説明

防振装置の製造方法及び防振装置

【課題】軸方向の一端側で軸直角方向内向きに突出したストッパ受部が設けられた筒状部に対して、インシュレータ本体を軸方向に圧入して組み付ける構造の防振装置において、ストッパゴム部を本体ゴム部に一体に加硫成形することを可能として、防振装置の所要コストを安価とすることのできる防振装置の製造方法を提供する。
【解決手段】軸方向に離隔した取付金具36及び72と、それらを弾性連結する本体ゴム部34とを有するインシュレータ本体12を、ブラケット14の筒状部22に圧入して組み付ける防振装置の製造方法であって、本体ゴム部34にストッパゴム部82を一体に加硫成形するとともに、組付工程では、ストッパゴム部82を弾性曲げ変形させて位置決め治具86の溝106に保持させた状態で取付金具72を筒状部22に圧入し、組み付けを行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は防振装置の製造方法、特に防振作用の主体をなす本体ゴム部にストッパゴム部を一体に有する防振装置の製造方法及び防振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、(A)軸方向に主振動入力を受け、弾性変形により防振作用をなす本体ゴム部と、筒形をなし開口を軸直角方向に向けて本体ゴム部の軸方向の一端側に固着された、被支持部材の側に取り付けられる第1取付部材と、本体ゴム部の軸方向の他端側に固着された、支持部材の側に取り付けられる、第1取付部材及び本体ゴム部よりも軸直角方向寸法の大きい第2取付部材と、を有するインシュレータ本体と、(B)軸方向の両端が開口形状をなし、第1取付部材側の軸方向の一端側に軸直角方向内向きに突出したストッパ受部が設けられた筒状部を有する支持部材側のブラケットとを、インシュレータ本体の第2取付部材を、その筒状部のストッパ受部とは軸方向の反対側の開口を通じて、第1取付部材の側から筒状部に圧入して組み付けて成る防振装置が公知である。
【0003】
図7はその具体例を示している。
図において、200は図中上下方向の軸方向に主振動入力を受けて弾性変形し防振作用をなす、インシュレータ本体202の本体ゴム部で、軸方向の一端側に筒形をなす金属製の剛性の第1取付部材204が、開口を軸直角方向に向けて固着されている。
この第1取付部材204は、被支持部材の側のブラケット206を内部に圧入させることでブラケット206に取り付けられる。
本体ゴム部200の軸方向の他端側には、第1取付部材204及び本体ゴム部200よりも軸直角方向寸法の大きい、金属製の剛性の第2取付部材208が固着されている。
【0004】
210は、支持部材212の側に取り付けられるブラケットに備えられた金属製の剛性の筒状部で、軸方向の両端が開口形状をなしている。
筒状部210は、第1取付部材204側の軸方向の一端側が全周に亘り軸直角方向内向きのフランジ部とされている。即ち第1取付部材204側の軸方向の一端側が全周に亘り軸直角方向内向きの曲り部214とされている。
【0005】
この防振装置は、インシュレータ本体202の第2取付部材208を、筒状部210の曲り部214とは軸方向の反対側の開口を通じて、第1取付部材204の側から筒状部210に圧入することで、インシュレータ本体202と筒状部210を有するブラケットとが組み付けられる。
【0006】
216は、曲り部214(詳しくは曲り部214の一部214a)と、その軸方向外面に付加された付加部材218とで構成されたストッパ受部で、このストッパ受部216の図中上面に、本体ゴム部200とは別体をなす板状のストッパゴム部(バウンド側のストッパゴム部)220が取り付けられている。
【0007】
このストッパゴム部220は、被支持部材側のブラケット206が図中下向きに大きく相対変位したときに、ストッパ当り部222に当接してストッパ作用をなし、ブラケット206の過大な変位を規制する。
このとき、ストッパゴム部220に加わる力はストッパ受部216で受けられる。
【0008】
しかしながら図7に示す防振装置の場合、ストッパゴム部220を本体ゴム部200とは別途の加硫品として用意しなければならず、加硫品の数が多くなる他、ストッパゴム部220を後付けで組み付けるための工程が必要で、それらにより防振装置のコストが高くなってしまう。
【0009】
解決手段として、ストッパゴム部220を本体ゴム部200に一体に加硫成形しておくことが考えられるが、この構造の防振装置の場合、ストッパゴム部220を本体ゴム部200に一体に加硫成形しておくと、上記のようにして第2取付部材208を第1取付部材204の側から筒状部210に対し、図中下端の開口を通じて上向きに圧入し、組み付けようとしたとき、本体ゴム部200に一体に加硫成形したストッパゴム部220が、筒状部210の図中上端側で軸直角方向内向きに突出した曲り部214aを含むストッパ受部216と干渉したり、ストッパ受部216と第2取付部材208とで挟まれたりして、圧入を良好に行うことができない。
従ってまた、ストッパゴム部220がストッパ受部216の図中上側の位置、即ちストッパ受部216に対し軸方向に対面して位置する状態に、インシュレータ本体202とブラケットとを組み付けることができない。
【0010】
従来において、ストッパゴム部を本体ゴム部に一体に成形したものは知られている。
例えば下記特許文献1に、ストッパゴム部を本体ゴム部に一体に成形して成る「液体封入式防振装置」が開示されている。
