説明

関節痛を治療する薬剤を生成するためのレシニフェラトキシン(RTX)の使用方法および前記薬剤を適用する方法

レシニフェラトキシン(RTN)の使用は、異なる疼痛状態の治療のための薬剤の調製のための、何ら局所麻酔を含有しないおよび好ましくは他の薬理学的な活性物質を全く含有しない処方に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、関節痛を治療するための薬剤を生成するためのレシニフェラトキシン(RTX)の請求項1の序文部分に記載の使用方法、および、前記薬剤を関節内腔または関節包中に適用するための請求項22の序文部分に記載の方法に関する。
【0002】
関節から発生する疼痛は、関節包領域にまたは関節の近傍の骨領域に起源を有することが多い。この関連において、関節性または関節炎の疾患形態、関節の近傍の骨表面の機械的または他の炎症、関節の靭帯構造への炎症または損傷、感染、自己免疫性過程などといった多くの類似状態を考慮してもよい。本発明の範囲内の関心対象のすべての場合において、結果として生じる疼痛は、神経の近くの領域中にある侵害性神経繊維から生じる。侵害性の神経繊維は、C繊維またはAデルタ繊維ともよばれる。(局所麻酔剤またはモルヒネなどの)鎮痛性物質をこのような患部関節に注射すると、患者の症状は緩和される。しかし、現在のところ通常の物質は、作用時間が限られているため、症状は一般的に戻る。
【0003】
一般的に、現在、疼痛を伴う患部関節の治療には下記の方法が用いられる。
・理学療法/運動療法
・全身性鎮痛剤/消炎鎮痛療法(など)
・局所性鎮痛剤/消炎鎮痛方法(など)
・外科手術的方法:
・関節鏡視下:創面切除、関節洗浄など
・観血/ミニ観血(Mini−Open)法:関節置換術、関節補強など。
【0004】
一連の公知の物質もまた、疼痛を伴う炎症を起こした関節の治療、とりわけ下記のために文献中に提案されてきた。
・滑膜切除術につながるオスミウム酸、またはテクネチウム99など放射性活性物質
・局所麻酔剤、ヒアルロン酸製剤(など)の注射
・消炎鎮痛剤の注射
・関節診断のための造影剤の注射
・関節洗浄のための関節の洗浄
・関節の世話をする神経の化学的、温熱的、電気的または外科的切除術。
【0005】
過去に用いられたすべての物質および方法は、比較的短期間のまたは不完全な疼痛の解消をもたらすか、または関節に対して長期的な損傷を引き起こす。
【0006】
たとえば、滑膜切除術の公知の方法は、分子の構造を破壊し、およびとりわけ、関節炎の過程において、および一部は関節症の発症において炎症を発生させるたんぱく質を変性させるという欠点を有する。さらに、炎症性が低くそのため疼痛も少ない関節包の繊維症が形成される。同時に、滑膜切除術の間に発生する関節の繊維症に起因して、一般にみとめられおよび治療されるべき充血が減少するため、その結果、治療効果が生じる。しかしながら、滑膜切除術後の繊維化した瘢痕は、関節の可動性の低下、ならびに、滑液の産生の減少、および関節軟骨の破壊につながりうる。この望ましくない関節包の繊維症は避けるべきであり、および感受性の高い神経支配のみを断つべきである。
【0007】
キャンベル(CAMPBELL)の欧州特許第 0 998 288号B明細書は、カプサイシンおよびその類似体を局所麻酔剤と(同時にまたは順次に)併用することを開示している。局所麻酔剤は、RTXの注射中の灼熱痛を防止するよう意図されている。局所麻酔剤が、カプサイシンに対して拮抗作用を有している場合、カプサイシンの濃度は、カプサイシンと併用される場合は、所望の疼痛治療を達成するためには、カプサイシンが単独で用いられる場合よりも高くなければならない。副作用として、充血および組織の炎症反応を引き起こす。
【0008】
ベルンシュタイン(BERNSTEIN)の米国特許第4,997,853号は、局部性疼痛症候群の治療のための局部活性を有する局所麻酔剤とのカプサイシンの併用を開示している。
【0009】
明らかに、局所麻酔剤を併用しないカプサイシンの使用は、全身性の使用(腹腔内、皮下、静脈内などの投与)または領域性の使用(硬膜外、髄腔内、経皮投与または領域的に選択的な神経ブロックとして)に対して公知である。しかしながら、影響を受けた領域だけでなく、無症状の隣接する領域も治療されることは、領域性または全身性の使用の決定的な欠点である。
【0010】
明らかに、局所麻酔剤を伴わない膀胱の中(膀胱内)のカプサイシンの使用もまた公知である。しかし、薬剤はここでは局部的にのみ用いられており、および皮膚保護剤を介して注射されない。
【0011】
本発明は、ここで治療薬を提供するものである。本発明の目的は、請求項1の序文部分に記載の関節痛を治療するための薬剤を、および、長期持続型消炎鎮痛剤のために、関節から離れた構造を危機にさらすことなく、痛覚を担う神経末端を永久に損傷するこの薬剤の局所注射の方法を利用可能にすることである。
【0012】
驚くことに、同一のまたはより良好な効果が、RTXのみ(好ましくは特別な濃度で)を用いて、すなわち、患者の全身麻酔を伴わずに達成され、次に全身麻酔が採用された。
【0013】
本発明によると、目的は、請求項1によるレシニフェラトキシン(RTX)を用いておよび請求項22の際立った特徴を有する方法によって達成される。
【0014】
