説明

銀−酸化バナジウム相およびプロモーター相を有する触媒

記載されているのは、相Aおよび相Bを三次元に拡張された境界付けられた領域の形で含有する触媒活性組成物を有する触媒であり、その際、相Aは銀−酸化バナジウム−ブロンズでありかつ相Bは二酸化チタンおよび五酸化バナジウムをベースとする混合酸化物相である。触媒は、アルデヒド、カルボン酸および/またはカルボン酸無水物を、芳香族のまたは複素環式芳香族の炭化水素から気相酸化により製造するために用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀−酸化バナジウム相およびプロモーター相を有する触媒、および該触媒の使用下でのアルデヒド、カルボン酸および/またはカルボン酸無水物の製造法に関する。
【0002】
公知のように多数のアルデヒド、カルボン酸および/またはカルボン酸無水物は、技術的に芳香族炭化水素、例えばベンゼン、o−キシレン、m−キシレンまたはp−キシレン、ナフタリン、トルエンまたはズレン(1,2,4,5−テトラメチルベンゼン)を固定床反応器中で、有利には管束反応器中で触媒気相酸化することにより製造される。その際、出発物質に応じて、例えばベンズアルデヒド、安息香酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸または無水ピロメリト酸が獲得される。このために、一般的に分子酸素を含有するガスからなる混合物、例えば空気と酸化されるべき出発物質とを、触媒の堆積物(Schuettung)が存在する管に導通させる。
【0003】
WO00/27753、WO01/85337および優先日の早い特許出願DE10334132.3では、酸化銀および酸化バナジウムを含有する多金属酸化物および、芳香族炭化水素を部分酸化するための該多金属酸化物の使用が記載されている。
【0004】
本発明は、選択性を損なうことなくこれらの触媒を用いて達成された収率を改善することに基づいている。
【0005】
前記課題は本発明により、相Aおよび相Bを3次元に拡張された、その局所的な環境とは異なるその化学的な組成に基づいてその局所的な環境から境界付けられた領域の形で含有し、その際、相Aが銀−酸化バナジウム−ブロンズでありかつ相Bが二酸化チタンおよび五酸化バナジウムをベースとする混合酸化物相である触媒活性組成物を有する触媒により解決される。
【0006】
本発明による触媒は有利にはシェル型触媒である。すなわち触媒活性組成物は少なくともシェルの形で不活性の担体に施与される。
【0007】
有利な一実施態様において相Aおよび相Bは、微粉のAと微粉のBとからなる混合物中のようにそれぞれ互いに分散している。両方の相の粒度は、有利には0.1〜800μm、殊に0.5〜100μm、とりわけ有利には1〜100μmの範囲にある。
【0008】
他の有利な一実施態様において相Aおよび相Bは、同心状シェルとしてそれぞれ互いに配置されている。通常このために、まず相A(もしくはそのための前駆体またはそれの元素成分の供給源)をシェル状に不活性の担体に施与しかつそのようにコーティングされた担体を相B(もしくはそのための前駆体またはそれの元素成分の供給源)で被覆する。相Bが相Aを完全に被覆することは有利であるけれども、相Bで部分的に被覆することも考えられる。
【0009】
相A:相Bの質量比は、一般的に80:20〜98:2、有利には85:15〜95:5の範囲にある。
【0010】
それ以外に本発明は、相A、そのための前駆体またはそれの元素成分の供給源を包含する粉末と、相B、そのための前駆体またはそれの元素成分の供給源を包含する粉末とを混合しかつ不活性の担体に施与する、前記に規定された触媒の製造法に関する。
【0011】
それ以外に本発明は、(i)相A、そのための前駆体またはそれの元素成分の供給源と、(ii)相B、そのための前駆体またはそれの元素成分の供給源とを順次不活性の担体に施与する、前記に規定された触媒の製造法に関する。
【0012】
それ以外に本発明は、芳香族炭化水素と分子酸素とを含有するガスを包含するガス状の流を、高められた温度で前記に規定された触媒と接触させる、アルデヒド、カルボン酸および/またはカルボン酸無水物の製造法に関する。
【0013】
銀−酸化バナジウム−ブロンズおよびその製造は、例えばWO00/27753およびWO01/85337からそれ自体公知である。それは1未満のAg:Vの原子比を有する銀−酸化バナジウムの化合物と解釈される。一般的にそれは、有利には層状構造またはトンネル構造に結晶化する半導体のまたは金属伝導性の酸化物の固体のことであり、その際、[V]−ホスト格子中のバナジウムは部分的に還元されてV(IV)となって存在する。触媒活性の銀−酸化バナジウム−ブロンズは、200℃を上回って、殊に300℃を上回る温度で特定の多金属酸化物の分解により形成される。
【0014】
有利には、相Aは一般式I
【化1】

