金属部材検出装置
【課題】小型化及びコスト低下を図るとともに、不正行為の検出も可能にした金属部材検出装置を提供する。
【解決手段】金属部材が通過する通路3の側方に、磁界発生手段5と、金属部材が通路3を通過する際に生じる磁界発生手段5からの磁界の変化を検出する磁界検出手段6とを備え、磁界検出手段6は、互いに異なる複数軸方向の磁界を検出可能な磁気検出素子8を有しており、磁気検出素子8の検出結果を組み合わせるなどにより、金属部材の通過及びその方向などを検出する。
【解決手段】金属部材が通過する通路3の側方に、磁界発生手段5と、金属部材が通路3を通過する際に生じる磁界発生手段5からの磁界の変化を検出する磁界検出手段6とを備え、磁界検出手段6は、互いに異なる複数軸方向の磁界を検出可能な磁気検出素子8を有しており、磁気検出素子8の検出結果を組み合わせるなどにより、金属部材の通過及びその方向などを検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ玉等の金属部材の通過を検出する金属部材検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機械の入賞口や玉貸し器の払い出し口等においてパチンコ玉の通過を検出するパチンコ玉検出装置として、以下の特許文献に記載の構造のものがある。
特許文献1には、耐久性、応答性に優れ、汚れに対する耐性を向上させるため、金属球通過孔周囲にコイルを設置し、高周波を印加して金属球通過時のインダクタンスの変化を検出する方式が開示されている。
特許文献2には、光学式の外乱光による誤動作や非磁性体よりなる異物の誤検出を防止するため、パチンコ玉の検出通路を挟んで磁気発生手段とホール素子を設置したパチンコ玉検出センサが開示されている。
【0003】
特許文献3には、外部磁界による誤動作をほとんど無くすために、永久磁石及びバイアス磁石一体型磁気検出素子、これらを覆う軟磁性体からなるケース、及び外部磁界を打ち消す磁気形成部材で構成したパチンコ玉検出装置が開示されている。
特許文献4には、メカニカルなマイクロスイッチ方式におけるチャタリングによる計数ミスを防止するために、可撓性電気接点とパチンコ玉との接触によりON/OFFする電子回路を構成する方式が開示されている。
特許文献5には、形状誤差によって生じる球体検出用の磁石とMR素子の設置位置精度を向上させるため、ケースに磁石設置用凹部を形成し、この凹部の側壁に錠剤型磁石を押し付ける方式が開示されている。
【0004】
特許文献6には、ノイズ(電波、静電気)耐性を向上させ、更に、逆流の検出を可能とするため、2つのコイルを直列に配置する金属球検出装置が開示されている。
特許文献7には、球体の通過を検出し、不正行為による誤検出を防止するため、駆動可能な磁石と磁気検出素子が各2つずつ金属球通過孔近傍に設置する方法が開示されている。
特許文献8には、球体の通過を検出し、不正行為による誤検出を防止するため、パチンコ玉の検出通路を挟んで磁気発生手段と対向する第1のホール素子に加えて、第2のホール素子を磁気発生手段と第1のホール素子の間以外の位置に設置した金属球検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−322981号公報
【特許文献2】特開平8―112402号公報
【特許文献3】特開平9−290044号公報
【特許文献4】特開平10−85389号公報
【特許文献5】特開2000−140217号公報
【特許文献6】特開2000−237385号公報
【特許文献7】特開2006−247226号公報
【特許文献8】特開2007−144039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の検出装置は、計数誤差を生じないものでなければならないのはもちろん、パチンコ機械の入賞口や玉貸し器の払い出し口等の限られたスペースに設置されるものであるため、可能な限り小型化する必要があり、また、不正行為をも検出できるものであることが望まれるが、これらをともに満足できるものは、いずれの特許文献にも開示がない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、小型化及びコスト低下を図るとともに、不正行為の検出も可能にした金属部材検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の金属部材検出装置は、金属部材が通過する通路の側方に、磁界発生手段と、前記金属部材が前記通路を通過する際に生じる前記磁界発生手段からの磁界の変化を検出する磁界検出手段とを備え、前記磁界検出手段は、互いに異なる複数軸方向の磁界を検出可能な磁気検出素子を有していることを特徴とする。
【0009】
パチンコ玉等の金属部材が通路を通過すると、その側方に配置されている磁界発生手段による磁界が金属部材の移動に伴って漸次変化し、磁界検出手段は、この磁界の変化を磁気検出素子によって検出する。この場合、磁気検出素子は、互いに異なる複数軸方向の磁界を検出可能であるので、各軸の検出結果を組み合わせるなどにより、金属部材の通過のみならず、その通過方向をも検出することができ、また、複数の金属部材が連続して通過する場合など、検出誤差を生じ易い状況においても、これを確実に検出することができる。
また、金属部材の通過以外の要因で磁界が変化する場合も、金属部材の通過に伴う磁界の変化の態様とは異なる態様でこれを検出することができるので、不正行為として識別することができる。
しかも、これらを1個の磁気検出素子によって検出可能であり、小型化及びコスト低下を図ることができる。
【0010】
本発明の金属部材検出装置において、前記磁界発生手段は、前記通路に対峙する2組以上のN極とS極との組み合わせにより前記通路の側方にゼロ磁界領域を含む磁界を形成するものであり、前記磁界検出手段は、前記ゼロ磁界領域に前記磁気検出素子が配置されているとよい。
ゼロ磁界領域付近の磁界の勾配を大きくすることができるため、そのゼロ磁界領域に配置された磁気検出素子に対して、金属部材の通過による磁界の変化が大きくなり、金属部材の通過を高い感度で検出することができる。
【0011】
本発明の金属部材検出装置において、前記磁界発生手段は、磁石のN極及びS極にそれぞれヨークが接続され、これらヨークの端部が前記通路に対峙するとともに、前記端部間又はこれとは反対側の端部間に前記磁気検出素子が設けられているものとしてもよい。
磁力をヨークによって伝達することにより、通路に対する磁石又は磁気検出素子の配置の自由度が増し、限られたスペース内にコンパクトに配置することができる。複数の通路を有する場合にも、これら通路にヨークにより磁力を伝達することが可能になるなど、設計を容易にすることができる。
【0012】
磁気検出素子としては、リードスイッチ、ホール素子、磁気インピーダンス素子、またはMR素子、GMR素子、TMR素子等の磁気抵抗素子のいずれかを用いることができる。これらをX軸,Y軸,Z軸のうちの2軸方向あるいは3軸方向の磁界を検出可能なように組み合わせて一つの磁気検出素子として用いられる。磁気検出素子としてはIC一体型磁気センサがあり、このIC一体型磁気センサは小型化、薄肉化及び多軸化が容易であり、高周波発信回路等も不要であるので、制御のための回路基板も小型化することが容易である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の金属部材検出装置によれば、互いに異なる複数軸方向の磁界を検出可能な磁気検出素子により、金属部材の通過のみならず、その通過方向をも検出することができるとともに、検出誤差を生じることなく確実に検出することができ、また、不正行為の検出も可能であり、しかも、これらを1個の磁気検出素子によって検出可能で、小型化及びコスト低下を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の金属部材検出装置を示しており、(a)が平断面図、(b)が(a)のA−A線に沿う全体断面図、(c)が(a)のB−B線に沿う全体断面図である。
【図2】図1に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示すグラフであり、(a)がX軸方向、(b)がY軸方向、(c)がZ軸方向を示す。
【図3】第1実施形態の金属部材検出装置において金属部材の一部が孔内に配置された状態を示す図1同様の図である。
【図4】図3に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示す図2同様のグラフである。
【図5】第1実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔の貫通方向の中心位置に配置された状態を示す図1同様の図である。
【図6】図5に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示す図2同様のグラフである。
【図7】第1実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過し一部が孔内に残された状態を示す図1同様の図である。
【図8】図7に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示す図2同様のグラフである。
【図9】第1実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過する際の磁気検出素子の出力の時間変化を示すグラフであり、(a)がX軸方向、(b)がY軸方向、(c)がZ軸方向を示す。
【図10】図9に示すY軸方向とZ軸方向の出力の相関を示すグラフである。
【図11】本発明の第2実施形態の金属部材検出装置を示す図1(a)と同様の方向からの平断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態の金属部材検出装置を示す図1(a)と同様の方向からの平断面図である。
【図13】本発明の第4実施形態の金属部材検出装置を示す図1(a)と同様の方向からの平断面図である。
【図14】本発明の第5実施形態の金属部材検出装置を示す図1(a)と同様の方向からの平断面図である。
【図15】本発明の第6実施形態の金属部材検出装置を示しており、(a)が平断面図、(b)が(a)のA−A線に沿う全体断面図、(c)が(a)のB−B線に沿う全体断面図である。
【図16】第6実施形態の磁界発生手段及び磁気検出素子の組み合わせの斜視図である。
【図17】図15に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示すグラフであり、(a)がX軸方向、(b)がY軸方向、(c)がZ軸方向を示す。
【図18】第6実施形態の金属部材検出装置において金属部材の一部が孔内に配置された状態を示す図15同様の図である。
【図19】図18に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示す図17同様のグラフである。
【図20】第6実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔の貫通方向の中心位置に配置された状態を示す図15同様の図である。
【図21】図20に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示す図17同様のグラフである。
【図22】第6実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過し一部が孔内に残された状態を示す図15同様の図である。
【図23】図22に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示す図17同様のグラフである。
【図24】第6実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過する際の磁気検出素子の出力の時間変化を示すグラフであり、(a)がX軸方向、(b)がY軸方向及びZ軸方向を示す。