驚くことに、カプライシン類似体の一つ、すなわちレシニフェラトキシン(RTX)は、局所麻酔剤を伴わずに用いられる場合は、局所的に適用されると、カプサイシンよりもはるかに薄い(およそ1:1000の程度の)で有効であることが見い出された。灼熱およびまた組織の炎症はない。とりわけ、(非常に低い濃度での)RTXの局部的関節内注射が、局所麻酔剤と併用した注射よりもより有効であることが実証されてきた。さらに、RTXは炎症および疼痛がない。とりわけ、この製剤は、そうでなければ公知の膀胱内の投与には常に必要なエタノールの使用を伴わずに用いてもよい。注射によって、心地よい温感を発生させることも局所または全身麻酔を伴わない使用の驚くべき利点であり、これは疼痛への治療に決定的に役に立つ。このようにして、疼痛の緩和が達成され、この緩和は局所麻酔剤との併用による緩和を上回る。このことは、局所麻酔剤はとりわけバニロイドの所望の神経毒性作用をとりわけ阻害するので、局所麻酔剤が有するバニロイド受容体作用薬への拮抗作用によっても説明がつく可能性がある。
【0015】
本発明の方法は、レシニフェラトキシン(RTX)が、ヒトまたは動物の体の疼痛を伴うまたは疾患に罹患した関節に注射されることから成る。RTXは関節内に残されてもよく、または、一定の作用時間の後、部分的にまたは完全に抜いてもよい。RTXは感受性の高い神経末端に分散し、関節の領域の神経を直接的にまたは間接的に支配し、この領域への損傷を主として阻害し、およびそれによって、関節痛の知覚の減少にいたる。
【0016】
さらに、関節包が、疼痛が発生する場所でRTXの作用を集中させるために用いられ、およびこれら手段によって、同じ濃度および適合性で保護的な関節包のない場合にありうるよりもRTXの濃度をより高くすることができ、および同時に、関節の近傍の血管、神経およびその他の構造も管理することは、本方法の新しい特徴である。したがって、疾患罹患した円板−包−関節の複合体より生じる疼痛感覚の長期的な軽減が、伝達を阻害または断つことによって達成される。この方法は予防的にまたは治療的に用いることができる。
【0017】
RTXの本発明による使用およびRTXの関節包への局所注射のための本発明の方法の利点は、下記のとおりである。
・麻酔を伴わない注射中の心地よい温感は、所望の作用に対する決定的な補助効果を有する。
・関節の鎮痛治療のためのRTXの関節内注射によって、大幅な包−円板構造の、滑液のおよび軟骨の骨構造の保護をもたらし、およびこれによって、生理学的な関係の維持をもたらす。
・RTXの分布の天然の境界としての関節包の活用。
・RTXの作用の進展は、TRPV1受容体以外の特異的なニューロンのエピトープに依存しない。
・この方法は、専門家ではない人員によって実施することができる。
・この方法は、細い針、さらには関節鏡用ではない針でも実施することができる。
・この方法は、有名なコルチゾン注射の方法とは異なり、感染のリスクの対象とならない。コルチゾンは免疫系を局所的に阻害するため、感染を局所的に強く促進する。
・この方法によって、感受性の高い除神経、すなわち、疼痛伝達神経の断絶をもたらす。
・滑膜切除術とは異なり、疼痛を伴う運動の制限を排除することによる、関節の可動性の拡大。運動の制限は、発症する関節包繊維症に起因する。
・後に行われる関節形成術のための積極的な準備。RTXの硬化作用によって(一方では、化学的、生物学的反応の結果、および他方では関節の疼痛のない使用の間の機械的なストレスの負荷によって、関節の近傍の骨が、後に人工関節を支えるためにより有利な構造を成長させる。
・局所的な脂肪組織の吸収(脂肪分解)がない。
・コラーゲン様の腱/円板/関節包構造の弱化がない。
【0018】
下記において、本発明は、ヒトにおける使用、とりわけヒトへの適用に言及された用量において記載されている。しかしながら、本発明は獣医学的領域または実験室での実験にも適しており、その場合は、用量はそれぞれの動物の体重に適合させなければならないであろう。
【0019】
特定の実施形態では、別の薬理学的活性物質の刺激的な投与を伴わないレシニフェラトキシン(RTX)の使用は、とりわけ下記の局所の疼痛の治療のための薬剤の調製に関する:
a)脂肪吸引術を含む観血または関節鏡視下または内視鏡下手術のための術中適用のための洗浄溶液の形態での、術後の局所創部痛
b)下記の場合における関節痛の関節内注射による局所治療
軟骨石灰化症
靭帯損傷
半月板損傷
軟骨損傷
滑膜炎
関節線維化
ズデック病
関節部の壊死
神経障害性関節痛
c)骨に適用された骨手術、たとえば下記の後の骨疼痛の局所治療
腸骨稜骨切り術
外反母趾矯正
d)とりわけ、大腿骨頭の壊死の場合の骨への、または骨軟骨症の場合の椎体への注射による骨疼痛の治療
e)関節硬直、とりわけ関節線維化または肩関節周囲炎の場合の局所治療
f)筋肉の疼痛、とりわけ、筋繊維断裂、筋肉痛または痙性疾患の場合に疼痛がある場合の、筋肉内注射による局所治療
g)半月板に変性または断裂がある場合の疼痛を伴う半月板への局所注射
h)椎間板の変性または断裂の場合の椎間板への注射による背痛の治療
i)疼痛のある神経、とりわけ三叉神経痛、神経線維腫症、モートン神経腫、幻想痛または神経腫の場合の、神経周囲への注射
j)歯痛、とりわけ虫歯、すべての形態の歯痛、抜歯の前、中または後、歯のインプラントの前、中または後、歯周疾患の場合の局部適用、露出した歯の歯根部の場合の局部適用の歯内または歯周の局所投与による治療
