説明

鉄骨柱の柱脚固定構造

【課題】厚板のベースプレートや、鉄骨柱への突き合せ溶接を不要とし、かつ、地震エネルギーを縦リブまたはアンカーボルトの降伏変形によって吸収するようにした鉄骨柱の柱脚固定構造を提供すること。
【解決手段】鉄骨柱1の脚部の周側面に、アンカーボルト挿通部8を有する縦リブ2が前記鉄骨柱1の周方向に間隔をおいて複数配置されていると共に、前記各縦リブ2の先端部が鉄骨柱1に固定され、基礎コンクリート10に固定されたアンカーボルト11を、前記縦リブ2におけるアンカーボルト挿通部8に挿通してナット12により縦リブ2を固定することで、鉄骨柱の柱脚をこれに固定された縦リブ2と、基礎コンクリート10に固定されたアンカーボルト11を介して基礎コンクリート10に定着し、鉄骨柱1に作用する引張応力を、ベースプレート9を介さずに縦リブ2とアンカーボルト11を介して基礎コンクリート10に伝達させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨柱に縦リブを設けて、基礎に固定する鉄骨柱の柱脚固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な柱脚構造としては、(1)図15に示す柱脚の固定度を高めた柱脚固定構造の場合、あるいは(2)図16に示すピン固定と仮定するようなピン柱脚の柱脚構造とする場合等のいずれの場合にも、鉄骨柱1の下面には、アンカーボルト挿通孔30aを有する鋼製厚板からなるベースプレート30が溶接接合されており、コンクリート製基礎10に埋込み固定されたアンカーボルト31を、ベースプレート30のアンカーボルト挿通孔30aに挿通させて、座金およびナット35で固定する構造が知られている。
前記(1)の場合には、ベースプレート30には、鉄骨柱1からの力(圧縮力あるいは引張力)を全部伝達させる必要が有り、またアンカーボルト31の引張に負けない強度が必要になり、厚板となる。
【0003】
前記のような厚板のベースプレート30を備えているために、下記(a)のような溶接接合の特徴を有していると共に、下記(b)(c)のような欠点を有している。
(a)柱鉄骨1とベースプレート30の接合は、柱全断面を完全溶込み溶接している。
(b)アンカーボルト31からベースプレート30は、曲げ力を受ける構造であるので、ベースプレート30の板厚が非常に厚くなる欠点がある。
(c)ベースプレート30もアンカーボルト31も強く剛性が高いので、鉄骨柱部分が塑性化(壊れる)してしまうという欠点がある。
【0004】
前記従来の(c)を回避するために、鉄骨柱とベースプレートとの間に設けた板状の鋼板縦リブを介在させ、アンカーボルトまたはベースプレートあるいは板状の鋼板縦リブを鉄骨柱よりも先に塑性化させて、鉄骨柱の塑性化を防止することが知られている。例えば、そのような柱脚構造として、図17に示すように、せん断降伏により鉄骨柱1に作用する引張力を吸収するようにしたベースプレートダンパがあり、この構造は、鉄骨柱1に板状の鋼板縦リブ32を固定し、その板状の鋼板縦リブ32をせん断プレートとして機能させ、その鋼板縦リブ32に支持プレート33を固着し、その支持プレート33の基端部をベースプレート30に固定し、前記板状の鋼板縦リブを、図17(c)に示すように、先にせん断降伏により塑性化させて、鉄骨柱の塑性化を防ぐ考え方は知られている(例えば、特許文献1参照)。
ただし、いずれの技術の場合も、厚板による曲げ剛性の高いベースプレート30を用い、鉄骨柱1にベースプレート30または鋼板縦リブを固定した支持プレートを突合せ溶接による強固な溶接固定手段により固定し、柱側が浮き上がる場合にベースプレート30に曲げ力を負担させる構造であるベースプレート型であり、上記(a)(b)のデメリットを有する。
【特許文献1】特開2004−92096号公報
【非特許文献1】平成17年9月1日 社団法人 日本建築物学会発行、鋼構造設計基準(解説)P118
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来のような厚板のベースプレートや、鉄骨柱への突き合せ溶接を不要にするとともに、鉄骨柱に作用する力を低減して地震時の構造安全性の確保を容易にした鉄骨柱の柱脚固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明の鉄骨柱の柱脚固定構造においては、鉄骨柱の脚部周側面に、縦リブが前記鉄骨柱の周方向に間隔をおいて複数配置されていると共に、前記各縦リブの側面が鉄骨柱に固定され、基礎コンクリートに固定されたアンカーボルトを縦リブと固定することで、鉄骨柱の柱脚をこれに溶接接合された縦リブと、基礎コンクリートに固定されたアンカーボルトを介して基礎コンクリートに定着し、鉄骨柱に作用する引張応力を、ベースプレートを介さずに縦リブとアンカーボルトを介して基礎コンクリートに伝達させるようにしたことを特徴とする。