但しこのものは、本体ゴム部に一体に成形したストッパゴム部を筒状部に対し通過させるようにして圧入を行わなければならない構造のものではなく、この特許文献1に開示のものでは本発明の課題を解決することができない。
【0011】
他方、下記特許文献2には筒型防振装置についての発明が示され、そこにおいて本体ゴム部の軸方向の端面に、互いに対向する状態に設けた一対の板状のストッパゴム部が、外筒金具を相手側のブラケットに圧入する際に、自重により径方向外側に撓み変形したり、曲げ変形したりして軸直角方向外方にはみ出し、それが邪魔となって圧入をスムーズに行うことが困難となる問題を解決するために、一対の板状のストッパゴム部を弾性変形させ互いに係合させた状態で圧入を行うようになした点が開示されている。
【0012】
この特許文献2に開示のものは、一対のストッパゴム部が圧入の際の邪魔にならないようにしているものであるが、圧入する相手側の筒状部との関係で、ストッパゴム部の延びる方向が本発明の対象とする防振装置とは異なっているとともに、防振装置の構造そのものも異なっており、従って解決手段においても本発明とは異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−156628号公報
【特許文献2】特開2009−243485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は以上のような事情を背景とし、軸方向の一端側で軸直角方向内向きに突出したストッパ受部が設けられた筒状部に対して、インシュレータ本体を軸方向に圧入して組み付ける構造の防振装置において、組付状態でストッパ受部に対して軸方向に対面するストッパゴム部を本体ゴム部に一体に加硫成形することを可能として、防振装置の所要コストを安価とすることのできる防振装置の製造方法及び同方法にて得られる新規な防振装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
而して請求項1は防振装置の製造方法に関するもので、(A)軸方向に主振動入力を受け、弾性変形により防振作用をなす本体ゴム部と、筒形をなし開口を軸直角方向に向けて該本体ゴム部の軸方向の一端側に固着された、被支持部材の側に取り付けられる第1取付部材と、該本体ゴム部の軸方向の他端側に固着された、支持部材の側に取り付けられる、前記第1取付部材及び本体ゴム部よりも軸直角方向寸法の大きい第2取付部材と、を有するインシュレータ本体と、(B)軸方向の両端が開口形状をなし、前記第1取付部材側の軸方向の一端側に軸直角方向内向きに突出したストッパ受部が設けられた筒状部を有する前記支持部材側のブラケットとを、前記インシュレータ本体の前記第2取付部材を、前記筒状部の前記ストッパ受部とは軸方向の反対側の開口を通じて前記第1取付部材の側から該筒状部に圧入して組み付けて成る防振装置の製造方法であって、前記インシュレータ本体を用意する工程と、前記第2取付部材を前記筒状部に圧入して、該インシュレータ本体と前記ブラケットとを組み付ける組付工程とを含み、前記インシュレータ本体を用意する工程では、該ブラケットへの組付状態の下で前記ストッパ受部と前記第1取付部材との間の軸方向の中間位置で該本体ゴム部から該ストッパ受部に対して軸方向に対面する位置まで延び出すストッパゴム部を該本体ゴム部と一体に加硫成形し、前記組付工程では、前記第1取付部材の内部に挿入部材を挿入するとともに、前記ストッパゴム部を、全体が前記ストッパ受部よりも軸直角方向内側に位置する状態に弾性曲げ変形させて、前記挿入部材の保持部に保持させる圧入準備工程と、該圧入準備工程の後において、前記第2取付部材を前記筒状部に圧入する圧入工程と、該圧入工程の後において、圧入により前記筒状部の外側に出た前記ストッパゴム部を前記保持部による保持から解除して形状復元させ、前記ストッパ受部に対して軸方向に対面する位置に位置させる工程と、を経て組付けを行うことを特徴とする。
【0016】
請求項2のものは、請求項1において、前記保持部が前記挿入部材に設けた溝であり、該溝に前記ストッパゴム部の先端側を嵌め入れて保持するものとなしてあることを特徴とする。
【0017】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記挿入部材は、前記保持部が前記第1取付部材の外部に露出する状態に該第1取付部材に挿入してあることを特徴とする。
【0018】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記挿入部材は、前記第1取付部材への挿入方向に複数に分割されて、各分割体同士が固定手段にて固定されていることを特徴とする。
【0019】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記挿入部材が、圧入時に前記インシュレータ本体を前記筒状部に対して軸周りの角度位置を位置決めする位置決め部材であることを特徴とする。
【0020】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記防振装置が、前記インシュレータ本体の内部に液室を有し、該液室が仕切部材で主液室と副液室とに仕切られて、内部の液がオリフィス通路を通じて該主液室と副液室との間で流動することで振動減衰する液封式のエンジンマウント装置であることを特徴とする。