k)肋膜炎性愁訴の場合の胸膜腔への注射
l)腸愁訴の場合の、とりわけ潰瘍性大腸炎、クローン病、または裂肛の場合の腸への点滴注入。
【0020】
とりわけ、疼痛状態、すなわち下記の局所治療のための薬剤を調製するためのレシニフェラトキシン(RTX)の使用が提案されている。
・術後疼痛
・関節炎
・脂肪吸引術を含む観血または関節鏡視下または内視鏡下手術のための術中使用のための洗浄溶液の形態での、術後の局所創部痛
関節痛
骨切り術後の疼痛
肩関節周囲炎
・脂肪吸引術を含む観血または関節鏡視下または内視鏡下手術のための術中使用のための洗浄溶液の形態での、術後の局所創部痛
・下記の場合における関節内注射による関節痛の局所治療
関節症
関節リウマチ
感染性関節炎
軟骨石灰化症
靭帯損傷
半月板損傷
軟骨損傷
滑膜炎
関節線維化
ズデック病
関節部の壊死
神経障害性関節痛
・骨に適用された骨手術後、たとえば下記の後の関節痛の局所治療
腸骨稜骨切り術
外反母趾矯正
・骨への注射による骨疼痛の治療
たとえば、大腿骨頭の壊死の場合の大腿骨頭への
骨軟骨症の場合の椎体への
・関節硬直、好ましくは関節線維化または肩関節周囲炎の場合の局所治療
・筋肉疼痛、好ましくは筋繊維に断裂がある場合、筋肉労作後に疼痛がある場合、または痙性疾患の場合の筋肉内注射による局所治療
・半月板に変性または断裂がある場合の疼痛を伴う半月板への局所注射
・椎間板の変性または断裂の場合の椎間板への注射による背痛の治療
・疼痛のある神経、とりわけ、三叉神経痛、神経線維腫症、モートン神経腫、幻想痛または瘢痕神経線維腫の場合の神経周囲の注射
・下記の場合の歯内および歯周の投与による歯痛の治療
虫歯
すべての形態の歯痛
抜歯の前、中または後
歯のインプラントの前、中または後
歯周疾患の場合の適用
露出した歯の歯根部の場合の適用
肋膜炎性愁訴の場合の胸膜腔への注射
腸愁訴の場合の、とりわけ潰瘍性大腸炎、クローン病および裂肛の場合の腸への点滴注入。
【0021】
RTXの濃度は適切には、100nモルから10μモルの間にあり、および好ましくは500nモルから1μモルの間にある。
【0022】
好ましくは、薬剤は何らアルコールを、およびとりわけ何らエタノールを含有しない。エタノールは、局所の炎症を引き起こしおよび疼痛を伴う神経炎に至るという欠点を有する。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、エックス線造影剤、好ましくは、バリウム添加物またはMRI造影剤など、ガドリニウム、ヨウ素またはバリウムを含有する物質が、RTXに加えて用いられ、このために、関節腔内におけるRTXの分布が目視的に確認できる。方法に応じて、下記の物質を造影剤として用いてもよい:
エックス線、CT:三ヨウ化ベンゾエートまたはイオパミドールなどヨード含有物質、理想的には30〜80g/100ml、または、10%のたとえばバリウムなど異なる造影剤。
MRI:たとえば、ガドリニウム、たとえば、1mlあたり469.01mgのガドペンテト酸ジメグルミド、0.99mgのメグルミン、0.4mgのジメチレントリアミン−ペンタアセテート。
【0024】
別の実施形態では、抗菌性、殺菌活性および/または殺菌性物質がRTXに追加される。
【0025】
別の実施形態では、ヒアルロン酸などの粘着性の添加剤が、好ましくは0.1〜10mg/ミリリットルの注射液の濃度で、RTXに加えて用いられる。これは、関節の機械的な滑りの改善につながる。
【0026】
別の実施形態では、血管収縮薬、好ましくはアドレナリン、ノルアドレナリン、フェニレフリンまたはオルニプレッシン(ornipressin)、または他の類似の好ましくはアルファ−アドレナリン性血管収縮薬が、RTXに加えて用いられる。アドレナリンによって、吸収の減少によって全身性の作用が軽減されるので、神経毒素(すなわち、末梢神経系に毒性のある物質)の全用量を約2の係数で増加することができる。アドレナリン濃度は、1:10,000ないし1:80,000ないし1:200,000にも到達しうる。アドレナリンの全用量は、0.25mg未満である。1:200,000のアドレナリン溶液50mlは、アドレナリン0.25mgを含有する。
【0027】
別の実施形態では、RTXに加えて、グリセリンが溶媒として用いられる。グリセリンもまた(とりわけ、しかしながら神経内に注射される場合は)神経毒性特性を有する。さらに、グリセリンは関節を潤滑することができ、このためにこの場合も物理的な効果がある。グリセリンの濃度は好ましくは10ないし95%の間にある。グリセリンの代わりに、水、塩溶液、ヨータラム酸ナトリウム(sodium iothalamate)、イオフェニレート、リシン、ポリエチレングリコールまたはポリピレングリコールを溶剤として用いることができる。溶媒としてグリセリンは、高比重であるとともにある程度すでに神経毒性があるという利点を有する。
【0028】
別の実施形態では、起こりうる任意の炎症性反応を抑制するために、RTXの組成物に加えてステロイドが用いられる。これによって、さらに、症状性、破壊性治療を補助する、疼痛を伴う炎症性関節疾患の原因治療をより簡単に追加することができる。ベータメタゾンは、たとえば、二プロピオン酸塩(結晶性懸濁液)としてのベータメタゾン5mgおよび二リン酸ナトリウムとしてのベータメタゾン2mgの形態で、とりわけ適していることが証明されてきた(溶液1mlを注射される全量に添加することができる)。この溶液は、プレドニゾン/プレドニゾロン45/23mgと等価である。
