説明

金属ガラス物品の製造方法

【課題】金属ガラス物品を製造する場合に、その物品の大きさや立体形状にかかわらず容易かつ迅速に対応できる金属ガラス物品の製造方法の提供。
【解決手段】この発明は、金属ガラス物品を製造する方法であって、第1工程と第2工程を基本とする。第1工程では、粉末状の金属ガラス3を所定の厚さに敷き詰めて金属ガラス層を形成する。第2工程では、第2工程で形成した金属ガラス層の所定部に対してレーザ光を照射し、当該照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させ、その所定の厚さからなる所望の凝固形状を作成する。そして、第1工程と第2工程とを交互に繰り返し、金属ガラスで所望の立体形状を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状の金属ガラスを使用して金属ガラス物品を製造する金属ガラス物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属ガラス物品の一例としては、磁気カードやビデオテープなどの記録再生などに使用されるインダクティブ形ヘッドに適用されるバルク状の金属ガラス合金からなるコアが知られている(特許文献1参照)。
このインダクティブ形ヘッドのコアは、軟磁性金属ガラスの粉末を型に入れて焼結して成形するようにしている。このような製造方法では、コアのサイズや形状に応じた型を用意する必要があり、コアのサイズや形状が異なる場合には、それに応じて異なる型をいちいち用意しなければならないという不具合がある。
このため、インダクティブ形ヘッドのコアなどの金属ガラス物品を粉末状の金属ガラスを使用して製造する場合に、型などを使用せずに製造できることが望まれる。さらに、金属ガラス物品の大きさや立体形状(構造)にかかわらず適用できる、新たな金属ガラス物品の製造方法の出現が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−73608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の幾つかの態様の目的は、金属ガラス物品を製造する場合に、その物品の大きさや立体形状にかかわらず容易かつ迅速に対応できる金属ガラス物品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決し本発明の目的を達成するために、本発明の各態様は、以下のように構成される。
本発明の第1の態様は、粉末状の金属ガラスを所定の厚さに敷き詰める第1工程と、前記第1工程で所定の厚さに敷き詰めた粉末状の金属ガラスの所定部に対してレーザ光を照射し、当該照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させ、前記所定の厚さからなる所望の凝固形状を作成する第2工程と、を含み、前記第1工程と前記第2工程とを交互に繰り返し、前記金属ガラスで所望の立体形状を作成する。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記第1工程では、前記金属性母材の表面に、粉末状の金属ガラスを所定の厚さに敷き詰めるようにした。
【0006】
本発明の第3の態様は、冷却用液体を張った容器内に、粉末状の金属ガラスを所定の厚さに沈殿させる第1工程と、前記第1工程で所定の厚さに沈殿させた粉末状の金属ガラスの所定部に対してレーザ光を照射し、当該照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させ、前記所定の厚さからなる所望の凝固形状を作成する第2工程と、を含み、前記第1工程と前記第2工程とを交互に繰り返し、前記金属ガラスで所望の立体形状を作成する。
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記第1工程では、冷却用液体を張った容器内に金属性母材を沈殿させておき、前記金属性母材の表面に粉末状の金属ガラスを所定の厚さに沈殿させるようにした。
【0007】
本発明の第5の態様は、第2または第4の態様において、前記金属性母材は、棒材、板材、および箔材のうちの何れかである。
本発明の第6の態様は、第1〜第5の何れかの態様において、前記レーザ光に代えて、電子ビームを照射するようにした。
本発明の第7の態様は、第3〜第6の何れかの態様において、前記冷却用液体は、純水である。
本発明の第8の態様は、第3〜第7の何れかの態様において、前記第2工程中は、前記冷却用液体を強制的に冷却し、または前記冷却用液体の温度制御を行うようにした。
