説明

長尺積層物の製造装置及び長尺積層物の製造方法

【課題】良好な外観を有する長尺積層物が安定的に得られる製造装置及びそのような製造装置を用いた長尺積層物の効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】第1のシート供給手段と、第2のシート供給手段と、紫外線硬化樹脂を塗布するための塗布手段と、第1のシートおよび第2のシートを貼り合わせて、長尺積層物とするための圧着手段と、紫外線硬化樹脂を部分的に硬化させるための第1の紫外線硬化手段と、紫外線硬化樹脂を硬化させるための第2の紫外線硬化手段と、を備えた長尺積層物の製造装置等であって、第2の紫外線硬化手段による紫外線照射量を、第1の紫外線硬化手段による紫外線照射量よりも大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺積層物の製造装置及び長尺積層物の製造方法に関し、特に、複数の紫外線硬化手段を備えた長尺積層物の製造装置及びそのような製造装置を用いた長尺積層物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線硬化樹脂を用いた連続的に行えるラミネート装置や表面処理方法等が鋭意研究されている。
例えば、プラスチックシート同士を一体に貼り合わせるラミネート装置を利用して、原反ロールから繰り出されるシートの表面に極めて微細な凹凸溝を形成するなどの加工を連続的に行えるラミネート装置及びこれを利用した長尺シートの加工方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、図7に示すように、基材シート250が巻かれた原反ロールを支持しつつ、基材シート250を送り出すための第1のシート供給手段201と、予め賦型された賦型シート252を支持しつつ、賦型シート252を送り出すための第2のシート供給手段202と、第1のシート供給手段201の後段(又は、第2のシート供給手段202の後段)に、シート表面に塗剤を塗布するための塗剤塗布手段203と、塗剤塗布手段203の後段に送り出される基材シート250および賦型シート252を貼り合わせるための二本の圧着ロール205a、205bからなる圧着手段205と、圧着手段205の後段に塗布された塗剤を硬化させる塗剤硬化手段206と、を備えたラミネート装置200において、賦型シート252を供給する第2のシート供給手段202がロール状であり、圧着手段205で貼り合わされた基材シート250および賦型シート252から、賦型シート252を分離して巻き取る一対のシート巻き取り手段209を塗剤硬化手段206の後段に設けた構成である。
【0003】
また、図8に示すように、プラスチックシート302の表面に、加熱処理することなく光沢加工等を施すべく、紫外線硬化樹脂を塗布して、塗布層(図示せず)を形成する工程と、形成した塗布層を介して、プラスチックシート302に対して、紫外線透過性フィルム321をラミネートする工程と、紫外線照射装置312を用いて、紫外線透過性フィルム321を通して紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂からなる塗布層を硬化させる工程と、紫外線透過性フィルム321を剥離する工程と、を含む樹脂シートの表面処理方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、図9に示すように、光硬化性樹脂からなる薄型透明フィルムを効率よく生産すべく、透明ベースシートの表面に、塗布装置を用いて、所定の紫外線硬化樹脂を所定厚さに塗布して、光硬化性樹脂層(図示せず)を形成する工程と、形成した光硬化性樹脂層の上に、透明カバーフィルムを積層して、積層体とする工程と、積層体の少なくとも一方側から紫外線を照射して、光硬化性樹脂層を硬化させて透明樹脂シートとする工程と、積層体の端部を切断スリット装置によりカット除去する工程と、を含む透明樹脂シートの製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
また、図10に示すように、紫外線に対して非透過性の可とう性基板501にエンボス加工を施すべく、可とう性基板501の表面に、紫外線硬化樹脂(フォトポリマー)を塗布して、光硬化性樹脂層を形成する工程と、形成した光硬化性樹脂層の上から、所定パターンを有するエンボス加工ベルト600を押圧するとともに、紫外線Lを照射して、光硬化性樹脂層を硬化させて、所定パターンを形成する工程と、を含む、エンボス加工方法やそれを実施するためのエンボス加工装置500が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−213398号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2001−288290号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2006−306081号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2004−322641号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたラミネート装置200において、光硬化性樹脂(紫外線硬化樹脂)を用いているものの、賦型シートを対象としたものであって、硬化前および硬化の際に、相当圧で賦型することから、接着剤層を有する長尺積層物には適用することができなかった。
すなわち、接着剤層を構成する光硬化性樹脂の場合、硬化前には、粘弾性特性が相当低いことから、未硬化の接着剤層を含むラミネート体を円形ロールにはわせた状態で、加圧しながら光硬化しようとすると、未硬化の接着剤層が所定場所からはみ出てしまい、良好な外観を有する長尺積層物を連続的に生産することが困難であった。
また、特許文献1に開示されたラミネート装置の場合、冷却装置を備えた円形ロールの直径が具体的に記載されておらず、熱変形しやすい場合があって、未だ良好な外観を有するラミネート体を安定的に製造することが困難であった。
【0008】
さらに、特許文献2〜4に開示されたラミネート装置301、400、500においても、いずれも光硬化性樹脂(紫外線硬化樹脂)を用いているものの、その形成対象物が、樹脂シート、透明フィルム、およびエンボスシートであって、加圧時における加圧調整を何ら考慮していないことから、接着剤層を有する長尺積層物には適用することができなかった。
その上、特許文献2〜4に開示されたラミネート装置301、400、500においては、紫外線照射装置から紫外線を照射する際に、各種シートに対して、多くの熱がかかる上に、冷却装置等を備えていないために、各種シートが熱変形しやすいという問題も見られた。
【0009】
そこで、硬化前は、低粘度、低粘着性の紫外線硬化樹脂からなる所定の接着剤層を塗布した第1のシートであっても、第1の紫外線硬化手段を用いて、所定の紫外線を予め照射することによって、所定の圧着手段によって、接着剤層がはみ出ることなく第2のシートを安定的に積層することができるとともに、第2の紫外線硬化手段を用いて、第1のシートおよび第2のシートを熱変形させることなく、十分に紫外線硬化できることを見出し、本願発明を完成させたものである。
すなわち、所定の第1の紫外線硬化手段、圧着手段、および第2の紫外線硬化手段等を備えることによって、良好な外観等を有する長尺積層物が安定的に得られる製造装置及びそのような製造装置を用いた長尺積層物の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明によれば、第1のシートを送り出すための第1のシート供給手段と、第2のシートを送り出すための第2のシート供給手段と、第1のシートの表面に、紫外線硬化樹脂を塗布して、接着剤層とするための塗布手段と、紫外線硬化樹脂を部分的に硬化させるための第1の紫外線硬化手段と、紫外線硬化樹脂を塗布した第1のシートおよび第2のシートを貼り合わせて、長尺積層物とするための圧着手段と、紫外線硬化樹脂を硬化させるための第2の紫外線硬化手段と、を備えた長尺積層物の製造装置であって、第2の紫外線硬化手段による紫外線照射量を、第1の紫外線硬化手段による紫外線照射量よりも大きくすることを特徴とする長尺積層物の製造装置が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、このように複数の紫外線硬化手段を備えることによって、圧着時における接着剤層としての紫外線硬化樹脂の粘度や第1のシートに対する密着性をきめ細かく制御することができる。