また、第2発明では、第1発明の鉄骨柱の柱脚固定構造において、縦リブは、アンカーボルト挿通部を有しており、前記アンカーボルト挿通部にアンカーボルトを挿通しナットにより固定されていることを特徴とする。
また、第3発明では、第1または第2発明の鉄骨柱の柱脚固定構造において、鉄骨柱の曲げ降伏および基礎コンクリートの押し込みによる破壊よりも先に、前記縦リブをせん断降伏させ、鉄骨柱に上下方向の変位が生じた際に前記縦リブの降伏変形によるエネルギー吸収によって、鉄骨柱に作用する引張力あるいは圧縮力を低減させることを特徴とする。
また、第4発明では、第1または第2発明の鉄骨柱の柱脚固定構造において、鉄骨柱の曲げ降伏および基礎コンクリートの押し込みによる破壊よりも先に、アンカーボルトを引張降伏させ、鉄骨柱に上下方向の変位が生じた際に前記アンカーボルトの降伏変形によるエネルギー吸収によって鉄骨柱に作用する引張力あるいは圧縮力を低減させることを特徴とする。
また、第5発明では、第3発明の柱脚固定構造において、前記縦リブの横方向先端部が、上記縦リブと直角をなす接続プレートに隅肉溶接され、接続プレートが鉄骨柱に横方向に嵌合接合またはボルト接合されることを特徴とする。
また、第6発明では、第4発明の柱脚固定構造において、上記アンカーボルトが、接続用の雌ねじカプラを介して基端側のアンカーボルトと上端側のアンカーボルトにより構成されていることを特徴とする。
また、第7発明では、第1〜第6発明の柱脚固定構造において、上記縦リブは、鋼板を断面U字状に折り曲げて、左右両側に間隔をおいて縦側板を有すると共にこれらを接続する接続部を有する立体形縦リブであり、前記各縦側板間の間隙により、アンカーボルト挿通部が形成されていることを特徴とする。
また、第8発明では、第7発明の柱脚固定構造において、前記立体縦リブは、左右両側に間隔をおいて縦側板を有すると共にこれらの側部を接続する接続部を有する横断面がU字状の立体形縦リブであり、各縦側板の横方向の先端部が鉄骨柱または鉄骨柱との接続用プレートに隅肉溶接により固定されていることを特徴とする。
また、第9発明では、第7発明の柱脚固定構造において、前記立体縦リブは、左右両側に間隔をおいて縦側板を有すると共にこれらの上部を接続する接続部を有する縦断面がU字状の立体形縦リブであり、各縦側板の横方向の側端部が鉄骨柱または鉄骨柱との接続用プレートに隅肉溶接により固定されていることを特徴とする。
また、第10発明では、第1〜第6発明の柱脚固定構造において、上記アンカーボルト挿通部を有する縦リブに挿通されたアンカーボルトを、前記アンカーボルトに間隔をおいてねじ込み配置されていると共に、前記立体縦リブの上面側および下面側にそれぞれ配置されたナットにより固定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によると、鉄骨柱に縦リブを固定し、アンカーボルトに縦リブを固定するようにしたので、鉄骨柱に作用する引張応力を、ベースプレートを介さずに縦リブとアンカーボルトを介して基礎コンクリートに伝達させることができ、ベースプレートに曲げ応力を負担させる必要のない構造となるので、従来の鉄骨柱脚構造のように、厚板のベースプレートを使用する必要がなく、必要に応じ、薄板のベースプレート(または場合によってはベースプレートを必要としない構造)とすることができ、またベースプレートと鉄骨柱とを突合せ溶接(完全溶け込み溶接)により固定する必要もない構造とすることができる。
第2発明によると、縦リブは、アンカーボルト挿通部を有しており、前記アンカーボルト挿通部にアンカーボルトを挿通しナットにより固定するため、ナットの着脱のみによってアンカーボルトと縦リブを容易に固定、分離できる効果が得られる。
第3発明によると、縦リブのせん断強度を鉄骨柱の強度よりも小さくして、鉄骨柱の曲げ降伏および鉄骨柱の押込によるコンクリート基礎破壊より先に、縦リブがせん断降伏するようにされているので、鉄骨柱に上下方向の変位が生じた際に前記縦リブの降伏変形によって、鉄骨柱に伝達されるエネルギーを吸収することができる効果が得られる。
第4発明によると、アンカーボルトの引張強度を鉄骨柱の強度よりも小さくして、鉄骨柱の曲げ降伏および鉄骨柱の押込によるコンクリート基礎破壊より先に、アンカーボルトが引張降伏するようにされているので、鉄骨柱に上下方向の変位が生じた際に前記アンカーボルトの降伏変形によって、鉄骨柱に伝達されるエネルギーを吸収することができる効果が得られる。
第5発明によると、前記縦リブの横方向先端部が、上記縦リブと直角をなす接続プレートに隅肉溶接され、接続プレートが鉄骨柱に横方向に嵌合接合またはボルト接合されているため、地震等により縦リブが塑性化した場合、塑性化した縦リブのみの交換を容易に行うことができる。
