説明

金属製閉断面部材の製造方法及び製造装置

【課題】閉断面部材を製造するためにのみ用いるフランジ部を形成することなく、長手方向の端部に折り曲げ成形されたフランジ部が一体的に設けられた金属製閉断面部材を製造する。
【解決手段】金属製の板状ワークW1を凸状にプレス成形するとともに凸状頂面部に逆方向に突出する凸部を成形し、凸部を板状ワークW1の凸状に突出する方向にプレス成形することにより凸部を圧潰するとともに凸状側面部をそれぞれ内方側へ変位させて閉断面化し、板状ワークW1から閉断面部材を製造するに際し、凸部がプレス成形される前に、凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部を板状ワークの内方側へ折り曲げ成形するとともに、凸状側面部において板状ワークの長手方向の端部に一体的に設けられるフランジ部W4f、W4gを板状ワークの長手方向に対して折り曲げ成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属製の板状素材(板状ワーク)から閉断面状に形成された閉断面部材を製造する金属製閉断面部材の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、自動車等の車両において車体の基本構造の一部を構成するピラー部材、フロント及びリアのサイドフレーム、ダッシュパネルの前面下部に位置するダッシュクロスメンバ等の車体部材には、車体の強度及び剛性を確保し安全性を高める観点から高強度化及び高剛性化が求められ、しかも、燃費性能向上のために軽量化が求められている。
【0003】
これらの要請に応えるため、前記のような車体部材は、多くの場合、金属製の閉断面部材として構成されている。このような金属製の閉断面部材の製造方法としては、例えば鋼板などの金属製の板状ワークをプレス加工によりコ字形断面の両端部に外側へ張り出すフランジ部が一体成形された断面ハット状に形成し、この断面ハット状に形成された2枚の板状ワークのフランジ部を互いに重ね合わせて閉断面状にし、その後に、フランジ部を溶接して閉断面部材を製造する方法が一般に知られている。
【0004】
また、例えば特許文献1には、閉断面部材としての三角形チューブを製造するものであるが、予め所定形状に切断した鋼板の両端部近傍を所定の曲率で曲げる第1曲げ工程と、第1曲げ工程で曲げた鋼板の中央部を所定の曲率で押し曲げる第2曲げ工程と、第2曲げ工程で成形した鋼板の前記中央部を長手方向に対して左右から加圧しつつ、前記両端部を上方から押さえ込んで拘束して突き合わせ、成形する拘束成形工程と、拘束成形工程の後に、除荷せずに前記両端部の突き合わせ部を溶接する溶接工程とを有する三角形チューブの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−51932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、自動車等の車両においては、燃費性能向上のためにより一層の軽量化が求められており、比較的大きな重量を占める車体部材についてもより一層の軽量化が求められている。このため、金属製の閉断面部材として構成される車体部材については、閉断面部材を製造するためにのみ用いるフランジ部を形成することなく製造することが望まれている。
【0007】
前記特許文献1には、閉断面部材としての三角形チューブを製造するためにのみ用いるフランジ部を形成することなく三角形チューブを製造する方法が記載されているものの、自動車等の車両に用いられる車体部材は複雑な形状を有し、その長手方向に断面形状が複雑に変化し得るので、前記特許文献1に記載される製造方法を適用する場合には、閉断面部材の成形断面と同一形状の切り欠き部を有する複数のプレートを作る必要があり、自動車等の車両に用いられる車体部材に適用することはなかなか困難なものとなり得る。
【0008】
また、自動車等の車両においては、金属製の閉断面部材として構成される車体部材がその端部において他の部材と接合される場合があり、例えば、閉断面部材として構成されるダッシュクロスメンバが、車体前後方向に延びるフロントサイドフレームの側面に接合される場合がある。
【0009】
ダッシュクロスメンバをフロントサイドフレームの側面に接合する場合、ダッシュクロスメンバの車幅方向に延びる端部をフロントサイドフレームの側面に突き合わせた状態で全周溶接することにより、ダッシュクロスメンバをフロントサイドフレームの側面に接合することが可能であるが、かかる場合には、ダッシュクロスメンバの車幅方向に延びる端部とフロントサイドフレームとの間のギャップ裕度が小さく、十分な接合強度を確保することが困難である。
【0010】
これに対し、図21に示すように、ダッシュクロスメンバ100の車幅方向に延びる端部にダッシュクロスメンバ100の長手方向に対して略直角方向に折り曲げられたフランジ部101を一体的に形成し、このフランジ部101をフロントサイドフレーム110の側面に沿わせてレーザ溶接などを用いて接合させることにより、ダッシュクロスメンバ100の車幅方向に延びる端部とフロントサイドフレーム110との間のギャップ裕度を大きくすることができ、十分な接合強度を確保することができるとともに、ダッシュクロスメンバ100をフロントサイドフレーム110に容易に接合させることができる。
【0011】
このように、金属製の閉断面部材として構成され他の部材と接合される車体部材については、閉断面部材を製造するためにのみ用いるフランジ部を形成することなく製造することが望まれるとともに、閉断面部材の長手方向の端部において他の部材と接合するために用いる折り曲げ成形されたフランジ部を一体的に形成することが望まれる。
【0012】
そこで、この発明は、閉断面部材を製造するためにのみ用いるフランジ部を形成することなく、比較的簡単な方法によって、長手方向の端部に折り曲げ成形されたフランジ部が一体的に設けられた金属製閉断面部材を精度良く製造することができる金属製閉断面部材の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このため、本願の請求項1に係る金属製閉断面部材の製造方法は、金属製の板状ワークを第1のプレス成形型のブランクホルダとダイとにより挟持した状態で、第1のプレス成形型のパンチを前記ダイの成形空間内に相対的に移動させることにより、前記板状ワークを前記ダイに対する前記パンチの移動方向に突出させて凸状にプレス成形するとともに、前記板状ワークの凸状に成形される凸状頂面部に前記板状ワークの凸状に突出する方向と逆方向に突出する凸部を成形する第1のプレス成形工程と、プレス成形された前記板状ワークを第2のプレス成形型のダイに保持した状態で、前記凸部を第2のプレス成形型の中子型により前記板状ワークの凸状に突出する方向にプレス成形することにより、前記凸部を圧潰してプレス成形面を成形するとともに、前記第1のプレス成形工程において成形された前記板状ワークの凸状頂面部の両側の凸状側面部をそれぞれ内方側へ変位させて閉断面化する第2のプレス成形工程とを備え、金属製の板状ワークから閉断面状に形成された閉断面部材を製造する金属製閉断面部材の製造方法であって、前記第2のプレス成形工程の前に、前記板状ワークの凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部を前記板状ワークの内方側へ折り曲げ成形するとともに、前記板状ワークの凸状側面部において前記板状ワークの長手方向の端部に一体的に設けられ前記板状ワークの長手方向に略沿って延びるフランジ部を前記板状ワークの長手方向に対して所定角度折り曲げ成形する折り曲げ成形工程をさらに備えている、ことを特徴としたものである。
【0014】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記折り曲げ成形工程では、前記板状ワークの凸状頂面部の両側の凸状側面部に設けられた前記フランジ部がそれぞれ前記板状ワークの長手方向に対して所定角度折り曲げ成形される、ことを特徴としたものである。
【0015】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記折り曲げ成形工程では、上型と、該上型に対向して配置される第1のダイ及び該第1のダイに隣接して設けられる第2のダイとを有する下型とを備え、前記板状ワークを前記第1のダイに保持した状態で、前記上型を前記第1のダイに対して相対的に移動させることにより、前記上型と前記第1のダイとにより前記板状ワークの凸状側面部に設けられた前記フランジ部を前記板状ワークの長手方向に対して所定角度折り曲げ成形し、前記フランジ部が折り曲げ成形された前記板状ワークを前記上型と前記第1のダイにより挟持した状態で、前記上型と前記第1のダイとをともに前記第2のダイに対して相対的に移動させることにより、前記板状ワークの凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部を前記板状ワークの内方側へ折り曲げ成形する折り曲げ成形型を用いて、前記板状ワークが折り曲げ成形される、ことを特徴としたものである。
【0016】
また更に、本願の請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一に係る発明において、前記第2のプレス成形工程の後に、プレス成形された前記板状ワークの閉断面化された前記凸状側面部の端部どうしを、前記中子型の前記凸部をプレスする面部と反対側の面部に押し当てて決め押し成形する決め押し成形工程をさらに備えている、ことを特徴としたものである。
【0017】
また更に、本願の請求項5に係る発明は、請求項1〜4の何れか一に係る発明において、前記第2のプレス成形工程の後に、プレス成形された前記板状ワークの閉断面化された前記凸状側面部の端部どうしを溶接する溶接工程をさらに備えている、ことを特徴としたものである。
【0018】
