説明

開閉検知装置及びこれを搭載した原稿搬送装置、画像形成装置

【課題】開閉体自体及びその外装カバーの開放状態を、低コスト化、省スペース化が図られた構成で検知でき、且つ誤動作のない安定した検知が可能な開閉検知装置を提供する。
【解決手段】開閉検知装置60は、画像形成装置1の本体2表面に対して開閉自在な原稿搬送装置20と、この原稿搬送装置20自体に設けられ、原稿搬送装置20の内部構造物を露出可能にする開閉自在な外装カバー45との、各々の開放状態を検知するものであって、原稿搬送装置20及び外装カバー45の、各々の変位に連動して変位する被検知部材61と、この被検知部材61の変位を検知する単一のセンサ62とを備え、このセンサ62が、原稿搬送装置20及び外装カバー45の少なくともいずれか一方の開放状態が発生したことを識別可能である。これにより、開閉検知装置60の部品コストや組み立てコストの増加を防止でき、設置スペースや配線スペースの低減を図ることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉部材の開放状態を検知する開閉検知装置に関する。また、この開閉検知装置を搭載した原稿搬送装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリなどの画像形成装置には、複数枚の原稿を自動的に原稿読取部へと送り出す原稿搬送装置を備えているものがある。原稿搬送装置は、原稿載置トレイに積み上げられた原稿束の最上層から1枚ずつ分離して搬送する。原稿は、原稿読取部でその表面の画像データを読み取られた後、原稿搬送路の最下流に設けられた原稿排出トレイに排出される。
【0003】
画像形成装置で原稿を複写するとき、原稿搬送装置の原稿載置トレイに載置できない冊子などといった形態の原稿を使用したり、1枚ずつ個別に読み取りを実行したりしたい場合がある。このような要求に応えるため、原稿搬送装置は、原稿搬送装置自体を画像形成装置本体の上面に対して開放させることができるようになっている。原稿は、原稿搬送装置を開放することによって現れた、画像形成装置本体の上面に備えられたプラテンガラスの上に、読み取りを行うごとに1枚ずつ載置する。
【0004】
このような構成の原稿搬送装置では、画像形成装置本体の上面に対して開放しているとき、原稿送り部が作動しないようにする必要がある。このため、原稿搬送装置には、画像形成装置本体上面に対する開閉を検知する開閉検知装置を備えたものがあり、その例を特許文献1〜3に見ることができる。
【0005】
特許文献1〜3に記載された原稿搬送装置(画像形成装置)は、フォトインタラプタといった光学式センサと、このセンサの検知部に出没する被検知部材とが設けられた開閉検知装置を備えている。これらの開閉検知装置は、センサ及び被検知部材のいずれか一方が、画像形成装置本体上面に対して開閉する原稿搬送装置に取り付けられて、位置変更、或いは姿勢変更することにより、そのセンサで原稿搬送装置の開放状態を検知することができる。
【特許文献1】特開平5−14638号公報(第4頁、図5−5)
【特許文献2】特開平7−319332号公報(第4頁、図6)
【特許文献3】特開2005−102070号公報(第8−9頁、図5−6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記のような構成の原稿搬送装置では、装置内部に形成される原稿搬送路上で、原稿のジャムが発生し得る。そして、原稿のジャムが発生した場合には、ジャムを起こした原稿を取り除くことが必要である。原稿搬送装置のジャム処理方法としては、外装カバーを開放することによって装置内部の原稿搬送路を露出させ、原稿を取り除く方法が一般的に採用されている。
【0007】
前記特許文献1〜3に記載された原稿搬送装置(画像形成装置)は、開閉検知装置を設けることにより、画像形成装置本体の上面に対して開放しているとき、原稿送り部の作動を防止することができる。しかしながら、原稿ジャムに対処するための外装カバーについても、外装カバー開放時に原稿送り部が動作しないように、開閉検知装置を設ける必要がある。これにより、従来の原稿搬送装置には、2個の開閉検知装置が必要となり、部品コストや組み立てコストが増加する可能性が高い。そして、2個の開閉検知装置の設置スペースや配線スペースを確保する必要もあるので、原稿搬送装置の大型化、配線の複雑化を招く恐れもある。
【0008】
また、原稿搬送装置では、搬送ガイドの間に設けられた搬送空間を原稿が通過する際、原稿が搬送ガイドに接触して摩擦が生じることにより、原稿や搬送ガイドが静電気で帯電することがある。また、原稿搬送装置を取り扱うユーザ自身が、静電気を帯びている場合もある。このように原稿や搬送ガイド、ユーザが帯びた静電気は、開閉検知装置のセンサに悪影響を及ぼし、センサの誤動作を招く恐れがある。開閉検知装置を2個配置するとなると、設置スペースの関係から、原稿搬送路に近い箇所にセンサを配置しなければならない可能性もあり、静電気の影響でセンサが誤動作を起こすことが懸念される。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、機器本体表面に対して開閉自在な開閉体と、この開閉体自体に設けられ、開閉体の内部構造物を露出可能にする開閉自在な外装カバーとの、各々の開放状態を、低コスト化、省スペース化が図られた構成で検知することができ、且つ誤動作のない安定した検知が可能な開閉検知装置を提供することを目的とする。また、このような開閉検知装置を搭載した安価、コンパクトで、信頼性の高い原稿搬送装置、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明は、機器本体表面に対して開閉自在な開閉体と、この開閉体自体に設けられ、開閉体の内部構造物を露出可能にする開閉自在な外装カバーとの、各々の開放状態を検知する開閉検知装置であって、この開閉検知装置は、前記開閉体及び前記外装カバーの、各々の変位に連動して変位する被検知部材と、この被検知部材の変位を検知する単一のセンサとを備え、このセンサが、開閉体及び外装カバーの少なくともいずれか一方の開放状態が発生したことを識別可能であることとした。