【0021】
請求項7は防振装置に関するもので、(A)軸方向に主振動入力を受け、弾性変形により防振作用をなす本体ゴム部と、筒形をなし開口を軸直角方向に向けて該本体ゴム部の軸方向の一端側に固着された、被支持部材の側に取り付けられる第1取付部材と、該本体ゴム部の軸方向の他端側に固着された、支持部材の側に取り付けられる、前記第1取付部材及び本体ゴム部よりも軸直角方向寸法の大きい第2取付部材と、を有するインシュレータ本体と、(B)軸方向の両端が開口形状をなし、前記第1取付部材側の軸方向の一端側に軸直角方向内向きに突出したストッパ受部が設けられた筒状部を有する前記支持部材側のブラケットとを、前記インシュレータ本体の前記第2取付部材を、前記筒状部の前記ストッパ受部とは軸方向の反対側の開口を通じて前記第1取付部材の側から該筒状部に圧入して組み付けて成り、前記本体ゴム部には、前記ストッパ受部と前記第1取付部材との間の軸方向の中間位置で該本体ゴム部から前記ストッパ受部に対して軸方向に対面する位置まで延び出すストッパゴム部が一体に加硫成形してあることを特徴とする。
【0022】
請求項8のものは、請求項7において、前記筒状部には、前記第1取付部材側の軸方向の一端側が軸直角方向内向きの曲り部とされ、該曲り部自体が前記ストッパ受部を成していることを特徴とする。
【0023】
請求項9のものは、請求項7,8の何れかにおいて、前記インシュレータ本体の内部に液室を有し、該液室が仕切部材で主液室と副液室とに仕切られて、内部の液がオリフィス通路を通じて該主液室と副液室との間で流動することで振動減衰する液封式のエンジンマウント装置であることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0024】
以上のように本発明の製造方法では、ストッパ受部と第1取付部材との間の軸方向の中間位置で本体ゴム部からストッパ受部に対して軸方向に対面する位置まで延び出すストッパゴム部を、本体ゴム部に一体に加硫成形する。
そして組付工程では、筒形をなす第1取付部材の内部空間を利用して、そこに挿入部材を挿入し、そして本体ゴム部に一体に成形したストッパゴム部を、その全体がストッパ受部よりも軸直角方向内側に位置する状態に弾性曲げ変形させて、その変形状態を挿入部材の保持部にて保持し、その状態で第2取付部材をブラケットの筒状部に対して、ストッパ受部とは反対側の開口を通じ第1取付部材の側から圧入する。
【0025】
このとき、ストッパゴム部はその全体がストッパ受部よりも軸直角方向内側に位置した状態に挿入部材にて保持されているため、ストッパゴム部はストッパ受部に対して干渉したり、第2取付部材とストッパ受部との間に挟まれたりすることなく、これを軸方向に通過して筒状部の外側の位置まで移動することができる。
即ち本発明の製造方法では、ストッパゴム部が圧入の邪魔になるといったことはなく、圧入を良好に行うことができる。
【0026】
而して圧入後において、筒状部の外側の位置まで移動したストッパゴム部を、挿入部材の保持部による保持を解除して形状回復させることで、ストッパゴム部をストッパ受部に対し軸方向に対面する位置に位置させることができる。
【0027】
本発明の製造方法によれば、ストッパゴム部を予め本体ゴム部に一体に加硫成形しておくことができ、これによりゴム加硫品の点数を削減でき、また別体のストッパゴム部を後付けで組み付ける工程も不要とでき、防振装置のコストを低減することができる。
【0028】
本発明の製造方法では、上記の挿入部材に溝を設けてこれを保持部となし、そこにストッパゴム部の先端側を嵌め入れて保持するようになしておくことができる(請求項2)。
このようにすれば、保持部を簡単に構成することができるとともに、単にそこにストッパゴム部の先端側を嵌め入れるだけで、簡単にストッパゴム部を保持でき、またそこからストッパゴム部の先端側を抜き出すことで簡単に保持を解除することができる。
【0029】
上記の挿入部材は、保持部が第1取付部材の外部に露出する状態に第1取付部材に挿入しておくことができる(請求項3)。
このようにすれば、第1取付部材の外部に露出した保持に対してストッパゴム部を保持させれば良いため、保持のための作業、更に保持を解除するための作業が容易となる。
【0030】
上記挿入部材は、第1取付部材への挿入方向に複数に分割して、各分割体同士を固定手段にて固定するようになしておくことができる(請求項4)。
このようにすることで、挿入部材の両端部を第1取付部材の外部に突出させ、露出させておくことができるとともに、各端部を第1取付部材の開口よりも大形とすることができ、各端部で第1取付部材を挟むようにして、挿入部材をしっかりと第1取付部材に挿入状態に組み付けることができる。
尚、固定手段としてはマグネットを好適に用いることができる。
【0031】
本発明の製造方法では、圧入時に第1取付部材の内部に挿入されて、圧入治具に対するインシュレータ本体の軸周りの角度位置を位置決めする位置決め部材、即ち圧入治具に対して軸周りの角度位置が規定される筒状部(即ちブラケット)に対する位置決め部材を、上記の挿入部材として用いることができる(請求項5)。
この請求項5によれば、圧入に際して用いられる位置決め部材を、上記の挿入部材として有効に利用できる。
【0032】
