOで洗浄し得、乾燥させて、HCl塩17を与え得る。
【0099】
5,6−ジヒドロ−9,10−(ジメトキシ−d)−ベンゾ[g]−(2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソロ[5,6−a]キノリジニウムクロリド(XXI,ここでX=Cl)の合成。250mLの乾燥した三ツ首フラスコを、無水酢酸(13.9g,0.136mol,2.5当量)、酢酸(100mL)、CuCl(14.7g,0.109mol,2.0当量)およびNaCl(13.8g,0.240mol,4.4当量)を充填し得る。上記混合物を、80および90℃へと加熱し得、グリオキサール(水中40%,13.4g,0.725mol,1.5当量)を添加し得、上記混合物を、還流下で20分間にわたって加熱し得る。上記混合物を、90℃未満へと冷却し得、アミンHCl塩17(19.7g,0.055mol,1.0当量)を添加し得、上記混合物を加熱して、一晩攪拌しながら還流し得る(112〜114℃)。上記反応混合物を、50℃へと冷却し得、上記酢酸を、減圧下で蒸留し得る。その残渣に水(170mL)を充填し得、上記混合物を、20分間にわたって攪拌しながら、80℃へと加熱し得る。上記塩XXIを濾過によって得、次いで、水酸化アンモニウム水溶液(0.72M,550mL)に添加し得、上記混合物を、25〜30℃において2.5時間にわたって攪拌し得る。上記固体を再び濾過し得、冷水(110mL)で洗浄し得、40℃において真空中で一晩乾燥させ得、粗製生成物を得る。
【0100】
上記粗製生成物をMeOH(800mL)中に溶解し得、還流下で30分間にわたって攪拌し得、次いで、高温で濾過して(filtered hot)、暗褐色固体(12.1g)として得る。上記固体を、MeOH(1L)中に懸濁し得、30分間にわたって還流下で攪拌し得、次いで、高温で濾過して、暗褐色固体を与え得る(10.2g)。上記2つの濾液を合わせ、炭(12.0g)を添加し得、上記混合物を、20分間にわたって還流直前まで加熱し得、次いで、上記高温の懸濁物を、セライトを通して濾過し得る。上記濾液を真空中で濃縮して、橙色固体を与え得、これをMeOH(104mL,16容積)から再結晶化し、XXIを与え得る。
【0101】
(組成物)
本発明はまた、本明細書において記載されるように、重水素化パロキセチン、重水素化タダラフィル、もしくは重水素化ベルベリンの有効量、またはその薬学的に受容可能な塩;および受容可能なキャリアを含む組成物を提供する。上記キャリアは、上記処方物の他の成分と適合性であるという意味において「受容可能」でなければならない。
【0102】
特定の実施形態において、本発明は、以下の構造式構造式:
【0103】
【化23】

によって示されるベンゾ[d][1,3]ジオキソール基を含む重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩;および薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物を提供し、ここで重水素での上記ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基の同位体富化は、少なくとも99.0%であり、そしてここで上記組成物は、薬学的用途のために処方される(「薬学的組成物」)。「薬学的に受容可能なキャリア」は、上記組成物の他の成分と適合性でありかつ代表的には、医薬において使用される量において上記レシピエントに有害でないキャリアである。より具体的な実施形態において、上記同位体富化は、少なくとも99.5%である。さらにより具体的な実施形態において、上記同位体富化は、99.9%である。
【0104】
別の実施形態において、本発明は、以下の構造式:
【0105】
【化24】

によって表される重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩;および薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物を提供し、ここで重水素での上記ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基の同位体富化は、少なくとも99.0%であり;そしてここで上記組成物は、薬学的使用のために処方される(「薬学的組成物」)。
【0106】
別の実施形態において、本発明は、以下の構造式:
【0107】
【化25】

