説明

金属ナノベルト、その製造方法、それを含む導電性インク組成物および伝導性フィルム

本発明は、金属ナノベルト、その製造方法、それを含む導電性インク組成物および伝導性フィルムに関する。前記金属ナノベルトは、高温および高圧を適用する必要なく、常温および常圧で容易に製造可能であるばかりか、それを含む導電性インク組成物を基板上に印刷した後に低温で熱処理または乾燥工程を行っても、優れた導電性を示す導電膜または導電性パターンなどを形成することができる。したがって、前記金属ナノベルトおよびそれを含む導電性インク組成物は、低温焼成が要求される環境下で、各種半導体素子、表示装置、または太陽電池の導電性パターンまたは導電膜などを形成するのに非常に適切に適用される。前記金属ナノベルトは、長さが500nm以上であり、長さ/幅の比が10以上であり、幅/厚さの比が3以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ナノベルト、その製造方法、それを含む導電性インク組成物および伝導性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種半導体素子、PDPまたはLCDなどの表示装置、または太陽電池などには、電極、配線、または電磁波遮蔽フィルムなどの導電性を示す多様な要素が含まれる。このような導電性要素の形成のために、最も多く適用される方法の一つは、導電性を示す微細粒子、例えば導電性ナノ粒子および溶媒などを含む導電性インク組成物を基板上に印刷した後、これを熱処理(例えば焼成および乾燥)して、多様な導電性要素を構成する各種導電性パターンまたは導電膜を基板上に形成する方法である。
【0003】
しかしながら、現在まで開発された導電性ナノ粒子を利用して導電膜または導電性パターンを形成するためには、それを含む導電性インク組成物を基板上に印刷した後、高温で焼成して前記導電性インク組成物に含まれている有機物(例えば有機溶媒など)を除去しながら導電性ナノ粒子を還元させたり溶融連結させる工程が要求された。これは、導電性インク組成物に含まれている導電性ナノ粒子を還元させたり導電性ナノ粒子同士を溶融連結させることによって、最終的に形成された導電性パターンまたは導電膜が均一であると共に、優れた導電性を示すようにするためであった。
【0004】
しかしながら、このような高温焼成工程の必要性により、導電膜または導電性パターンを形成することができる基板の種類に制限があるなどの限界が存在した。そのため、より低温の焼成工程やその他の熱処理工程を適用しても、優れた導電性を示す導電性パターンなどを形成することができる導電性ナノ粒子または導電性インク組成物が要求されてきた。
【0005】
そこで、多様な低温焼成用導電性ナノ粒子または導電性インク組成物が提案されたが、焼成温度を十分に低くすることができなかったり、十分な導電性を示すことができないなどの限界があるのが事実である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、低温焼成が要求される環境下でも優れた導電性を示す導電性パターンまたは導電膜などの形成を可能にする金属ナノベルトを提供することにその目的がある。
【0007】
また、本発明は、前記金属ナノベルトを単純化した方法で製造することができる金属ナノベルトの製造方法を提供することにその目的がある。
【0008】
また、本発明は、前記金属ナノベルトを含み、基板上に印刷された後に低温の熱処理または乾燥工程を適用しても優れた導電性を示す導電性パターンまたは導電膜などを形成することができる導電性インク組成物を提供することにその目的がある。
【0009】
また、本発明は、前記金属ナノベルトを含む伝導性フィルムを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、長さが500nm以上で、長さ/幅の比が10以上であり、幅/厚さの比が3以上である金属ナノベルトを提供する。このような金属ナノベルトは、長さが1μm〜2000μmであり、幅が100nm〜100μmであり、厚さが15〜500nmである。
【0011】
また、本発明は、炭素ナノチューブ、導電性高分子、および金属塩を反応させる段階を含む金属ナノベルトの製造方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記金属ナノベルトおよび溶媒を含む印刷可能な導電性インク組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記金属ナノベルトを含む伝導性フィルムを提供する。
【0014】
以下、発明の具体的な具現例による金属ナノベルト、その製造方法、それを含む導電性インク組成物および伝導性フィルムなどについて説明する。
【0015】
明示的な他の記載がない限り、本明細書全体で使用されるいくつかの用語は、次の通り定義される。
【0016】
本明細書全体で、「金属ナノベルト」は、金属を含み、平面上で、いずれか一方向にベルトのように長く連結された形状のナノ構造体を指称する。前記ベルト形状において、長く連結された方向に前記金属ナノベルトの一端から反対の一端までの平均の直線距離を「長さ」と定義し、平面上で、「長さ」方向と垂直な方向に前記金属ナノベルトの一端から反対の一端までの平均の直線距離を「幅」と定義する。また、前記「長さ」方向および「幅」方向がなす平面と垂直な方向にベルト形状の金属ナノベルトの上面と下面との間の平均の直線距離を「厚さ」と定義する。このような金属ナノベルトは、長さ、幅、または厚さの一つ以上(例えば厚さ)がナノスケールの大きさを有し、長さが幅に比べて数倍以上大きい値を有し、幅が厚さに比べて数倍以上大きい値を有することによって、厚さの薄い長方形またはこれと類似する多角形などの図形が帯のように長く連結されたベルト形状をなす。