本発明の製造方法は液封式のエンジンマウント装置、詳しくはインシュレータ本体の内部に液室を有し、液室が仕切部材で主液室と副液室に仕切られて、内部の液がオリフィス通路を通じて主液室と副液室との間で流動することで振動減衰する液封式のエンジンマウント装置の製造に好適に適用することができる(請求項6)。
【0033】
次に請求項7は防振装置に関するものであり、この防振装置では、ストッパ受部と第1取付部材との間の軸方向の中間位置で、ストッパ受部に対して軸方向に対面する位置まで延び出すストッパゴム部が本体ゴム部に一体に加硫成形してあり、この防振装置では従来用いられていた別体のストッパゴム部が不要となり、防振装置におけるゴム加硫品の点数が少なくなり、また別体のストッパゴム部を後付けで取り付ける工程が不要となることから、防振装置に要するコストを有効に低減することができる。
【0034】
この場合において、上記ブラケットにおける筒状部の、第1取付部材側の軸方向の一端側を軸直角方向内向きの曲り部となし、その曲り部自体をもって、上記のストッパ受部となしておくことができる(請求項8)。
本発明の防振装置では、ストッパゴム部が本体ゴム部に一体に加硫成形されており、別体をなすストッパゴム部を単独で筒状部のストッパ受部に取り付けるといった必要がない。従って筒状部に曲り部を設けて、その曲り部自体をもって上記のストッパ受部となしておくことができる。
この場合、従来必要とされていた別体のストッパゴム部を取り付けるための付加部材を不要化でき、これによりコストを更に効果的に低減することができる。
【0035】
本発明の防振装置は、液封式のエンジンマウント装置として構成しておくことができる(請求項9)。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態のエンジンマウント装置を示す斜視図である。
【図2】図1のエンジンマウント装置の断面図である。
【図3】図2のインシュレータ本体を分解して示す図である。
【図4】図1のエンジンマウント装置を製造する本実施形態の製造方法の要部工程の説明図である。
【図5】図4に続く製造方法の他の要部工程の説明図である。
【図6】図5に続く製造方法の更に他の要部工程の説明図である。
【図7】従来公知の防振装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は防振装置の一例としての液封式のエンジンマウント装置で、ここでは車両への組付前の状態、即ちエンジンの重量(エンジンからの静荷重)を受けていない無負荷状態で示してある。
図に示しているようにこのエンジンマウント装置10は、防振作用の主体をなすインシュレータ本体12と、車体15側(図2参照)に固定される金属製の剛性のブラケット14との組付体から成っている。
ここでエンジンマウント装置10は、図1中左右方向を車両の前後方向とし、これと直角方向を左右方向として車両に設置される。
【0038】
ブラケット14は、起立する一対の脚部16と、それら脚部16の図中上端側を連結するブリッジ部18とを備えて正面視形状が門形をなす変位規制部20と、一対の脚部16の間においてインシュレータ本体12を保持する円筒状の筒状部22とを有している。
ここで筒状部22は一対の脚部16の内面に接合され、変位規制部20と一体化されている。
【0039】
上記変位規制部20は、一対の脚部16の下端から互いに離れる方向に延び出す取付部24を有している。
ブラケット14は、筒状部22においてインシュレータ本体12を保持した状態で、これら取付部24の固定孔26において車体15側に固定される。
【0040】
ここで変位規制部20の外面には、一方の取付部24から脚部16,ブリッジ部18,脚部16を経由して他方の取付部24に到るリブ28が、側面視において左右の両端位置(図2中幅方向の両端位置)に一体に設けられている。
【0041】
一方円筒状をなす筒状部22は、図2に示しているように両端が開口形状をなし、それら開口を上下方向、即ち後述の本体ゴム部の軸方向に向けて配置されている。
この筒状部22の上端側には、軸直角方向内向きのフランジ部が全周に亘って環状に一体に設けられている。即ち軸直角方向内向きの曲り部30が、全周に亘って筒状部22の上端側に設けられている。
【0042】
図2において、32はインシュレータ本体12の要部をなすゴム弾性体で、このゴム弾性体32は、断面形状が下向きにハの字状に開いた形態の周方向に環状をなす本体ゴム部34を有している。
本体ゴム部34は、図中上下方向の軸方向に主振動入力を受け、弾性変形により防振作用する。
【0043】
本体ゴム部34の上端側には、エンジン側への取付部となる矩形状の筒形をなす取付金具(第1取付部材)36が設けられている。
ゴム弾性体32は、本体ゴム部34の上部に矩形状の筒形をなす筒形ゴム部38を有しており、上記の取付金具36は、この筒形ゴム部38の内部に埋め込まれている。
ここで取付金具36は、その筒形ゴム部38に一体に加硫接着されている。
【0044】
この取付金具36は、筒形ゴム部38の内ゴム層40を介して内側に挿入空間42を形成している。
取付金具36は、図2に示すエンジン側のブラケット44の先端側の圧入部46を、挿入空間42に圧入により挿入させることで、内ゴム層40を介して圧入部46に嵌合状態にブラケット44に取り付けられる。
【0045】
筒形ゴム部38における取付金具36の上側の部分は、リバウンド側のストッパゴム部48を成している。