によって表される重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩;および薬学的に受容可能なキャリアを含み、ここで重水素での上記ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基の同位体富化は、少なくとも99.0%であり、そしてここで上記組成物は、薬学的使用のために処方される(「薬学的組成物」)。
【0108】
本発明の薬学的組成物において使用され得る薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントおよびビヒクルとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩もしくは電解質(例えば、硫酸カリウム)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド性シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックコポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂。
【0109】
本発明の薬学的組成物は、経口投与、直腸投与、鼻内投与、局所投与(口内投与および舌下投与を含む)、膣投与もしくは非経口投与(皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与および皮内投与を含む)に適したものを含む。特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、経皮的に投与され得る(例えば、経皮パッチもしくはイオン導入技術を使用する)。他の処方物は、簡便には、単位投薬形態(例えば、錠剤および徐放性カプセル剤)において、およびリポソームにおいて提示され得、そして製薬分野において周知の任意の方法によって調整され得る。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Philadelphia,PA(第17版.1985)を参照のこと。
【0110】
このような調製方法は、投与される成分(例えば、1種以上の補助的成分を構成するキャリア)に上記分子を会合させる工程を包含する。一般に、上記組成物は、上記活性成分を液体キャリア、リポソームもしくは微細に分割した固体キャリアもしくはその両方に均質にかつ密接に会合させ、次いで、必要であれば、上記生成物を成形することによって調製される。
【0111】
特定の好ましい実施形態において、上記化合物は、経口投与される。経口投与に適した本発明の組成物は、別個の単位(例えば、上記活性成分の所定の量を各々含むカプセル剤、サシェもしくは錠剤)として;散剤もしくは顆粒剤として;水性液体もしくは非水性液体中の液剤もしくは懸濁物として;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして提示され得、あるいはリポソーム中におよびボーラスとして充填され得るなど。軟質ゼラチンカプセル剤は、このような懸濁物を含めるために有用であり得、化合物の吸収速度を有益に増大させ得る。
【0112】
経口用途のための錠剤の場合、一般に使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、代表的には、添加される。カプセル剤形態における経口投与のために、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁物が経口投与される場合、上記活性成分は、乳化剤および懸濁剤と合わせられる。望ましい場合、特定の甘味剤および/もしくは矯味矯臭剤および/もしくは着色剤が、添加され得る。界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)は、溶解および吸収を増強するために有用であり得る。
【0113】
経口投与に適した組成物としては、風味を付けた基剤(通常は、スクロースおよびアカシアガムもしくはトラガカントガム)中に上記成分を含むロゼンジ;および不活性基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、もしくはスクロースおよびアカシアガム)中に上記活性成分を含む香錠が挙げられる。
【0114】
非経口投与に適した組成物としては、水性および非水性の滅菌注射溶液(これらは、抗酸化剤、緩衝化剤、静菌剤および上記処方物を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質を含み得る);ならびに水性および非水性の滅菌懸濁物(これらは、懸濁剤および濃化剤を含み得る)が挙げられる。上記処方物は、単位用量もしくは複数用量容器(例えば、密封されたアンプルおよびバイアル)中で提示され得、そして使用直前に滅菌液体キャリア(例えば、注射用水)の添加のみを要する凍結乾燥した状態で貯蔵され得る。即座の注射溶液および懸濁物は、滅菌散剤、顆粒剤および錠剤から調製され得る。
【0115】
このような注射溶液は、例えば、滅菌中注射用の水性もしくは油性の懸濁物の形態で存在し得る。この懸濁物は、適切な分散剤もしくは湿潤剤(例えば、例えば、Tween 80)および懸濁剤を使用して、当該分野で公知の技術に従って処方され得る。上記滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤もしくは溶媒中の(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液としての)滅菌注射用溶液もしくは懸濁物であり得る。使用され得る上記受容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、マンニトール、水、リンゲル溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の不揮発性油が、溶媒もしくは懸濁媒体として従来から使用されている。この目的で、任意の刺激の低い不揮発性油が使用され得、これらとしては、合成のモノグリセリドもしくはジグリセリドが挙げられる。天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油もしくはひまし油)のような脂肪酸(例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体)、特に、それらのポリオキシエチレン化バージョンにおいて、注射物の調製において有用である。これら油溶液もしくは懸濁物はまた、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤(例えば、Ph. Helvもしくは類似のアルコール)を含み得る。
【0116】
本発明の薬学的組成物は、直腸投与もしくは膣投与のための坐剤の形態で投与され得る。これら組成物は、本明細書に記載されるように、重水素化パロキセチン、重水素化タダラフィルもしくは重水素化ベルベリン、またはその薬学的に受容可能な塩と、室温において固体であるが、直腸温において液体であり、従って、直腸において融解して、上記成分を放出する適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって、調製され得る。このような物質としては、カカオ脂、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
本発明の薬学的組成物の局所投与は、望ましい処置が、局所投与によって容易に接近可能な領域もしくは器官に関わる場合に、特に有用である。皮膚に局所的に適用するために、上記薬学的組成物は、キャリア中に懸濁もしくは溶解された上記活性成分を含む適切な軟膏剤で処方される。本発明の化合物の局所投与のためのキャリアとしては、ミネラルオイル、流動パラフィン(liquid petroleum)、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、上記薬学的組成物は、キャリア中に懸濁もしくは溶解された上記活性化合物を含む適切なローション剤もしくはクリーム剤で処方され得る。適切なキャリアとしては、ミネラルオイル、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール(cetearyl alcohol)、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の薬学的組成物はまた、直腸坐剤処方物によってもしくは適切な浣腸処方物中で、下部腸管に局所的に適用され得る。局所的経皮パッチおよびイオン導入的投与はまた、本発明に含まれる。
【0118】
本発明の薬学的組成物は、鼻内エアロゾルもしくは吸入によって投与され得る。このような組成物は、薬物処方の分野において周知の技術に従って調製され、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当該分野で公知の他の溶解剤もしくは分散剤を使用して調製され得る。このような投与は、勃起機能不全薬物で有効であることが公知である:Rabinowitz JD and Zaffaroni AC,米国特許第6,803,031号(Alexza Molecular Delivery Corporationに譲渡)。
【0119】
1つの特定の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、経口投与の際の制御された放出のために処方され得る。このような制御放出組成物は、当該分野で周知であり、Paxil(登録商標) CRTM(パロキセチンヒドロクロリド制御放出錠剤)の処方物によって例示され、PCT特許公開WO2007015270、WO2007011139、WO2006123364、WO2006059866、WO 2005117839、WO 2005107716、およびWO 1997003670に開示されるとおりである。
【0120】
本発明の治療剤の適用は、目的の部位に投与されるように、局所的であり得る。種々の技術が、目的の部位において本発明の薬学的組成物を提供するために使用され得る(例えば、注射、カテーテルの使用、トロカール、発射物(projectile)、プルロニックゲル、ステント、薬物徐放ポリマーもしくは内部接近を提供する他のデバイス)。
【0121】
従って、別の実施形態によれば、本明細書に記載されるように、重水素化パロキセチン、重水素化タダラフィルもしくは重水素化ベルベリン、またはその薬学的に受容可能な塩は、移植可能な医療用デバイス(例えば、プロテーゼ、人工弁、血管グラフト、ステントもしくはカテーテル)をコーティングするための薬学的組成物に組み込まれ得る。適切なコーティングおよびコーティングされた移植可能なデバイスの一般的調製は、米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号;および同第5,304,121号に記載される。上記コーティングは、代表的には、生体適合性ポリマー物質(例えば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレンビニルアセテート、およびこれらの混合物)である。上記コーティングは、必要に応じて、フルオロシリコーン、ポリサッカリド、ポリエチレングリコール、リン脂質もしくはこれらの組み合わせの適切なトップコートによってさらにコーティングされて、上記組成物において制御放出特徴を付与する。侵襲性デバイスのコーティングは、本明細書においてこれら用語が使用される場合、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントもしくはビヒクルの定義内に含まれるべきである。
【0122】
別の実施形態によれば、本発明は、上記デバイスと、上記のコーティング組成物と接触させる工程を包含する、移植可能な医療用デバイスをコーティングするための方法を提供する。上記デバイスのコーティングを哺乳動物への移植前に行うことは、当業者に明らかである。
【0123】
別の実施形態によれば、本発明は、上記薬物放出デバイスと、本発明の重水素化パロキセチンもしくは薬学的組成物とを接触させる工程を包含する、移植可能な薬物放出デバイスを含浸もしくは充填するための方法を提供する。移植可能な薬物放出デバイスとしては、生分解性ポリマーカプセルもしくはボーラス、非分解性の拡散性ポリマーカプセルおよび生分解性ポリマーウェハが挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
別の実施形態によれば、本発明は、本発明の重水素化パロキセチンもしくは薬学的組成物でコーティングされた移植可能な医療用デバイスを提供し、その結果、上記化合物が治療的に活性である。
【0125】
別の実施形態によれば、本発明は、本発明の重水素化パロキセチンもしくは薬学的組成物で含浸されたかもしくはこれらを含む移植可能な薬物放出デバイスを提供し、その結果、上記化合物は、上記デバイスから放出されかつ治療的に活性である。
【0126】
器官もしくは組織が、上記患者からの除去が原因で接近可能である場合、このような器官もしくは組織は、本発明の薬学的組成物を含む媒体中に浸けられ得るか、本発明の薬学的組成物は、上記器官の上に塗布され得るか、または本発明の薬学的組成物は、任意の他の簡便な方法において適用され得る。
【0127】
例えば、本発明は、本明細書に記載されるように、有効量の重水素化パロキセチン、重水素化タダラフィルもしくは重水素化ベルベリン、またはその薬学的に受容可能な塩と、1種以上の第2の治療剤および薬学的に受容可能なキャリアとを組み合わせて含む、薬学的組成物を提供する。本発明は、本明細書に記載されるように、有効量の重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩と、以下から選択される状態を処置もしくは予防するために有用な有効量の1種以上の第2の治療剤とを組み合わせて含む薬学的組成物をさらに提供する:鬱、高血圧症、全般性不安障害、恐怖症、外傷後ストレス症候群、回避性人格障害、性機能障害;摂食障害(過食症(bulimia)、神経性食欲不振症、および過食(binge eating)が挙げられる);肥満、薬物依存症(chemical dependencies)、群発頭痛、片頭痛;疼痛(神経障害性疼痛、糖尿病性ニューロパチー、術後疼痛、心因性疼痛障害、および慢性疼痛症候群が挙げられる);アルツハイマー病、強迫性障害、広場恐怖症を伴うもしくは伴わないパニック障害、記憶障害、パーキンソン病、内分泌障害、血管痙攣、小脳性運動失調、胃腸管障害、統合失調症の陰性症状、月経前症候群、線維筋痛症候群;尿失禁(腹圧性尿失禁を含む);トゥレット症候群、抜毛癖、窃盗癖、男性インポテンス、癌、哺乳動物における慢性発作性片頭痛および頭痛、睡眠関連呼吸障害、加齢に起因する認知障害、脳卒中、頭部外傷、神経変性疾患、統合失調症、不安、攻撃およびストレス、体温調節の障害、呼吸器疾患、双極性障害、精神病、睡眠障害、躁病、急性躁病、膀胱障害、尿生殖器障害、咳嗽、嘔吐、悪心、および精神障害(例えば、偏執症および躁鬱病)、チック障害、糖尿病性心筋症、糖尿病性網膜症、白内障、心筋梗塞、長期疲労、慢性疲労、慢性疲労症候群、早漏、不快気分、分娩後鬱病、社会不安障害(social phobia)、破壊的行動障害、衝動抑制障害、境界性人格障害、多動性を伴わない注意欠陥障害、シャイ・ドレーガー症候群、脳虚血、脊髄外傷、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、AIDS誘導性痴呆、筋痙攣、痙攣、分娩前後の低酸素症、低酸素症、心停止、低血糖性神経損傷、眼の損傷および網膜症、脳浮腫、遅発性ジスキネジア、ならびに心臓バイパス手術および移植に続いて起こる脳障害(cerebral deficit)、感情障害、気分障害、パニック障害の病歴がない広場恐怖症、急性ストレス障害、自閉症、ジスキネジア、気分変調性障害;遺伝的原因もしくは環境的原因に起因する肥満症、多嚢胞性卵巣症候群、頭蓋咽頭腫、プラダー・ウィリー症候群、性器萎縮性肥胖症、II型糖尿病、成長ホルモン欠損症、およびターナー症候群;過剰もしくは所望されない、炎症促進性サイトカイン分泌もしくは生成、時差ぼけ、不眠症、過眠症、夜尿症、下肢静止不能症候群、血管閉塞性事象、高血糖症、高インスリン血症、高脂質血症、高トリグリセリド血症、糖尿病、インスリン抵抗性、糖代謝障害、耐糖能障害(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、糸球体硬化症、症候群X、冠状動脈性心疾患、狭心症、血管再狭窄、内皮障害、血管コンプライアンス障害、もしくは鬱血性心不全。
【0128】
有効量の重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩;またはプロドラッグもしくはそのプロドラッグの薬学的に受容可能な塩;または溶媒和物、水和物、もしくはそれらの同質異像(polymorph)と;パロキセチンの副作用を軽減するため、パロキセチンの活性を増強もしくは高めるため、パロキセチンの薬理学的作用の持続時間を増加させるため、またはパロキセチンが望ましくない副作用を軽減するため;および薬学的に受容可能なキャリアとを組み合わせて含む薬学的組成物もまた、本発明に範囲内に含まれる。
【0129】
本発明の化合物と組み合わせて有用なさらなる治療剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:5−HT1Aアンタゴニストもしくはリガンド;NK−レセプターアンタゴニスト;セロトニンレセプターアンタゴニスト;2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−プロピルアミノ−ベンゾチアゾール(プラミペキソール)、その(+)−もしくは(−)−エナンチオマー;スルファメート抗痙攣剤;セロトニンの前駆物質もしくはプロドラッグ、またはセロトニンの生合成における中間体;上記5−HT1Aおよび5−HT1Dレセプターのうちの一方もしくは両方の選択的アゴニストおよびアンタゴニスト;ジメチルアミノエタノール(DMAE)を含む組成物、ω3−脂肪酸、ベタイン、オリゴマープロアントシアニジン、葉酸、ビタミンC、E、B12、B、Bならびにβ−カロテンおよびミネラル(カルシウム、マグネシウム、亜鉛およびセレン);ナルトレキソン;シクロベンザプリン、もしくはこれらの代謝産物;オランザピン;オランザピン−N−オキシド;2−ヒドロキシメチルオランザピン;非定型抗精神病薬;トラマドール;アルドースレダクターゼインヒビター、もしくはそのプロドラッグ;1−トレオ−メチルフェニデート;III型、IV型、およびIII型−IV型混合の、もしくはV型のホスホジエステラーゼインヒビター、またはこれらのエステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝産物、もしくは組み合わせ;置換されたインドールエストロゲン様薬剤(estrogenic agent);(+)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;葉酸;メチルテトラヒドロ葉酸;WAY 100635;ベタキソロール;(R)−3−N,N−ジシクロブチルアミノ−8−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−5−カルボキサミド水素(2R,3R)−タートレートモノヒドレート;R−トフィソパム;N−アセチル−セロトニン;DRD2−特異的ドパミンアゴニスト;5HTレセプターアンタゴニスト;ナルメフェン;モクソニジン;ピルタザピン;クロム;シクロオキシゲナーゼ−2選択的インヒビター;5HT2A選択的レセプターアンタゴニスト;CBレセプターアンタゴニスト;MCH−1Rレセプターアンタゴニスト;テトラ置換されたピリミドピリミジン;選択的ドパミンDレセプターリガンド;トリメブチン、フェドトジンおよびコレラの混合物;NMDA部分的レセプターアゴニスト;NMDAレセプターアンタゴニスト;コリンエステラーゼインヒビター;GSK−3インヒビター;α−2−δリガンドもしくはそのプロドラッグ;カバの抽出物;ノルエピネフリン再取り込みインヒビター;コルチコステロイド;非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤;N−デスメチルクロザピン;米国特許出願公開第20040224943号に開示されるような(R)−2,3−ベンゾジアゼピン;選択的ニューロン一酸化窒素シンターゼインヒビター;モダフィニル;選択的オキシトシンアンタゴニスト;ニコチンレセプターアンタゴニスト;アデノシンA2aレセプターアンタゴニスト;5−HT2Cレセプターアンタゴニスト;AMPAレセプター増強剤;ニコチン部分的アゴニスト;イリンダロン;Δオピオイドレセプターリガンド;成長ホルモン分泌促進薬;p−クロロ−N−(2−モルホリノエチル)−ベンズアミドおよびその代謝産物;選択的エストロゲンレセプターモジュレーター(例えば、タモキシフェン);上記さらなる治療剤のうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩;あるいは前述のうちの2種以上の組み合わせ。
【0130】
5−HT1Aアンタゴニストおよびリガンドの例としては、アルプレノロール、WAY 100135、WAY 100635、スピペロン、ピンドロール、(S)−UH−301、ペンブトロール、プロプラノロール、テルタトロール;(R)−5−カルバモイル−8−フルオロ−3−N,N−ジ置換−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン;ならびに米国特許第5,776,969号;同第5,958,429号;同第6,136,861号;同第6,656,951号;同第6,780,860号;同第6,815,448号;同第6,821,981号;同第6,861,427号;同第6,894,053号;および米国特許出願公開第20050085475号に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
NK−レセプターアンタゴニストの例としては、ベスチピタント、ならびに米国特許第6,162,805号;同第6,878,732号;米国特許出願公開第20050137208号に開示されるもの;ならびにアレチネズミにおいてNK−1レセプターアゴニスト誘導性足10秒テスト(foot tapping)を阻害することができるか、またはモルモットの仔による分離誘導性啼鳴を低下することができるCNS浸透剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
スルファメート抗痙攣剤の例としては、トピラメートおよび米国特許第5,384,327号に開示され,言及されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
セロトニンの前駆体もしくはプロドラッグ、およびセロトニンの生合成における中間体の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:L−トリプトファン、L−5−ヒドロキシトリプトファン、ジエチルN−ベンジルオキシカルボニル−5−ベンジルオキシカルボニルオキシ−L−トリプトフィル−L−アスパラギン酸、ジベンジルN−ベンジルオキシカルボニル−5−ヒドロキシ−L−トリプトファニルアスパラギン酸、5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−L−アスパラギン酸三水和物、ジエチルN−ベンジルオキシカルボニル−5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−L−グルタミン酸、ジエチル5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−L−グルタミン酸ヒドロクロリド、ジベンジルL−ベンジルオキシカルボニル−5−ヒドロキシトリプトフィル−L−グルタミン酸、5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−L−グルタミン酸、N−ベンジルオキシカルボニル−5−ヒドロキシ−L−トリプトファンのペンタクロロフェニルエステル、N−ベンジルオキシカルボニル−5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−L−チロシンのメチルエステル、N−アセチル−5−ヒドロキシ−L−トリプトファン、N−アセチル−5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−L−チロシンのメチルエステル、n−アセチル−5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−5−ヒドロキシ−L−トリプトファンのメチルエステル、5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−L−アラニン水和物、5−ヒドロキシ−L−トリプトファン−L−バリン、5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−L−ロイシン、5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−L−プロリン、5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−L−フェニルアラニン、5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−5−ヒドロキシ−L−トリプトファン、5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−L−トリプトファン、1−5−ヒドロキシトリプトフィル−L−セリン、5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−L−アルギニン、5−ヒドロキシ−L−トリプトフィルグリシン、5−ヒドロキシ1−トリプトフィル−γ−アミノ酪酸、5−ヒドロキシ−L−トリプトファンアミド水和物、5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−L−ヒスチジンのメチルエステル、L−5−ヒドロキシトリプトファンのベンジルエステル、N−ベンジルオキシカルボニル−5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−5−ヒドロキシ−L−トリプトファンのベンジルエステル、5−ヒドロキシ−L−トリプトフィル−5−ヒドロキシ−L−トリプトファン半水和物、5−ヒドロキシトリプトファンイノシン酸、(DL)5−ヒドロキシトリプトファンのテオフィリン塩、ならびにこれらの組み合わせ。
【0134】
不定型の抗精神病薬の例としては、リスペリドン、クロザピン、セロクエル、セルチンドール、ジプラシドン、ゾテピン、オランザピン、イロペリドン、Org 5222、メルペロン、アンペロジド、SM−9018、JL−13、クエチアピン、およびこれらの薬学的に受容可能な塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
アルドースレダクターゼインヒビターの例としては、フィダレスタット、エパルレスタット、ミナルレスタット、SPR−210、およびゼナレスタットもしくはゾポルレスタット、またはこれらのプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
上記5−HT1Aレセプターおよび5−HT1Dレセプターのうちの一方もしくは両方のうちの選択的アゴニストおよびアンタゴニストの例としては、米国特許第6,562,813号に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
III型ホスホジエステラーゼインヒビターの例としては、ビピリジン(例えば、アムリノン、ミルリノンおよびオルプリノン);アナグレリド、ベモラダン、イブジラスト、イソマゾール、リキサジノン、モタピゾン、オルプリノン、フタラジノール(phthalazinol)、ピモベンダン、クアジノン、シグアダゾンおよびトレキンシン(trequinsin)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
カルシウムチャネルブロッカーの例としては、アムロジピン、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、およびベラパミルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
III型−IV型混合のホスホジエステラーゼインヒビターの例としては、アナグレリド、ベモラダン、イブジラスト、イソマゾール、リキサジノン、モタピゾン、オルプリノン、フタラジノール、ピモベンダン、クアジノン、シグアゾダンおよびトレキンシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
IV型ホスホジエステラーゼインヒビターの例としては、ピロリジノン(特に、ロリプラム);キナゾリンジオン、キサンチン誘導体、フェニルエチルピリジン、テトラヒドロピリミドン、ジアゼピン誘導体、オキシムカルバメート、ナフチリジノン、ベンゾフラン、ナフタレン誘導体、プリン誘導体、イミダゾリジノン、シクロヘキサンカルボン酸、ベンズアミド、ピリドピリダジノン、ベンゾチオフェノン、エタゾレート、S−(+)−グラウシン、米国特許第6,403,597号にさらに開示されるような置換されたフェニル化合物および置換されたビフェニル化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
V型ホスホジエステラーゼインヒビターの例としては、シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル、ザプリナスト、ジピリダモール、3−イソブチル−8−(6−メトキシ−イソキノリン−4−イルメチル)−1−メチル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;ならびに米国特許出願公開第20030055070号;同第20040044005号;同第20030139429号に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
置換されたインドールエストロゲン様薬剤の例としては、米国特許第6,369,051号に開示され、言及されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
DRD2−特異的ドパミンアゴニストの例としては、ブロモクリプチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
5HTレセプターアンタゴニストの例としては、A−85380、SB 204070、SB 207226、SB 207058、SB 207710、SB 205800、SB 203186、SDZ 205557、N 3389、FK 1052、SC 56184、SC 53606、DAU 6285、GR 125487、GR 113808、RS 23597、RS 39604、LY−353433およびR 50595が挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
シクロオキシゲナーゼ−2選択的インヒビターの例としては、セレコキシブ、バルデコキシブ、デラコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、チルマコキシブ、シミコキシブ、ならびに米国特許出願公開第20050080084号および同第20050085477号に開示され、言及されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0146】
5−HT2aレセプターアンタゴニストの例としては、米国特許出願公開第20050070577号に開示され、言及されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0147】
CBレセプターアンタゴニストの例としては、リモナバントならびに米国特許出願公開第20040248956号、同第20050009870号、同第20050014786号、同第20050054659号、同第20050080087号、および同第20050143381号に開示され、言及されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
選択的MCH−1Rレセプターアンタゴニストの例としては、米国特許出願公開第20050009815号および同第20050026915号に開示され、言及されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
テトラ置換ピリミドピリミジンの例としては、ジピリダモール、モピダモール、ジピリダモールモノアセテート、2,6−ジ−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−メトキシ−4,8−ジ−ピペリジノピリミド−ピリミジン;2,6−ビス−(2,3−ジメチル(methy)オキシプロポキシ)−4,8−ジ−ピペリジノピリミドピリミジン;2,6−ビス[N,N−ジ(2−メトキシ)エチル]−4,6−ジ−ピペリジノピリミドピリミジン−;および2,6−ビス(ジエタノールアミノ)−4,8−ジ−4−メトキシベンジルアミノピリミドピリミジン−が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
選択的ドパミンDレセプターリガンドの例としては、ピパンペロン、ファナンセリン、L−745,870、PNU−101387GおよびU−101387が挙げられるが、これらに限定されない。
【0151】
NMDA部分的レセプターアゴニストの例としては、D−シクロセリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
NMDAレセプターアンタゴニストの例としては、デキストロメトルファン、デキストロファン、アマンタジン、およびメマンチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
コリンエステラーゼインヒビターの例としては、タクリン、ドネペジル、エドロホニウム、ガランタミン、フィゾスチグミン、エプタスチグミン、ピリドスチグミン、ネオスチグミン、ガンスチグミン、リバスチグミン、デメカリウム、アンベノニウム、サリン、メトリフォネート、ソマン、タブン、およびジイソプロピルフルオロホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
GSK−3インヒビターの例としては、米国特許出願公開第20050026946号に開示され、言及されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
α−2−δリガンドの例としては、ガバペンチン、プレガバリン、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[−3.2.0]ヘプト−6−イル]酢酸、3−(1−アミノメチルシクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−オン、C−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチルシクロペンチル)−酢酸、(3−アミノメチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチルオクタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチルヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチルノナン酸、および(3S,5R)−3−アミノ−5−メチルオクタン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
ノルエピネフリン再取り込みインヒビターの例としては、デシプラミン、イミプラミン、アモキサピン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アトモキセチン、オキサプロチリン、マプロチリン、レボキセチン、1−[1−(3−クロロフェニル)−2−(4−メチル−1−ピペラジニル)エチル]シクロヘキサノール;および米国特許出願公開第20050014848号に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
コルチコステロイドの例としては、プレドニゾロン、ブデソニド、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、フルチカゾン、プレドニゾン、トリアムシノロン、およびジフロラゾンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤の例としては、シクロスポリン、タクロリムス、ISAtx247、アスコマイシン、ピメクロリムス、ラパマイシン、およびエベロリムスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
選択的ニューロン一酸化窒素シンターゼインヒビターの例としては、米国特許出願公開第20040229911号に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
選択的オキシトシンアンタゴニストの例としては、L−368,899が挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
ニコチンレセプターアンタゴニストの例としては、メカミラミン、アマンタジン、ペンピジン、ジヒドロ−β−エリスロイジン、ヘキサメトニウム、エリソジン、クロリソンダミン、カンシル酸トリメタファン、ツボクラリンクロリド、d−ツボクラリン、およびそれらの光学的異性体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
アデノシンA2aレセプターアンタゴニストの例としては、米国特許出願公開第20030139395号に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
5−HT2Cレセプターアンタゴニスト、インバースアゴニストおよび部分アゴニストの例としては、ケタンセリン、SB 242084、SB 206553、SB 243213、SB 228356、リタンセリン、デラムシクラン、ミルタザピン(mirtazepine)、ミアンセリン、セルチンドール、YM 35 992、Ro 60−0795、Org 38457、Org 12962、EGIS 8465およびRS 102221が挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
AMPAレセプター増強剤の例としては、[(メチルエチル)スルホニル]{2−[4−(4−{2−[(メチルスルホニル)アミノ]エチル}フェニル)フェニル]プロピル}アミン、{(2R)−2−[4−(4−{2−[(メチルスルホニル)アミノ]エチル}フェニル)フェニル]プロピル}[(メチルエチル)スルホニル]アミン、N−2−(4−(3−チエニル)フェニルプロピル−2−プロパンスルホンアミド、[2−フルオロ−2−(4−{3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}フェニル)プロピル][(メチルエチル)スルホニル]アミン、および別個に、[2−フルオロ−2−(4−{3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}フェニル)プロピル][(メチルエチル)スルホニル]アミンの各エナンチオマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
ニコチンレセプター部分的アゴニストの例としては、米国特許出願公開第20010036943号および同第20030109544号に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
δオピオイドレセプターリガンドの例としては、米国特許出願公開第20020077323号に開示され、言及されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
成長ホルモン分泌促進薬の例としては、米国特許出願公開第20020002137号および同第20020086865号に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
より具体的な実施形態において、上記第2の治療剤は、クロザピン、ベスチピタント、クエチアピンおよびナルトレキソンから選択される。
【0169】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるように、重水素化パロキセチン、重水素化タダラフィルもしくは重水素化ベルベリン、またはその薬学的に受容可能な塩および第2の治療剤の別個の投与形態を提供し、ここで上記化合物および上記第2の治療剤は、互いに関連づけられている。用語「互いに関連づけられている」とは、本明細書において使用される場合、上記別個の投与形態が、同じ容器において(例えば、互いに結合された別個のブリスターパックにおいて、区画分けされた容器の別個の区画において、同じボックスに含まれる別個の容器においてなど)一緒に梱包されるか、またはさもなければ、上記別個の投与形態が販売されかつ一緒に投与されることを意図される(互いに24時間未満以内に、連続してもしくは同時に)ことが容易に明らかであるように、互いに結合されることを意味する。
【0170】
本発明の薬学的組成物において、重水素化パロキセチン、重水素化タダラフィルもしくは重水素化ベルベリン、またはその薬学的に受容可能な塩は、有効量において存在する。本明細書において使用される場合、用語「有効量」とは、適切な投与レジメンにおいて投与される場合、上記標的障害を(治療的にもしくは予防的に)処置するに十分である量をいう。例えば、有効量は、上記処置される障害の重篤度、持続時間もしくは進行を軽減もしくは改善するか、上記処置される障害の進行を予防するか、上記処置される障害の退縮を引き起こすか、別の治療の予防効果もしくは治療効果を増強もしくは改善するか、または別の治療と関連する望ましくない副作用を軽減するに十分である。例えば、本明細書に記載されるように、有効な重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物は、セロトニンの不十分な神経伝達と関連した障害によって損なわれた機能を増強し得るか、セロトニンの不十分な神経伝達によって特徴付けられる障害の進行を予防するか、セロトニンの不十分な神経伝達によって特徴付けられる障害の退縮を引き起こすか、別の治療の予防効果もしくは治療効果を増強もしくは改善するか、または別の治療の望ましくない副作用を軽減し得る。
【0171】
特定の好ましい実施形態において、本明細書に記載されるように、重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩での処置は、セロトニンの不十分な神経伝達に関連づけられた障害の少なくとも1個の症状もしくは発現の軽減もしくは予防を提供する。セロトニン再取り込み活性の阻害に関して、用語「有効量」とは、患者においてもしくは生物学的サンプルにおいてセロトニンの量もしくは濃度の検出可能な増大、単独もしくは別の薬剤と組み合わせてのセロトニンの不十分な神経伝達と関連づけられているかもしくは上記セロトニンの不十分な神経伝達を軽減している行動、障害、症状、症候群もしくは疾患の矯正(correction)もしくはこれらからの解放;またはセロトニンの正規化したもしくは増大した神経伝達に関連づけられた行動もしくは応答の活性の誘導を生じる量を意味する。
【0172】
動物およびヒトのための投与量(mg/m 体表面積に基づく)の相互関係は、Freireichら,(1966)Cancer Chemother Rep 50:219に記載される。体表面積は、上記患者の身長および体重からほぼ決定され得る。例えば、Scientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,Ardsley,N.Y.,1970,537を参照のこと。本明細書に記載されるように、有効量の重水素化パロキセチンは、約0.001mg/kg〜約500mg/kg、より好ましくは、0.01mg/kg〜約50mg/kg、なおより好ましくは、0.025mg/kg〜約1.5mg/kgの範囲に及び得る。
【0173】
別の実施形態において、本明細書に記載されるように、有効量の重水素化パロキセチンは、即時放出処方物において60mg/日より高く、約120mg/日より低いか、または制御放出処方物において75mg/日より高く、約150mg/日より低い。有効用量はまた、当業者によって認識されるように、処置される疾患、上記疾患の重篤度、投与経路、上記患者の性別、年齢および全般的健康状態、賦形剤の使用、他の治療的処置との同時使用の可能性(例えば、他の薬剤の使用および処置している医師の判断)に依存して、変動する。
【0174】
別の実施形態において、有効量の重水素化パロキセチンは、即時放出処方物において、5mg/日より高く、約65mg/日より低く、そしてより好ましくは、制御放出処方物において、7.5mg/日より高く、80mg/日より低い。
【0175】
第2の治療剤を含む薬学的組成物に関して、その第2の治療剤の有効量は、そのさらなる薬剤のみを使用すると、単一療法(monotherapy)レジメンにおいて通常利用される投与量の約20%〜100%の間である。好ましくは、有効量は、通常の単一療法的用量の約70%〜100%の間である。これら第2の治療剤の通常の単一療法的用量は、当該分野で周知である。例えば、Wellsら,編,Pharmacotherapy Handbook,第2版,Appleton and Lange,Stamford,Conn.(2000);PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,Calif.(2000)(その各々は、全体が本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0176】
上記に列挙された第2の治療剤のうちのいくつかは、本発明の化合物と相乗効果的に作用すると予測される。このことが起こるとき、上記第2の治療剤および/もしくは本明細書中に記載されるように、重水素化パロキセチンの有効投与量が、単一療法において必要とされるものから減少させることを可能にする。このことは、上記第2の治療剤もしくは重水素化パロキセチンのいずれかの毒性の副作用を最小化する、効力の相乗効果的改善、投与もしくは使用の容易さの改善、および/または化合物調製もしくは処方の費用全体の縮小という利点を有する。
【0177】
(処置の方法)
用語、改善するもしくは処置するとは、交換可能に使用され、そして治療的処置および予防的処置の両方を含む。両方の用語は、疾患(例えば、本明細書において詳述されている疾患もしくは障害)の発現もしくは進行を減少、抑制、減弱、縮小、停止もしくは安定化すること、上記疾患の重篤度を軽減すること、上記疾患の症状を改善すること、または他の治療と関連する副作用を改善することを意味する。
【0178】
被験体および患者は、本明細書において交換可能に使用される。
【0179】
一実施形態において、本発明は、被験体におけるセロトニンの取り込みを阻害するための方法を提供し、上記方法は、上記被験体に、本明細書中に記載されるように、有効量の重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩を、好ましくは、薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む組成物の一部として投与する工程を包含する。この方法は、鬱;強迫性障害;全般性不安;外傷後ストレス;大鬱病;パニック障害;社会不安障害;月経前症候群;心障害;非心臓性胸痛;喫煙耽溺(中止を引き起こすかもしくは再発を妨げる);血小板活性化状態の軽減;アルコール中毒症およびアルコール依存症;怒り、拒否に対する感受性(rejection sensitivity)、および精神的もしくは肉体的エネルギーの欠如を含む精神的症候群;黄体期後期不快気分障害(late luteal phase dysphoric disorder);早漏;老年性痴呆;肥満症;パーキンソン病;もしくはイヌの感情的攻撃(canine affective aggression)から選択される、被験体における1つ以上の疾患もしくは障害を処置するために使用されうる。
【0180】
上記方法はまた、骨芽細胞刺激によって骨形成を刺激するための、皮膚科学的疾患もしくは障害(例えば、過剰増殖もしくは炎症性皮膚疾患)の処置のための、および未成熟女性器官の処置のための方法において、癌細胞増殖を阻害するために使用され得る。これら実施形態の各々は、記載される方法を包含し、ここで上記被験体は、上記示される処置が必要として同定される。
【0181】
より好ましくは、この方法は、大うつ病性障害、強迫性障害、パニック障害、社会不安障害、全般性不安障害、外傷後ストレス障害、および月経前不快気分障害から選択される、被験体における1個以上の疾患もしくは障害を処置するために使用される。
【0182】
別の実施形態において、上記発明は、ヒトにおいて、閉経後血管運動症状(menopausal vasomotor symptom)(一過性熱感)、睡眠障害を伴う閉経後血管運動症状、大鬱病性障害を伴う閉経後血管運動症状、もしくは全般性不安障害を伴う閉経後血管運動症状を処置するために使用される。より具体的な実施形態において、本明細書に記載されるように、重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩は、被験体において一過性熱感の処置のために必要に応じて投与され得る。例えば、就寝直前に投与することは、夜中生じている一過性熱感を軽減もしくは予防するために利用され得、従って、一過性熱感および関連する睡眠障害を改善し得る。
【0183】
別の実施形態において、一過性熱感に苦しんでいるかもしくは一過性熱感に影響されやすいヒトに1日ベースで投与される重水素化パロキセチンの量は、即時放出処方物において、20mg/日より高く、約120mg/日より低いか、または制御放出処方物において、25mg/日より高く、約150mg/日より低い。より具体的な実施形態において、一過性熱感に苦しんでいるかもしくは一過性熱感に影響されやすいヒトに1日ベースで投与される重水素化パロキセチンの量は、即時放出処方物において、60mg/日より高く、約120mg/日より低いか、または制御放出処方物において、75mg/日より高く、約150mg/日より低い。
【0184】
別の実施形態において、本明細書に記載されるように、一過性熱感に苦しんでいるかもしくは一過性熱感に影響されやすいヒトに1日ベースで投与される有効量の重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩は、即時放出処方物において、5mg/日より高く、約65mg/日より低く、そしてより好ましくは、制御放出処方物において、7.5mg/日より高く、80mg/日より低い。
【0185】
別の実施形態において、上記方法は、癌について現在処置されているかまたは処置された患者における一過性熱感を処置するために使用される。この実施形態の一局面において、上記患者は、卵巣癌、乳癌、もしくは前立腺癌について現在処置されているかもしくは処置されたことがある。具体的な実施形態において、上記被験体は、乳癌について現在処置されているかもしくは処置されたことがある。
【0186】
本発明の別の局面は、被験体におけるセロトニンの取り込みを阻害することにおいて使用するための重水素化パロキセチンである。好ましくは、その使用は、上記の疾患、障害もしくは症状の被験体における処置もしくは予防においてである。
【0187】
本発明の別の局面は、被験体におけるセロトニンの取り込みを阻害するための医薬の製造における重水素化パロキセチンの使用である。好ましくは、上記医薬は、上記の疾患、障害もしくは症状の被験体における処置もしくは予防のために使用される。
【0188】
別の実施形態において、上記処置方法は、単独でもしくはパロキセチンと組み合わせて、鬱病、高血圧症、全般性不安障害、恐怖症、外傷後ストレス症候群、回避性人格障害、性機能不全;摂食障害(過食症、神経性食欲不振症、および過食が挙げられる);肥満症、薬物依存症、群発頭痛、片頭痛;疼痛(神経障害性疼痛、糖尿病性ニューロパチー、術後疼痛、心因性疼痛障害、および慢性疼痛症候群が挙げられる);アルツハイマー病、強迫性障害、広場恐怖症を伴うもしくは伴わないパニック障害、記憶障害、パーキンソン病、内分泌障害、血管痙攣、小脳性運動失調、胃腸管障害、統合失調症の陰性症状、月経前症候群、線維筋痛症候群;尿失禁(腹圧性尿失禁を含む);トゥレット症候群、抜毛癖、窃盗癖、男性インポテンス、癌、哺乳動物における慢性発作性片頭痛および頭痛、睡眠関連呼吸障害、加齢に起因する認知障害、脳卒中、頭部外傷、神経変性疾患、統合失調症、不安、攻撃およびストレス、体温調節の障害、呼吸器疾患、双極性障害、精神病、睡眠障害;躁病(急性躁病を含む);膀胱障害、尿生殖器障害、咳嗽、嘔吐、悪心、精神障害(例えば、偏執症および躁鬱病)、チック障害、糖尿病性心筋症、糖尿病性網膜症、白内障、心筋梗塞、長期疲労、慢性疲労、慢性疲労症候群、早漏、不快気分、分娩後鬱病、社会不安障害、破壊的行動障害、衝動抑制障害、境界性人格障害、多動性を伴わない注意欠陥障害、シャイ・ドレーガー症候群、脳虚血、脊髄外傷、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、AIDS誘導性痴呆、筋痙攣、痙攣、分娩前後の低酸素症、低酸素症、心停止、低血糖性神経損傷、眼の損傷および網膜症、脳浮腫、遅発性ジスキネジア、心臓バイパス手術および移植に続いて起こる脳障害、感情障害、気分障害、パニック障害の病歴がない広場恐怖症、ならびに急性ストレス障害を処置するために有効である1種以上のさらなる治療剤を、上記患者に投与する工程をさらに包含し;パロキセチンの副作用を軽減するため、パロキセチンの活性を増強もしくは強化するため、またはパロキセチンの薬理学的作用の持続時間を高めるためである。
【0189】
なお別の実施形態において、上記処置方法は、単独で、もしくはパロキセチンと組み合わせて、自閉症、ジスキネジア、気分変調性障害;遺伝的原因もしくは環境的原因に起因する肥満症、多嚢胞性卵巣症候群、頭蓋咽頭腫、プラダー・ウィリー症候群、Froehlich’s Syndrome、II型糖尿病、成長ホルモン欠損症、ターナー症候群;炎症促進性サイトカイン分泌もしくは生成、時差ぼけ、不眠症、過眠症、夜尿症、下肢静止不能症候群、血管閉塞性事象、高血糖症、高インスリン血症、高脂質血症、高トリグリセリド血症、糖尿病、インスリン抵抗性、糖代謝障害、耐糖能障害(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、糸球体硬化症、症候群X、冠状動脈性心疾患、狭心症、血管再狭窄、内皮障害、血管コンプライアンス障害、もしくは鬱血性心不全のうちの1つ以上を処置するために;またはパロキセチンの作用の開始を高めるために、有効である1種以上の治療剤を上記患者に投与するさらなる工程を包含する。
【0190】
上記処置方法において有用な特定の第2の治療剤は、組み合わせ組成物の一部として、上記に記載されるものと同じである。
【0191】
より具体的な実施形態において、本発明の組み合わせ治療は、重水素化パロキセチンと:a)パニック障害、外傷後ストレス障害、鬱病もしくは抑鬱気分に苦しんでいるかまたはこれらに影響されやすい患者の処置のためのクロザピン;b)耳鳴もしくは社会不安障害に苦しんでいるかもしくはこれらに影響されやすい患者の処置のためのベスチピタント;c)全般性不安障害もしくは外傷後ストレス障害に苦しんでいるかもしくはこれらに影響されやすい患者の処置のためのクエチアピン;またはd)アルコール中毒症およびアルコール依存症に苦しんでいるかもしくはこれらに影響されやすい患者の処置のためのナルトレキソンとを同時投与する工程を包含する。
【0192】
本明細書に記載されるように、重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩は、パロキセチンと比較して、シトクロームP450 2D6(CYP2D6)の低下した阻害を示すので、パロキセチンとCYP2D6によって代謝される治療剤との同時投与の禁忌は、避けられ得る。CYP2D6によって代謝される治療剤も現在投与されている患者の処置において、パロキセチンを、本明細書に記載される重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩で置換することは、パロキセチンで処置可能な状態(例えば、上記の1つ以上の疾患もしくは障害);およびCYP2D6によって代謝される治療剤によって処置可能な状態の両方に苦しんでいるかもしくはこれらに影響されやすい患者を処置するための方法において改善を示す。CYP2D6基質である治療剤は、これらが処置するために使用される疾患および状態と同様に、当該分野で公知である(http://medicine.iupui.edu/flockhart/2D6.htm#2D6subを参照のこと)。
【0193】
従って、一実施形態において、本発明の化合物もしくは組成物を投与されるべき上記患者は、好ましくは、本発明の化合物もしくは組成物の投与の24時間前以内に、CYP2D6によって代謝される1種以上の治療剤を既に投与されている。具体的な実施形態において、上記さらなる治療剤は、ノルトリプチリン、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、フルオキセチン、フェノチアジン、1C型抗不整脈剤(例えば、プロパフェノン、フレカイニド、およびエンカイニド)、リスペリドン、チオリダジン、タモキシフェン、およびアトモキセチンから選択される。
【0194】
別の実施形態において、本発明の化合物もしくは組成物を患者に投与する工程を包含する前述の方法のうちのいずれかは、CYP2D6によって代謝される1種以上のさらなる治療剤を上記患者に投与するさらなる工程をさらに包含する。具体的な実施形態において、上記さらなる治療剤は、ノルトリプチリン、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、フルオキセチン、フェノチアジン、1C型抗不整脈剤(例えば、プロパフェノン、フレカイニド、およびエンカイニド)、リスペリドン、チオリダジン、タモキシフェン、およびアトモキセチンから選択される。
【0195】
上記実施形態のうちの各々において、上記第2の治療剤は、本明細書に記載されるように、重水素化パロキセチンと一緒に、単一の投与形態の一部としてもしくは別個の投与形態として投与され得る。あるいは、上記第2の治療剤は、本明細書中に記載されるように、重水素化パロキセチンの投与の前、投与と同時、もしくは投与の後に投与されうる。このような併用治療処置において、本発明の化合物および上記第2の治療剤の両方が、従来の方法によって投与される。上記第2の治療剤の投与は、重水素化パロキセチンの投与の前、投与と同時、および/または投与の後に起こりうる。上記第2の治療剤の投与が、本明細書中に記載されるように、重水素化パロキセチンと同時に起こる場合、上記2つ(もしくは2つ以上の)薬剤は、単一の投与形態(例えば、本明細書に記載されるように、重水素化パロキセチン、および上記のように第2の治療剤、ならびに薬学的に受容可能なキャリアを含む本発明の組成物)、または別個に投与形態において投与されうる。本明細書に記載されるように、重水素化パロキセチンおよび第2の治療剤の両方を含む、本発明の組成物の被験体への投与は、処置の過程の別の時点での、上記第2の治療剤、任意の他の治療剤もしくは本発明の任意の化合物の、上記被験体への別個の投与を排除しない。
【0196】
本発明の方法において有用な有効量の第2の治療剤は、当業者に周知であり、投与のためのガイダンスは、本明細書で言及される特許、ならびにWellsら,編,Pharmacotherapy Handbook,第2版,Appleton and Lange,Stamford,Conn.(2000);PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,Calif.(2000)、および他の医学教科書において見いだされうる。しかし、上記さらなる治療剤の最適な有効量範囲を決定することは、当業者の範囲内に十分入る。
【0197】
1種以上の第2の治療剤が動物に投与される本発明の一実施形態において、本明細書に記載されるように、上記有効量の重水素化パロキセチンは、上記第2の治療剤が投与されない場合のその有効量より小さい。別の実施形態において、上記第2の治療剤の上記有効量は、上記重水素化パロキセチンが投与されない場合に(すなわち、単一療法において投与される各第2の治療剤の量)、その有効量より小さい。この方法において、いずれかの薬剤の高用量と関連する望ましくない副作用は、最小化されうる。他の潜在的な利点(改善された投与レジメンおよび/もしくは低下した薬物コストが挙げられるが、これらに限定されない)は、当業者に明らかである。
【0198】
別の局面によれば、本発明は、重水素化パロキセチンおよび上記の第2の治療剤のうちの1種以上を、上記の疾患、障害もしくは症状の被験体における処置もしくは予防において使用するための単一の組成物においてか、もしくは別個の投与形態としてかのいずれかにおいて提供する。
【0199】
なお別の局面において、本発明は、上記の疾患、障害もしくは症状の被験体における処置もしくは予防のための、単一組成物もしくは別個の投与形態のいずれかとしての医薬の製造における、重水素化パロキセチンおよび上記の第2の治療剤のうちの1種以上の使用を提供する。
【0200】
本発明の化合物は、公知の方法によって生物学的活性について容易にアッセイされうる。例えば、セロトニン輸送体への結合を決定するためのインビトロ方法は、組換え細胞株(例えば、Poss MAら,米国特許第6,225,324号(Bristol−Myers Squibbに対する)を参照のこと);およびエキソビボ脳組織(例えば、Young JWら,米国特許第5,648,396号(Sepracorに対する);およびHabert Eら,Eur J Pharmacol 1985 118:107を参照のこと)を使用して利用可能である。
【0201】
鬱病の動物モデルは、抗鬱薬(セロトニン再取り込みインヒビターおよび特にパロキセチンを含む)に対するヒトの臨床的応答と相関する再現可能な読み出し情報を提供する。周知の強制水泳試験および尾懸垂試験の詳細については、例えば、Porsolt RDら,Eur J Pharmacol 1979 57:201;Detke MJら,Psychopharmacology 1995 121:66;「Drug Discovery and Evaluation」,Vogel HG and Vogel WH (編),p.304,1997,Springer−Verlag,New York;およびEl Yacoubi Mら,Proc Natl Acad Sci USA 2003 100:6227を参照のこと。本発明の化合物の各々は、このような動物モデルにおいて試験されうる。
【0202】
本発明の化合物の代謝の速度は、例えば、異種的に発現されたCYP2D6、もしくはヒト肝臓ミクロソーム(ともにBD Gentest,Woburn,MAから入手可能)の存在下で、決定され得、かつパロキセチンの代謝速度と比較され得る。上記化合物はまた、完全な動物において、上記投与された化合物の消失、および必要であれば、代謝産物の出現を測定する、例えば、経口投与もしくは非経口投与によって、試験されうる。このような測定のための手段は周知であり、例えば、Segura Mら,Rapid Commun Mass Spectrom,2003,17:1455;およびHartter Sら,Ther Drug Monit,1994,16:400を参照のこと。本発明の化合物によるCYP2D6の不活性化はまた、可憐刷る酵素パラメーター(例えば、kINACT)を決定するための公知の手段によって、測定されうる。See 例えば、Bertelsen KMら,Drug Metab Dispos,2003,31:289を参照のこと。シトクローム2Dファミリー酵素によって代謝されることが公知の他の薬物に対する重水素化パロキセチンの効果がまた、測定され得、パロキセチンによって引き起こされる対応する効果と比較され得る;例えば、Hashimoto Kら,Eur J Pharmacol,1993,228:247を参照のこと。この相互作用は、蓄積シトクローム不活性化を測定するために、パロキセチンおよび重水素化パロキセチンの単一用量、または反復用量の後に測定され得る。
【0203】
(診断方法およびキット)
別の実施形態によれば、本発明は、生物学的サンプルにおいてパロキセチンの濃度を決定するための方法を提供し、上記方法は、
a)既知の濃度の重水素化パロキセチンを、上記生物学的サンプルに添加する工程;
b)上記生物学的サンプルを、パロキセチンと重水素化パロキセチンとを区別する測定デバイスに供する工程;
c)上記測定デバイスを較正して、パロキセチンの検出された量と、上記生物学的サンプルに添加された上記既知の濃度の重水素化パロキセチンとを相関させる工程;
d)上記生物学的サンプル中のパロキセチンの量を、上記較正した測定デバイスで測定する工程;および
e)上記生物学的サンプル中のパロキセチンの濃度を、上記検出された量のパロキセチンと、上記検出された量および既知の濃度の重水素化パロキセチンとを比較することによって、決定する工程、
を包含する。
【0204】
パロキセチンと上記第2の化合物とを区別し得る測定デバイスは、一方に対して、他方が1個以上の重い原子同位体を含むということを除いて、同一の構造である2つの化合物の間を区別し得る任意の測定デバイスを含む。好ましくは、このような測定デバイスは、質量分析計、NMR分光光度計、もしくはIR分光光度計である。
【0205】
別の好ましい実施形態において、上記方法は、工程b)の前に、有機相抽出もしくは固相抽出によって、パロキセチンおよび上記第2の化合物の両方を、上記生物学的サンプルから分離するさらなる工程を包含する。
【0206】
別の実施形態において、本発明は、重水素化パロキセチンの代謝的安定性を評価するための方法を提供し、上記方法は、重水素化パロキセチンと、代謝酵素源とを一定期間接触させる工程;および上記一定期間後に、上記化合物の量と、上記化合物の代謝産物とを比較する工程、を包含する。
【0207】
関連する実施形態において、本発明は、重水素化パロキセチンの投与後に、患者における重水素化パロキセチンの代謝的安定性を評価するための方法を提供する。この方法は、上記被験体に上記重水素化パロキセチンを投与した一定期間後に、上記患者から血清、尿もしくは糞便サンプルを採取する工程;および重水素化パロキセチンの量と、上記血清、尿もしくは糞便サンプル中の重水素化パロキセチンの代謝生成物とを比較する工程、を包含する。
【0208】
本発明はまた、大鬱病性障害、強迫性障害、パニック障害、社会不安障害、全般性不安障害、外傷後ストレス障害、月経前不快気分障害、もしくは閉経後血管運動症状(一過性熱感)を処置するために使用するためのキットを提供する。これらキットは、(a)重水素化パロキセチンまたはその塩、水和物もしくは溶媒和物を含む薬学的組成物であって、ここで上記薬学的組成物は容器中に存在する、薬学的組成物;および(b)大鬱病性障害、強迫性障害、パニック障害、社会不安障害、全般性不安障害、外傷後ストレス障害、月経前不快気分障害、もしくは閉経後血管運動症状(一過性熱感)を処置するために上記薬学的組成物を使用するための方法を記載する説明書を含む。
【0209】
上記容器は、上記薬学的組成物を保持しうる任意の容器もしくは他の密封されたもしくは密封可能な装置であり得る。例としては、ボトル、アンプル、区画されたもしくはマルチチャンバのホルダーボトルが挙げられ、ここで各区画もしくはチャンバは、上記組成物の単一用量、各区画が上記化合物の単一用量を含む区画されたホイルパケット、または上記化合物の単一用量を分与するディスペンサーを含む。上記容器は、当該分野で公知のように、任意の従来の形状もしくは形態において存在し得、これら容器は、薬学的に受容可能な材料(例えば、紙もしくは厚紙のボックス、ガラスもしくはプラスチックのボトルもしくはジャー、再密封可能なバッグ(例えば、異なる容器に配置するための錠剤の「詰め替えの薬(refill)」を保持するために)、または治療スケジュールに従って上記パック胃から押し出すための個々の用量を有するブリスターパックから作製される。上記使用される容器は、必要とされる正確な投与形態に依存し得、例えば、従来の厚紙のボックスは、液体懸濁物を保持するためには、一般に使用されない。1個より多くの容器が、単一の投与形態を売買するために、単一のパッケージ中に一緒に使用されうることは可能である。例えば、錠剤は、ボトル中に含まれ得、このボトルは、続いて、ボックス内に含まれる。一実施形態において、上記容器は、ブリスターパックである。
【0210】
本発明のキットはまた、上記薬学的組成物の単位用量を投与もしくは測定するためのデバイスを含み得る。このようなデバイスは、上記組成物が、吸入可能な組成物である場合には吸入器を含み得;上記組成物が注射用組成物である場合にはシリンジと針を含み;上記組成物が経口用液体組成物である場合には容積マーキングありもしくはなしのシリンジ、スプーン、ポンプもしくは容器を含み;または上記キットに存在する組成物の投与量処方物に適切な任意の他の測定デバイスもしくは送達デバイスを含む。
【0211】
特定の実施形態において、本発明のキットは、別個の容器中に、第2の治療剤(例えば、本発明の化合物との同時投与に使用するための、上記のもののうちの1つ)を含む薬学的組成物を含み得る。
【実施例】
【0212】
(実施例1. 3,4−ジ重水素オキシベンズアルデヒド(XI)の合成
化合物XIを、以下のスキーム4に概説されるように調製した。変換の詳細は、以下に記載される。
【0213】
スキーム4
【0214】
【化26】

