関節式プローブヘッド
【課題】高速走査を精度と共に達成するため、測定システムの運動質量、動的誤差を最小にする関節式プローブヘッドを提供する。
【解決手段】CMMは、その直線駆動に関する回転誤差(例えばピッチ,ロールおよびヨー)のための誤差マップが作成される。走査ヘッドもまた、回転誤差のための誤差マップが作成される。測定データは、CMMおよび走査ヘッドの組み合わされた回転誤差に関して実時間に同期して誤差補正される。この同期補正ためCMMおよび走査ヘッドの誤差マッピングデータを使用する。
【解決手段】CMMは、その直線駆動に関する回転誤差(例えばピッチ,ロールおよびヨー)のための誤差マップが作成される。走査ヘッドもまた、回転誤差のための誤差マップが作成される。測定データは、CMMおよび走査ヘッドの組み合わされた回転誤差に関して実時間に同期して誤差補正される。この同期補正ためCMMおよび走査ヘッドの誤差マッピングデータを使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標測定機械(CMM)、工作機械、手動座標測定アームおよび検査ロボットの如き座標位置決め装置に取り付けられる電動走査ヘッドを用いて加工対象物の表面を走査するための関節式プローブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
座標位置決め機械に電動走査ヘッドを取り付けることは、特許文献1から知られている。電動走査ヘッドは、この電動走査ヘッドに取り付けられるスタイラスが2本の直交する軸線を中心に回転することを可能にする。従って、スタイラスはこれら2本の軸線を中心として角度をつけて配されることができるのに対し、電動走査ヘッドは座標位置決め機械によってこの機械の作業範囲内のどのような位置にでも配されることができる。
【0003】
電動走査ヘッドは、スタイラスを多くの異なる向きに配することができるため、このような電動走査ヘッドは、より大きな走査の柔軟性を持った座標位置決め機械をもたらす。
【0004】
特許文献1は、電動走査ヘッドの回転軸線が位置決めモードまたは付勢モードに操作されることができることをさらに開示している。付勢モードは、電動走査ヘッドのモータにより加えられる一定トルクにて表面が走査されることを可能にする。この特許文献1はまた、スタイラスに作用する力を検出するために歪ゲージアレイをこのスタイラスに設けることができることも開示している。歪ゲージからのデータは、スタイラスに作用する力ができるだけ一定となるように、電動走査ヘッドによって加えられるトルクを調整するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開パンフレット第WO90/07097号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高速走査を精度と共に達成するため、この測定システムにおいては、運動質量、従って動的誤差を最小にすることが望ましい。電動走査ヘッドは、その回転軸線を中心とする高加速を可能にし、従って高速走査の使用に適している。
【0007】
走査中、スタイラスのチップは、走査される部分の表面と接触状態に保持される必要がある。周知の部分の走査のため、CMMおよび電動走査ヘッドは、所定の経路を追随することができる。しかしながら、未知の部分のため、プローブのスタイラスに損傷を与えたり、この部分と衝突を起こす可能性のある力を越えることなく、このチップをこの未知の部分の表面に対して保持するように、スタイラスチップの経路を調整する必要がある。
【0008】
電動走査ヘッドのモータは一定トルクを加えることができるけれども、加速,重力および表面摩擦の如き要因がスタイラスチップにて検知される力に影響を与える。さらに、スタイラスチップにて検知される力は、表面に対するスタイラスの角度と共に変化しよう。従って、一定のトルクは、一定のスタイラスチップ力を必ずしももたらさない。従って、一定のトルクを用いる方法は、これがスタイラスチップでの一定の力を保証しないので、高速走査に適していない。
【0009】
スタイラスチップと表面との間の大きな接触力は、プローブが表面と接触状態でいることを確実にするために必要である。大きな力を伴う高速走査は、これがセンサに摩耗をもたらすので望ましくない。従って、力を最小にすることが望まれる。しかしながら、歪ゲージの如き力センサにて小さな力を測定するため、この力センサは柔軟性のある構造体に取り付けられる必要がある。このような柔軟性のある構造体は強靭ではなく、落としたり、衝突した場合に破損しやすく、従って、これは一定の力で高速走査を実行するための主たる障害である。それ故、一定の力を持つプローブチップにて高速走査を行うために必要な小さな力を検出することに問題がある。
【0010】
高速走査のために必要とされる高帯域幅の力測定プローブは、狭い範囲を概ね有する。従って、(例えば加工誤差や固定具などのために)この部分の予想される形状からのどんな著しい逸脱でも、プローブが範囲外に外れるという結果になる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、表面検出器を取り付けることができ、少なくとも1つの軸線を中心として前記表面検出器の回転運動をもたらす関節式プローブヘッドを提供し、
このフローブヘッドには、前記少なくとも1つの軸線を中心とする前記表面検出器の角度位置を測定するために少なくとも1つの回転測定器具が設けられ、
この少なくとも1つの回転測定器具がマップ化された誤差である。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの回転測定器具が関節式プローブヘッドの他の誤差から切り離してマップ化された誤差である。
【0013】
少なくとも1つの回転測定器具は、測定した表面検出器の角度位置を測定誤差に関連付けた参照テーブルか、誤差関数か、またはフーリエ級数を有するものであってよい。
【0014】
少なくとも1つの回転測定器具は、測定された表面検出器の角度位置を訂正された表面検出器の角度位置に関連付けた参照テーブルか、誤差関数か、またはフーリエ級数を有するものであってよい。
【発明の効果】
【0015】
これは、正確さを最高にするため、予め設定された範囲に亙って表面検出器を較正できるという利点を有する。従って、前記検出器の全範囲に亙るよりもこの予め設定された範囲に亙って表面検出器を較正することにより、より良好な較正適合性を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による関節式プローブヘッドを含む座標測定機械の立面図である。
【図2】電動走査ヘッドの断面図である。
【図3】平坦な表面の掃引走査を例示する。
【図4】穴の走査を例示する。
【図5】フィードバックシステムを例示するフローチャートである。
【図6】表面上のスタイラスチップをその関連付けられた撓みと駆動ベクトルと共に例示する。
【図7】この先の表面の点を予測するために用いられる履歴データ点を例示する。
【図8】角度干渉装置を例示する。
【図9】回転テーブルに対して第1の方向に結合される走査ヘッドの側面図である。
【図10】回転テーブルに対して第2の方向に結合される走査ヘッドの側面図である。
【図11】走査ヘッドのエンコーダを誤差マップ化する非接触装置を例示する。
【図12】走査ヘッドのエンコーダを誤差マップ化する第2の非接触装置を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
さて、本発明の好ましい実施形態の例が添付図面を参照して記述されよう。
【0018】
図1は、座標測定機械(CMM)に取り付けられた電動走査ヘッドを例示する。測定される加工対象物10がCMM14のテーブル12に取り付けられ、電動走査ヘッド16がCMM14のクイル18に取り付けられる。スピンドルは、モータにより周知の方法にてテーブル対してX,Y,Z方向に駆動可能である。
【0019】
図2に示すように、電動走査ヘッド16は、ベース、すなわちハウジング20により形成された固定部と、モータM1によりハウジング20対して軸線A1を中心に回転可能な軸22の形態の可動部とを具有する。軸22は別なハウジング24に固定され、このハウジングは、次の軸26をモータM2によりハウジング24に対して軸線A1と直交する軸線A2を中心に回転可能に支持する。
【0020】
