長尺装飾部材、及びその製造方法
【課題】実際の織布に近い外観を呈する装飾部材、及びその製造方法の提供。
【解決手段】長尺装飾部材W1は、押出成形により成形され、取付け部1と、取付け部1の表面に一体的に形成された加硫済ゴムから成る装飾部3とを備える。装飾部3は、内部で熱膨張した多数のマイクロカプセル6と、装飾部3の表面又はその近傍で破裂したマイクロカプセル6における外側に向けて開口した多数の凹部6aと、前記表面の近くで膨張したマイクロカプセル6が外側に向けて膨出した多数の突出部6bにより粗面化された表面を有する。装飾部3の表面には、少なくとも一つの長手方向及び/又は横方向に沿った凸条及び/又は凹溝が形成されている。凸条の外面及び凹溝の内面の少なくともいずれかに、多数の凹部6a及び前記突出部6bが不規則な位置に形成されている。
【解決手段】長尺装飾部材W1は、押出成形により成形され、取付け部1と、取付け部1の表面に一体的に形成された加硫済ゴムから成る装飾部3とを備える。装飾部3は、内部で熱膨張した多数のマイクロカプセル6と、装飾部3の表面又はその近傍で破裂したマイクロカプセル6における外側に向けて開口した多数の凹部6aと、前記表面の近くで膨張したマイクロカプセル6が外側に向けて膨出した多数の突出部6bにより粗面化された表面を有する。装飾部3の表面には、少なくとも一つの長手方向及び/又は横方向に沿った凸条及び/又は凹溝が形成されている。凸条の外面及び凹溝の内面の少なくともいずれかに、多数の凹部6a及び前記突出部6bが不規則な位置に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織布調の外観を呈する装飾部を備えた長尺装飾部材、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記した長尺装飾部材としては、自動車等の車両の開閉ドア開口縁に沿って取付けられ、車両の内部に雨水等が浸入するのを防止するウェザーストリップ等のトリム材が挙げられる。上記以外の長尺装飾部材の例としては、建物の一つの壁パネル及び隣接する壁パネル間の目地に挿入して目地を閉塞する長尺の目地材が挙げられる。このようなウェザーストリップや目地材等の装飾部材は、通常はカーボンブラックを混合して混練した黒色ゴムの押出成形で長尺に形成され、所定の長さに切断して製造される。
【0003】
上記したトリム材のうちウェザーストリップにおいては、嗜好の多様化に伴い目視される部分(装飾部)では前記ゴムが呈する黒色以外の色、特に車両の内装材の色とパターンの両方に整合(調和)した色とパターンを呈するものが求められている。このような需要に対応するために、前記した黒色の装飾部の表面に非黒色の色を呈する実際の布を貼着することが行われているが、布はコストが高いだけでなく貼着に適した接着剤の選択に制限があるばかりでなく、貼着工程では複雑でかつ煩雑な管理を必要とするので装飾部材の製造コストを上昇させる。上記の問題を解決するために、本出願人は容易に製造できるトリム材とその製法を提案した(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、特許文献1の発明は、課題に対して優れた効果を呈するものの、需要者の要求性能の高度化に伴って、更に実際の織布に似た外観を呈する装飾部材が求められることとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−146087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特開2002−146087号公報に開示の発明の延長線上にたって、更に実際の織布に近い外観を呈する装飾部材、及びその製造方法の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の側面は、長尺装飾部材であって、被取付体に取付けられる取付け部と、前記取付け部の表面に一体的に形成された加硫済ゴムから成る装飾部と、を備え、前記装飾部は、該装飾部の内部で熱膨張した多数のマイクロカプセルと、該装飾部の表面又は表面の近くでマイクロカプセルが破裂して外側に向けて開口した多数の凹部と、前記表面の近くで膨張したマイクロカプセルが外側に向けて膨出して構成された多数の突出部とにより粗面化された表面を有し、前記装飾部の表面には、長手方向及び長手方向と交差する横方向の少なくともいずれかに沿って延びた複数本の凸条と、前記長手方向及び前記横方向の少なくともいずれかに沿って延びた複数本の凹溝と、の少なくともいずれかが形成されており、前記凸条の外面及び前記凹溝の内面の少なくともいずれかに、多数の前記凹部及び前記突出部が不規則な位置に形成されている、押出成形により成形された長尺装飾部材を提供する。
本発明の第2の側面によれば、前記第1の側面において、前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかは、前記凹部及び前記突出部の少なくともいずれかにより、延びる方向の不規則な位置で途切れ部及び変形部の少なくともいずれかが形成される。
【0008】
加硫済ゴムで形成された装飾部の表面は、内部で熱膨張した多数の微細なマイクロカプセルと、表面又は表面の近傍に存在するマイクロカプセルの破裂によって形成された凹部と、表面に存在するマイクロカプセルの膨出によって形成された突出部との絡み合いにより不規則に粗面化されて、装飾部は実際の織布に近い外観を呈する。このようにして粗面化された装飾部の表面には、長手方向又は横方向に沿って延びるように形成された複数本の長手方向又は横方向の凸条及び/又は長手方向又は横方向の凹溝が形成されている。この長手方向又は横方向凸条及び/又は長手方向又は横方向の凹溝は、装飾部の表面を粗面化している前記凹部及び/又は突出部との干渉により途切れたり、変形されたりして長手方向又は横方向凸条及び/又は長手方向又は横方向の凹溝の単調な直線性が変化して微小起伏を有する表面模様が形成される。これにより、装飾部の表面は、実際の織布に一層近い外観を呈し装飾性が高められる。更に、表面が織布に近い外観を呈する装飾部は取付け部に一体に形成されている。
【0009】
また、本発明の第3の側面によれば、前記第1又は第2の側面において、装飾部の表面には、長手方向に延びる凸条及び凹溝の少なくともいずれかと、横方向に延びる凸条及び凹溝の少なくともいずれかと、が形成される。
【0010】
この第3の側面によれば、前記第1又は第2の側面の作用効果に加えて、以下の効果および作用を有する。横方向凸条及び/又は横方向凹溝が形成されて長手方向凸条及び/又は長手方向凹溝と交差することにより、四角形模様が長手方向及び/又は幅方向に連続形成されて、クロスに編んだ織布状の模様となって現出し、表面の装飾性が一層高められる。
【0011】
また、本発明の第4の側面によれば、前記第1〜第3のいずれかの側面において、複数本の長手方向凸条及び/又は複数本の長手方向凹溝が、その間隔が0.1〜5mmの範囲で形成される。
【0012】
この第4の側面によれば、前記第1〜第3の側面の上記作用効果に加えて、以下の効果および作用を有する。長手方向凸条及び/又は長手方向凹溝の間隔が上記範囲内であると、実際の織布により近い外観となって装飾性が高められる。
【0013】
また、本発明の第5の側面によれば、前記第1〜第4のいずれかの側面において、複数本の長手方向凸条又は複数本の長手方向凹溝は複数本の長手方向凸条の突出高さ又は複数本の長手方向凹溝の深さが、0.1〜2mmの範囲で形成される。
【0014】
この第5の側面によれば、前記第1〜第4のいずれかの側面の作用効果に加えて、以下の効果および作用を有する。長手方向凸条の突出高さ又は長手方向凹溝の深さが上記範囲内であると、実際の織布により近い外観となって装飾性が高められる。
【0015】
また、本発明の第6の側面によれば、前記第1〜第5のいずれかの側面において、複数本の横方向凸条又は横方向凹溝が、その間隔が0.1〜5mmの範囲で形成される。この第6の側面によれば、横方向凸条又は横方向凹溝の間隔を上記範囲内に定めることにより、装飾部の表面が実際の織布の外観に一層近くなって装飾性が更に高められる。
【0016】
また、本発明の第7の側面によれば、前記第1〜第6のいずれかの側面において、複数本の横方向凸条又は複数本の横方向凹溝は複数本の横方向凸条の突出高さ又は複数本の横方向凹溝の深さが、0.1〜2mmの範囲で形成される。この第7の側面によれば、長手方向凸条の突出高さ及び/又は長手方向凹溝の存在に加えて、横方向凸条の突出高さ又は横方向凹溝の深さを上記範囲内に定めることにより、装飾部の表面が実際の織布の外観に一層近くなって装飾性が更に高められる。
【0017】
また、本発明の第8の側面によれば、前記第1〜第7のいずれかの側面において、装飾部は、取付け部の表面に層状に形成されるため、装飾部を薄く形成できて押出成形が容易である。
【0018】
また、本発明の第9の側面によれば、前記第1〜第8のいずれかの側面において、装飾部の凹溝の深さは、装飾部の厚さの範囲内に留まっている。このため、取付け部の地色が露出せず、装飾部の全域に亘って実際の織布に近い外観を呈することができる。
【0019】
また、本発明の第10の側面によれば、前記第1〜第9のいずれかの側面において、装飾部の凹溝はV字状の横断面である。このため、装飾部の表面において凹溝の視認性が高く、装飾部の表面外観を実際の織布に近づけられる。
【0020】
また、本発明の第11の側面によれば、前記第1〜第10のいずれかの側面において、装飾部は取付け部と異色を呈する。このため、装飾部の色を取付け部の地色とは無関係に最適な色にすることができる。
【0021】
また、本発明の第12の側面によれば、前記第11の側面において、装飾部は取付け部よりも淡色を呈する。このため、凹溝及び突条が明瞭に視認される。
【0022】
また、本発明の第13の側面によれば、前記第1〜第12のいずれかの側面において、装飾部の凸条及び/又は凹溝は、ほぼ直線状に形成される。このため、凸条及び/又は凹溝の形状を実際の織布のものと近い形状にできる。
【0023】
また、本発明の第14の側面によれば、前記第1〜第12のいずれかの側面において、装飾部の凸条及び/又は凹溝は、それぞれ曲線状に形成される。このため、装飾部の表面に実際の織布よりも更に特色を有する表面模様を形成することができる。
【0024】
また、本発明の第15の側面によれば、前記第1〜第14のいずれかの側面において、装飾部の表面には、耐磨耗性と耐候性のうち少なくとも一つを向上させる表面改質層が形成される。このため、長期間使用しても装飾部の表面を実際の織布に近い外観に維持できる。
【0025】
また、本発明の第16の側面によれば、前記第15の側面において、表面改質層は装飾部の表面を透視可能な透明な層である。このため、装飾部の表面を長期間に亘って実際の織布に近い外観に維持できるのに加えて、装飾部の表面色をほぼそのまま認識させられる。
【0026】
また、本発明の第17の側面によれば、前記第15又は16の側面において、改質層はシリコーン樹脂の被膜である。このため、前記第15又は第16の側面の発明の作用効果に加えて、耐磨耗性や耐候性が更に向上する。
【0027】
また、本発明の第18の側面によれば、前記第1〜第17のいずれかの側面において、長尺装飾部材は車両のウェザーストリップである。ウェザーストリップは外部に露出した状態で車両の所定部分に装着されるので、その取付け部の表面に装飾部を一体に形成することにより、装飾効果が高められる。
【0028】
また、本発明の第19の側面によれば、前記第18の側面において、ウェザーストリップはドアオープニングトリムである。ドアオープニングトリムは、車両の本体開口周縁に沿って装着されてドアを開く毎に露出するため、その取付け部の表面に装飾部を一体に形成することにより装飾性が高められる。
【0029】
また、本発明の第20の側面によれば、前記第19の側面におけるドアオープニングトリムが遮蔽リップを有し、該遮蔽リップ表面及び/又は取付け部車内側表面に前記装飾部が一体に形成される。
【0030】
また、本発明の第21の側面は、前記第18の側面において、ウェザーストリップは中空シール部を有し、この中空シール部の表面に装飾部が一体的に形成される。ドアオープニングトリムの中空シール部は、ドアを開く毎にほぼその全体が外側から認識されるため、中空シール部の表面に装飾部を一体に形成すると、ドアを開いた際のドアオープニングトリムの装飾性が高められる。
【0031】
また、本発明の第22の側面によれば、前記第18の側面において、ウェザーストリップはトランクシールトリムである。トランクシールトリムは、トランクルームのリッドを開く毎にほぼその全体が露出するために、中空シール部の表面に装飾部を一体に形成すると、トランクルームのリッドを開いた際のトランクシールの部分の外観が高められる。
【0032】
また、本発明の第23の側面によれば、前記第22の側面において、トランクシールトリムは遮蔽リップを有し、遮蔽リップ表面及び/又は取付け部車内側の表面に装飾部が一体に形成される。トランクシールトリムの遮蔽リップはトランクルーム内のカーペットのように装備品の端末部を遮蔽するものであるため、遮蔽リップ及び/又は取付け部車内側の表面に装飾部を一体に形成すると、トランクルーム内のトランクシールトリムから装備品にかけて装飾性が高められる。
また、本発明の第24の側面によれば、前記18〜前記23の側面において、ウェザーストリップが更に芯金を備えている。
【0033】
また、本発明の第25の側面は、被取付体に取付けられる取付け部と、前記取付け部の表面に一体的に形成された加硫済ゴムから成る装飾部とを備えた長尺装飾部材の製造方法であって、前記長尺装飾部材の横断面形状に対応したオリフィスを備えたゴム押出成形型から、加硫剤を混練した未加硫ゴムから成る取付け部形成予定部と、加硫剤及び多数の微細な熱膨張性マイクロカプセルを混練した未加硫ゴムから成る装飾部形成予定部とを押し出す工程と、前記装飾部形成予定部の表面に互いに平行である複数本の凸条及び互いに平行である複数本の凹溝の少なくともいずれかを形成する工程と、前記装飾部形成予定部を加熱して、その表面又は表面近くの前記マイクロカプセルの少なくとも一部を限度を超えて膨張させて破裂させ、前記凸条の外面及び前記凹溝の内面の少なくともいずれかの不規則な位置に、外側に開口する多数の凹部を形成すると共に、前記装飾部形成予定部を加熱して、その表面又は表面近くの前記マイクロカプセルの少なくとも一部を膨張させ、前記凸条の外面及び前記凹溝の内面並びに前記凸条の外面の近く及び前記凹溝の内面の近くの少なくともいずれかの不規則な位置に、外側に向けて膨出する多数の突出部を形成する工程と、前記装飾部形成予定部の前記加熱により、前記装飾部形成予定部及び前記取付け部形成予定部の未加硫ゴムを加硫させてゴム状弾性を有する加硫済ゴムに変化させる工程と、を含む長尺装飾部材の製造方法を提供する。
【0034】
また、本発明の第26の側面は、第25の側面において、前記凹部及び前記突出部を形成する工程において、前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかには、前記凹部及び前記突出部が形成されることにより、延びる方向の不規則な位置で途切れ部及び変形部の少なくともいずれかが形成される。
【0035】
また、本発明の第27の側面は、第25又は第26の側面において、前記押し出す工程は、前記オリフィスにおける装飾部押出部位の内面に形成された凹み及び凸部の少なくともいずれかを有するゴム押出成形型を用い、押し出すと同時に長手方向に連続して延びる前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかを形成する工程を含む。