エンジン荷重が作用した状態の下では、本体ゴム部34は図中下向きに圧縮弾性変形した状態となり、このときリバウンド側のストッパゴム部48は、変位規制部20におけるブリッジ部18から図中下向きに離間して、そこにリバウンド側のストッパクリアランスを形成する。
【0046】
リバウンド側のストッパゴム部48は、エンジン側のブラケット44がリバウンド側に大きく変位したときに、変位規制部20におけるブリッジ部18のストッパ当り部50に当接してストッパ作用し、ブラケット44のリバウンド側の過大な変位を規制作用する。
【0047】
尚、筒形ゴム部38の取付金具36に対して前後の部分は、図1に示しているように前後方向のストッパゴム部52を成している。
これらストッパゴム部52は、ブラケット44が車両の前後方向に大きく相対変位したときに、変位規制部20における脚部16に当接してストッパ作用をなし、前後方向の過大な変位を規制作用する。
【0048】
ゴム弾性体32は、図3にも示しているように本体ゴム部34に続く下端側に、断面形状が略逆U字状をなして周方向に環状をなす溝形成部54を、本体ゴム部34に連続して有しており、その溝形成部54に同様の断面形状をなす環状金具56が埋め込まれている。
この環状金具56は、溝形成部54に一体に加硫接着されている。
【0049】
この溝形成部54は周方向に環状の溝を形成しており、そしてこの溝形成部54と、溝の図中下端の開口を閉鎖する仕切部材58とで、周方向に環状に延びるオリフィス通路60が形成されている。
ここで仕切部材58は、ゴム製の円板状の可動板62と、これを外周部で保持する保持部64とで構成されている。
【0050】
66はゴム製のダイヤフラム膜で、外周部に環状をなす固定金具68が一部埋込状態に固定されている。
ここで固定金具68は、図中上向きに立ち上がる立上り部70を有している。
ダイヤフラム膜66は、この立上り部70を、上記の溝形成部54の外ゴム層71を圧縮する状態に内向きに強く曲げ、上記の環状金具56に固定することで、ゴム弾性体32に取り付けられる。
【0051】
詳しくは、この実施形態ではゴム弾性体32と取付金具36と環状金具56とが一体の加硫品76を成しており、この加硫品76に対して、固定金具68の立上り部70を内向きに強く曲げて固定することで、ダイヤフラム膜66と仕切部材58及びその外周部の固定金具68とから成る液封ユニット79が、加硫品76に組み付けられる。
即ちこの実施形態では、一体の加硫品76と液封ユニット79とで上記のインシュレータ本体12が構成されている。
【0052】
この実施形態では、溝形成部54に埋め込まれた環状金具56とダイヤフラム膜66の固定金具68とが、本体ゴム部34の下端側に設けられた、ブラケット14に取り付けられる取付金具(第2取付部材)72を構成する。
ここで取付金具72は、上記の取付金具36及び本体ゴム部34よりも大径とされている。即ち軸直角方向寸法が大とされている。
【0053】
この実施形態において、インシュレータ本体12は、上記の本体ゴム部34を上側の壁とし、またゴム製のダイヤフラム膜66を下側の壁としてそれらの間に液室74を形成している。この液室74には非圧縮性の液体Lが封入されている。
ここでは液体Lとして水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が用いられる。
【0054】
液室74は、上記の仕切部材58によって図中上側の主液室77と、下側の副液室78とに区画されている。
そしてこれら主液室77と副液室78とが上記のオリフィス通路60にて互いに連通されている。
詳しくは、オリフィス通路60は図示を省略する開口を通じて主液室77と連通しており、また別の図示を省略する開口を通じて副液室78と連通している。
【0055】
本例の液封式のエンジンマウント装置10にあっては、低周波数の上下方向の振動入力に対しては、液Lがオリフィス通路60を通じて主液室77から副液室78に若しくはその逆に流動し、その際の粘性流動に基づくエネルギー吸収によって入力振動を効果的に減衰する。
その減衰作用は液Lが液柱共振を生ずる際に最も高く、この例ではその液柱共振の周波数はシェイク等の10〜20Hz程度の低周波数の振動入力に対してチューニングされている。
【0056】
この液封式のエンジンマウント装置10は、それよりも高い周波数の上下方向の振動入力が加わったとき、オリフィス通路60を実質的に液Lが流動しない状態、即ちオリフィス通路60が実質的に閉鎖された状態となり、高周波数の小振幅の振動入力に対しては、取付金具36及び本体ゴム部34の上下動に基づく主液室77内の液圧変動を、可動板62の上下方向の弾性変位乃至は弾性変形によって吸収する。
【0057】
この実施形態では、図2に示しているようにブラケット14における円筒状の筒状部22の上端側の曲り部30、詳しくはその周方向の一部が、後述のストッパゴム部82に対応したストッパ受部80を成している。
【0058】
一方ゴム弾性体32における本体ゴム部34の軸方向(上下方向)の中間位置、詳しくはエンジン側の取付金具36と筒状部22の上記のストッパ受部80との間の中間位置には、板状のバウンド側のストッパゴム部82が一体に加硫成形されている。
【0059】
ここでストッパゴム部82は、本体ゴム部34から図中右方向、即ち本体ゴム部34の軸方向に対して直角方向(軸直角方向)の、車両幅方向の中央側に延び出す形態で本体ゴム部34に一体成形されており、このストッパゴム部82が、上記のストッパ受部80に対し軸方向即ち上下方向に一定間隔を隔てて対面せしめられている。
