鏡面冷却式露点計
【課題】測定中に被測定気体の露点が急に高くなった場合、素早く鏡面温度を高くし、露点温度の計測までの待ち時間を大幅に短縮する。
【解決手段】受光量急上昇検出部16Aにおいて、光ファイバ17−2を介して受光される鏡面10−1からの散乱光の受光量の急上昇を検出し、熱電冷却素子2に逆電流を流す。これにより、熱電冷却素子2は、それまで低温側とされていた面2−1が高温側とされ、高温側とされていた面2−2が低温側とされ、鏡10が積極的に加熱され、鏡面温度が素早く上昇する。
【解決手段】受光量急上昇検出部16Aにおいて、光ファイバ17−2を介して受光される鏡面10−1からの散乱光の受光量の急上昇を検出し、熱電冷却素子2に逆電流を流す。これにより、熱電冷却素子2は、それまで低温側とされていた面2−1が高温側とされ、高温側とされていた面2−2が低温側とされ、鏡10が積極的に加熱され、鏡面温度が素早く上昇する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被測定気体に晒される鏡面をペルチェ素子などの熱電冷却素子を用いて冷却し、被測定気体に含まれる水蒸気の一部を鏡面上に結露させ、この結露の増減がなくなる平衡状態になったときの鏡面の温度を露点として検出する鏡面冷却式露点計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、湿度測定法として、被測定気体の温度を低下させ、その被測定気体に含まれる水蒸気の一部を結露させたときの温度を測定することにより露点を検出する露点検出法が知られている。例えば、寒剤、冷凍機、電子冷却器などを用いて鏡を冷却し、この冷却した鏡の鏡面上の反射光の強度の変化を検出し、この時の鏡面の温度を測定することによって、被測定気体中の水分の露点を検出する鏡面冷却式露点計について知られている。
【0003】
この鏡面冷却式露点計には、利用する反射光の種類によって、2つのタイプがある。1つは、正反射光を利用する正反射光検出方式(例えば、特許文献1参照)、もう1つは、散乱光を利用する散乱光検出方式(例えば、特許文献2参照)である。
【0004】
〔正反射光検出方式〕
図11に正反射光検出方式を採用した従来の鏡面冷却式露点計の要部を示す。この鏡面冷却式露点計101は、被測定気体が流入されるチャンバ1と、このチャンバ1の内部に設けられた熱電冷却素子(ペルチェ素子)2を備えている。熱電冷却素子2の冷却面2−1には銅製ブロック3を介してボルト4が取り付けられており、熱電冷却素子2の加熱面2−2には放熱フィン5が取り付けられている。銅製ブロック3に取り付けられたボルト4の上面4−1は鏡面とされている。銅製ブロック3の側部には巻線式測温抵抗体(温度検出素子)6が埋め込まれている(図13参照)。また、チャンバ1の上部には、ボルト4の上面(鏡面)4−1に対して斜めに光を照射する発光素子7と、この発光素子7から鏡面4−1に対して照射された光の正反射光を受光する受光素子8とが設けられている。熱電冷却素子2の周囲には断熱材9が設けられている。
【0005】
この鏡面冷却式露点計101において、チャンバ1内の鏡面4−1は、チャンバ1内に流入される被測定気体に晒される。鏡面4−1に結露が生じていなければ、発光素子7から照射された光はそのほゞ全量が正反射し、受光素子8で受光される。したがって、鏡面4−1に結露が生じていない場合、受光素子8で受光される反射光の強度は大きい。
【0006】
熱電冷却素子2への電流を増大し、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度を下げて行くと、被測定気体に含まれる水蒸気が鏡面4−1に結露し、その水の分子に発光素子7から照射した光の一部が吸収されたり、乱反射したりする。これにより、受光素子8で受光される反射光(正反射光)の強度が減少する。この鏡面4−1における正反射光の変化を検出することにより、鏡面4−1上の状態の変化、すなわち鏡面4−1上に水分(水滴)が付着したことを知ることができる。
【0007】
さらに、受光素子8で受光される反射光の光量に基づいて、鏡面4−1に生じる結露の増減がなくなる平衡状態になるように、すなわち受光素子8で受光される反射光の光量が変化しなくなる平衡状態になるように、熱電冷却素子2へ供給する電流、すなわち鏡4側の面2−1を低温側,放熱フィン5側の面2−2を高温側とする正方向への電流を制御し、この時の鏡面4−1の温度を温度検出素子6で測定することによって、被測定気体中の水分の露点を知ることができる。
【0008】
〔散乱光検出方式〕
図12に散乱光検出方式を採用した従来の鏡面冷却式露点計の要部を示す。この鏡面冷却式露点計102は、正反射光検出方式を採用した鏡面冷却式露点計101とほゞ同構成であるが、受光素子8の取り付け位置が異なっている。この鏡面冷却式露点計102において、受光素子8は、発光素子7から鏡面4−1に対して照射された光の正反射光を受光する位置ではなく、散乱光を受光する位置に設けられている。
【0009】
この鏡面冷却式露点計102において、鏡面4−1は、チャンバ1内に流入される被測定気体に晒される。鏡面4−1に結露が生じていなければ、発光素子7から照射された光はそのほゞ全量が正反射し、受光素子8での受光量は極微量である。したがって、鏡面4−1に結露が生じていない場合、受光素子8で受光される反射光の強度は小さい。
【0010】
熱電冷却素子2への電流を増大し、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度を下げて行くと、被測定気体に含まれる水蒸気が鏡面4−1に結露し、その水の分子に発光素子7から照射した光の一部が吸収されたり、乱反射したりする。これにより、受光素子8で受光される乱反射された光(散乱光)の強度が増大する。この鏡面4−1における散乱光の変化を検出することにより、鏡面4−1上の状態の変化、すなわち鏡面4−1上に水分(水滴)が付着したことを知ることができる。
【0011】
さらに、受光素子8で受光される反射光の光量に基づいて、鏡面4−1に生じる結露の増減がなくなる平衡状態になるように、すなわち受光素子8で受光される反射光の光量が変化しなくなる平衡状態になるように、熱電冷却素子2へ供給する電流、すなわち鏡4側の面2−1を低温側,放熱フィン5側の面2−2を高温側とする正方向への電流を制御し、この時の鏡面4−1の温度を温度検出素子6で測定することによって、被測定気体中の水分の露点を知ることができる。
【0012】
この鏡面冷却式露点計では、上述した2つのタイプの何れも熱電冷却素子2によって鏡4を冷却するが、測定中に被測定気体の露点が急に高くなることがある。この場合、そのまま鏡4を冷却し続けると露点を計測することができないので、熱電冷却素子2への電流を遮断し、鏡面4−1の温度が自然上昇して露点温度付近となるのを待って、露点温度の計測を再開していた(例えば、特許文献3参照)。
【0013】
【特許文献1】特開昭61−75235号公報
【特許文献2】特公平7−104304号公報
【特許文献3】特開平9−307030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の鏡面冷却式露点計では、測定中に被測定気体の露点が急に高くなった場合、熱電冷却素子2への電流を遮断し、この熱電冷却素子2への電流の遮断による鏡面4−1の温度の自然上昇に依存していたので、露点温度の計測が可能になるまで長い待ち時間が発生していた。
【0015】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、測定中に被測定気体の露点が急に高くなった場合、素早く鏡面温度を高くし、露点温度の計測までの待ち時間を大幅に短縮することができる鏡面冷却式露点計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
〔散乱光検出方式〕
このような目的を達成するために、第1発明は、正方向への電流の供給を受けて、一方の面が低温側、他方の面が高温側とされる熱電冷却素子と、この熱電冷却素子の一方の面側に取り付けられその鏡面が被測定気体に晒される鏡と、鏡面に対して光を照射する発光手段と、発光手段から鏡面に対して照射された光の散乱光を受光する受光手段と、鏡面の温度を検出する温度検出手段と、受光手段が受光する散乱光の受光量に基づいて、鏡面に生じる結露の増減がなくなる平衡状態になるように、熱電冷却素子へ供給する正方向への電流を制御する制御手段とを備えた鏡面冷却式露点計において、被測定気体の露点の上昇を検出する露点上昇検出手段と、露点の上昇が検出された場合、熱電冷却素子へ強制的に、逆方向への電流を流す手段とを設けたものである。
【0017】
この発明によれば、発光手段から鏡の鏡面に対して光が照射され、この照射された光の鏡面からの散乱光が受光手段で受光され、この受光手段が受光する散乱光の受光量に基づいて、鏡面に生じる結露が平衡状態になるように、熱電冷却素子へ供給する正方向への電流が制御される。この場合、鏡面に生じる結露が平衡状態となった時の鏡面の温度が露点温度であり、この露点温度が温度検手段によって検出される。この露点温度の測定中に、被測定気体の露点が高くなると、鏡面に生じる結露の量が多くなる。本発明では、このような露点の上昇を検出し、熱電冷却素子へ強制的に逆方向への電流を流す。これにより、熱電冷却素子は、それまで低温側とされていた面(一方の面)が高温側とされ、高温側とされていた面(他方の面)が低温側とされ、すなわち冷却面と加熱面とが入れ替わり、鏡が積極的に加熱され、鏡面温度が素早く上昇する。
【0018】
なお、被測定気体の露点の上昇は、例えば、受光手段が受光する散乱光の受光量が予め定められた閾値を上回った場合として検出したり、受光手段が受光する散乱光の受光量の増加方向への変化量が予め定められた閾値を上回った場合として検出したりすることが可能である。
【0019】
〔正反射光検出方式〕
また、第2発明は、正方向への電流の供給を受けて、一方の面が低温側、他方の面が高温側とされる熱電冷却素子と、この熱電冷却素子の一方の面側に取り付けられその鏡面が被測定気体に晒される鏡と、鏡面に対して光を照射する発光手段と、発光手段から鏡面に対して照射された光の正反射光を受光する受光手段と、鏡面の温度を検出する温度検出手段と、受光手段が受光する正反射光の受光量に基づいて、鏡面に生じる結露の増減がなくなる平衡状態になるように、熱電冷却素子へ供給する正方向への電流を制御する制御手段とを備えた鏡面冷却式露点計において、被測定気体の露点の上昇を検出する露点上昇検出手段と、露点の上昇が検出された場合、熱電冷却素子へ強制的に、正方向とは反対の逆方向への電流を流す手段とを設けたものである。