したがって、硬化前は、低粘度、低粘着性の紫外線硬化樹脂からなる所定の接着剤層を塗布した第1のシートに対して、圧着手段によって加圧された場合であっても、接着剤層が所定場所からはみ出ることなく、第2のシートを安定的かつ連続的に積層することができる。
その上、第1のシートおよび第2のシートを熱変形させることなく、第2の紫外線硬化手段を用いて、接着剤層につき、十分に紫外線硬化することができる。
【0011】
また、本願発明の長尺積層物の製造装置を構成するにあたり、第1の紫外線硬化手段における紫外線照射量を、第2の紫外線硬化手段における紫外線照射量の1/100〜1/2の範囲内の値とすることが好ましい。
このように複数の紫外線硬化手段における紫外線照射量の相対関係を制御することによって、紫外線硬化樹脂の粘度や第1のシートに対する密着性を、さらに精度良く制御することができる。
したがって、圧着手段における接着剤層のはみ出しを抑制するとともに、接着剤層につき、さらに十分に紫外線硬化することができる。
【0012】
また、本願発明の長尺積層物の製造装置を構成するにあたり、第1の紫外線硬化手段における紫外線照射量を10〜200mJ/cm2の範囲内の値とし、第2の紫外線硬化手段における紫外線照射量を250〜1500mJ/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
このように複数の紫外線硬化手段における紫外線照射量を制御することによって、圧着手段における紫外線硬化樹脂の粘度や第1のシートに対する密着性を、さらに精度良く制御することができる。
したがって、圧着手段における接着剤層のはみ出しをさらに抑制することができるとともに、接着剤層につき、さらに十分に紫外線硬化することができる。
【0013】
また、本願発明の長尺積層物の製造装置を構成するにあたり、第2の紫外線硬化手段が、直径200〜1600mmの大径ドラムおよび紫外線照射装置を含み、大径ドラムに、長尺積層物を巻きつけた状態で、第2の紫外線照射装置から所定量の紫外線を照射するとともに、大径ドラムの内部に装着した冷却装置によって、長尺積層物を冷却しながら紫外線硬化樹脂を硬化させることが好ましい。
このように第2の紫外線硬化手段において、所定直径の大径ドラムを用いるとともに、冷却装置により、長尺積層物を冷却することによって、紫外線照射に起因した熱変形の発生をさらに制御することができる。
【0014】
また、本願発明の長尺積層物の製造装置を構成するにあたり、第2の紫外線照射装置と、大径ドラムの外周との間の距離が、可変であることが好ましい。
このような第2の紫外線硬化手段の構成とすることによって、紫外線照射量をきめ細かく制御することができ、また、製造装置の使い勝手性についても、向上させることができる。
【0015】
また、本願発明の別の態様は、第1のシート供給手段から送り出された第1のシートの表面に、紫外線硬化樹脂を塗布して、接着剤層を形成するための塗布工程と、第1の紫外線硬化手段により、紫外線硬化樹脂を部分硬化させるための第1の硬化工程と、圧着手段によって、第2のシート供給手段から送り出された第2のシートを、第1のシートに対して貼り合わせ、長尺積層物とする圧着工程と、第2の紫外線硬化手段により、紫外線硬化樹脂をさらに硬化させる第2の硬化工程と、を含む長尺積層物の製造方法であって、第2の紫外線硬化手段による紫外線照射量を、第1の紫外線硬化手段による紫外線照射量よりも大きくすることを特徴とする長尺積層物の製造方法である。
このように複数の紫外線硬化手段を備えて、それらの紫外線照射量の大小関係を制御することによって、圧着時における紫外線硬化樹脂の粘度や第1のシートに対する密着性及びシートの反りをきめ細かく制御することができる。
したがって、硬化前は、低粘度、低粘着性の紫外線硬化樹脂からなる所定の接着剤層を有する長尺積層物であっても、圧着手段によって、接着剤層が所定場所からはみ出ることなく、第2の紫外線硬化手段によって、第1のシートおよび第2のシートを熱変形させることなく、接着剤層を十分に紫外線硬化することができる。
【0016】
また、本願発明の長尺積層物の製造方法を実施するにあたり、圧着手段において、所定厚さを制御するための楔部材であるコッターを介して、紫外線硬化樹脂を塗布した第1のシートおよび第2のシートを貼り合わせることが好ましい。
このように実施することによって、圧着手段によって、紫外線硬化樹脂が所定場所からはみ出ることなく、長尺積層物をさらに安定的かつ連続的に生産することができる。
【0017】
また、本願発明の長尺積層物の製造方法を実施するにあたり、第1のシートが、透明樹脂基材フィルムであって、第2のシートが、剥離シート、金属シート、装飾樹脂シート、光学シートの少なくとも一つであることが好ましい。
このように実施することによって、所定の長尺積層物をさらに安定的かつ連続的に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願発明の長尺積層物の製造装置の概略を説明するために供する図である。
【図2】(a)〜(c)は、第1の紫外線硬化手段の態様を説明するために供する図である。
【図3】第1の紫外線硬化手段における紫外線照射量と、第1のシートに対する密着性および接着剤層の粘度との関係を説明するために供する図である。
【図4】圧着手段およびコッターを説明するために供する図である。
【図5】第2の紫外線硬化手段を説明するために供する図である。
【図6】(a)〜(e)は、長尺積層物の製造方法を説明するために供する図である。
【図7】従来の長尺積層物の製造装置を説明するために供する図である(その1)。
【図8】従来の長尺積層物の製造装置を説明するために供する図である(その2)。
【図9】従来の長尺積層物の製造装置を説明するために供する図である(その3)。
【図10】従来の長尺積層物の製造装置を説明するために供する図である(その4)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1に例示するように、第1のシート50を送り出すための第1のシート供給手段101と、第2のシート52を送り出すための第2のシート供給手段102と、第1のシート50の表面に、紫外線硬化樹脂を塗布して、接着剤層とするための塗布手段103と、紫外線硬化樹脂を部分的に硬化させるための第1の紫外線硬化手段150と、紫外線硬化樹脂を塗布した第1のシート50および第2のシート52を貼り合わせて、長尺積層物とするための圧着手段105(105a、105b)と、紫外線硬化樹脂を硬化させるための第2の紫外線硬化手段160と、を備えた長尺積層物の製造装置100であって、第2の紫外線硬化手段160による紫外線照射量を、第1の紫外線硬化手段150による紫外線照射量よりも大きくすることを特徴とする長尺積層物の製造装置100である。
以下、図1〜図5を適宜参照しながら、第1の実施形態の長尺積層物の製造装置を具体的に説明する。
【0020】
1.第1のシート供給手段
(1)構成
第1のシート供給手段の構成については、原反ロールに巻かれた状態で、第1のシートを連続的に供給できる構成であれば、特に制限されるものではない。
したがって、例えば、図1に示すように、原反ロール状に巻かれた第1のシート50を連続的に繰り出し可能な駆動ロール101であることが好ましい。
【0021】
(2)第1のシート
図1に示す第1のシート50は、通常、長尺のプラスチック樹脂シートであるが、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂等からなる、所定長さを有するプラスチック樹脂シートである。
また、長尺積層物の用途や態様にもよるが、第1のシートは、無色透明であっても良く、あるいは、着色透明であっても、着色不透明であっても良い。