加工対象物接触チップ30を有するスタイラス29を持ったプローブ28が電動走査ヘッドに取り付けられている。この構成は、ヘッドのモータM1,M2が加工対象物接触チップを軸線A1またはA2を中心とする角度で位置決めすることができ、かつスタイラスチップが走査される表面に対して予め設定した関係となるように、CMMのモータが電動走査ヘッドを直線的に三次元座標枠組み内のどこへでも位置決めすることができるようになっている。モータM1,M2は直結駆動であり、モータがコントローラからの要求に応じて迅速に作動可能である。
【0021】
空気軸受(摩擦がゼロ)の如き低摩擦軸受もまた、軸線A1およびA2を中心に応答性の良いプローブの高速移動を可能にする。空気軸受はこれらが軽いというさらなる利点を有する。
【0022】
走査ヘッドの直線変位を測定するための直線位置変換器がCMMに設けられ、それぞれの軸線A1およびA2を中心とするスタイラスの角度変位を測定するための角度位置変換器T1およびT2が走査ヘッドに設けられている。変換器T1およびT2は、その負荷(すなわちプローブ)に対して強固に結合される。これは、プローブの正確な位置データをもたらす。走査ヘッドの軸受は曲がらず、変換器T1およびT2が地面に対して正確な位置データを与え得ることを確実にする。
【0023】
プローブは、可撓性スタイラス29と、スタイラスの撓み量を測定するプローブの変換器とを有する。代わりに非接触プローブを用いることができる。このプローブは、一次元(例えば表面からの距離を検出する非接触プローブ)か、二次元(例えばXおよびYの撓みを検知する接触プローブ)か、または三次元(例えばX,YおよびZの撓みを検知する接触プローブ)であってよい。
【0024】
図1に示すような垂直アームのCMMに関し、走査ヘッド16の軸線A1は、(軸18に沿った)CMMのZ軸に対して名目上、平行である。走査ヘッドは、プローブをこの軸を中心として連続的に回転させることができる。走査ヘッドの軸線A2は、その軸線A1に対して直交する。
【0025】
電動走査ヘッドは、これを高速走査に適合させる低慣性構造を有する。低慣性構造は、その小さくかつ軽量な構造によって達成される。走査ヘッドはまた、測定誤差を減らす剛体構造と軸受とを有する。
【0026】
本発明の第1の実施形態が図3に示され、平坦面32が掃引走査プロフィール34を用いて走査される。
【0027】
CMMは、ヘッドを経路に沿って動かすのに対し、電動走査ヘッドはプローブをCMMの経路に対して横切る方向の1本の回転軸線を中心に往復動し、正弦波の形で変化するプロフィールを作り出す。
【0028】
スタイラス29の撓みは、プローブの変換器によって測定される。この撓みは、可能な限り目標値に近い望ましい範囲内に保たれる。プローブ28からの出力は、コントローラに送られる。撓みが目標値から離れている場合、電動走査ヘッドの他の回転軸線を中心とするプローブ28の角度を調整し、これが目標値に近づくように撓みを調整するようになっている。
【0029】
図4は、穴または円形のプロフィールをこのシステムにて走査する方法を示す。この場合、電動走査ヘッド16は穴38の中心線36に沿って動かされる。電動走査ヘッド16の回転軸線A1,A2がスタイラスチップ30を穴の内周に沿って動かすために用いられ、CMMと電動走査ヘッドとの合成運動が穴の内面に沿った螺旋軌跡でスタイラスチップを移動させるようになっている。
【0030】
位置Aにて、一方の回転軸線がプローブを駆動すると共に他方の回転軸線がスタイラスの撓みを調整するために用いられる。位置Bではこれが逆となる。2つの回転軸線は、位置Aと位置Bとの間で螺旋状のプロフィールに沿ってプローブを駆動すると共に撓みを調整するために組み合わさって機能する。
【0031】
回転軸線の何れか一方または両方がプローブの撓みを調整するために用いられると共に回転軸線の何れか他方または両方がプローブを駆動に用いられるこの技術を用いて他の表面プロフィールを測定することができる。
【0032】
図5は、スタイラスの撓みのフィードバック制御を例示するフローチャートである。プローブセンサ40からの出力PSは、中央処理装置(CPU)42に送られる。この出力は、一次元か、二次元か、または三次元のデータを含むことができる。
【0033】
CPU40はまた、CMM44のX,Y,Z軸のエンコーダからの位置入力信号PX,PY,PZと、電動走査ヘッド46の軸線A1,A2のエンコーダの位置入力信号PAA1,PA2とを受け取る。CPU42は、CMMデータPX,PY,PZと、電動走査ヘッドのデータPA1,PA2と、プローブセンサのデータPSとから表面位置を計算することができる。
【0034】
CPUはまた、測定されたスタイラスの撓みを目標値および規定範囲と比較することができる。
【0035】
プローブセンサが2Dまたは3Dセンサの場合、CPUは、次に図6に示したスタイラスチップの撓みベクトル50を計算することができる。これは、スタイラスチップ30が撓む方向である。これはまた、撓みが規定範囲内であって目標値に対して可能な限り近く保つためにスタイラスチップの位置を調整すべき方向と平行な方向である。
【0036】
撓みベクトルはまた、駆動ベクトル52を生成するために用いることもでき、これはスタイラスチップ30が表面94に沿って駆動される方向である。駆動ベクトルを生成するため、撓み方向が約90°だけ回転させられる。大体の方向は(例えばCADデータや部品プログラムから、または履歴データ点から)すでに知られているが、この計算は駆動ベクトルを表面に対する接線に保つ。
【0037】
CPUが駆動ベクトルと撓みベクトルとを決定すると、これは駆動コマンドDX,DY,D2,DA1,DA2をCMMと電動走査ヘッドとに送ることができる。スタイラスチップを駆動ベクトルに沿って駆動するため、駆動コマンドがX,Y,Z軸と、電動走査ヘッドの軸線の一方または両方とに送られる。これらの指令は、個々のモータに対する電圧または電流により送られる。
【0038】
撓み調整コマンドは、撓みベクトルと平行な方向に撓みを制御するため、電圧または電流の形態で電動走査ヘッドの回転軸線の一方または両方に送られる。
【0039】
従って、撓みおよび駆動の両方がプローブからのフィードバックを用いて実時間にて調整される。
【0040】
CPUは、同期駆動コマンドを電動走査ヘッドおよびCMMに対して生成する。これは、走査ヘッドによってもたらされる回転運動がCMMの直線運動の前または後に得られないことを確実にする。この同期化は、表面、例えば自由表面を走査するため、走査ヘッドおよびCMMの両方が駆動ベクトルに応じて(例えば予期しない障害を回避するため)それぞれそれらの軸線を中心とした運動を与えることができるという利点を有する。
【0041】
実時間撓み制御を達成するため、プローブセンサが迅速かつ正確なプローブ撓みの測定を実行できることが重要である。迅速かつ正確にプローブ撓みを測定する方法は、光学的手段による。
【0042】
欧州特許出願EP1505362は、スタイラスが取り付けられるスタイラスホルダの撓みを検出するための光学的変換器を開示する。各変換器はレーザーダイオード光源を含み、このレーザーダイオード光源は、スタイラスホルダに配された反射鏡の如き光学的形体に対してビームを投射する。光学的形体を反射した光は、高感度位置検出器に入射し、その出力が反射光の入射位置、つまりスタイラスホルダの変位量を示す。
【0043】
米国特許第6633051号は、相対的に堅い中空のスタイラスキャリアと、相対的に可撓性のある中空のスタイラスとを有するスタイラスアセンブリを開示している。光学的変換システムがこのスタイラスアセンブリ内に設けられ、光ビームをスタイラスチップの方に導く固定光源と、この光ビームをスタイラスチップにて反射して固定検出器に戻す再帰反射部材とを具えている。この構成は、スタイラスチップが表面と接触状態にある場合、スタイラスチップの横方向変位を直接測定することができるようなものである。この構成は、スタイラスチップの位置が検出され、従ってスタイラスの曲げが考慮されるという利点を有する。
【0044】
これら両方の機構は、これらが高感度な光であって、高分解能を有するという利点を持っており、これらの開示は、これらを参照することにより本願に組み入れられる。
【0045】
プローブを高速走査に適合させるため、これは高い構造的共振を有することが必要であり、すなわちこれは測定経路を高速で追従するために充分堅くなくてはならない。しかしながら、堅いプローブは、これが狭い測定範囲を有するという欠点を有する。従って、プローブをその測定範囲内に保持するためにフィードバックが必要である。
【0046】
この発明はまた、静電容量式か、誘導式か、または光学式プローブの如き、非接触プローブを用いても好適である。この場合、プローブのオフセットがオフセット目標値に可能な限り近い規定範囲内に保持される。規定範囲外では、プローブは直線的に動かなかったり、あるいは較正されない可能性がある。