[式中、
aは、0.3〜1.9の値を有し、
は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属、Bi、Tl、Cu、Zn、Cd、Pb、Cr、Au、Al、Fe、Co、Ni、Mo、Nb、Ce、W、Mn、Ta、Pd、Pt、Ruおよび/またはRhから選択される少なくとも1種の金属であり、
cは、0〜0.5の値を有するが、但し(a−c)≧0.1であり、
dは、式I中の酸素とは異なる元素の原子価および頻度により定められる数字であり、かつ
eは、0〜20、有利には0〜5の値を有する]
の多金属酸化物のか焼により得られる組成を有する。
【0015】
式Iの多金属酸化物中、変数aは0.5〜1.0およびとりわけ有利には0.6〜0.9の値を有し、変数bの値は有利には0〜0.1であり、かつ変数cの値は有利には0.005〜0.2、殊に0.01〜0.1である。
【0016】
数字dは、式Iの多金属酸化物中の酸素とは異なる元素の原子価および頻度から定まる。水含有量の単位である数字eは、有利には0〜5である。
【0017】
は、有利にはNa、K、Rb、Tl、Ni、W、Co、Fe、Mo、Nb、Zn、CeおよびMnである。
【0018】
とりわけ有利なのは、一般式Ia
【化2】

[式中、
aは、0.6〜0.9の値を有し、
dは、上に記載された内容を有し、かつ
eは、0〜5の値を有する]
の多金属酸化物である。
【0019】
IUPAC International Union of Pure and Applied Chemistry(国際純正・応用化学連合)の「Recommendations 1984」(s.Pure & Appl.Chem.57,603(1985))に基づくDIN66131に従って測定された、BET法による比表面積は、通常1m/gより大きく、有利には3〜250m/g、殊に10〜250m/gおよびとりわけ有利には20〜80m/gである。
【0020】
有利には、多金属酸化物は結晶構造で存在し、該金属の粉末X線図は格子面間隔d15.23±0.6、12.16±0.4、10.68±0.3、3.41±0.04、3.09±0.04、3.02±0.04、2.36±0.04および1.80±0.04Åでの回折反射により特徴付けられる。X線回折反射の記載は本出願において、使用されるX線の波長に依存しない、ブラッグの式を用いて測定された回折角から算出される格子面間隔d[Å]の形で行われる。
【0021】
一般的に多金属酸化物の製造のために、五酸化バナジウム(V)の懸濁液を、銀化合物の溶液ならびに場合により金属成分Mの化合物の溶液と一緒に加熱する。この反応のための溶剤として、極性有機溶剤、例えばポリオール、ポリエーテルまたはアミン、例えばピリジンを使用してよく、有利には溶剤として水が使用される。銀塩として、有利には硝酸銀が使用されるが、他の可溶性の銀塩、例えば酢酸銀、過塩素酸銀またはフッ化銀の使用も同様に可能である。
【0022】
通常、金属成分Mの塩として、使用される溶剤に可溶性であるものが選択される。水が溶剤として本発明による多金属酸化物の製造の際に使用される場合、例えば金属成分Mの過塩素酸塩またはカルボン酸塩、殊に酢酸塩が使用されうる。有利には、当該金属成分Mの硝酸塩が使用される。
【0023】
一般的にVと銀化合物および場合により金属成分Mの化合物との反応は、室温でまたは高められた温度で実施してよい。通常、反応は20〜375℃、有利には20〜100℃およびとりわけ有利には60〜100℃の温度で行われる。反応の温度が使用される溶剤の沸点の温度を上回っている場合、反応は有利には圧力容器中で反応系の自生圧力(autogenous pressure)下で実施される。有利には反応条件は、反応を大気圧で実施することができるように選択される。この反応の継続期間は、反応した出発物質の種類および適用した温度条件に依存して10分〜3日間でありうる。反応の際、オレンジ−赤色のV−懸濁液が変化し、そして暗褐色の懸濁液の形で新規の化合物が形成される。
【0024】
式Iの多金属酸化物の所望された化学的な組成に応じて、その製造のために式Iのaおよびcから生じるV、銀化合物ならびに金属成分Mの化合物の量を互いに反応させる。反応が終了したあとに、繊維状の結晶形態を有する多金属酸化物が得られる。
【0025】
そのように形成された多金属酸化物は、反応混合物から単離しかつさらに使用するまで貯蔵することができる。多金属酸化物の単離は、例えば懸濁液の濾過および得られた固体の乾燥により行え、その際、乾燥は慣用の乾燥機中のみならずまた例えば凍結乾燥機中でも実施することができる。とりわけ有利には、得られた多金属酸化物−懸濁液の乾燥は噴霧乾燥を用いて実施する。有利でありうるのは、反応の際に得られた多金属酸化物をその乾燥前に塩不含に洗浄することである。一般的に噴霧乾燥は、大気圧でまたは低下させた圧力で行われる。適用した圧力または使用した溶剤に応じて、乾燥ガスの入口温度が定まる−一般的にそのようなものとして空気が使用されるが、もちろん他の乾燥ガス、例えば窒素またはアルゴンも使用してよい。有利には噴霧乾燥機中に入る乾燥ガスの入口温度の選択は、溶剤の気化により冷却された乾燥ガスの出口温度が比較的長い期間にわたって200℃を超過しないように行う。通常、乾燥ガスの出口温度は50〜150℃、有利には100〜140℃に設定する。