【0036】
この第27の側面によれば、ゴム押出成形型のオリフィスの装飾部形成部位から装飾部形成予定部が押し出される工程において、押出成形型の前記装飾部形成部位の内面に形成された前記凸部及び/又は凹みにより、装飾部形成予定部の表面に長手方向に連続する複数本の長手方向凹溝及び/又は長手方向凸条が形成される。また、装飾部形成予定部を加熱する工程において、膨張、破裂により、装飾部形成予定部の表面に多数の凹部及び/又は突出部が形成され、マイクロカプセルの膨張突出は表層で行われる。これらの凹部及び/又は突出部が前記長手方向凹溝及び/又は長手方向凸条を途切れさせ及び/又は変形させる。このため、実際の織布に近い外観を呈する装飾部を備えた長尺装飾部材を、その押出成形から連続して簡単に形成できる。
【0037】
また、本発明の第28の側面は、第27の側面において、前記押し出す工程の後に、長手方向と交差する横方向に横方向凸条及び横方向凹溝の少なくともいずれかを形成し、それによって前記長手方向と前記横方向の凸条及び前記長手方向と前記横方向の凹溝の少なくともいずれかでそれぞれ囲まれた多数の四角形で構成された模様を形成する工程を更に含む。
【0038】
この第28の側面によれば、第27の側面の作用効果に加えて、以下の効果および作用を有する。装飾部の表面には、途中で途切れたり、変形されたりした長手方向凸条及び/又は凹溝を主体とする模様に加えて、多数の四角形模様が連続して形成されるため、本物の織布と遜色のない外観を呈する装飾部材を簡単に形成できる。
【0039】
また、本発明の第29の側面は、第25又は第26の側面において、前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかを形成する工程は、前記押し出す工程の後に実施され、長手方向に連続して延びる長手方向凸条及び長手方向凹溝並びに前記長手方向と交差する横方向に形成される横方向凸条及び横方向凹溝の少なくともいずれかを形成する工程である。
【0040】
この第29の側面では、装飾部形成予定部の表面に長手方向に連続する複数本の長手方向凸条及び/又は凹溝を形成する工程を、装飾部形成予定部がゴム押出成形型から押し出された後において行うことができるので、長手方向と交差方向に延びる凸条及び/又は凹溝を自由に形成することができる。
【0041】
また、本発明の第30の側面によれば、前記第25〜第29のいずれかの側面において、装飾部形成予定部を加熱する際、マイクロカプセルの外殻が軟化して内部のガスの圧力によって破裂するのに十分な温度に加熱すると共に前記加熱により未加硫ゴムを加硫する。この第30の側面によれば、未加硫ゴムを加硫時において外部に圧力が作用しない最適な状態でマイクロカプセルが破裂するために、装飾部を形成する未加硫ゴムの加硫と同時に装飾部の表面にマイクロカプセルの破裂による最適な凹凸模様を形成できる。
【0042】
また、本発明の第31の側面によれば、前記第30の側面において、装飾部形成予定部の未加硫ゴムが加硫を完了する前にマイクロカプセルの外殻の少なくとも軟化と膨張を終了させる。このため、装飾部形成予定部の表面にマイクロカプセルの破裂による凹凸模様が形成された後に加硫されるため、マイクロカプセルの膨張と破裂が制限又は防止されない。
【0043】
また、本発明の第32の側面によれば、前記第30又は第31の側面において、未加硫ゴムから成る装飾部形成予定部を加熱する際、加熱により装飾部形成予定部のムーニー粘度が加熱前よりも低下するときに、マイクロカプセルの外殻の少なくとも軟化と膨張を開始させる。したがって、マイクロカプセルの膨張が行われ易くなるため、最終的にマイクロカプセルによる凹凸模様が形成され易くなる。
【0044】
また、本発明の第33の側面によれば、前記第25〜第32のいずれかの側面において、表面にそれぞれ所定幅の凹溝を形成した装飾部形成予定部を加熱して、マイクロカプセルの膨張と共に装飾部形成予定部を体積膨張させ、前記凹溝の幅を加熱前よりも小さくさせる。このため、最終的に装飾部の表面に形成される凹溝の幅が実際の織布に近い程度に狭くできる。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係る長尺装飾部材は、装飾部に形成される長手方向凸条及び/又は長手方向凹溝と、装飾部を形成する原料内に混練(分散)させたマイクロカプセルの膨張破裂により装飾部の表面に形成される凹凸模様(粗面模様)とが相俟って、実物の織布と遜色ない外観が呈せられるために装飾性が大幅に高められる。
【0046】
本発明に係る長尺装飾部材の製造方法によれば、オリフィスにおける押出成形部位(押出型の流路内面)に形成された凸部及び/又は凹みが形成されたゴム押出成形型と周面に凸部及び/又は凹みが形成されたローラを単独で、又は併用し、装飾部を形成する原料内に予めマイクロカプセルを混練(分散)しておいて、前記オリフィスから押し出して加硫することにより、装飾部の表面が織布調となった長尺装飾部材を簡単に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を実施するためのゴム押出成形型を含む製造装置の模式的平面配置図である。
【図2】ゴム押出成形型の出口側の斜視図である。
【図3】ゴム押出成形型の下流側から見た正面図である。
【図4】図3のX−X線断面図である。
【図5】押出成形型のエンドプレートのオリフィスの押出成形面(流路内壁面)に押出方向(図5の紙面に垂直な方向)に沿って形成された型凸部により装飾部形成予定部の表面に長手方向凹溝が形成されることを示す模式的断面図(図4のY−Y線に沿った模式的断面図)である。
【図6】横方向凹溝付与ローラにより装飾部形成予定部の表面に横方向凹溝が形成されることを示す模式的縦断面図である。
【図7】ウェザーストリップの装飾部形成予定部の部分拡大平面図である。
【図8】図7のZ−Z線断面図である。
【図9】表面に露出した多数のマイクロカプセルと長手方向及び横方向の各凹溝との関係を主体に示す装飾部の部分拡大平面図である。
【図10】装飾部の断面図である。
【図11】マイクロカプセルの膨張破裂と膨張突出とを主体に示すウェザーストリップの装飾部の模式的拡大断面図である。
【図12】ウェザーストリップの取付け部折曲げ前の横断面図である。
【図13】ウェザーストリップの取付け部折曲げ後の横断面図である。
【図14】押出成形型のウェザーストリップのオリフィスの押出成形面(流路内壁面)に複数本の凹溝を形成して、ウェザーストリップの装飾部に長手方向凸条が形成されることを示す模式的断面図である。
【図15】凹溝付与ローラを使用して、ゴム押出成形型からウェザーストリップを押し出した後に、その装飾部形成予定部の表面に長手方向及び横方向の各曲線状の凹溝を同時に形成する状態を示す正面図である。
【図16】凹溝付与ローラにより長手方向及び横方向に曲線状のそれぞれの凹溝が形成されたウェザーストリップの装飾部形成予定部の部分拡大平面図である。
【図17】ドアオープニングとしてのウェザーストリップの横断面図である。
【図18】本発明を実施したトランクルームシール(ウェザーストリップ)の横断面図である。
【図19】ゴム押出成形型の変形例の出口側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明を実施するための最良形態、及び他の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明を実施するためのゴム押出成形型Fを含む製造装置の模式的平面配置図であり、図2は、ゴム押出成形型Fの出口側の斜視図であり、図3は、同じく下流側から見た正面図であり、図4は、図3のX−X線断面図である。最初に、ウェザーストリップW1 について説明し、次にウェザーストリップW1 を製造する装置と製造方法について説明する。なお、ウェザーストリップW1の取付け部1、シール部2及び装飾部3に関しては、その製造方法について説明する場合、成形途中のウェザーストリップW1’の各部分として、「取付け部形成予定部1’」、「シール部形成予定部2’」及び「装飾部形成予定部3’」の用語を使用することがある。
【0049】
図13に示されるように、完成品としてのウェザーストリップW1 は、自動車の車体のドア開口の周縁部に沿って装着されドア開口とドアとの間をシールするドアオープニングトリムであって、横断面がU字状の取付け部1に中空状のシール部2が一体に形成され、更に前記取付け部1の表面に装飾部3が層状に形成された長尺体である。取付け部1には、金属薄板から成る補強用の芯金4が埋設され、取付け部1の対向内面には、それぞれ被取付体(図示せず)のフランジを挟持する複数の挟持リップ5が突設されている。取付け部1は、カーボンブラックを20〜40質量%混合して混練した加硫済EPDM(エチレンプロピレンジエン共重合体)により成形されることが好ましく、中空シール部2は、取付け部1の前記加硫済EPDMよりも軟質で、弾性変形に優れたゴム材料(例えばカーボンブラックを20〜40質量%〔発泡前〕混練したスポンジEPDM)で成形されることが好ましい。装飾部3は、加硫剤及び多数の微細な膨張性マイクロカプセル6を内部に混合して混練した未加硫状態のゴムで押し出された後に加硫処理されている。そして、完成品のウェザーストリップW1の装飾部3は、膨張した多数のマイクロカプセルと表面で膨張した後に破裂した多数のマイクロカプセルを含んでいる。
【0050】
装飾部3を形成するゴムとしては、装飾部3の装飾性を高める観点から前記取付け部の色と異なる色のEPDM、CSM、CPE、シリコーンゴムが好ましく、取付け部よりも淡色を呈することが特に好ましく、又車両内装色と調和する色彩であることが特に好ましい。装飾部3のゴム材料には、装飾性を考慮して各種の材料を含むことができる。例えば、装飾部3に所望の色を付与する粒子状体や薄片状体や、金属調外観を付与しうる粒子状あるいは薄片状メタリック材料、砂地調あるいはモルタル調外観を付与しうる粒子状あるいは薄片状の無機質系材料、繊維質状外観を付与しうる繊維材料等である。また、装飾部3を着色するために、各種の着色材料(顔料)を付与することができる。
【0051】
マイクロカプセル6(図9ないし図11参照)の形状は特に限定せず、紡錘形状、略球形状、不定形状、円筒状等各種形態を取り得るが、マイクロカプセルの分散性及び意匠的効果の点から略球形状であることが好ましい。分散されるマイクロカプセル6の外径(最大外径寸法)は、互いにほぼ同じであってもよいが、2種以上の異なる外径を有することが好ましい。より好ましくは、多種類の外径を有している方が、装飾部3の表面に後述の織布調の模様と相俟って多様な意匠的効果を発現させるので望ましい。また、マイクロカプセル6の外径は、10μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは、50μm以上300μm以下である。
【0052】
マイクロカプセル6の外殻の材料は、基本的には、装飾部3の材料と異なる熱的性質を有することが必要となる。本実施形態では、ウェザーストリップW1 の装飾部3は、未加硫の粘土状ゴム材料を通常は50〜90°Cの温度で押し出して成形するので、マイクロカプセル6の外殻材料は装飾部3の材料の混練温度よりも高い軟化温度を備える材料であることが必要となる。例えば、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル系共重合体、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂である。マイクロカプセル6に内包されるガスは、特に限定しないが、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ブタン、イソブタン、イソペンタン等の低沸点炭化水素等とすることができる。また、液状ガスは、空気、二酸化炭素の他、窒素、アルゴン等の不活性ガスとすることもできる。
【0053】
装飾部3の材料内に混合して混練されるマイクロカプセル6は、熱可塑性で、加熱下で軟化して膨張可能となる熱膨張性の外殻を有し、所定の加熱温度で外殻が軟化すると共に内包される前記ガスが体積膨張し、これに追随し最終的に装飾部3の表面近くでは外側に向けて膨出したり、装飾部3の表面ではマイクロカプセル6の外殻が膨張の限度を超え破裂して、外側に向けて開口した凹部6a(図9ないし図11参照)を形成したりして、装飾部3の表面に微細な凹凸模様を形成する。本実施形態では、加硫途中のウェザーストリップW1 ’を加熱して、未加硫ゴムを加硫させる際の熱によりマイクロカプセル6の外殻が加熱されて軟化すると共に、上記のように膨張したり破裂したりする。即ち、未加硫ゴムより成る装飾部形成予定部3’を加熱する際に、加熱により装飾部形成予定部3’のムーニー粘度が加熱前よりも低下するときに、マイクロカプセルの外殻の少なくとも軟化と膨張を開始させ、周囲の材料からの包囲がない部分の外殻は内部のガスの増加した圧力によって破裂するのに十分な温度に加熱される。そして、装飾部形成予定部3’の未加硫ゴムが加硫を完了する前にマイクロカプセルの外殻の少なくとも軟化と膨張を終了させる。このため、本実施形態で好適なマイクロカプセル6としては、その外殻が軟化したり、又は溶融して破裂を起こすのに充分な破裂温度が後述のゴム押出成形型Fから押し出される装飾部形成予定部3’の材料M3の押出成形温度よりも高くて、加硫温度よりも低いことが必要となる(マイクロカプセル6の外殻は、装飾部形成予定部3’の押出時においては破裂せず、加熱による加硫処理時に破裂及び/又は膨張することが好ましい)。具体的には、マイクロカプセル6の外殻は120°C程度で軟化及び膨張し始め、その破裂温度は、150°C以上200°C以下であることが好ましい。なお、このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えば、エクスパンセルマイクロスフェアー(日本フィライト株式会社販売)、マツモトマイクロスフェアー(松本油脂株式会社販売)等を使用することができる。装飾部3の原料に対するマイクロカプセル6の配合比率は、好ましくは質量比で0.1質量%以上5質量%以下である。
【0054】
図1ないし図4に示されるように、ゴム押出成形型Fには、その前端にエンドプレート11が含まれ、前記エンドプレート11に成形途中のウェザーストリップW1’の横断面形状に対応した形状のオリフィス(押出開口)12が形成されている。ゴム押出成形型Fには、成形途中のウェザーストリップW1’の取付け部形成予定部1’、シール部形成予定部2’及び装飾部形成予定部3’をそれぞれ成形するための各材料を押し出すための材料押出機A1,A2 ,A3 がそれぞれ接続される(図1参照)。各材料はゴム押出成形型Fの異なる部分から内部の互いに分離された材料通路に供給されて、前記オリフィス12の上流側で各材料が合流してオリフィス12からウェザーストリップW1’が押し出される。取付け部形成予定部1’に埋設される芯金4は、芯金供給用アンコイラBから引き出された後に、芯金用ロール成形機Cにより略逆V字状の横断面形状にロール成形されてゴム押出成形型Fの内部に供給され、内部の芯金ガイド13によりガイドされて、成形型F内で取付け部形成予定部1’内に一体に埋設される。なお、図4において、M1,M3は、それぞれ取付け部形成予定部1’及び装飾部形成予定部3’を形成するための成形型F内部の材料を示し、シール部形成予定部2’を形成する材料は図示されていない。また、図3において、20は成形型の一部であって、シール部形成予定部2’を中空状に形成するために、前記オリフィス12内に配設された中芯型を示す。