このような構成の本発明の態様によれば、金属ガラス物品を製造する場合に、その物品の大きさや立体形状(構造)にかかわらず容易かつ迅速に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態の製造工程を説明する図である。
【図2】本発明の第2実施形態の製造工程を説明する図である。
【図3】本発明の第3実施形態の製造工程を説明する図である。
【図4】本発明の製造方法で製造される金属ガラス物品の一例である発電機のステーターの斜視図である。
【図5】本発明の第3および第4実施形態の製造工程が適用可能な製造装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の製造工程を説明する工程図である。
本発明の製造方法では、粉末状の金属ガラスを使用して金属ガラス物品を製造するので、使用される金属ガラスについて説明する。
金属ガラスとしては、製造する金属ガラス物品に応じて各種のものが使用され、例えばFe、Co、Niのうちの1種または2種以上の元素を主成分とするものが使用される。また、金属ガラスの粉末は、アトマイズ法などの公知の方法によって製造される。このように得られる金属ガラスの粉末の直径は、例えば1〜500〔μm〕の範囲である。
次に、第1実施形態の製造工程について、図1を参照して説明する。
【0010】
この第1実施形態では、製造する金属ガラス物品の一例として、図4に示す発電機のステーターの場合について説明する。発電機のステーター1は、図4に示すように、ローター2を取り囲むように配置するものであり、例えば一対のステーター本体11、12を含んでいる。そして、ステーター本体11、12は、ローター2を取り囲むローター配置部11A、12Aを有している。
そこで、以下では、図4に示すローター配置部12Aを有するステーター本体12を製造する場合について、その製造工程を図1を参照して説明する。
第1工程では、図1(A)に示すように、平板上に、粉末状の金属ガラス3を所定の厚さH1に敷き詰め、厚さH1からなる粉末状の金属ガラス層4を形成する。ここで、厚さH1は、後述のレーザ光を照射する場合に、所望の凝固形状が得られる厚さである。
【0011】
第2工程では、ローター配置部12Aの一部である下側部分を作成するために、粉末状の金属ガラス層4の所定位置(所定部)に対してレーザ光を照射し、この照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させる(図1(B)参照)。このときに粉末状の金属ガラスが凝固する厚さH1の形状は、ローター配置部12Aの下側部分に応じた形状である(図4参照)。
第3工程では、図1(C)に示すように、金属ガラス層4上に、粉末状の金属ガラス3を所定の厚さH2に敷き詰め、厚さH2からなる粉末状の金属ガラス層5を形成する。
【0012】
第4工程では、ローター配置部12Aの一部である中央部分とステーター本体12とを作成するために、粉末状の金属ガラス層5の所定位置に対してレーザ光を照射し、この照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させる(図1(D)参照)。このときに粉末状の金属ガラスが凝固する厚さH2の形状は、ローター配置部12Aの中央部分とステーター本体12とに応じた形状である(図4参照)。また、このときには、ローター配置部12Aの中央部分は、その下側部分と一体になるようにレーザ光を照射する。
第5工程では、図1(E)に示すように、金属ガラス層5上に、粉末状の金属ガラス3を所定の厚さH3に敷き詰め、厚さH3からなる粉末状の金属ガラス層6を形成する。
【0013】
第6工程では、ローター配置部12Aの一部である上側部分を作成するために、粉末状の金属ガラス層6の所定位置に対してレーザ光を照射し、この照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させる(図1(F)参照)。このときに粉末状の金属ガラスが凝固する厚さH3の形状は、ローター配置部12Aの上側部分に応じた形状である(図4参照)。また、このときには、ローター配置部12Aの上側部分は、その中央部分と一体になるようにレーザ光を照射する。
【0014】
第7工程では、図1(G)に示すように、粉末状の金属ガラス層4、5、6を除去すれば、所望の金属ガラス物品として、ローター配置部12Aを有するステーター本体12が得られる。
以上のように、第1実施形態では、第1工程と第2工程を基本にし、その第1工程と第2工程とを交互に繰り返すことにより、金属ガラス物品を製造するようにした。このため、金属ガラス物品を製造する場合に、その物品の大きさや立体形状にかかわらず容易かつ迅速に対応して作成できる。