【0029】
好ましくは、薬剤は、変性疾患の関節における神経組織の崩壊または除神経に用いられる。
【0030】
薬剤は、局所注射のために、液体(担体)、薬理学的に認容可能な、とりわけ、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、等張性デキストロース、滅菌水溶液、乳酸加リンガー注射液、蒸留水またはそれらの混合物の群からの媒体に溶解してもよい。
【0031】
薬剤が、エトキシエチレンジグリコール、精製ホスファチジルコリン、プロプレングリコールジノナン酸(DPPG)、またはグリコシルエトキシグリセリドなど、浸透促進物質をさらに含有してもよい。
【0032】
薬剤は、RTXの放出を遅延させるかまたは延長させる物質、好ましくは、グルコサミノグリカンまたはヒアルロン酸をさらに含有してもよい。
【0033】
別の実施形態では、異なるpHが、作用部位において、好ましくはRTXを適切な緩衝液媒体と混合することによって発生する。異なる活性プロフィールはpHを変化させることによってを生成することができる。RTXの作用は7.4未満のpHにおいて強化され、および注射の疼痛は7.4を上回るpHでは明確に軽減される。
【0034】
混合物は、適切には、7.6より高いpHおよび好ましくは8.5より高い緩衝液中に溶解する。代替的には、薬剤は、7.2より低いpHおよび好ましくは6.5より低い緩衝液中に溶解する。
【0035】
したがって別の実施形態では、最初pHは、適切な緩衝液媒体の塗布または注射によって7.4よりも高く調節される。これは、マイクロカプセル化によって遅延して放出してもよく、または、固体の形態で、たとえば、粉末または骨置換材料などインプラントとして放出してもよい。引き続きpHは、好ましくは数分から数時間のうちに7.4未満の値へと低下する。グリセリンの代わりに、水、塩溶液、ヨータラム酸ナトリウム、イオフェニレート、リシン、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールを用いることができる。溶媒としてグリセリンは、高比重であるとともにある程度すでに神経毒性があるという利点を有する。
【0036】
別の実施形態では、RTXに加えて、カルシウムCa2+または同等のイオンが、溶媒中に生理学的濃度よりも高い濃度で用いられ、および、同時にまたは遅延して放出される。カルシウムはRTXの作用のために必要であり、および、超生理学的濃度において存在する場合RTXの作用を改善する。好ましくは、カルシウムの濃度は2mモルより大きく、およびとりわけ4mモルよりも大きい。たとえば、マグネシウム、抗酸化物質、防腐剤および賦形剤、とりわけ重亜硫酸ナトリウム(>0.2%)、NaHSO、硫酸アンモニウム(NHSOなどアンモニウム化合物、2−10(−30%)、およびポリソルベート80(PS80)0.025mg/ミリリットルなど一部の材料は、RTXの作用を増強することが証明されている。
【0037】
溶剤に溶解する塩およびイオンの濃度は、(たとえば、乳酸加リンガー液中の)通常の生理学的濃度よりも高い。
【0038】
好ましくは、RTXは、生体に適合する溶媒中に溶解し、および適切には、治療されるべき関節内の利用可能な腔に対応する量で注射され、このために、この腔は辛うじてまたはしっかりと充填される。これによって、RTXの最適な局所分布という利点が達成される。しかしながら、より少量の液体を注射することも可能である。しかし、その場合は、混合物質の分布を改善するために関節をかなり動かさなければならない。
【0039】
関節包内領域に注射される液体の体積は、0.1ないし150mlとさまざまであってもよい。指関節の場合最大約1mlで十分であり、肩関節の場合最大約10ml、膝関節の場合最大30〜50ml、および好ましくは2ml以下である。
【0040】
混合物質の用量は限局状態および適応症によって決まる。
【0041】
RTXの用量は、選択された溶液媒体中でのRTXの絶対溶解度に依存する。患部の関節包の厚さは用量に対して決定的な影響を及ぼす。関節包の厚さが厚いほど、必要とされるRTXの濃度または量も大きくなる。
【0042】
本発明によって用いられる薬剤による疼痛を治療する方法は、レシニフェラトキシン(RTX)が生体に適合する適切な溶媒中に溶解し、および好ましくはその液体体積0.12150mLが
a)患者の疼痛の影響を受ける組織構造へと局所的に注射されるか、または
b)外科創傷部へと局部的に滴下して添加されるか、または
c)関節包内領域へと局所的に注射されるか、または
d)疼痛の影響を受ける関節包へと注射される
ことから成る。
【0043】
レシニフェラトキシン(RTX)によって、侵害性神経繊維が、少なくとも14日間、および好ましくは少なくとも8週間疼痛に対して無感覚にされる。薬剤は、適切には、神経組織の崩壊が発生する濃度で用いられる。RTXの濃度は、適切には、約10nモル(nM)と100μモル(μM)の間にある。
【0044】
上記に記載の方法は、下記の適応症にはとりわけ適切である:
・脂肪吸引術を含む観血または関節鏡視下または内視鏡下手術のための術中使用のための洗浄溶液の形態での、術後の局所創部痛
・下記の場合における関節内注射による関節痛の局所治療