【0055】
図5は、エンドプレート11のオリフィス12の押出成形面(流路の内壁面)14に押出方向(図5の紙面に垂直な方向)に沿って形成された型凸部15により装飾部形成予定部3’の表面に長手方向凹溝7が形成されることを示す模式的断面図(図4のY−Y線に沿った模式的断面図)である。図6は、横方向凹溝付与ローラRにより装飾部形成予定部3’の表面に横方向凹溝8が形成されることを示す模式的縦断面図である。図4及び図5に示されるように、ゴム押出成形型Fのエンドプレート11のオリフィス12における装飾部形成予定部3’の押出成形面14には、装飾部形成予定部3’の表面の全幅に亘って互いに平行であって、長手方向(押出方向)に沿った略V字型の長手方向凹溝7を形成するための複数本の横断面三角形状の型凸部15が形成されている。複数本の型凸部15の間隔と突出高さは、形成する複数本の長手方向凹溝7の間隔と深さ(後述)とに対応させてある。なお、ここでいう「平行」とは、二本の直線が互いに交差しない状態のみならず、二本の曲線が互いに交差しない状態も含む。
【0056】
ゴム押出成形型Fのオリフィス12の下流側には、押出直後の装飾部形成予定部3’の表面に横方向凹溝8を形成するための横方向凹溝付与ローラRが配設されている。ローラRは、ゴム押出成形型Fのオリフィス12から押し出される押出成形途中のウェザーストリップW1’の押出速度と同一周速度で矢印Eの方向に駆動回転されるのが好ましいが、アイドル状態の無駆動でウェザーストリップW1’の押出しに追随して回転するようにしてもよい。ローラRの表面の軸方向の断面形状は、装飾部形成予定部3’の表面形状に対応した緩やかな波形となっており、ローラRの外周面には、多数本のローラ凸部16が互いに平行となって軸方向に沿って形成されている。多数本のローラ凸部16の間隔及び突出高さは、前記型凸部15とほぼ同一である。なお、ローラ凸部16の間隔及び突出高さは、型凸部15と同一でなくてもよい。また、図2ないし図4に示されるように、横方向凹溝付与ローラRの直下には、該ローラRとの間で押出直後の装飾部形成予定部3’及び取付け部形成予定部1’の一部を挟持して、前記ローラRの押圧力を受け止めるための支持具17が配置されて前記エンドプレート11の前端面に複数本の固定ボルト18を介して固定されている。支持具17の上面17aの形状は、装飾部形成予定部3’の裏面にある取付け部形成予定部1’の下面(裏面)形状と同一であって、支持具17には、取付け部形成予定部1’の一部を挿通させるための挿通孔17bが形成されており、該挿通孔17bは、上方に向けて徐々に幅が狭くなった状態で開口している。
【0057】
なお、横方向凹溝付与ローラRは、図示しないスチールバネ等で支持具17側に付勢されて、所定圧力で装飾部形成予定部3’を押圧した状態で駆動回転されるために、装飾部形成予定部3’の表面に密着するが、図3においては図示の関係で、両者R,3’は離してある。また、長手方向凹溝7を形成するためにオリフィス12の押出成形面14は、形成する装飾部3の横断面形状に対応して緩やかな波形になっており、このような断面形状の押出成形面14の表面に複数本の型凸部15が突設されているが、図5においては、この状態を模式的に直線状に図示している。また、後述のように、装飾部形成予定部3’の表面に形成される長手方向及び横方向の各凹溝7,8、並びに各凹溝7,8を形成するための各型凸部15,15,15及びローラ凸部16,16,16の間隔は、0.1〜5mmであるが、図2、図3、図5、図6及び図15では、図示の関係で実際の間隔よりも大きな間隔で図示してある。
【0058】
次に、上記構成のゴム押出成形型Fを使用して、上記構成のウェザーストリップW1 の製造方法について説明する。図1ないし図4において、各材料押出機A1,A2,A3からそれぞれ異なる材料(即ち、装飾部形成予定部3’を形成するためマイクロカプセルと加硫剤と他の添加物とを混練したEPDM材料、取付部形成予定部1’を形成するためのカーボンブラックを20〜40質量%と加硫剤を混練したEPDM材料、及び所定の中空シール部を形成するためのカーボンブラックを20〜40質量%加え加硫剤と発泡剤とを混練したEPDM材料)がゴム押出成形型F内の相互に分離された異なる材料経路に供給されて、エンドプレート11の手前側(上流側)において、異なる3種類の各材料が合流してオリフィス12から押出成形途中のウェザーストリップW1’の形状となって押し出される。装飾部形成予定部3’は、加硫剤及び多数の微細な膨張性マイクロカプセル6を内部に混練した未加硫ゴム材料がオリフィス12から押し出され、取付け部形成予定部1’の表面に層状となって一体に形成される。そして、装飾部形成予定部3’を形成するゴム材料がオリフィス12から押し出される際には、図4及び図5に示されるように、オリフィス12の押出成形面14に形成された複数の型凸部15により、装飾部形成予定部3’の表面に互いに平行な複数本の略V字状の長手方向凹溝7が同時に形成された状態でオリフィス12から押し出される。本発明は、上記の長手方向凹溝7(又は後述する長手方向凸条9) だけを形成したウェザーストリップW1 ’を次の加硫工程に供給してもよいが、本実施形態では実物の織布により近づけた模様を形成するために、更に横方向凹溝付与ローラRによる横方向凹溝8を形成する例について説明する。
【0059】
成形途中のウェザーストリップW1 ’の装飾部形成予定部3’は、その表面に互いに平行な複数本の長手方向凹溝7が形成された状態でオリフィス12から押し出される。押出直後において前記装飾部形成予定部3’は、支持具17の上面17aと、その直上の横方向凹溝付与ローラRにより挟まれて、横方向凹溝付与ローラRの下方への押圧力により支持具17の上面17aに押圧される。横方向凹溝付与ローラRは、成形途中のウェザーストリップW1’の押出方向Qに押出速度と同一周速度で駆動回転されているため、装飾部形成予定部3’の表面には、既に形成されている複数本の長手方向凹溝7と交差して別の横方向凹溝8が幅方向に連続し、かつ長手方向に断続して形成される(図7)。これにより、図7に示されるように、先に形成された長手方向凹溝7、及び後に形成された横方向凹溝8は、いずれも他方の凹溝(一方が長手方向凹溝7のとき、他方は横方向凹溝8であり、一方が横方向凹溝8のとき、他方は長手方向凹溝7である)と交差して、単調な直線が長手方向と横方向に延び、長手方向及び横方向の各凹溝7,8によって四角形をした表面模様が長手方向及び横方向に双方に連続して形成されて、クロスに編んだ織布模様となって現出する。
【0060】
ここで、本実施形態では、図6と図8に示すように長手方向及び横方向の各凹溝7,8の形成ピッチP、幅S及び深さDは、いずれも同じである。なお、長手方向及び横方向の各凹溝7,8のピッチP、幅S及び深さDは、異なっていてもよい。各凹溝7,8の形成ピッチPは、0.1〜5mmの範囲であることが好ましい。各凹溝7,8の形成ピッチP、幅S及び深さDを上記範囲内に設定すると、完成したウェザーストリップW1 となったとき四角形をした表面模様が実際の織布により近い外観となって現出するために装飾性が高められる。各凹溝7,8の開口部の幅Sは、前記形成ピッチPよりも小さいのが好ましい。なお、図6において7aは、長手方向凹溝7の底部の線を示し、図8において8aは、横方向凹溝8の底部の線を示す。なお、上記の線7a,8aは深さを一致させることができる。これらの凹溝の深さは、装飾部の厚さ方向で装飾部の深さ内に留まっている(凹溝の深さが下地の取付け部のゴム部にまで達していない)ことが好ましい。
【0061】
装飾部形成予定部3’のゴム原料M3 内に混練されて分散しているそれぞれのマイクロカプセル6の外殻の破裂温度はゴム原料M3の押出成形温度(一般的には50〜90°C)よりは高いので、それぞれのマイクロカプセル6の外殻は装飾部形成予定部3’がゴム押出成形型Fから押し出される前後において軟化や破裂をしない。内包されたガスが膨張したときは、全体が多少膨張するか、又は膨張せずに未膨張の状態で、装飾部形成予定部3’を形成するゴム原料M3内に分散された状態となって、加熱式加硫槽G(図1参照)に送り込まれる。
【0062】
加熱式加硫槽G内においては、成形途中のウェザーストリップW1 ’の一部である装飾部形成予定部3’が最初に、又はウェザーストリップW1’の全体が高周波やマイクロ波或いは熱風等で加熱(一般的には、180〜230°Cの温度)されて、取付け部形成予定部1’、シール部形成予定部2’及び装飾部形成予定部3’の各未加硫ゴムがそれぞれ加熱されて加硫される。また、この加硫工程では、シール部形成予定部2’及び装飾部形成予定部3’はそれぞれ加硫接合により取付け部形成予定部1’と強固に接合一体化される。本実施形態では、加硫槽Gの加熱温度は、装飾部形成予定部3’の原料M3内に混練された各マイクロカプセル6の外殻の破裂温度と同等、又はそれよりも高く設定されているために、加硫時の熱により多数のマイクロカプセル6が膨張し、その一部、特に装飾部形成予定部3’の外表面又はその近傍の外殻が膨張の限度を超えて破裂する。図9は、表面に露出した多数のマイクロカプセル6と長手方向及び横方向の各凹溝7,8との関係を主体に示す装飾部形成予定部3’の部分拡大平面図であり、図10は、装飾部の断面説明図であり、図11は、マイクロカプセル6の膨張破裂と膨張突出とを主体に示す装飾部形成予定部3’の模式的な部分拡大断面図である。図9ないし図11に示されるように、装飾部形成予定部3’の表面の近傍にある又は表面に露出したマイクロカプセル6は、加熱により外殻が軟化し、限度を超えたものが膨張破裂されて外殻の多数の凹部6aが外側に露出したり、或いは表面近くの内部で外殻が膨張されたマイクロカプセル6が外側に膨張突出して多数の膨張突出部6bを形成する。本実施形態においては、装飾部形成予定部3’が加硫される前に、長手方向及び横方向の各凹溝7,8が互いに交差して形成されていて、各凹溝7,8の部分においても、上記した外殻の凹部6aの露出、及び膨張突出部6bの発生が不規則的に起こる。マイクロカプセルの膨張と共に装飾部形成予定部3’を体積膨張させ、凹溝の幅を小さくさせると共に、上記した外殻の凹部6a、膨張突出部6bによって、各凹溝7,8が途中で途切れたり、変形したりして、織布により近い模様となる。本実施形態では、加熱式の加硫槽Gを使用することにより、装飾部形成予定部3’を形成するゴム原料内に混練されている多数のマイクロカプセル6を加硫時の熱により膨張や破裂させている点に製法上の特徴が存在する。
【0063】
なお、加硫処理後には、図1に示されるように、表面塗装機Hを通過する際にウェザーストリップW1 ’の装飾部形成予定部3’の耐候性、耐磨耗性等を向上させる目的で液状シリコーン樹脂等のクリアーな、又は着色クリアーな塗装がスプレー塗装により施されて、図12に示す表面改質層3aが形成される。そして、表面改質層3aは乾燥機Jにより焼き付けられ又は乾燥される。その後、ウェザーストリップW1’は冷却機Kにより冷却される。冷却後に図13に示されるように、図示しない芯金曲げ機(又は異形断面成形機)Lにより取付け部形成予定部1’に埋設された拡開逆V字状の芯金4が逆U字状に折り曲げられて、最終製品のウェザーストリップW1が製造される。なお、図1において、Nは、長尺状をした成形途中のウェザーストリップW1’に引張力を加えて引き取るための引取り機を示す。前記説明に用いた図7,図9,図11における「T」は、装飾部3(装飾部形成予定部3’)の幅方向を示し、他の図においても同様である。
【0064】
上記各工程を経て形成されたウェザーストリップW1 の装飾部3の表面には、図9に示されるように、長手方向及び横方向の各凹溝7,8が互いに交差し、その交差部及びマイクロカプセル6の破裂により発生した凹部6aや表面に膨張突出した膨張突出部6bにより各凹溝7,8が部分的に途切れたり、変形されたりして織布調の四角形模様が縦横に連続して多数形成されている。装飾部形成予定部3’の表面には、前記した織布調の四角形模様に加えて、マイクロカプセル6の膨張破裂、或いは膨張突出により凹凸模様が形成されて粗面化されており、織布調の四角形模様と凹凸模様とが相俟って、実際の織布に近い外観を呈していて装飾性が高められる。また、表面が織布に近い外観を呈する装飾部3は取付け部1に層状となって取付け部1と加硫接合により一体に形成されている。
【0065】
また、上記実施形態は、装飾部3の表面に長手方向及び横方向の各凹溝7,8を互いに交差させて形成した例であるが、図14に示されるように、ゴム押出成形型Fのオリフィス12の押出成形面(ゴム材料の通過流路内壁面)14に複数本の凹み21を形成して、ウェザーストリップW1 の装飾部形成予定部3’の表面に長手方向凸条9を形成すると共に、押出直後で加硫前に、外周面に軸方向に沿った凸条を形成した横方向凹溝付与ローラ(いずれも図示せず)により前記長手方向凸条9と交差させて横方向凹溝を形成することにより、装飾部3の表面を織布調の外観にすることも可能である。また、装飾部3(装飾部形成予定部3’)の表面に形成される凸条(凹溝)の横断面形状は、三角形状(V字状)のものに限られず、四角形状、半円形状等であってもよく、前記凸条(凹溝)は直線状でも曲線状に形成されていてもよく、その間隔も一定のものに限られず、規則的、或いは不規則的に変化させてもよい。これらの各凸条のピッチ、幅、高さの最適な設定範囲も凹溝の場合と同様である(各凸条の高さは0.1〜2mmの範囲が好ましい)。
【0066】
また、図15に示される実施形態は、ゴム押出成形型FからウェザーストリップW1 ’を押し出した後に、ローラを用いてその装飾部形成予定部3’の表面に長手方向及び横方向の各凹溝を同時に形成する状態を示している。本実施形態では、凹溝付与ローラR’には、周方向と横方向(軸方向)の各ローラ凸部22,23が非直線状の波形をなし、かつそれぞれ交差して形成されており、押出直後の装飾部形成予定部3’の表面に凹溝付与ローラR’を押し付けることにより、装飾部形成予定部3’の表面には、波形の長手方向及び横方向の各凹溝27,28が互いに交差して形成される。各凹溝27,28は、いずれも隣接するもの同士が一定間隔を保った曲線で構成されているため、各凹溝27,28が囲まれて形成される模様も曲線で構成される四角形状となる(図16参照)。なお、図15において、17’は、支持具を示す。また、直線状の長手方向凹溝(凸条)と曲線状の横方向凹溝を組み合わせる等して、表面に一層現実の織布に近い模様を形成することも可能である。また、長手方向凹溝(凸条)の間隔は一定のものに限られない。また、ローラ凸部22,23の突出高さも同一のものに限られず不規則であってもよい。長手方向凹溝(凸条)と横方向凹溝のいずれか一方だけを形成することも可能である。
【0067】
また、上記ドアオープニングトリムとしてのウェザーストリップW1 は、取付け部1の一部の表面のみに装飾部3を一体に形成して、前記装飾部3が実際の織布に近い外観を呈することにより装飾性を高めた例であるが、図17に示されるドアオープニングトリムとしてのウェザーストリップW2は、上記した成形方法によってドアパネル(図示せず)が閉じたときにドアパネルの裏面に弾接して車室内に水等が浸入するのを防止するスポンジゴム製の中空シール部2の表面にも装飾部3を一体に形成した例である。即ち、ウェザーストリップW2の取付け部1の一部の表面と中空シール部2の車外側に臨む全表面と前記取付け部1の一端部のリップ部1aの車外側表面とに装飾部3が連続して一体に形成されている。これによりドアが開いた際にウェザーストリップW2の中空シール部2の表面側が車体の本体開口の周縁部に露出するが、中空シール部2の表面全体に一体に形成された装飾部3によってウェザーストリップW2の車外側の部分が実際の織布に近い模様となって装飾される。なお、図17において、図13と同一部分には同一符号を付してある。