第6発明によると、上記アンカーボルトが、接続用の雌ねじカプラを介して基端側のアンカーボルトと上端側のアンカーボルトにより構成されているため、地震等により上端側アンカーボルトが塑性化した場合、塑性化した上端側アンカーボルトのみの交換を容易に行うことができる。
第7発明によると、断面U字状の立体形縦リブであるので、立体形縦リブ先端部の応力集中を緩和することができ、従来の板状の縦リブの場合に比べて、立体形縦リブの局部的な塑性化を緩和することができ、繰返し荷重に対する疲労特性を向上させることができる効果が得られる。また、立体形縦リブの鉄骨柱への固定は、隅肉溶接による簡単な固定手段とすることができるので、製作が容易で、安価に製作することがきる効果が得られる。
第8発明によると、立体形縦リブは、左右両側に間隔をおいて縦側板を有すると共にこれらの側部を接続する接続部を有する横断面がU字状の立体形縦リブであり、各縦側板の横方向の先端部が鉄骨柱または鉄骨柱との接続用プレートに隅肉溶接により固定されているので、第7発明の効果に加えてさらに、各縦側板の上面側あるいは上面と下面の両面側にナットあるいは座金を介してナットを容易に配置することができ、立体形縦リブを強固に固定することができる。
第9発明によると、立体形縦リブは、左右両側に間隔をおいて縦側板を有すると共にこれらの上部を接続する上部接続部を有する縦断面がU字状の立体形縦リブであり、各縦側板の横方向の側端部が鉄骨柱または鉄骨柱との接続用プレートに隅肉溶接により固定されているので、第7発明の効果に加えてさらに、各縦側板の上部接続部にナットあるいは座金を介してナットを容易に配置することができ、立体形縦リブを強固に固定することができ、また、上部接続部の弾性を利用した定着構造とすることができる。
第10発明によると、立体形縦リブの上面側および下面側の上下両面でナットにより締め付けるように、立体形縦リブを保持しているので、地震時等において、鉄骨柱から立体形縦リブに伝達される上下両方向の力(浮き上がり力および押込み力)をアンカーボルトに伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1〜図3は、本発明の第1実施形態の鉄骨柱の柱脚固定構造を示すものであって、角形鋼管からなる鉄骨柱1の下端部の周側面における各コーナー部に、鉄骨柱1の対角中心線に立体形縦リブ2の平面中心軸線が重なるように配置されている。
【0010】
各立体形縦リブ2は、間隔をおいて平行に対向するように配置された縦側板3と前記各縦側板3の側端部を接続する横断面円弧状の側部接続部4とにより構成されている。各立体形縦リブ2における間隔をおいて対向する各縦側板3の先端部が接続プレート6に傾斜した状態で当接され、各縦側板3の先端部は、接続プレート側面に隅肉溶接Wにより固定されている。さらに、鉄骨柱1における各周側面板5と接続プレート6はボルト接合により固定されている。前記の間隔をおいて対向する縦側板3間によりアンカーボルト挿通部8が形成されている。なお、図示の形態では、各周側面板5に設けられたボルト挿通孔にワンサイド型のボルト7におけるスリーブ付き軸部を挿通して、周側面板5の裏面側でスリーブ部を膨出させて係止すると共に、接続プレート6の表面側においてナット7aを締め込むことにより、接続プレート6を鉄骨柱1に固定している。なおまた、ボルト7とナットとにより接続用プレート6を固定するようにしてもよい。
【0011】
前記各立体形縦リブ2の下面レベルは、鉄骨柱1の下面レベルと同レベルか鉄骨柱1の下面レベルよりも下方に位置するレベルとされ、各立体形縦リブ2の下面と鉄骨柱1の下面とが共同して鉛直荷重をベースプレート9に伝達するか、または、立体形縦リブ2により荷重をベースプレートに伝達するようにされている。コーナー部にアンカーボルト挿通孔8aを有する矩形状の鋼製ベースプレート9は、コンクリート製基礎10上に載置されると共に、各アンカーボルト11が前記ベースプレート9のアンカーボルト挿通孔8aに挿通され、前記ベースプレート9の上面に立体形縦リブ2の下面(または立体形縦リブ2の下面および鉄骨柱1の下面)がメタルタッチした状態で載置され、立体形縦リブ2におけるアンカーボルト挿通孔8aにアンカーボルト11が挿通され、前記アンカーボルト11の上端部にねじ込まれると共に、立体形縦リブ2の上面に直接または座金を介してナット12が配置され、前記ナット12が緊締されることにより、鉄骨柱1の柱脚部は、必要に応じ無収縮モルタル20を介して、コンクリート製基礎10に固定されている。
【0012】
立体形縦リブ2の下面(または立体形縦リブ2の下面および鉄骨柱1の下面)とベースプレート9とは、溶接等により接合されることなく、メタルタッチによる面接触した状態で、ベースプレート9は下方向の圧縮荷重伝達のみを図るようにしており、ベースプレート9は無収縮モルタル20に支承されて、ベースプレート9が曲げ力を負担しないようにされている。立体形縦リブ2からベースプレート9に荷重を伝達可能であれば、鉄骨柱1の下面とベースプレート7の上面との間に間隙Gが形成されていてもよい。