【0011】
また、上記構成の開閉検知装置において、前記外装カバーの変位に連動して変位し、その変位の過程で前記被検知部材に接触して被検知部材を変位させるアーム部材を備えるとともに、被検知部材は、前記開閉体の変位に直接的に連動して変位するものであり、前記センサは、開閉体及び外装カバーの動きを、被検知部材を通じて検知することとした。
【0012】
また、上記構成の開閉検知装置において、前記被検知部材は、前記アーム部材が接触していないとき、被検知部材を設けた前記開閉体に対して常に一定の姿勢を保持し、前記センサは、センサを設けた開閉体の変位に対応して姿勢変更することとした。
【0013】
また本発明では、上記構成の開閉検知装置を、画像形成装置本体上面に対して開閉自在な前記開閉体である原稿搬送装置に搭載することとした。
【0014】
また本発明では、上記構成の開閉検知装置を、本体上面に対して開閉自在な前記開閉体である原稿搬送装置に対して、画像形成装置に搭載することとした。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成によれば、機器本体表面に対して開閉自在な開閉体と、この開閉体自体に設けられ、開閉体の内部構造物を露出可能にする開閉自在な外装カバーとの、各々の開放状態を検知する開閉検知装置であって、この開閉検知装置は、前記開閉体及び前記外装カバーの、各々の変位に連動して変位する被検知部材と、この被検知部材の変位を検知する単一のセンサとを備え、このセンサが、開閉体及び外装カバーの少なくともいずれか一方の開放状態が発生したことを識別可能であることとしたので、部品コストや組み立てコストの増加を防止することができる。また、開閉検知装置に係る設置スペースや配線スペースの低減を図ることもできる。さらに、設置スペースを低減できることにより、原稿搬送路から離れた箇所や奥まった狭いスペースに開閉検知装置を配置できる可能性が高く、原稿搬送路やユーザが帯びる静電気の影響を防止することも可能である。このようにして、開閉体と、この開閉体自体に設けられた外装カバーとの、各々の開放状態を、低コスト化、省スペース化が図られた構成で検知することができ、且つ誤動作のない安定した検知が可能な開閉検知装置を提供することができる。
【0016】
また、開閉検知装置は、前記外装カバーの変位に連動して変位し、その変位の過程で前記被検知部材に接触して被検知部材を変位させるアーム部材を備えるとともに、被検知部材は、前記開閉体の変位に直接的に連動して変位するものであり、前記センサは、開閉体及び外装カバーの動きを、被検知部材を通じて検知することとしたので、単一のセンサで、開閉体と外装カバーとの、各々の開放状態を検知することができる。そして、開閉検知装置をこのような簡便な構成にして得ることができるので、さらに低コスト化、省スペース化を図ることが可能である。また、アーム部材の形状によっては、さらに原稿搬送路から離れた箇所や奥まった狭いスペースに開閉検知装置を配置することが可能になり、センサが原稿搬送路やユーザから受ける恐れのある静電気による悪影響を回避し易くなる。したがって、開閉検知装置の動作安定性を一層向上させることができる。
【0017】
また、前記被検知部材は、前記アーム部材が接触していないとき、被検知部材を設けた前記開閉体に対して常に一定の姿勢を保持し、前記センサは、センサを設けた開閉体の変位に対応して姿勢変更することとしたので、開閉体の開放状態を検知可能な開閉検知装置の構成を、被検知部材やセンサを機器本体側に設けることなく、簡便な構成で得ることが可能である。したがって、開閉検知装置の低コスト化、省スペース化をさらに高めることができる。
【0018】
また本発明では、上記構成の開閉検知装置を、画像形成装置本体上面に対して開閉自在な前記開閉体である原稿搬送装置に搭載することとしたので、原稿搬送装置と、この原稿搬送装置自体に設けられた外装カバーとの、各々の開放状態を、低コスト化、省スペース化が図られた構成で検知することができ、且つ誤動作のない安定した検知が可能な、安価、コンパクトで、信頼性の高い原稿搬送装置を得ることができる。
【0019】
また本発明では、上記構成の開閉検知装置を、本体上面に対して開閉自在な前記開閉体である原稿搬送装置に対して、画像形成装置に搭載することとしたので、原稿搬送装置と、この原稿搬送装置自体に設けられた外装カバーとの、各々の開放状態を、低コスト化、省スペース化が図られた構成で検知することができ、且つ誤動作のない安定した検知が可能な、安価、コンパクトで、信頼性の高い画像形成装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図1〜図13に基づき説明する。
【0021】
最初に、本発明の実施形態に係る開閉検知装置を搭載する原稿搬送装置に関して、その原稿搬送装置を搭載した画像形成装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は、画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。図中の、実線矢印は用紙の搬送経路及び搬送方向を、一点鎖線矢印はレーザ光Lを示す。