【0047】
非接触プローブは、スカラーセンサを有することができ、この場合、センサ出力は表面からの距離を与えるけれども、これは方向についての情報を何ら与えない。従ってセンサ出力のみでは、オフセットを調整するためにプローブを動かす必要のある方向を決定するための充分なデータがない。さらに、撓みベクトルをセンサデータから決定することができないので、駆動ベクトルもまた決定することができない。
【0048】
この場合、適切な撓みベクトルを決定するために履歴データを用いることができる。図7に示すように、履歴データ点P1,P2およびP3が表面58上の次の表面点P4の位置を予測するために用いられる。この予測位置から、点P4における表面の垂線56もまた予測することができる。この方法は、米国特許第5334918号に記述されており、これを参照することによって、この明細書に組み入れられる。
【0049】
撓みベクトルは、予測された表面の垂線56に沿って存在するように取得される。従って、表面点の位置が測定データから知れており、撓みベクトルの方向は履歴データを用いて推定される。回転軸の一方または両方を動かしてプローブが撓みベクトルに沿って動くようにすることにより、オフセットを調整することができる。撓みベクトルを前述したように90度だけ回転させることにより、駆動ベクトルを決定することができる。
【0050】
しかしながら、二次元または三次元のプローブに関し、履歴データを用いずに撓みベクトルを決定するためのセンサからの充分なデータがある。
【0051】
電動走査ヘッドは、高速走査を実行することが可能であり、それは高い固有振動数を有し、それ故にプローブチップを高速にて位置決めすることができるからである。
【0052】
電動走査ヘッドはまた、高いサーボ制御帯域幅を有する。これは、プローブが長い範囲の距離に亙って動くことが可能であり、従ってスタイラスの撓みを調整するのに有効であることを意味する。さらに、電動走査ヘッドの運動が直接駆動モータにより制御され、CPUからの指令に対して迅速な応答を確実にし、従って望ましい実時間フィードバックを可能にする。
【0053】
この装置は、さまざまな異なるプローブ、例えば異なるスタイラス長を有するプローブを用いることができる。各プローブの目標撓みをコントローラ内にプログラムすることができる。従って、プローブを相互に代用することができ、電動走査ヘッドは、スタイラス撓みを個々のプローブの範囲内に調整するためにフィードバックを使用し続けることが可能である。プローブを較正してこれらがすべて同じ目標撓みおよび目標範囲を有するようにすることができる。非接触プローブも同様に較正し、オフセット目標値およびそれらの範囲が全て同じであって接触プローブの目標撓みおよび範囲と対応させることができる。
【0054】
電動走査ヘッドは、このヘッドの寸法形状誤差を実時間にて補償することができる。このような誤差は、電動走査ヘッドの組み立て中に生ずる可能性がある。走査ヘッドは、周知の方法を用いてそのパラメータを理解するために較正される。このような方法は、基準ボールの如き既知の寸法の一部を走査ヘッドで測定するステップと、ヘッドを較正するために用いられる測定誤差をそれによって集めるステップとを含むことができる。電動走査ヘッドが較正されるように、ヘッドのモータを駆動して表面検出器の位置をフィードバックに応じて調整する場合、これらの誤差が計算に取り込まれる。
【0055】
CMMは、その直線駆動に関する回転誤差(例えばピッチ,ロールおよびヨー)のための誤差マップが作成される。走査ヘッドもまた、回転誤差のための誤差マップが作成される。測定データは、CMMおよび走査ヘッドの組み合わされた回転誤差に関して実時間にて補正された誤差があり、従って同期した誤差補正をもたらす。CMMおよび走査ヘッドの両方に対する指令信号を同期誤差補正のために実時間にて誤差補正するため、同じCMMおよび走査ヘッドの誤差マッピングデータを使用することもまた可能である。
【0056】
この高速走査の方法は、未知の部品を測定するのに適している。CMMが追従すべき経路は、コントローラにプログラムされるか、または手動にて操作棹を介して制御することができる。広域プロフィールの如き電動走査ヘッドの走査移動もまたプログラムされる。走査中、電動走査ヘッドの少なくとも1本の回転軸線が前述のように撓みを制御するために駆動される。CMMと電動走査ヘッドの少なくとも1本の軸線とを制御する駆動ベクトルもまた、前述のように調整することができる。
【0057】
電動走査ヘッドの角度位置変換器T1およびT2は回転エンコーダを具えることができる。規格品の回転エンコーダは、電動走査ヘッドの測定要求に対して充分に正確ではなく、それで誤差マップを作成する必要がある。
【0058】
走査ヘッドは多くの誤差要因、例えば幾何学的な誤差や、重力または加速度によって生ずる歪みを含む。幾何学的誤差の如き他の誤差から独立しているエンコーダのための誤差マップを作成することが有利である。
【0059】
回転エンコーダは、電動走査ヘッドの組み込み前か、または後の何れかで誤差マップが作成されてよい。回転エンコーダの組み込み後の誤差マップの作成は、エンコーダを取り付けることによって生ずる歪みおよび偏心の如き誤差が配慮されるという利点を有する。
【0060】
走査ヘッドのエンコーダは、走査ヘッドを参照基準に対して駆動することにより誤差マップが作成されてよい。
【0061】
エンコーダの誤差マップを作成する第1の方法が角度干渉計を用いた図8を参照して以下に記述される。適当な角度干渉計は、国際特許出願WO96/31752に開示されている。角度干渉計は、コヒーレントな光ビームを発振するレーザー60を含む。偏光ビームスプリッタおよびプリズム64は、光ビームを一対の直角に偏光して平行に延在する光ビーム66,68へと分割する。各光ビームは、走査ヘッドの台座74に取り付けた屈折製品のガラスブロック70,72をそれぞれ通過する。その後、光ビーム66,68は、一対の再帰反射器70,72によりこれらの入射経路と平行に反射して戻され、これら光ビーム間の距離と等しい距離だけ一方が他方に対して光ビームの伝搬方向に変位し、位相ノイズを削減する。これら光ビームは、干渉ビームを生成するために再結合される。走査ヘッドの回転は、ビーム66および68の相対的な光路長の変化をもたらし、従って干渉ビームの位相の変化は、走査ヘッドの角度変位量を決定するために用いることができる。ビーム66,68は軸線方向に間隔をあけられ、比較的低慣性モーメントを持つ製品の使用を可能にすると共に広範囲の角度変位を可能にする。
【0062】
この屈折製品が各軸線を中心に個々に回転する電動走査ヘッドに取り付けられるのに対し、測定が走査ヘッドエンコーダと干渉装置とでなされる。これら二組の測定が誤差関数や参照テーブルを作成するために用いられる。
【0063】
干渉計は、有限の角度に関して単に読み取りを行うことができるだけなので、滑りクラッチ装置が用いられ、エンコーダの全範囲に亙って誤差マップを作成することができるようになっている。それぞれの角度区域からの測定データのセットが相互に継ぎ合わされ、全範囲に亙る測定データを作成する。
【0064】
走査ヘッドの角度誤差は、走査ヘッドの記録角度と、干渉計により測定した角度位置との間の差から取得される。
【0065】
さて、エンコーダの誤差マップを作成する第2の方法が図9を参照して記述されよう。図9は、軸線A1と一直線状に配される直接結合にて較正回転台に直接結合される電動走査ヘッド16を示す。回転台は、ベースに取り付けられる固定構造体82と、軸受に取り付けられて固定ハウジング82に対し軸線を中心に回転可能である可回転構造体84とを有する。回転エンコーダは、固定構造体に対する可回転構造体の回転を測定するために用いられる。継手は、走査ヘッド16のプローブ台座88に取り付けられる軸86を具有する。軸86は、その長手方向軸線を中心とする回転のねじれに対して変形しないけれども、その長手方向軸線から離れたXおよびYの平行移動と、すべての軸線を中心とする少量の傾きとを可能にする。
【0066】
次に、走査ヘッドが軸線A1を中心に回転するのに対し、走査ヘッドを読み込むエンコーダは、回転台を読み込むエンコーダと同時に記録される。次に、走査ヘッドエンコーダからの読み取り位置と、較正回転台の読み取り位置とを比較することができる。
【0067】