また更に、本願の請求項6に係る金属製閉断面部材の製造装置は、金属製の板状ワークを凸状にプレス成形するとともに前記板状ワークの凸状に成形される凸状頂面部に前記板状ワークの凸状に突出する方向と逆方向に突出する凸部を成形するためのダイ及びパンチであって相対的に移動されるダイ及びパンチと、前記板状ワークを前記ダイと挟持するブランクホルダとを有する第1のプレス成形型を備え、前記板状ワークを前記ブランクホルダと前記ダイとにより挟持した状態で、前記パンチを前記ダイに対して相対的に移動させることにより、前記板状ワークを前記ダイに対する前記パンチの移動方向に突出させて凸状にプレス成形するとともに、前記板状ワークの凸状に成形される凸状頂面部に前記板状ワークの凸状に突出する方向と逆方向に突出する凸部を成形する第1のプレス成形手段と、前記第1のプレス成形手段によってプレス成形された前記板状ワークを保持するダイと、前記ダイに保持された前記板状ワークの前記凸部を前記板状ワークの凸状に突出する方向にプレス成形する中子型とを有する第2のプレス成形型を備え、前記板状ワークを前記ダイに保持した状態で、前記凸部を前記中子型により前記板状ワークの凸状に突出する方向にプレス成形することにより、前記凸部を圧潰してプレス成形面を成形するとともに前記板状ワークの凸状頂面部の両側の凸状側面部をそれぞれ内方側へ変位させて閉断面化する第2のプレス成形手段と、を備え、金属製の板状ワークから閉断面状に形成された閉断面部材を製造する金属製閉断面部材の製造装置であって、前記第2のプレス成形手段によって前記板状ワークが閉断面化される前に、前記板状ワークの凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部を前記板状ワークの内方側へ折り曲げ成形するとともに、前記板状ワークの凸状側面部において前記板状ワークの長手方向の端部に一体的に設けられ前記板状ワークの長手方向に略沿って延びるフランジ部を前記板状ワークの長手方向に対して所定角度折り曲げ成形する折り曲げ成形手段をさらに備えている、ことを特徴としたものである。
【0019】
また更に、本願の請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記折り曲げ成形手段によって、前記板状ワークの凸状頂面部の両側の凸状側面部に設けられた前記フランジ部がそれぞれ前記板状ワークの長手方向に対して所定角度折り曲げ成形される、ことを特徴としたものである。
【0020】
また更に、本願の請求項8に係る発明は、請求項6又は7に係る発明において、前記折り曲げ成形手段は、上型と、該上型に対向して配置される第1のダイ及び該第1のダイに隣接して設けられる第2のダイとを有する下型とを備えた折り曲げ成形型であって、前記板状ワークを前記第1のダイに保持した状態で、前記上型を前記第1のダイに対して相対的に移動させることにより、前記上型と前記第1のダイとにより前記板状ワークの凸状側面部に設けられた前記フランジ部を前記板状ワークの長手方向に対して所定角度折り曲げ成形し、前記フランジ部が折り曲げ成形された前記板状ワークを前記上型と前記第1のダイとにより挟持した状態で、前記上型と前記第1のダイとをともに前記第2のダイに対して相対的に移動させることにより、前記板状ワークの凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部を前記板状ワークの内方側へ折り曲げ成形する折り曲げ成形型を備えている、ことを特徴としたものである。
【0021】
また更に、本願の請求項9に係る発明は、請求項6〜8の何れか一に係る発明において、前記第2のプレス成形手段によってプレス成形された前記板状ワークの閉断面化された前記凸状側面部の端部どうしを、前記中子型の前記凸部をプレスする面部と反対側の面部に押し当てて決め押し成形する決め押し成形手段をさらに備えている、ことを特徴としたものである。
【0022】
また更に、本願の請求項10に係る発明は、請求項6〜9の何れか一に係る発明において、前記第2のプレス成形手段によってプレス成形された前記板状ワークの閉断面化された前記凸状側面部の端部どうしを溶接する溶接手段をさらに備えている、ことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0023】
本願の請求項1に係る金属製閉断面部材の製造方法によれば、板状ワークを凸状にプレス成形するとともに凸状頂面部に逆方向に突出する凸部を成形する第1のプレス成形工程と、凸部を板状ワークの凸状に突出する方向にプレス成形することにより凸部を圧潰してプレス成形面を成形するとともに凸状側面部をそれぞれ内方側へ変位させて閉断面化する第2のプレス成形工程とを備え、第2のプレス成形工程の前に、凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部を板状ワークの内方側へ折り曲げ成形するとともに、凸状側面部において板状ワークの長手方向の端部に一体的に設けられるフランジ部を板状ワークの長手方向に対して折り曲げ成形する折り曲げ成形工程をさらに備えていることにより、成形工程を複雑化させることなく、比較的簡単な方法によって、閉断面部材を製造するためにのみ用いるフランジ部を形成することなく長手方向の端部に折り曲げ成形されたフランジ部が一体的に設けられた金属製閉断面部材を精度良く製造することができる。
【0024】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、折り曲げ成形工程では、板状ワークの凸状頂面部の両側の凸状側面部に設けられたフランジ部がそれぞれ板状ワークの長手方向に対して折り曲げ成形されることにより、長手方向の端部において左右両側にフランジ部が設けられた金属製閉断面部材を製造することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0025】
更に、本願の請求項3に係る発明によれば、折り曲げ成形工程では、板状ワークを第1のダイに保持した状態で、上型と第1のダイとにより板状ワークの凸状側面部に設けられたフランジ部を板状ワークの長手方向に対して折り曲げ成形し、板状ワークを上型と第1のダイにより挟持した状態で、上型と第1のダイとをともに第2のダイに対して相対的に移動させることにより凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部を板状ワークの内方側へ折り曲げ成形する折り曲げ成形型を用いて板状ワークが折り曲げ成形されることにより、比較的簡単な方法によって、金属製閉断面部材の長手方向の端部に設けられたフランジ部の折り曲げ成形と凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部の折り曲げ成形とをともに行うことができる。
【0026】
また更に、本願の請求項4に係る発明によれば、第2のプレス成形工程の後に、プレス成形された板状ワークの閉断面化された凸状側面部の端部どうしを、中子型の凸部をプレスする面部と反対側の面部に押し当てて決め押し成形する決め押し成形工程をさらに備えていることにより、プレス成形面と反対側の面についても、比較的簡単な方法によって高い成形精度を得ることが可能である。
【0027】
また更に、本願の請求項5に係る発明によれば、第2のプレス成形工程の後に、プレス成形された板状ワークの閉断面化された凸状側面部の端部どうしを溶接する溶接工程をさらに備えていることにより、閉断面部材の接合強度を高めることができ、より強固な閉断面部材を製造することができる。
【0028】
また更に、本願の請求項6に係る発明によれば、板状ワークを凸状にプレス成形するとともに凸状頂面部に逆方向に突出する凸部を成形する第1のプレス成形手段と、凸部を板状ワークの凸状に突出する方向にプレス成形することにより凸部を圧潰してプレス成形面を成形するとともに凸状側面部をそれぞれ内方側へ変位させて閉断面化する第2のプレス成形手段とを備え、板状ワークが閉断面化される前に、凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部を板状ワークの内方側へ折り曲げ成形するとともに、凸状側面部において板状ワークの長手方向の端部に一体的に設けられるフランジ部を板状ワークの長手方向に対して折り曲げ成形する折り曲げ成形手段をさらに備えていることにより、成形型などの成形装置を複雑化させることなく、比較的簡単な装置によって、閉断面部材を製造するためにのみ用いるフランジ部を形成することなく長手方向の端部に折り曲げ成形されたフランジ部が一体的に設けられた金属製閉断面部材を精度良く製造することができる。
【0029】
また更に、本願の請求項7に係る発明によれば、折り曲げ成形手段によって、板状ワークの凸状頂面部の両側の凸状側面部に設けられたフランジ部がそれぞれ板状ワークの長手方向に対して折り曲げ成形されることにより、長手方向の端部において左右両側にフランジ部が設けられた金属製閉断面部材を製造することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0030】
また更に、本願の請求項8に係る発明によれば、折り曲げ成形手段は、板状ワークを第1のダイに保持した状態で、上型と第1のダイとにより板状ワークの凸状側面部に設けられたフランジ部を板状ワークの長手方向に対して折り曲げ成形し、板状ワークを上型と第1のダイとにより挟持した状態で、上型と第1のダイとをともに第2のダイに対して相対的に移動させることにより、凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部を板状ワークの内方側へ折り曲げ成形する折り曲げ成形型を備えていることにより、比較的簡単な成形手段によって、金属製閉断面部材の長手方向の端部に設けられたフランジ部の折り曲げ成形と凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部の折り曲げ成形とをともに行うことができる。
【0031】
また更に、本願の請求項9に係る発明によれば、第2のプレス成形手段によってプレス成形された板状ワークの閉断面化された凸状側面部の端部どうしを、中子型の凸部をプレスする面部と反対側の面部に押し当てて決め押し成形する決め押し成形手段をさらに備えていることにより、プレス成形面と反対側の面についても、比較的簡単な手段によって高い成形精度を得ることが可能である。
【0032】
また更に、本願の請求項10に係る発明によれば、第2のプレス成形手段によってプレス成形された板状ワークの閉断面化された凸状側面部の端部どうしを溶接する溶接手段をさらに備えていることにより、閉断面部材の接合強度を高めることができ、より強固な閉断面部材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係る金属製閉断面部材を備えた自動車の車体構造を模式的に示す側面図である。
