説明

開口部装置

【課題】 換気小窓の止水性の向上及び操作性の向上が図れる開口部装置を提供する。
【解決手段】 建物の開口に設けられる四方枠2と、該四方枠2内に設けられた障子3,4と、該障子3に設けられた換気小窓5とを備え、該換気小窓5は、上桟8a、下桟8b及び左右の縦桟8c,8dからなる小窓枠8と、該小窓枠8内の室内側の幅方向略中間部に上下に掛け渡された召合せ部材10とを有し、小窓枠8内の召合せ部材10で仕切られた一方の領域の室内側に固定ガラス16を設け、小窓枠8内の室外側に可動ガラス17をスライド開閉自在に設け、小窓枠8内の召合せ部材10で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラス17の室内面に室内側から当接する気密材18を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部装置に係り、特に換気小窓を備えた開口部装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開口部装置としては、障子に換気小窓を設けたサッシが知られている(例えば特許第2593058号公報、特開昭63−165071号公報参照)。この種の換気小窓は、例えば上桟、下桟及び左右の縦桟からなる小窓枠内の室外側の幅方向略中間部に召合せ部材を上下に掛け渡し、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた一方の領域の室外側に固定ガラスを設け、小窓枠内の室内側に可動ガラスを横方向にスライド開閉自在に設けて構成されている。小窓枠内の召合せ部材で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラスの室外面に室外側から当接する気密材が設けられている。また、下桟の長手方向略中間部の室外面には可動ガラスを閉鎖位置で施錠するための締り具が設けられている。
【0003】
【特許文献1】特許第2593058号公報
【特許文献2】特開昭63−165071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記サッシにおける換気小窓においては、止水構造として閉鎖時の可動ガラスの室外面に気密材を当接させて気密性及び水密性を確保するように構成されているため、無風状態では気密材が可動ガラスの室外面に十分に当って隙間が無かったとしても、室外側から風圧を受けると、可動ガラスが室内側に移動して気密材の当たりが弱くなってしまい、もしもその際に可動ガラスの室外面と気密材の間に隙間が発生するとその隙間から雨水が浸入する可能性があった。
【0005】
また、雨水が小窓枠の下桟におけるガラス溝内に浸入した場合、十分な排水孔が構造上設けられていないため、室内側にオーバーフローする可能性があった。一方、風圧により可動ガラスが室内側に移動しても気密材の当りが十分であるように気密材の当り(ラップ代)を大きくすると、可動ガラスの開閉時に気密材の摩擦抵抗が大きくなり、操作性が悪くなってしまう。また、可動ガラスを開閉する際に引手部に手を掛けると、可動ガラスを室外側に押す方向に力が働くため、気密材の摩擦抵抗が一層大きくなってしまい、開閉が重くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、換気小窓の止水性の向上及び開閉操作性の向上が図れる開口部装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうち、請求項1の発明は、建物の開口に設けられる四方枠と、該四方枠内に設けられた障子と、該障子に設けられた換気小窓とを備え、該換気小窓は、上桟、下桟及び左右の縦桟からなる小窓枠と、該小窓枠内の室内側の幅方向略中間部に上下に掛け渡された召合せ部材とを有し、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた一方の領域の室内側に固定ガラスを設け、小窓枠内の室外側に可動ガラスをスライド開閉自在に設け、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラスの室内面に室内側から当接する気密材を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、建物の開口に設けられる四方枠と、該四方枠内に設けられた障子と、該障子に設けられた換気小窓とを備え、該換気小窓は、上桟、下桟及び左右の縦桟からなる小窓枠と、該小窓枠内の室内側の幅方向略中間部に上下に掛け渡された召合せ部材とを有し、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた一方の領域の室内側