説明

長鎖および短鎖脂肪酸/脂肪石鹸の混合物で安定化された脂肪アシルイセチオナート製品含有液体洗浄組成物

本発明は、長鎖および短鎖脂肪酸/脂肪石鹸の特定の混合物を用いて、ならびに総線状脂肪酸/脂肪石鹸と総合成界面活性剤(総合成界面活性剤は、(1)(a)の脂肪アシル界面活性剤成分、即ち、脂肪アシル界面活性剤「製品」の遊離脂肪酸および/または脂肪酸石鹸を含まない「純粋な」脂肪アシルイセチオナート、ならびに(2)(b)の合成共界面活性剤の合計である。)の適切な比を用いることによって安定化されている、5重量%を超える遊離脂肪酸/脂肪石鹸を有する脂肪アシルイセチオナート製品を含むパーソナルケアまたは毛髪液体洗浄組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、パーソナルケア用皮膚または毛髪液体洗浄組成物に関する。特に、本発明は、遊離脂肪酸/脂肪石鹸5重量%超を有する脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品を液体組成物に用いる、このようなパーソナルケア用皮膚または毛髪洗浄組成物に関する。界面活性剤が見出される液体組成物は、長鎖および短鎖脂肪酸/脂肪石鹸の特定の混合物で安定化されており、線状長鎖脂肪酸/脂肪石鹸(>炭素14)は前記液体組成物において総脂肪酸/脂肪石鹸の20重量%超および70重量%未満を占める。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
脂肪アシルイセチオナート(例えば、ココイルイセチオナート)は、泡立ちがよく、皮膚に優しく、良好なエモリエント特性を有するため、パーソナルケア用皮膚または毛髪洗浄製品、特にパーソナルケア製品において非常に望ましいアニオン界面活性剤である。典型的に、脂肪酸イセチオナートは、脂肪酸のエステル化によって、または炭素鎖長CからC20を有する脂肪酸塩化物とイセチオナートとの反応によって生成される。典型的な脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品(例えば、商業的に販売または製造された界面活性剤製品)は、脂肪アシルイセチオナート約40から95重量%、遊離脂肪酸0から50重量%、典型的には5から40重量%を、典型的には5%未満のイセチオナート塩、および微量(2重量%未満)の他の不純物に加えて含有する。
【0003】
液体組成物において、すぐに使用できる商業的に販売または製造された脂肪アシルイセチオナート製品に伴う問題は、特にアシルイセチオナート界面活性剤製品が主な界面活性剤として用いられている場合、水におけるこれらの化合物の低い溶解性である。これは、高レベルの遊離脂肪酸/脂肪石鹸(例えば、10重量%以上)、および/または炭素鎖長14以上を有する長鎖脂肪アシルイセチオナート成分を含有する脂肪アシルイセチオナート界面活性剤成分に関して特に真実である。界面活性剤製品の脂肪アシルイセチオナート成分は、不溶性の界面活性剤結晶を形成する傾向があり、これらの結晶の広範な溶解温度のため、結晶の量は貯蔵温度に強く依存する。これが次いで、低温および高温で非常に濃いまたは非常に薄い粘稠度を示す不安的な液体洗浄剤をもたらす。低温では、液体組成物は、使用が困難な半固体ゲルとなる。高温では、液体組成物は、製品の相分離を引き起こす水希薄(water−thin)液体に変化する。これは、比較例1Aの25および40℃の粘度を示す図1に例示される。比較例1Aは、脂肪アシルイセチオナート製品(Dove(登録商標)Noodle)36重量%を含有する液体であり、0.01s−1で測定されたとき、40℃と25℃の粘度比約0.0234を有する。25℃では、この液体は非常に高い粘度を有し、液体組成物は40℃で水希薄となる。
【0004】
従って、低温および高温の両方で一貫した粘度を有する組成物、特にさらに遊離脂肪酸10重量%を含む脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品が用いられる組成物を有することは非常に有利である。このような一貫した粘度が確実に得られ、遊離脂肪酸/脂肪石鹸含量、または脂肪アシルイセチオナート、脂肪酸、もしくは脂肪酸/脂肪石鹸成分の鎖長にかかわらず、脂肪アシルイセチオナート製品を液体洗浄剤組成物に容易に使用できることを確実にするように組成成分を操作する方法を有することはさらに有利である。本発明はまさにこのような組成物、およびこのような組成物を製造する方法を提供する。
【0005】
理論に縛られることを望むものではないが、これらの液体組成物の一貫しない粘度および高温(即ち、40℃以上)での物理的不安定性の問題は、組成物が室温で不溶性の脂肪酸/脂肪アシルイセチオナート界面活性剤結晶を含有するために引き起こされるものであると本出願人らは考える。記載した安定性の問題は、界面活性剤製品が用いられる液体組成物が確実に安定である十分に高い粘度を有するように(前記安定性は、45℃で2週間貯蔵後の目に見える物理的分離の不在によって定義される。)、これらの脂肪酸/脂肪アシルイセチオナート結晶の溶解温度以上で粘性界面活性剤液晶を形成することによって解決できると本出願人らは考える。次いでこのような粘性結晶の形成は、長鎖(>14)および短鎖(≦C14)線状脂肪酸/脂肪石鹸の特定の混合物(即ち、総脂肪酸/脂肪石鹸の20重量%超であるが、70重量%未満が長鎖脂肪酸である。)を液体組成物に用い、遊離脂肪酸含量またはイセチオナートの鎖長にかかわらず、脂肪アシルイセチオナート製品が低温および高温でより一貫した粘度を有し、貯蔵安定性であることを可能にする、高い貯蔵温度でのより高い粘度(より一貫した粘度)を作り出すことによって達成される。
【0006】
アシルイセチオナート液体は当分野に存在する。例えば、Leeらの米国特許第5,415,810号は、おそらくイセチオナートの可溶化および等方性液体の製造を促進するため、脂肪アシルイセチオナートおよび両性イオン界面活性剤(例えば、ココアミドプロピルベタイン)を含む組成物を開示している。この参考文献は、長鎖および短鎖脂肪酸両方を組み合わせて使用することは言うまでもなく、遊離脂肪酸、特に長鎖脂肪酸(2欄、34から39行)の使用を別に教示している。
【0007】
Brodyらの米国特許第5,739,365号および米国公開第2004/0224863号はいずれも、脂肪酸イセチオナートの可溶化を促進するための、アンモニウム対イオンを有する合成界面活性剤の使用を開示している。
【0008】
いずれもPuvvadaの米国特許第5,952,286号および米国特許第6,077,816号は、アシルイセチオナートを含有することができ、可溶性のラメラ相誘導構造化剤(例えば、分岐脂肪酸)を含む、液体洗浄組成物を開示している。
【0009】