ここでストッパゴム部82は、その先端が筒状部22の外周位置とほぼ同位置に位置させられている。
【0060】
このバウンド側のストッパゴム部82は、エンジン側のブラケット44が下向きに大きく相対変位したとき、ブラケット44側のストッパ当り部84に当接してストッパ作用をなし、ブラケット44のバウンド側の過大な変位を規制作用する。
このときブラケット44からストッパゴム部82に作用する荷重は、ストッパ受部80にて受けられる。
【0061】
次に液封式のエンジンマウント装置10の製造方法を以下に説明する。
本実施形態の製造方法では、先ずインシュレータ本体12を予め製造して用意する。
このときインシュレータ本体12におけるゴム弾性体32を取付金具36,及び溝形成部54における環状金具56とともに一体に加硫成形及び接着し、一体の加硫品76を得る。
而してこの加硫品76を加硫成形するに際し、板状のストッパゴム部82を本体ゴム部34と一体に加硫成形する。
以上のようにして一体の加硫品76を得たら、次に液中で液封ユニット79を加硫品76に組み付ける。ここにおいて液Lを内部に封入した加硫品76と液封ユニット79とから成る液封のインシュレータ本体12が得られる。
【0062】
次に第2取付部材としての取付金具72を、円筒状をなす筒状部22の曲り部30とは反対側、つまりストッパ受部80とは反対側の開口を通じて、第1取付部材としての取付金具36の側から筒状部22に圧入し、インシュレータ本体12をブラケット14に組み付けるが、このときストッパゴム部82を本体ゴム部34から軸直角方向に延び出させたままであると、そのストッパゴム部82がストッパ受部80と干渉したり、ストッパ受部80と軸直角方向寸法の大きい取付金具72との間に挟まれたりし、ストッパゴム部82が邪魔となって、取付金具72を最終圧入位置まで良好に圧入することができない。
【0063】
そこで本実施形態の製造方法では、インシュレータ本体12とブラケット14との組付けを次のようにして行う。
本実施形態の製造方法では、先ず図4に示しているように圧入に先立って圧入準備工程を実施する。
ここでは、エンジン側の取付金具36の内側の挿入空間42に、圧入の際インシュレータ本体12を後述の圧入治具90に対して、本体ゴム部34の軸周りの角度位置を位置決めする位置決め治具86を挿入部材として挿入し、そしてストッパゴム部86を全体的に弾性曲げ変形させて、これを位置決め治具86にて保持させておく。
【0064】
位置決め治具86は、内側に凹所88を有する圧入治具90の相対向する平坦な一対の内壁面の位置決め面92に対して、左右の平坦な端面からなる位置決め面94を合せることで、インシュレータ本体12の軸周りの角度位置を位置決めするもので、ここでは位置決め治具86は図中左右方向、つまり挿入空間42への挿入方向に2つのブロック状の分割体86-1と86-2とに分割されており、それら分割体86-1,86-2同士が図示を省略するマグネット(固定手段)にて互いに固定されている。
尚、凹所88には図5(B)に示すようにスライド溝91が設けられていて、そのスライド溝91の底面が上記の位置決め面92とされている。
【0065】
位置決め治具86は、取付金具36の内側の挿入空間42に挿入される挿入部96と、挿入空間の外側に位置し、取付金具36の各端の開口よりも大形をなす大形部98,100とを有しており、そして挿入部96及び一方の大形部98が分割体86-1にて構成され、また他方の大形部100が分割体86-2全体にて構成されている。
尚、分割体86-2と86-1とは嵌合凹部102と嵌合凸部104との凹凸嵌合とされており、その凹凸嵌合によって互いの相対位置が、予め定めた位置に位置保持されるようになっている。
【0066】
位置決め治具86は、位置決め面94が大形部98,100に設けられているため、高い精度で位置決めを行うことができる。
またそのために、ここでは位置決め治具86が分割体86-1と86-2とに分割され、取付金具36の内側の挿入空間42に挿入状態に組み付けられるようになっている。
【0067】
位置決め治具86には、一方の分割体86-2の側に、図中上面から即ちストッパゴム部82の側から下向きに保持部としての溝106が設けられている。
ここでは図4に示しているようにストッパゴム部82の全体が、図2のストッパ受部80よりも軸直角方向内側に位置する状態に、ストッパゴム部82が全体的に弾性曲げ変形せしめられ、その状態で先端部が溝106に挿入されることで、ストッパゴム部82が弾性曲げ変形状態に保持される。
【0068】
以上ような圧入準備工程を終えたら、次に圧入工程を実施する。
この圧入工程では、ブラケット14における筒状部22を、曲り部30を下側にして圧入治具90上に載置状態にセットする。
このとき、門形をなす変位規制部20の幅方向の一対の外側面を、圧入治具90の第2の凹所108の、互いに対向する平坦な内壁面の位置決め面110に嵌め合せ、変位規制部20を、つまりブラケット14全体を、圧入治具90に対し軸周りの角度位置を位置決めする。
【0069】
そしてこの状態でインシュレータ本体12を、取付金具36の側を下向きとして筒状部22の内部に挿入するとともに、図5に示しているようにリング状の押込具112にて、第2取付部材としての取付金具72を下向きに押し込み、位置決め治具86を圧入治具90の上記の凹所88内に、詳しくはスライド溝91内に位置決め状態で挿入しながら、大径をなす取付金具72を筒状部22に対して圧入して行く。
