説明

金属タンタルもしくはニオブの製造方法

本発明は、フッ素を使用せずに、酸化タンタルもしくは酸化ニオブを希釈塩中で還元して金属タンタルもしくはニオブを製造する方法において、Ca,Sr,Baの1種以上の塩化物の溶融希釈塩にNaもしくはLiを反応させて、生成するCa,Sr,Baを還元剤として使用する方法であり、微細な粉末を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は電解コンデンサ(キャパシタ)の陽極体等に好適な金属タンタルもしくはニオブの製造方法に関する。
【背景技術】
現在、行われている金属タンタルもしくはニオブ粉末の製造方法は、フッ化タンタルカリウム、フッ化ニオブカリウム等のタンタルまたはニオブを含有する金属塩を希釈塩中でナトリウム、カリウム等を用いて700℃以上の高温で還元する方法が一般的である。
たとえば、タンタルの場合において、ヘプタフルオロタンタル酸カリウムをナトリウムにより還元してタンタルを得る反応式は次のとおりである。
TaF+5Na→2KF+5NaF+Ta (1)
しかしながら、廃棄物処理の問題からフッ素を使用しない製造方法の量産法が望まれている。
【発明の開示】
(A)本発明は、フッ素を使用しない方法であって、しかも微細な粉末を得ることのできる金属タンタルもしくはニオブの製造方法を提供するものである。この課題を解決するために、本発明の要旨は、酸化タンタルもしくは酸化ニオブを希釈塩中で還元して金属タンタルもしくはニオブを製造する方法において、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムの1種以上の塩化物の溶融希釈塩にナトリウムもしくはリチウムを反応させて、生成するカルシウム、ストロンチウムもしくはバリウムを還元剤として使用し、酸化タンタルもしくは酸化ニオブを還元することを特徴とする金属タンタルもしくはニオブの製造方法にある。
(B)さらに、本発明は、フッ素を使用しない方法であって、しかも粒度を制御しうる金属タンタルもしくはニオブの製造方法を提供するものである。この課題を解決するために、本発明の要旨は、酸化タンタルもしくは酸化ニオブを希釈塩中で還元して金属タンタルもしくはニオブを製造する方法において、希釈塩として塩化カルシウムを用い、かつカルシウムを還元剤として使用し、かつ酸化タンタルもしくは酸化ニオブ、カルシウムならびに塩化カルシウムの比率を選択することにより、得られる金属タンタルもしくはニオブの粒径を制御することを特徴とする金属タンタルもしくはニオブの製造方法にある。
(C)また、本発明は、フッ素を使用しない方法であって、しかも特異的な形状を有し、焼結時の熱収縮を小さくし得る金属タンタルもしくはニオブ粉末の製造方法を提供するものである。この課題を解決するために、本発明の要旨は、水酸化タンタルもしくは水酸化ニオブを希釈塩中で還元して金属タンタルもしくはニオブを製造する方法において、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウムおよびカリウムの1種類以上から選ばれる塩化物の溶融希釈塩中で、アルカリもしくはアルカリ土類金属を還元剤として使用して、水酸化タンタルもしくは水酸化ニオブを還元することを特徴とする金属タンタルもしくはニオブの製造方法、ならびに成形体としたときの成形体密度変化で規定される熱収縮率が5%以下である金属タンタルもしくはニオブ粉末、および枝状部分とその端部に形成された凝集体部分とを有する形状を有してなる金属タンタルもしくはニオブ粉末、にある。さらに、もう1つの手段によってこの課題を解決するために、本発明の要旨は、酸化タンタルもしくは酸化ニオブを希釈塩中で還元して金属タンタルもしくはニオブを製造する方法において、反応容器内への供給順序を(1)カルシウム、ナトリウムもしくはリチウム、ついで(2)酸化タンタルもしくは酸化ニオブ、そして最後に(3)希釈塩としてカルシウム、ストロンチウムおよびバリウムの1種以上の塩化物、とし、カルシウム、ストロンチウムもしくはバリウムにより酸化タンタルもしくは酸化ニオブを還元することを特徴とする金属タンタルもしくはニオブの製造方法にある。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の実施例1および2において用いた還元炉装置の概略図を示す。
図2は本発明の実施例3および4において用いた還元炉装置の概略図を示し、図3は実施例3で得られた4種類の還元Ta還元粉末と原料Taの粒度分布、そして図4は実施例4で得られた4種類の還元Nb還元粉末と原料Nbの粒度分布を示す。
図5は本発明の実施例5および6において用いた還元炉装置の概略図を示す。図6は本発明の実施例5で得られたTa粉末の(図面に代わる)SEM写真(粒子構造)、図7は本発明の実施例5で得られたTa粉末のSEM写真である。図8は本発明の実施例6で得られたNb粉末のSEM写真である。図9は本発明の実施例5で得られたTa粉末から得られた成形体の焼結前後の密度の比を示す。図10は本発明の実施例6で得られたNb粉末から得られた成形体の焼結前後の密度の比を示す。