【0020】
この発明によれば、発光手段から鏡の鏡面に対して光が照射され、この照射された光の鏡面からの正反射光が受光手段で受光され、この受光手段が受光する正反射光の受光量に基づいて、鏡面に生じる結露が平衡状態になるように、熱電冷却素子へ供給する正方向への電流が制御される。この場合、鏡面に生じる結露が平衡状態となった時の鏡面の温度が露点温度であり、この露点温度が温度検手段によって検出される。この露点温度の測定中に、被測定気体の露点が急に高くなると、鏡面に生じる結露の量が多くなる。本発明では、このような露点の上昇を検出し、熱電冷却素子へ強制的に逆方向への電流を流す。これにより、熱電冷却素子は、それまで低温側とされていた面(一方の面)が高温側とされ、高温側とされていた面(他方の面)が低温側とされ、すなわち冷却面と加熱面とが入れ替わり、鏡が積極的に加熱され、鏡面温度が素早く上昇する。
【0021】
なお、被測定気体の露点の上昇は、例えば、受光手段が受光する正反射光の受光量が予め定められた閾値を下回った場合として検出したり、受光手段が受光する正反射光の受光量の減少方向への変化量が予め定められた閾値を上回った場合として検出したりすることが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、露点温度の測定中に、被測定気体の露点が急に高くなると、熱電冷却素子へ強制的に逆方向への電流が流れ、それまで低温側とされていた面が高温側とされ、高温側とされていた面が低温側とされるので、鏡が積極的に加熱され、素早く鏡面温度を高くし、露点温度の計測までの待ち時間を大幅に短縮することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1:散乱光検出方式〕
図1はこの発明に係る鏡面冷却式露点計の一実施の形態を示す概略構成図である。この鏡面冷却式露点計201はセンサ部201Aとコントロール部201Bとを有している。
【0024】
センサ部201Aでは、熱電冷却素子(ペルチェ素子)2の冷却面2−1に鏡10を取り付けている。鏡10は、例えばシリコンチップとされ、その表面10−1が鏡面とされている。また、鏡10と熱電冷却素子2の冷却面2−1との接合面に、例えば白金による薄膜測温抵抗体(温度検出素子)11を形成している。また、熱電冷却素子2の加熱面2−2に円柱状のヒートシンク18を取り付け、このヒートシンク18に沿って、その上端部をJ字型に湾曲させたステンレス製のチューブ17を設けている。
【0025】
チューブ17としては図2に示すような光ファイバを収容した種々のチューブPを使用することができる。図2(a)では、チューブP中に、発光側の光ファイバF1と受光側の光ファイバF2とを並設している。チューブP中において、発光側の光ファイバF1と受光側の光ファイバF2の周囲は、ポッテイング剤で満たされている。図2(b)では、チューブP中に、発光側(あるいは受光側)の光ファイバF1と受光側(あるいは発光側)の光ファイバF21〜F24を並行に設けている。図2(c)では、チューブP中の左半分を発光側の光ファイバF1、右半分を受光側の光ファイバF2としている。図2(d)では、チューブP中に、発光側の光ファイバF1と受光側の光ファイバF2とを混在させている。図2(e)では、チューブP中の中心部を発光側(あるいは受光側)の光ファイバF1、光ファイバF1の周囲を受光側(あるいは発光側)の光ファイバF2としている。
【0026】
図1に示した鏡面冷却式露点計201では、チューブ17として図2(a)に示されたタイプのチューブPを使用しており、その内部に発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2とを収容している。発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2のJ字型に湾曲された先端部(発光部、受光部)は、鏡10の鏡面10−1に向けられ、この鏡面10−1に対して所定の傾斜角で傾けられている。この結果、光ファイバ17−1からの光の照射方向(光軸)と光ファイバ17−2での光の受光方向(光軸)とが平行とされ、また隣接して同一の傾斜角とされる。
【0027】
コントロール部201Bには、露点温度表示部12と、結露検知部13と、ペルチェ出力制御部14と、信号変換部15と、受光量急上昇検出部16Aと、電源供給部19とが設けられている。露点温度表示部12には温度検出素子11が検出する鏡10の温度が表示される。結露検知部13は、光ファイバ17−1の先端部より鏡10の鏡面10−1に対して斜めに所定の周期でパルス光を照射させるとともに、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光(散乱光)の上限値と下限値との差を反射パルス光の強度として求め、この反射パルス光の強度に応じた信号S1をペルチェ出力制御部14および受光量急上昇検出部16Aへ送る。
【0028】
受光量急上昇検出部16Aは、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1を受けて、反射パルス光の強度の急上昇、すなわち光ファイバ17−1の先端部から鏡面10−1に対して照射された光の散乱光の受光量の急上昇を検出し、ペルチェ出力制御部14へ逆電流を流す旨の指示S4を与える。
【0029】
ペルチェ出力制御部14は、結露検知部13からの信号S1を受けて、反射パルス光の強度と予め定められている閾値th1とを比較し、反射パルス光の強度が閾値th1に達していない場合には、熱電冷却素子2への電流を信号S1の値に応じて増大させる制御信号S2を、反射パルス光の強度が閾値th1を超えている場合には、熱電冷却素子2への電流を信号S1の値に応じて減少させる制御信号S2を信号変換部15へ出力する。
【0030】
また、ペルチェ出力制御部14は、受光量急上昇検出部16Aからの逆電流を流す旨の指示S4を受けた場合、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1に従う制御を中断し、熱電冷却素子2への電流をそれまでの正方向から逆方向への電流値に強制的に切り替える信号S2’を信号変換部15へ送る。信号変換部15は、ペルチェ出力制御部14からの制御信号S2,S2’で指示される電流S3,S3’を電源供給部19を介して熱電冷却素子2へ供給する。
【0031】
〔露点温度の測定〕
この鏡面冷却式露点計201において、センサ部201Aは被測定気体中に置かれる。また、結露検知部13は、光ファイバ17−1の先端部より、鏡10の鏡面10−1に対して斜めに所定の周期でパルス光を照射させる(図3(a)参照)。鏡面10−1は被測定気体に晒されており、鏡面10−1に結露が生じていなければ、光ファイバ17−1の先端部から照射されたパルス光はそのほゞ全量が正反射し、光ファイバ17−2を介して受光される鏡面10−1からの反射パルス光(散乱光)の量は極微量である。したがって、鏡面10−1に結露が生じていない場合、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の強度は小さい。
【0032】
結露検知部13では、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の上限値と下限値との差を反射パルス光の強度として求め、反射パルス光の強度に応じた信号S1をペルチェ出力制御部14および受光量急上昇検出部16Aへ送る。この場合、反射パルス光の強度はほゞ零であり、閾値th1に達していないので、ペルチェ出力制御部14は、熱電冷却素子2への電流を増大させる制御信号S2を信号変換部15へ送る。これにより、熱電冷却素子2へ供給される電流S3が増大し、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度が下げられて行く。
【0033】
熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度、すなわち鏡10の温度を下げて行くと、被測定気体に含まれる水蒸気が鏡10の鏡面10−1に結露し、その水の分子に光ファイバ17−1の先端部から照射されたパルス光の一部が吸収されたり、乱反射したりする。これにより、光ファイバ17−2を介して受光される鏡面10−1からの反射パルス光(散乱光)の強度が増大する。
【0034】
結露検知部13は、受光される反射パルス光の1パルス毎に、その1パルスの上限値と下限値との差を求め、これを反射パルス光の強度とする。すなわち、図3(b)に示すように、反射パルス光の1パルスの上限値Lmaxと下限値Lminとの差ΔLを求め、このΔLを反射パルス光の強度とする。この結露検知部13での処理により、反射パルス光に含まれる外乱光ΔXが除去され、外乱光による誤動作が防止される。この結露検知部13でのパルス光を用いた外乱光による誤動作防止の処理方式をパルス変調方式と呼ぶ。この処理によって、この鏡面冷却式露点計201では、センサ部201Aからチャンバをなくすことができている。
【0035】
ここで、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の強度が閾値th1を超えると、ペルチェ出力制御部14は、熱電冷却素子2への電流を減少させる制御信号S2を信号変換部15へ送る。これにより、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度の低下が抑えられ、結露の発生が抑制される。この結露の抑制により、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の強度が小さくなり、閾値th1を下回ると、ペルチェ出力制御部14から熱電冷却素子2への電流を増大させる制御信号S2が信号変換部15へ送られる。この動作の繰り返しによって、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の強度が閾値th1とほゞ等しくなるように、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度が調整される。この調整された温度、すなわち鏡面10−1に生じた結露が平衡状態に達した温度(露点温度)が、露点温度として露点温度表示部12に表示される。