Greeneらの米国特許第5,132,037号(ならびに関連する米国特許第5,234,619号および米国特許第5,290,471号)は、CからC22アシルイセチオナート、合成剤、および遊離脂肪酸、好ましくはC16以上を含む組成物を開示している。炭素8から22の遊離脂肪酸は、低温および高温貯蔵条件で液体粘稠度を維持するための安定化剤としてではなく、むしろ泡立ち増強剤として、ならびに皮膚感触、潤滑性、およびクリーム性増強剤として作用するために、これらの特許で請求された組成物に組み込まれている(米国特許第5,132,037号の2欄、29から39行)。脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品を含有する液体組成物の一貫した粘度を提供するための長鎖および短鎖脂肪酸の特定の混合物の使用方法ならびに必要とされるレベルは教示されていない。これらの特許は、脂肪酸組成(C8からC22)およびこのレベル(脂肪酸対脂肪アシルイセチオナート界面活性剤1/10から10/1)を広く請求しており、不溶性脂肪酸/脂肪アシルイセチオナート界面活性剤結晶を含有する液体組成物に関する製品の非一貫性および高温での貯蔵安定性の問題には言及していない。これらの特許で請求される組成物を用いる主題発明のすべての比較例は(下記表3)は、Greeneらのこれらの液体が45℃で安定でないことを示している。これらの比較例はすべて、45℃の貯蔵条件において2週間未満で相分離を示した。高温安定性で一貫した粘度を提供できる組成は、これらの特許の脂肪酸および脂肪酸/界面活性剤比の広い開示から明らかでなく、予測可能でもない。この従来技術は問題の原因を認識しておらず、この組成が有効であり得るアプローチであることはまったく予測できないため、製品最適化の機能も果たしていない。
【0010】
出願人らは、主題発明のものに類似した結晶調整剤系を含む液体組成物に関連する3例を2006年12月に出願した。しかしながら、特定のレベルの長鎖および短鎖脂肪酸/脂肪石鹸混合物を単独で用いて、例えば高温(40℃以上)での脂肪アシルイセチオナート/脂肪酸結晶の溶解時に粘性界面活性剤液晶を形成することによって、脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品を含有する液体組成物を安定化できることは、これらのいずれの出願においても予測可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,415,810号明細書
【特許文献2】米国特許第5,739,365号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0224863号明細書
【特許文献4】米国特許第5,952,286号明細書
【特許文献5】米国特許第6,077,816号明細書
【特許文献6】米国特許第5,132,037号明細書
【特許文献7】米国特許第5,234,619号明細書
【特許文献8】米国特許第5,290,471号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
いずれの参考文献も、単独でも組み合わせによっても、形成された組成物が温度に敏感でない製品粘度を有し、高温貯蔵条件において安定である、特定の長鎖および短鎖脂肪酸/脂肪石鹸混合物(20から70%>C14および80から30%≦C14)を含有する脂肪アシルイセチオナート界面活性剤を含む組成物を教示または示唆していない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
一実施形態において、本発明は、高温で液体組成物の粘度を増大するために、この組成物が長鎖および短鎖脂肪酸/脂肪石鹸の特定の組み合わせで安定化されている、脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品を含有する新規な液体洗浄組成物に関する。
【0014】
より詳細には、一実施形態において、本発明は、液体洗浄組成物であって、
(a)脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品3から45重量%、好ましくは8から35重量%(前記製品は、前記製品中に脂肪アシルイセチオナート、ならびに遊離脂肪酸および/または脂肪石鹸を含む。)、
(b)アニオン界面活性剤((a)の脂肪アシルイセチオナート製品の脂肪アシルイセチオナート成分を除く)、両性界面活性剤、および非イオン界面活性剤、ならびにこれらの混合物からなる群から選択された共界面活性剤0から15重量%、
(c)C8からC20総線状脂肪酸/脂肪石鹸4から20重量%(総計は、項目(a)の脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品の一部である遊離脂肪酸/脂肪石鹸、ならびに独立して組成物に見出される線状脂肪酸の両方の合計を含み、14より長い炭素鎖長を有する脂肪酸/脂肪石鹸は、組成物の前記総線状脂肪酸/脂肪石鹸の20から70重量%、好ましくは30から65重量%、より好ましくは30から60重量%を占める。)(線状は、直鎖飽和脂肪酸を意味することに留意されたい。)を含み、
総線状脂肪酸/脂肪石鹸と総合成界面活性剤(製品中の遊離脂肪酸および/または脂肪酸石鹸を含まない項目(a)の脂肪アシルイセチオナート界面活性剤、ならびに項目(b)の合成共界面活性剤の合計として定義される。)の比は、少なくとも0.25、好ましくは少なくとも0.30、および1.0未満であり、
0.01s−1での前記液体洗浄組成物の粘度は、25℃で少なくとも50Pas、好ましくは少なくとも100Pasであるべきであり、0.01s−1で測定されたとき、40℃の粘度と25℃の粘度の比は、少なくとも0.2、好ましくは0.3、もっとも好ましくは0.4であるべきであり、液体組成物のpHは、4.0から8.0、好ましくは4.5から7.5の範囲であり、前記組成物は、45℃で少なくとも2週間安定である(即ち、物理的に安定であり、目に見えて観察できる分離をしない)液体洗浄組成物を含む。
【0015】
第2の実施形態において、本発明は、上記の脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品、共界面活性剤、および高温貯蔵安定化系を用いて、このような組成物を製造する方法に関する。
【0016】