図11は本発明の実施例9〜14において用いた還元炉装置の概略図を示す。図12は本発明の実施例9で得られたTa粉末の(写真に代わる)SEM写真(粒子の構造)、図13は本発明の実施例9で得られたTa粉末から得られた成形体の焼結前後の密度の比を示す。図14は本発明の実施例10で得られたNb粉末から得られた成形体の焼結前後の密度の比を示す。図15本発明の実施例11で得られたTa粉末から得られた成形体の焼結前後の密度の比を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
I.上述の(A)に記載された課題を解決するための手段について説明する。本発明においては、酸化タンタルもしくは酸化ニオブを希釈塩中で還元して金属タンタルもしくはニオブを製造する方法において、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムの1種以上の塩化物の溶融希釈塩にナトリウムもしくはリチウムを反応させて、生成するカルシウム、ストロンチウムもしくはバリウムを還元剤として使用し、酸化タンタルもしくは酸化ニオブを還元する。本発明方法において、上記の塩化物としては塩化カルシウムであるのが好適である。
本発明において、原料として酸化タンタルを用い溶融塩化カルシウムにナトリウムを反応させる場合、次の反応式で示される。
CaCl+2Na→2NaCl+Ca
Ta+5Ca→2Ta+5CaO
CaClは融点が約770℃であるが、上記のように塩化カリウムの一部はナトリウムと反応して、生成する塩化ナトリウムとの共晶により約600℃に低下する。ここで同時に生成するカルシウムは還元剤として作用する。
本発明において、好適には還元反応は700℃以下、さらに好適には650℃以下で行なわれる。
本発明においては金属タンタルもしくはニオブ微粉末を得ることができ、1次粒子としてたとえば実質的に平均粒径3μm以下、好ましくは1μm前後を得ることができる。
上記の希釈塩による酸化タンタルもしくは酸化ニオブの希釈倍率は2〜500倍程度が好適である。
本発明において、上記のように希釈塩中で還元して得られる反応生成物は、冷却され、得られる塊状物を水、弱酸性水溶液等で十分に洗浄して希釈塩を除去し、タンタルおよび/またはニオブ粉末を得る。得られたタンタルおよび/またはニオブ粉末は、不活性雰囲気下において、通常900〜1550℃の温度で、高温処理される。得られる塊状体は解砕され、タンタルおよび/またはニオブ粉末を得る。
電解コンデンサ陽極体自体の製造は、従来の方法によることができる。たとえば、上記の高温処理により得られるタンタルもしくはニオブ粉末を、ポリビニルアルコール、樟脳等のバインダーを1〜5wt%程度用いて所定の形状に加圧成形し、ついで真空条件下で上記の高温処理温度よりも0〜200℃高い温度で焼結処理して多孔質焼結体とする。得られる多孔質焼結体を陽極として用い、たとえば、その表面に固体電解質皮膜、そして陰極等を形成し、次いで樹脂で被覆する等の常法により固体電解コンデンサが得られる。
本発明の金属粉末の製造方法によれば、フッ素を使用しないで、しかも微細な粉末を得ることのできる金属タンタルもしくはニオブの製造方法を提供することができる。また、その金属粉末を原料にした多孔質燒結体は、優れた特性を有する電解コンデンサの陽極体として好適に用いることができ、工業的に有用である。
II.上述の(B)に記載された課題を解決するための手段について説明する。
本発明においては、酸化タンタルもしくは酸化ニオブを希釈塩中で還元して金属タンタルもしくはニオブを製造する方法において、希釈塩として塩化カルシウムを用い、かつカルシウムを還元剤として使用し、かつ酸化タンタルもしくは酸化ニオブ、カルシウムならびに塩化カルシウムの比率を選択することにより、得られる金属タンタルもしくはニオブの粒径を制御することを特徴とする。本発明によれば、たとえば予め酸化タンタルもしくは酸化ニオブ、カルシウムならびに塩化カルシウムの比率と、得られる金属タンタルもしくはニオブの粒径ないし粒度分布との関係を求め、この関係を利用して所定粒径の金属タンタルもしくはニオブ粉末を製造することができる。
還元時には、生成するTa+5Ca→2Ta+5CaOの反応速度、ならびに塩化カルシウムへのCaOおよびCaの溶解速度が、酸化タンタルもしくは酸化ニオブ、カルシウムならびに塩化カルシウムの比率により変化して還元タンタルもしくはニオブ粉末の粒成長が異なるために粒度が変化すると推測される。粒成長するためには、還元時に発生する還元粉末のまわりに付着したCaOが塩化カルシウムに溶解して消滅することが必要であると考えられるからである。本発明は、この点に着目して金属タンタルもしくはニオブの粒径を制御するものである。
本発明において、上記の酸化タンタルまたは酸化ニオブは上記の塩化カルシウムに希釈され、攪拌下に還元剤と接触させて600〜1000℃の高温でカルシウムにより還元される。通常、この反応は上記の希釈塩を上記の温度に加熱して融液とし、この融液中に上記の酸化タンタルまたは酸化ニオブおよび還元剤カルシウムを添加することにより行われる。カルシウムは系内で発生するカルシウムを用いることもできる。本発明においては、希釈塩として、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化バリウムおよび塩化マグネシウムの1種類以上をさらに用いることができる。塩化カルシウムの融点は770℃であるが、これらの塩化物を塩化カルシウムと併用する場合には、600℃程度で溶融しうる。酸化タンタルもしくは酸化ニオブの希釈塩による希釈倍率は2〜500倍程度が好適である。