【図2】本実施形態に係る金属製閉断面部材としてのフロントサイドフレームを示す斜視図である。
【図3】図2におけるY3a−Y3a線及びY3b−Y3b線に沿ったフロントサイドフレームの断面図である。
【図4】フロントサイドフレームを製造するための板状ワークを示す図である。
【図5】板状ワークをプレス成形するための第1のプレス成形装置のプレス成形型を示す斜視図である。
【図6】図5におけるY6−Y6線に沿ったプレス成形型の断面図である。
【図7】第1のプレス成形装置によるプレス成形工程を説明するための説明図である。
【図8】第1のプレス成形装置によってプレス成形された板状ワークを示す斜視図である。
【図9】図8におけるY9−Y9線に沿った板状ワークの断面図である。
【図10】第1のプレス成形装置によるプレス成形工程の後にトリミング工程が行われた板状ワークの要部を示す斜視図である。
【図11】板状ワークの凸状側面部における凸状頂面部側と反対側の端部と長手方向の端部に設けられるフランジ部とを折り曲げ成形するための折り曲げ成形装置の折り曲げ成形型を示す斜視図である。
【図12】図11におけるY12−Y12線に沿った折り曲げ成形型の断面図である。
【図13】図11におけるY13−Y13線に沿った折り曲げ成形型の断面図である。
【図14】折り曲げ成形工程を説明するための説明図であり、図12に示す断面において上型と板状ワークとが接触した状態を示す図である。
【図15】折り曲げ成形工程を説明するための説明図であり、図13に示す断面において上型と板状ワークとが接触した状態を示す図である。
【図16】折り曲げ成形工程を説明するための説明図であり、図12に示す断面において第1のダイと第4のダイとが接触した状態を示す図である。
【図17】第2のプレス成形装置によるプレス成形工程を説明するための説明図である。
【図18】図17(a)のA部を拡大して示す要部拡大図である。
【図19】フロントサイドフレームの図3(b)に示す断面に対応する断面について第2のプレス成形装置によるプレス成形工程を説明するための説明図である。
【図20】決め押し成形工程を説明するための説明図である。
【図21】ダッシュクロスメンバがフロントサイドフレームに接合された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語など特定の方向を意味する用語を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0035】
図1は、本実施形態に係る金属製閉断面部材を備えた自動車の車体構造を模式的に示す側面図である。本実施形態では、金属製の板状ワークを閉断面状に形成して製造する金属製閉断面部材として、図1に示すように自動車のサイドボディ10に結合されるフロントサイドフレーム20を例に説明するが、これに限定されるものでなく、サイドボティ10に結合されるリアサイドフレーム30などの閉断面状に形成されるその他の車体部材に適用してもよく、さらには、車体部材に限らず閉断面状に形成されるその他の金属製の閉断面部材に適用することも可能であるが、本実施形態に係る金属製閉断面部材の製造は、長手方向の端部に他の部材と接合するために用いる折り曲げ成形されたフランジ部が一体的に設けられた閉断面部材について適用するものである。
【0036】
図2は、本実施形態に係る金属製閉断面部材としてのフロントサイドフレームを示す斜視図である。また、図3は、図2におけるY3a−Y3a線及びY3b−Y3b線に沿ったフロントサイドフレームの断面図であり、図3の(a)は、図2におけるY3a−Y3a線に沿ったフロントサイドフレームの断面図、図3の(b)は、図2におけるY3b−Y3b線に沿ったフロントサイドフレームの断面図を示している。
【0037】
図2に示すように、本実施形態に係る金属製閉断面部材としてのフロントサイドフレーム20は、長手方向に延びるとともに閉断面状に形成される閉断面部材として構成されており、上面部21と、下面部22と、右側面部23と、左側面部24と、上面部21から右側面部23に向かって右斜め下方に傾斜する第1の傾斜側面部25と、上面部21から左側面部24に向かって左斜め下方に傾斜する第2の傾斜側面部26と、下面部22から右側面部23に向かって右斜め上方に傾斜する第3の傾斜側面部27と、下面部22から左側面部24に向かって左斜め上方に傾斜する第4の傾斜側面部28によって中空部29を有する断面八角形状に形成されている。
【0038】
フロントサイドフレーム20は、上面部21と下面部22とが長手方向に沿って平行に成形されるとともに短手方向の断面長さが略同一に成形されているが、図2に示すように、断面形状は長手方向において変化して成形されている。フロントサイドフレーム20は、図3(a)に示す断面においては、左側面部24、第1の傾斜側面部25及び第3の傾斜側面部27が、図3(b)に示す断面における左側面部24、第1の傾斜側面部25及び第3の傾斜側面部27のそれぞれの断面長さよりも短い断面長さを有するように形成され、右側面部23、第2の傾斜側面部26及び第4の傾斜側面部28が、図3(b)に示す断面における右側面部23、第2の傾斜側面部26及び第4の傾斜側面部28のそれぞれの断面長さよりも長い断面長さを有するように形成されている。また、下面部22に対する第3の傾斜側面部27の傾斜角度及び下面部22に対する第4の傾斜側面部28の傾斜角度はそれぞれ、長手方向に一定の所定の角度で形成されている。フロントサイドフレーム20にはまた、右側面部23及び第1の傾斜側面部25に中空部29の内方側に窪む複数のビード31が形成されている。
【0039】
本実施形態ではまた、金属製閉断面部材としてのフロントサイドフレーム20に、その長手方向における両端部においてそれぞれフロントサイドフレーム20の長手方向に対して略直角方向に折り曲げられたフランジ部23a、23b、24a、24bが一体的に設けられている。図2に示すように、フロントサイドフレーム20の右側面部23においてその長手方向における前方側端部及び後方側端部にそれぞれフロントサイドフレーム20の長手方向に対して略直角方向に延びるフランジ部23a及び23bが設けられ、フロントサイドフレーム20の左側面部24においてその長手方向における前方側端部及び後方側端部にそれぞれフロントサイドフレーム20の長手方向に対して略直角方向に延びるフランジ部24a及び24bが設けられている。
【0040】
このように、フロントサイドフレーム20の長手方向における端部にフロントサイドフレーム20の長手方向に対して略直角方向に延びるフランジ部23a、23b、24a、24bが一体的に形成されることにより、このフランジ部23a、23b、24a、24bを用いてフロントサイドフレーム20を他の部材と接合することが可能である。これにより、フロントサイドフレーム20の長手方向における端部を他の部材と接触させた状態で全周溶接する場合に比して、フロントサイドフレーム20の接合強度を高めることができるとともに、フロントサイドフレーム20を容易に接合させることができる。
【0041】
次に、このようにして構成される本実施形態に係る金属製閉断面部材としてのフロントサイドフレーム20の製造について説明する。
本実施形態では、フロントサイドフレーム20を製造するに際し、先ず、例えば鋼板などの略平板状に形成された矩形状の金属製の板状素材(板状ワーク)を用意し、この板状ワークをトリミングし、フロントサイドフレーム20のフランジ部23a、23b、24a、24bとなる部分を形成する。
【0042】
図4は、フロントサイドフレームを製造するための板状ワークを示す図である。図4に示すように、板状ワークW1は、図示しない第1のトリミング手段によって、板状ワークW1の長手方向においてトリミングラインL1の外側に位置する部分がトリミングされ、板状ワークW1には、板状ワークW1の長手方向における両端部において板状ワークW1の長手方向に沿って突出して延びるフランジ部W3f、W3g、W4f、W4gが形成される。なお、トリミングラインL1は、後述するように、板状ワークW1が凸状にプレス成形された際に、フランジ部W3f、W3gが凸状側面部W3の第1の凸状側面部W3aに沿って形成されるように設定され、フランジ部W4f、W4gが凸状側面部W4の第1の凸状側面部W4aに沿って形成されるように設定されている。
【0043】
板状ワークW1の長手方向における両端部にフランジ部W3f、W3g、W4f、W4gが形成されるように板状ワークW1をトリミングした後には、板状ワークW1を凸状にプレス成形し、具体的にはドロー(絞り)成形し、フロントサイドフレーム20の形状に応じた所定形状に成形する。
【0044】
図5は、板状ワークをプレス成形するための第1のプレス成形装置のプレス成形型を示す斜視図であり、図6は、図5におけるY6−Y6線に沿った第1のプレス成形装置のプレス成形型の断面図である。なお、図5では、プレス成形型のダイについてはその下面のみを示し、プレス成形型のブランクホルダについてはその上面のみを示している。
【0045】
板状ワークW1をプレス成形するための第1のプレス成形手段としての第1のプレス成形装置は、図5及び図6に示すように、板状ワークW1を凸状にプレス成形するとともに板状ワークW1の凸状に成形される凸状頂面部に板状ワークW1の凸状に突出する方向と逆方向に突出する凸部を成形するためのダイ45及びパンチ42であって相対的に移動されるダイ45及びパンチ42と、板状ワークW1をダイ45と挟持するブランクホルダ41とを有するプレス成形型(第1のプレス成形型)40を備えている。
【0046】
プレス成形型40のダイ45には、その下面45aに凹状に窪む凹部45bが設けられ、凹部45b内に板状ワークW1をプレス成形するための成形空間45cが形成されている。ダイ45に設けられる凹部45bは、フロントサイドフレーム20の形状に応じて所定形状に形成され、略平面状に形成される底面部45dと、底面部45dから右斜め下方に傾斜する第1の傾斜壁部45eと、第1の傾斜壁部45eから垂直方向下方に延びる右縦壁部45fと、底面部45dから左斜め下方に傾斜する第2の傾斜壁部45iと、第2の傾斜壁部45iから垂直方向下方に延びる左縦壁部45jとを備えている。また、凹部45bの底面部45dには、底面部45dから成形空間45cの内方側に向かって断面円弧状に突出する凸部45mが設けられ、この凸部45mは、図5に示すように、底面部45dにおいて長手方向に連続して設けられている。