【0036】
この鏡面冷却式露点計201では、発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2の取り付け部が1箇所にまとめられており、検出部201Aの小型化に貢献している。また、発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2とがチューブ17に収容されているので、発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2との間での位置決めは必要なく、組立時の作業性がよくなる。
【0037】
また、この鏡面冷却式露点計201では、センサ部201Aからチャンバをなくし、吸引ポンプや吸引用チューブ、排気用チューブ、流量計など省略することができているので、部品点数が削減され、センサ部201Aのさらなる小型化が図られ、組立性が向上し、コストもダウンする。また、吸引ポンプや吸引用チューブ、排気用チューブ、流量計などを装着しなくてもよいので、測定エリア(被測定気体中)への設置も容易となる。また、センサ部201Aには吸引ポンプや吸引用チューブ、排気用チューブ、流量計などの装着が伴わず、センサ部201Aとコントロール部201Bとの2つの構成となるので、持ち運びが容易となる。
【0038】
〔測定中に被測定気体の露点が急に高くなった場合〕
上述した露点温度の測定中に、被測定気体の露点が急に高くなると、鏡面10−1に生じる結露の量が急に多くなる。このため、光ファイバ17−1の先端部から鏡面10−1に対して照射された光の散乱光が急に多くなり、光ファイバ17−2を介して受光される鏡面10−1からの散乱光の受光量が急上昇する。結露検知部13では、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の上限値と下限値との差を反射パルス光の強度として求め、反射パルス光の強度に応じた信号S1を受光量急上昇検出部16Aへ送る。受光量急上昇検出部16Aは、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1を受けて、反射パルス光の強度の急上昇(露点の急上昇)を検出し、ペルチェ出力制御部14へ逆電流を流す旨の指示S4を与える。この実施の形態1では、受光量急上昇検出部16Aが本発明でいう露点上昇検出手段に相当する。
【0039】
図4に受光量急上昇検出部16Aにおける反射パルス光の強度の急上昇の検出処理の一例を示す。受光量急上昇検出部16Aは、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1より散乱光の受光量を求め、この散乱光の受光量と予め定められている閾値α1とを比較する(ステップ401)。
【0040】
散乱光の受光量が閾値α1以上であった場合(ステップ401のYES)、受光量急上昇検出部16Aは、散乱光の受光量の急上昇と判断し、ペルチェ出力制御部14へ逆電流を流す旨の指示S4を出力する(ステップ402)。この逆電流を流す旨の指示S4は、散乱光の受光量が予め定められている閾値α2(α2<α1)以下となるまで(ステップ403のYES)、ペルチェ出力制御部14へ出力され続ける。
【0041】
なお、この例において、閾値α1は、ペルチェ出力制御部14からの信号S2に基づく通常の制御では散乱光の受光量がとり得ることのない十分大きな値として設定しておく。また、閾値α2は、露点温度付近での散乱光の受光量に近い値として設定しておく。
【0042】
図5に受光量急上昇検出部16Aにおける反射パルス光の強度の急上昇の検出処理の別の例を示す。受光量急上昇検出部16Aは、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1より散乱光の受光量を求め、この散乱光の受光量と所定時間前に求められた散乱光の受光量との差を受光量変化量として求める(ステップ501)。そして、この受光量変化量が増加方向への受光量変化量であるのか減少方向への受光量変化量であるのかをチェックし(ステップ502)、増加方向への受光量変化量であれば(ステップ502のYES)、予め定められている閾値β1と比較する(ステップ503)。
【0043】
増加方向への受光量変化量が閾値β1以上であった場合(ステップ503のYES)、受光量急上昇検出部16Aは、散乱光の受光量の急上昇と判断し、ペルチェ出力制御部14へ逆電流を流す旨の指示S4を出力する(ステップ504)。この逆電流を流す旨の指示S4は、増加方向への受光量変化量が予め定められている閾値β2(β2<β1)以下となるまで(ステップ505のYES)、ペルチェ出力制御部14へ出力され続ける。
【0044】
なお、この例において、閾値β1は、ペルチェ出力制御部14からの信号S2に基づく通常の制御では増加方向への受光量変化量がとり得ることのない十分な大きな値として設定しておく。また、閾値β2は、零に近い値として設定しておく。
【0045】
ペルチェ出力制御部14は、受光量急上昇検出部16Aからの逆電流を流す旨の指示S4を受けると、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1に従う制御を中断し、熱電冷却素子2への電流をそれまでの正方向から逆方向への電流値に強制的に切り替える信号S2’を信号変換部15へ送る。信号変換部15は、ペルチェ出力制御部14からの制御信号S2’で指示される電流(逆電流)S3’を電源供給部19を介して熱電冷却素子2へ供給する。
【0046】
これにより、熱電冷却素子2は、それまで低温側とされていた面2−1が高温側とされ、高温側とされていた面2−2が低温側とされ、すなわち冷却面と加熱面とが入れ替わり、鏡10が積極的に加熱され、鏡面温度が素早く上昇する。そして、鏡面10−1の温度が露点温度付近となれば、ペルチェ出力制御部14からの制御信号S2’がS2へ切り替えられ、通常の制御に戻される。これにより、従来の熱電冷却素子2への電流を遮断する場合と比較して、露点温度計測までの待ち時間が大幅に短縮される。
【0047】
図6に測定中に被測定気体の露点が急に高くなった場合の鏡面温度のグラフを示す。同図において、特性Iは被測定気体の露点温度の変化を示し、特性IIは被測定気体の露点の急上昇時に熱電冷却素子への電流を遮断した場合の露点温度の変化(従来)を示し、特性III は被測定気体の露点の急上昇時に熱電冷却素子へ逆電流を流した場合の露点温度の変化(本願)を示す。このグラフからも、被測定気体の露点の急上昇時には逆電流を流した場合の方が応答性が速いことが分かる。
【0048】
なお、図1に示した鏡面冷却式露点計201では、センサ部201Aにおいて発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2とを収容したチューブ17を用いたが、図7に示すセンサ部201A’のように、発光側の光ファイバ17−1に代えて発光ダイオード19を、受光側の光ファイバ17−2に代えてフォトカプラ20を設けるようにしてもよい。
【0049】
〔実施の形態2:正反射光検出方式〕
図8はこの発明に係る鏡面冷却式露点計の他の実施の形態を示す概略構成図である。この鏡面冷却式露点計202では、発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2とを同方向ではなく、鏡10を挾んでその左右に対称に設けている。発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2のJ字型に湾曲された先端部は、鏡10の鏡面10−1に向けられ、この鏡面10−1に対して左右対称に所定の傾斜角で傾けられている。
【0050】
〔露点温度の測定〕
この鏡面冷却式露点計202において、センサ部202Aは被測定気体中に置かれる。また、結露検知部13は、光ファイバ17−1の先端部より、鏡10の鏡面10−1に対して斜めに所定の周期でパルス光を照射させる。鏡面10−1は被測定気体に晒されており、鏡面10−1に結露が生じていなければ、光ファイバ17−1の先端部から照射されたパルス光はそのほゞ全量が正反射し、光ファイバ17−2を介して受光される。したがって、鏡面10−1に結露が生じていない場合、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光(正反射光)の強度は大きい。
【0051】
結露検知部13では、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の上限値と下限値との差を反射パルス光の強度として求め、この反射パルス光の強度に応じた信号S1をペルチェ出力制御部14および受光量急降下検出部16Bへ送る。この場合、反射パルス光の強度は大きく、閾値th2を超えているので、ペルチェ出力制御部14は、熱電冷却素子2への電流を増大させる制御信号S2を信号変換部15へ送る。これにより、熱電冷却素子2へ供給される電流S3が増大し、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度が下げられて行く。
【0052】
熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度、すなわち鏡10の温度を下げて行くと、被測定気体に含まれる水蒸気が鏡10の鏡面10−1に結露し、その水の分子に光ファイバ17−1の先端部から照射されたパルス光の一部が吸収されたり、乱反射したりする。これにより、光ファイバ17−2を介して受光される鏡面10−1からの反射パルス光(正反射光)の強度が減少する。
【0053】
ここで、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の強度が閾値th2を下回ると、ペルチェ出力制御部14は、熱電冷却素子2への電流を減少させる制御信号S2を信号変換部15へ送る。これにより、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度の低下が抑えられ、結露の発生が抑制される。この結露の抑制によって、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の強度が大きくなり、閾値th2を上回ると、ペルチェ出力制御部14から熱電冷却素子2への電流を増大させる制御信号S2が信号変換部15へ送られる。この動作の繰り返しによって、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の強度が閾値th2とほゞ等しくなるように、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度が調整される。この調整された温度、すなわち鏡面10−1に生じた結露が平衡状態に達した温度(露点温度)が、露点温度として露点温度表示部12に表示される。