3,4−ジ重水素オキシベンズアルデヒド(XI)の合成、THF(160mL)中の3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(X)(40g)の溶液に、DO(160mL)を攪拌しながら添加した。上記得られた混合物を、窒素下で、室温(rt)において一晩攪拌した。上記溶媒を、真空中で除去し、その残渣を、40℃において一晩真空中で乾燥させて、XIを固体として得た(40g)。300MHz H NMR(d−DMSO)による分析は、約85%のH/D交換レベルを示した。
【0215】
(実施例2. 3,4−ジ重水素オキシベンズアルデヒド(XI)の代替の合成)
化合物XIを、上記のスキーム4に一般に概説されるように調製した。変換の詳細は、以下に示す。
【0216】
3,4−ジ重水素オキシベンズアルデヒド(XI)の合成。アセトニトリル(200mL)中の3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(X)(10g)の溶液に、DO(40mL)を添加し、上記得られた混合物を、室温において4日間攪拌した。上記溶媒を真空中で除去して、XIを固体として得た。300MHz H NMR(d−DMSO)による分析は、85%のH/D交換レベルを示した。
【0217】
(実施例3. 3,4−ジ重水素オキシベンズアルデヒド(XI)の代替の合成)
化合物XIを、上記のスキーム4に一般に概説されるように調製した。変換の詳細は、以下に示す。
【0218】
3,4−ジ重水素オキシベンズアルデヒド(XI)の合成。CHOD(100mL)中の3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(X)(25g)の溶液に、DCl(0.4mL)を攪拌しながら添加した。上記得られた混合物を、室温において一晩攪拌し、上記溶媒を真空中で除去した。その残渣を、CHOD(100mL)中に再溶解し、DCl(0.4mL)を添加し、上記混合物を再び室温において一晩攪拌した。上記溶媒を真空中で除去して、XIを固体として得た。300MHz H NMR(d−DMSO)による分析は、約85%のH/D交換レベルを示した。
【0219】
(実施襟4. 3,4−ジ重水素オキシベンズアルデヒド(XI)の代替の合成)
化合物XIを、上記のスキーム4に一般に概説されるように調製した。変換の詳細は、以下に示す。
【0220】
3,4−ジ重水素オキシベンズアルデヒド(XI)の合成。50Lの、温度プローブ、窒素雰囲気、および還流冷却器を備えたジャケット付き反応器に、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(3.5kg)およびTHF(14.0L)を充填した。重水素オキシド(14.0L)を添加し、上記反応混合物を、周囲温度において18時間にわたって攪拌した。EtOAc(14L)を添加し、その相を分離した。次いで、その水相を、EtOAc(14L)で抽出した。その合わせた有機層を、約14Lに濃縮した。トルエンを添加し(14L)、上記懸濁物を、14Lに濃縮した。この溶媒交換手順を、トルエン(各14L)でさらに2回反復した。その固体を集め、上記得られたケーキを、トルエン(10L)で洗浄した。次いで、上記バッチを、高真空下で(40℃)20時間にわたって乾燥させた。3,4−ジ重水素オキシベンズアルデヒドを、黄褐色固体として単離した(3480g,98%収率,HPLCにより99.9% AUCより大きく、300MHz H NMRは、約91%の重水素化レベルを示した)。
【0221】
(実施例5. 2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルバルデヒド(carbaldehyde)(XIV)の合成)
化合物XIVを、以下のスキーム5に概説されるように調製した。合成の詳細は、以下に記載する。
【0222】
スキーム5
【0223】
【化27】

