説明

金属超微粒子を担持した多孔質複合体

【課題】多孔質材料に金属超微粒子を凝集することなく固定された、金属超微粒子複合体と、その製造法及びその用途を提供する。
【解決手段】金属酸化物を含有する担体にナノスケールの金属超微粒子を分散した状態で安定に固定した多孔質複合体、金属超微粒子の粒子径を標準偏差が2nm以下という狭い粒径分布範囲に制御されている活性多孔質複合体、該複合体からなる触媒、及び該触媒を構成成分とする酸化触媒、一酸化炭素除去フィルターなどの部材。
【効果】本発明の多孔質複合体からなる触媒は、従来材と比べて、触媒効率を著しく向上させることが可能であり、例えば、酸化触媒、還元触媒、VOC浄化フィルターなどの部材の構成成分として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温付近あるいは常温以下の低温で、有害物質の酸化分解などに用いられる金属超微粒子担持触媒に関するものであり、更に詳しくは、粒子径がナノスケールに制御された金属超微粒子を金属酸化物を含有する担体に安定に担持させた多孔質複合体、その活性多孔質複合体からなる高い酸化活性を有する触媒、その製造方法及びその用途に関するものである。本発明では、金属超微粒子の粒子径を標準偏差が2nm以下という狭い粒径分布範囲に制御したナノスケールの金属超微粒子を安定に担持した複合体を製造することができるため、本発明は、従来材と比べて、触媒効率を著しく向上させた触媒材を提供することを可能とし、また、クラスター科学の進展に伴って、画期的、特異的な性質を導き出すことを可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
粒径約100nm以下の金超微粒子は、通常の粗大粒子とは異なった特異な物理的、化学的性質を示すことが知られている(非特許文献1)。しかしながら、超微粒子は、表面エネルギーが大きく、非常に凝固しやすいために、取扱いが困難である。特に、金は、Pt、Pd等の他の貴金属に比べて、融点が低く(金:1063℃、白金:1769℃、パラジウム:1550℃)、かつ金属同志の結合が強いために、超微粒子が凝集しやすく、超微粒子としての特徴を充分に引き出すことが困難であった。
【0003】
従来、金超微粒子を金属酸化物担体上に担持、固定化する方法としては、1)共沈法(特許文献1)、2)均一析出沈澱法(特許文献2)、3)滴下中和沈澱法(特許文献3)、4)還元剤添加法(特許文献3)、5)pH制御中和沈澱法(特許文献3)、6)カルボン酸金属塩添加法(特許文献4)、7)析出沈澱法(特許文献5)、8)コロイド混合法(非特許文献2)、9)気相グラフティング法(特許文献6)、及び10)液相グラフティング法(非特許文献3)等が知られている。これらの方法において、出発物質が金化合物では、塩化金酸等の金の水溶性化合物が使用され、金属酸化物原料としては、各種金属の硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物などが使用される。また、上記した共沈法等により、沈澱等を析出させた後、乾燥、焼成する必要がある。(特許文献7)
【0004】
更に、チタンを主成分とする酸化物からなる担体上に、金超微粒子を均一かつ強固に固定化した複合材料の開発がされてきたが、水溶液のpH値と金水溶性塩やその他の添加物の添加方法などの厳密な作製条件が必要である(特許文献8)。触媒複合体として、平均粒子径が25nm以下の金粒子が金属酸化物に担持された金ナノ粒子触媒とアルカリ性多孔質体とを含有する一酸化炭素除去用触媒複合体があるが、金属酸化物に金ナノ粒子を担持する方法に上述した公知の方法を採用していることから、得られる金の析出物が不均一で粗大な塊となりやすい問題点を抱えている(特許文献9)。
【0005】
上述した公知の方法では、金の析出の条件を精密に制御することが不可欠であり、また、金を担持させるために長時間を要するという欠点がある。更に、金の水溶液から金成分を部分的に沈殿析出させるため、金の利用率が低く、製造コストが高くなるという欠点もある。また、得られる金の析出物が不均一で粗大なかたまりとなり易く、金析出物の粒径の制御が困難な問題点を抱えている。
【0006】
そこで、表面保護した金属超微粒子をテトラヒドロフランなど弱極性の有機溶媒に溶かした後、この溶液にウェットゲルを浸漬し、金属超微粒子をゲル内に吸収させ、得られた金属超微粒子・ウェットゲル複合体をトルエン等の無極性の有機溶媒に浸漬することにより、ゲル骨格に固着、乾燥、加熱を行うことで、サイズ制御して作製した金属超微粒子の粒子サイズを変化させることなくウェットゲル中に分散させる方法が開発された(特許文献10、11)。
【0007】
しかし、この作製法では、化合物の種類や濃度により、金属超微粒子がゲル内部への浸透に長時間を要し、内部まで十分浸透しないため、金属超微粒子が全量担持されず、不均一に分散されたものが多々見られた。また、金属超微粒子・ウェットゲル複合体の粒度を揃える工程で、金属超微粒子の損失が生じる問題を抱えている。更に、この金属超微粒子・ウェットゲル複合体の触媒機能に関しての報告はされていなかった。
