説明

鋼管および鋼管杭、ならびに鋼管の製造方法

【課題】安定した耐力向上を図ることができ、かつ施工性を良好にして工期の短縮を図ることができる鋼管および鋼管杭、ならびに鋼管の製造方法を提供すること。
【解決手段】鋳鉄または鋳鋼からなるライニング8によって鋼管本体7を補強することができるので、上杭3の耐力向上を図ることが容易にでき、鋼管本体7の板厚を厚くしなくてもよいため、経済的に鋼管杭基礎1を構築することができる。さらに、ライニング8を工場で形成して上杭3を製造することで、鋼管杭基礎1を構築する建設現場の地理的条件や気象条件の影響を受けず、安定した品質のライニング8を形成することができるとともに、コンクリートを充填する場合と比較して、現場における作業工程を削減して工期短縮を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管および鋼管杭、ならびに鋼管の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、杭基礎の一種である鋼管杭として、杭頭部から所定の深さ(例えば、杭径の3倍〜5倍の範囲)まで鋼管内部にコンクリートを充填して鋼管と一体化させ、これらの鋼管およびコンクリートを合成した曲げ耐力によって杭頭部の曲げモーメントに抵抗できるようにした杭構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この鋼管杭では、コンクリートの充填区間の下端近傍における鋼管内面に突起を設けておくことで、コンクリートと鋼管との一体性が高められるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−297865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の鋼管杭のように、建設現場にて打設した鋼管内部にコンクリートを充填する構造では、コンクリートと鋼管との密着性を確保することが重要であるが、建設現場における地理的条件や気象条件などによって充填するコンクリートの品質がばらついたり、地盤に貫入した鋼管内部に土砂が付着していたりなど、密着性を確保することが困難となる場合がある。そして、鋼管とコンクリートとの密着性が悪い場合には、設計上想定した合成効果による曲げ耐力が得られず、問題となる。また、従来の鋼管杭では、建設現場でコンクリートを充填する前に鋼管内部の土砂を撤去し、鋼管内部を清掃してからコンクリートを充填することから、現場における作業工程が多くなるとともに、コンクリートが硬化するまでの養生期間が必要になることから、施工性が著しく低下してしまうという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、安定した耐力向上を図ることができ、かつ施工性を良好にして工期の短縮を図ることができる鋼管および鋼管杭、ならびに鋼管の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鋼管は、円筒状かつ長尺状の鋼管本体と、前記鋼管本体の内周面を覆って設けられる被覆材とを備え、前記被覆材は、鋳鉄または鋳鋼から形成されていることを特徴とする。
ここで、本発明の鋼管としては、鋼管杭として利用されるものに限らず、土木建築構造の上部構造物を構成する柱やブレース、トラス構造などに利用されるものでもよいし、さらには土木建築構造以外の構造物に利用されるものであってもよい。そして、鋼管杭以外に利用する場合には、鋼管の全長に渡って被覆材が設けられていれば、被覆材により鋼管全体の軸断面積および断面係数を増加させて剛性および耐力の向上を図ることができる。一方、鋼管の全長に設けずに鋼管同士の接合部や鋼管と他の部材との接合部の近傍を少なくとも含む位置に被覆材が設けられていてもよく、このようにすれば、接合部近傍に作用する曲げモーメント等に対して被覆材により鋼管を補強でき、被覆材を節約しつつ耐力の向上を図ることができる点で好ましい。
【0007】
以上の本発明によれば、鋳鉄または鋳鋼から形成された被覆材を鋼管本体の内周面に設けることで、被覆材によって鋼管本体を補強することができ、耐力の向上を図ることができる。このような鋳鉄または鋳鋼からなる被覆材は、建設現場ではなく設備が整った工場において鋼管本体に一体化されるため、建設現場の地理的条件や気象条件の影響を受けず、安定した品質の被覆材を形成することができる。さらに、工場で一体化した鋼管本体および被覆材からなる鋼管を建設現場に搬送すればよく、現場で一体化する必要がないことから、現場における作業工程を削減して工期短縮を図ることができる。また、鋼管本体の長手方向における被覆材を形成する範囲が任意に設定できることから、鋼管本体の適宜な位置でかつ必要に応じた分だけ被覆材の厚さを増加させることで、無駄なく耐力を向上させることができ、経済的な強度設計が実現できる。
