説明

錠剤充填装置

【課題】調剤装置の一つである錠剤充填装置で錠剤が充填されたバイアル瓶を優先度を考慮して効率よく排出し、患者を長時間待たせることのない錠剤充填装置を提供する。
【解決手段】処方データに基づいて錠剤を払い出してバイアル瓶9に充填し、該錠剤を充填したバイアル瓶9を複数の排出口113に排出する錠剤充填装置1において、複数の排出口113のうち少なくともいずれか一つを優先排出口113とし、当該錠剤の調剤すべき日時が現在日時から所定範囲内にあるとき、錠剤を充填したバイアル瓶9を優先排出口113に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイアル瓶に錠剤を充填する錠剤充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処方薬には、一般に、調剤すべき日時すなわち患者に引き渡すべき約束日時が決められており、この約束日時に間に合うように調剤が行われる。処方データに基づいて錠剤を払い出してバイアル瓶に充填し、該錠剤を充填したバイアル瓶を排出口に排出する錠剤充填装置では、錠剤を充填したバイアル瓶はオペレータによって取り出されるまで排出口に保持されている。複数の排出口の全てがバイアル瓶で塞がれていると、約束日時が迫っている錠剤を充填したバイアル瓶を排出口に排出できなくなり、約束時間に薬剤を受け取りにきた患者を待たせることになる。
【0003】
従来、特許文献1には、調剤装置の実行状況を投薬表示装置に表示して、調剤作業の進行状況を作業者に知らせ、調剤装置による調剤作業の実行スケジュールを調整して、患者の待ち時間を全体としてできるだけ短くする調剤システムが提案されている。
また、特許文献2には、至急監査データに優先フラグを付与し、該至急監査データを上位に並べ替えて表示することで、至急監査データを優先的に監査して、患者の待ち時間を短縮することができるようにした監査情報処理システムが提案されている。
【0004】
前記特許文献に記載のシステムでは、調剤装置の実行状況や監査データの緊急度の表示を通して人為的にスケジュールや監査順序を調整しても、調剤装置で調剤済み薬剤が適時に排出されないと、患者の待ち時間を短縮することができない。
【特許文献1】特公昭6−9600号公報
【特許文献2】特開2000−366657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、調剤装置の一つである錠剤充填装置で錠剤が充填されたバイアル瓶を優先度を考慮して効率よく排出し、患者を長時間待たせることのない錠剤充填装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、
処方データに基づいて錠剤を払い出してバイアル瓶に充填し、該錠剤を充填したバイアル瓶を複数の排出口に排出する錠剤充填装置において、
前記複数の排出口のうち少なくともいずれか一つを優先排出口とし、
当該錠剤の調剤すべき日時が現在日時から所定範囲内にあるとき、前記錠剤を充填したバイアル瓶を前記優先排出口に排出するものである。
【0007】
前記構成によると、錠剤の調剤すべき日時が現在日時から所定範囲内にある錠剤を充填したバイアル瓶が優先排出口に排出されるので、当該バイアル瓶を早く取り出すことが促される。
【0008】
前記調剤すべき日時は処方データに含まれていることが好ましい。このようにすると、処方データを受け入れた時点で、錠剤の調剤すべき日時が迫っているか余裕があるかを迅速に判断することができる。
【0009】
前記優先排出口が空いていなければ、通常排出口に前記錠剤を充填したバイアル瓶を排出することが好ましい。この場合、通常排出口に排出したバイアル瓶が優先である旨の表示を行うことが好ましい。
【0010】
前記通常排出口が空いていなければ、前記排出口に排出されているバイアル瓶を取り出すことを促す表示を行うことが好ましい。この表示を見てオペレータがバイアル瓶を取り出すと、その空いた排出口に錠剤の調剤すべき日時が迫っているバイアル瓶を直ちに排出することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の排出口のうち少なくともいずれか一つを優先排出口とし、当該錠剤の調剤すべき日時が現在日時から所定範囲内にあるとき、錠剤を充填したバイアル瓶を優先排出口に排出するものであるから、優先度を考慮してバイアル瓶を効率よく排出することができ、優先排出口よりバイアル瓶を早く取り出すことが促され、患者を長時間待たせることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1乃至図4は、本発明の実施形態に係る錠剤充填装置1を示す。錠剤充填装置1は、図4に示すように、バイアル瓶供給ユニット2、ラベリングユニット3、バイアル瓶リフター4、錠剤供給ユニット5、搬送ユニット6、排出ユニット7を備える。なお、この錠剤充填装置1の装置本体8において、バイアル瓶9の排出窓10A,10B,10Cが設けられた面を正面とする。