【0047】
プレス成形型40のパンチ42は、ブランクホルダ41の内周面部41aに外周面部42aが嵌め合わせられるとともに、図示しないパンチ移動機構によって上下方向に移動され、ダイ45に対して相対的に移動されるようになっている。パンチ42は、ダイ45との間で板状ワークW1をプレス成形するために、フロントサイドフレーム20の形状に応じて所定形状に形成され、パンチ42の頭部は、略平面状に形成される上面部42dと、上面部42dから右斜め下方に傾斜する第1の傾斜壁部42eと、第1の傾斜壁部42eから垂直方向下方に延び外周面部42aの一部を構成する右縦壁部42fと、上面部42dから左斜め下方に傾斜する第2の傾斜壁部42iと、第2の傾斜壁部42iから垂直方向下方に延び外周面部42aの一部を構成する左縦壁部42jとを備えている。また、パンチ42の上面部42dには、上面部42dから断面円弧状に窪む凹部42mが設けられ、この凹部42mは、上面部42dにおいて長手方向に連続して設けられている。
【0048】
プレス成形型40のブランクホルダ41は、板状ワークW1をダイ45に対して押さえるためのものであり、板状ワークW1を保持した状態で板状ワークW1をダイ45と挟持するように、図示しないブランクホルダ移動機構によって上下方向に移動されるようになっている。
【0049】
また、前記第1のプレス成形装置は、該第1のプレス成形装置を総合的に制御する第1のプレス成形装置用制御ユニット(不図示)を備えており、該制御ユニットは、パンチ42及びブランクホルダ41の移動機構などの各種作動を制御する。なお、前記第1のプレス成形装置用制御ユニット、並びに後述する第2のプレス成形装置用制御ユニット及び折り曲げ成形装置用制御ユニットは、例えばマイクロコンピュータを主要部として構成されている。
【0050】
このようにして構成されるプレス成形型40を備えた第1のプレス成形装置では、板状ワークW1をブランクホルダ41とダイ45とにより挟持した状態で、パンチ42をダイ45の成形空間45c内に移動させて板状ワークW1をプレス成形することにより、フロントサイドフレーム20の形状に応じて所定形状に板状ワークW1がプレス成形されるようになっている。なお、プレス成形型40のダイ45には、凹部45bの第2の傾斜壁部45i及び左縦壁部45jにビード31の形状に応じて成形空間45cの内方側に向かって突出するビード形成用突出部(不図示)が形成され、プレス成形型40のパンチ42には、第2の傾斜壁部42i及び左縦壁部42jにビード31の形状に応じて凹状に窪むビード形成用溝部(不図示)が形成されている。
【0051】
前記第1のプレス成形装置を用いて板状ワークW1をプレス成形する際には、図6に示すように、ブランクホルダ41とダイ45とが離間して配置され、パンチ42の上面部42dがブランクホルダ41の上面41bよりも下方に配置された状態で、板状ワークW1がブランクホルダ41の上面41bに保持される。そして、プレス成形型40のブランクホルダ41が上方へ移動され、ブランクホルダ41とダイ45とにより板状ワークW1の短手方向の両端部が挟持された後に、パンチ42が上方へ移動され、パンチ42がダイ45の成形空間45c内に移動され、板状ワークW1がプレス成形される。
【0052】
図7は、第1のプレス成形装置によるプレス成形工程を説明するための説明図であり、図7の(a)は、ブランクホルダとダイとにより板状ワークが挟持された後に、パンチが上方へ移動されて板状ワークがプレス成形されている状態を示し、図7の(b)は、パンチがさらに上方へ移動されて板状ワークがさらにプレス成形された状態を示している。
【0053】
図7(a)に示すように、板状ワークW1がブランクホルダ41とダイ45により挟持された状態で、パンチ42がダイ45の成形空間45c内に移動されることにより、パンチ42の上面部42dによって板状ワークW1が断面台形状にプレス成形される。さらにパンチ42が上方へ移動されると、図7(b)に示すように、板状ワークW1がさらにプレス成形され、パンチ42とダイ45とにより板状ワークW1が所定形状に成形される。
【0054】
図8は、第1のプレス成形装置によってプレス成形された板状ワークを示す斜視図であり、図9は、図8におけるY9−Y9線に沿った板状ワークの断面図である。図8及び図9に示すように、板状ワークW1は、ブランクホルダ41とダイ45とにより挟持された板状ワークW1の短手方向の両端部を除く短手方向の中央部分がダイ45に対するパンチ42の移動方向に突出させられて凸状にプレス成形され、凸状頂面部W2と、凸状頂面部W2の両側に成形される凸状側面部W3、W4とを有している。
【0055】
プレス成形された板状ワークW1は、ダイ45に設けられる凹部45bの底面部45dとパンチ42の上面部42dとにより凸状頂面部W2が成形され、凸状頂面部W2には、底面部45dに設けられた凸部45mと上面部42dに設けられた凹部42mとにより板状ワークW1の凸状に突出する方向と逆方向に断面円弧状に突出する凸部W2aが長手方向に連続して設けられている。また、凸状頂面部W2は、図8に示すように、凸部W2aによって凸部W2aの右側に位置する右凸状頂面部W2bと凸部W2aの左側に位置する左凸状頂面部W2cとに分割され、凸状頂面部W2の凸部W2aによって分割される部分W2b、W2cの短手方向における断面長さが長手方向において変化するように成形されている。
【0056】
凸状頂面部W2の右側には、ダイ45に設けられる凹部45bの第1の傾斜壁部45e及び右縦壁部45fとパンチ42の第1の傾斜壁部42e及び右縦壁部42fとにより凸状側面部W3が成形され、凸状側面部W3は、凹部45bの第1の傾斜壁部45eとパンチ42の第1の傾斜壁部42eとにより成形され凸状頂面部W2、具体的には右凸状頂面部W2bから右斜め下方に傾斜する第1の右凸状側面部W3aと、凹部45bの右縦壁部45fとパンチ42の右縦壁部42fとにより成形され第1の右凸状側面部W3aから垂直方向下方に延びる第2の右凸状側面部W3bとを有している。また、凸状側面部W3には、具体的には第1の右凸状側面部W3aには、板状ワークW1の長手方向における両端部に板状ワークW1の長手方向に沿って突出して延びるフランジ部W3f、W3gが設けられている。
【0057】
一方、凸状頂面部W2の左側には、ダイ45に設けられる凹部45bの第2の傾斜壁部45i及び左縦壁部45jとパンチ42の第2の傾斜壁部42i及び左縦壁部42jとにより凸状側面部W4が成形され、凸状側面部W4は、凹部45bの第2の傾斜壁部45iとパンチ42の第2の傾斜壁部42iとにより成形され凸状頂面部W2、具体的には左凸状頂面部W2cから左斜め下方に傾斜する第1の左凸状側面部W4aと、凹部45bの左縦壁部45jとパンチ42の左縦壁部42jとにより成形され第1の左凸状側面部W4aから垂直方向下方に延びる第2の左凸状側面部W4bとを有している。また、凸状側面部W4には、具体的には第1の左凸状側面部W4aには、板状ワークW1の長手方向における両端部に板状ワークW1の長手方向に沿って突出して延びるフランジ部W4f、W4gが設けられている。
【0058】
プレス成形された板状ワークW1にはまた、凹部45bの第2の傾斜壁部45i及び左縦壁部45jに形成される前記ビード形成用突出部とパンチ42の第2の傾斜壁部42i及び左縦壁部42jに形成される前記ビード形成用溝部とにより、凸状側面部W4、具体的には第1及び第2の左凸状側面部W4a、W4bにビードW4fが形成される。
【0059】
本実施形態では、板状ワークW1をプレス成形する際に、図7(a)及び図7(b)に示すように、板状ワークW1の短手方向の両端部がブランクホルダ41によりダイ45に対して押圧され、プレス成形された板状ワークW1にしわが発生することが防止されている。
【0060】
また、凸状頂面部W2に設けられる凸部W2a、右凸状頂面部W2b及び左凸状頂面部W2cはそれぞれ、フロントサイドフレーム20の下面部22、第4の傾斜側面部28及び第3の傾斜側面部27の形状に応じて成形され、凸状側面部W3の第1の右凸状側面部W3aがフロントサイドフレーム20の左側面部24の形状に応じて成形され、凸状側面部W3の第2の右凸状側面部W3bがフロントサイドフレーム20の第2の傾斜側面部26及び上面部21の形状に応じて成形され、凸状側面部W4の第1の左凸状側面部W4aがフロントサイドフレーム20の右側面部23の形状に応じて成形され、凸状側面部W4の第2の左凸状側面部W4bがフロントサイドフレーム20の第1の傾斜側面部25及び上面部21の形状に応じて成形されている。
【0061】
なお、本実施形態では、金属製の板状ワークW1をプレス成形型40のブランクホルダ41とダイ45とにより挟持した状態で、プレス成形型40のパンチ42をダイ45の成形空間45c内に移動させて板状ワークW1をプレス成形しているが、パンチ42を固定した状態で、板状ワークW1を挟持したブランクホルダ41とダイ45とをパンチ42に対して相対的に移動させてプレス成形するようにしてもよい。
【0062】
このようにしてプレス成形型40を備えた第1のプレス成形装置によって板状ワークW1がプレス成形された後、プレス成形された板状ワークW1は、図示しない第2のトリミング手段によって、図9に示すトリミングラインL2の下側に位置する部分がトリミングされ、板状ワークW1の短手方向における両端部W5が切り取られる。
【0063】
図10は、第1のプレス成形装置によるプレス成形工程の後にトリミング工程が行われた板状ワークの要部を示す斜視図であり、図10では、板状ワークW1の長手方向における前方側端部近傍のみを示している。第1のプレス成形装置によるプレス成形工程の後にトリミング工程が行われた板状ワークW1には、図10において斜線ハッチングで示されるように、板状ワークW1の凸状側面部W3、具体的には第1の右凸状側面部W3aにおいて板状ワークW1の長手方向の前方側端部に板状ワークW1の長手方向に沿って延びるフランジ部W3fが一体的に設けられるとともに、板状ワークW1の凸状側面部W4、具体的には第1の左凸状側面部W4aにおいて板状ワークW1の長手方向の前方側端部に板状ワークW1の長手方向に沿って延びるフランジ部W4fが一体的に設けられている。また、板状ワークW1の長手方向の後方側端部についても、凸状側面部W3の第1の右凸状側面部W3aに板状ワークW1の長手方向に沿って延びるフランジ部W3gが一体的に設けられ、凸状側面部W4の第1の左凸状側面部W4aに板状ワークW1の長手方向に沿って延びるフランジ部W4gが一体的に設けられている。