に固定ガラスを設け、小窓枠内の室外側に可動ガラスをスライド開閉自在に設け、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラスの室内面に室内側から当接する気密材を設け、前記下桟には前記可動ガラスを装着するガラス溝があり、該ガラス溝の下端とガラスの下端との間には空間があり、この空間から室外に連通する排水孔が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、建物の開口に設けられる四方枠と、該四方枠内に設けられた障子と、該障子に設けられた換気小窓とを備え、該換気小窓は、上桟、下桟及び左右の縦桟からなる小窓枠と、該小窓枠内の室内側の幅方向略中間部に上下に掛け渡された召合せ部材とを有し、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた一方の領域の室内側に固定ガラスを設け、小窓枠内の室外側に可動ガラスをスライド開閉自在に設け、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラスの室内面に室内側から当接する気密材を設け、前記召合せ部材に可動ガラスを閉鎖位置で施錠する締り具を設け、該締り具は解錠状態で可動ガラスよりも室内側に引っ込み、施錠状態で可動ガラスの可動領域まで突出するストッパーを有していることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、建物の開口に設けられる四方枠と、該四方枠内に設けられた障子と、該障子に設けられた換気小窓とを備え、該換気小窓は、上桟、下桟及び左右の縦桟からなる小窓枠と、該小窓枠内の室内側の幅方向略中間部に上下に掛け渡された召合せ部材とを有し、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた一方の領域の室内側に固定ガラスを設け、小窓枠内の室外側に可動ガラスをスライド開閉自在に設け、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラスの室内面に室内側から当接する気密材を設け、前記召合せ部材に可動ガラスを閉鎖位置で施錠する締り具を設け、該締り具は解錠状態で可動ガラスよりも室内側に引っ込み、施錠状態で可動ガラスの可動領域まで突出するストッパーを有し、該ストッパーには回動により可動ガラスを室内側に引き寄せるカム部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、建物の開口に設けられる四方枠と、該四方枠内に設けられた障子と、該障子に設けられた換気小窓とを備え、該換気小窓は、上桟、下桟及び左右の縦桟からなる小窓枠と、該小窓枠内の室内側の幅方向略中間部に上下に掛け渡された召合せ部材とを有し、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた一方の領域の室内側に固定ガラスを設け、小窓枠内の室外側に可動ガラスをスライド開閉自在に設け、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラスの室内面に室内側から当接する気密材を設けているため、換気小窓の止水性及び開閉操作性の向上が図れる。
【0012】
請求項2の発明によれば、建物の開口に設けられる四方枠と、該四方枠内に設けられた障子と、該障子に設けられた換気小窓とを備え、該換気小窓は、上桟、下桟及び左右の縦桟からなる小窓枠と、該小窓枠内の室内側の幅方向略中間部に上下に掛け渡された召合せ部材とを有し、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた一方の領域の室内側に固定ガラスを設け、小窓枠内の室外側に可動ガラスをスライド開閉自在に設け、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラスの室内面に室内側から当接する気密材を設け、前記下桟には前記可動ガラスを装着するガラス溝があり、該ガラス溝の下端とガラスの下端との間には空間があり、この空間から室外に連通する排水孔が設けられているため、換気小窓の止水性及び開閉操作性の更なる向上が図れる。
【0013】
請求項3の発明によれば、建物の開口に設けられる四方枠と、該四方枠内に設けられた障子と、該障子に設けられた換気小窓とを備え、該換気小窓は、上桟、下桟及び左右の縦桟からなる小窓枠と、該小窓枠内の室内側の幅方向略中間部に上下に掛け渡された召合せ部材とを有し、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた一方の領域の室内側に固定ガラスを設け、小窓枠内の室外側に可動ガラスをスライド開閉自在に設け、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラスの室内面に室内側から当接する気密材を設け、前記召合せ部材に可動ガラスを閉鎖位置で施錠する締り具を設け、該締り具は解錠状態で可動ガラスよりも室内側に引っ込み、施錠状態で可動ガラスの可動領域まで突出するストッパーを有しているため、換気小窓の止水性、開閉操作性及び防犯性の向上が図れる。