例えば、第1のシートが透明であって、紫外線を透過することができれば、後述する複数の紫外線硬化手段(第1の紫外線硬化手段や第2の紫外線硬化手段)において、かかる第1のシートを介して、塗布された紫外線硬化樹脂を硬化させることができる。
また、第1のシートが、複合層から構成されていても良く、例えば、易接着層と、プラスチック樹脂層との組み合わせであることが好ましい。
なお、かかる第1のシートは、原反ロールに巻かれた状態で、第1のシート供給手段から繰り出し自在に配置してある。
【0022】
2.第2のシート供給手段
(1)構成
図1に示す第2のシート供給手段102の構成についても、原反ロールに巻かれた状態で、第1のシート50に対して積層される第2のシート52を連続的に供給できる構成であれば、特に制限されるものではない。
したがって、第2のシート供給手段102として、図1に示すように、第2のシート52が、原反ロール状に巻かれた状態で所定位置に載置されるとともに、当該第2のシート52を連続的に繰り出し可能な駆動ロールの構成であることが好ましい。
また、第2のシート供給手段102は、図1に示すように、圧着手段105によって、第1のシート50に対して積層される第2のシート52を供給するための構成部材であることから、当該圧着手段105の近傍に配置してあることが好ましい。
なお、図示しないものの、第2のシート供給手段102を用いて、基材シートとしての第1のシ−ト50を繰り出し、貼り合わせシートとしての第2のシート52に、紫外線硬化樹脂からなる接着剤層を形成する構成であっても良い。
【0023】
(2)第2のシート
図1に示す第2のシート52の態様も特に制限されるものではないが、例えば、剥離シート、金属シート、装飾樹脂シート、光学シートのいずれかであることが好ましい。
より具体的には、剥離シートとしては、例えば、剥離処理されたポリエステル樹脂シート、剥離処理されたポリエチレン樹脂シート、剥離処理されたポリプロピレン樹脂シート、剥離処理されたポリカーボネート樹脂、剥離処理されたアクリル樹脂、剥離処理されたウレタン樹脂、剥離処理された塩化ビニル樹脂等である。
また、金属シートとしては、銅箔シート、アルミニウム箔シート、黄銅箔シート、鉛箔シート、鉄箔シート、スズ箔シート、酸化スズ被覆シート、酸化亜鉛被覆シート、酸化インジウムスズ被覆シート等である。
また、装飾樹脂シートとしては、文字、図形、記号等からなる装飾層を備えた樹脂シートであって、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂等からなる樹脂シートである。
さらに、光学シートとしては、偏光板、位相差板、光反射板、乱反射板、導光板等である。
【0024】
3.塗布手段
(1)紫外線硬化樹脂
図1に示す塗布手段103によって塗布する紫外線硬化樹脂は、紫外線の照射により、硬化反応がスタートし、それにともない、流動性を失って固体又はゲル状態になる光硬化性樹脂(光硬化性樹脂組成物を含む)をいう。
したがって、このような紫外線硬化樹脂としては、少なくとも反応性ビニルオリゴマーと、反応性ビニルモノマーと、光開始剤とを含むことが好ましいが、第2の実施形態において、具体的に説明する。
【0025】
(2)塗布装置
また、図1に示す塗布手段103は、例えば、リバースロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター、アプリケータコーター、ナイフコーター、バーコーター等の一種単独または二種以上のコーターヘッドの組み合わせであることが好ましい。
より具体的には、図1に示すように、塗布手段103は、シート供給手段101の後段に設置されており、第1のシート50の送出経路上に、コーターヘッド(図示せず)を配して、シート供給手段101から連続的に送り出される第1のシート50の表面に対して、接着剤層を構成するための紫外線硬化樹脂を均一な厚さに塗布するように構成してあることが好ましい。
【0026】
(3)乾燥手段
また、紫外線硬化樹脂に溶剤等が含まれる場合における乾燥手段としては、ヒーター、電熱オーブン、赤外線ランプ、加熱空気、加熱蒸気、遠赤外線ヒーター等の一種単独または二種以上の組み合わせであることが好ましい。
より具体的には、図1に示すように、かかる乾燥手段104は、塗布手段の後段に,複数の乾燥炉104aを連ねて設置してあり、個別に温度調節が可能なように、小部屋として構成されている。
そして、第1のシート50が、各乾燥炉内104aを通過する過程で、その表面に塗布された紫外線硬化樹脂から溶剤等を乾燥するように構成してあることが好ましい。
【0027】
4.第1の紫外線硬化手段
(1)構成
図1に示す第1の紫外線硬化手段150としては、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、発光ダイオード(LED)、ヒュージョンランプ、キセノンランプ、高圧キセノンランプ、超高圧キセノンランプ、ブラックライト等であることが好ましい。
また、紫外線硬化手段のランプ数や出力、あるいは配置等についても、特に制限されるものでなく、部分硬化させる紫外線硬化樹脂の種類や積層体の構成等を考慮して、定めることができる。
図1に示す第1の紫外線硬化手段150の例では、第1のシート50の進行方向における片側に、複数(例えば、3個〜10個)の紫外線ランプ150(150a、150b、150c)が配置されている。
したがって、片側からの紫外線照射によって、第1のシート上の紫外線硬化樹脂を所定程度で、均一に部分硬化させることができる。
【0028】
但し、紫外線硬化樹脂を過度に硬化させない一方、さらに均一に部分硬化できるように、図2(a)〜(c)のように構成することが好ましい。
図2(a)は、両側に、複数の紫外線ランプ150(150a、150b、150c、150d、150e、150f)を配置して、両側または任意の片側から所定量の紫外線を照射する構成である。
このように第1の紫外線硬化手段を構成することによって、両側に配置した複数の紫外線ランプから紫外線を照射することができ、その結果、紫外線硬化樹脂をより均一に硬化することができる。
また、このように構成することによって、紫外線ランプ一つごとの紫外線照射量を比較的少なくすることができ、その結果、紫外線硬化樹脂をさらに均一に硬化することができる。
その他、片側に配置した紫外線ランプからのみ紫外線を照射することができ、その結果、積層体における第1のシートまたは第2のシートの態様(透明性)に応じて、紫外線を照射することができる。
なお、紫外線ランプの数は特に制限されるものではないが、少なくとも1つあれば良く、2〜10個配置することがより好ましい。そして、各紫外線ランプにおける紫外線照射量は必ずしも等しくする必要はない。むしろ、第1のシートの進行方向に対して、下流側ほど、紫外線照射量を多くすることにより、紫外線硬化樹脂をさらに均一に硬化することができる。
【0029】
また、図2(b)は、両側に、複数の紫外線ランプを配置するとともに、第1のシートの進行方向に対して、下流側ほど、紫外線ランプと、第1のシートとの間の距離を近づけた状態で、両側または任意の片側から所定量の紫外線を照射する構成である。
このように第1の紫外線硬化手段を構成することによって、各紫外線ランプにおける紫外線照射量が同一であっても、紫外線硬化樹脂をさらに均一に硬化することができる。
なお、複数の紫外線ランプと、第1のシートとの間の距離を、一動作で可変できるように、図2(b)に示すように、複数の紫外線ランプを回転支持する支持部材が設けてあることが好ましい。
【0030】
さらに、図2(c)は、両側に、複数の紫外線ランプを千鳥状に配置し、両側または任意の片側から所定量の紫外線を照射する構成である。
このように第1の紫外線硬化手段を構成することによって、各紫外線ランプにおける紫外線照射量が均一化され、その結果、紫外線硬化樹脂をさらに均一に硬化することができる。
なお、かかる構成においても、第1のシートの進行方向に対して、下流側ほど、紫外線照射量を多くすることにより、紫外線硬化樹脂をさらに均一に硬化することができる。
【0031】
(2)紫外線照射量
また、第1の紫外線硬化手段による紫外線照射量(T1)を、第2の紫外線硬化手段による紫外線照射量(T2)よりも少なくすることを特徴とする。