【0008】
この際、本発明の鋼管では、前記鋼管本体は、内周面に突出したリブを有した内面リブ付き鋼管、または内周面に凹凸を有した内面凹凸付き鋼管で構成されていることが好ましい。
さらに、前記リブは、前記鋼管本体の周方向かつ長手方向に沿った螺旋状に形成されるか、前記鋼管本体の長手方向に沿った縦縞状に形成されるか、または、前記鋼管本体の周方向に沿った横縞状に形成されたものが採用可能である。
このような構成によれば、鋼管本体の内周面にリブが形成されていることで、被覆材と鋼管本体との付着を高めることができ、これらの一体性が高まることによる耐力向上を図ることができる。
【0009】
さらに、本発明の鋼管では、前記鋼管本体は、スパイラル鋼管で構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、ベンディング加工で構成される鋼管と比べて安価に製造できるスパイラル鋼管を用いることで、製造コストを低減させることができる。また、スパイラル鋼管では、その板厚寸法が制限を受けて厚板を用いることが困難であるが、このスパイラル鋼管の内周面に鋳鉄または鋳鋼からなる被覆材を形成することで、比較的容易に板厚寸法を大きくして耐力を高めることができる。従って、高い耐力の鋼管を比較的安価かつ容易に製造することができる。
【0010】
また、本発明の鋼管では、前記被覆材は、鋳鉄または鋳鋼を遠心ライニングによって前記鋼管本体の内周面に固定されていることが好ましい。
このような構成によれば、鋼管本体を回転させつつ鋳鉄または鋳鋼を内周面に固定する遠心ライニングによって製造することで、比較的簡便な設備を用いて製造することができ、製造コストをさらに低減させることができる。
【0011】
一方、本発明の鋼管杭は、前記いずれかの鋼管を用いた鋼管杭であって、前記鋼管本体の長手方向に沿った所定の範囲に前記被覆材を設けたことを特徴とする。
この際、本発明の鋼管杭では、前記被覆材を設ける範囲は、杭頭部側の所定長さおよび杭先端部側の所定長さの少なくともいずれかに設定されていることが好ましい。
このような構成によれば、前述したような鋼管を鋼管杭として利用することで、鋼管杭の所定位置における耐力を向上させることができる。さらに、鋼管杭において、曲げモーメントが大きくなる杭頭部や、施工時の抵抗による応力が大きくなる杭先端部など、適宜な位置に被覆材を設けることで、効果的な補強による耐力向上が図られ、鋼管杭全長に渡って補強する必要がないことから、製造コストを抑制することができる。
【0012】
また、本発明の鋼管杭は、上杭および下杭を少なくとも備えた複数段で構成され、少なくとも前記上杭を構成する前記鋼管本体の内周面に前記被覆材が設けられていることが好ましい。
さらに、本発明の鋼管杭では、前記上杭と前記下杭とをそれぞれ構成する前記鋼管本体の板厚が同一に設定されていることが好ましい。
このような構成によれば、曲げモーメントが大きくなる上杭の鋼管本体に被覆材を設けることで、鋼管本体の板厚を大きくすることなく上杭の耐力を向上させて曲げモーメントに抵抗させることができる。さらに、上杭および下杭における鋼管本体の板厚を同一に設定する、つまり同一断面の鋼管本体を利用することで、鋼管本体を共通化でき、その製作コストや部材管理コストの低減を図ることができる。
【0013】
また、本発明の鋼管杭は、杭先端部に螺旋状の羽根を備えた回転貫入杭であって、前記羽根の設けられる位置を含んだ所定範囲に前記被覆材が設けられていることが好ましい。 このような構成によれば、回転貫入の際に羽根が受ける抵抗によって施工時の応力が大きくなる杭先端部に被覆材を設けることで、効果的な補強による耐力向上が図られ、鋼管本体の板厚を大きくすることなく施工時応力に抵抗させることができる。
【0014】
一方、本発明の鋼管の製造方法は、円筒状かつ長尺状の鋼管本体を回転させつつ、この鋼管本体の内部に溶鉄を注入し、注入した溶鉄を硬化させた鋳鉄または鋳鋼で当該鋼管本体の内周面を覆う被覆材を形成することを特徴とする。