【0013】
装置本体8の正面には、正面扉11が開閉可能に設けられている。正面扉11には、垂直方向3箇所に開口する排出窓10A,10B,10Cのほか、上段と中段の排出窓10A,10Bの間に操作パネル12が設けられている、また、操作パネル12の右側には、バーコードリーダ13が設置され、その下方には錠剤の充填又は戻し作業用の補助装着台14が設けられている。下段の排出窓10Cの下方には、ラベリングユニット3を引き出すための引出しドアが設けられている。
【0014】
<バイアル瓶供給ユニット2>
バイアル瓶供給ユニット2は、図5に示すように、装置本体8の正面から見て奥側の下部両側に矩形箱状のストッカ21を備えている、各ストッカ21には、サイズの異なるバイアル瓶9がランダムに収容されている。バイアル瓶9は、装置本体8の左右側面に設けたドア22(図1参照)を開放して補充できるようになっている。ストッカ21の内底には、装置本体8の正面に向かって上方に傾斜する走行駆動可能な無端ベルト23aからなるコンベア23が設けられている。コンベア23は、ストッカ21に収容されたバイアル瓶9を正面側に搬送するようになっている。ストッカ21の正面側の内壁に沿って、取出し装置24が垂直に設けられている。取出し装置24は、走行駆動可能な無端ベルト24aにパドル25を一定間隔で取り付けてなり、各パドル25にバイアル瓶9を横向きに支持し該バイアル瓶9を無端ベルト24aの上昇に伴って取り出すことができる。コンベア23の前端と取出し装置24の下端との間にはコンベア23で搬送されてきたバイアル瓶9を取出し装置24のパドル25に案内するガイド板26が設けられている。
【0015】
ストッカ21の正面側の外壁には、取出し装置24によりストッカ21から取り出されたバイアル瓶9を滑落させる1対のシュート27と、該1対のシュート27から滑落してきたバイアル瓶9を受け止めて支持する1対のフォーク28とが設けられている。フォーク28は、ラック&ピニオン機構等の公知の機構により、サイズの異なるバイアル瓶9をいずれも支持できるように水平方向に幅を変更可能である。なお、バイアル瓶9は、図6に示すように、口部の外周にフランジ9aと、図示しないキャップをロックする機構を有する突片9bとを有するものである。
【0016】
バイアル瓶供給ユニット2には、図4に示すように、ストッカ21の内部の下方に欠品センサ29a、上方にオーバーフィルセンサ29b、最上位置のパドル25に支持されたバイアル瓶9を検出する準備状態検出センサ29c、シュート27に図示しないストッパで停止させられたバイアル瓶を検出するバイアル瓶待機センサ29dがそれぞれ設けられている。
【0017】
<ラベリングユニット3>
ラベリングユニット3は、図5に示すように、ラベルプリンタ31とプッシャー32とからなっている。ラベルプリンタ31は、図6に示すように、バイアル瓶9の外周面に貼り付けるラベル33を一定間隔で貼り付けたラベルテープ34を使用する。ラベルプリンタ31は、図5に示すように、ラベルテープ34を巻回したテープリール35と、このテープリール35から供給されたラベルテープ36のラベル33に処方番号、患者名、薬剤名などの情報を印刷するプリントヘッド36と、ラベル33を剥がされたラベルテープ34を巻き取る巻取リール37と、バイアル瓶9を回転させる駆動ローラ38とを備えた公知のものである。プッシャー32は、図6に示すように、モータ39により駆動されるボールねじ40によりフォーク28と平行にガイドロッド41に沿って移動可能である。プッシャー32には、前記バイアル瓶供給ユニット2のフォーク28に支持されたバイアル瓶9をラベルプリンタ31の駆動ローラ38に押し付ける3つのローラ42a,42b,42cを有している。装置本体32には図8に示すように大,小のバイアル瓶9の突片9bの位置を検出するセンサ43が設けられている。
【0018】
<バイアル瓶リフター4>