【0008】
ホルムアルデヒドの除去法としては、吸着法と酸化法が知られている。吸着法はホルムアルデヒドを活性炭などの高比表面積を有する吸着剤に吸着させて除去する方法であるが、吸着剤の交換や再生を必要とする欠点がある。これに対し、酸化分解法はホルムアルデヒドを二酸化炭素と水に分解し、無害化する方法であり、ホルムアルデヒドを完全に除去できるという利点がある。しかし、従来のホルムアルデヒドを酸化分解して除去できる酸化触媒は、金属酸化物上に貴金属粒子を公知の方法で固定化したものであり、沈殿物の分離と攪拌の操作を4回繰り返す手間がかかる。更に、触媒の粒度を揃える工程で損失が生じるという問題点を抱えている。(特許文献12)。
【0009】
【特許文献1】特公平3−12934号公報
【特許文献2】特開昭62−155937号公報
【特許文献3】特開昭63−252908号公報
【特許文献4】特開平2−252610号公報
【特許文献5】特開平3−97623号公報
【特許文献6】特開平9−122478公報
【特許文献7】特開平5−154383号公報
【特許文献8】特開平6−16422号公報
【特許文献9】特開2004−188243号公報
【特許文献10】特開2003−176108号公報
【特許文献11】特開2004−189563号公報
【特許文献12】特開2004−74069号公報
【非特許文献1】「超微粒子」アグネ出版センター刊、131頁(1986)
【非特許文献2】Tsubota S. et al., Catal. Lett.,56 (1998) 131
【非特許文献3】Okumura M. et al., Chem.Lett., (2000) 396
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような状況下にあって、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属酸化物を含有する担体に、金属超微粒子を分散させた状態で固定されてなる多孔質複合体の簡便な製造方法と、常温で高い酸化活性を有する触媒を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、本発明を成すに至った。本発明は、担体が溶媒に溶解した表面保護物質で保護された金属超微粒子を自発的に凝集することなく吸着し、金属超微粒子を損失することなく固定したことを特徴とする多孔質複合体、その製造方法、常温付近あるいは常温以下の低温で高い酸化活性を有する金属超微粒子担持触媒、及びその用途を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)金属酸化物を含有する担体に、ナノスケールの金属超微粒子を分散させた状態で固定してなることを特徴とする多孔質複合体。
(2)担体が、シリカ、アルミナ、チタニア、又はジルコニアの単体あるいは複合体である前記(1)に記載の多孔質複合体。
(3)担体が、比表面積が200m/g以上あるエアロゲル又はキセロゲルである前記(1)に記載の多孔質複合体。
(4)担体が、表面に金属酸化物が被覆された構造を有する前記(1)に記載の多孔質複合体。
(5)金属超微粒子が、貴金属、及び遷移金属から選択される1種又は複数種である前記(1)に記載の多孔質複合体。
(6)ナノスケールの金属超微粒子が、粒子径20nm以下の超微粒子である前記(1)に記載の多孔質複合体。
(7)ナノスケールの金属超微粒子が、粒子径の標準偏差が2nm以下に制御された超微粒子である前記(1)に記載の多孔質複合体。
(8)前記(1)から(7)のいずれかに記載の多孔質複合体を構成する金属超微粒子の表面保護物質を除去した活性多孔質複合体からなることを特徴とする酸化活性を有する触媒。
(9)金属超微粒子を溶液中で熱処理して粒子径を制御し、これを溶媒中に分散させ、担体と接触させることにより、担体に金属超微粒子を固定することを特徴とする多孔質複合体の製造方法。
(10)前記(9)に記載の多孔質複合体を熱処理して金属超微粒子の表面保護物質を除去することを特徴とする活性多孔質複合体からなる触媒の製造方法。
(11)金属超微粒子として、金属イオンを表面保護物質の存在下で還元し、表面保護物質で保護した金属超微粒子を用いる前記(9)に記載の多孔質複合体の製造方法。
(12)表面保護物質で保護した金属超微粒子を溶液中で熱処理することにより、金属超微粒子の粒子径を制御する前記(9)に記載の多孔質複合体の製造方法。
(13)有機溶媒中に分散させた金属超微粒子を担体と接触させ、吸着させることで、担体に金属超微粒子を凝集することなく固定する前記(9)に記載の多孔質複合体の製造方法。
(14)前記(8)に記載の触媒の粉末を含むことを特徴とする酸化作用を有する部材。
(15)前記(8)に記載の触媒の成形体を含むことを特徴とする酸化作用を有する部材。
