説明

金型内塗装成形方法、成形品及び金型

【課題】 工数の増大を抑制しつつ、成形品の形状の自由度を増大することができる金型内塗装成形方法、成形品及び金型を提供する。
【解決手段】 第1キャビティ面13を有する固定金型11と、第2キャビティ面14を有する可動金型12とにより形成されるキャビティ15内で樹脂成形品を成形し、その後、金型を所定間隔だけ開いて樹脂成形品の表面と第1キャビティ面との間に塗料を注入して、表面に塗膜が密着した一体型樹脂成形品を製造する。固定金型及び可動金型間には、型の動き方向の合わせ面Sが設けられる。第1キャビティ面は型開閉方向Aに対し一側に傾斜する第1傾斜面13aを有し、第2キャビティ面は、同他側に傾斜して第1傾斜面に対向する第2傾斜面14aを有する。キャビティは、一端が第1及び第2傾斜面の境界部に連通するとともに、型開閉方向に直交する方向に延出して、他端が合わせ面Sに連通する補助キャビティ15aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型内塗装成形方法、成形品及び金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等に使用される樹脂成形品の表面に塗装を施すことは、意匠性を高めたり、あるいは、耐候性を高めたりすることを目的として広く行われている。このような塗装方法としてはスプレー塗装法が一般的であるが、樹脂成形品の塗装に際し、脱脂、塗料の吹付け、焼付け等の工程を順次、必要とする。従って、塗装工程の工数が著しく増す分、コストの増大を余儀なくされる。
【0003】
一方、こうした塗装工程の工数の増大を抑制するために、成形工程のみで樹脂成形品の表面への塗装を可能とする金型内塗装成形方法も提案されている(特許文献1、2など)。この金型内塗装成形方法では、金型内で樹脂成形品を成形した後、金型を微開して樹脂成形品の表面と金型のキャビティ面との間に塗料を注入し、その後、塗料を金型内で硬化させることで、樹脂成形品の表面に塗膜が密着した一体型樹脂成形品が製造される。この成形方法を採用すれば、上述の塗装工程に比べて簡易な工程で樹脂成形品の表面に塗装を施すことができ、ひいてはコストの削減を図ることができる。
【特許文献1】特許第3455700号公報
【特許文献2】特開2001−138334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、こうした金型内塗装成形方法では、特許文献2でも説明されるように、金型を微開した際に注入される塗料が漏れないよう、固定型と可動型との間に型の動き方向(型開閉方向に直交する横方向に対し傾斜する方向)にこれらを摺り合わせる面を設ける必要がある。
【0005】
詳述すると、図5に示されるように、雌型91は、樹脂成形品の外形に合わせて型開閉方向Aに対し傾斜する傾斜面91aを有する。一方、雄型92は、型締め時に前記傾斜面91aと摺接する傾斜面92aを有する。つまり、先端側の前記傾斜面91a及び傾斜面92aにより、型の動き方向の合わせ面Sが形成されている。このような合わせ面Sが設けられることで、金型の微開時における型開閉方向Aのストロークに比べ、合わせ面Sに生じる間隙は小さくなる。そして、注入される塗料の漏れは、合わせ面Sにおいて遮断される。
【0006】
しかしながら、雌型及び雄型により合わせ面(S)を設けるためには、塗装に係る樹脂成形品(成形品)の形状に制約を受けることになる。例えば、図6に示す樹脂成形品93の場合には、これが型開閉方向Aに対し互いに相反する側に傾斜する傾斜面93a,93bを同時に有することで、上述の合わせ面(S)の設定が現実的でなくなってしまう。
【0007】
すなわち、例えば図7に示すように、樹脂成形品93の形状にそのまま対応して雌型94の傾斜面94a及び雄型95の傾斜面95a間に合わせ面Sを設けた場合には、樹脂成形品93の外形(傾斜面93b)に合わせて雄型95に先鋭な型部95bが生じる。しかし、型部95bの先端は肉厚が薄くなることから、十分な強度が確保できず破損する可能性があって現実的ではない。
【0008】
一方、このような強度不足を解消するために、図5に示した雌型91及び雄型92を利用する場合には、図8に示すように、成形直後の樹脂成形品93に傾斜面93aよりも外側に突出する余剰部Rが形成されることになる。従って、塗装後の成形品(一体型樹脂成形品)から、表面の塗膜も含めてこの余剰部Rを除去するための面取り工程が必要となり、結果的に工数が増大してしまう。また、面取りに係る加工面の面積も広いことから、外部に露出する場合には見栄えが悪くなってしまう。