【0068】
また、図18は、本発明を実施したトランクルームシール(ウェザーストリップ)W3 の横断面図である。トランクルームシールW3 は、トランクルームのパネルの立上りフランジ部51に取付けられる断面略U字状をしたソリッドゴム製の取付け部31と、前記取付け部31の反開口側の部分に一体に形成されて、トランクルームのリッド(いずれも図示せず)が閉じたときに前記リッドの裏面と弾接してトランクルーム内に水等が浸入するのを防止するスポンジゴム製の中空シール部32と、前記取付け部31の車内側の側面に一体に形成されて、カーペット52等のトランクルーム内の装備品の端末部に弾接して前記端末部を遮蔽するためのソリッドゴム製の遮蔽リップ33と、前記取付け部31の車外側に一体に形成されて、トランクルームの車外側パネル53に弾接して取付け部31の端部と車外側パネル53との隙間54をシールするスポンジゴム製の第1シールリップ34とを備えている。断面略U字状をした取付け部31の内周面には、前記立上りフランジ部51を両側から挟持してトランクルームシールW3を前記立上りフランジ部51に保持可能とする複数の保持リップ35が互いに対向して一体に形成されている。取付け部31の車外側の端部には、前記車外側パネル53の湾曲部に弾接する第2シールリップ36が一体に形成され、更に複数の前記保持リップ35のうち車外側に配置されるものであって、しかも車外側パネル53に最も近い保持リップ35は、前記立上りフランジ部51に弾接する表面部分が残りの部分よりも軟質の材質で形成されてシール作用を果たす第3シールリップ37としても機能している。前記トランクルームシールW3の材質に関しては、取付け部31,遮蔽リップ33の一部及び保持リップ35は加硫済EPDMにより形成されることが好ましく、シール部分は前記加硫済ゴムよりも軟質で、弾性変形に優れたゴム材料(例えば加硫済スポンジゴム)で形成されることが好ましい。なお、図18において38は取付け部31内に埋設されて、これを補強している金属薄板からなる芯金を示し、55は、トランクルームの内側パネルを示す。
【0069】
また、トランクルームシールW3 は、ゴム押出成形型により押出成形される際に上記成形方法によって、遮蔽リップ33の全域と取付け部31の一部との間の表面に装飾部39が連続して一体に形成されている。装飾部39が実際の織布に近い外観を呈する理由は上述の通りであって、トランクルームのリッドを開いてトランクルームが開口した際に、トランクルーム内の装備品の端末部と連続していて、最も視界に入り易い遮蔽リップ33及びこれに連続する取付け部31に至る部分の表面が装飾部39により実際の織布調に装飾されているため、トランクルームシールW3の外観が大幅に高められる。
【0070】
なお、上記トランクルームシールW3 において、中空シール部32や取付け部31の車外側の表面にも装飾部を一体に形成すると、トランクルームのリッドを開いた際のトランクルームシールW3の装飾性が一層高められる。また、装飾面を保護することが好ましい場合は、透明トップコート塗布装置を配置して、装飾部の全面に耐磨耗性、耐候性、耐水性に富むフッ素変性ウレタン樹脂系やアクリル樹脂系又はシリコーン樹脂系の透明トップコート(改質層の被膜)を被覆するようにすればよい。ここで、透明とは、無色透明に限られず、着色(有色)透明も含むものである。このような改質層を被覆すると、表面の耐磨耗性、耐候性、耐水性及び耐傷付け性等が向上する。
図19は、ウェザーストリップの変形例を示す。ここでは、横方向凹溝付与ローラRによって、横方向凹溝8のみが装飾部形成予定部3’の表面に形成される。この構成によっても、織布に近い外観が提供される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、織布調の外観を呈する装飾部を備えた長尺装飾部材、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記した長尺装飾部材としては、自動車等の車両の開閉ドア開口縁に沿って取付けられ、車両の内部に雨水等が浸入するのを防止するウェザーストリップ等のトリム材が挙げられる。上記以外の長尺装飾部材の例としては、建物の一つの壁パネル及び隣接する壁パネル間の目地に挿入して目地を閉塞する長尺の目地材が挙げられる。このようなウェザーストリップや目地材等の装飾部材は、通常はカーボンブラックを混合して混練した黒色ゴムの押出成形で長尺に形成され、所定の長さに切断して製造される。
【0003】
上記したトリム材のうちウェザーストリップにおいては、嗜好の多様化に伴い目視される部分(装飾部)では前記ゴムが呈する黒色以外の色、特に車両の内装材の色とパターンの両方に整合(調和)した色とパターンを呈するものが求められている。このような需要に対応するために、前記した黒色の装飾部の表面に非黒色の色を呈する実際の布を貼着することが行われているが、布はコストが高いだけでなく貼着に適した接着剤の選択に制限があるばかりでなく、貼着工程では複雑でかつ煩雑な管理を必要とするので装飾部材の製造コストを上昇させる。上記の問題を解決するために、本出願人は容易に製造できるトリム材とその製法を提案した(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、特許文献1の発明は、課題に対して優れた効果を呈するものの、需要者の要求性能の高度化に伴って、更に実際の織布に似た外観を呈する装飾部材が求められることとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−146087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特開2002−146087号公報に開示の発明の延長線上にたって、更に実際の織布に近い外観を呈する装飾部材、及びその製造方法の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の側面は、長尺装飾部材であって、被取付体に取付けられる取付け部と、前記取付け部の表面に一体的に形成された加硫済ゴムから成る装飾部と、を備え、前記装飾部は、該装飾部の内部で熱膨張した多数のマイクロカプセルと、該装飾部の表面又は表面の近くでマイクロカプセルが破裂して外側に向けて開口した多数の凹部と、前記表面の近くで膨張したマイクロカプセルが外側に向けて膨出して構成された多数の突出部とにより粗面化された表面を有し、前記装飾部の表面には、長手方向及び長手方向と交差する横方向の少なくともいずれかに沿って延びた複数本の凸条と、前記長手方向及び前記横方向の少なくともいずれかに沿って延びた複数本の凹溝と、の少なくともいずれかが形成されており、前記凸条の外面及び前記凹溝の内面の少なくともいずれかに、多数の前記凹部及び前記突出部が不規則な位置に形成されている、押出成形により成形された長尺装飾部材を提供する。
本発明の第2の側面によれば、前記第1の側面において、前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかは、前記凹部及び前記突出部の少なくともいずれかにより、延びる方向の不規則な位置で途切れ部及び変形部の少なくともいずれかが形成される。
【0008】
加硫済ゴムで形成された装飾部の表面は、内部で熱膨張した多数の微細なマイクロカプセルと、表面又は表面の近傍に存在するマイクロカプセルの破裂によって形成された凹部と、表面に存在するマイクロカプセルの膨出によって形成された突出部との絡み合いにより不規則に粗面化されて、装飾部は実際の織布に近い外観を呈する。このようにして粗面化された装飾部の表面には、長手方向又は横方向に沿って延びるように形成された複数本の長手方向又は横方向の凸条及び/又は長手方向又は横方向の凹溝が形成されている。この長手方向又は横方向凸条及び/又は長手方向又は横方向の凹溝は、装飾部の表面を粗面化している前記凹部及び/又は突出部との干渉により途切れたり、変形されたりして長手方向又は横方向凸条及び/又は長手方向又は横方向の凹溝の単調な直線性が変化して微小起伏を有する表面模様が形成される。これにより、装飾部の表面は、実際の織布に一層近い外観を呈し装飾性が高められる。更に、表面が織布に近い外観を呈する装飾部は取付け部に一体に形成されている。
【0009】
また、本発明の第3の側面によれば、前記第1又は第2の側面において、装飾部の表面には、長手方向に延びる凸条及び凹溝の少なくともいずれかと、横方向に延びる凸条及び凹溝の少なくともいずれかと、が形成される。
【0010】
この第3の側面によれば、前記第1又は第2の側面の作用効果に加えて、以下の効果および作用を有する。横方向凸条及び/又は横方向凹溝が形成されて長手方向凸条及び/又は長手方向凹溝と交差することにより、四角形模様が長手方向及び/又は幅方向に連続形成されて、クロスに編んだ織布状の模様となって現出し、表面の装飾性が一層高められる。
【0011】
また、本発明の第4の側面によれば、前記第1〜第3のいずれかの側面において、複数本の長手方向凸条及び/又は複数本の長手方向凹溝が、その間隔が0.1〜5mmの範囲で形成される。
【0012】
この第4の側面によれば、前記第1〜第3の側面の上記作用効果に加えて、以下の効果および作用を有する。長手方向凸条及び/又は長手方向凹溝の間隔が上記範囲内であると、実際の織布により近い外観となって装飾性が高められる。
【0013】
また、本発明の第5の側面によれば、前記第1〜第4のいずれかの側面において、複数本の長手方向凸条又は複数本の長手方向凹溝は複数本の長手方向凸条の突出高さ又は複数本の長手方向凹溝の深さが、0.1〜2mmの範囲で形成される。
【0014】
この第5の側面によれば、前記第1〜第4のいずれかの側面の作用効果に加えて、以下の効果および作用を有する。長手方向凸条の突出高さ又は長手方向凹溝の深さが上記範囲内であると、実際の織布により近い外観となって装飾性が高められる。
【0015】
また、本発明の第6の側面によれば、前記第1〜第5のいずれかの側面において、複数本の横方向凸条又は横方向凹溝が、その間隔が0.1〜5mmの範囲で形成される。この第6の側面によれば、横方向凸条又は横方向凹溝の間隔を上記範囲内に定めることにより、装飾部の表面が実際の織布の外観に一層近くなって装飾性が更に高められる。
【0016】
また、本発明の第7の側面によれば、前記第1〜第6のいずれかの側面において、複数本の横方向凸条又は複数本の横方向凹溝は複数本の横方向凸条の突出高さ又は複数本の横方向凹溝の深さが、0.1〜2mmの範囲で形成される。この第7の側面によれば、長手方向凸条の突出高さ及び/又は長手方向凹溝の存在に加えて、横方向凸条の突出高さ又は横方向凹溝の深さを上記範囲内に定めることにより、装飾部の表面が実際の織布の外観に一層近くなって装飾性が更に高められる。
【0017】
また、本発明の第8の側面によれば、前記第1〜第7のいずれかの側面において、装飾部は、取付け部の表面に層状に形成されるため、装飾部を薄く形成できて押出成形が容易である。
【0018】
また、本発明の第9の側面によれば、前記第1〜第8のいずれかの側面において、装飾部の凹溝の深さは、装飾部の厚さの範囲内に留まっている。このため、取付け部の地色が露出せず、装飾部の全域に亘って実際の織布に近い外観を呈することができる。
【0019】
また、本発明の第10の側面によれば、前記第1〜第9のいずれかの側面において、装飾部の凹溝はV字状の横断面である。このため、装飾部の表面において凹溝の視認性が高く、装飾部の表面外観を実際の織布に近づけられる。
【0020】
また、本発明の第11の側面によれば、前記第1〜第10のいずれかの側面において、装飾部は取付け部と異色を呈する。このため、装飾部の色を取付け部の地色とは無関係に最適な色にすることができる。
【0021】
また、本発明の第12の側面によれば、前記第11の側面において、装飾部は取付け部よりも淡色を呈する。このため、凹溝及び突条が明瞭に視認される。
【0022】
また、本発明の第13の側面によれば、前記第1〜第12のいずれかの側面において、装飾部の凸条及び/又は凹溝は、ほぼ直線状に形成される。このため、凸条及び/又は凹溝の形状を実際の織布のものと近い形状にできる。
【0023】
また、本発明の第14の側面によれば、前記第1〜第12のいずれかの側面において、装飾部の凸条及び/又は凹溝は、それぞれ曲線状に形成される。このため、装飾部の表面に実際の織布よりも更に特色を有する表面模様を形成することができる。
【0024】
また、本発明の第15の側面によれば、前記第1〜第14のいずれかの側面において、装飾部の表面には、耐磨耗性と耐候性のうち少なくとも一つを向上させる表面改質層が形成される。このため、長期間使用しても装飾部の表面を実際の織布に近い外観に維持できる。
【0025】
また、本発明の第16の側面によれば、前記第15の側面において、表面改質層は装飾部の表面を透視可能な透明な層である。このため、装飾部の表面を長期間に亘って実際の織布に近い外観に維持できるのに加えて、装飾部の表面色をほぼそのまま認識させられる。
【0026】
また、本発明の第17の側面によれば、前記第15又は16の側面において、改質層はシリコーン樹脂の被膜である。このため、前記第15又は第16の側面の発明の作用効果に加えて、耐磨耗性や耐候性が更に向上する。
【0027】
また、本発明の第18の側面によれば、前記第1〜第17のいずれかの側面において、長尺装飾部材は車両のウェザーストリップである。ウェザーストリップは外部に露出した状態で車両の所定部分に装着されるので、その取付け部の表面に装飾部を一体に形成することにより、装飾効果が高められる。
【0028】
また、本発明の第19の側面によれば、前記第18の側面において、ウェザーストリップはドアオープニングトリムである。ドアオープニングトリムは、車両の本体開口周縁に沿って装着されてドアを開く毎に露出するため、その取付け部の表面に装飾部を一体に形成することにより装飾性が高められる。
【0029】
また、本発明の第20の側面によれば、前記第19の側面におけるドアオープニングトリムが遮蔽リップを有し、該遮蔽リップ表面及び/又は取付け部車内側表面に前記装飾部が一体に形成される。
【0030】
また、本発明の第21の側面は、前記第18の側面において、ウェザーストリップは中空シール部を有し、この中空シール部の表面に装飾部が一体的に形成される。ドアオープニングトリムの中空シール部は、ドアを開く毎にほぼその全体が外側から認識されるため、中空シール部の表面に装飾部を一体に形成すると、ドアを開いた際のドアオープニングトリムの装飾性が高められる。
【0031】
また、本発明の第22の側面によれば、前記第18の側面において、ウェザーストリップはトランクシールトリムである。トランクシールトリムは、トランクルームのリッドを開く毎にほぼその全体が露出するために、中空シール部の表面に装飾部を一体に形成すると、トランクルームのリッドを開いた際のトランクシールの部分の外観が高められる。
【0032】