【0015】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態の製造工程を説明する工程図である。
この第2実施形態は、図4に示すローター配置部12Aを有するステーター本体12を金属性母材に一体に形成する場合であり、その製造工程を図2を参照して説明する。
なお、第2実施形態の製造工程は、図1に示す第1実施形態の製造工程と共通する部分があるので、共通部分についてはできるだけその説明を省略する。
第1工程では、図2(A)に示すように、平板上に金属性母材7を載せ、その金属性母材7上に、粉末状の金属ガラス3を所定の厚さH1に敷き詰め、厚さH1からなる粉末状の金属ガラス層4を形成する。
【0016】
第2工程では、ローター配置部12Aの一部である下側部分を作成するために、粉末状の金属ガラス層4の所定位置に対してレーザ光を照射し、この照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させる(図2(B)参照)。このときに粉末状の金属ガラスが凝固する厚さH1の形状は、ローター配置部12Aの下側部分に応じた形状である(図4参照)。また、このときには、ローター配置部12Aの下側部分が金属性母材7と一体になるようにレーザ光を照射する。
第3工程では、図2(C)に示すように、金属ガラス層4上に、粉末状の金属ガラス3を所定の厚さH2に敷き詰め、厚さH2からなる粉末状の金属ガラス層5を形成する。
第4工程では、ローター配置部12Aの一部である中央部分とステーター本体12とを作成するために、粉末状の金属ガラス層5の所定位置に対してレーザ光を照射し、この照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させる(図2(D)参照)。
【0017】
第5工程では、図2(E)に示すように、金属ガラス層5上に、粉末状の金属ガラス3を所定の厚さH3に敷き詰め、厚さH3からなる粉末状の金属ガラス層6を形成する。
第6工程では、ローター配置部12Aの一部である上側部分を作成するために、粉末状の金属ガラス層6に対してレーザ光を照射し、この照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させる(図2(F)参照)。
第7工程では、図2(G)に示すように、粉末状の金属ガラス層4、5、6を除去すれば、所望の金属ガラス物品として、金属性母材7に一体に形成されるローター配置部12Aを有するローター本体12が得られる。
以上のように、第2実施形態によれば、金属性母材に一体に所望の金属ガラス物品を製造する場合に、その物品の大きさや立体形状にかかわらず容易かつ迅速に対応して作成できる。
【0018】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態の製造工程を説明する工程図である。
この第3実施形態は、図4に示すローター配置部12Aを有するステーター本体12を製造する場合であり、その製造工程を図3を参照して説明する。
第1工程では、図3(A)に示すように、純水など冷却用液体8を張った容器9内の底部に、粉末状の金属ガラス3を所定の厚さH1に沈殿させ、厚さH1からなる粉末状の金属ガラス層4を形成する。ここで、厚さH1は、後述のレーザ光を照射する場合に、所望の凝固形状が得られる厚さである。
第2工程では、ローター配置部12Aの一部である下側部分を作成するために、粉末状の金属ガラス層4の所定位置に対してレーザ光を照射し、この照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させる(図3(B)参照)。このときに粉末状の金属ガラスが凝固する形状は、ローター配置部12Aの下側部分に応じた形状である(図4参照)。
【0019】
第3工程では、図3(C)に示すように、金属ガラス層4上に、粉末状の金属ガラス3を所定の厚さH2に沈殿させ、厚さH2からなる粉末状の金属ガラス層5を形成する。
第4工程では、ローター配置部12Aの一部である中央部分とステーター本体12とを作成するために、粉末状の金属ガラス層5の所定位置に対してレーザ光を照射し、この照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させる(図3(D)参照)。このときに粉末状の金属ガラスが凝固する厚さH2の形状は、ローター配置部12Aの中央部分とステーター本体12とに応じた形状である(図4参照)。また、このときには、ローター配置部12Aの中央部分は、その下側部分と一体になるようにレーザ光を照射する。