この理由は、このように第1の紫外線硬化手段による紫外線照射量(T1)を調整することにより、接着剤層を構成する紫外線硬化樹脂が過度に光硬化するのを抑制しつつ、第1の紫外線硬化手段によって、接着剤層としての紫外線硬化樹脂を十分硬化させて、外観性等に優れた所定の積層体とするためである。
【0032】
したがって、第1の紫外線硬化手段における紫外線照射量(T1)を、第2の紫外線硬化手段における紫外線照射量(T2)の1/100〜1/2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように複数の紫外線硬化手段における紫外線照射量の相対関係を制御することによって、圧着時や硬化時の流動性の調整が容易にとなって、接着剤層としての紫外線硬化樹脂のはみ出しを抑制したり、あるいは、第1のシートのみならず、第2のシートに対する密着性を良好なものとしたりすることができる。
より具体的には、第1の紫外線硬化手段による紫外線照射量が、第2の紫外線硬化手段による紫外線照射量の1/100よりも少なくなると、特にラジカル硬化型の紫外線硬化樹脂では、酸素による硬化阻害の影響を受けるなどの理由により照射効果が発現せず、圧着時や硬化時の流動性の調整が困難となって、接着剤層としての紫外線硬化樹脂がはみ出しやすくなったり、あるいは、第1のシートのみならず、第2のシートに対する密着性が低下したりする場合があるためである。
一方、第1の紫外線硬化手段による紫外線照射量が、第2の紫外線硬化手段による紫外線照射量の1/2よりも大きくなると、接着剤層を構成する紫外線硬化樹脂が過度に光硬化してしまい、第2の紫外線硬化手段で必要な接着力が得られなくなってしまう場合があるためである。
したがって、第1の紫外線硬化手段における紫外線照射量(T1)を、第2の紫外線硬化手段における紫外線照射量(T2)の1/50〜1/3の範囲内の値とすることがより好ましく、1/30〜1/5の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、第1の紫外線硬化手段における紫外線照射量については、第2の実施形態において、より具体的に説明する。
【0033】
ここで、図3を参照して、第1の紫外線硬化手段における紫外線照射量と、第1のシートに対する密着性および接着剤層の粘度との関係を説明する。
図3は、横軸に、紫外線照射量の値が採って示してあり、左縦軸に、第1のシートに対する密着性(相対値)を採って示してある。
かかる密着性を示す特性曲線Aから、紫外線照射量が10〜200mJ/cm2の範囲であれば、わずかではあるが、徐々に密着性が向上し、紫外線照射量が500mJ/cm2を超えたあたりから、急激に向上することが理解される。
よって、第1の紫外線硬化手段によって、所定量の紫外線を照射することによって、第1のシートに対する接着剤層の密着性が向上し、後段での圧着手段における接着剤層のはみ出しを効果的に抑制できるものと推定される。
【0034】
また、図3は、横軸に、第1の紫外線硬化手段における紫外線照射量の値が採って示してあり、右縦軸に、部分硬化させた紫外線硬化樹脂からなる接着剤層の粘度(相対値)を採って示してある。なお、この粘度については、紫外線硬化樹脂の重合度もしくは反応率と読み替えることもできる。
かかる接着剤層の粘度を示す特性曲線Bから、紫外線照射量が10〜200mJ/cm2の範囲において、粘度変化は比較的大きく、紫外線照射量が200〜400mJ/cm2の範囲において、さらに粘度変化が大きくなるものの、紫外線照射量が400mJ/cm2を超えたあたりから、粘度変化は急激に小さくなることが理解される。
よって、第1の紫外線硬化手段によって、所定量の紫外線を照射することによって、接着剤層の粘度が比較的早く上昇し、後段での圧着手段における、紫外線硬化樹脂からなる接着剤層のはみ出しを効果的に抑制できるものと推定される。
【0035】
5.圧着手段
(1)構成
図1に示す圧着手段105としては、部分硬化させた紫外線硬化樹脂からなる接着剤層(図示せず)を含む第1のシート50に対して、接着剤層を介して、第2のシート52を積層できる構成であれば特に制限されるものではないが、例えば、ラミネータ装置であることが好ましい。
より具体的には、図4に示すように、かかる圧着手段105としてのラミネータ装置は、上下に配した金属製の押圧ローラー105aと合成ゴム製の押圧ローラー105bからなり、第1のシート50と、第2のシート52を、両押圧ローラー間に引き入れ、部分硬化させた紫外線硬化樹脂からなる接着剤層(図示せず)が形成された第1のシート面と、第2のシートの片面とを貼り合わせ、一体的になるように圧着する構成である。
なお、圧着手段における圧着条件については、第2の実施形態において、より具体的に説明する。
【0036】
(2)コッター
また、圧着手段105において、図4に示すように、所定厚さを制御するためのストッパーとしての機能を発揮する楔部材であるコッター172aおよびこれと当接するコッターピン172bを設けて、コッター172a(コッターピン172bを含む。)を介して、部分硬化させた紫外線硬化樹脂からなる接着剤層(図示せず)を含む第1のシート50および第2のシート52を貼り合わせることが好ましい。
例えば、金属製の押圧ローラー105aと、合成ゴム製の押圧ローラー105bとの間に、先端が先細りした金属製の楔部材であるコッター172aが設けてある。
一方、金属製の押圧ローラー105aには、上下動するコッターピン172bが、金属製の押圧ローラー105aに対して、一体的に設けてある。
そして、金属製の押圧ローラー105aと、合成ゴム製の押圧ローラー105bとの間の距離、すなわち、クリアランスが多少変動したとしても、コッターピン172bが、コッター172aの表面(斜面)に先に当接することによって、ストッパーとしての機能を発揮し、押圧ローラー105aと、押圧ローラー105bとの間の距離であるクリアランスが所定値以下となることを防止する構成である。
すなわち、このようにコッター(コッターピンを含む。)を設けることによって、圧着手段によって、紫外線硬化樹脂が所定場所からはみ出ることなく、長尺積層物をさらに安定的かつ連続的に生産することができる。
【0037】
6.第2の紫外線硬化手段
(1)構成
図1および図5に示す第2の紫外線硬化手段160としては、紫外線照射量(露光量)が比較的多く必要とされることから、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、発光ダイオード(LED)、ヒュージョンランプ、キセノンランプ、高圧キセノンランプ、超高圧キセノンランプ等であることが好ましい。
なお、紫外線硬化樹脂からなる接着剤層が厚い場合、または/かつ、紫外線が照射される側のフィルムが厚い場合は、接着剤層の深部まで紫外線が届くことが難しくなるため、長波長領域の紫外線が多く照射されるメタルハライドランプを用いることがより好ましい。
そして、図5に示すように、複数のメタルハライドランプ160a、160b、160c、160dを、直径(L)で表わされる大径ドラム106の外円と一定間隔で対峙するように、延点線Aに沿って、円弧状に配置することが好ましい。
この理由は、このように紫外線硬化させることによって、紫外線照射に起因した熱変形の発生を制御することができ、平滑性に優れるとともに、内部応力歪が少ない長尺積層物を得るためである。
【0038】
そして、第2の紫外線硬化手段160が、図1および図5に示すように、大径ドラム106および第2の紫外線照射装置160a、160bを含み、直径(L)が200〜1600mmの範囲である大径ドラム106に、長尺積層物53を巻きつけた状態で、第2の紫外線照射装置160a、160bから所定量の紫外線を照射するとともに、大径ドラム106の内部に装着した冷却装置111´、例えば、冷却管によって、長尺積層物53を冷却しながら、部分硬化した紫外線硬化樹脂からなる接着剤層をさらに硬化させることが好ましい。
より具体的には、大径ドラムと、この大径ドラムの外周面を照射面として配置された紫外線を放射する一対の紫外線照射装置からなり、圧着手段で一体に圧着された長尺積層物が、大径ドラムの外周を転動する過程で、紫外線照射装置から所定の紫外線を照射することにより、第1のシートの表面に塗布された紫外線硬化性樹脂を硬化させる構成が好ましい。