(16)部材が、VOC浄化手段である前記(14)又は(15)に記載の部材。
(17)部材が、一酸化炭素除去フィルターである前記(14)又は(15)に記載の部材。
(18)部材が、空気洗浄機又は空気洗浄フィルターである前記(14)又は(15)に記載の部材。
(19)部材が、医療又は食品用の消毒、又は殺菌材料である前記(14)又は(15)に記載の部材。
【0012】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属酸化物を含有する担体に、金属超微粒子を分散させた状態で固定して多孔質複合体としたこと、また、必要により、金属超微粒子の表面保護物質を除去して活性多孔質複合体としたことを特徴とするものである。本発明は、チオールに代表される表面保護物質を表面に吸着させることにより安定化させた金属超微粒子を含む溶媒溶液中に、多孔質材料、好ましくはエアロゲルあるいはキセロゲルを上記溶媒に置換したものに浸すことを一つの構成要素としており、これにより、安定化された金属超微粒子が凝集等の構造変化を起こすことなく、自発的にエアロゲル及びキセロゲルの内部表面に吸着される。その後、溶媒を除去し、乾燥することで多孔質複合体が得られる。また、導入する金属超微粒子の濃度は、浸す溶液中の金属超微粒子の濃度を変化させることにより制御することができる。また、本発明は、金属超微粒子が凝集することなく溶媒溶液として最初に導入されたものと同じ大きさのまま、多孔質材料中に均一に担持された多孔質複合体が得られる。また、必要に応じ、予め粒度制御を行った担体を用いることで、粒度制御された複合体を作製することができる。
【0013】
本発明において、上記金属超微粒子としては、好ましくは、例えば、金、銀、パラジウムなどの貴金属、鉄、コバルトなどの遷移金属が使用される。また、上記チオールに代表される表面保護物質としては、例えば、ドデカンチオール、ベンゼンチオール等のチオール類、トリフェニルホスフィン等のリン化合物などの金属超微粒子を溶媒溶液中で安定化させる適宜の試薬が用いられる。これらは、溶媒溶液中で金属が凝集せずに安定に存在できる組み合わせであればよく、金属超微粒子及びそれを安定化させる試薬ともに上述のものに限定されるものではない。本発明において、上記チオールに代表される表面保護物質とは、このように、金属超微粒子を溶媒溶液中で安定化させる適宜の試薬を意味するものとして定義される。また、上述の作製方法による金属超微粒子の粒径は、1〜20nm程度のものが一般的ではあるが、特に、この粒径域に限定するものではない。金超微粒子の大きさは特に限定されるものではないが、粒子径が10nm以下である、いわゆる超微粒子がより好適である。
【0014】
本発明で用いられる多孔質材料としては、好ましくは比表面積が200m/g以上あるエアロゲルあるいはキセロゲルが例示される。これらには、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ等の金属酸化物の単体あるいは複合体を用いることができるが、担持される金属超微粒子の触媒性能を十分に引き出すために、ある特定の化学種の担体表面上に金属超微粒子を担持することが必要である。その特定の化学種単体などの多孔質体を用いて、本発明の方法で、金属超微粒子を担持した場合、多孔質体の構造変化などの問題が起こるときには、シリカなどの骨格の表面に必要とする金属酸化物を被覆したエアロゲル、キセロゲルなどを用いることができる。
【0015】
具体的には、例えば、金超微粒子を常温酸化触媒として用いる場合、担体表面としては、チタニアなどが望ましいが、チタニア担体のエアロゲル等を用いると、後に述べる、保護分子除去のための熱処理時にチタニアの相変化が起こり、多孔質体の構造が大きく変化するとともに、それに伴い金の凝集が起こってしまう。シリカ表面にチタニアを被覆したエアロゲル等を用いることにより、熱処理での相変化が抑えられ、金の凝集が起こらずに、高い性能を示す材料が得られる。これらのエアロゲルやキセロゲルは、ウェットゲルの作製と、その超臨界乾燥あるいは自然乾燥により作製される。
【0016】
ウェットゲルの作製は、通常、例えば、シリカウエットゲルであれば、ケイ酸メチルやケイ酸エチル等の金属アルコキシドの加水分解とゲル化により作製されるが、以下の溶媒置換などに耐える程度のウェットゲルが得られるならば、それらの物質及び作製法ともにこれらに限定されるものではない。また、エアロゲル及びキセロゲルを作製する場合、例えば、金属アルコキシドをエタノールなどのアルコールで希釈して、かつ、加水分解を行わせることにより、各種の酸化物濃度のウェットゲルを得ることができ、当該ウェットゲル及びその乾燥法により各種濃度の多孔質材料を得ることができる。
【0017】