【0022】
図1に示すように、画像形成装置1の本体2の内部下方には、給紙カセット3が配置されている。給紙カセット3は、その内部に、印刷前のカットペーパー等の用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは、図1において給紙カセット3の左上方に向けて、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット3は、本体2の正面側から水平に引き出すことが可能である。
【0023】
本体2の内部であって、給紙カセット3の左方には、第1用紙搬送部4が備えられている。第1用紙搬送部4は、本体2の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、第1用紙搬送部4は、給紙カセット3から送り出された用紙Pを受け取り、本体2の左側面に沿って垂直上方に転写部10まで搬送する。
【0024】
給紙カセット3の上方であって、第1用紙搬送部4が形設された本体2の左側面とは反対側の側面である右側面の箇所には、手差し給紙部5が備えられている。手差し給紙部5には、給紙カセット3に入っていないサイズの用紙Pや、厚紙、OHPシートのように1枚ずつ送り込みたいものが載置される。
【0025】
手差し給紙部5の左方には、第2用紙搬送部6が備えられている。第2用紙搬送部6は、給紙カセット3のすぐ上方にあって、手差し給紙部5から第1用紙搬送部4まで略水平に延び、第1用紙搬送部4に合流している。そして、第2用紙搬送部6は、手差し給紙部5から送り出された用紙P等を受け取り、略水平に第1用紙搬送部4まで搬送する。
【0026】
一方、画像形成装置1の本体2の上面には原稿搬送装置20が、その下方には画像読取装置7が備えられている。ユーザが原稿の複写を行う場合には、原稿搬送装置20に、文字や図形、模様等の画像が描かれた原稿を積載する。原稿搬送装置20では1枚ずつ分離して原稿が送り出され、画像読取装置7によってその画像データが読み取られる。
【0027】
原稿画像の読み取り、すなわち印刷の開始は、本体2の上部であって、画像読取装置7の正面側に備えられた操作パネル(図示せず)を用いて実行される。ユーザは、この操作パネルから、使用する用紙サイズや拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件などを入力して設定することが可能である。
【0028】
原稿の画像データの情報は、第2用紙搬送部6の上方であって、本体2の中央部に配置された露光装置8に送られる。露光装置8により、画像データに基づいて制御されたレーザ光Lが、画像形成部9に向かって照射される。
【0029】
第1用紙搬送部4の上方であって、露光装置8の左方には、画像形成部9及び転写部10が備えられている。画像形成部9では、露光装置8によって照射されたレーザ光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナーは、露光装置8の上方に備えられたトナーコンテナ11から画像形成部9に補給される。画像形成部9で形成されたトナー像は、第1用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた印刷前の用紙Pに、転写部10にて転写される。
【0030】
転写部10の上方には、定着装置12が備えられている。転写部10にて未定着トナー像を担持した用紙Pは、定着装置12へと送られ、熱ローラと加圧ローラとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0031】
定着装置12の上方には、用紙案内装置13が備えられている。定着装置12から排出された用紙Pは、両面印刷を行わない場合、用紙案内装置13から画像形成装置1の胴内に設けられた胴内用紙排出部14に排出される。
【0032】
用紙案内装置13から胴内用紙排出部14に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分は、スイッチバック部15としての機能を果たす。両面印刷を行う場合には、このスイッチバック部15において、定着装置12から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは、用紙案内装置13を通過し、定着装置12の左方、及び転写部10の左方に設けられた両面印刷用用紙搬送路16を通して下方に送られ、再度第1用紙搬送部4を経て転写部10へと送られる。
【0033】
続いて、本体2の上面に搭載された原稿搬送装置20について、図2〜図4を用いてその構造の概略を説明する。図2は原稿搬送装置の模型的垂直断面正面図、図3は原稿搬送装置の背面側上方から見た斜視図、図4は原稿搬送装置の模型的左側面図である。図2中の実線矢印は、用紙の搬送経路、及び搬送方向を示す。また、図3では、原稿搬送装置の背面カバーの描画を省略している。
【0034】
原稿搬送装置20は、図2及び図3に示すように、原稿載置トレイ21、原稿送り部30、及び原稿排出トレイ22を備えている。
【0035】
原稿載置トレイ21は、原稿搬送装置20の上部に設けられている。原稿載置トレイ21には、原稿を上方から載置して、積み上げることができる。原稿載置トレイ21は、原稿搬送方向の上流から下流、すなわち図2において右方から左方に向かって下る傾斜をなす構成となっている。
【0036】