【0054】
〔測定中に被測定気体の露点が急に高くなった場合〕
上述した露点温度の測定中に、被測定気体の露点が急に高くなると、鏡面10−1に生じる結露の量が急に多くなる。このため、光ファイバ17−1の先端部から鏡面10−1に対して照射された光の正反射光が急に少なくなり、光ファイバ17−2を介して受光される鏡面10−1からの正反射光の受光量が急降下する。結露検知部13では、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の上限値と下限値との差を反射パルス光の強度として求め、反射パルス光の強度に応じた信号S1を受光量急降下検出部16Bへ送る。受光量急降下検出部16Bは、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1を受けて、反射パルス光の強度の急降下(露点の急上昇)を検出し、ペルチェ出力制御部14へ逆電流を流す旨の指示S4を与える。この実施の形態2では、受光量急降下検出部16Bが本発明でいう露点上昇検出手段に相当する。
【0055】
図9に受光量急降下検出部16Bにおける反射パルス光の強度の急降下の検出処理の一例を示す。受光量急降下検出部16Bは、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1より正反射光の受光量を求め、この正反射光の受光量と予め定められている閾値γ1とを比較する(ステップ601)。
【0056】
正反射光の受光量が閾値γ1以下であった場合(ステップ601のYES)、受光量急降下検出部16Bは、正反射光の受光量の急降下と判断し、ペルチェ出力制御部14へ逆電流を流す旨の指示S4を出力する(ステップ602)。この逆電流を流す旨の指示S4は、正反射光の受光量が予め定められている閾値γ2(γ2>γ1)以上となるまで(ステップ603のYES)、ペルチェ出力制御部14へ出力され続ける。
【0057】
なお、この例において、閾値γ1は、ペルチェ出力制御部14からの信号S2に基づく通常の制御では正反射光の受光量がとり得ることのない十分小さな値として設定しておく。また、閾値γ2は、露点温度付近での正反射光の受光量に近い値として設定しておく。
【0058】
図10に受光量急降下検出部16Bにおける反射パルス光の強度の急降下の検出処理の別の例を示す。受光量急降下検出部16Bは、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1より正反射光の受光量を求め、この正反射光の受光量と所定時間前に求められた正反射光の受光量との差を受光量変化量として求める(ステップ701)。そして、この受光量変化量が増加方向への受光量変化量がであるのか減少方向への受光量変化量であるのかをチェックし(ステップ702)、減少方向への受光量変化量であれば(ステップ702のYES)、予め定められている閾値δ1と比較する(ステップ703)。
【0059】
受光量急降下検出部16Bは、減少方向への受光量変化量が閾値δ1以上であれば(ステップ703のYES)、正反射光の受光量の急降下と判断し、ペルチェ出力制御部14へ逆電流を流す旨の指示S4を出力する(ステップ704)。この逆電流を流す旨の指示S4は、減少方向への受光量変化量が予め定められている閾値δ2(δ2<δ1)以下となるまで(ステップ705のYES)、ペルチェ出力制御部14へ出力され続ける。
【0060】
なお、この例において、閾値δ1は、ペルチェ出力制御部14からの信号S2に基づく通常の制御では減少方向への受光量変化量がとり得ることのない十分な大きな値として設定しておく。また、閾値δ2は、零に近い値として設定しておく。
【0061】
ペルチェ出力制御部14は、受光量急降下検出部16Bからの逆電流を流す旨の指示S4を受けると、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1に従う制御を中断し、熱電冷却素子2への電流をそれまでの正方向から逆方向への電流値に強制的に切り替える信号S2’を信号変換部15へ送る。信号変換部15は、ペルチェ出力制御部14からの制御信号S2’で指示される電流(逆電流)S3’を電源供給部19を介して熱電冷却素子2へ供給する。
【0062】
これにより、熱電冷却素子2は、それまで低温側とされていた面2−1が高温側とされ、高温側とされていた面2−2が低温側とされ、すなわち冷却面と加熱面とが入れ替わり、鏡10が積極的に加熱され、鏡面温度が素早く降下する。そして、鏡面10−1の温度が露点温度付近となれば、ペルチェ出力制御部14からの制御信号S2’がS2へ切り替えられ、通常の制御に戻される。これにより、従来の熱電冷却素子2への電流を遮断する場合と比較して、露点温度計測までの待ち時間が大幅に短縮される。
【0063】
なお、制御信号S2’で指示される電流(逆電流)S3’の電流値は予め定められる任意の値としてもよいし、制御信号S2’が指示される直前に流れていたS3と同じ値(但し、流れ方向は逆)としてもよく、任意に決めてよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る鏡面冷却式露点計の一実施の形態(実施の形態1)を示す概略構成図である。
【図2】発光側の光ファイバと受光側の光ファイバとを1つのチューブ中に並行して設ける構成を例示する図である。
【図3】検出面裏面に対して照射されるパルス光および検出面裏面から受光される反射パルス光を示す図である。
【図4】受光量急上昇検出部における反射パルス光の強度の急上昇の検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】受光量急上昇検出部における反射パルス光の強度の急上昇の検出処理の別の例を示すフローチャートである。
【図6】測定中に被測定気体の露点が急に高くなった場合の鏡面温度の変化を示すグラフである。
【図7】実施の形態1の鏡面冷却式露点計のセンサ部の変形例を示す図である。
【図8】本発明に係る鏡面冷却式露点計の他の実施の形態(実施の形態2)を示す概略構成図である。
【図9】受光量急降下検出部における反射パルス光の強度の急降下の検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】受光量急降下検出部における反射パルス光の強度の急降下の検出処理の別の例を示すフローチャートである。
【図11】正反射光検出方式を採用した従来の鏡面冷却式露点計の要部を示す図である。
【図12】散乱光検出方式を採用した従来の鏡面冷却式露点計の要部を示す図である。
【図13】従来の鏡面冷却式露点計における鏡や温度検出素子の取り付け構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
2…熱電冷却素子(ペルチェ素子)、2−1…冷却面、2−2…加熱面、10…鏡、10−1…鏡面、11…温度検出素子(薄膜測温抵抗体)、12…露点温度表示部、13…結露検知部、14…ペルチェ出力制御部、15…信号変換部、16A…受光量急上昇検出部、16B…受光量急降下検出部、17…チューブ、17−1…発光側の光ファイバ、17−2…受光側の光ファイバ、18…ヒートシンク、19…電源供給部、201,202…鏡面冷却式露点計、201A,202A…センサ部、201B,202B…コントロール部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、被測定気体に晒される鏡面をペルチェ素子などの熱電冷却素子を用いて冷却し、被測定気体に含まれる水蒸気の一部を鏡面上に結露させ、この結露の増減がなくなる平衡状態になったときの鏡面の温度を露点として検出する鏡面冷却式露点計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、湿度測定法として、被測定気体の温度を低下させ、その被測定気体に含まれる水蒸気の一部を結露させたときの温度を測定することにより露点を検出する露点検出法が知られている。例えば、寒剤、冷凍機、電子冷却器などを用いて鏡を冷却し、この冷却した鏡の鏡面上の反射光の強度の変化を検出し、この時の鏡面の温度を測定することによって、被測定気体中の水分の露点を検出する鏡面冷却式露点計について知られている。
【0003】
この鏡面冷却式露点計には、利用する反射光の種類によって、2つのタイプがある。1つは、正反射光を利用する正反射光検出方式(例えば、特許文献1参照)、もう1つは、散乱光を利用する散乱光検出方式(例えば、特許文献2参照)である。
【0004】
〔正反射光検出方式〕
図11に正反射光検出方式を採用した従来の鏡面冷却式露点計の要部を示す。この鏡面冷却式露点計101は、被測定気体が流入されるチャンバ1と、このチャンバ1の内部に設けられた熱電冷却素子(ペルチェ素子)2を備えている。熱電冷却素子2の冷却面2−1には銅製ブロック3を介してボルト4が取り付けられており、熱電冷却素子2の加熱面2−2には放熱フィン5が取り付けられている。銅製ブロック3に取り付けられたボルト4の上面4−1は鏡面とされている。銅製ブロック3の側部には巻線式測温抵抗体(温度検出素子)6が埋め込まれている(図13参照)。また、チャンバ1の上部には、ボルト4の上面(鏡面)4−1に対して斜めに光を照射する発光素子7と、この発光素子7から鏡面4−1に対して照射された光の正反射光を受光する受光素子8とが設けられている。熱電冷却素子2の周囲には断熱材9が設けられている。
【0005】
この鏡面冷却式露点計101において、チャンバ1内の鏡面4−1は、チャンバ1内に流入される被測定気体に晒される。鏡面4−1に結露が生じていなければ、発光素子7から照射された光はそのほゞ全量が正反射し、受光素子8で受光される。したがって、鏡面4−1に結露が生じていない場合、受光素子8で受光される反射光の強度は大きい。
【0006】