【0026】
相Bは、(そのアナタース変性の形の)二酸化チタン以外に五酸化バナジウムを含有する。さらに少量で、プロモーターとして触媒の活性および選択性に影響を及ぼす多数の他の酸化物の化合物を含有していてよい。有利には相Bはか焼された状態で、Vとして計算される酸化バナジウム1〜20質量%、およびTiOとして計算される二酸化チタン80〜99質量%を含有する。
【0027】
例えば、プロモーターとしてアルカリ金属酸化物、例えば酸化セシウム、酸化リチウム、酸化カリウムおよび酸化ルビジウム、酸化タリウム(I)、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化スズ、酸化銀、酸化銅、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化イリジウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ヒ素、酸化アンチモン、酸化セリウムおよび酸化亜鉛が挙げられる。通常、この群からセシウムがプロモーターとして使用される。
【0028】
活性を高めるが選択性を低下させる添加物として、とりわけ酸化物のリン化合物またはリン酸水素アンモニウムが考えられる。
【0029】
有利には、相Bは式II
【化3】

[式中、
は、少なくとも1種のアルカリ金属であり、
は、元素の周期表の第5主族の元素であり、
xは、0.001〜0.2の値を有し、
yは、0〜0.01の値を有し、
wは、0〜0.02の値を有し、かつ
zは、式II中の酸素とは異なる元素の原子価および頻度により定められる数字を意味する。]
の組成を有する。
は、有利にはCsである。
は、有利にはSbまたはPである。
【0030】
混合酸化物−相Bの成分は、その酸化物の形で使用されるかまたは化合物の形で使用され、これらは加熱すると変換するかもしくは酸化物中の酸素の存在下で加熱すると変換する。バナジウム−成分として、酸化バナジウムまたは加熱すると酸化バナジウムに変換するバナジウム化合物を、単独でまたはその混合物の形で使用してよい。有利には、VまたはNHVOが使用される。バナジウム(V)−化合物を少なくとも部分的にバナジウム(IV)に還元するために、還元剤、例えばギ酸またはシュウ酸も併用してよい。適切なアルカリ金属化合物または元素の周期表の第5主族の元素の化合物は、相応する酸化物、または加熱後に酸化物に変換する化合物、例えばアンモニウム塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩である。適切なのは、例えばNaCO、KO、CsO、CsCO、CsSO、P、(NHHPO、Sbである。
【0031】
一般的に相Bの形成のために、バナジウム−成分の、二酸化チタンのならびに適切な量のMの化合物の水性スラリーを準備し、かつ十分な均質化が達成されるまでスラリーを攪拌する。次いでスラリーを噴霧乾燥するかまたはそれ自体をコーティングのために使用してよい。
【0032】
有利には本発明による触媒の製造は、いわゆる「プレ触媒」(precatalyst)の段階を介して行い、該プレ触媒はそれ自体貯蔵しかつ処理することができかつそれから活性触媒を熱処理により製造するかまたは現場で酸化反応器中で酸化反応の条件下で得ることができる。200℃を上回り650℃までの、有利には250℃を上回り500℃までの、殊に300℃〜450℃の温度でプレ触媒を熱処理すると、プレ触媒中に含有される多金属酸化物は分解して、本発明による触媒の相Aを形成する銀−酸化バナジウム−ブロンズとなる。プレ触媒中に含有される本発明による多金属酸化物の銀−酸化バナジウム−ブロンズへのこの変換は、該プレ触媒をこの反応に使用する場合、殊に現場でも、芳香族炭化水素を気相部分酸化するための反応器中で起こる。その際に生じる銀−酸化バナジウム−ブロンズは、本発明によるシェル型触媒の触媒活性層の触媒活性成分である。多金属酸化物が銀−酸化バナジウム−ブロンズになる熱転換は、一連の還元反応および酸化反応を介して進行するが、これらの反応はまだ詳細にわかっていない。
【0033】