原稿送り部30は、原稿載置トレイ21の原稿搬送方向下流端に、原稿供給口31と、原稿供給装置50とを備えている。原稿供給装置50は、原稿載置トレイ21に積み上げられた原稿を、最上層から1枚ずつ分離し、原稿供給口31を通して原稿送り部30の内部に向かって供給する。原稿供給口31の下流側には、原稿送り部30の内部に向かって原稿搬送路32が延びている。
【0037】
原稿搬送路32の先は、原稿搬送装置20の底面に到達し、この箇所に原稿読取部33が設けられている。原稿読取部33に送り込まれた原稿は、原稿搬送路32上をさらに下流側へ、すなわち図2において原稿読取部33の箇所を左方から右方へと移動する最中に、その下方に設けられた本体2の画像読取装置7(図1参照)により、下側の面である第1面の画像データが読み取られる。
【0038】
原稿搬送路32の、原稿読取部33の下流には、原稿分岐部34が設けられている。原稿の、表裏両面の画像データの読み取りが必要な場合、原稿分岐部34に到達した原稿は、原稿搬送路32の上方へと振り分けられ、その原稿搬送方向下流側に続く原稿反転部35にて搬送方向が切り替えられる。搬送方向が切り替えられた原稿は、原稿分岐部34の上側を経て、原稿読取部33の上流側の原稿搬送路32に送り込まれ、再度原稿読取部33で第2面の画像データが読み取られる。
【0039】
原稿分岐部34の下流であって、原稿搬送路32の下流端には、原稿排出口36が設けられている。画像データの読み取りが済んだ原稿は、原稿排出口36から原稿排出トレイ22に排出される。
【0040】
原稿排出トレイ22は、原稿載置トレイ21のすぐ下方に備えられ、これらのトレイが上下二段にして構成されている。原稿排出トレイ22に排出された原稿は、原稿搬送装置20の手前側から取り出すことができる。
【0041】
原稿載置トレイ21と、原稿排出トレイ22とは、互いの原稿搬送方向を逆にして、すなわち図2において原稿載置トレイ21は原稿を左方に向かって送り出し、原稿排出トレイ22は原稿を右方に向かって排出する形にして構成されている。これにより、原稿供給口31と原稿排出口36とが、原稿読取部33が存在する方向に対して各トレイの同じ側、すなわち図2において左側に設けられている。そして、原稿供給口31から原稿排出口36まで延びる前記原稿搬送路32は、図2に示すように、上下方向にU字形状に、すなわち横方向から見てU字形状に湾曲した形で設けられている。
【0042】
上記構成により、原稿搬送装置20は、原稿載置トレイ21に積み上げられた原稿を、一枚ずつ分離して原稿送り部30内に送り込み、原稿読取部33でその画像データを読み取った後、原稿排出トレイ22に排出する。
【0043】
そして、原稿搬送装置20は、図3及び図4に示すように、背面側下部の箇所にヒンジ機構23を備えている。ヒンジ機構23は、原稿搬送方向と略平行、すなわち正面から見た原稿搬送装置20の左右方向に略水平に2個並べて配置され、左右方向に略水平に延びる回転軸を有している。このヒンジ機構23により、原稿搬送装置20は、機器である画像形成装置1上面の背面側の箇所に連結されている(図4参照)。そして、原稿搬送装置20は、図4に実線及び二点鎖線で示したように、前面側を上下に変位させることにより、その下方に設けられた本体2に対して開閉自在な開閉体となっている。
【0044】
続いて、原稿搬送装置20の原稿送り部30の詳細な構成について、図2及び図3に加えて、図5を用いて説明する。図5は、原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図である。なお、図5において、実線矢印は原稿の搬送経路及び搬送方向を示す。
【0045】
原稿送り部30は、前述のように、原稿載置トレイ21の原稿搬送方向下流端に、原稿供給口31と、原稿供給装置50とを備えている(図5参照)。そして、原稿搬送路32が、図5に示すように、原稿供給口31の下流側に、下方に向かって延びている。
【0046】
原稿供給装置50は、原稿搬送方向と直角をなす原稿幅方向略中央部の上方に設けられ、ピックアップローラ51、供給ローラ52、及び分離パッド53を備えている。
【0047】
ピックアップローラ51は、原稿供給口31のすぐ下流側に備えられている。ピックアップローラ51は、図示しない駆動機構により、供給ローラ52の回転軸線を中心として垂直面内で上下に揺動可能である。原稿供給時、ピックアップローラ51は、原稿載置トレイ21に積み上げられた原稿の最上層下流部に上方から接触する。この原稿の最上層は、ピックアップローラ51によって供給ローラ52へと引き渡され、供給ローラ52により原稿送り部30の内部へと搬送される。
【0048】
供給ローラ52は、ピックアップローラ51の下流側において、その表面下部が原稿搬送路32に突出するように配置されている。そして、分離パッド53が、供給ローラ52の下方に配置され、供給ローラ52に接触している。この供給ローラ52と分離パッド53とが接触して形成される搬送ニップに原稿が挿通される。
【0049】
供給ローラ52と分離パッド53とが接触して形成される搬送ニップに原稿が重なって複数枚進入したとき、重なった上側の原稿だけが供給ローラ52によって送り出される。分離パッド53の作用により、重なった下側の原稿が送り出されることがないので、原稿が重なって送られてしまう重送という問題が起こるのを防止できる。
【0050】
原稿搬送路32上において、原稿供給装置50の箇所の下流には、レジストローラ対37が設けられている。レジストローラ対37は、互いに圧接し合うレジストローラ37aとコロ37bとで構成され、原稿読取部33へと向かう原稿に対して、正確な読み取りが実行できるよう、斜め送りを矯正し、好適なタイミングを計って送り出す。