熱電冷却素子2への電流を増大し、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度を下げて行くと、被測定気体に含まれる水蒸気が鏡面4−1に結露し、その水の分子に発光素子7から照射した光の一部が吸収されたり、乱反射したりする。これにより、受光素子8で受光される反射光(正反射光)の強度が減少する。この鏡面4−1における正反射光の変化を検出することにより、鏡面4−1上の状態の変化、すなわち鏡面4−1上に水分(水滴)が付着したことを知ることができる。
【0007】
さらに、受光素子8で受光される反射光の光量に基づいて、鏡面4−1に生じる結露の増減がなくなる平衡状態になるように、すなわち受光素子8で受光される反射光の光量が変化しなくなる平衡状態になるように、熱電冷却素子2へ供給する電流、すなわち鏡4側の面2−1を低温側,放熱フィン5側の面2−2を高温側とする正方向への電流を制御し、この時の鏡面4−1の温度を温度検出素子6で測定することによって、被測定気体中の水分の露点を知ることができる。
【0008】
〔散乱光検出方式〕
図12に散乱光検出方式を採用した従来の鏡面冷却式露点計の要部を示す。この鏡面冷却式露点計102は、正反射光検出方式を採用した鏡面冷却式露点計101とほゞ同構成であるが、受光素子8の取り付け位置が異なっている。この鏡面冷却式露点計102において、受光素子8は、発光素子7から鏡面4−1に対して照射された光の正反射光を受光する位置ではなく、散乱光を受光する位置に設けられている。
【0009】
この鏡面冷却式露点計102において、鏡面4−1は、チャンバ1内に流入される被測定気体に晒される。鏡面4−1に結露が生じていなければ、発光素子7から照射された光はそのほゞ全量が正反射し、受光素子8での受光量は極微量である。したがって、鏡面4−1に結露が生じていない場合、受光素子8で受光される反射光の強度は小さい。
【0010】
熱電冷却素子2への電流を増大し、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度を下げて行くと、被測定気体に含まれる水蒸気が鏡面4−1に結露し、その水の分子に発光素子7から照射した光の一部が吸収されたり、乱反射したりする。これにより、受光素子8で受光される乱反射された光(散乱光)の強度が増大する。この鏡面4−1における散乱光の変化を検出することにより、鏡面4−1上の状態の変化、すなわち鏡面4−1上に水分(水滴)が付着したことを知ることができる。
【0011】
さらに、受光素子8で受光される反射光の光量に基づいて、鏡面4−1に生じる結露の増減がなくなる平衡状態になるように、すなわち受光素子8で受光される反射光の光量が変化しなくなる平衡状態になるように、熱電冷却素子2へ供給する電流、すなわち鏡4側の面2−1を低温側,放熱フィン5側の面2−2を高温側とする正方向への電流を制御し、この時の鏡面4−1の温度を温度検出素子6で測定することによって、被測定気体中の水分の露点を知ることができる。
【0012】
この鏡面冷却式露点計では、上述した2つのタイプの何れも熱電冷却素子2によって鏡4を冷却するが、測定中に被測定気体の露点が急に高くなることがある。この場合、そのまま鏡4を冷却し続けると露点を計測することができないので、熱電冷却素子2への電流を遮断し、鏡面4−1の温度が自然上昇して露点温度付近となるのを待って、露点温度の計測を再開していた(例えば、特許文献3参照)。
【0013】
【特許文献1】特開昭61−75235号公報
【特許文献2】特公平7−104304号公報
【特許文献3】特開平9−307030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の鏡面冷却式露点計では、測定中に被測定気体の露点が急に高くなった場合、熱電冷却素子2への電流を遮断し、この熱電冷却素子2への電流の遮断による鏡面4−1の温度の自然上昇に依存していたので、露点温度の計測が可能になるまで長い待ち時間が発生していた。
【0015】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、測定中に被測定気体の露点が急に高くなった場合、素早く鏡面温度を高くし、露点温度の計測までの待ち時間を大幅に短縮することができる鏡面冷却式露点計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
〔散乱光検出方式〕
このような目的を達成するために、第1発明は、正方向への電流の供給を受けて、一方の面が低温側、他方の面が高温側とされる熱電冷却素子と、この熱電冷却素子の一方の面側に取り付けられその鏡面が被測定気体に晒される鏡と、鏡面に対して光を照射する発光手段と、発光手段から鏡面に対して照射された光の散乱光を受光する受光手段と、鏡面の温度を検出する温度検出手段と、受光手段が受光する散乱光の受光量に基づいて、鏡面に生じる結露の増減がなくなる平衡状態になるように、熱電冷却素子へ供給する正方向への電流を制御する制御手段とを備えた鏡面冷却式露点計において、被測定気体の露点の上昇を検出する露点上昇検出手段と、露点の上昇が検出された場合、熱電冷却素子へ強制的に、逆方向への電流を流す手段とを設けたものである。
【0017】
この発明によれば、発光手段から鏡の鏡面に対して光が照射され、この照射された光の鏡面からの散乱光が受光手段で受光され、この受光手段が受光する散乱光の受光量に基づいて、鏡面に生じる結露が平衡状態になるように、熱電冷却素子へ供給する正方向への電流が制御される。この場合、鏡面に生じる結露が平衡状態となった時の鏡面の温度が露点温度であり、この露点温度が温度検手段によって検出される。この露点温度の測定中に、被測定気体の露点が高くなると、鏡面に生じる結露の量が多くなる。本発明では、このような露点の上昇を検出し、熱電冷却素子へ強制的に逆方向への電流を流す。これにより、熱電冷却素子は、それまで低温側とされていた面(一方の面)が高温側とされ、高温側とされていた面(他方の面)が低温側とされ、すなわち冷却面と加熱面とが入れ替わり、鏡が積極的に加熱され、鏡面温度が素早く上昇する。
【0018】
なお、被測定気体の露点の上昇は、例えば、受光手段が受光する散乱光の受光量が予め定められた閾値を上回った場合として検出したり、受光手段が受光する散乱光の受光量の増加方向への変化量が予め定められた閾値を上回った場合として検出したりすることが可能である。
【0019】
〔正反射光検出方式〕
また、第2発明は、正方向への電流の供給を受けて、一方の面が低温側、他方の面が高温側とされる熱電冷却素子と、この熱電冷却素子の一方の面側に取り付けられその鏡面が被測定気体に晒される鏡と、鏡面に対して光を照射する発光手段と、発光手段から鏡面に対して照射された光の正反射光を受光する受光手段と、鏡面の温度を検出する温度検出手段と、受光手段が受光する正反射光の受光量に基づいて、鏡面に生じる結露の増減がなくなる平衡状態になるように、熱電冷却素子へ供給する正方向への電流を制御する制御手段とを備えた鏡面冷却式露点計において、被測定気体の露点の上昇を検出する露点上昇検出手段と、露点の上昇が検出された場合、熱電冷却素子へ強制的に、正方向とは反対の逆方向への電流を流す手段とを設けたものである。
【0020】
この発明によれば、発光手段から鏡の鏡面に対して光が照射され、この照射された光の鏡面からの正反射光が受光手段で受光され、この受光手段が受光する正反射光の受光量に基づいて、鏡面に生じる結露が平衡状態になるように、熱電冷却素子へ供給する正方向への電流が制御される。この場合、鏡面に生じる結露が平衡状態となった時の鏡面の温度が露点温度であり、この露点温度が温度検手段によって検出される。この露点温度の測定中に、被測定気体の露点が急に高くなると、鏡面に生じる結露の量が多くなる。本発明では、このような露点の上昇を検出し、熱電冷却素子へ強制的に逆方向への電流を流す。これにより、熱電冷却素子は、それまで低温側とされていた面(一方の面)が高温側とされ、高温側とされていた面(他方の面)が低温側とされ、すなわち冷却面と加熱面とが入れ替わり、鏡が積極的に加熱され、鏡面温度が素早く上昇する。
【0021】
なお、被測定気体の露点の上昇は、例えば、受光手段が受光する正反射光の受光量が予め定められた閾値を下回った場合として検出したり、受光手段が受光する正反射光の受光量の減少方向への変化量が予め定められた閾値を上回った場合として検出したりすることが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、露点温度の測定中に、被測定気体の露点が急に高くなると、熱電冷却素子へ強制的に逆方向への電流が流れ、それまで低温側とされていた面が高温側とされ、高温側とされていた面が低温側とされるので、鏡が積極的に加熱され、素早く鏡面温度を高くし、露点温度の計測までの待ち時間を大幅に短縮することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1:散乱光検出方式〕
図1はこの発明に係る鏡面冷却式露点計の一実施の形態を示す概略構成図である。この鏡面冷却式露点計201はセンサ部201Aとコントロール部201Bとを有している。
【0024】
センサ部201Aでは、熱電冷却素子(ペルチェ素子)2の冷却面2−1に鏡10を取り付けている。鏡10は、例えばシリコンチップとされ、その表面10−1が鏡面とされている。また、鏡10と熱電冷却素子2の冷却面2−1との接合面に、例えば白金による薄膜測温抵抗体(温度検出素子)11を形成している。また、熱電冷却素子2の加熱面2−2に円柱状のヒートシンク18を取り付け、このヒートシンク18に沿って、その上端部をJ字型に湾曲させたステンレス製のチューブ17を設けている。
【0025】
チューブ17としては図2に示すような光ファイバを収容した種々のチューブPを使用することができる。図2(a)では、チューブP中に、発光側の光ファイバF1と受光側の光ファイバF2とを並設している。チューブP中において、発光側の光ファイバF1と受光側の光ファイバF2の周囲は、ポッテイング剤で満たされている。図2(b)では、チューブP中に、発光側(あるいは受光側)の光ファイバF1と受光側(あるいは発光側)の光ファイバF21〜F24を並行に設けている。図2(c)では、チューブP中の左半分を発光側の光ファイバF1、右半分を受光側の光ファイバF2としている。図2(d)では、チューブP中に、発光側の光ファイバF1と受光側の光ファイバF2とを混在させている。図2(e)では、チューブP中の中心部を発光側(あるいは受光側)の光ファイバF1、光ファイバF1の周囲を受光側(あるいは発光側)の光ファイバF2としている。