【0014】
請求項4の発明によれば、建物の開口に設けられる四方枠と、該四方枠内に設けられた障子と、該障子に設けられた換気小窓とを備え、該換気小窓は、上桟、下桟及び左右の縦桟からなる小窓枠と、該小窓枠内の室内側の幅方向略中間部に上下に掛け渡された召合せ部材とを有し、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた一方の領域の室内側に固定ガラスを設け、小窓枠内の室外側に可動ガラスをスライド開閉自在に設け、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラスの室内面に室内側から当接する気密材を設け、前記召合せ部材に可動ガラスを閉鎖位置で施錠する締り具を設け、該締り具は解錠状態で可動ガラスよりも室内側に引っ込み、施錠状態で可動ガラスの召合せ側端部まで突出するストッパーを有し、該ストッパーには回動により可動ガラスを室内側に引き寄せるカム部が設けられているため、換気小窓の止水性、開閉操作性及び防犯性の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照して詳述する。図1は本発明を引違いサッシに適用した第1実施形態を示す室内側正面図、図2は同サッシの換気小窓に設けられる締り具の分解斜視図、図3の(a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図、図4は換気小窓を示す図で、(a)は施錠時の横断面図、(b)は開放時の横断面図、図5は締り具の作用を説明する斜視図、図6は締り具の作用を説明する説明図である。
【0016】
これらの図において、1は開口部装置の一例では引違いサッシで、このサッシ1は建物の開口に設けられる上枠2a、下枠2b及び左右の縦枠2c,2dからなる四方枠2と、この四方枠2内に設けられた内外の障子3,4と、該障子例えば一方の障子(図示例では内障子)3に設けられた換気小窓5とを備えている。一般的に障子3は、上框6a、下框6b及び左右の縦框(例えば召合せ框と戸先框)6c,6dからなる框組6内にガラス7を装着してなる。この障子3の上部に換気小窓5を設けるために、両縦框6c,6d間の上方には中横桟8bが掛け渡されている。この中横桟8b、下框6b及び左右の縦框6c、6dで囲まれた領域にガラス7がビード9を介して装着されている。
【0017】
換気小窓5は、上桟8a、下桟である中横桟8b及び左右の縦桟8c,8dからなる小窓枠8と、該小窓枠8内の室内側の幅方向略中間部に上桟8aと中横桟8b間に上下(縦)に掛け渡された召合せ部材10とを有している。また、小窓枠8内の室外側の幅方向略中間部には、前記召合せ部材10と対応した位置に召合せ部材10と略同じ幅の外部カバー部材11が上桟8aと中横桟8b間に上下に掛け渡されている。召合せ部材10と外部カバー部材11は、上桟8aと中横桟8bの対向面に形成した切欠部(図示省略)に上下端部をそれぞれ差し込むことにより保持されている。前記四方枠2の枠材、障子3,4の框材、換気小窓5の桟材、召合せ部材10及び外部カバー部材11は、例えばアルミ押出形材からなっている。上桟8aの上部には上框6aの下部に形成された断面逆U字状の凹部12に嵌合する上部嵌合部13が形成され、縦桟8c,8dの外側部には縦框6c,6dの内側部に形成された断面略U字状の凹部14に嵌合する側部嵌合部15が形成されている。
【0018】
小窓枠8内の召合せ部材10で仕切られた一方の領域(図示例では左側)の室内側には嵌め殺しの固定ガラス16が嵌め込んで設けられ、小窓枠8内の室外側には可動ガラス17が横方向にスライド開閉自在に設けられている。小窓枠8内の召合せ部材10で仕切られた他方の領域(図示例では右側)の開口周縁部には閉鎖時の可動ガラス17の室内面に室内側から当接する気密材18が設けられている。気密材18は前記領域の開口の内周に形成された溝に装着されている。一方の領域の開口周縁部には固定ガラス16の室内側周縁部に室内側から当接するガラス押さえ用のビード19が設けられている。
【0019】