【0051】
レジストローラ対37の箇所の下流には、原稿読取部33が設けられている。ここで、原稿供給口31から延びる原稿搬送路32は、原稿供給装置50、レジストローラ対37、及び原稿読取部33の箇所を経て、正面から見て反時計方向に回転するように湾曲している。したがって、原稿搬送路32は、原稿読取部33の上流側で図5において左方及び下方に向かって延び、下流側で右斜め上方に向かって延びている。
【0052】
原稿読取部33には、読取ガイド部材38が備えられている。読取ガイド部材38は、原稿読取部33の下方に設けられた本体2の画像読取装置7のコンタクトガラス7aに対向して配置されている。読取ガイド部材38は、原稿幅方向、すなわち原稿搬送装置20の前後方向に長く延び、原稿を案内する部分が下方に凸となる形状をなしている。そして、原稿搬送装置20の、画像形成装置1に対する閉鎖状態において、読取ガイド部材38は、その下方であって、コンタクトガラス7aとの間を搬送される原稿が、コンタクトガラス7aに接触するように案内している。
【0053】
原稿読取部33に送り込まれた原稿は、原稿搬送路32上をさらに下流側へ、図5において読取ガイド部材38の下側の箇所を左方から右方へと移動する最中に、すなわちコンタクトガラス7a上を通過する際、コンタクトガラス7aの下方に配置された読取ユニット(図示せず)により画像データが読み取られる。
【0054】
原稿搬送路32の、原稿読取部33の下流には、原稿分岐部34が設けられている。原稿分岐部34には、図5に示すように、略水平に前後方向に延びる支軸39aを中心として、垂直面内で揺動可能な分岐ガイド39が備えられている。なお、分岐ガイド39の支軸39aは、原稿分岐部34に対して原稿反転部35の最上流部に配置された搬送ローラ41a(後述)より下流側に位置している。
【0055】
そして、分岐ガイド39は、原稿搬送装置20の前後方向、すなわち原稿幅方向に長く延び、原稿搬送方向上流側の先端部の正面から見た垂直断面形状が、原稿を振り分け易いようにくさび形をなしている。また、分岐ガイド39は、その背面側に配置された駆動装置であるソレノイド40(図3参照)によって駆動せしめられ、原稿搬送方向上流側の先端部を上下に振るように姿勢変更する。
【0056】
また、原稿分岐部34の下流には、下方に配置された原稿搬送路32に対して上方に、原稿反転部35が続いて配置されている。原稿の、表裏両面の画像データの読み取りが必要な場合、原稿分岐部34の分岐ガイド39を下方へと姿勢変更し、原稿読取部33で第1面の画像データが読み取られた原稿を、原稿搬送路32から原稿反転部35へと送り込む。
【0057】
原稿反転部35は、図5に示すように、原稿排出口36の上方に配置され、搬送ローラ対41と、反転用トレイ42とが備えられている。なお、原稿反転部35の下側の搬送ガイドは、分岐ガイド39と一体として構成されている。
【0058】
搬送ローラ対41は、原稿分岐部34に対して原稿反転部35の最上流部に配置され、互いに当接し合って原稿を搬送するための搬送ニップを形成する搬送ローラ41aと、従動コロ41bとで構成されている。搬送ローラ41aは、図示しないモータにより、図5における時計方向及び反時計方向に回転せしめられる。従動コロ41bは、原稿分岐部34に対してその下流側に配置された支軸41cを中心として垂直面内で揺動可能であって、下側に配置された搬送ローラ41aとの接触/離間を選択できる。反転用トレイ42は、原稿載置トレイ21のすぐ下方に比較的狭い隙間を隔てて配置され、原稿載置トレイ21と同様に斜め上方に向かって延びている(図2参照)。
【0059】
原稿反転部35では、原稿分岐部34を通って図5において左方から右方へと搬送されてきた原稿の下流部分を反転用トレイ42へと一旦送り出し、その原稿の上流部分が搬送ローラ対41の箇所に差し掛かったとき、搬送ローラ41aと従動コロ41bとのニップに原稿を保持した状態で搬送ローラ41aの回転を逆転させることにより、原稿の搬送方向を右方から左方へと切り替える。
【0060】
一方、原稿読取部33及び原稿分岐部34の上方であって、原稿供給装置50が配置された箇所との間には、両面読取用原稿搬送路43が設けられている。両面読取用原稿搬送路43は、原稿反転部35の箇所から、図5において左方に向かって延び、その先で原稿搬送路32の、レジストローラ対37の上流の箇所に合流している。これにより、原稿反転部35で搬送方向が切り替えられた原稿は、原稿読取部33及び原稿分岐部34の上側を通って原稿搬送路32に送り込まれ、再度原稿読取部33に到達して、下側の面である第2面の画像データが読み取られる。
【0061】
原稿分岐部34の下流側であって、原稿搬送路32の下流端には、原稿排出口36、及び原稿排出ローラ対44が設けられている。画像データの読み取りが済んだ原稿は、原稿排出ローラ対44によって原稿排出口36から原稿排出トレイ22(図2参照)に排出される。
【0062】
また、原稿送り部30は、その上側に、図3及び図5に示すように、外装カバー45を備えている。外装カバー45は、図5における左下部の箇所に設けられ、原稿幅方向に略水平に延びる支軸45aの軸線を中心として、原稿載置トレイ21側を持ち上げるようにして開放することが可能である(図12参照)。この外装カバー45を開放することにより、装置内部に形成される原稿搬送路32の、原稿載置トレイ21に近い側であって、装置上側に位置する箇所を部分的に露出させることができる。
【0063】