【図25】本発明の第7実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過し一部が孔内に残された状態を示す図18(c)と同様の方向からの拡大断面図である。
【図26】本発明の第8実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過し一部が孔内に残された状態を示す図18(c)と同様の方向からの拡大断面図である。
【図27】本発明の第9実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過し一部が孔内に残された状態を示す図18(c)と同様の方向からの拡大断面図である。
【図28】第9実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過する際の磁気検出素子の出力の時間変化を示すグラフであり、(a)がY軸方向、(b)がX軸方向及びZ軸方向を示す。
【図29】本発明の第10実施形態の金属部材検出装置を示しており、(a)が平断面図、(b)が(a)のA−A線に沿う全体断面図、(c)が(a)のB−B線に沿う全体断面図、(d)が(b)のC−C線に沿う全体断面図である。
【図30】図29に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示すグラフであり、(a)がX軸方向、(b)がY軸方向、(c)がZ軸方向を示す。
【図31】本発明の第11実施形態の金属部材検出装置を示す図15(a)と同様の方向からの拡大断面図であり、磁界発生手段については図32のE−E線に沿う断面を示す。
【図32】第11実施形態の金属部材検出装置における磁界発生手段と磁気検出素子との組み合わせの斜視図である。
【図33】本発明の第12実施形態の金属部材検出装置を示す図15(a)と同様の方向からの拡大断面図であり、磁界発生手段については図34のE−E線に沿う断面を示す。
【図34】第12実施形態の金属部材検出装置における磁界発生手段と磁気検出素子との組み合わせの斜視図である。
【図35】第12実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過する際の磁気検出素子の出力の時間変化を示すグラフであり、(a)がX1軸方向、(b)がX2軸方向、(c)がY軸方向及びZ軸方向を示す。
【図36】本発明の第13実施形態の金属部材検出装置を示す図15(a)と同様の方向からの拡大断面図である。
【図37】第13実施形態の金属部材検出装置における磁界発生手段と磁気検出素子との組み合わせの斜視図である。
【図38】第13実施形態においての金属部材が孔を通過する際の磁気検出素子のX軸方向の出力の時間変化を示すグラフである。
【図39】本発明の第14実施形態の金属部材検出装置を示す図15(a)と同様の方向からの拡大断面図である。
【図40】第14実施形態の金属部材検出装置における磁界発生手段と磁気検出素子との組み合わせの斜視図である。
【図41】第14実施形態においての金属部材が孔を通過する際の磁気検出素子のX軸方向の出力の時間変化を示すグラフである。
【図42】本発明の第15実施形態の金属部材検出装置を示す図15(a)と同様の方向からの拡大断面図である。
【図43】第15実施形態の金属部材検出装置における磁界発生手段の一部と磁気検出素子との組み合わせの斜視図である。
【図44】図42に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示すグラフであり、(a)がX軸方向、(b)がY軸方向、(c)がZ軸方向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の金属部材検出装置をパチンコ玉を計数する装置に適用した実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図10は本発明の第1実施形態の金属部材検出装置1を示している。この金属部材検出装置1は、パチンコ玉(以下、金属部材という)2を通過させる孔(通路)3を有するケース4に、磁界発生手段5と磁界検出手段6とが設けられている。金属部材2は、強磁性体の鉄、コバルト、ニッケル又はこれらの合金から構成される。
【0016】
ケース4は、非磁性体により、図示例では金属部材2の直径の半分程度の厚さの扁平な直方体状に形成されており、その長さ方向の中間位置から片側半分(図1(a)(b)の上側半分)の領域内に、金属部材2よりも大きい内径(図示例では角を丸めた正方形断面)の孔3が厚さ方向に貫通している。このケース4は、パチンコ機械の中のパチンコ玉が通る通路に孔3が配置され、パチンコ玉が孔3を通るように組み込まれる。また、ケース4の長さ方向の中間位置に磁界発生手段5が設けられ、この中間位置を含んでケース4の残りの部分(図1(a)(b)の下側半分)の領域内に磁界検出手段6が設けられている。
磁界発生手段5は、一対の磁石7により構成され、ケース4の中間位置であって孔3の側方位置に配置され、両磁石7の異なる磁極が、孔3の平面視での中心線Lを挟んでこの中心線Lに直交する方向に対峙するように設けられている。図1等に示したように、ケース4の平面方向であって両磁石7の対峙方向をX軸、ケース4の長さ方向(図示した孔3の中心線Lに沿う方向)をZ軸、厚さ方向(孔3の貫通方向)をY軸とすると、両磁石7は、N極からS極へ向かう方向がX軸のプラス方向となるように対峙している。
【0017】
そして、これら磁石7の間で孔3の中心線L上に、磁気検出素子8が設けられている。この磁気検出素子8は、リードスイッチ、ホール素子、磁気インピーダンス素子、またはMR素子、GMR素子、TMR素子等の磁気抵抗素子のいずれかを用いることができる。これらをX軸、Y軸、Z軸のうちの2軸方向あるいは3軸方向の磁界を検出可能なように組み合わせて一つの磁気検出素子として用いられる。磁気検出素子としてはIC一体型磁気センサがあり、このIC一体型磁気センサは小型化、薄肉化及び多軸化が容易であり、高周波発信回路等も不要であるので、制御のための回路基板も小型化することが容易である。この実施形態では、磁気検出素子8は外部磁界に対して図2に実線で示す出力特性を有している。
また、この磁気検出素子8を介して孔3とは反対側の領域に、磁気検出素子8への電源回路及び磁気検出素子8からの出力の検出回路等を有する回路基板9が設けられ、回路基板9から外部に配線されている。これら磁気検出素子8と回路基板9とにより磁界検出手段6が構成される。この磁気検出素子8として、IC一体型磁気センサを用いることにより、小型化、薄肉化及び多軸化が容易になり、高周波発信回路等も不要になるので、回路基板9も小型化することが容易になる。
ケース4の付近に金属部材2が存在しない図1に示す状態では、図2の破線で示すように、磁気検出素子8には、両磁石7により作用する外部磁界によってX軸の出力がマイナス値(後述するように、この状態が最大値となる)となり、Y軸及びZ軸には出力が略ゼロ(外部磁界は略ゼロ)となる。
【0018】
金属部材2がY軸に沿って孔3をマイナス側からプラス側へ通過する場合について説明する。
図3に示すように、金属部材2の中心が孔3の貫通方向の中心位置(以下、ゼロ点という場合がある)MよりもY軸のマイナス側に配置され、金属部材2の一部を孔3の中に臨ませて配置された状態の場合は、両磁石7間の磁力線が図3の破線で示すように金属部材2に引き寄せられ、Y軸のマイナス方向及びZ軸のプラス方向に延ばされることから、磁気検出素子8におけるX軸の出力は、図4に示すように、金属部材2がない状態(図2に示す状態)と同じマイナスではあるが、金属部材2がない状態のときより絶対値が小さくなり、Y軸の出力はプラスとなり(外部磁界はマイナスとなる)、金属部材2がY軸のゼロ点(孔3の貫通方向の中間点)に近付くにしたがい絶対値が小さくなる。Z軸の出力はマイナスとなり(外部磁界はプラスとなる)、金属部材2がY軸のゼロ点に近付くにしたがい絶対値が大きくなる。
【0019】
そして、図5に示すように金属部材2の中心がY軸のゼロ点Mに一致した状態となると、両磁石7間の磁力線は図5の破線で示すように金属部材2に向けてZ軸のプラス方向に引き寄せられ、磁気検出素子8におけるX軸の出力は、図6に示すようにマイナス(外部磁界はプラス)で、絶対値としては図4に示す状態よりもさらに小さくなる。Y軸においては外部磁界が略ゼロとなるので、出力も略ゼロとなる。Z軸においては外部磁界はプラスであり、出力はマイナスで絶対値としては最大となる。
【0020】
次に、図7に示すように金属部材2の中心がY軸のプラス側に配置され、金属部材2がまだ孔3の中に一部残された状態の場合は、図7に破線で示すように磁力線がY軸のプラス方向及びZ軸のプラス方向に引っ張られる。このため、磁気検出素子8におけるX軸の出力は、図8に示すように、マイナス(外部磁界はプラス)であり、その絶対値は金属部材2の中心が孔3の貫通方向の中心位置Mにあるとき(図5及び図6に示す状態)よりも大きくなるが、金属部材2が孔3内にない状態のとき(図1及び図2に示す状態)より小さい値となる。Y軸においては、金属部材2の中心が孔3の貫通方向の中心MよりもY軸のマイナス側に配置されている状態に対して、外部磁界の符号が反転してプラスとなり、出力もマイナスに反転する。Z軸においては、外部磁界はプラスであり、出力はマイナスとなる。金属部材2がY軸のゼロ点Mから離れるにしたがってZ軸の出力の絶対値は漸次小さくなる。
【0021】
以上の一連の状態での磁気検出素子8の出力の時間変化を軸毎にグラフにすると、図9に示すようになる。この図9において横軸が、金属部材2が孔3内を通過する際の時間の変化(言い換えればY軸上の金属部材2の位置の変化)を示しており、両端位置(t1,t5)は金属部材2が孔3の付近にない状態のときであり、中間位置(t3)が孔3の貫通方向の中心位置Mに一致したゼロ点位置である。t2は図3及び図4に示す状態、t4は図7及び図8に示す状態をそれぞれ示している。
この図9から明らかなように、X軸の出力は、金属部材2の位置にかかわらず常にマイナスで、金属部材2が孔3の付近にない状態(t1,t5)のときに絶対値としては最大であり、金属部材2がY軸のゼロ点Mに一致したとき(t3)に絶対値として最小になる。
Y軸においては、金属部材2がゼロ点Mに一致したとき(t3)において出力ゼロとなり、ゼロ点Mを境に符号が反転する。
Z軸においては、常にゼロ以下の出力であり、金属部材2がゼロ点Mに一致したとき(t3)において絶対値が最大になる。
【0022】
これらX軸、Y軸、Z軸の各出力には相関があり、そのうち、Y軸の出力とZ軸の出力との関係を二次元のグラフで表示したのが図10である。この図10に示されるように、出力の変化が実線の時計まわりの方向に生じている場合は、金属部材2が孔3をY軸のマイナス側からプラス側に通過しており、逆に反時計まわりの方向に出力が変化している場合は、金属部材2はY軸のプラス側からマイナス側に通過している。つまり、この出力変化が時計まわりと反時計まわりとのどちらの方向に生じているかによって、金属部材2が孔3をどの方向に通過しているかを識別することができる。このため、例えば、孔3内で金属部材2が跳ね返るなどにより、2回以上通過する、いわゆるチャタリング現象が生じる場合にも、通過方向を検出可能であるので、短時間の間に通過方向が反転することが検知され、チャタリング現象として識別することができる。
そして、このようなX軸、Y軸、Z軸の相関を用いて磁界検出することにより、磁気検出素子を複数個用いることなく、1個の磁気検出素子8により誤動作をも低減して、金属部材2の通過を正確に検出することができる。
【0023】
図10の破線は、磁気検出素子8の検出感度や磁界発生手段5による磁界の強度のばらつき、これら磁気検出素子8や磁界発生手段5の両磁石7の設置誤差を考慮したばらつきの範囲を示しており、磁気検出素子8からの出力値がこの破線で囲まれる領域S内にあるときのみ、金属部材2が孔3を通過したと検出して計数することにより、誤った計数を防止することができる。