本発明において、上記のように希釈塩中で還元して得られる反応生成物は、冷却され、得られる塊状物を水、弱酸性水溶液等で十分に洗浄して希釈塩を除去し、タンタルもしくはニオブ粉末を得る。得られたタンタルおよび/またはニオブ粉末は、不活性雰囲気下において、通常900〜1550℃の温度で、高温処理される。得られる塊状体は解砕され、タンタルおよび/またはニオブ粉末を得る。
コンデンサ陽極体自体の製造は、従来の方法によることができる。たとえば、上記の高温処理により得られるタンタルもしくはニオブ粉末を、ポリビニルアルコール、樟脳等のバインダーを1〜5wt%程度用いて所定の形状に加圧成形し、ついで真空条件下で上記の高温処理温度よりも0〜200℃高い温度で焼結処理して多孔質焼結体とする。得られる多孔質焼結体を陽極として用い、たとえば、その表面に固体電解質皮膜、そして陰極等を形成し、次いで樹脂で被覆する等の常法により固体電解コンデンサが得られる。
本発明の金属粉末の製造方法によれば、フッ素を使用しないで、しかも粒度を制御しうる金属タンタルもしくはニオブの製造方法を提供することができる。また、その金属粉末を原料にした多孔質燒結体は、優れた特性を有する電解コンデンサの陽極体として好適に用いることができ、工業的に有用である。
III.上述の(C)に記載された課題を解決するための手段(III−1およびIII−2)について説明する。
(III−1)本発明においては、水酸化タンタルもしくは水酸化ニオブを希釈塩中で還元して金属タンタルもしくはニオブを製造する方法において、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウムおよびカリウムの1種類以上から選ばれる塩化物の溶融希釈塩中で、アルカリもしくはアルカリ土類金属を還元剤として使用して、水酸化タンタルもしくは水酸化ニオブを還元する。還元剤としてはカルシウム、ナトリウム、マグネシウムもしくはリチウムが好適に使用される。
本発明方法において、上記の塩化物としては塩化カルシウム、還元剤としてはカルシウムであるのが最も好適である。この場合、水酸化タンタルを原料とすると反応は次式で示される。
2Ta(OH)+5Ca→2Ta+5CaO+5HO (2)
2Ta(OH)→2Ta+5HO (3)
Ta+5Ca→2Ta+5CaO (4)
2Ta(OH)+5CaCl→2TaCl(もしくはTaCl)+5Ca(OH) (5)
式(5)におけるTaCl(もしくはTaCl)はCaで還元され、Taを生成し、Ca(OH)はCaOとなる。
上記のように、本発明において、上記の水酸化タンタルまたは水酸化ニオブは上記の希釈塩に希釈され、攪拌下に上記の還元剤と接触させて、たとえば600〜1000℃、の高温で還元される。通常、この反応は上記の希釈塩を上記の温度に加熱して融液とし、この融液中に上記の金属塩および還元剤を添加することにより行われる。希釈塩による金属塩の希釈倍率は2〜500倍程度が好適である。
本発明において、上記のように金属塩を希釈塩中で還元して得られる反応生成物は、冷却され、得られる塊状物を水、弱酸性水溶液等で十分に洗浄して希釈塩を除去し、タンタルおよび/またはニオブ粉末を得る。
このタンタルおよび/またはニオブ粉末は、形状が枝状部分とその端部、すなわち1端もしくは両端、に形成された凝集体部分とを有する形状を有してなる点に特異性がある。そして、この凝集体部分は、さらに枝状部分の端部以外にも形成されうる。すなわち、その形状はブロッコリー様もしくはサンゴの1種であるウミトサカ様形状に擬することができる。そして、枝状部分の径が20nm〜5μmであり、そして凝集体部分を構成する1次粒子の粒径が50nm〜300nmであるのが通常であり、原料比率等の製造条件を変えることによりその形状を制御しうる。
このような金属タンタルもしくはニオブ粉末は成形体としたときの成形体密度変化で規定される熱収縮率(1300℃)が5%以下である。
得られたタンタルおよび/またはニオブ粉末は、不活性雰囲気下において、通常900〜1550℃の温度で、高温処理される。得られる塊状体は解砕され、タンタルおよび/またはニオブ粉末を得る。
コンデンサ陽極体自体の製造は、従来の方法によることができる。たとえば、上記の高温処理により得られるタンタルもしくはニオブ粉末を、ポリビニルアルコール、樟脳等のバインダーを1〜5wt%程度用いて所定の形状に加圧成形し、ついで真空条件下で上記の高温処理温度よりも0〜200℃高い温度で焼結処理して多孔質焼結体とする。得られる多孔質焼結体を陽極として用い、たとえば、その表面に固体電解質皮膜、そして陰極等を形成し、次いで樹脂で被覆する等の常法により固体電解コンデンサが得られる。
本発明の金属粉末の製造方法によれば、フッ素を使用しないで、しかも特異的な形状を有し、焼結時の熱収縮が小さくし得る金属タンタルもしくはニオブの製造方法を提供することができる。また、その金属粉末を原料にした多孔質燒結体は、優れた特性を有する電解コンデンサの陽極体として好適に用いることができ、工業的に有用である。