ウェットゲルを、例えば、チタンテトライソプロポキシドのトルエン溶液等に浸漬して、1日程度静置し、未反応のアルコキシドを液相を純トルエンに置換することで除去してから、乾燥することで、チタニア被覆シリカウエットゲルが得られる。ウェットゲルは、自然乾燥によりキセロゲル、超臨界乾燥によりエアロゲルとされる。自然乾燥は、通常は、室温、大気中で数日放置という方法で行われるが、溶媒の種類、乾燥時の収縮防止の観点から、若干の加熱、あるいは減圧下の乾燥等、各種の条件設定を行うことが可能であり、乾燥して多孔質体が得られるならば、上述の方法に限られるものではない。
【0018】
また、超臨界乾燥を用いる場合は、乾燥に必要な温度が低くてよいように、好適には、専ら二酸化炭素媒体の超臨界乾燥が用いられる。ウェットゲルをオートクレーブ中に入れて、ウェットゲルの液相溶媒でオートクレーブを満たし、加圧下で液相を液化二酸化炭素に置換した後、オートクレーブ内を二酸化炭素の臨界条件以上、例えば、50℃、10MPaとして二酸化炭素を超臨界流体とした後、温度を維持しつつ二酸化炭素を除去して多孔質材料を得る。この方法により、極めて低密度な多孔質体が得られる。なお、超臨界媒体は、二酸化炭素に限られるものではない。このようにして作製した、エアロゲル、キセロゲルは、そのまま金属超微粒子吸着操作が進んでもよく、また、表面残留有機基などの除去のため1000℃以下で1〜5時間熱処理を行ってもよい。最も好ましくは、表面残留有機基の脱離する温度以上で、2〜4時間熱処理を行う。
【0019】
本発明で用いられる多孔質複合体は、有機溶媒を媒体として金属超微粒子が凝集することなく担体へ固定された状態を特徴とするものである。具体的には、例えば、金属超微粒子が金の場合、担体には粒径制御されたチタニア被覆シリカエアロゲル又はチタニア被覆シリカキセロゲルを用い、溶媒にトルエン又はテトラヒドロフランを用いて、金を溶解し、そこへ担体を投入し、溶媒中で金が全て担体へ固定された状態とすることで多孔質複合体となる。
【0020】
更に、上記多孔質複合体の製造方法において、使用する有機溶媒は、金属超微粒子を溶解できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、及び炭化水素類が挙げられる。アルコール類としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、オクチルアルコール、エチレングリコール等が挙げられる。ケトン類としては、具体的には、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル類としては、具体的には、例えば、テトラヒドロフラン、ジイソブチルエーテル等が挙げられる。エステル類としては、具体的には、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。炭化水素類としては、具体的には、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0021】
上述した多孔質複合体を粉砕及び分級により粒度をそろえ、金属超微粒子を担持する条件は、安定化された金属超微粒子を含むトルエンに代表される有機溶媒溶液中に粒度をそろえたエアロゲル及びキセロゲルを浸し、室温にて0.5〜24時間攪拌する。この程度で溶液中の金属超微粒子は、エアロゲル及びキセロゲルの内部表面に吸着される。通常、金属超微粒子を含む溶液は着色しており、エアロゲル及びキセロゲルは無色で半透明かほぼ透明であるので、エアロゲル及びキセロゲル側が着色していき、溶液側が無色透明等溶媒本来の色になっていくことから反応の進行がわかる。溶液中の金属超微粒子の濃度、及び溶液量とエアロゲル及びキセロゲル量の比率を変えることにより、最終的に得られる多孔質体中の金属超微粒子の濃度を変化させることができる。
【0022】
従来の方法では、金属微粒子の担持量を3wt%担持するのに3日間以上必要だが、本発明の製造方法を用いると、30分以内に金属超微粒子を全量担持することができる。更に、金属微粒子の濃度を5倍(15wt%)にすると、3日間で金属超微粒子を全量担持することができる。本発明では、金属超微粒子を担持した多孔質複合体を熱処理することにより表面保護物質を除去するが、保護物質の脱離する温度は、示差熱分析や熱重量分析等により見積もることができる。多孔質材料中の金属超微粒子からの保護物質の脱離は、例えば、電気炉中で、その脱離温度より10℃程度高い温度で1時間程度、熱処理することにより達成される。なお、加熱装置、温度、加熱時間は、保護物質の脱離に十分であればよく、上記のものに限るものではない。
【0023】
本発明では、上記表面保護物質を除去して、活性多孔質複合体とすることにより、高い酸化活性を有する触媒を作製することができる。本発明の上記活性多孔質複合体からなる触媒では、例えば、金属超微粒子の粒子径を標準偏差が2nm以下という狭い粒径分布範囲に制御した金属超微粒子を安定に担持させることが可能であり、金属超微粒子の粒子径を制御し、担持量を増加させることで触媒効果を著しく向上させることが可能であり、それにより、本発明は、従来材と比べて、高い酸化活性等を有する高機能の触媒を提供することが実現できる。本発明の触媒は、例えば、常温付近あるいは常温以下の低温で、有害物質の酸化分解に好適に使用することができるものであり、例えば、空気清浄機又は空気浄化フィルター、VOC浄化フィルター、一酸化炭素除去フィルター、医療又は食品用の消毒、又は殺菌材料等の部材を構成する活性触媒として有用である。