また、磁気検出素子8からの出力値がこの破線で囲まれる領域Sの外の領域P又は領域Qのいずれかにある場合は、装置の異常か不正行為によるものと判断できる。外部から磁石等を用いた不正行為が行われる場合は、金属部材検出装置1における磁界発生手段5による磁界に加えて、外部からの磁界が加算されるため、磁気検出素子8の出力が破線で囲まれる領域Sから外れた領域P又は領域Qに存在することとなり、これにより不正行為が行われたと判定することができる。
なお、図10にはY軸とZ軸との相関について示しているが、さらにX軸とY軸、X軸とZ軸、あるいはX軸とY軸とZ軸との相関についても判定に用いるようにしてもよく、検出精度をさらに高めることができる。
【0024】
なお、以上の実施形態では、磁気検出素子8を3軸方向の磁気検出が可能なものとし、X軸、Y軸、Z軸のすべてについて磁気検出したが、第1実施形態では、X軸方向の出力は、その方向は変わらずに絶対値が変化するだけであるので、Y軸とZ軸の2軸方向の磁気検出のみとしてもよい。Y軸方向の出力は前述したように金属部材2の通過によって方向が反転し、Z軸の出力は金属部材2がない状態ではゼロであるので、いずれも識別し易く、2軸のみを検出することとしても誤検出が生じにくい。
【0025】
図11〜図14は第1実施形態から変形した本発明の金属部材検出装置の他の実施形態を示している。これらの図中、第1実施形態と共通する要素には同一の符号を付して説明を簡略化する。
図11に示す第2実施形態の金属部材検出装置11は、金属部材2が通過する孔12を略円形にし、磁界発生手段13の両磁石7を孔12の周方向に沿うように配置したものである。両磁石7は図11に示す姿勢では逆ハの字状に配置され、その間に磁界検出手段6の磁気検出素子8が設けられる。
図12に示す第3実施形態の金属部材検出装置15は、磁界発生手段16の両磁石7が孔12の両側に配置されることにより、孔12を介して径方向に対峙しており、これら磁石7の間に磁界検出手段6の磁気検出素子8が配置されている。
【0026】
図13に示す第4実施形態の金属部材検出装置21は、磁界発生手段22として、孔3の両側から孔3を介して対峙するように配置された両磁石7が、軟磁性体からなるヨーク23よって接続された構成とされており、磁界が外部に放散しないようにして、孔3内への磁界の強度を高めたものである。図示例のように略正方形の孔3に対しても、その四隅にまで磁界を及ぼすことができる。
図14に示す第5実施形態の金属部材検出装置25は、略円形の孔12の周囲の大部分を囲むように磁界発生手段26としてC字型に湾曲した磁石を配置し、そのC字の開口端部間であって磁力線がX軸に略平行になる領域に磁界検出手段6の磁気検出素子8が設けられたものである。
【0027】
図15〜図24は本発明の第6実施形態の金属部材検出装置31を示している。この金属部材検出装置31は、これまで述べてきた各実施形態と同様に、金属部材2を通過させる孔(通路)3を有する扁平直方体状のケース4に、その孔3の側方に配置されるように磁界発生手段32と磁界検出手段33とが設けられているが、その磁界発生手段32が4個の磁石7を有しており、これら4個の磁石7により構成されるN極とS極との2組ずつの磁極が孔3に向けて対峙して配置されるとともに、これら四つの磁極が同一平面上で略正方形の四隅に交互に配置されていることにより、ゼロ磁界領域を含む磁界が形成される。そして、そのゼロ磁界領域に磁気検出素子8が配置されている。
【0028】
すなわち、4個の磁石は、図16に示すように、大きさはいずれも同じ棒状に形成され、略正方形の四隅に相互に平行にかつ両端の磁極をそれぞれ平面上に揃えて配置されており、その一方の平面上に配置される磁極は、正方形の対角線のうちの一方の対角線上の両隅部にN極が配置され、この対角線とは異なる対角線上の両隅部にS極が配置されている。そして、これら四つの磁極により構成される正方形の面が孔3の径方向と直交するように、これら四つの磁極が孔3に向けて対峙して配置され、正方形の中心、つまり四つの磁極の両対角線の交点に磁気検出素子8が設けられている。これら4個の磁石7は、各N極から各S極に向かう磁力線が図15(c)に破線で示すように形成され、磁気検出素子8が配置されている対角線の交点では、N極からS極に向かう磁力線が打ち消し合うことにより、ゼロ磁界領域となる。したがって、金属部材2がない状態においては、このゼロ磁界領域に配置された磁気検出素子8の出力は、図17に示されるようにX軸、Y軸、Z軸ともゼロとなる。
なお、この実施形態では、各磁極により形成される正方形の各辺が孔3の貫通方向(Y軸方向)及びこれに直交する方向(X軸方向)に沿って配置されている。
【0029】
この第6実施形態の金属部材検出装置31において、金属部材2がY軸に沿って孔3をマイナス側からプラス側へ通過する場合について説明する。
図18に示すように、金属部材2の中心が孔3の厚さ方向の中心位置MよりもY軸のマイナス側に配置され、金属部材2の一部が孔3の中に臨ませられて配置された状態の場合は、磁力線が図18(c)の破線で示すように金属部材2に引き寄せられる。これにより、孔3の貫通方向に直交して配置されている各組の磁極のうち、金属部材2に近い位置(図18(c)では下側位置)の両磁極間に形成される磁力線(X軸のマイナス方向に向かう磁力線)が磁気検出素子8上から離れる方向に移動し、金属部材2から遠い位置(図18(c)では上側位置)の両磁極間に形成される磁力線(X軸のプラス方向に向かう磁力線)が磁気検出素子8上を通るようになる。このため、磁気検出素子8におけるX軸方向の外部磁界はプラス側に強くなり、図19に示すように、その出力がマイナス側に変化する。Y軸方向の磁界は磁気検出素子8上では打ち消し合った状態が維持されるため、磁気検出素子8のY軸方向の出力はゼロのままである。Z軸方向の磁界も変化なく、出力はゼロである。
【0030】
そして、図20に示すように金属部材2の中心がY軸のゼロ点(孔3の貫通方向の中間点)Mに一致した状態となると、前述した磁力線の変位もなくなって元の状態に戻り、図21に示すように、磁気検出素子8のX軸方向の出力はゼロとなる。Y軸、Z軸の出力は依然としてゼロのままである。
次に、図22に示すように金属部材2の中心がY軸のプラス側に配置され、金属部材2の一部が孔3内に残された状態となると、図18(C)の状態のときとは逆方向に磁力線が引張られることから、図22(c)の上側位置の両磁極間の磁力線が磁気検出素子8上から離れ、下側位置の両磁極7間の磁力線が磁気検出素子8上に配置される。したがって、磁気検出素子8におけるX軸方向の外部磁界はマイナス側に強くなり、図23に示すように、その出力がプラス側に変化する。Y軸、Z軸方向の出力はゼロである。
【0031】
以上の一連の状態での磁気検出素子8の出力の時間変化を軸毎にグラフにしたのが、図24(a)(b)であり、この図において横軸が金属部材2のY軸上の位置を示しており、両端位置は金属部材2が孔3の付近にない状態のときであり、中間位置が孔3の貫通方向の中心位置Mに一致したゼロ点である。
この図から明らかなように、X軸の出力は、孔3の付近に金属部材2がない状態(t1,t5)、及び孔3の貫通方向の中心位置Mに金属部材2の中心が配置された状態(t3)において、略ゼロとなり、その前後(t2、t4)で出力が反転している。Y軸及びZ軸の出力は、金属部材2の位置にかかわらず略ゼロである。
X軸方向の出力が反転するので、金属部材2が通過する際の方向も判別し易い。また、Y軸、Z軸においては、金属部材2の通過では出力が略ゼロであるので、略ゼロ以外の何らかの出力が検知される場合は、不正行為と判定することができる。
【0032】
図25〜図27は第6実施形態から変形した本発明の金属部材検出装置の他の実施形態を示している。これらの図は、第6実施形態の図18(C)に対応する断面図であり、同図(a)(b)に対応する図は掲載しないが、必要に応じて図18を参照する。また、第6実施形態と共通する要素には同一の符号を付して説明を簡略化する。
図25に示す第7実施形態の金属部材検出装置は、磁界発生手段35が略角筒状の磁石からなり、その四隅部がN極とS極とに着磁され、第6実施形態の磁界発生手段32と同様に、N極とS極との2組ずつが孔3に向けて対峙して配置される(図18参照)とともに、これら四つの磁極が同一平面上で略正方形の四隅に交互に配置されていることにより、ゼロ磁界領域を含む磁界が形成され、そのゼロ磁界領域に磁気検出素子8が配置されている。
金属部材2の通過に伴う磁界の変化、磁気検出素子8の出力変化は、図15〜図24にて説明した第6実施形態と同様、X軸方向についてのみ変化し、図24(a)(b)と同様の出力線図となる。この第7実施形態の場合は、略角筒状の磁石(磁界発生手段35)により四つの磁極の位置関係がずれることがなく、設置誤差等を生じにくい。略角筒状としたが、円環状の磁石として、周方向に90°毎に交互に着磁させた構成としてもよい。
【0033】
図26に示す第8実施形態の金属部材検出装置は、4個の磁石7の一端を板状のヨーク41の片面に固定して磁界発生手段42としており、各磁石7の他端により構成される四つの磁極を孔3に向けて配置する(図18参照)ことにより、孔3の付近に磁界を集中して発生させ、孔3内の磁束密度を高めるようにしている。
金属部材の通過に伴う磁界の変化、磁気検出素子8の出力変化の傾向は、図24(a)(b)に示されるものと同様である。
【0034】
図27に示す第9実施形態の金属部材検出装置は、第6実施形態における磁界発生手段32に対して、略正方形の四隅に配置された磁石7の位置をXY平面内で45°回転させた磁界発生手段45としたものである。
この第9実施形態の場合は、第6〜第8実施形態の場合とは異なり、図28に示すように、磁気検出素子8の出力はY軸方向においてのみ変化し、X軸方向及びZ軸方向においては略ゼロの出力が維持される。出力の軸方向が第6〜第8実施形態のものと異なるだけであり、Y軸方向の出力は金属部材2が孔3の貫通方向の中心位置を通過する際(t3)に反転するので、金属部材2が通過する際の方向も判別し易いし、また、X軸、Z軸においては、金属部材2の通過では出力が略ゼロであるので、略ゼロ以外の何らかの出力が検知される場合は、不正行為と判定することができる。
【0035】
図29及び図30は本発明の第10実施形態の金属部材検出装置を示している。この金属部材検出装置51においては、ケース52が厚肉の直方体状に形成され、そのケース52に、90°異なる方向に二つの孔53,54が形成されている。図示例では、第1の孔53がY軸方向に沿って設けられ、第2の孔54がX軸方向に沿って設けられている。そして、これら第1の孔53及び第2の孔54の間に、磁界発生手段55と磁界検出手段6の磁気検出素子8とが設けられている。磁界発生手段55は、第6実施形態と同様に、4個の磁石7を有しており、各磁石7の一方の磁極を第1の孔53に向け、他方の磁極を第2の孔54に向けて配置している。また、これら磁石7は略正方形の四隅に配置され、N極及びS極の2組ずつが各孔53,54に向けて配置されるとともに、これら四つの磁極が同一平面上で略正方形の四隅に交互に配置されていることにより、ゼロ磁界領域を含む磁界が形成され、そのゼロ磁界領域に磁気検出素子8が配置されている。
【0036】
この磁界発生手段55は、第1の孔53と第2の孔54のそれぞれに磁界を作用させることができ、各孔53,54に金属部材2が通過することにより、その磁界が変化するが、第1の孔53はY軸方向に沿って形成されていることから、金属部材2の通過により第6実施形態と同様にX軸方向の外部磁界が変化し、磁気検出素子8はX軸の出力が変化する。Y軸方向及びZ軸方向の出力は略ゼロに維持される。一方、第2の孔54はX軸方向に沿って形成されていることから、金属部材2の通過によりY軸方向の外部磁界が変化し、磁気検出素子8はY軸の出力が変化する。X軸方向及びZ軸方向の出力は略ゼロに維持される。図29では、金属部材2がそれぞれの孔53,54内を通過する状態を示しており、この状態では、図30に示すようにX軸方向及びY軸方向にそれぞれマイナスの出力が生じ、Z軸方向には出力はゼロとなる。