【0009】
本発明の目的は、工数の増大を抑制しつつ、成形品の形状の自由度を増大することができる金型内塗装成形方法及び成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1キャビティ面を有する第1金型と、第2キャビティ面を有する第2金型とにより形成されるキャビティ内で樹脂成形品を成形し、その後、前記第1及び第2金型を所定間隔だけ開いて前記成形された樹脂成形品の表面と前記第1及び第2キャビティ面のいずれか一方との間に塗料を注入して、該樹脂成形品の表面に塗膜が密着した一体型樹脂成形品を製造する金型内塗装成形方法であって、前記第1及び第2金型間には、型の動き方向の合わせ面が設けられ、前記第1キャビティ面は、型開閉方向に対し一側に傾斜する第1傾斜面を有し、前記第2キャビティ面は、型開閉方向に対し他側に傾斜して前記第1傾斜面に対向する第2傾斜面を有する金型内塗装成形方法において、前記キャビティは、一端が前記第1及び第2傾斜面の境界部に連通するとともに、型開閉方向に直交する方向に延出して、他端が前記合わせ面に連通する補助キャビティを有することを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金型内塗装成形方法において、前記補助キャビティは、前記第1及び第2金型の強度確保に要する所定距離だけ型開閉方向に直交する方向に延出することを要旨とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の金型内塗装成形方法を用いて製造した成形品であることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の金型内塗装成形方法に用いられる金型であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
以上詳述したように、請求項1又は2に記載の発明では、前記第1及び第2金型により形成されるキャビティ内で成形される樹脂成形品には、前記第1キャビティ面の第1傾斜面及び前記第2キャビティ面の第2傾斜面に対応して、型開閉方向に対し互いに相反する側に傾斜する2つの傾斜面が成形される。また、この樹脂成形品には、前記補助キャビティに対応して、型開閉方向に直交する方向に延出する補助成形部が成形される。そして、この樹脂成形品の成形後に、前記第1及び第2金型を所定間隔だけ開いて該樹脂成形品の表面と前記第1及び第2キャビティ面のいずれか一方との間に塗料を注入することで、表面に塗膜が密着した一体型樹脂成形品が製造される。
【0014】
この際、注入される塗料の漏れは、前記第1及び第2金型を開く前記所定間隔に比べて小さな間隙となる前記合わせ面において遮断することができる。また、前記第1及び第2金型は、前記第1及び第2傾斜面に連続する前記補助キャビティの延出長分だけ型開閉方向に直交する方向に幅広とされてその強度を確保できるため、その破損等も回避することができる。
【0015】
そして、上記において製造された一体型樹脂成形品に対し、前記補助キャビティに対応して比較的肉薄で成形される上述の補助成形部を除去すれば、型開閉方向に対し互いに相反する側に傾斜する2つの傾斜面(第1及び第2傾斜面に対応して成形された傾斜面)を有する塗装した成形品が得られる。このため、工数の増大を抑制しつつ、成形品の形状の自由度を増大することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、製造された成形品は、工数の増大を抑制しつつ、自由度が増大された形状を有することができる。
請求項4に記載された発明では、上述の金型内塗装成形方法で用いられる金型であるため、さまざまな形状を有する(形状の自由度を増大させた)成形品を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図4(a)は、本発明が適用される自動車1を車両外側から見た部分側面図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B線に沿った断面図である。同図に示されるように、自動車1のフロント側のドアフレーム後部2は、鋼板をロール成形したフレーム部3に成形品としてのガーニッシュ4が装着された構造を有している。同様に、自動車1のリア側のドアフレーム前部5は、鋼板をロール成形したフレーム部6にガーニッシュ7が装着された構造を有している。これらガーニッシュ4,7は、車両幅方向外側(外側面)からの見栄え向上と風切り音の抑制のために、フロント側及びリア側の間隙が小さくなるように成形されている。また、図4(b)に矢印にて示したように、車両の構造上、フロントドアの開閉軌跡がリアドア方向になることから、ガーニッシュ4は、フロントドアの開閉に伴いガーニッシュ7と干渉することがないように成形されている。