そして、原稿搬送装置20は、その背面側に、図3に示すように、開閉検知装置60を備えている。開閉検知装置60は、本体2表面に対して開閉自在な開閉体である原稿搬送装置20と、この原稿搬送装置20自体に設けられ、原稿搬送装置20の内部構造物を露出可能にする開閉自在な外装カバー45との、各々の開放状態を検知する。
【0064】
続いて、この原稿搬送装置20の開閉検知装置60の詳細な構成について、図6〜図9を用いて説明する。図6は原稿搬送装置の開閉検知装置の箇所を背面側から見た斜視図、図7は原稿搬送装置の原稿送り部の箇所を示す背面図、図8は開閉検知装置の被検知部材及びセンサの斜視図、図9は開閉検知装置の被検知部材の左側面図である。なお、図6及び図7では、原稿搬送装置の背面カバーの描画を省略している。
【0065】
開閉検知装置60は、図6及び図7に示すように、被検知部材61、センサ62、アーム部材63、ばね64、及び係合片65を備えている。なお、これらの部材は、各1個ずつ備えられている。
【0066】
被検知部材61は、図8及び図9に示すように、側方から見た形状がL字形をなし、原稿搬送装置20の前後方向に延びる形で配置されている(図6参照)。被検知部材61は、その前後方向の略中央部に、原稿搬送装置20の左右方向に略水平に延びる軸部61aを備えている。被検知部材61は、この軸部61aにて原稿搬送装置20の本体部に支持され、軸部61aの軸線を中心として垂直面内で回転することが可能である。
【0067】
また、被検知部材61は、軸部61aの箇所の、前面側に錘部61bを、背面側に光遮蔽部61cを備えている。軸部61aの箇所から、錘部61bは下方に向かって延び、光遮蔽部61cは略水平に後方に向かって延びている。光遮蔽部61cの先端には、光遮蔽板61dが設けられている。光遮蔽板61dは、前後及び上下に延びる平板形状をなし、この箇所が、図6及び図8に示すように、センサ62の検知部62cの隙間に出没する。
【0068】
そして、被検知部材61は、軸部61aの軸線の箇所を通過する鉛直線上に、その重心を有している。すなわち、被検知部材61は、軸部61aより前側の錘部61bと、後側の光遮蔽部61cとの重量バランスがとれている。したがって、被検知部材61は、外力の影響を受けない限り、常に、光遮蔽部61cが略水平に後方に向かって延びる図9に示す姿勢を保持する。
【0069】
センサ62は、図6及び図8に示すように、被検知部材61の光遮蔽板61dに対応する位置に配置されている。センサ62は、光センサであるフォトインタラプタで構成され、図8に示すように、対向し合う発光部62aと、受光部62bとを備えている。そして、センサ62は、発光部62aと受光部62bとが対向し合う方向が、被検知部材61が軸部61aの箇所から光遮蔽板61dに向かって延びる方向と直角をなすように配置されている。
【0070】
センサ62の、発光部62aと受光部62bとの間には、検知部62cとなる隙間が設けられている。センサ62は、発光部62aから出射した光が受光部62bに入射するのを識別するものであって、この光が遮蔽されることにより検知部62cに他部材が存在することを検知する。前述のように、検知部62cには被検知部材61の光遮蔽板61dが出没し、これにより、センサ62が被検知部材61の変位を検知する。
【0071】
アーム部材63は、図6及び図7に示すように、原稿送り部30の外装カバー45の近傍下方に備えられている。アーム部材63は、原稿搬送方向、すなわち背面側から見て左右方向に長く延びるリンク形状をなし、その左右方向略中央部に、前後方向に略水平に延びる軸部63aを備えている。アーム部材63は、この軸部63aにて原稿搬送装置20の本体部に支持され、軸部63aの軸線を中心として垂直面内で回転することが可能である。
【0072】
図7に示すように、アーム部材63の左右各々の先端には、第1係合部63b、第2係合部63cが備えられている。第1係合部63bは、図6及び図7に示すように、被検知部材61の錘部61bに対応する箇所であって、その上方に位置し、アーム部材63の本体部から後方に向かって延びている。アーム部材63が、背面側から見て時計方向に回転変位すると、第1係合部63bが被検知部材61の錘部61bに接触し、被検知部材61を変位させる。第2係合部63cは、図7に示すように、軸部63aを隔てた第1係合部63bの反対に位置し、アーム部材63の本体部から上方に向かって延びている。
【0073】
この第2係合部63cの箇所の下方には、図7に示すように、ばね64が備えられている。ばね64は、原稿搬送装置20の本体部とアーム部材63との間に設けられ、アーム部材63の第2係合部63cの箇所を上方に向かって付勢している。
【0074】
係合片65は、図7に示すように、外装カバー45に設けられ、外装カバー45の内面の箇所から下方に向かって延びている。係合片65の先端は、アーム部材63の第2係合部63cのすぐ上方に位置し、通常の原稿搬送装置20の運転時、すなわち外装カバー45を閉鎖しているとき、第2係合部63cの上部先端に当接している。
【0075】
続いて、開閉検知装置60の動作について、図4、及び図6〜図8に加えて、図10〜図13を用いて説明する。図10は被検知部材及びセンサの姿勢を示す左側面図にして、原稿搬送装置閉鎖時の状態を示すもの、図11は図10と同様の被検知部材及びセンサの姿勢を示す左側面図にして、原稿搬送装置開放時の状態を示すもの、図12は図7と同様の原稿送り部の箇所を示す背面図にして、外装カバー開放時の状態を示すもの、図13は図6と同様の開閉検知装置の箇所を背面側から見た斜視図にして、外装カバー開放時の状態を示すものである。なお、図12及び図13では、原稿搬送装置の背面カバーの描画を省略している。
【0076】