2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルバルデヒド(XIV)の合成。N−メチルピロリドン(NMP)(270mL)中のKCO(29.6g,0.22mol)の懸濁物を、110℃へと加熱し、N下で攪拌した。CDCl(68mL,1.1mol)およびNMP(30mL)中の3,4−ジ重水素オキシベンズアルデヒド(XI)(15g,0.11mol)の溶液を、45分間かけて滴下した。上記反応混合物を、110℃においてさらに90分間にわたって攪拌した。上記混合物を冷却し、濾過し、上記濾液を水(900mL)に注ぎ、EtOAcで抽出した(3×600mL)。その合わせた有機物を水で洗浄し(2×600mL)、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。その残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン/EtOAc)によって精製して、14.2g(87%)のXIVを淡褐色油状物として得、これを放置して固化させた。存在するCHDおよびCHのレベルは、それぞれ、約0.5%および約0.03%であることが決定された(以下を参照のこと)。
【0224】
上記2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルバルデヒド(XIV)におけるモノ重水素生成物の量の定量。XIV中に存在する非常に低レベルの上記CHDに起因して、慣用的な手順(例えば、NMR積分値の比較のための外部標準の使用)は、測定の十分な正確性を与えない。ここで使用される手順は、上記アルデヒドシグナルの13C−Hカップリング(一貫した内部比較)を利用して、XIVのサンプル中に存在するCHDの量を測定する。炭素における13Cの天然の量は1.11%であるので、H NMRスペクトルの約9.75ppmにおける上記アルデヒドシグナルの二重項パターンにおける各シグナル(9.46ppmおよび10.15ppmにおける13C−H二重項シグナル)の積分は、各々約0.56%に等しい。6.03ppmにおける上記CHDシグナルに対する上記二重項ピークのうちの一方の積分値の比較は、ほぼ等しい値を示し、従って、XIVサンプル中のCHDのレベルは、約0.5%であると決定される。同様に、6.05ppmにおける上記CHピークは、約0.03%のレベルを有する。300MHz H NMR(XIV)(CDCl)δ=6.89, 6.92(d,1H); 7.30, 7.31, 7.37, 7.38, 7.40, 7.41 (m,2H);および9.79(s,1H)。ジヒドロキシベンズアルデヒド(X)から調製されたその対応するd−ベンゾ[d][1,3]ジオキソールに関して、上記CHDピークのレベルは、6%であることが決定された。上記CHピークのレベルは、300MHz H NMRによる定量の限界にあることが決定された。
【0225】
(実施例6. 2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルバルデヒド(XIV)の代替の合成)
化合物XIVを、上記スキーム5に一般に概説されるように調製した。合成の詳細は、以下に示す。
【0226】
2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルバルデヒド(XIV)の合成。N−メチルピロリドン(NMP)(10mL)およびCDCl(22.3mL,10当量)中の3,4−ジ重水素オキシベンズアルデヒド(XI)(5g,1当量)の溶液を、NMP(100mL)およびDO(1.5mL,2.1当量)中のKCO(4.9g,2当量)の攪拌懸濁物に、110℃において窒素下で1時間にわたって添加した。110℃において1.5時間にわたって攪拌を継続し、その後、上記反応混合物を室温に冷却し、濾過し、上記固体を酢酸エチル(10mL)で洗浄した。その合わせた反応混合物および洗浄物を、水(50mL)および酢酸エチル/ヘプタン(4:1,50mL)の間で分配した。上記水層を分離し、酢酸エチル/ヘプタンで抽出した(4:1,3×50mL)。上記有機性抽出物を合わせ、水で洗浄し(3×60mL)、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で褐色油状物へと濃縮した。その残渣を、酢酸エチル/ヘプタン(1:8)を使用するクロマトグラフィーによって精製して、1.99gのXIVを得た(CHDレベルは、300MHz H NMRによって0.59%)。上記CHピークのレベルは、300MHz H NMRによる定量の限界にあると決定された。
【0227】
(実施例7. 2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルバルデヒド(XIV)の代替の合成)
化合物XIVを、上記スキーム5に一般に概説されるように調製した。合成の詳細は、以下に示す。
【0228】
2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルバルデヒド(XIV)の合成。温度プローブ、窒素雰囲気、および還流冷却器を備えた100Lのジャケット付き反応器に、粉末化炭酸カリウム(4236g)およびNMP(38.7L)を充填した。上記得られた懸濁物を、110℃へと加熱した。3,4−ジ重水素オキシベンズアルデヒド(2150g)、d−塩化メチレン(13.33Kg)およびNMP(4.3L)の予め混合した溶液を、滴下漏斗を介して添加した。上記溶液を、水面下添加を介して、20分間にわたって添加した。上記バッチの温度は、上記添加の過程にわたって、110℃から100.6℃へと下がった。上記バッチを110℃へと加温し、90分後、HPLCは、1%未満の3,4−ジ重水素オキシベンズアルデヒドを示した。その灰緑色の懸濁物を周囲温度へと18時間(一晩)にわたって冷却し、次いで、セライトのパッドに対して濾過した。上記パッドを、4:1 EtOAc/ヘプタン(21.5L)で洗浄し、その合わせた濾液を、脱イオン水(54L)に添加した。上記得られた水性混合物を、4:1 EtOAc/ヘプタンで2回抽出した(1×32L、1×54L)。その合わせた有機層を、脱イオン水(3×43L)およびブライン(43L)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、セライトに対して濾過し、真空中で濃縮させた。粗製XIVを、橙色油状物として単離し、これを、放置して固化させた(2340g,定量的収率,97.6% HPLCによるAUC,300MHz H NMRによって決定された場合のCHD不純物は、0.41%であった)。上記物質をさらに、カラムクロマトグラフィー(10.0kg SiOゲル,10〜20% EtOAc/ヘプタン)を介して精製した。上記生成物を含む画分を濃縮して、淡黄色固体としてd−ピペロナールを得た(1775g,3,4−ジ重水素オキシベンズアルデヒドから82%収率、HPLCにより99.9% AUCより大きい、CHD不純物は、300MHz H NMRによって決定された場合に、0.50%であった)。上記CHピークのレベルは、300MHz H NMRによる定量の限界にあると決定された。
【0229】
(実施例8. 2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−オール(XV)の合成)
化合物XVを、以下のスキーム6に概説されるように調製した。合成の詳細は、以下に示す。
【0230】
スキーム6
【0231】
【化28】