また、本発明の第23の側面によれば、前記第22の側面において、トランクシールトリムは遮蔽リップを有し、遮蔽リップ表面及び/又は取付け部車内側の表面に装飾部が一体に形成される。トランクシールトリムの遮蔽リップはトランクルーム内のカーペットのように装備品の端末部を遮蔽するものであるため、遮蔽リップ及び/又は取付け部車内側の表面に装飾部を一体に形成すると、トランクルーム内のトランクシールトリムから装備品にかけて装飾性が高められる。
また、本発明の第24の側面によれば、前記18〜前記23の側面において、ウェザーストリップが更に芯金を備えている。
【0033】
また、本発明の第25の側面は、被取付体に取付けられる取付け部と、前記取付け部の表面に一体的に形成された加硫済ゴムから成る装飾部とを備えた長尺装飾部材の製造方法であって、前記長尺装飾部材の横断面形状に対応したオリフィスを備えたゴム押出成形型から、加硫剤を混練した未加硫ゴムから成る取付け部形成予定部と、加硫剤及び多数の微細な熱膨張性マイクロカプセルを混練した未加硫ゴムから成る装飾部形成予定部とを押し出す工程と、前記装飾部形成予定部の表面に互いに平行である複数本の凸条及び互いに平行である複数本の凹溝の少なくともいずれかを形成する工程と、前記装飾部形成予定部を加熱して、その表面又は表面近くの前記マイクロカプセルの少なくとも一部を限度を超えて膨張させて破裂させ、前記凸条の外面及び前記凹溝の内面の少なくともいずれかの不規則な位置に、外側に開口する多数の凹部を形成すると共に、前記装飾部形成予定部を加熱して、その表面又は表面近くの前記マイクロカプセルの少なくとも一部を膨張させ、前記凸条の外面及び前記凹溝の内面並びに前記凸条の外面の近く及び前記凹溝の内面の近くの少なくともいずれかの不規則な位置に、外側に向けて膨出する多数の突出部を形成する工程と、前記装飾部形成予定部の前記加熱により、前記装飾部形成予定部及び前記取付け部形成予定部の未加硫ゴムを加硫させてゴム状弾性を有する加硫済ゴムに変化させる工程と、を含む長尺装飾部材の製造方法を提供する。
【0034】
また、本発明の第26の側面は、第25の側面において、前記凹部及び前記突出部を形成する工程において、前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかには、前記凹部及び前記突出部が形成されることにより、延びる方向の不規則な位置で途切れ部及び変形部の少なくともいずれかが形成される。
【0035】
また、本発明の第27の側面は、第25又は第26の側面において、前記押し出す工程は、前記オリフィスにおける装飾部押出部位の内面に形成された凹み及び凸部の少なくともいずれかを有するゴム押出成形型を用い、押し出すと同時に長手方向に連続して延びる前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかを形成する工程を含む。
【0036】
この第27の側面によれば、ゴム押出成形型のオリフィスの装飾部形成部位から装飾部形成予定部が押し出される工程において、押出成形型の前記装飾部形成部位の内面に形成された前記凸部及び/又は凹みにより、装飾部形成予定部の表面に長手方向に連続する複数本の長手方向凹溝及び/又は長手方向凸条が形成される。また、装飾部形成予定部を加熱する工程において、膨張、破裂により、装飾部形成予定部の表面に多数の凹部及び/又は突出部が形成され、マイクロカプセルの膨張突出は表層で行われる。これらの凹部及び/又は突出部が前記長手方向凹溝及び/又は長手方向凸条を途切れさせ及び/又は変形させる。このため、実際の織布に近い外観を呈する装飾部を備えた長尺装飾部材を、その押出成形から連続して簡単に形成できる。
【0037】
また、本発明の第28の側面は、第27の側面において、前記押し出す工程の後に、長手方向と交差する横方向に横方向凸条及び横方向凹溝の少なくともいずれかを形成し、それによって前記長手方向と前記横方向の凸条及び前記長手方向と前記横方向の凹溝の少なくともいずれかでそれぞれ囲まれた多数の四角形で構成された模様を形成する工程を更に含む。
【0038】
この第28の側面によれば、第27の側面の作用効果に加えて、以下の効果および作用を有する。装飾部の表面には、途中で途切れたり、変形されたりした長手方向凸条及び/又は凹溝を主体とする模様に加えて、多数の四角形模様が連続して形成されるため、本物の織布と遜色のない外観を呈する装飾部材を簡単に形成できる。
【0039】
また、本発明の第29の側面は、第25又は第26の側面において、前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかを形成する工程は、前記押し出す工程の後に実施され、長手方向に連続して延びる長手方向凸条及び長手方向凹溝並びに前記長手方向と交差する横方向に形成される横方向凸条及び横方向凹溝の少なくともいずれかを形成する工程である。
【0040】
この第29の側面では、装飾部形成予定部の表面に長手方向に連続する複数本の長手方向凸条及び/又は凹溝を形成する工程を、装飾部形成予定部がゴム押出成形型から押し出された後において行うことができるので、長手方向と交差方向に延びる凸条及び/又は凹溝を自由に形成することができる。
【0041】
また、本発明の第30の側面によれば、前記第25〜第29のいずれかの側面において、装飾部形成予定部を加熱する際、マイクロカプセルの外殻が軟化して内部のガスの圧力によって破裂するのに十分な温度に加熱すると共に前記加熱により未加硫ゴムを加硫する。この第30の側面によれば、未加硫ゴムを加硫時において外部に圧力が作用しない最適な状態でマイクロカプセルが破裂するために、装飾部を形成する未加硫ゴムの加硫と同時に装飾部の表面にマイクロカプセルの破裂による最適な凹凸模様を形成できる。
【0042】
また、本発明の第31の側面によれば、前記第30の側面において、装飾部形成予定部の未加硫ゴムが加硫を完了する前にマイクロカプセルの外殻の少なくとも軟化と膨張を終了させる。このため、装飾部形成予定部の表面にマイクロカプセルの破裂による凹凸模様が形成された後に加硫されるため、マイクロカプセルの膨張と破裂が制限又は防止されない。
【0043】
また、本発明の第32の側面によれば、前記第30又は第31の側面において、未加硫ゴムから成る装飾部形成予定部を加熱する際、加熱により装飾部形成予定部のムーニー粘度が加熱前よりも低下するときに、マイクロカプセルの外殻の少なくとも軟化と膨張を開始させる。したがって、マイクロカプセルの膨張が行われ易くなるため、最終的にマイクロカプセルによる凹凸模様が形成され易くなる。
【0044】
また、本発明の第33の側面によれば、前記第25〜第32のいずれかの側面において、表面にそれぞれ所定幅の凹溝を形成した装飾部形成予定部を加熱して、マイクロカプセルの膨張と共に装飾部形成予定部を体積膨張させ、前記凹溝の幅を加熱前よりも小さくさせる。このため、最終的に装飾部の表面に形成される凹溝の幅が実際の織布に近い程度に狭くできる。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係る長尺装飾部材は、装飾部に形成される長手方向凸条及び/又は長手方向凹溝と、装飾部を形成する原料内に混練(分散)させたマイクロカプセルの膨張破裂により装飾部の表面に形成される凹凸模様(粗面模様)とが相俟って、実物の織布と遜色ない外観が呈せられるために装飾性が大幅に高められる。
【0046】
本発明に係る長尺装飾部材の製造方法によれば、オリフィスにおける押出成形部位(押出型の流路内面)に形成された凸部及び/又は凹みが形成されたゴム押出成形型と周面に凸部及び/又は凹みが形成されたローラを単独で、又は併用し、装飾部を形成する原料内に予めマイクロカプセルを混練(分散)しておいて、前記オリフィスから押し出して加硫することにより、装飾部の表面が織布調となった長尺装飾部材を簡単に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を実施するためのゴム押出成形型を含む製造装置の模式的平面配置図である。
【図2】ゴム押出成形型の出口側の斜視図である。
【図3】ゴム押出成形型の下流側から見た正面図である。
【図4】図3のX−X線断面図である。
【図5】押出成形型のエンドプレートのオリフィスの押出成形面(流路内壁面)に押出方向(図5の紙面に垂直な方向)に沿って形成された型凸部により装飾部形成予定部の表面に長手方向凹溝が形成されることを示す模式的断面図(図4のY−Y線に沿った模式的断面図)である。
【図6】横方向凹溝付与ローラにより装飾部形成予定部の表面に横方向凹溝が形成されることを示す模式的縦断面図である。
【図7】ウェザーストリップの装飾部形成予定部の部分拡大平面図である。
【図8】図7のZ−Z線断面図である。
【図9】表面に露出した多数のマイクロカプセルと長手方向及び横方向の各凹溝との関係を主体に示す装飾部の部分拡大平面図である。
【図10】装飾部の断面図である。
【図11】マイクロカプセルの膨張破裂と膨張突出とを主体に示すウェザーストリップの装飾部の模式的拡大断面図である。
【図12】ウェザーストリップの取付け部折曲げ前の横断面図である。
【図13】ウェザーストリップの取付け部折曲げ後の横断面図である。
【図14】押出成形型のウェザーストリップのオリフィスの押出成形面(流路内壁面)に複数本の凹溝を形成して、ウェザーストリップの装飾部に長手方向凸条が形成されることを示す模式的断面図である。
【図15】凹溝付与ローラを使用して、ゴム押出成形型からウェザーストリップを押し出した後に、その装飾部形成予定部の表面に長手方向及び横方向の各曲線状の凹溝を同時に形成する状態を示す正面図である。
【図16】凹溝付与ローラにより長手方向及び横方向に曲線状のそれぞれの凹溝が形成されたウェザーストリップの装飾部形成予定部の部分拡大平面図である。
【図17】ドアオープニングとしてのウェザーストリップの横断面図である。
【図18】本発明を実施したトランクルームシール(ウェザーストリップ)の横断面図である。
【図19】ゴム押出成形型の変形例の出口側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明を実施するための最良形態、及び他の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明を実施するためのゴム押出成形型Fを含む製造装置の模式的平面配置図であり、図2は、ゴム押出成形型Fの出口側の斜視図であり、図3は、同じく下流側から見た正面図であり、図4は、図3のX−X線断面図である。最初に、ウェザーストリップW1 について説明し、次にウェザーストリップW1 を製造する装置と製造方法について説明する。なお、ウェザーストリップW1の取付け部1、シール部2及び装飾部3に関しては、その製造方法について説明する場合、成形途中のウェザーストリップW1’の各部分として、「取付け部形成予定部1’」、「シール部形成予定部2’」及び「装飾部形成予定部3’」の用語を使用することがある。
【0049】
図13に示されるように、完成品としてのウェザーストリップW1 は、自動車の車体のドア開口の周縁部に沿って装着されドア開口とドアとの間をシールするドアオープニングトリムであって、横断面がU字状の取付け部1に中空状のシール部2が一体に形成され、更に前記取付け部1の表面に装飾部3が層状に形成された長尺体である。取付け部1には、金属薄板から成る補強用の芯金4が埋設され、取付け部1の対向内面には、それぞれ被取付体(図示せず)のフランジを挟持する複数の挟持リップ5が突設されている。取付け部1は、カーボンブラックを20〜40質量%混合して混練した加硫済EPDM(エチレンプロピレンジエン共重合体)により成形されることが好ましく、中空シール部2は、取付け部1の前記加硫済EPDMよりも軟質で、弾性変形に優れたゴム材料(例えばカーボンブラックを20〜40質量%〔発泡前〕混練したスポンジEPDM)で成形されることが好ましい。装飾部3は、加硫剤及び多数の微細な膨張性マイクロカプセル6を内部に混合して混練した未加硫状態のゴムで押し出された後に加硫処理されている。そして、完成品のウェザーストリップW1の装飾部3は、膨張した多数のマイクロカプセルと表面で膨張した後に破裂した多数のマイクロカプセルを含んでいる。
【0050】
装飾部3を形成するゴムとしては、装飾部3の装飾性を高める観点から前記取付け部の色と異なる色のEPDM、CSM、CPE、シリコーンゴムが好ましく、取付け部よりも淡色を呈することが特に好ましく、又車両内装色と調和する色彩であることが特に好ましい。装飾部3のゴム材料には、装飾性を考慮して各種の材料を含むことができる。例えば、装飾部3に所望の色を付与する粒子状体や薄片状体や、金属調外観を付与しうる粒子状あるいは薄片状メタリック材料、砂地調あるいはモルタル調外観を付与しうる粒子状あるいは薄片状の無機質系材料、繊維質状外観を付与しうる繊維材料等である。また、装飾部3を着色するために、各種の着色材料(顔料)を付与することができる。
【0051】
マイクロカプセル6(図9ないし図11参照)の形状は特に限定せず、紡錘形状、略球形状、不定形状、円筒状等各種形態を取り得るが、マイクロカプセルの分散性及び意匠的効果の点から略球形状であることが好ましい。分散されるマイクロカプセル6の外径(最大外径寸法)は、互いにほぼ同じであってもよいが、2種以上の異なる外径を有することが好ましい。より好ましくは、多種類の外径を有している方が、装飾部3の表面に後述の織布調の模様と相俟って多様な意匠的効果を発現させるので望ましい。また、マイクロカプセル6の外径は、10μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは、50μm以上300μm以下である。
【0052】
マイクロカプセル6の外殻の材料は、基本的には、装飾部3の材料と異なる熱的性質を有することが必要となる。本実施形態では、ウェザーストリップW1 の装飾部3は、未加硫の粘土状ゴム材料を通常は50〜90°Cの温度で押し出して成形するので、マイクロカプセル6の外殻材料は装飾部3の材料の混練温度よりも高い軟化温度を備える材料であることが必要となる。例えば、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル系共重合体、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂である。マイクロカプセル6に内包されるガスは、特に限定しないが、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ブタン、イソブタン、イソペンタン等の低沸点炭化水素等とすることができる。また、液状ガスは、空気、二酸化炭素の他、窒素、アルゴン等の不活性ガスとすることもできる。
【0053】