関節症
関節リウマチ
感染性関節炎
軟骨石灰化症
靭帯損傷
半月板損傷
軟骨損傷
滑膜炎
関節線維化
ズデック病
関節部の壊死
神経障害性関節痛
骨に適用された骨手術後、たとえば、腸骨稜骨切り術、外反母趾矯正の後の関節痛の局所治療
骨への注射による骨疼痛の治療
たとえば、大腿骨頭の壊死の場合の大腿骨頭への
骨軟骨症の場合の椎体への
関節硬直、とりわけ関節線維化または肩関節周囲炎の場合の局所治療
好ましくは筋繊維に断裂がある場合、筋肉労作の後に疼痛がある場合または痙性疾患の場合の筋肉内注射による筋肉疼痛の局所治療
半月板に変性または断裂がある場合の疼痛を伴う半月板への局所注射
椎間板の変性または断裂の場合の椎間板への注射による背痛の治療
疼痛のある神経、とりわけ、三叉神経痛、神経線維腫症、モートン神経腫、幻想痛または瘢痕神経線維腫の場合の神経周囲の注射
下記の場合の歯内および歯周の投与による歯痛の治療
虫歯
すべての形態の歯痛
抜歯の前、中または後
歯のインプラントの前、中または後
歯周疾患の場合の適用
露出した歯の歯根部の場合の適用
肋膜炎性愁訴の場合の胸膜腔への注射
腸愁訴の場合の、とりわけ潰瘍性大腸炎、クローン病または裂肛の場合の腸への点滴注入。
【0045】
本方法の利点は、局所麻酔剤を伴わずに局所投与ができることである。その結果として、より低い濃度のRTXが可能であり、そのため、腫脹または炎症といったRTXの局所的な副作用の発生はより少ない。
【0046】
特別の実施形態では、薬剤は尿路上皮で囲まれない滑液腔へと注射される。滑液腔への注射は特に利点があることが実証済みである。その理由は、この場合には、作用を発症させるための最適な滞留時間が達成され、炎症または疼痛といった副作用も最小である。
【0047】
本発明は、下記の多数の実施例によって、より詳細に実施される。
【0048】
実施例1:
随意的な同時(画像変換器、CT、超音波検査、MRIなど)またはその後に行われる(エックス線、CT、MRI、超音波検査、関節鏡検査など)画像制御のもとで、療法士が膝関節の関節腔へと注射針を入れ、レシニフェラトキシン500nモル(約0.003mg)の溶液9mlを関節包の内腔へと注射した。患者は、介入の14時間後にすでに明確な症状の緩和をみとめた。この緩和は6ヶ月を超えて持続した。
【0049】
実施例2:
随意的な同時(画像変換器、CT、超音波検査、MRI、関節鏡検査など)またはその後に行われる(エックス線、CT、MRI、超音波検査など)画像制御のもとで、療法士が膝関節の関節腔へと注射針を入れ、レシニフェラトキシン500nモル(約0.006mg)の溶液20mlを関節包の内腔へと注射した。患者は、介入の2、3日後にすでに明確な症状の緩和をみとめた。この緩和は6ヶ月を超えて持続した。
【0050】
実施例3:
注射された溶液は実施例1の溶液に相当するが、用いられる画像検査法として可視的な造影剤(イオパミドール)5mlを濃度50g/100mlで添加したことが異なる。注射の後、この造影剤は関節包内に拡散し、および、関節包内の注射針の位置およびRTXの分布を記録した。RTXを含有する注射液は注射の後に再び直接的に抜いた。しかしながら、定義された物質依存性の作用時間の後に抜いてもよく、または全く抜かなくてもよい。患者は、介入の15時間後にすでに明確な症状の緩和をみとめた。この緩和は8ヶ月を超えて持続した。
【0051】
実施例4:
療法士が、硬膜外カテーテルと類似した細い注入カテーテルを、患部関節へと挿入しおよび、点滴器で、レシニフェラトキシン100nモルの溶液を、1〜10ml/時の速度で12時間患部関節に注射した。随意的に、療法士は液体の回転を達成するために、随意的に定義したドレナージ抵抗(20mmHGなど)のドレナージカテーテルも配置した。この方法によって、療法士は、大きな濃度ピークなしに疼痛を伴う関節の均一な浸潤を達成することができる。さらに、作用時間をより良好に定義することができた。
【0052】
1、2、7、14および28日後の引き続いての関節鏡検査の間は、非常にわずかの炎症組織のみが存在したことを示すことができた。患者は、介入の12時間後にすでに明確な症状の緩和をみとめた。この緩和は1年を超えて持続した。
【0053】
実施例5:
人工膝関節を移植した後、療法士はレシニフェラトキシン溶液100nモル(約0.001mg)の溶液を、再び閉じられていた関節包に注射した。これらの手段によって術後の疼痛を最小にすることができた。
【0054】
実施例6:
股関節を移植した後、療法士はレシニフェラトキシン溶液100nモル(約0.001mg)の溶液50mLを、包のない人工関節周囲の領域に注射した。これらの手段によって術後の疼痛を最小にすることができた。
【0055】
実施例7:
レシニフェラトキシン溶液5μモル(約0.03mg)の溶液を、人工股関節全置換術の疼痛を伴う感染性の弛緩を伴う患者の人工関節の周囲の(新しい)関節包へと注射した。引き続き、患者は数(6〜12)時間のうちに永久的な(1年を超える)疼痛の軽減を経験した。さらに、人工関節周囲の感染は、人工関節の軸に沿ったおよびソケットの周囲の(防腐作用も有する)RTXの拡散によってしっかりと制御され、および、一部の場合には完全に排除された。随意的に、この治療は(リファンピシン450mg、シプロフロキサシン750mgなど)全身的に投与される抗生物質によって補助されてもよい。骨質が人工関節の周囲に結合したことをエックス線上に示すことができた。