【0017】
また、前記金属ナノベルトが「実質的に金属酸化物を含まない」というのは、前記金属ナノベルトに含まれている「金属」が酸化されていない状態で存在して、金属ナノベルトが金属酸化物を全く含まなかったり、またはその製造過程または使用過程中に不可避に微量の金属、例えば金属ナノベルトの重量に対して1重量%未満、あるいは0.1重量%未満の金属のみが酸化されて、金属ナノベルトがこれに対応する微量の金属酸化物のみを含むことを指称する。
【0018】
そして、前記金属ナノベルトがある単一金属、例えば「銀(Ag)のみを」含むというのは、1種類の金属成分、例えば「銀(Ag)」の単一金属成分のみを含み、他の種類の金属成分は含まないことを意味するものと定義される。ただし、「銀(Ag)のみを」のように特に限定されることなく、単に「銀(Ag)を」含むとする時には、前記金属ナノベルトに他の金属成分の付加が制限されないものと定義される。
【0019】
また、「導電性インク組成物」は、比較的粘度が高い「ペースト」状態であるか、あるいは水と類似して粘度が低い状態であるかに関係なく、高分子、ガラス、または金属などからなる任意の基質(substrate)上に印刷または塗布されて導電性を示す膜、フィルム、またはパターンを形成することができる任意の組成物を指称する。
【0020】
そして、「伝導性フィルム」とは、高分子、ガラス、または金属などからなる任意の基質(substrate)上に形成されて、熱または電気に導電性を示す任意の膜、フィルム、またはパターンを指称する。
【0021】
また、ある部分がある構成要素を「含む」、「含有する」、または「有する」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素の追加を制限せずに任意の他の構成要素がさらに追加され得ることを意味するものと定義される。
【0022】
一方、本発明の一具現例により、長さが500nm以上で、長さ/幅の比が10以上であり、幅/厚さの比が3以上である金属ナノベルトが提供される。このような金属ナノベルトは、例えば、長さが1μm〜2000μm、好ましくは2〜1000μm、より好ましくは2〜100μmである。また、前記金属ナノベルトは、幅が100nm〜100μm、好ましくは100nm〜10μm、より好ましくは100nm〜2μmである。そして、前記金属ナノベルトは、厚さが15〜500nm、好ましくは20〜300nm、より好ましくは20〜250nmである。
【0023】
また、前記金属ナノベルトは、長さ/幅の比が10〜20000であり、好ましくは10〜1000、より好ましくは10〜200である。また、前記金属ナノベルトは、幅/厚さの比が3〜6000であり、好ましくは3〜500、より好ましくは3〜50である。
【0024】
本発明者らの研究結果、驚くべきことに、炭素ナノチューブ、伝導性高分子、および金属塩を共に反応させるなどの方法によって、導電性ナノ構造体として適切なナノスケールの厚さを有すると共に、ある程度広い幅を有し、最小500nmから100μm以上、最大2000μmに達する長さを有するベルト形状のナノ構造体、つまり前記金属ナノベルトが得られることが明らかになった。このような金属ナノベルトは、以前から知られていた導電性ナノ構造体または導電性ナノ粒子に比べて、長く連結されたものであり、ある程度広い幅を有することにより、ベルト形状を示している。また、前記金属ナノベルトは、以下でより詳しく説明するが、常温および常圧下での前記反応工程により製造され、実質的に金属酸化物を含まないものであり、銀(Ag)などの単一金属成分のみを含んで形成されるものである。
【0025】
つまり、このような本発明の一具現例による金属ナノベルトは、少なくともナノスケールの厚さを有する微細な金属粒子が広い幅および十分に長い長さで連結された状態で得られ、実質的に金属酸化物を含まない。したがって、このような金属ナノベルトを含む導電性インク組成物を基板上に印刷すれば、導電性ナノ粒子などを還元させたり溶融連結させるために適用された高温焼成工程を別途に行わなくても、これから形成された伝導性フィルム、例えば導電膜または導電性パターンが十分に優れた導電性を示すことができる。また、前記金属ナノベルトは、銀(Ag)などの単一金属成分のみを含むように形成される。したがって、前記金属ナノベルトがより抵抗の低い銀(Ag)などの単一金属成分のみを含むように形成することによって、これから形成された伝導性フィルムがより優れた導電性を示すことができる。
【0026】
したがって、前記金属ナノベルトは、特に低温焼成が要求される環境下で各種半導体素子、表示装置、または太陽電池などの導電性パターンまたは導電膜などを形成するための導電性インク組成物に非常に好ましく使用される。
【0027】
一方、前記金属ナノベルトは、前記金属塩、炭素ナノチューブ、および伝導性高分子の反応により形成されることによって、前記伝導性高分子または炭素ナノチューブを媒介として微細な金属粒子が連結されて、長く連結された広い幅のベルト形状をなすようになる。特に、前記金属ナノベルトは、そのベルト形状の骨格をなしながら前記ベルト形状内に不連続的に含まれている炭素ナノチューブをさらに含むことができる。つまり、前記金属ナノベルトは、炭素ナノチューブが前記金属粒子同士を連結して骨格をなしながらベルト形状をなすことができるため、実質的に金属酸化物を含まなくても、広い幅および長い長さのベルト形状をなすことができる。したがって、前述のように、このような金属ナノベルトを含む導電性インク組成物を印刷すれば、従来導電性ナノ粒子などを還元させたり溶融連結させるために行った高温焼成工程を行わなくても、これから形成された伝導性フィルム、例えば導電性パターンまたは導電膜が均一であると共に、優れた導電性を示すことができる。