したがって、金属部材2が第1の孔53又は第2の孔54を通過することにより、磁気検出素子8のX軸方向又はY軸方向のいずれかの出力が変化し、いずれの軸方向の出力が変化するかによって金属部材2がどの孔を通過したかを判断することができる。
【0037】
図31及び図32は本発明の第11実施形態の金属部材検出装置を示している。この金属部材検出装置61においては、磁界発生手段62が、一つの磁石7の各極にそれぞれヨーク63,64の中間部が接続固定され、これらヨーク63,64の両端部により構成される2組のN極とS極とにより、第6実施形態の磁界発生手段のようなゼロ磁界領域を含む磁界が形成されるようになっている。すなわち、各ヨーク63,64は、細幅の帯板部65の両端片面に、一対の同じ大きさの直方体ブロック状の端部部材66が同一方向に向けて一体に形成されており、帯板部65の中間部が磁石7の一つの極に接続固定されることにより、両端部部材66が同極に形成されている。この場合、一方のヨーク63の端部部材66は他方のヨーク64の端部部材66よりも磁石7の長さ分、長く形成されている。
【0038】
そして、二つのヨーク63,64が磁石7の各極に90°ずれて固定されることにより、これらヨーク63,64の端部部材66の一端により形成されるN極とS極とが2組ずつ同一平面上で略正方形の四隅に交互に配置され、正方形の中心位置をゼロ磁界領域とする磁界が形成される。そして、これら2組のN極とS極とが孔3に向けて配置され、ゼロ磁界領域に磁気検出素子8が配置されている。
第6実施形態では4個の磁石を配置してゼロ磁界領域を含む磁界を形成したが、この第11実施形態では1個の磁石7と2個のヨーク63,64との組み合わせにより、ゼロ磁界領域を含む磁界を形成することができる。
金属部材2の通過に伴う磁界の変化、磁気検出素子8の出力変化は、図15〜図24にて説明した第6実施形態と同様、X軸方向についてのみ変化し、図24(a)(b)と同様の出力線図となる。
【0039】
図33〜図35は本発明の第12実施形態の金属部材検出装置を示している。この金属部材検出装置71は、ケース72に同じ大きさの二つの孔73,74が並んで形成されており、これら孔73,74の間に磁界発生手段75が設けられている。この磁界発生手段75は、第11実施形態の磁界発生手段と同様に2個のヨーク76,77を備えているが、第11実施形態においてはヨークが帯板部の片面側の同一方向に端部部材を向けて構成されていたのに対して、各ヨーク76,77とも、帯板部78の両端に同じ長さの直方体ブロック状の端部部材79の中間部が固定され、その端部部材79の両端部に磁極が形成され、各孔73,74にそれぞれ対峙している。そして、二つのヨーク76,77が磁石7の各極に90°ずれて固定されていることにより、これらヨーク76,77の端部部材79の両端部に、同一平面上で略正方形の四隅に配置された2組のN極とS極との組み合わせによりゼロ磁界領域を含む磁界がそれぞれ形成される。磁界検出手段80は、二つの磁気検出素子8を備えており、各磁気検出素子8が、端部部材79の両端部の各磁極間に形成されるゼロ磁界領域に配置されている。ここで、各磁極が端部部材79の両端によって形成されるが、N極になるかS極になるかは磁界発生手段75と各ヨークとの設計による。ここでは、図34に示すように各磁極が形成され、N極とS極との組み合わせは、一方の孔73に対して他方の孔74には反転した位置関係で対峙することとする。
【0040】
この金属部材検出装置71においては、二つの磁気検出素子8によりそれぞれの孔73,74内の金属部材の通過を検出するものであり、金属部材の通過によりそれぞれX軸方向の出力が変位する。このX軸方向において、一方の孔73に対してはX1軸方向、他方の孔74に対してはX2軸方向として、金属部材の通過による磁気検出素子8の出力の変化をグラフに表示すると、各孔73,74に対峙する磁極の配置が反転した状態となるため、一方の孔73における通過を検出する磁気検出素子8においては、金属部材がY軸方向にマイナス側からプラス側に通過する(図33の紙面を貫通する方向に表面側から裏面側に通過する)ことにより、図35(a)に示すようにマイナスからプラスに変化するが、他方の孔74の磁気検出素子8においては同じ方向に金属部材が通過すると同図(b)に示すようにプラスからマイナスに変化する。Y軸方向及びZ軸方向にはいずれの磁気検出素子8も出力はゼロが維持される。
【0041】
図36〜図38は本発明の第13実施形態の金属部材検出装置を示している。この金属部材検出装置81においては、磁界発生手段82は、1個の磁石7の両端に帯板状のヨーク83の中間部がそれぞれ固定されており、両ヨーク83が平行に配置されていることにより、磁石7とヨーク83とによりH字状をなすように構成されている。そして、両ヨーク83の一端部が孔3に対峙するように配置され、他端部間に磁気検出素子8が設けられている。
この第13実施形態では、図38に磁気検出素子8のX軸方向の出力の時間変化を示したように、孔3内に金属部材が存在しない状態(t1,t5)では、磁気検出素子8にはX軸方向のマイナスの漏洩磁束(外部磁界)によりプラスの出力が生じる。そして、金属部材の通過に伴い、磁界が孔3内の金属部材側に偏り、磁気検出素子8上の磁界が弱められ、その出力は低下する。金属部材が孔3の貫通方向の中心位置に達する(t3)と、この金属部材とヨーク83との間で磁気回路が構成されるので、磁気検出素子8上の磁界は略ゼロになる。
【0042】
図39〜図41は本発明の第14実施形態の金属部材検出装置を示している。この金属部材検出装置91は、その磁界発生手段92に、第13実施形態のヨークに比べて短いヨーク93が用いられ、これらヨーク93が磁石7の片側にのみ突出するように固定され、その突出端部が孔3に対峙して配置されている。また、磁石7に対してヨーク93の突出端部とは反対側に磁気検出素子8が配置され、この磁気検出素子8の背面側(磁界発生手段92の磁石7とは反対側)に磁界発生手段92の磁石7よりも磁気検出素子8に近接して補助磁石94が設けられている。この補助磁石94は、磁界発生手段92の磁石7よりも弱い磁力に設定されるが、磁界の方向が磁界発生手段92の磁石7とは逆方向となっており、磁気検出素子8に近いために、孔3内に金属部材がない状態では、磁気検出素子8に作用する磁束は磁界発生手段92の磁石の漏洩磁束と略等しい大きさとなっている。
したがって、第13実施形態では、孔3内に金属部材がない状態のときには磁気検出素子の出力が最大になっていたが、第14実施形態では、図41にX軸方向の出力の時間変化を示したように、補助磁石94のバイアス磁界により、孔3内に金属部材がない状態のときに磁気検出素子8上の外部磁界が略ゼロで、その出力が略ゼロとなり、金属部材が孔3の貫通方向の中心位置を通過する際に最大になる。
【0043】
図42〜図44は本発明の第15実施形態の金属部材検出装置を示している。この金属部材検出装置101は、ケース102に第1の孔103、第2の孔104、第3の孔105の3個の孔が並列に形成されており、各孔103〜105の近傍に第13実施形態の磁界発生手段と類似する構成をなす磁石7と一対のヨーク106〜108とからなるH字形の磁界発生手段が109〜111が設けられ、各ヨーク106〜108の一端部が各孔103〜105に対峙させられている。また、中央の孔(第2の孔)104の近傍に配置されている磁界発生手段110のヨーク107の他端部間に磁気検出素子8が設けられている。この場合、中央の磁界発生手段110のヨーク107は、磁気検出素子8をZ軸方向に挟むように配置されており、左右の孔(第1の孔103及び第3の孔105)の近傍に配置されている磁界発生手段109,111のヨーク106,108の他端部(孔に対峙している端部とは反対側の端部)には、さらに延長部112がそれぞれ固定され、これら延長部112が中央の磁界発生手段110のヨーク107に対して磁気検出素子8を異なる方向から挟むように配置されている。図示例では、第1の孔103の近傍の磁界発生手段109のヨーク106の延長部112は磁気検出素子8をY軸方向(図42の紙面に直交する方向)に挟んでおり、第3の孔105の近傍の磁界発生手段111のヨーク108の延長部112は磁気検出素子8をX軸方向に挟んでいる。
【0044】
この金属部材検出装置101においては、第1の孔103に金属部材が通過した場合に、Y軸方向の外部磁界の変化により磁気検出素子8にはY軸方向の出力が変化し、第2の孔104に金属部材が通過した場合は、Z軸方向の外部磁界の変化により磁気検出素子8にはZ軸方向の出力が変化し、第3の孔105に金属部材が通過した場合は、X軸方向の外部磁界の変化により磁気検出素子8にはX軸方向の出力が変化する。いずれの軸方向の出力が変化したかにより、どの孔103〜105を金属部材が通過したかを検出することができ、各孔103〜105に対する金属部材の通過を独立して検出することができ、これを1個の磁気検出素子8によって検出することができる。
なお、各孔103〜105の向きは、相互に平行に配置したが、90°ずれた配置としてもよい。
【0045】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、各実施形態とも金属部材が孔を通過するものとして示したが、孔に限らず、樋状の通路や平面状の通路を通過する場合にも本発明の金属部材検出装置を適用することができる。
また、金属部材としてはパチンコ玉を例示したが、パチンコ玉のような球状のものに限らず、ブロック状、板状等、種々の形状のものに適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…金属部材検出装置、2…パチンコ玉(金属部材)、3…孔(通路)、4…ケース、5…磁界発生手段、6…磁界検出手段、7…磁石、8…磁気検出素子、9…回路基板、11…金属部材検出装置、12…孔、13…磁界発生手段、15…金属部材検出装置、16…磁界発生手段、21…金属部材検出装置、22…磁界発生手段、23…ヨーク、25…金属部材検出装置、26…磁界発生手段、31…金属部材検出装置、32…磁界発生手段、33…磁界検出手段、35…磁界発生手段、41…ヨーク、42…磁界発生手段、45…磁界発生手段、51…金属部材検出装置、52…ケース、53,54…孔、55…磁界発生手段、61…金属部材検出装置、62…磁界発生手段、63,64…ヨーク、71…金属部材検出装置、72…ケース、73,74…孔、75…磁界発生手段、76,77…ヨーク、80…磁界検出手段、81…金属部材検出装置、82…磁界発生手段、83…ヨーク、91…金属部材検出装置、92…磁界発生手段、93…ヨーク、94…補助磁石、101…金属部材検出装置、102…ケース、103,104,105…孔、106,107,108…ヨーク、109,110,111…磁界発生手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ玉等の金属部材の通過を検出する金属部材検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機械の入賞口や玉貸し器の払い出し口等においてパチンコ玉の通過を検出するパチンコ玉検出装置として、以下の特許文献に記載の構造のものがある。
特許文献1には、耐久性、応答性に優れ、汚れに対する耐性を向上させるため、金属球通過孔周囲にコイルを設置し、高周波を印加して金属球通過時のインダクタンスの変化を検出する方式が開示されている。
特許文献2には、光学式の外乱光による誤動作や非磁性体よりなる異物の誤検出を防止するため、パチンコ玉の検出通路を挟んで磁気発生手段とホール素子を設置したパチンコ玉検出センサが開示されている。
【0003】
特許文献3には、外部磁界による誤動作をほとんど無くすために、永久磁石及びバイアス磁石一体型磁気検出素子、これらを覆う軟磁性体からなるケース、及び外部磁界を打ち消す磁気形成部材で構成したパチンコ玉検出装置が開示されている。