これらおよび他の態様、特徴、および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読むことにより、当業者に明らかとなる。疑いを避けるために述べると、本発明の一態様の任意の特徴は、本発明の他の任意の態様において用いることができる。以下の説明に示す実施例は、本発明を明確にするためのものであって、これらの実施例自体に本発明を限定するためのものでないことに留意されたい。実験的実施例または別段の指示がある場合を除いて、本明細書に用いられる成分の量または反応条件を表わすすべての数字は、すべての事例で用語「約」によって修飾されているものとして理解される。同様に、別段の指示のないかぎり、すべてのパーセントは、総組成物の重量/重量パーセントである。「xからy」の形式で表わされる数値の範囲は、xおよびyを含むものとして理解される。特定の特徴に関して、複数の好ましい範囲が「xからy」の形式で記載されているとき、様々な終点を組み合わせたすべての範囲も企図されるものと理解される。用語「含む(comprising)」が明細書または特許請求の範囲で用いられる場合、具体的に列挙されていない任意の用語、ステップ、または特徴を排除することを意図しない。別段の指示のないかぎり、すべての温度は摂氏温度(℃)である。別段の指示のないかぎり、すべての測定値はSI単位である。言及したすべての文献は−関連する部分において−参照により本明細書の一部とする。
【0017】
(図面の概説)
本発明をここに、添付の図面を参照して、単に例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の特定の高温安定化剤を含まず、脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品のみを含有する液体組成物の粘度プロファイルに対する温度の影響を示す図である(表3の比較例1A)。この図は、この試料が貯蔵温度に非常に敏感な粘度を有することを示している。25℃では、0.01s−1での粘度875Pasを有し、ローション様粘稠度を有する。40℃では、0.01s−1での粘度わずか20.5Pasを有する水希薄液体となる。せん断速度0.01s−1での40℃と25℃の粘度比は0.0234であり、この試料は45℃の貯蔵条件において1週間未満で相分離を示した。
【図2】比較例1AのDSCサーモグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明の詳細な記述)
本発明は、長鎖および短鎖脂肪酸(すべての線状脂肪酸の>20から<70%は>C14でなければならない。)の特定の組み合わせで安定化されている、脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品を含有する新規の液体洗浄組成物に関する。脂肪酸は、高温での液体組成物の粘度を増大するために用いられる。
【0020】
より詳細には、本発明は、
(a)製品中に遊離脂肪酸および/または脂肪石鹸を含有する、脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品3から45重量%、好ましくは4から40重量%、
(b)アニオン界面活性剤((a)の脂肪アシルイセチオナートを除く)、両性界面活性剤、および非イオン界面活性剤、ならびにこれらの混合物からなる群から選択された共界面活性剤0から15重量%、
(c)項目(a)の脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品中の遊離脂肪酸/脂肪石鹸を含む、C8からC20線状脂肪酸/脂肪石鹸4から20重量%(14より長い炭素鎖長を有する線状脂肪酸/脂肪石鹸は、組成物の総線状脂肪酸/脂肪石鹸の20から70重量%、好ましくは30から65重量%、より好ましくは30から60重量%である。)を含み、
総線状脂肪酸/石鹸と総合成界面活性剤(項目(a)の純粋脂肪アシルイセチオナート界面活性剤および項目(b)の合成共界面活性剤)の比は、少なくとも0.25、好ましくは0.30、および1.0未満であり、
0.01s−1での液体洗浄組成物の粘度は、25℃で少なくとも50Pas、好ましくは少なくとも100Pasであるべきであり、0.01s−1で測定されたとき、40℃の粘度と25℃の粘度の比は、少なくとも0.2、好ましくは0.3、もっとも好ましくは0.4であるべきであり、液体組成物のpHは、4.0から8.0、好ましくは4.5から7.5の範囲であり、前記組成物は、45℃で少なくとも2週間安定である(即ち、物理的に安定であり、目に見えて観察できる分離をしない)液体洗浄組成物を含む。
【0021】
第2の実施形態において、本発明は、上記の脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品、共界面活性剤、および高温貯蔵安定化系の組み合わせを用いて、このような組成物を製造する方法に関する。
【0022】
本発明を以下により詳細に定義する。
【0023】
定義
本発明の目的のために、脂肪アシルイセチオナート「製品」は、(他の成分に加えて)純粋な脂肪アシルイセチオナート界面活性剤、ならびに遊離脂肪酸および/または脂肪酸塩の両方を含む。
【0024】
脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品
本発明の組成物は、脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品3から45重量%を含み、界面活性剤製品中、遊離脂肪酸/脂肪石鹸5重量%超、好ましくは10重量%超を含む。
【0025】
脂肪アシルイセチオナート界面活性剤は典型的に、アルカリ金属イセチオナートなどのイセチオナート塩、ならびに8から20個の炭素原子およびヨウ素価(不飽和度を測定する。)20g未満を有する脂肪族脂肪酸の反応によって調製され、例えば、下式であり、
【0026】
HORSOM+RCOOH→RCOORSO
【0027】
式中、Rは、2から4個の炭素を含有する脂肪族炭化水素基であり、Mは、アルカリ金属カチオンもしくは金属イオン(例えば、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、リチウム)、アンモニウムもしくは置換アンモニウムカチオン、または他の対イオンであり、Rは、7から24個、好ましくは8から22個の炭素を有する脂肪族炭化水素基である。
【0028】
用いられる処理条件に応じて、得られる脂肪アシルイセチオナート製品は、典型的に5重量%未満存在するイセチオナート塩、および微量(2重量%未満)の他の不純物に加えて、脂肪アシルイセチオナート45から95重量%、および遊離脂肪酸50から約0重量%、典型的には40から5重量%の混合物であり得る。一般に、脂肪族脂肪酸の混合物は市販の脂肪アシルイセチオナート界面活性剤の調製に用いられ、得られる脂肪アシルイセチオナート界面活性剤(例えば、アルカリ金属イセチオナートと脂肪族脂肪酸の反応から得られる。)は、14個以上の炭素原子を含む脂肪アシル基少なくとも20重量%(脂肪アシルイセチオナート反応生成物に対して)、および14個以上の炭素原子を含む脂肪酸少なくとも16重量%を有する。
【0029】