このような本発明によれば、前述と同様に、比較的簡便な設備を用いて鋼管を製造することができ、製造コストを低減させつつ鋼管の耐力向上を図ることができる。さらに、このようにして製造した鋼管を建設現場等に搬送することで、現場における被覆作業や充填作業を省略することができ、施工性向上および工期短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のような本発明の鋼管および鋼管杭によれば、鋳鉄または鋳鋼からなる被覆材によって鋼管本体を補強することができ、比較的容易に鋼管の耐力向上を図ることができる。さらに、本発明の鋼管の製造方法において、工場で被覆材を形成することで、建設現場の地理的条件や気象条件の影響を受けず、安定した品質の被覆材を形成することができ、建設現場等での被覆作業や充填作業が不要にできることから、現場における作業工程を削減して工期短縮を図ることができる。また、鋼管本体の長手方向における被覆材を形成する範囲が任意に設定できることから、必要な位置に被覆材を設けて無駄なく耐力を向上させることができ、経済的に鋼管を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る鋼管を用いた鋼管杭基礎を示す断面図である。
【図2】前記鋼管杭の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】前記鋼管杭の製造方法を示す図である。
【図4】前記鋼管杭の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、鋼管杭基礎1は、地盤Gに貫入した下杭2の上端に上杭3を溶接接合するとともに、上杭3の杭頭部にフーチングFを固定して構成されている。下杭2の先端部(杭先端)には、螺旋状の羽根4が固定され、杭打ち機により回転されることで、羽根4による推進力を得て地盤Gに貫入されるようになっている。下杭2は、内周面に螺旋状のリブ5が形成された内面リブ付きのスパイラル鋼管で構成されている。上杭3は、内周面に螺旋状のリブ6が形成された内面リブ付きのスパイラル鋼管からなる鋼管本体7と、この鋼管本体7の内周面を覆って設けられる被覆材としてのライニング8とを備えて構成されている。これらの下杭2と上杭3の鋼管本体7とは、同一種別および同一サイズのスパイラル鋼管で構成されている。
【0018】
上杭3において、鋼管本体7は、図2に示すように、所定の板厚寸法T1を有して片面に例えば3本のリブ6が形成された鋼板をスパイラル状に巻き付けるとともに、当該鋼板の端縁同士を溶接して形成され、その外径Dが500mm〜2500mmのスパイラル鋼管とされている。そして、鋼管本体7の板厚寸法T1としては、例えば、9mm〜22mm程度とされ、リブ6の突出寸法としては2.5mm以上(通常は3mm程度)に設定されている。また、リブ6同士の間隔寸法としては、例えば、40mm程度以下に設定されている。なお、スパイラル鋼管のリブ6の本数や螺旋状の傾斜角度等は特に限定されるものではなく、適宜な本数、形状のものが利用可能である。
【0019】
また、ライニング8は、鋼管本体7の内周面を覆って所定の厚さ寸法T2を有する鋳鉄または鋳鋼から形成され、図3に示すように、鋼管本体7内部に流し込んだ溶鉄Mを硬化させることでリブ6が食い込み、互いに嵌合した状態で鋼管本体7とライニング8とが一体化されている。そして、ライニング8の厚さ寸法T2としては、リブ6の突出寸法以上であり、例えば、5mm〜20mm程度に設定されている。このようなライニング8が形成された上杭3の板厚寸法Tは、鋼管本体7の板厚寸法T1よりも厚くなることで、上杭3の曲げ耐力や軸耐力が鋼管本体7に対して向上でき、大きな曲げモーメントが作用する上杭3の強度を高められるようになっている。
【0020】
一方、上杭3の長手方向(上下方向)におけるライニング8の形成範囲は、図1に示すように、上杭3の全長Lよりも短い長さL1の範囲に設定されており、上杭3の上下端部には、それぞれライニング8で被覆されない非被覆領域が長さL2だけ設けられている。なお、非被覆領域は、上杭3の上端部または下端部において適宜省略可能であり、すなわち、上杭3の全長Lに渡ってライニング8で被覆してもよいし、上端部または下端部の先端までライニング8で被覆してもよい。また、ライニング8の下端縁の高さ位置は、フーチングFの下面からの距離L3が上杭3の外径Dに対して3倍から5倍程度(3D≦L3≦5D)となるように設定されている。さらに、ライニング8の上端縁は、フーチングFの内部に所定寸法入った高さ位置になるように設定され、すなわち、上杭3の杭頭部に作用する曲げモーメントをフーチングFや基礎梁に適切に伝達できる程度の高さ位置に設定されている。なお、フーチングF底面の深さ位置や上杭3の施工条件(杭打ち機の仕様やヤットコの取付方法等)によって、フーチングFへの上杭3ののみ込み長は適宜(例えば、100mmなど)に設定され、こののみ込み長に応じて上端部における非被覆領域の長さL2をゼロ以上の適時な長さに調節すればよい。