特許文献4には、メカニカルなマイクロスイッチ方式におけるチャタリングによる計数ミスを防止するために、可撓性電気接点とパチンコ玉との接触によりON/OFFする電子回路を構成する方式が開示されている。
特許文献5には、形状誤差によって生じる球体検出用の磁石とMR素子の設置位置精度を向上させるため、ケースに磁石設置用凹部を形成し、この凹部の側壁に錠剤型磁石を押し付ける方式が開示されている。
【0004】
特許文献6には、ノイズ(電波、静電気)耐性を向上させ、更に、逆流の検出を可能とするため、2つのコイルを直列に配置する金属球検出装置が開示されている。
特許文献7には、球体の通過を検出し、不正行為による誤検出を防止するため、駆動可能な磁石と磁気検出素子が各2つずつ金属球通過孔近傍に設置する方法が開示されている。
特許文献8には、球体の通過を検出し、不正行為による誤検出を防止するため、パチンコ玉の検出通路を挟んで磁気発生手段と対向する第1のホール素子に加えて、第2のホール素子を磁気発生手段と第1のホール素子の間以外の位置に設置した金属球検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−322981号公報
【特許文献2】特開平8―112402号公報
【特許文献3】特開平9−290044号公報
【特許文献4】特開平10−85389号公報
【特許文献5】特開2000−140217号公報
【特許文献6】特開2000−237385号公報
【特許文献7】特開2006−247226号公報
【特許文献8】特開2007−144039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の検出装置は、計数誤差を生じないものでなければならないのはもちろん、パチンコ機械の入賞口や玉貸し器の払い出し口等の限られたスペースに設置されるものであるため、可能な限り小型化する必要があり、また、不正行為をも検出できるものであることが望まれるが、これらをともに満足できるものは、いずれの特許文献にも開示がない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、小型化及びコスト低下を図るとともに、不正行為の検出も可能にした金属部材検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の金属部材検出装置は、金属部材が通過する通路の側方に、磁界発生手段と、前記金属部材が前記通路を通過する際に生じる前記磁界発生手段からの磁界の変化を検出する磁界検出手段とを備え、前記磁界検出手段は、互いに異なる複数軸方向の磁界を検出可能な磁気検出素子を有していることを特徴とする。
【0009】
パチンコ玉等の金属部材が通路を通過すると、その側方に配置されている磁界発生手段による磁界が金属部材の移動に伴って漸次変化し、磁界検出手段は、この磁界の変化を磁気検出素子によって検出する。この場合、磁気検出素子は、互いに異なる複数軸方向の磁界を検出可能であるので、各軸の検出結果を組み合わせるなどにより、金属部材の通過のみならず、その通過方向をも検出することができ、また、複数の金属部材が連続して通過する場合など、検出誤差を生じ易い状況においても、これを確実に検出することができる。
また、金属部材の通過以外の要因で磁界が変化する場合も、金属部材の通過に伴う磁界の変化の態様とは異なる態様でこれを検出することができるので、不正行為として識別することができる。
しかも、これらを1個の磁気検出素子によって検出可能であり、小型化及びコスト低下を図ることができる。
【0010】
本発明の金属部材検出装置において、前記磁界発生手段は、前記通路に対峙する2組以上のN極とS極との組み合わせにより前記通路の側方にゼロ磁界領域を含む磁界を形成するものであり、前記磁界検出手段は、前記ゼロ磁界領域に前記磁気検出素子が配置されているとよい。
ゼロ磁界領域付近の磁界の勾配を大きくすることができるため、そのゼロ磁界領域に配置された磁気検出素子に対して、金属部材の通過による磁界の変化が大きくなり、金属部材の通過を高い感度で検出することができる。
【0011】
本発明の金属部材検出装置において、前記磁界発生手段は、磁石のN極及びS極にそれぞれヨークが接続され、これらヨークの端部が前記通路に対峙するとともに、前記端部間又はこれとは反対側の端部間に前記磁気検出素子が設けられているものとしてもよい。
磁力をヨークによって伝達することにより、通路に対する磁石又は磁気検出素子の配置の自由度が増し、限られたスペース内にコンパクトに配置することができる。複数の通路を有する場合にも、これら通路にヨークにより磁力を伝達することが可能になるなど、設計を容易にすることができる。
【0012】
磁気検出素子としては、リードスイッチ、ホール素子、磁気インピーダンス素子、またはMR素子、GMR素子、TMR素子等の磁気抵抗素子のいずれかを用いることができる。これらをX軸,Y軸,Z軸のうちの2軸方向あるいは3軸方向の磁界を検出可能なように組み合わせて一つの磁気検出素子として用いられる。磁気検出素子としてはIC一体型磁気センサがあり、このIC一体型磁気センサは小型化、薄肉化及び多軸化が容易であり、高周波発信回路等も不要であるので、制御のための回路基板も小型化することが容易である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の金属部材検出装置によれば、互いに異なる複数軸方向の磁界を検出可能な磁気検出素子により、金属部材の通過のみならず、その通過方向をも検出することができるとともに、検出誤差を生じることなく確実に検出することができ、また、不正行為の検出も可能であり、しかも、これらを1個の磁気検出素子によって検出可能で、小型化及びコスト低下を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の金属部材検出装置を示しており、(a)が平断面図、(b)が(a)のA−A線に沿う全体断面図、(c)が(a)のB−B線に沿う全体断面図である。
【図2】図1に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示すグラフであり、(a)がX軸方向、(b)がY軸方向、(c)がZ軸方向を示す。
【図3】第1実施形態の金属部材検出装置において金属部材の一部が孔内に配置された状態を示す図1同様の図である。
【図4】図3に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示す図2同様のグラフである。
【図5】第1実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔の貫通方向の中心位置に配置された状態を示す図1同様の図である。
【図6】図5に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示す図2同様のグラフである。
【図7】第1実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過し一部が孔内に残された状態を示す図1同様の図である。
【図8】図7に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示す図2同様のグラフである。
【図9】第1実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過する際の磁気検出素子の出力の時間変化を示すグラフであり、(a)がX軸方向、(b)がY軸方向、(c)がZ軸方向を示す。
【図10】図9に示すY軸方向とZ軸方向の出力の相関を示すグラフである。
【図11】本発明の第2実施形態の金属部材検出装置を示す図1(a)と同様の方向からの平断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態の金属部材検出装置を示す図1(a)と同様の方向からの平断面図である。
【図13】本発明の第4実施形態の金属部材検出装置を示す図1(a)と同様の方向からの平断面図である。
【図14】本発明の第5実施形態の金属部材検出装置を示す図1(a)と同様の方向からの平断面図である。
【図15】本発明の第6実施形態の金属部材検出装置を示しており、(a)が平断面図、(b)が(a)のA−A線に沿う全体断面図、(c)が(a)のB−B線に沿う全体断面図である。
【図16】第6実施形態の磁界発生手段及び磁気検出素子の組み合わせの斜視図である。
【図17】図15に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示すグラフであり、(a)がX軸方向、(b)がY軸方向、(c)がZ軸方向を示す。
【図18】第6実施形態の金属部材検出装置において金属部材の一部が孔内に配置された状態を示す図15同様の図である。
【図19】図18に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示す図17同様のグラフである。
【図20】第6実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔の貫通方向の中心位置に配置された状態を示す図15同様の図である。
【図21】図20に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示す図17同様のグラフである。
【図22】第6実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過し一部が孔内に残された状態を示す図15同様の図である。
【図23】図22に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示す図17同様のグラフである。
【図24】第6実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過する際の磁気検出素子の出力の時間変化を示すグラフであり、(a)がX軸方向、(b)がY軸方向及びZ軸方向を示す。
【図25】本発明の第7実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過し一部が孔内に残された状態を示す図18(c)と同様の方向からの拡大断面図である。
【図26】本発明の第8実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過し一部が孔内に残された状態を示す図18(c)と同様の方向からの拡大断面図である。
【図27】本発明の第9実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過し一部が孔内に残された状態を示す図18(c)と同様の方向からの拡大断面図である。
【図28】第9実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過する際の磁気検出素子の出力の時間変化を示すグラフであり、(a)がY軸方向、(b)がX軸方向及びZ軸方向を示す。
【図29】本発明の第10実施形態の金属部材検出装置を示しており、(a)が平断面図、(b)が(a)のA−A線に沿う全体断面図、(c)が(a)のB−B線に沿う全体断面図、(d)が(b)のC−C線に沿う全体断面図である。
【図30】図29に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示すグラフであり、(a)がX軸方向、(b)がY軸方向、(c)がZ軸方向を示す。
【図31】本発明の第11実施形態の金属部材検出装置を示す図15(a)と同様の方向からの拡大断面図であり、磁界発生手段については図32のE−E線に沿う断面を示す。
【図32】第11実施形態の金属部材検出装置における磁界発生手段と磁気検出素子との組み合わせの斜視図である。
【図33】本発明の第12実施形態の金属部材検出装置を示す図15(a)と同様の方向からの拡大断面図であり、磁界発生手段については図34のE−E線に沿う断面を示す。