これらの長鎖脂肪アシルイセチオナート界面活性剤および脂肪酸は、典型的に水において、周囲温度で不溶性の界面活性剤結晶を形成する。脂肪アシルイセチオナート/脂肪酸結晶は典型的に、下記の示差走査熱量測定(DSC)法を用いて、pH6.0から7.5の範囲で液体に脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品のみを含有する水溶液(表3の比較例1A)の結晶転移温度を測定することによって、図2に示したとおり、溶解温度30℃から45℃を有する。これらの脂肪アシルイセチオナート/脂肪酸結晶が存在することにより、液体組成物中にこれらの市販の脂肪酸イセチオナート製品を含有する液体は、室温以下で非常に高い粘度を有する。しかしながら40℃以上では、図1に示したとおり、これらの界面活性剤結晶の溶解のため、液体は水希薄液体に変化する。これが製品の非一貫性および高温(例えば、40℃以上)での貯蔵不安定性の原因となる。
【0030】
本発明の重要な態様は、高い貯蔵温度(例えば、40℃以上)で粘性界面活性剤液晶を形成することによって、得られる液体組成物がこの一貫性および安定性を維持できるように、本発明の特定の脂肪酸/脂肪石鹸の組み合わせ(即ち、下記の高温安定化系)を用いることによって、不溶性脂肪イソチアナート/脂肪酸結晶の分解による、高い貯蔵温度(40℃以下)での脂肪アシルイセチオナート製品含有液体洗浄剤の極度な非一貫性および高温での不安定性を解決できることである。
【0031】
ここで一貫して用いることのできる、脂肪酸/脂肪石鹸5重量%以上を含む特に好ましい脂肪アシルイセチオナート製品には、DEFI(脂肪イセチオナートの直接エステル化)フレーク、およびパーソナル洗浄剤適用のためにDEFIから生成された合成洗剤ヌードルが含まれる。DEFIフレークは典型的に、脂肪アシルイセチオン酸ナトリウム約65から80重量%、および遊離脂肪酸15から30重量%を含有する。得られた脂肪アシルイセチオナートの脂肪アシル基の65重量%超は、12から18個の炭素原子を有する。Dove(登録商標)洗浄バーヌードルは、脂肪アシルイセチオナート約40から60重量%ならびに脂肪酸および脂肪石鹸30から40重量%含有する、上記のDEFIフレークならびに長鎖(主としてC16およびC18)脂肪酸および脂肪石鹸の混合物である。本発明に用いることのできる他の市販の脂肪アシルイセチオナート製品の例は、ClariantのHostapon(登録商標)界面活性剤、例えばHostapon(登録商標)SCI65Cなど;Jordapon(登録商標)CI、Jordapon(登録商標)CI65;およびYongan Daily Chemical Co.のココイルイセチオン酸ナトリウム、例えばYA−SCI−75(登録商標)またはYA−SCI−65(登録商標)などである。Unileverによって製造されるDEFIフレークおよびDove(登録商標)洗浄バーヌードルがこの適用に特に好ましい。
【0032】
合成共界面活性剤
主題発明の第2の成分は、下記のアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、両性界面活性剤からなる群から選択された界面活性剤である。本発明に用いられる合成共界面活性剤の量は、0から15重量%の範囲であることができる。共界面活性剤のレベルを決定するとき、アシルイセチオナート製品の一部を形成するアシルイセチオナート界面活性剤の量は計算に入れない。
【0033】
アニオン界面活性剤は、例えば、第一級アルカン(例えば、C−C22)スルホン酸塩、第一級アルカン(例えば、C−C22)ジスルホン酸塩、C−C22アルケンスルホン酸塩、C−C22ヒドロキシアルカンスルホン酸塩、もしくはアルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩(AGS)などの脂肪族スルホン酸塩、またはアルキルベンゼンスルホン酸塩などの芳香族スルホン酸塩であることができる。
【0034】
アニオン界面活性剤は、アルキル硫酸塩(例えば、C12−C18アルキル硫酸塩)またはアルキルエーテル硫酸塩(アルキルグリセリルエーテル硫酸塩を含む。)であることもできる。アルキルエーテル硫酸塩には、下式を有するものがあり、
【0035】
RO(CHCHO)SO
【0036】
式中、Rは、8から18個の炭素、好ましくは12から18個の炭素を有するアルキルまたはアルケニルであり、nは、平均値少なくとも0.5超、好ましくは2から3を有し、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、または置換アンモニウムなどの可溶化カチオンである。ラウリルエーテル硫酸アンモニウムおよびナトリウムが好ましい。
【0037】
アニオン界面活性剤は、アルキルスルホコハク酸塩(モノおよびジアルキル、例えば、C−C22スルホコハク酸塩を含む。)、アルキルおよびアシルタウリン塩、アルキルおよびアシルサルコシン塩、アルキルおよびアシルグリシン酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、C−C22アルキルリン酸塩、アルキルリン酸エステル、およびアルコキシアルキルリン酸エステル、アシル乳酸塩、C−C22モノアルキルコハク酸塩およびマレイン酸塩、ならびに分岐アシルイセチオン酸塩であることもできる。
【0038】
別の種類のアニオン界面活性剤は、下式などのカルボン酸塩であり、
【0039】
R−(CHCHO)CO
【0040】
式中、Rは、CからC20アルキルであり、nは、1から20であり、Mは、上に定義したとおりである。
【0041】
用いることのできる別のカルボン酸塩は、例えばSeppicのMonteine LCQ(登録商標)などのアミドアルキルポリペプチドカルボン酸塩である。
【0042】
両性イオン界面活性剤は、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体として広く記載することができる界面活性剤によって例示され、ここで脂肪族基は直鎖または分岐鎖であることができ、脂肪族置換基の1つは、約8から約18個の炭素原子を含有し、1つは、アニオン基、例えばカルボキシ、スルホナート、スルファート、ホスファート、またはホスホナートを含有する。
【0043】
これらの化合物の一般式は、下式であり、
【0044】
【化1】

【0045】
式中、Rは、約8から約18個の炭素原子のアルキル、アルケニル、またはヒドロキシアルキル基、0から約10個のエチレンオキシド部分、および0から約1個のグリセリル部分を含有し、Yは、窒素、リン、および硫黄原子からなる群から選択され、Rは、約1から約3個の炭素原子を含有するアルキルまたはモノヒドロキシアルキル基であり、Xは、Yが硫黄原子であるとき1であり、Yが窒素またはリン原子であるとき2であり、Rは、約1から約4個の炭素原子のアルキレンまたはヒドロキシアルキレンであり、Zは、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスホナート、およびホスファート基からなる群から選択された基である。