(III−2)本発明においては、酸化タンタルもしくは酸化ニオブを希釈塩中で還元して金属タンタルもしくはニオブを製造する方法において、反応容器内への供給順序を(1)カルシウム、ナトリウムもしくはリチウム、ついで(2)酸化タンタルもしくは酸化ニオブ、そして最後に(3)希釈塩としてカルシウム、ストロンチウムおよびバリウムの1種以上の塩化物、とし、カルシウム、ストロンチウムもしくはバリウムにより酸化タンタルもしくは酸化ニオブを還元する。本発明方法において、上記の塩化物としては塩化カルシウム、還元剤としてはカルシウムであるのが最も好適である。
ナトリウムもしくはリチウムを用いる場合には、ナトリウムもしくはリチウムは塩化物を還元して、酸化タンタルもしくは酸化ニオブの還元剤を生成する還元剤遊離剤として作用する。還元反応は550〜1000℃で行なわれるのが通常である。本発明方法においては、上記のように、反応容器内への供給順序を(1)還元剤もしくは還元剤遊離剤、ついで(2)希釈塩、そして最後に(3)酸化タンタルもしくは酸化ニオブとすることが必要である。
本発明において、上記のように金属塩を希釈塩中で還元して得られる反応生成物は、冷却され、得られる塊状物を水、弱酸性水溶液等で十分に洗浄して希釈塩を除去し、タンタルおよび/またはニオブ粉末を得る。
この構成を採用することにより、本発明においては、成形体としたときの成形体密度変化で規定される熱収縮率(1300℃)が5%以下である金属タンタルもしくはニオブ粉末を得ることができる。さらに、このタンタルおよび/またはニオブ粉末は、形状が枝状部分とその端部、すなわち1端もしくは両端、に形成された凝集体部分とを有する形状を有してなる点に特異性がある。そして、この凝集体部分は、さらに枝状部分の端部以外にも形成されうる。すなわち、その形状はブロッコリー様もしくはサンゴの1種であるウミトサカ様形状に擬することができる。そして、枝状部分の径が20nm〜5μmであり、そして凝集体部分を構成する1次粒子の粒径が50nm〜300nmであるのが通常であり、原料比率等の製造条件を変えることによりその形状を制御しうる。
本発明においては、希釈塩による金属塩の希釈倍率は2〜500倍程度が好適である。
得られたタンタルおよび/またはニオブ粉末は、不活性雰囲気下において、通常900〜1550℃の温度で、高温処理される。得られる塊状体は解砕され、タンタルおよび/またはニオブ粉末を得る。
コンデンサ用陽極体自体の製造は、従来の方法によることができる。たとえば、上記の高温処理により得られるタンタルもしくはニオブ粉末を、ポリビニルアルコール、樟脳等のバインダーを1〜5wt%程度用いて所定の形状に加圧成形し、ついで真空条件下で上記の高温処理温度よりも0〜200℃高い温度で焼結処理して多孔質焼結体とする。得られる多孔質焼結体を陽極として用い、たとえば、その表面に固体電解質皮膜、そして陰極等を形成し、次いで樹脂で被覆する等の常法により固体電解コンデンサが得られる。
本発明の金属粉末の製造方法によれば、フッ素を使用しないで、しかも特異的な形状を有し、焼結時の熱収縮が小さくし得る金属タンタルもしくはニオブの製造方法を提供することができる。また、その金属粉末を原料にした多孔質燒結体は、優れた特性を有する電解コンデンサの陽極体として好適に用いることができ、工業的に有用である。
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
以下の実施例1〜2は前述の(A)に記載された課題を解決するもの(I)である。
【実施例1】
図1に示すステンレス製還元炉装置(1)およびTa製セルを用いてTa
を還元した。
この装置はステンレス製のフランジ(3)とレトルト(4)から構成されており、レトルト(4)のまわりには発熱体(ヒーター)(5)があり、最高温度1100℃まで昇温ができる。炉内の排気用としてロータリーポンプ(図示せず)を用いた。
フランジ(3)には熱電対(6)、のぞき窓(7)、Ar投入口(8)、排気口(9)(ロータリーポンプ直結)、および上下可動式Ta製攪拌装置(10)が取り付けられている。レトルト(4)の上部には冷却管(11)が巻かれており、水冷却できるように構成されている。
Ta製セル(2)内にNa金属粒(純度99%)50g、CaCl(純度99%)3400gおよびTa(純度99%)90gを装入した。この試料を装入したTa製セル(2)を還元炉装置(1)内にセットし、炉の昇温を開始した。炉の昇温と同時にロータリーポンプで炉内の空気および試料から発生する水分等を炉外へ除去した。これを炉温500℃付近まで行った。その後、炉内にドライArガスを投入して反応温度700℃まで昇温した。炉内温度700℃になってから8時間保持して還元反応を行った。反応後、常温まで炉を自然冷却した。
冷却後、Ta製セル(2)とともに試料を取り出し、5%HCl水溶液の入った水槽にTaセルごと投入して、CaO、CaCl、Na(余剰分)、およびCaを溶解させて、Ta還元粉末を収得した。Taの1次粒径は約0.3μm(平均粒径)であった。
【実施例2】
実施例1と同様な方法で、Nb製セルおよび上下可動式Nb製攪拌装置を用いてNbの還元反応を行った。Nb製セル内にNa金属粒(純度99%)50g、CaCl(純度99%)3400gおよびNb(純度99%)55gを装入した。反応および取り出し処理を実施例1と同様に行い、Nb還元粉末を収得した。Nbの1次粒径は約0.3μm(平均粒径)であった。