バイアル瓶リフター4は、図7乃至9に示すように、バイアル瓶9を載置する昇降台51と、該昇降台51に載置される支持板52と、前記昇降台51と支持板52を昇降させる昇降機構53と、ピン開閉棒54とからなっている。
【0019】
昇降台51は、上面にバイアル瓶9の外周を支持する4本のピン55が突出している。対向する2本のピン55の基部は可動ブロック56に固定されている。2つの可動ブロック56はガイドロッド57に沿って互いに接離する方向に移動可能であり、接近する方向にばね58により付勢されている。支持板52は、前記4本のピン55が進入する長い切欠き59が形成されている。支持板52は、外周に複数の耳部60を有し、該耳部60で装置本体8に固定されたブラケット61に載置されるようになっている。昇降機構53は図示しないベルト駆動装置によりガイドロッド62に沿って昇降する昇降ブロック63を有し、該昇降ブロック63に設けたアーム64の先端に前記昇降台51が固定されている。ピン開閉棒54は、前記昇降台51の下方にあって、装置本体8に固定されている。このピン開閉棒54は、昇降台51の昇降動作に伴って、昇降台51の2つの可動ブロック56の間に係脱して、可動ブロック56を移動し、4つのピン55を開閉するようになっている。
【0020】
バイアル瓶リフター4の昇降機構53の駆動により昇降台51が下降すると、図7に示すように、4本のピン55は昇降台51の下方に設けたピン開閉棒54に押し広げられてばね58の付勢力に抗してバイアル瓶9から離隔する方向に移動する。昇降台51の下降の途中で、支持板52はブラケット61に支持されて停止するが、昇降台51はそのまま下降を続けて最下位置で停止する。最下位置から昇降台51が上昇すると、図8に示すように、ブラケット61に支持されている支持板52を載置する一方、4本のピン55がピン開閉棒54から解放されてばね58の付勢力により支持板52上のバイアル瓶9を押し付けて保持するようになっている。昇降機構53は、昇降台51に載置されたバイアル瓶9をラベリング位置から後述する搬送ユニット6の受渡し位置まで搬送する。
【0021】
<薬剤供給ユニット5>
錠剤供給ユニット5は、装置本体8の両側の支持パネル71に設けた装着台72に着脱可能に設けられた多数の錠剤カセット73からなっている。支持パネル71には、各錠剤カセット73と対応する位置に錠剤出口74が形成されるといともに、後述するアームユニット94のカウントセンサ104、駆動軸106、突片108、検出ロッド109がそれぞれ進入するセンサ孔104’、駆動軸孔106’、突片孔108’、検出ロッド孔109’が形成されている。錠剤カセット73は、図11に示すように、蓋75が開閉可能に取り付けられた錠剤容器76からなり、該錠剤容器76の内底にロータ77が回転自在に取り付けられている。ロータ77の外周には、錠剤を保持する軸方向に延びるポケット(不図示)が周方向に一定間隔で形成されている。錠剤容器76の底外面には、図12に示すように、ロータ77のポケットと連通する排出孔78が形成されている。排出孔78の上方には、ロータ77のポケットを仕切って該ポケットに保持された錠剤のうち最下の錠剤を排出孔78から排出するための仕切部材79が取り付けられている。錠剤容器76の底外面中央には、底壁を貫通するロータ77の回転軸にロータギヤ80が固定されている。また、錠剤容器76の底外面には、ロータギヤ80と噛合する中間ギヤ81、該中間ギヤ81と噛合するウォームギヤ82が取り付けられている。ウォームギヤ82の先端には、後述する搬送ユニット6の駆動軸106の係合部107と係合して動力を受ける係合受部83が形成されている。また、錠剤容器76の背面には、係合受部83の近傍に係合部84が形成されている。
【0022】
<搬送ユニット6>
搬送ユニット6は、図4に示すように、前記両側の錠剤供給ユニット5の間に設けられ、装置本体8の上下に固定した第1水平レール91と、該第1水平レール91に前後方向に移動可能に取り付けた垂直レール92と、該垂直レール92に上下方向に移動可能に取り付けた第2水平レール93と、該第2水平レール93に左右方向に移動可能に取り付けたアームユニット94とからなる。
【0023】