【0046】
本発明に用いることのできる両性洗剤は、少なくとも1つの酸基を含む。これはカルボン酸またはスルホン酸基であることができる。これらには第四級窒素が含まれ、従って第四級アミド酸である。これらは一般に炭素原子7から18個のアルキルまたはアルケニル基を含むべきである。これらは通常、下記の全体的な構造式に従い、
【0047】
【化2】

【0048】
式中、Rは、炭素原子7から18個のアルキルまたはアルケニルであり、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素原子1から3個のアルキル、ヒドロキシアルキル、またはカルボキシアルキルであり、nは、2から4であり、mは、0から1であり、Xは、ヒドロキシルで場合により置換された、炭素原子1から3個のアルキレンであり、Yは、−CO−または−SO−である。
【0049】
アンホ酢酸塩およびジアンホ酢酸塩も、用いることのできる可能な両性イオンおよび/または両性化合物に含まれることが意図される。
【0050】
用いることのできる非イオン界面活性剤には、特に疎水性基および反応性水素原子を有する化合物、例えば脂肪族アルコール、酸、アミド、またはアルキルフェノールと、アルキレンオキシド、特にエチレンオキシド単独またはプロピレンオキシドを含むものとの反応生成物が含まれる。特定の非イオン洗剤化合物は、アルキル(C−C22)フェノール−エチレンオキシド縮合物、脂肪族(C−C18)第一級または第二級線状または分岐アルコールとエチレンオキシドの縮合生成物、ならびにエチレンオキシドとプロピレンオキシドおよびエチレンジアミンの反応生成物との縮合によって製造された生成物である。他のいわゆる非イオン洗剤化合物には、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖第三級ホスフィンオキシド、およびジアルキルスルホキシドが含まれる。
【0051】
非イオン界面活性剤は、多糖アミドなどの糖アミドであることもできる。具体的には、界面活性剤は、参照により本明細書の一部とするAuらの米国特許第5,389,279号に記載されているラクトビオンアミドの1つであることができ、または参照により本出願の一部とするKelkenbergの特許第5,009,814号に記載されている糖アミドの1つであることができる。
【0052】
用いることのできる他の界面活性剤は、Parran Jr.の米国特許第3,723,325号に記載されており、またLlenadoの米国特許第4,565,647号に記載されているアルキル多糖非イオン界面活性剤であり、共に参照により本出願の一部とする。
【0053】
好ましいアルキル多糖類は、下式のアルキルポリグリコシドであり、
【0054】
O(C2nO)(グリコシル)
【0055】
式中、Rは、アルキル基が約10から約18個、好ましくは約12から約14個の炭素原子を含有するアルキル、アルキルフェニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルフェニル、およびこれらの混合物からなる群から選択され、nは、0から3、好ましくは2であり、tは、0から約10、好ましくは0であり、xは、1.3から約10、好ましくは1.3から約2.7である。グリコシルは、好ましくはグルコースから誘導される。これらの化合物を調製するために、最初にアルコールまたはアルキルポリエトキシアルコールを形成し、次いでグルコースまたはグルコース源と反応させて、グルコシド(1位で結合)を形成する。次いで、追加のグリコシル単位を、これらの1位と先行するグリコシル単位2、3、4、および/または6位、好ましくは主として2位との間に結合させることができる。
【0056】
用いることのできる他の界面活性剤は、Parran Jr.の米国特許第3,723,325号、およびSchwartz、Perry、およびBerchの「Surface Active Agents and Detergents」(Vol.I&II)に記載されており、共に参照により本出願の一部とする。
【0057】
本発明の好ましい一組成物は、アニオン(例えば、アルカリ金属アルキルエーテル硫酸塩などのアルコキシル化硫酸塩)と両性(例えば、ベタイン)の混合物を含むアシルイセチオナート製品を含む。他の実施形態において、イセチオナート製品は、アルキルエーテル硫酸塩単独と共に(実施例7参照)、両性界面活性剤単独と共に(実施例4から6参照)、または共界面活性剤を用いずに(実施例1および2参照)用いることができる。
【0058】
高温貯蔵安定化系
本発明の別の必須の成分は、高温貯蔵安定化系であり、この系は長鎖および短鎖線状脂肪酸/脂肪石鹸の組み合わせを含む。「高温貯蔵安定化系」を定義するこの特定の組み合わせは、40℃以上で貯蔵されたとき、液体組成物の粘度がこの物理的安定性を維持するのに十分な粘性のままであるように、40℃以上で液体組成物の粘度を増大することが見出された。理論に縛られることを望むものではないが、高温貯蔵安定化系を定義する特定の組み合わせは、この分解温度を超える温度での不溶性脂肪アシルイセチオナート/脂肪酸結晶の分解時に、本発明による液体組成物の界面活性剤混合物のパッキングを変化させ、この液体が高粘度を維持し、この物理的安定性を維持するように、低粘度界面活性剤ミセルの代わりに粘性界面活性剤液晶を形成すると考えられる。本発明の長鎖脂肪酸は、16から20個の炭素を有する線状脂肪酸/脂肪石鹸として定義され、短鎖脂肪酸は、14個以下の炭素を有する線状脂肪酸/脂肪石鹸である。
【0059】
本発明の高温貯蔵安定化系としての脂肪酸/脂肪石鹸混合物の選択には3つの基準がある。第1に、本発明の洗浄組成物中の線状脂肪酸/脂肪石鹸の総レベルは、組成物の少なくとも4重量%から20重量%までであるべきである。これには、組成物中に個別に存在するものに加えて、液体洗浄組成物に添加された脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品の脂肪酸/脂肪石鹸が含まれる。第2の基準は、洗浄組成物中の脂肪酸/脂肪石鹸混合物の総量と脂肪アシルイセチオナート界面活性剤および共界面活性剤の総量との比が、少なくとも0.25、好ましくは0.30、および1.0以下であることである。これは、液体の安定化に必要とされる十分な脂肪酸/脂肪石鹸レベルが存在することを確実にするためである。最後の基準は、長鎖脂肪酸/脂肪石鹸(>C14)の量が、液体組成物に添加された総線状脂肪酸/脂肪石鹸の70重量%以下であり、少なくとも20重量%であるべきことである。
【0060】