【0028】
また、前記金属ナノベルトは、実質的に金属酸化物を含まない。この時、「実質的に金属酸化物を含まない」ことが意味することは、前記で説明した通りである。以下でも説明するように、前記金属ナノベルトは、常温および常圧下で金属塩、炭素ナノチューブ、および伝導性高分子の反応により形成されるので、従来導電性ナノ粒子の製造のための高温反応工程などによって引き起こされた金属の酸化を最少化し、実質的に金属酸化物を含まない。これによって、従来導電性インク組成物を印刷した後にこれに含まれている導電性ナノ粒子などを還元させるために行った高温焼成工程を別途に行わなくても、これから形成された伝導性フィルムが優れた導電性を示すことができる。
【0029】
そして、前記金属ナノベルトは、優れた導電性を示す任意の金属または合金を含み、例えば銀(Ag)を含む。したがって、前記金属ナノベルトおよびそれを含む導電性インク組成物から形成された各種導電性パターンまたは導電膜がより優れた導電性を示すことができる。
【0030】
特に、前記金属ナノベルトは、炭素ナノチューブなどが骨格をなしながらベルト形状をなすため、単一金属成分、例えば銀(Ag)のみを含んで構成される。つまり、前記炭素ナノチューブなどが骨格をなしながらベルト形状の金属ナノベルトが形成されるため、2種以上の金属成分が含まれて、このうちの1種以上の金属成分がベルト形状の骨格または基本的鋳型などをなす必要がなく、抵抗の低い銀(Ag)などの単一金属成分のみを含んで、前記金属ナノベルトおよびこれから形成された伝導性フィルムがより優れた導電性を示すことができる。
【0031】
前述した金属ナノベルトは、それを含む導電性インク組成物を高分子、ガラス、または金属などからなる任意の基質または基板上に印刷した後、高温焼成工程が適用されなくても、優れた導電性を示す各種導電性パターンまたは導電膜などの伝導性フィルムを形成することができる。特に、このような金属ナノベルトおよびそれを含む導電性インク組成物は、高温焼成工程が必要ないため、いかなる材質からなる基板にも適用されて、多様な導電性パターンまたは導電膜を形成することができる。したがって、このような金属ナノベルトは、PDPまたはLCDなどの各種表示装置、半導体素子、または太陽電池などに含まれる多様な伝導性フィルム、例えば各種電極、配線、または電磁波遮蔽フィルムなどの多様な導電膜または導電性パターンを形成するためのインク組成物に非常に好ましく適用される。例えば、前記金属ナノベルトは、透明基板上に印刷されて、タッチパネルに含まれる透明導電膜などの透明伝導性フィルムを形成するために適用されたり、半導体基板の各種配線パターンまたは電極を形成するために適用されたり、各種表示装置の各種配線パターン、電極、または電磁波遮蔽フィルターなどを形成するために適用される。また、前記金属ナノベルトは、多様な熱に対しても優れた伝導性を示すことができるため、多様な熱伝導性フィルムを形成するために適用される。特に、前記金属ナノベルトは、低温焼成が要求される環境下でより好ましく適用される。
【0032】
一方、本発明の他の具現例により、前述した金属ナノベルトの製造方法が提供される。このような金属ナノベルトの製造方法は、炭素ナノチューブ、伝導性高分子、および金属塩を反応させる段階を含む。
【0033】
以下の実施例からも裏付けられるように、このような反応工程によって、高温および高圧下での反応を行わなくても、前記伝導性高分子および炭素ナノチューブを媒介として微細な金属粒子が広い幅を有するベルト形状に長く連結され、前述した特性を示す金属ナノベルトが製造されることが明らかになった。特に、このような反応工程では、高温および高圧の反応条件が要求されず、反応物が単一段階で反応するため、前記金属ナノベルトの製造過程が非常に容易で単純化され、高温および高圧反応などによって引き起こされた金属の酸化を抑制して、実質的に金属酸化物を含まない金属ナノベルトの製造を可能にする。
【0034】
このような金属ナノベルトの製造方法は、炭素ナノチューブが含まれている第1分散液を形成する段階と、伝導性高分子が含まれている第2分散液を形成する段階と、前記第1および第2分散液を混合して、金属塩と反応させる段階とを含んで行われ、前記反応段階は、ほぼ常温および常圧下でも効果的に行うことができる。例えば、このような反応段階は、1〜100℃および1〜2気圧で1〜50時間行われ、それにより前述した特性を示す本発明の一具現例による金属ナノベルトが効果的に製造される。
【0035】
このような製造方法で、前記伝導性高分子としては、以前から知られていた任意の伝導性高分子、例えばポリピロール、ポリアニリン、またはポリチオフェンや、これらの共重合体などを使用することができる。また、前記金属塩としては、導電性を示す金属の任意の塩であって、従来から導電性ナノ粒子を形成するための前駆体として使用されていた通常の金属塩を特に制限なく使用することができる。例えば、前記金属塩としては、銀(Ag)の塩を使用することができ、より具体的に、硝酸銀(AgNO)、硫酸銀(AgSO)、酢酸銀(Ag(CHCOO))や、フッ化銀(AgF)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)、またはヨウ化銀(AgI)のハロゲン化銀、シアン化銀(AgCN)、シアン酸銀(AgOCN)、乳酸銀(Ag(CHCHOHCOO))、炭酸銀(AgCO)、過塩素酸銀(AgClO)、三フッ化酢酸銀(Ag(CFCOO))、または三フッ化スルホン酸銀(Ag(CFSO))などを使用することができる。そして、前記例示された伝導性高分子または金属塩以外にも、任意の伝導性高分子または導電性を示す金属の多様な塩を使用することができる。