【0013】
鉄骨柱1の下面とベースプレート9の上面が固定されないで、メタルタッチした状態、あるいは鉄骨柱1の下面とベースプレート9の上面との間に間隙Gが設けられていると、ベースプレート9には、鉄骨柱1および立体形縦リブ2を介して、または鉄骨柱1から立体形縦リブ2を介して、鉄骨柱1からの鉛直荷重が圧縮力として作用し、ベースプレート9には、曲げ力が作用しない構造とすることができ、曲げ剛性の小さい薄い鋼板によりベースプレート9を構成することができる。したがって、従来の柱脚固定構造のように、鉄骨柱1とベースプレート30を突合せ溶接(完全溶け込み溶接)し厚板のベースプレートを使用することなく、安価なベースプレート9を使用することが可能なため、安価なベースプレートとすることができる。
【0014】
なお、ベースプレート9には、鋼管等のガイド用の短尺芯材34が溶接等により固定されており、短尺芯材34に対して鉄骨柱1は上下摺動可能に嵌設配置されている。さらに、鉄骨柱1に生じる軸力およびアンカーボルト11にねじ込み配置されたナット12の締付力によって生じるベースプレート9と基礎コンクリート10間の摩擦抵抗によって、短尺芯材34およびベースプレート9は横方向には移動不能にされている。そのため、立体形縦リブ2の縦側板3が、先にせん断変形によりせん断降伏しても、鉄骨柱1は短尺芯材34によりガイドされて、上下方向にのみ移動し、かつ、先に降伏する立体形縦リブ2よりも先に、鉄骨柱1は引張り降伏しないようにされている。鉄骨柱1が立体形縦リブ2よりも先に降伏しないようにする手段としては、例えば、鉄骨柱1と立体形縦リブ2との材質を同じ材質とした場合に、立体形縦リブ2の横断面における合計断面積を鉄骨柱1の横断面における合計断面積よりも小さく設計しておけばよく、または立体形縦リブ2の材質を鉄骨柱1の材質よりも低強度の材質としておけばよい。先に塑性化させる部分と弾性範囲で使用する部分の材質については、各種の形態が公知であるので、適宜設計により設定するようにすればよい。
【0015】
立体形縦リブ2は鉄骨柱1に接続プレート6を介してボルト接合されているので、地震時等において立体形縦リブ2が降伏した場合には、アンカーボルト11にねじ込み配置されているナット12、および、接続プレート6と鉄骨柱1を接続しているボルト7を取り外すことで、塑性化した立体形縦リブのみを交換することができ、新たな立体形縦リブ2に溶接された接続プレート6を鉄骨柱1にボルト7で固定し、アンカーボルト11と立体形縦リブ2をナット12で緊結しなおすことにより、容易に元の形態を回復することができる。
【0016】
すなわち、鉄骨柱1の柱脚は、これに接続プレート6を介してボルト接合された立体形縦リブ2とアンカーボルト11を介してコンクリート製基礎10に定着した柱脚固定構造とされている。また、地震時等において、立体形縦リブ2を、アンカーボルト11あるいは鉄骨柱1よりも、先にせん断降伏するようにされている。地震時等において、立体形縦リブ2が、鉄骨柱1の曲げ降伏および鉄骨柱1の押込によるコンクリート基礎10の破壊より先に、せん断降伏するようにされていると、地震時等において立体形縦リブ2を最初に塑性化させるようにして地震時等において入力されるエネルギーを吸収し、鉄骨柱1の塑性化あるいは基礎コンクリート10の破壊損傷を防止することができる。
【0017】
また、立体形縦リブ2に代えてアンカーボルト9を鉄骨柱1よりも、先に引張降伏させてもよい。鉄骨柱1が先に降伏しないようにする手段としては、アンカーボルト11との材質を同じ材質とした場合には、アンカーボルトの断面の合計断面積を鉄骨柱1における横断面における合計断面積よりも小さく設計しておけばよく、あるいはアンカーボルト11の上端部の材質を鉄骨柱1の材質よりも低強度の材質としておけばよい。さらに、図3に示すように、アンカーボルト11を、接続用の雌ねじカプラ13を介して基端側のアンカーボルト14と上部側のアンカーボルト15により構成し、上部のアンカーボルト15を下部のアンカーボルト14よりも小径としておくと、上部のアンカーボルト15のみを先行して降伏させて、上部のアンカーボルト15のみ交換して修復することも可能になる。この場合、立体形縦リブ2の各縦側板3の先端部は鉄骨柱1における各周側面板5に直接、傾斜した状態で当接してもよく、各縦側板3の先端部は、鉄骨柱1における周側面板5に隅肉溶接Wにより固定すればよい。
【0018】
次に、図4〜図7は、本発明の第2実施形態の鉄骨柱固定構造を示すものであって、この形態では、それぞれ立体形縦リブ2における縦側板3の先端部が接続プレート6に直角に当接されて、角形鋼管からなる鉄骨柱1における間隔をおいて対向する各周側面板5の平坦部に、接続プレート6がボルト接合により固定され、また、ベースプレート9における幅方向中間部に、アンカーボルト挿通孔8aが設けられている。その他の構成は、前記第1実施形態と同様であるので、同様な要素には同様な符号を付して説明を省略する。