以下の実施例3〜4は前述の(B)に記載された課題を解決するもの(II)である。
【実施例3】
図2に示すステンレス製還元炉装置(1)およびTa製セルを用いてTa
を還元した。
この装置はステンレス製のフランジ(3)とレトルト(4)から構成されており、レトルト(4)のまわりには発熱体(ヒーター)(5)があり、最高温度1100℃まで昇温ができる。炉内の排気用としてロータリーポンプ(図示せず)を用いた。
フランジ(3)には熱電対(6)、のぞき窓(7)、Ar投入口(8)、排気口(9)(ロータリーポンプ直結)、および上下可動式Ta製攪拌装置(10)が取り付けられている。レトルト(4)の上部には冷却管(11)が巻かれており、水冷却できるように構成されている。
Ta(純度99%、平均粒径1μm)50gのモル数を1として、モル比
Ta:Ca:CaCl=1:10:300、1:50:100、1:10:150および1:30:50の4種類を、それぞれTa製セル(2)内に装入した。たとえばTa:Ca:CaCl=1:10:150の場合、Ca金属粒(純度99%)45g、CaCl(純度99%)1900gおよびTa50gをTa製セル(2)内に装入した。この試料を装入したTa製セル(2)を還元炉装置(1)内にセットし、炉の昇温を開始した。炉の昇温と同時にロータリーポンプで炉内の空気および試料から発生する水分等を炉外へ除去した。これを炉温500℃付近まで行った。その後、炉内にドライArガスを投入して反応温度900℃まで昇温した。炉内温度900℃になってから2時間保持して還元反応を行った。反応後、常温まで炉を自然冷却した。
冷却後、Ta製セル(2)とともに試料を取り出し、5%HCl水溶液の入った水槽にTaセルごと投入して、CaO、CaClおよびCa(余剰分)を溶解させて、Ta還元粉末を収得した。
比率の異なる他の3種類についても同様にして還元反応を行った。このようにして得られた4種類の還元Ta還元粉末と原料Taの粒度分布を図3に示す。粒度分布測定は光学的粒度測定器を用いて行った。
【実施例4】
実施例3と同様な方法で、Nb製セルおよび上下可動式Nb製攪拌装置を用いてNbの還元反応を行った。
Nb(純度99%、平均粒径130μm)50gのモル数を1として、モル比Nb:Ca:CaCl=1:10:300、1:50:100、1:10:150および1:30:50の4種類を、それぞれNb製セル(2)内に装入した。たとえばNb:Ca:CaCl=1:10:150の場合、Ca金属粒(純度99%)75g、CaCl(純度99%)3100gおよびNb50gをNb製セル(2)内に装入した。
反応および取り出し処理を実施例3と同様に行い、Nb還元粉末を収得した。
比率の異なる他の3種類についても同様にして還元反応を行った。このようにして得られた4種類の還元Nb還元粉末と原料Nbの粒度分布を図4に示す。粒度分布測定は光学的粒度測定器を用いて行った。
本発明においては、たとえば、このようにして得られた酸化タンタルもしくは酸化ニオブ、カルシウムならびに塩化カルシウムの比率と、得られる金属タンタルもしくはニオブの粒径ないし粒度分布との一定条件下における関係を利用して所定粒径の金属タンタルもしくはニオブ粉末を製造することができる。
以下の実施例5〜8は前述の(C)に記載された課題を解決するもの(III−1)である。
【実施例5】
図5に示すステンレス製還元炉装置(1)およびTa製セルを用いてTaを還元した。
この装置はステンレス製のフランジ(3)とレトルト(4)から構成されており、レトルト(4)のまわりには発熱体(ヒーター)(5)があり、最高温度1100℃まで昇温ができる。炉内の排気用としてロータリーポンプ(図示せず)を用いた。
フランジ(3)には熱電対(6)、のぞき窓(7)、Ar投入口(8)、排気口(9)(ロータリーポンプ直結)、および上下可動式Ta製攪拌装置(10)が取り付けられている。レトルト(4)の上部には冷却管(11)が巻かれており、水冷却できるように構成されている。
Ta製セル(2)内にCa金属粒(純度99%)80g、CaCl(純度99%)3000gおよびTa(OH)(純度99%)100gを装入した。この試料を装入したTa製セル(2)を還元炉装置(1)内にセットし、炉の昇温を開始した。炉の昇温と同時にロータリーポンプで炉内の空気および試料から発生する水分等を炉外へ除去した。これを炉温500℃付近まで行った。その後、炉内にドライArガスを投入して反応温度900℃まで昇温した。炉内温度800℃付近でCaClが完全に溶融するが、のぞき窓(7)からセル内を見て溶融状態が均一になるように攪拌装置で攪拌した。ただし、CaClの溶融状態が均一になった時点で攪拌は停止させた。炉内温度900℃になってから2時間保持して還元反応を行った。反応後、常温まで炉を自然冷却した。
冷却後、Ta製セル(2)とともに試料を取り出し、5%HCl水溶液の入った水槽にTaセルごと投入して、CaO、CaCl、Ca(余剰分)を溶解させて、Ta還元粉末を収得した。
収得したTa還元粉末を乾燥させて、SEM観察すると図6および7に示すブロッコリー様の形態が見られた。
【実施例6】