【0036】
また、前記炭素ナノチューブとしては、単一壁炭素ナノチューブ(Single Walled Carbon Nanotube)または多重壁炭素ナノチューブ(Multi Walled Carbon Nanotube)などの任意の炭素ナノチューブを特に制限なく使用することができる。例えば、前記単一壁炭素ナノチューブは、製造しようとする金属ナノベルトの導電性などの側面からより好ましく使用され、前記多重壁炭素ナノチューブは、金属ナノベルトの機械的特性などの側面からより好ましく使用される。
【0037】
そして、前記金属塩、炭素ナノチューブ、および伝導性高分子の反応は、水、アルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、エチレングリコール、ホルムアミド(HCOOH)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびN−メチルピロリドン(NMP)からなる群より選択される溶媒または一つ以上の混合溶媒中で行われる。例えば、炭素ナノチューブを水に分散させて炭素ナノチューブが含まれている第1分散液を形成し、伝導性高分子をアルコールに分散させて第1分散液を形成した後、これら第1および第2分散液の混合液に金属塩を加えて反応させる方法で、前記金属塩、炭素ナノチューブ、および伝導性高分子の反応を行うことができる。このような反応工程で、各反応物の添加順序や、分散液の形成方法および混合順序などは、通常の範囲内で当業者によって自明に変更され得る。
【0038】
一方、本発明のまた他の具現例により、前述した金属ナノベルトおよび溶媒を含む印刷可能な導電性インク組成物が提供される。このような導電性インク組成物は、実質的に金属酸化物を含まず、銀(Ag)などの単一の低抵抗金属成分からなり、ナノスケールの大きさ(厚さ)を有する微細な金属粒子が広い幅で長く連結されたベルト形状の前述した金属ナノベルトを含む。したがって、このようなインク組成物を基板上に印刷した後、従来導電性ナノ粒子を還元または溶融連結させるために行われていた高温焼成工程を適用しなくても、優れた導電性を示す各種導電膜または導電性パターンなどの伝導性フィルムの形成を可能にする。
【0039】
つまり、このような導電性インク組成物の場合、これを基板上に印刷またはコーティングした後、前記溶媒などを除去するために低温で乾燥または熱処理のみを行っても、実質的に金属酸化物を含まずにナノスケールの厚さの金属膜が広い幅で長く連結された形状の多数のナノベルトが含まれている伝導性フィルム、例えば各種導電膜または導電性パターンが形成されるため、このような導電膜または導電性パターンが非常に優れた導電性を示すことができる。
【0040】
したがって、このような導電性インク組成物は、PDPまたはLCDなどの各種表示装置、半導体素子、または太陽電池に含まれる各種電極、配線、または電磁波遮蔽フィルムなどの多様な導電膜または導電性パターンや、熱伝導性フィルムなどの多様な伝導性フィルムを形成するために好ましく適用される。例えば、前記導電性インク組成物は、透明基板上に印刷されて、タッチパネルに含まれる透明導電膜を形成するために適用されたり、半導体基板の各種配線パターンまたは電極を形成するために適用されたり、各種表示装置の各種配線パターン、電極、または電磁波遮蔽フィルターなどを形成するために適用される。特に、前記導電性インク組成物は、低温焼成が要求される環境下でより好ましく適用され、高温焼成工程が要求されないため、適用可能な基板の種類の限界などを克服することができる。
【0041】
一方、このような導電性インク組成物は、前記金属ナノベルトおよび溶媒以外にも、炭素ナノチューブをさらに含み、その他必要に応じて導電性インク組成物に含まれていた任意の成分、例えば分散剤、バインダー、または顔料などをさらに含んでも良い。
【0042】
そして、前記溶媒としては、導電性インク組成物に含まれていた任意の溶媒を使用することができ、例えばエタノールなどのアルコール系溶媒、アルコールアルキルエーテル系溶媒、アルコールアリールエーテル系溶媒、エステル系溶媒、アミド系溶媒、アミン系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、および芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される一つ以上の溶媒を使用することができる。
【0043】
また、前記導電性インク組成物は、組成物の重量全体を基準に0.1〜30重量%の金属ナノベルトを含む。これによって、前記導電性インク組成物中の金属ナノベルトの分散性が良好になり、後に溶媒などを簡単に除去して、導電膜または導電性パターンを形成することができる。
【0044】
一方、本発明のまた他の具現例により、前述した金属ナノベルトを含む伝導性フィルム、例えば導電膜または導電性パターンが提供される。このような伝導性フィルムは、優れた導電性を示しつつ、その形成過程で高温焼成工程が要求されないため、適用可能な基板の限界などの技術的限界を克服して、より多様な基板および電気、電子装置などに適用される。
【0045】