軸線A2のエンコーダは、図10に示すように、誤差マップが作成される。図10の回転テーブルは、その側方に取り付けられ、軸86が回転テーブル80から水平に延在するようになっている。L字状の板90が軸の自由端に設けられ、そしてL字状板90の水平部分がプローブヘッドのプローブ台座88に取り付けられる。従って、軸86は軸線A2と一直線状に整列される。従って、プローブヘッド16のその軸線A2を中心とする回転は、回転テーブル80の回転部84の回転をもたらす。走査ヘッドはその軸線A2を中心に回転するのに対し、走査ヘッドおよび回転テーブルの両方からのエンコーダの読み取りが同時に記録される。
【0068】
走査ヘッドの読み取り誤差は、走査ヘッドのエンコーダの読み取りと回転テーブルのエンコーダの読み取りとの間の差から決定される。
【0069】
回転テーブルのエンコーダを次の方法により較正することができる。走査ヘッド16は図9に示すように回転テーブル80に結合され、軸86が走査ヘッドと回転テーブルとを相互に強固に結合する。
【0070】
走査ヘッドおよび結合した回転テーブルを予め設定した量(例えば1回転)回転した後、走査ヘッドをその軸線A1を中心として回転テーブル対して回転し、この処理がこの新たな位置合わせにて繰り返される。軸線A1を中心とする何回かの回転位置合わせにてこの処理を繰り返すことにより、測定結果を数学的に処理することができ、単一のエンコーダ(この場合、回転テーブルの回転エンコーダ)からの誤差が得られるようになっている。
【0071】
回転テーブルのエンコーダを較正するステップのため、走査ヘッドは回転エンコーダを含む他の機器、例えば第2の回転テーブルと置き換えることができる。
【0072】
回転テーブルのエンコーダを較正する他の方法において、第2の回転エンコーダが回転テーブルに直接結合される。前述同様、回転テーブルおよび第2の回転エンコーダは相互に回転すると同時に両方の回転エンコーダからの読み取りが記録される。予め設定した量(例えば1回転)を回転した後、第2の回転エンコーダの結合が解除され、新たな角度位置合わせのためにその軸線を中心に回転する。絶対位置検出器ではなく、インクリメンタルエンコーダを用いた場合、回転した回転エンコーダは、これらが位置合わせし直されるようにこれらの位置を記録し続けるか、あるいはこれらの時間位置が位置合わせし直し後に設定できるように、参照マーカを有する必要がある。この処理は、第2の回転エンコーダのその軸線を中心とする何回かの回転位置あわせにて繰り返される。前述同様、これは、単一のエンコーダからの誤差が得られることを可能にし、従って回転テーブルの回転エンコーダの誤差マップが作成されることを可能にする。この方法は、第2の回転テーブルが回転テーブルのエンコーダと同じ軸受に取り付けられるので、軸受の位置不整合による誤差が排除されるという利点を有する。
【0073】
図11は、図9に示した方法の変更例を示す。この実施形態において、走査ヘッド16はCCDまたは位置検出器の如き検出器90の上に直接取り付けられる。光源92は電動走査ヘッド16に取り付けられ、検出器90に入射する光ビーム94を創成する。走査ヘッドがその軸線A1を中心に回転するので、検出器90に入射するビーム94の位置が変化しよう。従って、エンコーダ読み取りを検出器に対する光線の位置と比較することができる。
【0074】
走査ヘッドの角度の誤差は、記録された走査ヘッドの角度と、検出器に対する光線の記録された位置との間の差から取得される。
【0075】
記録された走査ヘッドの角度と誤差補正とを関係付けるために参照テーブルを作成することができる。代わりに、走査ヘッドの記録角度と走査ヘッドの補正角度とを関係付けるために参照テーブルを作成することができる。
【0076】
参照テーブルの変化量の間にある走査ヘッドの角度の誤差補正は例えば直線または平滑補間により補間することができる。
【0077】
誤差に対する走査ヘッドの記録角度か、あるいは正しい角度に対する走査ヘッドの記録角度を関連付けるため、多項関数を画成することができる。この多項関数を角度の全範囲に関連させることができる。代わりに、いくつかの多項関数をそれぞれの角度範囲に関連して画成することができる。
【0078】
代わりに、誤差関数をフーリエ級数とし、格納されたフーリエ級数の係数と共に設計することができる。
【0079】
走査ヘッドのエンコーダをマップ化するための他の実施形態を図12に示す。この装置において、コリメート光源100と、ビームスプリッタ102と、x,y位置検出器の如き光検出器104とが走査ヘッド16に取り付けられる。走査ヘッド16は、回転台106の上方に配され、この回転台は軸受により固定構造体109に回転可能に取り付けられた可回転板108を有する。回転エンコーダは、回転板108の角度位置を測定するために設けられる。回転板108には、再帰反射器112を取り付けた直立支柱110が設けられている。
【0080】
走査ヘッド16の光学機器を再帰反射器112と位置合わせした場合、光源100から出射した光線は、再帰反射器112へとビームスプリッタ102を通過しよう。再帰反射器112はビームを反射してビームスプリッタに戻し、ビームスプリッタはこのビームを検出器104へと反射する。
【0081】
回転台の可回転板108は一定速度で回転する。走査ヘッド16は、ビームが検出器104に入射するようにしておくことにより、その軸線A1を中心に回転板と合致した速度で回転する。検出器104からのフィードバックがコントローラにより用いられ、走査ヘッドの速度を制御するようになっている。回転板108と走査ヘッド16とが同じ速度で回転すると、二組のエンコーダの出力が同時に記録され、従って走査ヘッドエンコーダの誤差マップを作成することが可能になる。
【0082】
走査ヘッド16が回転すると、x,y位置検出器の一方のチャンネルが回転台と基準エンコーダとの間の方位の相違を伝える。位置検出器の他方のチャンネルは、ヘッドに対する再帰反射器の高さのあらゆる変化を伝え、従って走査ヘッドの軸線と基準軸線との間の角度の位置ずれを伝えることができる。これらは、回転台106のピッチとロールとを調整することにより除去することができる。この調整を可能にするため、回転台106はピッチおよびロール傾斜台114に取り付けられる。
【0083】
唯一の可能性がある別な位置ずれは、走査ヘッドの回転中心が回転台の回転中心の上にない場合である。これは、走査ヘッドと回転台エンコーダとの出力間の一回転毎に発生する正弦波の形で変化する相違として認識することができる。この一次誤差を最小にするため、走査ヘッドまたは回転台のx,y位置を変更することができる。それで、走査ヘッドおよび回転台の回転軸線が一致しよう。
【0084】
ヘッドエンコーダと回転台エンコーダとの間に残る相違は、次の関心事の一つであり、誤差マップを作成するために前述したようなアクティブヘッドエンコーダを用いることができる。
【0085】
回転台エンコーダを較正しない場合、可回転板に対する多数の異なる角度に対し、再帰反射器の支柱を動かしてデータ採取を繰り返すことにより、走査ヘッドと可回転板との間の多数の相対角度を作り出すことができ、これは、結合軸を用いて1つのエンコーダの誤差マップを作成することを可能にするという前述したのと同じ方法である。
【0086】
回転テーブルがその側方に取り付けられると共に光学機器がL字形ブラケットに取り付けられた図10に示すものと同様な構成を用いて同じように走査ヘッドの軸線A2をマップ化することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標測定機械(CMM)、工作機械、手動座標測定アームおよび検査ロボットの如き座標位置決め装置に取り付けられる電動走査ヘッドを用いて加工対象物の表面を走査するための関節式プローブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
座標位置決め機械に電動走査ヘッドを取り付けることは、特許文献1から知られている。電動走査ヘッドは、この電動走査ヘッドに取り付けられるスタイラスが2本の直交する軸線を中心に回転することを可能にする。従って、スタイラスはこれら2本の軸線を中心として角度をつけて配されることができるのに対し、電動走査ヘッドは座標位置決め機械によってこの機械の作業範囲内のどのような位置にでも配されることができる。
【0003】
電動走査ヘッドは、スタイラスを多くの異なる向きに配することができるため、このような電動走査ヘッドは、より大きな走査の柔軟性を持った座標位置決め機械をもたらす。
【0004】