【0019】
第2実施形態においても、地震時等において、立体形縦リブ2は、鉄骨柱1の曲げ降伏および鉄骨柱1の押込によるコンクリート基礎10の破壊より先に、せん断降伏するようにされており、地震時等において立体形縦リブ2を最初に塑性化させるようにして地震時等において入力されるエネルギーを吸収し、鉄骨柱1の塑性化あるいは基礎コンクリート10の破壊損傷を防止することができる。
【0020】
鉄骨柱と接続プレートとの接続は、図6および図7のようにボルトではなく嵌合接合としてもよく、その場合、嵌合は接続プレート6を横方向にスライドして行う形式とし、鉄骨柱の上下煽動に対して接続プレート6と鉄骨柱1は一体として抵抗できるようにする。
図示の形態では、鉄骨柱1の周側面板5に、上下方向に間隔をおいて対向する断面L字状の係止片35における水平部分を溶接Wにより固定して、上下に間隔をおいて対向する係止溝36を形成し、その係止溝36に接続プレート6を周側面板5に平行な横方向から接続プレート6の上下両端部を密着するように嵌合するようにしている。なお、立体形縦リブ2の下部は、係止片35と干渉しないようにするため、縦側板3の基端側に係止片35のL形断面よりも大きな切り欠き部37が設けられている。
【0021】
また、立体形縦リブ2に代えてアンカーボルト9を、鉄骨柱1よりも先に引張降伏させる形式としてもよい。アンカーボルト7を鉄骨柱1よりも先に引張降伏させる方法は、実施形態1と同様であり、アンカーボルトがコンクリート基礎から立ち上がる部分で雌ねじカプラを介在させることにより、雌ねじカプラ13によりアンカーボルトを上端側と下端側に分割することで上端側アンカーボルトのみを降伏させ、さらに上端側アンカーボルトのみを交換することができる。この場合、接続プレート6を省略して、立体形縦リブ2の各縦側板3の先端部は鉄骨柱1における各周側面板5に直接、直交した状態で当接されて、各縦側板3の先端部は、鉄骨柱1における周側面板5に隅肉溶接Wにより固定すればよい。
【0022】
前記第1実施形態および第2実施形態では、立体形縦リブ2は、長方形状の鋼板を断面U字状に折り曲げて左右両側に間隔をおいて縦側板3を有すると共にこれらの側端部を接続する側部接続部4を有する平断面(平面視方向の断面)U字状の立体形縦リブ2であるので、前記各縦側板3間の間隙により、アンカーボルト挿通部8を容易に形成することができる構造とされている。
本発明のように、柱に断面U字状の立体形縦リブ2を固定する形態では、柱とベースプレートとに渡って1枚の鋼製板状補強リブを固定する大きな局部応力を生じる構造の場合に比べて、2枚の各縦側板3を備えているため、各縦側板3に作用する局部応力を低減することができ、疲労強度を格段に高められる。
【0023】
図8および図9は、本発明の第3実施形態の鉄骨柱の柱脚固定構造を示すものであって、
この形態では、各立体形縦リブ2は、間隔をおいて平行に対向するように配置された各縦側板3の上部を接続する縦断面円弧状の上部接続部4とにより構成されている正断面(正面視方向の断面)U字状の立体形縦リブとされている。各立体形縦リブ2における間隔をおいて対向する各縦側板3および上部接続部4の先端部が鉄骨柱1における各周側面板5の平坦部に当接され、各縦側板3および上部接続部4の先端部は、鉄骨柱1における周側面板5に隅肉溶接Wにより固定されている。
【0024】
また、各縦側板3の下端面は、鉄骨柱1の下面レベルと同レベルか、鉄骨柱1の下面レベルよりも下方に位置するレベルとされ、各縦側板3の下端部はベースプレート9の上面に当接されて、各縦側板3の下端部とベースプレート9とは、各縦側板3の外側(または外側および内側)において隅肉溶接Wにより固定されている。また、上部接続部4に縦孔からなるアンカーボルト挿通部8が設けられ、そのアンカーボルト挿通部8の中心軸線はベースプレート9に設けられているアンカーボルト挿通孔8aの中心軸線と、同じ縦中心軸線上に位置するように設けられている。さらに、アンカーボルト11は、接続用の雌ねじカプラ13を介して基端側のアンカーボルト14と上部側のアンカーボルト15により構成されている。
【0025】
立体形縦リブ2における間隔をおいて対向する縦側板3間の間隙と、前記の上部接続部4の縦孔とが共同して、アンカーボルト挿通部8を形成している。
前記の上部接続部4における縦孔に挿通された上端側アンカーボルト15の上端部には、ナット12が上部接続部4を押圧するようにねじ込み固定されている。
【0026】
前記のように、この実施形態では、縦断面で、上部が断面円弧状に湾曲した上部接続部4を備えている立体形縦リブ2であるので、地震時等において、鉄骨柱1がベースプレート9から離反するような場合に、立体形縦リブ2の上部接続部4上のナット12(または座金およびナット12)により、立体形縦リブ2の移動が拘束されて、上部接続部4および各縦側板3の弾性変形を生じるようになり、前記の弾性変形により、上部接続部4頂部の応力集中を緩和させることができる。