この理由は、紫外線照射装置は、発光に伴って多大な熱を発生することから、このように第2の紫外線硬化手段において、所定直径の大径ドラムを用いるとともに、冷却装置により、長尺積層物を冷却することによって、紫外線照射に起因した熱変形の発生を制御することができるためである。
逆に言えば、発光に伴う熱の影響を受けて、第1のシート等が熱変形するおそれがあることから、長尺積層物を冷却する手段として、大径ドラムの内部に装着した冷却装置を用いることによって、かかる第1のシート等の熱変形を防止するものである。
その他、冷却装置は、圧着手段で一体に圧着された長尺積層物を、大径ドラムの外周に沿って移動する過程で、冷却するためのものであって、一例であるが、大径ドラムの内部に形成された冷却水循環路に冷却水を循環供給するようにして、構成することが好ましい。
【0039】
(2)紫外線照射量
また、上述したように、第2の紫外線硬化手段による紫外線照射量(T2)を、第1の紫外線硬化手段による紫外線照射量(T1)よりも多くすることを特徴とする。
なお、具体的な第2の紫外線硬化手段における紫外線照射量(T2)については、第2の実施形態で説明する。
【0040】
7.その他
(1)巻取り装置
また、第2の紫外線硬化手段160の後段に、長尺積層物53の巻取り装置108を設けることが好ましい。
すなわち、長尺積層物の巻き取り装置は、図1に示すように、剥離ローラー107a、107bや剥離へら等によって剥離した第2のシート52あるいは第2のシートの一部を、別のローラー109に巻き取るように構成してあることが好ましい。
したがって、長尺積層物を巻き取るに際して、第2のシートが剥離シートの場合、当該第2のシートを、剥離ローラーで分離した後、紫外線硬化樹脂の硬化物および第1のシートを含む積層物として、ローラーに巻き取ることになる。
一方、第2のシートに、工程シートが付してある場合、当該工程シートを、剥離ローラーで分離した後、第2のシートと、紫外線硬化樹脂の硬化物と、第1のシートとの積層物として、ローラーに巻き取ることになる。
【0041】
(2)切断装置
また、図示しないものの、圧着手段の後段に、あるいは、上述した剥離ローラーを介して、長尺積層物の切断装置を設けることも好ましい。
すなわち、長尺積層物の切断装置として、カッターや打ち抜き機等を設けることにより、得られた長尺積層物を所定長さに切断したり、あるいは、所定形状に打ち抜いたりすることできる。
【0042】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1のシート供給手段から送り出された第1のシートの表面に対して、紫外線硬化樹脂を塗布して、接着剤層を形成する塗布工程と、第1の紫外線硬化手段により、紫外線硬化樹脂を部分硬化させる第1の硬化工程と、圧着手段によって、第2のシート供給手段から送り出された第2のシートを、第1のシートに対して貼り合わせ、長尺積層物とする圧着工程と、第2の紫外線硬化手段により、紫外線硬化樹脂をさらに硬化させる第2の硬化工程と、を含む長尺積層物の製造方法であって、第2の紫外線硬化手段による紫外線照射量を、第1の紫外線硬化手段による紫外線照射量よりも大きくすることを特徴とする長尺積層物の製造方法である。
以下、第1の実施形態の長尺積層物の製造装置と異なる点を中心に、図6(a)〜(e)を参酌しながら、第2の実施形態の長尺積層物の製造方法を具体的に説明する。
【0043】
1.塗布工程
塗布工程は、図6(a)に示される第1のシート50の表面に対して、図6(b)に示されるように、紫外線硬化樹脂51を塗布して、将来的に接着剤層となる樹脂層を形成する工程である。
ここでは、第1のシートの裏面に対して、紫外線硬化樹脂を塗布する態様を示しているが、積層体の態様によっては、第1のシートの表面であっても良く、あるいは、両面であっても良く、さらには、部分的塗布であっても良い。
以下、紫外線硬化樹脂を構成する反応性ビニルオリゴマー、反応性ビニルモノマー、光開始剤等について、具体的に説明する。
【0044】
(1)−1 反応性ビニルオリゴマー
ここで、反応性ビニルオリゴマーの種類としては特に制限されるものではないが、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートリゴマー、アクリル樹脂(メタ)アクリレートオリゴマー等の一種単独または二種以上の組み合わせである。
【0045】
また、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることによって、各種シートに幅広く適用することができるが、このようなウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、骨格に脂環式ウレタンまたは脂肪族ウレタン構造を有する2官能ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
この理由は、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを使用することにより、適度な強度や柔軟性を付与することができるためである。
また、2官能ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートを主成分とすることにより、接着剤層の軟化温度やガラス転移温度の調整が容易になるためである。逆に言えば、3官能ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートを主成分とした場合には、架橋密度が高くなり、第2のシートとの接着性が乏しくなる場合があるためである。
【0046】
また、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量(GPCを用いて測定)を1,000以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量が1,000未満の値になると、圧着時や硬化時の流動性の調整が困難となって、はみ出しやすくなったり、あるいは、第1のシートのみならず、第2のシートに対する密着性が低下する場合があるためである。
但し、かかるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量が過度に大きくなると、取り扱い性が低下したり、紫外線による硬化反応が過度に低下したりする場合がある。
したがって、かかるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量を2,000〜30,000の範囲内の値とすることがより好ましく、3,000〜10,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0047】
(1)−2 反応性ビニルモノマー
また、反応性ビニルモノマーの種類についても特に制限されるものではないが、例えば、数平均分子量が800未満である(メタ)アクリル系モノマーであって、より具体的に言えば、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、N−メチルピロリドン、ビニルカプロラクタム、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、イソボニル(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0048】
また、反応性ビニルモノマーの配合量を、反応性ビニルオリゴマー100重量部に対して、30〜300重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、反応性ビニルモノマーの配合量が30重量部未満の値になると、紫外線による硬化反応が過度に遅くなったり硬化収縮が大きくなったりするため、圧着時や硬化時における接着剤層の流動性の調整が困難となって、はみ出しやすくなったり、あるいは、第1のシートのみならず、第2のシートに対する密着性が低下したりする場合があるためである。