このような伝導性フィルムは、例えば基板上に前述した導電性インク組成物を印刷または塗布した後、例えば50〜200℃の低温で乾燥または熱処理して、前記導電性インク組成物に含まれている溶媒などを除去する方法で形成される。
【0046】
このように形成された伝導性フィルムでは、前記金属ナノベルト、例えば銀ナノベルトが互いに連結されて、伝導性チャンネルが形成される。このような伝導性チャンネルにおいて、前記金属ナノベルトが互いに交わる接点では、これら金属ナノベルトの広い面同士が交わったり、狭い面同士が交わったり、あるいは広い面および狭い面が互いに交わる蓋然性がある。ただし、前記金属ナノベルトは、前述のような広い幅を有するという点と共に前記伝導性フィルムをコーティングする時に加えられる剪断力(shear)を考慮すれば、伝導性フィルム内で広い面が底面に横になる形態で分布される蓋然性が高く、前記金属ナノベルトの広い面同士が交わって連結される蓋然性がより高い。これに比べて、ナノワイヤーなどの他の形態のナノ構造体を含むインク組成物で伝導性フィルムを形成する場合には、ナノ構造体同士が交わる接点が狭い線または点となる蓋然性がより高く、伝導性チャンネルの抵抗がより高くなり、相対的に導電性は低くなる。これとは異なり、前記本発明のまた他の具現例による伝導性フィルムは、金属ナノベルト同士が交わる接点が広い面となる蓋然性が高く、以前から知られていたように優れた導電性を示すと予測される。
【0047】
ここで、前記伝導性フィルムは、各種表示装置、半導体素子、または太陽電池などに含まれる電極、配線、または電磁波遮蔽フィルムなどの任意の導電膜または導電性パターンであり、透明基板上に形成されてタッチパネルなどに含まれる透明導電膜などの透明伝導性フィルムであっても良い。
【0048】
特に、このような伝導性フィルムが適用されたタッチパネル、太陽電池、表示装置、または半導体素子などは、高温焼成工程なく形成されながらも、優れた導電性を示す導電性要素を含むことによって、適用可能な基板の限界などの技術的限界が減少し、優れた特性を示すことができる。
【0049】
一方、このようなタッチパネル、太陽電池、表示装置、または半導体素子などは、前述した導電性インク組成物で形成された伝導性フィルムを含むことを除いては、通常の工程によって製造される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例1で得られた銀ナノベルトのSEM写真を示したものである。
【図2】実施例1で得られた銀ナノベルトのSEM写真を示したものである。
【図3】実施例1で得られた銀ナノベルトのTEM写真およびX線回折パターン(右側上端の小さい写真)を示したものである。
【図4】実施例1で得られた銀ナノベルトのEDXスペクトルである。
【図5】実施例2で得られた銀ナノベルトのSEMイメージである。
【図6】実施例3で得られた銀ナノベルトのSEMイメージである。
【図7】実施例4で得られた銀ナノベルトのSEMイメージである。
【図8】実施例5で得られた銀ナノベルトのSEMイメージである。
【図9】実施例6で得られた銀ナノベルトのSEMイメージである。
【図10】実施例7で得られた銀ナノベルトのSEMイメージである。
【図11】実施例8で得られた銀ナノベルトのSEMイメージである。
【図12】実施例9で得られた銀ナノベルトのSEMイメージである。
【図13】実施例10で得られた銀ナノベルトのSEMイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の具体的な実施例を通じて本発明の作用および効果をより詳しく説明する。ただし、このような実施例は、本発明の例示として提示されたものに過ぎず、これにより本発明の権利範囲が決定されるのではない。
【0052】
A.試薬の準備
後述する銀ナノベルトの製造に使用された試薬は次の通りであり、特別な精製なく購入した状態で使用した:
aniline hydrochloride(Aldrich、97%)、2−aminobenzoic acid(Aldrich、99%)、2−aminophenol(Aldrich、97%)、1,3−phenylenediamine(Aldrich、99+%)、ammonium persulfate(Acros、98%)、HCl(DUKSAN PURE CHEMICALS CO.,LTD.)、HNO(DUKSAN PURE CHEMICALS CO.,LTD.)、AgNO(Acros、99%)
【0053】
多重壁炭素ナノチューブ(MWNT;Nanocyl−7000)は、Nanocyl製品であって、平均直径が10nmであり、CCVD方法で生産した後、精製過程を経ていない純度90%のMWNTである。このMWNT2gをフラスコに入れて濃い硝酸100mlを添加した後で4時間還流し、室温で冷却およびろ過して、炭素ナノチューブ(CNT)を分離した。蒸溜水でpHが中性になるまで洗浄した後、室温で乾燥して、銀ナノベルトの製造に使用した。
【0054】
B.伝導性高分子の合成
〔合成例1〕PANi(ポリアニリン)−acid(emeraldine salt)の合成
1Lフラスコに、5.18gのAniline hydrochlorideを0.2Mの塩酸溶液250mlに溶解し、14.26gのammonium persulfateを0.2Mの塩酸溶液250mlに溶解した溶液をaniline溶液に攪拌しながらdropwiseで添加した。室温で3〜4時間重合した後に遠心分離して、0.2Mの塩酸溶液で2回、アセトンで1回洗浄した後、室温で乾燥して、濃い青緑色の粉末4.5gを得た。このようにして得られたPANi−acidは、下記の化学式a)で表される。