本発明による触媒のための不活性の非−多孔質の担体材料として、有利には芳香族炭化水素を酸化してアルデヒド、カルボン酸および/またはカルボン酸無水物にするためのシェル型触媒の製造の際に使用されるように、実地では従来技術の全ての担体材料、例えば石英(SiO)、磁器、酸化マグネシウム、二酸化スズ、炭化ケイ素、ルチル、アルミナ(Al)、ケイ酸アルミニウム、ステアタイト(ケイ酸マグネシウム)、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸セリウムまたはこれらの担体材料の混合物が使用される。その際、「非−多孔質の」という表現は「技術的に有効でない孔の量を除いて非−多孔質の」という意味で理解されるべきである。それというのも、理想的にはどの孔も含有するべきでない担体材料中には技術的に不可避に僅かな数の孔が存在しうるからである。有利な担体材料として、殊にステアタイトおよび炭化ケイ素が強調されるべきである。一般的に担体材料の形状は、本発明によるプレ触媒およびシェル型触媒に関して重要ではない。例えば触媒担体は球、リング、タブレット、らせん、管、押出成形体またはスプリットの形で使用してよい。これらの触媒担体の寸法は、ふつう芳香族炭化水素を気相部分酸化するためのシェル型触媒の製造に使用される触媒担体の寸法に相応する。
【0034】
不活性の担体材料をシェル状にコーティングするために公知の方法が使用される。例えば活性組成物のまたは前駆体の懸濁液を、加熱されたコーティングドラム中で、高められた温度で触媒担体に噴霧してよい。コーティングドラムの代わりに流動床コーターも使用してよい。
【0035】
懸濁液媒体は一般的に水であり、水に、有利には結合剤、例えば高級アルコール、多価アルコール、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオールまたはグリセリン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンまたは環状ウレア、例えばN,N’−ジメチルエチレンウレアまたはN,N’−ジメチルプロピレンウレア、または(コ)ポリマーを溶解して添加するかまたは有利には水性分散液の形で添加し、その際、一般的に懸濁液の固体含有率に対して10〜20質量の結合剤の含有率が適している。適切なポリマーの結合剤は、例えばビニルアセテート/ビニルラウレート−コポリマー、ビニルアセテート/アクリレート−コポリマー、スチレン/アクリレート−コポリマー、ビニルアセテート/マレエート−コポリマーまたはビニルアセテート/エチレン−コポリマーである。200℃を上回り500℃までの温度で熱処理する場合、結合剤は熱分解および/または燃焼により施与された層から消失する。
【0036】
その活性組成物中で相Aおよび相Bが、微粉のAと微粉のBとからなる混合物中のようにそれぞれ互いに分散している触媒を得るために、有利には上記の多金属酸化物の分離および乾燥後に得られた粉末と、混合酸化物−相Bの元素成分を含有する粉末とを混合し、かつ混合物を記載された方法で不活性の担体に施与する。
【0037】
触媒シェルの層厚もしくは、触媒活性成分を含有するシェルの層厚の全体は、一般的に10〜250μmである。
【0038】
本発明による触媒は、芳香族のまたは複素環式芳香族の炭化水素を部分酸化してアルデヒド、カルボン酸および/またはカルボン酸無水物にするために、殊にo−キシレンおよび/またはナフタリンを無水フタル酸に、トルエンを安息香酸および/またはベンズアルデヒドに、またはメチルピリジン、例えばβ−ピコリンをピリジンカルボン酸、例えばニコチン酸に、分子酸素を含有するガスを用いて気相部分酸化するために使用される。本発明による触媒をこのためにそれ単独でかまたは他の異なる活性の触媒、例えば酸化バナジウム/アナターゼをベースとする従来技術の触媒と組み合わせて使用してよく、その際、異なる触媒は反応器中で、一般的に1つ以上の触媒固定床中に配置されていてよい別個の触媒堆積物中に配置される。
【0039】
本発明によるシェル型触媒またはプレ触媒をこのために、外側から、例えば溶融塩を用いて反応温度に温度調節される管形反応器の反応管内に充填する。本発明によるシェル型触媒の代わりに上で定義されたプレ触媒を使用する場合、該触媒から部分酸化の温度条件下で本発明によるシェル型触媒が生じる。そのように調製された触媒堆積物に、反応ガスを100〜650℃および有利には250〜480℃の温度においてかつ一般的に0.1〜2.5bar、有利には0.3〜1.5barの過圧において、一般的に750〜5000h−1の空間速度で導通させる。
【0040】
一般的に、触媒に供給された反応ガスは酸素以外にさらに適切な反応調節剤および/または希釈剤、例えば水蒸気、二酸化炭素および/または窒素を含有してよい分子酸素を含有するガスと、酸化されるべき芳香族炭化水素との混合により得られ、その際、分子酸素を含有するガスは一般的に酸素1〜100体積%、有利には2〜50体積%およびとりわけ有利には10〜30体積%、水蒸気0〜30体積%、有利には0〜20体積%ならびに二酸化炭素0〜50体積%、有利には0〜1体積%、残留窒素を含有してよい。反応ガスを得るため、分子酸素を含有するガスに、一般的にガスの標準状態1mあたり30〜300gの、有利には標準状態1mあたり70〜150gの酸化されるべき芳香族炭化水素を負荷する。とりわけ有利には、分子酸素を含有するガスとして空気が使用される。