【0026】
図1に示した鏡面冷却式露点計201では、チューブ17として図2(a)に示されたタイプのチューブPを使用しており、その内部に発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2とを収容している。発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2のJ字型に湾曲された先端部(発光部、受光部)は、鏡10の鏡面10−1に向けられ、この鏡面10−1に対して所定の傾斜角で傾けられている。この結果、光ファイバ17−1からの光の照射方向(光軸)と光ファイバ17−2での光の受光方向(光軸)とが平行とされ、また隣接して同一の傾斜角とされる。
【0027】
コントロール部201Bには、露点温度表示部12と、結露検知部13と、ペルチェ出力制御部14と、信号変換部15と、受光量急上昇検出部16Aと、電源供給部19とが設けられている。露点温度表示部12には温度検出素子11が検出する鏡10の温度が表示される。結露検知部13は、光ファイバ17−1の先端部より鏡10の鏡面10−1に対して斜めに所定の周期でパルス光を照射させるとともに、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光(散乱光)の上限値と下限値との差を反射パルス光の強度として求め、この反射パルス光の強度に応じた信号S1をペルチェ出力制御部14および受光量急上昇検出部16Aへ送る。
【0028】
受光量急上昇検出部16Aは、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1を受けて、反射パルス光の強度の急上昇、すなわち光ファイバ17−1の先端部から鏡面10−1に対して照射された光の散乱光の受光量の急上昇を検出し、ペルチェ出力制御部14へ逆電流を流す旨の指示S4を与える。
【0029】
ペルチェ出力制御部14は、結露検知部13からの信号S1を受けて、反射パルス光の強度と予め定められている閾値th1とを比較し、反射パルス光の強度が閾値th1に達していない場合には、熱電冷却素子2への電流を信号S1の値に応じて増大させる制御信号S2を、反射パルス光の強度が閾値th1を超えている場合には、熱電冷却素子2への電流を信号S1の値に応じて減少させる制御信号S2を信号変換部15へ出力する。
【0030】
また、ペルチェ出力制御部14は、受光量急上昇検出部16Aからの逆電流を流す旨の指示S4を受けた場合、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1に従う制御を中断し、熱電冷却素子2への電流をそれまでの正方向から逆方向への電流値に強制的に切り替える信号S2’を信号変換部15へ送る。信号変換部15は、ペルチェ出力制御部14からの制御信号S2,S2’で指示される電流S3,S3’を電源供給部19を介して熱電冷却素子2へ供給する。
【0031】
〔露点温度の測定〕
この鏡面冷却式露点計201において、センサ部201Aは被測定気体中に置かれる。また、結露検知部13は、光ファイバ17−1の先端部より、鏡10の鏡面10−1に対して斜めに所定の周期でパルス光を照射させる(図3(a)参照)。鏡面10−1は被測定気体に晒されており、鏡面10−1に結露が生じていなければ、光ファイバ17−1の先端部から照射されたパルス光はそのほゞ全量が正反射し、光ファイバ17−2を介して受光される鏡面10−1からの反射パルス光(散乱光)の量は極微量である。したがって、鏡面10−1に結露が生じていない場合、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の強度は小さい。
【0032】
結露検知部13では、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の上限値と下限値との差を反射パルス光の強度として求め、反射パルス光の強度に応じた信号S1をペルチェ出力制御部14および受光量急上昇検出部16Aへ送る。この場合、反射パルス光の強度はほゞ零であり、閾値th1に達していないので、ペルチェ出力制御部14は、熱電冷却素子2への電流を増大させる制御信号S2を信号変換部15へ送る。これにより、熱電冷却素子2へ供給される電流S3が増大し、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度が下げられて行く。
【0033】
熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度、すなわち鏡10の温度を下げて行くと、被測定気体に含まれる水蒸気が鏡10の鏡面10−1に結露し、その水の分子に光ファイバ17−1の先端部から照射されたパルス光の一部が吸収されたり、乱反射したりする。これにより、光ファイバ17−2を介して受光される鏡面10−1からの反射パルス光(散乱光)の強度が増大する。
【0034】
結露検知部13は、受光される反射パルス光の1パルス毎に、その1パルスの上限値と下限値との差を求め、これを反射パルス光の強度とする。すなわち、図3(b)に示すように、反射パルス光の1パルスの上限値Lmaxと下限値Lminとの差ΔLを求め、このΔLを反射パルス光の強度とする。この結露検知部13での処理により、反射パルス光に含まれる外乱光ΔXが除去され、外乱光による誤動作が防止される。この結露検知部13でのパルス光を用いた外乱光による誤動作防止の処理方式をパルス変調方式と呼ぶ。この処理によって、この鏡面冷却式露点計201では、センサ部201Aからチャンバをなくすことができている。
【0035】
ここで、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の強度が閾値th1を超えると、ペルチェ出力制御部14は、熱電冷却素子2への電流を減少させる制御信号S2を信号変換部15へ送る。これにより、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度の低下が抑えられ、結露の発生が抑制される。この結露の抑制により、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の強度が小さくなり、閾値th1を下回ると、ペルチェ出力制御部14から熱電冷却素子2への電流を増大させる制御信号S2が信号変換部15へ送られる。この動作の繰り返しによって、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の強度が閾値th1とほゞ等しくなるように、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度が調整される。この調整された温度、すなわち鏡面10−1に生じた結露が平衡状態に達した温度(露点温度)が、露点温度として露点温度表示部12に表示される。
【0036】
この鏡面冷却式露点計201では、発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2の取り付け部が1箇所にまとめられており、検出部201Aの小型化に貢献している。また、発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2とがチューブ17に収容されているので、発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2との間での位置決めは必要なく、組立時の作業性がよくなる。
【0037】
また、この鏡面冷却式露点計201では、センサ部201Aからチャンバをなくし、吸引ポンプや吸引用チューブ、排気用チューブ、流量計など省略することができているので、部品点数が削減され、センサ部201Aのさらなる小型化が図られ、組立性が向上し、コストもダウンする。また、吸引ポンプや吸引用チューブ、排気用チューブ、流量計などを装着しなくてもよいので、測定エリア(被測定気体中)への設置も容易となる。また、センサ部201Aには吸引ポンプや吸引用チューブ、排気用チューブ、流量計などの装着が伴わず、センサ部201Aとコントロール部201Bとの2つの構成となるので、持ち運びが容易となる。
【0038】
〔測定中に被測定気体の露点が急に高くなった場合〕
上述した露点温度の測定中に、被測定気体の露点が急に高くなると、鏡面10−1に生じる結露の量が急に多くなる。このため、光ファイバ17−1の先端部から鏡面10−1に対して照射された光の散乱光が急に多くなり、光ファイバ17−2を介して受光される鏡面10−1からの散乱光の受光量が急上昇する。結露検知部13では、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の上限値と下限値との差を反射パルス光の強度として求め、反射パルス光の強度に応じた信号S1を受光量急上昇検出部16Aへ送る。受光量急上昇検出部16Aは、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1を受けて、反射パルス光の強度の急上昇(露点の急上昇)を検出し、ペルチェ出力制御部14へ逆電流を流す旨の指示S4を与える。この実施の形態1では、受光量急上昇検出部16Aが本発明でいう露点上昇検出手段に相当する。
【0039】
図4に受光量急上昇検出部16Aにおける反射パルス光の強度の急上昇の検出処理の一例を示す。受光量急上昇検出部16Aは、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1より散乱光の受光量を求め、この散乱光の受光量と予め定められている閾値α1とを比較する(ステップ401)。
【0040】
散乱光の受光量が閾値α1以上であった場合(ステップ401のYES)、受光量急上昇検出部16Aは、散乱光の受光量の急上昇と判断し、ペルチェ出力制御部14へ逆電流を流す旨の指示S4を出力する(ステップ402)。この逆電流を流す旨の指示S4は、散乱光の受光量が予め定められている閾値α2(α2<α1)以下となるまで(ステップ403のYES)、ペルチェ出力制御部14へ出力され続ける。
【0041】
なお、この例において、閾値α1は、ペルチェ出力制御部14からの信号S2に基づく通常の制御では散乱光の受光量がとり得ることのない十分大きな値として設定しておく。また、閾値α2は、露点温度付近での散乱光の受光量に近い値として設定しておく。