【0018】
具体的には、前記ガーニッシュ4の後端部(ガーニッシュ7に対向する端部)に連続して車両幅方向内側に突出する突壁部8は、外側から内側(図4(b)において上側から下側)に向かってガーニッシュ7側に傾斜する傾斜面8aと、外側から内側(図4(b)において下側から上側)に向かってガーニッシュ7から離反する側に傾斜する傾斜面8bとを有している。つまり、これら傾斜面8a,8bは、車両幅方向に対して互いに相反する側に傾斜しており、これら傾斜面8a,8bは車両幅方向中間部で連続(交差)している。
【0019】
ところで、自動車1のドアガラス周り(ドアフレーム)は、デザイン上、黒色にすることが多く、本実施形態のガーニッシュ4,7は黒色に塗装されている。例えば、前記ガーニッシュ4は、この塗装に係る工数の増大を抑制するために、金型内塗装成形方法にて成形されている。
【0020】
ここで、本実施形態における前記ガーニッシュ4の成形態様について図1〜図3に従って説明する。
図1(a)は、本実施形態において、金型内塗装成形に用いる金型10を示す断面図であり、図1(b)は、図1(a)の領域Cを示す拡大図である。なお、図1では、型締め後の金型10の状態を示している。
【0021】
同図に示されるように、この金型10は、第1金型としての固定金型11と、第2金型としての可動金型12とを備えている。そして、固定金型11には、型開閉方向(図1の上下方向)Aと平行な型の動き方向Bに沿った摺接面11aが形成されている。一方、可動金型12には、金型10の型締め時に摺接面11aと摺り合わされる摺接面12aが形成されている。これら摺接面11a,12aは、固定金型11及び可動金型12間に設けられる型の動き方向Bの合わせ面Sを構成する。
【0022】
つまり、金型10(固定金型11及び可動金型12)の外側は、この合わせ面Sを介して型割りされている。そして、摺接面11aを備えた固定金型11が雌型を形成し、摺接面12aを備えた可動金型12が雄型を形成している。なお、型の動き方向Bは、少なくとも型開閉方向Aに対して直交する横方向に対し傾斜する方向として定義されるものであって、型開閉方向Aと必ずしも平行である必要はない。
【0023】
また、固定金型11は、第1キャビティ面13を有しており、可動金型12は、第2キャビティ面14を有している。これら第1及び第2キャビティ面13,14は、金型10の型締め時に合わせ面Sが摺り合わされることでキャビティ15を形成する。なお、前記第1キャビティ面13は、型開閉方向Aに対し一側(図1(b)において左上から右下)に傾斜する第1傾斜面13aと、型開閉方向Aに直交する方向に伸びて第1傾斜面13aの先端と摺接面11aの基端とを接続する延出面13bとを有する。一方、前記第2キャビティ面14は、型開閉方向Aに対し他側(図1(b)において左下から右上)に傾斜する第2傾斜面14aと、型開閉方向Aに直交する方向に伸びて第2傾斜面14aの先端と摺接面12aの基端とを接続する延出面14bとを有する。
【0024】
第1及び第2傾斜面13a,14aは、前記ガーニッシュ4の傾斜面8a,8bの傾斜角度に対応する傾斜角度を有しており、互いに対向している。また、延出面13b,14bは、型開閉方向Aで所定距離Dだけ離隔されている。従って、前記キャビティ15は、これら延出面13b,14bにより形成される補助キャビティ15aを有する。この補助キャビティ15aは、一端が前記第1及び第2傾斜面13a,14aの境界部に連通するとともに、型開閉方向Aに直交する外側方向に延出して、他端が前記合わせ面Sに連通する。
【0025】
なお、前記所定距離(補助キャビティ15aの厚み)Dは、樹脂成形に要する最小肉厚分に相当する距離(例えば、0.5mm)に設定されている。また、前記補助キャビティ15aが型開閉方向Aに直交する方向に延出する距離Lは、前記可動金型12の強度確保に要する所定距離(例えば、5mm)に設定されている。
【0026】
さらに、固定金型11には、キャビティ15内に溶融樹脂を射出するための成形機ノズル16が設けられている。また、固定金型11には、成形された樹脂成形品の表面と前記第1キャビティ面13との間に塗料を注入するための塗料注入機17が設けられている。