【発明の効果】
【0024】
以上詳述したように、本発明は、多孔質材料に金属超微粒子を担持した多孔質複合体及びその作製方法に係るものであり、本発明によれば、1)予め作製した直径1〜20nmの金属超微粒子の粒子サイズそのままに、金属超微粒子を担持した多孔質複合体を、その担持量を制御して作製することができる、2)また、多孔質材料に分散して担持されている金属超微粒子を、凝集することなく表面保護物質を除去することができる、3)触媒等への応用において、金属超微粒子を担持した多孔質複合体の金属超微粒子の担持量の増加及び金属超微粒子の粒子径を制御することで、触媒効率を向上させることができる、4)また、数nmサイズの金属超微粒子では量子サイズ効果も期待され、非線形光学材料など量子サイズ効果を用いた材料等への応用が期待される、という格別の効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0026】
(1)金超微粒子の作製
塩化金酸4水和物0.500g(1.214mmol)に蒸留水10mlを加えて塩化金酸水溶液とした。これと、トルエン80mlに臭化テトラオクチルアンモニウム0.724g(1.457mmol)を加えたトルエン溶液を混合し、5〜10分撹拌することにより、塩化金酸イオンをトルエン相に抽出した。トルエン相を分離・抽出し、これにドデカンチオール0.871ml(3.642mmol)を加え、30分撹拌した。この溶液にホウ酸水素ナトリウム0.510g(13.49mmol)に蒸留水5mlを加えたホウ酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、1時間撹拌することにより金イオンを還元した。トルエン相を分離・抽出した後、溶液を約10mlまで濃縮し、エタノール100mlと混合した。この混合液を−30℃で保存することにより、金超微粒子を析出させた。生成した金超微粒子は、トルエン−エタノール混合液から再結晶させることにより2回精製した。生成した粒子の金コアの直径は平均2.6nmであった。粒径分布の半値巾は約2nmであった。
【0027】
(2)シリカウエットゲルの作製
テトラメチルシリケイト121.6gにメタノール256gを混合し、撹拌した。その後、撹拌しながら溶液中にアンモニア水(0.005N)86.4gを加えた。この時、テトラメチルシリケイトとメタノール、水の比はモル比で1:10:6であった。1分ほど撹拌した後、混合液を円柱形の型(直径80mm、深さ10mm)に流し込み、蓋をした。これを約1時間放置し、反応液がゼリー状に固まっていることを確認してから、乾燥するのを防ぐため、ポリ塩化ビニリデンフィルムで密封した。その後、1日放置し、ゲル化を進行させた。その後、型から取り出し、エタノールに浸して1日以上放置した。ゲル中に残存する水やアンモニアを完全に除去するため、その後、エタノールの取替えを2回行った。
【0028】
(3)チタニア被覆シリカウエットゲルの作製
作製したシリカウエットゲルにチタニア被覆を行うため、シリカウエットゲルをトルエンに浸して1日以上放置した。ゲル中に残存するエタノールを完全に除去するため、その後、トルエンの取替えを3回行った。トルエンに対してチタンテトライソプロポキシド(TTIP)を10wt%加えた溶液に、トルエン置換を行ったシリカウエットゲルを浸して24時間放置した。余分なTTIPを除去するため、その後、トルエンの取替えを3〜4回行った。
【0029】
(4)チタニア被覆シリカエアロゲルの作製
上記のようにして得られたチタニア被覆シリカウエットゲル担持体を、トルエンを満たしたオートクレーブ中に入れ、トルエンを満たした。ゲルの液相部を液化炭酸ガス(臨界温度31.1℃、臨界圧力72.9気圧)に置換するため、加圧ポンプで加圧しながら、液化炭酸ガスをオートクレーブ内に注入した。90気圧になったとき、気圧を保つようにバルブを調節し、20℃で2時間保持した。完全に置換するために、置換操作は3回行った。3回目の置換が終わった後にバルブを閉め、オートクレーブの中の気圧を保持した。オートクレーブの温度を上昇させ、圧力を100気圧に上昇させた。その後、バルブを調節し、圧力を保持した。試料の温度が40℃を超えたところで、気圧を1気圧/分の速度で減少するように、オートクレーブ内の炭酸ガスを抜き去った。上記手順により作製したチタニア被覆シリカエアロゲル担持体の写真を図1に示す。また、粉砕及び分級により粒度を揃えたチタニア被覆シリカエアロゲル担持体の写真を図2に示す。
【0030】
(5)金超微粒子のチタニア被覆シリカエアロゲルへの吸着