【図34】第12実施形態の金属部材検出装置における磁界発生手段と磁気検出素子との組み合わせの斜視図である。
【図35】第12実施形態の金属部材検出装置において金属部材が孔を通過する際の磁気検出素子の出力の時間変化を示すグラフであり、(a)がX1軸方向、(b)がX2軸方向、(c)がY軸方向及びZ軸方向を示す。
【図36】本発明の第13実施形態の金属部材検出装置を示す図15(a)と同様の方向からの拡大断面図である。
【図37】第13実施形態の金属部材検出装置における磁界発生手段と磁気検出素子との組み合わせの斜視図である。
【図38】第13実施形態においての金属部材が孔を通過する際の磁気検出素子のX軸方向の出力の時間変化を示すグラフである。
【図39】本発明の第14実施形態の金属部材検出装置を示す図15(a)と同様の方向からの拡大断面図である。
【図40】第14実施形態の金属部材検出装置における磁界発生手段と磁気検出素子との組み合わせの斜視図である。
【図41】第14実施形態においての金属部材が孔を通過する際の磁気検出素子のX軸方向の出力の時間変化を示すグラフである。
【図42】本発明の第15実施形態の金属部材検出装置を示す図15(a)と同様の方向からの拡大断面図である。
【図43】第15実施形態の金属部材検出装置における磁界発生手段の一部と磁気検出素子との組み合わせの斜視図である。
【図44】図42に示す状態における磁気検出素子の外部磁界と出力との関係を示すグラフであり、(a)がX軸方向、(b)がY軸方向、(c)がZ軸方向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の金属部材検出装置をパチンコ玉を計数する装置に適用した実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図10は本発明の第1実施形態の金属部材検出装置1を示している。この金属部材検出装置1は、パチンコ玉(以下、金属部材という)2を通過させる孔(通路)3を有するケース4に、磁界発生手段5と磁界検出手段6とが設けられている。金属部材2は、強磁性体の鉄、コバルト、ニッケル又はこれらの合金から構成される。
【0016】
ケース4は、非磁性体により、図示例では金属部材2の直径の半分程度の厚さの扁平な直方体状に形成されており、その長さ方向の中間位置から片側半分(図1(a)(b)の上側半分)の領域内に、金属部材2よりも大きい内径(図示例では角を丸めた正方形断面)の孔3が厚さ方向に貫通している。このケース4は、パチンコ機械の中のパチンコ玉が通る通路に孔3が配置され、パチンコ玉が孔3を通るように組み込まれる。また、ケース4の長さ方向の中間位置に磁界発生手段5が設けられ、この中間位置を含んでケース4の残りの部分(図1(a)(b)の下側半分)の領域内に磁界検出手段6が設けられている。
磁界発生手段5は、一対の磁石7により構成され、ケース4の中間位置であって孔3の側方位置に配置され、両磁石7の異なる磁極が、孔3の平面視での中心線Lを挟んでこの中心線Lに直交する方向に対峙するように設けられている。図1等に示したように、ケース4の平面方向であって両磁石7の対峙方向をX軸、ケース4の長さ方向(図示した孔3の中心線Lに沿う方向)をZ軸、厚さ方向(孔3の貫通方向)をY軸とすると、両磁石7は、N極からS極へ向かう方向がX軸のプラス方向となるように対峙している。
【0017】
そして、これら磁石7の間で孔3の中心線L上に、磁気検出素子8が設けられている。この磁気検出素子8は、リードスイッチ、ホール素子、磁気インピーダンス素子、またはMR素子、GMR素子、TMR素子等の磁気抵抗素子のいずれかを用いることができる。これらをX軸、Y軸、Z軸のうちの2軸方向あるいは3軸方向の磁界を検出可能なように組み合わせて一つの磁気検出素子として用いられる。磁気検出素子としてはIC一体型磁気センサがあり、このIC一体型磁気センサは小型化、薄肉化及び多軸化が容易であり、高周波発信回路等も不要であるので、制御のための回路基板も小型化することが容易である。この実施形態では、磁気検出素子8は外部磁界に対して図2に実線で示す出力特性を有している。
また、この磁気検出素子8を介して孔3とは反対側の領域に、磁気検出素子8への電源回路及び磁気検出素子8からの出力の検出回路等を有する回路基板9が設けられ、回路基板9から外部に配線されている。これら磁気検出素子8と回路基板9とにより磁界検出手段6が構成される。この磁気検出素子8として、IC一体型磁気センサを用いることにより、小型化、薄肉化及び多軸化が容易になり、高周波発信回路等も不要になるので、回路基板9も小型化することが容易になる。
ケース4の付近に金属部材2が存在しない図1に示す状態では、図2の破線で示すように、磁気検出素子8には、両磁石7により作用する外部磁界によってX軸の出力がマイナス値(後述するように、この状態が最大値となる)となり、Y軸及びZ軸には出力が略ゼロ(外部磁界は略ゼロ)となる。
【0018】
金属部材2がY軸に沿って孔3をマイナス側からプラス側へ通過する場合について説明する。
図3に示すように、金属部材2の中心が孔3の貫通方向の中心位置(以下、ゼロ点という場合がある)MよりもY軸のマイナス側に配置され、金属部材2の一部を孔3の中に臨ませて配置された状態の場合は、両磁石7間の磁力線が図3の破線で示すように金属部材2に引き寄せられ、Y軸のマイナス方向及びZ軸のプラス方向に延ばされることから、磁気検出素子8におけるX軸の出力は、図4に示すように、金属部材2がない状態(図2に示す状態)と同じマイナスではあるが、金属部材2がない状態のときより絶対値が小さくなり、Y軸の出力はプラスとなり(外部磁界はマイナスとなる)、金属部材2がY軸のゼロ点(孔3の貫通方向の中間点)に近付くにしたがい絶対値が小さくなる。Z軸の出力はマイナスとなり(外部磁界はプラスとなる)、金属部材2がY軸のゼロ点に近付くにしたがい絶対値が大きくなる。
【0019】
そして、図5に示すように金属部材2の中心がY軸のゼロ点Mに一致した状態となると、両磁石7間の磁力線は図5の破線で示すように金属部材2に向けてZ軸のプラス方向に引き寄せられ、磁気検出素子8におけるX軸の出力は、図6に示すようにマイナス(外部磁界はプラス)で、絶対値としては図4に示す状態よりもさらに小さくなる。Y軸においては外部磁界が略ゼロとなるので、出力も略ゼロとなる。Z軸においては外部磁界はプラスであり、出力はマイナスで絶対値としては最大となる。
【0020】
次に、図7に示すように金属部材2の中心がY軸のプラス側に配置され、金属部材2がまだ孔3の中に一部残された状態の場合は、図7に破線で示すように磁力線がY軸のプラス方向及びZ軸のプラス方向に引っ張られる。このため、磁気検出素子8におけるX軸の出力は、図8に示すように、マイナス(外部磁界はプラス)であり、その絶対値は金属部材2の中心が孔3の貫通方向の中心位置Mにあるとき(図5及び図6に示す状態)よりも大きくなるが、金属部材2が孔3内にない状態のとき(図1及び図2に示す状態)より小さい値となる。Y軸においては、金属部材2の中心が孔3の貫通方向の中心MよりもY軸のマイナス側に配置されている状態に対して、外部磁界の符号が反転してプラスとなり、出力もマイナスに反転する。Z軸においては、外部磁界はプラスであり、出力はマイナスとなる。金属部材2がY軸のゼロ点Mから離れるにしたがってZ軸の出力の絶対値は漸次小さくなる。
【0021】
以上の一連の状態での磁気検出素子8の出力の時間変化を軸毎にグラフにすると、図9に示すようになる。この図9において横軸が、金属部材2が孔3内を通過する際の時間の変化(言い換えればY軸上の金属部材2の位置の変化)を示しており、両端位置(t1,t5)は金属部材2が孔3の付近にない状態のときであり、中間位置(t3)が孔3の貫通方向の中心位置Mに一致したゼロ点位置である。t2は図3及び図4に示す状態、t4は図7及び図8に示す状態をそれぞれ示している。
この図9から明らかなように、X軸の出力は、金属部材2の位置にかかわらず常にマイナスで、金属部材2が孔3の付近にない状態(t1,t5)のときに絶対値としては最大であり、金属部材2がY軸のゼロ点Mに一致したとき(t3)に絶対値として最小になる。
Y軸においては、金属部材2がゼロ点Mに一致したとき(t3)において出力ゼロとなり、ゼロ点Mを境に符号が反転する。
Z軸においては、常にゼロ以下の出力であり、金属部材2がゼロ点Mに一致したとき(t3)において絶対値が最大になる。
【0022】
これらX軸、Y軸、Z軸の各出力には相関があり、そのうち、Y軸の出力とZ軸の出力との関係を二次元のグラフで表示したのが図10である。この図10に示されるように、出力の変化が実線の時計まわりの方向に生じている場合は、金属部材2が孔3をY軸のマイナス側からプラス側に通過しており、逆に反時計まわりの方向に出力が変化している場合は、金属部材2はY軸のプラス側からマイナス側に通過している。つまり、この出力変化が時計まわりと反時計まわりとのどちらの方向に生じているかによって、金属部材2が孔3をどの方向に通過しているかを識別することができる。このため、例えば、孔3内で金属部材2が跳ね返るなどにより、2回以上通過する、いわゆるチャタリング現象が生じる場合にも、通過方向を検出可能であるので、短時間の間に通過方向が反転することが検知され、チャタリング現象として識別することができる。
そして、このようなX軸、Y軸、Z軸の相関を用いて磁界検出することにより、磁気検出素子を複数個用いることなく、1個の磁気検出素子8により誤動作をも低減して、金属部材2の通過を正確に検出することができる。
【0023】
図10の破線は、磁気検出素子8の検出感度や磁界発生手段5による磁界の強度のばらつき、これら磁気検出素子8や磁界発生手段5の両磁石7の設置誤差を考慮したばらつきの範囲を示しており、磁気検出素子8からの出力値がこの破線で囲まれる領域S内にあるときのみ、金属部材2が孔3を通過したと検出して計数することにより、誤った計数を防止することができる。
また、磁気検出素子8からの出力値がこの破線で囲まれる領域Sの外の領域P又は領域Qのいずれかにある場合は、装置の異常か不正行為によるものと判断できる。外部から磁石等を用いた不正行為が行われる場合は、金属部材検出装置1における磁界発生手段5による磁界に加えて、外部からの磁界が加算されるため、磁気検出素子8の出力が破線で囲まれる領域Sから外れた領域P又は領域Qに存在することとなり、これにより不正行為が行われたと判定することができる。
なお、図10にはY軸とZ軸との相関について示しているが、さらにX軸とY軸、X軸とZ軸、あるいはX軸とY軸とZ軸との相関についても判定に用いるようにしてもよく、検出精度をさらに高めることができる。
【0024】
なお、以上の実施形態では、磁気検出素子8を3軸方向の磁気検出が可能なものとし、X軸、Y軸、Z軸のすべてについて磁気検出したが、第1実施形態では、X軸方向の出力は、その方向は変わらずに絶対値が変化するだけであるので、Y軸とZ軸の2軸方向の磁気検出のみとしてもよい。Y軸方向の出力は前述したように金属部材2の通過によって方向が反転し、Z軸の出力は金属部材2がない状態ではゼロであるので、いずれも識別し易く、2軸のみを検出することとしても誤検出が生じにくい。
【0025】
図11〜図14は第1実施形態から変形した本発明の金属部材検出装置の他の実施形態を示している。これらの図中、第1実施形態と共通する要素には同一の符号を付して説明を簡略化する。
図11に示す第2実施形態の金属部材検出装置11は、金属部材2が通過する孔12を略円形にし、磁界発生手段13の両磁石7を孔12の周方向に沿うように配置したものである。両磁石7は図11に示す姿勢では逆ハの字状に配置され、その間に磁界検出手段6の磁気検出素子8が設けられる。
図12に示す第3実施形態の金属部材検出装置15は、磁界発生手段16の両磁石7が孔12の両側に配置されることにより、孔12を介して径方向に対峙しており、これら磁石7の間に磁界検出手段6の磁気検出素子8が配置されている。