原稿搬送装置20が、本体2に対して閉鎖状態にある、すなわち図4に実線で示したように略水平な状態にあるとき、開閉検知装置60の被検知部材61、及びセンサ62は図10に示す姿勢を保持している。被検知部材61は、外力の影響を受けないので、光遮蔽部61cが略水平に後方に向かって延びる姿勢を保持している。センサ62は、センサ62が設けられた、略水平な状態にある原稿搬送装置20の本体部の変位に対応した姿勢を保持している。
【0077】
このとき、センサ62では、図6、図8及び図10に示すように、検知部62cに被検知部材61の光遮蔽板61dが存在している。これにより、センサ62が発する光が遮蔽され、開閉検知装置60は、被検知部材61及びセンサ62の位置関係を識別し、原稿搬送装置20が本体2に対して閉鎖状態にあるとともに、外装カバー45も閉鎖状態にあることを検知する。
【0078】
次に、原稿搬送装置20を、本体2に対して開放する、すなわち図4において二点鎖線で示した状態にすると、開閉検知装置60の被検知部材61、及びセンサ62は図11に示す姿勢に姿勢変更する。被検知部材61は、外力の影響を受けないので、光遮蔽部61cが略水平に後方に向かって延びる姿勢を保持している。センサ62は、センサ62が設けられた、傾斜した状態にある原稿搬送装置20の本体部の変位に対応した姿勢に姿勢変更する。
【0079】
すなわち、被検知部材61は、外力の影響を受けないとき、被検知部材61を設けた原稿搬送装置20に対して常に一定の姿勢を保持し、センサ62は、センサ62を設けた原稿搬送装置20の変位に対応して姿勢変更する。
【0080】
そしてこのとき、センサ62では、図11に示すように、検知部62cから被検知部材61の光遮蔽部61c及び光遮蔽板61dが離間している。これにより、センサ62が発する光はそのまま受光され、開閉検知装置60は、被検知部材61及びセンサ62の位置関係を検知して、原稿搬送装置20及び外装カバー45の少なくともいずれか一方が開放状態にあることを識別する。
【0081】
一方、原稿搬送装置20を本体2に対して閉鎖状態にして、外装カバー45を開放すると、原稿搬送装置20の原稿送り部30は、図12に示す形態となる。外装カバー45の開放とともに、外装カバー45に設けられた係合片65も上昇する。これにより、第2係合部63cの先端に当接する、ばね64の弾発力に抗する部材がなくなり、アーム部材63は、ばね64に付勢されて、図12に示すように背面側から見て時計方向に回転変位する。
【0082】
そして、アーム部材63は、その変位の過程で、図12及び図13に示すように、第1係合部63bが被検知部材61の錘部61bに接触し、被検知部材61を変位させる。被検知部材61は、アーム部材63の第1係合部63bによって錘部61bの箇所が押し下げられて回転変位し、光遮蔽部61cの箇所が持ち上げられる。その結果、センサ62が発する光はそのまま受光され、開閉検知装置60は、被検知部材61及びセンサ62の位置関係を検知し、原稿搬送装置20及び外装カバー45の少なくともいずれか一方が開放状態にあることを識別する。
【0083】
原稿搬送装置20は、開閉検知装置60による、原稿搬送装置20及び外装カバー45の少なくともいずれか一方が開放状態にあるという情報に基づいて、原稿送り部30の動作を停止させる。
【0084】
上記のように、機器である画像形成装置1の本体2表面に対して開閉自在な開閉体である原稿搬送装置20と、この原稿搬送装置20自体に設けられ、原稿搬送装置20の内部構造物を露出可能にする開閉自在な外装カバー45との、各々の開放状態を検知する開閉検知装置60であって、この開閉検知装置60は、原稿搬送装置20及び外装カバー45の、各々の変位に連動して変位する被検知部材61と、この被検知部材61の変位を検知する単一のセンサ62とを備え、このセンサ62が、原稿搬送装置20及び外装カバー45の少なくともいずれか一方の開放状態が発生したことを識別可能であるので、部品コストや組み立てコストの増加を防止することができる。また、開閉検知装置60に係る設置スペースや配線スペースの低減を図ることもできる。さらに、設置スペースを低減できることにより、原稿搬送路32から離れた箇所や奥まった狭いスペースに開閉検知装置60を配置できる可能性が高く、原稿搬送路32やユーザが帯びる静電気の影響を防止することも可能である。このようにして、原稿搬送装置20と、この原稿搬送装置20自体に設けられた外装カバー45との、各々の開放状態を、低コスト化、省スペース化が図られた構成で検知することができ、且つ誤動作のない安定した検知が可能な開閉検知装置60を提供することができる。
【0085】
また、開閉検知装置60は、外装カバー45の変位に連動して変位し、その変位の過程で被検知部材61に接触して被検知部材61を変位させるアーム部材63を備えるとともに、被検知部材61は、原稿搬送装置20の変位に直接的に連動して変位するものであり、センサ62は、原稿搬送装置20及び外装カバー45の動きを、被検知部材61を通じて検知するので、単一のセンサ62で、原稿搬送装置20と外装カバー45との、各々の開放状態を検知することができる。そして、開閉検知装置60をこのような簡便な構成にして得ることができるので、さらに低コスト化、省スペース化を図ることが可能である。また、アーム部材63の形状によっては、さらに原稿搬送路32から離れた箇所や奥まった狭いスペースに開閉検知装置60を配置することが可能になり、センサ62が原稿搬送路やユーザから受ける静電気による悪影響を回避し易くなる。したがって、開閉検知装置60の動作安定性を一層向上させることができる。
【0086】