【0027】
このような構造を有する金型10において、前記ガーニッシュ4の製造にあたっては、まず、図1に示した型締め時の状態で、前記成形機ノズル16からキャビティ15内に、例えばABS樹脂などの溶融樹脂を射出する。そして、この溶融樹脂をキャビティ15内で硬化させて、図2に示した樹脂成形品21を成形する。このキャビティ15内で成形される樹脂成形品21には、前記第1キャビティ面13の第1傾斜面13a及び前記第2キャビティ面14の第2傾斜面14aに対応して、型開閉方向Aに対し互いに相反する側に傾斜する2つの傾斜面21a,21bが成形される。また、この樹脂成形品21には、前記延出面13b,14b(補助キャビティ15a)に対応して、型開閉方向Aに直交する方向に延出する補助成形部21cが成形される。この補助成形部21cは、上記傾斜面21a,21bの先端(交差部)に連続して、樹脂成形品21に一体的に形成されていることはいうまでもない。
【0028】
次に、前記固定金型11に対し、前記可動金型12を所定間隔Δ(例えば0.5〜1mm)だけ開く。このとき、樹脂成形品21は、可動金型12と一体で移動するように図示しない係止手段と係合されている。そして、前記塗料注入機17から、前記樹脂成形品21の表面21dと前記第1キャビティ面13との間に、例えばアクリルメタン系の黒色の塗料を注入する。この際、注入される塗料の漏れは、前記固定金型11及び可動金型12を開く前記所定間隔Δに比べて小さな間隙となる前記合わせ面Sにおいて遮断される。これにより、注入された塗料が金型10の外部へと流れ出すことが防止される。そして、塗料の注入後に前記可動金型12を若干、閉じることで、図3に示したように、樹脂成形品21の表面21dに塗膜22が密着した一体型樹脂成形品23が製造される。
【0029】
このように製造された一体型樹脂成形品23に対し、前記補助キャビティ15aに対応して比較的肉薄で成形される補助成形部21cを塗膜ごと除去すれば、型開閉方向Aに対し互いに相反する側に傾斜する2つの傾斜面を有する塗装した成形品(ガーニッシュ4)が得られる。この成形品において、第1傾斜面13aに対応して塗装を含めて成形された傾斜面は、ガーニッシュ4の一方の傾斜面8aに相当し、第2傾斜面14aに対応して成形された傾斜面は、ガーニッシュ4の他方の傾斜面8bに相当する。なお、塗装された補助成形部21cの除去に要する工数(例えば、切除・研磨の工数)は、従来例(図8参照)での余剰部Rの除去に要する工数に比べて十分に小さいことはいうまでもない。
【0030】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、樹脂成形品21の表面21dに塗膜22が密着した一体型樹脂成形品23を製造する際、注入される塗料の漏れは、金型10(固定金型11及び可動金型12)を開く前記所定間隔Δに比べて小さな間隙となる前記合わせ面Sにおいて遮断することができる。また、固定金型11及び可動金型12(特に可動金型12)は、前記第1及び第2傾斜面13a,14aに連続する延出面13b,14b(補助キャビティ15a)の延出長(距離L)分だけ型開閉方向Aに直交する方向に幅広とされてその強度を確保できるため、その破損等も回避することができる。
【0031】
そして、上記において製造された一体型樹脂成形品23に対し、前記補助キャビティ15aに対応して比較的肉薄で成形される塗装された補助成形部21cを除去すれば、型開閉方向Aに対し互いに相反する側に傾斜する2つの傾斜面8a,8bを有する塗装した成形品(ガーニッシュ4)が得られる。このため、工数の増大を抑制しつつ、成形品の形状の自由度を増大することができる。
【0032】
(2)また、成形後の余剰部(補助成形部21c)が比較的肉薄であることから、その除去に係る加工面も狭くなり、見栄えも向上させることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0033】
・前記実施形態において、塗装時の樹脂成形品21を、固定金型11と一体に固定させてもよい。この場合、前記樹脂成形品21の第2キャビティ面14側の表面と同第2キャビティ面14との間に塗料を注入して、当該第2キャビティ面14側の表面(傾斜面21b)を塗装すればよい。
【0034】
・前記実施形態において、固定金型11及び可動金型12と、雌型及び雄型との関係が逆になるように合わせ面S(摺接面11a,12a)を設定してもよい。