【0026】
図13に示す第4実施形態の金属部材検出装置21は、磁界発生手段22として、孔3の両側から孔3を介して対峙するように配置された両磁石7が、軟磁性体からなるヨーク23よって接続された構成とされており、磁界が外部に放散しないようにして、孔3内への磁界の強度を高めたものである。図示例のように略正方形の孔3に対しても、その四隅にまで磁界を及ぼすことができる。
図14に示す第5実施形態の金属部材検出装置25は、略円形の孔12の周囲の大部分を囲むように磁界発生手段26としてC字型に湾曲した磁石を配置し、そのC字の開口端部間であって磁力線がX軸に略平行になる領域に磁界検出手段6の磁気検出素子8が設けられたものである。
【0027】
図15〜図24は本発明の第6実施形態の金属部材検出装置31を示している。この金属部材検出装置31は、これまで述べてきた各実施形態と同様に、金属部材2を通過させる孔(通路)3を有する扁平直方体状のケース4に、その孔3の側方に配置されるように磁界発生手段32と磁界検出手段33とが設けられているが、その磁界発生手段32が4個の磁石7を有しており、これら4個の磁石7により構成されるN極とS極との2組ずつの磁極が孔3に向けて対峙して配置されるとともに、これら四つの磁極が同一平面上で略正方形の四隅に交互に配置されていることにより、ゼロ磁界領域を含む磁界が形成される。そして、そのゼロ磁界領域に磁気検出素子8が配置されている。
【0028】
すなわち、4個の磁石は、図16に示すように、大きさはいずれも同じ棒状に形成され、略正方形の四隅に相互に平行にかつ両端の磁極をそれぞれ平面上に揃えて配置されており、その一方の平面上に配置される磁極は、正方形の対角線のうちの一方の対角線上の両隅部にN極が配置され、この対角線とは異なる対角線上の両隅部にS極が配置されている。そして、これら四つの磁極により構成される正方形の面が孔3の径方向と直交するように、これら四つの磁極が孔3に向けて対峙して配置され、正方形の中心、つまり四つの磁極の両対角線の交点に磁気検出素子8が設けられている。これら4個の磁石7は、各N極から各S極に向かう磁力線が図15(c)に破線で示すように形成され、磁気検出素子8が配置されている対角線の交点では、N極からS極に向かう磁力線が打ち消し合うことにより、ゼロ磁界領域となる。したがって、金属部材2がない状態においては、このゼロ磁界領域に配置された磁気検出素子8の出力は、図17に示されるようにX軸、Y軸、Z軸ともゼロとなる。
なお、この実施形態では、各磁極により形成される正方形の各辺が孔3の貫通方向(Y軸方向)及びこれに直交する方向(X軸方向)に沿って配置されている。
【0029】
この第6実施形態の金属部材検出装置31において、金属部材2がY軸に沿って孔3をマイナス側からプラス側へ通過する場合について説明する。
図18に示すように、金属部材2の中心が孔3の厚さ方向の中心位置MよりもY軸のマイナス側に配置され、金属部材2の一部が孔3の中に臨ませられて配置された状態の場合は、磁力線が図18(c)の破線で示すように金属部材2に引き寄せられる。これにより、孔3の貫通方向に直交して配置されている各組の磁極のうち、金属部材2に近い位置(図18(c)では下側位置)の両磁極間に形成される磁力線(X軸のマイナス方向に向かう磁力線)が磁気検出素子8上から離れる方向に移動し、金属部材2から遠い位置(図18(c)では上側位置)の両磁極間に形成される磁力線(X軸のプラス方向に向かう磁力線)が磁気検出素子8上を通るようになる。このため、磁気検出素子8におけるX軸方向の外部磁界はプラス側に強くなり、図19に示すように、その出力がマイナス側に変化する。Y軸方向の磁界は磁気検出素子8上では打ち消し合った状態が維持されるため、磁気検出素子8のY軸方向の出力はゼロのままである。Z軸方向の磁界も変化なく、出力はゼロである。
【0030】
そして、図20に示すように金属部材2の中心がY軸のゼロ点(孔3の貫通方向の中間点)Mに一致した状態となると、前述した磁力線の変位もなくなって元の状態に戻り、図21に示すように、磁気検出素子8のX軸方向の出力はゼロとなる。Y軸、Z軸の出力は依然としてゼロのままである。
次に、図22に示すように金属部材2の中心がY軸のプラス側に配置され、金属部材2の一部が孔3内に残された状態となると、図18(C)の状態のときとは逆方向に磁力線が引張られることから、図22(c)の上側位置の両磁極間の磁力線が磁気検出素子8上から離れ、下側位置の両磁極7間の磁力線が磁気検出素子8上に配置される。したがって、磁気検出素子8におけるX軸方向の外部磁界はマイナス側に強くなり、図23に示すように、その出力がプラス側に変化する。Y軸、Z軸方向の出力はゼロである。
【0031】
以上の一連の状態での磁気検出素子8の出力の時間変化を軸毎にグラフにしたのが、図24(a)(b)であり、この図において横軸が金属部材2のY軸上の位置を示しており、両端位置は金属部材2が孔3の付近にない状態のときであり、中間位置が孔3の貫通方向の中心位置Mに一致したゼロ点である。
この図から明らかなように、X軸の出力は、孔3の付近に金属部材2がない状態(t1,t5)、及び孔3の貫通方向の中心位置Mに金属部材2の中心が配置された状態(t3)において、略ゼロとなり、その前後(t2、t4)で出力が反転している。Y軸及びZ軸の出力は、金属部材2の位置にかかわらず略ゼロである。
X軸方向の出力が反転するので、金属部材2が通過する際の方向も判別し易い。また、Y軸、Z軸においては、金属部材2の通過では出力が略ゼロであるので、略ゼロ以外の何らかの出力が検知される場合は、不正行為と判定することができる。
【0032】
図25〜図27は第6実施形態から変形した本発明の金属部材検出装置の他の実施形態を示している。これらの図は、第6実施形態の図18(C)に対応する断面図であり、同図(a)(b)に対応する図は掲載しないが、必要に応じて図18を参照する。また、第6実施形態と共通する要素には同一の符号を付して説明を簡略化する。
図25に示す第7実施形態の金属部材検出装置は、磁界発生手段35が略角筒状の磁石からなり、その四隅部がN極とS極とに着磁され、第6実施形態の磁界発生手段32と同様に、N極とS極との2組ずつが孔3に向けて対峙して配置される(図18参照)とともに、これら四つの磁極が同一平面上で略正方形の四隅に交互に配置されていることにより、ゼロ磁界領域を含む磁界が形成され、そのゼロ磁界領域に磁気検出素子8が配置されている。
金属部材2の通過に伴う磁界の変化、磁気検出素子8の出力変化は、図15〜図24にて説明した第6実施形態と同様、X軸方向についてのみ変化し、図24(a)(b)と同様の出力線図となる。この第7実施形態の場合は、略角筒状の磁石(磁界発生手段35)により四つの磁極の位置関係がずれることがなく、設置誤差等を生じにくい。略角筒状としたが、円環状の磁石として、周方向に90°毎に交互に着磁させた構成としてもよい。
【0033】
図26に示す第8実施形態の金属部材検出装置は、4個の磁石7の一端を板状のヨーク41の片面に固定して磁界発生手段42としており、各磁石7の他端により構成される四つの磁極を孔3に向けて配置する(図18参照)ことにより、孔3の付近に磁界を集中して発生させ、孔3内の磁束密度を高めるようにしている。
金属部材の通過に伴う磁界の変化、磁気検出素子8の出力変化の傾向は、図24(a)(b)に示されるものと同様である。
【0034】
図27に示す第9実施形態の金属部材検出装置は、第6実施形態における磁界発生手段32に対して、略正方形の四隅に配置された磁石7の位置をXY平面内で45°回転させた磁界発生手段45としたものである。
この第9実施形態の場合は、第6〜第8実施形態の場合とは異なり、図28に示すように、磁気検出素子8の出力はY軸方向においてのみ変化し、X軸方向及びZ軸方向においては略ゼロの出力が維持される。出力の軸方向が第6〜第8実施形態のものと異なるだけであり、Y軸方向の出力は金属部材2が孔3の貫通方向の中心位置を通過する際(t3)に反転するので、金属部材2が通過する際の方向も判別し易いし、また、X軸、Z軸においては、金属部材2の通過では出力が略ゼロであるので、略ゼロ以外の何らかの出力が検知される場合は、不正行為と判定することができる。
【0035】
図29及び図30は本発明の第10実施形態の金属部材検出装置を示している。この金属部材検出装置51においては、ケース52が厚肉の直方体状に形成され、そのケース52に、90°異なる方向に二つの孔53,54が形成されている。図示例では、第1の孔53がY軸方向に沿って設けられ、第2の孔54がX軸方向に沿って設けられている。そして、これら第1の孔53及び第2の孔54の間に、磁界発生手段55と磁界検出手段6の磁気検出素子8とが設けられている。磁界発生手段55は、第6実施形態と同様に、4個の磁石7を有しており、各磁石7の一方の磁極を第1の孔53に向け、他方の磁極を第2の孔54に向けて配置している。また、これら磁石7は略正方形の四隅に配置され、N極及びS極の2組ずつが各孔53,54に向けて配置されるとともに、これら四つの磁極が同一平面上で略正方形の四隅に交互に配置されていることにより、ゼロ磁界領域を含む磁界が形成され、そのゼロ磁界領域に磁気検出素子8が配置されている。
【0036】
この磁界発生手段55は、第1の孔53と第2の孔54のそれぞれに磁界を作用させることができ、各孔53,54に金属部材2が通過することにより、その磁界が変化するが、第1の孔53はY軸方向に沿って形成されていることから、金属部材2の通過により第6実施形態と同様にX軸方向の外部磁界が変化し、磁気検出素子8はX軸の出力が変化する。Y軸方向及びZ軸方向の出力は略ゼロに維持される。一方、第2の孔54はX軸方向に沿って形成されていることから、金属部材2の通過によりY軸方向の外部磁界が変化し、磁気検出素子8はY軸の出力が変化する。X軸方向及びZ軸方向の出力は略ゼロに維持される。図29では、金属部材2がそれぞれの孔53,54内を通過する状態を示しており、この状態では、図30に示すようにX軸方向及びY軸方向にそれぞれマイナスの出力が生じ、Z軸方向には出力はゼロとなる。
したがって、金属部材2が第1の孔53又は第2の孔54を通過することにより、磁気検出素子8のX軸方向又はY軸方向のいずれかの出力が変化し、いずれの軸方向の出力が変化するかによって金属部材2がどの孔を通過したかを判断することができる。
【0037】
図31及び図32は本発明の第11実施形態の金属部材検出装置を示している。この金属部材検出装置61においては、磁界発生手段62が、一つの磁石7の各極にそれぞれヨーク63,64の中間部が接続固定され、これらヨーク63,64の両端部により構成される2組のN極とS極とにより、第6実施形態の磁界発生手段のようなゼロ磁界領域を含む磁界が形成されるようになっている。すなわち、各ヨーク63,64は、細幅の帯板部65の両端片面に、一対の同じ大きさの直方体ブロック状の端部部材66が同一方向に向けて一体に形成されており、帯板部65の中間部が磁石7の一つの極に接続固定されることにより、両端部部材66が同極に形成されている。この場合、一方のヨーク63の端部部材66は他方のヨーク64の端部部材66よりも磁石7の長さ分、長く形成されている。
【0038】
そして、二つのヨーク63,64が磁石7の各極に90°ずれて固定されることにより、これらヨーク63,64の端部部材66の一端により形成されるN極とS極とが2組ずつ同一平面上で略正方形の四隅に交互に配置され、正方形の中心位置をゼロ磁界領域とする磁界が形成される。そして、これら2組のN極とS極とが孔3に向けて配置され、ゼロ磁界領域に磁気検出素子8が配置されている。
第6実施形態では4個の磁石を配置してゼロ磁界領域を含む磁界を形成したが、この第11実施形態では1個の磁石7と2個のヨーク63,64との組み合わせにより、ゼロ磁界領域を含む磁界を形成することができる。
金属部材2の通過に伴う磁界の変化、磁気検出素子8の出力変化は、図15〜図24にて説明した第6実施形態と同様、X軸方向についてのみ変化し、図24(a)(b)と同様の出力線図となる。