【0056】
実施例8:
随意的な同時(画像変換器、CT、超音波検査、MRIなど)またはその後に行われる(エックス線、CT、MRI、超音波検査、関節鏡検査など)画像制御のもとで、療法士が膝関節の関節腔へと注射針を入れ、および、緩衝液でpH8.5に緩衝したレシニフェラトキシン溶液500nM(約0.003mg)の溶液9mlを、生理食塩水とともに関節包内腔に注射した。患者は、介入の2、3分後にすでに明確な症状の緩和をみとめた。この緩和は6ヶ月を超えて持続した。
【0057】
実施例9:
随意的な同時(画像変換器、CT、超音波検査、MRIなど)またはその後に行われる(エックス線、CT、MRI、超音波検査、関節鏡検査など)画像制御のもとで、療法士が、療法士が膝関節の関節腔へと注射針を入れ、および、緩衝液でpH6.5に緩衝したレシニフェラトキシン溶液500nモル(約0.003mg)の溶液9mlを、生理食塩水とともに関節包内腔に注射した。介入の数分後に患者は、すでに明確な症状の緩和をみとめ、緩和は6ヶ月を超えて持続した。
【0058】
実施例10:
随意的な同時(画像変換器、CT、超音波検査、MRIなど)またはその後に行われる(エックス線、CT、MRI、超音波検査、関節鏡検査など)画像制御のもとで、療法士が、療法士が膝関節の関節腔へと注射針を入れ、および、Ca2+10mモルを含有する生理リンガー液中のレシニフェラトキシン溶液500nモル(約0.003mg)の溶液9mlを関節包内腔に注射した。介入の数分後に患者は、すでに明確な症状の緩和をみとめ、緩和は6ヶ月を超えて持続した。
【0059】
実施例11:
疼痛のある関節包炎(肩関節周囲炎)の患者の肩関節に、生理食塩水中のレシニフェラトキシン溶液100nモル(約0.001mg)の溶液9mlを注射した。再び、適切な造影剤を添加し、および画像化手法を採用することによって物質の分布を確認することができた。随意的に、消炎活性を有する物質を混合した。注射から2、3分後に疼痛は永久的に解消され、このため、患者は関節包炎に起因して失った可動性を理学療法を受けることによって再び獲得した。この適用では、一時的な鎮痛剤(2〜3週間)のみが望ましい。このために、神経毒性物質が仮にあったとしても低い濃度へと抑えられた。
【0060】
実施例12:
疼痛のある関節包炎(肩関節周囲炎)の患者の肩関節に、生理食塩水中のレシニフェラトキシン溶液500nモル(約0.001mg)の溶液3mlを注射した。注射から2、3分後に疼痛は永久的に解消され、このため、患者は関節包炎に起因して失った可動性を再び獲得した。
【0061】
実施例13:
療法士が、緩衝剤でpH8.5に緩衝された、レシニフェラトキシン溶液500nモル(約0.001mg)5ml、を、溶媒としての生理食塩水とともに、臀部の大転子の上方の慢性的に炎症を起こした嚢(転子包)へと注射した。60分以内に患者の症状は消失し、および患者はその部位は数年間無症状のままであった。
【0062】
実施例14:
療法士が、レシニフェラトキシン溶液100nモル(約0.001mg)50mlを、溶媒としてのグリセリンまたは乳酸加リンガー液とともに注射した。60分以内に患者の症状は消失し、および患者はその部位は数年間無症状のままであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤の調製のための局所麻酔剤を含有しない処方中におけるレシニフェラトキシン(RTX)の使用方法において、治療対象が、関節症、関節炎、とりわけ関節リウマチおよび感染性関節炎、軟骨石灰化症、靭帯損傷、半月板損傷、軟骨損傷、滑膜炎、関節線維化、ズデック病、関節部の壊死、神経障害性関節痛、骨手術後の骨疼痛の下記に対する投与による治療、骨、たとえば以下の後、腸骨稜骨切り術、外反母趾矯正、骨への注射による骨疼痛の治療、たとえば、大腿骨頭の壊死の場合の大腿骨頭への骨軟骨症の場合の椎体への関節硬直、とりわけ下記の治療、関節線維化、肩関節周囲炎、筋肉疼痛、たとえば下記の場合の筋肉内注射による治療、筋繊維断裂、筋肉痛、痙性疾患、半月板の変性または断裂の場合の疼痛を伴う半月板への注射、椎間板の変性または断裂の場合の椎間板への注射による背痛の治療、疼痛のある神経とりわけ下記の場合の神経周囲への注射、三叉神経痛、神経線維腫症、モートン神経腫、幻想痛、瘢痕神経線維腫、下記の場合の歯内および歯周の歯痛の治療、虫歯、すべての形態の歯痛、抜歯の前、中または後、歯のインプラントの前、中または後、歯周疾患の場合の適用、露出した歯の歯根部の場合の適用、肋膜炎性愁訴の場合の胸膜腔への注射、腸愁訴の場合の、とりわけ潰瘍性大腸炎、クローン病、および裂肛または痔核の場合の腸への点滴注入、関節痛、骨切り術の後の骨疼痛、肩関節周囲炎、腱炎、筋痛症、軟組織腫瘍の場合の疼痛、骨疼痛、関節および隣接する骨の疼痛であるレシニフェラトキシン(RTX)の使用方法。
【請求項2】
薬剤を調製するためのレシニフェラトキシン(RTX)の使用方法において、治療対象が、
a)脂肪吸引術を含む観血または関節鏡視下または内視鏡下手術のための術中適用のための洗浄溶液の形態での、術後の局所創部痛
b)下記の場合における関節痛の関節内注射による局所治療
軟骨石灰化症、靭帯損傷、半月板損傷、軟骨損傷、滑膜炎、関節線維化、ズデック病、関節部の壊死、神経障害性関節痛