2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−オール(XV)の合成。CHCl(5.5L)中のXIV(165g,1.08mol,1.0当量)の攪拌溶液に、30% 過酸化水素(343mL,3.01mol,2.75当量)および96% ギ酸(182mL,4.63mol,4.3当量)を添加し、上記得られた混合物を、還流下で一晩攪拌した。上記反応混合物を、0〜5℃へと冷却し、1.5M NaOH(5.9L,8.85mol,8.2当量)を30分にわたって滴下し(25〜30℃へ発熱)、上記混合物を、さらに30分間にわたって攪拌した。上記有機層を分離し、真空中で濃縮した。その残渣を、MeOH(3.6L)中に溶解し、上記水層に添加し、上記得られた混合物を、室温において30分間にわたって攪拌した。MeOHを、真空中で除去し、その残りの水性混合物を、CHCl(2L、次いで、1.5L)で抽出し、濃HClでpH3へと酸性化し、次いで、CHClで抽出した(2L、次いで、2×1.5L)。その合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。その残渣を、別の165g バッチからの物質と合わせ、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 4/1)によって精製して、白色固体としてXVを得た(185g,61% 合計収率)(その純度は、300MHz H NMRによって95%およびLCによって99%より高い)。CHD不純物のレベルは、H NMRによって決定される場合、1.0%であった。上記CHピークのレベルは、300MHz H NMRによって定量の限界であると決定された。
【0232】
(実施例9. 2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−オール(XV)の代替の合成)
化合物XVを、上記のスキーム6に概説されるように調製した。合成の詳細は、以下に示す。
【0233】
2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−オール(XV)の合成。温度プローブ、窒素雰囲気、および還流冷却器を備えた100Lのジャケット付き反応器に、XIV(1990g)およびDCM(20L)を添加した。これら試薬の混合は、20.2℃から15.2℃への吸熱を生じた。ギ酸(2720mL,4.5当量)を添加し、上記バッチを、25〜27℃へと加温した。次いで、その内部温度を30℃未満に維持するように、過酸化水素(3874mLの、30重量% 水溶液,2.9当量)を添加した。この添加に、3時間15分を要した。上記添加が完了した後、上記バッチを、18時間にわたって20〜25℃において攪拌した。HPLCは、4.1%のXIVが残っていることを示した。その相を分離し、上記有機相を、水中の25重量% 二亜硫酸ナトリウム(7.5L)で洗浄した。次いで、上記有機相を、10〜15℃へと冷却し、水酸化ナトリウムの8.8重量% 溶液および水(12L)を添加した。この点かを、その内部温度を20℃未満に維持するように行った。上記二相混合物を、10〜20℃において30分間にわたって攪拌し、次いで、HPLCは、1%未満の中間体ギ酸セサミル(sesamyl formate)が残っていることを示した。上記相を分離し、その水相を、上記反応器に戻した。MTBE(6L)を添加し、続いて、3N HCl(10L)を添加した。上記二相混合物を、15分間にわたって攪拌し、次いで、上記相を分離した。上記水相をMTBEで抽出した(2×8L)。その合わせた有機相を、水(8L)およびブライン(8L)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、filtered over セライトを通して濾過し、6Lに濃縮した。ヘプタン(6L)を添加し、上記混合物を6Lに濃縮した。この溶媒交換工程手順を、ヘプタンでさらに2回反復した(各々6L)。上記得られた灰白色懸濁物を、周囲温度へと冷却した。上記固体を集め、ヘプタンで洗浄し(1ベッド容積)、高真空下で乾燥させた。粗製XVを黄色固体として単離した(1350g,74%収率,HPLCによって97.3% AUC,CHD純度は、300MHz H NMRによって決定した場合、0.42%であった)。上記粗製物質の一部(540g)を、カラムクロマトグラフィー(4.4kg SiOゲル,10〜20% EtOAc/ヘプタン)を介して精製した。上記生成物を含む画分を濃縮して、XVを灰白色固体として得た(525g,XIVから69%収率,HPLCにより99.9%より大きいAUC,CHD不純物は、H NMRによって決定される場合、0.55%であった)。上記CHピークのレベルを、300MHz H NMRによる定量の限界にあると決定された。
【0234】
(実施例10. (3S,4R)−3−((2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルオキシ)−メチル−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジンヒドロクロリド(XVIII)の合成)
化合物XVIIIを、以下のスキーム7に概説されるように調製した。合成の詳細は、以下に示す。
【0235】
スキーム7
【0236】
【化29】