実施例5と同様な方法で、Nb製セルおよび上下可動式Nb製攪拌装置を用いてNb(OH)の還元反応を行った。Nb製セル内にCa金属粒(純度99%)80g、CaCl(純度99%)3000gおよびNb(OH)(純度99%)70gを装入した。反応および取り出し処理を実施例1と同様に行い、Nb還元粉末を収得した。収得したNb還元粉末を乾燥させて、SEM観察すると図8に示すブロッコリー様の形態が見られた。
実施例7および比較例1
実施例5で得られたTa還元粉末に、カンファーを5%混合して直径5mm、高さ10mmの円柱型、密度5.0g/cc(Dg値とする)に成形した。成形には縦押し式プレス成形機で行った。
この成形されたペレットを1100℃、1200℃および1300℃で焼結させた。このとき、各温度でペレットn=5個ずつ焼結させた。また、比較のために、カリウム塩から還元したTa粉末で同じペレットを成形し、同時に焼結させた。
各焼結後のペレットの密度(Ds)を測定し、各焼結温度でのDs/Dg値の平均を図5のグラフに示す。焼結によりペレットの収縮が起こるとDs値が大きくなり、Ds/Dgが1より大きくなる。ここで、熱収縮の有無について長さ等の値を使用しなかったのは、焼結後のペレットに均等に収縮等が起こるとは限らないので、正確さを高めるため密度を収縮の比較値に使用した。
図9より、従来のTa還元粉末(カリウム塩還元粉末)は熱収縮が大きいのに、実施例5で得られたブロッコリー様粉末は収縮がほとんど起きていないことがわかる。
実施例8および比較例2
実施例6で得られたNb還元粉末に、カンファーを5%混合して直径5mm、高さ10mmの円柱型、密度3.0g/cc(Dg値)に成形した。成形方法は実施例7と同様である。
この成形体を1100℃、1200℃および1300℃で焼結させた。このとき、各温度で成形体を5個ずつ焼結させた。また、比較のために、カリウム塩から還元したNb粉末で同じ成形体を成形し、同時に焼結させた。
各焼結後の成形体の密度(Ds)を測定し、各焼結温度でのDs/Dg値の平均を図10のグラフに示す。
図10より、従来のNb還元粉末(カリウム塩還元粉末)は焼結による熱収縮が大きいのに、実施例6で得られたブロッコリー様粉末は収縮がほとんど起きていないことがわかる。
以下の実施例9〜14は前述の(C)に記載された課題を解決するもの(III−2)である。
【実施例9】
図11に示すステンレス製還元炉装置(1)およびTa製セルを用いてTaを還元した。
この装置はステンレス製のフランジ(3)とレトルト(4)から構成されており、レトルト(4)のまわりには発熱体(ヒーター)(5)があり、最高温度1100℃まで昇温ができる。炉内の排気用としてロータリーポンプ(図示せず)を用いた。
フランジ(3)には熱電対(6)、のぞき窓(7)、Ar投入口(8)、排気口(9)(ロータリーポンプ直結)、および上下可動式Ta製攪拌装置(10)が取り付けられている。レトルト(4)の上部には冷却管(11)が巻かれており、水冷却できるように構成されている。
Ta製セル(2)内に(i)Ca金属粒(純度99%)80g、(ii)Ta(純度99%)90gおよび(iii)CaCl(純度99%)3000gを(i)〜(iii)の順に装入した。
この試料を装入したTa製セル(2)を還元炉装置(1)内にセットし、炉の昇温を開始した。炉の昇温と同時にロータリーポンプで炉内の空気および試料から発生する水分等を炉外へ除去した。これを炉温500℃付近まで行った。その後、炉内にドライArガスを投入して反応温度900℃まで昇温した。炉内温度900℃になってから2時間保持して還元反応を行った。反応後、常温まで炉を自然冷却した。
冷却後、Ta製セル(2)とともに試料を取り出し、5%HCl水溶液の入った水槽にTaセルごと投入して、CaO、CaCl、Ca(余剰分)を溶解させて、Ta還元粉末を収得した。
収得したTa還元粉末を乾燥させて、SEM観察すると図12に示すブロッコリー様の形態が見られた。
【実施例10】
実施例9と同様な方法で、Nb製セルおよび上下可動式Nb製攪拌装置を用いてNbの還元反応を行った。Nb製セル内に(i)Ca金属粒(純度99%)80g、(ii)Nb(純度99%)60gおよび(iii)CaCl(純度99%)3000gを(i)〜(iii)の順に装入した。反応および取り出し処理を実施例9と同様に行い、実施例9と同様なブロッコリー様の形態をしたNb還元粉末が得られた。
【実施例11】
実施例9と同様な方法で、Ta製セルおよび上下可動式Ta製攪拌装置を用いてTaの還元反応を行った。Ta製セル内に(i)Na金属粒(純度99%)50g、(ii)Ta(純度99%)90gおよび(iii)CaCl(純度99%)3000gを(i)〜(iii)の順に装入した。反応温度750℃、反応時間8時間とした以外の操作、昇温、および取り出し処理を実施例9と同様に行い、実施例9と同様なブロッコリー様の形態をしたTa還元粉末が得られた。
実施例12および比較例3
実施例9で得られたTa還元粉末に、カンファーを3%混合して直径5mm、高さ10mmの円柱型、密度5.5g/cc(Dg値とする)に成形した。成形には縦押し式プレス成形機で行った。
この成形されたペレットを1100℃、1200℃および1300℃で真空焼結させた。このとき、各温度でペレットn=5個ずつ焼結させた。また、比較のために、カリウム塩から還元したTa粉末で同じペレットを成形し、同時に焼結させた。