装飾部3の材料内に混合して混練されるマイクロカプセル6は、熱可塑性で、加熱下で軟化して膨張可能となる熱膨張性の外殻を有し、所定の加熱温度で外殻が軟化すると共に内包される前記ガスが体積膨張し、これに追随し最終的に装飾部3の表面近くでは外側に向けて膨出したり、装飾部3の表面ではマイクロカプセル6の外殻が膨張の限度を超え破裂して、外側に向けて開口した凹部6a(図9ないし図11参照)を形成したりして、装飾部3の表面に微細な凹凸模様を形成する。本実施形態では、加硫途中のウェザーストリップW1 ’を加熱して、未加硫ゴムを加硫させる際の熱によりマイクロカプセル6の外殻が加熱されて軟化すると共に、上記のように膨張したり破裂したりする。即ち、未加硫ゴムより成る装飾部形成予定部3’を加熱する際に、加熱により装飾部形成予定部3’のムーニー粘度が加熱前よりも低下するときに、マイクロカプセルの外殻の少なくとも軟化と膨張を開始させ、周囲の材料からの包囲がない部分の外殻は内部のガスの増加した圧力によって破裂するのに十分な温度に加熱される。そして、装飾部形成予定部3’の未加硫ゴムが加硫を完了する前にマイクロカプセルの外殻の少なくとも軟化と膨張を終了させる。このため、本実施形態で好適なマイクロカプセル6としては、その外殻が軟化したり、又は溶融して破裂を起こすのに充分な破裂温度が後述のゴム押出成形型Fから押し出される装飾部形成予定部3’の材料M3の押出成形温度よりも高くて、加硫温度よりも低いことが必要となる(マイクロカプセル6の外殻は、装飾部形成予定部3’の押出時においては破裂せず、加熱による加硫処理時に破裂及び/又は膨張することが好ましい)。具体的には、マイクロカプセル6の外殻は120°C程度で軟化及び膨張し始め、その破裂温度は、150°C以上200°C以下であることが好ましい。なお、このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えば、エクスパンセルマイクロスフェアー(日本フィライト株式会社販売)、マツモトマイクロスフェアー(松本油脂株式会社販売)等を使用することができる。装飾部3の原料に対するマイクロカプセル6の配合比率は、好ましくは質量比で0.1質量%以上5質量%以下である。
【0054】
図1ないし図4に示されるように、ゴム押出成形型Fには、その前端にエンドプレート11が含まれ、前記エンドプレート11に成形途中のウェザーストリップW1’の横断面形状に対応した形状のオリフィス(押出開口)12が形成されている。ゴム押出成形型Fには、成形途中のウェザーストリップW1’の取付け部形成予定部1’、シール部形成予定部2’及び装飾部形成予定部3’をそれぞれ成形するための各材料を押し出すための材料押出機A1,A2 ,A3 がそれぞれ接続される(図1参照)。各材料はゴム押出成形型Fの異なる部分から内部の互いに分離された材料通路に供給されて、前記オリフィス12の上流側で各材料が合流してオリフィス12からウェザーストリップW1’が押し出される。取付け部形成予定部1’に埋設される芯金4は、芯金供給用アンコイラBから引き出された後に、芯金用ロール成形機Cにより略逆V字状の横断面形状にロール成形されてゴム押出成形型Fの内部に供給され、内部の芯金ガイド13によりガイドされて、成形型F内で取付け部形成予定部1’内に一体に埋設される。なお、図4において、M1,M3は、それぞれ取付け部形成予定部1’及び装飾部形成予定部3’を形成するための成形型F内部の材料を示し、シール部形成予定部2’を形成する材料は図示されていない。また、図3において、20は成形型の一部であって、シール部形成予定部2’を中空状に形成するために、前記オリフィス12内に配設された中芯型を示す。
【0055】
図5は、エンドプレート11のオリフィス12の押出成形面(流路の内壁面)14に押出方向(図5の紙面に垂直な方向)に沿って形成された型凸部15により装飾部形成予定部3’の表面に長手方向凹溝7が形成されることを示す模式的断面図(図4のY−Y線に沿った模式的断面図)である。図6は、横方向凹溝付与ローラRにより装飾部形成予定部3’の表面に横方向凹溝8が形成されることを示す模式的縦断面図である。図4及び図5に示されるように、ゴム押出成形型Fのエンドプレート11のオリフィス12における装飾部形成予定部3’の押出成形面14には、装飾部形成予定部3’の表面の全幅に亘って互いに平行であって、長手方向(押出方向)に沿った略V字型の長手方向凹溝7を形成するための複数本の横断面三角形状の型凸部15が形成されている。複数本の型凸部15の間隔と突出高さは、形成する複数本の長手方向凹溝7の間隔と深さ(後述)とに対応させてある。なお、ここでいう「平行」とは、二本の直線が互いに交差しない状態のみならず、二本の曲線が互いに交差しない状態も含む。
【0056】
ゴム押出成形型Fのオリフィス12の下流側には、押出直後の装飾部形成予定部3’の表面に横方向凹溝8を形成するための横方向凹溝付与ローラRが配設されている。ローラRは、ゴム押出成形型Fのオリフィス12から押し出される押出成形途中のウェザーストリップW1’の押出速度と同一周速度で矢印Eの方向に駆動回転されるのが好ましいが、アイドル状態の無駆動でウェザーストリップW1’の押出しに追随して回転するようにしてもよい。ローラRの表面の軸方向の断面形状は、装飾部形成予定部3’の表面形状に対応した緩やかな波形となっており、ローラRの外周面には、多数本のローラ凸部16が互いに平行となって軸方向に沿って形成されている。多数本のローラ凸部16の間隔及び突出高さは、前記型凸部15とほぼ同一である。なお、ローラ凸部16の間隔及び突出高さは、型凸部15と同一でなくてもよい。また、図2ないし図4に示されるように、横方向凹溝付与ローラRの直下には、該ローラRとの間で押出直後の装飾部形成予定部3’及び取付け部形成予定部1’の一部を挟持して、前記ローラRの押圧力を受け止めるための支持具17が配置されて前記エンドプレート11の前端面に複数本の固定ボルト18を介して固定されている。支持具17の上面17aの形状は、装飾部形成予定部3’の裏面にある取付け部形成予定部1’の下面(裏面)形状と同一であって、支持具17には、取付け部形成予定部1’の一部を挿通させるための挿通孔17bが形成されており、該挿通孔17bは、上方に向けて徐々に幅が狭くなった状態で開口している。
【0057】
なお、横方向凹溝付与ローラRは、図示しないスチールバネ等で支持具17側に付勢されて、所定圧力で装飾部形成予定部3’を押圧した状態で駆動回転されるために、装飾部形成予定部3’の表面に密着するが、図3においては図示の関係で、両者R,3’は離してある。また、長手方向凹溝7を形成するためにオリフィス12の押出成形面14は、形成する装飾部3の横断面形状に対応して緩やかな波形になっており、このような断面形状の押出成形面14の表面に複数本の型凸部15が突設されているが、図5においては、この状態を模式的に直線状に図示している。また、後述のように、装飾部形成予定部3’の表面に形成される長手方向及び横方向の各凹溝7,8、並びに各凹溝7,8を形成するための各型凸部15,15,15及びローラ凸部16,16,16の間隔は、0.1〜5mmであるが、図2、図3、図5、図6及び図15では、図示の関係で実際の間隔よりも大きな間隔で図示してある。
【0058】
次に、上記構成のゴム押出成形型Fを使用して、上記構成のウェザーストリップW1 の製造方法について説明する。図1ないし図4において、各材料押出機A1,A2,A3からそれぞれ異なる材料(即ち、装飾部形成予定部3’を形成するためマイクロカプセルと加硫剤と他の添加物とを混練したEPDM材料、取付部形成予定部1’を形成するためのカーボンブラックを20〜40質量%と加硫剤を混練したEPDM材料、及び所定の中空シール部を形成するためのカーボンブラックを20〜40質量%加え加硫剤と発泡剤とを混練したEPDM材料)がゴム押出成形型F内の相互に分離された異なる材料経路に供給されて、エンドプレート11の手前側(上流側)において、異なる3種類の各材料が合流してオリフィス12から押出成形途中のウェザーストリップW1’の形状となって押し出される。装飾部形成予定部3’は、加硫剤及び多数の微細な膨張性マイクロカプセル6を内部に混練した未加硫ゴム材料がオリフィス12から押し出され、取付け部形成予定部1’の表面に層状となって一体に形成される。そして、装飾部形成予定部3’を形成するゴム材料がオリフィス12から押し出される際には、図4及び図5に示されるように、オリフィス12の押出成形面14に形成された複数の型凸部15により、装飾部形成予定部3’の表面に互いに平行な複数本の略V字状の長手方向凹溝7が同時に形成された状態でオリフィス12から押し出される。本発明は、上記の長手方向凹溝7(又は後述する長手方向凸条9) だけを形成したウェザーストリップW1 ’を次の加硫工程に供給してもよいが、本実施形態では実物の織布により近づけた模様を形成するために、更に横方向凹溝付与ローラRによる横方向凹溝8を形成する例について説明する。
【0059】
成形途中のウェザーストリップW1 ’の装飾部形成予定部3’は、その表面に互いに平行な複数本の長手方向凹溝7が形成された状態でオリフィス12から押し出される。押出直後において前記装飾部形成予定部3’は、支持具17の上面17aと、その直上の横方向凹溝付与ローラRにより挟まれて、横方向凹溝付与ローラRの下方への押圧力により支持具17の上面17aに押圧される。横方向凹溝付与ローラRは、成形途中のウェザーストリップW1’の押出方向Qに押出速度と同一周速度で駆動回転されているため、装飾部形成予定部3’の表面には、既に形成されている複数本の長手方向凹溝7と交差して別の横方向凹溝8が幅方向に連続し、かつ長手方向に断続して形成される(図7)。これにより、図7に示されるように、先に形成された長手方向凹溝7、及び後に形成された横方向凹溝8は、いずれも他方の凹溝(一方が長手方向凹溝7のとき、他方は横方向凹溝8であり、一方が横方向凹溝8のとき、他方は長手方向凹溝7である)と交差して、単調な直線が長手方向と横方向に延び、長手方向及び横方向の各凹溝7,8によって四角形をした表面模様が長手方向及び横方向に双方に連続して形成されて、クロスに編んだ織布模様となって現出する。
【0060】
ここで、本実施形態では、図6と図8に示すように長手方向及び横方向の各凹溝7,8の形成ピッチP、幅S及び深さDは、いずれも同じである。なお、長手方向及び横方向の各凹溝7,8のピッチP、幅S及び深さDは、異なっていてもよい。各凹溝7,8の形成ピッチPは、0.1〜5mmの範囲であることが好ましい。各凹溝7,8の形成ピッチP、幅S及び深さDを上記範囲内に設定すると、完成したウェザーストリップW1 となったとき四角形をした表面模様が実際の織布により近い外観となって現出するために装飾性が高められる。各凹溝7,8の開口部の幅Sは、前記形成ピッチPよりも小さいのが好ましい。なお、図6において7aは、長手方向凹溝7の底部の線を示し、図8において8aは、横方向凹溝8の底部の線を示す。なお、上記の線7a,8aは深さを一致させることができる。これらの凹溝の深さは、装飾部の厚さ方向で装飾部の深さ内に留まっている(凹溝の深さが下地の取付け部のゴム部にまで達していない)ことが好ましい。
【0061】
装飾部形成予定部3’のゴム原料M3 内に混練されて分散しているそれぞれのマイクロカプセル6の外殻の破裂温度はゴム原料M3の押出成形温度(一般的には50〜90°C)よりは高いので、それぞれのマイクロカプセル6の外殻は装飾部形成予定部3’がゴム押出成形型Fから押し出される前後において軟化や破裂をしない。内包されたガスが膨張したときは、全体が多少膨張するか、又は膨張せずに未膨張の状態で、装飾部形成予定部3’を形成するゴム原料M3内に分散された状態となって、加熱式加硫槽G(図1参照)に送り込まれる。
【0062】
加熱式加硫槽G内においては、成形途中のウェザーストリップW1 ’の一部である装飾部形成予定部3’が最初に、又はウェザーストリップW1’の全体が高周波やマイクロ波或いは熱風等で加熱(一般的には、180〜230°Cの温度)されて、取付け部形成予定部1’、シール部形成予定部2’及び装飾部形成予定部3’の各未加硫ゴムがそれぞれ加熱されて加硫される。また、この加硫工程では、シール部形成予定部2’及び装飾部形成予定部3’はそれぞれ加硫接合により取付け部形成予定部1’と強固に接合一体化される。本実施形態では、加硫槽Gの加熱温度は、装飾部形成予定部3’の原料M3内に混練された各マイクロカプセル6の外殻の破裂温度と同等、又はそれよりも高く設定されているために、加硫時の熱により多数のマイクロカプセル6が膨張し、その一部、特に装飾部形成予定部3’の外表面又はその近傍の外殻が膨張の限度を超えて破裂する。図9は、表面に露出した多数のマイクロカプセル6と長手方向及び横方向の各凹溝7,8との関係を主体に示す装飾部形成予定部3’の部分拡大平面図であり、図10は、装飾部の断面説明図であり、図11は、マイクロカプセル6の膨張破裂と膨張突出とを主体に示す装飾部形成予定部3’の模式的な部分拡大断面図である。図9ないし図11に示されるように、装飾部形成予定部3’の表面の近傍にある又は表面に露出したマイクロカプセル6は、加熱により外殻が軟化し、限度を超えたものが膨張破裂されて外殻の多数の凹部6aが外側に露出したり、或いは表面近くの内部で外殻が膨張されたマイクロカプセル6が外側に膨張突出して多数の膨張突出部6bを形成する。本実施形態においては、装飾部形成予定部3’が加硫される前に、長手方向及び横方向の各凹溝7,8が互いに交差して形成されていて、各凹溝7,8の部分においても、上記した外殻の凹部6aの露出、及び膨張突出部6bの発生が不規則的に起こる。マイクロカプセルの膨張と共に装飾部形成予定部3’を体積膨張させ、凹溝の幅を小さくさせると共に、上記した外殻の凹部6a、膨張突出部6bによって、各凹溝7,8が途中で途切れたり、変形したりして、織布により近い模様となる。本実施形態では、加熱式の加硫槽Gを使用することにより、装飾部形成予定部3’を形成するゴム原料内に混練されている多数のマイクロカプセル6を加硫時の熱により膨張や破裂させている点に製法上の特徴が存在する。
【0063】
なお、加硫処理後には、図1に示されるように、表面塗装機Hを通過する際にウェザーストリップW1 ’の装飾部形成予定部3’の耐候性、耐磨耗性等を向上させる目的で液状シリコーン樹脂等のクリアーな、又は着色クリアーな塗装がスプレー塗装により施されて、図12に示す表面改質層3aが形成される。そして、表面改質層3aは乾燥機Jにより焼き付けられ又は乾燥される。その後、ウェザーストリップW1’は冷却機Kにより冷却される。冷却後に図13に示されるように、図示しない芯金曲げ機(又は異形断面成形機)Lにより取付け部形成予定部1’に埋設された拡開逆V字状の芯金4が逆U字状に折り曲げられて、最終製品のウェザーストリップW1が製造される。なお、図1において、Nは、長尺状をした成形途中のウェザーストリップW1’に引張力を加えて引き取るための引取り機を示す。前記説明に用いた図7,図9,図11における「T」は、装飾部3(装飾部形成予定部3’)の幅方向を示し、他の図においても同様である。
【0064】
上記各工程を経て形成されたウェザーストリップW1 の装飾部3の表面には、図9に示されるように、長手方向及び横方向の各凹溝7,8が互いに交差し、その交差部及びマイクロカプセル6の破裂により発生した凹部6aや表面に膨張突出した膨張突出部6bにより各凹溝7,8が部分的に途切れたり、変形されたりして織布調の四角形模様が縦横に連続して多数形成されている。装飾部形成予定部3’の表面には、前記した織布調の四角形模様に加えて、マイクロカプセル6の膨張破裂、或いは膨張突出により凹凸模様が形成されて粗面化されており、織布調の四角形模様と凹凸模様とが相俟って、実際の織布に近い外観を呈していて装飾性が高められる。また、表面が織布に近い外観を呈する装飾部3は取付け部1に層状となって取付け部1と加硫接合により一体に形成されている。
【0065】