c)骨に適用された骨手術、たとえば下記の後の骨疼痛の局所治療
腸骨稜骨切り術、外反母趾矯正、
d)骨疼痛、とりわけ、大腿骨頭の壊死の場合の骨への、または骨軟骨症の場合の椎体への注射による治療
e)関節硬直、とりわけ関節線維化または肩関節周囲炎の場合の局所治療
f)筋肉の疼痛、とりわけ、筋繊維断裂、筋肉痛または痙性疾患の場合に疼痛がある場合の、筋肉内注射による治療
g)半月板に変性または断裂がある場合の疼痛を伴う半月板への局所注射
h)椎間板の変性または断裂の場合の椎間板への注射による背痛の治療
i)疼痛のある神経、とりわけ三叉神経痛、神経線維腫症、モートン神経腫、幻想痛または神経腫の場合の、神経周囲への注射
j)歯痛、とりわけ虫歯、すべての形態の歯痛、抜歯の前、中または後、歯のインプラントの前、中または後、歯周疾患の場合の局部適用、露出した歯の歯根部の場合の局部適用の歯内または歯周の局所投与による治療
k)肋膜炎性愁訴の場合の胸膜腔への注射
l)腸愁訴、とりわけ潰瘍性大腸炎、クローン病、または裂肛の場合の腸への点滴注入であって、さらなる薬理学的な活性物質が用いられていないことを特徴とするレシニフェラトキシン(RTX)の使用方法。
【請求項3】
薬剤の調製のためのレシニフェラトキシン(RTX)の使用方法において、薬剤の局所治療の対象が、
・術後疼痛、
・関節炎
・脂肪吸引術を含む観血または関節鏡視下または内視鏡下手術のための術中使用のための洗浄溶液の形態での、術後の局所創部痛
・下記の場合における関節内注射による関節痛の局所治療
関節症
関節リウマチ
感染性関節炎
軟骨石灰化症
靭帯損傷
半月板損傷
軟骨損傷
滑膜炎
関節線維化
ズデック病
関節部の壊死
神経障害性関節痛
・骨に適用された骨手術後、たとえば下記の後の関節痛の局所治療
腸骨稜骨切り術
外反母趾矯正
・骨への注射による骨疼痛の治療
たとえば、大腿骨頭の壊死の場合の大腿骨頭への
骨軟骨症の場合の椎体への
・関節硬直、好ましくは関節線維化または肩関節周囲炎の局所治療
・筋肉疼痛、好ましくは筋繊維断裂、筋肉痛または痙性疾患の場合の筋肉内注射による局所治療
・半月板の変性または断裂の場合の疼痛を伴う半月板への局所注射
・椎間板の変性または断裂の場合の椎間板への注射による背痛の治療
・疼痛のある神経、とりわけ、三叉神経痛、神経線維腫症、モートン神経腫、幻想痛または瘢痕神経線維腫の場合の神経周囲の注射
・下記の場合の歯内および歯周の投与による歯痛の治療
虫歯
すべての形態の歯痛
抜歯の前、中または後
歯のインプラントの前、中または後
歯周疾患の場合の適用
露出した歯の歯根部の場合の適用
肋膜炎性愁訴の場合の胸膜腔への注射
腸愁訴の場合の、とりわけ潰瘍性大腸炎、クローン病および裂肛の場合の腸への点滴注入であるレシニフェラトキシン(RTX)の使用方法。
【請求項4】
薬剤が局所麻酔剤を含有しないことを特徴とする請求項3に記載の使用方法。
【請求項5】
RTXの濃度が100nモルから10μモルの間にあることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項6】
RTXの濃度が500nモルから1μモルの間にあることを特徴とする請求項5に記載の使用方法。
【請求項7】
薬剤が何らアルコールを、とりわけ何らエタノールを含有しないことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項8】
薬剤が、エックス線造影剤、好ましくは、ガドリニウム含有、ヨウ素含有またはバリウム含有物質をさらに含有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項9】
薬剤が、グリセリンを、好ましくは重量比10ないし95%の濃度でさらに含有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項10】
薬剤がステロイドをさらに含有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項11】
薬剤が、血管収縮薬、好ましくはアドレナリン、ノルアドレナリン、フェニレフリンまたはオルニプレッシン(ornipressin)をさらに含有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項12】
薬剤が、生体適合性のある溶媒中、好ましくは、グリセリン、ロフェンジレート、プロピレングリコール中に溶解することを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項13】
薬剤が、変性疾患の関節における神経組織の崩壊または除神経に用いられることを特徴とする請求項1から12のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項14】
薬剤が、局所注射のために、担体、薬理学的に認容可能な、とりわけ、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、等張性デキストロース、滅菌水デキストロース溶液、乳酸加リンガー注射液、蒸留水またはそれらの混合物の群からの媒体に溶解することを特徴とする請求項1から13のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項15】