【0064】
次に、板状ワークW1は、凸状側面部W3、W4の端部、具体的には、図9に示す凸状側面部W3の第2の右凸状側面部W3bの凸状頂面部W2側と反対側の端部W3e、凸状側面部W4の第2の左凸状側面部W4bの凸状頂面部W2側と反対側の端部W4eが板状ワークW1の内方側へ折り曲げ成形されるとともに、凸状側面部W3、W4において板状ワークW1の長手方向の端部に設けられたフランジ部W3f、W3g、W4f、W4gが板状ワークW1の長手方向に対して折り曲げ成形される折り曲げ成形工程が行われる。
【0065】
図11は、板状ワークの凸状側面部における凸状頂面部側と反対側の端部と長手方向の端部に設けられるフランジ部とを折り曲げ成形するための折り曲げ成形装置の折り曲げ成形型を示す斜視図であり、図12は、図11におけるY12−Y12線に沿った折り曲げ成形型の断面図、図13は、図11におけるY13−Y13線に沿った折り曲げ成形型の断面図である。なお、図11では、図を見やすくするために、折り曲げ成形型に保持される板状ワークを上方側に離した状態で示し、図13では、第1のダイ45の下方に配置される第4のダイを省略して示している。
【0066】
図11から図13に示すように、凸状側面部W3、W4の凸状頂面部W2側と反対側の端部W3e、W4eを板状ワークW1の内方側へ折り曲げ成形するとともに、凸状側面部W3、W4において板状ワークW1の長手方向の端部に設けられたフランジ部W3f、W3g、W4f、W4gを板状ワークW1の長手方向に対して所定角度折り曲げ成形する折り曲げ成形手段としての折り曲げ成形装置は、図示しない上型移動機構によって上下方向に移動可能に構成される上型55と、上型55に対向して配置され、凸状にプレス成形された板状ワークW1を保持するための第1のダイ51と、第1のダイ51に隣接して設けられ第1のダイ51の外周面51aに嵌め合わせられる第2のダイ52とを有する下型とを備えた折り曲げ成形型50を備えている。折り曲げ成形型50の前記下型にはまた、第2のダイ52を支持する第3のダイ53と、第1のダイ51の下方に配置される第4のダイ54とを有している。
【0067】
折り曲げ成形型50の第1のダイ51は、図示しない付勢手段によって上方へ付勢され、第4のダイ54と離間した状態で配置されている。第1のダイ51の上面51bは、図12に示すように、その右側部分が、凸状側面部W4、具体的には第2の左凸状側面部W4bの端部W4eを折り曲げ成形するために、第2の左凸状側面部W4bの折り曲げ成形すべき端部W4eが第2のダイ52の上方に位置付けられた状態で板状ワークW1を保持するように、凸状頂面部W2及び凸状側面部W4の形状に応じて形成されている。
【0068】
また、第1のダイ51の上面51bの右側部分は、図13に示すように、凸状側面部W4において板状ワークW1の長手方向の端部に設けられたフランジ部W4f、W4gを板状ワークW1の長手方向に対して所定角度折り曲げ成形するために、凸状側面部W4に設けられたフランジ部W4f、W4gが第1のダイ51の上面51bから板状ワークW1の長手方向に突出した状態で保持されるように形成されている。
【0069】
第1のダイ51の上面51bの左側部分も同様に、凸状側面部W3、具体的には第2の右凸状側面部W3bの端部W3eを折り曲げ成形するために、第2の右凸状側面部W3bの折り曲げ成形すべき端部W3eが第2のダイ52の上方に位置付けられた状態で板状ワークW1を保持するように、凸状頂面部W2及び凸状側面部W3の形状に応じて形成されるとともに、凸状側面部W3において板状ワークW1の長手方向の端部に設けられたフランジ部W3f、W3gを板状ワークW1の長手方向に対して所定角度折り曲げ成形するために、凸状側面部W3に設けられたフランジ部W3f、W3gが第1のダイ51の上面51bから板状ワークW1の長手方向に突出した状態で保持されるように形成されている。
【0070】
一方、折り曲げ成形型50の上型55は、第1のダイ51の上面51bの右側部分に保持された板状ワークW1を押圧するための第1のパンチ56と、第1のダイ51の上面51bの左側部分に保持された板状ワークW1を押圧するための第2のパンチ57とを備えている。
【0071】
第1のパンチ56は、図11に示すように、その下面56aに凹状に窪む凹部56bが設けられ、凹部56bは、図12に示すように、その底面部56cが、板状ワークW1を上方側から押圧することができるように凸状側面部W4の形状に応じて形成されるとともに、その側面部56d、56eがそれぞれ、第1のダイ51の上面51bの右側部分に保持された板状ワークW1の凸状側面部W4に設けられたフランジ部W4f、W4gを折り曲げ成形することができるように、底面部56cに対して略直角方向に延びるように形成されている。
【0072】
第2のパンチ57についても同様に、その下面57aに凹状に窪む凹部57bが設けられ、凹部57bは、その底面部57cが、図12に示すように、板状ワークW1を上方側から押圧することができるように凸状側面部W3の形状に応じて形成されるとともに、その側面部が、第1のダイ51の上面51bの左側部分に保持された板状ワークW1の凸状側面部W3に設けられたフランジ部W3f、W3gを折り曲げ成形することができるように、底面部57cに対して略直角方向に延びるように形成されている。
【0073】
このようにして構成される折り曲げ成形型50を備えた折り曲げ成形装置にはまた、上型55の移動機構を制御する折り曲げ成形装置用制御ユニットが備えられており、該制御ユニットは、上型55、具体的には第1のパンチ56及び第2のパンチ57の上下方向の移動を制御する。
【0074】
前記折り曲げ成形装置を用いて板状ワークW1を折り曲げ成形する際には、第1のダイ51が前記付勢手段によって上方へ付勢された状態で、板状ワークW1が、図12及び図13に示すように、第1の左凸状側面部W4aを下側にして第1のダイ51の上面51bの右側部分に、第1の左凸状側面部W4aに設けられるフランジ部W4f、W4gが第1のダイ51から板状ワークW1の長手方向に突出するようにして保持される。
【0075】
図14から図16は、折り曲げ成形工程を説明するための説明図であり、図14は、図12に示す断面において上型と板状ワークとが接触した状態を示す図、図15は、図13に示す断面において上型と板状ワークとが接触した状態を示す図、図16は、図12に示す断面において第1のダイと第4のダイとが接触した状態を示す図である。第1のダイ51の上面51bに板状ワークW1が保持された状態で、上型55が下方へ移動されると、図14及び図15に示すように、第1のダイ51に保持された板状ワークW1のフランジ部W4f、W4gが第1のパンチ56と第1のダイ51とにより、板状ワークW1の長手方向に対して直角方向である90度折り曲げ成形され、上型55の第1のパンチ56に設けられた凹部56bの底面部56cと板状ワークW1とが接触する。
【0076】
上型55の第1のパンチ56と板状ワークW1とが接触した状態からさらに、上型55が下方へ移動されると、図16に示すように、上型55の第1のパンチ56と第1のダイ51とにより板状ワークW1を挟持した状態で上型55の第1のパンチ56と第2のダイ52とにより凸状側面部W4の第2の右凸状側面部W4bの端部W4eが板状ワークW1の内方側へ折り曲げ成形され、第1のダイ51が第4のダイ54に接触すると、板状ワークW1の折り曲げ成形を終了する。
【0077】
板状ワークW1の凸状側面部W4の端部W4eの折り曲げ成形及びフランジ部W4f、W4gの折り曲げ成形が終了すると、上型55が上方へ移動され、第1のダイ51及び第1のダイ51に保持された板状ワークW1が上方へ移動されて最初の位置に戻される。そして、図16において二点鎖線で示すように、凸状にプレス成形された板状ワークW1を90度回転させて、板状ワークW1が、第1の右凸状側面部W3aを下側にして第1のダイ51の上面51bの左側部分に保持され、同様にして、第1のダイ51に保持された板状ワークW1のフランジ部W3f、W3gが第2のパンチ57と第1のダイ51とにより、板状ワークW1の長手方向に対して直角方向である90度折り曲げ成形されるとともに、上型55の第2のパンチ57と第1のダイ51とにより板状ワークW1を挟持した状態で上型55の第2のパンチ57と第2のダイ52とにより凸状側面部W3の第2の左凸状側面部W3bの端部W3eが板状ワークW1の内方側へ折り曲げ成形される。
【0078】
このようにして、板状ワークW1の凸状側面部W3、W4の凸状頂面部W2側と反対側の端部W3e、W4eがともに内方側へ折り曲げ成形されるとともに、凸状側面部W3、W4に設けられたフランジ部W3f、W3g、W4f、W4gが板状ワークW1の長手方向に対して折り曲げ成形された後、板状ワークW1は、凸状頂面部W2に設けられた凸部W2aが凸部W2aの突出方向と反対方向である板状ワークW1の凸状に突出する方向にプレス成形され、凸状頂面部W2の両側の凸状側面部W3、W4がそれぞれ内方側へ変位させられて板状ワークW1が閉断面化される。
【0079】
図17は、第2のプレス成形装置によるプレス成形工程を説明するための説明図であり、図17の(a)は、板状ワークをプレス成形して閉断面化させるためのプレス成形装置のプレス成形型に板状ワークが保持された状態を示し、図17の(b)は、板状ワークの凸状頂面部に形成された凸部がプレス成形型の中子型によりプレスされている状態を示し、図17の(c)は、板状ワークの凸状頂面部に形成された凸部がプレス成形型の中子型によりプレス成形され凸状側面部の端部どうしが突き合わせられ閉断面化された状態を示し、図17(b)及び図17(c)では、プレス成形型のパンチを省略して示している。また、図17では、プレス成形工程を説明するために、フロントサイドフレーム20の図3(a)に示す断面に対応する断面について示しているが、後述する図19では、フロントサイドフレームの図3(b)に示す断面に対応する断面について示している。なお、図17及び後述する図18、図20では、凸状側面部W3、W4に設けられたフランジ部W3f、W4fを二点鎖線で示している。