また、上記実施形態は、装飾部3の表面に長手方向及び横方向の各凹溝7,8を互いに交差させて形成した例であるが、図14に示されるように、ゴム押出成形型Fのオリフィス12の押出成形面(ゴム材料の通過流路内壁面)14に複数本の凹み21を形成して、ウェザーストリップW1 の装飾部形成予定部3’の表面に長手方向凸条9を形成すると共に、押出直後で加硫前に、外周面に軸方向に沿った凸条を形成した横方向凹溝付与ローラ(いずれも図示せず)により前記長手方向凸条9と交差させて横方向凹溝を形成することにより、装飾部3の表面を織布調の外観にすることも可能である。また、装飾部3(装飾部形成予定部3’)の表面に形成される凸条(凹溝)の横断面形状は、三角形状(V字状)のものに限られず、四角形状、半円形状等であってもよく、前記凸条(凹溝)は直線状でも曲線状に形成されていてもよく、その間隔も一定のものに限られず、規則的、或いは不規則的に変化させてもよい。これらの各凸条のピッチ、幅、高さの最適な設定範囲も凹溝の場合と同様である(各凸条の高さは0.1〜2mmの範囲が好ましい)。
【0066】
また、図15に示される実施形態は、ゴム押出成形型FからウェザーストリップW1 ’を押し出した後に、ローラを用いてその装飾部形成予定部3’の表面に長手方向及び横方向の各凹溝を同時に形成する状態を示している。本実施形態では、凹溝付与ローラR’には、周方向と横方向(軸方向)の各ローラ凸部22,23が非直線状の波形をなし、かつそれぞれ交差して形成されており、押出直後の装飾部形成予定部3’の表面に凹溝付与ローラR’を押し付けることにより、装飾部形成予定部3’の表面には、波形の長手方向及び横方向の各凹溝27,28が互いに交差して形成される。各凹溝27,28は、いずれも隣接するもの同士が一定間隔を保った曲線で構成されているため、各凹溝27,28が囲まれて形成される模様も曲線で構成される四角形状となる(図16参照)。なお、図15において、17’は、支持具を示す。また、直線状の長手方向凹溝(凸条)と曲線状の横方向凹溝を組み合わせる等して、表面に一層現実の織布に近い模様を形成することも可能である。また、長手方向凹溝(凸条)の間隔は一定のものに限られない。また、ローラ凸部22,23の突出高さも同一のものに限られず不規則であってもよい。長手方向凹溝(凸条)と横方向凹溝のいずれか一方だけを形成することも可能である。
【0067】
また、上記ドアオープニングトリムとしてのウェザーストリップW1 は、取付け部1の一部の表面のみに装飾部3を一体に形成して、前記装飾部3が実際の織布に近い外観を呈することにより装飾性を高めた例であるが、図17に示されるドアオープニングトリムとしてのウェザーストリップW2は、上記した成形方法によってドアパネル(図示せず)が閉じたときにドアパネルの裏面に弾接して車室内に水等が浸入するのを防止するスポンジゴム製の中空シール部2の表面にも装飾部3を一体に形成した例である。即ち、ウェザーストリップW2の取付け部1の一部の表面と中空シール部2の車外側に臨む全表面と前記取付け部1の一端部のリップ部1aの車外側表面とに装飾部3が連続して一体に形成されている。これによりドアが開いた際にウェザーストリップW2の中空シール部2の表面側が車体の本体開口の周縁部に露出するが、中空シール部2の表面全体に一体に形成された装飾部3によってウェザーストリップW2の車外側の部分が実際の織布に近い模様となって装飾される。なお、図17において、図13と同一部分には同一符号を付してある。
【0068】
また、図18は、本発明を実施したトランクルームシール(ウェザーストリップ)W3 の横断面図である。トランクルームシールW3 は、トランクルームのパネルの立上りフランジ部51に取付けられる断面略U字状をしたソリッドゴム製の取付け部31と、前記取付け部31の反開口側の部分に一体に形成されて、トランクルームのリッド(いずれも図示せず)が閉じたときに前記リッドの裏面と弾接してトランクルーム内に水等が浸入するのを防止するスポンジゴム製の中空シール部32と、前記取付け部31の車内側の側面に一体に形成されて、カーペット52等のトランクルーム内の装備品の端末部に弾接して前記端末部を遮蔽するためのソリッドゴム製の遮蔽リップ33と、前記取付け部31の車外側に一体に形成されて、トランクルームの車外側パネル53に弾接して取付け部31の端部と車外側パネル53との隙間54をシールするスポンジゴム製の第1シールリップ34とを備えている。断面略U字状をした取付け部31の内周面には、前記立上りフランジ部51を両側から挟持してトランクルームシールW3を前記立上りフランジ部51に保持可能とする複数の保持リップ35が互いに対向して一体に形成されている。取付け部31の車外側の端部には、前記車外側パネル53の湾曲部に弾接する第2シールリップ36が一体に形成され、更に複数の前記保持リップ35のうち車外側に配置されるものであって、しかも車外側パネル53に最も近い保持リップ35は、前記立上りフランジ部51に弾接する表面部分が残りの部分よりも軟質の材質で形成されてシール作用を果たす第3シールリップ37としても機能している。前記トランクルームシールW3の材質に関しては、取付け部31,遮蔽リップ33の一部及び保持リップ35は加硫済EPDMにより形成されることが好ましく、シール部分は前記加硫済ゴムよりも軟質で、弾性変形に優れたゴム材料(例えば加硫済スポンジゴム)で形成されることが好ましい。なお、図18において38は取付け部31内に埋設されて、これを補強している金属薄板からなる芯金を示し、55は、トランクルームの内側パネルを示す。
【0069】
また、トランクルームシールW3 は、ゴム押出成形型により押出成形される際に上記成形方法によって、遮蔽リップ33の全域と取付け部31の一部との間の表面に装飾部39が連続して一体に形成されている。装飾部39が実際の織布に近い外観を呈する理由は上述の通りであって、トランクルームのリッドを開いてトランクルームが開口した際に、トランクルーム内の装備品の端末部と連続していて、最も視界に入り易い遮蔽リップ33及びこれに連続する取付け部31に至る部分の表面が装飾部39により実際の織布調に装飾されているため、トランクルームシールW3の外観が大幅に高められる。
【0070】
なお、上記トランクルームシールW3 において、中空シール部32や取付け部31の車外側の表面にも装飾部を一体に形成すると、トランクルームのリッドを開いた際のトランクルームシールW3の装飾性が一層高められる。また、装飾面を保護することが好ましい場合は、透明トップコート塗布装置を配置して、装飾部の全面に耐磨耗性、耐候性、耐水性に富むフッ素変性ウレタン樹脂系やアクリル樹脂系又はシリコーン樹脂系の透明トップコート(改質層の被膜)を被覆するようにすればよい。ここで、透明とは、無色透明に限られず、着色(有色)透明も含むものである。このような改質層を被覆すると、表面の耐磨耗性、耐候性、耐水性及び耐傷付け性等が向上する。
図19は、ウェザーストリップの変形例を示す。ここでは、横方向凹溝付与ローラRによって、横方向凹溝8のみが装飾部形成予定部3’の表面に形成される。この構成によっても、織布に近い外観が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺装飾部材であって、
被取付体に取付けられる取付け部と、
前記取付け部の表面に一体的に形成された加硫済ゴムから成る装飾部と、を備え、
前記装飾部は、該装飾部の内部で熱膨張した多数のマイクロカプセルと、該装飾部の表面又は表面の近くでマイクロカプセルが破裂して外側に向けて開口した多数の凹部と、前記表面の近くで膨張したマイクロカプセルが外側に向けて膨出して構成された多数の突出部とにより粗面化された表面を有し、
前記装飾部の表面には、長手方向及び長手方向と交差する横方向の少なくともいずれかに沿って延びた複数本の凸条と、前記長手方向及び前記横方向の少なくともいずれかに沿って延びた複数本の凹溝と、の少なくともいずれかが形成されており、
前記凸条の外面及び前記凹溝の内面の少なくともいずれかに、多数の前記凹部及び前記突出部が不規則な位置に形成されている、押出成形により成形された長尺装飾部材。
【請求項2】
請求項1に記載の長尺装飾部材であって、前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかは、前記凹部及び前記突出部の少なくともいずれかにより、延びる方向の不規則な位置で途切れ部及び変形部の少なくともいずれかが形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部の表面には、前記長手方向に沿って延びた凸条及び凹溝の少なくともいずれかと、前記横方向に沿って延びた凸条及び凹溝の少なくともいずれかと、が形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記長手方向に沿って延びた前記凸条又は前記凹溝は、その間隔が0.1〜5mmの範囲で形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記長手方向に沿って延びた前記凸条又は前記凹溝は、前記凸条の突出高さ又は前記凹溝の深さが、0.1〜2mmの範囲で形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記横方向に沿って延びた前記凸条又は前記凹溝は、その間隔が0.1〜5mmの範囲で形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記横方向に沿って延びた前記凸条又は前記凹溝は、前記凸条の突出高さ又は前記凹溝の深さが、0.1〜2mmの範囲で形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部は、前記取付け部の表面に層状に形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部の凹溝の深さは、該装飾部の厚さの範囲内に留まっていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部の凹溝は実質的にV字状の横断面を有することを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部は前記取付け部と異色を呈することを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項12】
請求項11に記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部は前記取付け部よりも淡色を呈することを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部の凸条及び凹溝の少なくともいずれかが、実質的に直線状に形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項14】
請求項1ないし12のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部の凸条及び凹溝の少なくともいずれかが、実質的に曲線状に形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部の表面には、耐磨耗性と耐候性のうち少なくともいずれかを向上させる表面改質層が形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項16】
請求項15に記載の長尺装飾部材であって、前記改質層は前記装飾部の表面を透視可能な透明な層であることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の長尺装飾部材であって、前記改質層はシリコーン樹脂の被膜であることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、長尺装飾部材は車両のウェザーストリップであることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項19】
請求項18に記載の長尺装飾部材であって、前記ウェザーストリップはドアオープニングトリムであることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項20】
請求項19に記載の長尺装飾部材であって、前記ドアオープニングトリムは遮蔽リップを有し、該遮蔽リップ表面及び取付け部車内側表面の少なくともいずれかに前記装飾部が一体に形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項21】
請求項18に記載の長尺装飾部材であって、前記ウェザーストリップは中空シール部を有し、この中空シール部の表面に前記装飾部が一体的に形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項22】
請求項18に記載の長尺装飾部材であって、ウェザーストリップはトランクシールトリムであることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項23】
請求項22に記載の長尺装飾部材であって、前記トランクシールトリムは遮蔽リップを有し、該遮蔽リップ表面及び取付け部車内側表面の少なくともいずれかに前記装飾部が一体に形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項24】
請求項18ないし23のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記ウェザーストリップは更に芯金を有していることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項25】
被取付体に取付けられる取付け部と、前記取付け部の表面に一体的に形成された加硫済ゴムから成る装飾部とを備えた長尺装飾部材の製造方法であって、
前記長尺装飾部材の横断面形状に対応したオリフィスを備えたゴム押出成形型から、加硫剤を混練した未加硫ゴムから成る取付け部形成予定部と、加硫剤及び多数の微細な熱膨張性マイクロカプセルを混練した未加硫ゴムから成る装飾部形成予定部とを押し出す工程と、
前記装飾部形成予定部の表面に互いに平行である複数本の凸条及び互いに平行である複数本の凹溝の少なくともいずれかを形成する工程と、
前記装飾部形成予定部を加熱して、その表面又は表面近くの前記マイクロカプセルの少なくとも一部を限度を超えて膨張させて破裂させ、前記凸条の外面及び前記凹溝の内面の少なくともいずれかの不規則な位置に、外側に開口する多数の凹部を形成すると共に、前記装飾部形成予定部を加熱して、その表面又は表面近くの前記マイクロカプセルの少なくとも一部を膨張させ、前記凸条の外面及び前記凹溝の内面並びに前記凸条の外面の近く及び前記凹溝の内面の近くの少なくともいずれかの不規則な位置に、外側に向けて膨出する多数の突出部を形成する工程と、
前記装飾部形成予定部の前記加熱により、前記装飾部形成予定部及び前記取付け部形成予定部の未加硫ゴムを加硫させてゴム状弾性を有する加硫済ゴムに変化させる工程と、
を含むことを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項26】
請求項25に記載の長尺装飾部材の製造方法であって、前記凹部及び前記突出部を形成する工程において、前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかには、前記凹部及び前記突出部が形成されることにより、延びる方向の不規則な位置で途切れ部及び変形部の少なくともいずれかが形成されることを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項27】