薬剤が、浸透促進物質、好ましくは、ジメチルスルフォキシド、エトキシエチレンジグリコール、エタノール、ホスファチジルコリン、プロプレングリコールジノナン酸(DPPG)、またはグリコシルエトキシグリセリドをさらに含有することを特徴とする請求項1から14のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項16】
薬剤が、存在しうるRTXの遅延したまたは延長した放出を行う物質、好ましくは、グルコサミノグリカンまたはヒアルロン酸をさらに含有することを特徴とする請求項1から15のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項17】
7.6より高いpH、好ましくは8.5より高い緩衝液中に溶解することを特徴とする請求項1から16のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項18】
7.2より低いpH、好ましくは6.5より低い緩衝液中に溶解することを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の使用方法。
【請求項19】
カルシウム塩をさらに含有することを特徴とする請求項1から18のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項20】
カルシウムイオン濃度が2mモルよりも大きく、および好ましくは4mモルよりも大きいことを特徴とする請求項19に記載の使用方法。
【請求項21】
溶剤に溶解する塩およびイオンの濃度が、(リンガー注射液中の濃度など)生理学的に通常の濃度よりも高いことを特徴とする請求項19または20に記載の使用方法。
【請求項22】
レシニフェラトキシン(RTX)が生体に適合する適切な溶媒中に溶解し、および好ましくはその液体体積0.1ないし150mLが
d)患者の疼痛の影響を受ける組織構造へと局所的に注射されるか、または
e)外科創傷部へと局部的に滴下して添加されるか、または
f)関節包内領域へと局所的に注射されるか、または
疼痛の影響を受ける関節包へと注射されることを特徴とする、疼痛を治療するための方法。
【請求項23】
レシニフェラトキシン(RTX)が、侵害性神経繊維を、少なくとも14日間、および好ましくは少なくとも8週間疼痛に対して無感覚にすることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
薬剤が、除神経が生じる濃度で用いられることを特徴とする、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
RTXの濃度が約10nモルと10マイクロモルの間にあることを特徴とする、請求項20から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
治療対象が、
・術後疼痛
・関節炎
・脂肪吸引術を含む観血または関節鏡視下または内視鏡下手術のための術中使用のための洗浄溶液の形態での、術後の局所創部痛
・下記の場合における関節内注射による関節痛の局所治療
関節症
関節リウマチ
感染性関節炎
軟骨石灰化症
靭帯損傷
半月板損傷
軟骨損傷
滑膜炎
関節線維化
ズデック病
関節部の壊死
神経障害性関節痛
骨に適用された骨手術後、たとえば、腸骨稜骨切り術、外反母趾矯正の後の関節痛の局所治療
骨への注射による骨疼痛の治療
大腿骨頭の壊死の場合の大腿骨頭への
骨軟骨症の場合の椎体への
関節硬直、とりわけ関節線維化または肩関節周囲炎の場合の局所治療
筋肉内注射による筋肉疼痛、好ましくは筋繊維に断裂がある場合、筋肉労作の後に疼痛がある場合、または痙性疾患の場合の局所治療
半月板の変性または断裂の場合の疼痛を伴う半月板への局所注射
椎間板の変性または断裂の場合の椎間板への注射による背痛の治療
疼痛のある神経、とりわけ、三叉神経痛、神経線維腫症、モートン神経腫、幻想痛または瘢痕神経線維腫の場合の神経周囲の注射
下記の場合の歯内および歯周の局所投与による歯痛の治療
虫歯
すべての形態の歯痛
抜歯の前、中または後
歯のインプラントの前、中または後
歯周疾患の場合の適用
露出した歯の歯根部の場合の適用
肋膜炎性愁訴の場合の胸膜腔への注射
腸愁訴の場合の、とりわけ潰瘍性大腸炎、クローン病または裂肛の場合の腸への点滴注入、
に対して用いられることを特徴とする請求項22から25のいずれか一つに記載の方法
【請求項27】
薬剤が、尿路上皮で囲まれた滑液腔へと注射されることを特徴とする請求項22から26のいずれか一つに記載の方法。

【公表番号】特表2008−525504(P2008−525504A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548653(P2007−548653)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【国際出願番号】PCT/CH2004/000756
【国際公開番号】WO2006/069451
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(507208705)メステックス アクチェンゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】MESTEX AG
【Fターム(参考)】