【0041】
有利には気相部分酸化は、反応管内に存在する触媒堆積物の2つ以上の帯域、有利には2つの帯域を異なる反応温度に温度調節して実施するが、そのために例えば分けられた塩浴を有する反応器を使用してよい。反応が2つの反応帯域中で実施される場合、一般的に全触媒体積の30〜80体積%を包含する一般的に反応ガスのガス入口に向けて置かれた反応帯域を、ガス出口に向けて置かれた反応帯域より1〜20℃、有利には1〜10℃および殊に2〜8℃高い反応温度に温度調節する。そのような運転方法は、反応器の2帯域構造化またはマルチ帯域構造化(Mehrzonenstrukturierung)と呼称される。他の選択肢として気相部分酸化を、複数の温度帯域に分割せず均一な反応温度で実施してもよい。
【0042】
無水フタル酸をo−キシレンおよび/またはナフタリンから製造するためにとりわけ有利であると判明している、芳香族炭化水素および複素環式化合物(例えばメチルピリジンもしくはβ−ピコリン)を部分酸化してアルデヒド、カルボン酸および/またはカルボン酸無水物にするための方法の有利な一実施態様の場合、芳香族炭化水素をまず本発明による触媒の堆積物と部分的に反応させながら反応混合物にする。次いで、得られた反応混合物またはそれの留分を、その触媒活性組成物が五酸化バナジウムおよびアナターゼを含有する少なくともさらに他の触媒を用いて接触させてよい。
【0043】
無水フタル酸をo−キシレンから製造する場合、部分的に反応した反応混合物は、例えば無水フタル酸および他の酸化生成物、例えばo−トリルアルデヒド、o−トリルカルボン酸およびフタリド、および未反応のo−キシレンを含有する。その後に、
a)o−キシレンを、無水フタル酸および、o−キシレンから無水フタル酸への反応経路上にある中間生成物である他の酸化生成物から分離しかつ返送し、かつ無水フタル酸と中間生成物とからなる流を、例えば酸化バナジウム/アナターゼをベースとするシェル型触媒を有する1つ以上のさらに他の触媒堆積物に供給し、そこで中間生成物を選択的に酸化し無水フタル酸にすることによるか;または
b)生成物の混合物をさらに後処理することなく、すなわちo−キシレンの分離をせず、第2のまたは場合によりさらに他の触媒堆積物に導通させる
ことにより後処理してもよい。
【0044】
有利には、ガス状の流を上流に置かれた触媒の床および下流に置かれた触媒の床に順次導通させ、その際、上流に置かれた触媒の床は本発明による触媒を含有しかつ下流に置かれた触媒の床は、その触媒活性組成物が五酸化バナジウムおよびアナターゼを含有する少なくとも1種の触媒を含有する。一般的に、下流に置かれた触媒の触媒活性組成物は、Vとして計算される酸化バナジウム1〜40質量%を、TiOとして計算される二酸化チタン60〜99質量%を、Csとして計算されるセシウム化合物1質量%までを、Pとして計算されるリン化合物1質量%までを、かつSbとして計算される酸化アンチモン10質量%までを含有する。有利には、下流に置かれた触媒の床は、その触媒活性組成物が異なったCs−含量を有する少なくとも2層の触媒を包含し、その際、Cs−含量はガス状の流の流れ方向において減少する。
【0045】
この種の反応制御により、酸化バナジウム/アナターゼをベースとする触媒系を唯一使用する場合より明らかに高い無水フタル酸−収率が全体で獲得される。それというのも本発明による触媒は、o−キシレンおよび/またはナフタリンをほぼ選択的に酸化して無水フタル酸もしくは前記の中間生成物にすることができるからである。
【0046】
類似した方法を、トルエンからベンズアルデヒドおよび/または安息香酸へ酸化する際もしくはβ−ピコリンからニコチン酸へ酸化する際に用いてよい。例えば、ニコチン酸はビタミンの製造のための出発物質として使用される。
【0047】
実施例
触媒
A 多金属酸化物Ag0.73の製造
60℃の脱塩水7l中に、V102g(=0.56モル)を攪拌しながら添加した。得られたオレンジ色の懸濁液中に、さらに攪拌しながら水1l中のAgNO(=0.409モル)69.5gの水溶液を添加した。引き続き、得られた懸濁液の温度を2時間以内に90℃に高めかつこの温度で混合物を24時間攪拌した。その後、得られた暗褐色の懸濁液を冷却しかつ噴霧乾燥させた(入口温度(空気)=350℃、出発温度(空気)=110℃)。
【0048】