【0055】
【化1】

【0056】
〔合成例2〕PANi−base(emeraldine base)の合成
合成例1で得たPANi−acidを0.5MのNaOH溶液内で一晩中(overnight)反応させた後、遠心分離して、蒸溜水およびアセトンで洗浄し、室温で乾燥して、紺色の粉末3.6gを得た。このようにして得られたPANi−baseは、下記の化学式b)で表される。
【0057】
【化2】

【0058】
〔合成例3〕P[Ani]0.8[Anthranilic acid]0.2の合成
5.18gのAniline hydrochlorideを使用する代わりに、5.18gのAniline hydrochlorideおよび1.37gのanthranilic acidを使用したこと以外は、合成例1と同様な方法で合成して、P[Ani]0.8[Anthranilic acid]0.24.92gを得た。このようにして得られたP[Ani]0.8[Anthranilic acid]0.2は、下記の化学式c)で表される。
【0059】
【化3】

【0060】
〔合成例4〕P[Ani]0.5[Anthranilic acid]0.5の合成
3.24gのAniline hydrochlorideおよび3.43gのanthranilic acidを使用したこと以外は、合成例3と同様な方法で合成して、P[Ani]0.5[Anthranilic acid]0.53.23gを得た。このようにして得られたP[Ani]0.5[Anthranilic acid]0.5は、下記の化学式c)で表される。
【0061】
【化4】

【0062】
〔合成例5〕P[Ani]0.2[Anthranilic acid]0.8の合成
1.30gのAniline hydrochlorideおよび5.49gのanthranilic acidを使用したこと以外は、合成例3と同様な方法で合成して、P[Ani]0.2[Anthranilic acid]0.84.62gを得た。このようにして得られたP[Ani]0.2[Anthranilic acid]0.8は、下記の化学式c)で表される。
【0063】
【化5】

【0064】
〔合成例6〕P[Ani]0.5[1,3−phenylenediamine]0.5の合成
5.18gのAniline hydrochlorideを使用する代わりに、3.24gのAniline hydrochlorideおよび2.71gの1,3−phenylenediamineを使用したこと以外は、合成例1と同様な方法で合成して、P[Ani]0.5[1,3−phenylenediamine]0.53.25gを得た。このようにして得られたP[Ani]0.5[1,3−phenylenediamine]0.5は、下記の化学式d)で表される。
【0065】
【化6】

【0066】
〔合成例7〕P[Ani]0.5[2−aminophenol]0.5の合成
5.18gのAniline hydrochlorideを使用する代わりに、3.24gのAniline hydrochlorideおよび2.73gの2−aminophenolを使用したこと以外は、合成例1と同様な方法で合成して、[Ani]0.5[2−aminophenol]0.53.34gを得た。このようにして得られたP[Ani]0.5[2−aminophenol]0.5は、下記の化学式e)で表される。
【0067】
【化7】

【0068】
C.銀(Ag)ナノベルトの合成
〔実施例1〕銀(Ag)ナノベルトの合成
100mgの多重壁炭素ナノチューブ(Multi Walled Carbon Nanotube;MWNT)粉末および蒸溜水400mlを混合し、超音波処理を通じてMWNT分散液を形成した。合成例1で得られた75mgのポリアニリン(PANi−acid)粉末およびエタノール200mlを混合し、超音波処理を通じてポリアニリン(PANi)分散液を形成した。MWNT分散液300mlおよびPANi分散液200mlを混合し、35mgの硝酸銀(AgNO)を添加して混合液を形成し、25℃および1気圧下で48時間放置して反応を進めた。
【0069】
その後、遠心分離を利用して固体(MWNTおよび銀ナノベルトの混合物)および液体(伝導性高分子および未反応の硝酸銀水溶液)を分離した。固体に蒸溜水50mlを添加して6時間放置すると、銀ナノベルトのみが絡み合って水面上に浮び上がり、MWNTは沈んだ。水面上に浮び上がった銀ナノベルトのみを掬い出して乾燥して、精製された銀ナノベルト11mgを得た。
【0070】
図1および2に実施例1で得られた銀ナノベルトのSEM写真を示し、図3にはTEM写真およびX線回折パターン(右側上端の小さい写真)を示した。図4には銀ナノベルトのEDXスペクトルを示した。
【0071】
このようにして得られた銀ナノベルトの大きさをSEMを利用して測定した結果、500〜2000μmの長さ、10〜20μmの幅、および200〜500nmの厚さを有するベルト形状(但し、長さ/幅の比は10以上、幅/厚さの比は3以上)を示すことを確認した。また、図3および4を通じて、実施例1で得られた銀ナノベルトが実質的に銀酸化物を含まずに酸化されていない状態の銀(Ag)のみを含むことを確認した。また、図3のTEMイメージおよびX線回折パターンなどを通じて、前記銀ナノベルトに不連続的に炭素ナノチューブが含まれて、銀ナノベルトがなすベルト形状の骨格をなしていることを確認した。
【0072】
〔実施例2〕
銀(Ag)ナノベルトの合成