【0070】
このとき、インシュレータ本体12は位置決め治具86により圧入治具90に対して軸周りの角度位置が位置決めされることで、圧入治具90に対して角度位置が予め位置決めされた状態でセットされているブラケット14に対して、予め設定されている適正な相対位置関係を保持しつつ筒状部22に圧入されて行く。
【0071】
この圧入工程において、ストッパゴム部82は、図5に示しているようにその全体がストッパ受部80よりも軸直角方向内側の位置に弾性曲げ変形状態で保持されているため、かかるストッパゴム部82が圧入に際して邪魔になるといったことはなく、このストッパゴム部82を、ストッパ受部80の内側を図中下向きに円滑に通過させながら、取付金具72を筒状部22に対して支障無く且つ良好に圧入することができる。
図6は、このようにして取付金具72を筒状部22に対して最終圧入位置まで圧入した状態を示している。
【0072】
以上のようにして圧入工程を終えたら、次にインシュレータ本体12及びブラケット14を圧入治具90から図6中上向きに取り出し、そして弾性曲げ変形状態にあるストッパゴム部82を、位置決め治具86の溝106から抜き出して形状復元させるとともに、位置決め治具86を取付金具36の挿入空間42から取り出す。
ここにおいて図2に示すインシュレータ本体12とブラケット14との組付品、即ち図1に示す液封式のエンジンマウント装置10が得られる。
【0073】
以上のように本実施形態の製造方法によれば、ストッパゴム部82を予め本体ゴム部34に一体に加硫成形しておくことができ、これによりゴム加硫品の点数を削減でき、また別体のストッパゴム部を後付けで組み付ける工程も不要とでき、エンジンマウント装置10のコストを低減することができる。
【0074】
また本実施形態の製造方法では、位置決め治具86に溝106を設けてこれを保持部となし、そこにストッパゴム部82の先端側を嵌め入れて保持するようにしているため、保持部を簡単に構成することができるとともに、単にそこにストッパゴム部82の先端側を嵌め入れるだけで、簡単にストッパゴム部82を保持でき、またそこからストッパゴム部82の先端側を抜き出すことで簡単に保持を解除することができる。
【0075】
また位置決め治具86は、保持部が取付金具36の外部に露出していて、そこにストッパゴム部82を保持させれば良いため、保持のための作業、更に保持を解除するための作業が容易となる。
【0076】
また位置決め治具86は、取付金具36への挿入方向に分割されて、各分割体86-1,86-2同士が固定手段にて固定されるため、位置決め治具86の両端部を取付金具36の外部に突出させ、露出させておくことができるとともに、各端部を取付金具36の開口よりも大形の大形部98,100となすことができ、それら大形部98,100で取付金具36を挟むようにして、位置決め部材86をしっかりと取付金具36に挿入状態に組み付けることができる。
【0077】
また本実施形態のエンジンマウント装置10は、ストッパゴム部82が本体ゴム部34に一体に加硫成形してあることから、従来用いられていた別体のストッパゴム部が不要となり、エンジンマウント装置10に要するコストを低減できることに加えて、ブラケット14における筒状部22の曲り部30の一部自体をもってストッパ受部80となしてあるため、別体のストッパゴム部を取り付けるために従来必要とされていた付加部材を不要化でき、所要コストをより一層低減することができる。
【0078】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明ではストッパゴム部82を保持する挿入部材側の保持部を上記の溝以外の他の形態で設けることも可能であるし、また上記実施形態ではその挿入部材が挿入方向に2分割されて、各分割体が固定手段にて固定されているが、本発明では場合によって挿入部材をそのような分割構造としないで、単体で構成することも可能である。
また上記実施形態は防振装置が液封式のエンジンマウント装置である場合の例であるが、本発明はエンジンマウント装置以外の防振装置或いは液封式でない防振装置に対して適用することも可能である。
また上記実施形態では円筒状の筒状部に設けた曲り部自体をストッパ受部として構成しているが、場合によってその曲り部の軸方向外面に別途の付加部材を取り付けて、それら付加部材と曲り部の一部とでストッパ受部を構成するようになすことも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態・態様で構成・実施することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
10 エンジンマウント装置
12 インシュレータ本体
14 ブラケット
22 筒状部
30 曲り部
34 本体ゴム部
36 取付金具(第1取付部材)
60 オリフィス通路
72 取付部材(第2取付部材)
74 液室
76 加硫品
77 主液室
78 副液室
80 ストッパ受部
82 ストッパゴム部
86 位置決め治具(挿入部材)