作製したチタニア被覆シリカエアロゲルを熱処理し、ゲル表面のチオール分子の脱離を行った。その後、作製した金超微粒子にトルエンを加えたトルエン溶液(濃度:Au10mg/10ml)に粒度を揃えたチタニア被覆シリカエアロゲルを100mg浸した。30分間攪拌すると、溶液中の金超微粒子が完全にチタニア被覆シリカエアロゲルに吸着された。得られた多孔質複合体の写真を図3に示す。
【0031】
(6)多孔質触媒の作製
作製したチタニア被覆シリカエアロゲル担持体を熱分析したところ、約290℃においてチオール分子の脱離に対応する重量減少が観測された。このデータを基に、空気雰囲気中(流量:20ml/min)、400℃で4時間、多孔質複合体を熱処理した。熱処理後のゲルは目視において、熱処理前のものと色の変化はなく、熱処理による粒子径の変化はほとんどないものと考えられる。得られた多孔質触媒の写真を図4、TEM観察画像を図5に示す。
【実施例2】
【0032】
(1)チタニア被覆シリカキセロゲルの作製
本実施例では、実施例1の方法により作製したチタニア被覆シリカウエットゲル担持体を、自然乾燥することにより、キセロゲル担持体を得た。実施例1の方法により作製したチタニア被覆シリカウエットゲル担持体を、網ごとガラスシャーレに入れ、室温にて1日以上放置した。その後、60℃乾燥機にて1日以上放置した。以上の手順により作製したチタニア被覆シリカキセロゲル担持体の写真を図6に示す。また、粉砕及び分級により粒度を揃えたチタニア被覆シリカキセロゲル担持体の写真を図7に示す。
【0033】
(2)金超微粒子のチタニア被覆シリカキセロゲルへの吸着
作製したチタニア被覆シリカキセロゲルを熱処理し、ゲル表面のチオール分子の脱離を行った。その後、実施例1の方法より作製した金超微粒子にトルエンを加えたトルエン溶液(濃度:Au10mg/10ml)に粒度を揃えたチタニア被覆シリカキセロゲルを100mg浸した。30分間攪拌すると、溶液中の金超微粒子が完全にチタニア被覆シリカエアロゲルに吸着された。得られた多孔質複合体の写真を図8に示す。
【0034】
(3)多孔質触媒の作製
作製したチタニア被覆キセロゲル担持体を熱分析したところ、約290℃においてチオール分子の脱離に対応する重量減少が観測された。このデータを基に、空気雰囲気中(流量:20ml/min)、400℃で4時間、多孔質複合体を熱処理した。熱処理後のゲルは目視において、熱処理のものと色の変化はなく、熱処理による粒子径の変化はほとんどないものと考えられる。得られた多孔質触媒の写真を図9、TEM観察画像を図10に示す。
【実施例3】
【0035】
実施例1の多孔質触媒作製法と同様に、金超微粒子10mgにトルエン10mlを加えた濃度のトルエン溶液に、熱処理したチタニア被覆エアロゲル担持体200mgを投入し、30分間攪拌後、溶媒の除去及び乾燥を行い、多孔質複合体を作製した。これを400℃で4時間熱処理し、多孔質触媒を作製した。上記多孔質触媒100mgに、一酸化炭素を1容量%含む空気混合ガスを10ml/minで流通させて、一酸化炭素に対する酸化活性を調べた。その結果、−60℃で31.5%、−55℃で42%、−50℃で66%、−40℃で100%、−40℃以上で100%の酸化反応率を示し、本発明の多孔質触媒は、低温から常温で高い一酸化炭素酸化活性を示すことが明らかとなった。この結果をグラフに示したものを図11に示す。
【実施例4】
【0036】
実施例2の多孔質触媒作製法と同様に、金超微粒子10mgにトルエン10mlを加えた濃度のトルエン溶液に、熱処理したチタニア被覆キセロゲル担持体200mgを投入し、30分間攪拌後、溶媒の除去及び乾燥を行い、多孔質複合体を作製した。これを400℃で4時間熱処理し、多孔質触媒を作製した。上記多孔質触媒100mgに、一酸化炭素を1容量%含む空気混合ガスを10ml/minで流通させて、一酸化炭素に対する酸化活性を調べた。その結果、−55℃で35%、−50℃で50%、−45℃で75%、−40℃で100%、−40℃以上100%の酸化反応率を示し、本発明の多孔質触媒は、低温から常温で高い一酸化炭素酸化活性を示すことが明らかとなった。この結果をグラフに示したものを図12に示す。
【実施例5】
【0037】
実施例1の多孔質触媒作製法と同様で、金超微粒子の粒子径を1〜5nmに制御し、それぞれトルエンに溶解した。そこへ、熱処理したチタニア被覆エアロゲル担持体を投入し、30分間攪拌後、溶媒の除去及び乾燥を行い、多孔質複合体を作製した。これを400℃で4時間熱処理し、多孔質触媒を作製した。
【0038】
上記多孔質触媒100mgに、一酸化炭素を1容量%含む空気混合ガスを10ml/minで流通させて、一酸化炭素に対する酸化活性を調べた。その結果、金超微粒子の平均粒径によって一酸化炭素に対する酸化活性に違いを示すことが明らかとなった。金超微粒子の平均粒径とTOF(=単位時間に酸化する一酸化炭素分子の数/金超微粒子表面の金原子の数)の関係をグラフに示したものを図13に示す。
【実施例6】
【0039】