一方、反応性ビニルモノマーの配合量が300重量部を超えると、紫外線による硬化反応が過度に早くなったり、硬化収縮が大きくなったりして、逆に、第1のシートのみならず、第2のシートに対する密着性が低下する場合があるためである。
したがって、反応性ビニルオリゴマー100重量部に対して、反応性ビニルモノマーの配合量を80〜200重量部の範囲内の値とすることが好ましく、100〜180重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0049】
(1)−3 光開始剤
光開始剤の種類についても特に制限されるものではないが、例えば、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2- ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロへキシル-フェニル-ケトン、ベンゾフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、オリゴ〔2-ヒドロキシ-2-メチル1-[4-(メチルビニル)フェニル]プロパノン〕等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0050】
また、光開始剤の配合量を、反応性ビニルオリゴマー100重量部に対して、0.1〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる光重合開始剤の添加量が0.1重量部未満の値となると、紫外線硬化時に十分な硬化反応が得られず、圧着時や硬化時における接着剤層の流動性の調整が困難となって、はみ出しやすくなったり、あるいは、第1のシートのみならず、第2のシートに対する密着性が低下したりする場合があるためである。
一方、かかる光重合開始剤の添加量が30重量部を超えると、紫外線硬化時における反応を制御したり、あるいは、紫外線照射前における反応を抑制したりするのが困難となる場合があるためである。
したがって、光開始剤の配合量を、反応性ビニルオリゴマー100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜8重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0051】
(1)−4 熱重合成分
また、紫外線硬化樹脂に、所定量の熱重合成分(架橋剤を含む。)をさらに配合することも好ましい。
この理由は、反応性ビニルオリゴマー100重量部に対して、所定量の熱重合成分、例えば、エポキシ硬化成分(エポキシ硬化剤を含む場合がある。)、オキセタン硬化成分(オキセタン硬化剤を含む場合がある。)、イソシアネート化合物、フェノール系アルデヒド化合物(硬化触媒を含む場合がある。)等を配合することによって、圧着時や硬化時における接着剤層の流動性の調整が容易になるばかりか、第1のシートおよび第2のシートに対する密着性をさらに向上させることができるためである。
【0052】
ここで、熱重合成分の配合量を、反応性ビニルオリゴマー100重量部に対して、1〜300重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる熱重合成分の配合量が、反応性ビニルオリゴマー100重量部に対して、1重量部未満の値になると、添加効果が発現しない場合があるためである。
一方、熱重合成分の配合量が300重量部を超えると、熱反応性を制御するのが困難となったり、圧着時や硬化時における接着剤層の流動性の調整が逆に困難となる場合があるためである。
したがって、反応性ビニルオリゴマー100重量部に対して、熱重合成分の配合量を10〜200重量部の範囲内の値とすることが好ましく、30〜100重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0053】
2.第1の硬化工程
第1の硬化工程は、図6(c)に示されるように、第1の紫外線硬化手段150により、所定の紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂51を部分硬化させることによって、接着剤層51´とする工程である。
ここでは、第1のシート50における紫外線硬化樹脂51の塗布面とは反対側から、第1のシート50を介して紫外線を照射する構成を示しているが、もちろん、紫外線硬化樹脂51の塗布面側から、第1のシート50を介さず、所定量の紫外線を照射する構成であっても良い。
そして、第1の紫外線硬化手段における紫外線照射量(T1)を10〜200mJ/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように第1の紫外線硬化手段における紫外線照射量を制御することによって、圧着手段における紫外線硬化樹脂の粘度や第1のシートに対する密着性を、さらに精度良く制御することができるためである。
より具体的には、かかる紫外線照射量が10mJ/cm2未満の値になると、紫外線硬化樹脂の粘度や第1のシートに対する密着性がほとんど変わらず、圧着手段において加圧した際に、紫外線硬化樹脂がはみ出しやすくなるためである。
一方、かかる紫外線照射量が200mJ/cm2を超えると、紫外線硬化樹脂が過度に硬化して、第1のシートと、第2のシートとを、良好に積層することが困難となる場合や積層後のシートに大きな反りが発生する場合があるためである。
したがって、第1の紫外線硬化手段における紫外線照射量を30〜120mJ/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、50〜100mJ/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0054】
3.圧着工程
圧着工程は、図6(d)に示されるように、第2のシート52を、部分硬化させた紫外線硬化樹脂からなる接着剤層51´を含む第1のシート50に対して貼り合わせる工程である。
そして、圧着工程を実施する際の圧着条件としては、第1のシートに対して、第2のシートを積層できる条件であれば特に制限されるものではないが、例えば、圧着温度を50〜200℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、圧着温度が80℃未満の値になると、第1のシートと、第2のシートとを、良好に積層することが困難となる場合があるためである。
また、圧着温度が200℃を超えた値になると、第1のシートや第2のシートが熱変形しやすくなって、良好な外観を有する積層体を得ることが困難となる場合があるためである。
したがって、圧着温度を50〜150℃の範囲内の値とすることがより好ましく、60〜100℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、圧着温度としては、貼り合わせる際のロール等の表面温度を意味しており、赤外線温度計や熱電対等を用いて、測定することができる。
【0055】
また、圧着時間については、圧着温度や圧着手段等にもよるが、通常、10-6〜1秒の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、圧着時間が10-6秒未満の値になると、第1のシートと、第2のシートとを、良好に積層することが困難となる場合があるためである。
また、圧着時間が1秒を超えた値になると、第1のシートや第2のシートが熱変形しやすくなって、良好な外観を有する積層体を得ることが困難となる場合があるためである。
なお、圧着時間としては、第1のシートと、第2のシートとの貼り合わせの開始時から、貼り合わせが終了するまでの時間を意味しており、ストップウォッチから直接的に計測したり、あるいは、圧着手段としてのロールの回転速度や加圧力変化から算出したりすることができる。
【0056】
さらにまた、圧着圧力については、圧着温度等にもよるが、0.1〜100kgf/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、圧着圧力が1kgf/cm2未満の値になると、第1のシートと、第2のシートとを、良好に積層することが困難となる場合があるためである。