【0042】
図5に受光量急上昇検出部16Aにおける反射パルス光の強度の急上昇の検出処理の別の例を示す。受光量急上昇検出部16Aは、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1より散乱光の受光量を求め、この散乱光の受光量と所定時間前に求められた散乱光の受光量との差を受光量変化量として求める(ステップ501)。そして、この受光量変化量が増加方向への受光量変化量であるのか減少方向への受光量変化量であるのかをチェックし(ステップ502)、増加方向への受光量変化量であれば(ステップ502のYES)、予め定められている閾値β1と比較する(ステップ503)。
【0043】
増加方向への受光量変化量が閾値β1以上であった場合(ステップ503のYES)、受光量急上昇検出部16Aは、散乱光の受光量の急上昇と判断し、ペルチェ出力制御部14へ逆電流を流す旨の指示S4を出力する(ステップ504)。この逆電流を流す旨の指示S4は、増加方向への受光量変化量が予め定められている閾値β2(β2<β1)以下となるまで(ステップ505のYES)、ペルチェ出力制御部14へ出力され続ける。
【0044】
なお、この例において、閾値β1は、ペルチェ出力制御部14からの信号S2に基づく通常の制御では増加方向への受光量変化量がとり得ることのない十分な大きな値として設定しておく。また、閾値β2は、零に近い値として設定しておく。
【0045】
ペルチェ出力制御部14は、受光量急上昇検出部16Aからの逆電流を流す旨の指示S4を受けると、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1に従う制御を中断し、熱電冷却素子2への電流をそれまでの正方向から逆方向への電流値に強制的に切り替える信号S2’を信号変換部15へ送る。信号変換部15は、ペルチェ出力制御部14からの制御信号S2’で指示される電流(逆電流)S3’を電源供給部19を介して熱電冷却素子2へ供給する。
【0046】
これにより、熱電冷却素子2は、それまで低温側とされていた面2−1が高温側とされ、高温側とされていた面2−2が低温側とされ、すなわち冷却面と加熱面とが入れ替わり、鏡10が積極的に加熱され、鏡面温度が素早く上昇する。そして、鏡面10−1の温度が露点温度付近となれば、ペルチェ出力制御部14からの制御信号S2’がS2へ切り替えられ、通常の制御に戻される。これにより、従来の熱電冷却素子2への電流を遮断する場合と比較して、露点温度計測までの待ち時間が大幅に短縮される。
【0047】
図6に測定中に被測定気体の露点が急に高くなった場合の鏡面温度のグラフを示す。同図において、特性Iは被測定気体の露点温度の変化を示し、特性IIは被測定気体の露点の急上昇時に熱電冷却素子への電流を遮断した場合の露点温度の変化(従来)を示し、特性III は被測定気体の露点の急上昇時に熱電冷却素子へ逆電流を流した場合の露点温度の変化(本願)を示す。このグラフからも、被測定気体の露点の急上昇時には逆電流を流した場合の方が応答性が速いことが分かる。
【0048】
なお、図1に示した鏡面冷却式露点計201では、センサ部201Aにおいて発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2とを収容したチューブ17を用いたが、図7に示すセンサ部201A’のように、発光側の光ファイバ17−1に代えて発光ダイオード19を、受光側の光ファイバ17−2に代えてフォトカプラ20を設けるようにしてもよい。
【0049】
〔実施の形態2:正反射光検出方式〕
図8はこの発明に係る鏡面冷却式露点計の他の実施の形態を示す概略構成図である。この鏡面冷却式露点計202では、発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2とを同方向ではなく、鏡10を挾んでその左右に対称に設けている。発光側の光ファイバ17−1と受光側の光ファイバ17−2のJ字型に湾曲された先端部は、鏡10の鏡面10−1に向けられ、この鏡面10−1に対して左右対称に所定の傾斜角で傾けられている。
【0050】
〔露点温度の測定〕
この鏡面冷却式露点計202において、センサ部202Aは被測定気体中に置かれる。また、結露検知部13は、光ファイバ17−1の先端部より、鏡10の鏡面10−1に対して斜めに所定の周期でパルス光を照射させる。鏡面10−1は被測定気体に晒されており、鏡面10−1に結露が生じていなければ、光ファイバ17−1の先端部から照射されたパルス光はそのほゞ全量が正反射し、光ファイバ17−2を介して受光される。したがって、鏡面10−1に結露が生じていない場合、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光(正反射光)の強度は大きい。
【0051】
結露検知部13では、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の上限値と下限値との差を反射パルス光の強度として求め、この反射パルス光の強度に応じた信号S1をペルチェ出力制御部14および受光量急降下検出部16Bへ送る。この場合、反射パルス光の強度は大きく、閾値th2を超えているので、ペルチェ出力制御部14は、熱電冷却素子2への電流を増大させる制御信号S2を信号変換部15へ送る。これにより、熱電冷却素子2へ供給される電流S3が増大し、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度が下げられて行く。
【0052】
熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度、すなわち鏡10の温度を下げて行くと、被測定気体に含まれる水蒸気が鏡10の鏡面10−1に結露し、その水の分子に光ファイバ17−1の先端部から照射されたパルス光の一部が吸収されたり、乱反射したりする。これにより、光ファイバ17−2を介して受光される鏡面10−1からの反射パルス光(正反射光)の強度が減少する。
【0053】
ここで、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の強度が閾値th2を下回ると、ペルチェ出力制御部14は、熱電冷却素子2への電流を減少させる制御信号S2を信号変換部15へ送る。これにより、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度の低下が抑えられ、結露の発生が抑制される。この結露の抑制によって、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の強度が大きくなり、閾値th2を上回ると、ペルチェ出力制御部14から熱電冷却素子2への電流を増大させる制御信号S2が信号変換部15へ送られる。この動作の繰り返しによって、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の強度が閾値th2とほゞ等しくなるように、熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度が調整される。この調整された温度、すなわち鏡面10−1に生じた結露が平衡状態に達した温度(露点温度)が、露点温度として露点温度表示部12に表示される。
【0054】
〔測定中に被測定気体の露点が急に高くなった場合〕
上述した露点温度の測定中に、被測定気体の露点が急に高くなると、鏡面10−1に生じる結露の量が急に多くなる。このため、光ファイバ17−1の先端部から鏡面10−1に対して照射された光の正反射光が急に少なくなり、光ファイバ17−2を介して受光される鏡面10−1からの正反射光の受光量が急降下する。結露検知部13では、光ファイバ17−2を介して受光される反射パルス光の上限値と下限値との差を反射パルス光の強度として求め、反射パルス光の強度に応じた信号S1を受光量急降下検出部16Bへ送る。受光量急降下検出部16Bは、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1を受けて、反射パルス光の強度の急降下(露点の急上昇)を検出し、ペルチェ出力制御部14へ逆電流を流す旨の指示S4を与える。この実施の形態2では、受光量急降下検出部16Bが本発明でいう露点上昇検出手段に相当する。
【0055】
図9に受光量急降下検出部16Bにおける反射パルス光の強度の急降下の検出処理の一例を示す。受光量急降下検出部16Bは、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1より正反射光の受光量を求め、この正反射光の受光量と予め定められている閾値γ1とを比較する(ステップ601)。
【0056】
正反射光の受光量が閾値γ1以下であった場合(ステップ601のYES)、受光量急降下検出部16Bは、正反射光の受光量の急降下と判断し、ペルチェ出力制御部14へ逆電流を流す旨の指示S4を出力する(ステップ602)。この逆電流を流す旨の指示S4は、正反射光の受光量が予め定められている閾値γ2(γ2>γ1)以上となるまで(ステップ603のYES)、ペルチェ出力制御部14へ出力され続ける。
【0057】
なお、この例において、閾値γ1は、ペルチェ出力制御部14からの信号S2に基づく通常の制御では正反射光の受光量がとり得ることのない十分小さな値として設定しておく。また、閾値γ2は、露点温度付近での正反射光の受光量に近い値として設定しておく。
【0058】
図10に受光量急降下検出部16Bにおける反射パルス光の強度の急降下の検出処理の別の例を示す。受光量急降下検出部16Bは、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1より正反射光の受光量を求め、この正反射光の受光量と所定時間前に求められた正反射光の受光量との差を受光量変化量として求める(ステップ701)。そして、この受光量変化量が増加方向への受光量変化量がであるのか減少方向への受光量変化量であるのかをチェックし(ステップ702)、減少方向への受光量変化量であれば(ステップ702のYES)、予め定められている閾値δ1と比較する(ステップ703)。
【0059】