アームユニット94は、図13に示すように、前記第2水平レール93にモータ95により移動可能に取り付けられた直交移動ベース96と、該直交移動ベース96にモータ97により回動可能に取り付けた回動ベース98と、該回動ベース98に図示しないモータにより傾動可能に設けた傾動ベース99とからなっている。傾動ベース99には、バイアル瓶9を把持し解放するようにモータ100によって開閉駆動可能な一対のアーム101が取り付けられている。回動ベース98には、前記アーム101の上方に、U字形のセンサアーム102と駆動アーム103とが設けられている。センサアーム102の先端には錠剤カセット73から排出される錠剤を計数するカウントセンサ104が取り付けられている。駆動アーム103には、モータ105により回転駆動される駆動軸106が設けられ、該駆動軸106の先端には前記錠剤カセット73のウォームギア82の係合受部83に係合する係合部107が形成されている。また、駆動アーム103には、前記錠剤カセット73の係合部84に係合してアームユニット94を正しい位置に位置決めする突片108と、アームユニット94が正しい位置にあるか否かを検出する検出ロッド109とが取り付けられている。
【0024】
<排出ユニット7>
排出ユニット7は、左右一対の保持部材111を3つの排出窓10A,10B,10Cの各々に対して3個、合計9個設けたものである。一対の保持部材111には上下2つの斜面112a,112bが設けられ、その上端は装置本体8内部に位置し、下端は排出窓10A,10B,10Cに位置し、排出口113を形成している。斜面112a,112bの上端にはさらに斜め上方に延びるガイド部材114が取り付けられている。ガイド部材114の上面は保持部材111の斜面と連続した斜面を形成している。斜面112a,112bの下端にはストッパ115が取り付けられている。このストッパ115は、通常は互いに対向する方向に図示しないばねの付勢力で突出していて斜面112a,112bを滑落してきたバイアル瓶9を受け止め、オペレータがバイアル瓶9を取り出すときにばねの付勢力に抗して後退してバイアル瓶9が通過するようになっている。
【0025】
図15は、本発明に係る錠剤充填装置1の制御ブロック図であり、前記バイアル瓶供給ユニッ2ト、ラベリングユニット3、バイアル瓶リフター4、瓶搬送ユニット5はパーソナルコンピュータ(PC)131からの指令に基づいて制御ユニット132により制御される。また、パーソナルコンピュータ131は、ホストサーバ133により管理される。パーソナルコンピュータ131は、操作パネル12のタッチスクリーンからの信号が入力され、操作パネル12に対して必要な表示信号を出力する。また、パーソナルコンピュータ131にはバーコードリーダ13、瓶検出センサ116からの読取信号が入力されるようになっている。パーソナルコンピュータ131は、薬剤マスタ134等を含むハードディスク135、CPU136、処方データ、ラベルイメージデータ等を一時記憶するメモリ137を有する。
【0026】
以上の構成からなる錠剤充填装置1の動作を図16のフローチャートに従って説明する。
【0027】
ステップS1でホストサーバ133より処方データを受信すると、ステップS2で処方データを調剤データに加工し、錠剤はステップS3で錠剤充填装置1へのバイアルオーダーを行い、注射剤、散薬、ヒート状などはステップS4でそれぞれの装置への払出しのオーダーを行い、ステップS5で各装置或いは手作業による調剤を行う。バイアルオーダーを受けると、パーソナルコンピュータ131の薬剤マスタ134からの最大充填数量のデータに基づき、ステップS6で錠剤を充填可能な容量を有する適切なバイアル瓶9を決定する。薬剤マスタ134には、錠剤の形状、重量、容量等のデータを基づき錠剤毎にバイアル瓶9への最大充填数量が記憶されている。
【0028】
ステップS7で決定したバイアル瓶9が20DRか40DRかを判断し、40DRであれば、ステップS8で40DRのバイアル瓶9が欠品しているか否かを、ストッカ21の欠品センサ29aの検出信号に基づいて判断する。40DRのバイアル瓶9が欠品していれば、ステップS9でエラー表示(バイアル瓶補充指示表示)の信号を操作パネル12に指示する。これにより、ステップS10で操作パネル12に欠品警告表示を行なう。
【0029】
ステップS7でバイアル瓶9が20DRであれば、ステップS11で20DRのバイアル瓶9が欠品しているか否かを、ストッカ21の欠品センサ29aの検出信号に基づいて判断する。20DRのバイアル瓶9が欠品していれば、ステップS12で20DRより大きい代替の40DRのバイアル瓶9が欠品しているか否かを判断し、欠品していればステップS9でエラー表示を指示し、ステップS10で操作パネル12に欠品警告表示を行う。ステップS12で代替の40DRのバイアル瓶9が欠品していなければ、ステップS13で先に決定されたバイアル瓶9のサイズを20DRから40DRに代替する。ステップS14では、ステップS8で40DRのバイアル瓶9が欠品していなければ、先に決定した通り、バイアル瓶9のサイズを40DRに確定し、ステップS11で20DRのバイアル瓶9が欠品していなければ、先に決定した通り、バイアル瓶9のサイズを20DRに確定し、ステップ13でバイアル瓶9の代替をした場合は、バイアル瓶9のサイズを代替の40DRに確定する。