得られた粉末は、56m/gのBETによる比表面積を有していた。得られた粉末の粉末X線図は、Siemens社の回折計D5000を使用してCu−Kα−放射線(40kV、30mA)を用いながら記録した。回折計は、自動式の1次ダイアフラム系および2次ダイアフラム系ならびに2次モノクロメーターおよびシンチレーション検出器を備え付けていた。粉末X線図から、以下の格子面間隔d[Å]を、それに付随する相対強度Irel[%]と共に得た:15.04(11.9)、11.99(8.5)、10.66(15.1)、5.05(12.5)、4.35(23)、3.85(16.9)、3.41(62.6)、3.09(55.1)、3.02(100)、2.58(23.8)、2.48(27.7)、2.42(25.1)、2.36(34.2)、2.04(26.4)、1.93(33.2)、1.80(35.1)、1.55(37.8)。
【0049】
B1 Cs0.4質量%を有するV/TiO−相の製造
60℃の脱塩水100ml中に、攪拌しながらシュウ酸二水和物(=0.12モル)13.0g、次いでV(=0.17モル)3.35gを添加した。得られた青い溶液を30分間、さらに攪拌しながら90℃に加熱した。室温まで冷却した後、硫酸セシウム(=0.0013モル)0.46g、ホルムアミド38.9g、21m/gのBET−表面積を有するアナターゼ80gおよび水157.5gを添加した(固体含有率およそ21%)。引き続き、得られた懸濁液を15時間、25℃で攪拌した。次いで懸濁液を噴霧乾燥させた(入口温度(空気)=350℃;出口温度(空気)=110℃)。噴霧粉末は平均して(Vとして計算される)バナジウム4.0質量%、(Csとして計算される)セシウム0.40質量%および二酸化チタン95.6質量%から成っていた。
【0050】
B2 Cs0.5質量%を有するV/TiO−相の製造
60℃の脱塩水100ml中に、攪拌しながらシュウ酸二水和物(=0.12モル)13.0g、次いでV(=0.17モル)3.35gを添加した。得られた青い溶液を30分間、さらに攪拌しながら90℃に加熱した。室温まで冷却した後、硫酸セシウム(=0.0016モル)0.58g、ホルムアミド38.9g、21m/gのBET−表面積を有するアナターゼ80gおよび水157.4gを添加した(固体含有率およそ21%)。引き続き、得られた懸濁液を15時間、25℃で攪拌した。次いで懸濁液を噴霧乾燥させた(入口温度(空気)=350℃;出口温度(空気)=110℃)。噴霧粉末は平均して(Vとして計算される)バナジウム4.0質量%、(Csとして計算される)セシウム0.50質量%および二酸化チタン95.6質量%から成っていた。
【0051】
触媒の製造
粉末混合物としての相の球への施与
触媒1〜7の製造のために粉末Aを、0〜20質量%の粉末B1もしくはB2と混合し(表を参照)かつ次のようにケイ酸マグネシウム−球に施与した:3.5〜4mmの直径を有するステアタイト−球300gをコーティングドラム中で20℃で20分間、水60質量%とグリセリン40質量%とを含有する混合物35.3gを添加しながら、混合された粉末40gとシュウ酸4.4gとで被覆しかつ引き続き乾燥させた。得られたプレ触媒の試料から測定したそのように施与された触媒活性組成物の質量は、400℃での1時間の熱処理後、完成した触媒の全質量に対して10質量%であった。
【0052】
同心状シェルの形における相の球への施与
触媒8の製造のために、粉末AおよびB1を次のようにケイ酸マグネシウム−球に施与した:3.5〜4mmの直径を有するステアタイト−球300gをコーティングドラム中で20℃で20分間、粉末A36gとシュウ酸4gとで被覆した。次いで、被覆された球を水60質量%とグリセリン40質量%とを含有する混合物30gを添加しながら、6gの粉末B1で被覆しかつ引き続き乾燥させた。得られたプレ触媒の試料から測定したそのように施与された触媒活性組成物の質量は、400℃での1時間の熱処理後、完成した触媒の全質量に対して10質量%であった。その際、銀−酸化バナジウム−ブロンズの内層は86質量%を占めかつV/TiO−相の外層は14質量%を占めていた。
【0053】
粉末混合物としての相のリングへの施与
適用例2〜4のために、粉末Aを0もしくは10質量の粉末B1と混合しかつ次のようにケイ酸マグネシウム−リングに施与した:7mmの外径、3mmの長さおよび1.5mmの壁厚を有するステアタイト−リング350gをコーティングドラム中で20℃で20分間、水60質量%とグリセリン40質量%とを含有する混合物66.7gを添加しながら、混合された粉末84.4gとシュウ酸9.4gとで被覆しかつ引き続き乾燥させた。得られたプレ触媒の試料から測定したそのように施与された触媒活性組成物の質量は、450℃での1時間の熱処理後、完成した触媒の全質量に対して18質量%であった。
【0054】
参照触媒1(V/TiO
8mmの外径、6mmの長さおよび1.6mmの壁厚を有するステアタイト(ケイ酸マグネシウム)リング1400gをコーティングドラム中で160℃に加熱しかつアクリル酸/マレイン酸(質量比75:25)のコポリマーからなる有機結合剤13.8gと一緒に、21m/gのBET−表面積を有するアナターゼ466g、シュウ酸バナジル67.2g、三酸化アンチモン14.4g、リン酸水素アンモニウム3.15g、硫酸セシウム2.87g、水721gおよびホルムアミド149gからなる懸濁液で噴霧した。この方法で施与された触媒活性組成物は平均して(Pとして計算される)リン0.16質量%、(Vとして計算される)バナジウム7.5質量%、(Sbとして計算される)アンチモン3.2質量%、(Csとして計算される)セシウム0.40質量%および二酸化チタン88.74質量%から成っていた。