【0039】
図33〜図35は本発明の第12実施形態の金属部材検出装置を示している。この金属部材検出装置71は、ケース72に同じ大きさの二つの孔73,74が並んで形成されており、これら孔73,74の間に磁界発生手段75が設けられている。この磁界発生手段75は、第11実施形態の磁界発生手段と同様に2個のヨーク76,77を備えているが、第11実施形態においてはヨークが帯板部の片面側の同一方向に端部部材を向けて構成されていたのに対して、各ヨーク76,77とも、帯板部78の両端に同じ長さの直方体ブロック状の端部部材79の中間部が固定され、その端部部材79の両端部に磁極が形成され、各孔73,74にそれぞれ対峙している。そして、二つのヨーク76,77が磁石7の各極に90°ずれて固定されていることにより、これらヨーク76,77の端部部材79の両端部に、同一平面上で略正方形の四隅に配置された2組のN極とS極との組み合わせによりゼロ磁界領域を含む磁界がそれぞれ形成される。磁界検出手段80は、二つの磁気検出素子8を備えており、各磁気検出素子8が、端部部材79の両端部の各磁極間に形成されるゼロ磁界領域に配置されている。ここで、各磁極が端部部材79の両端によって形成されるが、N極になるかS極になるかは磁界発生手段75と各ヨークとの設計による。ここでは、図34に示すように各磁極が形成され、N極とS極との組み合わせは、一方の孔73に対して他方の孔74には反転した位置関係で対峙することとする。
【0040】
この金属部材検出装置71においては、二つの磁気検出素子8によりそれぞれの孔73,74内の金属部材の通過を検出するものであり、金属部材の通過によりそれぞれX軸方向の出力が変位する。このX軸方向において、一方の孔73に対してはX1軸方向、他方の孔74に対してはX2軸方向として、金属部材の通過による磁気検出素子8の出力の変化をグラフに表示すると、各孔73,74に対峙する磁極の配置が反転した状態となるため、一方の孔73における通過を検出する磁気検出素子8においては、金属部材がY軸方向にマイナス側からプラス側に通過する(図33の紙面を貫通する方向に表面側から裏面側に通過する)ことにより、図35(a)に示すようにマイナスからプラスに変化するが、他方の孔74の磁気検出素子8においては同じ方向に金属部材が通過すると同図(b)に示すようにプラスからマイナスに変化する。Y軸方向及びZ軸方向にはいずれの磁気検出素子8も出力はゼロが維持される。
【0041】
図36〜図38は本発明の第13実施形態の金属部材検出装置を示している。この金属部材検出装置81においては、磁界発生手段82は、1個の磁石7の両端に帯板状のヨーク83の中間部がそれぞれ固定されており、両ヨーク83が平行に配置されていることにより、磁石7とヨーク83とによりH字状をなすように構成されている。そして、両ヨーク83の一端部が孔3に対峙するように配置され、他端部間に磁気検出素子8が設けられている。
この第13実施形態では、図38に磁気検出素子8のX軸方向の出力の時間変化を示したように、孔3内に金属部材が存在しない状態(t1,t5)では、磁気検出素子8にはX軸方向のマイナスの漏洩磁束(外部磁界)によりプラスの出力が生じる。そして、金属部材の通過に伴い、磁界が孔3内の金属部材側に偏り、磁気検出素子8上の磁界が弱められ、その出力は低下する。金属部材が孔3の貫通方向の中心位置に達する(t3)と、この金属部材とヨーク83との間で磁気回路が構成されるので、磁気検出素子8上の磁界は略ゼロになる。
【0042】
図39〜図41は本発明の第14実施形態の金属部材検出装置を示している。この金属部材検出装置91は、その磁界発生手段92に、第13実施形態のヨークに比べて短いヨーク93が用いられ、これらヨーク93が磁石7の片側にのみ突出するように固定され、その突出端部が孔3に対峙して配置されている。また、磁石7に対してヨーク93の突出端部とは反対側に磁気検出素子8が配置され、この磁気検出素子8の背面側(磁界発生手段92の磁石7とは反対側)に磁界発生手段92の磁石7よりも磁気検出素子8に近接して補助磁石94が設けられている。この補助磁石94は、磁界発生手段92の磁石7よりも弱い磁力に設定されるが、磁界の方向が磁界発生手段92の磁石7とは逆方向となっており、磁気検出素子8に近いために、孔3内に金属部材がない状態では、磁気検出素子8に作用する磁束は磁界発生手段92の磁石の漏洩磁束と略等しい大きさとなっている。
したがって、第13実施形態では、孔3内に金属部材がない状態のときには磁気検出素子の出力が最大になっていたが、第14実施形態では、図41にX軸方向の出力の時間変化を示したように、補助磁石94のバイアス磁界により、孔3内に金属部材がない状態のときに磁気検出素子8上の外部磁界が略ゼロで、その出力が略ゼロとなり、金属部材が孔3の貫通方向の中心位置を通過する際に最大になる。
【0043】
図42〜図44は本発明の第15実施形態の金属部材検出装置を示している。この金属部材検出装置101は、ケース102に第1の孔103、第2の孔104、第3の孔105の3個の孔が並列に形成されており、各孔103〜105の近傍に第13実施形態の磁界発生手段と類似する構成をなす磁石7と一対のヨーク106〜108とからなるH字形の磁界発生手段が109〜111が設けられ、各ヨーク106〜108の一端部が各孔103〜105に対峙させられている。また、中央の孔(第2の孔)104の近傍に配置されている磁界発生手段110のヨーク107の他端部間に磁気検出素子8が設けられている。この場合、中央の磁界発生手段110のヨーク107は、磁気検出素子8をZ軸方向に挟むように配置されており、左右の孔(第1の孔103及び第3の孔105)の近傍に配置されている磁界発生手段109,111のヨーク106,108の他端部(孔に対峙している端部とは反対側の端部)には、さらに延長部112がそれぞれ固定され、これら延長部112が中央の磁界発生手段110のヨーク107に対して磁気検出素子8を異なる方向から挟むように配置されている。図示例では、第1の孔103の近傍の磁界発生手段109のヨーク106の延長部112は磁気検出素子8をY軸方向(図42の紙面に直交する方向)に挟んでおり、第3の孔105の近傍の磁界発生手段111のヨーク108の延長部112は磁気検出素子8をX軸方向に挟んでいる。
【0044】
この金属部材検出装置101においては、第1の孔103に金属部材が通過した場合に、Y軸方向の外部磁界の変化により磁気検出素子8にはY軸方向の出力が変化し、第2の孔104に金属部材が通過した場合は、Z軸方向の外部磁界の変化により磁気検出素子8にはZ軸方向の出力が変化し、第3の孔105に金属部材が通過した場合は、X軸方向の外部磁界の変化により磁気検出素子8にはX軸方向の出力が変化する。いずれの軸方向の出力が変化したかにより、どの孔103〜105を金属部材が通過したかを検出することができ、各孔103〜105に対する金属部材の通過を独立して検出することができ、これを1個の磁気検出素子8によって検出することができる。
なお、各孔103〜105の向きは、相互に平行に配置したが、90°ずれた配置としてもよい。
【0045】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、各実施形態とも金属部材が孔を通過するものとして示したが、孔に限らず、樋状の通路や平面状の通路を通過する場合にも本発明の金属部材検出装置を適用することができる。
また、金属部材としてはパチンコ玉を例示したが、パチンコ玉のような球状のものに限らず、ブロック状、板状等、種々の形状のものに適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…金属部材検出装置、2…パチンコ玉(金属部材)、3…孔(通路)、4…ケース、5…磁界発生手段、6…磁界検出手段、7…磁石、8…磁気検出素子、9…回路基板、11…金属部材検出装置、12…孔、13…磁界発生手段、15…金属部材検出装置、16…磁界発生手段、21…金属部材検出装置、22…磁界発生手段、23…ヨーク、25…金属部材検出装置、26…磁界発生手段、31…金属部材検出装置、32…磁界発生手段、33…磁界検出手段、35…磁界発生手段、41…ヨーク、42…磁界発生手段、45…磁界発生手段、51…金属部材検出装置、52…ケース、53,54…孔、55…磁界発生手段、61…金属部材検出装置、62…磁界発生手段、63,64…ヨーク、71…金属部材検出装置、72…ケース、73,74…孔、75…磁界発生手段、76,77…ヨーク、80…磁界検出手段、81…金属部材検出装置、82…磁界発生手段、83…ヨーク、91…金属部材検出装置、92…磁界発生手段、93…ヨーク、94…補助磁石、101…金属部材検出装置、102…ケース、103,104,105…孔、106,107,108…ヨーク、109,110,111…磁界発生手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部材が通過する通路の側方に、磁界発生手段と、前記金属部材が前記通路を通過する際に生じる前記磁界発生手段からの磁界の変化を検出する磁界検出手段とを備え、前記磁界検出手段は、互いに異なる複数軸方向の磁界を検出可能な磁気検出素子を有していることを特徴とする金属部材検出装置。
【請求項2】
前記磁界発生手段は、前記通路に対峙する2組以上のN極とS極との組み合わせにより前記通路の側方にゼロ磁界領域を含む磁界を形成するものであり、前記磁界検出手段は、前記ゼロ磁界領域に前記磁気検出素子が配置されていることを特徴とする請求項1記載の金属部材検出装置。
【請求項3】
前記磁界発生手段は、磁石のN極及びS極にそれぞれヨークが接続され、これらヨークの端部が前記通路に対峙するとともに、前記端部間又はこれとは反対側の端部間に前記磁気検出素子が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の金属部材検出装置。
【請求項1】
金属部材が通過する通路の側方に、磁界発生手段と、前記金属部材が前記通路を通過する際に生じる前記磁界発生手段からの磁界の変化を検出する磁界検出手段とを備え、前記磁界検出手段は、互いに異なる複数軸方向の磁界を検出可能な磁気検出素子を有していることを特徴とする金属部材検出装置。
【請求項2】
前記磁界発生手段は、前記通路に対峙する2組以上のN極とS極との組み合わせにより前記通路の側方にゼロ磁界領域を含む磁界を形成するものであり、前記磁界検出手段は、前記ゼロ磁界領域に前記磁気検出素子が配置されていることを特徴とする請求項1記載の金属部材検出装置。
【請求項3】
前記磁界発生手段は、磁石のN極及びS極にそれぞれヨークが接続され、これらヨークの端部が前記通路に対峙するとともに、前記端部間又はこれとは反対側の端部間に前記磁気検出素子が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の金属部材検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図2】
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【図4】
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【図16】
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【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【公開番号】特開2013−81520(P2013−81520A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221813(P2011−221813)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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