((3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−1−メチルピペリジン−3−イル)メチルメタンスルホネート,HCl塩(6)の合成。((3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−1−メチルピペリジン−3−イル)メタノール(5)(2.00g,8.96mmol)を、ジクロロエタン(20mL)中に溶解し、メタンスルホニルクロリド(0.73mL)を添加した。上記反応系を、6時間にわたって室温において攪拌した。上記反応混合物を、ロータリーエバポレーターで濃縮して、6を白色固体残渣として得、これは、粗製形態における使用に適していた。MS m/z: 302.1(M+H)。
【0237】
(3S,4R)−3−((2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルオキシ)メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−1−メチルピペリジン(7)の合成。粗製の6(約8.96mmol)を含むフラスコに、トルエン(45mL)、2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−オール(XV,99.7% 同位体純度,1.26g,8.96mmol)、テトラ−n−オクチルアンモニウムブロミド(245mg,0.448mmol)、および3M NaOH水溶液(22.4mL,67.2mmol)を、攪拌しながら添加した。上記得られた淡黄色の混濁した二層を攪拌し、90℃ オイルバス中で、排気冷却器(vented air condenser)下で5時間にわたって加熱した。上記反応混合物を、室温へと冷却し、水(100mL)およびトルエン(50mL)で希釈した。上記混合物を分離漏斗へと注ぎ、振り、上記層を分離した。上記有機層を、飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムに対して乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮して、約4gの7を得た。これは、いくらかの残渣トルエンを含んでいた。この物質を、粗製形態における使用に適していた。MS m/z: 346.3(M+H)。
【0238】
(3S,4R)−4−ニトロフェニル 3−((2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルオキシ)メチル)−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−1−カルボキシレート(8)の合成。粗製の7(約8.96mmol)を含むフラスコに、トルエン(60mL)、ジイソプロピルエチルアミン(0.312mL,1.79mmol)および4−ニトロフェニルクロロホルメート(1.81g,8.96mmol)を添加した。上記混合物を攪拌し、80℃ オイルバス中で、排気冷却器下で5時間にわたって加熱した。上記反応混合物を室温へと冷却し、トルエン(50mL)で希釈した。上記混合物を、分離漏斗へと注ぎ、上記フラスコをさらに50mLのトルエンですすいだ。水の100mL部分を分離漏斗へと添加し、上記層を振り、分離した。上記水層を、さらに25mLのトルエンで抽出した。その合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮して、琥珀色の油状物を得た。上記物質を、カラムクロマトグラフィー(5%〜30% EtOAc/ヘキサン)を介して精製して、2.16gの8を得た。
【0239】
(3S,4R)−3−((2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルオキシ)メチル)−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン,HCl塩(XVIII)の合成。ジオキサン(29mL)中の8(2.16g,4.35mmol)の溶液に、2M NaOH水溶液(43.5mL,87.0mmol)を添加し、上記混合物を攪拌し、70℃ オイルバス中で、排気冷却器下で3時間にわたって加熱した。上記反応混合物を室温へと冷却し、ロータリーエバポレーターで濃縮して、上記ジオキサンの大部分を除去した。上記水性の残渣を分離漏斗へと注ぎ、EtOで3回抽出した。その合わせた有機層を、1N NaOH水溶液で洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮して、XVIIIの遊離塩基を淡黄色油状物として得た(1.2g)。この物質を、分取用HPLC/MSを介して精製して、710mgのXVIIIの遊離塩基を得、次いで、これを、最低限の容積のアセトン中にとって、1M HCl/EtO(5mL)、EtO(15mL)、およびヘキサン(60mL)の攪拌溶液にゆっくりと添加した。上記得られた混濁した白色混合物を、0℃において1時間にわたって保持し、次いで、ロータリーエバポレーターで濃縮して、容積を減らした。上記得られた白色固体を濾過し、ヘキサン/EtOで洗浄し、35〜40℃において真空オーブン中で一晩乾燥させて、651mgのXVIIIのHCl塩を得た。H−NMR(300MHz,DMSO−d): δ 9.04(br s,2H), 7.25−7.14(m,4H), 6.74(d,1H,J=8.3), 6.48(d,1H,J=2.9), 6.18(dd,1H,J=2.4,8.3), 3.58(dd,1H,J=3.4,10.2), 3.52−3.47(m,2H), 3.39−3.35(m,1H), 3.01−2.91(m,2H), 2.86(dt,1H,J=3.4,12.2), 2.47−2.39(m,1H), 2.05−1.94(m,1H), 1.88−1.85(m,1H)。MS (M+H): 332.0。
【0240】
(実施例11. (3S,4R)−3−((2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルオキシ)−メチル−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジンヒドロクロリド(XVIII)の代替の合成)
化合物XVIIIを、以下のスキーム8に概説されるように調製した。合成の詳細は、以下に示す。
【0241】
スキーム8
【0242】
【化30】