【0027】
アンカーボルトは鉄骨柱1よりも先に引張降伏するようにされており、さらに、上部側のアンカーボルト15を基端側のアンカーボルト14よりも小径としておくことで、上部のアンカーボルト15のみを先行して降伏させて、上部のアンカーボルト15のみ交換して修復することを可能にしている。
【0028】
立体形縦リブ2は、図8および図9に示す形態のように、縦側板3の下端部が外開きする恐れがある場合には、ベースプレートに固定するようにしてもよいが、外開きする恐れがない図1〜図7に示すような形態では、縦側板3をベースプレート7に固定する必要がない。
【0029】
また、アンカーボルトに代えて立体形縦リブ2を鉄骨柱1よりも、先にせん断降伏させる形式としてもよい。この場合、各立体形縦リブ2における間隔をおいて対向する各縦側板3および上部接続部4の先端部は接続プレート6に当接され、各縦側板3および上部接続部4の先端部は、接続プレート6に隅肉溶接により固定されていてもよく、さらに、接続プレートはボルト接合または嵌合接合によって鉄骨柱1に固定されていてもよい。
【0030】
図10および図11は、本発明の第4実施形態の鉄骨柱の柱脚固定構造を示すものであって、この形態では、角形鋼管柱からなる鉄骨柱1の下端部の各コーナー部に、図1および図2に示す形態と同様に、立体形縦リブ2の各縦側板3が隅肉溶接Wにより固定され、平断面U字状の立体形縦リブ2の下面レベルは鉄骨柱1の下面レベルと同じレベルとされ、コンクリート製基礎10上に無収縮モルタル20が設けられていないと共に、ベースプレート9が省略され、鉄骨柱1の下面レベルが、前記各実施形態よりも上位のレベルとされ、アンカーボルトに下部支持ナット12bがねじ込み配置されると共に、前記下部支持ナット12bに支承座金16bが載置され、その支承座金16bに立体形縦リブ2の下面が載置されて支持され、立体形縦リブ2の上面側に配置された押圧用座金16aおよび押圧用ナット12aにより、立体形縦リブ2を上下のナット12a,12bにより把持して、所定の位置に立体形縦リブ2を保持するようにされている。また、アンカーボルト9は、接続用の雌ねじカプラ13を介して基端側のアンカーボルト14と上部側のアンカーボルト15により構成されており、アンカーボルト11は鉄骨柱1よりも先に引張降伏するようにされているとともに、上部側のアンカーボルト15を基端側のアンカーボルト14よりも小径としておくことで、上部のアンカーボルト15のみを先行して降伏させて、上部のアンカーボルト15のみ交換して修復することを可能にしている。
さらに、ガイド用の短尺芯材34は、その一端側が基礎コンクリート10に埋め込み固定されている。
【0031】
この形態では、アンカーボルト11に引張力および圧縮力を負担させる構造とされている。
なお、前記の立体形縦リブ2の上面または下面にナットを圧着するように係合させる場合、座金を介してナットにより締め込むと、立体形縦リブ2における縦側板の捩れを防止することができる。なお、立体形縦リブ2における縦側板の捩れをより確実に防止するために、座金に各縦側板の側面に係合する脚板を備えた脚板付き座金を用いるようにしてもよい。
【0032】
また、アンカーボルト11に代えて立体形縦リブ2を、鉄骨柱1よりも先に引張降伏させてもよく、各立体形縦リブ2における先端部が隅肉溶接された接続プレートを介して、鉄骨柱1にボルトまたは嵌合接合すれば良い。この場合には、アンカーボルトは上端側と基端側に分けて構成する必要はない。
【0033】
本発明を実施する場合、鉄骨柱1としては、H形鋼を使用してもよく、立体形縦リブ2をH形鋼のフランジまたはウェブに取付けてもよく、あるいはH形鋼におけるウェブに平行にフランジ間に渡って取付けた補強板に取付けるようにしてもよい。また、鉄骨柱1としては、溝形鋼相互のフランジを接合して構成した角形鋼管を使用してもよく、H形鋼におけるウェブにカットT形鋼を固定するようなフランジ付き断面十字状の鉄骨柱あるいはその他の断面形態の鉄骨柱の柱脚構造に適用するようにしてもよい。
【0034】
また、前記実施形態では、長方形状の鋼板の幅方向中央部を断面円弧状に折り曲げ加工して、横断面U字状あるいは、縦断面形状逆U字状の立体形縦リブ2を構成するようにしたが、本発明を実施する場合、図12に示すような鋼製ブロック状の立体形縦リブ17(2)、あるいは図13に示すようなアンカーボルト挿通口21を有する鋼製筒体37に1枚の鋼製板状補強縦リブ18を溶接により固定し、その板状補強リブ18の先端部を鉄骨柱1のコーナー部に縦向きに配置して溶接Wにより固定する形態や、図14に示すようなアンカーボルト挿通口21を有する鋼製筒体37に鋼製板状補強縦リブ18を固定し、その鋼製板状縦リブ18を接続プレート6の先端部の左右両側に溶接により固定して横断面T字状の鋼製板状補強リブ19とし、その鋼製板状補強リブ19の前記接続プレート6の先端部を鉄骨柱1のコーナー部に溶接により固定するようにしてもよい。