請求項25又は26に記載の長尺装飾部材の製造方法であって、前記押し出す工程は、前記オリフィスにおける装飾部押出部位の内面に形成された凹み及び凸部の少なくともいずれかを有するゴム押出成形型を用い、押し出すと同時に長手方向に連続して延びる前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかを形成する工程を含むことを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項28】
請求項27に記載の長尺装飾部材の製造方法であって、前記押し出す工程の後に、長手方向と交差する横方向に横方向凸条及び横方向凹溝の少なくともいずれかを形成し、それによって前記長手方向と前記横方向の凸条及び前記長手方向と前記横方向の凹溝の少なくともいずれかでそれぞれ囲まれた多数の四角形で構成された模様を形成する工程を更に含むことを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項29】
請求項25又は26に記載の長尺装飾部材の製造方法であって、前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかを形成する工程は、前記押し出す工程の後に実施され、長手方向に連続して延びる長手方向凸条及び長手方向凹溝並びに前記長手方向と交差する横方向に形成される横方向凸条及び横方向凹溝の少なくともいずれかを形成する工程であることを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項30】
請求項25ないし29のいずれかに記載の長尺装飾部材の製造方法であって、装飾部形成予定部を加熱する際、装飾部形成予定部をマイクロカプセルの外殻が軟化して内部のガスの圧力によって破裂するのに十分な温度に加熱すると共に装飾部形成予定部の前記加熱により未加硫ゴムを加硫することを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項31】
請求項30に記載の長尺装飾部材の製造方法であって、装飾部形成予定部の未加硫ゴムが加硫を完了する前にマイクロカプセルの外殻の少なくとも軟化と膨張を終了させることを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項32】
請求項30又は31に記載の長尺装飾部材の製造方法であって、未加硫ゴムから成る装飾部形成予定部を加熱する際、加熱により装飾部形成予定部のムーニー粘度が加熱前よりも低下するときに、マイクロカプセルの外殻の少なくとも軟化と膨張を開始させることを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項33】
請求項25ないし32のいずれかに記載の長尺装飾部材の製造方法であって、表面にそれぞれ所定幅の凹溝を形成した装飾部形成予定部を加熱して、マイクロカプセルの膨張と共に装飾部形成予定部を体積膨張させ、前記凹溝の幅を加熱前よりも小さくさせることを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項1】
長尺装飾部材であって、
被取付体に取付けられる取付け部と、
前記取付け部の表面に一体的に形成された加硫済ゴムから成る装飾部と、を備え、
前記装飾部は、該装飾部の内部で熱膨張した多数のマイクロカプセルと、該装飾部の表面又は表面の近くでマイクロカプセルが破裂して外側に向けて開口した多数の凹部と、前記表面の近くで膨張したマイクロカプセルが外側に向けて膨出して構成された多数の突出部とにより粗面化された表面を有し、
前記装飾部の表面には、長手方向及び長手方向と交差する横方向の少なくともいずれかに沿って延びた複数本の凸条と、前記長手方向及び前記横方向の少なくともいずれかに沿って延びた複数本の凹溝と、の少なくともいずれかが形成されており、
前記凸条の外面及び前記凹溝の内面の少なくともいずれかに、多数の前記凹部及び前記突出部が不規則な位置に形成されている、押出成形により成形された長尺装飾部材。
【請求項2】
請求項1に記載の長尺装飾部材であって、前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかは、前記凹部及び前記突出部の少なくともいずれかにより、延びる方向の不規則な位置で途切れ部及び変形部の少なくともいずれかが形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部の表面には、前記長手方向に沿って延びた凸条及び凹溝の少なくともいずれかと、前記横方向に沿って延びた凸条及び凹溝の少なくともいずれかと、が形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記長手方向に沿って延びた前記凸条又は前記凹溝は、その間隔が0.1〜5mmの範囲で形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記長手方向に沿って延びた前記凸条又は前記凹溝は、前記凸条の突出高さ又は前記凹溝の深さが、0.1〜2mmの範囲で形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記横方向に沿って延びた前記凸条又は前記凹溝は、その間隔が0.1〜5mmの範囲で形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記横方向に沿って延びた前記凸条又は前記凹溝は、前記凸条の突出高さ又は前記凹溝の深さが、0.1〜2mmの範囲で形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部は、前記取付け部の表面に層状に形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部の凹溝の深さは、該装飾部の厚さの範囲内に留まっていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部の凹溝は実質的にV字状の横断面を有することを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部は前記取付け部と異色を呈することを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項12】
請求項11に記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部は前記取付け部よりも淡色を呈することを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部の凸条及び凹溝の少なくともいずれかが、実質的に直線状に形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項14】
請求項1ないし12のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部の凸条及び凹溝の少なくともいずれかが、実質的に曲線状に形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記装飾部の表面には、耐磨耗性と耐候性のうち少なくともいずれかを向上させる表面改質層が形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項16】
請求項15に記載の長尺装飾部材であって、前記改質層は前記装飾部の表面を透視可能な透明な層であることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の長尺装飾部材であって、前記改質層はシリコーン樹脂の被膜であることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、長尺装飾部材は車両のウェザーストリップであることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項19】
請求項18に記載の長尺装飾部材であって、前記ウェザーストリップはドアオープニングトリムであることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項20】
請求項19に記載の長尺装飾部材であって、前記ドアオープニングトリムは遮蔽リップを有し、該遮蔽リップ表面及び取付け部車内側表面の少なくともいずれかに前記装飾部が一体に形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項21】
請求項18に記載の長尺装飾部材であって、前記ウェザーストリップは中空シール部を有し、この中空シール部の表面に前記装飾部が一体的に形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項22】
請求項18に記載の長尺装飾部材であって、ウェザーストリップはトランクシールトリムであることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項23】
請求項22に記載の長尺装飾部材であって、前記トランクシールトリムは遮蔽リップを有し、該遮蔽リップ表面及び取付け部車内側表面の少なくともいずれかに前記装飾部が一体に形成されていることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項24】
請求項18ないし23のいずれかに記載の長尺装飾部材であって、前記ウェザーストリップは更に芯金を有していることを特徴とする長尺装飾部材。
【請求項25】
被取付体に取付けられる取付け部と、前記取付け部の表面に一体的に形成された加硫済ゴムから成る装飾部とを備えた長尺装飾部材の製造方法であって、
前記長尺装飾部材の横断面形状に対応したオリフィスを備えたゴム押出成形型から、加硫剤を混練した未加硫ゴムから成る取付け部形成予定部と、加硫剤及び多数の微細な熱膨張性マイクロカプセルを混練した未加硫ゴムから成る装飾部形成予定部とを押し出す工程と、
前記装飾部形成予定部の表面に互いに平行である複数本の凸条及び互いに平行である複数本の凹溝の少なくともいずれかを形成する工程と、
前記装飾部形成予定部を加熱して、その表面又は表面近くの前記マイクロカプセルの少なくとも一部を限度を超えて膨張させて破裂させ、前記凸条の外面及び前記凹溝の内面の少なくともいずれかの不規則な位置に、外側に開口する多数の凹部を形成すると共に、前記装飾部形成予定部を加熱して、その表面又は表面近くの前記マイクロカプセルの少なくとも一部を膨張させ、前記凸条の外面及び前記凹溝の内面並びに前記凸条の外面の近く及び前記凹溝の内面の近くの少なくともいずれかの不規則な位置に、外側に向けて膨出する多数の突出部を形成する工程と、
前記装飾部形成予定部の前記加熱により、前記装飾部形成予定部及び前記取付け部形成予定部の未加硫ゴムを加硫させてゴム状弾性を有する加硫済ゴムに変化させる工程と、
を含むことを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項26】
請求項25に記載の長尺装飾部材の製造方法であって、前記凹部及び前記突出部を形成する工程において、前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかには、前記凹部及び前記突出部が形成されることにより、延びる方向の不規則な位置で途切れ部及び変形部の少なくともいずれかが形成されることを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項27】
請求項25又は26に記載の長尺装飾部材の製造方法であって、前記押し出す工程は、前記オリフィスにおける装飾部押出部位の内面に形成された凹み及び凸部の少なくともいずれかを有するゴム押出成形型を用い、押し出すと同時に長手方向に連続して延びる前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかを形成する工程を含むことを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項28】
請求項27に記載の長尺装飾部材の製造方法であって、前記押し出す工程の後に、長手方向と交差する横方向に横方向凸条及び横方向凹溝の少なくともいずれかを形成し、それによって前記長手方向と前記横方向の凸条及び前記長手方向と前記横方向の凹溝の少なくともいずれかでそれぞれ囲まれた多数の四角形で構成された模様を形成する工程を更に含むことを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項29】
請求項25又は26に記載の長尺装飾部材の製造方法であって、前記凸条及び前記凹溝の少なくともいずれかを形成する工程は、前記押し出す工程の後に実施され、長手方向に連続して延びる長手方向凸条及び長手方向凹溝並びに前記長手方向と交差する横方向に形成される横方向凸条及び横方向凹溝の少なくともいずれかを形成する工程であることを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項30】
請求項25ないし29のいずれかに記載の長尺装飾部材の製造方法であって、装飾部形成予定部を加熱する際、装飾部形成予定部をマイクロカプセルの外殻が軟化して内部のガスの圧力によって破裂するのに十分な温度に加熱すると共に装飾部形成予定部の前記加熱により未加硫ゴムを加硫することを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項31】
請求項30に記載の長尺装飾部材の製造方法であって、装飾部形成予定部の未加硫ゴムが加硫を完了する前にマイクロカプセルの外殻の少なくとも軟化と膨張を終了させることを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項32】
請求項30又は31に記載の長尺装飾部材の製造方法であって、未加硫ゴムから成る装飾部形成予定部を加熱する際、加熱により装飾部形成予定部のムーニー粘度が加熱前よりも低下するときに、マイクロカプセルの外殻の少なくとも軟化と膨張を開始させることを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【請求項33】
請求項25ないし32のいずれかに記載の長尺装飾部材の製造方法であって、表面にそれぞれ所定幅の凹溝を形成した装飾部形成予定部を加熱して、マイクロカプセルの膨張と共に装飾部形成予定部を体積膨張させ、前記凹溝の幅を加熱前よりも小さくさせることを特徴とする長尺装飾部材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−274913(P2010−274913A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158150(P2010−158150)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【分割の表示】特願2006−519274(P2006−519274)の分割
【原出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【分割の表示】特願2006−519274(P2006−519274)の分割
【原出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
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