【0021】
以上のような上杭3の製造方法としては、遠心ライニングによる製造方法が採用可能であり、図3に示すように、鋼管本体7の軸方向が水平となるように複数の回転ローラR上に鋼管本体7を支持し、回転ローラRの回転駆動によって鋼管本体7を回転させた状態において、鋼管本体7の内部に挿入した送り配管Pを介して鋼管本体7内部に溶鉄(溶鋼)Mを注入する。この際、上杭3の両端部においては、ライニング8を被覆しない非被覆領域とするために、適宜な養生材で鋼管本体7の内周面を保護しておく。なお、非被覆領域を設けない場合には、養生材は不要であり、鋼管本体7の端部から溶鉄Mが流れでないように適宜な型枠等を設けておけばよい。そして、鋼管本体7を回転させつつ溶鉄Mを除々に冷却し、この溶鉄Mが冷えて硬化した鋳鉄または鋳鋼によってライニング8が形成されることとなる。この後、形成したライニング8の表面を適宜な研削手段で研削し、ライニング8の厚さ寸法T2を調整することで上杭3の製造が完了する。
【0022】
なお、本実施形態において、ライニングを形成する部位としては上杭3に限られず、例えば、図4に示すように、下杭2の先端部にライニング10を形成してもよい。すなわち、下杭2は、前述と同様に内面にリブ5が形成されたスパイラル鋼管で構成される鋼管本体9と、この鋼管本体9の先端部内周面に形成されるライニング10とを有して構成されている。このライニング10は、下杭2の先端部から長手方向に沿って所定の長さL4の範囲に形成されており、この長さL4は、羽根4の設置範囲を少なくとも含むように設定されている。このように羽根4の設置範囲を含んでライニング10を形成することで、地盤Gに貫入される際に羽根4が受ける貫入抵抗に対して鋼管本体9を補強し、鋼管本体9が変形することが防止できるようになっている。
【0023】
以上のような本実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
すなわち、鋳鉄または鋳鋼からなるライニング8,10によって鋼管本体7,9を補強することができるので、上杭3の耐力向上を図ることや下杭2の先端部を補強することが容易にでき、鋼管本体7,9の板厚寸法T1を厚くしなくてもよいため、経済的に鋼管杭基礎1を構築することができる。さらに、ライニング8,10を工場で形成して上杭3や下杭2を製造することで、鋼管杭基礎1を構築する建設現場の地理的条件や気象条件の影響を受けず、安定した品質のライニング8,10を形成することができるとともに、コンクリートを充填する場合と比較して、現場における作業工程を削減して工期短縮を図ることができる。
【0024】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、鋼管としての下杭2および上杭3を備えた鋼管杭基礎1を例示したが、本発明の鋼管は、鋼管杭として利用されるものに限らず、橋や鉄塔等の土木構造物や、ビル等の建築構造物、その他任意の構造物を構成する鋼管に利用可能である。その際、各構造物の特性に応じて任意の位置に被覆材を設ければよく、例えば、建築構造物の柱に本発明の鋼管を利用する場合には、その柱の柱脚部に被覆材を形成したり、柱と梁との接合部近傍や、柱とブレースとの接合部近傍に被覆材を形成したりなど、被覆材の形成領域を任意に設定することができる。
【0025】
また、本発明の鋼管における鋼管本体は、内面リブ付きのスパイラル鋼管に限らず、鋼管本体の内周面にリブが形成されていない鋼管を用いてもよいし、熱間圧延や冷間のベンディング加工によって形成された鋼管を用いてもよい。また、鋼管本体の内周面に設けられるリブの形状としては、前記実施形態のような螺旋状の形状に限らず、鋼管本体の長手方向に沿った縦縞形状でもよいし、鋼管本体の周方向に沿った横縞形状でもよい。