受光量急降下検出部16Bは、減少方向への受光量変化量が閾値δ1以上であれば(ステップ703のYES)、正反射光の受光量の急降下と判断し、ペルチェ出力制御部14へ逆電流を流す旨の指示S4を出力する(ステップ704)。この逆電流を流す旨の指示S4は、減少方向への受光量変化量が予め定められている閾値δ2(δ2<δ1)以下となるまで(ステップ705のYES)、ペルチェ出力制御部14へ出力され続ける。
【0060】
なお、この例において、閾値δ1は、ペルチェ出力制御部14からの信号S2に基づく通常の制御では減少方向への受光量変化量がとり得ることのない十分な大きな値として設定しておく。また、閾値δ2は、零に近い値として設定しておく。
【0061】
ペルチェ出力制御部14は、受光量急降下検出部16Bからの逆電流を流す旨の指示S4を受けると、結露検知部13からの反射パルス光の強度に応じた信号S1に従う制御を中断し、熱電冷却素子2への電流をそれまでの正方向から逆方向への電流値に強制的に切り替える信号S2’を信号変換部15へ送る。信号変換部15は、ペルチェ出力制御部14からの制御信号S2’で指示される電流(逆電流)S3’を電源供給部19を介して熱電冷却素子2へ供給する。
【0062】
これにより、熱電冷却素子2は、それまで低温側とされていた面2−1が高温側とされ、高温側とされていた面2−2が低温側とされ、すなわち冷却面と加熱面とが入れ替わり、鏡10が積極的に加熱され、鏡面温度が素早く降下する。そして、鏡面10−1の温度が露点温度付近となれば、ペルチェ出力制御部14からの制御信号S2’がS2へ切り替えられ、通常の制御に戻される。これにより、従来の熱電冷却素子2への電流を遮断する場合と比較して、露点温度計測までの待ち時間が大幅に短縮される。
【0063】
なお、制御信号S2’で指示される電流(逆電流)S3’の電流値は予め定められる任意の値としてもよいし、制御信号S2’が指示される直前に流れていたS3と同じ値(但し、流れ方向は逆)としてもよく、任意に決めてよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る鏡面冷却式露点計の一実施の形態(実施の形態1)を示す概略構成図である。
【図2】発光側の光ファイバと受光側の光ファイバとを1つのチューブ中に並行して設ける構成を例示する図である。
【図3】検出面裏面に対して照射されるパルス光および検出面裏面から受光される反射パルス光を示す図である。
【図4】受光量急上昇検出部における反射パルス光の強度の急上昇の検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】受光量急上昇検出部における反射パルス光の強度の急上昇の検出処理の別の例を示すフローチャートである。
【図6】測定中に被測定気体の露点が急に高くなった場合の鏡面温度の変化を示すグラフである。
【図7】実施の形態1の鏡面冷却式露点計のセンサ部の変形例を示す図である。
【図8】本発明に係る鏡面冷却式露点計の他の実施の形態(実施の形態2)を示す概略構成図である。
【図9】受光量急降下検出部における反射パルス光の強度の急降下の検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】受光量急降下検出部における反射パルス光の強度の急降下の検出処理の別の例を示すフローチャートである。
【図11】正反射光検出方式を採用した従来の鏡面冷却式露点計の要部を示す図である。
【図12】散乱光検出方式を採用した従来の鏡面冷却式露点計の要部を示す図である。
【図13】従来の鏡面冷却式露点計における鏡や温度検出素子の取り付け構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
2…熱電冷却素子(ペルチェ素子)、2−1…冷却面、2−2…加熱面、10…鏡、10−1…鏡面、11…温度検出素子(薄膜測温抵抗体)、12…露点温度表示部、13…結露検知部、14…ペルチェ出力制御部、15…信号変換部、16A…受光量急上昇検出部、16B…受光量急降下検出部、17…チューブ、17−1…発光側の光ファイバ、17−2…受光側の光ファイバ、18…ヒートシンク、19…電源供給部、201,202…鏡面冷却式露点計、201A,202A…センサ部、201B,202B…コントロール部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正方向への電流の供給を受けて、一方の面が低温側、他方の面が高温側とされる熱電冷却素子と、
この熱電冷却素子の前記一方の面側に取り付けられその鏡面が被測定気体に晒される鏡と、
前記鏡面に対して光を照射する発光手段と、
前記発光手段から前記鏡面に対して照射された光の散乱光を受光する受光手段と、
前記鏡面の温度を検出する温度検出手段と、
前記受光手段が受光する散乱光の受光量に基づいて、前記鏡面に生じる結露の増減がなくなる平衡状態になるように、前記熱電冷却素子へ供給する正方向への電流を制御する制御手段とを備えた鏡面冷却式露点計において、
前記被測定気体の露点の上昇を検出する露点上昇検出手段と、
前記露点の上昇が検出された場合、前記熱電冷却素子へ強制的に、前記正方向とは反対の逆方向への電流を流す手段と
を備えたことを特徴とする鏡面冷却式露点計。
【請求項2】
請求項1に記載された鏡面冷却式露点計において、
前記露点上昇検出手段は、前記受光手段が受光する散乱光の受光量が予め定められた閾値を上回った場合を前記露点の上昇として検出する
ことを特徴とする鏡面冷却式露点計。
【請求項3】
請求項1に記載された鏡面冷却式露点計において、
前記露点上昇検出手段は、前記受光手段が受光する散乱光の受光量の増加方向への変化量が予め定められた閾値を上回った場合を前記露点の上昇として検出する
ことを特徴とする鏡面冷却式露点計。
【請求項4】
正方向への電流の供給を受けて、一方の面が低温側、他方の面が高温側とされる熱電冷却素子と、
この熱電冷却素子の前記一方の面側に取り付けられその鏡面が被測定気体に晒される鏡と、
前記鏡面に対して光を照射する発光手段と、
前記発光手段から前記鏡面に対して照射された光の正反射光を受光する受光手段と、
前記鏡面の温度を検出する温度検出手段と、
前記受光手段が受光する正反射光の受光量に基づいて、前記鏡面に生じる結露の増減がなくなる平衡状態になるように、前記熱電冷却素子へ供給する正方向への電流を制御する制御手段とを備えた鏡面冷却式露点計において、
前記被測定気体の露点の上昇を検出する露点上昇検出手段と、
前記露点の上昇が検出された場合、前記熱電冷却素子へ強制的に、前記正方向とは反対の逆方向への電流を流す手段と
を備えたことを特徴とする鏡面冷却式露点計。
【請求項5】
請求項4に記載された鏡面冷却式露点計において、
前記露点上昇検出手段は、前記受光手段が受光する正反射光の受光量が予め定められた閾値を下回った場合を前記露点の上昇として検出する
ことを特徴とする鏡面冷却式露点計。
【請求項6】
請求項4に記載された鏡面冷却式露点計において、
前記露点上昇検出手段は、前記受光手段が受光する正反射光の受光量の減少方向への変化量が予め定められた閾値を上回った場合を前記露点の上昇として検出する
ことを特徴とする鏡面冷却式露点計。
【請求項1】
正方向への電流の供給を受けて、一方の面が低温側、他方の面が高温側とされる熱電冷却素子と、
この熱電冷却素子の前記一方の面側に取り付けられその鏡面が被測定気体に晒される鏡と、
前記鏡面に対して光を照射する発光手段と、
前記発光手段から前記鏡面に対して照射された光の散乱光を受光する受光手段と、
前記鏡面の温度を検出する温度検出手段と、
前記受光手段が受光する散乱光の受光量に基づいて、前記鏡面に生じる結露の増減がなくなる平衡状態になるように、前記熱電冷却素子へ供給する正方向への電流を制御する制御手段とを備えた鏡面冷却式露点計において、
前記被測定気体の露点の上昇を検出する露点上昇検出手段と、
前記露点の上昇が検出された場合、前記熱電冷却素子へ強制的に、前記正方向とは反対の逆方向への電流を流す手段と
を備えたことを特徴とする鏡面冷却式露点計。
【請求項2】
請求項1に記載された鏡面冷却式露点計において、
前記露点上昇検出手段は、前記受光手段が受光する散乱光の受光量が予め定められた閾値を上回った場合を前記露点の上昇として検出する
ことを特徴とする鏡面冷却式露点計。
【請求項3】
請求項1に記載された鏡面冷却式露点計において、
前記露点上昇検出手段は、前記受光手段が受光する散乱光の受光量の増加方向への変化量が予め定められた閾値を上回った場合を前記露点の上昇として検出する
ことを特徴とする鏡面冷却式露点計。
【請求項4】
正方向への電流の供給を受けて、一方の面が低温側、他方の面が高温側とされる熱電冷却素子と、
この熱電冷却素子の前記一方の面側に取り付けられその鏡面が被測定気体に晒される鏡と、
前記鏡面に対して光を照射する発光手段と、
前記発光手段から前記鏡面に対して照射された光の正反射光を受光する受光手段と、
前記鏡面の温度を検出する温度検出手段と、
前記受光手段が受光する正反射光の受光量に基づいて、前記鏡面に生じる結露の増減がなくなる平衡状態になるように、前記熱電冷却素子へ供給する正方向への電流を制御する制御手段とを備えた鏡面冷却式露点計において、
前記被測定気体の露点の上昇を検出する露点上昇検出手段と、
前記露点の上昇が検出された場合、前記熱電冷却素子へ強制的に、前記正方向とは反対の逆方向への電流を流す手段と
を備えたことを特徴とする鏡面冷却式露点計。
【請求項5】
請求項4に記載された鏡面冷却式露点計において、
前記露点上昇検出手段は、前記受光手段が受光する正反射光の受光量が予め定められた閾値を下回った場合を前記露点の上昇として検出する
ことを特徴とする鏡面冷却式露点計。
【請求項6】
請求項4に記載された鏡面冷却式露点計において、
前記露点上昇検出手段は、前記受光手段が受光する正反射光の受光量の減少方向への変化量が予め定められた閾値を上回った場合を前記露点の上昇として検出する
ことを特徴とする鏡面冷却式露点計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−192715(P2007−192715A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12292(P2006−12292)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
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