第5工程では、図3(E)に示すように、金属ガラス層5上に、粉末状の金属ガラス3を所定の厚さH3に沈殿させ、厚さH3からなる粉末状の金属ガラス層6を形成する。
【0020】
第6工程では、ローター配置部12Aの一部である上側部分を作成するために、粉末状の金属ガラス層6の所定位置に対してレーザ光を照射し、この照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させる(図3(F)参照)。このときに粉末状の金属ガラスが凝固する厚さH3の形状は、ローター配置部12Aの上側部分に応じた形状である(図4参照)。また、このときには、ローター配置部12Aの上側部分は、その中央部分と一体になるようにレーザ光を照射する。
第7工程では、図3(G)に示すように、ローター配置部12Aを有するローター本体12を容器9から取り出し、金属ガラス3を除去すれば、所望の金属ガラス物品が得られる。
【0021】
ここで、図3(B)(D)(F)に示す第2、第4、および第6の各工程中には、純水など冷却用液体8を強制的に冷却したり、あるいはその温度制御をすることが、レーザ光の照射に伴う発熱の防止や冷却制御ができる点で好ましい。
以上のように、第3実施形態では、第1工程と第2工程を基本にし、その第1工程と第2工程とを交互に繰り返すことにより、金属ガラス物品を製造するようにした。このため、金属ガラス物品を製造する場合に、その物品の大きさや立体形状にかかわらず容易かつ迅速に対応して作成できる。
また、第3実施形態では、純水などの冷却用液体を張った容器内において金属ガラス製品を製造するようにした。このため、冷却用液体の冷却や温度制御などが可能となり、この場合には、レーザ光の照射に伴う発熱の冷却や温度制御をきめ細かに行うことができるという利点がある。
【0022】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態の製造工程について、図3を参照して説明する。
この第4実施形態の製造工程は、図3の第3実施形態の製造工程を活用し、図2(G)に示すように金属性母材7に一体にステーター本体12などを作成する場合である。
この場合には、第3実施形態の図3(A)〜図3(F)で示す第1工程〜第6工程が基本的に活用でき、図3(A)の第1工程と図3(B)の第2工程とが、以下のように置き換わる。
すなわち、第1工程では、純水など冷却用液体8を張った容器9内の底部に、金属性母材7を設置しておき、その金属性母材7上に粉末状の金属ガラス3を所定の厚さH1に沈殿させ、厚さH1からなる粉末状の金属ガラス層4を形成する。
【0023】
また、第2工程では、ローター配置部12Aの一部である下側部分を作成するために、粉末状の金属ガラス層4の所定位置に対してレーザ光を照射し、この照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させる。このときに粉末状の金属ガラスが再凝固する形状は、ローター配置部12Aの下側部分に応じた形状である。また、このときには、ローター配置部12Aの下側部分が金属性母材7と一体になるようにレーザ光を照射する。
以上のように、第4実施形態によれば、金属性母材に一体に所望の金属ガラス物品を製造する場合に、その物品の大きさや立体形状にかかわらず容易かつ迅速に対応して作成できる。
【0024】
(その他の実施形態など)
(1)上記の第2および第4実施形態では、金属性母材7に金属ガラスを肉盛りあるいは成形するようにしたが、金属性母材7は、純金属、合金、結晶性、非晶質性などは問わない。また、金属性母材7は、棒材、板材、箔材など、その形状は問わない。
(2)第1〜第4実施形態では、過熱源としてレーザ光を使用するようにしたが、レーザ光に代えて電子ビームを使用するようにしても良い。
(3)第1〜第4実施形態では、所望の金属ガラス物品を得ることができるが、さらに必要に応じて各種の加工方法で再加工して、最終的は金属ガラス物品を得るようにしても良い。
(4)第1〜第4実施形態では、製造される金属ガラス物品の一例として発電機のステーターについて説明したが、さらに以下のものに適用できる。
【0025】
まず、金属ガラスの高強度、耐磨耗性を利用して小型の歯車や軸受けに適用できる。また、同様の性質を利用してプラスチック金型の一部または全部に利用することで、肉薄の構造の金型や、射出時に溶融プラスチックの摩擦による磨耗を抑えた長寿命の金型に適用できる。さらに、軟磁気特性を利用した応用では、モーターや発電機の形状として複雑なものが実現でき、その結果、高性能なモーターや発電機が実現できる。
【0026】
(製造装置)
次に、第3および第4実施形態の製造工程が適用可能な金属ガラス物品の製造装置の一例について、図5を参照して説明する。