【0080】
図17(a)に示すように、第1のプレス成形装置によって凸状にプレス成形された板状ワークW1をプレス成形して閉断面化させるための第2のプレス成形手段としての第2のプレス成形装置は、板状ワークW1を保持するためのダイ61と、ダイ61の上方に配置され、ダイ61に保持された板状ワークW1の凸部W2aを板状ワークW1の凸状に突出する方向にプレス成形するための中子型65と、中子型65の上方に配置され、閉断面化された凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしを中子型65の凸部W2aをプレスする面部と反対側の面部に押し当てて決め押し成形するためのパンチ67と、を有するプレス成形型(第2のプレス成形型)60を備えている。
【0081】
プレス成形型60のダイ61は、図17(a)に示すように、板状ワークW1の凸状頂面部W2を保持するための上面61aに凹状に窪む凹部62が設けられている。図18は、図17(a)のA部を拡大して示す要部拡大図であり、図18に示すように、ダイ61に設けられる凹部62は、底面部62aと、側壁部62b、62c、具体的には図18において右側に位置する右側壁部62bと左側に位置する左側壁部62cとを備え、長手方向に連続して延びている。
【0082】
プレス成形型60のダイ61に設けられる凹部62の底面部62aは、フロントサイドフレーム20の下面部22の形状に応じて形成されており、板状ワークW1の凸状頂面部W2に設けられる凸部W2aの断面長さ、すなわち断面円弧長L11と略同一の断面長さL21を有するように形成されている。また、凹部62の側壁部62b及び62cはそれぞれ、長手方向に変化する凸状頂面部W2の断面長さの最も短い断面長さと略同一の断面長さを有するように形成され、具体的には、凹部62の右側壁部62bが、左凸状頂面部W2cの断面長さL12の最も短い断面長さと略同一の断面長さL22を有するように形成され、凹部62の左側壁部62cが、右凸状頂面部W2bの断面長さL13の最も短い断面長さと略同一の断面長さL23を有するように形成され、凹部62の側壁部62b及び62cの底面部62aに対する傾斜角度はそれぞれ、フロントサイドフレーム20の形状に応じて長手方向に略一定の所定の角度で形成されている。なお、プレス成形型60のダイ61は、ダイ61に保持された板状ワークW1の凸状側面部W3、W4に設けられ折り曲げ成形されたフランジ部W3f、W3g、W4f、W4gと干渉しないように形成されている。
【0083】
プレス成形型60の中子型65は、凸状頂面部W2に設けられた凸部W2aを板状ワークW1の凸状に突出する方向にプレス成形するようにダイ61の上方に配置されている。この中子型65は、板状ワークW1よりも長手方向に長く形成され、図17(a)に示すように、上面部65aと、下面部65bと、右側面部65cと、左側面部65dと、上面部65aから右側面部65cに向かって右斜め下方に傾斜する第1の傾斜側面部65eと、上面部65aから左側面部65dに向かって左斜め下方に傾斜する第2の傾斜側面部65fと、下面部65bから右側面部65cに向かって右斜め上方に傾斜する第3の傾斜側面部65gと、下面部65bから左側面部65dに向かって左斜め上方に傾斜する第4の傾斜側面部65hと、を備えている。中子型65の下面部65b、第3の傾斜側面部65g及び第4の傾斜側面部65hはそれぞれ、フロントサイドフレーム20の下面部22、第3の傾斜側面部27及び第4の傾斜側面部28の形状に応じて形成され、中子型65の上面部65a、第1の傾斜側面部65e及び第2の傾斜側面部65fはそれぞれ、フロントサイドフレーム20の上面部21、第1の傾斜側面部25及び第2の傾斜側面部26の形状に応じて形成されている。
【0084】
また、プレス成形型60の中子型65は、板状ワークW1が閉断面化される際に、フロントサイドフレーム20の断面幅よりも狭い断面幅を有するように、具体的には、図17(c)に示すように、中子型65の右側面部65cと左側面部65dとの間の断面幅L31が、フロントサイドフレーム20の右側面部23と左側面部24に対応する、プレス成形された板状ワークW1の第1の左凸状側面部W4aと第1の右凸状側面部W3aとの間の断面幅L32よりも狭い断面幅を有するように形成されている。なお、中子型65の下面部65bの短手方向の断面幅は、板状ワークW1の凸部W2aの断面長さL11と略同一に設定されている。
【0085】
このようにして形成された中子型65は、図示しない中子型上下方向移動機構によって上下方向に移動されるようになっているとともに、図示しない中子型前後方向移動機構によって板状ワークW1が閉断面化された後に閉断面状に形成された閉断面部材の長手方向に抜けるようになっている。
【0086】
プレス成形型60のパンチ67は、板状ワークW1の凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしが突き合わせられ閉断面化された後に、突きあわせられた凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしを、中子型65の凸状頂面部W2、より具体的には凸部W2aをプレスする面部(下面部)65bと反対側の面部(上面部)65aに押し当てて決め押し成形するためのパンチであり、図示しないパンチ移動機構によって上下方向に移動されるようになっている。
【0087】
また、前記第2のプレス成形装置には、該第2のプレス成形装置を総合的に制御する第2のプレス成形装置用制御ユニット(不図示)が備えられており、該制御ユニットは、中子型65及びパンチ67の移動機構などの各種作動を制御する。
【0088】
このようにして構成されるプレス成形型60を備えた第2のプレス成形装置では、前記第1のプレス成形装置によってプレス成形され、前記折り曲げ成形装置によって折り曲げ成形された板状ワークW1をプレス成形型60のダイ61に、該ダイ61に設けられた凹部62上に板状ワークW1の凸部W2aが配置されるように保持した状態で、板状ワークW1の凸部W2aを中子型65により板状ワークW1の凸状に突出する方向に凹部62内でプレス成形し、板状ワークW1の凸状頂面部W2の両側の凸状側面部W3、W4をそれぞれ内方側へ変位させて閉断面化することができるようになっている。
【0089】
前記第2のプレス成形装置を用いて板状ワークW1の凸部W2aを凹部62内でプレス成形する際には、図17(a)に示すように、板状ワークW1がプレス成形型60のダイ61に、該ダイ61に設けられた凹部62上に板状ワークW1の凸部W2aがその短手方向における中心軸が略一致するようにして配置され、板状ワークW1の凸状頂面部W2がダイ61の上面61aに保持される。
【0090】
板状ワークW1が、ダイ61に保持されると、中子型65が下方へ移動され、図17(b)に示すように、凸部W2aが中子型65により板状ワークW1の凸状に突出する方向に下方に押圧され、これにより、左凸状頂面部W2c及び凸状側面部W4は、凹部62の右側壁部62bと上面61aとの交点であるダイ61の肩部62eを支点として、凸状にプレス成形された板状ワークW1を閉じる方向に内方側へ変位し、右凸状頂面部W2b及び凸状側面部W3は、凹部62の左側壁部62cと上面61aとの交点であるダイ61の肩部62fを支点として、凸状にプレス成形された板状ワークW1を閉じる方向に内方側へ変位する。
【0091】
さらに、中子型65が下方へ移動され、板状ワークW1の凸部W2aが中子型65によりダイ61の凹部62内でプレス成形されると、図17(c)に示すように、凸部W2aが圧潰されパンチ65とダイ61とによって板状ワークW1にプレス成形面W2dが成形されるとともに、凸状頂面部W2の両側の凸状側面部W3、W4がそれぞれ内方側へさらに変位させられ、凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしが突きあわせられ閉断面化される。
【0092】
図17では、第2のプレス成形装置によるプレス成形工程を説明するために、フロントサイドフレーム20の図3(a)に示す断面に対応する断面について示しているが、フロントサイドフレーム20の図3(b)に示す断面に対応する断面などのその他の断面についても同時にプレス成形され閉断面化される。
【0093】
図19は、フロントサイドフレームの図3(b)に示す断面に対応する断面について第2のプレス成形装置によるプレス成形工程を説明するための説明図であり、図19の(a)は、凸部が中子型によりプレスされている状態を示し、図19の(b)は、凸部が中子型によりプレス成形され凸状側面部の端部どうしが突きあわせられ閉断面化された状態を示している。なお、図19では、凸状側面部W3、W4に設けられたフランジ部W3g、W4gも示している。
【0094】
フロントサイドフレーム20の図3(b)に示す断面に対応する断面についても、板状ワークW1が、ダイ61に設けられた凹部62上に凸部W2aが配置されるようにダイ61に保持された状態で、中子型65が下方へ移動されると、図19(a)に示すように、凸部W2aが中子型65により板状ワークW1の凸状に突出する方向に下方に押圧され、これにより、左凸状頂面部W2c及び凸状側面部W4は、ダイ61の肩部62eを支点として、凸状にプレス成形された板状ワークW1を閉じる方向に内方側へ変位し、右凸状頂面部W2b及び凸状側面部W3は、ダイ61の肩部62fを支点として、凸状にプレス成形された板状ワークW1を閉じる方向に内方側へ変位する。
【0095】
中子型65がさらに下方へ移動され、凸部W2aが中子型65によりダイ61の凹部62内でプレス成形されると、図19(b)に示すように、凸部W2aが圧潰されパンチ65とダイ61とによってプレス成形面W2dが成形されるとともに、凸状頂面部W2の両側の凸状側面部W3、W4がそれぞれ内方側へさらに変位させられ、凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしが突きあわせられ閉断面化される。
【0096】