特許文献1は、電動走査ヘッドの回転軸線が位置決めモードまたは付勢モードに操作されることができることをさらに開示している。付勢モードは、電動走査ヘッドのモータにより加えられる一定トルクにて表面が走査されることを可能にする。この特許文献1はまた、スタイラスに作用する力を検出するために歪ゲージアレイをこのスタイラスに設けることができることも開示している。歪ゲージからのデータは、スタイラスに作用する力ができるだけ一定となるように、電動走査ヘッドによって加えられるトルクを調整するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開パンフレット第WO90/07097号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高速走査を精度と共に達成するため、この測定システムにおいては、運動質量、従って動的誤差を最小にすることが望ましい。電動走査ヘッドは、その回転軸線を中心とする高加速を可能にし、従って高速走査の使用に適している。
【0007】
走査中、スタイラスのチップは、走査される部分の表面と接触状態に保持される必要がある。周知の部分の走査のため、CMMおよび電動走査ヘッドは、所定の経路を追随することができる。しかしながら、未知の部分のため、プローブのスタイラスに損傷を与えたり、この部分と衝突を起こす可能性のある力を越えることなく、このチップをこの未知の部分の表面に対して保持するように、スタイラスチップの経路を調整する必要がある。
【0008】
電動走査ヘッドのモータは一定トルクを加えることができるけれども、加速,重力および表面摩擦の如き要因がスタイラスチップにて検知される力に影響を与える。さらに、スタイラスチップにて検知される力は、表面に対するスタイラスの角度と共に変化しよう。従って、一定のトルクは、一定のスタイラスチップ力を必ずしももたらさない。従って、一定のトルクを用いる方法は、これがスタイラスチップでの一定の力を保証しないので、高速走査に適していない。
【0009】
スタイラスチップと表面との間の大きな接触力は、プローブが表面と接触状態でいることを確実にするために必要である。大きな力を伴う高速走査は、これがセンサに摩耗をもたらすので望ましくない。従って、力を最小にすることが望まれる。しかしながら、歪ゲージの如き力センサにて小さな力を測定するため、この力センサは柔軟性のある構造体に取り付けられる必要がある。このような柔軟性のある構造体は強靭ではなく、落としたり、衝突した場合に破損しやすく、従って、これは一定の力で高速走査を実行するための主たる障害である。それ故、一定の力を持つプローブチップにて高速走査を行うために必要な小さな力を検出することに問題がある。
【0010】
高速走査のために必要とされる高帯域幅の力測定プローブは、狭い範囲を概ね有する。従って、(例えば加工誤差や固定具などのために)この部分の予想される形状からのどんな著しい逸脱でも、プローブが範囲外に外れるという結果になる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、表面検出器を取り付けることができ、少なくとも1つの軸線を中心として前記表面検出器の回転運動をもたらす関節式プローブヘッドを提供し、
このフローブヘッドには、前記少なくとも1つの軸線を中心とする前記表面検出器の角度位置を測定するために少なくとも1つの回転測定器具が設けられ、
この少なくとも1つの回転測定器具がマップ化された誤差である。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの回転測定器具が関節式プローブヘッドの他の誤差から切り離してマップ化された誤差である。
【0013】
少なくとも1つの回転測定器具は、測定した表面検出器の角度位置を測定誤差に関連付けた参照テーブルか、誤差関数か、またはフーリエ級数を有するものであってよい。
【0014】
少なくとも1つの回転測定器具は、測定された表面検出器の角度位置を訂正された表面検出器の角度位置に関連付けた参照テーブルか、誤差関数か、またはフーリエ級数を有するものであってよい。
【発明の効果】
【0015】
これは、正確さを最高にするため、予め設定された範囲に亙って表面検出器を較正できるという利点を有する。従って、前記検出器の全範囲に亙るよりもこの予め設定された範囲に亙って表面検出器を較正することにより、より良好な較正適合性を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による関節式プローブヘッドを含む座標測定機械の立面図である。
【図2】電動走査ヘッドの断面図である。
【図3】平坦な表面の掃引走査を例示する。
【図4】穴の走査を例示する。
【図5】フィードバックシステムを例示するフローチャートである。
【図6】表面上のスタイラスチップをその関連付けられた撓みと駆動ベクトルと共に例示する。
【図7】この先の表面の点を予測するために用いられる履歴データ点を例示する。
【図8】角度干渉装置を例示する。
【図9】回転テーブルに対して第1の方向に結合される走査ヘッドの側面図である。
【図10】回転テーブルに対して第2の方向に結合される走査ヘッドの側面図である。
【図11】走査ヘッドのエンコーダを誤差マップ化する非接触装置を例示する。
【図12】走査ヘッドのエンコーダを誤差マップ化する第2の非接触装置を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
さて、本発明の好ましい実施形態の例が添付図面を参照して記述されよう。
【0018】
図1は、座標測定機械(CMM)に取り付けられた電動走査ヘッドを例示する。測定される加工対象物10がCMM14のテーブル12に取り付けられ、電動走査ヘッド16がCMM14のクイル18に取り付けられる。スピンドルは、モータにより周知の方法にてテーブル対してX,Y,Z方向に駆動可能である。
【0019】
図2に示すように、電動走査ヘッド16は、ベース、すなわちハウジング20により形成された固定部と、モータM1によりハウジング20対して軸線A1を中心に回転可能な軸22の形態の可動部とを具有する。軸22は別なハウジング24に固定され、このハウジングは、次の軸26をモータM2によりハウジング24に対して軸線A1と直交する軸線A2を中心に回転可能に支持する。
【0020】
加工対象物接触チップ30を有するスタイラス29を持ったプローブ28が電動走査ヘッドに取り付けられている。この構成は、ヘッドのモータM1,M2が加工対象物接触チップを軸線A1またはA2を中心とする角度で位置決めすることができ、かつスタイラスチップが走査される表面に対して予め設定した関係となるように、CMMのモータが電動走査ヘッドを直線的に三次元座標枠組み内のどこへでも位置決めすることができるようになっている。モータM1,M2は直結駆動であり、モータがコントローラからの要求に応じて迅速に作動可能である。
【0021】
空気軸受(摩擦がゼロ)の如き低摩擦軸受もまた、軸線A1およびA2を中心に応答性の良いプローブの高速移動を可能にする。空気軸受はこれらが軽いというさらなる利点を有する。
【0022】
走査ヘッドの直線変位を測定するための直線位置変換器がCMMに設けられ、それぞれの軸線A1およびA2を中心とするスタイラスの角度変位を測定するための角度位置変換器T1およびT2が走査ヘッドに設けられている。変換器T1およびT2は、その負荷(すなわちプローブ)に対して強固に結合される。これは、プローブの正確な位置データをもたらす。走査ヘッドの軸受は曲がらず、変換器T1およびT2が地面に対して正確な位置データを与え得ることを確実にする。
【0023】
プローブは、可撓性スタイラス29と、スタイラスの撓み量を測定するプローブの変換器とを有する。代わりに非接触プローブを用いることができる。このプローブは、一次元(例えば表面からの距離を検出する非接触プローブ)か、二次元(例えばXおよびYの撓みを検知する接触プローブ)か、または三次元(例えばX,YおよびZの撓みを検知する接触プローブ)であってよい。
【0024】
図1に示すような垂直アームのCMMに関し、走査ヘッド16の軸線A1は、(軸18に沿った)CMMのZ軸に対して名目上、平行である。走査ヘッドは、プローブをこの軸を中心として連続的に回転させることができる。走査ヘッドの軸線A2は、その軸線A1に対して直交する。
【0025】
電動走査ヘッドは、これを高速走査に適合させる低慣性構造を有する。低慣性構造は、その小さくかつ軽量な構造によって達成される。走査ヘッドはまた、測定誤差を減らす剛体構造と軸受とを有する。
【0026】
本発明の第1の実施形態が図3に示され、平坦面32が掃引走査プロフィール34を用いて走査される。
【0027】
CMMは、ヘッドを経路に沿って動かすのに対し、電動走査ヘッドはプローブをCMMの経路に対して横切る方向の1本の回転軸線を中心に往復動し、正弦波の形で変化するプロフィールを作り出す。