また、鋼管本体の内周面には、リブに代えて凹凸が形成されていてもよく、凹凸としては、例えば、縞鋼板(チェッカープレート)のように二方向の凸部が交互に形成されたものでもよいし、エンボス加工によって凸部と凹部とが離散的に形成されたものでもよい。さらには、鋼管本体の内周面に鉄筋などを溶接して凹凸を形成してもよいし、鋼管本体の内周面を研削して凹凸を形成してもよい。
【0026】
また、前記実施形態の鋼管杭基礎1では、下杭2および上杭3の上下二段で鋼管杭を構成したが、これに限らず、1本の鋼管で構成されてもよいし、3本以上の鋼管で構成されるものであってもよい。
また、前記実施形態では、大きな曲げモーメントが作用する鋼管杭の杭頭部である上杭3において、鋼管本体7にライニング8を形成したが、これに限らず、鋼管杭の中間部に軟弱層が存在して杭の変形および応力が大きくなるような場合には、この中間層に位置する鋼管本体に被覆材を形成して耐力を向上させてもよい。
さらに、前記実施形態では、下杭2と上杭3の鋼管本体7とを同一種別および同一サイズのスパイラル鋼管で構成したが、これに限らず、同一杭径のものであれば互いの板厚が異なる鋼管を組み合わせてもよい。
【0027】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0028】
1…鋼管杭基礎、2…下杭、3…上杭、4…羽根、5,6…リブ、7,9…鋼管本体、8,10…ライニング(被覆材)、M…溶鉄。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状かつ長尺状の鋼管本体と、
前記鋼管本体の内周面を覆って設けられる被覆材とを備え、
前記被覆材は、鋳鉄または鋳鋼から形成されていることを特徴とする鋼管。
【請求項2】
請求項1に記載の鋼管において、
前記鋼管本体は、内周面に突出したリブを有した内面リブ付き鋼管、または内周面に凹凸を有した内面凹凸付き鋼管で構成されていることを特徴とする鋼管。
【請求項3】
請求項2に記載の鋼管において、
前記リブは、前記鋼管本体の周方向かつ長手方向に沿った螺旋状に形成されるか、前記鋼管本体の長手方向に沿った縦縞状に形成されるか、または、前記鋼管本体の周方向に沿った横縞状に形成されていることを特徴とする鋼管。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の鋼管において、
前記鋼管本体は、スパイラル鋼管で構成されていることを特徴とする鋼管。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の鋼管において、
前記被覆材は、鋳鉄または鋳鋼を遠心ライニングによって前記鋼管本体の内周面に固定されていることを特徴とする鋼管。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の鋼管を用いた鋼管杭であって、
前記鋼管本体の長手方向に沿った所定の範囲に前記被覆材を設けたことを特徴とする鋼管杭。
【請求項7】
請求項6に記載の鋼管杭において、
前記被覆材を設ける範囲は、杭頭部側の所定長さおよび杭先端部側の所定長さの少なくともいずれかに設定されていることを特徴とする鋼管杭。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の鋼管杭において、
上杭および下杭を少なくとも備えた複数段で構成され、
少なくとも前記上杭を構成する前記鋼管本体の内周面に前記被覆材が設けられていることを特徴とする鋼管杭。
【請求項9】
請求項8に記載の鋼管杭において、
前記上杭と前記下杭とをそれぞれ構成する前記鋼管本体の板厚が同一に設定されていることを特徴とする鋼管杭。
【請求項10】
請求項6から請求項9のいずれかに記載の鋼管杭において、
杭先端部に螺旋状の羽根を備えた回転貫入杭であって、
前記羽根の設けられる位置を含んだ所定範囲に前記被覆材が設けられていることを特徴とする鋼管杭。
【請求項11】
円筒状かつ長尺状の鋼管本体を回転させつつ、この鋼管本体の内部に溶鉄を注入し、
注入した溶鉄を硬化させた鋳鉄または鋳鋼で当該鋼管本体の内周面を覆う被覆材を形成することを特徴とする鋼管の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−144562(P2011−144562A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6466(P2010−6466)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【Fターム(参考)】