【0030】
このようにステップS14でバイアル瓶9のサイズが確定すると、ステップS16でバイアル瓶9の供給動作を開始する。まず、確定したサイズのバイアル瓶9が収容されたストッカ21のコンベヤ23及び取出し装置24を駆動する。これにより、ストッカ21内のバイアル瓶9は取出し装置24のパドル25により取り出され、シュート27を滑落してフォーク28に載置される。なお、フォーク28はバイアル瓶9のサイズに応じて間隔が調整されるので、バイアル瓶9が口部又は底部のいずれを頭にしてシュート27を滑落してきても、必ず口部を上にした状態で、フランジ9aがフォーク28に支持される。
【0031】
バイアル瓶供給動作が終了すると、図16のフローチャートのステップS16でバイアル瓶9にラベル33を貼り付ける動作を行う。まず、プッシャー32を駆動し、フォーク27に支持されたバイアル瓶9をバイアル瓶リフター4の支持板52上に移動させ、ラベルプリンタ31の駆動ローラ38に押し付けて回転させる一方、ラベルプリンタ31を動作させる。これにより、ラベルテープ34のラベル33はプリントヘッド36を通過して所定事項が印刷され、バイアル瓶9に接近すると剥がされてバイアル瓶9に貼り付けられる。
【0032】
ラベル貼付け動作が終了すると、図16のフローチャートのステップS17でバイアル瓶9の上昇動作を行う。昇降機構53により昇降台51を上昇させると、まずピン55が支持板52に進入しピン開閉棒54が可動ブロック56から離脱する。これにより、4つのピン55がばね58の付勢力により移動してバイアル瓶9を把持する。さらに昇降台51が上昇すると、ブラケット61に支持されている支持板52を押し上げ、バイアル瓶9を瓶搬送ユニット6の第1受渡し位置まで上昇して停止する。この第1受渡し位置でバイアル瓶9が搬送ユニット6に把持されると、昇降台51は下降する。昇降台51が下方の待機位置に近づくと、ピン開閉棒54が4つのピン55の可動ブロック56に係合し、該ピン55をばね58の付勢力に抗して広げ、次のバイアル瓶9を受け入れるべく待機する。昇降台51が下降する途中で、支持板52はブラケット61に支持され、昇降台51のみが待機位置まで下降する。
【0033】
バイアル瓶9の上昇による受け渡し動作が終了すると、図16のフローチャートのステップS18で搬送ユニット6を駆動して、該当する錠剤が収容された錠剤カセット73の位置へバイアル瓶9を移動させる動作を行う。まず、第1水平レール91に沿って垂直レール92を前後方向に移動させ、第2水平レール93を垂直レール92に沿って垂直方向に移動させることで、第2水平レール93上のアームユニット94を昇降台51上のバイアル瓶9に接近させ、アームユニット94のアーム101によりバイアル瓶9を把持する。そして、アームユニット94に把持したバイアル瓶9を該当する錠剤が収容された錠剤カセット73の位置へ接近させる。傾動ベース99を傾けてバイアル瓶9を傾けてその口部を錠剤出口74の斜め下方に位置させる。アームユニット94を前進させると、カウントセンサ104が支持パネル71のセンサ孔104’に進入し、検出ロッド109が支持パネル71の検出孔109’に進入し、突片108が支持パネル71の突片孔108’に進入して錠剤カセット73の係合部84に係合し、駆動軸106の係合部107が支持パネル71の駆動孔106’に進入して錠剤カセット73の係合受部83に係合する。
【0034】
バイアル瓶9の移動が終了すると、ステップS19で錠剤の充填動作を行う。アームユニット94のモータ105を駆動すると、駆動軸106、ウォームギヤ82、中間ギヤ81、ロータギヤ80を介して錠剤カセット73のロータ77が回転する。これにより錠剤容器76内に収容されポケットに保持された錠剤が1個づつ排出孔78から支持パネル71の錠剤出口74を介してバイアル瓶9に収容される。錠剤出口74を通過する錠剤はカウントセンサ104により検出される。所定数の錠剤が収容されると、傾動アベース99を水平に戻してバイアル瓶9を垂直に把持する。
【0035】