本実施形態では、凸部W2aによって凸状頂面部W2の分割される部分W2c、W2bの断面長さL12、L13が長手方向において変化するように成形されているが、プレス成形型60のダイ61に設けられる凹部62の側壁部62b、62cの断面長さL22、L23がそれぞれ、凸状頂面部W2の分割される部分W2c、W2bの断面長さL12、L13の最も短い部分と略同一に設定されたダイ61を用いてプレス成形されることにより、フロントサイドフレーム20の第3の傾斜側面部27及び第4の傾斜側面部28に対応する凸状頂面部W2c、W2bを長手方向において略等しいタイミングでプレス成形して立ち起こすことができ、プレス成形を安定して行うことができる。
【0097】
図17(c)及び図19(b)に示すように、板状ワークW1の凸部W2aを中子型65により板状ワークW1の凸状に突出する方向に凹部62内でプレス成形することより、凸部W2aを圧潰してプレス成形面を成形するとともに凸状頂面部W2の両側の凸状側面部W3、W4をそれぞれ内方側へ変位させて突き合わせ閉断面化させた後には、突き合わせられた凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしが、中子型65の凸部W2aをプレスする面部65bと反対側の面部65aに押し当てて決め押し成形される。
【0098】
図20は、決め押し成形工程を説明するための説明図であり、図20の(a)は、決め押し成形前の状態を示し、図20の(b)は、決め押し成形後の状態を示している。なお、図20では、板状ワークW1について、フロントサイドフレーム20の図3(a)に示す断面に対応する断面について示している。板状ワークW1の突きあわせられた凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしを中子型65に押し当てて決め押し成形する際には、図20(a)に示すように、中子型65の上方に配置され、上下方向に移動可能に構成されるパンチ67が用いられる。
【0099】
プレス成形型60のパンチ67が、板状ワークW1の突き合わせられた凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしを押圧するように下方へ移動されると、図20(b)に示すように、板状ワークW1の突き合わせられた凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしが、パンチ67によりプレスされ、中子型65の凸部W2aをプレスする面部65bと反対側の面部65aに押し当てられ決め押し成形され、パンチ67と中子型65とにより、フロントサイドフレーム20の上面部21に対応する面部W6が成形される。図20では、フロントサイドフレーム20の図3(a)に示す断面に対応する断面について示しているが、フロントサイドフレーム20の図3(b)に示す断面に対応する断面などのその他の断面についても同時にプレスされ、決め押し成形される。なお、パンチ67は、板状ワークW1の閉断面化された凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしを、中子型65の凸部W2aをプレスする面部65bと反対側の面部65aに押し当てて決め押し成形する決め押し成形手段を構成する。
【0100】
このように、突き合わせられ閉断面化された板状ワークW1の凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしを、中子型65の凸部W2aをプレスする面部65bと反対側の面部65aに押し当てて決め押し成形することにより、プレス成形面W2dと反対側の面についても、比較的簡単な方法によって高い成形精度を得ることが可能である。
【0101】
板状ワークW1の突き合わせられた凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしがパンチ67と中子型65により決め押し成形された後には閉断面化された凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしを溶接する溶接手段としてのレーザ溶接などの溶接装置によって、凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしが接合され、閉断面部材を製造するためにのみ用いるフランジ部を形成することなく、他の部材と接合するために用いる折り曲げ成形されたフランジ部が一体的に設けられた閉断面部材としてのフロントサイドフレーム20が製造される。
【0102】
前記第1のプレス成形装置、前記第2のプレス成形装置、前記折り曲げ成形装置及び前記溶接装置によって金属製の板状ワークW1から閉断面状に形成された閉断面部材20を製造する金属製閉断面部材の製造装置が構成され、かかる金属製閉断面部材の製造装置によって、金属製の板状ワークW1から閉断面状に形成された閉断面部材20を精度良く製造することができる。
【0103】
本実施形態では、第2のプレス成形装置によるプレス成形工程の前に、凸状頂面部W2の両側の凸状側面部W3、W4に設けられたフランジ部W3f、W3g、W4f、W4gがそれぞれ板状ワークW1の長手方向に対して所定角度折り曲げ成形されているが、凸状側面部W4の端部W4e及びフランジ部W4f、W4gの折り曲げ成形のみを行うようにしてもよく、あるいは凸状側面部W3の端部W3e及びフランジ部W3f、W3gの折り曲げ成形のみを行うようにしてもよい。また、凸状側面部W4の端部W4eが折り曲げ成形される場合にフランジ部W4f又はW4gのみを折り曲げ成形するようにしてもよく、凸状側面部W3の端部W3eが折り曲げ成形される場合にフランジ部W3f又はW3gのみを折り曲げ成形するようにしてもよい。
【0104】
さらに、前記折り曲げ成形装置において、折り曲げ成形型50の上型55と第1のダイ51とにより板状ワークW1の凸状側面部W3、W4に設けられたフランジ部W3f、W3g、W4f、W4gが板状ワークW1の長手方向に対して直角方向に折り曲げ成形されているが、閉断面部材が取り付けられる部材に応じて、フランジ部W3f、W3g、W4f、W4gは上型55の第1のパンチ56と第1のダイ51の形状によって所定角度に設定することが可能である。
【0105】
さらにまた、プレス成形型60において、板状ワークW1の凸部W2aを中子型65により板状ワークW1の凸状に突出する方向に凹部62内でプレス成形することで、凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしを突き合わせて閉断面化しているが、凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしを重ね合わせて閉断面化するようにしてもよく、かかる場合には、前記溶接装置により、好ましくは、重ね合わせられて閉断面化された板状ワークW1の凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしが重ね溶接や隅肉溶接によって溶接される。
【0106】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、板状ワークW1を閉断面状に形成して金属製閉断面部材20を製造する上で、板状ワークW1を凸状にプレス成形するとともに凸状頂面部W2に逆方向に突出する凸部W2aを成形する第1のプレス成形工程と、凸部W2aを板状ワークW1の凸状に突出する方向にプレス成形することにより凸部W2aを圧潰してプレス成形面W2dを成形するとともに凸状側面部W3、W4をそれぞれ内方側へ変位させて閉断面化する第2のプレス成形工程とを備え、第2のプレス成形工程の前に、凸状側面部W3、W4の凸状頂面部W2側と反対側の端部W3e、W4eを板状ワークW1の内方側へ折り曲げ成形するとともに、凸状側面部W3、W4において板状ワークW1の長手方向の端部に一体的に設けられるフランジ部W3f、W3g、W4f、W4gを板状ワークW1の長手方向に対して折り曲げ成形する折り曲げ成形工程をさらに備えている。これにより、成形工程や成形型などの成形装置を複雑化させることなく、比較的簡単な方法によって、閉断面部材を製造するためにのみ用いるフランジ部を形成することなく長手方向の端部に折り曲げ成形されたフランジ部が一体的に設けられた金属製閉断面部材を精度良く製造することができる。長手方向に断面形状が複雑に変化する金属製閉断面部材においても比較的簡単に製造することが可能である。
【0107】
また、板状ワークW1の凸状頂面部W2の両側の凸状側面部W3、W4に設けられたフランジ部W3f、W3g、W4f、W4gがそれぞれ板状ワークW1の長手方向に対して折り曲げ成形されることにより、長手方向の端部において左右両側にフランジ部が設けられた金属製閉断面部材を製造することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0108】
更に、板状ワークW1を第1のダイ51に保持した状態で、上型55と第1のダイ51とにより板状ワークW1の凸状側面部W3、W4に設けられたフランジ部W3f、W3g、W4f、W4gを板状ワークW1の長手方向に対して折り曲げ成形し、板状ワークW1を上型55と第1のダイ51により挟持した状態で、上型55と第1のダイ51とをともに第2のダイ52に対して相対的に移動させることにより凸状側面部W3、W4の凸状頂面部W2側と反対側の端部W3e、W4eを板状ワークW1の内方側へ折り曲げ成形する折り曲げ成形型50を用いて板状ワークW1が折り曲げ成形されることにより、比較的簡単な方法によって、金属製閉断面部材の長手方向の端部に設けられたフランジ部の折り曲げ成形と凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部の折り曲げ成形とをともに行うことができる。
【0109】
また更に、プレス成形された板状ワークW1の閉断面化された凸状側面部W3、W4の端部W3e、W4eどうしを溶接することにより、閉断面部材の接合強度を高めることができ、より強固な閉断面部材を製造することができる。
【0110】
本実施形態では、プレス成形型60のダイ61に凹部62が設けられているが、ダイ61に凹部を設けることなく、ダイ61に設けられた平面部上に板状ワークW1の凸部W2aが配置されるように板状ワークW1をダイ61に保持した状態で、板状ワークW1の凸部W2aをプレス成形型60の中子型65により板状ワークW1の凸状に突出する方向にプレス成形型60のダイ61に設けられた平面部でプレス成形することにより、板状ワークW1の凸部W2aを圧潰してプレス成形面を成形するとともに、板状ワークW1の凸状頂面部W2の両側の凸状側面部W3、W4をそれぞれ内方側へ変位させて閉断面化するようにすることも可能である。