前記中横桟8bには前記固定ガラス16と可動ガラス17を装着するガラス溝20a,20bがあり、該ガラス溝20a,20bの下端とガラス16,17の下端との間には空間21a,21bがあり、この空間21a,21bから室外に連通する排水孔22a,22bが設けられている。室内側及び室外側の下部のガラス溝20a,20bの深さは例えば15mm程度と深く形成され、雨水を溜める容量を大きくしてある。室内側の下部のガラス溝20aには固定ガラス16を所定高さ位置に保持するスぺーサ23が取付けられている。室外側の上部と下部のガラス溝20bには可動ガラス17をがたつかないように所定高さ位置でスライド開閉可能に支持するガイド部材24a,24bが取付けられている。
【0020】
前記室内側の下部のガラス溝20aの室外側溝壁には当該ガラス溝20a内に入る雨水や結露水を外部に排水するための排水孔22aが室外側の下部のガラス溝20bと連通するように設けられている。室外側の下部のガラス溝20bの底部には当該ガラス溝20b内に入る雨水や結露水を外部に排水するための排水孔22bが外部と連通するように設けられている。なお、前記排水孔22a,22bの加工が困難であるため、室外側の下部のガラス溝20bは、断面略L字状の形材25を中横桟8bに係合とネジ(固着具)止めにより着脱可能に取付けることにより構成されている。
【0021】
前記召合せ部材10には可動ガラス17を閉鎖位置で施錠する締り具26が設けられ、該締り具26は解錠状態で可動ガラス17よりも室内側に引っ込み、施錠状態で召合せ部材10側から可動ガラス17の可動領域まで突出するストッパー27を有している。ストッパー
27には回動により可動ガラス17を閉鎖方向に押すカム部である第1カム部28と、可動ガラス17を室内側に引き寄せるカム部である第2カム部29とが設けられている。ストッパー27は室内外方向に軸心を向けた回動軸27aの先端(室外側)に鉤部27bを直角に形成してなり、その回動軸27aには鉤部27bの向く方向に偏心した第1カム部28が設けられ、鉤部27bの内面(室内側の面)にはその先端方向(径方向外方)から中心方向に向かって肉厚が増大するように傾斜した第2カム部29が設けられている。
【0022】
可動ガラス17の左右の端部が開閉時に入り込めるように両縦桟8c,8dの対向面には溝が形成され、該溝内には可動ガラス17の端部を少なくとも閉鎖時(図示例では閉鎖時だけでなく開放時も)に室内側に引き寄せるための傾斜面を有する引き寄せ部材30が設けられている。可動ガラス17の室内面における戸先側には可動ガラスを開閉操作するための引手部31が凹溝状に形成されている。小窓枠8内の外部カバー部材11で仕切られた一方の領域(図示例では右側)の室外側には網戸32が嵌め込んで設けられている。
【0023】
前記締り具26は、図2〜図6に示すように、召合せ部材10の室内面の上下方向略中間位置にネジ止めにより取付けられる、裏面が開放されたケース33と、該ケース33の一側部に上下方向にスライド自在に設けられた操作部である操作摘み34と、ケース33内に収容されて設けられ、操作摘み34の上下方向の動きをストッパー27の回動と室内外方向の進退移動とに変換する変換機構35と、ケース33の裏面にネジ36で取付けられる裏蓋37とから主に構成されている。裏蓋37にはストッパー27の回動軸27aが貫通する孔部38と、鉤部27bを上向きの待機位置に収容する収容凹部39とが形成されている。
【0024】
前記変換機構35は、操作摘み34により上下方向にスライド操作されるスライダー40と、前記ストッパー27の回動軸27aに先端が嵌合されてピン41で固定され、前記裏蓋37の孔部38に回動可能及び進退移動可能に支持された駆動軸42とからなっている。駆動軸42には該駆動軸42を前後に進退操作するための軸状の第1腕部42aと、該駆動軸42を回動操作するための二股の第2腕部42bとが径方向に突設されている。第2腕部42bは、第1腕部42aよりも駆動軸42の周方向における半時計方向に45度程度位置をずらして配置されていることが好ましい。スライダー40には第1腕部42aを案内してストッパー27を引込み位置(待機位置)から突出位置に突出させるための傾斜した案内溝40aと、ストッパー27を突出位置において時計方向に90度回動させるために前記第2腕部42bの溝42c内に係合する突軸40b(図6参照)とが設けられている。
【0025】
図5の(a)は操作摘み34が最下部にあってストッパー27が待機位置(解錠位置)にあるときの図、(b)は操作摘み34を略中間位置まで上方に操作してストッパー27を突出位置にしたときの図、(c)は操作摘み34を最上部直前まで上方に操作してストッパー27を時計方向に90度回動させて施錠位置にしたときの図、(d)は操作摘み34を更に最上部まで操作してストッパー27自体を解錠方向に回動できないロック状態にしたときの図である。
【0026】