本発明の液体組成物に必要とされる脂肪酸/脂肪石鹸のレベルおよび組成はいずれも、25℃および40℃の両方で下に記載する粘度法を用いて、上記の3つの基準に基づいて選択された様々な量の長鎖および短鎖脂肪酸/脂肪石鹸を含有する本発明の液体洗浄剤組成物の粘度を測定することによって求めることができる。0.01s−1での粘度は、25℃で少なくとも50Pas、好ましくは100Pasであるべきであり、0.01s−1での40℃の粘度と25℃の粘度比は、少なくとも0.2、好ましくは0.3、もっとも好ましくは0.4であるべきである。上記の粘度基準の他に、液晶調整剤の所望の組み合わせを含有する液体組成物は、45℃で2週間超の間、安定であるべきである。
【0061】
水溶性/水分散性ポリマー
水溶性/水分散性ポリマーは、本発明の液体組成物に含まれることが好ましい任意の成分である。水溶性/または水分散性ポリマーは、100,000ダルトンより大きい分子量を有するカチオン、アニオン、両性、または非イオンポリマーであることができる。これらのポリマーは、使用中および使用後の皮膚の知覚的感触を向上させること、泡立ちのクリーム性および泡立ち安定性を向上させること、および液体洗浄組成物の粘度を増大させることが知られている。
【0062】
本発明に有用な水溶性/または水分散性ポリマーの例には、炭水化物ガム、例えばセルロースガム、微結晶性セルロース、セルロースゲル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシメチルまたはカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、グアーガム、カラヤガム、トラガカントガム、アラビアガム、アカシアガム、寒天ガム、キサンタンガム、およびこれらの混合物;ゲル化温度30から85℃を有する化工または非化工デンプン顆粒、および前ゲル化冷水可溶デンプン;ポリアクリラート;Carbopol;アルカリ可溶性エマルションポリマー、例えばAculyn28、Aculyn22、またはCarbopol Aqua SF1;カチオンポリマー、例えばJaguar C13S、Jaguar C14S、Jaguar C17、またはJaguar C16などの商品名でRhone Poulencから入手可能なカチオングアーを含む修飾多糖類;カチオン修飾セルロース、例えばAmercholのUCAREポリマーJR30またはJR40など;HerculesのN−Hance3000、N−Hance3196、N−Hance GPX215、またはN−Hance GPX196;合成カチオンポリマー、例えばNalcoのMerQuat100、MerQuat280、Merquat281、およびMerquat550など;カチオンデンプン、例えばStaley Inc.製のStaLok(登録商標)100、200、300、および400;Henkel,Inc.のGalactasol800シリーズのグアーガムをベースとするカチオンガラクトマンナン;Quadrosoft Um−200;ならびにPolyquaternium−24が含まれる。
【0063】
ゲル形成ポリマー、例えば化工または非化工デンプン顆粒、キサンタンガム、Carbopol、アルカリ可溶性エマルションポリマー、およびカチオングアーガム、例えばJaguarC13Sなど、およびカチオン修飾セルロース、例えばUCAREポリマーJR30またはJR40などが本発明のために特に好ましい。
【0064】
水溶性皮膚有益剤
水溶性皮膚有益剤は、本発明の液体組成物に含まれることが好ましい別の任意成分である。種々の水溶性皮膚有益剤を用いることができ、このレベルは0から50重量%、好ましくは1から30%であることができる。これらの材料には、これに限定されるものではないが、多価アルコール、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール、パンテノール、および糖など;尿素、α−ヒドロキシ酸およびこの塩、例えばグリコール酸または乳酸など;ならびに分子量20,000未満を有する低分子量ポリエチレングリコールが含まれる。液体組成物に用いるための好ましい水溶性皮膚有益剤は、グリシン、ソルビトール、およびプロピレングリコールである。
【0065】
本発明の液体洗浄組成物はまた、有益剤0から40重量%を含むことができる。
【0066】
これらの成分の1つの種類は、例えば皮膚を保湿および強化するために用いられる栄養剤である。これらには、以下のものが含まれる。
a)ビタミン、例えばビタミンAおよびEなど、ならびにビタミンアルキルエステル、例えばビタミンCアルキルエステルなど、
b)脂質、例えばコレステロール、コレステロールエステル、ラノリン、クリーム(creaminess)、スクロースエステル、および疑似セラミドなど、
c)リポソーム形成材料、例えばリン脂質など、および2つの炭化水素長鎖を有する適切な両親媒性分子、
d)必須脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、およびこれらの材料源、
e)不飽和脂肪酸のトリグリセリド、例えばヒマワリ油、プリムローズ油、アボカド油、アーモンド油など、
f)飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸の混合物から形成された植物性バター、例えばシアバターなど、ならびに
g)鉱物、例えば亜鉛、マグネシウム、および鉄源など。
【0067】
第2の種類の皮膚有益剤は、皮膚に潤いのある感触を与えるために用いられる皮膚コンディショナーである。適切な皮膚コンディショナーには、以下のものが含まれる。
a)シリコーン油、ガム、およびこれらの修飾物、例えば線状および環状ポリジメチルシロキサン、アミノ、アルキル、およびアルキルアリールシリコーン油など、
b)炭化水素、例えば流動パラフィン、ワセリン、Vaseline(商標)、微結晶性ロウ、セレシン、スクアレン、プリスタン、パラフィンロウ、および鉱油など、
c)調湿(conditioning)タンパク質、例えばミルクタンパク質、シルクタンパク質、およびグルテンなど、
d)用いることのできるコンディショナーとしてのカチオンポリマーには、Quartrisoft LM−200 Polyquaternium−24、Merquat Plus3330−Polyquaternium30、およびJaguar(登録商標)型のコンディショナーが含まれる、
e)保湿剤、例えばグリセロール、ソルビトール、および尿素、
f)エモリエント剤、例えば長鎖脂肪酸のエステル、例えばパルミチン酸イソプロピル、および乳酸セチルなど。
【0068】
第3の種類の有益剤は、深部(deep)洗浄剤である。これらは本明細書において、洗浄直後の爽快感を増大することができるか、または不完全な洗浄に伴う皮膚の問題に持続的な効果を提供することのできる成分として定義される。深部洗浄剤には、以下のものが含まれる。