・前記実施形態において、キャビティ15は、2つの金型(固定金型11及び可動金型12)のみで形成されるわけではなく、例えば樹脂成形品21を可動金型12側に保持する補助金型などを備えている。
【0035】
・前記実施形態において、合わせ面Sにおける塗料の硬化を促進するために、固定金型11の摺接面11a又は可動金型12の摺接面12aにヒータを設けてもよい。このヒータは、固定金型11に設けることが好ましい。
【0036】
・前記実施形態において、補助キャビティ15a内に成形樹脂を十分に充填するために、溶融樹脂を射出する圧力を通常の圧力よりも大きく設定しておくことが好ましい。
・本発明が適用される成形品は、ガーニッシュ4に限定されるものではない。例えば、リア側のガーニッシュ7に本発明を適用してもよい。あるいは、図4に併せ示したように、フロントウインドとフロントドアとを区画するフロントピラー(Aピラー)31や、リア側のドアフレーム後部のフレーム部32に設ける成形品に本発明を適用してもよい。
【0037】
・本発明に適用される成形樹脂(熱可塑性樹脂)として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニルポリマーといったポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール等の結晶性汎用樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール等の結晶性エンジニアリングプラスチック、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ACS樹脂、PMMA樹脂等の非晶性汎用樹脂、ポリカーボネート、変性PPO、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド等の非晶性エンジニアリングプラスチック、その他、ポリスチレン樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらは混合して用いることも可能である。また、熱可塑性を維持する範囲で上述した各種の熱可塑性樹脂に他の成分、例えば、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を混合したものを用いることもできる。さらに、これらの各種材料にカーボン繊維やガラス繊維等の各種繊維を添加した複合材料を用いることも可能である。
【0038】
・本発明に適用される塗料として、アルキド樹脂系、エポキシ樹脂エステル系、脂肪酸変性ウレタン樹脂系等の酸化重合型塗料、エポキシ樹脂系、ポリウレタン系、不飽和ポリエステル系等の多液反応型塗料、アルキド樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリウレタン系、ビニル樹脂系等の熱硬化型塗料、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、これら各種オリゴマーとエチレン性不飽和モノマーからなるラジカル重合型塗料、あるいはこれらの塗料に金属粉や顔料、紫外線吸収剤等を添加した機能性塗料、フッ素樹脂系ラッカー、シリコン樹脂系ラッカー、シラン系ハードコート剤等を用いることができる。
【0039】
・射出成形機の構成について特に言及していないが、本発明は、これを構成する型締め機構、射出機構、各種駆動制御部を特に限定するものではない。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0040】
(イ)請求項1又は2に記載の金型内塗装成形方法において、
前記補助キャビティには、樹脂成形に要する最小肉厚分に相当する所定距離が型開閉方向に設定されていることを特徴とする金型内塗装成形方法。
【0041】
(ロ)請求項1、2、上記(イ)のいずれか1項に記載の金型内塗装成形方法において、
前記樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニルポリマーといったポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール等の結晶性汎用樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール等の結晶性エンジニアリングプラスチック、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ACS樹脂、PMMA樹脂等の非晶性汎用樹脂、ポリカーボネート、変性PPO、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド等の非晶性エンジニアリングプラスチック、ポリスチレン樹脂、熱可塑性エラストマーのいずれか1つ又はこれらの混合であることを特徴とする金型内塗装成形方法。