(3S,4R)−3−((2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルオキシ)メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−1−メチルピペリジン(7)の代替の合成。トルエン(230mL)中の50gの化合物5(224mmol)の溶液を、5℃以下に冷却し、次いで、48.8mL(450mmol,2.0当量) ジメチルエチルアミンを添加した。上記反応混合物に、トルエン(37.1mL)中の48.23g(0.273mmol,1.22当量) ベンゼンスルホニルクロリドの溶液を充填し、上記反応混合物の温度を10℃以下に維持した。上記混合物を、0〜5℃において110分間にわたって攪拌した。次いで、上記反応混合物を、30.5% NaOH(7.5mL,37mmol,0.34当量)および水(140mL)の溶液でクエンチした。15分間攪拌した後、上記水層を除去し、排気した。化合物9の溶液を、0℃において一晩貯蔵した。上記有機層に、31.4gのXV(1.0当量,224mmol)、DMF(230mL)および10.75g NaOH(1.2当量,67.2mmol)を添加した。上記反応器を71℃へと加熱し、3時間にわたって攪拌した。上記反応混合物を50℃へと冷却し、水(149mL)でクエンチした。上記水層を、トルエン(100mL)で50℃において抽出した。次いで、上記水層を除去し、上記2つの有機層を合わせた。この有機層を、50℃において、水酸化ナトリウム溶液(53mLの30.5% 水酸化ナトリウムと141mL 水とを混合して調製)で洗浄した。上記水層を除去し、上記有機層を、精製水(149mL)で50℃において再び洗浄した。上記有機層を、50〜55℃において真空下で2容積へと濃縮し、次いで、イソプロピルアルコール(IPA)(225mL)を添加した。上記混合物を加熱し、新たなIPAを導入して、上記上流物の屈折率が1.377(純粋IPAで一定)になるまで一定容積で濃縮した。この時点で、上記混合物を45℃へと冷却し、種晶を入れ、90分間にわたって寝かした。この時点で、結晶化が起こった。その温度を、0℃へと2時間30分にわたって下げ、上記混合物を、その温度で3時間にわたって保持した。上記固体を濾過し、冷イソプロピルアルコール(36mL)で洗浄した。上記固体を、4時間にわたって40℃において真空乾燥させて、55.7gの化合物7を得た(72%収率)。
【0243】
(3S,4R)−4−フェニル 3−((2,2−d−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルオキシ)メチル)−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−1−カルボキシレート(10)の合成。トルエン(365mL)中の50g(0.145mmol)の化合物7の溶液を、90℃へと加熱し、次いで、40.4g(257mmol,1.79当量)のフェニルクロロホルメートを約37分間にわたって充填した。上記反応混合物を105℃へと加熱し、8時間にわたって攪拌した。次いで、上記反応混合物を60℃へと冷却し、トリエチルアミン(20.9mL)を添加した。上記反応混合物を、60℃において1時間にわたって攪拌し、次いで、室温へと冷却した。上記トルエン溶液を、10% 水酸化ナトリウム水溶液(76.5mL 水および29mL 30.5% NaOHを混合して調製)で洗浄した。その層を分離し、上記有機層を、水(98.4mL)と塩化ナトリウム(10g)との混合物で洗浄した。上記層を分離した後、水(105mL)を、上記トルエン溶液に添加し、そのpHを、濃塩酸を使用して、2以下に調節した。上記水層を除去し、その有機層を105mLの水で3回洗浄した。上記有機層を、55〜65℃において真空下で2容積へと濃縮し、次いで、イソプロピルアルコール(IPA)(165mL)を添加した。上記混合物を加熱し、3容積へと濃縮し、この時点で、上記蒸留物の屈折率は、1.377であった。IPA(111mL)を添加し、上記混合物を、70℃へと加熱した。この温度において、上記混合物は、淡黄色溶液であった。上記混合物を64℃へと冷却し、その温度において、結晶化が起こり、上記混合物を90分間寝かせた。次いで、上記混合物を、150分間にわたって0℃へと冷却し、その温度において120分間保持した。上記固体を濾過し、冷IPA(35mL)で洗浄し、次いで、40℃において真空乾燥させて、60.4g(92%)の化合物10を得た。
【0244】
(3S,4R)−3−((2,2−d2−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルオキシ)メチル)−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン,HCl塩(XVIII)の合成。40g(88.6mmol)の化合物10およびイソプロピルアルコール(840mL)の混合物を、79℃へと加熱し、この熱い反応混合物に、30.5% 水酸化ナトリウム(131g,11.3当量)の溶液を約45分間の期間にわたって充填した。上記添加が完了した後、上記混合物を加熱して、8時間にわたって還流した。上記反応混合物を室温へと冷却した。上記攪拌反応器に、277mL 水(6.92容積)を充填した。この混合物を、トルエン(123mL)で2回抽出した。上記トルエン抽出物を合わせ、5% 水酸化ナトリウム水溶液(114mL)で3回洗浄して、残りのフェノールを除去した。次いで、上記トルエン溶液を水(123mL)で洗浄した。上記有機層を油状物へと濃縮した。上記油状物を、アセトン(229mL)中に溶解し、この溶液を55℃へと加熱し、この時点で、水(7.2mL)および塩酸(7.2mL)を導入した。次いで、上記混合物を35℃へと冷却し、種晶を入れ、2時間寝かした。上記混合物を、1時間で20〜25℃へとさらに冷却し、n−ヘプタン(95mL)を添加した。上記混合物を0〜5℃へと冷却し、その温度で2時間保持した。上記固体を濾過し、冷アセトン(42mL)で洗浄した。上記生成物を40℃において真空下で乾燥させて、26.1g(80%)の標題化合物を得た。
【0245】
(実施例12:重水素化パロキセチン(試験化合物A)とタモキシフェンとの間の薬物−薬物相互作用(DDI)能力の調査)
乳癌に対するタモキシフェンの活性は、その4−ヒドロキシ代謝産物を介して主に媒介され、これは、シトクロームP450アイソザイムCYP2D6の作用によって形成される。上記4−ヒドロキシ代謝産物を、乳房組織においてエストロゲンレセプターアンタゴニストとして作用する。タモキシフェンの、その活性代謝産物への変換は、CYP2D6を要するので、タモキシフェンは、低CYP2D6代謝群である表現型において制限された効力を有し、上記酵素を不活性化する他の薬物と一緒に使用されるべきではない。
【0246】
タモキシフェン治療は、重篤な一過性熱感の出現に関係していた。一過性熱感の有望な処置(パロキセチン)はまた、CYP2D6の機構ベースの不活性化因子である。Since パロキセチン媒介性CYP2D6不活性化は、上記活性代謝産物エンドキシフェン(endoxifen)の形成を阻害するので、タモキシフェン治療中の乳癌患者におけるその使用は、回避されるべきである。
【0247】
重水素化パロキセチンは、閉経後一過性熱感およびタモキシフェン誘導性一過性熱感の処置について現在開発されている。
【0248】
目的:この研究の目的は、パロキセチンと比較して、ヒトcDNA発現CYP2D6を使用してエンドキシフェンの形成を阻害するために、重水素化パロキセチン、(3S,4R)−3−((2,2−d2−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルオキシ)メチル)−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン(HCl塩、半水和物)の可能性を決定することであった。上記重水素化パロキセチン、(3S,4R)−3−((2,2−d2−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルオキシ)メチル)−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン(HCl塩、半水和物)を、以下の実施例および図面において「試験化合物A」といわれる。
【0249】
タモキシフェン(TAM)(エストロゲンレセプターのアンタゴニスト)は、CYP3A4によってN−デスメチルTAMへ代謝され、これは、続いて、CYP2D6によってエンドキシフェンへとヒドロキシル化される(スキーム9)。エンドキシフェンは、TAMより30〜100倍高い活性を有する活性代謝産物であり、これは、ヒトにおける主要な循環代謝産物である。
【0250】
スキーム9. CYP2D6による、N−デスメチルタモキシフェンの、エンドキシフェンへの代謝
【0251】
【化31】

方法:試験化合物Aを、NADPHの存在下で、20分間にわたって種々の濃度でヒトcDNA発現CYP2D6(500pmol/mL)とともにプレインキュベートした。その後、上記反応混合物のアリコートを、NADPHを含む緩衝液中で1:10希釈した。次いで、N−デスメチルTAM(50μM)を上記希釈したプレインキュベーション混合物に添加した。インキュベーションの45分後に、エンドキシフェン濃度をLC−MS/MSによって決定した。パロキセチン(参照化合物)との同様のインキュベーションを並行して行った。
【0252】
結果:試験した試験化合物A濃度の範囲(0〜25μM)にわたるN−デスメチルタモキシフェンから、エンドキシフェンの形成における変化はほとんど〜全くなかった。逆に、パロキセチンの濃度が5μMを超える場合、エンドキシフェン形成の速度は、劇的に低下した(図1)。最高濃度(25μM)において、パロキセチンの存在下よりも、試験化合物Aの存在下で生成されたエンドキシフェンが、12倍より高かった。これら結果は、重水素化パロキセチン(試験化合物A)が、低CYP2D6機構ベースの不活性因子であり、その後、大きく低下した薬物−薬物相互作用可能性を有することを確認する。
【0253】
結論:ヒトにおける試験化合物Aの最大血漿濃度は、血管運動症状(VMS)に関して、30nMより高いとは予測されない。この研究において、試験化合物Aは、N−デスメチルタモキシフェンの、エンドキシフェンへの代謝に対してほとんどもしくは全く効果がなく、従って、試験化合物Aは、タモキシフェンと同時投与した場合に、臨床的に関連する薬物−薬物相互作用を引き起こすとは予測されない。
【0254】
(実施例13. 試験化合物Aによるヒト肝臓ミクロソーム中のCYP2D6の不活性化)
目的:この研究の目的は、試験化合物Aがヒト肝臓ミクロソームにおけるCYP2D6を不活性化する可能性を評価することであった:パロキセチンとの比較。
【0255】
方法:この研究は、Bertelsenらによって確立された手順に従って、パロキセチンに対して行った。Bertelsen KM,Venkatakrishnan K,von Moltke LL,Obach S,Greenblatt,DJ. Apparent mechanism−based inhibition of human CYP2D6 in vitro by Paroxetine: comparison with Fluoxetine) and quinidine. Drug Met Disp 2003;31:289−293を参照のこと。簡潔には、上記試験物品を、ヒト肝臓ミクロソームとともに種々の時間にわたってプレインキュベートし、続いて、デキストロメトルファン(CYP2D6基質)を添加した。デキストロルファン(デキストロメトルファンのCYP2D6特異的代謝産物)の形成を、CYP2D6活性の尺度としてモニターした。
【0256】
結果:以前に示されたように、パロキセチン(参照化合物)は、CYP2D6の濃度依存性および時間依存性の阻害を生じた。これを、コントロールに対するデキストロルファン形成のパーセンテージとして表した(図2)。重水素化は、この効果を顕著に低下させるようである。なぜなら、試験化合物AについてのCYP2D6活性は、0〜10μM濃度範囲において、コントロールのものと同様のままであったからである。CYP2D6のいくらかの阻害は、試験化合物Aの濃度が25μMに近づくにつれて起こった。これら結果を、パロキセチン誘導性CYP2D6不活性化についてのKおよびkINACTの決定によって確認した(図3)。パロキセチンは、それぞれ、1.96μMおよび0.08分−1のK値およびkINACT値を有するCYP2D6の顕著な不活性化を示したのに対して、CYP2D6の中程度の阻害に起因して、試験化合物AのkINACTは、計算できなかった。
【0257】
結論:試験化合物Aは、10μMまでの濃度においてCYP2D6の機構ベースの不活性化を示さない。
【0258】
(実施例14. ラットおよびヒト肝臓ミクロソーム調製物における重水素化パロキセチン(試験化合物A)の代謝的安定性)
目的:この研究の目的は、ラットおよびヒト肝臓ミクロソームにおける試験化合物Aのインビトロ代謝クリアランスを評価することであった:パロキセチンとの比較。
【0259】
方法:試験化合物Aを、1μMの濃度において、Obachらによって記載されるインビトロt1/2法によって見かけの代謝安定性について評価した。Obach RS,Baxter JG,Liston TE,Silber BM,Jones BC,MacIntyre F,ら The prediction of human pharmacokinetic parameters from preclinical and in vitro metabolism data. JPET 1997;283:46−58を参照のこと。
【0260】
結果:ラット、およびヒト肝臓ミクロソーム(0.5mg/mL)におけるインキュベーションの後、30分間のインキュベーションの最後に残っている試験化合物Aの平均相対量は、それぞれ、25.5±4.3%および37.2±3.9%(n=4)であった。上記t1/2値(LN(残っている親の%) 対 時間関係から計算した)は、ラットおよびヒト肝臓ミクロソームにおいて、それぞれ、15.5±1.6分および20.9±2.0分であった(図4および図5)。パロキセチンの代謝安定性をまた、同様に、並行して評価した。その対応するt1/2値を表1に示す。
【0261】
【表1】

結論:試験されたインビトロ条件下で、試験化合物Aは、ラットおよびヒト肝臓ミクロソーム調製物において代謝経路によって容易に除去された。上記試験化合物Aのt1/2値は、その対応するパロキセチンについての値より、ラットおよびヒト肝臓ミクロソームにおいて、それぞれ約24%および57%低かった。これらデータは、試験化合物Aが、パロキセチンについて報告されたように、試験化合物A自体のクリアランスを阻害しないことを示唆する。Bertelsen KM,Venkatakrishnan K,von Moltke LL,Obach S,Greenblatt,DJ. Apparent mechanism−based inhibition of human CYP2D6 in vitro by Paroxetine: comparison with fluoxetine and quinidine. Drug Met Disp 2003;31:289−293;およびHeydorn WE. Paroxetine: a review of its pharmacology, pharmacokinetics and utility in the treatment of a variety of psychiatric disorders. Exp Opin Invest Drugs 1999;8(4):417−441を参照のこと。ヒト肝臓ミクロソーム調製物におけるパロキセチンのt1/2値において認められた大きな変動性は、それ自体の代謝の不活性化に起因するようである。
【0262】
本発明は、具体的に示されかつその好ましい実施形態を参照しながら記載されてきたが、形態および詳細において種々の変更が、添付の特許請求の範囲によって包含される発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることは、当業者によって理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式:
【化32】