また、圧着圧力が100kgf/cm2を超えた値になると、第1のシートや第2のシートが変形しやすくなって、良好な外観を有する積層体を得ることが困難となる場合があるためである。
したがって、圧着圧力を1〜10kgf/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5kgf/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、圧着圧力としては、貼り合わせる際のロール間の圧力を意味しており、圧力計等を用いて、測定することができる。
【0057】
4.第2の硬化工程
第2の硬化工程は、図6(e)に示されるように、第2の紫外線硬化手段160により、所定量の紫外線を照射して、部分硬化させた紫外線硬化樹脂からなる接着剤層51´をさらに硬化させ、第1のシート50と、第2のシート52と、を積層し、長尺積層物53とする工程である。
そして、大径ドラム106に対して、長尺積層物53を巻きつけた状態で、第2の紫外線照射装置160から所定量の紫外線を照射するとともに、大径ドラム106の内部に装着した冷却装置(図示せず)によって、長尺積層物53を冷却しながら紫外線硬化樹脂をさらに硬化させることを特徴とする。
この理由は、第2の紫外線硬化手段において、所定直径の大径ドラムを用いるとともに、冷却装置により、長尺積層物を冷却することによって、紫外線照射に起因した熱変形の発生を制御することができ、平滑性に優れるとともに、内部応力歪が少ない長尺積層物を得るためである。
【0058】
ここで、第2の紫外線硬化手段による紫外線照射量(T2)を、第1の紫外線硬化手段による紫外線照射量(T1)よりも大きくすることを特徴とする。
より具体的には、第2の紫外線硬化手段における紫外線照射量(T2)を250〜1500mJ/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように第2の紫外線硬化手段における紫外線照射量を制御することによって、圧着手段における紫外線硬化樹脂の粘度や第1のシートに対する密着性を、さらに精度良く制御することができるためである。
より具体的には、かかる紫外線照射量が250mJ/cm2未満の値になると、第1のシートと、第2のシートとを、良好に積層することが困難となる場合があるためである。
一方、かかる紫外線照射量が1500mJ/cm2を超えると、第1のシートおよび第2のシートが熱劣化しやすくなったり、一旦硬化した紫外線硬化樹脂の硬化収縮が過度に大きくなったりする場合があるためである。
したがって、第2の紫外線硬化手段における紫外線照射量を300〜1200mJ/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、500〜1000mJ/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0059】
5.その他
(1)熱硬化工程
接着剤層を構成する紫外線硬化樹脂に、所定量の熱重合成分(架橋剤を含む。)を配合している場合にはもちろんのこと、熱重合成分(架橋剤を含む。)を配合していない場合であっても、得られた長尺積層物を所定温度で養生、すなわち所定の熱硬化工程を実施することが好ましい。
この理由は、所定の熱硬化工程を実施することにより、熱重合成分(架橋剤を含む。)の反応をさらに進めるとともに、長尺積層物における紫外線硬化樹脂等の硬化歪を低減するためである。
したがって、得られた長尺積層物を、例えば、40〜80℃の温度条件下に、1〜120時間保管することが好ましく、8〜60時間保管することがより好ましく、24〜48時間保管することがさらに好ましい。
【0060】
(2)巻取り工程、切断工程、包装工程
その他、第1の実施形態と同様に、巻取り装置により、長尺積層物を巻取り、ロール状としたり、あるいは、切断装置により、長尺積層物を所定長さに切断したり、あるいは、所定形状に打ち抜いたりすることが好ましい。
さらには、この段階で、被覆部材を用いて、長尺積層物を包装することも好ましい。
【実施例】
【0061】
[実施例1]
1.長尺積層物の製造
図1に示す長尺積層物の製造装置を用いて、下記工程を経て、易接着PET/PET−Gロールを製造した。
【0062】
(1)塗布工程
第1のシートとして、長さ2000m、厚さ100μm、幅1280mmの易接着PETフィルム(東洋紡社製)を準備し、第1のシート供給手段に配置するとともに、第2のシートとして、厚さ100μmのPET−Gフィルム(シーアイ化成社製)を準備し、第2のシート供給手段に配置した。
次いで、第1のシート供給手段から第1のシートを10m/分の速度で繰り出しながら、当該第1のシートの片面に、ロールコーターによって、下記配合1)〜4)を含んでなる紫外線硬化樹脂1を塗布するとともに、温度80℃、3分の条件で乾燥炉を用いて加熱乾燥し、厚さが25μmの接着剤層を形成した。
(紫外線硬化樹脂1)
1)ロックタイト3781(ヘンケル社製、ポリエステルウレタンアクリレート35重量部/ヒドロキシエチルメタクリレート30重量部/エポキシアクリレートオリゴマー25重量部/光開始剤5重量部/変性シラン5重量部)100重量部
2)酢酸エチル 100重量部
なお、ポリエステルウレタンアクリレートおよびエポキシアクリレートオリゴマーがオリゴマー成分であって、ヒドロキシエチルメタクリレートがモノマー成分である。
【0063】
(2)第1の硬化工程
次いで、図1に示すような第1の紫外線硬化手段を用いて、下記条件にて、紫外線硬化樹脂を部分的に硬化させた。
紫外線照射装置:メタルハライドランプ
紫外線照射量 :50mJ/cm2
【0064】
(3)圧着工程
次いで、図1に示すような圧着手段を用い、表面に紫外線硬化樹脂を塗布するとともに、部分硬化させた第1のシートの塗布面と、第2のシートの片面とを積層した。
圧着温度:60℃
圧着時間:10-3
圧着圧力:2kgf/cm2
【0065】
(4)第2の硬化工程
次いで、図1に示すような第2の紫外線硬化手段を用いて、大径ドラムに、長尺積層物を巻きつけた状態で、冷却装置によって、冷却温度としての大径ドラムの表面温度が30℃になるように冷却しながら、下記条件にて、紫外線硬化樹脂を硬化させ、実施例1の長尺積層物を得た。
紫外線照射装置:160W/cmのメタルハライドランプ
紫外線照射量 :1000mJ/cm2
大径ロール直径:600mm
冷却温度: 30℃
【0066】
2.易接着PET/PET−Gロールの評価
(1)外観性1
易接着PET/PET−Gロールにおける熱変形具合を目視観察し、下記基準に準拠して、外観性1を評価した。
◎:全く熱変形が観察されない。
○:ほとんど熱変形が観察されない。
△:少々熱変形が観察される。
×:顕著に熱変形が観察される。
【0067】
(2)外観性2
易接着PET/PET−Gロールから10cm角に試験片を切り出し、反りによって生じる接地面からの四隅の高さを測定して平均値を求め、下記基準に準拠して外観性2を評価した。なお、表中の外観性2の欄に、評価結果とともに、実測した反り高さの値を示す。
◎:反り高さ平均1mm未満
○:反り高さ平均1〜4mm未満
△:反り高さ平均4〜5mm未満
×:反り高さ平均5mm以上
【0068】
(3)接着力
易接着PET/PET−Gロールにおける第1のシートとしての易接着PETフィルムと、第2のシートとしてのPET−Gフィルムとの間の180°ピール力を、JIS Z−0237に準拠して測定した。
【0069】
[実施例2〜5]
実施例2〜5において、第1の紫外線硬化手段による紫外線照射量(T1)および第2の紫外線硬化手段による紫外線照射量(T2)の影響を検討した。
すなわち、実施例2〜5において、表1に示すように、紫外線照射量(T1)および第2の紫外線硬化手段による紫外線照射量(T2)を変えたほかは、実施例1と同様に、易接着PET/PET−Gロールを製造し、評価した。
【0070】
[比較例1〜3]
比較例1〜2において、第1の紫外線硬化手段による紫外線照射量(T1)を、第2の紫外線硬化手段による紫外線照射量(T2)より大きくするか、あるいは等しくしたほかは、それぞれ実施例1と同様に、易接着PET/PET−Gロールを製造し、評価した。