a)抗菌剤、例えば2−ヒドロジ−4,2’,4’−トリクロロジフェニルエーテル(DP300)、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシクロロベンゼン(PCMX)、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(TCC)、3−トリフルオロメチル−4,4’−ジクロロカルバニリド(TFC)、過酸化ベンゾイル、亜鉛塩、ティーツリー油など、
b)抗ニキビ剤、例えばサリチル酸、乳酸、グリコール酸、およびクエン酸、ならびに過酸化ベンゾイル(抗菌剤でもある。)など、
c)皮脂抑制剤、シリカ、二酸化チタンなどの調整剤、ミクロスポンジなどの油吸収剤を含む、油分制御剤、
d)タンニン、亜鉛およびアルミニウム塩、緑茶およびアメリカマンサク(ハマメリス)由来のものなど植物抽出物を含む、収れん剤、
e)スクラブおよび剥脱粒子、例えばポリエチレン球、凝集シリカ、糖、クルミ、モモ、アボカド、およびエンバク由来のものなどの粉砕核、種、および殻、塩など、
f)冷却剤、例えばメタノールおよび種々の誘導体、ならびに低級アルコールなど、
g)果実および薬草抽出物、
h)皮膚鎮静剤、例えばアロエベラなど、
i)精油、例えばハッカ油、ジャスミン油、ショウノウ油、ヌマヒノキ油、苦橙皮油、ライムギ油、テレビン油、桂皮油、ベルガモット油、ウンシュウミカン油、ショウブ油、パイン油、ラベンダー油、ベイ油、チョウジ油、ヒバ油、ユーカリ油、レモン油、スターフラワー油、タイム油、ペパーミント油、ローズ油、セージ油、メントール油、シネオール油、スゲノール油、シトラール油、シトロネル油、リュウノウ油、リナロール油、ゲラニオール油、月見草油、ショウノウ油、チモール油、スピラントール油、ペネン(penene)油、リモネン油、およびテルペノイド油など。
【0069】
用いることのできる他の有益剤には、抗老化化合物、日焼け防止剤、および美白剤が含まれる。
【0070】
有益剤が油、特に低粘度油であるとき、この送達を向上させるために、予め増粘するのが有利である可能性がある。このような場合、参照により本出願の一部とする、HeらのU.S.5,817,609に記載されている型の疎水性ポリマーを用いることができる。
【0071】
本発明の最終液体洗浄組成物は、Rheometric Scientific SR5 Rheolmeterによって25℃で求めた、0.01s−1で測定された粘度50Pas超、好ましくは100Pas超を有するべきであり、0.01s−1での40℃の粘度と25℃の粘度の比は、下記の粘度決定法に従って、少なくとも0.2、好ましくは0.3、もっとも好ましくは0.4であるべきであり、pHは、4.0から8.0、好ましくは4.5から7.5である。
【0072】
周囲温度において、組成物は、溶解温度30℃から50℃を有する界面活性剤結晶を含有する。組成物はまた、室温および45℃で少なくとも2週間、物理的に相安定であるべきである。
【0073】
他の任意成分
さらに、本発明の組成物は、以下の任意成分0から10重量%を含むことができる。
【0074】
香料;金属イオン封鎖剤、例えばエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA)、EHDP、または混合物0.01から1%、好ましくは0.01から0.05%の量;ならびに着色剤、乳白剤、およびパール化剤、例えばステアリン酸亜鉛(zinc striate)、ステアリン酸マグネシウム、TiO、EGMS(エチレングリコールモノステアラート)、またはLytron621(スチレン/アクリラートコポリマー)などであり、すべて製品の外観または化粧特性を向上させるのに有用である。
【0075】
組成物はさらに、2−ヒドロキシ−4,2’,4’−トリクロロジフェニルエーテル(DP300)などの抗菌剤、ジメチロールジメチルヒダントイン(Glydant XL1000)、パラベン、ソルビン酸などの保存剤を含むことができる。
【0076】
適切であれば、約0.01%以上の量で、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)などの抗酸化剤を有利に用いることができる。
【0077】
コンディショナーとして用いることのできるポリエチレングリコールには、以下のものが含まれる。
【0078】
【表1】

【0079】
含むことのできる他の成分は、ポリオキシエチレンビーズ、クルミの殻、およびアンズの種などの剥脱剤である。
【実施例】
【0080】
実施例およびプロトコル
示差走査熱量測定(DSC)の方法
試料をアルミパンに秤量して入れ、気密密閉し、TA Instrumentsの2920 MDSC機器に25℃で載せた。試料を2℃に平衡させ、2分間保持(Iso−Track)し、その後、5℃/分で60℃に加熱した。
【0081】
粘度測定の方法
粘度は、定速スイープ試験またはピーク保持試験法によって、TA InstrumentsのAR−G2応力制御Rheometerを用いて測定した。洗浄剤の粘度を測定するための各試験方法の手順および設定は以下のとおりである。
【0082】
試験方法A:定速スイープ法
形状:コーンおよびプレート
直径:40mm
コーン角度:2°
間隙:0.061mm
実験条件:
試験の型:定速スイープ
せん断速度勾配:0.01から100s−1(対数モード、10進当たり5ポイント)
測定時間:40秒
温度:多様(25℃/40℃)
【0083】
手順
試料約0.5gをプレートに注いだ。コーンを間隙0.1mmまで下げ、過剰の試料をプラスチック製のスパチュラを用いて除去した。間隙を0.061mmに減らし、試験を開始した。せん断速度対粘度をプロットした。
【0084】
試験方法B:ピーク保持法
形状:標準アルミニウム平行プレート
直径:40mm
間隙:1000マイクロメートル
試験設定:せん断速度0.01(1/s)保持
時間:50秒
試料採取遅延時間:10秒
温度:多様(25℃/40℃)
【0085】
手順
試料約2gをプレートに注いだ。プレートを間隙1000マイクロメートルまで下げ、過剰の試料をプラスチック製のスパチュラを用いて除去した。試験を開始し、5回の読み取りを行った。第1回の読み取りを除き、最後4回の読み取りを用いた。
【0086】
本発明の組成の実施例を以下に示す(表中のすべての数字は、液体組成物において100%活性とした各成分の重量%である。)。
【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】