によって表されるベンゾ[d][1,3]ジオキソール基を含む、重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで重水素での該ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基の同位体富化は、少なくとも99.0%である、重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項2】
以下の構造式:
【化33】

によって表される、請求項1に記載の重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項3】
以下の構造式:
【化34】

によって表される、請求項1に記載の重水素化パロキセチンもしくはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項4】
以下の構造式:
【化35】

によって表されるベンゾ[d][1,3]ジオキソール基を含む、重水素化タダラフィルもしくはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで重水素での該ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基の同位体富化は、少なくとも99.0%である、重水素化タダラフィルもしくはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項5】
以下の構造式:
【化36】

によって表され、ここでRは、水素もしくは重水素であり、Rは、−CHもしくは−CDである、請求項4に記載の重水素化タダラフィルもしくはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項6】
以下の構造式:
【化37】

によって表されるベンゾ[d][1,3]ジオキソール基を含む、重水素化ベルベリンであって、ここで重水素での該ベンゾ[d][1,3]ジオキソール基の同位体富化は、少なくとも99.0%である、重水素化ベルベリン。
【請求項7】
以下の構造式:
【化38】

によって表され、ここでXは、薬学的に受容可能なアニオンである、請求項6に記載の重水素化ベルベリン。
【請求項8】
以下の構造式:
【化39】

によって表される重水素化ベンゾ[d][1,3]ジオキソールの調製のためのプロセスであって、該プロセスは、
重水素化カテコールと塩基およびジハロジ重水素メタンとを反応させて、該重水素化ベンゾ[d][1,3]ジオキソールを形成する工程
を包含し、ここで該重水素化カテコールは、以下の構造式:
【化40】

によって表され、
ここで重水素での該重水素化カテコールの同位体富化は、少なくとも75%であり;そして
該重水素化カテコールおよび重水素化ベンゾ[d][1,3]ジオキソールの環Aは、1個以上の基で置換されるが、ただし、上記置換基は、該塩基とも、該ジハロジ重水素メタンとも反応しない、プロセス。
【請求項9】
前記重水素での重水素化カテコールの同位体富化は、少なくとも85%である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記重水素での重水素化カテコールの同位体富化は、少なくとも95%である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
前記重水素化カテコールは、以下の構造式:
【化41】

によって表され、そして前記重水素化ベンゾ[d][1,3]ジオキソールは、以下の構造式:
【化42】

によって表され、ここでnは1、2もしくは3であり;
各Rは、独立して、ハロ;−OR;−OR’;−CHO;−COOR,−COOR’;C(O)R’;−CN;−OC(O)NH;−OC(O)NHR’;−OC(O)N(R’);−CR=C(R;−C≡CR;もしくはRによって表される1個以上の基で必要に応じて置換されたアリール基であり;
各Rは、独立して、−HもしくはR’によって表される基であり;
各Rは、独立して、ハロ;アルキル、−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ、−CHO;−COOR、−COOR”;C(O)R”;−NO;ハロアルキル;−CN;−NHR、−NRR”、−N(R”);−NHC(O)R”;−NHC(O)NH;−NHC(O)NHR”;−NHC(O)N(R”);−OC(O)NH;−OC(O)NHR”;−OC(O)N(R”);−NHC(O)H;−NHC(O)R”;−NHC(O)OR”;−S(O)R”;−S(O)R”;−SONH;−SONHR”;−SON(R”);−NHSONH;−NHSONHR”;−NHSON(R”);および−NHSOから選択され;
R’は、アルキルもしくはアリールであり、各々必要に応じてかつ独立して、以下から選択される1個以上の基:ハロ;−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ、−CHO;−COOR、−COOR”;C(O)R”;−NO;アルキル;ハロアルキル;−CN;−NHR、−NRR”、−N(R”);−NHC(O)R”;−NHC(O)NH;−NHC(O)NHR”;−NHC(O)N(R”);−OC(O)NH;−OC(O)NHR”;−OC(O)N(R”);−NHC(O)H;−NHC(O)R”;−NHC(O)OR”;−S(O)R”;−S(O)R”;−SONH;−SONHR”;−SON(R”);−NHSONH;−NHSONHR”;−NHSON(R”);および−NHSOで置換されており;
R”は、アルキルであり;
は、フェノール保護基であり;
は、カルボン酸保護基であり;そして
は、アミン保護基である、
請求項8に記載のプロセス。
【請求項12】
nは1であり;そして
は、ハロ;−OR;−OR’;−CHO;−COOR、−COOR’;C(O)R’;−CN;−CH=CHR;−C≡CH;−C≡CR;もしくはRによって表される1個以上の基で必要に応じて置換されたフェニルであり;そして
各々Rは、独立して、ハロ;アルキル、−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ、−CHO;−COOR、−COOR”;C(O)R”;−NO;アルキル;ハロアルキル;および−CNから選択され;
R’は、アルキル;もしくはハロで必要に応じて置換されたフェニル;−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ、−CHO;−COOR、−COOR”;C(O)R”;−NO;ハロアルキル;および−CNである、
請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ジハロ重水素メタンは、CDCl、CDBr、CDもしくはBrCDClである、請求項8に記載のプロセス。
【請求項14】
前記塩基は、KCO、CsCO、NaOCH、NaH、KF、CsFもしくはカリウムtert−ブトキシドである、請求項8に記載のプロセス。
【請求項15】
前記反応は、双極性非プロトン溶媒中で行われる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項16】
前記反応は、DO/N−メチルピロリドン共溶媒中で行われる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項17】
前記双極性非プロトン溶媒は、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ヘキサメチルホスホルアミドもしくはN,N−ジメチルプロピレン尿素である、請求項15に記載のプロセス。
【請求項18】
i)前記ジハロジ重水素メタンは、CDCl、CDBr、CDもしくはBrCDClであり;ii)前記塩基は、KCO、CsCO、NaOCH、NaH、KF、CsFもしくはカリウムtert−ブトキシドであり;そしてiii)前記反応は、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ヘキサメチルホスホルアミドおよびN,N−ジメチルプロピレン尿素から選択される溶媒中で行われる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項19】
前記重水素化カテコールは、カテコールと、Dの供給源とを反応させる工程によって調製され、ここで該カテコールは、以下の構造式:
【化43】

によって表される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項20】
前記Dの供給源は、CHOD、DOもしくはDClである、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記重水素化カテコールを形成する反応は、CHODおよびDOから選択される溶媒中で行われる、請求項19に記載のプロセス。
【請求項22】
前記重水素化カテコールを形成する反応は、i)テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルもしくはジオキサン;およびii)−CHODもしくはDO、を含む共溶媒中で行われる、請求項19に記載のプロセス。
【請求項23】
前記反応は、NaH、NaODもしくはDClの存在下で行われる、請求項19に記載のプロセス。
【請求項24】
前記カテコールは、以下から選択される構造式:
【化44】

によって表される、請求項19に記載のプロセス。
【請求項25】
前記重水素化カテコールは、以下から選択される構造式:
【化45】

によって表される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項26】
以下の構造式:
【化46】

によって表される化合物であって、ここで
重水素での該化合物の同位体富化は、少なくとも99.0%であり;
nは1、2もしくは3であり;
各Rは、独立して、フルオロ、クロロ、ヨード、−OR;−OR’;−CHO;−COOR、−COOR’;C(O)R’;−CN;−OC(O)NH;−OC(O)NHR’;−OC(O)N(R’);−CR=C(R;−C≡CR;もしくはRによって表される1個以上の基で必要に応じて置換されたアリールであり;
各Rは、独立して、−HもしくはR’によってあらわさえる基であり;
によって表される各基は、独立して、ハロ;アルキル、−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ、−CHO;−COOR、−COOR”;C(O)R”;−NO;ハロアルキル;−CN;−NHR、−NRR”、−N(R”);−NHC(O)R”;−NHC(O)NH;−NHC(O)NHR”;−NHC(O)N(R”);−OC(O)NH;−OC(O)NHR”;−OC(O)N(R”);−NHC(O)H;−NHC(O)R”;−NHC(O)OR”;−S(O)R”;−S(O)R”;−SONH;−SONHR”;−SON(R”);−NHSONH;−NHSONHR”;−NHSON(R”);および−NHSOから選択され、
R’は、アルキルもしくはアリールであり、各々必要に応じてかつ独立して、以下から選択される1個以上の基;ハロ;−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ、−CHO;−COOR、−COOR”;C(O)R”;−NO;アルキル;ハロアルキル;−CN;−NHR、−NRR”、−N(R”);−NHC(O)R”;−NHC(O)NH;−NHC(O)NHR”;−NHC(O)N(R”);−OC(O)NH;−OC(O)NHR”; −OC(O)N(R”);−NHC(O)H;−NHC(O)R”;−NHC(O)OR”;−S(O)R”;−S(O)R”;−SONH;−SONHR”;−SON(R”);−NHSONH;−NHSONHR”;−NHSON(R”);および−NHSOで置換されており;
R”はアルキルであり;
は、−Hもしくはフェノール保護基であり;
は、−Hもしくはカルボン酸保護基であり;そして
は、−Hもしくはアミン保護基である、
化合物。
【請求項27】
前記化合物は、以下の構造式:
【化47】

によって表され、
は、フルオロ、クロロ、ヨード、−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ、−CHO;−COOR、−COOR’;C(O)R’;−CH=CHR;−C≡CH;−C≡CR;もしくはRによって表される1個異常の基で必要に応じて置換されたフェニル基であり;そして
各Rは、独立して、ハロ;アルキル、−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ、−CHO;−COOR、−COOR”;C(O)R”;−NO;ハロアルキル;および−CNから選択され;そして
R’は、アルキル基;もしくはハロで必要に応じて置換されたフェニル基;−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ、−CHO;−COOR、−COOR”;C(O)R”;−NO;アルキル;ハロアルキル;および−CNである、
請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
は、−CHOもしくは−ORである、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
以下の構造式:
【化48】

によって表される化合物を含む、組成物であって、ここで
は、ハロ、−OR;アルコキシ;−CHO;−COOR、−COOR’;C(O)R’;−CN;−CH=CHR;−C≡CH;−C≡CR;もしくはRによって表される1個以上の基で必要に応じて置換されたフェニル基であり;
各Rは、独立して、−HもしくはR’によって表される基であり;
各Rは、独立して、ハロ;アルキル、−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ、−CHO;−COOR、−COOR”;C(O)R”;−NO;ハロアルキル;および−CNから選択され;そして
R’は、アルキル基;もしくはハロで必要に応じて置換されたフェニル基;−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ、−CHO;−COOR、−COOR”;C(O)R”;−NO;アルキル;ハロアルキル;および−CNであり、
は、フェノール保護基であり;そして
は、カルボン酸保護基であり;そして
ここで
該化合物は、該組成物の少なくとも90重量%であり;そして
該重水素での化合物の同位体富化は、少なくとも75%である、
組成物。
【請求項30】
前記化合物は、以下から選択される以下の構造式:
【化49】

によって表される、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
以下の構造式:
【化50】

によって表される重水素化カテコールを調製するためのプロセスであって、該プロセスは、
a)出発カテコールと、Dの供給源とを反応させる工程であって、ここで該出発カテコールは、以下の構造式:
【化51】

によって表され、それによって、該重水素化カテコールを形成する工程;
b)該重水素化カテコールを、該重水素の供給源から分離して、組成物を形成する工程であって、ここで該組成物の10重量%未満は、該重水素供給源であり;
ここで
は、ハロ、−OR;アルコキシ;−CHO;−COOR、−COOR’;C(O)R’;−CN;−CH=CHR;−C≡CH;−C≡CR;もしくはRによって表される1個以上の基で必要に応じて置換されたフェニル基であり;
各Rは、独立して、−HもしくはR’によって表される基であり;
各Rは、独立して、ハロ;アルキル、−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ、−CHO;−COOR、−COOR”;C(O)R”;−NO;ハロアルキル;および−CNから選択され;そして
R’は、アルキル;もしくはハロで必要に応じて置換されたフェニル基;−OR;アルコキシ;ハロアルコキシ、−CHO;−COOR、−COOR”;C(O)R”;−NO;アルキル;ハロアルキル;および−CNであり;
は、フェノール保護基であり;
は、カルボン酸保護基であり;そして
は、アミン保護基である、
プロセス。
【請求項32】
前記重水素化カテコールは、以下から選択される構造式:
【化52】

によって表され、前記出発カテコールは、以下から選択される構造式:
【化53】

によって表される、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
前記組成物の90重量%より多くが、前記重水素化カテコールである、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
重水素化パロキセチンおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項35】
癌を現在処置しているかもしくは癌を処置した患者において一過性熱感を処置するための方法であって、該方法は、請求項1に記載の化合物もしくは請求項29に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−539166(P2010−539166A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524866(P2010−524866)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/010643
【国際公開番号】WO2009/035652
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(509239071)コンサート ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】