【0035】
また、前記実施形態では、鉄骨柱1の引張降伏および基礎コンクリート10の破壊よりも先に縦リブ2がせん断降伏、またはアンカーボルト9が引張降伏するようにされていたが、柱が降伏する保有耐力接合タイプとしてもよく、その場合、カプラジョイント13や、接続プレート6を介したボルト接合、嵌合接合は必要なく、鉄骨柱1とリブ2の接合を簡易な隅肉溶接とし、アンカーボルトも上端側と下端側に分割する必要もない。
【0036】
本発明を実施する場合、ガイド用の短尺芯材34としては、鉄骨柱1の横断面形態に応じで、短尺芯材の断面形状は適宜設定される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態の鉄骨柱の柱脚固定構造を分解して示すものであって、(a)は一部横断分解平面図、(b)は一部縦断分解正面図、(c)はベースプレート側を示す平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の鉄骨柱の柱脚固定構造を示すものであって、(a)は一部縦断正面図、(b)は(a)のA−A線矢視した場合の一部ナット等を取り除いて示す一部横断平面図、(c)は(b)の縦断正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の鉄骨柱の柱脚固定構造を示すものであって、(a)は一部縦断正面図、(b)は(a)のB−B線矢視した場合の一部ナット等を取り除いて示す一部横断平面図、(c)は(b)の縦断正面図である。
【図4】本発明の第2実施形態の鉄骨柱の柱脚固定構造を分解して示すものであって、(a)は一部横断分解平面図、(b)は一部縦断分解正面図、(c)はベースプレート側を示す平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の鉄骨柱の柱脚固定構造を示すものであって、(a)は一部縦断正面図、(b)は(a)のC−C線矢視した場合の一部ナット等を取り除いて示す一部横断平面図、(c)は(b)の縦断正面図である。
【図6】本発明の第2実施形態の鉄骨柱の柱脚固定構造を分解して示すものであって、(a)は一部横断分解平面図、(b)は一部縦断分解正面図、(c)はベースプレート側を示す平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態の鉄骨柱の柱脚固定構造を示すものであって、(a)は一部縦断正面図、(b)は(a)のD−D線矢視した場合の一部ナット等を取り除いて示す一部横断平面図である。
【図8】本発明の第3実施形態の鉄骨柱の柱脚固定構造を分解して示すものであって、(a)は一部縦断分解正面図、(b)はベースプレート側を示す平面図である。
【図9】本発明の第3実施形態の鉄骨柱の柱脚固定構造を分解して示すものであって、(a)は一部縦断正面図、(b)は(a)のE−E線矢視した場合の一部ナット等を取り除いて示す一部横断平面図である。
【図10】本発明の第4実施形態の鉄骨柱の柱脚固定構造を分解して示すものであって、(a)は一部縦断分解正面図、(b)はベースプレート側を示す平面図である。
【図11】本発明の第4実施形態の鉄骨柱の柱脚固定構造を分解して示すものであって、(a)は一部縦断正面図、(b)は(a)のF−F線矢視した場合の一部ナット等を取り除いて示す一部横断平面図、(c)は(b)の縦断正面図である。
【図12】本発明における縦リブ形状を、鋼製ブロック状とした場合を示すものであって、(a)は一部縦断正面図、(b)は(a)のG−G線矢視した場合の一部ナット等を取り除いて示す一部横断平面図である。
【図13】本発明における縦リブ形状を、アンカーボルト挿通口を有する1枚の鋼製板状補強リブとした場合を示すものであって、(a)は一部縦断正面図、(b)は(a)のH−H線矢視した場合の一部ナット等を取り除いて示す一部横断平面図である。
【図14】本発明における縦リブ形状を、接続プレートを介した横断面T字状の鋼製板状補強リブとした場合を示すものであって、(a)は一部縦断正面図、(b)は(a)のI−I線矢視した場合の一部ナット等を取り除いて示す一部横断平面図である。
【図15】従来の第1例の鉄骨柱の柱脚構造を示すものであって、(a)は一部縦断正面図、(b)は(a)の横断平面図である。
【図16】従来の第2例の鉄骨柱の柱脚構造を示すものであって、(a)は一部縦断正面図、(b)は(a)の横断平面図である。
【図17】従来の第3例の鉄骨柱の柱脚構造を示すものであって、(a)は一部縦断正面図、(b)は(a)の横断平面図、(c)は板状縦リブがせん断変形した状態を示す一部縦断側面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 鉄骨柱
2 立体形縦リブ
3 縦側板