【0055】
そのように得られたシェル型触媒をコーティングドラム中で160℃に加熱しかつアクリル酸/マレイン酸(質量比75:25)のコポリマーからなる有機結合剤14gと一緒に、21m/gのBET−表面積を有するアナターゼ502g、シュウ酸バナジル35.8g、硫酸セシウム2.87g、水720gおよびホルムアミド198gからなる懸濁液で噴霧した。この方法で施与された触媒活性組成物は平均して(Vとして計算される)バナジウム4.0質量%、(Csとして計算される)セシウム0.4質量%および二酸化チタン88.8質量%から成っていた。施与された層の質量は、完成した触媒の全質量の9.3質量%であった。
【0056】
参照触媒2(V/TiO−触媒)
8mmの外径、6mmの長さおよび1.6mmの壁厚を有するステアタイト(ケイ酸マグネシウム)リング1400gをコーティングドラム中で160℃に加熱しかつ、施与された層の質量が完成した触媒の全質量の10.5%になるまで(450℃での1時間の熱処理後)、21m/gのBET−表面積を有するアナターゼ468g、シュウ酸バナジル67.2g、三酸化アンチモン16.8g、リン酸水素アンモニウム2.95g、硫酸セシウム0.72g、水719gおよびホルムアミド150gからなる懸濁液で噴霧した。この方法で施与された触媒活性組成物、つまり触媒シェルは平均して(Pとして計算される)リン0.15質量%、(Vとして計算される)バナジウム7.5質量%、(Sbとして計算される)アンチモン3.2質量%、(Csとして計算される)セシウム0.1質量%および二酸化チタン89.05質量%から成っていた。
【0057】
適用例
1.無水フタル酸の製造
16mmの内のりの幅を有する80cmの長さの鉄管内に、表に記載されている触媒(被覆されたステアタイト−球)を66cmの床の長さまで充填した。鉄管は温度調節するために電気加熱ジャケットで包囲されていた。試験の際、温度は350℃である。管に毎時間、上方から下方にo−キシレン60g/標準状態の空気1mの98.5質量%のo−キシレンの負荷を有する360lの標準状態の空気を導通させた。以下の表中では、得られた結果がまとめられている。
【0058】
【表1】

【0059】
(相A100%を有する)触媒2の使用後の試料 (Ausbauprobe)から、6.7m/gの活性組成物のBET−表面積と4.63のバナジウム−酸化段階とが算出された。粉末X線図から、以下の格子面間隔d[Å]を、それに付随する相対強度Irel[%]と共に得た:4.85(9.8)、3.50(14.8)、3.25(39.9)、2.93(100)、2.78(36.2)、2.55(35.3)、2.43(18.6)、1.97(15.2)、1.95(28.1)、1.86(16.5)、1.83(37.5)、1.52(23.5)。触媒3〜7の使用後の試料は、Ag/V−相の変化を粉末X線図、BET−表面積(およそ6.7m/g)およびバナジウム−酸化段階(4.67)について示さなかった。
【0060】
2.無水フタル酸の製造(比較例)
下方から上方にそのつど0.80mの参照触媒2、1.40mの参照触媒1とさらに、その活性組成物がA100質量%からなる0.80mの触媒(被覆されたステアタイト−リング)とを、25mmの内のりの幅を有する3.85mの長さの鉄管内に充填した。鉄管は温度調節するために溶融塩で包囲されていた。管に毎時間、上方から下方にo−キシレン80g/標準状態の空気1mの98.5質量%のo−キシレンの負荷を有する標準状態の空気4.0mを導通させた。その際、353〜360℃の塩浴温度で115.5質量%の平均的なPSA−収率に達した(収率は100%のo−キシレンに対して、得られた質量%記載の無水フタル酸を意味する)。反応率は99.94%を上回り、反応出口の残留−フタリド−含有率は0.35質量%を下回っていた。
【0061】
3.無水フタル酸の製造
適用例2を繰り返し、その際しかしそのつど1.00mの参照触媒2、1.60mの参照触媒1とさらに、その活性組成物がA90質量%と10質量%のB1とからなる0.40mの触媒(被覆されたステアタイト−リング)とを充填した。116.4質量%の平均的なPSA−収率に達した。反応率は99.94%を上回り、反応出口の残留−フタリド−含有率は0.30質量%を下回っていた。この実施例は、本発明による触媒を使用した場合、適用例2に比べて明らかに短縮された銀−酸化バナジウム−触媒の床の長さでも高いPSA−収率に達しうることを示している。
【0062】
4.無水フタル酸の製造