錠剤の充填が終了すると、ステップS20で搬送ユニット6を駆動して、錠剤が充填されたバイアル瓶9を排出ユニット7へ移動させる。このとき、バイアル瓶9は、先に排出したバイアル瓶9が支持されていない排出口113の保持部材111のガイド部材114の上方に位置するようにする。なお、排出口113にバイアル瓶が支持されている否かは排出口113の任意の場所、例えば斜面112bの下端の側壁に設けられた瓶検出センサ116の出力信号により判断される。また、小さいサイズのバイアル瓶9は、上側のガイド部材114の上方、大きいサイズのバイアル瓶9は下側のガイド部材114の上方に位置するようにする。
【0036】
バイアル瓶9の移動が終了すると、ステップS21でアームユニット94のアーム101を解放してバイアル瓶9のフランジ9aを排出ユニット7のガイド部材114の上に載置する。これにより、バイアル瓶9は一対の保持部材111の斜面112a,112bを滑落して排出口113に保持され、オペレータはバイアル瓶9を取り出すことができる。
【0037】
9個の排出口113のうち、上段の左2つの排出口113は、緊急処方薬を排出する優先排出口113になっている。装置本体8の操作パネル12には、図18に示すように、1番〜9番の9個の排出口113と同じレイアウトが表示され、1番と2番が優先排出口113であることが分かるように表示されている。
この優先排出口113へのバイアル瓶9の排出動作を図17に示すフローチャートに従って説明する。
【0038】
緊急処方薬が必要な患者の処方データには、調剤した薬剤を引渡すべき日時(約束日時)が含まれている。ステップS201でこの処方データを受信すると、この約束日時が現在日時(パーソナルコンピュータのシステム時間)から現在日時に設定時間を加えた設定日時の間にあるか否かを判断する。例えば、現在日時が6月1日午前9時で、設定日時が2時間後の6月1日午前11時とすると、約束日時が6月1日午前10時30分の処方データは現在日時と設定日時の間にあり、約束日時が間近に迫っているので、優性排出口113に排出する必要がある。また、約束日時が6月1日午後1時での処方データは、約束日時まで余裕があるので、通常排出口113に排出する必要がある。
【0039】
ステップ202の判断で、約束日時が現在日時と設定日時の間にあれば、約束日時が迫っているので、ステップS203で優先排出口113に空きがあるかを判断し、空きが在ればステップS204で優先排出口113に排出する。これにより、優先排出口113に排出されたバイアル瓶9は速く取り出すことを促される。ステップ203の判断で空きがなければ、ステップS205で通常排出口113に空きが在るか否かを判断し、空きが在ればステップS206で通常排出口113に排出する。ここで、通常排出口113に排出したバイアル瓶9が優先である旨の表示を行うことが好ましい。これにより、通常排出口113に排出されたバイアル瓶9は速く取り出すことを促される。
【0040】
ステップ202の判断で、約束日時が現在日時と設定日時の間になければ、約束日時まで余裕があるので、ステップS205で通常排出口113に空きが在るか否かを判断し、空きが在ればステップS206で通常排出口113に排出する。
【0041】
ステップS205の判断で、通常排出口113に空きがなければ、ステップS207で操作パネル12にエラー表示し、バイアル瓶9が取り出されるまで待機しつつ、ステップS202に戻る。
【0042】
前記システム時間に加える設定時間は、操作パネル12の画面上で設定することができる。図19のメニュー画面で「SETTING/PROGRAM VERSION」を押すと、図20の画面が表れ、システム時間から60分以内に約束時間が設定されている処方を2つの優先排出口113に排出するように設定されていることが表示されているので、ここで設定時間と優先排出口113の番号を変更して設定することができる。
【0043】
本実施形態の錠剤充填装置1には、バイアル瓶に貼り付けされたラベルを直接見ることなく、排出されたバイアル瓶の中の薬剤が何であるかを確認することを目的として、次のラベル確認手段が設けられている。ラベル確認手段は、処方データに基づいてラベリングユニット3によりバイアル瓶に貼り付けされるラベル(患者名、薬剤名、用法などが印字されている)のイメージデータを一時記憶する記憶手段であるメモリ137と、薬剤が充填されたバイアル瓶が排出口113に排出されたことを検出する検出手段である瓶検出センサ116と、バイアル瓶の排出状況をレイアウト表示するとともに表示されたバイアル瓶を選択することができる操作部パネル12と、制御手段であるコンピュータ131のCPU136とを備えている。