実施例3で作製した多孔質触媒100mgを3Lのテドラーバックに設置し、ホルムアルデヒド20ppmを含む空気ガスを充填し、30℃恒温槽内に設置し、ホルムアルデヒドの濃度変化及びホルムアルデヒド分解生成物の測定を行った。その結果、分解生成物であるギ酸が検出されなかったことから、部分酸化反応ではなく、分解反応が生じていると考えられる。この結果を表1(多孔質触媒、チタニア被覆シリカエアロゲル・金超微粒子5wt%多孔質複合体、のホルムアルデヒド分解反応)に示す。
【0040】
【表1】

【実施例7】
【0041】
実施例4で作製した多孔質触媒100mgを3Lのテドラーバックに設置し、ホルムアルデヒド20ppmを含む空気ガスを充填し、30℃恒温槽内に設置し、ホルムアルデヒドの濃度変化及びホルムアルデヒド分解生成物の測定を行った。その結果、分解生成物であるギ酸が検出されなかったことから、部分酸化反応ではなく、分解反応が生じていると考えられる。この結果を表2(多孔質触媒、チタニア被覆シリカキセロゲル・金超微粒子5wt%多孔質複合体、のホルムアルデヒド分解反応)に示す。
【0042】
【表2】

【実施例8】
【0043】
実施例3で作製した多孔質触媒100mgを3Lのテドラーバックに設置し、アセトアルデヒド20ppmを含む空気ガスを充填し、30℃恒温槽内に設置し、アセトアルデヒドの濃度変化及びアセトアルデヒド分解生成物の測定を行った。その結果、分解生成物である酢酸が検出されなかったことから、部分酸化反応ではなく、分解反応が生じていると考えられる。この結果を表3(多孔質触媒、チタニア被覆シリカエアロゲル・金超微粒子5wt%多孔質複合体、のアセトアルデヒド分解反応)に示す。
【0044】
【表3】

【実施例9】
【0045】
実施例4で作製した多孔質触媒100mgを3Lのテドラーバックに設置し、アセトアルデヒド20ppmを含む空気ガスを充填し、30℃恒温槽内に設置し、アセトアルデヒドの濃度変化及びアセトアルデヒド分解生成物の測定を行った。その結果、分解生成物である酢酸が検出されなかったことから、部分酸化反応ではなく、分解反応が生じていると考えられる。この結果を表4(多孔質触媒、チタニア被覆シリカキセロゲル・金超微粒子5wt%多孔質複合体、のアセトアルデヒド分解反応)に示す。
【0046】
【表4】

【実施例10】
【0047】
実施例3で作製した多孔質触媒100mgを3Lのテドラーバックに設置し、トルエン20ppmを含む空気ガスを充填し、30℃恒温槽内に設置し、トルエンの濃度変化を測定した。その結果を表5(多孔質触媒、チタニア被覆シリカエアロゲル・金超微粒子5wt%多孔質複合体、のトルエン除去反応)に示す。テドラーバック内のガスを全て脱気し、空気のみを充填し、40℃恒温槽内に設置し、トルエンの脱離を確認したが、全く検出されなかったことから、分解していると考えられる。
【0048】
【表5】

【実施例11】
【0049】
実施例4で作製した多孔質触媒100mgを3Lのテドラーバックに設置し、トルエン20ppmを含む空気ガスを充填し、30℃恒温槽内に設置し、トルエンの濃度変化を測定した。その結果を表6(多孔質触媒、チタニア被覆シリカキセロゲル・金超微粒子5wt%多孔質複合体、のトルエン除去反応)に示す。テドラーバック内のガスを全て脱気し、空気のみを充填し、40℃恒温槽内に設置し、トルエンの脱離を確認したが、全く検出されなかったことから、分解していると考えられる。
【0050】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0051】
以上詳述したように、本発明は、金属超微粒子を担持した多孔質複合体、その活性多孔質複合体からなる触媒、それらの製造方法及びその用途に係るものであり、本発明により、例えば、金属超微粒子の粒子径を標準偏差が2nm以下という狭い粒径分布範囲に制御した金属超微粒子を安定に担持した複合体を製造することが可能であり、それにより、従来材と比べて、触媒効率を著しく向上させた高い酸化活性等を有する触媒材を提供することができる。本発明は、例えば、酸化触媒、還元触媒、一酸化炭素の除去、医療や食品分野における消毒・殺菌、電子工業におけるフォトニクス材料、などの種々の応用が期待される。本発明の触媒は、具体的には、例えば、室内や自動車社内における空調装置(空気清浄機、エアコン、分煙機など)の空気浄化フィルター、火災防毒マスクのフィルター、化学工場などで用いられる原料ガスからの一酸化炭素除去フィルター、自動車、バイクなどの排ガスからの一酸化炭素除去フィルター、燃料電池の燃料改質による水素製造プロセスにおける一酸化炭素除去フィルターなどの触媒材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】チタニア被覆シリカエアロゲル担持体上面及び側面からの写真を示す。
【図2】粒度を揃えたチタニア被覆シリカエアロゲル担持体の写真を示す。
【図3】粒度を揃えたチタニア被覆シリカエアロゲル担持体に金超微粒子を担持した多孔質複合体を示す。