【0028】
スタイラス29の撓みは、プローブの変換器によって測定される。この撓みは、可能な限り目標値に近い望ましい範囲内に保たれる。プローブ28からの出力は、コントローラに送られる。撓みが目標値から離れている場合、電動走査ヘッドの他の回転軸線を中心とするプローブ28の角度を調整し、これが目標値に近づくように撓みを調整するようになっている。
【0029】
図4は、穴または円形のプロフィールをこのシステムにて走査する方法を示す。この場合、電動走査ヘッド16は穴38の中心線36に沿って動かされる。電動走査ヘッド16の回転軸線A1,A2がスタイラスチップ30を穴の内周に沿って動かすために用いられ、CMMと電動走査ヘッドとの合成運動が穴の内面に沿った螺旋軌跡でスタイラスチップを移動させるようになっている。
【0030】
位置Aにて、一方の回転軸線がプローブを駆動すると共に他方の回転軸線がスタイラスの撓みを調整するために用いられる。位置Bではこれが逆となる。2つの回転軸線は、位置Aと位置Bとの間で螺旋状のプロフィールに沿ってプローブを駆動すると共に撓みを調整するために組み合わさって機能する。
【0031】
回転軸線の何れか一方または両方がプローブの撓みを調整するために用いられると共に回転軸線の何れか他方または両方がプローブを駆動に用いられるこの技術を用いて他の表面プロフィールを測定することができる。
【0032】
図5は、スタイラスの撓みのフィードバック制御を例示するフローチャートである。プローブセンサ40からの出力PSは、中央処理装置(CPU)42に送られる。この出力は、一次元か、二次元か、または三次元のデータを含むことができる。
【0033】
CPU40はまた、CMM44のX,Y,Z軸のエンコーダからの位置入力信号PX,PY,PZと、電動走査ヘッド46の軸線A1,A2のエンコーダの位置入力信号PAA1,PA2とを受け取る。CPU42は、CMMデータPX,PY,PZと、電動走査ヘッドのデータPA1,PA2と、プローブセンサのデータPSとから表面位置を計算することができる。
【0034】
CPUはまた、測定されたスタイラスの撓みを目標値および規定範囲と比較することができる。
【0035】
プローブセンサが2Dまたは3Dセンサの場合、CPUは、次に図6に示したスタイラスチップの撓みベクトル50を計算することができる。これは、スタイラスチップ30が撓む方向である。これはまた、撓みが規定範囲内であって目標値に対して可能な限り近く保つためにスタイラスチップの位置を調整すべき方向と平行な方向である。
【0036】
撓みベクトルはまた、駆動ベクトル52を生成するために用いることもでき、これはスタイラスチップ30が表面94に沿って駆動される方向である。駆動ベクトルを生成するため、撓み方向が約90°だけ回転させられる。大体の方向は(例えばCADデータや部品プログラムから、または履歴データ点から)すでに知られているが、この計算は駆動ベクトルを表面に対する接線に保つ。
【0037】
CPUが駆動ベクトルと撓みベクトルとを決定すると、これは駆動コマンドDX,DY,D2,DA1,DA2をCMMと電動走査ヘッドとに送ることができる。スタイラスチップを駆動ベクトルに沿って駆動するため、駆動コマンドがX,Y,Z軸と、電動走査ヘッドの軸線の一方または両方とに送られる。これらの指令は、個々のモータに対する電圧または電流により送られる。
【0038】
撓み調整コマンドは、撓みベクトルと平行な方向に撓みを制御するため、電圧または電流の形態で電動走査ヘッドの回転軸線の一方または両方に送られる。
【0039】
従って、撓みおよび駆動の両方がプローブからのフィードバックを用いて実時間にて調整される。
【0040】
CPUは、同期駆動コマンドを電動走査ヘッドおよびCMMに対して生成する。これは、走査ヘッドによってもたらされる回転運動がCMMの直線運動の前または後に得られないことを確実にする。この同期化は、表面、例えば自由表面を走査するため、走査ヘッドおよびCMMの両方が駆動ベクトルに応じて(例えば予期しない障害を回避するため)それぞれそれらの軸線を中心とした運動を与えることができるという利点を有する。
【0041】
実時間撓み制御を達成するため、プローブセンサが迅速かつ正確なプローブ撓みの測定を実行できることが重要である。迅速かつ正確にプローブ撓みを測定する方法は、光学的手段による。
【0042】
欧州特許出願EP1505362は、スタイラスが取り付けられるスタイラスホルダの撓みを検出するための光学的変換器を開示する。各変換器はレーザーダイオード光源を含み、このレーザーダイオード光源は、スタイラスホルダに配された反射鏡の如き光学的形体に対してビームを投射する。光学的形体を反射した光は、高感度位置検出器に入射し、その出力が反射光の入射位置、つまりスタイラスホルダの変位量を示す。
【0043】
米国特許第6633051号は、相対的に堅い中空のスタイラスキャリアと、相対的に可撓性のある中空のスタイラスとを有するスタイラスアセンブリを開示している。光学的変換システムがこのスタイラスアセンブリ内に設けられ、光ビームをスタイラスチップの方に導く固定光源と、この光ビームをスタイラスチップにて反射して固定検出器に戻す再帰反射部材とを具えている。この構成は、スタイラスチップが表面と接触状態にある場合、スタイラスチップの横方向変位を直接測定することができるようなものである。この構成は、スタイラスチップの位置が検出され、従ってスタイラスの曲げが考慮されるという利点を有する。
【0044】
これら両方の機構は、これらが高感度な光であって、高分解能を有するという利点を持っており、これらの開示は、これらを参照することにより本願に組み入れられる。
【0045】
プローブを高速走査に適合させるため、これは高い構造的共振を有することが必要であり、すなわちこれは測定経路を高速で追従するために充分堅くなくてはならない。しかしながら、堅いプローブは、これが狭い測定範囲を有するという欠点を有する。従って、プローブをその測定範囲内に保持するためにフィードバックが必要である。
【0046】
この発明はまた、静電容量式か、誘導式か、または光学式プローブの如き、非接触プローブを用いても好適である。この場合、プローブのオフセットがオフセット目標値に可能な限り近い規定範囲内に保持される。規定範囲外では、プローブは直線的に動かなかったり、あるいは較正されない可能性がある。
【0047】
非接触プローブは、スカラーセンサを有することができ、この場合、センサ出力は表面からの距離を与えるけれども、これは方向についての情報を何ら与えない。従ってセンサ出力のみでは、オフセットを調整するためにプローブを動かす必要のある方向を決定するための充分なデータがない。さらに、撓みベクトルをセンサデータから決定することができないので、駆動ベクトルもまた決定することができない。
【0048】
この場合、適切な撓みベクトルを決定するために履歴データを用いることができる。図7に示すように、履歴データ点P1,P2およびP3が表面58上の次の表面点P4の位置を予測するために用いられる。この予測位置から、点P4における表面の垂線56もまた予測することができる。この方法は、米国特許第5334918号に記述されており、これを参照することによって、この明細書に組み入れられる。
【0049】
撓みベクトルは、予測された表面の垂線56に沿って存在するように取得される。従って、表面点の位置が測定データから知れており、撓みベクトルの方向は履歴データを用いて推定される。回転軸の一方または両方を動かしてプローブが撓みベクトルに沿って動くようにすることにより、オフセットを調整することができる。撓みベクトルを前述したように90度だけ回転させることにより、駆動ベクトルを決定することができる。
【0050】
しかしながら、二次元または三次元のプローブに関し、履歴データを用いずに撓みベクトルを決定するためのセンサからの充分なデータがある。
【0051】
電動走査ヘッドは、高速走査を実行することが可能であり、それは高い固有振動数を有し、それ故にプローブチップを高速にて位置決めすることができるからである。
【0052】
電動走査ヘッドはまた、高いサーボ制御帯域幅を有する。これは、プローブが長い範囲の距離に亙って動くことが可能であり、従ってスタイラスの撓みを調整するのに有効であることを意味する。さらに、電動走査ヘッドの運動が直接駆動モータにより制御され、CPUからの指令に対して迅速な応答を確実にし、従って望ましい実時間フィードバックを可能にする。
【0053】