図6の(a),(b)は図5の(a)に対応する締り具の側面図と正面図、(c),(d)は図5の(b)に対応する締り具の側面図と正面図、(e),(f)は図5の(c)に対応する締り具の側面図と正面図、(g),(h)は図5の(d)に対応する締り具の側面図と正面図である。操作摘みを最上部に操作すると、図6の(h)に示すように突軸40bが第2腕部42bの溝42cから離脱して第2腕部42bの先端に当接することによりロック状態となり、ストッパー27を外部から不正に解錠方向に回動しようとしても回動することができず、防犯性の向上が図れる。すなわち、第2腕部42bの先端と突軸40bは、ストッパー27が施錠位置にあるときにストッパー27の解錠方向への回動を阻止する回動阻止機構52を構成している。なお、ストッパー27を施錠位置から解錠位置に戻すには操作摘み34を最上部から最下部まで下方に操作すれば良い。
【0027】
以上の構成からなるサッシ1によれば、建物の開口に設けられる四方枠2と、該四方枠2内に設けられた障子3,4と、その少なくとも一方の障子3に設けられた換気小窓5とを備え、該換気小窓5は、上桟8a、中横桟(下桟)8b及び左右の縦桟8c、8dからなる小窓枠8と、該小窓枠8内の室内側の幅方向略中間部に上下に掛け渡された召合せ部材10とを有し、小窓枠8内の召合せ部材10で仕切られた一方の領域の室内側に固定ガラス16を設け、小窓枠8内の室外側に可動ガラス17をスライド開閉自在に設け、小窓枠8内の召合せ部材10で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラス17の室内面に室内側から当接する気密材18を設けているため、換気小窓5の止水性及び開閉操作性の向上が図れる。
【0028】
すなわち、小窓枠8内の室外側に可動ガラス17を配置し、閉鎖時の可動ガラス17の室内面に室内側から気密材18を当接させているため、室外側から風圧を受けても気密材18の当たりが弱くなることがなく、可動ガラス17の室内面と気密材18の間に隙間が発生しにくいため、その隙間から雨水が浸入し難い。また、風圧により可動ガラス17が室内側の気密材18に対する当りが増大するので、従来の換気小窓のように気密材の当り(ラップ代)を大きくする必要がなく、可動ガラス17の開閉時に気密材の摩擦抵抗を軽減でき、開閉操作性の向上が図れる。
【0029】
また、可動ガラス17を開閉する際に引手部31に手を掛けると、可動ガラス17を室外方向へ押して気密材18から離れる方向に力が働くため、気密材18の摩擦抵抗が一層軽減され、開閉を軽くでき、開閉操作性の更なる向上が図れる。更に、前記換気小窓5の下桟である中横桟8cには固定ガラス16及び可動ガラス17を装着するガラス溝20a,20bがあり、該ガラス溝20a,20bの下端とガラスの下端との間には空間21a,21bがあり、この空間21a,21bから室外に連通する排水孔22a,22bが設けられているため、雨水がガラス溝20a,20b内に浸入したとしても、その雨水をガラス溝20a,20bの空間21a,21bに十分溜めることができるだけでなく、排水孔22a,22bから室外に排水することができ、雨水が室内側にオーバーフローするのを防止できる。また、換気小窓5に生じた結露水をガラス溝20a,20bに受けて排水孔22a,22bから室外に排水することができる。
【0030】
前記召合せ部材10には可動ガラス17を閉鎖位置で施錠する締り具26が設けられ、該締り具26は解錠状態で可動ガラス17よりも室内側に引っ込み、施錠状態で可動ガラス17の可動領域(閉鎖位置の可動障子の召合せ側端部)まで突出するストッパー27を有しているため、防犯性の向上が図れる。また、ストッパー27には回動により可動ガラス17を室内側に引き寄せる第2カム部(カム部)29とが設けられているため、可動ガラス17を閉鎖時に十分に室内側の気密材18に押し当てることができ、止水性の更なる向上が図れる。このように換気小窓5は比較的に構造が簡単であるため、安価に製造することが可能である。
【0031】
また、締り具26は、ケース33と、該ケース33の一側部に上下方向にスライド自在に設けられた操作摘み(操作部)34と、ケース33内に設けられ、操作摘み34の上下方向の動きをストッパー27の回動と室内外方向の進退移動とに変換する変換機構35とを有しているため、操作摘み34のスライド操作だけで容易に施解錠を行うことができ、操作性の向上が図れる。また、締り具26は、ストッパー27が施錠位置にあるときにストッパー27の解錠方向への回動を阻止する回動阻止機構41を備えているため、ストッパー27を外部から不正に解錠方向に回動することができず、防犯性の向上が図れる。
【0032】