そして、被検知部材61は、アーム部材63が接触していないとき、被検知部材61を設けた原稿搬送装置20に対して常に一定の姿勢を保持し、センサ62は、センサ62を設けた原稿搬送装置20の変位に対応して姿勢変更するので、原稿搬送装置20の開放状態を検知可能な開閉検知装置60の構成を、被検知部材61やセンサ62を本体2側に設けることなく、簡便な構成で得ることが可能である。したがって、開閉検知装置60の低コスト化、省スペース化をさらに高めることができる。
【0087】
また本発明では、上記構成の開閉検知装置60を、本体2上面に対して開閉自在な開閉体である原稿搬送装置20に搭載したので、原稿搬送装置20と、この原稿搬送装置20自体に設けられた外装カバー45との、各々の開放状態を、低コスト化、省スペース化が図られた構成で検知することができ、且つ誤動作のない安定した検知が可能な、安価、コンパクトで、信頼性の高い原稿搬送装置20を得ることができる。
【0088】
また本発明では、上記構成の開閉検知装置60を、本体2上面に対して開閉自在な開閉体である原稿搬送装置20に対して、画像形成装置1に搭載したので、原稿搬送装置20と、この原稿搬送装置20自体に設けられた外装カバー45との、各々の開放状態を、低コスト化、省スペース化が図られた構成で検知することができ、且つ誤動作のない安定した検知が可能な、安価、コンパクトで、信頼性の高い画像形成装置1を得ることができる。
【0089】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、画像形成装置に適用可能な、原稿搬送装置全般において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態に係る用紙案内装置を搭載した画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図2】図1の原稿搬送装置の模型的垂直断面正面図である。
【図3】図2の原稿搬送装置の背面側上方から見た斜視図である。
【図4】図2の原稿搬送装置の模型的左側面図である。
【図5】図2の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図である。
【図6】図3の開閉検知装置の箇所を背面側から見た斜視図である。
【図7】図5の原稿送り部の箇所を示す背面図である。
【図8】図6の開閉検知装置の被検知部材及びセンサの斜視図である。
【図9】図8の被検知部材の左側面図である。
【図10】図8の被検知部材及びセンサの姿勢を示す左側面図にして、原稿搬送装置閉鎖時の状態を示すものである。
【図11】図9と同様の被検知部材及びセンサの姿勢を示す左側面図にして、原稿搬送装置開放時の状態を示すものである。
【図12】図7と同様の原稿送り部の箇所を示す背面図にして、外装カバー開放時の状態を示すものである。
【図13】図6と同様の開閉検知装置の箇所を背面側から見た斜視図にして、外装カバー開放時の状態を示すものである。
【符号の説明】
【0092】
1 画像形成装置(機器)
2 本体(機器本体)
7 画像読取装置
20 原稿搬送装置(開閉体)
21 原稿載置トレイ
22 原稿排出トレイ
23 ヒンジ機構
30 原稿送り部
32 原稿搬送路
45 外装カバー
60 開閉検知装置
61 被検知部材
62 センサ
63 アーム部材
64 ばね
65 係合片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体表面に対して開閉自在な開閉体と、この開閉体自体に設けられ、開閉体の内部構造物を露出可能にする開閉自在な外装カバーとの、各々の開放状態を検知する開閉検知装置であって、
前記開閉体及び前記外装カバーの、各々の変位に連動して変位する被検知部材と、この被検知部材の変位を検知する単一のセンサとを備え、このセンサが、開閉体及び外装カバーの少なくともいずれか一方の開放状態が発生したことを識別可能であることを特徴とする開閉検知装置。
【請求項2】
前記外装カバーの変位に連動して変位し、その変位の過程で前記被検知部材に接触して被検知部材を変位させるアーム部材を備えるとともに、被検知部材は、前記開閉体の変位に直接的に連動して変位するものであり、前記センサは、開閉体及び外装カバーの動きを、被検知部材を通じて検知することを特徴とする請求項1に記載の開閉検知装置。
【請求項3】
前記被検知部材は、前記アーム部材が接触していないとき、被検知部材を設けた前記開閉体に対して常に一定の姿勢を保持し、前記センサは、センサを設けた開閉体の変位に対応して姿勢変更することを特徴とする請求項2に記載の開閉検知装置。
【請求項4】
画像形成装置本体上面に対して開閉自在な前記開閉体であって、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の開閉検知装置を搭載したことを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項5】
本体上面に対して開閉自在な前記開閉体として設けられた原稿搬送装置に、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の開閉検知装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−206703(P2009−206703A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45789(P2008−45789)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】