適用例2を繰り返し、その際しかしながらそのつど0.80mの参照触媒2、1.80mの参照触媒1とさらに、その活性組成物がA90質量%と10質量%のB1とからなる0.40mの触媒(被覆されたステアタイト−リング)とを充填した。116.9質量%の平均的なPSA−収率に達した。反応率は99.94%を上回り、反応出口の残留−フタリド−含有率は0.35質量%を下回っていた。この実施例は、本発明による触媒を使用した場合、適用例2に対して適応させた参照触媒の堆積物の長さ分布でも高いPSA−収率に達しうることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相Aおよび相Bを3次元に拡張された、その局所的な環境とは異なるその化学的な組成に基づいてその局所的な環境から境界付けられた領域の形で含有し、その際、相Aが銀−酸化バナジウム−ブロンズでありかつ相Bが二酸化チタンおよび五酸化バナジウムをベースとする混合酸化物相である、触媒活性組成物を包含する触媒。
【請求項2】
触媒活性組成物が不活性の担体に施与されていることを特徴とする、請求項1記載の触媒。
【請求項3】
相Aおよび相Bが、微粉のAと微粉のBとからなる混合物中のようにそれぞれ互いに分散している、請求項1または2記載の触媒。
【請求項4】
相Aおよび相Bが、同心状シェルとしてそれぞれ互いに配置されていることを特徴とする、請求項2記載の触媒。
【請求項5】
相A:相Bの質量比が85:15〜95:5であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の触媒。
【請求項6】
相Aは、一般式I
【化1】

[式中、
aは、0.3〜1.9の値を有し、
は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属、Bi、Tl、Cu、Zn、Cd、Pb、Cr、Au、Al、Fe、Co、Ni、Mo、Nb、Ce、W、Mn、Ta、Pd、Pt、Ruおよび/またはRhから選択される少なくとも1種の金属であり、
cは、0〜0.5の値を有するが、但し(a−c)≧0.1であり、
dは、式I中の酸素とは異なる元素の原子価および頻度により定められる数字を意味し、かつ
eは、0〜20の値を有する]
の多金属酸化物のか焼により得られる組成を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の触媒。
【請求項7】
相Bは式II
【化2】

[式中、
は、少なくとも1種のアルカリ金属であり;
は、元素の周期表の第5主族の元素であり、
xは、0.001〜0.2の値を有し、
yは、0〜0.01の値を有し、
wは、0〜0.02の値を有し、かつ
zは、式II中の酸素とは異なる元素の原子価および頻度により定められる数字を意味する]
の組成を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の触媒。
【請求項8】
相A、そのための前駆体またはそれの元素成分の供給源を包含する粉末と、相B、そのための前駆体またはそれの元素成分の供給源を包含する粉末とを混合しかつ不活性の担体に施与する、請求項3記載の触媒の製造法。
【請求項9】
(i)相A、そのための前駆体またはそれの元素成分の供給源と、(ii)相B、そのための前駆体またはそれの元素成分の供給源とを不活性の担体に順次施与する、請求項4記載の触媒の製造法。
【請求項10】
芳香族のまたは複素環式芳香族の炭化水素と分子酸素とを含有するガスを包含するガス状の流を、高められた温度で請求項1から7までのいずれか1項記載の触媒と接触させる、アルデヒド、カルボン酸および/またはカルボン酸無水物の製造法。
【請求項11】
ガス状の流を、上流に置かれた触媒の床および下流に置かれた触媒の床に順次導通させ、その際、上流に置かれた触媒の床は請求項1から7までのいずれか1項記載の触媒を含有しかつ下流に置かれた触媒の床は、その触媒活性組成物が二酸化チタンおよび五酸化バナジウムをベースとする混合酸化物相からなる少なくとも1種の触媒を含有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
芳香族炭化水素としてo−キシレンまたはナフタリンまたはo−キシレンとナフタリンとからなる混合物を酸化して無水フタル酸にする、請求項10または11記載の方法。

【公表番号】特表2007−530252(P2007−530252A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504369(P2007−504369)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003179
【国際公開番号】WO2005/092496
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】