図7は本発明の第2実施形態における換気小窓を示す図で、(a)は施錠時の横断面図、(b)は開放時の横断面図、図8は同小窓に設けられる締り具の室外面側斜視図、図9は同締り具の分解斜視図、図10は同締り具の作用を説明する斜視図、図11は同締り具の作用を説明する断面図である。本実施の形態において、前記実施の形態と同一部分は同一参照符号を付して説明を省略し、前記実施の形態と異なる締り具の具体的構造について詳述する。締り具26は、召合せ部材10の室内面の上下方向略中間位置にネジ止めにより取付けられる、裏面が開放されたケース33と、ストッパー27の回動と室内外方向の進退移動とを操作すべく該ケース33の室内側正面部の略中央部に回動自在及び室内外方向にスライド自在(進退自在)に設けられた操作摘み(操作部)34と、ケース33の裏面にネジ36で取付けられる裏蓋37とから主に構成されている。裏蓋37にはストッパー27を待機位置に収容可能な長穴38aが形成されている。
【0033】
前記操作摘み34は室外方向へ開口された円筒部34aを有し、この円筒部34a内にはストッパー27のベース部43が軸方向(室内外方向)にスライド自在に嵌合されている。円筒部34aの先端部には円筒部すなわち操作摘み34がケース33から抜けないように係止する一対の係止爪部34bが直径方向に突設されている。ケース33内には操作摘み34の円筒部34aを回動自在及び軸方向にスライド自在に収容する円形開口部33aが形成され、この円形開口部33aの内周面には、操作摘み34の動きを規制すべく係止爪部34bを案内するためのガイド溝44が形成されている。ガイド溝44は、操作摘み34の押し込みを許容する軸方向の第1溝44aと、押し込んでから時計方向の略90度の回動を許容する周方向の第2溝44bとからなっている。また、施錠位置でストッパーが解錠方向に回動しないように阻止する回動阻止機構として前記第2溝部44bの先端には係止爪部34bを室内方向に係止させる凹状の係止受部44cが形成されている。
【0034】
前記ベース部43は、操作摘み34の円筒部34a内にスライド自在に嵌合される円筒部43aと、前記ストッパー27の基端部を嵌合させてピン41で固定する駆動軸部43bとからなり、操作摘み34の円筒部34a内周面とベース部43の円筒部43a外周面には互いに係合して相対的回動を規制し、軸方向のスライドのみを許容する規制溝34cと突条部43cが形成されている。前記ベース部43の駆動軸部43bには該ベース部43を室内方向へ付勢する第1付勢手段であるコイル状の第1バネ45と、該第1バネ45の一端が当接されるワッシャー46と、裏板37の内面に当接される気密板47が嵌合装着されている。ワッシャー46は裏蓋37のエッジ部に当接されている。また、操作摘み34の円筒部34aとベース部43の円筒部43aとの間には操作摘み43を室内方向に付勢する第2付勢手段であるコイル状の第2バネ48が介設されている。この場合、第2バネ48は第1バネ45よりもバネ力が弱く形成されており、操作摘み34を押し込んで施錠位置に回動してから手を離すと、操作摘み34が第2バネ48により室内方向に押し戻されて係止爪部34bが係止受部44cに嵌合するようになっている。
【0035】
図10の(a)は操作摘みが室内側に突出していてストッパーが待機位置(解錠位置)にあるときの図、(b)は操作摘みを室外方向へ押し込み操作してストッパーを突出位置にしたときの図、(c)は操作摘みを時計方向に略90度回動操作してストッパーを施錠位置にしたときの図、(d)は操作摘みを開放することにより第2バネで室内側に少し押し戻されることでストッパー自体を解錠方向に回動できないロック状態にしたときの図である。図11の(a)〜(d)は図10の(a)〜(d)と対応する縦断面図である。本実施の形態のサッシによれば、前記実施の形態のサッシと同様の効果が得られる。
【0036】
図12は本発明の第3実施形態における換気小窓を示す図で、(a)は施錠時の横断面図、(b)は開放時の横断面図、図13は同小窓に設けられる締り具の分解斜視図、図14は同締り具の作用を説明する斜視図、図15は同締り具の作用を説明する断面図である。本実施の形態において、前記実施の形態と同一部分は同一参照符号を付して説明を省略し、前記実施の形態と異なる締り具の具体的構造について詳述する。締り具26は、召合せ部材10の室内面の上下方向略中間位置にネジ止めにより取付けられる、裏面が開放されたケース33と、ストッパー27の回動と室内外方向の進退移動とを操作すべく該ケース33の室内側正面部に上下方向にスライド自在及び室内外方向にスライド自在(進退自在)に設けられた操作摘み(操作部)34と、操作摘み34の上下方向の動きをストッパー27の回動に変換して伝えるレバー部材49と、ケース33の裏面にネジ36で取付けられる裏蓋37とから主に構成されている。裏蓋37にはストッパー27の回動軸27aが貫通する孔部38と、鉤部27bを上向きの待機位置に収容する収容凹部39とが形成されている。
【0037】