また、比較例3において、比較例1において、大径ロールを冷却しなかったほかは、比較例1と同様に、易接着PET/PET−Gロールを製造し、評価した。
【0071】
【表1】

【0072】
[実施例6〜10]
実施例6〜10において、第2のシートの種類の影響を検討した。
すなわち、実施例6〜10において、表2に示すように、厚さ10μmの電解銅箔に変えたほかは、実施例1と同様に長尺積層物を製造し、評価した。
【0073】
【表2】

【0074】
[実施例11〜14]
実施例11〜14において、第2の紫外線硬化手段における大径ロールの直径の影響を検討した。
すなわち、実施例11〜14において、表3に示すように、大径ロールの直径を変えたほかは、実施例1と同様に、長尺積層物を製造し、評価した。
【0075】
【表3】

【0076】
[実施例15〜17]
実施例15〜17において、紫外線硬化樹脂の種類の影響を検討した。
すなわち、実施例15〜17において、表4に示すように、紫外線硬化樹脂の種類を、紫外線硬化樹脂2〜4に変えたほかは、実施例1と同様に長尺積層物を製造し、評価した。
【0077】
(紫外線硬化樹脂2)
1)ロックタイト3751(ヘンケル社製、ポリウレタンアクリレート50重量
部/変性アクリルアミド20重量部/変性ヒドロキシアルキルメタクリレート
15重量部/アクリレートエステル5重量部/光開始剤5重量部/安息香酸誘
導体3重量部/シリカ2重量部):100重量部
2)酢酸エチル :100重量部
なお、ポリウレタンアクリレートおよび変性アクリルアミドがオリゴマー成分であって、変性ヒドロキシアルキルメタクリレートおよびアクリレートエステルがモノマー成分である。
【0078】
(紫外線硬化樹脂3)
1)ロックタイト3736(ヘンケル社製、脂肪族ウレタンアクリレート38重
量部/イソボルニルアクリレート36重量部/アクリレートエステル9重量部
/ヒドロキシエチルメタクリレート9重量部/光開始剤5重量部/有機リン化
合物3重量部):100重量部
2)酢酸エチル :100重量部
なお、脂肪族ウレタンアクリレートがオリゴマー成分であって、イソボルニルアクリレート、アクリレートエステル、およびヒドロキシエチルメタクリレートがモノマー成分である。
【0079】
(紫外線硬化樹脂4)
1)ロックタイト3751(ヘンケル社製、ポリウレタンアクリレート50重量
部/変性アクリルアミド20重量部/変性ヒドロキシアルキルメタクリレート
15重量部/アクリレートエステル5重量部/光開始剤5重量部/安息香酸誘
導体3重量部/シリカ2重量部):100重量部
2)熱重合成分(エポキシ硬化成分):10重量部
3)酢酸エチル :100重量部
なお、ポリウレタンアクリレートおよび変性アクリルアミドがオリゴマー成分であって、変性ヒドロキシアルキルメタクリレートおよびアクリレートエステルがモノマー成分である。
【0080】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0081】
このように構成された本願発明の長尺積層物の製造装置および長尺積層物の製造方法によれば、複数の紫外線硬化手段を備えて、それぞれ紫外線を照射して硬化させるとともに、圧着前の紫外線硬化手段よりも、圧着後の紫外線硬化手段における紫外線照射量を多くすることによって、硬化前は、低粘度、低粘着性の紫外線硬化樹脂からなる所定の硬化物層を有する長尺積層物であっても、紫外線硬化樹脂が所定場所からはみ出ることなく、また反りを抑えつつ、安定的かつ連続的に生産できるようになった。
また、圧着後の紫外線硬化手段における紫外線照射時に、所定の冷却操作を行うことによって、積層物をさらに安定的かつ連続的に生産できるようになった。
【符号の説明】
【0082】
50:第1のシート、52:第2のシート、53:長尺積層物、100:長尺積層物の製造装置、101:第1のシート供給手段、102:第2のシート供給手段、
103:塗布手段、104:乾燥手段、105:圧着手段、105a:金属製の押圧ローラー、105b:合成ゴム製の押圧ローラー、106:大径ドラム、107a、107b:剥離ローラー、111´:冷却装置、150:第1の紫外線硬化手段、160、160a、160b、160c、160d:第2の紫外線硬化手段、172a:コッター172a、172b:コッターピン172b




【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のシートを送り出すための第1のシート供給手段と、
第2のシートを送り出すための第2のシート供給手段と、
前記第1のシートの表面に対して、紫外線硬化樹脂を塗布するための塗布手段と、
前記紫外線硬化樹脂を部分的に硬化させるための第1の紫外線硬化手段と、
前記紫外線硬化樹脂を塗布した前記第1のシートおよび前記第2のシートを貼り合わせて、長尺積層物とするための圧着手段と、
前記紫外線硬化樹脂を硬化させるための第2の紫外線硬化手段と、
を備えた長尺積層物の製造装置であって、
前記第2の紫外線硬化手段による紫外線照射量を、前記第1の紫外線硬化手段による紫外線照射量よりも大きくすることを特徴とする長尺積層物の製造装置。
【請求項2】
前記第1の紫外線硬化手段における紫外線照射量を、前記第2の紫外線硬化手段における紫外線照射量の1/100〜1/2の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の長尺積層物の連続製造装置。
【請求項3】
前記第1の紫外線硬化手段における紫外線照射量を10〜200mJ/cm2の範囲内の値とし、前記第2の紫外線硬化手段における紫外線照射量を250〜1500mJ/cm2の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の長尺積層物の連続製造装置。
【請求項4】
前記第2の紫外線硬化手段が、直径200〜1600mmの大径ドラムおよび紫外線照射装置を含み、前記大径ドラムに、前記長尺積層物を巻きつけた状態で、前記第2の紫外線照射装置から所定量の紫外線を照射するとともに、前記大径ドラムの内部に装着した冷却装置によって、前記長尺積層物を冷却しながら前記紫外線硬化樹脂を硬化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の長尺積層物の製造装置。
【請求項5】
前記第2の紫外線照射装置と、前記大径ドラムの外周との間の距離が、可変であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の長尺積層物の連続製造装置。
【請求項6】
第1のシート供給手段から送り出された第1のシートの表面に、紫外線硬化樹脂を塗布する塗布工程と、
第1の紫外線硬化手段により、前記紫外線硬化樹脂を部分硬化させる第1の硬化工程と、
圧着手段によって、第2のシート供給手段から送り出された第2のシートを、前記第1のシートに対して貼り合わせ、長尺積層物とする圧着工程と、
第2の紫外線硬化手段により、前記紫外線硬化樹脂をさらに硬化させる第2の硬化工程と、を含む長尺積層物の製造方法であって、
前記第2の紫外線硬化手段による紫外線照射量を、前記第1の紫外線硬化手段による紫外線照射量よりも大きくすることを特徴とする長尺積層物の製造方法。
【請求項7】
前記圧着手段において、所定厚さを制御するための楔部材であるコッターを介して、前記紫外線硬化樹脂を塗布した前記第1のシートおよび前記第2のシートを貼り合わせることを特徴とする請求項6に記載の長尺積層物の製造方法。
【請求項8】
前記第1のシートが、透明樹脂プラスチックフィルムであって、前記第2のシートが、剥離シート、金属シート、装飾樹脂シート、光学シートの少なくとも一つであることを特徴とする請求項6または7に記載の長尺積層物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−126156(P2011−126156A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287429(P2009−287429)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(508147212)EWケミカル・エンジニアリング株式会社 (5)
【Fターム(参考)】