この装置は、さまざまな異なるプローブ、例えば異なるスタイラス長を有するプローブを用いることができる。各プローブの目標撓みをコントローラ内にプログラムすることができる。従って、プローブを相互に代用することができ、電動走査ヘッドは、スタイラス撓みを個々のプローブの範囲内に調整するためにフィードバックを使用し続けることが可能である。プローブを較正してこれらがすべて同じ目標撓みおよび目標範囲を有するようにすることができる。非接触プローブも同様に較正し、オフセット目標値およびそれらの範囲が全て同じであって接触プローブの目標撓みおよび範囲と対応させることができる。
【0054】
電動走査ヘッドは、このヘッドの寸法形状誤差を実時間にて補償することができる。このような誤差は、電動走査ヘッドの組み立て中に生ずる可能性がある。走査ヘッドは、周知の方法を用いてそのパラメータを理解するために較正される。このような方法は、基準ボールの如き既知の寸法の一部を走査ヘッドで測定するステップと、ヘッドを較正するために用いられる測定誤差をそれによって集めるステップとを含むことができる。電動走査ヘッドが較正されるように、ヘッドのモータを駆動して表面検出器の位置をフィードバックに応じて調整する場合、これらの誤差が計算に取り込まれる。
【0055】
CMMは、その直線駆動に関する回転誤差(例えばピッチ,ロールおよびヨー)のための誤差マップが作成される。走査ヘッドもまた、回転誤差のための誤差マップが作成される。測定データは、CMMおよび走査ヘッドの組み合わされた回転誤差に関して実時間にて補正された誤差があり、従って同期した誤差補正をもたらす。CMMおよび走査ヘッドの両方に対する指令信号を同期誤差補正のために実時間にて誤差補正するため、同じCMMおよび走査ヘッドの誤差マッピングデータを使用することもまた可能である。
【0056】
この高速走査の方法は、未知の部品を測定するのに適している。CMMが追従すべき経路は、コントローラにプログラムされるか、または手動にて操作棹を介して制御することができる。広域プロフィールの如き電動走査ヘッドの走査移動もまたプログラムされる。走査中、電動走査ヘッドの少なくとも1本の回転軸線が前述のように撓みを制御するために駆動される。CMMと電動走査ヘッドの少なくとも1本の軸線とを制御する駆動ベクトルもまた、前述のように調整することができる。
【0057】
電動走査ヘッドの角度位置変換器T1およびT2は回転エンコーダを具えることができる。規格品の回転エンコーダは、電動走査ヘッドの測定要求に対して充分に正確ではなく、それで誤差マップを作成する必要がある。
【0058】
走査ヘッドは多くの誤差要因、例えば幾何学的な誤差や、重力または加速度によって生ずる歪みを含む。幾何学的誤差の如き他の誤差から独立しているエンコーダのための誤差マップを作成することが有利である。
【0059】
回転エンコーダは、電動走査ヘッドの組み込み前か、または後の何れかで誤差マップが作成されてよい。回転エンコーダの組み込み後の誤差マップの作成は、エンコーダを取り付けることによって生ずる歪みおよび偏心の如き誤差が配慮されるという利点を有する。
【0060】
走査ヘッドのエンコーダは、走査ヘッドを参照基準に対して駆動することにより誤差マップが作成されてよい。
【0061】
エンコーダの誤差マップを作成する第1の方法が角度干渉計を用いた図8を参照して以下に記述される。適当な角度干渉計は、国際特許出願WO96/31752に開示されている。角度干渉計は、コヒーレントな光ビームを発振するレーザー60を含む。偏光ビームスプリッタおよびプリズム64は、光ビームを一対の直角に偏光して平行に延在する光ビーム66,68へと分割する。各光ビームは、走査ヘッドの台座74に取り付けた屈折製品のガラスブロック70,72をそれぞれ通過する。その後、光ビーム66,68は、一対の再帰反射器70,72によりこれらの入射経路と平行に反射して戻され、これら光ビーム間の距離と等しい距離だけ一方が他方に対して光ビームの伝搬方向に変位し、位相ノイズを削減する。これら光ビームは、干渉ビームを生成するために再結合される。走査ヘッドの回転は、ビーム66および68の相対的な光路長の変化をもたらし、従って干渉ビームの位相の変化は、走査ヘッドの角度変位量を決定するために用いることができる。ビーム66,68は軸線方向に間隔をあけられ、比較的低慣性モーメントを持つ製品の使用を可能にすると共に広範囲の角度変位を可能にする。
【0062】
この屈折製品が各軸線を中心に個々に回転する電動走査ヘッドに取り付けられるのに対し、測定が走査ヘッドエンコーダと干渉装置とでなされる。これら二組の測定が誤差関数や参照テーブルを作成するために用いられる。
【0063】
干渉計は、有限の角度に関して単に読み取りを行うことができるだけなので、滑りクラッチ装置が用いられ、エンコーダの全範囲に亙って誤差マップを作成することができるようになっている。それぞれの角度区域からの測定データのセットが相互に継ぎ合わされ、全範囲に亙る測定データを作成する。
【0064】
走査ヘッドの角度誤差は、走査ヘッドの記録角度と、干渉計により測定した角度位置との間の差から取得される。
【0065】
さて、エンコーダの誤差マップを作成する第2の方法が図9を参照して記述されよう。図9は、軸線A1と一直線状に配される直接結合にて較正回転台に直接結合される電動走査ヘッド16を示す。回転台は、ベースに取り付けられる固定構造体82と、軸受に取り付けられて固定ハウジング82に対し軸線を中心に回転可能である可回転構造体84とを有する。回転エンコーダは、固定構造体に対する可回転構造体の回転を測定するために用いられる。継手は、走査ヘッド16のプローブ台座88に取り付けられる軸86を具有する。軸86は、その長手方向軸線を中心とする回転のねじれに対して変形しないけれども、その長手方向軸線から離れたXおよびYの平行移動と、すべての軸線を中心とする少量の傾きとを可能にする。
【0066】
次に、走査ヘッドが軸線A1を中心に回転するのに対し、走査ヘッドを読み込むエンコーダは、回転台を読み込むエンコーダと同時に記録される。次に、走査ヘッドエンコーダからの読み取り位置と、較正回転台の読み取り位置とを比較することができる。
【0067】
軸線A2のエンコーダは、図10に示すように、誤差マップが作成される。図10の回転テーブルは、その側方に取り付けられ、軸86が回転テーブル80から水平に延在するようになっている。L字状の板90が軸の自由端に設けられ、そしてL字状板90の水平部分がプローブヘッドのプローブ台座88に取り付けられる。従って、軸86は軸線A2と一直線状に整列される。従って、プローブヘッド16のその軸線A2を中心とする回転は、回転テーブル80の回転部84の回転をもたらす。走査ヘッドはその軸線A2を中心に回転するのに対し、走査ヘッドおよび回転テーブルの両方からのエンコーダの読み取りが同時に記録される。
【0068】
走査ヘッドの読み取り誤差は、走査ヘッドのエンコーダの読み取りと回転テーブルのエンコーダの読み取りとの間の差から決定される。
【0069】
回転テーブルのエンコーダを次の方法により較正することができる。走査ヘッド16は図9に示すように回転テーブル80に結合され、軸86が走査ヘッドと回転テーブルとを相互に強固に結合する。
【0070】
走査ヘッドおよび結合した回転テーブルを予め設定した量(例えば1回転)回転した後、走査ヘッドをその軸線A1を中心として回転テーブル対して回転し、この処理がこの新たな位置合わせにて繰り返される。軸線A1を中心とする何回かの回転位置合わせにてこの処理を繰り返すことにより、測定結果を数学的に処理することができ、単一のエンコーダ(この場合、回転テーブルの回転エンコーダ)からの誤差が得られるようになっている。
【0071】
回転テーブルのエンコーダを較正するステップのため、走査ヘッドは回転エンコーダを含む他の機器、例えば第2の回転テーブルと置き換えることができる。
【0072】
回転テーブルのエンコーダを較正する他の方法において、第2の回転エンコーダが回転テーブルに直接結合される。前述同様、回転テーブルおよび第2の回転エンコーダは相互に回転すると同時に両方の回転エンコーダからの読み取りが記録される。予め設定した量(例えば1回転)を回転した後、第2の回転エンコーダの結合が解除され、新たな角度位置合わせのためにその軸線を中心に回転する。絶対位置検出器ではなく、インクリメンタルエンコーダを用いた場合、回転した回転エンコーダは、これらが位置合わせし直されるようにこれらの位置を記録し続けるか、あるいはこれらの時間位置が位置合わせし直し後に設定できるように、参照マーカを有する必要がある。この処理は、第2の回転エンコーダのその軸線を中心とする何回かの回転位置あわせにて繰り返される。前述同様、これは、単一のエンコーダからの誤差が得られることを可能にし、従って回転テーブルの回転エンコーダの誤差マップが作成されることを可能にする。この方法は、第2の回転テーブルが回転テーブルのエンコーダと同じ軸受に取り付けられるので、軸受の位置不整合による誤差が排除されるという利点を有する。