各焼結後のペレットの密度(Ds)を測定し、各焼結温度でのDs/Dg値の平均を図13のグラフに示す。焼結によりペレットの収縮が起こるとDs値が大きくなり、Ds/Dgが1より大きくなる。ここで、熱収縮の有無について長さ等の値を使用しなかったのは、焼結後のペレットに均等に収縮等が起こるとは限らないので、正確さを高めるため密度を収縮の比較値に使用した。
図13より、従来のTa還元粉末(カリウム塩還元粉末)は熱収縮が大きいのに、実施例9で得られたブロッコリー様粉末は収縮がほとんど起きていないことがわかる。
実施例13および比較例4
実施例10で得られたNb還元粉末に、カンファーを5%混合して直径5mm、高さ10mmの円柱型、密度3.5g/cc(Dg値)に成形した。成形方法は実施例12と同様である。
この成形体を1100℃、1200℃および1300℃で焼結させた。このとき、各温度で成形体を5個ずつ焼結させた。また、比較のために、カリウム塩から還元したNb粉末で同じ成形体を成形し、実施例10の粉末成形体と同時に焼結させた。
各焼結後の成形体の密度(Ds)を測定し、各焼結温度でのDs/Dg値の平均を図14のグラフに示す。
図14より、従来のNb還元粉末(カリウム塩還元粉末)は焼結による熱収縮が大きいのに、実施例10で得られたブロッコリー様粉末は収縮がほとんど起きていないことがわかる。
実施例14および比較例5
実施例11で得られたTa還元粉末に、カンファーを3%混合して直径5mm、高さ10mmの円柱型、密度5.0g/cc(Dg値)に成形した。成形方法は実施例12と同様である。
この成形体を1100℃、1200℃および1300℃で焼結させた。このとき、各温度で成形体を5個ずつ焼結させた。また、比較のために、カリウム塩からNa還元したTa粉末で同じ成形体を成形し、実施例11の粉末成形体と同時に焼結させた。
各焼結後の成形体の密度(Ds)を測定し、各焼結温度でのDs/Dg値の平均を図5のグラフに示す。
図15より、従来のTa還元粉末(カリウム塩還元粉末)は焼結による熱収縮が大きいのに、実施例11で得られたブロッコリー様粉末は収縮がほとんど起きていないことかわかる。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、フッ素を使用しないで、優れた特性を有する金属タンタルもしくはニオブの製造方法を提供することができる。また、その金属粉末を原料にした多孔質燒結体は、優れた特性を有する電解コンデンサの陽極体として好適に用いることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化タンタルもしくは酸化ニオブを希釈塩中で還元して金属タンタルもしくはニオブを製造する方法において、カルシウム、ストロンチウムもしくはバリウムの1種以上の塩化物の溶融希釈塩にナトリウムもしくはリチウムを反応させて、生成するカルシウム、ストロンチウムもしくはバリウムを還元剤として使用し、酸化タンタルもしくは酸化ニオブを還元することを特徴とする金属タンタルもしくはニオブの製造方法。
【請求項2】
塩化物が塩化カルシウムである請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
希釈塩による酸化タンタルもしくは酸化ニオブの希釈倍率が2〜500倍である請求項1もしくは2記載の製造方法。
【請求項4】
得られる金属タンタルもしくはニオブ粉末の平均1次粒径が3μm以下である請求項1もしくは2記載の製造方法。
【請求項5】
平均1次粒径が1μm以下である請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
還元反応が700℃以下で行なわれる請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
【請求項7】
還元反応が650℃以下で行なわれる請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか記載の方法により得られた金属タンタルもしくはニオブを用いて構成された電解コンデンサ用陽極体。
【請求項9】
請求項8記載の陽極体を用いて構成された電解コンデンサ。
【請求項10】
酸化タンタルもしくは酸化ニオブを希釈塩中で還元して金属タンタルもしくはニオブを製造する方法において、希釈塩として塩化カルシウムを用い、かつカルシウムを還元剤として使用し、かつ酸化タンタルもしくは酸化ニオブ、カルシウムならびに塩化カルシウムの比率を選択することにより、得られる金属タンタルもしくはニオブの粒径を制御することを特徴とする金属タンタルもしくはニオブの製造方法。
【請求項11】
予め酸化タンタルもしくは酸化ニオブ、カルシウムならびに塩化カルシウムの比率と、得られる金属タンタルもしくはニオブの粒径の関係を求め、この関係を利用して所定粒径の金属タンタルもしくはニオブ粉末を製造する請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
希釈塩として、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化バリウムおよび塩化マグネシウムの1種類以上をさらに用いる請求項10もしくは11記載の製造方法。