【0111】
また、本実施形態では、プレス成形された板状ワークW1の凸状頂面部W2に設けられる凸部W2aを断面円弧状に成形し、この凸部W2aをプレス成形することにより、板状ワークW1の凸状頂面部W2の両側の凸状側面部W3、W4をそれぞれ板状ワークW1の内方側へ変位させて閉断面化させているが、プレス成形された板状ワークW1の凸状頂面部W2に設けられる凸部を断面台形状に成形するようにしてもよい。
【0112】
以上のように、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、金属製の板状ワークから閉断面部材を製造する金属製閉断面部材の製造に関し、例えばフロントサイドフレームやリアサイドフレーム、あるいはダッシュクロスメンバなどの閉断面状に形成され他の部材と接合される車体部材の製造において有効に適用可能である。
【符号の説明】
【0114】
20 フロントサイドフレーム
40 第1のプレス成形型
41 第1のプレス成形型のブランクホルダ
42 第1のプレス成形型のパンチ
45 第1のプレス成形型のダイ
45c 第1のプレス成形型のダイの成形空間
50 折り曲げ成形型
51 折り曲げ成形型の第1のダイ
52 折り曲げ成形型の第2のダイ
55 折り曲げ成形型のパンチ
60 第2のプレス成形型
61 第2のプレス成形型のダイ
65 第2のプレス成形型の中子型
65a 第2のプレス成形型の中子型の上面部
65b 第2のプレス成形型の中子型の下面部
67 第2のプレス成形型のパンチ
W1 板状ワーク
W2 凸状頂面部
W2a 凸状頂面部に成形される凸部
W2d プレス成形面
W3、W4 凸状側面部
W3e、W4e 凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部
W3f、W3g、W4f、W4g 凸状側面部に設けられるフランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の板状ワークを第1のプレス成形型のブランクホルダとダイとにより挟持した状態で、第1のプレス成形型のパンチを前記ダイの成形空間内に相対的に移動させることにより、前記板状ワークを前記ダイに対する前記パンチの移動方向に突出させて凸状にプレス成形するとともに、前記板状ワークの凸状に成形される凸状頂面部に前記板状ワークの凸状に突出する方向と逆方向に突出する凸部を成形する第1のプレス成形工程と、プレス成形された前記板状ワークを第2のプレス成形型のダイに保持した状態で、前記凸部を第2のプレス成形型の中子型により前記板状ワークの凸状に突出する方向にプレス成形することにより、前記凸部を圧潰してプレス成形面を成形するとともに、前記第1のプレス成形工程において成形された前記板状ワークの凸状頂面部の両側の凸状側面部をそれぞれ内方側へ変位させて閉断面化する第2のプレス成形工程とを備え、金属製の板状ワークから閉断面状に形成された閉断面部材を製造する金属製閉断面部材の製造方法であって、
前記第2のプレス成形工程の前に、前記板状ワークの凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部を前記板状ワークの内方側へ折り曲げ成形するとともに、前記板状ワークの凸状側面部において前記板状ワークの長手方向の端部に一体的に設けられ前記板状ワークの長手方向に略沿って延びるフランジ部を前記板状ワークの長手方向に対して所定角度折り曲げ成形する折り曲げ成形工程をさらに備えている、
ことを特徴とする金属製閉断面部材の製造方法。
【請求項2】
前記折り曲げ成形工程では、前記板状ワークの凸状頂面部の両側の凸状側面部に設けられた前記フランジ部がそれぞれ前記板状ワークの長手方向に対して所定角度折り曲げ成形される、ことを特徴とする請求項1に記載の金属製閉断面部材の製造方法。
【請求項3】
前記折り曲げ成形工程では、上型と、該上型に対向して配置される第1のダイ及び該第1のダイに隣接して設けられる第2のダイとを有する下型とを備え、前記板状ワークを前記第1のダイに保持した状態で、前記上型を前記第1のダイに対して相対的に移動させることにより、前記上型と前記第1のダイとにより前記板状ワークの凸状側面部に設けられた前記フランジ部を前記板状ワークの長手方向に対して所定角度折り曲げ成形し、前記フランジ部が折り曲げ成形された前記板状ワークを前記上型と前記第1のダイにより挟持した状態で、前記上型と前記第1のダイとをともに前記第2のダイに対して相対的に移動させることにより、前記板状ワークの凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部を前記板状ワークの内方側へ折り曲げ成形する折り曲げ成形型を用いて、前記板状ワークが折り曲げ成形される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属製閉断面部材の製造方法。
【請求項4】
前記第2のプレス成形工程の後に、プレス成形された前記板状ワークの閉断面化された前記凸状側面部の端部どうしを、前記中子型の前記凸部をプレスする面部と反対側の面部に押し当てて決め押し成形する決め押し成形工程をさらに備えている、ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一に記載の金属製閉断面部材の製造方法。
【請求項5】
前記第2のプレス成形工程の後に、プレス成形された前記板状ワークの閉断面化された前記凸状側面部の端部どうしを溶接する溶接工程をさらに備えている、ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一に記載の金属製閉断面部材の製造方法。
【請求項6】
金属製の板状ワークを凸状にプレス成形するとともに前記板状ワークの凸状に成形される凸状頂面部に前記板状ワークの凸状に突出する方向と逆方向に突出する凸部を成形するためのダイ及びパンチであって相対的に移動されるダイ及びパンチと、前記板状ワークを前記ダイと挟持するブランクホルダとを有する第1のプレス成形型を備え、前記板状ワークを前記ブランクホルダと前記ダイとにより挟持した状態で、前記パンチを前記ダイに対して相対的に移動させることにより、前記板状ワークを前記ダイに対する前記パンチの移動方向に突出させて凸状にプレス成形するとともに、前記板状ワークの凸状に成形される凸状頂面部に前記板状ワークの凸状に突出する方向と逆方向に突出する凸部を成形する第1のプレス成形手段と、前記第1のプレス成形手段によってプレス成形された前記板状ワークを保持するダイと、前記ダイに保持された前記板状ワークの前記凸部を前記板状ワークの凸状に突出する方向にプレス成形する中子型とを有する第2のプレス成形型を備え、前記板状ワークを前記ダイに保持した状態で、前記凸部を前記中子型により前記板状ワークの凸状に突出する方向にプレス成形することにより、前記凸部を圧潰してプレス成形面を成形するとともに前記板状ワークの凸状頂面部の両側の凸状側面部をそれぞれ内方側へ変位させて閉断面化する第2のプレス成形手段と、を備え、金属製の板状ワークから閉断面状に形成された閉断面部材を製造する金属製閉断面部材の製造装置であって、
前記第2のプレス成形手段によって前記板状ワークが閉断面化される前に、前記板状ワークの凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部を前記板状ワークの内方側へ折り曲げ成形するとともに、前記板状ワークの凸状側面部において前記板状ワークの長手方向の端部に一体的に設けられ前記板状ワークの長手方向に略沿って延びるフランジ部を前記板状ワークの長手方向に対して所定角度折り曲げ成形する折り曲げ成形手段をさらに備えている、
ことを特徴とする金属製閉断面部材の製造装置。
【請求項7】
前記折り曲げ成形手段によって、前記板状ワークの凸状頂面部の両側の凸状側面部に設けられた前記フランジ部がそれぞれ前記板状ワークの長手方向に対して所定角度折り曲げ成形される、ことを特徴とする請求項6に記載の金属製閉断面部材の製造装置。
【請求項8】
前記折り曲げ成形手段は、上型と、該上型に対向して配置される第1のダイ及び該第1のダイに隣接して設けられる第2のダイとを有する下型とを備えた折り曲げ成形型であって、前記板状ワークを前記第1のダイに保持した状態で、前記上型を前記第1のダイに対して相対的に移動させることにより、前記上型と前記第1のダイとにより前記板状ワークの凸状側面部に設けられた前記フランジ部を前記板状ワークの長手方向に対して所定角度折り曲げ成形し、前記フランジ部が折り曲げ成形された前記板状ワークを前記上型と前記第1のダイとにより挟持した状態で、前記上型と前記第1のダイとをともに前記第2のダイに対して相対的に移動させることにより、前記板状ワークの凸状側面部の凸状頂面部側と反対側の端部を前記板状ワークの内方側へ折り曲げ成形する折り曲げ成形型を備えている、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の金属製閉断面部材の製造装置。
【請求項9】
前記第2のプレス成形手段によってプレス成形された前記板状ワークの閉断面化された前記凸状側面部の端部どうしを、前記中子型の前記凸部をプレスする面部と反対側の面部に押し当てて決め押し成形する決め押し成形手段をさらに備えている、ことを特徴とする請求項6〜8の何れか一に記載の金属製閉断面部材の製造装置。
【請求項10】
前記第2のプレス成形手段によってプレス成形された前記板状ワークの閉断面化された前記凸状側面部の端部どうしを溶接する溶接手段をさらに備えている、ことを特徴とする請求項6〜9の何れか一に記載の金属製閉断面部材の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−284668(P2010−284668A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138933(P2009−138933)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】