合成例2で形成されたPANi−baseを使用して、実施例1と同様な方法で銀ナノベルト5mgを得た。このようにして得られた銀ナノベルトのSEMイメージを図5に示した。このような銀ナノベルトは、600〜2000μmの長さ、3〜10μmの幅、および100〜300nmの厚さを有するベルト形状(但し、長さ/幅の比は10以上、幅/厚さの比は3以上)を示すことを確認した。
【0073】
〔実施例3〕
銀(Ag)ナノベルトの合成
合成例3で形成されたP[Ani]0.8[Anthranilic acid]0.2を使用して、実施例1と同様な方法で銀ナノベルト6mgを得た。このようにして得られた銀ナノベルトのSEMイメージを図6に示した。このような銀ナノベルトは、60〜200μmの長さ、0.4〜0.8μmの幅、および100〜200nmの厚さを有するベルト形状(但し、長さ/幅の比は10以上、幅/厚さの比は3以上)を示すことを確認した。
【0074】
〔実施例4〕
銀(Ag)ナノベルトの合成
合成例4で形成されたP[Ani]0.5[Anthranilic acid]0.5を使用して、実施例1と同様な方法で銀ナノベルト4mgを得た。このようにして得られた銀ナノベルトのSEMイメージを図7に示した。このような銀ナノベルトは、300〜1000μmの長さ、0.8〜1.5μmの幅、および100〜200nmの厚さを有するベルト形状(但し、長さ/幅の比は10以上、幅/厚さの比は3以上)を示すことを確認した。
【0075】
〔実施例5〕
銀(Ag)ナノベルトの合成
合成例5で形成されたP[Ani]0.2[Anthranilic acid]0.8を使用して、実施例1と同様な方法で銀ナノベルト2.7mgを得た。このようにして得られた銀ナノベルトのSEMイメージを図8に示した。このような銀ナノベルトは、100〜500μmの長さ、0.1〜0.3μmの幅、および30〜80nmの厚さを有するベルト形状(但し、長さ/幅の比は10以上、幅/厚さの比は3以上)を示すことを確認した。
【0076】
〔実施例6〕
銀(Ag)ナノベルトの合成
合成例6で形成されたP[Ani]0.5[1,3−phenylenediamine]0.5を使用して、実施例1と同様な方法で銀ナノベルト1.4mgを得た。このようにして得られた銀ナノベルトのSEMイメージを図9に示した。このような銀ナノベルトは、100〜300μmの長さ、0.5〜2μmの幅、および50〜150nmの厚さを有するベルト形状(但し、長さ/幅の比は10以上、幅/厚さの比は3以上)を示すことを確認した。
【0077】
〔実施例7〕
銀(Ag)ナノベルトの合成
合成例7で形成されたP[Ani]0.5[2−aminophenol]0.5を使用して、実施例1と同様な方法で銀ナノベルト0.5mgを得た。このようにして得られた銀ナノベルトのSEMイメージを図10に示した。このような銀ナノベルトは、100〜400μmの長さ、0.4〜1μmの幅、および50〜200nmの厚さを有するベルト形状(但し、長さ/幅の比は10以上、幅/厚さの比は3以上)を示すことを確認した。
【0078】
〔実施例8〕
銀(Ag)ナノベルトの合成
合成例4で形成されたP[Ani]0.5[Anthranilic acid]0.5の120mgを使用して、実施例1と同様な方法で行い、但し、反応時間を48時間でなく12時間とした。この反応混合物を遠心分離して、未反応の銀イオンを除去した。この混合物を蒸溜水30mlで2回洗浄し、アセトンで1回洗浄して、MWNT、銀ナノベルト、若干の伝導性高分子が混合されている固状混合物を得た。このようにして得られた銀ナノベルト混合物のSEMイメージを図11に示した。このような銀ナノベルトは、50〜300μmの長さ、2〜5μmの幅、および50〜200nmの厚さを有するベルト形状(但し、長さ/幅の比は10以上、幅/厚さの比は3以上)を示すことを確認した。
【0079】
〔実施例9〕
銀(Ag)ナノベルトの合成
100mgの多重壁炭素ナノチューブ(Multi Walled Carbon Nanotube;MWNT)粉末および蒸溜水400mlを混合し、超音波処理を通じてMWNT分散液を形成した。合成例4で得られた150mgのポリアニリン(P[Ani]0.5[Anthranilic acid]0.5)粉末およびエタノール100mlを混合し、超音波処理を通じてポリアニリン(PANi)分散液を形成した。MWNT分散液300mlおよびPANi分散液100mlを混合し、35mgの硝酸銀(AgNO)を添加して混合液を形成した。この溶液に50mgのascorbic acidが溶解しているエタノール30mlを添加して、25℃および1気圧下で6時間放置して反応を進めた。この反応混合物を遠心分離して、未反応の銀イオンを除去した。この混合物を蒸溜水30mlで2回洗浄し、アセトンで1回洗浄して、MWNT、銀ナノベルト、若干の伝導性高分子が混合されている固状混合物を得た。このようにして得られた銀ナノベルト混合物のSEMイメージを図12に示した。このような銀ナノベルトは、0.5〜5μmの長さ、50〜150nmの幅、および20〜30nmの厚さを有するベルト形状(但し、長さ/幅の比は10以上、幅/厚さの比は3以上)を示すことを確認した。
【0080】
〔実施例10〕
銀(Ag)ナノベルトの合成
実施例9と同様に行い、但し、4℃で12時間放置して反応を進めた。このようにして得られた銀ナノベルト混合物のSEMイメージを図13に示した。このような銀ナノベルトは、5〜10μmの長さ、100〜200nmの幅、および20〜50nmの厚さを有するベルト形状(但し、長さ/幅の比は10以上、幅/厚さの比は3以上)を示すことを確認した。
【0081】
D.透明導電膜の製造および導電性評価