【請求項13】
還元反応が600〜1000℃で行われる請求項10〜12のいずれか記載の製造方法。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか記載の方法により得られた金属タンタルもしくはニオブを用いて構成された電解コンデンサ用陽極体。
【請求項15】
請求項14記載の陽極体を用いて構成された電解コンデンサ。
【請求項16】
水酸化タンタルもしくは水酸化ニオブを希釈塩中で還元して金属タンタルもしくはニオブを製造する方法において、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウムおよびカリウムの1種類以上から選ばれる塩化物の溶融希釈塩中で、アルカリもしくはアルカリ土類金属を還元剤として使用して、水酸化タンタルもしくは水酸化ニオブを還元することを特徴とする金属タンタルもしくはニオブの製造方法。
【請求項17】
得られる金属タンタルもしくはニオブ粉末が、枝状部分とその1端もしくは両端に形成された凝集体部分とを有する形状を有する請求項16記載の製造方法。
【請求項18】
還元剤がカルシウム、ナトリウム、マグネシウムもしくはリチウムである請求項16もしくは17記載の製造方法。
【請求項19】
還元反応が600〜1000℃で行なわれる請求項16〜18のいずれか記載の製造方法。
【請求項20】
成形体としたときの成形体密度変化で規定される熱収縮率(1300℃)が5%以下である金属タンタルもしくはニオブ粉末。
【請求項21】
枝状部分とその端部に形成された凝集体部分とを有する形状を有してなる金属タンタルもしくはニオブ粉末。
【請求項22】
成形体としたときの成形体密度変化で規定される熱収縮率が5%以下であり、枝状部分とその端部に形成された凝集体部分とを有する形状を有してなる金属タンタルもしくはニオブ粉末。
【請求項23】
さらに凝集体部分が、枝状部分の端部以外に形成された請求項21もしくは22記載の金属タンタルもしくはニオブ粉末。
【請求項24】
枝状部分の径が20nm〜5μmであり、そして凝集体部分を構成する1次粒子の粒径が50nm〜300nmである請求項21〜23のいずれか記載の金属タンタルもしくはニオブ粉末。
【請求項25】
請求項16〜19のいずれか記載の方法により得られた金属タンタルもしくはニオブを用いて構成された電解コンデンサ用陽極体。
【請求項26】
請求項20〜23記載の金属タンタルもしくはニオブを用いて構成された電解コンデンサ用陽極体。
【請求項27】
請求項25もしくは26記載の陽極体を用いて構成された電解コンデンサ。
【請求項28】
酸化タンタルもしくは酸化ニオブを希釈塩中で還元して金属タンタルもしくはニオブを製造する方法において、反応容器内への供給順序を(1)カルシウム、ナトリウムもしくはリチウム、ついで(2)酸化タンタルもしくは酸化ニオブ、そして最後に(3)希釈塩としてカルシウム、ストロンチウムおよびバリウムの1種以上の塩化物、とし、カルシウム、ストロンチウムもしくはバリウムにより酸化タンタルもしくは酸化ニオブを還元することを特徴とする金属タンタルもしくはニオブの製造方法。
【請求項29】
塩化物が塩化カルシウムである請求項28記載の製造方法。
【請求項30】
ナトリウムもしくはリチウムが塩化物を還元して、酸化タンタルもしくは酸化ニオブの還元剤を生成する還元剤遊離剤として作用する請求項28もしくは29記載の製造方法。
【請求項31】
還元反応が550〜1000℃で行なわれる請求項28〜30のいずれか記載の製造方法。
【請求項32】
金属タンタルもしくはニオブ粉末は、成形体としたときの成形体密度変化で規定される熱収縮率(1300℃)が5%以下である請求項28〜31のいずれか記載の製造方法。
【請求項33】
金属タンタルもしくはニオブ粉末は、枝状部分とその端部に形成された凝集体部分とを有する形状を有する請求項28〜32のいずれか記載の製造方法。
【請求項34】
成形体としたときの成形体密度変化で規定される熱収縮率が5%以下であり、枝状部分とその端部に形成された凝集体部分とを有する形状を有してなる請求項28〜33のいずれか記載の製造方法。
【請求項35】
さらに凝集体部分が、枝状部分の端部以外に形成された請求項33もしくは34記載の製造方法。
【請求項36】
請求項28〜35のいずれか記載の方法により得られた金属タンタルもしくはニオブを用いて構成された電解コンデンサ用陽極体。
【請求項37】
請求項36記載の陽極体を用いて構成された電解コンデンサ。

【国際公開番号】WO2005/046912
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【発行日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515496(P2005−515496)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017111
【国際出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000186887)キャボットスーパーメタル株式会社 (18)
【Fターム(参考)】