前記レバー部材49はストッパー27の基端部に嵌合されてピン41で固定される駆動軸部49aと、操作摘み34の裏面部に形成された水平の長穴50にスライド自在に係合する突軸部49bとを有している。レバー部材49と裏蓋37の間にはストッパー27を室内方向へ付勢する第1付勢手段であるコイル状の第1バネ45が設けられている。操作摘み34の裏面部の一側には係止爪部34bが突設されている。ケース33の正面部には操作摘み34をケース33内から室内側に突出させて上下方向の移動を許容する縦長方形の開口部33aが形成されている。ケース33と操作摘み34の間には目隠し板52が介在されている。ケース33内には操作摘み34の動きを規制すべく係止爪部34bを案内するためのガイド溝44が形成されている。このガイド溝44は、操作摘み34の押し込みを許容する室内外方向の第1溝44aと、押し込んでからストッパー27を略90度回動させるべく操作摘み34の上方への移動を許容する上下方向の第2溝44bとからなっている。また、施錠位置でストッパー27が解錠方向に回動しないように阻止する回動阻止機構として前記第2溝部44bの先端(上端)には係止爪部34bを室内方向に係止させる凹状の係止受部44cが形成されている。
【0038】
レバー部材49の突軸部49bには操作摘み34を室内方向に付勢する第2付勢手段であるコイル状の第2バネ48が設けられている。この場合、第2バネ48は第1バネ45よりもバネ力が弱く形成されており、操作摘み34を押し込んで施錠位置である上部に移動してから手を離すと、操作摘み34が第2バネ48により室内方向に押し戻されて係止爪部34bが係止受部44cに嵌合するようになっている。
【0039】
図14の(a)は操作摘み34が下部に位置されると共に室内側に突出していてストッパー27が待機位置(解錠位置)にあるときの図、(b)は操作摘み34を室外方向へ押し込み操作してストッパー27を突出位置にしたときの図、(c)は操作摘み34を押し込んだまま上部に移動させることによりレバー部材49を介してストッパー27を略90度回動操作して施錠位置にしたときの図、(d)は操作摘み34を開放することにより第2バネ48で室内側に少し押し戻されることでストッパー27自体を解錠方向に回動できないロック状態にしたときの図である。図15の(a)〜(d)は図14の(a)〜(d)と対応する縦断面図である。本実施の形態のサッシによれば、前記実施の形態のサッシと同様の効果が得られる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態ないし実施例を図面により詳述してきたが、本発明は前記実施の形態ないし実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。例えば、本発明は引違いサッシだけでなく、片引きサッシにも適用可能である。また、小窓枠の上桟と障子の上框とは、別体で形成されているが、一体に形成されていても良い。気密材を設ける開口周縁部には、開口の一番端だけではなく、例えば召合せ部材の若干中に入った所や、或いは、下枠の上端よりも若干下がった所も含まれる。実施例では、換気小窓5の下桟である中横桟8cには固定ガラス16及び可動ガラス17を装着するガラス溝20a,20bがあり、ガラス溝20a,20bの下端とガラスの下端との間には空間21a,21bがあり、空間21a,21bから室外に連通する排水孔22a,22bが設けられている場合が記載されているが、下桟である中横桟8cには可動ガラス17を装着するガラス溝20bがあり、該ガラス溝20bの下端と可動ガラス17の下端との間には空間21bがあり、この空間21bから室外に連通する排水孔22bが設けられていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明を引違いサッシに適用した第1実施形態を示す室内側正面図である。
【図2】同サッシの換気小窓に設けられる締り具の分解斜視図である。
【図3】(a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図である。
【図4】換気小窓を示す図で、(a)は施錠時の横断面図、(b)は開放時の横断面図である。
【図5】締り具の作用を説明する斜視図である。
【図6】締り具の作用を説明する説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態における換気小窓を示す図で、(a)は施錠時の横断面図、(b)は開放時の横断面図である。
【図8】同小窓に設けられる締り具の室外面側斜視図である。
【図9】同締り具の分解斜視図である。
【図10】同締り具の作用を説明する斜視図である。