表1および表2のすべての実施例は、香料、Glydant plus、およびEDTAを除くすべての成分を、70から75℃で30から50分間、Dove(登録商標)ヌードル、DEFIフレーク、Jordapon CI、および脂肪酸などのすべての固体成分が溶解して均一な混合物が形成されるまで混合することによって調製した。液体を40℃未満に冷却した後、香料、Glydant plus(ヒダントイン保存剤)、および硫酸アンモニウムを添加した。30%クエン酸または25%NaOH溶液を用いて、これらの液体のpHを5.5から7.0に調節した。DEFIおよびDove(登録商標)はいずれも、Unileverによって製造された脂肪アシルイセチオナート製品である。DEFIは、C8からC18脂肪アシルイセチオナート約72.5重量%、および炭素8から18の遊離脂肪酸22重量%を有する。Dove(登録商標)は、DEFI約65から75重量%を長鎖(C16からC18)脂肪酸および脂肪石鹸15から25重量%と混合することによって調製される。Dove(登録商標)ヌードルは、脂肪アシルイセチオナート界面活性剤約50重量%、および線状脂肪酸/線状脂肪石鹸約35重量%を含有し、脂肪酸/脂肪石鹸の約79.2重量%は、14個を超える炭素を有する。Jordopon CIはICIから入手可能である。これは、ココイル脂肪イセチオナート約86重量%、および遊離ココ脂肪酸5重量%を有する。
【0090】
試料を室温および45℃で4週間超、貯蔵した。25℃および40℃の両方で測定した粘度のデータを表に示す。25℃では、表1および2に示したとおり、本発明の試料はすべて0.01s−1で100Pasを超える粘度を有し、0.01s−1で測定した40℃と25℃の粘度比は0.4より大きい。これらの試料は、4週間超の貯蔵後25℃および45℃の両方で目に見える物理的分離がなく、安定であった。本発明の定義された安定化系は、高レベルの脂肪酸/脂肪石鹸を含有する脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品を安定化するのに十分に強力である(即ち、高温貯蔵安定化系と共に用いたとき、組成物は、脂肪酸含量および/または脂肪アシル基の鎖長にかかわらず、少なくとも4週間、高温および低温の両方で一貫して安定である。)ことを、これらの実施例は示している。
【0091】
【表4】

【0092】
本発明で請求する特定の脂肪酸混合物、即ち液体組成物中の総脂肪酸/脂肪石鹸の70重量%以下が14個超の炭素を有する混合物を用いず、それぞれ表1および2の実施例1、5、11、12、14、および16に類似した組成を有する、表3に示した比較例1A、5A、11A、12A、14A、および16Aを、比較のために調製した。すべての比較例を上記と同じ方法で調製した。これらの比較例の組成は、比較例1Aを除いて、すべてGreeneらの米国特許第5,132,037号、米国特許第5,234,619号、および米国特許第5,290,471号に記載されている。これらの比較例はいずれも45℃で2週間超の間安定でなく、液体組成物を安定化するのに必要とされる適切な脂肪酸混合物が欠如しているため、すべて2週未満で相分離を示した。
【0093】
具体的には、すべての比較例(1A、5A、11A、12A、14A、および16A)は、GreeneらのU.S.5,132,037に開示されているものと比較して、総線状脂肪酸/石鹸に対する比として実質的に高レベルのC16、C18長鎖脂肪酸/脂肪石鹸を含む(例えば、75%超)脂肪酸混合物を有した。すべての比較例は、25℃で十分に高い粘度を有さないか(比較例11A、12A、14A、および16A)、または25℃と40℃の粘度比0.20未満を有した(比較例1Aおよび5A)。
【0094】
図2は、実施例1AのDSCトレースを開示するものであり、これは本発明の必須パラメータが満たされないとき、約40℃で急速に粘度が低下(熱流量の低下で示される。)することを示している。これは前に論じた図1でも直接示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナル用液体皮膚または毛髪洗浄組成物であって、
(a)脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品3から45重量%(前記製品は、前記製品中に脂肪アシルイセチオナート、ならびに遊離脂肪酸および/または脂肪石鹸を含む。)、
(b)アニオン界面活性剤((a)の脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品の脂肪アシルイセチオナート成分を除く)、両性界面活性剤、および非イオン界面活性剤、ならびにこれらの混合物からなる群から選択された共界面活性剤0から15重量%、
(c)14より長い炭素鎖長を有する脂肪酸/脂肪石鹸が、組成物の総線状脂肪酸/脂肪石鹸の20から70重量%を占める、C8からC20総線状脂肪酸/脂肪石鹸(項目(a)の脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品の遊離脂肪酸/脂肪石鹸、ならびに組成物に見出される脂肪酸/脂肪石鹸の両方を含む)4から20重量%を含み、
総線状脂肪酸/脂肪石鹸と総合成界面活性剤(項目(a)の純粋脂肪アシルイセチオナート界面活性剤、および項目(b)の合成共界面活性剤の合計として定義される。)の比は、少なくとも0.25、および1.0未満であり、
0.01s−1および温度25℃で測定された前記液体洗浄組成物の粘度は、少なくとも50Pasであり、0.01s−1で測定されたとき、40℃の粘度と25℃の粘度の比は、少なくとも0.2であり、
液体組成物のpHは、4.0から8.0の範囲であり、
前記組成物は、45℃で少なくとも2週間安定である(物理的に安定であり、目に見えて観察できる分離をしない)組成物。
【請求項2】
脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品が、遊離脂肪酸/脂肪石鹸10重量%超を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
脂肪アシルイセチオナート界面活性剤製品が、遊離脂肪酸/脂肪石鹸15重量%超を含有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
粘度が少なくとも100Pasである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
40℃と25℃の粘度比が少なくとも0.3である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
脂肪アシルイセチオナート製品8から35%を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2011−506542(P2011−506542A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538627(P2010−538627)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067530
【国際公開番号】WO2009/077495
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】