4 接続部(または上部接続部)
5 周側面板
6 接続プレート
7 ボルト
8 アンカーボルト挿通部
8a アンカーボルト挿通部
9 ベースプレート
10 基礎コンクリート(またはコンクリート基礎)
11 アンカーボルト
12 押当用ナット
12a 押当用ナット
12b 下部支持ナット
13 雌ねじカプラ
14 基端側アンカーボルト
15 上端側アンカーボルト
16a 座金
16b 座金
17 鋼製ブロック状の立体形縦リブ
18 鋼製板状補強リブ
19 横断面T字状鋼製板状補強リブ
20 無収縮モルタル
21 アンカーボルト挿通口
30 ベースプレート
30a アンカーボルト挿通孔
31 アンカーボルト
32 鋼板縦リブ
33 支持プレート
34 ガイド用の短尺芯材
35 座金およびナット
36 係止片
36 係止溝
37 鋼製筒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨柱の脚部周側面に、縦リブが鉄骨柱の周方向に間隔をおいて複数配置されていると共に、各縦リブが鉄骨柱に固定され、基礎コンクリートに固定されたアンカーボルトを縦リブと固定することで、鉄骨柱の脚部を、これに固定された縦リブと基礎コンクリートに固定されたアンカーボルトを介して基礎コンクリートに定着し、鉄骨柱に作用する引張応力を、ベースプレートを介さずに縦リブとアンカーボルトを介して基礎コンクリートに伝達させたことを特徴とする鉄骨柱の柱脚固定構造。
【請求項2】
上記縦リブはアンカーボルト挿通部を有しており、アンカーボルトを、縦リブにおけるアンカーボルト挿通部に挿通して、ナットにより固定することを特徴とする請求項1に記載の鉄骨柱の柱脚固定構造。
【請求項3】
鉄骨柱の曲げ降伏および基礎コンクリートの押し込みによる破壊よりも先に、前記縦リブをせん断降伏させ、鉄骨柱に上下方向の変位が生じた際に前記縦リブの降伏変形によるエネルギー吸収によって、鉄骨柱に作用する引張力あるいは圧縮力を低減させることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄骨柱の柱脚固定構造。
【請求項4】
鉄骨柱の曲げ降伏および基礎コンクリートの押し込みによる破壊よりも先に、前記アンカーボルトを引張降伏させ、鉄骨柱に上下方向の変位が生じた際に前記アンカーボルトの降伏変形によるエネルギー吸収によって鉄骨柱に作用する引張力あるいは圧縮力を低減させることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄骨柱の柱脚固定構造。
【請求項5】
前記縦リブの横方向先端部が、上記縦リブと直角をなす接続プレートに隅肉溶接され、接続プレートが鉄骨柱に横方向に嵌合接合またはボルト接合されることを特徴とする請求項3に記載の鉄骨柱の柱脚固定構造。
【請求項6】
上記アンカーボルトが、接続用の雌ねじカプラを介して基端側のアンカーボルトと上端側のアンカーボルトにより構成されていることを特徴とする請求項4に記載の鉄骨柱の柱脚固定構造。
【請求項7】
上記縦リブは、鋼板を断面U字状に折り曲げて、左右両側に間隔をおいて縦側板を有すると共にこれらを接続する接続部を有する立体形縦リブであり、前記各縦側板間の間隙により、アンカーボルト挿通部が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鉄骨柱の柱脚固定構造。
【請求項8】
前記立体縦リブは、左右両側に間隔をおいて縦側板を有すると共にこれらの側部を接続する接続部を有する横断面がU字状の立体形縦リブであり、各縦側板の横方向の先端部が鉄骨柱または鉄骨柱との接続用プレートに隅肉溶接により固定されていることを特徴とする請求項7に記載の鉄骨柱の柱脚固定構造。
【請求項9】
前記立体縦リブは、左右両側に間隔をおいて縦側板を有すると共にこれらの上部を接続する接続部を有する縦断面がU字状の立体形縦リブであり、各縦側板の横方向の側端部が鉄骨柱または鉄骨柱との接続用プレートに隅肉溶接により固定されていることを特徴とする請求項7に記載の鉄骨柱の柱脚固定構造。
【請求項10】
上記アンカーボルト挿通部を有する縦リブに挿通されたアンカーボルトを、前記アンカーボルトに間隔をおいてねじ込み配置されていると共に、前記立体縦リブの上面側および下面側にそれぞれ配置されたナットにより固定したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鉄骨柱の柱脚固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−24367(P2009−24367A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187409(P2007−187409)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】