【図4】チタニア被覆シリカエアロゲル担持体に金超微粒子を担持した多孔質触媒を示す。
【図5】チタニア被覆シリカエアロゲル担持体に金超微粒子を担持した多孔質触媒のTEM観察画像を示す。
【図6】チタニア被覆シリカキセロゲル担持体上面及び側面からの写真を示す。
【図7】粒度を揃えたチタニア被覆シリカキセロゲル担持体の写真を示す。
【図8】粒度を揃えたチタニア被覆シリカキセロゲル担持体に金超微粒子を担持した多孔質複合体を示す。
【図9】チタニア被覆シリカキセロゲル担持体に金超微粒子を担持した多孔質触媒を示す。
【図10】チタニア被覆シリカキセロゲル担持体に金超微粒子を担持した多孔質触媒のTEM観察画像を示す。
【図11】チタニア被覆シリカエアロゲル担持体に金超微粒子(5wt%)を担持した多孔質触媒の一酸化炭素酸化触媒反応試験結果のグラフを示す。
【図12】チタニア被覆シリカキセロゲル担持体に金超微粒子(5wt%)を担持した多孔質触媒の一酸化炭素酸化触媒反応試験結果のグラフを示す。
【図13】チタニア被覆シリカエアロゲル担持体に、粒径制御を行った金超微粒子を担持した多孔質触媒の金属超微粒子の平均粒径に対する一酸化炭素酸化触媒反応機能評価のグラフを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物を含有する担体に、ナノスケールの金属超微粒子を分散させた状態で固定してなることを特徴とする多孔質複合体。
【請求項2】
担体が、シリカ、アルミナ、チタニア、又はジルコニアの単体あるいは複合体である請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項3】
担体が、比表面積が200m/g以上あるエアロゲル又はキセロゲルである請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項4】
担体が、表面に金属酸化物が被覆された構造を有する請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項5】
金属超微粒子が、貴金属、及び遷移金属から選択される1種又は複数種である請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項6】
ナノスケールの金属超微粒子が、粒子径20nm以下の超微粒子である請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項7】
ナノスケールの金属超微粒子が、粒子径の標準偏差が2nm以下に制御された超微粒子である請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の多孔質複合体を構成する金属超微粒子の表面保護物質を除去した活性多孔質複合体からなることを特徴とする酸化活性を有する触媒。
【請求項9】
金属超微粒子を溶液中で熱処理して粒子径を制御し、これを溶媒中に分散させ、担体と接触させることにより、担体に金属超微粒子を固定することを特徴とする多孔質複合体の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の多孔質複合体を熱処理して金属超微粒子の表面保護物質を除去することを特徴とする活性多孔質複合体からなる触媒の製造方法。
【請求項11】
金属超微粒子として、金属イオンを表面保護物質の存在下で還元し、表面保護物質で保護した金属超微粒子を用いる請求項9に記載の多孔質複合体の製造方法。
【請求項12】
表面保護物質で保護した金属超微粒子を溶液中で熱処理することにより、金属超微粒子の粒子径を制御する請求項9に記載の多孔質複合体の製造方法。
【請求項13】
有機溶媒中に分散させた金属超微粒子を担体と接触させ、吸着させることで、担体に金属超微粒子を凝集することなく固定する請求項9に記載の多孔質複合体の製造方法。
【請求項14】
請求項8に記載の触媒の粉末を含むことを特徴とする酸化作用を有する部材。
【請求項15】
請求項8に記載の触媒の成形体を含むことを特徴とする酸化作用を有する部材。
【請求項16】
部材が、VOC浄化手段である請求項14又は15に記載の部材。
【請求項17】
部材が、一酸化炭素除去フィルターである請求項14又は15に記載の部材。
【請求項18】
部材が、空気洗浄機又は空気洗浄フィルターである請求項14又は15に記載の部材。
【請求項19】
部材が、医療又は食品用の消毒、又は殺菌材料である請求項14又は15に記載の部材。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−247524(P2006−247524A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67615(P2005−67615)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】