【0042】
(ハ)請求項1、2、上記(イ)(ロ)のいずれか1項に記載の金型内塗装成形方法において、
前記塗料は、アルキド樹脂系、エポキシ樹脂エステル系、脂肪酸変性ウレタン樹脂系等の酸化重合型塗料、エポキシ樹脂系、ポリウレタン系、不飽和ポリエステル系等の多液反応型塗料、アルキド樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリウレタン系、ビニル樹脂系等の熱硬化型塗料、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、これら各種オリゴマーとエチレン性不飽和モノマーからなるラジカル重合型塗料、或いはこれらの塗料に金属粉や顔料、紫外線吸収剤等を添加した機能性塗料、フッ素樹脂系ラッカー、シリコン樹脂系ラッカー、シラン系ハードコート剤のいずれか1つであることを特徴とする金型内塗装成形方法。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(a)(b)は、本発明の一実施形態を示す断面図。
【図2】同実施形態を示す断面図。
【図3】同実施形態を示す断面図。
【図4】(a)は、自動車の部分側面図であり、(b)は、(a)のB−B線に沿った断面図。
【図5】従来例を示す断面図。
【図6】従来例を示す断面図。
【図7】従来例を示す断面図。
【図8】従来例を示す断面図。
【符号の説明】
【0044】
S…合わせ面、4…成形品としてのガーニッシュ、11…第1金型としての固定金型、12…第2金型としての可動金型、13…第1キャビティ面、13a…第1傾斜面、14…第2キャビティ面、14a…第2傾斜面、15…キャビティ、15a…補助キャビティ、21…樹脂成形品、21d…表面、22…塗膜、23…一体型樹脂成形品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1キャビティ面を有する第1金型と、第2キャビティ面を有する第2金型とにより形成されるキャビティ内で樹脂成形品を成形し、その後、前記第1及び第2金型を所定間隔だけ開いて前記成形された樹脂成形品の表面と前記第1及び第2キャビティ面のいずれか一方との間に塗料を注入して、該樹脂成形品の表面に塗膜が密着した一体型樹脂成形品を製造する金型内塗装成形方法であって、
前記第1及び第2金型間には、型の動き方向の合わせ面が設けられ、
前記第1キャビティ面は、型開閉方向に対し一側に傾斜する第1傾斜面を有し、
前記第2キャビティ面は、型開閉方向に対し他側に傾斜して前記第1傾斜面に対向する第2傾斜面を有する金型内塗装成形方法において、
前記キャビティは、一端が前記第1及び第2傾斜面の境界部に連通するとともに、型開閉方向に直交する方向に延出して、他端が前記合わせ面に連通する補助キャビティを有することを特徴とする金型内塗装成形方法。
【請求項2】
請求項1に記載の金型内塗装成形方法において、
前記補助キャビティは、前記第1及び第2金型の強度確保に要する所定距離だけ型開閉方向に直交する方向に延出することを特徴とする金型内塗装成形方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の金型内塗装成形方法を用いて製造した成形品。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の金型内塗装成形方法に用いられる金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−264066(P2006−264066A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−84526(P2005−84526)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(300041192)宇部興産機械株式会社 (268)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【Fターム(参考)】