【0044】
コンピュータ131のCPU136は、バイアル瓶センサ116が各排出口113に排出されたバイアル瓶を検出すると、操作部表示パネル12のレイアウトに排出されたバイアル瓶の名称を例えば図21に示すように表示し、排出済みであることをユーザに知らせる。ここで、ユーザが表示された排出済みのバイアル瓶の表示部分(タッチパネル)を押し下げして選択すると、選択されたバイアル瓶に貼り付けされたラベルのイメージデータをメモリ137から呼び出して、例えば図22に示すように、操作部パネル12に表示する。排出口113に排出されたバイアル瓶がユーザにより取り出され、瓶検出センサ116がこれを検出すると、メモリ137に記憶された当該バイアル瓶のラベルのイメージデータを消去する。
【0045】
これにより、ユーザは、排出されたバイアル瓶のラベルを直接目視で確認することなく、排出された薬剤が何であるかを確認することができるので、監査作業が容易になる。また、外周面が湾曲したバイアル瓶に貼り付けされているバイアル瓶は読み難いものであったが、操作部パネル12に表示されたイメージデータは平面的で拡大された見やすいものであるため、監査作業を迅速に行える。また、操作部パネル12のイメージデータとバイアル瓶に貼り付けされたラベルの双方を確認することができるため、従来のラベル目視による作業以上に確実な監査を行うことができる。さらに、取り出したバイアル瓶のラベルイメージをその都度消去するので、メモリ137の記憶領域を確保することができ、操作レスポンスの低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る錠剤充填装置の斜視図。
【図2】図1の錠剤充填装置の側面図。
【図3】図1の錠剤充填装置の正面図。
【図4】図1の錠剤充填装置の側面断面図。
【図5】バイアル瓶供給ユニット、ラベリングユニット及びバイアル瓶リフターの斜視図。
【図6】ラベリングの動作を示す平面図。
【図7】昇降台が待機位置にある状態を示すバイアル瓶リフターの斜視図。
【図8】昇降台が上昇中の状態を示すバイアル瓶リフターの斜視図。
【図9】ピンの可動ブロックとピン開閉棒の動作を示す側面図。
【図10】錠剤供給ユニットの斜視図。
【図11】錠剤カセットの上方から見た斜視図。
【図12】錠剤カセットの下方から見た斜視図。
【図13】搬送ユニットのアームユニットの斜視図。
【図14】排出ユニットの斜視図。
【図15】錠剤充填装置のブロック図。
【図16】錠剤充填装置の動作のフローチャート。
【図17】錠剤充填装置のバイアル瓶優先排出動作のフローチャート。
【図18】排出口のレイアウトを示す画面の正面図。
【図19】時間設定にける画面の正面図。
【図20】時間設定にける画面の正面図。
【図21】排出されたバイアル瓶のレイアウトの一例を示す画面の正面図。
【図22】選択したバイアル瓶のレベルイメージの一例を示す画面の正面図。
【符号の説明】
【0047】
1 錠剤充填装置
9 バイアル瓶
113 排出口
113 優先排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方データに基づいて錠剤を払い出してバイアル瓶に充填し、該錠剤を充填したバイアル瓶を複数の排出口に排出する錠剤充填装置において、
前記複数の排出口のうち少なくともいずれか一つを優先排出口とし、
当該錠剤の調剤すべき日時が現在日時から所定範囲内にあるとき、前記錠剤を充填したバイアル瓶を前記優先排出口に排出することを特徴とする錠剤充填装置。
【請求項2】
前記調剤すべき日時は処方データに含まれていることを特徴とする請求項1に記載の錠剤充填装置。
【請求項3】
前記優先排出口が空いていなければ、通常排出口に前記錠剤を充填したバイアル瓶を排出することを特徴とする請求項1又は2に記載の錠剤充填装置。
【請求項4】
前記通常排出口が空いていなければ、前記排出口に排出されているバイアル瓶を取り出すことを促す表示を行うことを特徴とする請求項3に記載の錠剤充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−23731(P2009−23731A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153229(P2008−153229)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】