【図11】同締り具の作用を説明する断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態における換気小窓を示す図で、(a)は施錠時の横断面図、(b)は開放時の横断面図である。
【図13】同小窓に設けられる締り具の分解斜視図である。
【図14】同締り具の作用を説明する斜視図である。
【図15】同締り具の作用を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 サッシ(開口部装置)
2 四方枠
5 換気小窓
10 召合せ部材
16 固定ガラス
17 可動ガラス
18 気密材
20a,20b ガラス溝
21a,21b 空間
22a,22b 排水孔
26 締り具
27 ストッパー
29 第2カム(カム部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口に設けられる四方枠と、該四方枠内に設けられた障子と、該障子に設けられた換気小窓とを備え、該換気小窓は、上桟、下桟及び左右の縦桟からなる小窓枠と、該小窓枠内の室内側の幅方向略中間部に上下に掛け渡された召合せ部材とを有し、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた一方の領域の室内側に固定ガラスを設け、小窓枠内の室外側に可動ガラスをスライド開閉自在に設け、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラスの室内面に室内側から当接する気密材を設けたことを特徴とする開口部装置。
【請求項2】
建物の開口に設けられる四方枠と、該四方枠内に設けられた障子と、該障子に設けられた換気小窓とを備え、該換気小窓は、上桟、下桟及び左右の縦桟からなる小窓枠と、該小窓枠内の室内側の幅方向略中間部に上下に掛け渡された召合せ部材とを有し、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた一方の領域の室内側に固定ガラスを設け、小窓枠内の室外側に可動ガラスをスライド開閉自在に設け、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラスの室内面に室内側から当接する気密材を設け、前記下桟には前記可動ガラスを装着するガラス溝があり、該ガラス溝の下端とガラスの下端との間には空間があり、この空間から室外に連通する排水孔が設けられていることを特徴とする開口部装置。
【請求項3】
建物の開口に設けられる四方枠と、該四方枠内に設けられた障子と、該障子に設けられた換気小窓とを備え、該換気小窓は、上桟、下桟及び左右の縦桟からなる小窓枠と、該小窓枠内の室内側の幅方向略中間部に上下に掛け渡された召合せ部材とを有し、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた一方の領域の室内側に固定ガラスを設け、小窓枠内の室外側に可動ガラスをスライド開閉自在に設け、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラスの室内面に室内側から当接する気密材を設け、前記召合せ部材に可動ガラスを閉鎖位置で施錠する締り具を設け、該締り具は解錠状態で可動ガラスよりも室内側に引っ込み、施錠状態で可動ガラスの可動領域まで突出するストッパーを有していることを特徴とする開口部装置。
【請求項4】
建物の開口に設けられる四方枠と、該四方枠内に設けられた障子と、該障子に設けられた換気小窓とを備え、該換気小窓は、上桟、下桟及び左右の縦桟からなる小窓枠と、該小窓枠内の室内側の幅方向略中間部に上下に掛け渡された召合せ部材とを有し、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた一方の領域の室内側に固定ガラスを設け、小窓枠内の室外側に可動ガラスをスライド開閉自在に設け、小窓枠内の召合せ部材で仕切られた他方の領域の開口周縁部に、閉鎖時の可動ガラスの室内面に室内側から当接する気密材を設け、前記召合せ部材に可動ガラスを閉鎖位置で施錠する締り具を設け、該締り具は解錠状態で可動ガラスよりも室内側に引っ込み、施錠状態で可動ガラスの可動領域まで突出するストッパーを有し、該ストッパーには回動により可動ガラスを室内側に引き寄せるカム部が設けられていることを特徴とする開口部装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−161398(P2006−161398A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354173(P2004−354173)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】