【0073】
図11は、図9に示した方法の変更例を示す。この実施形態において、走査ヘッド16はCCDまたは位置検出器の如き検出器90の上に直接取り付けられる。光源92は電動走査ヘッド16に取り付けられ、検出器90に入射する光ビーム94を創成する。走査ヘッドがその軸線A1を中心に回転するので、検出器90に入射するビーム94の位置が変化しよう。従って、エンコーダ読み取りを検出器に対する光線の位置と比較することができる。
【0074】
走査ヘッドの角度の誤差は、記録された走査ヘッドの角度と、検出器に対する光線の記録された位置との間の差から取得される。
【0075】
記録された走査ヘッドの角度と誤差補正とを関係付けるために参照テーブルを作成することができる。代わりに、走査ヘッドの記録角度と走査ヘッドの補正角度とを関係付けるために参照テーブルを作成することができる。
【0076】
参照テーブルの変化量の間にある走査ヘッドの角度の誤差補正は例えば直線または平滑補間により補間することができる。
【0077】
誤差に対する走査ヘッドの記録角度か、あるいは正しい角度に対する走査ヘッドの記録角度を関連付けるため、多項関数を画成することができる。この多項関数を角度の全範囲に関連させることができる。代わりに、いくつかの多項関数をそれぞれの角度範囲に関連して画成することができる。
【0078】
代わりに、誤差関数をフーリエ級数とし、格納されたフーリエ級数の係数と共に設計することができる。
【0079】
走査ヘッドのエンコーダをマップ化するための他の実施形態を図12に示す。この装置において、コリメート光源100と、ビームスプリッタ102と、x,y位置検出器の如き光検出器104とが走査ヘッド16に取り付けられる。走査ヘッド16は、回転台106の上方に配され、この回転台は軸受により固定構造体109に回転可能に取り付けられた可回転板108を有する。回転エンコーダは、回転板108の角度位置を測定するために設けられる。回転板108には、再帰反射器112を取り付けた直立支柱110が設けられている。
【0080】
走査ヘッド16の光学機器を再帰反射器112と位置合わせした場合、光源100から出射した光線は、再帰反射器112へとビームスプリッタ102を通過しよう。再帰反射器112はビームを反射してビームスプリッタに戻し、ビームスプリッタはこのビームを検出器104へと反射する。
【0081】
回転台の可回転板108は一定速度で回転する。走査ヘッド16は、ビームが検出器104に入射するようにしておくことにより、その軸線A1を中心に回転板と合致した速度で回転する。検出器104からのフィードバックがコントローラにより用いられ、走査ヘッドの速度を制御するようになっている。回転板108と走査ヘッド16とが同じ速度で回転すると、二組のエンコーダの出力が同時に記録され、従って走査ヘッドエンコーダの誤差マップを作成することが可能になる。
【0082】
走査ヘッド16が回転すると、x,y位置検出器の一方のチャンネルが回転台と基準エンコーダとの間の方位の相違を伝える。位置検出器の他方のチャンネルは、ヘッドに対する再帰反射器の高さのあらゆる変化を伝え、従って走査ヘッドの軸線と基準軸線との間の角度の位置ずれを伝えることができる。これらは、回転台106のピッチとロールとを調整することにより除去することができる。この調整を可能にするため、回転台106はピッチおよびロール傾斜台114に取り付けられる。
【0083】
唯一の可能性がある別な位置ずれは、走査ヘッドの回転中心が回転台の回転中心の上にない場合である。これは、走査ヘッドと回転台エンコーダとの出力間の一回転毎に発生する正弦波の形で変化する相違として認識することができる。この一次誤差を最小にするため、走査ヘッドまたは回転台のx,y位置を変更することができる。それで、走査ヘッドおよび回転台の回転軸線が一致しよう。
【0084】
ヘッドエンコーダと回転台エンコーダとの間に残る相違は、次の関心事の一つであり、誤差マップを作成するために前述したようなアクティブヘッドエンコーダを用いることができる。
【0085】
回転台エンコーダを較正しない場合、可回転板に対する多数の異なる角度に対し、再帰反射器の支柱を動かしてデータ採取を繰り返すことにより、走査ヘッドと可回転板との間の多数の相対角度を作り出すことができ、これは、結合軸を用いて1つのエンコーダの誤差マップを作成することを可能にするという前述したのと同じ方法である。
【0086】
回転テーブルがその側方に取り付けられると共に光学機器がL字形ブラケットに取り付けられた図10に示すものと同様な構成を用いて同じように走査ヘッドの軸線A2をマップ化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面検出器を取り付けることができ、少なくとも1つの軸線を中心として前記表面検出器の回転運動をもたらす関節式プローブヘッドであって、
このフローブヘッドには、前記少なくとも1つの軸線を中心とする前記表面検出器の角度位置を測定するために少なくとも1つの回転測定器具が設けられ、
この少なくとも1つの回転測定器具がマップ化された誤差であることを特徴とする関節式プローブヘッド。
【請求項2】
前記少なくとも1つの回転測定器具がこの関節式プローブヘッドの他の誤差から切り離してマップ化された誤差であることを特徴とする請求項1に記載の関節式プローブヘッド。
【請求項3】
前記少なくとも1つの回転測定器具は、測定した前記表面検出器の角度位置を前記測定誤差に関連付けた参照テーブルか、誤差関数か、またはフーリエ級数を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の関節式プローブヘッド。
【請求項4】
前記少なくとも1つの回転測定器具は、測定された前記表面検出器の角度位置を訂正された前記表面検出器の角度位置に関連付けた参照テーブルか、誤差関数か、またはフーリエ級数を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の関節式プローブヘッド。
【請求項1】
表面検出器を取り付けることができ、少なくとも1つの軸線を中心として前記表面検出器の回転運動をもたらす関節式プローブヘッドであって、
このフローブヘッドには、前記少なくとも1つの軸線を中心とする前記表面検出器の角度位置を測定するために少なくとも1つの回転測定器具が設けられ、
この少なくとも1つの回転測定器具がマップ化された誤差であることを特徴とする関節式プローブヘッド。
【請求項2】
前記少なくとも1つの回転測定器具がこの関節式プローブヘッドの他の誤差から切り離してマップ化された誤差であることを特徴とする請求項1に記載の関節式プローブヘッド。
【請求項3】
前記少なくとも1つの回転測定器具は、測定した前記表面検出器の角度位置を前記測定誤差に関連付けた参照テーブルか、誤差関数か、またはフーリエ級数を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の関節式プローブヘッド。
【請求項4】
前記少なくとも1つの回転測定器具は、測定された前記表面検出器の角度位置を訂正された前記表面検出器の角度位置に関連付けた参照テーブルか、誤差関数か、またはフーリエ級数を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の関節式プローブヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−47687(P2013−47687A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−228309(P2012−228309)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【分割の表示】特願2008−508275(P2008−508275)の分割
【原出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【分割の表示】特願2008−508275(P2008−508275)の分割
【原出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】
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