〔実施例11〕
導電性インク組成物および透明導電膜の製造
実施例10で得られた10mgの銀ナノベルト混合物をエタノール30mlおよびDMF20mlに混合し、超音波処理を通じて銀ナノベルトおよびMWNTの混合分散液、つまり導電性インク組成物を得た。この導電性インク組成物を10cm×10cmのPET基板上にバーコーティングし、120℃で乾燥して溶媒を除去することによって、透明導電膜を製造した。
【0082】
このようにして得られた透明導電膜の透過度はUV/Vis spectrophotometerを使用して測定し、導電性は4−probe方法を使用して測定した。測定の結果、82%の透過度に380ohm/squareの面抵抗を示した。この例で、銀ナノベルトから透明導電膜を形成する場合、その形成過程中に高温焼成工程が行われなくても、優れた導電性および透明度を示す導電膜が形成されることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さが500nm以上で、長さ/幅の比が10以上であり、幅/厚さの比が3以上である、金属ナノベルト。
【請求項2】
長さが1μm〜2000μmである、請求項1に記載の金属ナノベルト。
【請求項3】
幅が100nm〜100μmである、請求項1に記載の金属ナノベルト。
【請求項4】
厚さが15〜500nmである、請求項1に記載の金属ナノベルト。
【請求項5】
前記ベルト内に不連続的に含まれている炭素ナノチューブをさらに含む、請求項1に記載の金属ナノベルト。
【請求項6】
実質的に金属酸化物を含まない、請求項1に記載の金属ナノベルト。
【請求項7】
銀(Ag)を含む、請求項1に記載の金属ナノベルト。
【請求項8】
金属成分として銀(Ag)のみを含む、請求項7に記載の金属ナノベルト。
【請求項9】
炭素ナノチューブ、伝導性高分子、および金属塩を反応させる段階を含む、金属ナノベルトの製造方法。
【請求項10】
炭素ナノチューブが含まれている第1分散液を形成する段階と、
伝導性高分子が含まれている第2分散液を形成する段階と、
前記第1および第2分散液を混合し、金属塩と反応させる段階とを含む、請求項9に記載の金属ナノベルトの製造方法。
【請求項11】
伝導性高分子は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、およびこれらの共重合体からなる群より選択される一つ以上の高分子を含む、請求項9に記載の金属ナノベルトの製造方法。
【請求項12】
金属塩は、銀(Ag)の塩である、請求項9に記載の金属ナノベルトの製造方法。
【請求項13】
銀(Ag)の塩は、硫酸銀(AgSO)、酢酸銀(Ag(CHCOO))、フッ化銀(AgF)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)、ヨウ化銀(AgI)、シアン化銀(AgCN)、シアン酸銀(AgOCN)、乳酸銀(Ag(CHCHOHCOO))、炭酸銀(AgCO)、過塩素酸銀(AgClO)、および三フッ化酢酸銀(Ag(CFCOO))、三フッ化スルホン酸銀(Ag(CFSO))からなる群より選択される一つ以上を含む、請求項12に記載の金属ナノベルトの製造方法。
【請求項14】
前記金属塩、炭素ナノチューブ、および伝導性高分子の反応は、水、アルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、エチレングリコール、ホルムアミド(HCOOH)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)からなる群より選択される溶媒または一つ以上の混合溶媒中で行なわれる、請求項9に記載の金属ナノベルトの製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載の金属ナノベルトおよび溶媒を含む、印刷可能な導電性インク組成物。
【請求項16】
炭素ナノチューブをさらに含む、請求項15に記載の導電性インク組成物。
【請求項17】
前記溶媒は、水、アルコール系溶媒、アルコールアルキルエーテル系溶媒、アルコールアリールエーテル系溶媒、エステル系溶媒、アミド系溶媒、アミン系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、および芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される一つ以上の溶媒を含む、請求項15に記載の導電性インク組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の金属ナノベルトを含む、伝導性フィルム。
【請求項19】
表示装置、半導体素子、または太陽電池の導電膜または導電性パターンである、請求項18に記載の伝導性フィルム。
【請求項20】
タッチパネルの透明伝導性フィルムである、請求項19に記載の伝導性フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−502187(P2012−502187A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526811(P2011−526811)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際出願番号】PCT/KR2009/005133
【国際公開番号】WO2010/030123
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】