この製造装置は、図5に示すように、容器100と、循環ポンプ101と、冷却器102と、レーザ光発生装置103と、を備えている。
容器100は、図3に示す容器9に相当し、その内部に純水などの冷却用液体8を張ることができ、かつ、その内部に粉末状の金属ガラス3を沈殿させて金属ガラス層が形成できるようになっている。
循環ポンプ101は、容器100内の冷却用液体8を吸い上げて冷却器102に導き、冷却器102で冷却した冷却用液体8を容器100内に再び戻すようになっている。このため、循環ポンプ101は、パイプ105によって容器100内の冷却用液体8を吸い上げるようになっている。また、冷却器102で冷却された冷却用液体8は、パイプ106によって容器100内に供給するようになっている。
【0027】
また、パイプ105の吸入口105Aとパイプ106の排出口106Aとは、図示しない昇降装置によって、容器100の深さ方向に向けて昇降動作ができるようになっている。この昇降動作は、パイプ105の吸入口105Aとパイプ106の排出口106Aとが同期してできるようにしても良い。
レーザ光発生装置103は、レーザ発光源によって所望のレーザ光を発生し、この発生したレーザ光を、容器100内に沈殿させた粉末状の金属ガラス層の所定位置を所定の強さで照射できるようになっている。このため、レーザ光発生装置103は、例えばレーザ発光源がX軸、Y軸、およびZ軸で特定される所定位置に移動できる上にその所定位置に停止できるようになっている。
【符号の説明】
【0028】
3・・・粉末状の金属ガラス、4〜6・・・金属ガラス層、7・・・金属性母材、8・・・冷却用液体、9・・・容器、12・・・ステーター本体、12A・・・ローター配置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状の金属ガラスを所定の厚さに敷き詰める第1工程と、
前記第1工程で所定の厚さに敷き詰めた粉末状の金属ガラスの所定部に対してレーザ光を照射し、当該照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させ、前記所定の厚さからなる所望の凝固形状を作成する第2工程と、を含み、
前記第1工程と前記第2工程とを交互に繰り返し、前記金属ガラスで所望の立体形状を作成する金属ガラス物品の製造方法。
【請求項2】
前記第1工程では、前記金属性母材の表面に、粉末状の金属ガラスを所定の厚さに敷き詰めるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の金属ガラス物品の製造方法。
【請求項3】
冷却用液体を張った容器内に、粉末状の金属ガラスを所定の厚さに沈殿させる第1工程と、
前記第1工程で所定の厚さに沈殿させた粉末状の金属ガラスの所定部に対してレーザ光を照射し、当該照射部の金属ガラスを局所的に過熱、溶融して再凝固させ、前記所定の厚さからなる所望の凝固形状を作成する第2工程と、を含み、
前記第1工程と前記第2工程とを交互に繰り返し、前記金属ガラスで所望の立体形状を作成する金属ガラス物品の製造方法。
【請求項4】
前記第1工程では、冷却用液体を張った容器内に金属性母材を沈殿させておき、前記金属性母材の表面に粉末状の金属ガラスを所定の厚さに沈殿させるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の金属ガラス物品の製造方法。
【請求項5】
前記金属性母材は、棒材、板材、および箔材のうちの何れかであること特徴とする請求項2または請求項4に記載の金属ガラス物品の製造方法。
【請求項6】
前記レーザ光に代えて、電子ビームを照射するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちの何れか1項に記載の金属ガラス物品の製造方法。
【請求項7】
前記冷却用液体は、純水であることを特徴とする請求項3乃至請求項6のうちの何れか1項に記載の金属ガラス物品の製造方法。
【請求項8】
前記第2工程中は、前記冷却用液体を強制的に冷却し、または前記冷却用液体の温度制御を行うようにしたことを特徴とする請求項3乃至請求項7のうちの何れか1項に記載の金属ガラス物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−222684(P2010−222684A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73823(P2009−73823)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】