106 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)軸方向に主振動入力を受け、弾性変形により防振作用をなす本体ゴム部と、筒形をなし開口を軸直角方向に向けて該本体ゴム部の軸方向の一端側に固着された、被支持部材の側に取り付けられる第1取付部材と、該本体ゴム部の軸方向の他端側に固着された、支持部材の側に取り付けられる、前記第1取付部材及び本体ゴム部よりも軸直角方向寸法の大きい第2取付部材と、を有するインシュレータ本体と、
(B)軸方向の両端が開口形状をなし、前記第1取付部材側の軸方向の一端側に軸直角方向内向きに突出したストッパ受部が設けられた筒状部を有する前記支持部材側のブラケットとを、
前記インシュレータ本体の前記第2取付部材を、前記筒状部の前記ストッパ受部とは軸方向の反対側の開口を通じて前記第1取付部材の側から該筒状部に圧入して組み付けて成る防振装置の製造方法であって、
前記インシュレータ本体を用意する工程と、
前記第2取付部材を前記筒状部に圧入して、該インシュレータ本体と前記ブラケットとを組み付ける組付工程とを含み、
前記インシュレータ本体を用意する工程では、該ブラケットへの組付状態の下で前記ストッパ受部と前記第1取付部材との間の軸方向の中間位置で該本体ゴム部から該ストッパ受部に対して軸方向に対面する位置まで延び出すストッパゴム部を該本体ゴム部と一体に加硫成形し、
前記組付工程では、前記第1取付部材の内部に挿入部材を挿入するとともに、前記ストッパゴム部を、全体が前記ストッパ受部よりも軸直角方向内側に位置する状態に弾性曲げ変形させて、前記挿入部材の保持部に保持させる圧入準備工程と、
該圧入準備工程の後において、前記第2取付部材を前記筒状部に圧入する圧入工程と、
該圧入工程の後において、圧入により前記筒状部の外側に出た前記ストッパゴム部を前記保持部による保持から解除して形状復元させ、前記ストッパ受部に対して軸方向に対面する位置に位置させる工程と、
を経て組付けを行うことを特徴とする防振装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記保持部が前記挿入部材に設けた溝であり、該溝に前記ストッパゴム部の先端側を嵌め入れて保持するものとなしてあることを特徴とする防振装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記挿入部材は、前記保持部が前記第1取付部材の外部に露出する状態に該第1取付部材に挿入してあることを特徴とする防振装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記挿入部材は、前記第1取付部材への挿入方向に複数に分割されて、各分割体同士が固定手段にて固定されていることを特徴とする防振装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記挿入部材が、圧入時に前記インシュレータ本体を前記筒状部に対して軸周りの角度位置を位置決めする位置決め部材であることを特徴とする防振装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、前記防振装置が、前記インシュレータ本体の内部に液室を有し、該液室が仕切部材で主液室と副液室とに仕切られて、内部の液がオリフィス通路を通じて該主液室と副液室との間で流動することで振動減衰する液封式のエンジンマウント装置であることを特徴とする防振装置の製造方法。
【請求項7】
(A)軸方向に主振動入力を受け、弾性変形により防振作用をなす本体ゴム部と、筒形をなし開口を軸直角方向に向けて該本体ゴム部の軸方向の一端側に固着された、被支持部材の側に取り付けられる第1取付部材と、該本体ゴム部の軸方向の他端側に固着された、支持部材の側に取り付けられる、前記第1取付部材及び本体ゴム部よりも軸直角方向寸法の大きい第2取付部材と、を有するインシュレータ本体と、
(B)軸方向の両端が開口形状をなし、前記第1取付部材側の軸方向の一端側に軸直角方向内向きに突出したストッパ受部が設けられた筒状部を有する前記支持部材側のブラケットとを、
前記インシュレータ本体の前記第2取付部材を、前記筒状部の前記ストッパ受部とは軸方向の反対側の開口を通じて前記第1取付部材の側から該筒状部に圧入して組み付けて成り、
前記本体ゴム部には、前記ストッパ受部と前記第1取付部材との間の軸方向の中間位置で該本体ゴム部から前記ストッパ受部に対して軸方向に対面する位置まで延び出すストッパゴム部が一体に加硫成形してあることを特徴とする防振装置。
【請求項8】
請求項7において、前記筒状部には、前記第1取付部材側の軸方向の一端側が軸直角方向内向きの曲り部とされ、該曲り部自体が前記ストッパ受部を成していることを特徴とする防振装置。
【請求項9】
前記インシュレータ本体の内部に液室を有し、該液室が仕切部材で主液室と副液室とに仕切られて、内部の液がオリフィス通路を通じて該主液室と副液室との間で流動することで振動減衰する液封式のエンジンマウント装置であることを特徴とする請求項7,8の何れかに記載の防振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−207708(P2012−207708A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72925(P2011−72925)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】